(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】発光装置及びそれを備えた灯具
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240510BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V9/38
(21)【出願番号】P 2023069356
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2019170972の分割
【原出願日】2019-09-20
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2018184537
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 多茂
(72)【発明者】
【氏名】涌井 貞一
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168795(JP,A)
【文献】特開2017-183522(JP,A)
【文献】特表2016-515770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、
480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第一蛍光体、
510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を
有する第二蛍光体、及び
590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第三蛍光体を含む蛍光部材と、を備えた発光装置であって、
発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたときに480nm以上680nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI
1
0.3、発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたときに480nm以上580nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI
2
0.3、発光装置の発光スペクトルにおいて前記発光素子の発光強度を1として発光スペクトルの480nmにおける発光強度をI
480としたとき、発光装置の相関色温度が以下の範囲である場合に、I
1
0.3、I
2
0.3及びI
480が、それぞれ以下の条件を満たし、
発光装置の発光スペクトルにおいて、535nmにおける発光強度をI
Aとし、510nmにおける発光強度と560nmにおける発光強度の平均をI
Bとしたときに、I
Bに対するI
Aの比(I
A/I
B)が0.80以上0.96以下であることを特徴とする発光装置。
相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、前記I
1
0.3が177nm以上200nm以下、前記I
2
0.3が80nm以上100nm以下、前記発光スペクトルの480nmにおける発光強度I
480が0.30以上0.80以下、
相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、前記I
1
0.3が183nm以上200nm以下、前記I
2
0.3が86nm以上100nm以下、前記I
480が0.25以上0.70以下、
相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、前記I
1
0.3が173nm以上200nm以下、前記I
2
0.3が90nm以上100nm以下、前記I
480が0.20以上0.60以下、
相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、前記I
1
0.3が140nm以上180nm以下、前記I
2
0.3が85nm以上100nm以下、前記I
480が0.17以上0.60以下、
相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、前記I
1
0.3が110nm以上160nm以下、前記I
2
0.3が81nm以上100nm以下、前記I
480が0.16以上0.50以下である。
【請求項2】
前記第一蛍光体の発光ピーク波長が485nm以上518nm以下の範囲にあり、前記第一蛍光体の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が30nm以上80nm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第二蛍光体の発光ピーク波長が510nm以上550nm以下の範囲にあり、前記第二蛍光体の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が20nm以上120nm以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第三蛍光体の発光ピーク波長が590nm以上630nm以下の範囲にあり、前記第三蛍光体の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が5nm以上100nm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子の440nm以上470nm以下の範囲の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が30nm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
平均演色評価数Raが80以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
特殊演色評価数R9が-20以上35以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第一蛍光体が、下記式(1A)及び下記式(1B)で表される組成を有する蛍光体から選ばれる少なくとも1種の蛍光体である、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
(Sr
1-vM
1
v)
4Al
14O
25:Eu (1A)
(式(1A)中、M
1は、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、vは、0≦v≦0.5を満たす数である。)
M
2
8MgSi
4O
16X
1
2:Eu (1B)
(式(1B)中、M
2はCa、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、X
1はF、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)
【請求項9】
前記第二蛍光体が、下記式(2A)で表される組成を有する蛍光体である、請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
(Ln
1-aCe
a)
3(Al
1-bGa
b)
5O
12 (2A)
(式(2A)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、bは、それぞれ、0.001≦a≦0.20、0≦b≦1.0を満たす数である。)
【請求項10】
前記第三蛍光体が、下記式(3A)、(3B)及び(3C)で表される組成を有する蛍光体から選ばれる少なくとも1種の蛍光体である、請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
(Ca
1-pSr
p)AlSiN
3:Eu (3A)
(式(3A)中、pは、0≦p≦1.0を満たす数である。)
(Ca
1-q-rSr
qBa
r)
2Si
5N
8:Eu (3B)
(式(3B)中、q及びrは、それぞれ、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、q+r≦1.0を満たす数である。)
M
4
kSi
12-(m+n)Al
m+nO
nN
16-n:Eu (3C)
(式(3C)中、M
4は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタニド元素(LaとCeを除く。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、k、m及びnは、それぞれ、0<k≦2.0、2.0≦m≦6.0、0≦n≦1.0、を満たす数である。)
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の発光装置を備えた灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びそれを備えた灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light emitting diode、以下、「LED」と呼ぶ。)のような発光素子を用いる発光装置として、青色発光の発光素子と黄色発光等の蛍光体とを用いる白色系の発光装置がよく知られている。このような発光装置は、一般照明、車載照明、ディスプレイ、液晶用バックライト等の幅広い分野で使用されている。LED照明の普及とともにLED照明に含まれるブルーライト(青色光)が人体に与える影響や人間のサーカディアンリズム(概日リズム;生体リズム)に着目した照明が注目されており、人の健康や心身反応への影響の観点からの製品開発が望まれている。特に照明環境下での視覚作業において疲労しにくく作業効率を改善することは、人の健康や仕事効率を向上する面で重要である。
【0003】
非特許文献1、2には、相対分光分布に標準比視感度V(λ)を乗じた分布を実効スペクトルとしてそのバンド幅(スペクトルの波長幅)が広い光の方が、ヒトの眼筋による焦点調節能力が高いことが報告されている。
【0004】
非特許文献3には、ヒトの眼が焦点を合わせやすい波長は通常は視感度のピークである555nm付近であることが報告されている。発光スペクトルにおける555nmを中心としたバンド幅(波長幅)が狭いと眼の調節力を低下させ、眼疲労につながる。つまり、555nmを中心とした発光スペクトルの480nmから680nmにおけるバンド幅(波長幅)が広い分光分布をもつ照明ほど人間の眼疲労は低減される。
【0005】
