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特許7487267厚膜内の結晶化の開始を停めるためのスパッタエッチングを使用したPVD二酸化チタン形成
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  • 特許-厚膜内の結晶化の開始を停めるためのスパッタエッチングを使用したPVD二酸化チタン形成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】厚膜内の結晶化の開始を停めるためのスパッタエッチングを使用したPVD二酸化チタン形成
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/22 20060101AFI20240513BHJP
   C23C 14/08 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C23C14/22 Z
C23C14/08 E
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022132286
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2020543798の分割
【原出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2022176987
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】62/632,339
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング, カール
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068927(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180557(JP,U)
【文献】特開平02-061065(JP,A)
【文献】特開2000-164566(JP,A)
【文献】特開2000-208442(JP,A)
【文献】特開2005-008902(JP,A)
【文献】特開2006-117995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/22
C23C 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的気相堆積(PVD)プロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることと;
セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止することと;
セラミック層を所定の時間にわたってスパッタエッチングすることと;
PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを、所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで繰り返すことと
を含む方法であって、
セラミック層及びセラミック膜が、TiO 、五酸化タンタル(Ta )、又はアルミニウム(III)酸化物(Al )材料を含む、方法
【請求項2】
PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させることが、PVDチャンバに基板を導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PVDプロセスを停止することが、PVDチャンバから基板を取り出すことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
セラミック層をスパッタエッチングすることが、スパッタエッチングチャンバに基板を導入することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
放射熱チャンバ内で基板をガス抜きすること;及び
基板をPVDチャンバに最初に導入する前に、スパッタエッチングチャンバ内で基板をスパッタエッチングすること
のうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
セラミック層及びセラミック膜が本質的に二酸化チタン(TiO)材料からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の層厚が500オングストローム(Å)未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
所定の層厚が約400Åである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
所定の時間が約5秒から約25秒である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることが、同じPVDチャンバ内で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
物理的気相堆積(PVD)チャンバに基板を導入し、PVDプロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることと;
セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止し、PVDチャンバから基板を取り出すことと;
スパッタエッチングチャンバに基板を導入し、所定の時間にわたってセラミック層をスパッタエッチングすることと;
所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを繰り返すことと
を含む方法であって、
セラミック層及びセラミック膜が、TiO 、五酸化タンタル(Ta )、又はアルミニウム(III)酸化物(Al )材料を含む、方法
【請求項12】
