(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】印刷回路基板を含む半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240513BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20240513BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240513BHJP
H05K 1/02 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 K
H01L25/04 Z
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2020002010
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0027986
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ キュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ペ ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユジョン
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0007782(US,A1)
【文献】特開2008-198846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/04
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を含む印刷回路基板;
前記印刷回路基板の前記第1の表面に配列される複数の導電端子;
前記印刷回路基板の前記第2の表面に配列される複数の導電端子;及び、
前記印刷回路基板の内部に、前記第1の表面に形成される前記複数の導電端子のうち、多様な入出力信号を伝達する前記第1の表面に配列された導電端子の各々と上部絶縁層を挟んで向かい合うように配列される導電型の補助パターンを含み、
前記第1の表面に配列される複数の導電端子は、第1の入出力信号が提供される第1の入出力信号端子と、第2の入出力信号が提供される第2の入出力信号端子とを含み、
前記補助パターンは、
前記第2の入出力信号が入力され、前記第1の入出力信号端子と前記上部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第1の補助パターンと、
前記第1の入出力信号が入力され、前記第2の入出力信号端子と前記上部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第2の補助パターンとを含む、半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1の入出力信号及び前記第2の入出力信号は互いに異なる信号である、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記印刷回路基板は、
前記第1の表面に隣接する前記上部絶縁層と、
前記第2の表面に隣接する下部絶縁層と、
前記下部絶縁層及び前記上部絶縁層間に介在する積層構造物とを含み、
前記積層構造物は、
交互に積層された複数の導電層及び複数のビルドアップ層を含み、
前記第1の補助パターン及び前記第2の補助パターンは、前記積層構造物及び前記上部絶縁層間に介在される、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第2の表面に配列される前記複数の導電端子のうち、前記多様な入出力信号を伝達する前記第2の表面の導電端子と向かい合うように配置される下部補助パターンをさらに含み、
前記下部補助パターンは、前記積層構造物及び前記下部絶縁層間に介在される、請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第2の表面に配列される前記複数の導電端子は、前記第1の入出力信号が提供される第1の入出力信号端子と、前記第2の入出力信号が提供される第2の入出力信号端子とを含み、
前記下部補助パターンは、
前記第2の入出力信号が入力され、前記第2の表面の前記第1の入出力信号端子と向かい合うように配置される第1の下部補助パターンと、
前記第1の入出力信号が入力され、前記第2の表面の前記第2の入出力信号端子と向かい合うように配置される第2の下部補助パターンとを含む、請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記第1の表面に配列される前記複数の導電端子の少なくとも一つと、前記第2の表面に配列される前記複数の導電端子の少なくとも一つとを連結するTSV(through silicon via)をさらに含む、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