また、人間の眼疲労については、明所視だけでなく薄明視におけるグレアも懸念されている。グレアや眩しさについては、ヒトの網膜の光受容細胞として知られている錐体細胞のうち、S錐体への過度な刺激が原因になっていることに加え、M錐体の刺激も原因になり得る。非特許文献4には、ヒトの網膜の錐体細胞であるS錐体、M錐体、L錐体、内因性光感受性網膜神経節細胞であるipRGC(intrisically photosensitive retinal ganglion cell)(mRGC:melanopsin containing retinal ganglion cellとも呼ばれる)、及び杆体細胞の分光感度分布が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】Karan R. Aggarwala,「Accommodation to Monochromatic and White-Light Targets」Investigative Ophthalmology & Visual Science, vol.36, No.13, pp.2695-2705(1995)
【文献】Karan R. Aggarwala,「Spectral bandwidth and ocular accommodation」L. Opt. Soc. Am. A., vol.12 No.3, pp450-455(1995)
【文献】LN THIBOS,「Effect of ocular chromatic aberration on monocular visual performance」Optometry & Vision Science, vol.68, No.8, pp.599-607(1991)
【文献】Lucas,R.J,「Measuring and using light in the melanopsin age」TrendsNeurosci.,vol.37, No.1,pp.1-9(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記報告から555nmを中心とした発光スペクトルの480nmから680nmにおけるバンド幅が広い分光分布をもつ照明ほど人間の眼疲労は低減されると考えられる。また、人間の眼疲労を低減させ、視作業の安全性の面からも、明所視だけでなく薄明視におけるグレアや眩しさへの対策として、ヒトの光受容細胞の1つであるM錐体への過度な刺激の少ない照明も望まれている。しかしながら、555nmを中心とするバンド幅(波長幅)を広くすると光束が低下する。そのため、ヒトの眼疲労の低減のためのバンド幅(波長幅)を広くすることと、発光効率を高くすることを両立した発光装置を提供することは難しい。
そこで、本発明の一態様は、人間の眼疲労を低減し視覚作業に優れた発光スペクトルを有する発光装置及びそれを備えた灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を包含する。
440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、
480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第一蛍光体、
510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を有し、CIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下である第二蛍光体、及び
590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第三蛍光体を含む蛍光部材と、を備えた発光装置であって、
全蛍光体の合計量に対する前記第一蛍光体の含有量(質量%)をMP1、全蛍光体の合計量に対する前記第二蛍光体の含有量(質量%)をMP2、発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたとき480nm以上680nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI1
0.3、発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたときに480nm以上580nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI2
0.3としたとき、発光装置の相関色温度が以下の範囲である場合に、前記MP1、MP2、I1
0.3及びI2
0.3、それぞれ以下の条件を満たすことを特徴とする発光装置。
相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上90質量%以下、前記I1
0.3が177nm以上200nm以下、前記I2
0.3が80nm以上100nm以下、
相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上90質量%以下、前記I1
0.3が183nm以上200nm以下、前記I2
0.3が86nm以上100nm以下、
相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、前記MP1が5質量%以上65質量%以下、前記MP2が30質量%以上85質量%以下、前記I1
0.3が173nm以上200nm以下、前記I2
0.3が90nm以上100nm以下、
相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上80質量%以下、前記I1
0.3が140nm以上180nm以下、前記I2
0.3が85nm以上100nm以下、
相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上80質量%以下、前記I1
0.3が110nm以上160nm以下、前記I2
0.3が81nm以上100nm以下である。
【0009】
本発明の第二の態様は、前記発光装置を備えた灯具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人間の眼疲労を低減し視覚作業に優れた発光スペクトルを有する発光装置及びそれを備えた灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ヒトの光受容体であるS錐体、M錐体、L錐体、ipRGC及び杆体の分光感度分布を示す図である。
【
図2】
図2は、発光装置の一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1から3、比較例1、2及び11に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図4】
図4は、実施例4、5及び23、比較例1、2及び11に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図5】
図5は、実施例6から8、比較例3、4及び12に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図6】
図6は、実施例9、10及び24、比較例3、4及び12に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図7】
図7は、実施例11から13、比較例5、6及び13に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図8】
図8は、実施例14及び25、比較例5、6及び13に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図9】
図9は、実施例15から17、比較例7、8及び14に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図10】
図10は、実施例18及び26、比較例7、8及び14に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【
図11】
図11は、実施例19から22、比較例9及び10に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、発光装置及びそれを備えた灯具を例示するものであって、本発明は、以下に示す発光装置及びそれを備えた灯具に限定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、平均粒径は、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザーズ・ナンバー(Fisher Sub Sieve Sizer's No.)と呼ばれる数値であり、空気透過法を用いて測定される。発光素子、蛍光体の半値幅は、発光スペクトルにおいて最大発光強度の50%の発光強度を示す発光スペクトルの波長幅を意味する。
【0013】
発光装置
本発明の一実施形態に係る発光装置は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第一蛍光体、510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を有し、CIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下である第二蛍光体、及び590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第三蛍光体を含む蛍光部材とを備え、全蛍光体の合計量に対する前記第一蛍光体の含有量(質量%)をMP1、全蛍光体の合計量に対する前記第二蛍光体の含有量(質量%)をMP2、発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたとき480nm以上680nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI1
0.3(以下、単に「I1
0.3」又は「波長幅I1
0.3」という場合がある。)としたとき、発光装置の相関色温度が以下(1)から(5)の範囲である場合に、前記MP1、MP2及びI1
0.3が、それぞれ以下(1)から(5)の条件を満たす。
(1)相関色温度が2000K以上2800K未満の場合、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上90質量%以下、前記I1
0.3が177nm以上200nm以下、好ましくは177nm以上190nm以下、より好ましくは177nm以上183nm以下、
(2)相関色温度が2800K以上3500K未満の場合、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上90質量%以下、前記I1
0.3が183nm以上200nm以下、好ましくは184nm以上200nm以下、より好ましくは185nm以上200nm以下、
(3)相関色温度が3500K以上4500K未満の場合、前記MP1が5質量%以上65質量%以下、前記MP2が30質量%以上85質量%以下、前記I1