放射熱チャンバ内で基板をガス抜きすること;及び
基板をPVDチャンバに最初に導入する前に、スパッタエッチングチャンバ内で基板をスパッタエッチングすること
のうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
チャンバ本体によって規定されるプロセス空間を含む物理的気相堆積(PVD)チャンバに基板を導入することであって、プロセス空間が:
ターゲットスイッチに接続されたターゲットであって、ターゲットスイッチは係合時、ターゲットにパルスDC電力を提供するように動作可能なDC電源にターゲットを接続する、ターゲット;及び
ペデスタルスイッチに接続された、基板を支持するように動作可能なペデスタルであって、ペデスタルスイッチは係合時、ペデスタルにRF電力を提供するように動作可能なパルス高周波(RF)電源にペデスタルを接続する、ペデスタル
を有する、基板を導入することと;
PVDプロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることであって、PVDプロセスが:
スパッタガスの第1の流れ及び反応性ガスの流れをプロセス空間に提供すること;及び
ターゲットをDC電源に接続すること
を含む、セラミック層を堆積させることと;
セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止することと;
PVDチャンバ内で、所定の時間にわたってセラミックをスパッタエッチングすることであって、スパッタエッチングが:
スパッタガスの第2の流れをプロセス空間に提供すること;及び
ペデスタルをRF電源に接続すること
を含む、セラミックをスパッタエッチングすることと;
所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを繰り返すことと
を含む方法であって、
セラミック層及びセラミック膜が、TiO 、五酸化タンタル(Ta )、又はアルミニウム(III)酸化物(Al )材料を含む、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、概して、セラミック膜を形成することに関する。具体的には、本開示の実施態様は、非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタン(TiO)のようなセラミック膜は、導波管、色フィルタ及び二次元レンズといった光学装置の形成において使用される。これら装置の機能性は、極めて微細なディテールで正確な形状を形成する能力により影響される。
【0003】
厚いセラミック膜、例えば500オングストローム(Å)を上回る厚さを有する二酸化チタン(TiO)の堆積の間、膜の構造は、無結晶又はナノ結晶構造から結晶構造へと移行する。パターン化された厚いセラミック膜の側壁は過度な粗さを有するため、結晶構造が大きいほど、平滑構造をつくるためにセラミック膜をパターン化する能力に対する悪影響が増大する。現行の方法は、結晶形成の開始を防止するために、膜成長中により低い基板温度の使用を含む。しかしながら、より低い基板温度は結晶形成を短時間しか抑制せず、500Åを上回るセラミック膜は大きな結晶の形成を呈しうる。
【0004】
したがって、本技術分野では、厚い非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成する方法の改良が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施態様において、一の方法が提供される。この方法は、物理的気相堆積(PVD)プロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることと、セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止することと、所定の時間にわたってセラミック層をスパッタエッチングすることと、所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを繰り返すこととを含む。
【0006】
別の実施態様において、一の方法が提供される。この方法は、基板を物理的気相堆積(PVD)チャンバに導入することと、PVDプロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることと、セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止することと、基板をPVDチャンバから取り出すことと、基板をスパッタエッチングチャンバに導入することと、所定の時間にわたってセラミック層をスパッタエッチングすることと、所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを繰り返すこととを含む。
【0007】
また別の実施態様において、一の方法が提供される。この方法は、基板を物理的気相堆積(PVD)チャンバに導入することを含む。PVDチャンバは、チャンバ本体によって規定されるプロセス空間を有する。プロセス空間は、ターゲットと、基板を支持するように動作可能なペデスタルとを含む。ターゲットはターゲットスイッチに接続され、ターゲットスイッチは係合時、パルスDC電力をターゲットに提供するように動作可能なDC電源にターゲットを接続する。ペデスタルはペデスタルスイッチに接続され、ペデスタルスイッチは係合時、RF電力をペデスタルに提供するように動作可能なパルス高周波(RF)電源にペデスタルを接続する。セラミック層はPVDプロセスを使用して基板上に堆積される。PVDプロセスは、スパッタガスの第1の流れ及び反応性ガスの流れをプロセス空間に提供することと、ターゲットをパルスDC電源に接続することとを含む。PVDプロセスは、セラミック層が所定の層厚を有したら停止される。PVDチャンバ内において、セラミック層は、所定の時間にわたってスパッタエッチングされる。スパッタエッチングは、スパッタガスの第2の流れをプロセス空間に提供することと、ペデスタルをRF電源に接続することとを含む。PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることは、所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、実施態様を参照することによって行われ、それら実施態様の一部が添付図面に示される。しかしながら、添付図面は例示的な実施態様を示しているにすぎず、したがって本開示の範囲を限定するとみなすべきではなく、その他の等しく有効な実施態様が許容されうることに留意されたい。
