(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】光学部材の製造方法及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20240510BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L33/52
H01L33/54
(21)【出願番号】P 2022075295
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真樹
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186513(JP,A)
【文献】特開2021-141291(JP,A)
【文献】特開2019-102614(JP,A)
【文献】特開2013-083628(JP,A)
【文献】特許第6885494(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームと、を準備する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置し、前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を前記第一方向に直交する第二方向において挟んだ両側に前記開口部の輪郭と重なる位置に第二樹脂を配置する工程と、
少なくとも前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、
少なくとも前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を
順に含む光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂及び前記第二樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は少なくとも前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置を認識する工程の前、後又は同時に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第二樹脂は、前記第一樹脂と同じ材料である、光学部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第二樹脂は、蛍光体を含む光学部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程において、前記透光性部材の輪郭の位置を認識する際に用いる前記照明光に対して、前記透光性部材と前記遮光フレームとのコントラスト差よりも、前記透光性部材と前記第二樹脂とのコントラスト差が大きくなる前記第二樹脂を用いてなる光学部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程において、前記透光性部材は、平面視において前記開口部の輪郭と重なる位置に配置された前記第二樹脂の輪郭の少なくとも一部から離れて位置されてなる光学部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程において、前記遮光フレームは、前記開口部を前記第二方向において挟んだ両側に位置する第二領域を備え、前記第二領域における前記開口部の輪郭上に前記透光性部材が配置されない光学部材の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程において、前記遮光フレームの前記開口部の輪郭として、前記開口部の輪郭と重なる位置に配置された前記第二樹脂の輪郭を認識する光学部材の製造方法。
【請求項8】
透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームを準備する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置する工程と、
前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、
前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を
順に含む光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、第一照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の輪郭の位置を認識する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面側から、カラーの第二照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記開口部の輪郭の位置と前記透光性部材の輪郭の位置に基づいて、前記遮光フレームと前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程が、
前記開口部の輪郭に基づいて、前記遮光フレームの中心である第一位置を算出する工程と、
前記透光性部材の輪郭に基づいて、前記透光性部材の中心である第二位置を認識する工程と、
前記第一位置と第二位置との距離を算出して、所定の基準値と比較することにより合否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記遮光フレームの
前記開口部の形状は上面視において矩形であり、前記透光性部材の形状は上面視において矩形である光学部材の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記遮光フレームが金属製である光学部材の製造方法。
【請求項12】
請求項
8に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第一照明光と第二照明光が、同じ色度である光学部材の製造方法。
【請求項13】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記透光性部材は、蛍光体を含む光学部材の製造方法。
【請求項14】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂は、白色の樹脂である光学部材の製造方法。
【請求項15】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、さらに、
前記開口部の輪郭の位置と前記透光性部材の輪郭の位置に基づく前記遮光フレームと
前記透光性部材の相対位置の適否の判定結果が不適となった光学部材を、排除する工程を含む光学部材の製造方法。
【請求項16】
発光装置の製造方法であって、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法により、前記光学部材を準備する工程と、