0.3が173nm以上200nm以下、好ましくは175nm以上200nm以下、より好ましくは177nm以上200nm以下、
(4)相関色温度が4500K以上5700K未満の場合、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上80質量%以下、前記I1
0.3が140nm以上180nm以下、好ましくは143nm以上180nm以下、より好ましくは149nm以上180nm以下、
(5)相関色温度が5700K以上7200K以下の場合、前記MP1が5質量%以上50質量%以下、前記MP2が40質量%以上80質量%以下、前記I1
0.3が110nm以上160nm以下、好ましくは130nm以上159nm以下、より好ましくは135nm以上159nm以下。
【0014】
発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたときの480nm以上680nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅I1
0.3が、発光装置の発する光の相関色温度に応じて、所定の範囲となるように波長幅が広がっている。前記発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、555nmを中心とした480nm以上680nm以下の範囲内における波長幅I1
0.3が広がることにより、この発光装置の照明下における人間の眼疲労を低減させ、人間の視覚作業を効率的に行うことができる。また、このように発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、波長幅I1
0.3を広げた場合であっても、発光装置から発せられる光束の低減を抑制し、高い発光効率を維持することができる。
【0015】
発光装置の発光スペクトルにおいて発光強度の最大値を1としたとき480nm以上580nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)をI2
0.3(以下、単に「I2
0.3」又は「波長幅I2
0.3」という場合がある。)としたとき、発光装置の相関色温度が以下(6)から(10)の範囲である場合に、前記I2
0.3が、それぞれ以下(6)から(10)の条件を満たすことが好ましい。
(6)相関色温度が2000K以上2800K未満の場合、前記I2
0.3が80nm以上100nm以下、好ましくは82nm以上100nm以下、より好ましくは84nm以上100nm以下、
(7)相関色温度が2800K以上3500K未満の場合、前記I2
0.3が86nm以上100nm以下、好ましくは90nm以上100nm以下、より好ましくは92nm以上100nm以下、
(8)相関色温度が3500K以上4500K未満の場合、前記I2
0.3が90nm以上100nm以下、好ましくは91nm以上100nm以下、より好ましくは92nm以上100nm以下、
(9)相関色温度が4500K以上5700K未満の場合、前記I2
0.3が85nm以上100nm以下、好ましくは86nm以上100nm以下、より好ましくは90nm以上100nm以下、
(10)相関色温度が5700K以上7200K以下の場合、前記I2
0.3が81nm以上100nm以下、好ましくは85nm以上100nm以下、より好ましくは90nm以上100nm以下。
【0016】
発光装置の発光スペクトルにおいて、発光強度の最大値を1としたときの480nm以上580nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅I2
0.3が、発光装置の発する光の相関色温度に応じて、所定の範囲となるように波長幅が広がっている。前記発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、特にヒトの眼が焦点を合わせやすい、通常の視感度のピークである555nmに近い480nm以上580nm以下の範囲内における波長幅I2
0.3が広がることにより、この発光装置の照明下における人間の眼疲労をより低減させ、人間の視覚作業を効率的に行うことができる。また、このように発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、波長幅I2
0.3が広がった場合であっても、発光装置から発せられる光束の低減を抑制し、高い発光効率を維持することができる。
【0017】
発光装置の発光スペクトルにおいて前記発光素子の発光強度を1としたときの発光スペクトルの480nmにおける発光強度をI480(以下、単に「I480」又は「強度比I480」という場合がある。)したとき、発光装置の相関色温度が以下(11)から(15)の範囲である場合に、前記I480が、それぞれ以下(11)から(15)の条件を満たすことが好ましい。
(11)相関色温度が2000K以上2800K未満の場合、前記I480が好ましくは0.30以上0.80以下、より好ましくは0.35以上0.75以下、さらに好ましくは0.40以上0.70以下、
(12)相関色温度が2800K以上3500K未満の場合、前記I480が好ましくは0.25以上0.70以下、より好ましくは0.30以上0.70以下、さらに好ましくは0.40以上0.70以下
(13)相関色温度が3500K以上4500K未満の場合、前記I480が好ましくは0.20以上0.60以下、より好ましくは0.30以上0.55以下、さらに好ましくは0.35以上0.55以下、
(14)相関色温度が4500K以上5700K未満の場合、前記I480が好ましくは0.17以上0.60以下、より好ましくは0.20以上0.55以下、さらに好ましくは0.25以上0.50以下
(15)相関色温度が5700K以上7200K以下の場合、前記I480が好ましくは0.16以上0.50以下、より好ましくは0.20以上0.45以下、さらに好ましくは0.25以上0.40以下。
【0018】
発光装置の発光スペクトルにおいて、前記発光素子の発光強度を1としたときの発光スペクトルの強度比I480が、発光装置の発する光の相関色温度に応じて、所定の範囲の発光強度となるように、発光強度を高くしている。前記発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480を高くすることで、グレアや眩しさの原因となっている、ヒトの光受容細胞の1つであるS錐体に作用する440nm付近の波長域に近い青色光を発する発光素子の発光強度を低くし、グレアや眩しさによる人間の眼疲労を低減することができる。また、前記発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480を高くすることで、480nmの波長域の光に影響を受けるヒトの光受容細胞の1つであるipRGCへの刺激を調整することができ、その結果、視覚作業中の人間を覚醒し、集中力を維持させる効果を併せ持つ。さらに、発光スペクトルにおける青緑色成分が多くなり、例えば人間の加齢に伴う青色の識別性の低下を補うことが可能となる発光装置を構成することができる。
【0019】
図1は、ヒトの光受容細胞である、S錐体(S cone)、M錐体(M cone)、L錐体(L
cone)、内因性光感受性網膜神経節細胞であるipRGC、及び杆体細胞(Rod)の各細胞の波長(Wavelength)(nm)に対する分光感度分布(α-opic sensitivity)を示す。S錐体は、440nm付近に感度のピーク波長があり、M錐体は、535nm付近に感度のピーク波長があり、L錐体は、565nm付近に感度のピーク波長がある。ipRGCは、光刺激に対して神経応答し、480nm付近に感度のピーク波長がある。
【0020】
発光装置の発光スペクトルにおいて、535nmにおける発光強度をIAとし、510nmにおける発光強度と560nmにおける発光強度の平均をIBとした場合、IBに対するIAの比(IA/IB)が(以下、単に「IA/IB」又は「比IA/IB」という場合がある。)、好ましくは0.80以上0.96以下、より好ましくは0.82以上0.96以下、さらに好ましくは0.83以上0.95以下である。510nmにおける発光強度と560nmにおける発光強度の平均は、510nmにおける発光強度と560nmにおける発光強度の和の2分の1である。
【0021】
発光装置の発光スペクトルにおいて、比IA/IBを0.80以上0.96以下の範囲にすることによって、ヒトの光受容細胞のM錐体に作用する535nm付近の波長域の緑色光の発光強度を所定の範囲とし、M錐体への過度の刺激を低減し、明所視だけではなく薄明視におけるグレアや眩しさによる人間の眼疲労をより低減することができる。
【0022】
本発明の一実施形態の発光装置を、図面に基づき説明する。
図2に示す発光装置100は、表面実装型発光装置の一例である。発光装置100は、可視光の短波長側(例えば、380nm以上485nm以下の範囲)の光を発し、発光ピーク波長が440nm以上470nm以下の範囲内にある発光素子10と、発光素子10を配置する成形体40と、を備える。成形体40は、第1のリード20及び第2のリード30と、樹脂部42とが一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が配置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1のリード20及び第2のリード30とワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は、例えば、蛍光体70として第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の少なくとも3種の蛍光体と樹脂とを含有してなる。
【0023】
蛍光部材50は、発光素子10が発する光を波長変換するだけではなく、外部環境から発光素子10を保護するための部材としても機能する。
図2では、蛍光体70は蛍光部材50中で偏在している。このように発光素子10に接近して蛍光体70を配置することにより、発光素子10からの光を効率よく波長変換することができ、発光効率が高い発光装置とできる。なお、蛍光体70を含む蛍光部材50と、発光素子10との配置は、それらを接近して配置させる形態に限定されることなく、蛍光体70への熱の影響を考慮して、蛍光部材50中で発光素子10と、蛍光体70との間隔を空けて配置することもできる。また蛍光体70を蛍光部材50の全体にほぼ均一の割合で混合することによって、色ムラがより抑制された光を得るようにすることもできる。
【0024】
また
図2では、蛍光体70は、第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73が混合されて構成されている。なお、第三蛍光体73上に第二蛍光体72、さらにその上に第一蛍光体71が配置されてもよく、又は、第三蛍光体73と第二蛍光体72の上に第一蛍光体71が配置されてもよく、第一蛍光体71と第二蛍光体72と第三蛍光体73は任意の配置で構成されていてもよい。
