(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】縮合硬化型シリコーン組成物、硬化物及び該硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20240510BHJP
C08K 5/3442 20060101ALI20240510BHJP
C08G 77/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K5/3442
C08G77/08
(21)【出願番号】P 2021010056
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】根岸 千幸
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532025(JP,A)
【文献】特開平10-120678(JP,A)
【文献】特開平04-078865(JP,A)
【文献】特開2019-070164(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037682(WO,A1)
【文献】特開2013-224439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 77/00-77/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、下記一般式(1)で表される化合物とを含む縮合硬化型シリコーン組成物
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に、水素原子、又は非置換もしくは置換の炭素数1~12の一価炭化水素基であり、Arは、非置換もしくは置換の、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基であり、及び、mは0
又は1である)。
【請求項2】
前記アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(2)で表される環状アルコキシシロキサン、その加水分解縮合物、及び下記一般式(2)で表される環状アルコキシシロキサンとアルコキシシランとの加水分解縮合物から選ばれる1種以上である、請求項1記載の縮合硬化型シリコーン組成物
【化2】
(式中、R
3は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~8の一価炭化水素基であり、R
4は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~3の一価炭化水素基であり、及び、nは1~3の整数である)。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物の量が、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~15質量部である、請求項1又は2記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【請求項4】
前記式(1)においてArが、置換又は非置換の、フェニル基又はピリジル基である、請求項1~3のいずれか1項記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【請求項5】
前記Arが、フェニル基、又はフェニル基の炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1が、アルキル基、環式アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、含窒素置換基、含酸素置換基、含硫黄置換基、又は含ハロゲン置換基で置換された基、又はピリジル基である、請求項4記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の縮合硬化型シリコーン組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項7】
下記一般式(1)で表される化合物の存在下で、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンを加水分解縮合させてシリコーン硬化物を得る工程を含む、シリコーン硬化物の製造方法
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に、水素原子、又は非置換もしくは置換の炭素数1~12の一価炭化水素基であり、Arは、非置換もしくは置換の、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基であり、及び、mは0
又は1である)。
【請求項8】
前記アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(2)で表される環状アルコキシシロキサン、その加水分解縮合物、及び下記一般式(2)で表される環状アルコキシシロキサンとアルコキシシランとの加水分解縮合物から選ばれる1種以上である、請求項7記載の製造方法
【化4】
(式中、R
3は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~8の一価炭化水素基であり、R
4は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~3の一価炭化水素基であり、及び、nは1~3の整数である)。
【請求項9】
前記一般式(1)で表される化合物の量が、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~15
質量部である、請求項7または8記載の製造方法。
【請求項10】
前記式(1)においてArが、置換又は非置換の、フェニル基又はピリジル基である、請求項7~9のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
