(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用のカートリッジアセンブリおよび薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/24 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61M5/24 502
(21)【出願番号】P 2021502518
(86)(22)【出願日】2019-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2019068967
(87)【国際公開番号】W WO2020016159
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ウィンペニー
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・オーブリー・プランプトリ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ビージー
(72)【発明者】
【氏名】イアン・マクフォール
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・グリフィン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516687(JP,A)
【文献】特表2014-502891(JP,A)
【文献】特表2013-542807(JP,A)
【文献】特表2017-534365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用のカートリッジアセンブリ(300)であって:
薬物(307)を含むカートリッジ(301)であって、投薬端(306)を含むカートリッジと;
内部カートリッジ保持セクション(303)を画成するカートリッジホルダ(302)であって、カートリッジがカートリッジ保持セクション内に配置されている、カートリッジホルダと、
固定機能(322)とを含み、
ここで、該固定機能は固定面(324
)を含み、該固定面は、カートリッジホルダからカートリッジが取り出されることを防止するためにカートリッジのカートリッジ面(313
)に当接するように配置され、それによりカートリッジが恒久的にカートリッジホルダに固定され、
カートリッジ面は、カートリッジの投薬端とは反対側を向く近位面であり、
カートリッジ面は、カートリッジの投薬端と、該投薬端の反対側の端部との間に配置され、
固定機能はカートリッジホルダに一体化され、
カートリッジ保持セクション(303)は遠位領域を含み、該遠位領域が固定面(324)に対して遠位に配置され、カートリッジ案内機能(326)が遠位領域に設けられ、
カートリッジ案内機能(326)は、カートリッジホルダ(302)の内壁から径方向に突出しており、該内壁はカートリッジ保持セクション(303)の遠位領域に配置されており、カートリッジ案内機能(326)は、カートリッジ(301)を固定面に対して径方向に動かすようにカートリッジ(301)と協働するように設けられており、
カートリッジ案内機能は固定面から、カートリッジ(301)のセプタム(308)の厚さ(A)以上の距離(B)だけ遠位にオフセットされている、前記カートリッジアセンブリ。
【請求項2】
固定機能(322)は、カートリッジホルダ(30
2)の内壁から径方向に突出し、カートリッジホルダは、固定機能が径方向に弾性的に変位するように構成される、および/または
カートリッジ保持セクション(303)は、少なくとも3つの内部領域、すなわち第1の領域、固定機能領域、および第2の領域を含み、固定機能(322)は固定機能領域に配置され、固定機能領域は、軸方向に見たときに、第1の領域と第2の領域の間に配置されており、固定機能領域内のカートリッジホルダの内径または内法スパンは、第1の領域内および第2の領域内の内径または内法スパンよりも小さく、第1の領域と第2の領域は内径または内法スパンが異なる、および/または
カートリッジ(301)は、ヘッド部分(310)を投薬端(306)および主ボディ部分(311)と共に含み、縮小された直径のネック部分(312)がヘッド部分と主ボディ部分の間に設けられ、カートリッジ面(313)は、ヘッド部分の範囲を軸方向に定める面である、
請求項1に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項3】
距離(B)は、カートリッジのヘッド部分(310)の軸方向の延長以下である、請求項2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
カートリッジホルダ(302)は、固定機能の角度方向または方位角の延長全体に沿って径方向に、および固定機能(322)の軸方向の延長全体に沿って閉じられる、請求項1~
3のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
カートリッジホルダ(302)は単体部材である、または
カートリッジホルダ(302)の外面または外側輪郭は
、互いに固定されている少なくとも2つの部材(328、329)によって画成され、これら少なくとも2つの部材は本体部材(329)および遠位部材(328)を含み、固定機能(322)は、本体部材および遠位部材のうちの一方に設けられ、本体部材および遠位部材のうちの他方は、固定機能の径方向外向きの動きを防止するために固定機能と相互に作用するように配置される、請求項1~
4のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも2つの部材が恒久的に互いに固定されている、請求項5に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項7】
固定面(324)は、カートリッジホルダ(302)側壁を貫通して径方向に延びるカートリッジホルダの開口部
(327)の範囲を近位に定める、請求項1~6のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項8】
カートリッジホルダ(30
2)は、針ユニットをカートリッジホルダ(302)に連結するように構成された連結機能を含む針コネクタ(319)を含み、
前記開口部(327)がその連結機能を中断する、請求項7に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項9】
カートリッジホルダ(302)は、カートリッジの遠位面に当接するように配置されている遠位端壁(315)を有し、該遠位端壁は角度方向に延び、固定面(324)と径方向および角度方向に重なり合う位置に開口部(325)を有し、遠位端壁は中心開口部または針開口部(316)を画成し、該針開口部は遠位端壁の開口部と連結される、請求項1~
6のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項10】
カートリッジホルダ(302)は射出成形部片であり、射出ゲートマーク(323)がカートリッジホルダの遠位端に位置する、請求項1~9のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項11】
固定機能(322)は、カートリッジホルダ(302)の一セクションと一緒に単体として形成され、該セクションは、カートリッジホルダの少なくとも1つの領域においてカ
ートリッジホルダの外面または外側輪郭を画成または形成する、請求項1~10のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項12】
カートリッジホルダ(302)はただ1つの固定機能(322)を含む、および/または
カートリッジアセンブリ(300)全体は、消耗可能材料の1つのユニットを形成する、
請求項1~11のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項13】
カートリッジの一部分(310)は、カートリッジホルダ(302)の固定面(324)と近位面の間に堅く受けられる、および/または
カートリッジホルダ(302)の軸方向の延長は、カートリッジ(301)の全長の少なくとも50%
を覆うように選ばれる、請求項1~12のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項14】
前記カートリッジホルダ(302)の軸方向の延長が、カートリッジ(301)の全長の90%以上を覆うように選ばれる、請求項13に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項15】
固定機能(322)がある領域では、カートリッジホルダ(302)は外周方向において横方向および径方向に閉じられる、請求項1~
14のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項16】
固定機能(322)は、径方向の力の作用を受けるときに剛性であり非可撓性である、請求項1~
15のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項17】
ハウジング(10)と、請求項1~
16のいずれか1項に記載の、ハウジングに解放可能に連結されるカートリッジアセンブリ(300)とを含む薬物送達デバイス(1)であって、カートリッジに含まれる薬物(307)が薬剤である、前記薬物送達デバイス。
【請求項18】
ハウジング(10)と、請求項1~
16のいずれか1項に記載の、ハウジングに解放可能に連結されるカートリッジアセンブリ(300)とを含む薬物送達デバイス(1)であって、カートリッジ(301)をカートリッジホルダ(302)に対して遠位方向に付勢する付勢部材がハウジング内に配置される、前記薬物送達デバイス。
【請求項19】
薬物送達デバイス用のカートリッジアセンブリ(300)であって:
薬物(307)を含むカートリッジ(301)であって、投薬端(306)を含むカートリッジと;
内部カートリッジ保持セクション(303)を画成するカートリッジホルダ(302)であって、カートリッジがカートリッジ保持セクション内に配置されている、カートリッジホルダと、
固定機能(322)とを含み、
ここで、該固定機能は固定面(324
)を含み、該固定面は、カートリッジホルダからカートリッジが取り出されることを防止するためにカートリッジのカートリッジ面(313
)に当接するように配置され、それによりカートリッジが恒久的にカートリッジホルダに固定され、
カートリッジ面は、カートリッジの投薬端とは反対側を向く近位面であり、
カートリッジ面は、カートリッジの投薬端と、該投薬端の反対側の端部との間に配置され、
固定機能はカートリッジホルダに一体化され、
カートリッジホルダ(302)は、カートリッジの遠位面に当接するように配置されて
