(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240510BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
(21)【出願番号】P 2020108375
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2020086548
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】曽根 慶太
(72)【発明者】
【氏名】助迫 昌樹
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-123110(JP,A)
【文献】特開2007-298868(JP,A)
【文献】特開2013-246208(JP,A)
【文献】特開2002-244395(JP,A)
【文献】特開2003-066676(JP,A)
【文献】特許第6115209(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体および現像剤担持体を有し、前記現像剤担持体が担持する現像剤を前記像担持体に付着させて可視像を作像する複数の作像ユニットと、
画像濃度周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段とを備える画像形成装置において、
前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる制御を実施する制御手段
と、
イエロー色の可視像を作像するイエロー作像ユニットと、
シアン色の可視像を作像するシアン作像ユニットと、
マゼンタ色の可視像を作像するマゼンタ作像ユニットと、
黒色の可視像を作像する黒作像ユニットとを備え、
前記制御手段は、前記イエロー作像ユニットと、前記シアン作像ユニットと、前記マゼンタ作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させ、前記黒作像ユニットの画像濃度周期変動を、前記イエロー作像ユニットと、前記シアン作像ユニットと、前記マゼンタ作像ユニットの画像濃度周期変動の位相に対して半周期ずらす制御を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像形成装置において、
各作像ユニットは、前記像担持体または前記現像剤担持体の回転基準位置を検知する回転基準位置検知手段と、
各作像ユニ
ットで作像された可視像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段とを備え、
前記画像濃度周期変動取得手段は、
各作像ユニットについて、前記回転基準位置検知手段で前記回転基準位置を検知しながら、画像パターンを作像し、
前記画像濃度検知手段で検知した画像パターンの検知結果と、前記回転基準位置検知手段の回転基準位置検知タイミングとに基づいて、前記画像濃度周期変動を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、
各作像ユニットについて、回転基準位置検知手段の前記回転基準位置を検知するタイミングと、前記画像濃度周期変動との関係を求め、
前記回転基準位置検知タイミングと前記画像濃度周期変動との関係に基づいて、各作像ユニットの前記像担持体または前記現像剤担持体の回転速度を求め、
所定期間、求めた回転速度で各作像ユニットの前記像担持体または前記現像剤担持体を回転駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項
2または3に記載の画像形成装置において、
前記画像パターンは、ハーフトーンパターンであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれか一項に記載の画像形成装置において、
複数の作像ユニットのひとつを基準の作像ユニットとし、
前記制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を、前記基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる制御を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの像担持体の回転速度を、基準の作像ユニットの像担持体の回転速度よりも速くして基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を前記基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの像担持体の回転速度を、基準の作像ユニットの像担持体の回転速度よりも遅くして基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を前記基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項
5乃至7いずれか一項に記載の画像形成装置において、
複数の作像ユニットのうち、前記基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる制御を実施する際に、制御量が最も少なくなる作像ユニットを、基準の作像ユニットとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8いずれか一項に記載の画像形成装置において、
各作像ユニットについて、作像条件を調整して前記画像濃度周期変動を抑制する画像濃度抑制手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、画像濃度抑制手段によって、各作像ユニットの画像濃度周期変動を抑制した後に、各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる制御を実施することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体および現像剤担持体を有し、現像剤担持体が担持する現像剤を像担持体に付着させて可視像を作像する複数の作像ユニットと、画像濃度周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段とを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、画像濃度周期変動取得手段が取得した像担持体一回転を一周期とする画像濃度周期変動に基づいて、現像バイアスおよび帯電バイアスを変化させて、画像濃度の周期変動を補正するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像濃度の周期変動を完全に無くすことができず、画像濃度の周期変動が残る場合がある。この場合、各作像ユニットで作像した可視像を重ねわせてフルカラー画像を形成したときに、画像の色合いが周期的に変化し、画像品質が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、像担持体および現像剤担持体を有し、前記現像剤担持体が担持する現像剤を前記像担持体に付着させて可視像を作像する複数の作像ユニットと、画像濃度周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する画像濃度周期変動取得手段とを備える画像形成装置において、前記画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる制御を実施する制御手段と、イエロー色の可視像を作像するイエロー作像ユニットと、シアン色の可視像を作像するシアン作像ユニットと、マゼンタ色の可視像を作像するマゼンタ作像ユニットと、黒色の可視像を作像する黒作像ユニットとを備え、前記制御手段は、前記イエロー作像ユニットと、前記シアン作像ユニットと、前記マゼンタ作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させ、前記黒作像ユニットの画像濃度周期変動を、前記イエロー作像ユニットと、前記シアン作像ユニットと、前記マゼンタ作像ユニットの画像濃度周期変動の位相に対して半周期ずらす制御を実施することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図。
【
図2】同画像形成装置のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図。