発光素子を載置した配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上に、前記発光素子を覆うように、前記光学部材を配置する工程と、
を含んでなる発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材の製造方法及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性部材の周囲に遮光フレームを備えた発光装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の一は、透光性部材と遮光フレームとを精度よく位置決めすることが可能な光学部材の製造方法及び発光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係る光学部材の製造方法は、透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームと、を準備する工程と、前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置し、前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を前記第一方向に直交する第二方向において挟んだ両側に前記開口部の輪郭と重なる位置に第二樹脂を配置する工程と、少なくとも前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、少なくとも前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を含む光学部材の製造方法であって、前記第一樹脂及び前記第二樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は少なくとも前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程と、前記開口部の輪郭の位置を認識する工程の前、後又は同時に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程とを含む。
【0006】
また本発明の他の形態に係る光学部材の製造方法は、透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームを準備する工程と、前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置する工程と、前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を含む光学部材の製造方法であって、前記第一樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、第一照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の輪郭の位置を認識する工程と、前記遮光フレームの前記第二面側から、カラーの第二照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態に係る光学部材の製造方法によれば、透光性部材と遮光フレームとを精度よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る光学部材を含む発光装置の分解断面図である。
【
図2】
図1の光学部材を下面側から見た模式平面図である。
【
図4】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図5】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図6】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図7】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図8】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図9】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図10】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図11】実施形態1に係る遮光フレームを平面視で撮像した画像を示す模式図である。
【
図12】透光性部材を配置した直後の状態を下面側から見た模式平面図である。
【
図13】実施形態1に係る光学部材を用いた発光装置の模式平面図である。
【
図14】
図13の発光装置のXIV-XIV線における模式断面図である。
【
図15】
図13の発光装置のXV-XV線における模式断面図である。
【
図17】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図18】光学部材の製造工程を説明する模式図である。
【
図19】変形例に係る光学部材の遮光フレームを示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。なお以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合があるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。また、樹脂材料のように工程内において形態が変化するもの、例えば、硬化前は液状で硬化後は固体状となるような部材は、硬化の前後において同じ名称及び符号を用いる。
【0011】
[実施形態1]
[光学部材]
【0012】
図5は本実施形態に係る光学部材60の模式斜視図である。光学部材60は、例えば、
図1に示すように配線基板10と発光素子1とを含む集合体50と接合可能な部材である。光学部材60は、集合体50と組み合わせることで、発光装置100を構成できる。光学部材60を第二面(下面)5d側から見た平面図を
図2に示す。光学部材60は、遮光フレーム5と、第一樹脂9aと、第二樹脂9bと、透光性部材3を備える。
【0013】
光学部材を構成する各部材について、以下説明する。
【0014】
(遮光フレーム)
図3に示すように、遮光フレーム5は、第一面5cと、第一面5cの反対側の第二面5dと、第一面5cと第二面5dとを貫通する開口部5aと、を有する。
【0015】
遮光フレーム5は、開口部5aを第一方向D1(
図2において上下方向)において挟んだ領域(第一領域5e)と、第一方向に直交する第二方向D2(
図2において左右方向)において挟んだ領域(第二領域5f)とを備える。例えば、
図2、
図3等に示す遮光フレームは、第二方向における長さが第一方向における長さよりも長い長方形状の外形を有する枠状の部材である。また、開口部5aの輪郭は第二方向に長い長方形状である。
【0016】