第1の表面及び第2の表面を含む印刷回路基板;
前記印刷回路基板の前記第1の表面に実装される複数の半導体チップ;
前記印刷回路基板の前記第1の表面の端部に位置し、前記複数の半導体チップに多様な入出力信号を含む各種信号を伝達する複数の第1の導電端子;及び、
前記印刷回路基板内に形成され、前記複数の第1の導電端子のうち、前記多様な入出力信号を伝達する第1の導電端子と向かい合う位置に配置される複数の補助パターンを含み、
前記第1の導電端子は、第1の入出力信号が提供される第1の入出力信号端子と、第2の入出力信号が提供される第2の入出力信号端子とを含み、
前記複数の補助パターンは、
前記第2の入出力信号が入力され、前記第1の入出力信号端子と第1の絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第1の補助パターンと、
前記第1の入出力信号が入力され、前記第2の入出力信号端子と前記第1の絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第2の補助パターンとを含む、半導体モジュール。
【請求項8】
前記印刷回路基板の前記第2の表面の端部に位置し、前記多様な入出力信号を含む前記各種信号が伝達される複数の第2の導電端子をさらに含む、請求項7に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記多様な入出力信号を伝達する前記第2の表面の前記複数の第2の導電端子と第2の絶縁層を挟んで向かい合うように、前記印刷回路基板内に配置される複数の下部補助パターンをさらに含む、請求項8に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記第1の入出力信号及び前記第2の入出力信号は互いに異なる信号である、請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
下部絶縁層と、前記下部絶縁層上に形成され、交互に積層される絶縁性を持つ複数のビルドアップ層及び複数の導電層からなる積層構造物と、前記積層構造物上に形成される上部絶縁層とを含む印刷回路基板;
前記下部絶縁層の底部の一側端部に配列される複数の下部導電端子;
前記上部絶縁層上の一側端部に形成される複数の上部導電端子;
前記下部絶縁層及び前記積層構造物間に、前記複数の下部導電端子と向かい合うように形成される導電型の下部補助パターン;及び、
前記上部絶縁層及び前記積層構造物間に、前記複数の上部導電端子と向かい合うように形成される導電型の上部補助パターンを含み、
前記複数の上部導電端子は、第1の入出力信号が提供される第1の入出力信号端子と、第2の入出力信号が提供される第2の入出力信号端子とを含み、
前記上部補助パターンは、前記第1の入出力信号端子と前記上部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように配置される第1の補助パターンと、前記第2の入出力信号端子と前記上部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第2の補助パターンとを含み、
前記第1の補助パターンに前記第2の入出力信号が入力され、前記第2の補助パターンに前記第1の入出力信号が入力される、半導体モジュール。
【請求項12】
前記複数の下部導電端子は、第3の入出力信号が提供される第3の入出力信号端子と、第4の入出力信号が提供される第4の入出力信号端子とを含み、
前記下部補助パターンは、前記第3の入出力信号端子と前記下部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように配置される第3の補助パターンと、前記第4の入出力信号端子と前記上部絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように位置する第4の補助パターンとを含み、
前記第3の補助パターンに前記第4の入出力信号が入力され、前記第4の補助パターンに前記第3の入出力信号が入力される、請求項11に記載の半導体モジュール。
【請求項13】
前記第1の入出力信号及び前記第2の入出力信号は互いに異なる信号である、請求項11に記載の半導体モジュール。
【請求項14】
前記下部絶縁層及び前記積層構造物間に位置し、該下部補助パターンの一側又は他側の端部から前記他の種類の入出力信号を伝達する前記下部導電端子と向かい合う位置まで引出される連結部;及び、
