(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】エキスパンド方法及びエキスパンド装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240510BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240510BHJP
B28D 7/04 20060101ALI20240510BHJP
B28D 5/04 20060101ALI20240510BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L21/78 X
H01L21/68 N
B28D7/04
B28D5/04 Z
B26F3/00 A
(21)【出願番号】P 2020081418
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 晋一
(72)【発明者】
【氏名】陳 曄
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082139(JP,A)
【文献】特開2016-081976(JP,A)
【文献】特開2014-063813(JP,A)
【文献】特開2019-117891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
B28D 7/04
B28D 5/04
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが貼着されたシートをエキスパンドするエキスパンド方法であって、
第1方向でワークを挟んで互いに対向する第1バー状挟持部材と第2バー状挟持部材とで該シートを挟持し、
且つ、該第1方向に直交する第2方向でワークを挟んで互いに対向し、それぞれ該第2方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロを有した第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持する挟持ステップと、
該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材と該第3ローラー挟持部材と該第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、
該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材とをそれぞれ離反する方向に移動させることで該シートを第1方向にエキスパンドするエキスパンドステップと、を備え
、
該シートは、該第1方向の方が該第2方向よりもエキスパンドされ易いエキスパンド方法。
【請求項2】
第2方向でワークを挟んで互いに対向する第3バー状挟持部材と第4バー状挟持部材とで該シートを挟持し、
且つ、該第1方向でワークを挟んで互いに対向し、それぞれ該第1方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロを有した第1ローラー挟持部材と、第2ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、
該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材とをそれぞれ離反する方向に移動させることで該シートを第2方向にエキスパンドする第2エキスパンドステップを備えた、請求項1に記載のエキスパンド方法。
【請求項3】
ワークが貼着されたシートをエキスパンドするエキスパンド装置であって、
第1方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第1バー状挟持部材と第2バー状挟持部材と、
該第1方向に直交する第2方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、該第2方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロをそれぞれ有した第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材と、を有した挟持機構と、
該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材と該第3ローラー挟持部材と該第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材を該第1方向で互いに離反する方向に移動させる第1方向移動手段、を有する移動機構と、を備え
、
該シートは、該第1方向の方が該第2方向よりもエキスパンドされ易いエキスパンド装置。
【請求項4】
該移動機構は、第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材と、を該第2方向で互いに離反する方向に移動させる第2方向移動手段を更に有した、請求項3に記載のエキスパンド装置。
【請求項5】
該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材とは、それぞれ、鉛直方向に対向して互いの間に該シートを挟持する挟持ブロックを該第2方向に複数並べて配置し、
該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材の該鉛直方向に対向する挟持ブロックのうち上方の挟持ブロックを該第1方向と平行な回転軸を中心として回転自在に支持する、請求項3又は請求項4に記載のエキスパンド装置。
【請求項6】
該挟持機構は、該第2方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第3バー状挟持部材と第4バー状挟持部材と、
該第1方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、該第1方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロをそれぞれ有した第1ローラー挟持部材と、第2ローラー挟持部材と、を有し、
該移動機構は、
該第1ローラー挟持部材と該第2ローラー挟持部材と該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材とで該シートを挟持した状態で、該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材を該第2方向で互いに離反する方向に移動させる第2方向移動手段を更に有した、請求項3に記載のエキスパンド装置。
【請求項7】
該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材とは、それぞれ、鉛直方向に対向して互いの間に該シートを挟持する挟持ブロックを該第1方向に複数並べて配置し、
