(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】硬化体解析方法、硬化体解析システム、硬化体解析装置、及び硬化体解析プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 3/00 20060101AFI20240513BHJP
G01N 19/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G01N3/00 M
G01N19/00 B
G01N19/00 E
(21)【出願番号】P 2020175172
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】竹本 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】梶原 逸朗
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/158503(WO,A1)
【文献】特開2001-021336(JP,A)
【文献】特開2014-215268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントが用いられた硬化体に一部が挿し込まれた部材に対してレーザーパルス光を照射するレーザー照射工程と、
前記レーザーパルス光の照射によって前記部材がインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答を取得する周波数応答取得工程と、
解析部が、前記周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析工程と、
を含む、硬化体解析方法。
【請求項2】
前記解析部は、前記周波数応答が示す一次共振周波数に基づき、前記硬化体の弾性係数を前記情報として算出する、
請求項1に記載の硬化体解析方法。
【請求項3】
前記解析部は、前記一次共振周波数に基づくFEM(Finite Element Method)解析によって、前記硬化体の弾性係数を算出する、
請求項2に記載の硬化体解析方法。
【請求項4】
セメントが用いられた硬化体に一部が挿し込まれた部材に対してレーザーパルス光を照射するパルスレーザーと、
前記レーザーパルス光の照射によって前記部材がインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答を取得する振動測定計と、
前記振動測定計によって取得される前記周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部と、
を備える、硬化体解析システム。
【請求項5】
セメントが用いられた硬化体に対して一部が挿し込まれた部材がレーザーパルス光の照射によってインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部、
を備える、硬化体解析装置。
【請求項6】
コンピュータを、
セメントが用いられた硬化体に対して一部が挿し込まれた部材がレーザーパルス光の照射によってインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部、
として機能させる、硬化体解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化体解析方法、硬化体解析システム、硬化体解析装置、及び硬化体解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートやモルタル等の硬化体の施工では、硬化体の硬化状態に応じた作業が適宜行われる。そのため、作業を行う際、一般的には貫入試験により硬化体の硬化状態を測定している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、貫入試験において硬化体の貫入抵抗値を測定するための試験機に関する技術が開示されている。試験者は、当該試験機のハンドルを把持し、打設された硬化体の表面に貫入針を垂直に当て付け、ハンドルを鉛直下方に押し下げることで貫入針を硬化体内部に所定の距離だけ貫入させる。これにより貫入針が貫入の際に受ける荷重に基づき、貫入抵抗値が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、試験者が硬化体の施工領域外から硬化体に貫入針を貫入することができない位置(例えば施工領域の中心付近)に試験位置がある場合、試験者は当該試験位置に貫入針を貫入するために施工領域内に踏み込む必要がある。この場合、試験者が施工領域内に踏み込むことによって既に均し終えた硬化体表面を乱してしまう恐れがある。