【
図3】同画像形成装置においてトナー像の濃度を検知するトナー付着量センサの構成例の説明図。
【
図4】同画像形成装置の制御系の要部構成の一例を示すブロック図。
【
図5】(a)は、Y色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフであり、(b)は、Y,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L
*、色度a
*、b
*を示すグラフ。
【
図6】Y,M,C色の画像濃度周期変動を取得する画像濃度周期変動取得制御のフロー図。
【
図8】
図7で例示した画像パターンを検知したときのトナー付着量センサの出力信号と感光体回転基準位置検知信号の測定例を示す説明図。
【
図9】画像濃度周期変動の位相合わせ制御フロー図。
【
図10】Y,M、C色の感光体の回転駆動の一例を示すシーケンス図。
【
図12】各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相が一致しているときと、一致していないときの明度の差ΔL
*および色度の差Δa
*、Δb
*を調べた結果。
【
図13】各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相が一致しているときと、一致していないときのY、M、C重ね合わせ画像の色差ΔEを示すグラフ。
【
図14】Y,M,C色の重ね合わせ画像に、画像濃度周期変動がY、M、C色の画像濃度周期変動の逆位相のK色画像を重ね合わせたときの明度L
*の周期変動を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図である。
図1を参照すると、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体(プリンタ部)100と、その装置本体が載せられた記録媒体供給部である給紙装置200と、装置本体100上に取り付けられた画像読取装置としてのスキャナ300とを備える。更に、本実施形態の画像形成装置1は、スキャナ300の上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400を備える。
【0009】
装置本体100は、その中央に、表面移動部材としての無端状ベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14、15、16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これら3つの支持ローラのうち、第二支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうち、第一支持ローラ14と第二支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、画像形成手段であるタンデム画像形成部20が対向配置されている。
【0010】
タンデム画像形成部20は、
図1に示すように、前記ベルト部分のベルト移動方向に沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの作像ユニット18Y、18M、18C、18Kを並べて配置した構成になっている。本実施形態においては、第三支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、露光手段としての露光装置21が設けられている。
【0011】
中間転写ベルト10を間にしてタンデム画像形成部20の反対側には、第二の転写手段としての二次転写装置22が設けられている。二次転写装置22においては、2つのローラ231、232間に転写シート搬送部材としての無端状ベルトである二次転写ベルト24が掛け渡されている。二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この二次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー像が記録媒体としての転写材である転写シートSに転写される。なお、
図1に示すように、二次転写ベルト24の外周面をクリーニングするクリーニング装置170を設けてもよい。
【0012】
二次転写装置22の図中左方には、転写シートS上に転写されたトナー像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、加熱される無端状ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。
【0013】
また、二次転写装置22には、トナー像を中間転写ベルト10から転写シートSに転写した後の転写シートSを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。また、二次転写装置22及び定着装置25の下には、タンデム画像形成部20と平行に、転写シートSの両面に画像を記録すべく転写シートSを反転するシート反転装置28が設けられている。
【0014】
上記構成の画像形成装置1を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、操作部のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。
【0015】
一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第一走行体33及び第二走行体34を走行させる。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに、原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して画像読取センサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0016】
上記原稿読み取りと並行して、駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14、15が連れ回り回転する。
【0017】
また、上記原稿読み取り及び中間転写ベルト10の移動と同時に、個々の作像ユニット18において像担持体としてのドラム状の感光体40Y、40M、40C、40Kを回転させる。そして、各感光体40Y、40M、40C、40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー像(顕像)を形成する。
【0018】
上記中間転写ベルト10の支持ローラ14,15間のベルト部分を挟んで各感光体40Y、40M、40C、40Kに対向する位置には、一次転写手段としての一次転写ローラからなる一次転写装置62Y、62M、62C、62Kが設けられている。この一次転写装置62Y、62M、62C、62Kにより、各感光体40Y、40M、40C、40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラートナー像を形成する。
【0019】
上記画像形成動作に並行して、給紙装置200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから転写シートSを繰り出す。そして、繰り出した転写シートSを、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して装置本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写シートSを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0020】
次に、中間転写ベルト10上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に転写シートSを送り込み、二次転写装置22で転写して転写シートS上にカラートナー像を転写する。
【0021】
トナー像転写後の転写シートSは、二次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で定着ベルト26と加圧ローラ27とによって熱と圧力とを加えて転写トナー像を定着する。この定着の後、切換爪55で切り替えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り替えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0022】