【0025】
発光素子10
発光素子10は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する。グレアや眩しさの抑制や蛍光体の励起スペクトルの観点から、発光素子10の発光ピーク波長は、440nm以上460nm以下の範囲にあることが好ましく、さらに440nm以上455nm以下であることが好ましい。この範囲に発光ピーク波長を有する発光素子10の光の一部を蛍光体70の励起光として用い、発光素子10の光の一部を外部に放射される光の一部として有効に利用することができ、発光効率が高い発光装置を得ることができる。発光素子の発光ピーク波長は、近紫外領域である380nm以下の波長よりも長波側にあり、紫外線の成分が少ないため、光源として人体への安全性にも優れる。発光素子10の発光スペクトルの半値幅は、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。発光素子10として、例えば、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、ここで、X及びYは、0≦X、0≦Y、X+Y≦1を満たす。)を用いた半導体発光素子を用いることが好ましい。これにより、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
【0026】
蛍光部材50
蛍光部材50は、蛍光体70と少なくとも樹脂とを含む。蛍光部材50は、発光素子10から発せられる光により、480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第一蛍光体71と、510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を有し、CIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下である第二蛍光体72、及び590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第三蛍光体73を含む。蛍光部材50は、必要に応じて第一蛍光体、第二蛍光体、第三蛍光体以外のその他の蛍光体を含んでいてもよい。
【0027】
第一蛍光体71
第一蛍光体71は、発光素子10から発せられた光により励起され、480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する。第一蛍光体71は、発光素子10から発せられた光による発光ピーク波長が、485nm以上516nm以下の範囲にあることが好ましい。第一蛍光体71の発光スペクトルにおける半値幅は、30nm以上、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上であり、80nm以下、好ましくは70nm以下である。発光ピーク波長が480nm以上518nm以下の範囲にあり、発光スペクトルにおける半値幅が30nm以上80nm以下の範囲である第一蛍光体は、発光素子からの光によって励起される発光強度を高くすることができる。
【0028】
第一蛍光体71は、380nm以上435nm以下の範囲においてリン酸水素カルシウムの反射率に対する相対反射率が例えば30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは16%以下である。また相対反射率の下限は、例えば2%以上である。第一蛍光体71の相対反射率が30%以下であることで、波長435nm以下の光の少なくとも一部が効率的に第一蛍光体71に吸収され、網膜傷害のリスクが高いと言われる波長435nm以下の光が低減され、グレアの原因となる440nm付近の光を抑制した発光装置を構成することができる。ここで、第一蛍光体71の相対反射率は、リン酸水素カルシウム(CaHPO4、平均粒径2.7μm)の380nm以上435nm以下の各波長における分光反射率を100%とした場合の第一蛍光体71の分光反射率として測定される。また、相対反射率が30%以下であるとは、380nm以上435nm以下の範囲における相対反射率の最大値が30%以下であることを意味する。
【0029】
第一蛍光体71は、発光装置の発光スペクトルにおいて所望の発光強度が得られ、網膜傷害やグレアを低減する発光スペクトルを得る観点から、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体及びアルカリ土類金属ハロシリケート蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体は、例えば、ストロンチウムを少なくとも含み、ユウロピウムで賦活される蛍光体であり、例えば、下記式(1A)で表される組成を有する。またアルカリ土類金属ハロシリケート蛍光体は例えば、カルシウムと塩素を少なくとも含み、ユウロピウムで賦活される蛍光体であり、例えば、下記式(1B)で表される組成を有する。第一蛍光体71は、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0030】
第一蛍光体71は、下記式(1A)で表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体及び下記式(1B)で表される組成を有するアルカリ土類金属ハロシリケート蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0031】
(Sr1-vM1
v)4Al14O25:Eu (1A)
式(1A)中、M1は、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、vは、0≦v≦0.5を満たす数である。
【0032】
M2
8MgSi4O16X1
2:Eu (1B)
式(1B)中、M2はCa、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、X1はF、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
【0033】
第一蛍光体71の平均粒径は、例えば3μm以上40μm以下であり、好ましくは5μm以上30μm以下である。平均粒径を下限値以上とすることにより、発光素子10から発せられた光により励起された第一蛍光体の発光強度を大きくすることができる。平均粒径を上限値以下とすることにより、発光装置の製造工程における作業性を向上することができる。
【0034】
蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1は、目的とする相関色温度によって変化するが、第一蛍光体と第二蛍光体と第三蛍光体の総量(以下、単に「蛍光体総量」ともいう)に対して、例えば5質量%以上70質量%以下であり、好ましくは5質量%以上65質量%以下である。蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1が前記範囲内であると、発光素子と、第一蛍光体と、第二蛍光体と、第三蛍光体とを含む発光装置の発光スペクトルにおいて、波長幅I1
0.3が所定の範囲となり、また、波長幅I2
0.3所定の範囲となるように波長幅を広げることができる。また、蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1が前記範囲内であると、発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480が高くなるように調整することができる。さらに、蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1が前記範囲内であると、発光装置の発光スペクトルにおいて、M錐体に作用する535nm付近の光に関して、比IA/IBが0.80以上0.96以下の範囲になるように調整することができる。
【0035】
蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1は、発光装置の相関色温度に応じて異なり、発光装置による照明下での人間の眼疲労が低減され、視覚作業性に優れた発光装置とするために、発光装置が発する混色光の相関色温度によって、蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1が以下の範囲である。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第一蛍光体の含有量MP1は、蛍光体総量に対して、5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは8質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上48質量%以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第一蛍光体の含有量MP1は、蛍光体総量に対して、5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは8質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上48質量%以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第一蛍光体の含有量MP1は、蛍光体総量に対して、5質量%以上65質量%以下であり、好ましくは8質量%以上64質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上63質量%以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第一蛍光体の含有量MP1は、蛍光体総量に対して、5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは8質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上48質量%以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第一蛍光体の含有量MP1は、蛍光体総量に対して、5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは8質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上48質量%以下である。
【0036】
第二蛍光体72