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、硬化体表面を乱すことなく硬化体の硬化状態を把握可能な情報を取得することが可能な硬化体解析方法、硬化体解析システム、硬化体解析装置、及び硬化体解析プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る硬化体解析方法は、セメントが用いられた硬化体に一部が挿し込まれた部材に対してレーザーパルス光を照射するレーザー照射工程と、前記レーザーパルス光の照射によって前記部材がインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答を取得する周波数応答取得工程と、解析部が、前記周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析工程と、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る硬化体解析システムは、セメントが用いられた硬化体に一部が挿し込まれた部材に対してレーザーパルス光を照射するパルスレーザーと、前記レーザーパルス光の照射によって前記部材がインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答を取得する振動測定計と、前記振動測定計によって取得される前記周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る硬化体解析装置は、セメントが用いられた硬化体に対して一部が挿し込まれた部材がレーザーパルス光の照射によってインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る硬化体解析プログラムは、コンピュータを、セメントが用いられた硬化体に対して一部が挿し込まれた部材がレーザーパルス光の照射によってインパルス加振された際の前記部材における振動の周波数応答に基づき、前記硬化体の硬化状態を示す情報を取得する解析部、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬化体表面を乱すことなく硬化体の硬化状態を把握可能な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る硬化体解析システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る硬化体解析装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る硬化体解析のフローを示すフローチャートである。
【
図4】実施例1に係る貫入抵抗試験の結果を示す図である。
【
図6】実施例2に係る硬化体解析システムの構成を示す図である。
【
図7】実施例2に係るパワースペクトルの取得結果を示す図である。
【
図8】実施例2に係る一次共振周波数の取得結果を示す図である。
【
図9】実施例3に係る一次共振周波数の算出結果を示す図である。
【
図10】実施例3に係る弾性係数の時間変化の算出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図面には、必要に応じて相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。各軸において、矢印が延びる方向を「正方向」、正方向と逆の方向を「負方向」と称する。
【0014】
<1.硬化体解析システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る硬化体解析システム1の構成を示す図である。
図1に示す硬化体解析システム1は、硬化体10に挿し込まれた板状部材12(部材の一例)における振動の周波数応答を取得し、当該周波数応答に基づき硬化体10の硬化状態を示す情報(以下、「硬化状態情報」とも称される)を取得するシステムである。
本実施形態の硬化体10は、例えば、セメントが用いられたセメント硬化体である。セメント硬化体は、具体的に、モルタル、コンクリート等である。モルタルは、セメント、砂、水が練り混ぜられたものである。コンクリートは、セメント、砂、砂利、水が練り混ぜられたものである。なお、硬化体10は、かかる例に限定されない。
本実施形態の板状部材12は、例えば、板状の金属(金属板)である。本実施形態では、アルミニウムの金属板(アルミニウム梁)を板状部材12として用いる。板状部材12がアルミニウム梁である場合、その寸法は、例えば縦2mm(Y軸方向)×横20mm(X軸方向)×高さ200mm(Z軸方向)である。なお、板状部材12の形状、寸法、金属の種類は、かかる例に限定されない。金属の種類は、例えば、銅、鉄等の一般的な金属であれば特に限定されない。また、板状部材12の材質は、金属に限定されない。
図1に示すように、板状部材12は、硬化体10に対して一部が挿し込まれる。以下、硬化体10に対して板状部材12の一部が挿し込まれた状態ものは、「構造物」とも称される。
