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特許7487310ポリウレタンホットメルト接着剤組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ポリウレタンホットメルト接着剤組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240513BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240513BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240513BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240513BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J201/00
C09J11/04
C09J11/08
B32B27/40
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022537124
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2019125898
(87)【国際公開番号】W WO2021119985
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】イェ,ウェイホア
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ジュンジュン
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0346775(US,A1)
【文献】特開2007-211150(JP,A)
【文献】特開2017-115081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0222363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A1)(a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール
を含んでなるポリオールと、
(A2)一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
との反応により得られた少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(C)組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量の少なくとも1つのアスペクト比促進剤
を含んでなる、ポリウレタンホットメルト接着剤組成物であって、
アスペクト比促進剤は、下記式:
で定義されるアスペクト比を増大する剤であり、
アスペクト比促進剤は、ワックス、炭酸カルシウム、タルクおよびそれらの混合物から選択される、組成物
【請求項2】
ポリエステルポリオールは、40℃超の融点を有する結晶質ポリエステルポリオール、0℃超のガラス転移温度を有する非晶質ポリエステルポリオール、0℃以下のガラス転移温度を有する液体ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエステルポリオールは、1,000~20,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリエーテルポリオールは、400~8,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂は、8,000~100,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂は、ポリエステル、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリルポリマー、アクリルブロックコポリマー、第三級アルキルアミド官能基を有するアクリルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリビニルポリマー、ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、メチレンポリビニルエーテル、酢酸セルロース、スチレンアクリロニトリル、非晶質ポリオレフィン、熱可塑性ウレタン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルターポリマー、官能性エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンアクリレートターポリマー、エチレンブタジエンコポリマーおよび/またはブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、ポリカプロラクトンおよびそれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ワックスは、パラフィンワックス、微晶質ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生物ポリエチレンワックス、サソールワックス、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、各種変性ワックス、機能化ワックス、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
ワックスは、80℃~200℃の融点を有する、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
ポリエステルポリオールは、組成物の総重量に基づいて5~55重量%の量で存在する、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ポリエーテルポリオールは、組成物の総重量に基づいて15~45重量%の量で存在する、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ポリイソシアネートは、組成物の総重量に基づいて10~25重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
熱可塑性樹脂は、組成物の総重量に基づいて5~30重量%の量で存在する、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
アスペクト比促進剤は、組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