いる遠位端壁(315)を有し、該遠位端壁は角度方向に延び、固定面(324)と径方向および角度方向に重なり合う位置に開口部(325)を有し、遠位端壁は中心開口部または針開口部(316)を画成し、該針開口部は遠位端壁の開口部と連結される、前記カートリッジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はカートリッジアセンブリに関し、詳細には、薬物送達デバイス用の、好ましくは注射デバイスおよび/またはペン型注射器などのペン型デバイス用のカートリッジアセンブリに関する。さらに、本開示は、カートリッジアセンブリを含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジまたはアンプルに含まれる薬物をデバイスから投薬するために、薬物送達デバイスのハウジングに収容されている単一の駆動機構がいくつかのカートリッジまたはアンプルと一緒に使用される、普通の薬物送達デバイスでは、通常はデバイスのカートリッジホルダが解放可能にハウジングに連結されており、使用済みカートリッジを取り換えるためにハウジングから取り外される。そうするために、カートリッジホルダはハウジングから分離され、使用済みカートリッジがホルダから取り外され、新しいカートリッジと取り換えられ、そのカートリッジがカートリッジホルダに挿入されると、カートリッジホルダが再びハウジングに取り付けられ、デバイスは、新しいカートリッジから薬物を投薬するために再び使用される準備が整う。
【0003】
しかし、この種のデバイスにはいくつかのリスクがある。たとえば、薬物送達デバイスの機構が専用に設計されている対象ではない薬物、すなわち間違った薬物を含むカートリッジがカートリッジホルダに挿入されることがあり、使用者は、自分が間違った薬物カートリッジをカートリッジホルダに入れたことに気付かない。この間違いは使用者にとって致命的であるおそれがあり、また、それぞれ異なる薬物が入っているカートリッジが普通は全く同じように見えるので、起きる可能性もある。さらに、カートリッジは、特に別個の品物として販売される場合には、標準的なカートリッジが通常はガラス製カートリッジであるので、いつでも容易に破損する。さらになお、特定のカートリッジホルダには、通常は1つの特定の寸法のカートリッジだけが保持され、駆動機構に連結される。したがって、長さおよび/または直径などが異なる様々な寸法のカートリッジは通常、同一の駆動機構に容易には連結されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、薬物送達デバイス用の改善されたカートリッジアセンブリ、および/またはカートリッジアセンブリに関連するさらなる改善または構成を提供することである。これらの目的、また場合により他の目的が本開示によって、特に、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態および改良は従属請求項に従う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様はカートリッジアセンブリに関し、特に、ペン型デバイスおよび/または注射デバイスなどの薬物送達デバイス用のものに関する。別の態様は薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは好都合には、本明細書に上記および下記のカートリッジアセンブリ、およびハウジングを含む。カートリッジアセンブリは、解放可能にハウジングに固定される。ハウジング内には、好ましくは薬物をカートリッジから投薬するための投薬動作を行うように設計されている駆動機構が、または少なくともその1つまたはそれ以上の、ピストンロッドなどの要素が保持される。
【0006】
カートリッジアセンブリは、薬物または薬剤を含むカートリッジを含む。カートリッジは投薬端を含む。投薬端を通して、薬物または薬剤がカートリッジから投薬される。カートリッジの投薬端は、遠位端と呼ばれる。カートリッジアセンブリはさらに、カートリッジホルダを含む。カートリッジホルダは、内部カートリッジ保持セクションを画成することができる。カートリッジ保持セクションは、カートリッジホルダによって、特にその1つまたはそれ以上の部材によって、その範囲が外周方向に定められる。カートリッジは好都合には、カートリッジ保持セクションの中に配置される。カートリッジアセンブリはさらに、固定機能を含む。固定機能は固定面、特に径方向に向いた面を有する。固定面は好都合には、カートリッジのカートリッジ面、特に径方向に向いた面に、当接するように配置されるか当接する。固定面は、カートリッジがカートリッジホルダから取り出されることを防止するように配置される。すなわち、カートリッジはカートリッジホルダに恒久的に固定される。固定面は、カートリッジがカートリッジホルダからカートリッジホルダの開口部を経由して、好ましくは近位開口部を経由して取り出されることを防止するように配置される。この開口部は、たとえばカートリッジアセンブリを組み立てるときに、カートリッジがカートリッジホルダに挿入されるものであってよい。カートリッジ面は、カートリッジの投薬端とは反対側を向く近位面であり得る。固定面はカートリッジ面に向き合い得る。カートリッジ面は、カートリッジの投薬端と、この投薬端の反対側の端部との間に配置される。特に、カートリッジ面は、カートリッジの端面とは別の面であり得、2つの端面、たとえば遠位端面および近位端面は、カートリッジの範囲をその主長手方向の長さについて定める。固定機能は、カートリッジホルダに一体化される。固定機能は、たとえば、スナップ機能またはクリップ機能とすることができる。
【0007】
固定機能および、特に、固定面は、カートリッジをカートリッジホルダ内に固定するために、カートリッジ、特にカートリッジ面に当接することができ、当接するように配置することができ、またはこれらと機械的に協働することができる。カートリッジは、ガラス製カートリッジとすることができる。カートリッジは、ネック部分を介して連結されている主ボディ部分およびヘッド部分を有することができ、ヘッド部分は、主ボディ部分および/またはネック部分と比較して縮小された直径を有し得る。主ボディ部分は円筒形とすることができる。ヘッド部分には、カートリッジの投薬端部または開口部が配置される。投薬端または開口部は、たとえば、好ましくは穿孔可能な、および/または弾性のセプタムによって閉じられる。セプタムは、カートリッジの内部と外部の間に流体連通を設けるために針で穿孔される。セプタムはカートリッジの、たとえばガラス製のカートリッジ本体に固定される。たとえば、セプタムは、たとえばスリーブおよび/または金属スリーブなどの金属のスリーブである、セプタムリテーナによってカートリッジ本体に固定される。カートリッジホルダは、近位方向へのカートリッジホルダの範囲を定める開口部を有し得る。遠位方向において、カートリッジホルダは範囲が遠位端壁によって定められる。カートリッジの遠位端面が、カートリッジホルダの内部近位面に当接するように配置される。近位面は、遠位端壁によって画成された内面であり得る。言い換えると、遠位方向には、カートリッジは、カートリッジホルダに対して動かせない。カートリッジは、固定機能によってカートリッジホルダ内に恒久的に固定される。好ましくは、固定機能がなければ、カートリッジは、たとえば近位開口部を通してカートリッジホルダから取り出される。固定面は、固定機能の遠位面とすることができ、すなわち遠位方向に向いている面、たとえばカートリッジホルダの近位開口部とは反対側を向く面とすることができる。
【0008】
固定機能はカートリッジホルダに一体化され、たとえばカートリッジホルダ本体を含む単体になるので、固定機能を形成することは、たとえば射出成形によって、カートリッジホルダの通常の製造工程に統合され、別個の固定部材を製造しなくてもよく、また固定部材をカートリッジおよびカートリッジホルダに対して適切に位置決めしてカートリッジをカートリッジホルダの中に固定するための、別個の組み立てステップを実施しなくてもよい。
【0009】
カートリッジは適宜に、カートリッジホルダ内に恒久的に固定されるので、カートリッジアセンブリは、消耗可能材料の1つのユニットまたは単一のユニットを形成することができる。すなわち、カートリッジアセンブリ全体は使い捨て品とすることができ、カートリッジ内の薬物または薬剤が投薬された後に廃棄され、新しいカートリッジアセンブリに置き換えられる。
【0010】
カートリッジが固定機能によってカートリッジホルダ内に恒久的に固定される場合には、いくつかの利点が得られる。たとえば、カートリッジは、使用者がカートリッジアセンブリを扱うときに、カートリッジホルダによって常に保護されている。この場合、カートリッジが破損するリスクは、ホルダ内のカートリッジが使用者によって交換される必要があるシステムとは対照的に、大幅に低減する。というより、提案されたシステムでは、カートリッジアセンブリ全体が新しいものと交換される。
【0011】
さらに、カートリッジアセンブリはカートリッジだけでなく、カートリッジホルダのような他の要素も含むので、カートリッジを薬物送達デバイス用の特定の駆動機構またはハウジングの専用にすること、またはこれらにコーディングすることが容易であり、特に、カートリッジの設計を変更しなくてもよい。
【0012】
専用化または符合化は、カートリッジホルダの外部に設けられる機能によって達成され、この機能は、ハウジングに収納された駆動機構がカートリッジアセンブリに、またはそれに含まれる薬物もしくは薬剤に合致する場合に、または間違ったカートリッジアセンブリが使用されていない場合に、カートリッジアセンブリがハウジングに連結されることを可能にするために、ハウジング内に設けられた機能と協働することができる。代替的または追加的に、カートリッジホルダには、カートリッジの内容物についての活性薬剤成分の名称、商品名などの追加の情報が提示される。
【0013】
カートリッジ面がカートリッジの両側の2つの端部間に設けられるので、開示された構成概念は、長さの異なるカートリッジに容易に使用することができる。したがって、少なくとも2つのカートリッジアセンブリを有するカートリッジアセンブリのセットは、そのアセンブリ中に、長さの異なる2つの異なるカートリッジを有し得る。
【0014】
一実施形態では、カートリッジ面は、投薬端の反対側の端部、すなわち近位端よりも投薬端に近い方に配置される。こうすることにより、長さの異なるカートリッジをカートリッジホルダ内に固定することが容易になり、かつ/または、外側から容易にアクセスできない領域、すなわち、カートリッジホルダの遠位端からよりもカートリッジホルダの近位開口部または端部から遠く離れている領域に、固定機能が設けられる。カートリッジ面は、近位端から(2/3)×L、(3/4)×L、(4/5)×Lよりも遠く離して配置され、ここでLはカートリッジの全長である。カートリッジの長さは、カートリッジの近位端と遠位端または投薬端との間の距離によって画成または決定される。
【0015】
一実施形態では、カートリッジ面は、ヘッド部分の範囲を軸方向、特に近位方向に定める面である。カートリッジ面は外周方向に、たとえばフランジ状にカートリッジの外周全体に沿って延び得る。
【0016】