該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材の該鉛直方向に対向する挟持ブロックのうち上方の挟持ブロックを該第2方向と平行な回転軸を中心として回転自在に支持している、請求項
6に記載のエキスパンド装置。
【請求項8】
該挟持ブロックの該シートと接触する表面に溝を設けている、請求項5又は請求項7に記載のエキスパンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークが貼着されたシートをエキスパンドするエキスパンド方法及びエキスパンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークへのレーザービーム照射により改質層を形成した後、シートをエキスパンドすることでワークを分割する方法が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。例えばチップの縦横のサイズが異なるウェーハでは、チップ間に同程度の間隔を形成しようとすると、方向によってシートのエキスパンド量を変える必要があるため、ワークが貼着されたシートの外周4辺を挟持してエキスパンドするエキスパンド装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-251986号公報
【文献】特開2014-67749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に示されたエキスパンド装置は、上下に複数のコロを備えた挟持部材でシートを挟持する。コロでシートを挟持することで、直交方向へのシートのエキスパンドを妨げることなくエキスパンドが可能となる。
【0005】
ところで、一般にシートは帯状に製造されるが、製造工程上シートの伸長方向にテンションがかかっていて収縮し易く、つまり、エキスパンドされにくい。対してシートの伸長方向に直交する方向ではシートが比較的エキスパンドし易い。シートの種類によっては、特許文献2に示されたエキスパンド装置がエキスパンドすると、エキスパンドされやすい方向では上下のコロと接触した領域が局所的に引き延ばされ、コロに接触していない領域が十分にエキスパンドされないという問題がある。また、特許文献2に示されたエキスパンド装置がエキスパンドすると、コロに接触していない領域もエキスパンドするべく更にエキスパンド量を増やすと、局所的に引き延ばされた領域のみが更に引き延ばされてテープが破断するおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、シートが局所的に引き延ばされてしまうことを抑制することができるエキスパンド方法及びエキスパンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のエキスパンド方法は、ワークが貼着されたシートをエキスパンドするエキスパンド方法であって、第1方向でワークを挟んで互いに対向する第1バー状挟持部材と第2バー状挟持部材とで該シートを挟持し、且つ、該第1方向に直交する第2方向でワークを挟んで互いに対向し、それぞれ該第2方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロを有した第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持する挟持ステップと、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材と該第3ローラー挟持部材と該第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材とをそれぞれ離反する方向に移動させることで該シートを第1方向にエキスパンドするエキスパンドステップと、を備え、該シートは、該第1方向の方が該第2方向よりもエキスパンドされ易いことを特徴とする。
【0008】
前記エキスパンド方法では、第2方向でワークを挟んで互いに対向する第3バー状挟持部材と第4バー状挟持部材とで該シートを挟持し、且つ、該第1方向でワークを挟んで互いに対向し、それぞれ該第1方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロを有した第1ローラー挟持部材と、第2ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材とをそれぞれ離反する方向に移動させることで該シートを第2方向にエキスパンドする第2エキスパンドステップを備えても良い。
【0009】
本発明のエキスパンド装置は、ワークが貼着されたシートをエキスパンドするエキスパンド装置であって、第1方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第1バー状挟持部材と第2バー状挟持部材と、該第1方向に直交する第2方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、該第2方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロをそれぞれ有した第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材と、を有した挟持機構と、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材と該第3ローラー挟持部材と該第4ローラー挟持部材とで該シートを挟持した状態で、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材を該第1方向で互いに離反する方向に移動させる第1方向移動手段、を有する移動機構と、を備え、該シートは、該第1方向の方が該第2方向よりもエキスパンドされ易いことを特徴とする。
【0010】
前記エキスパンド装置では、該移動機構は、第3ローラー挟持部材と、第4ローラー挟持部材と、を該第2方向で互いに離反する方向に移動させる第2方向移動手段を更に有しても良い。
前記エキスパンド装置では、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材とは、それぞれ、鉛直方向に対向して互いの間に該シートを挟持する挟持ブロックを該第2方向に複数並べて配置し、該第1バー状挟持部材と該第2バー状挟持部材の該鉛直方向に対向する挟持ブロックのうち上方の挟持ブロックを該第1方向と平行な回転軸を中心として回転自在に支持しても良い。
【0011】
前記エキスパンド装置では、該挟持機構は、該第2方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、それぞれシートを挟持する第3バー状挟持部材と第4バー状挟持部材と、該第1方向でワークを挟んで互いに対向して配設され、該第1方向と平行な回転軸を中心に回転する複数のコロをそれぞれ有した第1ローラー挟持部材と、第2ローラー挟持部材と、を有し、該移動機構は、該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材を該第2方向で互いに離反する方向に移動させる第2方向移動手段を更に有しても良い。
