(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】消臭用粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20240510BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20240510BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240510BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/26
A61Q15/00
A61L9/01 B
(21)【出願番号】P 2019084870
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-03-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 慧記
(72)【発明者】
【氏名】阿児 拓海
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105186(JP,A)
【文献】特開2016-000719(JP,A)
【文献】特開2004-307375(JP,A)
【文献】特開2018-048088(JP,A)
【文献】特開2005-306847(JP,A)
【文献】特表2005-530724(JP,A)
【文献】国際公開第2003/086338(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)二酸化ケイ素と、(B)タルク及び/又は(C)ミョウバンとを含み、
前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の平均粒子径が20μm以下であり、
前記(A)成分を10~45重量%含む、消臭用粉末組成物
(ただし、銀担持リン酸三カルシウムとミョウバンと酸化亜鉛とを含有するものを除く)。
【請求項2】
前記(A)成分の平均粒子径(μm)と含有量(重量%)との積の総量が、40~510である、請求項1に記載の消臭用粉末組成物。
【請求項3】
前記(B)成分及び前記(C)成分の総量1重量部当たりの前記(A)成分の含有量が、0.2~1.4重量部である、請求項1又は2に記載の消臭用粉末組成物。
【請求項4】
前記(B)成分及び前記(C)成分の総量が35~65重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
【請求項5】
更に(D)アルミニウムクロロ化合物を含む、請求項1~4のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
【請求項6】
履物の内部に散布して使用する、請求項1~5のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布面への散布性が向上した消臭用粉末組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活臭や体臭への意識の高まりに伴い、消臭を目的とした製品が提供されている。消臭用製品は、通常、液状又は固形(スティック)状の形態で提供されている。また、このような消臭用製品に配合される成分は消臭メカニズムに応じて選択されており、例えば、臭いの原因菌に作用する抗菌成分、臭いの原因を発生する汗を抑制する制汗成分、臭いを吸着する消臭成分等が挙げられる。
【0003】
具体的には、抗菌成分としては、ミョウバン(特許文献1)、ウンデシレン酸亜鉛(特許文献2)等が知られており、制汗成分としては、ミョウバンやアルミニウムヒドロキシクロライド等(特許文献3)が知られており、消臭成分としては、シリカゲル、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物(特許文献4)が知られている。
【0004】
さらに、消臭用製品には、汗などの湿気に対してべたつきを抑制し良好な使用感を付与するために、タルク、シリカ、酸化アルミニウム等の無機粉体が配合される(特許文献5)ことも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-097960号公報
【文献】特開2007-289452号公報
【文献】国際公開第2015/146398号
【文献】特開平08-280781号公報
【文献】特開2015-003891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
消臭用製品は様々に創出されており、液状又は固形(スティック)状の消臭用製品は飽和状態にある。一方で、消臭志向への意識はますます高まっており、消費者を満足させるための新たな消臭用製品が求められている。そこで本発明者らは、消臭効果をより効果的に得るための製品形態として、有効成分の粒子そのものを直接対象に適用できる粉末状の消臭用組成物に着眼した。
【0007】