一実施形態では、投薬端の反対側のカートリッジの端部は、可動の栓またはストッパによって閉鎖される。栓またはストッパがカートリッジ内で投薬端に向かって変位した場合に、たとえばセプタムを貫通する針の穿孔によって流体連通がカートリッジの内部と外側の間に確立されているならば、薬物または薬剤がカートリッジから投薬される。栓またはストッパは、カートリッジの主ボディ部分内に保持される。したがって、固定機能と相互に作用すべきカートリッジ面がヘッド部分に位置しているので、カートリッジの主ボディ部分は、長さおよび/または直径などに関して自由に設計することができる。これにより、容積の異なるカートリッジをカートリッジホルダに固定する、または固定することが容易になる。栓またはストッパは好都合には、カートリッジを近位に密封閉鎖する。栓は、主ボディ部分内を移動することが制限される。すなわち、栓は、ネック部分および/またはヘッド部分に入ることができない。
【0017】
一実施形態では、固定機能はカートリッジホルダの内壁から、特に径方向に突出する。このようにして、カートリッジホルダの内部の直径は、カートリッジの、および特にカートリッジのヘッド部分の外径未満の値に縮小される。固定機能は、径方向に向いている、または径方向および軸方向に対して斜めに向いている。
【0018】
一実施形態では、固定機能は可撓性である。
【0019】
一実施形態では、カートリッジホルダは、固定機能が好ましくは、たとえばカートリッジホルダの残りの部分に対して径方向に弾性的に変位するように構成される。このようにして、カートリッジの一セクション、特にヘッド部分が固定機能を通り過ぎて案内され、それによって固定機能が径方向に、たとえば外向きに偏向または変位することが保証される。ヘッド部分が一旦固定面を通り過ぎたならば、固定機能は、好都合にはその弾性のために、および/または内向きに、その元の非変位位置まで変位して戻り、その後、カートリッジをカートリッジホルダの中に固定するかロックすることができる。
【0020】
一実施形態では、カートリッジホルダは複数の固定機能を付随する固定面と共に含み、この固定面は、カートリッジの、好ましくは共通のカートリッジ面に当接するように配置されている。固定機能は、外周方向に、好ましくは一様に分布する。
【0021】
一実施形態では、カートリッジ保持セクションは、少なくとも3つの内部領域、すなわち第1の領域、固定機能領域、および第2の領域を含む。固定機能は好都合には、固定機能領域に配置される。固定機能領域は、特に軸方向に見たときに、第1の領域と第2の領域の間に配置されている。固定機能領域内のカートリッジホルダの内径、好ましくは最小内径、または内法スパンは、第1の領域内の内径、好ましくは最小内径、または内法スパンよりも、および第2の領域内の内径、好ましくは最小内径、または内法スパンよりも、好ましくは小さい。第1の領域と第2の領域は、別々および/または一定の内径または内法スパンを有し得る。したがって、固定機能は、内径が縮小された領域を画成し得る。上ですでに説明したように、この内径は、カートリッジのヘッド部分の外径よりも好ましくは小さい。第1の領域は、ヘッド部分が配置されるべきカートリッジホルダの領域とすることができ、第2の領域は、カートリッジの主ボディ部分が配置されるべき領域とすることができる。第1と第2の領域の軸方向の延長は異なり得る。第2の領域の軸方向の延長は、第1の領域の軸方向の延長よりも大きくすることができる。固定面は、第1の領域の範囲を近位に定めることができる。固定機能が、カートリッジホルダの内部の内径がとにかく変化する領域に配置されている場合、固定機能は、特に射出成形によって容易に実現される。射出成形中に使用される、成形ツール内のカートリッジホルダのそれぞれの内部領域を画成するコアピンは、固定機能が、異なる直径を有するピンが出会う領域でカートリッジホルダに一体化されるように、わずかしか調整する必要がない。射出成形は、特に量産に適している。
【0022】
一実施形態では、固定機能は近位面を有する。近位面は、固定面とは反対側を向き得る。近位面は、軸方向および径方向に対して傾斜しており、かつ/または斜めであり得る。固定面は、径方向に向いている。固定機能の傾斜近位面により、カートリッジが固定機能に沿って移動するときに、カートリッジを固定機能に沿って案内すること、および固定機能を変位させることが容易になる。固定面は、カートリッジホルダの主軸に対して、好ましくは近位面よりも大きく傾斜しており、軸に対して垂直に延び得る。
【0023】
一実施形態では、カートリッジホルダは少なくとも2つの外部領域を含む。これらの外部領域は、遠位領域および本体領域を含むことができる、または遠位領域および本体領域であり得る。遠位領域は、本体領域よりもカートリッジの投薬端に近い方に配置される。カートリッジホルダの遠位端壁は、遠位領域の範囲を遠位に定め得る。本体領域は、カートリッジの主ボディ部分を保持することができる。遠位領域は、その内部でカートリッジヘッド部分を保持する。したがって、近位開口部から遠位端までのカートリッジホルダの延長に沿った軸方向位置に対して、外部遠位領域は第1の内部領域に対応することができ、本体領域は第2の内部領域に対応することができる。カートリッジホルダの外径は、遠位領域における方が本体領域における方よりも小さい。固定面および/または固定機能は、特にカートリッジホルダに沿って見たときに、ある軸方向位置に配置されている。この軸方向位置は、カートリッジホルダの遠位領域に位置している。したがって、固定面は、カートリッジホルダの内部に、縮小された外径を有し得る遠位領域と重なり合う位置で、配置される。固定機能は、軸方向に少なくとも部分的に遠位領域と重なり合い得る。
【0024】
一実施形態では、固定機能は、カートリッジホルダの一領域に配置され、この領域にはカートリッジホルダに開口部がない。
【0025】
一実施形態では、固定機能は剛性である。固定機能は、軸方向および/または径方向の力の作用を受けるときに、非可撓性であり得る。固定機能は、カートリッジホルダの可撓性領域よりも剛性とすることができる。しかし、カートリッジホルダは、剛性の固定機能の径方向変位が可能になるように、たとえば可撓性領域において可撓性にすることができる。このようにして、カートリッジホルダの内部は、カートリッジが固定機能領域を通り越せるようにする程度に広げられる。カートリッジホルダは弾性的に変形され、カートリッジは、カートリッジがカートリッジホルダに導入されるときに固定機能と協働する。カートリッジがその端部位置にカートリッジホルダ内で達したときに、カートリッジホルダは、その非変形形状を再び取っていることがあり得る。
【0026】
一実施形態では、固定機能を含む領域において、カートリッジホルダは、横方向、外周方向および/または径方向に閉じられている。好ましくは、カートリッジホルダは、固定機能の領域において、その外周全体などに沿って外周方向に、横方向および/または径方向に閉じられている。
【0027】
一実施形態では、カートリッジホルダの外面または外壁、たとえばカートリッジホルダの側壁が、たとえば軸方向および/または角度方向もしくは方位角に、固定機能全体に沿って延び、かつ/または固定機能全体を覆う。言い換えると、カートリッジホルダは、固定機能の角度方向または方位角の延長の好ましくは全体に沿って、および/または固定機能の軸方向の延長の好ましくは全体に沿って、たとえば側壁によって径方向に閉じられる。カートリッジホルダの開口部と角度方向または軸方向に重なり合う固定機能とは対照的に、このような構成は、たとえば射出成形によって製造するのが容易である。固定機能が、カートリッジホルダに径方向に延びる開口部がない領域に設けられるので、固定機能は、それがこのような開口部と重なり合ったり、このような開口部によって画成されたりした場合のようには、容易に外側からアクセス可能にならない。これは、カートリッジアセンブリに対する不正操作を防止する助けになる。
【0028】
一実施形態では、好ましくは遠位領域において、カートリッジホルダは針コネクタを含み、この針コネクタは、連結機能、たとえばねじ山または他の連結手段を含み、この連結機能は、針ユニットをカートリッジホルダに連結するのに適している、または連結するように構成されている。針ユニットは、ニードルハブと、ニードルハブによって保持された針とを含み得る。針はニードルハブに固定され、ハブから遠位に突出する。針の近位端は、カートリッジのセプタムを貫通するように設計される。針は金属製または鋼製とすることができ、ニードルハブはプラスチック製とすることができる。針ユニットが針コネクタに連結されると、針は、カートリッジホルダの遠位開口部を通ってカートリッジのセプタムの方に延び、セプタムを貫通してカートリッジ内部との流体連通を確立することができる。次に、薬物または薬剤の用量が、カートリッジの内部から針を通って投薬される。
【0029】
一実施形態では、カートリッジホルダは、単体部材である。特に、カートリッジホルダは、射出成形部材であり得る。その場合、遠位領域および本体領域を含むカートリッジホルダは、単一の部片として形成される。カートリッジホルダは単一の部片として形成されるが、それでも、カートリッジの近位面と協働する一体化した固定機能を有し得る。
【0030】
一実施形態では、固定面は軸方向、特に近位に、カートリッジホルダの開口部の範囲を定める。開口部は、カートリッジホルダの側壁を貫通して、特に側壁全体を貫通して、カートリッジの外部からカートリッジホルダの内部まで径方向に延び得る。開口部は、カートリッジホルダの遠位領域に配置され、かつ/または遠位領域に制限される。開口部は、たとえばスリットとして延びること、および/または径方向に向くことができる。開口部は、ねじ山とすることができる連結機能を中断し得る。したがって、連結機能の一セクションが、角度方向に開口部に隣接して配置されている両側に存在し得る。固定面を伴う複数の固定機能が設けられる場合、各固定面は、カートリッジホルダの付随開口部の範囲を軸方向に定め得る。カートリッジホルダの側壁の開口部は、製造中に成形ツールのコアピンの外面、特に径方向に当接し得る成形ツールによって画成され、このコアピンは、開口部が配置されている領域、たとえば遠位領域にカートリッジホルダの内部を画成する。このようにして、カートリッジホルダの内部用のコアピンを変更しなくても、固定機能が画成される。固定面は、それがカートリッジ面に当接するように設計されている支承部領域と、この支承部領域から外向きに間隔をおいて径方向に配置された開口部壁領域とを有することができ、この開口部壁領域は、開口部の範囲を軸方向、特に近位方向に定める。
【0031】
一実施形態では、固定面は平面である。
【0032】
一実施形態では、カートリッジホルダは遠位端壁または遠位端面を有する。遠位端壁は、カートリッジの遠位面に当接するように配置される。特に、遠位端壁の近位面は、カートリッジの遠位面に当接するように配置される。遠位端壁は、角度方向、特に長手方向主軸周りに延び得る。端壁は、少なくとも1つの開口部、たとえばただ1つの開口部または1つより多い開口部を有すること、または画成することができる。この開口部は範囲が、互いに向き合う遠位端壁の角度方向の面によって定められる。開口部は、径方向および角度方向に固定面または固定機能と重なり合う位置に配置される。特に、固定面および開口部は、カートリッジホルダ内の対応する径方向位置および角度方向位置に、ただし別々の軸方向位置で設けられる。好都合には、固定面は、開口部から近位、特に、ヘッド部分の軸方向の延長に対応する距離だけ、または軸方向の延長によって画成される距離だけ、オフセットされる。
【0033】