前記Arが、フェニル基の炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1が、アルキル基、環式アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、含窒素置換基、含酸素置換基、含硫黄置換基、又は含ハロゲン置換基で置換された基、又はピリジル基である、請求項10記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合硬化型シリコーン組成物、その硬化物及び硬化物の製造方法に関し、さらに詳述すると、特定のグアニジン化合物を縮合触媒として含有する縮合硬化型シリコーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂は、撥水性、耐熱性、耐候性、耐寒性、電気絶縁性、耐薬品性、および身体に対する安全性等の性質に優れていることから、現在、様々な分野で広く使用されている。
特に、SiO2単位(Q単位)やRSiO1.5単位(T単位)(Rは、アルキル基、フェニル基等の有機基)を主成分とする3次元架橋構造を持つオルガノポリシロキサンは、シリコーンレジンやシリコーンアルコキシオリゴマーと呼ばれ、その硬化性を利用して塗料、コーティング剤用途や、バインダー用途等に広く使用されている。
【0003】
中でも、アルコキシシリル基を架橋基とする液状のシリコーンオリゴマーは、可燃性で人体に有害な有機溶剤を含まない無溶剤型塗料の主剤として利用されている。
また、このアルコキシシリル基は、空気中の湿気により常温でも架橋反応が進む。そのため、アルコキシシリル基を含有するシリコーンオリゴマーは、硬化触媒を配合することで、常温あるいは加熱条件下でそのアルコキシシリル基が反応してシロキサンネットワークを形成するため、耐熱性や耐候性に優れた被膜を容易に形成できることから、屋外建造物から電子部品まで、幅広い分野で使用されている。
【0004】
アルコキシシリル基を含有するシリコーンオリゴマーの硬化触媒には、通常、アルミニウム、チタン、亜鉛、ビスマス、錫といった金属触媒が用いられるが、近年では環境配慮型の金属フリー触媒として、グアニジン系触媒や、アミン系触媒が検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のアミン触媒またはグアニジン触媒を縮合硬化型シリコーン組成物に用いた場合、その強い塩基性が原因でシロキサン鎖が切断され、シリコーン組成物のポットライフが顕著に悪化する場合があることが、筆者らの検討で明らかとなった。本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、硬化性と保存安定性を有する縮合硬化型シリコーン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記に示す特定構造を有する環式アリールグアニジン化合物を縮合触媒として用いることにより、硬化性と保存安定性を両立しうる縮合硬化型シリコーン組成物が得られることを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、下記一般式(1)で表される化合物とを含む縮合硬化型シリコーン組成物を提供する。
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に、水素原子、又は非置換もしくは置換の炭素数1~12の一価炭化水素基であり、Arは、非置換もしくは置換の、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基であり、及び、mは0~3の整数である)。
さらに本発明は上記一般式(1)で表される化合物の存在下で、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンを加水分解縮合させてシリコーン硬化物を得る工程を含む、シリコーン硬化物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、上記一般式(1)で表される環式アリールグアニジン化合物を縮合触媒として含有することにより保存安定性に優れ、高硬度の硬化物を与えることができる。従って、金属触媒量が低減された、あるいは金属触媒を使用しない環境調和型コーティング剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、下記一般式(1)で表される化合物(以下、環式アリールグアニジン化合物又はグアニジン化合物という)とを含む。
本発明の組成物において、下記の環式アリールグアニジン化合物は縮合硬化型シリコーン組成物の硬化触媒として機能する。
【化2】
【0011】
R1及びR2は互いに独立に、水素原子、又は、非置換もしくは置換の炭素数1~12の一価炭化水素基である。炭素数1~12の一価炭化水素基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。より詳細には、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシル基等が挙げられるが、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル基、t-ブチル、s-ブチル、n-ブチル基、アリル基、ベンジル基が好ましく、メチル、エチル基がより好ましい。置換の炭素数1~12の一価炭化水素基としてはメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基が挙げられる。
【0012】
mは0~3の整数であり、好ましくは0~2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。尚、m=0のときは下記構造となる。
【化3】
【0013】
Arは、非置換もしくは置換の炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基であり、アリール基としてはフェニル、ナフチル、アントラセニル、及びピレニル基等が挙げられ、ヘテロアリール基としては、ピリジル、チエニル、インドリル、トリアジン、ピラジン、及びピリミジン等が挙げられ、ピリジル、チエニル、インドリルが好ましく、特に好ましくはピリジル基である。好ましくは、非置換もしくは置換の炭素数6~16のアリール基又は炭素数5~16のヘテロアリール基である。より好ましくは、非置換もしくは置換の炭素数6~12のアリール基又はピリジル基であり、特に好ましくは非置換又は置換のフェニル基又はピリジル基であり、最も好ましくは非置換又は置換のフェニル基である。
【0014】