ここで、粉末状の消臭用組成物は消臭対象面に対して散布して使用するところ、効率的に消臭効果を得るためには、使用時において、粉末状の当該組成物が散布面の全体に展開し(広がり)且つ散布面に均一に付着している必要がある。そこで、粉末状消臭用組成物の散布面への付着均一性及び展開容易性(広がり易さ)について検討したところ、付着均一性と展開容易性とが両立しない課題に直面した。これは、粉末粒子が面上に広がりやすい性質が本質的に滑りやすい性質であることから面への付着を困難にし、反対に粉末粒子が面へ均一に付着できる性質が本質的に滑りにくい性質であることから面上での広がりを困難にしているためであると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、粉末状でありながら、散布面に対する付着均一性と展開容易性とが両立した(以下において、付着均一性と展開容易性とを総合して「散布性」とも記載する。)消臭用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討を行ったところ、平均粒子径が20μm以下のタルク及び/又はミョウバンに、平均粒子径が20μm以下の二酸化ケイ素を10~45重量%配合することで、消臭用組成物が粉末でありながら、散布面に対する付着均一性と展開容易性とを両立できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
【0010】
項1. (A)二酸化ケイ素と、(B)タルク及び/又は(C)ミョウバンとを含み、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の平均粒子径が20μm以下であり、前記(A)成分を10~45重量%含む、消臭用粉末組成物。
項2. 前記(A)成分の平均粒子径(μm)と含有量(重量%)との積の総量が、40~510である、項1に記載の消臭用粉末組成物。
項3. 前記(B)成分及び前記(C)成分の総量1重量部当たりの前記(A)成分の含有量が、0.2~1.4重量部である、項1又は2に記載の消臭用粉末組成物。
項4. 前記(B)成分及び前記(C)成分の総量が35~65重量%である、項1~3のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
項5. 更に(D)アルミニウムクロロ化合物を含む、項1~4のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
項6. 履物の内部に散布して使用する、項1~5のいずれかに記載の消臭用粉末組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、粉末状の消臭用組成物において、散布面に対する付着均一性と展開容易性とを両立することができるため、使用が容易であり、且つ、効果的に消臭効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の消臭用粉末組成物は、(A)二酸化ケイ素(以下において、「(A)成分」とも記載する。)と、(B)タルク(以下において、「(B)成分」とも記載する。)及び/又は(C)ミョウバン(以下において、「(C)成分」とも記載する。)とを含み、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分が特定の平均粒子径を有し、前記(A)成分が特定量で含まれることを特徴とする。以下、本発明の消臭用粉末組成物について詳述する。
【0013】
(A)二酸化ケイ素
本発明の消臭用粉末組成物は、(A)成分として二酸化ケイ素を含む。二酸化ケイ素は、消臭用組成物における消臭成分として公知の成分であり、シリカ及び無水ケイ酸と同義である。
【0014】
本発明の消臭用粉末組成物において用いられる(A)成分の平均粒子径は、消臭用粉末組成物の散布性を効果的に得る観点から20μm以下である。一層優れた散布性を得る観点から、(A)成分の好ましい平均粒子径としては、18.5μm以下、より好ましくは17μm以下が挙げられる。(A)成分の平均粒子径の下限としては特に限定されないが、(B)成分との組み合わせによる展開容易性の向上効果をより好ましく得る観点から、好ましくは2μm以上が挙げられる。なお、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した場合の、累積50%粒子径(D50)をいう。
【0015】
(A)成分としては、平均粒子径が同じ二酸化ケイ素を単独で用いてもよいし、2種以上の異なる二酸化ケイ素を組み合わせて用いてもよい。本発明の消臭用粉末組成物においては、二酸化ケイ素の平均粒子径と含有量との兼ね合いが、散布性に影響する。このため、より一層優れた散布性を得る観点から、(A)成分の平均粒子径(μm)と含有量(重量%)との積の総量が、例えば40~510、好ましくは45~300、より好ましくは46~250、さらに好ましくは47~200、一層好ましくは48~190となるように(A)成分を配合することができる。
【0016】
