(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】飲料用粉末
(51)【国際特許分類】
A23L 2/39 20060101AFI20240509BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240509BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240509BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240509BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A23L2/00 Q
A23L2/38 D
A23L2/52
A23L2/00 R
A23J3/14
A23L2/00 J
(21)【出願番号】P 2019197347
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅明
(72)【発明者】
【氏名】石黒 聖子
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-271279(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109965019(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106538693(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103478837(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103462164(CN,A)
【文献】国際公開第2019/185991(WO,A1)
【文献】特開2021-003101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00 - 9/06
A23J 1/00 - 7/00
A23L 2/00 - 35/00
CAplus/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質として、エンドウ豆タンパク質を含み、
飲料用粉末全量に対するエンドウ豆タンパク質の含有量が、50質量%以上であり、
乳化剤として、脂肪酸残基の炭素鎖数が12~18であるHLBが8以上のグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸残基の炭素鎖数が14~18であるHLBが8以上のショ糖脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上の乳化剤を含む、
飲料用粉末。
【請求項2】
前記グリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が、2~10である、請求項1に記載の飲料用粉末。
【請求項3】
前記乳化剤として、HLBが8~13のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル、並びに、HLBが14~17のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含む、請求項1又は2に記載の飲料用粉末。
【請求項4】
前記飲料用粉末は油を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の飲料用粉末。
【請求項5】
前記飲料用粉末全量に対する乳化剤の含有量が、1~5質量%である、請求項1~4の何れか一項に記載の飲料用粉末。
【請求項6】
造粒物である、請求項1~5の何れか一項に記載の飲料用粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドウ豆タンパク質を含む飲料用粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手軽にタンパク質を補給するための手法として、タンパク質が含まれる粉末や造粒物を水や牛乳に溶かし、飲用する手法が知られている。
当該粉末や造粒物を使用したタンパク質の摂取方法は、食事で同量のタンパク質を補給するよりも手軽であるため、アスリートや、多くの食事が困難である高齢者等の栄養補給源として人気を博している。
【0003】
これまで、数々のタンパク質含有粉末、又は造粒物や、これらの製造技術が開示されてきた。
例えば、特許文献1には、溶解時における口当たりや粘度を改良する目的で、ドライブレンドされた植物タンパク質の少なくとも一部として、噴霧乾燥植物タンパク質を使用した粉末状栄養配合物に関する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、高い栄養源を有し、かつアレルギー反応が起こらない飲料組成物を調合可能な造粒物であって、エンドウ豆タンパク質組成物及び澱粉加水分解物を含有する造粒植物性ミルク粉末が記載されている。
【0005】
特許文献2に記載されているエンドウ豆タンパク質は、大豆タンパク質に代わる新たな植物性タンパク質として、近年研究が進められているタンパク質である。
エンドウ豆タンパク質は、乳タンパク質や大豆タンパク質に含まれるアレルゲンを含んでおらず、またリジンやアルギニン等の必須アミノ酸を豊富に含むことから、注目が集められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-225453号公報