前記エキスパンド装置では、該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材とは、それぞれ、鉛直方向に対向して互いの間に該シートを挟持する挟持ブロックを該第1方向に複数並べて配置し、該第3バー状挟持部材と該第4バー状挟持部材の該鉛直方向に対向する挟持ブロックのうち上方の挟持ブロックを該第2方向と平行な回転軸を中心として回転自在に支持しても良い。
前記エキスパンド装置では、該挟持ブロックの該シートと接触する表面に溝を設けても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、シートが局所的に引き延ばされてしまうことを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るエキスパンド装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたエキスパンド装置の加工対象のワークを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されたワークとエキスパンドシート等を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されたエキスパンド装置のワーク、各挟持ユニットを模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された第1保持ユニット及び第2保持ユニットを模式的に示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された第1保持ユニット及び第2保持ユニットの挟持ブロックを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7に示されたエキスパンド方法の挟持ステップの第1方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示されたエキスパンド方法の挟持ステップの第2方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、
図7に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップの第1方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図7に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップの第1保持ユニットで保持されたエキスパンドシートを模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、比較例のエキスパンド装置がエキスパンドした第1保持ユニットで保持されたエキスパンドシートを模式的に示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係るエキスパンド装置のワーク、各挟持ユニットを模式的に示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るエキスパンド装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るエキスパンド装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されたエキスパンド装置の加工対象のワークを示す斜視図である。
図3は、
図2に示されたワークとエキスパンドシート等を示す斜視図である。
図4は、
図1に示されたエキスパンド装置のワーク、各挟持ユニットを模式的に示す平面図である。
図5は、
図4に示された第1保持ユニット及び第2保持ユニットを模式的に示す正面図である。
図6は、
図5に示された第1保持ユニット及び第2保持ユニットの挟持ブロックを示す斜視図である。
【0016】
実施形態1に係る
図1に示すエキスパンド装置1は、
図2に示すワーク200が貼着されたシートであるエキスパンドシート201(
図3に示す)をエキスパンド(拡張ともいう)して、ワーク200を個々のチップ220に分割する装置である。実施形態1に係るエキスパンド装置1の加工対象であるワーク200は、
図2に示すように、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素又はSiC(炭化ケイ素)などを基板203とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。
【0017】
実施形態1では、ワーク200は、
図2に示すように、基板203の表面204の互いに交差する複数の分割予定ライン205で区画された各領域にそれぞれデバイス202が形成されている。ワーク200は、分割予定ライン205に沿って基板203の内部に分割起点である改質層206(
図2中に破線で示す)が形成されている。改質層206は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。実施形態1では、改質層206は、基板203の他の部分よりも機械的な強度が低い。
【0018】
また、実施形態1において、ワーク200は、
図3に示すように、基板203の裏面207側にエキスパンドシート201が貼着され、エキスパンド装置1により改質層206に沿って個々のチップ220に分割される。チップ220は、基板203の一部分と、基板203の表面204に形成されたデバイス202とを備える。
【0019】
エキスパンドシート201は、伸縮性を有し、例えば、加熱された合成樹脂が第2方向212に沿って伸長されながら、第2方向212に対して直交する第1方向211に延伸されて成形される。即ち、第2方向212は、第1方向211に対して直交している。エキスパンドシート201は、伸縮性を有する合成樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ伸縮性と粘着性とを有する合成樹脂により構成された粘着層とを備える。実施形態1では、第2方向212は、所謂流れ方向(MD:Machine Direction方向)であり、第1方向211は、所謂垂直方向(TD:Transverse Direction方向)である。なお、粘着層の表面を、以下、粘着面201-1と記し、基材層の表面を、以下、基材面201-2と記す。
【0020】
実施形態1に係るエキスパンド装置1は、ワーク200に貼着したエキスパンドシート201を第2方向212と、第1方向211とにエキスパンドして、ワーク200を個々のチップ220に分割するとともに、互いに隣接するチップ220間に間隔を形成する装置である。また、エキスパンド装置1は、エキスパンドシート201をエキスパンドして、互いに隣接するチップ220間に間隔を形成した後、エキスパンドシート201に内径がワーク200よりも大径な環状フレーム209を貼着して、環状フレーム209の開口210内にワーク200を支持する。