組成物は、強塩基性アミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-エチル-、N-メチル-、N-シクロヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2-(ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1-アザビシクロ[3,3,0]オクタン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N’-ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジ-(4-N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル)-メタン、有機金属化合物およびそれらの混合物から選択される触媒を更に含んでなる、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
触媒は、組成物の総重量に基づいて0.05~1重量%の量で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(i)130~150℃の温度で窒素保護下、ポリオール、熱可塑性樹脂およびアスペクト比促進剤を混合し、次いで減圧する工程;
(ii)反応温度を低減し、80~120℃の温度でポリイソシアネートを添加し、次いで100~120℃の温度で制御する工程;
(iii)触媒および任意添加剤を添加し、均一になるまで混合する工程;および
(iv)100~150℃の温度で窒素保護下、混合物を取り出す工程
を含む、請求項1~15のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物の製造方法。
【請求項17】
第一基材、第二基材およびそれらの間に挟まれた接着剤層を含んでなる積層体であって、第一基材および第二基材は、互いに独立してガラス、樹脂、金属およびポリオレフィンから選択され、接着剤層は、請求項1~15のいずれかに記載の接着剤組成物を硬化させることにより形成されている、積層体。
【請求項18】
請求項17に記載の積層体または請求項1~15のいずれかに記載の接着剤組成物を用いて製造された積層体を含んでなる、電子デバイス。
【請求項19】
タッチスクリーン、携帯電話、液晶ディスプレイ、ポリマーパネル、フィルム、導電層、保護層またはインク層における、請求項1~15のいずれかに記載の接着剤組成物または請求項17に記載の積層体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンホットメルト接着剤組成物、特にアスペクト比促進剤含有ポリウレタンホットメルト接着剤組成物、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年間、多くのスマートフォンメーカーは、スマートフォンの設計に関して「大きいほどよい」ルートに進むことを決めていた。多くの企業が5.5インチ、5.7インチ、更には6.4インチまでのより大きなディスプレイ画面を備えた電話を発売し、これは、多くのユーザーには、扱うには大きすぎると考えられていた。2017年、スマートフォン企業は、電話の全体的な嵩高さを増大することなく、大きなディスプレイを提供する解決法を模索した。それがベゼルフリースマートフォンである。今日、スマートフォンだけでなく、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチパネル、タブレットコンピューターなどの他の電子デバイスでも、ベゼルフリー設計は主流になっている。
【0003】
これらのベゼルフリーディスプレイデバイスの製造などにおいて、一対の基材を含むスクリーンユニットでは、スペーサーによって固定スペースが維持されており、シーラントおよび接着剤はガラス基材の内面周辺付近に広がり、サンドイッチ構造が形成されている。シーラントおよび接着剤に関しては、今日、これらの電子デバイスのための基材の接合において、ポリウレタンホットメルト接着剤組成物が広く使用されている。
【0004】
ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は室温で固体であり、適当な温度に加熱すると融解して粘性液体になり、接合する基材に適用される。次いで、融解した接着剤組成物を冷却および固化させると基材に対する初期接合が生じ、これは、架橋構造を形成して高い最終強度を達成するために、湿分により更に反応させることができる。ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、環境に優しく、迅速に硬化し、高い接着性を有するので、電子デバイスにおいて、PC、PBT、PET、PVC、PMMA、金属および無機ガラスなどの様々なベース材料のための接合に適している。しかし、電子製品のベゼルフリー設計では、接着性、硬化時間および耐衝撃性などの他の特性を損なうことなく、一般的な電子デバイスにおける通常のボンドラインより顕著に薄いボンドラインに分注される接着剤が要求されている。
【0005】
従来技術のほとんどは、この問題に対処するために分注装置の技術を改善することに焦点を合わせていた。これに関連して接着剤組成物の開発に特化したものはほとんど存在しなかった。例えば、CN 101418203 Aには、連鎖延長剤およびフィラーが接着剤の粘度を大幅に向上させ得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】CN 101418203 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フィラーは、接着剤分注の流動性に影響するニードルのブロックを招く傾向がある。従って、接着強さなどの他の重要な特性に悪影響を及ぼすことなくベゼルフリー電子製品の接合に特に使用される、薄いボンドラインに拡散できるホットメルト接着剤組成物を開発することに対する要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
徹底した検討の後、本発明者らは、
(A)(A1)(a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール
を含んでなるポリオールと、
(A2)一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
との反応により得られた少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(C)組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量の少なくとも1つのアスペクト比促進剤
を含んでなるポリウレタンホットメルト接着剤組成物によって上記課題を解決できることを見出した。