遮光フレーム5の第一領域5e及び第二領域5fは、同じ幅でもよく、あるいは異なる幅であってもよい。例えば
図2に例示する遮光フレーム5では、第一領域5eが第二方向に延伸する長さよりも第二領域5fが第一方向に延伸する長さが短い。また、遮光フレーム5の第一領域5e及び第二領域5eは、それぞれ幅が一定であってもよく、異なっていてもよい。例えば、
図2に例示する遮光フレーム5では、第二領域5fの幅は一定であり、第一領域5eの幅は異なる長さの領域を有する。具体的には、第一領域5eは、
図3に示すように上面視において幅広部5gと、それよりも幅の狭い幅狭部5hと、を有する。なお、各領域における「幅」とは、第一領域5eにおいては、第一方向D1における幅を指し、具体的には第一方向における開口部5aの輪郭(内縁)から遮光フレーム5の外縁までの距離を指す。同様に、第二領域5fにおける「幅」は、第二方向D2における幅を指し、具体的には第二方向D2における開口部5aの輪郭(内縁)から遮光フレーム5の外縁までの距離を指す。
【0017】
平面視における遮光フレーム5の大きさは、例えば、少なくとも第一方向又は第二方向においてそれぞれ130μm以上であってよい。特に、製造工程における取り扱いの容易さを考慮すると、第一方向及び第二方向における大きさは、例えば、それぞれ500μm以上であってよい。
【0018】
また遮光フレーム5の厚み(つまり遮光フレーム5の第二面5dから第一面5cまでの距離)は、20μm~200μm程度としてよく、例えば30~80μm程度であってよい。これにより、遮光フレーム5の強度を保つことができる。
【0019】
遮光フレーム5の材料は、例えば、光を反射及び/又は吸収する部材が好ましい。あるいはフレーム状の部材の表面に光を反射及び/又は吸収する部材を備えたものが好ましい。例えば、遮光フレームの材料としては、樹脂、セラミックス、ガラス、紙、金属等、及びこれらの材料の2種以上を含む複合材料等から選択して構成することができる。特に、遮光フレーム5の材料としては、金属又は表面に膜を備えた金属が好ましい。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、チタン、又はこれらの合金や積層体等が挙げられる。特に金属として、鉄を主成分として含み、クロムを含む合金(SUS)が好ましい。また、金属の表面に膜を備える場合は、遮光フレームの第一面5c及び第二面5dの両方に、あるいは、いずれか一方に設けることができる。例えば、遮光フレームの第一面5cに、黒色ニッケル及び/又は黒色クロム等の光吸収率の高い材料を配置してもよい。
【0020】
遮光フレーム5の第一面5cは、平坦な面又は微細な凹凸を有する面とすることができる。微細な凹凸としては、例えば平均算術粗さRaが0.5μm以上1.0μm以下が挙げられる。
【0021】
(第一樹脂、第二樹脂)
【0022】
第一樹脂9a及び第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二面5dと接する部材である。第一樹脂9aは、遮光フレーム5の第二面5dのうち、開口部5aを第一方向D1において挟んだ両側に位置する領域(第一領域5e)と、透光性部材3との間に配置される。第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二面5dのうち、開口部5aを第二方向D2において挟んだ両側に位置する領域(第二領域5f)に配置される。
【0023】
第一樹脂9aは、主として遮光フレーム5と透光性部材3とを接合させる接着剤として機能する部材である。第一樹脂9aは、遮光フレーム5の第二面5dにおいて、平面視において少なくとも透光性部材3と重なる位置に配置される。詳細には、遮光フレーム5の第二面5dであって、第一方向D1において開口部5aを挟んだ両側に位置する第一領域5eの少なくとも一方の第一領域5eにおいて、平面視で少なくとも透光性部材3と重なる位置に配置される。第一樹脂9aは、遮光フレーム5の第二面5dであって、第一方向D1において開口部5aを挟んだ両側に位置する第一領域5eのそれぞれにおいて、平面視で少なくとも透光性部材3と重なる位置に配置されることが好ましい。また第一樹脂9aは、第一領域5eにおいて、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の一部と重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、遮光フレーム5と透光性部材3の間から外部に光が漏れることを低減することができる。また第一樹脂9aは、第一領域5eから第二領域5fに延在して配置されてもよい。このとき第一樹脂9aは、
図1に示すように第二樹脂9bと接していてもよい。さらに第一樹脂9aは、
図1等に示すように、遮光フレーム5の開口部5aと透光性部材3との間に配置されてもよい。これにより、遮光フレーム5と透光性部材3との間から外部に光が漏れることを低減することができる。
【0024】
第一樹脂9aの材料としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができる。また、第一樹脂9aの材料としては、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置を確認する際に用いる照明光に対して透光性部材3とコントラスト差のある材料を用いることができる。例えば、前述の樹脂を母材とし、これらの母材に光反射性物質が含有された材料を用いてもよい。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライト等から選択された少なくとも一種を用いることができる。第一樹脂9aは、これらの材料を含む白色樹脂を用いることができる。例えば、第一樹脂9aは、酸化チタンとシリコーン樹脂を含む白色樹脂である。
【0025】
第二樹脂9bは、遮光フレーム5と接する部材であり、主として遮光フレーム5の第二面5d上に透光性部材3を配置する際に位置合わせのために用いられる部材である。そのため、第二樹脂9bは、少なくとも遮光フレーム5とは接しており、透光性部材3とは接していてもよく接していなくてもよい。第二樹脂9bは、遮光フレーム5と透光性部材3の両方と接する場合は、両者を接合する接合部材として機能することができる。
【0026】
第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二面5dであって、第二方向D2において開口部5aを挟んだ両側に位置する第二領域5fの少なくとも一方の第二領域5fにおいて、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の少なくとも一部と重なる位置に配置される。第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二面5dであって、第二方向D2において開口部5aを挟んだ両側に位置する第二領域5fのそれぞれにおいて、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の一部と重なる位置に配置されることが好ましい。