また、本発明の消臭用粉末組成物は、粉末状という形態の特徴上、散布時に、粉末組成物の飛散による手の汚染や散布対象以外の部分の汚染のリスクを抑制して優れた取り扱い性を備えていることがより好ましい。このような取り扱い性も、二酸化ケイ素の平均粒子径と含有量との兼ね合いが影響する。優れた取り扱い性を得る観点から、(A)成分の平均粒子径(μm)と含有量(重量%)との積の総量として、更に、70以上、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは130以上、一層好ましくは170以上が挙げられる。
【0017】
本発明の消臭用粉末組成物における(A)成分の含有量は、散布性を効果的に得る観点から、10~45重量%である。より一層優れた散布性を得る観点から、(A)成分の含有量の好ましい例としては、15~45重量%、より好ましくは15~25重量%、さらに好ましくは18~23重量%が挙げられる。
【0018】
本発明の消臭用組成物において、(A)成分の含有量と、(B)成分及び(C)成分の総量との比率は特に限定されず、各成分の含有量によって決定されるが、より一層優れた散布性を得る観点から、(B)成分及び(C)成分の総量1重量部当たりの(A)成分の含有量としては、0.2~1.4重量部、好ましくは0.25~1.35重量部、より好ましくは0.3~1.3重量部が挙げられる。
【0019】
(B)タルク
本発明の消臭用粉末組成物は、(B)成分としてタルクを含むことができる。タルクは、粉末組成物における増量剤として公知の成分であり、滑石と同義である。タルクはそれ自体付着均一性が良好であるが、展開性が悪い(広がりにくい)。しかしながら、本発明の消臭用粉末組成物においては、(B)成分を(A)成分と組み合わせることによって、(B)成分の展開容易性を向上させることができる。
【0020】
具体的には、タルクは、水酸化マグネシウムとケイ酸塩とからなる鉱物であり、より具体的には含水珪酸マグネシウム(Mg3Si4O10(OH)2)である。
【0021】
本発明の消臭用粉末組成物において用いられる(B)成分の平均粒子径は、消臭用粉末組成物の散布性を効果的に得る観点から20μm以下である。より一層優れた散布性を得る観点から、(B)成分の好ましい平均粒子径としては、18.5μm以下、より好ましくは17μm以下、さらに好ましくは16.5μm以下が挙げられる。(B)成分の平均粒子径の下限としては特に限定されないが、(A)成分との組み合わせによる展開容易性の向上効果をより好ましく得る観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは14μm以上、更に好ましくは16μm以上が挙げられる。
【0022】
本発明の消臭用粉末組成物における(B)成分の含有量としては特に限定されないが、より一層優れた散布性を得る観点から、例えば25~60重量%、好ましくは25~50重量%が挙げられる。また、本発明の消臭用粉末組成物における(B)成分の含有量としては、より一層優れた散布性を得る観点から、(B)成分及び(C)成分との総量が好ましくは35~65重量%、より好ましくは40~60重量%、さらに好ましくは50~60重量%となる量が挙げられる。
【0023】
(C)ミョウバン
本発明の消臭用粉末組成物は、(C)成分としてミョウバンを含むことができる。ミョウバンはそれ自体付着均一性が良好であるが、展開性が悪い(広がりにくい)。しかしながら、本発明の消臭用粉末組成物においては、(C)成分を(A)成分と組み合わせることによって、(C)成分の展開容易性を向上させることができる。
【0024】
具体的には、ミョウバンは、一般式RIIIRI(SO4)2・mH2O、又はRI[RIII(H2O)6](SO4)2・mH2O(mは、12、10、6、4、3、2又は0を表す。)で表される、3価金属イオン(RIII)及び1価金属イオン又はアンモニウムイオン(RI)の硫酸塩の複塩である。3価の金属(RIII)としては、Al、Fe、Cr等が挙げられ、1価金属イオン又はアンモニウムイオン(RI)としては、K、Na、NH4等が挙げられる。ミョウバンの好ましい例として、AlK(SO4)2・mH2Oで表されるカリウムミョウバン(mは、12、10、6、3、又は2)及び焼きカリウムミョウバン(mは、0)、並びに、AlNH4(SO4)2・nH2Oで表されるアンモニウムミョウバン(m=12、10、6、4、3、又は2)及び焼きアンモニウムミョウバン(mは、0)が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、カリウムミョウバン及び焼きカリウムミョウバンが挙げられ、より好ましくは焼きカリウムミョウバンが挙げられる。
【0025】
本発明の消臭用粉末組成物において用いられる(C)成分の平均粒子径は、消臭用粉末組成物の散布性を効果的に得る観点から20μm以下である。より一層優れた散布性を得る観点から、(C)成分の好ましい平均粒子径としては、18.5μm以下、より好ましくは17μm以下が挙げられる。(C)成分の平均粒子径の下限としては特に限定されないが、(A)成分との組み合わせによる展開容易性の向上効果をより好ましく得る観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは14μm以上、更に好ましくは16μm以上が挙げられる。