カートリッジホルダの遠位端壁の開口部の利点は、開口部の領域と、開口部から固定機能に向かって、およびまたは固定機能まで、軸方向に延びる領域とにおいて、カートリッジホルダの径方向の可撓性が増大し得ることである。このことにより、カートリッジホルダは径方向に広げられる一方で、カートリッジは、カートリッジがカートリッジホルダに挿入されるときに、剛性の固定機能と協働することが容易になる。カートリッジのヘッド部分がたとえば固定機能を通り過ぎたときに、カートリッジホルダは、それ自体の本質的な弾性の故に、その元の非変形の形状を再び取ることができ、固定面はカートリッジ面に当接して、カートリッジがカートリッジ保持セクション内に固定されるように配置される。
【0034】
一実施形態では、少なくとも1つの開口部の角度方向および/または径方向の寸法は、固定面の角度方向および/または径方向の寸法を決定し得る。好ましくは、開口部の角度方向および/または径方向の寸法は、固定面の角度方向および/または径方向の寸法以上である。このようにして、固定機能は、固定機能が配置されるべき位置に達するまでカートリッジホルダの遠位端を画成するように設計されている成形物の領域を通して案内される、成形ツールによって画成される。
【0035】
一実施形態では、遠位端壁は、中心開口部または針開口部を画成する。遠位端壁は、この開口部周りに外周方向または角度方向に延びる。針開口部は、遠位端壁の開口部と連結される。したがって、両方の開口部、すなわち針開口部と、固定面の位置に対応する遠位端壁の開口部とを画成する1つの連続機能が使用されるので、射出成形によってカートリッジホルダを製造することが容易になる。
【0036】
一実施形態では、カートリッジホルダは射出成形部片であり、射出ゲートマークがカートリッジホルダの遠位端、特に遠位端壁の遠位面に位置する。
【0037】
一実施形態では、カートリッジホルダのカートリッジ保持セクションは、遠位内部領域を含む。遠位内部領域は、固定機能の固定面に対して遠位に配置される。すなわち、遠位内部領域は、カートリッジがカートリッジホルダの中に案内されたときにカートリッジのヘッド部分がカートリッジアセンブリ内で位置しているべき、カートリッジホルダの内部領域であり得る。遠位内部領域には、カートリッジ案内機能が設けられる。カートリッジ案内機能は、カートリッジホルダの内壁から径方向に突出することができ、この内壁は遠位内部領域に配置されている。カートリッジ案内機能は、カートリッジ、特にそのヘッド部分を固定面に対して径方向に動かすために、カートリッジと、たとえばセプタムリテーナと、協働するように設けられる。カートリッジ案内機能は、固定機能および/または固定面から角度方向にオフセットされる。カートリッジ案内機能は、固定機能の反対側に設けられる。複数の固定機能が設けられる場合、カートリッジ案内機能の数は固定機能の数以下であり得る。しかし、固定機能の数にかかわらず、カートリッジ案内機能は1つで十分であり得る。カートリッジ案内機能は、固定機能から遠位にオフセットされる。言い換えると、カートリッジ案内機能と固定面の間には軸方向の隙間があり得る。遠位内部領域は好都合には、カートリッジのヘッド部分を受けるように設計される。したがって、遠位内部領域は、上で論じたカートリッジホルダの第1の領域に対応し得る。カートリッジ案内機能が固定面および/または固定機能から遠位にオフセットされる距離は、カートリッジのセプタムの軸方向の寸法または延長以上、たとえば厚さ以上とすることができる。代替的または追加的に、カートリッジ案内機能が固定面および/または固定機能から遠位にオフセットされる距離は、カートリッジのヘッド部分の軸方向寸法または軸方向の延長未満とすることができる。ヘッド部分は、カートリッジ本体のヘッド部分と、セプタムと、セプタムをカートリッジ本体に恒久的に連結するための、金属スリーブなどのセプタムリテーナとを含み得る。案内機能をこのような遠位オフセットしたところに設けることによって、カートリッジが案内機能と協働する前に、カートリッジのセプタムが固定面の固定機能を通り過ぎることが実現され、この案内機能は、カートリッジを固定面に対して径方向に動かすように配置され、それにより、固定面と、固定面に相互に作用してカートリッジホルダ内のカートリッジを保持するカートリッジ面との間の重なりが増加するようになる。
【0038】
セプタムは通常、たとえば弾性的に変形可能である。したがって、セプタムが固定機能と軸方向に重なり合っている間に径方向の力がカートリッジに伝達されるならば、これらの力はセプタムを、および/またはセプタムと固定機能の間に配置されているセプタムリテーナを、変形させ得る。このような力は、カートリッジが固定機能を通り過ぎて案内され、固定機能を径方向に変位させるときに生じ得る。したがって、これらの力がセプタムに作用することがあれば、たとえばセプタムリテーナを変形させることによって、またはセプタムをカートリッジ本体から取り除くことによって、カートリッジが損傷し得るというリスクがある。力がセプタムまたはセプタムリテーナに作用する場合には、カートリッジが著しく損傷することがあるので、こうしたことは当然ながら望ましくない。したがって、カートリッジとカートリッジホルダは、固定機能が、カートリッジに対してセプタムから近位にオフセットされている位置に、すなわち固定機能がカートリッジ本体の一セクションと重なり合うときの位置に配置されている場合に、固定機能がカートリッジによってかけられる径方向の力だけで変位するように、互いに構成され調整される。カートリッジ本体はセプタムよりも剛性であるので、カートリッジ全体がその領域ではより剛性であり、カートリッジを損傷するリスクが大幅に低減する。
【0039】
一実施形態では、カートリッジホルダの外面または外側輪郭は、少なくとも2つの部材によって、たとえばカートリッジホルダを形成するように互いに固定される、たとえば2つの部材またはちょうど2つの部材によって画成される。これらの部材は、恒久的に、および/または解放不能に互いに固定される。これらの部材は互いに軸方向に、および/または回転不能に固定される。これら少なくとも2つの部材は、好ましくはカートリッジホルダの本体領域を画成する本体部材と、好ましくはカートリッジホルダの遠位領域を画成する遠位部材とを含み得る。固定機能は、本体部材および遠位部材のうちの一方に、たとえば本体部材または遠位部材に設けられる。好ましくは、固定機能は、本体部材または遠位部材と一緒に単体として形成される。本体部材および遠位部材のうちの他方は、固定機能と相互に作用するように配置される。特に、その部材は、固定機能の径方向の動き、たとえば径方向外向きの動きを防止するように配置される。したがって、カートリッジホルダの部材の一方は、部材の他方に設けられる固定機能の径方向の動きを防止するために使用される。このようにして、カートリッジホルダ内のカートリッジのロックが強化される。
【0040】
一実施形態では、固定機能は、カートリッジホルダの一セクションまたは一領域と一緒に単体として形成される。このセクションまたは領域は、カートリッジホルダの外面または外側輪郭の少なくとも一セクションを画成または形成することができる。すなわち、固定機能は、カートリッジホルダの外観を画成するカートリッジホルダの一領域または一セクションに一体化され得る。
【0041】
一実施形態では、カートリッジホルダは、ただ1つの固定機能または複数の固定機能を含む。複数の固定機能がある場合、これらは好都合には、角度方向および/または径方向に並べられた状態で一様に分布する。固定機能のそれぞれは好都合には、カートリッジ面に当接することができる1つの付随する固定面を有する。それぞれの固定機能または付随する固定面の角度方向の延長は、次の値:20°、15°、10°のうちの1つの値以下である。
【0042】
一実施形態では、固定機能は、カートリッジをカートリッジホルダ内に軸方向に固定する。特に、カートリッジホルダに対するカートリッジの近位の動きが、固定機能によって防止される。固定面は、カートリッジ面に恒久的に当接することができる。特に、カートリッジは、固定機能の故にカートリッジホルダ内に軸方向に固定される。カートリッジホルダに対するカートリッジの遠位の動きは、カートリッジホルダの近位面、たとえば遠位端壁の内面によって防止される。近位面は、固定面から遠位にオフセットされる。近位面と固定面は、ヘッド部分などのカートリッジの一部分が、好ましくは堅く固定面と近位面の間で受けられるように調整される。これらの面の間にカートリッジの一部分が堅く受けられる場合には、構成要素間の機械的遊びに対応するためにカートリッジホルダに対して遠位にカートリッジを付勢する、カートリッジ付勢ばねなどの追加の弾性付勢部材を回避することができる。あるいは、カートリッジは、たとえば、近位面と固定面が、その面間で受けられるカートリッジの一部分の軸方向の延長よりも大きい距離で分離されているので、カートリッジホルダに対して軸方向に可動である。この場合、好ましくは弾性の付勢部材が、たとえば薬物送達デバイスに設けられ、この付勢部材は、カートリッジをカートリッジホルダに対して遠位に付勢し、すなわちカートリッジの遠位面をカートリッジホルダと、たとえばカートリッジホルダの近位面と、当接した状態に維持する。この場合、カートリッジ面は固定面に対して、ある距離をおいたところに配置される。付勢部材は、ばねワッシャまたは他の弾性的に変形可能な部材とすることができる。付勢部材は、カートリッジに当接することができ、すなわち直接接触があり得、または、たとえばスペーサを介して、力をカートリッジまで間接的に伝達することができる。付勢部材は固定面とカートリッジ面の間に、ある距離を維持することができる。
【0043】
カートリッジアセンブリの一実施形態では、カートリッジ面と固定面の間の距離はゼロとすることができ、すなわち面は当接することができ、あるいはゼロよりも大きくすること、たとえば、次の値:2mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmのうちの1つの値以下とすることができる。この距離により、カートリッジアセンブリ内であり得る軸方向の動きの量が決まり得る。非ゼロの距離の場合、この距離は、アセンブリが薬物送達デバイスに使用されるときに付勢部材によって維持される。
【0044】
一実施形態では、カートリッジアセンブリは、少なくとも1つの連結機能を含み、この連結機能は、たとえばねじ付き連結またはバヨネット連結のための機能である、駆動機構を保持できるハウジングに連結されるように構成される。
【0045】
一実施形態では、カートリッジアセンブリは、ハウジング上の対応するインターフェースまたはコーディング機能と協働するように構成されている、少なくとも1つのインターフェースまたはコーディング機能を含む。連結機能、およびインターフェースまたはコーディング機能は、同一の機能によって、または異なる機能によって形成される。インターフェースまたはコーディング機能によって、カートリッジアセンブリが一致コーディング機能付きのハウジングとしか組み合わされないように、コーディングが実現される。これにより、使用者の安全が向上し、また、特定の薬物もしくは薬剤、または薬物もしくは薬剤の特定の量を投薬するように設計されている駆動機構と、カートリッジアセンブリ内のカートリッジの内容物とが一致していることが確実になる。カートリッジアセンブリと駆動機構が一致しない場合には、ハウジング上のインターフェースまたはコーディング機能とカートリッジアセンブリとは不適合であり、カートリッジアセンブリは、ハウジングに連結して薬物送達デバイスを形成することができない。