【0027】
また、第二樹脂9bは、第二方向D2において開口部5aを挟んだ第二領域5fのうちの一方の第二領域5fにおいて、開口部5aの輪郭と重なる位置に1つ又は2つ以上配置することができる。1つの第二樹脂9bは、開口部5aの輪郭と1カ所で重なっていてもよく、あるいは、離隔する2カ所において重なっていてもよい。例えば、第二樹脂9bは、第二領域5fにおいて、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭のうち、少なくとも20%以上の輪郭と重なるように配置されることが好ましい。さらに、第二領域5fに複数の第二樹脂9bが配置される場合、開口部5の輪郭と重ならない第二樹脂9bを有していてもよい。
【0028】
第二樹脂9bの材料は、透光性部材3とコントラスト差のある材料が好ましい。特に、第二樹脂9bの材料は、透光性部材3と遮光フレーム5とのコントラスト差よりも大きいコントラスト差となる材料であることが好ましい。特に、透光性部材3の輪郭の位置を認識する際に用いる照明光に対して、透光性部材3と遮光フレーム5とのコントラスト差よりも、透光性部材3との第二樹脂9bとのコントラスト差が大きくなるような第二樹脂9bを用いることが好ましい。第二樹脂9bの材料は、第一樹脂9aの材料として例示した材料と同様の材料を用いることができる。好ましくは、第一樹脂9aと第二樹脂9bを同じ材料とする。これにより、第一樹脂9aと第二樹脂9bとを同時に配置することができ、製造効率を高めることができる。
【0029】
また、第二樹脂9bとして、蛍光体を含む樹脂を用いることができる。さらに第二樹脂9bとして、上述の光反射性物質を含む白色樹脂9b1と、蛍光体を含む樹脂9b2との2種を用いることができる。その場合、例えば
図19に示す遮光フレーム5Aのように、第二方向D2において開口部5aを挟む第二領域5fのそれぞれに、第二樹脂9bとして1つの白色樹脂9b1と、それよりも小さい面積の複数の蛍光体を含む樹脂9b2とを配置することができる。このとき、白色樹脂9b1と、蛍光体を含む樹脂9b2とは互いに接していてもよく、離れていてもよい。また、これらの樹脂は一部が重なっていてもよい。このように白色樹脂9b1と蛍光体を含む樹脂9b2とを用いることで、透光性部材3とのコントラスト差をより大きくすることができる。さらに、蛍光体を含む樹脂9b2を遮光フレーム5Aの全面に配置すれば、開口部5aの検出を一層容易にできる。
【0030】
また第二樹脂9bは、透光性部材の輪郭の位置を認識する際に用いる照明光により励起されて蛍光を発する蛍光体を含んでもよい。これにより、照明光を照射して第二樹脂9bを発光させることで、遮光フレーム5とのコントラスト差をより高めることが可能となる。
【0031】
(透光性部材)
透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に出射させる部材である。透光性部材3は
図1、
図5等に示すように、発光装置100の光出射面3aと光出射面の反対側の光入射面3bとを有する。透光性部材3の形状は、上面視において矩形状である。透光性部材3の光入射面3bの面積は光出射面3a光出射面3aと同じでもよく、それよりも大きくてもよい。
【0032】
透光性部材3の平面視形状は四角形とすることができる。また、透光性部材3の大きさは、光学部材60を組み込む発光装置の大きさや所望の光学特性等に応じて適宜選択することができる。透光性部材3の大きさは、例えば、発光装置に用いられる発光素子1の大きさと同程度とすることができる。あるいは、透光性部材3の大きさは、発光素子1の大きさよりも大きく又は小さくすることができる。さらに、複数の発光素子1を備える場合、1つの透光性部材3に対して複数の発光素子1が配置されてよい。
図5の例では、透光性部材3の光出射面3aの面積は、光入射面3bよりも小さい。また、
図5の例では、第二方向において、光出射面3aの長さは光入射面3bの長さよりも小さく、第一方向においては、光出射面3aの長さと光入射面3bの長さは同じである。
【0033】
透光性部材3の光出射面3aが四角形である場合、直方体、又は、その四角形の対向する辺において鍔部を有する形状とすることができる。例えば、
図5に示す例では、第二方向に長い長方形の透光性部材3において、長辺には鍔部30が配置されており、短辺には鍔部は配置されていない。
【0034】
透光性部材3は、光拡散材及び/又は入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有していてもよい。透光性部材3は、例えば樹脂、ガラス、無機物等により構成される。蛍光体を含有する透光性部材3は、例えば、樹脂、ガラス、セラミック又は他の無機物に蛍光体を含有させたもの、あるいは、蛍光体の焼結体等が挙げられる。また、樹脂、ガラス又はセラミック等の成形体の表面に蛍光体を含有する層を備えるものでもよい。
【0035】
透光性部材3に含有させることができる蛍光体としては、発光素子1からの光によって励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)とすることができる。
[光学部材の製造方法]
【0036】
(遮光フレームを準備する工程)
まず、
図3、
図6に示すような、第一面5cと、第二面5dと、第一面5cと第二面5dとを貫通する開口部5aと、を有する遮光フレーム5を準備する。準備した遮光フレーム5を、例えば
図6に示すように、シート4の主面に載置する。遮光フレーム5は、予め所望の形状に加工された遮光フレーム5を準備し、複数の遮光フレーム5をシート4上に個々に配置してよいし、複数の遮光フレーム5が単位領域ごとに行方向及び/又は列方向に連結した遮光フレーム5を準備し、一括してシート4上に配置してもよい。あるいは、あらかじめシート上に配置された状態の遮光フレームを購入して準備してもよい。シート4は、耐熱性のものが好ましい。シート4は、基材と、基材の表面に粘着性を有する構造のものを用いることができる。シート4の基材としては、例えばポリイミドが挙げられる。
【0037】
(第一樹脂及び第二樹脂を配置する工程)
次に、
図4に示すように、遮光フレーム5の第二面5d上に第一樹脂9a及び第二樹脂9bを配置する。例えば
図7に示すように、遮光フレーム5の開口部を第一方向において挟んで位置する第一領域5e上から、例えばノズルNZを用いて未硬化の第一樹脂9aを配置する。同様に、未硬化の第二樹脂9bを配置する。このとき、第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二面5dの第二領域5fにおいて、開口部5aの輪郭と重なる位置に配置する
【0038】