【0021】
また、実施形態1において、エキスパンドシート201は、第2方向212に伸長されながら整形されるため、第2方向212にテンションが付与されており、第2方向212の方が、第1方向211よりもエキスパンドされにくい。即ち、実施形態1では、エキスパンドシート201は、第1方向211の方が第2方向212よりもエキスパンドされ易い。なお、本発明では、エキスパンドシート201のエキスパンドされにくい方向及びエキスパンドされ易い方向は、実施形態1に記載された方向に限定されない。
【0022】
エキスパンド装置1は、
図1に示すように、平板状の固定基台2と、固定基台2の中央に設けられた保持テーブル10と、図示しないワーク搬送ユニットと、エキスパンドシート挟持ユニット50と、図示しないフレーム搬送ユニットと、シート切断ユニット90と、制御ユニット100とを備える。
【0023】
保持テーブル10は、円板状に形成され、エキスパンドシート201が保持面11に載置される。保持テーブル10は、移動機構によって鉛直方向に移動自在に設けられている。保持面11は、水平方向に沿って平坦に形成され、エキスパンドシート201を介してワーク200が載置可能な直径を有している。保持面11は、エキスパンドシート201を介して、ワーク200が載置される。
【0024】
ワーク搬送ユニットは、エキスパンドシート挟持ユニット50の上方に配置され、かつ下面にワーク200を保持する。ワーク搬送ユニットは、昇降ユニットにより鉛直方向に移動自在に設けられているとともに、水平方向移動ユニットにより水平方向に移動自在に設けられる。ワーク搬送ユニットは、水平方向移動ユニットにより、下面に保持したワーク200が保持テーブル10と同軸となる位置に配置されて、保持テーブル10と鉛直方向に対面する位置にワーク200を位置付ける。また、ワーク搬送ユニットは、昇降ユニットにより下降されることで、エキスパンドシート201にワーク200を貼着する。
【0025】
エキスパンドシート挟持ユニット50は、エキスパンドシート201を保持するものである。エキスパンドシート挟持ユニット50は、第1保持ユニット51-1と、第2保持ユニット51-2と、第3保持ユニット51-3と、第4保持ユニット51-4と、を備える。第1保持ユニット51-1、第2保持ユニット51-2、第3保持ユニット51-3、及び第4保持ユニット51-4は、ワーク200が貼着されたエキスパンドシート201をワーク200の外周で保持する挟持ユニットである。
【0026】
第1保持ユニット51-1、第2保持ユニット51-2、第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4は、それぞれエキスパンドシート201のワーク200よりも外周側の位置を挟持して保持する。第1保持ユニット51-1と第2保持ユニット51-2は、互いに構成が略等しいので、同一部分に同一符号を付して説明し、第3保持ユニット51-3と第4保持ユニット51-4は、互いに構成が略等しいので、同一部分に同一符号を付して説明する。また、第1保持ユニット51-1、第2保持ユニット51-2、第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4の同一部分に同一符号を付して説明する。
【0027】
第1保持ユニット51-1、第2保持ユニット51-2、第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4は、固定基台2上に設けられた柱状の移動基台52を備える。
【0028】
第1保持ユニット51-1及び第2保持ユニット51-2は、それぞれ、挟持ユニット60を備える。第1保持ユニット51-1の挟持ユニット60と、第2保持ユニット51-2の挟持ユニット60とは、
図4に示すように、第1方向211で保持テーブル10に保持されるワーク200を挟んで対向して配設され、互いの間に保持テーブル10を位置付けている。なお、
図4は、ワーク200のデバイス202を省略している。
【0029】
第1保持ユニット51-1及び第2保持ユニット51-2の挟持ユニット60の構成は、等しいので、以下、第1保持ユニット51-1の挟持ユニット60を代表して説明する。挟持ユニット60は、
図5に示すように、互いに鉛直方向に沿って対向する上方挟持部61と、下方挟持部62とを備える。上方挟持部61及び下方挟持部62は、第2方向212と平行な直線状に形成されている。上方挟持部61は、移動基台52の上端部から水平方向に伸びた支持アーム63の先端に支持され、下方挟持部62は、移動基台52の上端部から水平方向に伸びた支持アーム63の先端に支持されている。
【0030】
上方挟持部61及び下方挟持部62は、それぞれ、支持アーム63の先端に固定された挟持部本体部材64と、ローラー挟持部材65と、バー状挟持部材66とを備える。挟持部本体部材64は、第2方向212と平行な直線状の柱状に形成されている。
【0031】
ローラー挟持部材65は、上方挟持部61及び下方挟持部62それぞれの挟持部本体部材64の長手方向と平行でかつ挟持部本体部材64と全長が等しい柱状に形成されているとともに、挟持部本体部材64に固定されたシリンダ67の伸縮ロッドの先端に取り付けられている。上方挟持部61のローラー挟持部材65と、下方挟持部62のローラー挟持部材65とは、鉛直方向に対向して配置され、互いに対向する表面に第1方向211と平行な回転軸68を中心に回転する円柱状の複数のコロ69を回転自在に支持して、それぞれ、複数のコロ69を有している。
【0032】
また、上方挟持部61のローラー挟持部材65と、下方挟持部62のローラー挟持部材65とは、シリンダ67の伸縮ロッドが伸長すると、互いに近づいて互いのコロ69の間にエキスパンドシート201を挟持するとともに、シリンダ67の伸縮ロッドが縮小すると、互いに離れる。なお、第1保持ユニット51-1の挟持ユニット60のローラー挟持部材65を、以下、第1ローラー挟持部材65(以下、符号65-1で示す)と記し、第2保持ユニット51-1の挟持ユニット60のローラー挟持部材65を、以下、第2ローラー挟持部材65(以下、符号65-2で示す)と記す。このために、第1ローラー挟持部材65-1と、第2ローラー挟持部材65-2とは、第1方向211で保持テーブル10に保持されるワーク200を挟んで互いに対向して配設されている。
【0033】
バー状挟持部材66は、
図5に示すように、上方挟持部61及び下方挟持部62それぞれの挟持部本体部材64の長手方向に沿って複数並べられて配置された挟持ブロック70を備え、挟持ブロック70が、挟持部本体部材64に固定されたシリンダ71の伸縮ロッドの先端に取り付けられている。上方挟持部61のバー状挟持部材66の挟持ブロック70と、下方挟持部62のバー状挟持部材66の挟持ブロック70とは、鉛直方向に対向して配置され、ローラー挟持部材65-1,65-2の第1方向211の隣に配置されている。上方挟持部61のバー状挟持部材66の挟持ブロック70と、下方挟持部62のバー状挟持部材66の挟持ブロック70との互いに対向する表面72は、水平方向に沿って平坦に形成されている。
