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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240510BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240510BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 567Q
G03G21/00 390
G03G21/16 157
G03G21/16 161
B41J29/00 E
B41J29/38 601
B41J29/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020095257
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021190880
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅裕
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-197835(JP,A)
【文献】特開2007-074333(JP,A)
【文献】特開2005-313551(JP,A)
【文献】特開2007-081509(JP,A)
【文献】特開2001-160117(JP,A)
【文献】特開2009-118406(JP,A)
【文献】特開2017-098951(JP,A)
【文献】特開2006-180060(JP,A)
【文献】特開2006-352330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
G03G 13/00
15/00
21/16 -21/18
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読取対象物に備わった情報記憶部に対して近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う処理部を有する画像読取装置であって、
前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第一通信方式により近距離無線通信を行う第一アンテナ部と、
前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第二通信方式により近距離無線通信を行う第二アンテナ部と
載置面に載置された被読取対象物を押さえる押さえ部材と、
前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部とを有し、
前記第一アンテナ部が前記押さえ部材に配置され、
前記第二アンテナ部が前記移動読取部に配置されており、
前記処理部は、前記第一通信方式又は前記第二通信方式により近距離無線通信を行って、前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記第一通信方式は、前記第二通信方式よりも通信距離が短い通信方式であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置において、
前記第一通信方式及び前記第二通信方式は、互いに周波数帯の異なる電波を用いるRFIDの通信方式であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記第一通信方式は、HF(High Frequency)周波数帯の電波を用いるものであり、
前記第二通信方式は、UHF(Ultra High Frequency)周波数帯の電波を用いるものであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1至4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
被読取対象物を搬送する搬送部を有し、
前記処理部は、前記搬送部により搬送されている被読取対象物上の画像を静止状態の前記移動読取部により読み取る際に、該被読取対象物に備わった情報記憶部に対して前記第二アンテナ部の近距離無線通信により前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1至4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
被読取対象物を搬送する搬送部と、
前記押さえ部材の上方に配置され、前記搬送部により搬送された被読取対象物が載置される載置部とを有し、
前記処理部は、前記搬送部による搬送中に画像が読み取られる被読取対象物が前記載置部へ載置される際に、該被読取対象物に備わった情報記憶部に対して前記第一アンテナ部の近距離無線通信により前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5は6に記載の画像読取装置において、
前記搬送部は、被読取対象物を曲げずに搬送するストレート搬送路を介して被読取対象物を搬送することを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
被画像形成対象物上に画像を形成し、画像形成後の被画像形成対象物が排出される複数の排出部を上部に備える画像形成部と、
前記画像形成部の上方に配置される画像読取部とを有する画像形成装置であって、
前記画像読取部は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像読取装置であり、
前記複数の排出部のうちの最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対し、前記第二アンテナ部の近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う情報通信処理部を有することを特徴とする画像形成装置
【請求項9】
求項8に記載の画像形成装置において、
前記最上位に位置する排出部は、前記情報通信処理部が用いるアンテナ部の下方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部は、前記最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対して、前記情報通信処理部が用いるアンテナ部とは異なる通信方式の近距離無線通信を行う第三アンテナ部を、前記最上位に位置する排出部に有し、
前記情報通信処理部は、前記最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対し、該情報通信処理部が用いるアンテナ部又は前記第三アンテナ部の近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、載置面に載置された被読取対象物を押さえる押さえ部材と、前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部と、前記被読取対象物に備わった情報記憶部に対して近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う処理部を有する画像読取装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複写面(載置面)上に置かれた原稿(被読取対象物)に取り付けられた薄いタグ(情報記憶部)に対して情報の書き込み及び読み取りを行うリーダ・ライタのアンテナが、複写面上の原稿を押さえるカバー(押さえ部材)に埋め込まれている複写機が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像読取装置では、通信方式の異なる情報記憶部を備えた幅広い被読取対象物に対応できていないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、被読取対象物に備わった情報記憶部に対して近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う処理部を有する画像読取装置であって、前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第一通信方式により近距離無線通信を行う第一アンテナ部と、前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第二通信方式により近距離無線通信を行う第二アンテナ部と、載置面に載置された被読取対象物を押さえる押さえ部材と、前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部とを有し、前記第一アンテナ部が前記押さえ部材に配置され、前記第二アンテナ部が前記移動読取部に配置されており、前記処理部は、前記第一通信方式又は前記第二通信方式により近距離無線通信を行って、前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信方式の異なる情報記憶部を備えた幅広い被読取対象物に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】構成例1におけるフラットベッド型の画像読取部を備えたカバーが開いた状態の画像形成装置の一例を示す模式図。
図2】同カバーが閉じた状態の画像形成装置の一例を示す模式図。
図3】第一RFIDリーダー/ライターが配置されていない従来の圧板の構成を示す説明図。
図4】第一RFIDリーダー/ライターが配置された実施形態の圧板の構成の一例を示す説明図。