第一樹脂9aの配置量は、次の透光性部材3を配置する工程において、透光性部材3と遮光フレーム5とが十分な強度で接合可能な量とすることが好ましい。例えば、第一樹脂9aは第二方向D2において開口部5aの長さの70%以上110%以下とすることができる。第一樹脂9aは第二方向D2において、1又は2以上で配置することができる。尚、第一樹脂9aを2以上に分けて配置する場合は、透光性部材3と接合する際に、押圧によって変形されて隣接する第一樹脂9aと一体化するようにそれぞれ近接した配置することが好ましい。また、発光装置100の光出射面となる透光性部材3の光出射面3aからの光の出射を妨げないため、透光性部材3の光出射面3aに第一樹脂9aが付着しない量とすることが好ましい。また、第一樹脂9aは、押圧により第一領域5eから第二領域5fまで広げることが好ましい。その際、第一樹脂9aは第二樹脂9bと接することが好ましい。また、第二方向における透光性部材3の長さが、開口部5aの長さよりも短い場合、開口部5aと透光性部材3の間の領域にも第一樹脂9aが配置されるように広げることが好ましい。
【0039】
未硬化の第一樹脂9aの粘度は、例えば5Pa・s以上15Pa・s以下であってよい。これにより、第一樹脂9aの透光性部材3と開口部5aとの間の空間に流動させ易くすることができる。さらに、透光性部材3を押圧する際の荷重、押圧する時間等を調整することで、透光性部材3の光出射面3aへの第一樹脂の濡れ広がりを低減することができる。
【0040】
第二樹脂9bは、
図5に示すように、遮光フレーム5の開口部5aを第二方向D2において挟んで位置する第二領域5f上に配置する。特に、開口部5aの輪郭と重なる位置に少なくとも第二樹脂9bが配置されるようにする。第二樹脂9bも、第一樹脂9bと同様にノズルNZを用いて未硬化の第二樹脂9bを配置することができる。第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二領域5fであって、平面視において透光性部材3と重なる位置に配置することができる。この場合、第二樹脂9bは、遮光フレーム5の開口部5aの位置を規定する部材として機能するほか、遮光フレーム5と透光性部材3との接合部材として機能する。また第二樹脂9bは、遮光フレーム5の第二領域5fであって、平面視において透光性部材3と重ならない位置に配置されてもよい。この場合、第二樹脂9bは接合部材としては寄与せず、遮光フレーム5の開口部5aの位置を規定する部材として機能する。
【0041】
第一樹脂9aと第二樹脂9bとは、どちらを先に配置してもよい。また、第一樹脂9aと第二樹脂9bとは同時に配置してもよい。また、第二樹脂9bが、遮光フレーム5と透光性部材3との接合に寄与しない場合は、第一樹脂9aを硬化させる工程の前に、第二樹脂9bを硬化させる工程を備えていてもよい。
【0042】
(透光性部材を配置する工程)
次に、透光性部材3を配置する。この工程は、第一樹脂9aに透光性部材3を接触させる工程と、第一樹脂9aを硬化させて透光性部材3を遮光フレーム5に固定させる工程と、を含む。まず、
図8に示すように、遮光フレーム5上に配置された第一樹脂9aに透光性部材3を接触させる。これにより、
図9に示すように、遮光フレーム5の開口部5aを規定する側面と透光性部材3との間に第一樹脂9aを流入させることができる。このとき、第一樹脂9aは第二樹脂9bと接するまで流動させることが好ましい。また、第一樹脂9aと第二樹脂9bとが同じ材料の場合、未硬化の状態で両者を接触させてもよい。その後、加熱により第一樹脂9aを硬化させることで、
図2等に示すような光学部材60を得ることができる。第一樹脂9aと第二樹脂9bが同じ材料の場合、未硬化の状態でこれらを接触させることで、硬化後において境界の無い一体化されたものとすることができる。また、第一樹脂9aと第二樹脂9bとを同じ材料を用いていた場合であっても、硬化のタイミング等によっては両者の間に境界が観察される場合がある。加熱温度としては、例えば、145℃以上155℃以下が挙げられる。
【0043】
透光性部材3を載置する際には、
図8等に示すコレット40などの吸着手段を用いてよい。さらに、透光性部材3を第一樹脂上に載置した後、吸着手段等で透光性部材3を押圧してもよい。これにより、
図10に示すように、透光性部材3の位置を押し下げることができ、遮光フレーム5と透光性部材3の高さを調整することができる。
【0044】
(検査工程)
検査工程として、以下の工程を含む。遮光フレーム5の開口部5aの一部の輪郭の位置を認識する工程と、透光性部材3の輪郭の位置を認識する工程と、認識された開口部5aの輪郭の位置と、透光性部材3の輪郭の位置とに基づいて、遮光フレーム5上に載置された透光性部材3の相対位置の適否を判定する工程と、を含む。
【0045】
これらの検査工程は、連続して行ってもよいし、間に別の工程を挟んで行ってもよい。例えば、遮光フレーム5の開口部5aの一部の輪郭の位置を認識する工程は、第一樹脂9a及び第二樹脂9bを遮光フレーム5の第二面5dに配置する工程の前に行うことができる。すなわち、遮光フレーム5を準備する工程において行うことができる。
【0046】
また、遮光フレーム5の開口部5aの一部の輪郭の位置を認識する工程は、例えば、
図3に示すように、遮光フレーム5のみの状態、すなわち、遮光フレーム5に第一樹脂9a、第二樹脂9b、及び透光性部材3を配置する前に行うことができる。具体的には、遮光フレーム5の第二面5d側から照明光を照射し、撮像して画像処理により開口部5aの少なくとも一部の輪郭の位置を認識することができる。照明光は、好ましくは白色光とする。
【0047】
図11は、遮光フレーム5のみを撮像した図を示しており、画像処理により遮光フレーム5の開口部5aを認識している。この図において、認識された開口部5aの輪郭を一点鎖線で示している。ただし、この段階で遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置を認識していた場合であっても、これよりも後の工程において、開口部5aの輪郭と重なる位置に配置された第二樹脂9bの輪郭を、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の一部として認識する工程を行うことが必須である。そのため、遮光フレーム5を準備する工程において開口部5aの輪郭の位置を認識する工程は、開口部5aの形状が所望の形状であるかどうかを判定するための工程であってもよい。つまり、遮光フレーム5と透光性部材3との相対位置関係の適否を判定するための工程とは別の工程として行ってもよい。
【0048】
また、遮光フレーム5の開口部5aの一部の輪郭の位置を認識する工程は、
図4に示すように、遮光フレーム5の第一領域5eに第一樹脂9aが配置され、遮光フレーム5の第二領域5fに第二樹脂9bが配置されている状態で行うことができる。
【0049】
第二樹脂9bは、撮像された二値画像において、透光性部材5とコントラスト差が大きくなるように設定されている。そのため、画像認識に際して、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭として第二樹脂9bを認識することで、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置と透光性部材3の輪郭とを誤認識するおそれを低減することができる。