【文献】特表2012-519013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、エンドウ豆タンパク質を含む飲料用粉末について研究を進めてきた。そして、エンドウ豆タンパク質を含む飲料用粉末は、植物性タンパク質として従来主流であった大豆タンパク質を含む飲料用粉末と比較すると、水への分散性は同等であるものの、飲用時にザラつきを感じ、のど越しが悪く、口残り感があり、飲みにくいという問題があることを突き止めた。
【0008】
したがって、本発明は、少なくとも飲用時のザラつき感、のど越しの悪さ、及び飲み込んだ後の口残り感の何れか1つの飲用感が抑制され、飲みやすい飲料を調製可能な、エンドウ豆タンパク質を含む飲料用粉末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の乳化剤を配合したエンドウ豆タンパク質を含む飲料用粉末は、少なくとも飲用時のザラつき感、のど越しの悪さ、及び飲み込んだ後の口残り感の何れか1つの飲用感が抑制され、飲みやすいことを見出した。
【0010】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、タンパク質として、エンドウ豆タンパク質を含み、
乳化剤として、HLBが8以上のグリセリン脂肪酸エステル、HLBが8以上のショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される1種又は2種以上の乳化剤を含む、飲料用粉末である。
HLBが8以上のグリセリン脂肪酸エステル、HLBが8以上のショ糖脂肪酸エステル、又はレシチンを含む飲料用粉末は、溶解するとエンドウ豆タンパク質特有の飲みにくさが抑制された、飲みやすい飲料となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は、前記乳化剤として、HLBが8以上のグリセリン脂肪酸エステルを含み、グリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸残基の炭素鎖数が12~18である。
このような構成の飲料用粉末は、飲用時により飲みやすい飲料となる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は、前記グリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が、2~10である。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は、前記乳化剤として、HLBが8以上のショ糖脂肪酸エステルを含み、前記ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸残基の炭素鎖数が、14~18である。
このような構成の飲料用粉末は、飲用時により飲みやすい飲料となる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は、
前記乳化剤として、HLBが8~13のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル、並びに、HLBが14~17のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含む。
このように、HLBが異なる2種のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含む飲料用粉末は、飲用時により飲みやすい飲料となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末全量に対するエンドウ豆タンパク質の含有量が、50質量%以上である。
エンドウ豆タンパク質の含有量が多い飲料用粉末は、飲用時のザラツキ感、のど越しの悪さ、口残り感がより顕著になるが、本発明の飲料用粉末は、エンドウ豆タンパク質の含有量が50質量%以上であっても、飲みやすい飲料となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末全量に対する乳化剤の含有量が、1~5質量%である。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は造粒物である。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記飲料用粉末は、流動層造粒により造粒された造粒物である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の飲料用粉末は、飲用時のザラつき感、のど越しの悪さ、及び飲み込んだ後の口残り感の少なくとも何れか1つの飲用感が抑制され飲みやすい飲料となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)タンパク質
本発明の飲料用粉末は、エンドウ豆タンパク質を必須成分として含む。
エンドウ豆タンパク質としては、エンドウ豆タンパク分離物、及びエンドウ豆タンパク濃縮物の何れも用いることができる。
【0021】
本発明の飲料用粉末は、エンドウ豆タンパク質以外のタンパク質を含んでもよい。
例えば、乳タンパク質、カゼインタンパク質、ホエイタンパク質、大豆タンパク質、及びコラーゲン等を含んでもよい。
飲料用粉末に含まれるタンパク質全量のうち、エンドウ豆タンパク質が占める割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは95質量%以上である。
【0022】
飲料用粉末全量に対するタンパク質の含有量の下限は、特に限定されないが、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上で、さらに好ましくは70質量%以上である。