前記連結部及び前記他の種類の入出力信号を伝達する前記下部導電端子間を電気的に連結するコンタクト部をさらに含む、請求項13に記載の半導体モジュール。
【請求項15】
前記積層構造物及び前記上部絶縁層間に位置し、
前記第1の補助パターンから前記第2の入出力信号端子と向かい合う位置まで引出される
第1の連結部;
前記上部絶縁層の内部に位置し、前記
第1の連結部及び前記
第2の入出力信号端子間を電気的に連結する
第1のコンタクト部;
前記積層構造物及び前記上部絶縁層間に位置し、前記第2の補助パターンから前記第1の入出力信号端子と向かい合う位置まで引出される第2の連結部;及び、
前記上部絶縁層の内部に位置し、前記第2の連結部及び前記第1の入出力信号端子間を電気的に連結する第2のコンタクト部をさらに含む、請求項11に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路システムに関し、より詳しくは、クロストーク(crosstalk)が低減できる印刷回路基板を含む半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ部品の高速化及び高性能化のために制御信号等の種類が増大している。高速化によるノイズを低減するために、電源ピン等の個数が増大し、さらに印刷回路基板及びこれを含むDIMMのような半導体モジュールに具現された端子等の個数が増大している。
【0003】
しかしながら、限定の面積内に上部導電端子(又はピン)の個数が増大することで、隣接の上部導電端子(又はピン)間に信号を歪曲させるクロストーク現状が発生し得る。このようなクロストークは、時間の遅延によるロジックフェイル(logic fail)等のシステムエラーが誘発し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、クロストークが低減できる印刷回路基板を含む半導体モジュールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例による半導体モジュールは、第1の表面及び第2の表面を含む印刷回路基板;前記印刷回路基板の前記第1の表面に配列される複数の導電端子;前記印刷回路基板の前記第2の表面に配列される複数の導電端子;及び、前記印刷回路基板の内部に、前記第1の表面に形成される前記複数の導電端子のうち、多様な入出力信号を伝達する前記第1の表面に配列された導電端子の各々と絶縁層を挟んで向かい合うように配列される導電型の補助パターンを含む。
【0006】
また、本発明の一実施例による半導体モジュールは、第1の表面及び第2の表面を含む印刷回路基板;前記印刷回路基板の前記第1の表面に実装される複数の半導体チップ;前記印刷回路基板の前記第1の表面の端部に位置し、前記複数の半導体チップに多様な入出力信号を含む各種信号を伝達する複数の導電端子;及び、前記印刷回路基板内に形成され、前記複数の導電端子のうち、前記多様な入出力信号を伝達する導電端子と向かい合う位置に配置される複数の補助パターンを含み、前記補助パターンの各々は、前記入出力信号を伝達する前記導電端子と絶縁層を挟んで少なくとも一部が向かい合うように配置され、自分と向かい合わない他の種類の入出力信号を伝達する前記導電端子の一つと電気的に連結する。
【0007】
また、本発明の一実施例による半導体モジュールは、下部絶縁層と、前記下部絶縁層上に形成され、交互に積層される絶縁性を持つ複数のビルドアップ層及び複数の導電層からなる積層構造物と、前記積層構造物上に形成される上部絶縁層とを含む印刷回路基板;前記下部絶縁層の底部の一側端部に形成され、多様な入出力信号を含む各種信号が入力される複数の下部導電端子;前記上部絶縁層上の一側端部に形成され、前記多様な入出力信号を含む前記各種信号が入力される複数の上部導電端子;前記下部絶縁層及び前記積層構造物間に、前記複数の下部端子から選択される少なくとも二つ以上の下部導電端子と各々向かい合うように形成される導電型の下部補助パターン;及び、前記上部絶縁層及び前記積層構造物間に、前記複数の上部導電端子から選択される少なくとも二つの上部導電端子と各々向かい合うように形成される導電型の補助パターンを含む。
【発明の効果】
【0008】
本実施例によれば、入出力信号を伝達する印刷回路基板の上部導電端子及び/又は下部導電端子と少なくとも一部がオーバーラップされるように、補助パターンを形成する。これにより、FEXT(far end crosstalk)の要因の一つである相互キャパシタンス(mutual capacitance)の量を相殺させることで、隣接端子(又は隣接パッド)間のクロストークが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例による半導体集積回路システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1の“A”部分を拡大して示すDIMMの平面図である。