【0050】
例えば遮光フレーム5が金属製である場合、第二樹脂9bとして白色樹脂を配置することで、撮像時のコントラスト差が大きくなる。これにより、第二樹脂9bが配置された遮光フレーム5を透光性部材3と区別し易くなる。
【0051】
この段階で遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置を認識することは、例えば、これより後の工程において、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭のうち、第二領域5fにおける輪郭上に透光性部材3が配置される場合において有効である。
【0052】
また、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の一部の位置の認識は、第一樹脂9aを硬化させる工程の後に行うことができる。詳細には、遮光フレーム5と透光性部材3との間に配置した第一樹脂9aを硬化させて、遮光フレーム5と透光性部材3とを接合させた後に、遮光フレーム5の第二面5d側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により行うことができる。このような段階で遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置を確認できるのは、例えば、遮光フレーム5上に透光性部材3を配置した後においても、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭のうち、第二領域5fにおける輪郭上に透光性部材3が配置されないような構造であって、且つ、第二樹脂9bが透光性部材3と重ならない位置に配置されている構造の光学部材60において可能である。そして、このような場合は、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置、特に、開口部5aの輪郭であって第二樹脂9bが重なるように配置された部分における開口部5aの輪郭の位置と、透光性部材3の輪郭の位置とを同時に認識することができる。
【0053】
図12は、第一樹脂9aと第二樹脂9bを配置した遮光フレーム5に、透光性部材3を載置した直後(例えば、0.01秒~1秒程度)の光学部材60を、撮像した画像を示している。
図12に示すように、第二領域5fに配置した第二樹脂9bによって、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置を特定し易くすることができる。その結果、誤認識し易かった遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置と、透光性部材3の輪郭の位置とを正しく認識し易くできる。
図12の例では、認識された透光性部材3の輪郭の位置を、破線で示している。第一領域5eに配置された第二樹脂9bは、例えば、配置されてから2~5秒後、好ましくは2~3秒後には第二領域5fまで広がり、
図2に示すように透光性部材3の外周の全域にわたって配置される。
【0054】
尚、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置と透光性部材3の輪郭の位置を異なるタイミングで認識する場合は、先に認識しておいた遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置のデータと、後に認識した透光性部材3の輪郭の位置のデータとを照らし合わせて判定する。このように異なるタイミングで認識された位置データを用いることができるのは、それぞれの認識工程を同じシート上で行うこと、あるいは、同じアライメントマークを用いることなど、制限された条件下においての検査において行うことが必要である。
【0055】
遮光フレームの開口部5aの輪郭の位置(第二樹脂9bの輪郭の位置)と、透光性部材3の輪郭の位置とに基づいて、遮光フレーム5上に載置された透光性部材3の相対位置の適否を判定する。適否の判定は、遮光フレーム5の開口部5aの輪郭から特定される第一位置と、透光性部材3の輪郭から特定される第二位置とに基づいて行うことができる。例えば、開口部5aの輪郭に基づいて、遮光フレーム5の開口部5aの中心を第一位置として算出する。一方、透光性部材3の輪郭に基づいて、透光性部材3の中心を第二位置として認識する。そして第一位置と第二位置との距離を算出して、所定の基準値の範囲内であれば合格、範囲外であれば不合格として適否判定を行う。具体的には、
図11において認識された遮光フレーム5の開口部5aの中心と、同じ位置に遮光フレーム5を保持したまま、
図12において認識された、固定済みの透光性部材3の輪郭の中心とをそれぞれ演算して、これらが一致する、あるいは所定の範囲内に位置するか否かを判定する。このように、矩形状の遮光フレーム5上に載置された透光性部材3の相対位置を認識するにあたり、近接するため誤認識が生じ易い遮光フレーム5の開口部5aの輪郭の位置と透光性部材3の輪郭の位置とを、予め遮光フレーム5上に第二樹脂9bを配置しておくことでコントラスト差を増して識別し易くし、これにより位置認識精度の向上を図ることが可能となる。
【0056】
[発光装置]
以上のようにして、透光性部材4と遮光フレーム5とが所定の位置に配置された光学部材60を得ることができる。次にこのような光学部材60を発光素子1と組み合わせた発光装置100について説明する。
図13~
図15に示すように、発光装置100は、発光素子1と、配線基板10と、光学部材60と、光反射部材20と、を備える。ここで透光性部材60は、
図1に示すように、配線基板10上に発光素子1を配置した集合体50上に配置される。
【0057】
発光素子1は、配線基板10上に配置される。
図13では、3個の発光素子1が配線基板10上に配置されている。発光素子の数はこれに限られず、要求される光量やサイズ仕様等に応じて2個以下としてもよいし、4個以上でもよい。各発光素子1は、上面と、上面の反対側の下面とを有する。
図14等では、上面を発光面とし、下面を実装面としている。
【0058】
発光素子1には、LEDやLD等の半導体発光素子が好適に利用できる。発光素子1は、発光部を備える半導体積層体と、電極と、を備える。半導体積層体の材料としては、例えば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等が挙げられる。発光素子1は、1μm~2000μmの大きさのものを用いることができ、50μm~100μmのものを用いることが好ましい。電極の材料は、公知のものを用いることができる。
【0059】
図14に示すように、発光素子1は、導電性接合部材11を介して配線基板10上に接合される。なお