このような構成とすることで、少ない容量で多量のタンパク質を摂取することができる。また、本発明の飲料用粉末は、多量のタンパク質を含む場合であっても、飲用時のザラつきが少なく、飲みやすい飲料となる。
【0023】
また、タンパク質の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
【0024】
(2)乳化剤
本発明の飲料用粉末は、HLB8以上のグリセリン脂肪酸エステル、HLBが8以上のショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される乳化剤を含む。
これらの乳化剤を含む飲料用粉末は、飲用時にザラつかず、のど越しが良く、口残り感がない飲みやすい飲料となる。
【0025】
飲料用粉末全量に対する乳化剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%であり、さらに好ましくは1~4質量%であり、特に好ましくは2~3質量%である。
【0026】
<グリセリン脂肪酸エステル>
本発明において、「グリセリン脂肪酸エステル」には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが8以上であれば特に限定されない。
HLBの下限は特に限定されないが、HLB18以下が好ましく、HLB16以下がより好ましい。
【0027】
グリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、飽和脂肪酸、及び不飽和脂肪酸の何れであってもよく、直鎖、及び分岐鎖の何れであってもよい。
脂肪酸の炭素鎖数は、好ましくは8~22であり、より好ましくは10~20であり、さらに好ましくは12~18である。
【0028】
このようなグリセリン脂肪酸エステルとしては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の脂肪酸と、グリセリンとのエステルが例示できる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、ラウリル酸及びオレイン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の脂肪酸と、グリセリンとのエステルが好ましい。
【0029】
グリセリン脂肪酸エステルにおける、グリセリンの重合度は、特に限定されず、1~10であってもよく、2~10であってもよく、4~10であってもよく、6~10であってもよい。
【0030】
グリセリン脂肪酸エステルにおける、エステル化度は、特に限定されず、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステルの何れであってもよい。
【0031】
HLBが8以上のグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、例えば、モノオレイン酸ジグリセリン(HLB8)、モノオレイン酸ペンタグリセリン(HLB13)、モノラウリン酸デカグリセリン(HLB15.5)が例示できる。
なお、表中のHLBの値は、市販の製品の種類によって多少変動するが、これらのグリセリン脂肪酸エステルであればHLBは概ね8以上である。
【0032】
<ショ糖脂肪酸エステル>
本発明におけるショ糖脂肪酸エステルは、HLBが8以上であれば特に限定されないが、HLB10以上が好ましく、HLB12以上がより好ましく、HLB14以上がさらに好ましく、HLB16以上が特に好ましい。
HLBの下限は特に限定されないが、HLB18以下が好ましく、HLB16以下がより好ましい。
【0033】
ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、飽和脂肪酸、及び不飽和脂肪酸の何れであってもよく、直鎖、及び分岐鎖の何れであってもよい。
脂肪酸の炭素鎖数は、好ましくは8~22であり、より好ましくは10~20であり、さらに好ましくは12~18であり、特に好ましくは14~18であり、最も好ましくは16である。
【0034】
このようなショ糖脂肪酸エステルとしては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の脂肪酸と、ショ糖とのエステルが例示できる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸及びパルミチン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の脂肪酸と、ショ糖とのエステルが好ましく、ショ糖パルミチン酸エステルがより好ましい。
【0035】
<レシチン>
レシチンの種類は、食品への添加が認められているものであれば特に限定されず、大豆レシチン、アブラナレシチン、及びヒマワリレシチン等を用いることができる。
レシチンのHLBは、特に限定されないが、HLBが8以上であることが好ましい。
【0036】
<2種以上の乳化剤を含む飲料用粉末>
本発明の飲料用粉末は、2種以上の乳化剤を含むことがより好ましい。
この場合には、乳化剤としてHLBが8~13のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル、並びに、HLBが14~17のグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
特に、HLBが8~13のグリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが14~17のグリセリン脂肪酸エステルの組み合わせが好ましい。