なお、トナー像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、トナー像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0023】
また、装置本体100は、中間転写ベルト10の外周面に形成されたトナー像の濃度を検知する濃度検知手段として、光学センサなどで構成された光学センサユニットである濃度検出センサとしてのトナー付着量センサ310を備えている。トナー付着量センサ310は、中間転写ベルト10上のトナーの付着量を検知して画像の濃度ムラを検出するために中間転写ベルト10上のトナー像の濃度を検出する濃度検出手段として機能し、トナー像検知センサやトナー付着量検知センサとも呼ばれる。トナー付着量センサ310により、画像ムラの補正制御に用いるために中間転写ベルト10の表面に形成された後述する補正制御用の画像パターンのトナー像の濃度を検知する。なお、中間転写ベルト10を間にしてトナー付着量センサ310に対向する位置には、
図1に示すように対向ローラ311を設けてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図である。なお、各作像ユニット18は、同様の構成をしているので、Y,M,C,Kの色符号は、適宜省略して説明する。
【0025】
作像ユニット18は、例えば、
図2に示すように、ドラム状の感光体40の周りに、帯電手段としての帯電装置60、電位センサ70、現像手段としての現像装置61、感光体クリーニング装置63、除電装置などを備えている。
【0026】
画像形成動作時には、感光体40は、像担持体回転駆動手段としての駆動モータによって矢印A方向に回転駆動される。そして、感光体40は、その表面が帯電装置60によって一様帯電された後、前述のスキャナ300からの原稿等の画像信号に基づいて制御された露光装置21からの書込露光Lによって露光され、静電潜像が形成される。スキャナ300からの画像データに基づくカラー画像信号は、画像処理部で色変換処理などの画像処理が施され、K、Y、M、Cの各色の画像信号として露光装置21へ出力される。露光装置21は、画像処理部からの画像信号を光信号に変換し、この光信号に基づいて一様に帯電された感光体40の表面を走査して露光することで静電潜像を形成する。
【0027】
現像装置61の現像剤担持体としての現像ローラ61aには現像バイアスが印加されており、感光体40上の静電潜像と、現像ローラ61aとの間に電位差である現像ポテンシャルが形成されている。この現像ポテンシャルにより現像ローラ61a上のトナーが現像ローラ61aから感光体40の静電潜像に転移することで、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。また、現像装置61内の現像剤搬送スクリュー61bが配設されている現像剤搬送部の底面部には、現像剤中のトナー濃度を検知することができるトナー濃度センサ312が設けられている。
【0028】
感光体40上に形成されたトナー像は、一次転写装置62によって中間転写ベルト10上に一次転写される。感光体40は、トナー像転写後に感光体クリーニング装置63によって残留トナーがクリーニングされ、除電装置により除電されて次の画像形成に備えられる。
【0029】
上記構成の画像形成装置1において、露光装置21及び帯電装置60Y、60M、60C、60Kは、感光体40Y、40M、40C,40Kの表面に静電潜像を形成する潜像形成手段として機能する。また、露光装置21、帯電装置60Y、60M、60C、60K及び現像装置61Y、61M、61C、61Kは、感光体40Y、40M、40C,40Kの表面にトナー像を形成するトナー像形成手段として機能する。
【0030】
また、本実施形態の画像形成装置1は、Y,M,Cの作像ユニット18には、感光体40の回転基準位置である被検知部71aを検出できる回転基準位置検出手段としてのフォトインタラプタ71を備えている。フォトインタラプタ71は、感光体40に設けられた被検知部71aを光学的に検出するものである。このフォトインタラプタ71は、例えば、発光素子と受光素子とが互いに対向して配置されており、その間を、感光体40に設けられた被検知部71aが通過し光をさえぎることにより、感光体の回転基準位置を検出するものである。なお、感光体40の回転基準位置を検出する回転基準位置検出手段は、フォトインタラプタ以外のものを用いてもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1においてトナー像の濃度を検知する画像濃度検知手段としてのトナー付着量センサ310の構成例の説明図である。
図3(a)は、黒トナー像の濃度検知に適した黒トナー付着量センサ310(K)の構成例を示し、
図3(b)は、黒以外のカラートナー像の濃度検知に適したカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)の構成例を示している。
【0032】
図3(a)に示すように、黒トナー付着量センサ310(K)は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する受光素子310bとから構成されている。発光素子310aは中間転写ベルト10上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト10によって反射される。受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光する。
【0033】
一方、
図3(b)に示すように、カラートナー付着量センサ310(Y,M,C)は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する受光素子310bと、拡散反射光を受光する受光素子310cとから構成されている。発光素子310aは、黒トナー付着量センサの場合と同様、中間転写ベルト10上に光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト10表面によって反射される。正反射受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光し、拡散反射光受光素子310cは、反射光のうち拡散反射光を受光する。
【0034】
なお、本実施形態では、発光素子として、発光される光のピーク波長が950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用い、受光素子としては、ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタなどを用いている。発光素子及び受光素子として、ピーク波長及びピーク受光感度がこれと異なるものを用いてもよい。また、黒トナー付着量センサ310(K)及びカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)と、検知対象物であるトナー像が転写されている中間転写ベルト10のベルト表面との間には、例えば5mm程度の距離(検出距離)を設けて配設されている。
【0035】
また、本実施形態では、トナー付着量センサ310を中間転写ベルト10近傍に設け、各感光体40Y、40M、40C、40Kに形成された所定の画像パターンのトナー像を中間転写ベルト10に転写してトナー像の画像濃度を検出している。その中間転写ベルト上で検知したトナーの画像濃度(トナー付着量)の検知結果に基づいて画像形成条件(作像条件)を決定する。このようにトナー付着量センサ310を中間転写ベルト10近傍に設けた構成であるが、トナー付着量センサ310は、感光体上40Y、40M、40C、40Kそれぞれの近傍や転写シートSを搬送する転写搬送ベルトの近傍に配設されていても構わない。そして、感光体40Y、40M、40C、40K上に形成されたトナー像の濃度を、中間転写ベルト10を介さずに直接検知したり、各感光体から転写搬送ベルトにトナー像を転写して検知したりしてもよい。
【0036】
黒トナー付着量センサ310(K)及びカラートナー付着量センサ310(Y,M,C)からの出力は、付着量変換アルゴリズムによってトナー付着量に変換される。付着量変換アルゴリズムについては、従来技術と同様なアルゴリズムを用いることができる。
【0037】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。