【0015】
硬化体解析システム1は、パルスレーザー20、集光素子22、振動測定計30、及び硬化体解析装置40を備える。振動測定計30及び硬化体解析装置40は、有線通信あるいは無線通信によって、互いに通信可能に接続されている。なお、パルスレーザー20、集光素子22、振動測定計30、及び硬化体解析装置40は、硬化体10と非接触の状態で、硬化体10が施工される領域(以下、「施工領域」とも称される)の外に設けられる。
パルスレーザー20は、板状部材12に照射するレーザーパルス光201を出射する。本実施形態では、レーザーパルス光201は、短パルスである。レーザーパルス光201の波長スペクトル幅、時間幅、パルスエネルギー等のそれぞれの条件は、板状部材12へのレーザーパルス光201の照射によって、照射された板状部材12の表面にレーザー誘起プラズマが生じる閾値を超えるように適宜設定され、パルスレーザー20のパラメータ等で設定・調節される。上述のパラメータを有するパルスレーザー20としては、例えば、Qスイッチ式のYAGレーザーやTiサファイアレーザー等が挙げられる。本実施形態では、パルスレーザー20は、硬化体10に一部が挿し込まれた板状部材12に対してレーザーパルス光201を照射する。レーザーパルス光201のような高出力レーザーが集光されて固体に照射されると、固体表面温度が急激に上昇し、原子、分子、イオン等が爆発的に放出される現象が生じる。当該現象は、レーザーアブレーション(LA:Laser Ablation)と称される。本実施形態では、パルスレーザー20から出射されたレーザーパルス光201が集光素子22によって集光され、板状部材12に照射される。これにより、板状部材12におけるレーザーパルス光201の照射位置にてレーザーアブレーションが生じ、板状部材12の原子、分子、イオン等の放出物14が板状部材12から放出される。放出物14の質量をm、放出速度をvとすると、放出物14の運動量はmvとなる。運動量mvの変化は力積であり、板状部材12の法線方向に加振力が作用する。レーザーアブレーションによる加振は、理想的なインパルス加振である。板状部材12の周波数特性は、板状部材12から放出された放出物14によるインパルス加振で計測されたパワースペクトルに反映される。
集光素子22は、パルスレーザー20から出射されたレーザーパルス光201を板状部材12に集光させる。集光素子22は、例えば、両凸レンズであるが、集光機能を有していれば特に限定されない。集光素子22が両凸レンズであれば、集光素子22の開口数、焦点距離や屈折率等の条件は、板状部材12へのレーザーパルス光201の照射によってレーザー誘起プラズマが生じるように適宜設定される。レーザーパルス光201の集光位置は、板状部材12の硬化体10から突き出ている部分である。
振動測定計30は、レーザーパルス光201によって板状部材12がインパルス加振された際の板状部材12における振動の周波数応答を取得する。振動測定計30は、例えば、レーザードップラー振動計である。なお、振動測定計30は、周波数応答を取得可能な装置であればレーザードップラー振動計に限定されない。
【0016】
本実施形態において、周波数応答は、板状部材12がレーザーアブレーションによって、インパルス加振された際のパワースペクトルと等価であるとみなされる。よって、振動測定計30は、レーザーアブレーションによって板状部材12が加振された際の時刻歴応答を測定し、当該時刻歴応答に対するフーリエ変換によって得られるパワースペクトルを周波数応答として取得する。
入力の時刻歴応答をf(t)、出力の時刻歴応答をx(t)とすると、それぞれのフーリエ変換F(ω)、X(ω)は、以下の式(1)、式(2)のように示される。
【0017】
【0018】
【0019】
一方、出力の時刻歴応答x(t)は、以下の式(3)に示すように、インパルス応答関数h(t)と入力の時刻歴応答f(t)の畳み込み積分で求めることができる。
【0020】
【0021】
式(3)のフーリエ変換は畳み込み積分の性質より以下の式(4)のように示される。
【0022】
【0023】
ここで、H(ω)は、システムの周波数応答関数である。入力をインパルス応答とみなす時、理想的な状態においてf(t)はディラックのデルタ関数であると考えられる。この場合、f(t)のフーリエ変換は、F(ω)=1となる。よって、式(4)は、以下の式(5)のように示される。
【0024】
【0025】
式(5)より、出力の時刻歴応答x(t)のフーリエ変換は、周波数応答関数となる。以上より、本実施形態では、周波数応答と、レーザーアブレーションによるインパルス加振で得られるパワースペクトルとが等価であるとみなすことができる。