アリール基又はヘテロアリール基は置換基を有していてよく、その置換基は特に限定されるものではないが、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシル基等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシル基などの環式アルキル基、ビニル、アリル、ブテニル、及びペンテニル基などのアルケニル基、フェニル及びナフチル基などのアリール基、フロロ、クロロ、ブロモ、及びヨード基などのハロゲノ基、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びピリジル基などの含窒素置換基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、ナフトキシ、フリル、及び水酸基などの含酸素置換基、チオール、チオエーテル、及びチオフェン基などの含硫黄置換基、及びトリフルオロアルキル基等の含ハロゲン置換基が例示できる。
また、Ar基に連結鎖を介してアルコキシシリル基を導入する事で、シリコーンと結合を形成可能な構造としても、本発明の効果を何ら妨げるものではない。Ar基上の置換基の置換数や置換基の結合部位も任意であり、上記の置換基上にさらに任意の置換基を有していても良い。
【0015】
このような環式アリールグアニジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【化4】
【0016】
上記環式アリールグアニジン化合物は、下記構造式(1a)で表される尿素誘導体を、塩素化剤と反応させることで、フィルスマイヤー塩(1b)を合成し、これを下記構造式(1c)で表される第一級のアリールアミンと反応させることで製造することができる。
【化5】
【0017】
塩素化剤としては、例えば、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化チオニルなどが挙げられるが、反応性の観点から、塩化オキサリル、塩化ホスホリルが好ましく、塩化オキサリルが特に好ましい。フィルスマイヤー塩を合成するためには、尿素誘導体1モルに対し、塩素化剤を1~5当量、好ましくは1~3当量、より好ましくは1~1.5当量加え、0℃~100℃の温度範囲で1~48時間反応させることが好ましい。
【0018】
フィルスマイヤー塩(1b)とアニリン誘導体(1c)を反応させる際は、フィルスマイヤー塩(1b)1モルに対し、アニリン誘導体(1c)を0.5~5当量、好ましくは0.7~3当量、より好ましくは0.8~1.5当量加え、0~100℃の温度範囲で1~24時間反応させることが好ましい。
【0019】
上記環式アリールグアニジン化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行ってもよい。有機溶媒としては、上記の各原料化合物と相溶するものであり、フィルスマイヤー塩と反応しないものであれば特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類などが挙げられる。
【0020】
有機溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限はないが、通常、原料化合物の総質量1質量部に対して、20質量部以下が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部がより一層好ましい。
【0021】
尿素誘導体(1a)としては、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N,N’-ジエチルイミダゾリジノン、N,N’-ジ(メトキシメチル)イミダゾリジノン、N,N’-ジプロピルイミダゾリジノン、N-メチルN’-エチルイミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、N,N’-ジエチルプロピレン尿素、N,N’-ジプロピルルプロピレン尿素、及び、N-メチルN’-エチルプロピレン尿素が好ましいが、原料の入手容易性を考慮すると、N,N’-ジエチルイミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素が好ましい。
【0022】
第一級アリールアミン(1c)としては、例えば、アニリン、アニシジン、フェノキシアニリン、ヒドロキシアニリン、(ヒドロキシメチル)アニリン、メシチルアミン、キシリルアミン、トリフルオロメチルアニリン、N,N’-ジメチルアミノアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、トルイジン、エチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ベンジルアニリン、クロロアニリン、フルオロアニリン、ブロモアニリン、ヨードアニリン、ヘキサフルオロアニリン、ビニルアニリン、エチニルアニリン、アミノベンゼンチオール、アミノピリジン、アミノチオフェン、アミノピロール、及び、アミノフランが挙げられる。原料の入手容易性を考慮すると、アニリン、アニシジン、トルイジン、及びメシチルアミンが好ましい。
【0023】
上記環式グアニジン化合物は、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンを含む縮合硬化型シリコーン組成物に配合する事で硬化触媒として機能する。該環式グアニジン化合物の存在下にてアルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンが加水分解縮合硬化する。特には、空気中の湿気存在下にて加水分解縮合を行うことができる。
【0024】
グアニジン化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、硬化速度を適切な範囲に調整して所望の物性の硬化皮膜を作製するとともに、塗布時の作業性を向上させること、さらには経済性などを考慮すると、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~15質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部がより一層好ましい。
【0025】
アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、末端にアルコキシシリル基を有するオリゴマーを用いる事ができる。オルガノポリシロキサンの構造は、鎖状、環状、分岐状等のシロキサン構造を有する重合体を用いることができるが、耐クラック性の観点から、環状構造を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0026】