【0026】
本発明の消臭用粉末組成物における(C)成分の含有量としては特に限定されず、散布性及び発揮させる抗菌効果及び/又は制汗効果等に応じて適宜決定することができる。これらの効果をより良好に得る観点から、(C)成分の含有量の好ましい例としては、5重量%以上が挙げられる。(C)成分の含有量の上限としては特に限定されないが、ミョウバン自体による皮膚への刺激を低減する観点から、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは12重量%以下、一層好ましくは10重量%以下が挙げられる。
【0027】
(D)アルミニウムクロロ化合物
本発明の消臭用粉末組成物は、(D)成分としてアルミニウムクロロ化合物を含むことができる。アルミニウムクロロ化合物は、アルミニウムクロロ化合物は、制汗成分として公知の化合物である。また、アルミニウムクロロ化合物は、抗菌性も示す。アルミニウムクロロ化合物はそれ自体展開容易性に優れているが、(B)成分及び/又は(C)成分と組み合わされることで、展開性が極端に悪化する。しかしながら、本発明の消臭用粉末組成物は(A)成分と(B)成分及び/又は(C)成分とが組み合わされることによって、付着均一性及び向上した展開容易性による優れた散布性が得られるため、さらに(D)成分が組み合わされても、優れた散布性を効果的に得ることができる。
【0028】
具体的には、アルミニウムクロロ化合物としては、1)一般式Al2(OH)6-XClX(xは、0~6を表す。)によって表される構造のアルミニウムクロライド及びアルミ
ニウムヒドロキシクロライドと、2)前記のアルミニウムヒドロキシクロライドの誘導体とが挙げられる。アルミニウムクロロ化合物は、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。アルミニウムクロライドAlCl3としては、好ましくは6水和物が挙げられる。アルミニウムヒドロキシクロライドとしては、Al2(OH)4Cl2、Al2(OH)4.5Cl1.5、Al2(OH)5Cl等が挙げられる。アルミニウムヒドロキシクロライドの誘導体としては、アラントインクロロヒドロキシアルミニウムが挙げられる。これらの中でも、より好ましい散布性を得る観点から、好ましくは、アルミニウムヒドロキシクロライドが挙げられる。
【0029】
本発明の消臭用粉末組成物において用いられる(D)成分の平均粒子径は、消臭用粉末組成物の散布性を効果的に得る観点から20μm以下である。より一層優れた散布性を得る観点から、(C)成分の好ましい平均粒子径としては、15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下が挙げられる。(C)成分の平均粒子径の下限としては特に限定されないが、好ましい展開容易性を得る観点から、2μm以上、より好ましくは5μm以上が挙げられる。
【0030】
本発明の消臭用粉末組成物における(D)成分の含有量としては特に限定されず、発揮させるべき制汗効果(収斂効果)及び/又は抗菌効果に応じて適宜決定することができる。具体的な(D)成分の含有量の例としては、5重量%以上が挙げられる。より高い制汗効果(収斂効果)及び/又は抗菌効果を得る観点から、好ましくは8重量%以上、より好ましくは9重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上が挙げられる。また、(D)成分の含有量の上限としては特に限定されないが、例えば60重量%以下が挙げられる。また、粉末組成物としての形状安定性との観点から、(D)成分の更に好ましい含有量としては、50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、一層好ましくは20重量%以下が挙げられる。
【0031】
その他の成分
本発明の消臭用粉末組成物には、上記の成分以外に、必要に応じて、他の有効成分を含んでいてもよい。なお、散布性を効果的に得る観点から、他の有効成分は、平均粒子径が好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下である。