【
図3】
図2のIII-III’線に沿って切断して示すDIMMの断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV’線に沿って切断して示すDIMMの断面図である。
【
図5】本発明の実施例によるクロストークの発生を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施例による相互キャパシタンスを減少させる原理を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施例による補助パターンの挿入に従うFEXT測定結果を示すグラフである。
【
図8】本発明の一実施例によるDIMMの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点や特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面に基づいて詳細に後述する実施例により明確になる。しかしながら、本発明は、以下で開示している実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態で具現可能である。但し、本実施例等は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者に発明の範囲を完全に認知させるために提供されるものであり、本発明は請求の範囲によって定義されるだけである。図において、層及び領域らのサイズ及び相対的なサイズは、説明の明確性を期するために誇張されたものであり得る。明細書の全般にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0011】
図1は、本発明の実施例による半導体集積回路システムを示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、半導体集積回路システム10は、半導体モジュールに該当するDIMM100及びDIMMコネクタ150を含むことができる。
【0013】
DIMM100は、印刷回路基板110、複数の半導体チップ120及び複数の導電端子130を含むことができる。
【0014】
印刷回路基板110は、前面111、後面112及び複数の側面113a~113bを含むことができる。印刷回路基板110の前面111には、複数の半導体チップ120が実装できる。
【0015】
複数の導電端子130は、DIMMコネクタ150の内部端子152と対応されるように、DIMM100の前面及び後面の端部に沿って一定間隔をおいて配列できる。複数の導電端子130は、例えば、TAB(tape automated bonding)方式により形成できる。
【0016】
DIMMコネクタ150は、マザーボード(motherboard)のような基本印刷回路ボード(図示せず)にDIMM100を取り外し可能にカップリングさせるための装置である。DIMMコネクタ150は、DIMM100と接続される内部端子152と、前記基本印刷回路ボードと接続される外部端子154とを含むことができる。
【0017】
図2は、
図1の“A”部分を拡大して示すDIMMの平面図である。
【0018】
図2に示すように、印刷回路基板110の前面111の端部には、複数の上部導電端子130a~130dが等間隔に配列される。例えば、第1及び第3の上部導電端子130a、130cは各々第1及び第2の入出力信号端子であり得、第2及び第4の上部導電端子130b、130dはグラウンド端子であり得る。以下、第1の上部導電端子130aは第1の入出力信号端子とし、第3の上部導電端子130cは第2の入出力信号端子として説明する。また、本実施例では、第1及び第2の入出力信号端子130a、130c間にグラウンド端子130bが位置する例を説明するが、これに限定されず、第1及び第2の入出力信号端子130a、130cが連続的に配置されることもでき、若しくは、第1及び第2の入出力信号端子130a、130c間に他の信号が入力される端子が位置する例もここに含むことができる。また、第1の入出力信号端子130aに入力される信号と、第2の入出力信号端子130cに入力される信号とは、互いに異なることができる。
【0019】
本実施例では、上部導電端子間のクロストークを低減するために、上部導電端子130a~130d、特に、入出力信号端子130a、130cと相互キャパシタが生成できるように、印刷回路基板110内に補助パターン125a、125bが形成できる。例えば、第1の入出力信号端子と第1の補助パターンとが第1の相互キャパシタンスを形成し、第2の入出力信号端子と第2の補助パターンとが第2の相互キャパシタンスを形成する。
【0020】