第二蛍光体72は、前記発光素子10から発せられた光により励起され、510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を有する。第二蛍光体72は、CIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下、好ましくは0.27以上0.39以下、より好ましくは0.27以上0.38以下である。第二蛍光体のCIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下の範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体と組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、前記波長幅I1
0.3が所定の範囲となり、I2
0.3が所定の範囲となるように波長幅を広げることができる。波長幅が広がることにより、発光装置の照明下における人間の眼疲労を低減させ、人間の視覚作業を効率的に行うことができる。また、第二蛍光体の色度座標におけるx値が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480が高くなるように調整することができ、480nm付近にピーク波長があるヒトの光受容細胞であるipRGCへの刺激を調整し、視覚作業中の人間を覚醒し、集中力を維持させることができる。強度比I480を高くすることができると、発光スペクトルにおける青緑色成分が多くなり、人間の加齢に伴う青色の識別性の低下を補うことが可能となる。さらに第二蛍光体の色度座標におけるx値が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、比IA/IBが0.80以上0.96以下になるように調整することができ、錐体への過度の刺激を低減して、明所視だけではなく薄明視におけるグレアや眩しさを低減し、人間の眼疲労をより低減することができる。
【0037】
第二蛍光体72は、前記発光素子10から発せられた光による発光ピーク波長が、510nm以上590nm未満の範囲であり、好ましくは510nm以上550nm以下の範囲である。第二蛍光体72の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば20nm以上、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上であり、また例えば120nm以下、好ましくは110nm以下、より好ましは105nm以下である。発光ピーク波長が510nm以上590nm未満の範囲にあり、発光スペクトルにおける半値幅が20nm以上120nm以下である第二蛍光体は、発光素子からの光によって励起される発光強度を高くすることができる。
【0038】
第二蛍光体72は、CIE1931の色度座標のx値が前記範囲内であり、発光装置の発光スペクトルにおいて所望の発光強度が得られ、網膜傷害やグレアを低減する発光スペクトルを得る観点から、例えばβサイアロン蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体、スカンジウム系蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体及びランタノイドケイ窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。第二蛍光体72は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0039】
第二蛍光体72は、下記式(2A)で表される組成を有するアルミン酸塩蛍光体であることが好ましい。
【0040】
(Ln1-aCea)3(Al1-bGab)5O12 (2A)
式(2A)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、bは、それぞれ、0.001≦a≦0.20、0≦b≦1.0を満たす数である。
【0041】
第二蛍光体72は、下記式(2B)で表される組成を有するβサイアロン蛍光体、下記式(2C)又は(2D)で表される組成を有する硫化物蛍光体、下記式(2E)で表される組成を有するスカンジウム系蛍光体、下記式(2F)又は(2G)で表される組成を有するアルカリ土類金属シリケート蛍光体、及び、下記式(2H)で表される組成を有するランタノイドケイ窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0042】
Si6-eAleOeN8-e:Eu (0<e≦4.2) (2B)
(Sr,M3)Ga2S4:Eu (2C)
(Sr1-f-gM3
fEug)Ga2S4 (2D)
式(2C)又は(2D)中、M3は、Be、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表す。式(2D)中、f及びgは0.03≦f≦0.25、0≦g<0.97、f+g<1を満たす数である。
(Ca,Sr)Sc2O4:Ce (2E)
(Ca,Sr)3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce (2F)
(Ca,Sr,Ba)2SiO4:Eu (2G)
(La,Y,Gd)3Si6N11:Ce (2H)
本明細書において、組成式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これら複数の元素のうち少なくとも一種の元素を組成中に含有していることを意味する。組成式中のカンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、組成中にカンマで区切られた複数の元素から選ばれる少なくとも一種の元素を含み、前記複数の元素のから二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。本明細書において、蛍光体の組成を表す式中、コロン(:)の前は母体結晶を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。
【0043】
第二蛍光体72の平均粒径は、例えば1μm以上40μm以下であり、好ましくは5μm以上30μm以下である。平均粒径が上記下限値以上であることにより、発光素子10から発せられた光により励起された第二蛍光体の発光強度を大きくすることができる。また、平均粒径を上記上限値以下であることにより、発光装置の製造工程における作業性を向上させることができる。
【0044】
蛍光部材50における第二蛍光体の含有量MP2は、目的とする相関色温度によって変化するが、蛍光体総量に対して、30質量%以上90質量%以下であり、好ましくは32質量%以上85質量%以下である。蛍光部材50における第二蛍光体の含有量MP2が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体と組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、前記波長幅I1
0.3が所定の範囲となり、I2
0.3が所定の範囲となるように波長幅を広げることができる。また、蛍光部材50における第二蛍光体の含有量がMP2が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480が高くなるように調整することができる。さらに、また、蛍光部材50における第二蛍光体の含有量がMP2が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、比IA/IBが0.80以上0.96以下の範囲にとなるように調整することができる。
【0045】
蛍光部材50における第二蛍光体の含有量MP2は、発光装置の相関色温度に応じて異なり、発光装置による照明下での人間の眼疲労が低減され、視覚作業性に優れた発光装置とするために、発光装置が発する混色光の相関色温度によって、蛍光部材50における第二蛍光体の含有量MP2が以下の範囲である。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第二蛍光体の含有量MP2は、蛍光体総量に対して、40質量%以上90質量%以下であり、好ましくは41質量%以上89質量%以下であり、より好ましくは42質量%以上88質量%以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第二蛍光体の含有量MP2は、蛍光体総量に対して、40質量%以上90質量%以下であり、好ましくは41質量%以上89質量%以下であり、より好ましくは42質量%以上88質量%以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第二蛍光体の含有量MP2は、蛍光体総量に対して、30質量%以上85質量%以下であり、好ましくは31質量%以上84質量%以下であり、より好ましくは32質量%以上82質量%以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第二蛍光体の含有量MP2は、蛍光体総量に対して、40質量%以上80質量%以下であり、好ましくは41質量%以上79質量%以下であり、より好ましくは42質量%以上78質量%以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第二蛍光体の含有量MP2は、蛍光体総量に対して例えば40質量%以上80質量%以下であり、好ましくは41質量%以上79質量%以下であり、より好ましくは42質量%以上78質量%以下である。
【0046】
第三蛍光体73
第三蛍光体73は、発光素子10から発せられた光により励起され、590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する。第三蛍光体73は、発光素子から発せられた光による発光ピーク波長が、590nm以上630nm以下の範囲にあることが好ましい。第三蛍光体73の発光スペクトルにおける半値幅は、5nm以上、好ましくは6nm以上、より好ましくは10nm以上、100nm以下、好ましくは95nm以下、より好ましくは90nm以下である。発光ピーク波長が590nm以上670nm以下の範囲にあり、発光スペクトルにおける半値幅が5nm以上100nm以下である第三蛍光体73は、発光素子からの光によって励起される発光強度を高くすることができる。
【0047】
第三蛍光体73は、発光装置の発光スペクトルにおいて所望の発光強度が得られ、網膜傷害やグレアを低減する発光スペクトルを得る観点から、例えばシリコンナイトライド系蛍光体、アルカリ土類金属シリコンナイトライド系蛍光体、αサイアロン蛍光体、フッ化物蛍光体、フルオロジャーマネート蛍光体、及び硫化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。第三蛍光体73は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0048】