画像形成装置1は、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ装置で構成された制御手段たる制御部500を備えている。制御部500は、入力される画像情報に応じて、各作像ユニット18(Y,M,C,K)にそれぞれ設けられた感光体駆動モータ72などを制御して、出力画像の画質を調整する画質調整制御を行う制御手段として機能する。本実施形態の画質調整制御には、少なくとも、各作像ユニット18(Y,M,C)における感光体40の回転周期で発生する画像濃度周期変動を一致させるように、各感光体駆動モータ72(Y,M,C)の制御が含まれる。
【0038】
制御部500は、CPU(Central Processing Unit)501を備える。また、CPU501にバスライン502を介して接続された記憶手段としてのROM(Read Only Memory)503及びRAM(Random Access Memory)504と、I/Oインターフェース部505とを備えている。CPU501は、予め組み込まれているコンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、各種演算や各部の駆動制御を実行する。ROM503は、コンピュータプログラムや制御用のデータ等の固定的データを予め記憶する。RAM504は、各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能する。
【0039】
制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、装置本体(プリンタ部)100のトナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサが接続されている。ここで、トナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサは、各センサで検出した情報を制御部500に送り出す。また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、帯電装置60の帯電ローラに所定の帯電バイアスを印加する帯電バイアス設定部(帯電バイアス電源)330が接続されている。更に、現像装置61の現像ローラ61aに所定の現像バイアスを印加する現像バイアス設定部(現像バイアス電源)340が接続されている。
【0040】
また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、一次転写装置62(Y,M,C,K)の一次転写ローラに所定の一次転写バイアスを印加する一次転写バイアス設定部(一次転写バイアス電源)350が接続されている。更に、露光装置21の光源に所定の電圧を印加したり所定の電流を供給したりする露光設定部(光源電源部)360が接続されている。
【0041】
また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、給紙装置200、スキャナ300、原稿自動搬送装置400が接続されている。制御部500は、画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光量、一次転写バイアスなど)の制御目標値に基づいて、各部を制御する。
【0042】
ROM503またはRAM504には、例えば、トナー付着量センサ310の出力値に対する単位面積当りのトナー付着量への換算に関する情報を記憶した換算テーブルが格納されている。また、ROM503またはRAM504には、画像形成装置1における各作像ユニット18(Y,M,C,K)の画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光量、一次転写バイアス)の制御目標値が格納されている。
【0043】
なお、制御部500は、マイクロコンピュータ等のコンピュータ装置ではなく、例えば画像形成装置1における制御用に作製された半導体回路素子としてのICなどを用いて構成してもよい。
【0044】
次に、本実施形態の特徴部について説明する。
画像形成装置1に用いられる像担持体たる感光体40は、円筒形状で成型されているが、成型の際に生じる部品のばらつきにより、完全な円筒形状ではなく振れを有している。そのような部品の振れは、画像形成装置内での画像形成時に、画像上での感光体1回転を1周期とする画像濃度周期変動の原因となる。
【0045】
各色の画像濃度周期変動の位相が互いに異なると、フルカラー画像に色味の周期的な変動が生じ、画像品質を落としてしまう。このような色味は、Y、M、C色トナーを重ね合わせて形成するカラー部で発生する。
【0046】
図5(a)は、Y色の画像濃度周期変動と、M色の画像濃度周期変動と、C色の画像濃度周期変動とを示すグラフであり、
図5(b)は、Y,M,C色の画像を重ね合わせて形成した3Cグレー画像の副走査方向の明度L
*、色度a
*、b
*を示すグラフである。
図5(a)に示すように各色の画像濃度周期変動の位相が互いに異なる状態で、カラー画像を形成すると、
図5(b)に示すように、画像の明度L
*、色度a
*、b
*が周期的に変動する。特に、色度a
*、b
*の周期変動は、カラー画像の色味が周期的に変動することを意味し、このような色味の周期変動は、見た目の感度が高く、異常画像として指摘されるケースが多い。なお、K色について、感光体1回転を1周期とする画像濃度周期変動があっても、色度a
*、b
*が周期的に変動することがない。
【0047】
そこで、本実施形態では、Y、M、C色のカラー色について、画像濃度周期変動の位相を一致させるようにした。これにより、画像濃度が薄い箇所同士、画像濃度が濃い箇所同士が重なり、副走査方向各位置での各色の濃度差が低減される。これにより、色度a*、b*の周期変動の振幅を抑えることができ、色味の変化による画像品質の低下を抑制することができる。以下、図面を用いて、本実施形態の特徴部について具体的に説明する。
【0048】
図6は、Y,M,C色の画像濃度周期変動を取得する画像濃度周期変動取得制御のフロー図である。
【0049】
まず、各感光体40(Y,M,C)上にハーフトーン(中間調画像パターン)の画像パターンのトナー像を形成する。そして、各感光体上に形成された画像パターンのトナー像の画像濃度(トナー付着量)を、中間転写ベルト10上でトナー付着量センサ310によって検知する(S1)。この画像パターンの作像は、各感光体40(Y,M,C)の回転基準位置をフォトインタラプタ71(Y,M,C)によって検知しながら行われる。具体的には、露光装置21による画像パターンの書き込み開始からフォトインタラプタ71(Y,M,C)の回転基準位置である被検知部71aの検知が行われ、その結果、後述する
図8に示すような、画像濃度周期変動と感光体の回転基準位置との関係を得ることができる。また、フォトインタラプタ71(Y,M,C)の被検知部71aの検知に基づいて、露光装置21による画像パターンの書き込みを開始して、画像濃度周期変動と感光体の回転基準位置との関係を得るようにしてもよい。
【0050】
次に、制御部500は、トナー付着量センサ310で検知したトナー付着量検知信号(トナー像濃度検知信号)とフォトインタラプタ71で検知した感光体40の回転位置信号とを用いて、画像濃度周期変動の振幅Aと、位相θとを算出する(S2)。上記位相θは、後述する
図8に示すように、感光体回転基準位置検知信号510の検知終了部(出力が回復したところ)とトナー付着量検知信号511のピーク箇所の位相差である。
【0051】
以降、
図6に示した各ステップのより詳しい実施例について説明する。
図7は、画像パターンの一例について説明する図である。
図7(a)は、中間転写ベルト10の幅方向の中央に配置したトナー付着量センサ310(中央センサヘッド)のみを用いて検知する画像パターンの一例を示す説明図である。この例では、トナー付着量センサ310(中央センサヘッド)の検知領域に、ベルト移動方向Vに延在する各色の帯状のハーフトーンの画像パターン320(Y,M,C)のトナー像が順次形成される。そして、各色の帯状のハーフトーンの画像パターン320(Y,M,C)のトナー付着量(トナー像の濃度ムラ)が、トナー付着量センサ310で検出される。各画像パターン320(Y,M,C)のベルト移動方向Vにおける長さは、各色少なくとも感光体40の周長Lpの1周期以上の長さとしている。
【0052】