本実施形態では、振動測定計30は、板状部材12がレーザーパルス光201の照射によってインパルス加振された際の板状部材12における振動のパワースペクトルを、所定の測定周波数(例えば0Hz~2000Hz)及びサンプリング点数(例えば4096点)で取得する。振動測定計30は、取得したパワースペクトルを周波数応答として硬化体解析装置40へ送信する。硬化体解析装置40は、振動測定計30によって取得される周波数応答に基づき、硬化体10の硬化状態情報を取得する。例えば、硬化体解析装置40は、硬化体10の弾性係数(ヤング率)を硬化状態情報として取得する。弾性係数は、物体の変形のしにくさを表す物性値である。弾性係数は、値が小さいほど物体が変形しやすいことを示し、値が大きいほど物体が変形しにくいことを示す。よって、硬化体解析装置40が取得する硬化体10の弾性係数に基づき、ユーザは硬化体10の硬化状態を把握することができる。また、ユーザは、硬化体10の弾性係数の時系列変化を見ることで、硬化体10の硬化の進み具合を把握することもできる。
【0026】
以上より、本実施形態の硬化体解析システム1では、パルスレーザー20が板状部材12に対してレーザーパルス光201を照射し、振動測定計30が板状部材12における振動の周波数応答を取得する。パルスレーザー20は、構造物と非接触な状態で遠隔(例えば硬化体10の施工領域外)から板状部材12に対してレーザーパルス光201を照射することができる。また、振動測定計30は、構造物と非接触な状態で遠隔から板状部材12の周波数応答を取得できる。そして、硬化体解析装置40は、振動測定計30が取得した周波数応答に基づき硬化状態情報を取得する。これにより、ユーザは、施工領域内に踏み込むことなく、硬化体10の硬化状態情報を取得できる。即ち、ユーザは、硬化体表面を乱すことなく硬化体10の硬化状態情報を取得することができる。
【0027】
<2.硬化体解析装置の機能構成>
続いて、
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る硬化体解析装置40の機能構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る硬化体解析装置40の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、硬化体解析装置40は、通信部41、制御部42、記憶部43、入力部44、及び出力部45を備える。
【0028】
通信部41は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部41は、振動測定計30から周波数応答を受信し、制御部42へ出力する。
【0029】
制御部42は、硬化体解析装置40の動作全般を制御する機能を有する。制御部42は、例えば、硬化体解析装置40がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図2に示すように、制御部42は、解析部420を備える。
【0030】
解析部420は、振動測定計30によって取得される板状部材12の周波数応答に基づき、硬化体10の硬化状態情報を取得する。本実施形態では、解析部420は、硬化体10の弾性係数(ヤング率)を硬化状態情報として取得する。例えば、周波数応答が板状部材12のパワースペクトルである場合、解析部420は、当該パワースペクトルが示す一次共振周波数に基づき、硬化体10の弾性係数を算出する。パワースペクトルが示す一次共振周波数は、例えば、パワースペクトルにおいて最も大きなピークを示す位置における周波数である。一例として、解析部420は、FEM(Finite Element Method)解析によって、硬化体10の弾性係数を算出する。解析部420は、FEM解析により、パルスレーザー20によるレーザーパルス光201の照射によって板状部材12の振動に一次共振周波数が生じる際の硬化体10の弾性係数を算出することができる。
解析部420は、弾性係数の取得対象のモデルに対して、設定情報と取得した一次共振周波数に基づくFEM解析を行い、硬化体10の弾性係数を算出する。本実施形態では、弾性係数の取得対象である硬化体10に板状部材12の一部が挿し込まれた構造物のモデルが予め用意される。設定情報は、例えば、構造物のモデルの物性値である。本実施形態では、構造物を構成する硬化体10の物性値と板状部材12の物性値が設定される。硬化体10の物性値には、硬化体10の密度、弾性係数(variable)、ポアソン比、及び減衰係数が設定される。板状部材12の物性値には、密度、弾性係数、ポアソン比、及び減衰係数が設定される。
なお、FEM解析によって得られる弾性係数は、板状部材12の硬化体10に挿し込まれている部分における平均的な値である。そのため、FEM解析で得られる弾性係数は、板状部材12の硬化体10に挿し込まれている部分の長さに影響を受ける。よって、板状部材12の硬化体10に挿し込まれる部分の長さを調整することで、硬化体10の表面付近だけでなく、内部の硬化状態を把握することも可能となる。例えば、板状部材12の硬化体10に挿し込まれている部分の長さを長くするほど、より内部の硬化状態も考慮された弾性係数が算出される。一方、板状部材12の硬化体10に挿し込まれている部分の長さを短くするほど、より表面に近い部分の硬化状態が考慮された弾性係数が算出される。