前記アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、1分子中にアルコキシシリル基を1個以上有するものであれば特に制限はないが、より高い硬度の被膜を形成することを考慮すると、1分子中にアルコキシシリル基を2個以上有するものが好ましい。
【0027】
アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンの動粘度は特に限定されないが、10~10,000mm2/sであることが好ましく、10~1,000mm2/sがより好ましく、作業性の観点から、10~200mm2/sが特に好ましい。動粘度は、オストワルド粘度計による25℃における測定値である。
【0028】
環状構造を有するオルガノポリシロキサンは、下記一般式(2)で表される環状アルコキシシロキサン、及びその加水分解縮合物から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【化6】
(式中、R
3は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~8の一価炭化水素基であり、R
4は、互いに独立に、非置換もしくは置換の炭素数1~3の一価炭化水素基であり、nは1~3の整数である)
【0029】
R3である、炭素数1~8の一価炭化水素基としては、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル及びビニル基等が挙げられ、メチル、エチル及びフェニル基が好ましい。置換の炭素数1~8の一価炭化水素基は、(エポキシシクロヘキシル)エチル基、グリシドキシピロピル基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、クロロブチル基、クロロペンチル基、クロロヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トロフルオロプロピル基が挙げられる。
【0030】
R4である、炭素数1~3の一価炭化水素基としては、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル基等が挙げられ、メチル及びエチル基が好ましい。置換の炭素数1~3の一価炭化水素基は、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基が挙げられる。
【0031】
このような環状アルコキシシロキサンとしては、好ましくは以下のものが挙げられる。
【化7】
【0032】
アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンは、アルコキシシランの部分加水分解縮合物であってもよい。
アルコキシシランとしては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基を1~4個、好ましくは2又は3個有するアルコキシシランが好ましい。例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。
その他、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、5-ヘキセニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4-ビニルフェニルトリメトキシシラン、3-(4-ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4-ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の反応性官能基を有するアルコキシシランを用いることもできる。
アルコキシシランとしては、これらの中でも、副生物の揮発のしやすさから、メトキシシラン、エトキシシランが好ましく、反応性の高さから、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
【0033】
また、上記アルコキシシランと上記式(2)で示される環状アルコキシシロキサンとを加水分解縮合して、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンを製造してもよい。環状アルコキシシロキサンの加水分解縮合には、酸触媒を使用することが好ましい。酸触媒は、アルコキシシリル基を加水分解させ、生じたシラノールを脱水縮合することでシロキサン結合を形成するのに十分な酸性度を有するものであれば特段限定されない。pKaが-2.9~0の範囲にある酸触媒が好ましく、特にpKaが-2.9~0の範囲にあるスルホン酸系触媒が好ましい。
【0034】
酸触媒は、液体、固体、及び気体のいずれの形態をとっていてもよく、特に形態を限定されない。例えば、炭素数1~14の置換あるいは非置換のアルキルスルホン酸、炭素数6~30の置換あるいは非置換のベンゼンスルホン酸とその水和物、炭素数6~30の置換あるいは非置換のナフタレンスルホン酸とその水和物、置換あるいは非置換のカンファ―スルホン酸、スルホ基含有固体酸、硝酸などが挙げられる。中でも、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレン(モノ)スルホン酸(DNNSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)が好ましく、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレン(モノ)スルホン酸(DNNSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)が特に好ましい。酸触媒の使用量は、通常、重合反応系の総質量の0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.1~2.5質量%が特に好ましい。
【0035】
加水分解縮合反応は、無溶剤で行うことができるが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、アセトン、トルエン、及びキシレン等の有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒を使用する場合、その量は特に制限されないが、シラン及びアルコキシシロキサンの合計1質量部に対して、20質量部以下が好ましく、0.25~10質量部がより好ましく、0.5~5質量部が更に好ましい。
【0036】
