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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】マイクロフォン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/46 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
H04R1/46
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020104184
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197670
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】口地 博行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗
(72)【発明者】
【氏名】桝本 尚己
(72)【発明者】
【氏名】瀬志本 明
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166241(JP,A)
【文献】特開2017-170112(JP,A)
【文献】特開2014-093739(JP,A)
【文献】特開平07-116138(JP,A)
【文献】実開平06-070702(JP,U)
【文献】実開昭54-059786(JP,U)
【文献】実開昭59-036309(JP,U)
【文献】特開2017-176269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に接触する集音部と、該集音部により集音した音を電気的信号に変換するマイク部を備えたマイクロフォンにおいて、
矩形の外形と円形の貫通孔を有している前記対象物に接触する一方の面と、前記集音部と接続する他方の面が、柱状の支持部材を介して、該支持部材間に壁面を有さず連結された筐体を備え、
前記集音部の周囲に前記筐体を配置し、前記貫通孔から、前記筐体の前記対象物に接触する前記一方の面の先端部より前記集音部の前記対象物に接触する先端部が突出するように前記集音部と前記筐体の前記他方の面とを弾性部材で接続し、
前記対象物に前記筐体の前記一方の面の先端部と前記集音部の前記先端部とを接触させるとき、前記対象物に前記筐体の前記一方の面の先端部が接触することで前記集音部に加わる圧力を一定とすることを特徴とするマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォンに関し、特に対象物に接触して対象物の音を測定し、電気信号に変換するマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
生体やモーターの音を測定する場合、例えば図6に示すように、集音部1の内側にマイク部2を備えたマイクロフォンを用いて、集音部1を測定する対象物7の表面に接触して集音し、マイク部2で電気的信号に変換することで測定をおこなっている。マイク部2は図示しないマイクケーブルを備えている。このようなマイクロフォンは例えば引用文献1および2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-036309号公報
【文献】特開2014-093739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなマイクロフォンの集音部1を対象物7の表面に接触させる際、押圧の大きさにより集音領域8の容積が変動し、感度が変動してしまうという問題があった。また、感度の変動により、測定の再現性に問題があった。本発明は、このような問題点を解消し、押圧による感度の変動を抑制し、測定の再現性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、対象物に接触する集音部と、該集音部により集音した音を電気的信号に変換するマイク部を備えたマイクロフォンにおいて、矩形の外形と円形の貫通孔を有している前記対象物に接触する一方の面と、前記集音部と接続する他方の面が、柱状の支持部材を介して、該支持部材間に壁面を有さず連結された筐体を備え、前記集音部の周囲に前記筐体を配置し、前記貫通孔から、前記筐体の前記対象物に接触する前記一方の面の先端部より前記集音部の前記対象物に接触する先端部が突出するように前記集音部と前記筐体の前記他方の面とを弾性部材で接続し、前記対象物に前記筐体の前記一方の面の先端部と前記集音部の前記先端部とを接触させるとき、前記対象物に前記筐体の前記一方の面の先端部が接触することで前記集音部に加わる圧力を一定とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマイクロフォンは、集音部の周囲に筐体を備え、筐体の対象物に接触する先端部より集音部の対象物に接触する先端部を突出させ、集音部と筐体とを弾性部材で接続する構造とすることで、対象物の音を測定する場合、まず集音部が対象物に接触する際の押圧は、弾性部材が縮みながら増加していき、次に筐体が対象物に接触することによって、集音部に加わる押圧を一定とすることができる。また、筐体が対象物に接触することで、それ以上押圧を加えることを停止することができるので、集音領域の容積の変動が抑制され、感度の変動を抑制することが可能となる。
【0008】
また、測定者が代わっても押圧の大きさが異なることはなく、集音部に加わる押圧が一定の大きさとなるため、感度の変動を抑制することができ、測定の再現性を向上することができる。
【0009】
筐体により集音部を覆う二重構造とすると、筐体が遮音構造となり、マイクロフォンのSN比を向上させる効果も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施例のマイクロフォンを説明する図である。
図2】本発明の第1の実施例のマイクロフォンを説明する図である。