【0009】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の別の実施形態では、第一基材、第二基材およびそれらの間に挟まれた接着剤層を含んでなる積層体であって、第一基材および第二基材は、互いに独立してガラス、樹脂、金属およびポリオレフィンから選択され、接着剤層は、本発明の接着剤組成物を硬化させることにより形成されている、積層体が提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、タッチスクリーン、携帯電話、液晶ディスプレイ、ポリマーパネル、フィルム、導電層、保護層またはインク層における、本発明の接着剤組成物および積層体の使用が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高いアスペクト比を示すためベゼルフリー電子製品の接合に特に使用されるポリウレタンホットメルト接着剤組成物を特徴としている。更に、接着剤組成物は、接着性および接着強さに優れており、ディスペンサーおよび噴射機で容易に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明が、例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広い実施形態を限定することを意図するものではないことは、当業者によって理解されるべきである。そのように記載された各実施形態は、明確に反対のことが記載されていない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示されたあらゆる特徴は、好ましいまたは有利であると示された他のあらゆる特徴と組み合わせることができる。
【0014】
特に明記されていない限り、本発明の文脈において使用される用語は、下記定義に従って解釈されるべきである。
【0015】
特に明記されていない限り、本明細書で使用されている用語「a」、「an」および「the」には、単数形および複数形の両方の指示対象が含まれる。
【0016】
本明細書で使用される「含んでなる」および「含む」という用語は、「包含し」、「包含する」または「含有し」、「含有する」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の記載されていない部材、構成要素またはプロセス工程を除外しない。
【0017】
特に明記されていない限り、数値の終点の記載には、それぞれの範囲内に含まれる全ての数および分数、並びに記載された終点が含まれる。
【0018】
分子量は、特に明記されていない限り、数平均分子量(M)を指す。全ての分子量データは、特に明記されていない限り、DIN 55672に準拠し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得られた値を指す。
【0019】
本明細書で引用されている全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を包含する、本発明で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0021】
本発明は、
(A)(A1)(a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール
を含んでなるポリオールと、
(A2)一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
との反応により得られた少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(C)組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量の少なくとも1つのアスペクト比促進剤
を含んでなるポリウレタンホットメルト接着剤組成物を対象とする。
【0022】
(A)ポリウレタンプレポリマー
ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーを含んでなる。ポリウレタンプレポリマーは、2つ以上のポリオールと一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートとの反応により得られる。一実施形態では、本発明のホットメルト接着剤におけるイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーの量は、反応性ホットメルト接着剤の総重量に基づいて、約60~約99.9重量%、好ましくは約65~約95重量%である。
【0023】
別の実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、5,000~30,000g/mol、好ましくは8,000~15,000g/mol、より好ましくは8,500~10,000g/molの数平均分子量を有する。
【0024】
(A1)ポリオール
本発明では、前記ポリオールは、(a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含んでなる。
【0025】
(a)ポリエステルポリオール
本発明で使用されるポリエステルポリオールは、結晶質ポリエステルポリオール、非晶質ポリエステルポリオールまたはそれらの混合物であり得る。
【0026】
幾つかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、40℃超の融点を有する結晶質ポリエステルポリオール、0℃超のガラス転移温度を有する非晶質ポリエステルポリオール、0℃以下のガラス転移温度を有する液体ポリエステルポリオール、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0027】
本発明における結晶質ポリエステルポリオールは、接着剤組成物に良好な接着強さをもたらす。好ましい実施形態では、結晶質ポリエステルポリオールは、40℃超、より好ましくは40℃~110℃、更により好ましくは50℃~100℃の融点を有する。結晶質の融点が低すぎると、生成されたポリウレタンホットメルト接着剤の結合力が弱くなりすぎる。結晶質の融点が高すぎると、生成されたポリウレタンホットメルト接着剤のオープンタイムが短くなりすぎ、製造時の操作が困難になり、また、接着剤製品のチューブパッケージの壁からの分離が容易に起こり得る。
【0028】
好ましい実施形態では、ポリエステルポリオールは、1,000~20,000g/mol、好ましくは2,000~15,000g/mol、より好ましくは2,000~8,000g/molの数平均分子量を有する。
【0029】
そのような結晶質ポリエステルポリオールの例は、ε-カプロラクトンなどのラクトンの開環重合により得ることができ、および/またはジオールおよび二酸から誘導され得る。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用なジオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオールおよびそれらの混合物が包含される。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用な二酸の例には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、二量体酸、およびそれらの混合物が包含される。有用な二酸の範囲内に含まれるのは、カルボキシレートエステル(特に、メチルエステルおよびエチルエステル)、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)および酸無水物などの様々な二酸誘導体、並びにそれらの混合物である。