解析部420は、取得した硬化体10の硬化状態情報を出力する。例えば、解析部420は、硬化状態情報を出力部45にて出力可能な情報に変換し、出力部45へ出力する。具体的に、解析部420は、硬化状態情報を数値のまま出力部45へ出力してもよいし、硬化状態情報の時系列変化を示すグラフを出力部45へ出力してもよい。
【0031】
記憶部43は、各種情報を記憶する機能を有する。
記憶部43は、硬化体解析装置40がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0032】
入力部44は、ユーザによる入力を受け付ける機能を有する。入力部44は、受け付けた入力を制御部42へ出力する。入力部44は、例えば硬化体解析装置40がハードウェアとして備えるタッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置によって実現され得る。
【0033】
出力部45は、各種情報を出力する機能を有する。例えば、出力部45は、制御部42から入力される硬化状態情報を出力する。
出力部45の機能は、例えば、硬化体解析装置40がハードウェアとして備えるディスプレイ等の表示装置によって実現される。出力部45の機能が表示装置によって実現される場合、出力部45は、制御部42から入力された硬化状態情報を表示装置に表示する。
【0034】
<3.硬化体解析のフロー>
図3は、本発明の一実施形態に係る硬化体解析のフローを示すフローチャートである。本実施形態の硬化体解析のフローには、レーザー照射工程、周波数応答取得工程、及び解析工程が含まれる。
【0035】
まず、パルスレーザー20は、対象にレーザーパルス光201を照射するためのレーザー照射工程を行う(S100)。例えば、パルスレーザー20は、セメントが用いられた硬化体10に一部が挿し込まれた板状部材12にレーザーパルス光201を照射する。
次いで、振動測定計30は、周波数応答を取得するための周波数応答取得工程を行う(S102)。例えば、レーザーパルス光201の照射によって加振される板状部材12における振動に関する周波数応答を取得する。具体的に、振動測定計30は、板状部材12がレーザーパルス光201の照射によってインパルス加振された際のパワースペクトルを周波数応答として取得する。
次いで、解析部420は、硬化状態情報を取得するための解析工程を行う(S104及びS106)。解析工程にて解析部420は、振動測定計30によって取得された板状部材12における振動のパワースペクトル(周波数応答)に基づき、硬化体10の硬化状態情報を取得する。解析工程には、一次共振周波数取得工程及びFEM解析工程が含まれる。
まず、解析部420は、一次共振周波数を取得するための一次共振周波数取得工程を行う(S104)。具体的に、解析部420は、振動測定計30によって取得された板状部材12における振動のパワースペクトルから、一次共振ピークと考えられる点の周波数の値を、一次共振周波数として取得する。
次いで、解析部420は、弾性係数を取得するためのFEM解析工程を行う(S106)。解析部420は、パワースペクトルが示す一次共振周波数に基づき、硬化体10の弾性係数を算出する。具体的に、解析部420は、一次共振周波数取得工程にて取得した一次共振周波数に基づくFEM解析によって、硬化体10の弾性係数を算出する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る硬化体解析方法では、レーザー照射工程にて、セメントが用いられた硬化体10に一部が挿し込まれた板状部材12にレーザーパルス光201を照射する。また、周波数応答取得工程にて、レーザーパルス光201の照射によってインパルス加振された板状部材12における振動の周波数応答を取得する。また、解析工程にて、解析部420が、周波数応答に基づき、硬化体10の硬化状態情報を取得する。かかる方法により、硬化体10の硬化状態を確認する作業者は、施工領域内に踏み込むことなく、硬化状態の確認位置における硬化状態情報を取得し、確認位置における硬化状態を把握することができる。よって、本実施形態に係る硬化体解析方法によれば、硬化体表面を乱すことなく硬化体の硬化状態を把握可能な情報を取得することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述した実施形態における硬化体解析装置40の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
上述の実施形態では、硬化状態情報が硬化体10の弾性係数である例について説明したが、かかる例に限定されない。硬化状態情報は、例えば、板状部材12における振動の時刻歴応答であってもよいし、パワースペクトルであってもよい。