図5】第一RFIDリーダー/ライターが配置された実施形態の圧板の構成の他の例を示す説明図。
図6】構成例1において、コンタクトガラス上に原稿が載置された状態の画像読取部を上方から見たときの説明図。
図7】構成例1において、キャリッジが収容されている遮蔽ケースの内部を上方から見たときの平面図。
図8】構成例2におけるシートスルー型の画像読取部を備えた画像形成装置の一例を示す模式図。
図9】構成例2における第一RFIDリーダー/ライターが配置された圧板の構成の一例を示す説明図。
図10】実施形態における画像形成装置の制御部を含む主要な制御系の一例を示すブロック図。
図11】実施形態における構成例1の画像読取部の動作の一例を示すフローチャート。
図12】実施形態における構成例2の画像読取部の動作の一例を示すフローチャート。
図13】実施形態における画像形成部の動作の一例を示すフローチャート。
図14】実施形態における構成例1の画像読取部を用いたコピー動作の一例を示すフローチャート。
図15】実施形態における構成例2の画像読取部を用いたコピー動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態における画像形成装置は、電子写真方式の画像形成部を備える画像形成装置であるが、インクジェット方式などの他の画像形成方式の画像形成部を備えるものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、画像形成部が4つの感光体を備える中間転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であるが、他のカラー画像形成装置やモノクロ画像形成装置であってもよい。
【0009】
〔構成例1〕
図1及び図2は、画像読取部がフラットベッド型である画像形成装置の一例(以下、本例を「構成例1」という。)を示す模式図である。
本構成例1の画像形成装置1は、被画像形成対象物である用紙P上に画像を形成する画像形成部100と、被読取対象物である原稿G上の画像を読み取る画像読取部200とから構成される。本構成例1の画像形成装置1は、画像読取部200が画像形成部100の上方に配置された一体構造であるが、画像読取部200と画像形成部100とが互いに通信可能に接続された別体構造のものであってもよい。
【0010】
まず、画像形成部100について説明する。
画像形成部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の色ごとの作像部10Y,10M,10C,10Kが中間転写体としての中間転写ベルト20の回転方向に沿って配列されたタンデム型の画像形成装置である。各作像部10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ、潜像担持体としての感光体11Y,11M,11C,11Kを備えている。また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、感光体表面を一様に所定電位に帯電する帯電手段としての帯電装置と、帯電装置によって一様に帯電された感光体表面上に画像情報に応じて露光して静電潜像を書き込む静電潜像形成手段としての光書込装置と、感光体上の静電潜像にそれぞれの色(Y、M、C、K)のトナーを付着させる現像処理によりトナー像を作成する現像手段としての現像装置と、感光体上のトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写手段としての一次転写装置と、感光体上の転写残トナーを除去してクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置とを備えている。
【0011】
各感光体11Y,11M,11C,11K上に形成された各色トナー像は、一次転写装置によって、中間転写ベルト20上に互いに重なり合うように一次転写され、中間転写ベルト20上にカラートナー像が形成される。中間転写ベルト20上のカラートナー像は、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写装置30との対向領域(二次転写領域)へと搬送される。
【0012】
一方、画像形成部100の下部には、用紙Pを収容する用紙収容部60が設けられている。本構成例1の用紙収容部60は、上段と下段の2つの給紙トレイ60A,60Bから構成されている。用紙収容部60は、画像形成部100の制御部500からの指示に従って選択されるいずれかの給紙トレイ60A,60Bからピックアップローラ61により用紙Pを1枚ずつ給紙する。そして、図中破線で示す搬送経路に沿って、搬送ローラ対62により二次転写領域へと用紙Pが搬送される。
【0013】
中間転写ベルト20上のカラートナー像は、二次転写領域において、所定のタイミングで搬送ローラ対62により搬送されてくる用紙P上に、二次転写装置30により二次転写される。カラートナー像が形成された用紙Pは、その後、定着手段としての定着装置40へと搬送され、熱と圧力の作用により、カラートナー像が用紙P上に定着される。定着後の用紙Pは、図中破線で示す搬送経路に沿って搬送され、排出部としての排紙部50へと送られる。
【0014】
本構成例1の排紙部50は、画像形成部100の上部に配置され、画像が形成された用紙Pを受け取る排紙トレイ50A,50Bが上段と下段に設けられている。定着後の用紙Pは、画像形成部100の制御部500からの指示に従って選択されるいずれかの排紙トレイ50A,50Bへ排紙ローラ対51により排出され、当該排紙トレイ50A,50B上に載置される。
【0015】
次に、画像読取部200について説明する。
本構成例1における画像読取部200は、コンタクトガラス210の面上に載置される原稿Gを押さえる押さえ部材としての圧板251を備えたカバー250と、コンタクトガラス210の面に沿ってコンタクトガラス210の下方を水平方向へ移動しながら原稿G上の画像を読み取る移動読取部としてのキャリッジ220とを備えている。
【0016】
本構成例1の画像読取部200は、コンタクトガラス210上の原稿Gへ光を照射する光源、原稿Gからの反射光を所定の方向へ導くための複数の反射ミラー、原稿Gからの反射光を収束する集光レンズ、収束された反射光を電気信号に変換して出力するCCD(Charge Coupled Device)センサ等から構成される。キャリッジ220には、これらの構成物のうち、光源と、一部の反射ミラーとが搭載されている。
【0017】
また、本構成例1の圧板251には、原稿Gに備わった情報記憶部としてのRFIDタグ300Gに対して近距離無線通信を行う第一アンテナ部を備えた第一RFIDリーダー/ライター450が搭載されている。コンタクトガラス210上に原稿Gを載置して原稿G上の画像を読み取るとき、開いた状態(図1に示す状態)のカバー250をヒンジ253により閉じて、カバー250の圧板251により原稿Gを押さえる。これにより、圧板251に配置された第一RFIDリーダー/ライター450は、原稿Gに近接した位置をとるので、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行ってRFIDタグ300Gに記憶された情報を読み取ることができる。例えば、RFIDタグ300Gには、あらかじめID情報(他のRFIDタグと重複しないようにするために固有の番号)が記録されているので、このID情報を第一RFIDリーダー/ライター450により読み取り、画像形成装置1の制御部500へ出力する。
【0018】
また、第一RFIDリーダー/ライター450は、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行ってRFIDタグ300Gへ情報を書き込むことができる。例えば、原稿G上の画像を画像読取部200で読み取った本画像形成装置1の識別情報、読み取った日時情報、読み取った画像のユーザー情報などを、原稿GのRFIDタグ300Gに書き込む。これにより、原稿G上の画像の読取履歴が当該原稿GのRFIDタグ300Gに記録される。
【0019】
また、本構成例1のキャリッジ220には、原稿Gに備わったRFIDタグ300Gに対して近距離無線通信を行う第二アンテナ部を備えた第二RFIDリーダー/ライター400が搭載されている。これにより、第二RFIDリーダー/ライター400は、キャリッジ220を走査して原稿G上の画像を読み取る際、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Gに記憶された情報を読み取ることができる。また、第二RFIDリーダー/ライター400は、キャリッジ220を走査して原稿G上の画像を読み取る際、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Gへ情報を書き込むことができる。
【0020】
圧板251に配置された第一RFIDリーダー/ライター450は、コンタクトガラス210の略全面にわたって原稿G上のRFIDタグ300Gと通信可能に構成されている。また、キャリッジ220に配置された第二RFIDリーダー/ライター400は、コンタクトガラスに沿って移動することでコンタクトガラス210の略全面にわたって原稿G上のRFIDタグ300Gと通信可能に構成されている。したがって、いずれのRFIDリーダー/ライター400,450も、原稿Gのどの位置にRFIDタグ300Gが設けられている場合でも、RFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みを行うことができる。
【0021】