【0046】
本明細書で用いられる用語の「遠位」および「近位」は、反対側の軸方向または端部を指し得る。「遠位」は、投薬端に向かう方向を、またはカートリッジ、カートリッジアセンブリもしくは薬物送達デバイスの投薬端に最も近く配置されているか配置されるべき薬物送達デバイスの構成要素の端部を指し得る。「近位」は、投薬端から離れる方向を、またはカートリッジ、カートリッジアセンブリもしくは薬物送達デバイスの投薬端より遠く離れて配置されているか配置されるべき端部を指し得る。
【0047】
本明細書で用いられる用語の「軸方向の」、「径方向の」、「角度の」、または「方位角の」は、デバイス、カートリッジ、またはカートリッジアセンブリの長手方向主軸、たとえばカートリッジアセンブリ、カートリッジまたは薬物送達デバイスの近位端および遠位端を通って延びる軸、に対して用いられる。
【0048】
カートリッジアセンブリまたは薬物送達デバイスに関連して上に開示された構成は、示された態様または実施形態のみを指すと考えられるべきではない。むしろ、これらの構成は他の実施形態または態様にも適用される。アセンブリに関連して開示された構成はまた、デバイスにも適用され、逆も同様である。もちろん、特定の実施形態で開示された構成はまた、上記であれ、さらには下記であれ、互いに、および/または他の実施形態の他の構成と組み合わせても適用される。
【0049】
本開示のさらなる機能、利点、および有利な実施形態は、例示的な実施形態についての以下の、図面と併せた説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1-1】
図1A~
図1Fは、
図1Aの概略斜視図、および
図1Bのアセンブリの概略断面図、および
図1C~
図1Fの、カートリッジが中に配置されていないカートリッジホルダの別々の図に基づいてカートリッジアセンブリの一実施形態を示す図である。
【
図5】用量設定操作の前の、キャップがデバイスの遠位端を覆っている薬物送達デバイスの一実施形態を示す図である。
【
図6】カートリッジアセンブリの遠位端をあらわにするためにキャップが取り外されている、
図5のデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
全く同じ要素、同じ種類の要素、および全く同様に動作する要素には、図全体を通して同じ参照番号が設けられる。
【0052】
以下では、アセンブリのカートリッジホルダに組み込まれた固定機能付きのカートリッジアセンブリのいくつかの実施形態が図面と一緒に開示される。それぞれの実施形態の詳細が開示される前に、すべての実施形態に適用される構成が開示される。
図1A~
図1F、
図2Aおよび
図2B、
図3Aおよび
図3B、ならびに
図4A~
図4Cはそれぞれ、カートリッジアセンブリ300の1つの実施形態を示す。それぞれの場合で「A」付きで示された図は、カートリッジアセンブリの概略斜視図を示し、残りの図はカートリッジアセンブリの概略断面図を示し、これらの図では遠位領域だけが、すなわちアセンブリの遠位端に近い部分だけが示されている。
【0053】
カートリッジ300は、カートリッジ301およびカートリッジホルダ302を含む。カートリッジ301は、カートリッジホルダのカートリッジ保持(holding or retaining)セクション303の中に配置される。カートリッジ保持セクションは、カートリッジホルダ302の内壁304によって、好ましくは外周方向に、適宜に範囲が定められている。カートリッジホルダ302は開口部305を有する。開口部305は、適宜に近位開口部である。近位開口部は、ホルダの近位端からカートリッジホルダの内部へのアクセスを提供することができる。開口部305を通して、カートリッジ301はカートリッジホルダに挿入される。カートリッジの投薬端306は、開口部305からカートリッジに挿入または導入される。カートリッジホルダの反対側の端部は、カートリッジホルダ302の遠位端であり、カートリッジ301の投薬端306の最も近くに配置されている端部であり得る。カートリッジホルダの遠位端は、好ましくは、カートリッジが開口部305だけからカートリッジホルダを出ることができるように、たとえば当接させることによってカートリッジをホルダ内に保持するように設計されている。カートリッジホルダの軸方向の延長は、カートリッジの全長の少なくとも50%、好ましくは、80%超または90%超などの60%超または70%超を覆うように適宜に選ばれる。カートリッジ全体が、実施形態で示されたようにカートリッジホルダ302によって覆われる。
【0054】
投薬端306の反対側のカートリッジの端部、すなわち近位端は、図に明示的に示されていない。この端部は、同様に明示的に示されていない可動の栓またはストッパによって閉鎖される。栓またはストッパは、カートリッジの近位開口部を密封閉鎖することができる。薬物307または薬剤が、投薬端と栓の間に配置されているカートリッジの領域に含まれる。薬物は、カートリッジの内部と外部の間に流体連通が設けられており、かつ栓が投薬端に向けて動くならば、カートリッジから投薬端306を通して投薬される。カートリッジ内の薬物307の量は、好ましくは複数の用量に対して十分であり、この用量のサイズは、使用者によって設定され、またはたとえば、カートリッジを含む薬物送達デバイスから薬物を送達するために使用される駆動機構の設計によって固定されている。
【0055】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0056】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0057】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0058】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0059】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0060】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0061】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0062】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0063】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0064】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0065】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0066】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0067】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0068】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0069】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0070】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0071】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0072】
当業者には、本明細書に記載のAPI、公式、装置、方法、システムおよび諸実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、このような修正、およびありとあらゆるその等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えられることが理解されよう。
【0073】
投薬端306の側で、薬物または薬剤307を保持するカートリッジの内部は、セプタム308によって密封閉鎖される。セプタム308は、セプタムリテーナ309によって、カートリッジのカートリッジ本体340で保持され、またはカートリッジ本体に対して固定される。セプタム308は、カートリッジの内部と外部の間に流体連通を提供できるたとえば針によって、適宜に穿孔可能である。セプタムリテーナ309は、たとえばアルミニウムキャップなどの金属製キャップである、キャップによって形成される。金属製キャップは、クランピングまたはクリンピングによってカートリッジ本体340に連結される。カートリッジの本体は、ガラスで形成される。本体340は、カートリッジの外側輪郭を画成することができる。針がセプタムを貫通すべき投薬端306の領域では、針がセプタムリテーナの領域を通過できるようにするために、開口部がセプタムリテーナ308に設けられる。カートリッジ301は、ヘッド部分310および主ボディ部分311を含む。ヘッド部分310は、投薬端306の側に配置される。主ボディ部分311は、ヘッド部分310よりもカートリッジの近位端に近い方に配置されている。ヘッド部分310と主ボディ部分311の間にネック部分312が配置される。主ボディ部分311は、栓またはストッパが移動できる領域であり得る。主ボディ部分は管状の外形を有する。ネック部分312は、主ボディ部分311と比較して縮小された直径(外径および/または内径)を有し得る。ヘッド部分310は、主ボディ部分311と比較して縮小された直径(外径および/または内径)を有し得る。ネック部分312は、主ボディ部分と比較して、またヘッド部分310に対しても縮小された直径を有し得る。直径は、近位端と遠位端の間に延びるカートリッジまたはカートリッジアセンブリの長手方向主軸に直角の方向の、カートリッジ301の拡張量であり得る。ネック部分は、外周方向に拡張することができる。カートリッジ301全体は、長手方向主軸に対して回転対称とすることができる。ヘッド部分310とネック部分312の間の移行部は、比較的急勾配の面によって形成され、この面は、好ましくは、径方向に対する傾斜がネック部分312と主ボディ部分311の間に設けられている面よりも小さい。したがって、ネック部分312と主ボディ部分311の間の移行部は、ヘッド部分310とネック部分312の間よりも勾配を小さくすることができる。具体的には、ヘッド部分310の範囲を近位で定めるカートリッジ面313の、径方向に対する傾斜は、主ボディ部分の範囲を遠位で定める肩面314の傾斜よりも小さい。カートリッジ面はセプタムリテーナ309によって、または別法として、カートリッジ本体340によって形成される。セプタムリテーナ309は、セプタムをカートリッジ本体にクランプすることができる。すなわち、セプタムリテーナは、遠位端からカートリッジに沿って、カートリッジの遠位端とは反対側を向き径方向に延びるカートリッジ本体のネック部分の面まで延びて、セプタム308をカートリッジ本体にクランプすることができる。カートリッジは、カートリッジ本体340、セプタム308、セプタムリテーナ309、薬物または薬剤307、および/または栓(明示されていない)を含むことも、これらから構成することもできる。