第三蛍光体73は、下記式(3A)又は(3B)で表される組成を有するアルカリ土類金属シリコンナイトライド蛍光体、及び下記式(3C)で表される組成を有するαサイアロン蛍光体から選ばれる少なくとも1種の蛍光体であることが好ましい。
【0049】
(Ca1-pSrp)AlSiN3:Eu (3A)
式(3A)中、pは、0≦p≦1.0を満たす数である。
【0050】
(Ca1-q-rSrqBar)2Si5N8:Eu (3B)
式(3B)中、q及びrは、それぞれ、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、q+r≦1.0を満たす数である。
【0051】
M4
kSi12-(m+n)Alm+nOnN16-n:Eu (3C)
式(3C)中、M4は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタノイド元素(ただし、LaとCeを除く。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、k、m及びnは、それぞれ、0<k≦2.0、2.0≦m≦6.0、0≦n≦1.0、を満たす数である。
【0052】
第三蛍光体73は、下記式(3D)又は(3d)で表される組成を有するフッ化物蛍光体、下記式(3E)又は(3e)で表される組成を有するフルオロジャーマネート蛍光体、下記式(3F)又は(3f)で表される組成を有するシリコンナイトライド系蛍光体、下記式(3G)で表される組成を有する硫化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0053】
A2[M5F6]:Mn (3D)
A2[M5
1-a1Mna1F6] (3d)
式(3D)または式(3d)中、Aは、アルカリ金属及びアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、好ましくは少なくともカリウムを含む。M5は、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、好ましくはケイ素、ゲルマニウム及びチタニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む。a1は0.01<a1<0.2を満たす数である。
【0054】
(i-j)MgO・(j/2)Sc2O3・hMgF2・sCaF2・(1-t)GeO2・(t/2)M6
2O3:Mn (3E)
(i-j)MgO・(j/2)Sc2O3・hMgF2・sCaF2・(1-t)GeO2・(t/2)M6
2O3:uMn (3e)
式(3E)または式(3e)中、M6はAl、Ga及Inからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。i、j、h、s及びtはそれぞれ、2≦i≦4、0≦j<0.5、0<h<1.5、0≦s<1.5、0<t<0.5を満たす数である。uは、0<u<0.05を満たす数である。
【0055】
M7
b1M8
c1Al3-e1Sie1Nf1:M9 (3F)
M7
b1M8
c1M9
d1Al3-e1Sie1Nf1 (3f)
式(3F)または式(3f)中、M7は、Ca、Sr、Ba及びMgからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M8は、Li、Na及びKからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M9は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、b1、c1、d1、e1及びf1は、それぞれ0.80≦b1≦1.05、0.80≦c1≦1.05、0.001<d1≦0.1、0≦e1≦0.5、3.0≦f1≦5.0を満たす数である。
【0056】
(Ca,Sr)S:Eu (3G)
【0057】
第三蛍光体73の平均粒径は、例えば1μm以上40μm以下であり、好ましくは5μm以上30μm以下である。平均粒径が上記下限値以上であることにより、発光素子10から発せられた光により励起された第三蛍光体の発光強度を大きくすることができる。また、平均粒径を上記上限値以下であることにより、発光装置の製造工程における作業性を向上させることができる。
【0058】
蛍光部材50における第三蛍光体の含有量(質量%)MP3は、目的とする相関色温度によって変化し、蛍光部材50における第一蛍光体の含有量MP1及び第二蛍光体の含有量MP2によっても変化するが、蛍光体総量に対して、0.5質量%以上20質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上15質量%以下である。蛍光部材50における第三蛍光体の含有量MP3が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体と組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、前記波長幅I1
0.3が所定の範囲となり、I2
0.3が所定の範囲となるように波長幅を広げることができる。また、蛍光部材50における第三蛍光体の含有量MP3が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、強度比I480が高くなるように調整することができる。さらに、また、蛍光部材50における第三蛍光体の含有量がMP3が前記範囲内であると、発光素子及び他の蛍光体とを組み合わせた発光装置の発光スペクトルにおいて、比IA/IBが0.80以上0.96以下の範囲になるように調整することができる。
【0059】
蛍光部材50における第三蛍光体の含有量MP3は、発光装置の相関色温度と、第一蛍光体の含有量MP1及び第二蛍光体の含有量MP2とに応じて異なり、発光装置による照明下での人間の眼疲労が低減され、視覚作業性に優れた発光装置とするために、発光装置が発する混色光の相関色温度によって、蛍光部材50における第三蛍光体の含有量MP3は以下の範囲である。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第三蛍光体の含有量MP3は、蛍光体総量に対して、1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上9質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第三蛍光体の含有量MP3は、蛍光体総量に対して、1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1質量%以上9質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第三蛍光体の含有量MP3は、蛍光体総量に対して、1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは1質量%以上14質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上13質量%以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第三蛍光体の含有量MP3は、蛍光体総量に対して、1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは1質量%以上14質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上13質量%以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第三蛍光体の含有量MP3は、蛍光体総量に対して、1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは1質量%以上14質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上13質量%以下である。
【0060】
蛍光部材50における第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を含む蛍光体70のそれぞれの含有率は、例えば上述した範囲であり、相関色温度等に応じて適宜選択すればよい。また蛍光部材50における蛍光体70の総含有量は、蛍光部材50に含まれる樹脂に対して例えば10質量%以上280質量%以下であり、好ましくは20質量%以上270質量%以下、より好ましくは30質量%以上260質量%以下である。
【0061】
蛍光部材50に含有される第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、発光装置の相関色温度によって以下のように異なる。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.1以上10以下であり、より好ましくは0.2以上9.9以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.1以上10以下であり、より好ましくは0.2以上9.9以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.1以上7以下であり、より好ましくは0.2以上6.9以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.5以上5以下であり、好ましくは0.6以上4.5以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第一蛍光体に対する第二蛍光体の質量比率(第二蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.5以上10以下であり、好ましくは0.6以上9.5以下である。
【0062】
蛍光部材50に含有される第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、発光装置の相関色温度によって以下のように異なる。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.05以上0.5以下であり、より好ましくは0.06以上0.49以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.05以上0.5以下であり、より好ましくは0.06以上0.49以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.05以上0.5以下であり、より好ましくは0.06以上0.49以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.05以上1.0以下であり、より好ましくは0.06以上0.9以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第一蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第一蛍光体)は、好ましくは0.05以上1.5以下であり、より好ましくは0.06以上1.4以下である。