【0030】
適当な結晶質ポリエステルポリオールの具体例には、ポリ(ヘキサンジオールアジペート)ポリオール、ポリ(ブタンジオールアジペート)ポリオール、ポリ-ε-カプロラクトンポリオール、ポリ(ヘキサンジオールドデカンジオエート)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、およびそれらの混合物が包含される。
【0031】
適当な市販の結晶質ポリエステルポリオールは、DYNACOLL(登録商標)7360、7361、7362、7363、7380、7390などを含むEvonik Industries AG(ドイツ国)社製の商品名DYNACOLL(登録商標)7300シリーズ;CAPATM 2201、2205、2209、2302、2304、2402などのカプロラクトンポリオールを含むPerstorp Polyols Inc.製の商品名CAPATMシリーズで販売されている。
【0032】
本発明で使用される非晶質ポリエステルポリオールは、好ましくは0℃超のガラス転移温度を有する。
【0033】
非晶質ポリエステルポリオールには、ポリ酸成分(例えば、ポリ酸、ポリ酸無水物、ポリ酸エステルおよびポリ酸ハライド)と化学量論的に過剰なポリオールとの反応生成物が包含される。ポリ酸成分およびポリオールの少なくとも1つは、芳香族基を含む。適切なポリ酸には、例えば、二酸(例えば、ジカルボン酸)、三酸(例えば、トリカルボン酸)、および高次酸が含まれ、その例には、芳香族ジカルボン酸、並びにそれらの無水物およびエステル(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、およびテトラヒドロフタル酸)、脂肪族ジカルボン酸およびそれらの無水物(例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、二量体酸、二量体化脂肪酸、三量体脂肪酸およびフマル酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸および1,4-シクロヘキサンジカルボン酸)、およびそれらの混合物が包含される。
【0034】
適当なポリオールの例には、脂肪族ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオール)、ブタンジオール(例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよび1,2-ブタンジオール)、1,3-ブテンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタンジオール)、ペンタンジオール、ペンチンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール)、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、グリセロール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリトール、ソルビトール、グルコース、およびそれらの組み合わせが包含される。
【0035】
有用な非晶質ポリエステルポリオールの具体例には、ポリ(ヘキサンジオールフタレート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールフタレート)ポリオール、ポリ(ネオペンチルグリコールヘキサンジオールフタレート)ポリオール、ポリ(ジエチレングリコールフタレート)ポリオール、ポリ(エチレングリコールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、ポリエチレンテレフタレートポリオール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸およびテレフタル酸のランダムコポリマージオール、並びにそれらの組み合わせが包含される。
【0036】
有用な非晶質ポリエステルポリオールは、様々な商品名で市販されており、例えば、Evonik Industries AG(ドイツ国)社製のDYNACOLL 7210、7230および7231、Stepan Company(Northfield, Ill.)製のSTEPANPOL PH56およびPD56、Panolam Industries Int'l, Inc.(Auburn, Me.)製のPIOTHANE 500 HP、1000 HPおよび2000 HPが包含される。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明で使用されるポリエステルポリオールは、室温で液体であってよく、これは、接着剤組成物に濡れ特性をもたらし、硬化物に耐衝撃性をもたらす。従って、液体ポリエステルポリオールは、0℃以下、好ましくは-100℃~0℃、より好ましくは-50℃~0℃のガラス転移温度(Tg)を有する。液体ポリエステルポリオールのTgが高すぎると、液体状になりにくい。
【0038】
液体ポリエステルポリオールの例は、ε-カプロラクトンなどのラクトンの開環重合により得ることができ、および/またはジオールおよび二酸から誘導することができる。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用なジオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオールおよびそれらの混合物が包含される。好ましいポリエステルポリオールの調製に有用な二酸の例には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、ダイマー酸およびそれらの混合物が包含される。有用な二酸の範囲内に含まれるのは、カルボキシレートエステル(特に、メチルエステルおよびエチルエステル)、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)および酸無水物などの様々な二酸誘導体、並びにそれらの混合物である。
【0039】
適当な液体ポリエステルポリオールの具体例には、ポリ(ヘキサンジオールアジペート)ポリオール、ポリ(ブタンジオールアジペート)ポリオール、ポリ-ε-カプロラクトンポリオール、ポリ(ヘキサンジオールドデカンジオエート)ポリオール、ポリ(ヘキサンジオールアジピン酸テレフタレート)ポリオール、およびそれらの混合物が包含される。
【0040】
適当な市販の液体ポリエステルポリオールは、DYNACOLL(登録商標)7210、7230、7231、7250、7255などを含むEvonik Industries AG(ドイツ国)社製の商品名DYNACOLL(登録商標)7200シリーズで販売されている。
【0041】
特に好ましくは、ポリエステルポリオールは、組成物の総重量に基づいて、5~55重量%、好ましくは20~45重量%の量で本発明の接着剤組成物に配合され得る。
【0042】
(b)ポリエーテルポリオール
本発明では、本発明で使用される前記ポリオールは、少なくとも1つのポリエーテルポリオールも含有する。
【0043】