また、本実施形態において、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400は、互いに異なる通信方式で原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行う。具体的には、例えば、第一RFIDリーダー/ライター450は、HF(High Frequency)周波数帯の電波を用いる第一通信方式で近距離無線通信を行い、第二RFIDリーダー/ライター400は、UHF(Ultra High Frequency)周波数帯の電波を用いる第二通信方式で近距離無線通信を行う。これにより、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gを押さえ、キャリッジ220を移動させて原稿G上の画像を読み取る際、原稿GのRFIDタグ300Gに対し、HF周波数帯を用いた第一通信方式により情報の読み取りや書き込みを行うことも、UHF周波数帯を用いた第二通信方式により情報の読み取りや書き込みを行うことも、可能となる。
【0022】
すなわち、本実施形態によれば、HF周波数帯の第一通信方式に対応したRFIDタグ300Gを備えた原稿Gにも、UHF周波数帯の第二通信方式に対応したRFIDタグ300Gを備えた原稿Gにも、これら2つのRFIDタグ300Gを併せ持った原稿Gにも、対応することができる。
【0023】
特に、本実施形態では、圧板251に配置される第一RFIDリーダー/ライター450は、通信距離の短いHF周波数帯の第一通信方式であるが、圧板251が原稿Gを抑えた状態においては原稿Gに近い位置をとる。したがって、通信距離の短いHF周波数帯の第一通信方式であっても、原稿GのRFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みを適切に行うことができる。
【0024】
一方、本実施形態では、キャリッジ220に配置される第二RFIDリーダー/ライター400は、HF周波数帯の第一通信方式よりも通信距離が長いUHF周波数帯の第二通信方式である。したがって、キャリッジ220から原稿Gまでの距離が多少遠くても、原稿GのRFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みを適切に行うことができる。
【0025】
また、仮に第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400の両方を、圧板251及びキャリッジ220のうちのいずれか一方の部材に配置すると、当該部材が大型化し、画像読取部200が大型化してしまい、これにより画像形成装置1が大型化してしまう。
【0026】
本実施形態においては、上述したように、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400を、圧板251とキャリッジ220のそれぞれに分散して配置したことで、圧板251及びキャリッジ220の個々の大型化が抑制され、画像読取部200の大型化、画像形成装置1の大型化を回避できる。
【0027】
第一RFIDリーダー/ライター450が配置される圧板251は、画像形成装置1の内部に配置される部材よりもアクセスが可能であり、メンテナンス性が高い。また、圧板の交換は容易であるため、既存の画像形成装置1の圧板を、本実施形態における第一RFIDリーダー/ライター450が配置された圧板251に交換して、本実施形態の画像形成装置1を得ることも容易である。
【0028】
また、第二RFIDリーダー/ライター400が配置されるキャリッジ220も、コンタクトガラス210を取り外すことで容易にアクセスでき、メンテナンス性が高い。
【0029】
図3は、第一RFIDリーダー/ライター450が配置されていない従来の圧板251の構成を示す説明図である。
図4は、第一RFIDリーダー/ライター450が配置された本実施形態の圧板251の構成の一例を示す説明図である。
図5は、第一RFIDリーダー/ライター450が配置された本実施形態の圧板251の構成の他の例を示す説明図である。
【0030】
一般的な圧板251の構成は、図3に示すように、ベース部材250aと圧板251との間にスポンジ等の弾性体250bが設けられた構成となっており、弾性体250bの弾性変形により圧板251が変位可能となっている。圧板251の表面は、通常、原稿Gの画像読取時に原稿Gの背景等を無地にする必要があるため、白色となっている。
【0031】
本実施形態の圧板251の構成の一例としては、図4に示すように、ベース部材250aと圧板251との間の弾性体が設けられるスペースに、第一RFIDリーダー/ライター450が配置される。第一RFIDリーダー/ライター450は、弾性体250cによって支持するように構成し、従来と同様、弾性体250cの弾性変形により圧板251が変位可能となるように構成されている。
【0032】
本実施形態の圧板251の構成の他の例としては、図5に示すように、圧板と第一RFIDリーダー/ライター450とが一体化した圧板255を用いる。図5の例では、部品点数の削減により組み立て性が向上することに加え、より原稿Gに近い位置に第一RFIDリーダー/ライター450を位置させることができるので読取精度や書込精度の向上を図ることができる。
【0033】
また、本構成例1では、第二RFIDリーダー/ライター400を搭載するキャリッジ220がケース230内に収容され、そのケース230内をキャリッジ220が移動するように構成されている。キャリッジ220のケース230は、剛性や安全性などの観点も考慮して、鋼板やアルミニウム板などの金属製であるのが好ましい。ただし、このような金属製のケース230は、電波を遮蔽してしまう。本実施形態では、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400により、上方に位置する原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行う必要があることから、ケース230は、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400が当該近距離無線通信を行う位置の上方が開口している。本構成例1では、キャリッジ220が原稿Gの画像を読み取るために移動する間、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行うので、ケース230の上面が略全面にわたって開口している。なお、ケース230の上面の開口部は、近距離無線通信用の電波を遮蔽しない部材で塞がれてもよい。この部材としては、難燃性の高い材料であるのが好ましい。
【0034】
図6は、コンタクトガラス210上に原稿Gが載置された状態の画像読取部200を上方から見たときの説明図である。
キャリッジ220に搭載された第二RFIDリーダー/ライター400がRFIDタグ300Gに対して情報の読み取り及び書き込みを行うことのできる範囲(通信可能範囲)は、おおよそ、図6中符号Sで示す破線で囲った範囲である。本構成例1の通信可能範囲は、キャリッジ移動方向(図6中左右方向)に対して直交する方向(図6中上下方向)において、画像読取部200で読み取ることのできる画像の読取幅と略一致しているが、画像の読取幅よりも狭くても広くてもよい。画像の読取幅は、通常、読み取り可能な最大サイズの原稿Gの幅と同じか、やや広く設定されている。
【0035】
画像読取部200で原稿Gの画像を読み取る際、キャリッジ220を図6の実線で示す待機位置(図1においてキャリッジ220が仮想線で示されている位置)から、水平方向(図6中矢印Aの方向)へ移動させる。これにより、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gの全域にわたって、原稿G上の画像を読み取ることができる。そして、この画像読取動作中のキャリッジ220の移動に伴って第二RFIDリーダー/ライター400も移動することにより、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gの全域にわたって、原稿GのRFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みを行うことができる。これにより、RFIDタグ300Gが原稿G上のどの位置に付設(貼付等)されていても、RFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みを行うことができる。
【0036】
図7は、キャリッジ220が収容されているケース230の内部を上方から見たときの平面図である。
本構成例1のキャリッジ220に搭載されている第二RFIDリーダー/ライター400は、画像形成部100によって画像形成される用紙Pに備わった情報記憶部としてのRFIDタグ300Pに対して近距離無線通信を行うアンテナ部としても機能する。これにより、第二RFIDリーダー/ライター400は、画像が形成される用紙PのRFIDタグ300Pと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Pに記憶された情報を読み取ることができる。例えば、RFIDタグ300Pには、あらかじめID情報(他のRFIDタグと重複しないようにするために固有の番号)が記録されているので、このID情報を第二RFIDリーダー/ライター400により読み取り、画像形成装置1の制御部500へ出力する。
【0037】
また、第二RFIDリーダー/ライター400は、画像が形成される用紙PのRFIDタグ300Pと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Pへ情報を書き込むことができる。例えば、用紙P上に画像を形成した本画像形成装置1の識別情報、画像形成した日時情報、形成した画像のユーザー情報などを、用紙PのRFIDタグ300Pに書き込む。これにより、用紙P上の画像の作成履歴が当該用紙PのRFIDタグ300Pに記録される。