図14では、発光素子1の正負の電極に接続される導電性接合部材11を簡略化して描いており、実際には、同一面側に配意された正負の電極それぞれに接続するように配置される。発光素子1の正負の電極がそれぞれ導電性接合部材11を介して基板10上に配置された正負の配線に接続される。
【0060】
配線基板10は、例えば、絶縁性の基材と、配線と、を備える。尚、発光装置は、配線基板10を備えなくてもよい。
発光装置は、光反射部材20を備えることができる。光反射部材20は、
図14に示すように配線基板10と発光素子1とを含む集合体50に、光学部材60を固定する接着材として機能することができる。光反射部材20は、発光素子1が発する光を反射させることができる。光反射部材20は、発光素子1の周囲を囲むように配置される。発光素子1の側面及び透光性部材3の側面を光反射部材20で被覆することにより光の取り出し効率を高くできる。
【0061】
光反射部材は、発光素子1からの光に対する反射率が60%以上、好ましくは80%又は90%以上である材料を用いることができる。
【0062】
光反射部材20を構成する母体の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができ、その樹脂からなる母材に光反射性物質が含有されている。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライト等から選択された少なくとも一種を用いることができる。また、透光性部材3が蛍光体を含有する場合は、光反射部材20にも蛍光体を含有させてよい。
【0063】
透光性部材3の光入射面3bは、発光素子1の上面と直接接していてもよく、あるいは接合部材13を介して発光素子1の上面と接続していてもよい。導光部材13は、
図14に示すように、発光素子1の側面の一部を被覆していてよく、あるいは、発光素子1の側面の全部を被覆してもよい。透光性部材3の光入射面3bの一部が発光素子1の上面に対向していないような場合、導光部材13は、発光素子1の上面と対向していない透光性部材3の一部を被覆していてもよい。なお、導光部材13は発光素子1と透光性部材3との間にも介在してもよい。
【0064】
導光部材13は、樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂から選択された少なくとも一種を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等からなる樹脂材料を用いることができる。
【0065】
遮光フレーム5は、平面視において、その外端が発光装置の外端と一致するように配置されてよい。また、遮光フレーム5の外周は発光装置の外端よりもの内側に位置するように配置されてもよい。
遮光フレーム5に配置された第一樹脂9a及び第二樹脂9bは、光学部材60を配線基板10に固定する際、光反射部材20に埋設される。このため第一樹脂9a及び第二樹脂9bは、光反射部材20と同じ材質とすることが好ましい。
【0066】
また発光装置100は、任意に、保護素子等の別の素子、電子部品等を有していてもよい。これらの素子及び電子部品は、光反射性部内に埋設されていることが好ましい。
【0067】
[発光装置の製造方法]
発光装置の製造方法の一例を、以下説明する。まず光学部材60と、集合体50とを準備する。集合体50は、発光素子1と、配線基板10を備える。光学部材60は、上述した光学部材の製造方法によって得ることができる。
【0068】
集合体50は、
図16に示すような、配線基板10上に発光素子1を配置が配置されたものを購入して準備することができる。あるいは、配線基板10上に発光素子1を配置する工程を経て準備することができる。次に、集合体50の発光素子1上に光学部材60を配置する。例えば、発光素子1上に透光性の接合部材を配置し、その上に光学部材60を配置し、接合部材を硬化することで発光素子と光学部材とを接合することができる。あるいは、透光性部材3と発光素子1との接合には、導光部材を用いることなく、圧着、焼結、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合等による直接接合法が用いられてもよい。
【0069】
次に、配線基板10上に光反射部材20を配置して、発光素子1と光学部材60の側面を被覆する。ここでは、光反射部材20を構成する樹脂を未硬化の状態で配置した後、硬化させることで光反射部材20を形成することができる。このようにして、
図14等に示すような発光装置100を得ることができる。
【0070】
[実施形態2]
以下、実施形態2に係る光学部材の製造方法について、主に実施形態1と異なる点について説明する。
【0071】
実施形態2では、照明光としてカラー照明を用いる。また、第二樹脂を用いず、第一樹脂のみを用いる。まず、第一樹脂9aを遮光フレーム5の第二面5dに配置する工程の前に、又は第一樹脂9aを硬化させる工程の後に、遮光フレーム5の第二面5d側から、第一照明光を照射して撮像し、画像処理により開口部5aの輪郭の位置を認識する。例えば、予め
図11に示すように、透光性部材3を配置する前の遮光フレーム5を、第一照明光を照射して撮像し、遮光フレーム5の開口部5aを認識する。この状態では、他の部材が存在しないことから誤認識の可能性も少ない。よって第一照明光は、白色光でもよいし、自然光でもよい。
【0072】
次に遮光フレーム5の第二面5d側から、カラーの第二照明光を照射して撮像し、画像処理により透光性部材3の輪郭の位置を認識する。例えば
図18に示すように、遮光フレーム5上に未硬化の第一樹脂9aを配置し、透光性部材3を載置して第一樹脂9aを硬化させた状態で、カラーの第二照明光を照射し、画像を撮像する。
【0073】
第二照明光は、例えば青色の照明光とする。
【0074】
また、第二照明光は、青色に限られず、緑色等、白色以外の色の照明光を利用できる。照明光は、遮光フレーム5、第一樹脂9a、又は透光性部材3の色、材質等に応じて選択される。一方で第一照明光は、上述の通りどのような色でも比較的高い精度で遮光フレーム5の開口部5aを認識できる。したがって、第一照明光を第二照明光と同じ色度の光としてもよい。これにより、異なる色度の光源を準備する必要をなくし、検査に要する設備を共通化できる利点が得られる。
【0075】
以上のようにして認識された開口部5aの輪郭の位置と、透光性部材3の輪郭の位置とに基づいて、遮光フレーム5上に載置された透光性部材3の相対位置の適否を判定する。これにより、矩形状の遮光フレーム5上に載置された透光性部材3の相対位置を認識するにあたり、近接するため誤認識が生じ易い遮光フレーム5の開口部5aの輪郭と透光性部材3の輪郭とを、カラーの照明光を照射して行うことによりコントラスト差を強調して識別し易くし、もって位置認識精度の向上を図ることが可能となる。
【0076】
また検査工程の判定結果に従い、遮光フレーム5と透光性部材3の相対位置が不適と判定された光学部材を、排除する工程を含めてもよいことはいうまでもない。
【0077】
本発明は、以下のような態様で実施することもできる。