本発明で使用されるポリエーテルポリオールは当業者に知られている。これらのポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの少なくとも1つの化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロールおよびそれらの混合物を包含する上記多価アルコールなどの一分子内に平均して少なくとも2つの活性水素原子を有する少なくとも1つの化合物との共重合により得られる。他の適当な多価化合物には、スクロース、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエタノールアミン、1,2-プロパンジチオールおよびそれらの混合物が包含される。
【0044】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、0℃以下、好ましくは-100℃~0℃、より好ましくは-50℃~0℃のガラス転移温度を有する。特に好ましいポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンオキシド、および前記化合物のいずれかのエチレンオキシド末端キャップ物であり得る。最も好ましいポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、およびエチレンオキシド末端キャップポリ(オキシプロピレン)グリコールである。
【0045】
好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、400~8,000g/mol、好ましくは500~5,000g/mol、より好ましくは1,000~4,000g/molの数平均分子量を有する。
【0046】
本発明では市販品を使用することもできる。その例には、Dow Chemical Company製のVoranolTM 2104、2110、2120、2140が包含される。
【0047】
特に好ましくは、ポリエーテルポリオールは、組成物の総重量に基づいて、15~45重量%、より好ましくは15~40重量%の量で配合され得る。
【0048】
(A2)ポリイソシアネート
ポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、(A1)ポリオールと(A2)一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートとの反応により得られる少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーを含んでなる。
【0049】
有用なポリイソシアネートは、例えば、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、アリールアルキルおよび芳香族イソシアネートを包含する一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する適当なイソシアネート、およびそれらの混合物を包含する。
【0050】
好ましいポリイソシアネートは、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI(H12MDI)、部分水添MDI(H6MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサン-2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、二量体脂肪酸ジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンまたは1,4-シクロヘキサンジイソシアネートおよびそれらの混合物から選択され得る。最も好ましいポリイソシアネートは、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその異性体、連鎖延長MDIおよびそれらの混合物である。
【0051】
有用な市販のポリイソシアネートには、Covestro社製のMONDUR ML(登録商標)、Dow Chemical Company社製のISONATETM 50 OPおよびISONATETM 125M、並びにCovestro Polymers (China) Co., Ltd.から入手可能なDesmodur(登録商標)44Cが包含される。
【0052】
特に好ましくは、ポリイソシアネートは、組成物の総重量に基づいて10~25重量%、好ましくは10~20重量%の量で接着剤組成物に配合され得る。
【0053】
(B)熱可塑性樹脂
接着剤組成物に高い強度を付与するために、本発明の接着剤組成物は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂を更に含んでなる。
【0054】
本発明の目的のために、熱可塑性樹脂は、熱および/または適当な硬化剤に付されると架橋または硬化を介して固化する熱硬化性樹脂と区別される。本明細書に記載の熱可塑性樹脂には、好ましくは未反応単量体イソシアネートを本質的に含まない、非反応性熱可塑性樹脂が包含される。
【0055】
適当な熱可塑性樹脂は、ポリエステル、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリルポリマー、アクリルブロックコポリマー、第三級アルキルアミド官能基を有するアクリルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリビニルポリマー、ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、メチレンポリビニルエーテル、酢酸セルロース、スチレンアクリロニトリル、非晶質ポリオレフィン、熱可塑性ウレタン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルターポリマー、官能性エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンアクリレートターポリマー、エチレンブタジエンコポリマーおよび/またはブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、ポリカプロラクトンおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0056】
好ましい実施形態では、熱可塑性樹脂は、8,000~100,000g/mol、好ましくは8,000~80,000g/mol、より好ましくは20,000~50,000g/molの数平均分子量を有する。
【0057】
特に好ましくは、熱可塑性樹脂は、組成物の総重量に基づいて5~30重量%、好ましくは5~20重量%の量で接着剤組成物中に存在する。
【0058】
(C)アスペクト比促進剤
ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量の少なくとも1つのアスペクト比促進剤も含有する。
【0059】