まず、第1の補助パターン125aは、第1の入出力信号端子130aと絶縁層(図示せず)を挟んで少なくとも一部が向かい合う位置に配置される。望ましくは、第1の補助パターン125aは、第1の入出力信号端子130aと全体的にオーバーラップされるように形成できる。第1の補助パターン125aは、第2の入出力信号端子130cと第1のコンタクト部CT1及び第1の連結部L1を介して電気的に連結できる。
【0021】
第2の補助パターン125bは、第2の入出力信号端子130cと絶縁層(図示せず)を挟んで少なくとも一部が向かい合う位置、換言すればオーバーラップされる位置に配置される。同様に、第2の補助パターン125bは、第2の入出力信号端子130cと全体的にオーバーラップされるように形成できる。第2の補助パターン125bは、第1の入出力信号端子130aと第2のコンタクト部CT2及び第2の連結部L2を介して電気的に連結できる。
【0022】
これにより、第1の補助パターン125aには、第2の入出力信号端子130cに入力される信号(電圧)が提供され、第2の補助パターン125bには、第1の入出力信号端子130aに入力される信号(電圧)が提供される。
【0023】
未説明の図面符号CT3は、印刷回路基板110を貫通するスルービア(through via)を示す。
【0024】
図3は
図2のIII-III’線に沿って切断して示すDIMMの断面図であり、
図4は
図2のIV-IV’線に沿って切断して示すDIMMの断面図である。
【0025】
図3及び
図4に示すように、下部絶縁層121a上に複数のビルドアップ層(build-up layer)121と複数の導電層123とが交互に積層されることで、積層構造物(S)を形成する。複数のビルドアップ層121は、例えば絶縁層であり、複数の導電層123間を電気的に絶縁させることができる。
【0026】
積層構造物(S)の上部、例えば、複数のビルドアップ層121の最上部ビルドアップ層121上に、第1の補助パターン125a、第2の補助パターン125b、第1の連結部L1及び第2の連結部L2が形成される。第1及び第2の補助パターン125a、125bは、以後形成される上部導電端子のうち、入出力信号端子が形成される領域と各々向かい合う位置に形成されることができる。
【0027】
前記第1の連結部L1は、前記第1の補助パターン125aの一側端部から前記第2の補助パターン125bと隣接する領域まで引出される。但し、第1の連結部L1は、第2の補助パターン125bと電気的に絶縁されなければならない。
【0028】
前記第2の連結部L2は、前記第2の補助パターン125bの他側端部から前記第1の補助パターン125aが隣接する領域まで引出される。同様に、第2の連結部L2は、第1の補助パターン125aと電気的に絶縁されなければならない。
【0029】
第1の補助パターン125a、第2の補助パターン125b、第1の連結部L1及び第2の連結部L2は、積層構造物(S)の上部、例えば、前記最上部ビルドアップ層121上に導電層を蒸着した後、パターニング方式により形成できるが、これに限定されるものではない。
【0030】
第1の補助パターン125a、第2の補助パターン125b、第1の連結部L1及び第2の連結部L2が形成された積層構造物(S)上に上部絶縁層121bが形成される。従って、印刷回路基板110が構築される。
【0031】
第1の連結部L1及び第2の連結部L2の外側端部が各々露出されるように上部絶縁層121bがエッチングされ、上部絶縁層121b内にコンタクトホール(図示せず)が形成される。例えば、前記コンタクトホールは、レーザ穴あけ(laser drilling)やエッチング方式等の多様な方式により形成できる。前記コンタクトホールの内部に導電層を埋め込み、第1の連結部L1と連結する第1のコンタク部CT1と、第2の連結部L2と連結する第2のコンタクト部CT2とが形成される。
【0032】
上部絶縁層121b上に導電層、例えば、銅薄膜を用いて複数の上部導電端子130a~130dが形成される。前述したように、複数の上部導電端子130a~130dはTAB方式により形成でき、複数の上部導電端子130a~130dは同一のサイズを有し、既定の規格によって配置される。本実施例では、説明の便宜上、ビルドアップ層121、下部絶縁層121a及び上部絶縁層121bを区分して作成したが、全部同一の絶縁物質で構成されることもできる。
【0033】
一方、下部絶縁層121aの底部の表面端部には、公知の方式により複数の下部導電端子135a~135cが形成できる。前記複数の下部導電端子135a~135cは、例えばDIMMコネクタ(
図1の150)の内部端子152と電気的に接続され、外部から提供される入出力信号を含む各種信号を受信する。
【0034】