図7(b)は、複数のトナー付着量センサ310(センサヘッド)を用いて検知する画像パターンの一例を示す説明図である。この例では、複数のトナー付着量センサ310(センサヘッド)それぞれの検知領域に、ベルト移動方向Vに延在する各色の帯状のハーフトーンの画像パターン320(Y,M,C)のトナー像が形成される。そして、各色の帯状のハーフトーンの画像パターン320(Y,M,C)のトナー像の濃度ムラが、対応するトナー付着量センサ310で検出される。この場合も、
図7(a)の例と同様に、各画像パターン320(Y,M,C)は、帯状のハーフトーンのパターンであり、各色少なくとも感光体の周長Lpの1周期以上の長さとしている。
【0053】
ここで形成する画像パターン320は、ユーザーの視認性の高いハーフトーンパターンとしている。画像パターン320をハーフトーンとすることで、最も抑制したいハーフトーンの色味変動を抑制することが可能となる。
なお、画像パターン320をベタパターンとしてもよい。ベタパターンは、付着量フレ(後述する振幅A)が大きいため、画像パターン320をベタパターンとすることで、後述する位相θを精度よく検出できるメリットがある。
【0054】
図8は、
図7で例示した画像パターンを検知したときのトナー付着量センサ310の出力信号であるトナー付着量検知信号511と感光体回転基準位置検知信号510の測定例を示す説明図である。
図8に示しているように、トナー付着量検知信号511は、感光体回転基準位置検知信号510の周期と同じ周期で変動している。
【0055】
本実施形態の画像形成装置では、制御部500の信号処理において、トナー付着量センサ310からのトナー付着量検知信号511を感光体の一回転周期(感光体周期)毎に切り分ける処理を実行する。この処理には、フォトインタラプタ71からの感光体回転基準位置検知信号510が用いられる。例えば、
図8において、感光体回転基準位置検知信号510の検知終了部(出力が回復したところ)を時刻0として、感光体一周期分のトナー付着量検知信号511を取り出す。これにより、感光体一周期分(感光体回転の一周分)の画像濃度周期変動を複数取得することができる。
【0056】
制御部500は、感光体数周期分(感光体回転の数周分)のトナー付着量検知信号511それぞれの振幅A1、A2を算出する。そして、算出した振幅A1、A2と、感光体回転基準位置検知信号510の検知終了部とから、感光体数周期分(感光体回転の数周分)の位相θ1、θ2、・・・を求める。求めた複数の位相θ1、θ2・・・を平均化し、画像濃度周期変動の位相θを求める。この求めた画像濃度周期変動の位相θは、不揮発性のメモリに記憶し、後述する位相合わせ制御に用いる。
なお、画像濃度周期変動の位相θとは、
図8に示すように、感光体回転基準位置検知信号510の検知終了部とトナー付着量検知信号511のピーク箇所との位相差のことである。
【0057】
なお、感光体数周期分のトナー付着量検知信号の平均をとり、一周期分のトナー付着量検知信号のデータに加工して、トナー付着量検知信号511の振幅A、位相θを算出してもよい。また、
図8の例では、トナー付着量センサ310から出力されるトナー付着量検知信号511の振幅および位相情報を画像濃度ムラ情報として説明したが、トナー付着量センサ310から出力されるトナー付着量検知信号をトナー付着量に変換して振幅Aおよび位相θを得てもよい。
【0058】
上記画像濃度周期変動取得制御は、例えば、感光体がセットされた直後(初期セット時、交換時、脱着時、等)に行う。
感光体40を画像形成装置の本体100から取り外した場合に、感光体周期での画像濃度周期変動の発生状況が変化する可能性が高い。また、感光体交換時には、今まで使っていた感光体に対して、新しい感光体ではフレ特性が異なり、感光体40の1回転周期の画像濃度周期変動が異なる。また、感光体40のフレ特性と被検知部71aとの関係も互いに異なり、画像濃度周期変動の位相θが異なってくる。
【0059】
また、メンテナンスのために、単に感光体を脱着した場合においても、感光体脱着に伴う感光体の取り付け状況変化(感光体軸と回転軸方向に対するずれ方の変化)が生じる可能性がある。そのため、単に感光体を脱着した場合においても、再度、画像濃度周期変動の位相θを算出する必要がある。以上の様な理由により、感光体40がセットされた直後には画像濃度周期変動取得制御を実行し、位相θを求める。
【0060】
また、装置内の環境条件変動時にも同様に、画像濃度周期変動取得制御を実行し、位相θを求めてもよい。環境条件のうち、特に温度条件が変化した場合には、感光体素管が持っている熱膨張係数に応じて感光体素管が膨張・収縮する。このため、感光体40の外形プロファイルが変化し、現像ギャップの変動状況が変化することにより画像濃度の周期変動が変化する可能性がある。この変化に対応するため、環境条件変動時に画像濃度周期変動取得制御を実行し、位相θを求めるのが好ましい。画像濃度周期変動取得制御を実行するトリガの決め方としては、例えば、前回の画像濃度周期変動取得制御時と比較して、N[deg]以上の温度変化があった場合という決め方でもよい。また、一定枚数の印刷間隔でも同様に、画像濃度周期変動取得制御を実行してもよい。
【0061】
次に、画像濃度周期変動の位相合わせ制御について説明する。
図9は、画像濃度周期変動の位相合わせ制御フロー図である。
本実施形態では、Y色を基準にして、画像濃度周期変動の位相合わせを行う。
印刷要求があったら、制御部500は、まず、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相が一致するときのY色の感光体回転基準位置検知信号とM色の感光体回転基準位置検知信号との目標位相差θ
YMと、Y色の感光体回転基準位置検知信号とC色の感光体回転基準位置検知信号との目標位相差θ
YCとを算出する(S1)。
【0062】
Y色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をLY、M色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をLM、Y色の一次転写位置からM色の一次転写位置までの距離(ドラム間ピッチ)を感光体の周長で割って割り切れなかった値L1、Y色の画像濃度周期変動の位相をθY、M色の画像濃度周期変動の位相をθM、感光体40の回転速度をVとすると、目標位相差θYMは、以下の式で算出することができる。
θYM=|V(θY-θM)|+(LY+L1-LM)・・・(1)
【0063】
また、C色の現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離をLc、Y色の一次転写位置からC色の一次転写位置までの距離(ドラム間ピッチ)を感光体の周長で割って割り切れなかった値L2、C色の画像濃度周期変動の位相をθcとすると目標位相差θYcは、以下の式で算出することができる。
θYC=|V(θY-θC)|+(LY+L2-LM)・・・(2)
【0064】
ドラム間ピッチが、感光体の周長の整数倍で、現像位置から一次転写位置までの感光体移動距離がY、M,C色で同一の場合は、目標位相差θYMと目標位相差θYCは、画像濃度周期変動取得制御を実行して求めた画像濃度周期変動の位相θY、θm、θcのみを用いて算出することができる。
【0065】
また、式(1)、式(2)で算出した値が、感光体の周長を超えたときは、感光体の周長を差し引いて、感光体の周長以下にする。
なお、本実施形態では、画像濃度周期変動の位相合わせ制御時に目標位相差θ
YM、θ
YCを算出しているが、
図6に示した画像濃度周期変動取得制御時に目標位相差θ
YM、θ
YCを算出し、不揮発性メモリに記憶してもよい。
【0066】
次に、各感光体駆動モータ72(Y,M,C)を制御して、Y、M、C色の感光体を同一の回転速度で駆動(S2)し、実際のY色の感光体回転基準位置検知信号に対するM色の感光体回転基準位置検知信号との位相差θRYMと、Y色の感光体回転基準位置検知信号に対するC色の感光体回転基準位置検知信号との位相差θRYcとを求める(S13)。
【0067】
位相差θRYMは、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知してから、M色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知するまでの時間と、感光体の回転速度Vから求めることができる。
【0068】
位相差θRYcは、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知してから、C色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知するまでの時間を計測し、計測した時間と、感光体の回転速度Vとから求めることができる。なお、上記時間計測を複数回行って、その平均値から、位相差θRYM、θRYCを求めてもよい。