【0063】
蛍光部材50に含有される第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、発光装置の相関色温度によって以下のように異なる。
発光装置の相関色温度が2000K以上2800K未満の場合に、第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、好ましくは0.01以上0.2以下であり、より好ましくは0.02以上0.19以下である。
発光装置の相関色温度が2800K以上3500K未満の場合に、第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、好ましくは0.01以上0.2以下であり、より好ましくは0.02以上0.19以下である。
発光装置の相関色温度が3500K以上4500K未満の場合に、第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、好ましくは0.01以上0.3以下であり、より好ましくは0.02以上0.29以下である。
発光装置の相関色温度が4500K以上5700K未満の場合に、第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、好ましくは0.01以上0.4以下であり、より好ましくは0.01以上0.39以下である。
発光装置の相関色温度が5700K以上7200K以下の場合に、第二蛍光体に対する第三蛍光体の質量比率(第三蛍光体/第二蛍光体)は、好ましくは0.01以上0.5以下であり、より好ましくは0.01以上0.4以下である。
【0064】
樹脂
蛍光部材50は、蛍光体70に加えて少なくとも1種の樹脂を含むことができる。樹脂は熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱硬化性樹脂として、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
【0065】
その他の成分
蛍光部材50は、蛍光体70及び樹脂に加えてその他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。その他の成分としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等のフィラー、光安定化剤、着色剤等を挙げることができる。蛍光部材が例えば、その他の成分としてフィラーを含む場合、その含有量は樹脂に対して0.01質量%から20質量%とすることができる。
【0066】
発光装置は、その平均演色評価数Raが80以上であることが好ましい。前記発光装置の平均演色評価数Raは、より好ましくは81以上、さらに好ましくは82以上である。前記発光装置の平均演色評価数Raは、JIS Z8726に準拠して測定することができる。発光装置の平均演色評価数Raの値が100に近づくほど、基準光源に近似した演色性となる。一般の屋内照明用途では、平均演色評価数Raは80以上が好ましいとされている。また、色検査や美術館、博物館の照明等の厳密な色の見え方が要求される場合には、平均演色評価数Raは90以上が好ましいとされている。
【0067】
発光装置は、その特殊演色評価数R9が-20から40であってもよく、-15から35であってもよい。特殊演色評価数R9は、赤色を示す指標である。
【0068】
発光装置は、蛍光体総量に対する第一蛍光体の含有量MP1、第二蛍光体の含有量MP2が上述の範囲に調整されることで、照明下での疲労を低減し視覚作業性に優れた発光スペクトルを有することができる。発光装置の発光スペクトルは、例えば、440nm以上470nm以下の範囲に存在する第一ピーク波長において第一極大値Pt1を有し、490nm以上520nm以下の範囲に存在する第二ピーク波長において第二極大値Pt2を有し、570nm以上650nm以下の範囲に存在する第三ピーク波長において第三極大値Pt3を有していてもよい。また、発光スペクトルは、第一ピーク波長と第二ピーク波長の間に第一極小値T1と、第二ピーク波長と第三ピーク波長の間に第二極小値T2とを有していてもよい。第一極大値Pt1は、例えば発光素子と第一蛍光体の発光スペクトルの合成光に由来する。第二極大値Pt2は、例えば第一蛍光体と第二蛍光体の発光スペクトルに由来し、第三極大値Pt3は、例えば第二蛍光体と第三蛍光体の発光スペクトルに由来する。なお、所定の波長範囲内に複数の極大値が存在する場合、発光強度の高い方をその範囲における極大値とし、所定の波長範囲内に複数の極小値が存在する場合、発光強度の低い方をその範囲における極小値とする。
【0069】
ここで、発光スペクトルにおける極大値及び極小値とは、波長に対する発光強度の変化率が0になる波長における発光強度を意味し、その波長の前後において波長に対する発光強度の変化率の値が正から負に変化する場合を極大値、負から正に変化する場合を極小値とする。なお、波長に対する発光強度の変化率が0になる場合であっても、その波長の前後で波長に対する発光強度の変化率の値の正負が変化しない場合には、極大値又は極小値とはみなさない。すなわち発光スペクトルは、極大値の近傍では上に凸の形状を有し、極小値の近傍では下に凸の形状を有する。
【0070】
灯具
本発明の第二実施形態に係る灯具は、上述した発光装置の少なくとも1種を備えていればよい。灯具は、上述した発光装置を備えて構成され、反射部材、保護部材、発光装置に電力を供給するための付属装置等をさらに備えていてもよい。灯具は複数の発光装置を備えていてもよい。灯具が複数の発光装置を備える場合、同一の発光装置を複数備えていてもよく、例えば相関色温度が異なる発光装置を複数備えていてもよい。また、複数の発光装置を個別に駆動して、明るさや相関色温度を好みに合わせて調節可能な駆動装置を備えていてもよい。灯具の使用形態としては、直付型、埋め込み型、吊り下げ型等のいずれであってもよい。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
各実施例及び比較例の発光装置には、以下の第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を用いた。
【0073】
第一蛍光体71
第一蛍光体として、下記式(1a)で表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体(以下、「SAE」ともいう。)と、下記式(1b)で表される組成を有するアルカリ土類金属クロロシリケート蛍光体(以下、「CMSC」ともいう。)を準備した。
【0074】
(Sr0.825Eu0.175)4Al14O25 (1a)
SAEについて、蛍光分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、F-4500)を用いて、室温(25℃)における380nm以上730nm以下の範囲の反射スペクトルを測定した。基準試料にはリン酸水素カルシウム(CaHPO4)を使用した。各波長における基準試料の反射率を100%とした場合の各波長おける相対強度(反射率)(%)を示すSAEの反射スペクトルにおいて、380nm以上435nm以下の範囲における相対強度(反射率)の最大値は、435nmの8.9%であった。また、後述する方法で測定したSAEの発光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長は495nm、半値幅は60nmであった。
【0075】
Ca7.7MgSi4O16Cl2:Eu0.3 (1b)
CMSCについて、蛍光分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、F-4500)を用いて、室温(25℃)における380nm以上730nm以下の範囲の反射スペクトルを測定した。基準試料にはリン酸水素カルシウム(CaHPO4)を使用した。各波長における基準試料の反射率を100%とした場合の各波長おける相対強度(反射率)(%)を示すCMSCの反射スペクトルにおいて、380nm以上435nm以下の範囲における相対強度(反射率)の最大値は、435nmの9.9%であった。また、後述する方法で測定したCMSCの発光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長は515nm、半値幅は58nmであった。
【0076】
蛍光体の発光スペクトルの測定
第一蛍光体71、第二蛍光体72、及び第三蛍光体73は、量子効率測定装置(大塚電子株式会社製、QE-2000)を用いて、励起波長450nmの光を各蛍光体に照射し、室温(約25℃)における発光スペクトルを測定し、各蛍光体の発光ピーク波長及び半値幅を測定した。
【0077】
第二蛍光体72
前記式(2A)で表される組成を有し、CIE1931の色度座標におけるx値が0.40を超える値である、アルミン酸塩蛍光体(YAG1)と、前記式(2A)で表される組成を有し、CIE1931の色度座標におけるx値が0.27以上0.40以下となるように、それぞれ組成に含まれる元素を選定およびそのモル比を調節したアルミン酸塩蛍光体(GYAG2、LAG3、GYAG4、LAG5、GLAG6、及びGLAG7)を準備した。上述の方法で各第二蛍光体の発光スペクトルを測定し、発光ピーク波長、半値幅を測定した。また、各第二蛍光体のCIE1931における色度座標のx値は、量子効率測定装置(大塚電子株式会社、QE-2000)を用いて、測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0078】
【0079】
第三蛍光体73
前記式(3A)で表される組成を有し、発光ピーク波長及び半値幅が異なるように、それぞれ組成に含まれる元素を選定及びそのモル比を調節したアルカリ土類金属シリコンナイトライド蛍光体(SCASN1、SCASN2、SCASN3、SCASN4、SCASN5)と、前記式(3B)で表される組成を有し、発光ピーク波長及び半値幅が所定の値となるように、組成に含まれる元素を選定およびそのモル比を調節したアルカリ土類金属シリコンナイトライド蛍光体(BSESN6)を準備した。上述の方法で各第三蛍光体の発光スペクトルを測定し、発光ピーク波長、半値幅を測定した。その結果を以下の表2に示す。
【0080】
【0081】
実施例1
CIE1931における色度座標がx=0.312、y=0.328付近となるように第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を配合した蛍光体70と、シリコーン樹脂とを混合分散した後、さらに脱泡することにより蛍光部材用樹脂組成物を得た。蛍光部材用樹脂組成物中の蛍光体総量は樹脂100質量%に対して68.6質量%であった。また、蛍光体総量に対する第一蛍光体71であるSAEの含有量MP