【0038】
本構成例1では、第二RFIDリーダー/ライター400が画像読取部200のキャリッジ220に搭載されているため、画像読取部200との距離が近い画像形成部100の上部において、用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行うことが好ましい。これにより、用紙PのRFIDタグ300Pと近距離無線通信を行う位置までキャリッジ220を移動させる距離を短くできるので、その移動時間の短縮、移動経路のスペース抑制の点等のメリットが得られるためである。
【0039】
そのため、本構成例1においては、画像形成部100の上部に配置されている排紙部50へ用紙Pが排出される際に、その用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う。より詳しくは、排紙部50における2つの排紙トレイ50A,50Bのうち、第二RFIDリーダー/ライター400に近い上段の排紙トレイ50Bに排紙される用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う。これにより、第二RFIDリーダー/ライター400の通信可能距離が短い場合でも、排紙される用紙PのRFIDタグ300Pに対して読み取りや書き込みを適切に行うことができる。
【0040】
なお、用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みは、排紙部50へ用紙Pが排出される際に限らず、例えば、画像形成部100の内部における定着後の用紙搬送中、二次転写後から定着前の用紙搬送中、あるいは、用紙収容部60から二次転写前までの用紙搬送中であってもよい。ただし、本構成例1のように、排紙部50へ用紙Pが排出される際に当該用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う場合には、画像形成が完了した用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行うことができる点で有利である。
【0041】
また、本構成例1では、上述したとおり、第二RFIDリーダー/ライター400を搭載するキャリッジ220をケース230内に収容することで、原稿GのRFIDタグ300Gに対する読み取り時や書き込み時に、当該近距離無線通信の電波が画像形成部100側の用紙P(特に排紙部50へ排出された用紙P)のRFIDタグ300Pに届かないようにしている。ただし、本構成例1においては、この第二RFIDリーダー/ライター400を、排紙部50の上段排紙トレイ50Bに排紙される用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みにも用いる必要がある。
【0042】
そのため、ケース230の底面には、図7に示すように、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400が排紙部50の上段排紙トレイ50Bに排紙される用紙PのRFIDタグ300Pとの近距離無線通信を行う位置に開口部232が設けられている。なお、ケース230の開口部232は、近距離無線通信用の電波を遮蔽しない部材で塞がれてもよい。この部材としては、難燃性の高い材料であるのが好ましい。
【0043】
以上のように、本構成例1においては、原稿GのRFIDタグ300Gに対する読み取りや書き込みを行う処理と、画像形成される用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う処理とが、同一の第二RFIDリーダー/ライター400を用いたそれぞれの近距離無線通信により行われる。これにより、それぞれの処理に用いるRFIDリーダー/ライターを個別に設ける構成と比べて、部品点数の削減、設置スペースの削減などを図ることができる。
【0044】
なお、本構成例1においては、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取りや書き込みについては、圧板251に配置された第一RFIDリーダー/ライター450を用いることは、通信距離の関係で困難である。そのため、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取りや書き込みについては、第二RFIDリーダー/ライター400によるUHF周波数帯の第二通信方式に対応するが、第一RFIDリーダー/ライター450によるHF周波数帯の第一通信方式に対応できない。
【0045】
そこで、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取りや書き込みについてもHF周波数帯の第一通信方式に対応するため、例えば、上段排紙トレイ50Bに、用紙PのRFIDタグ300PとHF周波数帯の第一通信方式で近距離無線通信を行う第三RFIDリーダー/ライター460を配置してよい。これを配置することで、HF周波数帯の第一通信方式に対応したRFIDタグ300Pを備えた用紙Pにも、UHF周波数帯の第二通信方式に対応したRFIDタグ300Pを備えた用紙Pにも、これら2つのRFIDタグ300Pを併せ持った用紙Pにも、対応することができる。
【0046】
〔構成例2〕
図8は、画像読取部がシートスルー型である画像形成装置の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)を示す模式図である。
本構成例2の画像形成装置1における画像形成部100の構成は、上述した構成例1と同様であるため、構成例2中での説明を省略し、また、上述した構成例1と重複する説明についても適宜省略する。
【0047】
本構成例2における画像読取部200は、搬送部としての自動原稿送り装置であるADF(Automatic Document Feeder)600を備えている。ADF600は、原稿載置台610上にセットされた原稿Gをピックアップローラ631によって1枚ずつ送り出す。ピックアップローラ631によって送り出された原稿Gは、複数の搬送ローラ対632によって図8中破線で示す搬送路に沿って搬送され、載置部としての原稿排紙台620上に排紙される。
【0048】
本構成例2の画像読取部200は、上述した構成例1と同様、キャリッジ220を備えており、コンタクトガラス210に載置された原稿Gの画像を読み取ることもできる。本構成例2において、ADF600によって搬送される原稿Gの画像を読み取る場合、キャリッジ220は、図8中実線で示す位置(待機位置)に停止する。そして、キャリッジ220を静止したまま、ADF600によって搬送される原稿Gがキャリッジ220の上方の画像読取領域を通過する間、原稿G上の画像を読み取る。
【0049】
本構成例2のキャリッジ220にも、原稿Gに備わったRFIDタグ300Gに対して近距離無線通信を行う第二RFIDリーダー/ライター400が搭載されている。これにより、第二RFIDリーダー/ライター400は、待機位置に静止した状態のキャリッジ220の上方の画像読取領域を原稿Gが通過する際、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Gに記憶された情報を読み取ることができ、また、原稿GのRFIDタグ300Gへ情報を書き込むことができる。
【0050】
また、本構成例2の圧板251にも、図9に示すように、原稿Gに備わったRFIDタグ300Gに対して近距離無線通信を行う第一RFIDリーダー/ライター450が配置されている。これにより、第一RFIDリーダー/ライター450は、圧板251の上方に位置する原稿排紙台620に原稿Gが排紙される際、原稿GのRFIDタグ300Gと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Gに記憶された情報を読み取ることができ、また、原稿GのRFIDタグ300Gへ情報を書き込むことができる。
【0051】
また、本構成例2のキャリッジ220に搭載されている第二RFIDリーダー/ライター400も、画像形成部100によって画像形成される用紙Pに備わったRFIDタグ300Pに対して近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Pに記憶された情報を読み取ることができる。また、第二RFIDリーダー/ライター400は、画像が形成される用紙PのRFIDタグ300Pと近距離無線通信を行って、RFIDタグ300Pへ情報を書き込むことができる。
【0052】
本構成例2においても、上述した構成例1と同様、排紙部50の上段排紙トレイ50Bに排紙される用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う。すなわち、用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う際、図8においてキャリッジ220が仮想線で示されている位置(第二通信位置)へキャリッジ220を移動させ、ケース230の底面に設けられる開口部232を介して、用紙PのRFIDタグ300Pと近距離無線通信を行う。
【0053】
以上のように、本構成例2においても、原稿GのRFIDタグ300Gに対する読み取りや書き込みを行う処理と、画像形成される用紙PのRFIDタグ300Pに対する読み取りや書き込みを行う処理とが、同一の第二RFIDリーダー/ライター400を用いたそれぞれの近距離無線通信により行われる。これにより、上述した構成例1と同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、本構成例2のADF600は、原稿Gの搬送経路が図8に示すようにターンをしているので、プラスチックカードや厚紙などの原稿Gを搬送することができない。この場合、原稿Gを曲げずに搬送するストレート搬送路をADF600内に追加してもよい。