【0074】
カートリッジホルダ302は、開口部305の反対側の端部に、および/またはカートリッジの投薬端306に、すなわちその遠位端に遠位端壁315を含む。遠位端壁は、外周方向にリング状に延びることができる。遠位端壁315の近位面は、カートリッジ301の遠位端面に当接するように配置される。このようにして、カートリッジ301は、カートリッジホルダ302に対して遠位に動くことなくカートリッジホルダの中に保持される。遠位端面315は、カートリッジホルダに開口部316を画成することができる。端壁は、その開口部が端壁の中心開口部になるように開口部周りに延びることができる。開口部は、端壁315を軸方向に貫通して延びることができる。開口部316は、針が開口部を通り抜けてカートリッジに向けて、特にセプタム308に向けて案内されるように設けられる。
【0075】
カートリッジホルダ302は、遠位領域317および本体領域318を含み得る。遠位領域317は、カートリッジの投薬端に、および/またはカートリッジホルダの遠位端壁315に最も近く配置される。本体領域318は、遠位端または遠位端壁315から遠くに、かつ/または遠位領域よりも開口部305に近い方に配置される。本体領域と比較して遠位領域は、低減された外径を有し得る。この低減量は、カートリッジの主ボディ部分の直径と比較して縮小されたヘッド部分の直径によって決定される。本体領域318と遠位領域は、内向きの肩領域331によって連結される。遠位領域には針コネクタ319が、たとえばねじ山が配置される。針コネクタを介して針ユニットが、たとえば針ユニットのハブがカートリッジホルダ302に固定される。ニードルハブに保持された針が開口部316を通り抜けて案内され、セプタム308を穿孔し、カートリッジ301から薬物307または薬剤を投薬するための、カートリッジ内部への流体連通を提供する。遠位領域317は、その内部にカートリッジ301のヘッド部分310を受けるように設計される。本体領域318は、カートリッジの主ボディ部分311を受けるように設計される。近位端側にカートリッジホルダは、コネクタまたはインターフェース領域320を有し得る。この領域には、連結またはインターフェース機能が設けられ、これらの機能は、カートリッジアセンブリ300をハウジングに連結して薬物送達デバイス1を形成するために、対応するハウジング10上の機能と協働するように構成されている(
図5および
図6参照)。連結機能は、カートリッジホルダとハウジングの間のねじ山またはバヨネット連結用に設計されている。好ましくは、連結またはインターフェース機能は、カートリッジアセンブリのカートリッジに含まれる薬物または薬剤用に設計された駆動機構を収容するハウジングにコーディングされている。このコーディングは、正しいカートリッジアセンブリだけがハウジングと組み合わされて薬物送達デバイスが形成されることを確実にする。このようにして、カートリッジアセンブリの薬物が、カートリッジの内容物を投薬するように特に設計されている駆動機構を使用して投薬されることが保証される。駆動機構はピストンロッドを含むことができ、このピストンロッドは、薬物または薬剤がカートリッジから投薬されるならば、栓またはストッパをカートリッジに対して遠位に駆動するように配置される。
【0076】
カートリッジホルダ302の近位端と遠位端の間の、好ましくは遠位端よりも近位端に近い方に、径方向外向きに突出する段321またはフランジが設けられる。段またはフランジ321は、カートリッジホルダ302の外周全体にわたって延びることができる。段321の近位面は、カートリッジアセンブリがハウジングに連結されたときにハウジングの遠位面に接触するように配置される。連結領域320は、アセンブリがハウジングに連結されたときに、ハウジングによって覆われる。しかし、本体領域318および遠位領域317は、ハウジングから突出し得る。
【0077】
さらに、カートリッジホルダ301は、少なくとも1つの固定機能322を含む。軸方向に沿って見たとき、固定機能322は、カートリッジホルダの2つの内部領域の間に設けられており、一方がヘッド部分310を受け、保持するように適用され、もう一方がカートリッジの主ボディ部分311を受け、保持するように適用されている。固定機能322は、カートリッジ301のネック部分の領域内に延びることができる。固定機能322は、カートリッジホルダ301の内壁から径方向に突出する。好ましくは、固定機能322は、その領域で内径がカートリッジのヘッド部分の外径よりも小さくなるように、カートリッジホルダの内径を小さくする。
【0078】
したがって、カートリッジのヘッド部分が近位開口部から軸方向に固定機能を通過するように案内されることがあれば、固定機能は径方向外向きに、たとえば径方向にのみ偏向されなければならない。固定機能が変位すれば、ヘッド部分は固定機能を通過することができる。好ましくは、固定機能は、カートリッジホルダの主軸に対して斜めになり得る、すなわち垂直でも平行でもない、固定機能の近位面と協働するヘッド部分によって偏向される。ヘッド部分が固定機能を通過した後、固定機能は再び径方向内側に、たとえば弾性的に動くことができる。ヘッド部分310を受けるように設計されているカートリッジホルダの内部領域は、主ボディ部分311を受ける領域と比較して縮小された直径を有し得る。
【0079】
固定機能322は、たとえば射出成形によって、カートリッジホルダの外面または少なくとも外側輪郭を画成するカートリッジホルダの一セクションと一体化して形成される。すなわち、カートリッジホルダが外面にコーティングを備えるのに対し、外側輪郭がなおカートリッジホルダのセクションによって画成されるならば、固定機能が一体化される。
図1A~
図4Aには射出ゲートマーク323が示されており、このマークは、カートリッジホルダの形状を画成する成形キャビティの中に流体プラスチック化合物が射出される位置を示す。射出ゲートマーク323は、カートリッジホルダの遠位端壁315の領域、特に遠位端壁の遠位面に位置している。
【0080】
固定機能322は、固定面324を含む。固定面324は、固定機能の遠位面とすることができる。好ましくは、固定面は径方向に向いており、すなわち、径方向に、および/または径方向平面に延びる。固定面324は、カートリッジ面313などの、近位に向いているカートリッジの面に当接するように配置されるか、またはその面に当接する。すなわち、カートリッジ面313および固定面324は、カートリッジが開口部305を通り抜けてカートリッジホルダから近位に動くことを、互いに機械的に協働することによって防止するように配置される。したがって、開口部305を通してホルダからカートリッジを取り出すことが固定機能322によって防止される。固定機能322は、スナップおよび/またはクリップ機能として形成される。固定機能または固定面の角度方向の延長は、次の値:20°、15°、10°のうちの1つの値以下とすることができる。
【0081】
さらに、カートリッジホルダの外壁が、固定機能の軸方向位置に設けられる。すなわち、カートリッジホルダは、少なくとも固定機能の領域では閉鎖される。したがって、固定面および/または固定機能は、外側からアクセスされない。これにより、カートリッジアセンブリが不正に変更される可能性が低減する。
【0082】
以下では、固定機能がカートリッジホルダに一体化されているカートリッジホルダのいくつかの実施形態について、より詳細に論じる。
図1Aおよび
図1Bに示された実施形態は、1つの固定機能322を特に1つだけ有する。もちろん、複数の固定機能も同様に設けられる。このような実施形態は、
図1Aおよび
図1Bのものと非常に類似している
図2Aおよび
図2Bに示されている。
【0083】
固定機能322は、カートリッジホルダ302の内壁304から径方向に突出する。固定機能322は、カートリッジホルダ302の遠位領域317の内部、特に、針コネクタ319が外面に設けられているカートリッジホルダの内部領域に配置される。
図1Aから、また
図1Bからも明らかなように、全体的にリング状の外形を有する遠位端壁315は、開口部325を有する。開口部325は径方向に向いており、遠位端壁315によって画成されたリングを遮断する。開口部325は、開口部316から径方向外向きに延びる。開口部325の角度位置および径方向位置は、固定機能322または固定面324の一方に対応することができるが、開口部は固定機能から軸方向に、たとえば遠位方向にオフセットされている。特に、遠位端から軸に沿って見たときに、固定面は遠位端から可視であり得る。固定面は、開口部325の範囲を定める側壁によって、径方向および角度方向に枠で囲まれている。図では、カートリッジ301のヘッド部分310が、開口部325と固定面324の間に配置されている。開口部325の角度方向寸法および/または径方向寸法は、固定面および/または固定機能の角度方向寸法および/または径方向寸法を画成すること、これらに一致すること、またはこれらより大きくすることができる。遠位端の領域に開口部を設けることにより、一体化固定機能付きのカートリッジホルダの成形が、固定機能がないカートリッジホルダと比較して容易になり、金型または成形ツールの小修整だけが伴う。固定機能がないカートリッジホルダでは、射出成形によってカートリッジホルダを製造するために、直径が異なる2つのコアピンが使用され、1つのコアピンが遠位領域の内部を画成し、1つのコアピンがカートリッジホルダの本体領域318の内部を画成する。短いコアピンが遠位領域の内部を画成し、長いコアピンが本体領域の内部の領域を画成することができる。固定機能322は、射出成形ツールの2つの異なるコアピンのちょうど交差点または境界に一体化される。開口部325は、成形工程の間に形成され、固定機能322がその中に一体化されているカートリッジホルダを成形しやすくする。開口部325は、短いコアピン上の、たとえば金属の突起によって画成される。
【0084】
固定機能が設けられている領域、たとえば遠位領域317では、カートリッジホルダは径方向に変形可能であり得る。したがって、内径は、カートリッジホルダが径方向外向きの力の作用を受けると大きくなる。径方向の力の作用を受けたときに径方向に変形予定のカートリッジホルダの適応性は、角度方向に開口部325と重なり合う遠位領域317の角度セクションにおいて増大される。固定機能322は、それが角度方向に開口部と重なり合うようにこの領域に配置される。固定機能は、適宜に非可撓性および/または剛性であり、たとえば、遠位領域317よりも、またはカートリッジのヘッド部分が配置予定の第1の領域の内壁よりも剛性である。したがって、軸方向および/または径方向の力が固定機能に作用するときに、たとえば、ヘッド部分が固定機能に沿って案内され固定機能と接触している間に、カートリッジホルダは、固定機能322の剛性の故に広げられる。固定機能自体は、変形されるカートリッジホルダの部分、たとえば遠位領域317または肩領域331と比較して、変形されたり曲げられたりしなく、少なくとも著しくは変形されたりしない。カートリッジホルダ302が適宜にプラスチックからなるので、固定機能自体の非常に限定された程度の変形は避けられない。しかし、提案された構成概念では、カートリッジホルダにカートリッジを挿入しやすくなるのは、カートリッジホルダの外周方向に閉じた領域内でカートリッジホルダが広がることによる。カートリッジホルダは、カートリッジがカートリッジホルダに導入されるときに変形する。適宜に変形する領域は、可撓性のアーム、舌、またはタブ状の機能がない領域である。固定機能は、カートリッジホルダを横方向に広げるようにカートリッジの挿入力をカートリッジホルダに伝達するために使用される。カートリッジホルダの内部は、カートリッジとカートリッジホルダの間で機械的に接触する領域において、すなわち、固定機能が配置される領域において、好ましくは軸方向に、および/または領域に外周方向に隣接して広げられる。偏向する別個の可撓性アーム、舌、またはタブ状の機能とは対照的に、カートリッジホルダにカートリッジが一旦導入されてしまうと、カートリッジホルダの内部を広げることが、カートリッジホルダ内のカートリッジのより安定した固定をもたらし得る。ヘッド部分310が固定機能322を通過した後、固定機能は、たとえば弾性変形である変形の故に内向きに再び変位し、カートリッジ面313および固定面324は、