また、上述の実施形態では、振動測定計30が周波数応答を取得する機能を有する例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、周波数応答を取得する機能を硬化体解析装置40が有してもよい。この場合、例えば、硬化体解析装置40は取得部(不図示)を有し、当該取得部が振動測定計30から測定データを取得し、当該測定データに基づき周波数応答を取得する。
また、硬化体解析装置40は、パルスレーザー20と振動測定計30の動作を制御するための動作制御部(不図示)をさらに有してもよい。当該動作制御部は、例えば、パルスレーザー20による板状部材12に対するレーザーパルス光201の照射(例えば照射タイミング等)を制御する。また、当該動作制御部は、例えば、振動測定計30による板状部材12における振動の周波数応答の取得処理(例えば取得タイミング等)を制御する。
【実施例】
【0039】
<4.実施例1>
実施例1では、硬化体10の貫入抵抗試験を行った。試験結果は、後述の実施例3におけるFEM解析結果の検証にて、硬化体10の硬化状態の真値として用いられる。
【0040】
貫入抵抗試験では、定められた規格の型枠に入れられたモルタルに対して、定められた規格の棒を押し込む際に棒に印加した荷重を測定する。具体的に、モルタルの注水後、所定の時間が経過するごとに棒を押し込み、当該荷重を測定する。貫入抵抗値は、測定した荷重を棒の断面積で割ることで算出される。実施例1では、モルタルの温度を変えて、実験を5回行った。具体的に、モルタルの温度を13.8℃、16.0℃、18.7℃、19.1℃、33.0℃と変化させて、それぞれの温度にて貫入抵抗試験を行った。なお、それぞれの温度は、試験体を作成してから試験終了までの平均の温度を示している。
図4は、実施例1に係る貫入抵抗試験の結果を示す図である。
図4の横軸は時間(分)を示し、縦軸は貫入抵抗値(N/mm
2)を示す。
図4が示す結果より、いずれの温度においても、硬化初期の貫入抵抗値はほぼ0であり、ある時点から急激に貫入抵抗値が大きくなっていることが分かる。これは、時間の経過に伴いモルタルが硬化するのに従い、貫入抵抗値が大きくなることを示している。また、
図4が示す結果より、モルタルの温度が低いほどモルタルの貫入抵抗値の時間変化が遅くなり、モルタルの温度が高いほどモルタルの貫入抵抗値の時間変化が速くなることが分かる。即ち、モルタルの温度が低いほど硬化の速度が遅く、モルタルの温度が高いほど硬化の速度が速いといえる。これは、温度が高いほどセメントと水の化学反応が速く進行し、温度が低いほどセメントと水の化学反応が遅く進行するためである。
【0041】
以上、実施例1より、モルタルの硬化に伴う貫入抵抗値の変化は、モルタルの温度に影響を受けることが確認できた。
【0042】
<5.実施例2>
パルスレーザー20と振動測定計30を用いることで、板状部材における振動の一次共振周波数を取得することができる。当該一次共振周波数と、硬化体の硬化状態の変化との間に関係性がある場合、当該一次共振周波数に基づき硬化体の硬化状態を把握することが可能となり得る。即ち、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって硬化体の硬化状態を把握することが可能となる。そこで、実施例2では、硬化体に一部が挿し込まれた板状部材に対してレーザーパルス光を照射した際の、板状部材における振動の一次共振周波数と、硬化体の硬化状態との間に関係性があるかを検証する実験を行った。
【0043】
図5は、実施例2に係る構造物50の斜視図である。実施例2では、
図5に示す構造物50を用意し、各種の実験を行った。当該構造物50は、容器52に対してモルタル54(硬化体10の一例)が入れられ、当該モルタル54に対してアルミニウム梁60(板状部材12の一例)の一部が挿し込まれた状態のものである。なお、当該モルタル54は、実施例1で用いたモルタルと同一の材料及び同一の方法で作成されたものである。
図6は、実施例2に係る硬化体解析システム2の構成を示す図である。実施例2では、上述の実施形態における硬化体解析システム1の構成に加えて、反射鏡24-1及び反射鏡24-2をさらに備える。反射鏡24-1及び反射鏡24-2は、パルスレーザー20から出射されたレーザーパルス光201を適宜折り返す。反射鏡24-1及び反射鏡24-2は、当該レーザーパルス光201が集光素子22を通過し、アルミニウム梁60の照射位置16に集光されるように設けられる。振動測定計30は、アルミニウム梁60の測定位置18における振動のパワースペクトルの測定を行う。まず、振動測定計30は、測定結果に基づき、アルミニウム梁60における振動の時刻歴応答を取得する。次いで、振動測定計30は、取得した時刻歴応答に対するフーリエ変換により、アルミニウム梁60における振動のパワースペクトルを取得する。そして、振動測定計30は、取得したパワースペクトルを硬化体解析装置40へ出力する。硬化体解析装置40は、振動測定計30から入力されるパワースペクトルに基づき、アルミニウム梁60における振動の一次共振周波数を取得する。