反応に用いる水の量は、通常、反応系に含まれるアルコキシシリル基1モルに対し、0.025~5.0モルが好ましく、0.05~2.5モルがより好ましく、0.075~1.0モルがより一層好ましい。
【0037】
反応温度は特に制限はないが、通常0~150℃、好ましくは20~120℃、より好ましくは40~100℃、より一層好ましくは50~80℃である。反応時間は、通常1時間以上、好ましくは2~72時間である。
【0038】
アルコキシシリル基の加水分解縮合反応により副生するアルコール、未反応の原料及び低分子シロキサンを蒸留操作により除去することが好ましく、その温度及び圧力は、これらの不純物が除去できる条件であれば特に制限はないが、通常10~150℃、好ましくは60~120℃であり、大気圧又は減圧下で行うことができる。
【0039】
なお、本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜に任意の添加剤を加えることができる。
【0040】
そのような添加剤の具体例としては、溶剤、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、シランカップリング剤等の密着付与剤、老化防止剤、防錆剤、着色剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、研磨剤、香料、充填剤、レベリング剤、反応性希釈剤、非反応性高分子樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、チキソトロピー付与剤等が挙げられる。
【0041】
また、グアニジン化合物の触媒活性を補うために、金属系硬化触媒を併用しても良い。金属系硬化触媒としては、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等のアルキル錫化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジバーサテート等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、テトラt-ブトキシチタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル、およびチタンキレート化合物並びにそれらの部分加水分解物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトンアルミニウム、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノノルマルブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジノルマルブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物およびそれらの加水分解物が挙げられ、中でもテトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、テトラt-ブトキシチタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラ(アセチルアセトナト)チタン、テトラ(エチルアセトアセテート)チタン、テトラ(メチルアセトアセテート)チタン、テトラ(ジエチルマロネート)チタン、テトラ(ジメチルマロネート)チタン並びにそれらの部分加水分解物が触媒活性の点から好ましい。金属系硬化触媒を併用する場合、その量は、縮合硬化型シリコーン組成物100質量部に対して、0.01~5質量部であればよく、0.05~3質量部であるのが好ましく、0.1~2質量部が特に好ましい。
【0042】
本発明の縮合硬化型シリコーン組成物を基材の表面に塗布し、硬化させることで、硬化物からなる被覆層を有する物品が得られる。塗布方法としては特に限定されない。例えば、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ローラーコート、刷毛塗り、バーコート、及びフローコート等の公知の方法から適宜選択して用いることができる。
【0043】
基材としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂などの有機ポリマー基材、鋼板等の金属基材、塗料塗布面、ガラス、セラミック、コンクリート、スレート板、テキスタイル、木材、石材、瓦、(中空)シリカ,チタニア,ジルコニア,アルミナ等の無機フィラー、ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラス繊維製品などが挙げられ、基材の材質および形状については特に限定されるものではないが、本発明の硬化性組成物は、鋼板、ガラスの被覆に特に好適に用いることができる。
【0044】
本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、雰囲気中の水分と接触することで、アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンの加水分解縮合反応が進行し、硬化反応が開始する。雰囲気中の水分の指標としては10~100%RHの任意の湿度でよく、空気中の湿気で充分であるが、一般に、湿度が高い程早く加水分解が進行するため、所望により雰囲気中に水分を加えてもよく、組成物中に水を添加してもよい。硬化反応温度および時間は、使用する基材、水分濃度、触媒濃度、および加水分解性基の種類等の因子に応じて適宜変更し得る。硬化温度は-10~200℃が好ましく、0~150℃が特に好ましく、基材の耐熱温度を超えない範囲内に加熱処理を行っても構わない。硬化時間は、通常、使用する基材の耐熱温度を超えない範囲で1分から1週間程度である。本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、常温でも硬化が進行し、硬度に優れた被膜を与える。また、湿度を上げると硬化性は向上する傾向にある。本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、従来のアミン触媒又はグアニジン系触媒を使用した場合と比較して、室温において安定性に優れていることを特徴とする。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記において、動粘度は、オストワルド粘度計による25℃における測定値である。
【0046】
[1]アルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンの製造