【0034】
また、上方挟持部61のバー状挟持部材66では、
図5及び
図6に示すように、二つの挟持ブロック70が一つのシリンダ71の伸縮ロッドの先端に回動支持部材73を介して取り付けられている。回動支持部材73は、二つの挟持ブロック70を第1方向211と平行な回転軸74を中心として回転自在に支持している。実施形態1では、下方挟持部62のバー状挟持部材66では、全ての挟持ブロック70が互いに固定されている。
【0035】
また、上方挟持部61のバー状挟持部材66と、下方挟持部62のバー状挟持部材66とは、シリンダ71の伸縮ロッドが伸長すると、互いに近づいて互いの挟持ブロック70の間にエキスパンドシート201を挟持するとともに、シリンダ71の伸縮ロッドが縮小すると、互いに挟持ブロック70が離れる。上方挟持部61のバー状挟持部材66の挟持ブロック70が回動支持部材73より回転軸74を中心として回転自在に支持されているので、下方挟持部62のバー状挟持部材66との間にエキスパンドシート201を挟持する際に、上方挟持部61の挟持ブロック70がエキスパンドシート201の向きに応じて回転して、バー状挟持部材66は、挟持ブロック70間にエキスパンドシート201を挟持することができる。
【0036】
バー状挟持部材66は、挟持ブロック70間にエキスパンドシート201を挟持する際に、上方挟持部61の挟持ブロック70の表面72にエキスパンドシート201の粘着面201-1が接触し、下方挟持部62の挟持ブロック70の表面72にエキスパンドシート201の基材面201-2が接触する。なお、第1保持ユニット51-1のバー状挟持部材66を、以下、第1バー状挟持部材66(以下、符号66-1で示す)と記し、第2保持ユニット51-2のバー状挟持部材66を、以下、第2バー状挟持部材66(以下、符号66-2で示す)と記す。
【0037】
また、バー状挟持部材66-1,66-2の各挟持ブロック70は、
図6に示すように、表面72に第2方向と平行な溝75を複数設け、表面72の保持テーブル10寄りの外縁部に冷却されたエアーを噴出可能な噴出口76を第2方向212と平行に複数並べて配置している。なお、実施形態1では、上方挟持部61と下方挟持部62との双方の挟持ブロック70の表面72に溝75を複数設けたが、本発明では、下方挟持部62の挟持ブロック70の表面72に溝75を設けなくても良い。本発明では、バー状挟持部材66-1,66-2の少なくとも上方挟持部61の挟持ブロック70の表面72に溝75を設けるので、挟持ブロック70の粘着面201-1との接触面積を抑制して、挟持ブロック70が粘着面201-1に貼り付いてしまうことを抑制することができる。
【0038】
第3保持ユニット51-3、第4保持ユニット51-4は、固定基台2上に設けられた柱状の移動基台52に鉛直方向に移動自在に設けられたローラー挟持部材65と、一対のローラー挟持部材65を互いに近づく方向及び互いに離れる方向に移動する部材移動ユニット54とを備える。一対のローラー挟持部材65は、互いに鉛直方向に間隔をあけて配置され、部材移動ユニット54により互いに近づけられて互いの間にエキスパンドシート201を挟んで保持する。
【0039】
第3保持ユニット51-3の一対のローラー挟持部材65と第4保持ユニット51-4の一対のローラー挟持部材65とは、第2方向212で保持テーブル10に保持されるワーク200を挟んで対向して配設され、互いの間に保持テーブル10を位置付けている部材移動ユニット54は、移動基台52に設けられている。
【0040】
第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4の一対のローラー挟持部材65は、第1方向211と平行な柱状に形成されている。第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4の一対のローラー挟持部材65は、鉛直方向に対向して配置され、互いに対向する表面に第2方向212と平行な回転軸78を中心に回転する円柱状の複数のコロ79を回転自在に支持して、それぞれ、複数のコロ79を有している。なお、第3保持ユニット51-3のローラー挟持部材65を、以下、第3ローラー挟持部材65(以下、符号65-3で示す)と記し、第4保持ユニット51-4のローラー挟持部材65を、以下、第4ローラー挟持部材65(以下、符号65-4で示す)と記す。
【0041】
部材移動ユニット54は、一対のローラー挟持部材65-3,65-4を鉛直方向に移動自在とするモータ55と、モータ55により軸心回りに回転されるボールねじ56と、ボールねじ56に螺合しかつローラー挟持部材65-3,65-4とアーム部材57を介して連結したナット58とを備える。部材移動ユニット54は、モータ55がボールねじ56を軸心回りに回転させることで、ナット58、アーム部材57及びローラー挟持部材65-3,65-4を鉛直方向に移動させる。
【0042】
また、部材移動ユニット54は、モータ55によりボールねじ56を軸心回りに回転することで、一対のローラー挟持部材65-3,65-4を鉛直方向に同方向に移動させることもできる。
【0043】
なお、第1バー状挟持部材66-1、第2バー状挟持部材66-2、第1ローラー挟持部材65-1、第2ローラー挟持部材65-2、第3ローラー挟持部材65-3及び第4ローラー挟持部材65-4は、エキスパンドシート201のワーク200の外周を挟持する挟持機構80を構成している。
【0044】
また、エキスパンド装置1は、移動機構30を備える。移動機構30は、第1方向移動手段である第1方向移動機構31と、第2方向移動手段である第2方向移動機構32とを備える。
【0045】
第1方向移動機構31は、第1保持ユニット51-1の移動基台52と第2保持ユニット51-2の移動基台52を第1方向211に沿って移動させることで、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とを第1方向211で互いに離反する方向に移動させるとともに、第1ローラー挟持部材65-1と第2ローラー挟持部材65-2とを第1方向211で互いに離反する方向に移動させるものである。第1方向移動機構31は、第1保持ユニット51-1の移動基台52を第1方向211に移動させる第1移動ユニット33-1と、第2保持ユニット51-2の移動基台52を第1方向211に移動させる第2移動ユニット33-2とを備える。
【0046】
第2方向移動機構32は、第3保持ユニット51-3の移動基台52と第4保持ユニット51-4の移動基台52を第2方向212に沿って移動させることで、第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とを第2方向212で互いに離反する方向に移動させるものである。第2方向移動機構32は、第3保持ユニット51-3の移動基台52を第2方向212に移動させる第3移動ユニット33-3と、第4保持ユニット51-4の移動基台52を第2方向212に移動させる第4移動ユニット33-4とを備える。