【0069】
次に、目標位相差θYM、θYCから、測定した位相差θRYM、θRYMを差し引いて位相ずれ量(調整量)ZYM、ZYCを算出する。同様に、上記式2で求めたY色とC色の画像濃度周期変動の位相が一致するときのY色の感光体回転基準位置検知信号に対するC色の感光体回転基準位置検知信号との目標位相差θYCと、測定した位相差θRYCとから、位相ずれ量(調整量)ZYCを算出する(S14)。
【0070】
そして、算出した位相ずれ量ZYM、ZYCに基づいて、Y,M、Cそれぞれの感光体駆動モータ72を制御して、予め決められた規定期間、Y、M、Cの感光体を所定の回転速度で回転させて、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させる(S15)。
【0071】
Y色の感光体の回転速度をVY、上記規定期間をTとすると、位相合わせ制御時のM色の感光体40Mの回転速度VMは、以下の式(3)で表すことができ、C色の感光体40Cの回転速度VCは、以下の式(4)で表すことができる。
VM=VY+(ZYM/T)・・・(式3)
VC=VY+(ZYC/T)・・・(式4)
【0072】
式3、式4からわかるように、算出した位相ずれ量ZYM、ZYCが、マイナスのときは、Y色の感光体の回転速度に対して減速させ、算出した位相ずれ量ZYM、ZYCがプラスのときは、Y色の感光体の回転速度に対して増速させる。
【0073】
図10は、Y,M、C色の感光体の回転駆動の一例を示すシーケンス図である。
図10に示すように、各感光体を所定のタイミングで駆動させ、位相差ずれを測定する。この例では、各感光体を互いに異なるタイミングで駆動させているが、各感光体を同時に駆動してもよい。
【0074】
そして、位相ずれ量Z
YM、Z
YCが算出され、Y色のフォトインタラプタ71が、回転基準位置である被検知部71aを検知したタイミングで、M色の感光体およびC色の感光体を加減速して位相合わせ制御を行う。この
図10に示す例では、感光体が2周する間に、各色の画像濃度周期変動の位相が合うように、M色とC色の回転速度を加減速させる。なお、
図10の例では、M色については、回転速度を減速させ、C色については、回転速度を増速させて各色の画像濃度周期変動の位相を合わせる。
【0075】
図10の例では、M色の感光体については増速、C色の感光体については減速して基準であるY色の画像濃度周期変動との位相差が0となるよう調整しているが、増速のみ、もしくは、減速のみでY色の画像濃度周期変動との位相差が0となるよう調整するようにしてもよい。このように、減速のみ、もしくは、増速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、制御が簡素化できるメリットがある。また、減速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、感光体駆動モータ72としてトルクの低い安価なモータを用いることができ、装置の低コスト化を図ることができるというメリットがある。
一方、増速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行うことで、減速のみで画像濃度の位相合わせ制御を行う場合に比べて、位相合わせ制御に必要な制御時間の短縮化を図れるメリットがある。
【0076】
また、上述では、Y色を基準にして、画像濃度周期変動の位相合わせを行っているが、最も制御量が少なくなる色を基準としてもよい。例えば、
図11に示す例では、Y色を基準としたとき、M色の位相ずれ量が多いため、M色の感光体の回転速度とY色の回転速度との差が大きくなってしまう。このように、速度差が大きいと、位相合わせ制御後にM色の感光体の回転速度が作像時の回転速度になるまで時間を要し、M色の画像濃度周期変動の位相が、Y色やC色に対してずれるおそれがある。位相合わせ制御の期間を長くすれば、速度差をあまりつけずに、画像濃度周期変動の位相合わせを行うことができる。しかし、位相合わせ制御の期間を長くすることで、プリント開始タイミングが遅れてしまう。
【0077】
よって、算出される位相ずれ量が最小となる色を基準色として、画像濃度周期変動の位相合わせを行うのが好ましい。
図11の示す例では、C色を画像濃度周期変動の位相合わせの基準色とする。どの色を基準色にするかは、位相ずれ量Z
YM、Z
YCの他に、C色とM色との位相ずれ量Z
Mcを算出する。そして算出した3つの位相ずれ量のうち、最大のものを除外した2つの位相ずれ量のどちらにも含まれる色を、基準色とする。基準色以外の色について、それぞれ感光体の回転速度を減速または増速させて画像濃度周期変動の位相合わせを行う。
【0078】
上述では、基準色以外の色の感光体を基準色の感光体の回転速度に対して所定期間、加減速してY、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させているが、算出した位相ずれ量に基づいて、基準色に対して、感光体の駆動タイミングをずらすことで、Y、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させてもよい。
【0079】
なお、Y、M、C色の感光体を、同一のタイミングで駆動、停止するようにして、画像濃度周期変動の位相合わせ制御後に、各感光体の回転位置関係が変化しないような装置であれば、印刷開始の都度、画像濃度周期変動の位相合わせ制御を行わなくてもよい。このような装置においては、感光体が装置本体にセットされた後の最初の印刷時など、各感光体の回転位置関係が変化するタイミングで行えばよい。
【0080】
また、各感光体を同一のタイミングで駆動、停止するようにしても、厳密に同一のタイミングで駆動や停止を行うのは難しく、徐々に位置関係がくずれるおそれがある。そのため、規定枚数毎に、画像濃度周期変動の位相合わせ制御を行うようにしてもよい。
【0081】
図12は、画像濃度周期変動位相合わせ制御を行って、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させたときの元画像に対する明度の差ΔL
*、色度の差Δa
*、Δb
*と、Y、Cの画像濃度周期変動に対してM色の画像濃度周期変動の位相が反転しているときの元画像に対する明度の差ΔL
*、色度の差Δa
*、Δb
*とを調べた結果である。
図12の左列が、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させたときの明度L
*、色度a
*、b
*を示しており、右列が、Y、Cの画像濃度周期変動に対してM色の画像濃度周期変動の位相が反転しているときの明度L
*、色度a
*、b
*を示している。
【0082】
図12の左列のY、M、Cの画像濃度周期変動は、濃度の高のピーク後に濃度が低のピークがくるようなCOS波である。右列のY、Cの画像濃度周期変動は、濃度の高のピーク後に濃度が低のピークがくるようなCOS波であり、Mの画像濃度周期変動は、濃度低のピーク後に濃度高のピークがくるようなCOS波である。
【0083】
図12の実線で示すように、Y、M、Cの3色重ね合わせた画像について、Y、Cの画像濃度周期変動に対してM色の画像濃度周期変動の位相が反転している場合に比べて、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させた場合の色度a*、b*の変動が抑えられていることがわかる。
【0084】
なお、色度a*については、M色については、濃度が高いときはプラス方向、Y、C色については、濃度が高いときはマイナス方向に変動し、色度b*については、Y色については、濃度が高いときはプラス方向、M、C色については、濃度が高いときはマイナス方向に変動する。
【0085】
図13は、画像濃度周期変動位相合わせ制御を行って、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させたときのY、M、C重ね合わせ画像の色差ΔEと、Y、Cの画像濃度周期変動に対してM色の画像濃度周期変動の位相が反転しているときの色差ΔEとを示すグラフである。
【0086】