図1Bに示されるように配置される。固定機能は、好ましくは、この過程の間に変形せず、または少なくとも著しくは変形せず、特に、軸方向に偏向したり、旋回したりしない。
【0085】
図1Bに示されるように、固定面324から遠位にオフセットされ、遠位方向にその延長に沿って径方向に盛り上がる傾斜面326が配置されている。好ましくは固定面の反対側に配置されている、または固定面から少なくとも角度方向にオフセットされているこの面によって、カートリッジ301のヘッド部分310の径方向の動きが、固定面324と径方向に重なり合う領域まで得られる。したがって、傾斜面は、カートリッジアセンブリ300の組み立て工程の間にカートリッジ案内機能として働く。したがって、傾斜面326に関連することは、カートリッジ案内機能に関連することと考えられ、逆も同様である。固定面324とカートリッジ301の面313の径方向の重なりは、カートリッジがその最終位置に到達したときにこのように増大する。傾斜面326は、たとえば固定機能が1つしか設けられていないときに、カートリッジホルダ内のカートリッジの固定の安定性を強化することができる。
【0086】
固定機能からの、固定面324からの、および/または固定機能322の径方向自由端からの、カートリッジ案内機能326の遠位オフセット(
図1Bに「B」で強調されている)は、カートリッジのセプタム308の厚さ(
図1Bに「A」で強調されている)よりも大きくすることができる。こうすることにより、カートリッジホルダの内部を一時的に広げるために、カートリッジが固定機能322と相互作用して機能を径方向に外向きに変位させるときに、セプタムリテーナ309は、好ましくはセプタムによってではなく、より剛性のカートリッジ本体340によって支持されることが確実になる。したがって、機能322を変位させるために必要な力がセプタムまで伝達されない。もしも力がセプタムまで伝達されれば、薄い金属構成要素であり得るセプタムリテーナ309が変形したり、セプタムが損傷したりするリスクがかなり増大する。このリスクは、カートリッジ案内機能326と固定面324の間の、セプタム308の厚さを超える遠位オフセットによって回避される。遠位オフセットBは適宜に、カートリッジのヘッド部分310の軸方向の延長よりも少ない。このようにして、カートリッジ案内機能は、ヘッド部分310と協働することによってカートリッジ301を径方向内向きに適正に案内することができる。
【0087】
カートリッジ案内機能326と固定面324の間のカートリッジホルダ302の内部の領域では、カートリッジホルダの内部の内径は、カートリッジ案内機能の領域におけるよりも、および/またはカートリッジ案内機能から遠位にオフセットされた領域におけるよりも、このような領域があり得てもあり得なくても存在する場合に、大きくすることができる。カートリッジ案内機能と固定面の間のカートリッジホルダの内部の領域では、内径は、固定機能領域の内径よりも大きくすることができる。カートリッジ案内機能326の領域、および/またはカートリッジ案内機能に対して遠位の領域では、カートリッジホルダの内径は、固定機能領域における内径よりも大きくすること、たとえば、ヘッド部分310の外径以上にすることができる。
【0088】
言い換えると、セプタムリテーナまたは金属スリーブ309は、柔らかいセプタム308を取り囲む遠位セクションと、カートリッジ本体またはガラスアンプル340のネックを取り囲む近位セクションとを有する。遠位セクションがカートリッジ案内機能または傾斜面326と接触する前に、セプタムリテーナの遠位セクションが固定面324を通り過ぎていれば有利である。このようにして、固定面が金属スリーブ309を損傷するおそれがある組み立ての期間中に、金属スリーブ309と固定面の径方向の重なりが最少になり、この重なりは、固定面が金属スリーブ309の遠位セクションを通り過ぎてしまって近位セクションに径方向圧力を加えているときに増大するだけである。近位セクションは、遠位セクションよりも硬い、たとえばガラスのような材料で支持されているので、損傷したり凹んだりすることがない。組み立て工程の終了時の固定面とカートリッジ面の間の最終重なりは、依然として大きい。最終重なりは、傾斜面326の端部を印付ける、傾斜面の領域内のより小さい内径のカートリッジホルダによって画成される。
【0089】
傾斜面326の前の直径が傾斜326の後ろの直径よりも十分に大きく、それによりカートリッジ301が固定機能から離れることが、セプタムリテーナの遠位セクションにおける干渉が、もしあっても最少で可能であり、かつこの干渉が、固定機能がセプタムリテーナ309の領域で加圧した後でだけ増大するのではない限り(カートリッジ本体の、たとえばガラス製のヘッド部分は、薄く容易に変形可能な金属構成要素であり得るセプタムリテーナを補強/支持している)、セプタムリテーナ309の遠位セクションがひどく凹むことが、一体化固定機能322付きのカートリッジホルダ302が試験されたときに発見された。
【0090】
カートリッジ301がカートリッジホルダ302に組み込まれたときに、固定機能322は、ホルダ302に対するカートリッジ301の近位の動きを阻止することができる。しかし、固定機能は適宜に固定する力、たとえば遠位または径方向に向けた力をカートリッジに規則的にかけるのではなく、カートリッジがカートリッジホルダから分離することを防止するだけである。このようにして、カートリッジにかかる力の負荷を有利に低くすることができる。
【0091】
図1C~
図1Fは、カートリッジホルダ302の追加の図を示す。
図1Cは、遠位端から見えるものを示す。すぐに明らかになるように、固定機能322の角度方向寸法は開口部325のものより小さい。固定機能322または固定面の径方向寸法もまた、開口部325のものより小さい。同様に遠位端を示すが斜視図で示す
図1Dから、カートリッジホルダ、特に遠位領域317は強化されている、すなわち固定機能322に角度方向に隣接する領域において大きい壁強度または壁厚を有する、と推論される。強化セクション341は、カートリッジホルダの内部で外周方向に延びる。強化セクションは、軸方向に固定機能と重なり合うことができる。強化セクション341は、代替的または追加的に固定機能322から遠位にオフセットされる。角度方向に固定機能と重なり合うカートリッジホルダの内部領域では、強化セクションは、ヘッド部分が固定機能322を径方向に変位させるときのカートリッジホルダの径方向変形性を促進するために、好ましくは中断される。
【0092】
開口部325から軸方向に固定面324の方を見たとき、ホルダ302の壁厚は、強化セクション341の壁厚よりも薄くすることができる。固定機能322の領域における、かつ固定機能によって画成されるカートリッジホルダ301の壁厚は、強化セクション341におけるものよりも厚くなり得る。固定機能322は、強化セクション341の上方に径方向に突出する。強化セクション341はまた、カートリッジホルダ302の斜視断面図を示す
図1Fにも描かれている。この図で、またカートリッジホルダ302の近位端から見えるものを示す
図1Eでも、カートリッジホルダの内部は複数の、外周方向に好ましくは等間隔に配置されたスペーサ機能またはカートリッジ支持機能342、たとえばリブを含むことが示されている。機能342は軸方向に向いている。機能342は、カートリッジがカートリッジホルダ内に保持されている場合にカートリッジを、たとえばその主ボディ部分311を径方向に支持するために設けられる。これらの機能は、より小さい直径のカートリッジを受けるカートリッジホルダと、より大きい直径のカートリッジを受けるカートリッジホルダとの間の差異にすぎない。より大きい直径のカートリッジ用のカートリッジホルダには、適宜に、カートリッジ支持機能342がない。したがって、カートリッジホルダの外部寸法は同じにできるが、カートリッジホルダに保持されるカートリッジの外部寸法は異なる。
【0093】
図から、たとえば
図1Bから明らかなように、針コネクタ319、たとえばねじ山は、固定機能322から遠位にオフセットされている。具体的には、固定機能とカートリッジ案内機能または傾斜面326との間の領域には、針コネクタ319がないことがある。針コネクタは、軸方向にカートリッジ案内機能326と重なり合うことができ、あるいはこの機能326から遠位にオフセットして設けられる。したがって、針コネクタ319の軸方向の延長は、他のカートリッジホルダ設計よりも少なくすることができる。たとえば、針コネクタ319は、カートリッジホルダの遠位領域317の遠位セクションに制限され、針コネクタ319と本体領域の間にはコネクタのない領域が配置される。コネクタのない領域の軸方向の延長は、針コネクタがある遠位セクションの軸方向の延長の50%よりも大きくすることができる。針コネクタがある遠位セクションの軸方向の延長は、コネクタのない領域の軸方向の延長よりも大きくすることができる。固定機能322と案内機能326の間の領域内のカートリッジホルダは、たとえば所与の外側輪郭または寸法のカートリッジホルダ302を維持するために、壁厚を薄くしてカートリッジホルダ302の内径を増大させるので、コネクタ319に必要とされる追加の径方向の凹みをこの領域の外側に設けることは、この領域でカートリッジホルダを損傷する、さらにはカートリッジホルダを成形不可能にもするリスクを増大させることになる。したがって、短くした針コネクタは有利である。
【0094】
図示された実施形態では固定機能を1つしか示していないが、傾斜面もまた設けられ、場合により複数の機能が使用される。しかし、以下の実施形態では、傾斜面は示されていない。
【0095】
図2Aおよび
図2Bでは、2つの一体化固定機能322付きのカートリッジホルダ302が示されている。固定機能322は対向して配置され、各固定機能は、カートリッジ面313に当接するように配置されている、フランジ状に形成された固定面324を有する。それぞれの固定機能の固定面324の位置に角度方向および/または径方向で対応する位置においてカートリッジホルダのリング状形状を中断する2つの開口部325が、カートリッジホルダの遠位端壁315に設けられる。それぞれの開口部325は、中心開口部316に連結される。前に説明したように、こうすることは、特に簡単である、かつ量産に適した低コスト工程である射出成形によって固定機能をカートリッジホルダに一体化する助けになる。したがって、開口部に関する上記の開示はまた、この実施形態にも適用される。さらに、2つより多い固定機能も同様に設けられる。