1は43.7質量%、第二蛍光体72であるLAG3の含有量MP
2は45.8質量%、第三蛍光体73であるSCASN1の含有量MP
3は10.5質量%であった。次に
図2に示すような凹部を有する成形体40を準備し、凹部の底面に発光ピーク波長が450nmであり、窒化ガリウム系化合物半導体を有する発光素子10を第1のリード20に配置した後、蛍光部材用樹脂組成物を、発光素子10の上に注入、充填し、さらに加熱することで樹脂組成物を硬化させた。発光素子10の発光スペクトルの半値幅は、15nmであった。このような工程により実施例1の発光装置を作製した。上記色度座標は、発光装置の相関色温度として約6500Kであり、相関色温度が5700K以上7200K以下の範囲に対応する。
【0082】
実施例2から5及び23、比較例1、2及び11
第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の種類と、蛍光体総量に対する各蛍光体の含有量を、以下の表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を作製した。
【0083】
【0084】
実施例6から10及び24比較例3、4及び12
CIE1931における色度座標がx=0.345、y=0.355付近となるように第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を配合したことと、第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の種類と、蛍光体総量に対する各蛍光体の含有量を、以下の表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を作製した。上記色度座標は、発光装置の相関色温度として約5000Kであり、相関色温度4500K以上5700K未満に対応する。
【0085】
【0086】
実施例11から14及び25、比較例5、6及び13
CIE1931における色度座標がx=0.382、y=0.380付近となるように第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を配合したことと、第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の種類と、蛍光体総量に対する各蛍光体の含有量を、以下の表5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を作製した。上記色度座標は、発光装置の相関色温度として約4000Kであり、相関色温度3500K以上4500K未満に対応する。
【0087】
【0088】
実施例15から18及び26、比較例7、8及び14
CIE1931における色度座標がx=0.434、y=0.403付近となるように第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を配合したことと、第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の種類と、蛍光体総量に対する各蛍光体の含有量を、以下の表6に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を作製した。上記色度座標は、発光装置の相関色温度として約3000Kであり、相関色温度2800K以上3500K未満に対応する。
【0089】
【0090】
実施例19から22、比較例9及び10
CIE1931における色度座標がx=0.458、y=0.410付近となるように第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73を配合したことと、第一蛍光体71、第二蛍光体72及び第三蛍光体73の種類と、蛍光体総量に対する各蛍光体の含有量を、以下の表7に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を作製した。上記色度座標は、発光装置の相関色温度として約2700Kであり、相関色温度2000K以上2800K未満に対応する。
【0091】
【0092】
色度(x、y)、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9及び相関色温度
各実施例及び比較例の発光装置について、マルチチャンネル分光器と積分球を組み合わせた光計測システムで、発光色の色度座標(色度x、y)、JIS Z8726に準拠して平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9、JIS Z8725に準拠して相関色温度(Tcp;K)を測定した。
【0093】
相対光束
積分球を使用した全光束測定装置を用いて、各実施例及び比較例の発光装置について、光束を測定した。
相関色温度が5700K以上7200K以下に対応する実施例1から5及び23と、比較例1、2及び11とは、比較例1の発光装置の光束を100%として、他の発光装置の相対光束を算出した。
相関色温度が4500K以上5700K未満に対応する実施例6から10及び24と、比較例3、4及び12とは、比較例3の発光装置の光束を100%として、他の発光装置の相対光束を算出した。
相関色温度が3500K以上4500K未満に対応する実施例11から14及び25と、比較例5、6及び13とは、比較例5の発光装置の光束を100%として、他の発光装置の相対光束を算出した。
相関色温度が2800K以上3500K未満に対応する実施例15から18及び26と、比較例7、8及び14とは、比較例7の発光装置の光束を100%として、他の発光装置の相対光束を算出した。
相関色温度が2000K以上2800K未満に対応する実施例19から22と、比較例9及び10とは、比較例9の発光装置の光束を100%として、他の発光装置の相対光束を算出した。
【0094】
発光スペクトル
相対光束の測定と同様の全光束測定装置を用いて、各発光装置の波長に対する相対強度(相対発光強度)を示す発光スペクトルを測定した。各発光装置の発光スペクトルにおいて、発光強度の最大値を1としたときの各発光装置の発光スペクトルを
図3から
図11に示す。
発光装置の発光スペクトルにおいて、発光強度の最大値を1としたときに480nm以上680nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)を強度0.3における波長幅I
1
0.3として求めた。
発光装置の発光スペクトルにおいて、発光強度の最大値を1としたときに480nm以上580nm以下の範囲内において発光強度が0.3以上となる最大の波長幅(nm)を強度0.3における波長幅I
2
0.3として求めた。
発光装置の発光スペクトルにおいて、発光素子の発光強度を1としたときの480nmにおける発光強度をI
480として求めた。
発光装置の発光スペクトルにおいて535nmにおける発光強度をI
Aとし、510nmにおける発光強度と560nmにおける発光強度の平均をI
Bとしたときに、I
Bに対するI
Aの比(I
A/I
B)を求めた。
以上の測定結果について、各相関色温度の範囲別に以下の表8から表12に示す。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
各相関色温度を有する実施例及び比較例の発光装置において、各実施例の発光装置は、発光スペクトルの480nm以上680nm以下における波長幅I
1
0.3と、発光スペクトルの480nm以上580nm以下における波長幅I
2
0.3が、各比較例の発光装置よりも広くなっていた。
図3から
図11からも分かるように、各相関色温度を有する各実施例の発光装置の発光スペクトルにおける波長幅I
1
0.3及び波長幅I
2
0.3は、各相関温度を有する各比較例の発光スペクトルにおける波長幅I
1
0.3及び波長幅I
2
0.3よりも広くなった。この結果から、特にヒトの眼が焦点を合わせやすい、通常の視感度のピークである555nmを中心とした480nm以上680nm以下の範囲内における波長幅I
1
0.3が広がり、さらに、480nm以上580nm以下の範囲内における波長幅I
2
0.3が広がることにより、この発光装置の照明下における人間の眼疲労を低減させ、人間の視覚作業を効率的に行うことができる。また、各実施例の発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、波長幅I
1
0.3及び波長幅I
2
0.3が広がった場合であっても、各相関色温度における比較例の光束とほぼ同じ程度の高い光束を維持しており、光束の低減を抑制し、高い発光効率が維持されていた。
【0101】
各相関色温度を有する実施例及び比較例の発光装置において、各実施例の発光装置は、強度比I480が、各比較例の発光装置よりも、発光素子のピーク強度に対する強度比I480が高くなっている。この結果から、グレアや眩しさの原因となっている、ヒトの光受容細胞の1つであるS錐体に作用する440nm付近の波長域に近い青色光を発する発光素子の発光強度を低くし、グレアや眩しさによる人間の眼疲労を低減することができる。各実施例の発光装置は、各比較例の発光装置よりも、発光素子のピーク強度に対する強度比I480が高くなっていることから、ヒトの光受容細胞の1つであるipRGCへの刺激を調整することができ、その結果、視覚作業中の人間を覚醒し、集中力を維持させる効果を併せ持つ。さらに、発光スペクトルにおける青緑色成分が多くなり、例えばヒトの加齢に伴う青色の識別性の低下を補うことが可能となる発光装置を構成することができる。
【0102】
各相関色温度を有する実施例及び比較例の発光装置において、各実施例の発光装置は、比IA/IBが、各比較例の比IA/IBよりも低くなっている。この結果から、各相関色温度を有する各実施例の発光装置は、ヒトの光受容細胞のS錐体に作用する440nm付近の波長域に近い青色光を発する発光素子の発光強度を低くしてグレアや眩しさによる人間の眼疲労を低減するだけではなく、M錐体に作用する535nm付近の波長域をの緑色光の発光強度を低くして、M錐体への過度の刺激を低減し、グレアや眩しさによる人間の眼疲労をより低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の一実施形態の発光装置は、照明下での眼疲労を低減し、作業性に優れる発光スペクトルを有する光を発することができる。例えば、オフィス、一般家庭、商業施設、工場などの屋内に設置する一般照明、車載用照明、ディスプレイ、観賞用照明、警告灯、防犯灯、表示灯、液晶用のバックライトとして利用することができる。さらに、この発光装置を備えた灯具として利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10:発光素子、40:成形体、50:蛍光部材、70:蛍光体、71:第一蛍光体、72:第二蛍光体、73:第三蛍光体、100:発光装置。