図13からわかるように、M色の画像濃度周期変動が、Y,C色の画像濃度周期変動の位相とずれている従来例においては、3色重ね合わせ画像における色差ΔEが、1.5を超えている。これに対し、画像濃度周期変動位相合わせ制御を行って、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させた本実施形態においては、3色重ね合わせ画像における色差ΔEを、1以下に抑えることができる。
【0087】
画像濃度周期変動位相合わせ制御を行って、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相を一致させた本実施形態においては、Y,M,Cを適宜重ね合わせて形成するカラー画像部の色味変動を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。
【0088】
また、Y、M、Cの画像濃度周期変動の位相合わせを行うことで、Y、M、C色について、感光体の振れによる感光体表面速度変動が原因で生じる感光体の回転周期の画像伸縮変動の位相も一致させることができる。これにより、Y、M、C色の重ね合わせ画像の位置ずれも抑制できる。また、複数のトナーパッチを等間隔で形成した画像パターンを形成し、トナーパッチ間距離を計測して画像伸縮変動を検出する必要がなくなり、トナー消費量の低減や、装置のダウンタイムの低減を図ることができる。
【0089】
また、
図6に示す画像濃度周期変動取得制御で取得した画像濃度周期変動の振幅および位相に基づいて、帯電バイアスなどの作像条件を制御する画像濃度周期変動抑制制御を行って、画像濃度周期変動(振幅A)を低減するようにしてもよい。具体的には、上述したハーフトーンの画像パターンから取得した振幅Aおよび位相θに基づいて、中間調領域の画像濃度周期変動とは、逆位相となる帯電バイアス制御データとを作成する。
【0090】
また、上述したハーフトーンの画像パターンに続いて、ベタの帯状の画像パターンを形成して、ベタの帯状の画像パターンから高濃度領域の画像濃度周期変動の振幅と位相を取得し、高濃度領域の画像濃度周期変動とは、逆位相となる現像バイアス制御データを作成する。
【0091】
そして、作成した現像バイアス制御データに基づいて、現像バイアス設定部340を制御するとともに、作成した帯電バイアス制御データに基づいて、帯電バイアス設定部330を制御して画像を形成する。これにより、画像濃度周期変動が抑制された画像を形成することができる。なお、画像濃度周期変動抑制制御については、例えば、特許文献1などに開示されているため、詳細な説明は省略する。
【0092】
このように、画像濃度周期変動抑制制御を行うことで、Y、M、C重ね合わせ画像の色差ΔEをより一層抑制することができる。また、ハーフトーンの画像パターンから、帯電バイアス制御データと、画像濃度周期変動の位相合わせ制御に用いる目標位相差とを同時に算出できる。これにより、帯電バイアス制御データ算出用の画像パターンと、目標位相差算出用の画像パターンとをそれぞれ形成する場合に比べて、トナー消費やダウンタイムの軽減できる。
【0093】
また、ハーフトーンの画像パターンとベタ画像の画像パターンとを形成して、帯電バイアス制御データと現像バイアス制御データとを取得した後、画像濃度周期変動制御を行った状態で、再度、Y、M、C色のハーフトーンまたはベタの画像パターンを形成し、画像濃度周期変動の位相と振幅を再取得し、再取得するようにしてもよい。これは、例えば、過剰補正で補正前に対して画像濃度周期変動の位相が反転している場合などの、補正していないときと、補正しているときとで、画像濃度周期変動の位相が異なる場合があるからである。よって、画像濃度周期変動制御を行った状態で、再度、Y、M、C色のハーフトーンの画像パターンを形成し、画像濃度周期変動の位相と振幅を再取得することで、画像濃度周期変動抑制制御を行っているときのY、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させることができる。
【0094】
Y、M、C色の画像濃度周期変動の位相を一致させた本実施形態では、Y,M,Cの画像濃度が高い部分が重なり、画像濃度が低い部分が重なるため、
図12に示すように、明度L
*については、M色の画像濃度周期変動がY,C色の画像濃度周期変動の位相とずれている従来例よりも悪い結果となってしまう。
【0095】
そこで、明度L
*にしか感度を持たないK色を用いて、Y,M,Cの重ね合わせ画像の明度L
*の変動を補正するようにしてもよい。具体的には、K色に関しては、画像濃度周期変動の位相が、Y、M、Cとは逆位相となるように、位相調整を行う。K色の画像濃度周期変動の位相の取得は、上述のY,M、C色と同様にして取得することができる。そして、
図9などを用いて説明した画像濃度周期変動の位相合わせ制御において、基準色に対して逆位相となるようにK色の感光体の回転速度を制御することで、K色の画像濃度周期変動の位相を、Y、M、C色の画像濃度周期変動の逆位相にすることができる。
【0096】
そして、Y、M、CのY,M,Cを適宜重ね合わせて形成するカラー画像部に対して、K色のトナーを重ね合わせて、明度L*の周期変動を抑制する。カラー画像部に重ね合わせるK色の印字率は、カラー画像部における明度差と、K色の画像濃度周期変動の濃淡差に基づいて決定する。
【0097】
図14は、Y,M,C色の重ね合わせ画像に、画像濃度周期変動が、Y、M、C色の画像濃度周期変動の逆位相のK色画像を重ね合わせたときの明度L
*の周期変動を示す図である。
図14からわかるように、Y,M,C色の重ね合わせ画像に、画像濃度周期変動が、Y、M、C色の画像濃度周期変動の逆位相のK色画像を重ね合わせることで、明度L
*の周期変動を抑制できることがわかる。
【0098】
なお、ここまでの説明では、現像ギャップを形成する回転体である感光体40と現像ローラ61aとのうち、感光体40の回転変動成分である回転振れによって、現像ギャップの変動が生じる場合について説明した。現像ギャップの変動は、現像ローラ61aの回転変動成分である回転振れによっても生じる。
そのため、現像ローラ61aの回転周期の画像濃度周期変動の位相を、Y、M、C色で一致させてもよい。この場合は、現像ローラ61aに設けた回転基準位置である被検知部を検出するフォトインタラプタなどの回転基準位置検出手段を設ける。そして、現像ローラ61aの回転基準位置と、ハーフトーンまたはベタの画像パターンを検知したトナー付着量検知信号とから現像ローラ61aの回転周期の画像濃度周期変動の位相θを算出する。そして、算出した位相に基づいて、基準色のY色の現像ローラ61aの回転速度に対してM色、C色の回転速度を所定期間、加減速する現像ローラ61aの回転手記の画像濃度周期変動の位相合わせ制御を実施する。これにより、現像ローラ61aの回転周期の画像濃度周期変動によるカラー画像の色味変動を抑えることができる。
【0099】
なお、上記では、各作像ユニット18のトナー像を表面移動部材たる中間転写ベルト10の表面へ順次転写した後に、トナー像を記録材たる転写シートSに一括転写する4連タンデム型中間転写方式のフルカラー画像形成装置について説明したが、各作像ユニット18のトナー像を転写シートに直接順次転写する4連タンデム型直接転写方式のフルカラー画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
【0100】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
感光体40などの像担持体および現像ローラ61aなどの現像剤担持体を有し、現像剤担持体が担持する現像剤を像担持体に付着させて可視像を作像する複数の作像ユニット18と、画像濃度の周期変動を複数の作像ユニットそれぞれについて取得する制御部500などの画像濃度周期変動取得手段とを備える画像形成装置において、画像濃度周期変動取得手段が取得した各作像ユニットの画像濃度の周期変動に基づいて、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる制御を実施する制御部500などの制御手段を備える。
各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相が互いに異なる状態で、フルカラー画像を形成すると、第一色の可視像の画像濃度が濃い箇所に、この第一色とは異なる色の第二色の可視像の画像濃度が薄い箇所が重なる部分と、第一色の画像濃度が薄い箇所に、第二色の画像濃度が濃い箇所が重なる部分とが生じる。これにより、第一色と第二色とを重ねわせて構成する色の色味が周期的に変動し、画像品質が低下する。例えば、イエローの可視像とシアンの可視像とを重ね合わせてグリーン色を形成するとき、イエローの画像濃度が薄い箇所に、シアンの可視像の画像濃度が濃い箇所が重なっている部分のグリーン色は、青味がかる。逆に、イエローの可視像の画像濃度が濃い箇所に、シアンの可視像の画像濃度が薄い箇所が重なっている部分のグリーン色は、黄味がかる。その結果、グリーン色の色合いが周期的に変化し、画像品質が低下してしまうのである。