振動測定計30が測定結果に基づき取得する時刻歴応答について説明する。時刻歴応答は、例えば、横軸が時間(秒)を示し、縦軸が電圧(V)を示すグラフで表される。実施例1では、時刻歴応答のグラフより、実験開始からの時間が経過すると共に、アルミニウム梁60における振動が減衰しにくくなっていることが分かった。即ち、モルタル54の硬化に伴い、アルミニウム梁60における振動の減衰が小さくなることが分かった。
図7を参照して、振動測定計30が測定結果に基づき取得するアルミニウム梁60における振動のパワースペクトルについて説明する。
図7は、実施例2に係るパワースペクトルの取得結果を示す図である。
図7のグラフは、実験開始から所定の時間経過ごとに測定されたパワースペクトルにおける、1次共振ピーク付近を拡大したグラフを示す。
図7のグラフの横軸は周波数(Hz)を示し、縦軸はマグニチュード(dB)を示す。曲線S1~S8は、それぞれ300分、330分、360分、390分、420分、480分、510分、540分経過後に測定されたパワースペクトルを示す。
図7より、アルミニウム梁60における振動の周波数応答におおよそ決まった応答が現れることが分かる。例えば、100Hzから150Hzの間に大きなピーク(一次共振ピーク)が現れ、時間の経過に伴い、当該ピークが高周波側へ移動している。これは、モルタル54の硬化に伴い、アルミニウム梁60の支持が強くなったためと考えられる。
図8を参照して、硬化体解析装置40がパワースペクトルに基づき取得するアルミニウム梁60における振動の一次共振周波数について説明する。
図8は、実施例2に係る一次共振周波数の取得結果を示す図である。
図8のグラフの横軸は時間(分)を示し、縦軸はアルミニウム梁60における振動の一次共振周波数(Hz)を示す。
図8のグラフは、パワースペクトルが示す一次共振ピークにおける周波数を時間経過に対して記録したものである。
図8には、実験開始から600分後くらいまではアルミニウム梁60の一次共振周波数が80Hzから140Hzくらいまで変化し、それ以降は150Hzくらいに収束することが示されている。これより、アルミニウム梁60における振動の一次共振周波数が時間経過に伴い変化すること、即ち、モルタル54の硬化に伴い変化することが分かる。
【0044】
以上、実施例2より、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって取得される板状部材の一次共振周波数と、硬化体の硬化状態の変化との間に相関関係があることが分かった。これより、当該一次共振周波数に基づき硬化体の硬化状態を把握することが可能であるといえる。即ち、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって硬化体の硬化状態を把握することが可能であるといえる。なお、実施例2の実験を複数回行い、いずれも同様の結果を得たため、当該実験の再現性も確認できた。
【0045】
<6.実施例3>
実施例1に示したように、貫入抵抗試験によって硬化体の貫入抵抗値を取得することができる。また、実施例2に示したように、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって板状部材の一次共振周波数を取得することができる。さらに、当該方法によって取得された板状部材の一次共振周波数を用いたFEM解析によって、硬化体の弾性係数を算出することができる。貫入抵抗試験によって取得された貫入抵抗値と、FEM解析によって取得された弾性係数とが、硬化体の硬化に伴って変化した際に、両者の変化に関係性がある場合、貫入抵抗試験の代わりに、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって硬化体の硬化状態を把握することが可能であるといえる。
そこで、実施例3では、貫入抵抗試験によって取得された貫入抵抗値と、FEM解析によって取得された弾性係数とが、硬化体の硬化に伴って変化した際に、両者の変化に関係性があるかを検証するための実験を行った。
【0046】
実施例3では、
図5に示す構造物50のモデル(容器52を除く)を予め作成する。モデルのモルタル54の寸法は、縦150mm(Y軸方向)×横150mm(X軸方向)×高さ108mm(Z軸方向)である。なお、モルタル54の四方の角には25mmのフィレットが施してある。また、モデルのアルミニウム梁60の寸法は、縦2mm(Y軸方向)×横20mm(X軸方向)×高さ200mm(Z軸方向)である。アルミニウム梁60がモルタル54に挿し込まれる長さは101mm、アルミニウム梁60がモルタル54から突き出る長さは99mmと設定した。