【0009】
図1】一実施態様による非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成するための方法の工程を示すフロー図である。
図2】A-Cは、一実施態様による、非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成するための方法の間の、基板の概略的断面図である。
図3A】一実施態様による物理的気相堆積(PVD)チャンバの概略断面図である。
図3B】一実施態様によるスパッタエッチングチャンバの概略断面図である。
図3C】一実施態様によるPVDチャンバの概略断面図である。
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、複数の図面に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用した。一実施態様の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施態様に有益に組み込まれうると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに記載される実施態様は、非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成する方法を含む。この方法は、物理的気相堆積(PVD)プロセスを使用して基板上にセラミック層を堆積させることと、セラミック層が所定の層厚を有したらPVDプロセスを停止することと、所定の時間にわたってセラミック層をスパッタエッチングすることと、所定の膜厚を有するセラミック膜が形成されるまで、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びセラミック層をスパッタエッチングすることを繰り返すこととを含む。
【0012】
図1は、図2A-2Cに示される非晶質又はナノ結晶セラミック膜200を形成するための方法100の工程を示すフロー図である。自動化された多チャンバ式物理的気相堆積(PVD)システム、(例えばカリフォルニア州サンタクララに事業所を有する本出願人により市販されるエンデュラスパッタリングシステム)を利用して、非晶質又はナノ結晶セラミック膜200を形成するための方法100を実施することができる。
【0013】
工程101の前に、基板201は、ロードロックチャンバ内の高真空状態に導入され、基板201から水分を放出する基板準備段階のためのチャンバへ移される。基板201は、シリコンウエハか、又はガラス、石英若しくは光学装置の形成に使用される他の材料を含むウエハとすることができる。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、ウエハ準備段階は、放射熱チャンバ内でガス抜きすることを含む。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる別の実施態様では、ウエハ準備段階は、スパッタエッチングチャンバ内でスパッタエッチングすることを含む。
【0014】
工程101では、第1のセラミック層202aが、PVDプロセスを使用して基板上に堆積される。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、PVDプロセスはスパッタ堆積プロセスである。基板201をPVDチャンバに導入し、第1のセラミック層202aを、アルゴン(Ar)などのスパッタガス及び酸素(O)などの反応性ガスのプラズマを利用して堆積させ、負にバイアスされたターゲットにアルゴンイオンを衝突させてターゲット材料の原子をスパッタし、その後、ターゲット材料の層で基板をコーティングする。堆積されたターゲット材料は反応性ガスと反応してセラミック層を形成する。第1のセラミック層202aは、二酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)、又はアルミニウム(III)酸化物(Al)材料を含みうる。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、スパッタガスはArを含み、反応性ガスはOを含み、ターゲット材料はチタン(Ti)を含んでTiO層を形成する。
【0015】
ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様によれば、PVDプロセスは、PVDチャンバ300A内で実施される。ここに記載されるPVDチャンバ300Aは例示的なPVDチャンバであり、他の製造者によるPVDチャンバを含む他のPVDチャンバが、本開示の態様に使用可能であるか又は本開示の態様を達成するために修正可能であることを理解されたい。図3AのPVDチャンバ300Aの概略断面図に示されるように、PVDチャンバ300Aは、チャンバ本体301によって規定されるプロセス空間302を含む。プロセス空間302は、ターゲット310と、基板201を支持するように動作可能なペデスタル304とを有する。ペデスタル304は、リフト系(図示しない)に接続されたステム部306によりプロセス空間302に連結され且つ同プロセス空間302内で可動に位置し、ステム部306は、上位処理位置と、チャンバ本体301の開口308を通したPVDチャンバ300Aへの及びPVDチャンバ300Aからの基板201の移送を容易にする下位位置との間でペデスタル304を移動させる。
【0016】