【0055】
次に、本実施形態における画像形成装置1における動作について説明する。
図10は、本実施形態における画像形成装置1の制御部500を含む主要な制御系の一例を示すブロック図である。
制御部500は、画像形成装置1の全体制御を行うもので、CPU、RAM、ROMなどのコンピュータ装置が各種制御プログラム等のコンピュータプログラムを実行することにより、各種処理、各種制御が実行される。
【0056】
制御部500は、原稿GのRFIDタグ300Gに対して情報の読み取りや書き込みの処理を行う際には、処理部として機能する。そして、操作部510に対するユーザー指示操作に従って、画像読取部200を制御して原稿Gの画像読取動作を実施するとともに、対応する第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400の少なくとも一方を制御して、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取りや書き込みを行う。なお、制御の結果やエラーの報知については、表示部520に表示する。
【0057】
また、制御部500は、画像形成部100が画像形成する用紙PのRFIDタグ300Pに対して情報の読み取りや書き込みの処理を行う際には、情報通信処理部として機能する。そして、操作部510に対するユーザー指示操作に従って、画像形成部100を制御して用紙Pへの画像形成動作を実施するとともに、第二RFIDリーダー/ライター400を制御して用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取りや書き込みを行う。なお、制御の結果やエラーの報知については、表示部520に表示する。
【0058】
また、制御部500は、原稿Gや用紙PのRFIDタグ300G,300Pに対する情報の読み取りや書き込みが完了した場合、例えば、RFIDタグ300G,300Pに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報や用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により、予め指定された送信先に電子メールを送信したり、所定のサーバへ送信したりする。
【0059】
次に、本実施形態における画像形成装置1における動作について説明する。
図11は、本実施形態における前記構成例1(フラットベッド型)の画像読取部200の動作の一例を示すフローチャートである。
RFIDタグ300Gが備わった原稿G上の画像を読み取る場合、まず、ユーザーは、コンタクトガラス210上に原稿Gを載置し、カバー250を閉じて圧板251により原稿Gを押さえる。その後、画像形成装置1の操作部510に対して、画像読取の条件を設定する指示操作を行い(S1)、原稿GのRFIDタグ300Gに情報を書き込む場合には、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S2)。
【0060】
この指示操作が操作部510に入力されると、制御部500は、キャリッジ220を移動させて(S3)、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行する。また、このキャリッジ220の移動の際に、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400を用いて、UHF周波数帯を用いた第二通信方式により、原稿GのRFIDタグ300Gから情報を読み取る動作を実行する(S4)。また、この読み取り動作とともに又はこの読み取り動作の前後のタイミングで、圧板251に配置された第一RFIDリーダー/ライター450を用いて、HF周波数帯を用いた第一通信方式により、原稿GのRFIDタグ300Gから情報を読み取る動作も実行する(S4)。なお、事前に通信方式の指示が入力されている場合には、指示されていない通信方式についての読み取り動作は実行する必要はない。
【0061】
このとき、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400のいずれによっても、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合(S5のNo)、制御部500は、例えば「RFIDの情報取得ができませんでした。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S6)、画像読取動作を終了する。
【0062】
一方、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400のいずれかにより原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに成功した場合(S5のYes)、制御部500は、次に、上述した処理ステップS2において選択された情報を、読み取りに成功した第一RFIDリーダー/ライター450又は第二RFIDリーダー/ライター400により、原稿GのRFIDタグ300Gに書き込む動作を実行する(S7)。そして、制御部500は、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取りや書き込みが完了したら、RFIDタグ300Gに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報とを、通信部530により送信する(S8)。
【0063】
図12は、本実施形態における前記構成例2(シートスルー型)の画像読取部200の動作の一例を示すフローチャートである。
ユーザーは、ADF600を閉じ、原稿載置台610上に原稿Gをセットする。その後、フラットベッド型と同様、ユーザーが、画像形成装置1の操作部510に対して指示操作を行うと(S11,S12)、制御部500は、ADF600により原稿Gを搬送して(S13)、搬送された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行する。また、この画像読取動作の際に、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400を用いて、UHF周波数帯を用いた第二通信方式により、原稿GのRFIDタグ300Gから情報を読み取る動作を実行する(S14)。また、搬送された原稿Gが原稿排紙台620に排紙される際、圧板251に配置された第一RFIDリーダー/ライター450を用いて、HF周波数帯を用いた第一通信方式により、原稿GのRFIDタグ300Gから情報を読み取る動作も実行する(S14)。
【0064】
このとき、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400のいずれによっても、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合(S15のNo)、制御部500は、例えば「RFIDの情報取得ができませんでした。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S16)、画像読取動作を終了する。
【0065】
一方、第一RFIDリーダー/ライター450及び第二RFIDリーダー/ライター400のいずれかにより原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに成功した場合(S15のYes)、制御部500は、次に、上述した処理ステップS12において選択された情報を、読み取りに成功した第一RFIDリーダー/ライター450又は第二RFIDリーダー/ライター400により、原稿GのRFIDタグ300Gに書き込む動作を実行する(S17)。そして、制御部500は、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取りや書き込みが完了したら、RFIDタグ300Gに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報とを、通信部530により送信する(S18)。
【0066】
図13は、本実施形態における画像形成部100の動作の一例を示すフローチャートである。
RFIDタグ300Pが備わった用紙Pに画像を形成する場合、まず、ユーザーは、例えばパソコン(PC)を操作することにより、プリントする画像データを指定したり画像形成の条件を設定したりする指示操作を行う(S21)。また、ユーザーは、用紙PのRFIDタグ300Pに情報を書き込む場合には、例えばパソコン(PC)を操作することにより、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S22)。
【0067】
この指示操作がパソコンから通信部530を介して入力されると、制御部500は、キャリッジ移動制御部240を制御して、用紙PのRFIDタグ300Pとの近距離無線通信を行う通信位置(図1においてキャリッジ220が実線で示されている位置、図8においてキャリッジ220が仮想線で示されている位置)に、キャリッジ220を移動させる(S23)。そして、画像形成部100により用紙Pに対する画像形成動作を実行する(S24)。
【0068】