【0047】
第1移動ユニット33-1、第2移動ユニット33-2、第3移動ユニット33-3及び第4移動ユニット33-4は、互いに構成が略等しいので、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0048】
第1移動ユニット33-1、第2移動ユニット33-2、第3移動ユニット33-3及び第4移動ユニット33-4は、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4の移動基台52を第1方向211又は第2方向212に移動可能とするモータ34と、モータ34により軸心回りに回転されて移動基台52を第1方向211又は第2方向212に移動させるボールねじ35とを有する。
【0049】
第1移動ユニット33-1、第2移動ユニット33-2、第3移動ユニット33-3及び第4移動ユニット33-4は、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4を第1方向211又は第2方向212に互いに離反する方向に移動させることで、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4が保持したエキスパンドシート201をエキスパンドする。
【0050】
フレーム搬送ユニットは、エキスパンドシート挟持ユニット50の上方に配置され、下面に環状フレーム209を保持する。フレーム搬送ユニットは、昇降ユニットにより鉛直方向に移動自在に設けられているとともに、図示しない水平方向移動ユニットにより水平方向に移動自在に設けられる。フレーム搬送ユニットは、水平方向移動ユニットにより、下面に保持した環状フレーム209の開口210が保持テーブル10と同軸となる位置に配置されて、環状フレーム209の開口210と保持テーブル10に載置されたエキスパンドシート201に貼着したワーク200とが鉛直方向に対面する位置に環状フレーム209を位置付ける。また、フレーム搬送ユニットは、昇降ユニットにより下降されることで、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4により保持されて拡張されたエキスパンドシート201に環状フレーム209を貼着する。
【0051】
シート切断ユニット90は、環状フレーム209に貼着されたエキスパンドシート201を環状フレーム209に沿って切断するものである。シート切断ユニット90は、
図1に示すように、エキスパンドシート201を切断するカッター91を備える。シート切断ユニット90は、エキスパンドシート201に環状フレーム209が貼着された後に、カッター91を裏面207側からエキスパンドシート201の環状フレーム209の内縁と外縁との間に切り込ませて、カッター91を環状フレーム209に沿って回転させて、エキスパンドシート201の環状フレーム209の内縁と外縁との間を切断する。
【0052】
制御ユニット100は、エキスパンド装置1の各構成要素を制御して、エキスパンド装置1にエキスパンドシート201に対するワーク200の貼着動作、エキスパンドシートのエキスパンド動作及びエキスパンドシート201に対する環状フレーム209の貼着動作等を実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、エキスパンド装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してエキスパンド装置1の各構成要素に出力する。
【0053】
また、制御ユニット100は、各種の情報や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとが接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0054】
なお、本発明では、エキスパンド装置1は、上述した構成に加え、ロールに巻かれたエキスパンドシート201を保持するシート挟持ユニットと、粘着面201-1を上向きにしてシート挟持ユニットからエキスパンドシート201を保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4に送り出す送り出しユニットと、送り出しユニットにより送り出されたエキスパンドシート201を切断する切断ユニットとを備えても良い。
【0055】
次に、本明細書は、実施形態1に係るエキスパンド方法を図面に基づいて説明する。
図7は、実施形態1に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。
図8は、
図7に示されたエキスパンド方法の挟持ステップの第1方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
図9は、
図7に示されたエキスパンド方法の挟持ステップの第2方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
図10は、
図7に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップの第1方向と平行な方向のエキスパンド装置の要部を模式的に示す側面図である。
図11は、
図7に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップの第1保持ユニットで保持されたエキスパンドシートを模式的に示す平面図である。
図12は、比較例のエキスパンド装置がエキスパンドした第1保持ユニットで保持されたエキスパンドシートを模式的に示す平面図である。
【0056】
実施形態1に係るエキスパンド方法は、前述したエキスパンド装置1のエキスパンドシート201のエキスパンド動作でもある。エキスパンド装置1は、オペレータが入力ユニットを操作するなどして入力した加工内容情報を受け付け、オペレータが入力ユニットを操作する等して入力した加工動作の開始指示を受け付けると、エキスパンド動作を開始する。エキスパンド方法は、
図7に示すように、挟持ステップ1001と、エキスパンドステップ1002と、フレーム貼着ステップ1003とを備える。
【0057】
(挟持ステップ)
挟持ステップ1001は、第1方向211でワーク200を挟んで互いに対向する第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とでエキスパンドシート201を挟持し、且つ、第2方向212でワークを挟んで互いに対向する第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持するステップである。
【0058】
挟持ステップ1001では、エキスパンド装置1は、
図8に示すように、エキスパンドシート201を第1保持ユニット51-1の第1バー状挟持部材66-1間に挟持し、第2保持ユニット51-2の第2バー状挟持部材66-2間に挟持し、