有効成分としては、例えば、上記成分以外の抗菌成分(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、トリクロロカルバニリド、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム、ヒノキチオール、酸化銀等)、上記成分以外の制汗成分(硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、上記成分以外の消臭成分(活性炭、モンモリロナイト、アルミノ珪酸塩、酸化亜鉛、酸化銅、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸メチル、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、ウフェナマート、イブプロフェンピコノール、スプロフェン、ベンダザック、スプロフェン、ブフェキサマク等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進剤(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル等)、ビタミン類(ビタミンA、B、D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸及びその塩等)、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液、マクロゴール等)、植物抽出物、香料等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の消臭用粉末組成物は、製剤形態に応じて、上記の成分以外に、必要に応じて基剤や添加剤が含まれていてもよい。なお、散布性を効果的に得る観点から、他の基剤や添加剤は、平均粒子径が好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下である。基剤や添加剤については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、上記以外の増量剤(炭酸カルシウム、クレー、カオリン);水;1価アルコール(エタノール、プロパノール等)天然油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等);鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、リノレイルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール等)、2-エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;POE(10~50モル)フィトステロールエーテル、POE(10~50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10~50モル)2-オクチルドデシルエーテル、POE(10~50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10~50モル)オレイルエーテル、POE(2~50モル)セチルエーテル、POE(5~50モル)ベヘニルエーテル、POE(5~30モル)ポリオキシプロピレン(5~30モル)2-デシルテトラデシルエーテル、POE(10~50モル)ポリオキシプロピレン(2~30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど)、POE(20~60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10~60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10~80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10~30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20~100モル)・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジリシノレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(5~100)、ポリソルベート(20~85)、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、水素添加大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール等の界面活性剤;清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8-シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、コハク酸、酒石酸、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
【0033】
製剤形態
本発明の消臭用粉末組成物の製剤形態は粉末状である。粉末状であることで、有効成分の粒子そのものを直接対象に適用できる。有効成分を粒子の形態で対象に適用することは、適用された粒子が接触した微細領域において、有効成分が最大限の濃度で適用されることで消臭効果が最大化されるため、液状及び固形状で製剤された消臭用組成物よりも格段に優れている。さらに、本発明の消臭用粉末組成物は付着容易性に優れていることによって対象表面において付着した粒子の均一性に優れているため、有効成分が最大限の濃度で適用される微細領域がそれぞれ対象表面全体にわたってまんべんなく形成される。このため、本発明の消臭用粉末組成物は非常に消臭性に優れる。