そして、制御部500は、画像形成された用紙Pが上段排紙トレイ50Bへ排紙される際、キャリッジ220上の第二RFIDリーダー/ライター400及び上段排紙トレイ50Bの第三RFIDリーダー/ライター460により、用紙PのRFIDタグ300Pから情報の読み取り動作を実行する(S25)。このとき、第二RFIDリーダー/ライター400及び第三RFIDリーダー/ライター460のいずれによっても、用紙PのRFIDタグ300Pからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合(S25のNo)、制御部500は、例えば、「RFIDの情報取得ができませんでした。」というような警告メッセージを通信部530からユーザーのパソコンへ送信して当該パソコンに表示させ(S26)、画像形成動作を終了する。
【0069】
一方、第二RFIDリーダー/ライター400及び第三RFIDリーダー/ライター460のいずれかにより用紙PのRFIDタグ300Pからの情報(ID情報など)の読み取りに成功した場合(S25のYes)、制御部500は、次に、上述した処理ステップS22において選択された情報を、読み取りに成功した第二RFIDリーダー/ライター400又は第三RFIDリーダー/ライター460により、用紙PのRFIDタグ300Pに書き込む動作を実行する(S27)。そして、制御部500は、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取りや書き込みが完了したら、RFIDタグ300Pに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により送信する(S28)。
【0070】
図14は、本実施形態における前記構成例1(フラットベッド型)の画像読取部200を用いたコピー動作の一例を示すフローチャートである。
RFIDタグ300Gが備わった原稿Gをコピーする場合、まず、ユーザーは、コンタクトガラス210上に原稿Gを載置し、カバー250を閉じて圧板251により原稿Gを押さえる。その後、ユーザーは、画像形成装置1の操作部510に対して、画像読取の条件を設定するなどの指示操作を行い(S31)、原稿Gの画像と一緒に原稿GのRFIDタグ300Gの情報もコピーするかどうかを操作部510に対して選択操作する(S32)。
【0071】
ユーザーが原稿GのRFIDタグ300Gの情報をコピーしない(原稿Gの画像だけをコピーする)ことを選択した場合(S32のNo)、原稿GのRFIDタグ300Gに情報を書き込む場合には、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S33)。そして、制御部500は、キャリッジ220を移動させて(S34)、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行するとともに、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作を実行する(S35)。なお、このとき、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合には、上述したように、警告メッセージを表示部520に表示する。
【0072】
制御部500は、次に、原稿GのRFIDタグ300Gから読み出したセキュリティレベル等の情報に基づき、当該原稿Gの画像がコピー可能かコピー禁止かを判断する(S36)。このとき、コピー禁止であると判断した場合(S36のNo)、制御部500は、例えば「セキュリティによりコピーできません。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S37)、コピー動作を終了する。
【0073】
一方、コピー可能であると判断した場合(S36のYes)、制御部500は、原稿Gから読み取った画像を画像形成部100により用紙P上に形成する画像形成動作を実行する(S38)。その後、RFIDタグ300Gに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報と、用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により送信する(S39)。
【0074】
また、ユーザーが原稿GのRFIDタグ300Gの情報もコピーすることを選択した場合(S32のYes)、原稿GのRFIDタグ300Gに情報を書き込む場合には、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S40)。そして、制御部500は、キャリッジ220を移動させて(S41)、コンタクトガラス210上に載置された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行するとともに、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作を実行する(S42)。なお、このとき、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合には、上述したように、警告メッセージを表示部520に表示する。
【0075】
制御部500は、次に、原稿GのRFIDタグ300Gから読み出したセキュリティレベル等の情報に基づき、当該原稿Gの画像がコピー可能かコピー禁止かを判断する(S43)。このとき、コピー禁止であると判断した場合(S43のNo)、制御部500は、例えば「セキュリティによりコピーできません。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S44)、コピー動作を終了する。
【0076】
一方、コピー可能であると判断した場合(S43のYes)、制御部500は、キャリッジ移動制御部240を制御して、用紙PのRFIDタグ300Pとの近距離無線通信を行う通信位置(図1においてキャリッジ220が実線で示されている位置、図8においてキャリッジ220が仮想線で示されている位置)に、キャリッジ220を移動させる(S45)。そして、制御部500は、原稿Gから読み取った画像を画像形成部100により用紙P上に形成する画像形成動作を実行する(S46)。
【0077】
その後、制御部500は、画像形成された用紙Pが上段排紙トレイ50Bへ排紙される際、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作(原稿GのRFIDタグ300Gから読み取った情報の書き込み)を実行する(S47)。そして、RFIDタグ300GやRFIDタグ300Pに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報と、用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により送信する(S48)。
【0078】
図15は、本実施形態における前記構成例2(シートスルー型)の画像読取部200を用いたコピー動作の一例を示すフローチャートである。
RFIDタグ300Gが備わった原稿Gをコピーする場合、まず、ユーザーは、ADF600を閉じて原稿載置台610上に原稿Gをセットする。その後、ユーザーは、画像形成装置1の操作部510に対して、画像読取の条件を設定するなどの指示操作を行い(S51)。原稿Gの画像と一緒に原稿GのRFIDタグ300Gの情報もコピーするかどうかを操作部510に対して選択操作する(S52)。
【0079】
ユーザーが原稿GのRFIDタグ300Gの情報をコピーしない(原稿Gの画像だけをコピーする)ことを選択した場合(S52のNo)、原稿GのRFIDタグ300Gに情報を書き込む場合には、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S53)。そして、制御部500は、ADF600により原稿Gを搬送して(S54)、搬送された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行するとともに、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作を実行する(S55)。なお、このとき、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合には、上述したように、警告メッセージを表示部520に表示する。
【0080】
制御部500は、次に、原稿GのRFIDタグ300Gから読み出したセキュリティレベル等の情報に基づき、当該原稿Gの画像がコピー可能かコピー禁止かを判断する(S56)。このとき、コピー禁止であると判断した場合(S56のNo)、制御部500は、例えば「セキュリティによりコピーできません。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S57)、コピー動作を終了する。
【0081】
一方、コピー可能であると判断した場合(S56のYes)、制御部500は、原稿Gから読み取った画像を画像形成部100により用紙P上に形成する画像形成動作を実行する(S58)。その後、RFIDタグ300Gに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報と、用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により送信する(S59)。
【0082】
また、ユーザーが原稿GのRFIDタグ300Gの情報もコピーすることを選択した場合(S52のYes)、原稿GのRFIDタグ300Gに情報を書き込む場合には、書き込む情報(日時情報、ユーザー情報、セキュリティーレベル等)を選択する指示操作を行う(S60)。そして、制御部500は、ADF600により原稿Gを搬送して(S61)、搬送された原稿Gの画像を読み取る画像読取動作を実行するとともに、原稿GのRFIDタグ300Gに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作を実行する(S62)。なお、このとき、原稿GのRFIDタグ300Gからの情報(ID情報など)の読み取りに失敗した場合には、上述したように、警告メッセージを表示部520に表示する。