図2Bで、針コネクタは、固定機能322と軸方向に重なり合っている。
【0096】
図3Aおよび
図3Bには、一体化固定機能322付きのカートリッジホルダの別の実施形態が示されている。
図3Aに示されるように、遠位端壁315はリング状であり、好ましくは閉じており、すなわち、リングを中断する開口部325がない。遠位端壁315は、開口部316を外周全体にわたって取り巻くことができる。カートリッジホルダの遠位領域317は、カートリッジホルダの側壁に開口部327を含む。開口部327は、カートリッジホルダの側壁全体を外側から内側まで径方向に貫通して延びる。開口部327は、1つの面によって、具体的には固定面324によって、その範囲が近位方向に定められている。開口部327は、カートリッジに当接しないがカートリッジに径方向に、好ましくは平面で当接するように配置されている領域を継続する面の、一領域によって範囲が定められている。開口部327は、角度方向に、および/または遠位方向にも、その範囲が定められている。開口部327は、上面視で見える長方形の構造を有し得る。開口部327は、針コネクタ319の領域に設けられる。適宜に開口部は、たとえば針コネクタのねじ山である連結機能を中断する。2つの開口部327が設けられ、直径に沿って互いに対向して配置されている。それぞれの開口部は成形ツールによって画成され、この成形ツールは、成形中に使用されるコアピンのうちの1つ、特に、カートリッジのヘッド部分が配置されるべきカートリッジホルダのセクションを画成する短いコアピンに、当接するように配置される。したがって、カートリッジホルダの成形中に固定機能が画成される。固定面324は、カートリッジホルダの内部に径方向に突出する領域と、開口部327の範囲を近位に定めるセクションとを有し得る。固定面324は、平面とすることができる。このことは、前に論じた実施形態にも同様に当てはまる。しかし、前の実施形態では、固定面はカートリッジホルダの内壁から始まり、内面から離れて径方向に延びる。この実施形態では、固定面は外面から始まり、開口部に沿ってカートリッジホルダの内部まで延びる。
【0097】
前に論じた諸実施形態では、カートリッジホルダは、その全体がたとえばプラスチック材料から射出成形される単一部片であった。
図4A~
図4Cは、複数の部材を有するカートリッジホルダの実施形態を示す。たとえば、カートリッジホルダは、2つの部材である遠位部材328および本体部材329を有する。遠位部材328は、カートリッジホルダの遠位領域を画成することができる。特に、遠位部材は針コネクタ319を含む。カートリッジホルダの本体部材329は、一体化固定機能322を含み得る。固定面を伴う固定機能322または複数の固定機能322は本体部材に、たとえばその遠位端部セクションに一体化される。それぞれの固定機能は、カートリッジホルダのたとえば本体部材の内壁から軸方向および径方向に突出するフィンガとすることができる。したがって、固定面は、カートリッジホルダの内壁からある距離をおいたところに配置される。カートリッジホルダの固定面と内壁の間には、径方向の隙間があり得る。固定機能は、内壁に向けて曲げられ隙間に入れられる。それぞれの部材は、単体とすること、および/または射出成形することができる。部材328および329は同じ材料から、または異なる材料から作られる。
【0098】
遠位部材328と本体部材329は、好ましくは解放不能に、および/または恒久的に、たとえば圧力嵌めまたはスナップフィット連結によって互いに連結される。連結機能330は、
図4Cに示されている。機能330は、遠位部材328に弾性的に連結される。この機能は近位方向に向いている。遠位部材を本体部材に固定するために、その連結が確立されると、連結機能の遠位向きの面は、本体部材の近位に向いている面に当接することができる。機能330は、2つの部材328と329が互いに組み合わされるときに内向きに曲がり、最終位置に達したときに、外向きに再び曲がって本体部材329のフランジの後ろに係合することができる。
図4Bに描かれているように、遠位部材318は、それが径方向に安定化されるように固定機能322に当接する。特に、固定機能322の径方向外向きの動きが防止される。したがって、この実施形態では、遠位部材が本体部材に連結される前に、カートリッジが好ましくは本体部材に挿入される。このとき、固定フィンガは、それが遠位部材によって径方向に支持されていないので、依然として径方向外向きに大きく曲がりやすいことがある。しかし、その後本体部材と遠位部材は互いに連結され、この後は、カートリッジをカートリッジホルダから取り出すために必要な径方向外向きの動きがもはや不可能になる。したがって、このアセンブリは特に、カートリッジホルダからカートリッジを取り出すことに対して安定している。しかし、このカートリッジホルダを製造するための費用は、カートリッジホルダが複数の部材を含むので増大する。固定機能322は、カートリッジホルダの外部または外側輪郭を画成するカートリッジホルダの一セクションに依然として一体化されている。別個の部材は必要がない。図示の実施形態のカートリッジホルダの全部材が、カートリッジを保護すること、および/または針コネクタを提供することを含む、カートリッジホルダの機能を提供するために必要とされる。
【0099】
固定機能322は、図示の実施形態のヘッド部分と相互に作用するので、主ボディ部分の形状の異なるカートリッジ、たとえば異なる容積、直径および/または長さのカートリッジがカートリッジホルダに簡単に固定される。カートリッジのヘッド部分は、同様に形成される。
【0100】
容積の異なるカートリッジは、異なる長さ、および/または異なる内径、および/または外径を有し得る。カートリッジアセンブリは、たとえば薬局で販売される使い捨て品であり得る。容積が同じまたは異なる別々のカートリッジが、異なる薬物または薬物製剤を含み得る。容積の小さいカートリッジが高濃度の薬物を有し得る。たとえば、薬物がインスリンまたはインスリン誘導体である場合、容積の小さいカートリッジは濃度が、容積の大きいカートリッジ中の薬物の濃度の2倍を超える、たとえば3倍であり得る。大きい容積のカートリッジ中の薬物または薬剤は、同じ活性薬剤成分によって形成される。カートリッジ間の内容物の差異は、単に好ましくは、液体中の薬物の濃度の差異、すなわち特定の薬物の配合の差異であり得る。たとえば、3mLカートリッジが、たとえば300IU(IU:国際単位)のインスリンを含むことがあるのに対し、1.5mLカートリッジが450IUを含むことがあり、この単位は、容積が少ないことを考慮に入れると、3mLカートリッジ中の薬物の濃度の3倍に相当する。
【0101】
提案されたカートリッジアセンブリ300のカートリッジ301のヘッド部分310は、遠位端壁315と固定面324の間のカートリッジホルダの内部領域内に堅固に固定される。すなわち、カートリッジは、固定面および遠位端壁の内面と恒久的に接触することができる。この場合、カートリッジは、カートリッジホルダに対して軸方向に動くことができない。あるいは、ヘッド部分とカートリッジホルダの間に、残っている軸方向の遊びまたは緩みがあることもあり、これによりカートリッジとホルダの間の軸方向の動きが可能になる。好ましくは、遊びは次の値:2mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmのうちの1つの値以下である。
【0102】
図5および
図6は、開示されたカートリッジアセンブリと一緒に使用されるのに適している薬物送達デバイスの実施形態を概略的に示す。
図5は、キャップ120がカートリッジアセンブリ300に取り付けられ、カートリッジアセンブリを覆っている状態のデバイス1を示す。
図6では、キャップが取り外されている。カートリッジアセンブリ300は、
図6に示されるように、好都合には解放可能に薬物送達デバイス1の本体またはハウジング10に連結される。ハウジングは、デバイスの外側輪郭を画成し、スリーブ状に形成されることが好都合である。デバイス1から薬物または薬剤を投薬するために、針ユニットが針コネクタ319に連結される。用量設定部材70が動かせるようにハウジング10に保持され、使用者によって操作されて用量が設定される。たとえば、用量設定部材は、ハウジングに対して回転させて用量を設定する。デバイスは可変用量デバイスとすることができ、用量のサイズは、ハウジング内に保持された駆動機構の設計によってあらかじめ決定されるのではなく、使用者によって変更される。
図6には、薬物送達デバイスの用量設定状態が示されており、窓230に表された数字は、
図5と比較して、それが現在設定されている用量のサイズを示すように変更されている。デバイスは、用量設定中に用量設定部材70がハウジング10に対して近位に変位するように設計される。あるいは、用量設定部材は、設定用量とは関係なく同じ軸方向位置のままであることもある。
図6に描かれた位置から投薬動作が、好都合には用量設定部材70、または薬物送達デバイス1の近位端部に設けられた用量投薬部材を動かすことによって、またはこれらに遠位方向に力をかけることによって、開始される。用量を投薬するために、栓が、たとえばデバイスのピストンロッド(明示的に図示されていない)によって、カートリッジに対して遠位に変位する。ハウジングの内部には、ばねワッシャ、またはたとえばゴムの弾性クッションなどのカートリッジ付勢部材が配置される(明示的に図示されていない)。付勢部材は、カートリッジを遠位に付勢して、カートリッジホルダの近位面、たとえば遠位端壁315の内面に接触させることができる。付勢部材は、たとえばカートリッジ本体であるカートリッジに直接、たとえばその近位端に当接して、または間接的に剛性スペーサ構成要素を介して、その負荷をカートリッジに伝達する。
【0103】
保護の範囲は、本明細書で上記に示された例に限定されない。本明細書に開示されたいずれの本発明も、それぞれの新規の特徴、および特徴のそれぞれの組合せとして具現化され、特に、特許請求の範囲に記載されているいずれかの構成のすべての組合せを、この構成またはこの機能の組合せが特許請求の範囲または例にたとえ明解に記載されていなくても含む。
【符号の説明】
【0104】
300 カートリッジアセンブリ
301 カートリッジ
302 カートリッジホルダ
303 カートリッジ保持セクション
304 内壁
305 開口部
306 投薬端
307 薬物/薬剤
308 セプタム
309 セプタムリテーナ
310 ヘッド部分
311 主ボディ部分
312 ネック部分
313 カートリッジ面
314 肩面
315 遠位端壁
316 開口部
317 遠位領域
318 本体領域
319 針コネクタ
320 連結領域
321 段
322 固定機能
323 射出ゲートマーク
324 固定面
325 開口部
326 面
327 開口部
328 遠位部材
329 本体部材
330 連結機能
331 肩領域
340 カートリッジ本体
341 強化セクション
342 カートリッジ支持機能
1 薬物送達デバイス
120 キャップ
70 用量設定部材
10 ハウジング
230 窓
A 厚さ
B 距離