図3】本発明の第2の実施例のマイクロフォンを説明する図である。
図4】本発明の第2の実施例のマイクロフォンの斜視図である。
図5】本発明の第2の実施例のマイクロフォンを説明する図である。
図6】従来のマイクロフォンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のマイクロフォンは、集音部の周囲に筐体を備え、筐体の対象物に接触する先端部より集音部の対象物に接触する先端部を突出させ、集音部と筐体とを弾性部材で接続する構造とすることで、対象物の音を測定する場合、まず集音部が対象物に接触する際の押圧は、弾性部材が縮みながら増加していき、次に筐体が対象物に接触することによって、集音部に加わる押圧を一定とすることができる構成としている。また、筐体が対象物に接触することで、それ以上押圧を加えることを停止することができるので、集音領域の容積の変動が抑制され、感度の変動を抑制することが可能となる。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の第1の実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施例のマイクロフォンの説明図である。図1において、1は集音部で、この集音部1の内側には集音された音を電気的信号に変換するマイク部2を備えている。このマイク部2は図示しないマイクケーブルを備えている。
【0013】
集音部1の周囲には、筐体3が配置され、筐体3の対象物に接触する先端部4より集音部1の対象物に接触する先端部5が突出している。一般的に集音部1は接触物に接触する先端部が円形であるため、筐体3は内部に円柱状の空洞を備え、その先端部は円形の開口を有する構造とすることができる。空洞内において集音部1と筐体3とは、弾性部材として例えばバネ6で接続している。当然ながらバネ以外の弾性部材を用いてもよい。
【0014】
図1に示すマイクロフォンを対象物の表面に接触させた状態を図2に示す。マイクロフォンを対象物の表面に接触させる場合には、集音部1の先端部5は筐体3の先端部4より突出しているため、まず集音部1が対象物7に接触し、その接触の際の押圧はバネ6が縮むことで徐々に増加していく。次に筐体3が対象物7に接触することで、それ以上筐体3及び集音部1を対象物7に押圧を加える必要がないことを確認することができ、集音部1に加わる押圧が一定とすることができる。また、それ以上押圧を加えることを停止することができるので、集音領域8の容積の変動が抑制され、マイクロフォンの感度の変動を抑制することができる。さらにまた、測定者が代わっても押圧の大きさが異なることはなく、集音部1に加わる押圧が一定の大きさとなるため、マイクロフォンの感度の変動を抑制することができ、測定の再現性を向上することができる。本実施例のように集音部1と筐体3の二重構造にすることは、集音領域8の遮音性を向上することでSN比を向上することも可能となる。
【0015】
また、集音部1の先端部5および筐体3の先端部4に密着材として例えばゲルシートを配置してもよい。このゲルシートにより集音部1および筐体3と対象物7との密着性を高めることで、集音部1および筐体3と対象物7との間から雑音が侵入することなく、遮音性をさらに高めることができ、高いSN比を実現することもできる。当然ながらゲルシート以外の密着材を用いてもよい。
【0016】
さらにまた、集音部1と筐体3との間の領域であってバネ6が配置された領域以外の領域に吸音材を充填してもよい。この吸音材が集音部の周囲の雑音を吸収し、集音領域8の遮音性をさらに高めることができ、高SN比を実現することもできる。吸音材は、周知の材料を用いることができる。
【実施例2】
【0017】
次に第2の実施例について説明する。図3は、本発明の第2の実施例のマイクロフォンの説明図であり、図4図3に示すマイクロフォンの斜視図である。図3および図4に示すように本実施例のマイクロフォンは、上記第1の実施例における筐体3の先端部4を有する一方の面9と他方の面10とを支持部材11を介して連結し、筐体3の側面を除去した構造としたものである。
【0018】
図3および図4に示すマイクロフォンを対象物の表面に接触させた状態を図5に示す。本実施例のマクロフォンは上記第1の実施例と同様に、マイクロフォンを対象物の表面に接触させる場合には、集音部1の先端部5は筐体3の先端部4より突出しているため、まず集音部1が対象物7に接触し、その接触の際の押圧はバネ6が縮むことで徐々に増加していく。次に一方の面9が対象物7に接触することで、それ以上一方の面9及び集音部1を対象物7に押圧を加える必要がないことを確認することができ、集音部1に加わる押圧が一定とすることができる。またそれ以上押圧を加えることを停止することができるので、集音領域8の容積の変動が抑制され、マイクロフォンの感度の変動を抑制することができる。さらにまた、測定者が代わっても押圧の大きさが異なることはなく、集音部1に加わる押圧が一定の大きさとなるため、マイクロフォンの感度の変動を抑制することができ、測定の再現性を向上することができる。本実施例のように筐体3の側面を除去とすることで、軽量化を実現することが可能となる。図4に示す例では支持部材11を4つ配置したものを記載したが、2つ以上配置すればよく、バランスよく配置し押圧を均等に分散することができればよい。また支持部材は四角柱形状に限らず、円柱形状、多角形柱状であってもよい。
【0019】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、筐体の外観形状は直方体に限定するものではなく、円柱や多角柱などの形状としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1:集音部、2:マイク部、3:筐体、4:筐体の先端部、5:集音部の先端部、6:バネ、7:対象物、8:集音領域、9:一方の面、10:他方の面、11:支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6