これに対し、態様1では、各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を合わせているので、各作像ユニットで作像した可視像を重ね合わせたとき、画像濃度の濃い箇所同士、画像濃度の薄い箇所同士が重なり合う。これにより、画像の色合いの変化を抑制することができ、画像品質の低下を抑制することができる。
【0101】
(態様2)
態様1において、イエロー色の可視像を作像するイエロー作像ユニット18Yと、シアン色の可視像を作像するシアン作像ユニット18Cと、マゼンタ色の可視像を作像するマゼンタ作像ユニット18Mと、黒色の可視像を作像する黒作像ユニット18Kとを備え、制御部500などの制御手段は、イエロー作像ユニットと、シアン作像ユニットと、マゼンタ作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる。
これによれば、実施形態で説明したように、フルカラー画像の色味の周期変動を抑制することができる。
【0102】
(態様3)
態様2において、制御部500などの制御手段は、黒作像ユニット18Kの画像濃度周期変動を、イエロー作像ユニット18Yと、シアン作像ユニット18Cと、マゼンタ作像ユニット18Mの画像濃度周期変動の位相に対して半周期ずらす制御を実施する。
これによれば、
図14を用いて説明したように、明度L
*の周期変動も抑制することができる。
【0103】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、各作像ユニット18は、感光体40などの像担持体または現像ローラ61aなどの現像剤担持体の被検知部71aなどの回転基準位置を検知するフォトインタラプタ71などの回転基準位置検知手段と、各作像ユニッで作像された可視像の画像濃度を検知するトナー付着量センサ310などの画像濃度検知手段とを備え、制御部500などの画像濃度周期変動取得手段は、各作像ユニット18について、回転基準位置検知手段で前記回転基準位置を検知しながら、画像パターンを作像し、画像濃度検知手段で検知した画像パターンの検知結果と、回転基準位置検知手段の回転基準位置検知タイミングとに基づいて、画像濃度周期変動を取得する。
これによれば、実施形態で説明したように、回転基準位置検知手段の回転基準位置を検知するタイミングに基づいて、トナー付着量センサ310などの画像濃度検知手段で検知したトナー付着量検知信号511などの画像パターンの検知結果を像担持体または現像剤担持体の一回転周期毎に切り分けることができ、像担持体または現像剤担持体の一回転周期の画像濃度周期変動を取得することができる。
【0104】
(態様5)
態様4において、制御部500などの制御手段は、各作像ユニットについて、フォトインタラプタ71などの回転基準位置検知手段の被検知部71aなどの回転基準位置検知タイミングと、画像濃度周期変動との関係(本実施形態では、回転基準位置検知タイミングと画像濃度周期変動のピーク箇所との位相差である位相θ)を求め、回転基準位置を検知するタイミングと画像濃度周期変動との関係に基づいて、各作像ユニットの像担持体または現像剤担持体の回転速度を求め、所定期間、求めた回転速度で各作像ユニットの像担持体または現像剤担持体を回転駆動する。
これによれば、実施形態で説明したように、各作像ユニットの像担持体または現像剤担持体の回転周期の画像濃度周期変動の位相を一致させることができる。
【0105】
(態様6)
態様4または5において、画像パターンは、ハーフトーンパターンである。
これによれば、実施形態で説明したように、ユーザーの視認性の高いハーフトーンの色味変動を抑制することができる。
【0106】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、複数の作像ユニットのひとつを基準の作像ユニットとし、制御部500などの制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を、基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる制御を実施する。
これによれば、実施形態で説明したように、記録材上で各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させることができる。
【0107】
(態様8)
態様7において、制御部500などの制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの感光体などの像担持体の回転速度を、基準の作像ユニットの像担持体の回転速度よりも速くして基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を前記基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる。
これによれば、実施形態で説明したように、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの感光体40などの像担持体の回転速度を、基準の作像ユニットの像担持体の回転速度よりも遅くして基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる場合に比べて、制御時間の短縮化を図ることができる。
【0108】
(態様9)
態様7において、制御部500などの制御手段は、基準の作像ユニット以外の作像ユニットの感光体40などの像担持体の回転速度を、基準の作像ユニットの像担持体の回転速度よりも遅くして基準の作像ユニット以外の作像ユニットの画像濃度周期変動を基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる。
これによれば、実施形態で説明したように、感光体40などの像担持体を駆動するモータとして、トルクの低い安価なモータを用いることができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0109】
(態様10)
態様7乃至9いずれかにおいて、複数の作像ユニットのうち、基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させる制御を実施する際に、制御量(本実施形態では、基準の作像ユニットに対する位相ずれ量)が最も少なくなる作像ユニットを、基準の作像ユニットとする。
これによれば、実施形態で説明したように、基準の作像ユニットに対する回転速度差を最も抑えて、基準の作像ユニットの画像濃度周期変動に一致させることができる。
【0110】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、各作像ユニットについて、作像条件を調整して画像濃度周期変動を抑制する制御部500などの画像濃度抑制手段を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、画像濃度周期変動の振幅Aを抑えることができ、重ね合わせ画像の色差ΔEをより一層抑制することができる。
【0111】
(態様12)
態様11において、制御部500などの制御手段は、画像濃度抑制手段によって、各作像ユニットの画像濃度周期変動を抑制した後に、各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させる制御を実施する。
これによれば、実施形態で説明したように、画像濃度周期変動抑制制御で除去できなかった各作像ユニットの画像濃度周期変動の位相を一致させることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 :画像形成装置
10 :中間転写ベルト
18 :作像ユニット
20 :タンデム画像形成部
40 :感光体
61 :現像装置
61a :現像ローラ
71 :フォトインタラプタ
71a :被検知部
72 :感光体駆動モータ
310 :トナー付着量センサ
320 :画像パターン
500 :制御部
510 :感光体回転基準位置検知信号
511 :トナー付着量検知信号
S :転写シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】