ターゲット310は、DC電源、RF電源、AC電源、パルスDC電源、及びパルスRF電源といった電源312に接続される。質量流量制御(MFC)デバイスといったスパッタガス流コントローラ318は、スパッタガス源314とプロセス空間302との間に配置され、スパッタガス源314からプロセス空間302へのスパッタガスの流れを制御する。MFCデバイスといった反応性ガス流コントローラ320は、反応性ガス源316とプロセス空間302との間に配置され、反応性ガス源316からプロセス空間302への反応性ガスの流れを制御する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、Arの流量は、約20sccmから約100sccmであり、Oの流量は約20sccmから約100sccmである。コントローラ303は、PVDチャンバ300Aに接続されており、処理中にPVDチャンバ300Aの態様を制御するように構成されている。工程101では、ターゲット310は、パルスDC電力を提供するパルスDC電源を介して負にバイアスされる。図1及び図3Aの説明ではパルスDC電力に言及しているが、工程101は、異なる電源に対応するための適切な調整が行われるという理解の下に、上述のような他の電源を用いて実施されることが想定されていることを理解されたい。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、パルスDC電力は、約100キロヘルツ(kHz)の周波数、約50%から約90%、例えば70%のデューティサイクル、及び約1キロワット(kW)から約10kWの電力レベルを有する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる別の実施態様では、パルスDC電力は、約100秒から約300秒間提供される。
【0017】
ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる別の実施態様によれば、PVDプロセスは物理的気相堆積(PVD)チャンバ300Cにおいて実施される。ここに記載されるPVDチャンバ300Cは例示的なPVDチャンバであり、他の製造者によるPVDチャンバを含む他のPVDチャンバが、本開示の態様に使用可能であるか又は本開示の態様を達成するために修正可能であることを理解されたい。図3CのPVDチャンバ300Cの概略断面図に示されるように、PVDチャンバ300Cは、チャンバ本体301によって規定されるプロセス空間302、ペデスタル304、ステム部306、開口308、スパッタガス源314とプロセス空間302との間に配置されるスパッタガス流コントローラ318、反応性ガス源316とプロセス空間302との間に配置される反応性ガス流コントローラ320を含む。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、Arの流量は、約20sccmから約100sccmであり、Oの流量は約20sccmから約100sccmである。ターゲット310は、DC電源、RF電源、AC電源、パルスDC電源、及びパルスRF電源といった電源312にターゲット310を接続するターゲットスイッチ326に接続される。図3Cでは、例えば、ターゲット310は、パルスDC電源に接続されている。工程101では、ターゲット310は、パルスDC電力を提供する電源312を介して負にバイアスされる。図1及び図3Cの説明ではパルスDC電力に言及しているが、工程101は、異なる電源に対応するための適切な調整が行われるという理解の下に、上述のような他の電源を用いて実施されることが想定されていることを理解されたい。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、パルスDC電力は、約100 kHzの周波数、約50%から約90%、例えば70%のデューティサイクル、及び約1kWから約10kWの電力レベルを有する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる別の実施態様では、パルスDC電力は、約100秒から約300秒間提供される。
【0018】
ペデスタル304は、係合すると、DC電源、RF電源、AC電源、パルスDC電源、及びパルスRF電源といった電源324にペデスタル304を接続するペデスタルスイッチ330に接続される。ここでさらに記載される工程103では、ペデスタル304は、RF電力を提供する電源324を介して負にバイアスされる。図1及び図3Cの説明ではRF電力に言及しているが、工程103は、異なる電源に対応するための適切な調整が行われるという理解の下に、上述の他の電源を用いて実施されることが想定されていることを理解されたい。ターゲット310及びペデスタル304に独立してバイアスをかけるように動作可能なPVDチャンバ300Cは、工程101-104が同じPVDチャンバ300C内で実施されることを可能にする。コントローラ307は、PVDチャンバ300Cに連結され、処理中に、PVDチャンバ300Cの態様を制御して、例えばターゲットスイッチ326に接続したりペデスタルスイッチ330に接続したりするように構成されている。
【0019】
工程102では、PVDプロセスは、第1のセラミック層202aが所定の層厚203を有したとき停止される。所定の層厚203は、大きな結晶形成が発生するポイントよりも小さい厚さに対応する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、第1のセラミック層202aはTiO層であり、大きな結晶形成が発生するポイントは約500Åである。したがって、所定の層厚203は、500Å未満、例えば約400Åである。PVDプロセスの停止はセラミック層の成長を止める。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、PVDプロセスが停止されると、基板201はPVDチャンバ300Aから取り出され、以下にさらに詳述されるスパッタエッチングチャンバ300Bに導入される。大きな結晶形成の開始を抑制するために、スパッタエッチングプロセスはPVDプロセスから独立して実施される。
【0020】