図9に示すように、エキスパンドシート201を第3保持ユニット51-3の第3ローラー挟持部材65-3間に挟持し、第4保持ユニット51-4の第4ローラー挟持部材65-4間に挟持する。なお、挟持ステップ1001では、第1保持ユニット51-1の第1ローラー挟持部材65-1が、エキスパンドシート201から離れ、第2保持ユニット51-2の第2ローラー挟持部材65-2が、エキスパンドシート201から離れている。
【0059】
挟持ステップ1001では、エキスパンド装置1は、ワーク搬送ユニットに保持した改質層206が形成されたワーク200の裏面207をエキスパンドシート201の第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とで囲まれた領域に対向させた後、ワーク搬送ユニットを下降させて、
図8及び
図9に示すように、エキスパンドシート201にワーク200の裏面207を貼着する。
【0060】
(エキスパンドステップ)
第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とをそれぞれ離反する方向に移動させることで、エキスパンドシート201を第1方向211にエキスパンドするステップである。
【0061】
エキスパンドステップ1002では、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、エキスパンド装置1は、
図10中の矢印300で示すように、移動ユニット33-1,33-2,33-3,33-4に保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4を第1方向211又は第2方向212に離反する同時に方向に移動させる。すると、エキスパンド装置1は、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4の移動基台52の移動とともに、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とが第1方向211に沿って互いに離反する方向に移動させるとともに、第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とを第2方向212に沿って互いに離反する方向に移動させて、エキスパンドシート201を第1方向211と第2方向212との双方にエキスパンドする。エキスパンドシート201のエキスパンドの結果、エキスパンドシート201に第1方向211と第2方向212との双方に沿った引張力が作用する。
【0062】
このようにワーク200が貼着されたエキスパンドシート201に第1方向211と第2方向212との双方に沿った引張力が作用すると、ワーク200は、分割予定ライン205に沿って改質層206が形成されているので、改質層206を基点として分割予定ライン205に沿って個々のチップ220に分割される。なお、実施形態1において、エキスパンドステップ1002では、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4を第1方向211又は第2方向212に離反する同時に方向に移動させたが、本発明では、これに限定されることなく、保持ユニット51-1,51-2を第1方向211に離反する方向に移動させたのち、エキスパンド装置1に対してエキスパンドシート201の向きを90度回転させて、保持ユニット51-1,51-2,51-3,51-4でエキスパンドシート201を保持し、保持ユニット51-1,51-2を第2方向212に離反させても良い。
【0063】
(フレーム貼着ステップ)
フレーム貼着ステップ1003は、エキスパンドされたエキスパンドシート201に環状フレーム209を貼着するステップである。フレーム貼着ステップ1003では、エキスパンド装置1は、開口210とエキスパンドシート201に貼着されたワーク200とが対面する位置にフレーム搬送ユニットに保持した環状フレーム209を位置付ける。エキスパンド装置1は、フレーム搬送ユニットを下降させて、フレーム搬送ユニットが保持した環状フレーム209をエキスパンドシート201に貼着する。フレーム貼着ステップ1003では、エキスパンド装置1は、シート切断ユニット90のカッター91にエキスパンドシート201の環状フレーム209の内縁と外縁との間を環状フレーム209に沿って切断させ、エキスパンド装置1のエキスパンド動作即ち実施形態1に係るエキスパンド方法を終了する。
【0064】
以上説明した実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、エキスパンドステップ1002では、バー状挟持部材66-1,66-2でエキスパンドシート201を挟持して第1方向211にエキスパンドシート201をエキスパンドする。このように、エキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、エキスパンドシート201の伸び易い方向である第1方向211のワーク200の両側をバー状挟持部材66-1,66-2で挟持して第1方向211にエキスパンドシート201をエキスパンドするため、
図11に示すように、エキスパンドシート201の全体を第1方向211にエキスパンドすることができる。なお、エキスパンドシート201の伸び易い方向である第1方向211のワーク200の両側を複数の円柱状のコロ400で挟持して、エキスパンドする比較例では、
図12に示すように、エキスパンドシート201のコロ400の回転軸401の近傍が延ばされて、エキスパンドシート201のコロ400の回転軸401から離れた箇所が延ばされずに、エキスパンドシート201が局所的に引き伸ばされてしまう。その結果、実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、比較例ではエキスパンドシート201が局所的に引き伸ばされてしまうのに対し、
図11に示すように、エキスパンドシート201が局所的に引き伸ばされてしまうことを抑制することができる、という効果を奏する。
【0065】
また、エキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、エキスパンドステップ1002において、バー状挟持部材66-1,66-2で挟持してエキスパンドする間、第1方向211に対して直交する第2方向212のワーク200の両側をローラー挟持部材65-3,65-4のコロ79で挟持するので、第1方向211のエキスパンドに伴ってコロ79が回転して、バー状挟持部材66-1,66-2のエキスパンドシート201の第1方向211のエキスパンドをローラー挟持部材65-3,65-4が妨げることがない。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るエキスパンド装置及びエキスパンド方法を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態2に係るエキスパンド装置のワーク、各挟持ユニットを模式的に示す平面図である。
図14は、実施形態2に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。なお、