図に詳しく説明していないが、複数の上部導電端子130a~130d及び複数の下部導電端子135a~135cは、印刷回路基板110内の複数の導電層123とのコンタクト(図示せず)によって適切に電気的に連結できる。場合に応じては、印刷回路基板110を貫通するスルービア(through via)140を介して、上部導電端子130d及び下部導電端子135cが直接連結されることもできる。
【0035】
このように、第1の入出力信号端子130aは前記第1の補助パターン125aとオーバーラップされ、第2の入出力信号端子130cは前記第2の補助パターン125bとオーバーラップされることで、第1の補助パターン125a及び第1の入出力信号端子130a間、並びに、第2の補助パターン125b及び第2の入出力信号端子130c間に両方向相互キャパシタCma、Cmbが生成される。また、第1の補助パターン125aには第2の入出力信号S2が入力され、第2の補助パターン125bには第1の入出力信号S1が入力されるため、持続的に相互キャパシタを発生させることができる。
【0036】
また、第1の補助パターン125a及び第2のコンタクト部CT2が第1の入出力信号端子130aの面積範囲内に配置され、第2の補助パターン125b及び第1のコンタクト部CT1が第2の入出力信号端子130cの面積範囲内に位置されるように、第1及び第2の補助パターン125a、125bは、相互スタッガー(stagger)形状に配置される。さらに、第1の補助パターン125a及び第2の補助パターン125bは、
図2の垂直方向から見る時、相互オフセット(offset)され、第1のコンタクト部CT1及び第2のコンタクト部CT2も垂直方向から見る時、相互オフセットされる。
【0037】
このような相互キャパシタCma、Cmbは、隣接の入出力信号端子間に発生し得るクロストークを効率よく低減できる。これについては以下でより詳細に説明する。
【0038】
図5は、本発明の実施例によるクロストークの発生を説明するための図である。
図6は、本発明の一実施例による相互キャパシタンスを減少させる原理を説明するための図である。
【0039】
公知のように、一般にDIMMを含む半導体集積回路システムは、複数のバスラインを介して同時にデータがスイッチングされるので、I/O信号ライン間のクロストークの問題が非常に深刻である。
【0040】
図5に示すように、クロストークは、例えば、NEXT(near end crosstalk)及びFEXT(far end crosstalk)として評価されることができる。
【0041】
前記NEXTは、入出力信号(S)が入力される第1の入出力信号端子130a及び前記第2の入出力信号端子130cの近端(P1及びP3間)で発生するクロストークであり得る。前記FEXTは、第1の入出力信号端子130a及び第2の入出力信号端子130cの遠端(P1及びP4間)で発生するクロストーク(以下、FEXT:far end crosstalk)であり得る。このようなNEXT及びFEXTは、次の式で表される。
【0042】
[数1]
NEXT ∝(Cm/C+Lm/L)
FEXT ∝(Cm/C-Lm/L)
【0043】
ここで、Cmは第1の入出力信号端子130a及び第2の入出力信号端子130c間の相互キャパシタンス(mutual capacitance)、Cは第1及び第2の入出力信号端子130a、130cの各々の有効相互キャパシタンス(effective mutual capacitance)、Lmは第1及び第2の入出力信号端子130a、130c間の相互インダクタンス(mutual inductance)、並びにLは第1及び第2の入出力信号端子130a、130cの各々の有効相互インダクタンス(effective mutual inductance)を示す。本実施例では、説明の便宜上、キャパシタンス及びキャパシタは同じ符号を付し、インダクタンス及びインダクタも同じ符号を付す。
【0044】
相互インダクタンスLm及び有効相互インダクタンスLの比率(Lm/L)が、相互キャパシタンスCm及び有効相互キャパシタンスCの比率(Cm/C)に比べて無視する程度のサイズである場合、前記NEXT及びFEXTは、相互キャパシタンスCm及び有効相互キャパシタンスCの比率(Cm/C)に支配的な影響を受ける。
【0045】
本実施例では、有効相互キャパシタンス(C)を増大させるために、第1の入出力信号端子130a及び第2の入出力信号端子130cの下部に第1及び第2の補助パターン125a、125bを各々配置した。例えば、第1の補助パターン125aは、第1の入出力信号端子130aとオーバーラップされるように配置され、第2の補助パターン125bは、第2の入出力信号端子130cとオーバーラップされるように配置される。
【0046】
第1の補助パターン125aに第2の入出力信号S2が印加され、第2の補助パターン125bに第1の入出力信号S1が印加されることで、