好ましくは、アスペクト比促進剤は、ワックス、炭酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカ、カーボンブラックおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0060】
ワックス
ワックスは、その由来によって分類されることが多い。ワックスは、例えば、天然起源または合成起源であり得、いずれも本発明のホットメルト接着剤組成物に有用である。天然ワックスには、昆虫、動物、植物、鉱物および石油に由来するワックスが包含される。石油ワックスは、通常、パラフィンワックスおよび微晶質ワックスに細分化され、この本来非反応性のワックスは、原油の精製過程における様々な工程で得られる。
【0061】
一方、合成ワックスは、天然ワックスと同じような物性を持つ傾向にあるので、ワックスとして扱われる。合成ワックスは、エチレン、プロピレンなどの炭化水素モノマーの重合に主に由来し、10,000g/mol未満の分子量を有する。合成ワックスは、高圧重合、チーグラー-ナッタ型触媒を用いた低圧重合、またはポリエチレンおよびポリプロピレンなどの高分子量ポリマーの熱分解を包含する様々なアプローチにより調製され得る。合成ワックスには、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス(ポリメチレンワックス)、化学変性炭化水素ワックス(即ち、特定の性質を導入するために化学的に変性された微晶質ポリエチレンおよびポリメチレンワックス)が包含される。
【0062】
好ましくは、前記組成物に含まれるワックスは、パラフィンワックス、微晶質ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生物ポリエチレンワックス、サソールワックス、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、各種変性ワックスおよび機能化ワックスからなる群から選択される。ワックスは単独で使用してもよいし、2つ以上のワックスを組み合わせて使用してもよい。
【0063】
好ましい実施形態では、ワックスは、80℃~200℃、好ましくは100℃~150℃の融点を有する。
【0064】
適当な市販のワックスには、Sasol Wax (South Africa) Pty. Ltd 社製のSasolwax H1、H8など、およびLehmann&Voss&Co(ドイツ国)社製のLuvotix LT1、LT10などが包含される。
【0065】
炭酸カルシウム
好ましい実施形態では、接着剤組成物は、アスペクト比促進剤として炭酸カルシウムを含有する。
【0066】
炭酸カルシウムは、式:CaCOで示される化合物である。これは、方解石およびアラゴナイトという鉱物として(特に、方解石を主成分とする堆積岩の一種である石灰岩として)岩石中に存在する一般的な物質であり、真珠、並びに海洋生物、カタツムリおよび卵の殻の主成分である。炭酸カルシウムは、本明細書に記載の接着剤組成物に対して、良好な粘度またはレオロジー安定性および耐候性と共に、良好な接着特性をもたらすことができる。
【0067】
市販の炭酸カルシウム製品の例は、Solvay社製のSOCAL(登録商標)321である。
【0068】
タルク
好ましい実施形態では、接着剤組成物は、アスペクト比促進剤としてタルクを含有する。
タルクは、水和ケイ酸マグネシウムを主成分とする公知の鉱物であり、タルクおよびタルクを主成分とする化合物は市販されている。
【0069】
全てのタルク変性品、好ましくは粒子状タルクが適している。鉱物の総重量に基づいて50重量%超、好ましくは80重量%超、特に好ましくは95重量%超のタルクの含量を有する鉱物が好ましい。使用されるタルクは、表面処理されていてもよい。例えば、例としてシランベースの接着促進剤または接着促進剤系を含んでなる、適当なサイズ系で処理されていてよい。市販のタルク製品の例は、Mondo Minerals(フィンランド国ヘルシンキ)社製のFinntalc C 10、Finntalc M 03、Finntalc M05およびFinntalc M20SLE、HiTalc Marketing & Technology GmbH(オーストリア国グラーツ)社製のHiTalc HTP Ultra 5C、Luzenac(フランス国ヌイイ)社製のLuzenac 1445およびLuzenac 10MOOS、Naintsch Mineralwerke GmbH(オーストリア国グラーツ)社製のNaintsch A 60およびNaintsch A10、Luzenac America(米国エングルウッド)社製のMicrotalc IT Extra、Mistron VaporおよびMistron Vapor RP-6、Brenntag N. V.(ベルギー国ディーリジュク)社製のSteamic OOS、およびIncemin A G(スイス国ホルダーバンク)社製のTital 5である。
【0070】
適当な微量のアスペクト比促進剤の配合により、ホットメルト接着剤の良好な引張強さは保持されながら、本明細書で定義されるアスペクト比が顕著に増大する。アスペクト比促進剤は有効な量で使用されるべきである。即ち、その量は、アスペクト比を有意に増大させるが、接着強さまたは塗布性などの他の特性に重大な悪影響を与える量ではない。アスペクト比促進剤の含有量が少なすぎると、アスペクト比の増大は、意図した用途にとって十分にならないことがある。一方、アスペクト比促進剤の量を増やすと、ホットメルト接着剤の他の特性に影響を与え得る。従って、アスペクト比促進剤は、組成物の総重量に基づいて、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.01~10重量%、更により好ましくは0.05~5重量%、特に0.1~3重量%の量で、接着剤組成物に含まれるべきである。
【0071】
(D)触媒
好ましくは、組成物は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進するための触媒も含んでよい。
【0072】
このようなポリウレタンの製造において典型的に使用される触媒には、例えば、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジンなどの強塩基性アミド、例えばトリス-(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジンなどのトリス-(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、または有用な第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-エチル-、N-メチル-、N-シクロヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2-(ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1-アザビシクロ[3,3,0]オクタン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N’-ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジ-(4-N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル)-メタンなど、および有機金属化合物、例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、例えば、鉄(III)アセチルアセトネート、錫化合物、例えば、有機カルボン酸の錫(II)塩、例えば、錫(II)ジアセテート、2-エチルヘキサン酸の錫(II)塩(オクタン酸錫(II))、ジラウリン酸錫(II)または有機カルボン酸のジアルキル錫(IV)塩、例えば、ジブチル錫(IV)ジアセテート、ジブチル錫(IV)ジラウレート、ジブチル錫(IV)マレエート若しくはジオクチル錫(IV)ジアセテートなど、およびジブチル錫(IV)ジメルカプチド、または上記触媒の2つ以上の混合物、並びに強塩基性アミンおよび有機金属化合物の相乗効果のある組み合わせが包含される。