FEM解析では、予め解析条件の設定を行う。例えば、解析条件は、モデルの物性値と境界条件である。実施例3では、アルミニウム梁60のモデルの物性値として、密度:2.85×10
-6(kg/mm
3)、弾性係数:4.70×10
4(MPa)、ポアソン比:0.33、減衰係数:0を設定した。また、モルタル54の物性値として、密度:1.49×10
-6(kg/mm
3)、弾性係数:variable、ポアソン比:0.25、減衰係数:0を設定した。モルタル54の弾性係数をvariableと設定したのは、設定を1MPaずつ変えながら各値におけるFEM解析を行うためである。境界条件として、モルタル54のモデルの底面の全方向を固定、側面の法線方向を固定、モルタル54のモデルとアルミニウム梁60のモデルとの接触部分をbondingと設定した。
FEM解析では、上述の物性値と境界条件が設定されたモデルに対して、メッシュを作成した上で解析を行う。本実施例3では、メッシュの節点数を116432点、要素数を81709個と設定した。
硬化体解析装置40は、解析条件に基づき、構造物50のモデルに対してFEM解析を行う。まず、硬化体解析装置40は、FEM解析にて、モルタル54の弾性係数を1MPaずつ変え、モルタル54の各弾性係数におけるアルミニウム梁60の振動の一次共振周波数を算出する。次いで、硬化体解析装置40は、算出したアルミニウム梁60の一次共振周波数と、実施例2で取得した一次共振周波数の時間変化とに基づき、アルミニウム梁60の一次共振周波数と対応するモルタル54の弾性係数の時間変化を算出する。次いで、硬化体解析装置40は、算出したモルタル54の弾性係数の時間変化と、実施例1のモルタル(モルタル54と同一の条件で作成)の貫入抵抗値の時間変化とを比較する。
図9を参照して、FEM解析によるアルミニウム梁60の一次共振周波数の算出結果について説明する。
図9は、実施例3に係る一次共振周波数の算出結果を示す図である。
図9のグラフの横軸はモルタル54の弾性係数(MPa)を示し、縦軸はアルミニウム梁60の一次共振周波数(Hz)を示す。
図9には、モルタル54の弾性係数が大きくなるに伴い、アルミニウム梁60の一次共振周波数が大きくなり、弾性係数がある程度大きくなると一次共振周波数が所定の値に収束していくことが示されている。
図10を参照して、モルタル54の弾性係数の時間変化の算出結果について説明する。
図10は、実施例3に係る弾性係数の時間変化の算出結果を示す図である。
図10のグラフの横軸は時間(分)を示し、縦軸はモルタル54の弾性係数(MPa)を示す。
図10には、実験開始からの時間が経過すると共に、モルタル54の弾性係数が大きくなっていることが分かる。これより、モルタル54の弾性係数は、時間の経過に伴って変化すること、即ち、モルタル54の硬化に伴って変化することが分かる。
ここで、
図4と
図10を参照して、モルタル54の弾性係数の時間変化と、実施例1のモルタル(モルタル54と同一の条件で作成)の貫入抵抗値の時間変化との比較結果について説明する。
図4には、実施例1の貫入抵抗試験によって取得されたモルタルの貫入抵抗値が時間変化に伴い増加していることが示されている。
図10には、FEM解析によって算出されたモルタル54の弾性係数が時間変化に伴い増加していることが示されている。これより、モルタル54の弾性係数とモルタルの貫入抵抗値の時間変化は、類似していることが分かる。なお、
図10に示すモルタルの貫入抵抗値の時間変化を示すグラフは、
図4に示した実施例1で取得された貫入抵抗値の時間変化を示すグラフの内、モルタル温度が16.0℃の場合のグラフに特に類似している。
【0047】
以上、実施例3より、貫入抵抗試験によって取得された貫入抵抗値と、FEM解析によって取得された弾性係数とが、硬化体の硬化に伴って変化した際に、各々の変化の傾向が類似していることが分かった。これより、貫入抵抗試験によって取得された貫入抵抗値の代わりに、FEM解析によって取得された弾性係数に基づき、硬化体の硬化状態を把握することができるといえる。FEM解析に使用された一次共振周波数は、パルスレーザー20と振動測定計30を用いる方法によって取得された周波数応答に基づくものである。よって、貫入抵抗試験の代わりに、パルスレーザー20、振動測定計30、及びFEM解析を用いる方法によって硬化体の硬化状態を把握することが可能であるといえる。
【符号の説明】
【0048】
1…硬化体解析システム、10…硬化体、12…板状部材、14…放出物、16…照射位置、18…測定位置、20…パルスレーザー、22…集光素子、24-1…反射鏡、24-2…反射鏡、30…振動測定計、40…硬化体解析装置、41…通信部、42…制御部、43…記憶部、44…入力部、45…出力部、50…構造物、52…容器、54…モルタル、60…アルミニウム梁、201…レーザーパルス光、420…解析部