[合成例1-1]
国際公開第2007/140012号記載の[段落0104]Example26の手順に従って、下記構造式(2A)で表される環状アルコキシシロキサン(オルガノポリシロキサン1)(2,4,6,8-テトラメトキシ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン)を得た。
【化8】
【0047】
[合成例1-2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1,000mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得た上記式(2A)で表される環状アルコキシシロキサン361g、及びトルエン361gを入れ、撹拌しながらメタンスルホン酸3.6gを加えた。その後、続けてイオン交換水13.5gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で2時間重合させた。得られた液にキョーワード500SN(協和化学工業(株)製)18.0gを加え、25℃で2時間撹拌して中和した後、残存メタノールと低分子成分を減圧留去し、上記環状アルコキシシロキサンの加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン2の動粘度は49mm2/sであった。
【0048】
[合成例1-3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1,000mLのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた上記式(2A)で表される環状アルコキシシロキサン289g、ジメチルジメトキシシラン96g、トルエン385gを入れ、撹拌しながらメタンスルホン酸4.0gを加えた後、続けてイオン交換13.0gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で2時間重合させた。得られた液にキョーワード500SN(協和化学工業(株)製)20.0gを加え、25℃で2時間撹拌して中和した後、残存メタノールと低分子成分を減圧留去し、上記環状アルコキシシロキサンとジメチルジメトキシシランとの加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン3)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン3の動粘度は31mm2/sであった。
【0049】
[2]グアニジン化合物の製造
[合成例2-1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた100mLのセパラブルフラスコに、塩化オキサリル14.0g、ジメチルイミダゾリジノン11.4g、トルエン28gを加え、窒素気流下、室温で12時間反応させた。得られた液に、アニリン9.3g、トリエチルアミン20.0gを加え、窒素気流下、室温で2時間反応させた。反応液に水100gを投入し、水層へ1N塩酸を加えてpHを7とし、水層をトルエンで洗浄した。その後、水層に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを14とした状態で目的物をトルエンで抽出し、トルエンを減圧留去することで、下記式(3a)で表されるグアニジン化合物1を得た。
【化9】
【0050】
[合成例2-2]
合成例2-1において、アニリンの代わりに、アニシジンを12.3g用いる他は合成例2-1を繰り返して、下記式(3b)で表されるグアニジン化合物2を得た。
【化10】
【0051】
[合成例2-3]
合成例2-1において、アニリンの代わりに、2-アミノピリジンを9.4g用いる他は合成例2-1を繰り返して、下記式(3c)で表されるグアニジン化合物3を得た。
【化11】
【0052】
[合成例2-4]
合成例2-1において、アニリンの代わりに、メシチルアミンを13.5g用いる他は合成例2-1を繰り返して、下記式(3d)で表されるグアニジン化合物4を得た。
【化12】
【0053】
[合成例2-5]
合成例2-1において、ジメチルイミダゾリジノンの代わりに、ジメチルプロピレンウレアを17.1g用いる他は合成例2-1を繰り返して、下記式(3e)で表されるグアニジン化合物5を得た。
【化13】
【0054】
[比較合成例2-6]
合成例2-1において、ジメチルイミダゾリジノンの代わりに、テトラメチル尿素を12.7g用いる他は合成例2-1を繰り返して、下記式(3f)で表されるグアニジン化合物6を得た。
【化14】
【0055】
[3]縮合硬化型シリコーン組成物の製造
[実施例1~7および比較例1~4]
上記合成例1-1~1-3で得られたオルガノポリシロキサン100質量部と、上記合成例2-1~2-6で得たグアニジン化合物又は下記表1に示す縮合触媒の下記表1に記載の配合量とを撹拌機を用いて均一に混合し、縮合硬化型シリコーン組成物を調製した。得られた縮合硬化型シリコーン組成物(すなわち、コーティング剤)0.2gを、25℃、50%RHの空気下でバーコーターNo.5を用いてガラス板に塗布し、25℃、50%RHの雰囲気下で7日間硬化させた。
【0056】
得られた硬化物の鉛筆硬度、及び縮合硬化型シリコーン組成物の保存安定性を下記に従い測定及び評価した。
[鉛筆硬度]
上記硬化後の被膜(10μm)の鉛筆硬度を、JIS K 5600-5-4記載の鉛筆引掻き試験に準じた方法で750gの荷重をかけて測定した。
[保存安定性]
上記縮合硬化型シリコーン組成物10gを、80℃24日間ガラス瓶中で密栓保管後、ゲル化の有無を目視で確認した。ゲル化しなかったサンプルは〇、ゲル化したサンプルは×とした。結果を表1に示した。
【0057】
【0058】
表1に示されるように、実施例1~9の縮合硬化型シリコーン組成物は良好な保存安定性を有し、高硬度の被膜を与える。一方、比較例1~4のようなアミジン、環式構造を有しないグアニジン、又はアミン触媒を配合した場合は、経時で縮合硬化型シリコーン組成物がゲル化し、保存安定性が不良である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、環式アリールグアニジン化合物を縮合触媒として含有することにより保存安定性に優れ、高硬度の硬化物を与えることができる。従って、金属触媒量が低減された、あるいは金属触媒を使用しない環境調和型コーティング剤として好適に用いることができる。