図13は、ワーク200のデバイス202を省略している。
図13及び
図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態2に係るエキスパンド装置1-2は、
図13に示すように、第3保持ユニット51-3及び第4保持ユニット51-4が、第1保持ユニット51-1及び第2保持ユニット51-2と同じ構成であること以外、実施形態1と同じである。なお、第3保持ユニット51-3のバー状挟持部材66-1,66-2と同じ構成のバー状挟持部材66を、以下、第3バー状挟持部材66(以下、符号66-3で示す)と記し、第4保持ユニット51-4のバー状挟持部材66-1,66-2と同じ構成のバー状挟持部材66を、以下、第4バー状挟持部材66(以下、符号66-4で示す)と記す。
【0068】
第3バー状挟持部材66-3と、第4バー状挟持部材66-4とは、第2方向212で保持テーブル10に保持されるワーク200を挟んで互いに対向して配設され、第1方向211と平行に形成されている。実施形態2に係るエキスパンド装置1-2の挟持機構80は、第1バー状挟持部材66-1、第2バー状挟持部材66-2、第1ローラー挟持部材65-1、第2ローラー挟持部材65-2、第3ローラー挟持部材65-3及び第4ローラー挟持部材65-4に加え、第3バー状挟持部材66-3及び第4バー状挟持部材66-4を備えている。
【0069】
実施形態2に係るエキスパンド方法は、エキスパンドステップ1002が、
図14に示すように、第1エキスパンドステップ1002-1と、第2エキスパンドステップ1002-2とを備えること以外、実施形態1と同じである。
【0070】
第1エキスパンドステップ1002-1は、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とをそれぞれ離反する方向に移動させることで、エキスパンドシート201を第1方向211にエキスパンドするステップである。実施形態2に係るエキスパンド方法の第1エキスパンドステップ1002-1では、エキスパンド装置1は、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、第1移動ユニット33-1及び第2移動ユニット33-2に第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2とを第1方向211に沿って互いに離反する方向に移動させる。
【0071】
第2エキスパンドステップ1002-2は、第3バー状挟持部材66-3と第4バー状挟持部材66-4とでエキスパンドシート201を挟持し、且つ、第1ローラー挟持部材65-1と、第2ローラー挟持部材65-2とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、第3バー状挟持部材66-3と第4バー状挟持部材66-4とをそれぞれ離反する方向に移動させることでエキスパンドシート201を第2方向212にエキスパンドするステップである。
【0072】
第2エキスパンドステップ1002-2では、エキスパンド装置1は、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とでエキスパンドシート201を挟持した状態で、第1ローラー挟持部材65-1と第2ローラー挟持部材65-2と第3バー状挟持部材66-3と第4バー状挟持部材66-4とでエキスパンドシート201を挟持する。第2エキスパンドステップ1002-2では、エキスパンド装置1は、第1バー状挟持部材66-1と第2バー状挟持部材66-2と第3ローラー挟持部材65-3と第4ローラー挟持部材65-4とをエキスパンドシート201から離し、第3移動ユニット33-3及び第4移動ユニット33-4に第3バー状挟持部材66-3と第4バー状挟持部材66-4とを第2方向212に沿って互いに離反する方向に移動させる。
【0073】
第1エキスパンドステップ1002-1及び第2エキスパンドステップ1002-2では、ワーク200が貼着されたエキスパンドシート201に第1方向211と第2方向212との双方に沿った引張力を作用させて、改質層206を基点として分割予定ライン205に沿ってワーク200を個々のチップ220に分割する。
【0074】
実施形態2に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1-2は、第1エキスパンドステップ1002-1では、バー状挟持部材66-1,66-2でエキスパンドシート201を挟持して第1方向211にエキスパンドシート201をエキスパンドし、第2エキスパンドステップ1002-2では、バー状挟持部材66-3,66-4でエキスパンドシート201を挟持して第2方向212にエキスパンドシート201をエキスパンドする。その結果、エキスパンド方法及びエキスパンド装置1-2は、エキスパンドシート201の全体を第1方向211及び第2方向212にエキスパンドすることができ、エキスパンドシート201が局所的に引き伸ばされてしまうことを抑制することができる、という効果を奏する。
【0075】
また、実施形態2に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1-2は、第1エキスパンドステップ1002-1において、バー状挟持部材66-1,66-2で挟持してエキスパンドする間、第1方向211に対して直交する第2方向212のワーク200の両側をローラー挟持部材65-3,65-4のコロ79で挟持し、第2エキスパンドステップ1002-2において、バー状挟持部材66-3,66-4で挟持してエキスパンドする間、第1方向211のワーク200の両側をローラー挟持部材65-1,65-2のコロ69で挟持する。その結果、実施形態2に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1-2は、第1方向211及び第2方向212のエキスパンドに伴ってコロ69,79が回転して、バー状挟持部材66-1,66-2,66-3,66-4のエキスパンドシート201の第1方向211及び第2方向212のエキスパンドをローラー挟持部材65-1,65-2,65-3,65-4が妨げることがない。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,1-2 エキスパンド装置
31 第1方向移動機構(第1方向移動手段)
32 第2方向移動機構(第2方向移動手段)
65-1 第1ローラー挟持部材
65-2 第2ローラー挟持部材
65-3 第3ローラー挟持部材
65-4 第4ローラー挟持部材
66-1 第1バー状挟持部材
66-2 第2バー状挟持部材
66-3 第3バー状挟持部材
66-4 第4バー状挟持部材
68 回転軸
69 コロ
78 回転軸
79 コロ
80 挟持機構
200 ワーク
201 エキスパンドシート(シート)
211 第1方向
212 第2方向
1001 挟持ステップ
1002 エキスパンドステップ
1002-1 第1エキスパンドステップ
1002-2 第2エキスパンドステップ