図6に示すように、第1の入出力信号端子130a及び第1の補助パターン125a間に第1の相互キャパシタCmaが発生され、第2の入出力信号端子130c及び第2の補助パターン125b間に第2の相互キャパシタCmbが発生される。
【0047】
このような第1の相互キャパシタCma、相互キャパシタンスCm及び第2の相互キャパシタCmbは、
図6に示すように、第1の入出力信号S1及び第2の入出力信号S2が入力される端子間で並列に連結される。これにより、実質的な第1の相互キャパシタCma、相互キャパシタンスCm及び第2の相互キャパシタCmbの有効相互キャパシタンスが増大することで、FEXTを減少させることができる。
【0048】
図7は、本発明の一実施例による補助パターンの挿入に従うFEXT測定結果を示すグラフである。
【0049】
図7は、補助パターンを備えない場合、並びに、第1及び第2の補助パターン125a、125bのサイズを各々第1のサイズ乃至第4のサイズに順次増大させた場合、FEXTを測定した結果を示す。ここで、第1及び第2のサイズは上部導電端子130a、130cの面積範囲以内であり、第3及び第4のサイズは上部導電端子130a、130cの面積範囲以上であり得る。
【0050】
図7に示すように、印刷回路基板110内に上部導電端子130a、130cとオーバーラップされる第1及び第2の補助パターン125a、125bが配置される場合、補助パターンを備えない場合よりもFEXT特性が著しく低下することが観察できる。
【0051】
また、第1及び第2の補助パターン125a、125bのサイズが上部導電端子130a、130cの面積範囲内で増大するほど、相互キャパシタCma、Cmbが増大することで、FEXTを減少させることが観察できる。
【0052】
反面、第1及び第2の補助パターン125a、125bが上部導電端子130a、130cの範囲以上に増大する場合、例えば、第1及び第2の補助パターン125a、125bが第3及び第4のサイズを有する場合、FEXTが過度相殺(over-compensation)を発生させることが確認できる。
【0053】
図8は、本発明の一実施例による印刷回路基板110の底面図である。
【0054】
図8に示すように、印刷回路基板110の底面に形成される複数の下部導電端子135のうち、入出力信号が伝達される第1及び第2の下部導電端子135a、135bと絶縁層を挟んで向かい合うように、第1及び第2の下部補助パターン150a、150bがさらに形成できる。
【0055】
前記第1及び第2の下部補助パターン150a、150bは、印刷回路基板110の下部絶縁層121aと積層構造物(S、
図3又は
図4参照)、例えば、最下部ビルドアップ層121間に、第1及び第2の下部導電端子135a、135bと各々向かい合う位置に形成できる。前記第1の下部補助パターン150aは、第1の下部導電端子135aと少なくとも一部がオーバーラップされながら、第2の下部導電端子135bと連結部L3及びコンタクト部CT4を介して電気的に連結できる。
【0056】
前記第2の下部補助パターン150bは、第2の下部導電端子135bと少なくとも一部がオーバーラップされながら、前記第1の下部導電端子135aと連結部L4及びコンタクト部CT5を介して電気的に連結できる。
【0057】
DIMM100の下部導電端子135a、135bと少なくとも一部がオーバーラップされる補助パターンを印刷回路基板110内に形成することで、入出力信号を伝達する隣接の下部導電端子間の相互キャパシタンスを相殺させることができる。
【0058】
本実施例では、入出力信号を伝達する上下部導電端子の各々と向かい合うように印刷回路基板内に補助パターンを形成する。従って、補助パターンによって発生する相互キャパシタにより、FEXTの上昇要因である相互キャパシタンスを減少(相殺)させることで、隣接端子間のクロストークが低減できる。
【0059】
また、前記補助パターンは、自分と向かい合わない他の入出力信号が印加される入出力信号端子(又は入出力信号パッド)と電気的に連結することで、向かい合う入出力信号端子(又は入出力信号パッド)と持続的に相互キャパシタを発生させることができる。これにより、入出力信号レベルが変更されても、FEXT特性を改善することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例を詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内において当該分野における通常の知識を有した者によって多様な変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
110 印刷回路基板
125a、125b 補助パターン
130a~130d 上部導電端子
135a~135c 下部導電端子
150a、150b 下部補助パターン
L1、L2、L3、L4 連結部
Cm、Cma、Cmb 相互キャパシタ(相互キャパシタンス)