工程103では、スパッタエッチングプロセスが所定の時間にわたって実施される。大きな結晶形成の開始を抑制するために、スパッタエッチングプロセスはPVDプロセスから独立して実施される。より滑らかな層を形成するためにPVDプロセスの間に基板201にバイアスをかけることができるが、大きな結晶形成の開始は抑制されない。スパッタエッチングプロセスは、アルゴンイオンで負にバイアスされている基板201に衝撃を与え、第1のセラミック層202aを破壊し、第1のセラミック層202a上に形成された大きな結晶性核形成部位を粉砕するために、Arなどのスパッタガスのプラズマを利用する。しかしながら、所定の層厚203が結晶性核形成部位が存在しないポイントに対応していると、大きな結晶性核形成部位が存在しないことがある。所定の時間は、第1のセラミック層202aを破壊し、第1のセラミック層202a上に形成された大きな結晶性核形成部位を粉砕するために必要な時間に対応する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様では、TiO層に対してスパッタエッチングプロセスが約5秒から約25秒間実施され、わずか数オングストロームのセラミック層が除去される。
【0021】
ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様によれば、スパッタエッチングプロセスは、スパッタエッチングチャンバ300B内で実施される。ここに記載されるスパッタエッチングチャンバ300Bは例示的スパッタエッチングチャンバであり、他の製造者によるスパッタエッチングチャンバを含む他のスパッタエッチングチャンバが本開示の態様に使用されるか、又は本開示の態様を達成するために修正されうる。図3Bのスパッタエッチングチャンバ300Bの概略断面図に示されるように、スパッタエッチングチャンバ300Bは、チャンバ本体301により規定されるプロセス空間302、ペデスタル304、ステム部306、及び開口308を含む。ペデスタル304は、DC電源、RF電源、AC電源、パルスDC電源、及びパルスRF電源といった電源322に接続される。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、電源322はRF電源であり、スパッタエッチングチャンバ300Bは、整合回路332を通してRF電源334に連結された複数のコイル336を含む。工程103では、ペデスタル304は、第1のRF電力を提供するRF電源を介して負にバイアスされ、第2のRF電力が複数のコイル336に提供される。図1及び図3Bの説明ではRF電力に言及しているが、工程103は、異なる電源に対応するための適切な調整が行われるという理解の下に、上述の他の電源を用いて実施されることが想定されていることを理解されたい。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、第1のRF電力は、約13.56メガヘルツ(MHz)の第1の周波数及び約50ワット(W)から約300Wの第1の電力を有する。第2のRF電力は、約400メガヘルツkHzの第2の周波数及び約50ワット(W)から約300Wの第2の電力を有する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる別の実施態様では、第1のRF電力及び第2のRF電力は、約100秒から約300秒間提供される。スパッタガス源314の間に配置されたスパッタガス流コントローラ318は、工程103で、スパッタガス源314からプロセス空間302へのスパッタガスの流れを提供する。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、Arの流量は約20sccmから約100sccmである。コントローラ305は、スパッタエッチングチャンバ300Bに連結されており、処理中にスパッタエッチングチャンバ300Bの態様を制御するように構成されている。
【0022】
工程104では、PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びスパッタエッチングプロセスが、デバイスのタイプに応じた所定の膜厚 204を有する非晶質又はナノ結晶セラミック膜200が形成されるまで、複数のセラミック層202a、202b、202c、202d、202e、...、202nを形成するために繰り返される。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる一実施態様において、TiO層はPVDプロセスを使用して堆積され、PVDプロセスは約400Åの所定の層厚で停止され、スパッタエッチングプロセスは約15秒という所定の時間にわたって実施される。PVDプロセスを使用してTiO層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びスパッタエッチングプロセスは、厚さ約2400ÅのTiO膜が形成されるまで、5回繰り返される。
【0023】
要約すると、厚い非晶質又はナノ結晶セラミック膜を形成する、改善された方法がここに記載される。PVDプロセスから独立したスパッタエッチングプロセスの実施を利用することで、セラミック層を破壊すること及びセラミック層上に形成される大きな結晶性核形成部位を粉砕することにより、大きな結晶形成の開始が抑制される。PVDプロセスを使用してセラミック層を堆積させること、PVDプロセスを停止すること、及びスパッタエッチングを繰り返すことにより、大きな結晶形成のない厚い非晶質又はナノ結晶セラミック膜の形成が可能である。大きな結晶形成のない非晶質又はナノ結晶セラミック膜は、滑らかな側壁を有する正確な形状を形成するためにパターン化することができ、導波管、色フィルタ及び二次元レンズといった光学装置における使用のために、高い屈折率及び低い吸収速度を有するように調節することができる。
【0024】
以上の説明は本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施例及びさらなる実施例が考案可能であり、本開示の範囲は特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C