【0073】
特に好ましくは、触媒は、組成物の総重量に基づいて、0.05~1重量%、好ましくは0.05~0.5重量%の量で接着剤組成物中に存在する。
【0074】
他の成分
他の添加剤を、ホットメルト接着剤組成物に添加してもよい。そのような添加剤は、当技術分野で一般的に使用されているものであってよく、例えば、着色剤、酸化防止剤などである。
【0075】
着色剤の例には、金属酸化物顔料、二酸化チタン、場合により表面処理されていてよい、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色または赤色)、酸化クロム、マンガンから選択され得る顔料が包含される。
【0076】
酸化防止剤の例には、フェノール型、例えば、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、オクタデシル-3,5-ビス(1,1-ジメチル)-4-ヒドロキシベンゼン-プロパノエートおよびピロガロール;ホスファイト類、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;またはチオエステル、例えばジラウリルチオジプロピオネートが包含される。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明は、組成物の総重量に基づいて、
(A)5~55重量%、好ましくは20~45重量%の少なくとも1つのポリエステルポリオール;
(B)15~45重量%、好ましくは15~40重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオール;
(C)10~25重量%、好ましくは10~20重量%の少なくとも1つのポリイソシアネート;
(D)5~30重量%、好ましくは5~20重量%の少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(E)10重量%以下、好ましくは0.01~8重量%の少なくとも1つのアスペクト比促進剤
を含んでなるポリウレタンホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明は、組成物の総重量に基づいて、
(A)5~55重量%、好ましくは20~45重量%の少なくとも1つのポリエステルポリオール;
(B)15~45重量%、好ましくは15~40重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオール;
(C)10~25重量%、好ましくは10~20重量%の少なくとも1つのポリイソシアネート;
(D)5~30重量%、好ましくは5~20重量%の少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(E)10重量%以下、好ましくは0.01~10重量%の少なくとも1つのアスペクト比促進剤;および
(F)0.05~1重量%、好ましくは0.05~0.5重量%の少なくとも1つの触媒
を含んでなるポリウレタンホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0079】
ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法は、下記工程:
i.130~150℃の温度で窒素保護下、ポリオール、熱可塑性樹脂およびアスペクト比促進剤を混合し、次いで減圧する工程;
ii.反応温度を低減し、80~120℃の温度でポリイソシアネートを添加し、次いで100~120℃の温度で制御する工程;
iii.触媒および任意添加剤を添加し、均一になるまで混合する工程;および
iv.100~150℃の温度で窒素保護下、混合物を取り出す工程
を含む。
【0080】
本発明のポリウレタンホットメルト接着剤組成物は、他の常套の製造技術を用いて容易に製造できる。
【0081】
一実施形態では、接着剤組成物は、硬化すると、50%以上、好ましくは60%以上のアスペクト比を示す。
【0082】
別の実施形態では、接着剤組成物は、硬化すると、2.0MPa超、好ましくは3.5MPa超の引張強さを示す。
【0083】
本発明の別の実施形態では、第一基材、第二基材およびそれらの間に挟まれた接着剤層を含んでなる積層体であって、第一基材および第二基材は、互いに独立してガラス、樹脂、金属およびポリオレフィンから選択され、接着剤層は、本発明の接着剤組成物を硬化させることにより形成されている、積層体が提供される。
【0084】
幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、基材対の間に厚みをもたらす構造支持体(例えばスペーサー)と少なくとも1つの基材パネルとを接合するために使用される。本発明での使用が想定されているスペーサーは、例えば、球状、不完全球状、非球状、中実、中空などの様々な形状のいずれかを有し得る。基材は、ガラス、樹脂、金属およびポリオレフィンから選択できる。
【0085】
本発明の更に別の実施形態は、タッチスクリーン、携帯電話、液晶ディスプレイ、ポリマーパネル、フィルム、導電層、保護層またはインク層における、接着剤組成物の使用に関する。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1](A)(A1)(a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび
(b)少なくとも1つのポリエーテルポリオール
を含んでなるポリオールと、
(A2)一分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート
との反応により得られた少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1つの熱可塑性樹脂;および
(C)組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量の少なくとも1つのアスペクト比促進剤
を含んでなる、ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