【0083】
制御部500は、次に、原稿GのRFIDタグ300Gから読み出したセキュリティレベル等の情報に基づき、当該原稿Gの画像がコピー可能かコピー禁止かを判断する(S63)。このとき、コピー禁止であると判断した場合(S63のNo)、制御部500は、例えば「セキュリティによりコピーできません。」というような警告メッセージを表示部520に表示し(S64)、コピー動作を終了する。
【0084】
一方、コピー可能であると判断した場合(S63のYes)、制御部500は、キャリッジ移動制御部240を制御して、用紙PのRFIDタグ300Pとの近距離無線通信を行う通信位置(図1においてキャリッジ220が実線で示されている位置、図8においてキャリッジ220が仮想線で示されている位置)に、キャリッジ220を移動させる(S65)。そして、制御部500は、原稿Gから読み取った画像を画像形成部100により用紙P上に形成する画像形成動作を実行する(S66)。
【0085】
その後、制御部500は、画像形成された用紙Pが上段排紙トレイ50Bへ排紙される際、用紙PのRFIDタグ300Pに対する情報の読み取り動作及び書き込み動作(原稿GのRFIDタグ300Gから読み取った情報の書き込み)を実行する(S67)。そして、RFIDタグ300GやRFIDタグ300Pに対する読み取った情報や書き込んだ情報と、原稿Gから読み取った画像の情報と、用紙Pに形成した画像の情報とを、通信部530により送信する(S68)。
【0086】
なお、RFIDタグ300G,300Pが付設された原稿Gや用紙Pの活用事例としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0087】
〔活用事例1〕
従来、オフィスの多数のキャビネットに分けて原稿Gや用紙Pなどの書類が収納されている場合、その中から目的の書類を探すためには、キャビネットごとに、一つ一つ書類を取り出し、中身を確認するなどの作業が発生し、非常に時間を要していた。キャビネットごとに書類が適切に分類されている場合でも、複数の者に共有で使用される書類は、元の場所に戻されないことがあり、目的の書類を探すために時間を要することがある。
【0088】
RFIDタグ300G,300Pが貼付された原稿Gや用紙Pなどの書類であれば、例えば、その原稿Gの画像を画像読取装置で読み取るとともに、その原稿GのRFIDタグ300GのID情報を読み取って、これらの画像情報及びID情報を互いに関連づけてサーバ装置へ送信して管理できる。また、この書類を収容するキャビネットにRFIDリーダー/ライターを設置しておけば、キャビネットに収容されている書類のRFIDタグ300GからID情報を読み取ってサーバ装置へ送信することで、どの書類がどのキャビネットに収容されているのかをサーバ装置で管理することができる。その結果、目的の書類がどのキャビネットに収容されているかをサーバ装置で検察することができるようになり、目的の書類を探すために要する時間を大幅に短縮できる。
【0089】
〔活用事例2〕
従来、法定文書などは保管期限があり、保管期限を過ぎると破棄されるが、保管期限が過ぎる前に誤って破棄されてしまう事例が多数報告されている。法定文書などの破棄作業は、一定量の文書をまとめて破棄することが多く、その中に保管期限を過ぎていない文書が紛れ込んでしまって、誤って破棄されることが原因の一つになっている。
【0090】
法定文書にRFIDタグ300G,300Pが貼付し、例えば、その法定文書の画像を画像読取装置で読み取るとともに、その文書のRFIDタグ300GのID情報を読み取り、かつ、そのRFIDタグ300Gに保存期限を書き込む、これにより、破棄作業の際、例えばハンディータイプのRFIDリーダーを用いて、多数の文書について一括で保存期限を確認し、保存期限を超えていない文書が紛れていないかどうかを確認することができる。これにより、簡単な作業で誤破棄の防止を実現することができる。
【0091】
〔活用事例3〕
従来、本人確認のために免許証をコピーした用紙を提出してもらい保管する場合があるが、改ざんなどがなされていても、これを見抜くことが難しい。このとき、免許証のコピー時に、その免許証の画像をコピーした用紙のRFIDタグ300Pに、その免許証のRFIDタグ300Gから読み出した情報を書き込むことで、用紙上の免許証の画像と、その用紙のRFIDタグ300Pに書き込まれた情報の両方を用いた二重チェックが可能となり、改ざん防止に有効となる。
【0092】
〔活用事例4〕
RFIDタグ300G,300Pには、ID情報だけでなく、多くの情報(例えば数千文字以上の情報)を書き込んで読み出すことができる。しかしながら、RFIDタグ300G,300P内に書き込まれている情報は、人間が直接的に認識することはできない。RFIDリーダーでRFIDタグ300G,300P内の情報を読み取って画面に表示する方法により人間が認識できるようにすることは可能であるが、情報量が多いと、画面では見にくいという欠点がある。このとき、画像形成装置1の画像読取部200でRFIDタグ内の情報を読み取り、読み取った情報を画像形成部100で用紙P上に画像形成すれば、RFIDタグ内の情報を人間が容易に認識することができるようになる。
【0093】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、被読取対象物(例えば原稿G)に備わった情報記憶部(例えばRFIDタグ300G)に対して近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う処理部(例えば制御部500)を有する画像読取装置(例えば画像読取部200)であって、前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第一通信方式(例えばHF周波数帯のRFID通信方式)により近距離無線通信を行う第一アンテナ部(例えば第一RFIDリーダー/ライター450)と、前記被読取対象物に備わった情報記憶部と第二通信方式(例えばUHF周波数帯のRFID通信方式)により近距離無線通信を行う第二アンテナ部(例えば第二RFIDリーダー/ライター400)とを有し、前記処理部は、前記第一通信方式又は前記第二通信方式により近距離無線通信を行って、前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とするものである。
本態様においては、被読取対象物に備わった情報記憶部に対し、第一通信方式又は第二通信方式により近距離無線通信を行って、情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行うことができる。よって、通信方式の異なる複数種類の情報記憶部をそれぞれ備えた被読取対象物に対し、その情報記憶部に対して情報の読取処理や書込処理を行うことができ、幅広い被読取対象物に対応することができる。
【0094】
[第2態様]
第1態様は、第1態様において、載置面(コンタクトガラス210の面)に載置された被読取対象物(例えば原稿G)を押さえる押さえ部材(例えば圧板251,255)と、前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部(例えばキャリッジ220)とを有し、前記第一アンテナ部が前記押さえ部材に配置され、前記第二アンテナ部が前記移動読取部に配置されていることを特徴とするものである。
それぞれの通信方式に対応する第一アンテナ部及び第二アンテナ部は、押さえ部材及び移動読取部のうちのいずれか一方のように、同じ部材に配置することもできる。しかしながら、このように第一アンテナ部及び第二アンテナ部を同じ部材に配置した場合、当該部材が大型化し、画像読取装置の大型化が避けられない。
本態様によれば、第一アンテナ部及び第二アンテナ部を押さえ部材と移動読取部のそれぞれに分散して配置したことで、押さえ部材及び移動読取部の個々の大型化が抑制され、画像読取装置の大型化を回避しやすい。
【0095】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記第一通信方式は、前記第二通信方式よりも通信距離が短い通信方式であることを特徴とするものである。
これによれば、移動読取部よりも被読取対象物の近く配置される押さえ部材に配置される第一アンテナ部については、通信距離が短い通信方式の近距離無線通信を採用し、押さえ部材よりも被読取対象物から離れて配置される移動読取部に配置される第二アンテナ部については、通信距離の長い通信方式の近距離無線通信を採用することができる。これにより、被読取対象物の情報記憶部に対し、いずれの通信方式についても適切な近距離無線通信を実現することができる。
【0096】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記第一通信方式及び前記第二通信方式は、互いに周波数帯の異なる電波を用いるRFIDの通信方式であることを特徴とするものである。
これによれば、広く普及しているRFIDタグを情報記憶部として備える被読取対象物に対応することができる。
【0097】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記第一通信方式は、HF(High Frequency)周波数帯の電波を用いるものであり、前記第二通信方式は、UHF(Ultra High Frequency)周波数帯の電波を用いるものであることを特徴とするものである。