【0034】
また、本発明の消臭用粉末組成物は、皮膚に直接適用する外用剤、及び皮膚に直接適用しない非外用剤のいずれの製剤形態であってもよい。また、外用剤である場合は、皮膚外用医薬品、医薬部外品、化粧料のいずれの製剤形態であってもよい。本発明の消臭用粉末組成物は散布性に優れているため、本来的に対象に対する散布が難しい非外用剤として用いられる場合に特に有用である。
【0035】
使用方法
本発明の消臭用粉末組成物は、消臭(デオドラント)用品として用いることができる。本発明の消臭用粉末組成物が外用剤である場合は、通常の外用剤(パウダー剤)の使用方法と同様に、皮膚へ直接塗布又は散布することに使用することができる。さらに、本発明の消臭用粉末組成物が非外用剤である場合は、抗菌対象へ直接散布することにより使用することができる。抗菌対象としては、皮膚と直接的又は間接的に接触することで汗や雑菌が付きやすい物品が挙げられ、より好ましくは履物(靴、スリッパ、サンダル)の内側、フットウェア(靴下、ストッキング)、及び敷物(絨毯、カーペット、クッションフロア、フローリング)の表面が挙げられ、さらに好ましくは、高温多湿で汗や雑菌との接触機会が多い、履物の内側及び靴下が挙げられ、一層好ましくは、洗う機会が無い又は少ない履物の内側が挙げられる。履物の中でも、足の甲及びかかとを覆うことで、より高温多湿で汗や雑菌との接触機会がより多く、且つその構造上、内部に粉末組成物を散布することが本来的に困難である、靴が特に好ましい。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
試験例
縦9cm×横13cmの角型シャーレの底面一面に、履物の中敷きに用いられる、シボ加工がされていない合成皮革(黒色、ポリウレタン製)を貼付した。また、表2~表4に示す組成の消臭用粉末組成物を調製した。消臭用粉末組成物の調製に用いた成分のうち、アルミニウムヒドロキシクロライドはAl2(OH)5Clを用い、ミョウバンとしては焼きカリウムミョウバン(乾燥カリウムミョウバン)を用いた。消臭用粉末組成物約0.25cm3を、合成皮革の中心(1cm×1cm)に静置した。その後、シャーレを振動器(ALMIGHTY SHAKER AS-1)に設置し、縦方向に10秒間(振幅4cm、250往復/分)、その後横方向に10秒間(縦方向と同条件)振動させた。合成皮革の上で広がった消臭用粉末組成物について、以下の方法で付着均一性及び展開容易性を評価した。
【0038】
(付着均一性の評価)
消臭用粉末組成物の合成皮革上での付着状態を、以下の基準に基づいて分類し、付着均一性を評価した。結果を表2~4に示す。
○:粉末状組成物が移動した跡が一様に白くなっている
△:粉末状組成物が移動した跡が線状に白くなっている
×:粉末状組成物が移動した跡が点状に白くなっている
なお、代表例として、比較例6(×評価)、比較例2(△評価)、及び比較例4(○評価)を挙げ、付着均一性の評価基準を表す具体的な付着状態の態様を表1に示す。
【0039】
【0040】
(展開容易性の評価)
消臭用粉末組成物の縦方向の最大展開距離及び横方向の最大展開距離を測定し、それら最大展開距離を積算することによって、展開容易性の指標とした。展開容易性の指標が大きい程、展開性が優れていると判断できる。この展開容易性の指標を以下の基準に基づいて分類し、展開容易性を評価した。なお、履物の内部に散布する場合のように比較的狭い領域への散布において必要十分な展開容易性のレベルは、++である。結果を表2~4に示す。
++++ 97以上
+++ 87以上97未満
++ 77以上87未満
+ 67以上77未満
- 57以上67未満
-- 57未満
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
比較例1~比較例3に示されるとおり、二酸化ケイ素は平均粒子径の違いにより付着均一性及び展開容易性の程度が推移する傾向がみられるものの、それらを両立させることは出来なかった。また比較例4及び比較例5に示されるとおり、タルク及びミョウバンは付着均一性に優れているが、展開容易性に問題があった。反対に、比較例6に示されるとおり、アルミニウムヒドロキシクロライドは展開容易性に極めて優れているが、付着均一性に問題があった。更に、比較例7に示されるとおり、付着均一性に優れたタルク及びミョウバンと、展開容易性に優れたアルミニウムヒドロキシクロライドを組み合わせても、両特性は両立できず、展開容易性が極端に悪化する結果となった。
【0045】
これに対し、実施例1~実施例7に示されるとおり、付着均一性に優れたタルク及びミョウバンに、10~45重量%の二酸化ケイ素を組み合わせると、優れた付着均一性を奏するとともに、展開容易性が顕著に向上した。つまり、実施例1~7によって、優れた散布性が得られた。一方、比較例8~10に示されるとおり、二酸化ケイ素の含有量が45重量%を超えると、付着均一性に問題が生じた。