また、HLBが8~13のショ糖脂肪酸エステル、及びHLBが14~17のショ糖脂肪酸エステルの組み合わせが好ましい。
このようにHLBが異なる2種以上の乳化剤を含む飲料用粉末は、HLBが8~13の乳化剤、及びHLBが14~17の乳化剤を単独で含む飲料用粉末と比して、より飲用時のザラつきが少なく、のど越しが良く、口残り感が少なく、飲みやすい飲料となる。
【0037】
HLBが8~13のグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ジグリセリン、及びモノオレイン酸ペンタグリセリンが例示できる。
HLBが14~17のグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸デカグリセリンが例示できる。
HLBが8~13のショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステルが例示できる。
HLBが14~17のショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖パルミチン酸エステルが例示できる。
【0038】
乳化剤を2種以上含む場合、飲料用粉末全量に対する乳化剤の総量は、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%であり、さらに好ましくは1~4質量%であり、特に好ましくは2~3質量%である。
【0039】
(3)飲料用粉末
飲料用粉末は常法により製造することができる。
飲料用粉末が、非造粒物である場合、一般的な粉体混合機に原料を投入し、混合することで製造することができる。
粉体混合機としては、容器回転型及び撹拌型の何れを用いてもよい。
【0040】
本発明の飲料用粉体は、造粒物であることが好ましい。
造粒方法は特に限定されないが、流動層造粒により造粒された造粒物であることが好ましい。
【0041】
流動層造粒を行う場合、まず、乳化剤、及び油を混合し、これを水に混濁して、バインダー液を調製する。
油としては、食品用として使用可能な油であれば特に限定されず、菜種油、大豆油、紅花油等のサラダ油を用いることができる。
次いで、流動層造粒機に、エンドウ豆タンパク質等の粉体原料を投入し、調製したバインダー液を噴霧し、造粒を行う。
【実施例】
【0042】
<試験例1>飲料用粉末の調製
表1に記載の組成に従い、流動層造粒装置を用いて、飲料用粉末の造粒物を調製した。
具体的には、各乳化剤を、それぞれ菜種油と混合し、これをさらに水に混濁し、各乳化剤を含むバインダー液をそれぞれ調製した。
次いで、エンドウ豆タンパク質の粉末原料を流動層造粒装置に投入し、調製したバインダー液を噴霧し、造粒を行った。
また、コントロールとして、乳化剤を含まない飲料用粉末を同様に製造した。
【0043】
【0044】
<試験例2>飲用時のザラつきの評価試験
各飲料用粉末11gを、それぞれ100mlの水に懸濁し、プロテイン飲料を調製した。
各プロテイン飲料について、粉末飲料分野に精通する4名の専門パネラーが試飲し、以下の基準に従い評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】
<評価基準>
(口腔内でのざらつき)
3点 ざらつきを感じる(コントロールと同等のざらつきを感じる)
2点 多少のざらつきを感じる(コントロールと比してざらつきが少ない)
1点 ざらつきを感じない(コントロールと比して顕著にざらつきが少ない)
(のど越し)
3点 のど越しが悪い(コントロールと同等ののど越し)
2点 多少のど越しが悪い(コントロールと比してのど越しが良い)
1点 のど越しが良い(コントロールと比して、顕著にのど越しが良い)
(飲み込んだ後の口残り)
3点 口残りを強く感じる(コントロールと同等の口残り感がある)
2点 多少の口残りを感じる(コントールと比して、口残り感が少ない)
1点 口残りを感じない(コントールと比して、顕著に口残りを感じない)
【0046】
【0047】
表2に示す通り、HLB7未満の乳化剤を含む比較例1~3のプロテイン飲料について、ほとんどの評価者が、コントロールと同等のざらつき、のど越しの悪さ、及び口残りを感じると評価した。
一方で、HLB8以上の乳化剤を含む実施例1~8の飲料用粉末を懸濁したプロテイン飲料について、ほとんどの評価者が、コントロール及び比較例1~3のプロテイン飲料と比して、ざらつきを感じにくく、のど越しが良く、口残りを感じないと評価した。
【0048】
また、比較例1、実施例2及び実施例3は、それぞれHLBが異なるショ糖ステアリン酸エステルを乳化剤として含むものであり、HLB1のショ糖ステアリン酸エステルを含む比較例1は、各評価がコントロールと同等であるのに対し、HLBが9、及び11のショ糖ステアリン酸エステルをそれぞれ含む実施例2及び3は、コントロールと比してざらつきが感じにくく、のどごしが良く、口残りを感じないという結果であった。
この結果から、エンドウ豆タンパク質に由来する独特の飲みにくさを改善する要素として、乳化剤のHLBが重要であることがわかった。
【0049】
また、HLBがそれぞれ8及び15.5の2種の乳化剤を含む実施例8は、それぞれの乳化剤を単独で含む実施例1及び実施例5と比して、よりざらつきを感じにくく、よりのど越しが良く、より口残りを感じないプロテイン飲料となった。
この結果から、HLBが8~13の乳化剤、及びHLBが14~17の乳化剤を含む飲料用粉末は、より飲みやすいプロテイン粉末となることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、エンドウ豆タンパク質を含むインスタント飲食品に応用することができる。