【0078】
[項1]
透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームと、を準備する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置し、前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を前記第一方向に直交する第二方向において挟んだ両側に前記開口部の輪郭と重なる位置に第二樹脂を配置する工程と、
少なくとも前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、
少なくとも前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を含む光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂及び前記第二樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は少なくとも前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の少なくとも一部の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置を認識する工程の前、後又は同時に、前記遮光フレームの前記第二面側から、照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【0079】
[項2]
項1に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第二樹脂は、前記第一樹脂と同じ材料である、光学部材の製造方法。
【0080】
[項3]
項1又は2に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第二樹脂は、蛍光体を含む光学部材の製造方法。
【0081】
[項4]
透光性部材と、第一面と前記第一面の反対側の第二面とを貫通する開口部を有する遮光フレームを準備する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面であって、前記開口部を第一方向において挟んだ両側の領域に第一樹脂を配置する工程と、
前記第一樹脂に、前記透光性部材を接触させる工程と、
前記第一樹脂を硬化させて、前記透光性部材を前記遮光フレームに固定する工程と、を含む光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂を前記遮光フレームの前記第二面に配置する工程の前に、又は前記第一樹脂を硬化させる工程の後に、前記遮光フレームの前記第二面側から、第一照明光を照射して撮像し、画像処理により前記開口部の輪郭の位置を認識する工程と、
前記遮光フレームの前記第二面側から、カラーの第二照明光を照射して撮像し、画像処理により前記透光性部材の輪郭の位置を認識する工程と、
前記開口部の輪郭の位置と、前記透光性部材の輪郭の位置とに基づいて、前記遮光フレーム上に載置された前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【0082】
[項5]
項1~4のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記開口部の輪郭の位置と前記透光性部材の輪郭の位置に基づいて、前記遮光フレームと前記透光性部材の相対位置の適否を判定する工程が、
前記開口部の輪郭に基づいて、前記遮光フレームの中心である第一位置を算出する工程と、
前記透光性部材の輪郭に基づいて、前記透光性部材の中心である第二位置を認識する工程と、
前記第一位置と第二位置との距離を算出して、所定の基準値と比較することにより合否を判定する工程と、
を含む光学部材の製造方法。
【0083】
[項6]
項1~5のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記遮光フレームの開口部の形状は上面視において矩形であり、前記透光性部材の形状は上面視において矩形である光学部材の製造方法。
【0084】
[項7]
項1~6のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記遮光フレームが金属製である光学部材の製造方法。
【0085】
[項8]
項1~7のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第一照明光と第二照明光が、同じ色度である光学部材の製造方法。
【0086】
[項9]
項1~8のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記透光性部材は、蛍光体を含む光学部材の製造方法。
【0087】
[項10]
項1~9のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第一樹脂は、白色の樹脂である光学部材の製造方法。
【0088】
[項11]
項1~10のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、さらに、
前記開口部の輪郭の位置と前記透光性部材の輪郭の位置に基づく前記遮光フレームと透光性部材の相対位置の適否の判定結果が不適となった光学部材を、排除する工程を含む光学部材の製造方法。
【0089】
[項12]
発光装置の製造方法であって、
項1~11のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法により、前記光学部材を準備する工程と、
発光素子を載置した配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上に、前記発光素子を覆うように、前記光学部材を配置する工程と、
を含んでなる発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の光学部材の製造方法及び発光装置の製造方法は、車載用の光源等に好適に利用できる。例えばディスプレイや、スマートフォンやタブレット、車載用のモニタ、あるいはHMDやスマートグラスの画面等のスクリーン等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0091】
100、300…発光装置
1…発光素子
3…透光性部材;3a…透光性部材の光出射面;3b…透光性部材の光入射面、30…透光性部材の鍔部
4…シート
5、5A…遮光フレーム;5a…開口部;5c…第一面;5d…第二面;5e…第一領域;5f…第二領域;5g…幅広部;5h…幅狭部5h
9a…第一樹脂
9b…第二樹脂;9b1…白色樹脂;9b2…蛍光体を含む樹脂
10…配線基板
11…導電性接合部材
13…導光部材
20…光反射部材
40…コレット
50…集合体
60…光学部材
NZ…樹脂吐出装置のノズル