これによれば、広く普及しているHF周波数帯のRFIDタグとUHF周波数帯のRFIDタグのいずれにも対応することができる。
【0098】
[第6態様]
第6態様は、第2乃至第5態様のいずれかにおいて、被読取対象物を搬送する搬送部(例えばADF600)を有し、前記処理部は、前記搬送部により搬送されている被読取対象物上の画像を静止状態の前記移動読取部により読み取る際に、該被読取対象物に備わった情報記憶部に対して前記第二アンテナ部の近距離無線通信により前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とするものである。
これによれば、より多くの被読取対象物に対して短時間での処理が可能となり、生産性が向上する。
【0099】
[第7態様]
第7態様は、第2乃至第5態様のいずれかにおいて、被読取対象物を搬送する搬送部(例えばADF600)と、前記押さえ部材の上方に配置され、前記搬送部により搬送された被読取対象物が載置される載置部(例えば原稿排紙台620)とを有し、前記処理部は、前記搬送部による搬送中に画像が読み取られる被読取対象物が前記載置部へ載置される際に、該被読取対象物に備わった情報記憶部に対して前記第一アンテナ部の近距離無線通信により前記少なくとも一方の処理を行うことを特徴とするものである。
これによれば、押さえ部材に配置される第一アンテナ部が通信距離の短い通信方式であっても、当該第一アンテナ部の近距離無線通信により、載置部へ搬送された被読取対象物の情報記憶部に対して情報の読取処理や書込処理を行うことができる。
【0100】
[第8態様]
第8態様は、第6又は第7態様において、前記搬送部は、被読取対象物を曲げずに搬送するストレート搬送路を介して被読取対象物を搬送することを特徴とするものである。
これによれば、プラスチックカードや厚紙などのように、曲げて搬送することが困難な被読取対象物であっても搬送部で搬送して、被読取対象物の画像の読み取りとともに、被読取対象物の情報記憶部に対する情報の読取処理や書込処理を行うことができる。
【0101】
[第9態様]
第9態様は、被画像形成対象物(例えば用紙P)上に画像を形成し、画像形成後の被画像形成対象物が排出される複数の排出部(例えば下段排紙トレイ50Aと上段排紙トレイ50B)を上部に備える画像形成部100と、前記画像形成部の上方に配置され、載置面(コンタクトガラス210の面)に載置された被読取対象物(例えば原稿G)を押さえる押さえ部材(例えば圧板251,255)、及び、前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部(例えばキャリッジ220)を備える画像読取部200とを有する画像形成装置1であって、前記画像読取部は、第1乃至第7態様のいずれかの画像読取装置であり、前記複数の排出部のうちの最上位に位置する排出部(例えば上段排紙トレイ50B)に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部(例えばRFIDタグ300P)に対し、前記第一アンテナ部及び前記第二アンテナ部のうちの少なくとも一方のアンテナ部の近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う情報通信処理部を有することを特徴とするものである。
本態様においては、画像読取部における第一アンテナ部及び第二アンテナ部のうちの少なくとも一方のアンテナ部を利用して、画像形成部における排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部に対する情報の読取処理や書込処理を行うことができる。
しかも、本態様によれば、画像形成部における複数の排出部のうちで当該少なくとも一方のアンテナ部に最も近い最上位の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部と近距離無線通信を行うため、より安定して通信を行うことができる。特に、通信距離を適切に設定することで、画像形成部における複数の排出部のうちの最上位の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部とだけ近距離無線通信を行うことができ、他の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部に対して誤って読取処理や書込処理がなされる事態を回避することができる。
【0102】
[第10態様]
第10態様は、被画像形成対象物(例えば用紙P)上に画像を形成し、画像形成後の被画像形成対象物が排出される複数の排出部(例えば下段排紙トレイ50Aと上段排紙トレイ50B)を上部に備える画像形成部100と、前記画像形成部の上方に配置され、載置面(コンタクトガラス210の面)に載置された被読取対象物(例えば原稿G)を押さえる押さえ部材(例えば圧板251,255)、及び、前記載置面に沿って移動しながら前記被読取対象物上の画像を読み取る移動読取部(例えばキャリッジ220)を備える画像読取部200とを有する画像形成装置1であって、前記押さえ部材及び前記移動読取部のうちの少なくとも一方に、前記被画像形成対象物に備わった情報記憶部(例えばRFIDタグ300P)と近距離無線通信を行うアンテナ部(例えば第二RFIDリーダー/ライター400)が配置され、前記複数の排出部のうちの最上位に位置する排出部(例えば上段排紙トレイ50B)に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対して前記アンテナ部の近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行う情報通信処理部を有することを特徴とするものである。
本態様においては、画像読取部における第一アンテナ部及び第二アンテナ部のうちの少なくとも一方のアンテナ部を利用して、画像形成部における排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部に対する情報の読取処理や書込処理を行うことができる。
しかも、本態様によれば、画像形成部における複数の排出部のうちで当該少なくとも一方のアンテナ部に最も近い最上位の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部と近距離無線通信を行うため、より安定して通信を行うことができる。特に、通信距離を適切に設定することで、画像形成部における複数の排出部のうちの最上位の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部とだけ近距離無線通信を行うことができ、他の排出部に排出される被画像形成対象物の情報記憶部に対して誤って読取処理や書込処理がなされる事態を回避することができる。
【0103】
[第11態様]
第11態様は、第9又は第10態様において、前記情報通信処理部が用いるアンテナ部は、前記移動読取部に配置されているアンテナ部であることを特徴とするものである。
これによれば、移動読取部を移動することによりアンテナ部を適切な通信位置に移動させることができるので、被画像形成対象物の情報記憶部に対してより適切に読取処理や書込処理を行うことができる。
【0104】
[第12態様]
第12態様は、第9乃至第11態様のいずれかにおいて、前記最上位に位置する排出部は、前記情報通信処理部が用いるアンテナ部の下方に配置されていることを特徴とするものである。
これによれば、被画像形成対象物の情報記憶部に対してより適切に読取処理や書込処理を行うことができる。
【0105】
[第13態様]
第13態様は、第9乃至第12態様のいずれかにおいて、前記画像形成部は、前記最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対して、前記情報通信処理部が用いるアンテナ部とは異なる通信方式の近距離無線通信を行う第三アンテナ部(例えば第三RFIDリーダー/ライター460)を有し、前記情報通信処理部は、前記最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対し、該情報通信処理部が用いるアンテナ部又は前記第三アンテナ部の近距離無線通信により情報の読取処理及び書込処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とするものである。
これによれば、最上位に位置する排出部に排出される被画像形成対象物に備わった情報記憶部に対しても、複数の通信方式に対応することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 :画像形成装置
10 :作像部
11 :感光体
20 :中間転写ベルト
30 :二次転写装置
40 :定着装置
50 :排紙部
50A :下段排紙トレイ
50B :上段排紙トレイ
60 :用紙収容部
60A,60B:給紙トレイ
100 :画像形成部
200 :画像読取部
210 :コンタクトガラス
220 :キャリッジ
230 :ケース
232 :開口部
240 :キャリッジ移動制御部
250 :カバー
250a:ベース部材
250b,250c:弾性体
251,255:圧板
253 :ヒンジ
300G,300P:RFIDタグ
400,410,420,450,460:RFIDリーダー/ライター
500 :制御部
510 :操作部
520 :表示部
530 :通信部
600 :ADF
610 :原稿載置台
620 :原稿排紙台
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【文献】特開2001-160117号公報
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