[2]ポリエステルポリオールは、40℃超の融点を有する結晶質ポリエステルポリオール、0℃超のガラス転移温度を有する非晶質ポリエステルポリオール、0℃以下のガラス転移温度を有する液体ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物から選択される、[1]に記載の組成物。
[3]ポリエステルポリオールは、1,000~20,000g/mol、好ましくは2,000~15,000g/mol、より好ましくは2,000~8,000g/molの数平均分子量を有する、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]ポリエーテルポリオールは、400~8,000g/mol、好ましくは500~5,000g/mol、より好ましくは1,000~4,000g/molの数平均分子量を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]熱可塑性樹脂は、8,000~100,000g/mol、好ましくは8,000~80,000g/mol、より好ましくは20,000~50,000g/molの数平均分子量を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]熱可塑性樹脂は、ポリエステル、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリルポリマー、アクリルブロックコポリマー、第三級アルキルアミド官能基を有するアクリルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリビニルポリマー、ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、メチレンポリビニルエーテル、酢酸セルロース、スチレンアクリロニトリル、非晶質ポリオレフィン、熱可塑性ウレタン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルターポリマー、官能性エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンアクリレートターポリマー、エチレンブタジエンコポリマーおよび/またはブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、ポリカプロラクトンおよびそれらの混合物から選択される、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]アスペクト比促進剤は、ワックス、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、ヒュームドシリカおよびそれらの混合物から選択される、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]ワックスは、パラフィンワックス、微晶質ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生物ポリエチレンワックス、サソールワックス、フィッシャー・トロプシュ合成ワックス、各種変性ワックス、機能化ワックス、およびそれらの混合物から選択される、[7]に記載の組成物。
[9]ワックスは、80℃~200℃、好ましくは100℃~150℃の融点を有する、[7]または[8]に記載の組成物。
[10]ポリエステルポリオールは、組成物の総重量に基づいて5~55重量%、好ましくは20~45重量%の量で存在する、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]ポリエーテルポリオールは、組成物の総重量に基づいて15~45重量%、好ましくは15~40重量%の量で存在する、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]ポリイソシアネートは、組成物の総重量に基づいて10~25重量%、好ましくは10~20重量%の量で存在する、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]熱可塑性樹脂は、組成物の総重量に基づいて5~30重量%、好ましくは5~20重量%の量で存在する、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]アスペクト比促進剤は、組成物の総重量に基づいて10重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは0.1~3重量%の量で存在する、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]組成物は、強塩基性アミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-エチル-、N-メチル-、N-シクロヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2-(ジメチルアミノエトキシ)-エタノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1-アザビシクロ[3,3,0]オクタン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N’-ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、ジ-(4-N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル)-メタン、有機金属化合物およびそれらの混合物から選択される触媒を更に含んでなる、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]触媒は、組成物の総重量に基づいて0.05~1重量%の量で存在する、[15]に記載の組成物。
[17](i)130~150℃の温度で窒素保護下、ポリオール、熱可塑性樹脂およびアスペクト比促進剤を混合し、次いで減圧する工程;
(ii)反応温度を低減し、80~120℃の温度でポリイソシアネートを添加し、次いで100~120℃の温度で制御する工程;
(iii)触媒および任意添加剤を添加し、均一になるまで混合する工程;および
(iv)100~150℃の温度で窒素保護下、混合物を取り出す工程
を含む、[1]~[16]のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物の製造方法。
[18]第一基材、第二基材およびそれらの間に挟まれた接着剤層を含んでなる積層体であって、第一基材および第二基材は、互いに独立してガラス、樹脂、金属およびポリオレフィンから選択され、接着剤層は、[1]~[16]のいずれかに記載の接着剤組成物を硬化させることにより形成されている、積層体。
[19][18]に記載の積層体または[1]~[16]のいずれかに記載の接着剤組成物を用いて製造された積層体を含んでなる、電子デバイス。
[20]タッチスクリーン、携帯電話、液晶ディスプレイ、ポリマーパネル、フィルム、導電層、保護層またはインク層における、[1]~[16]のいずれかに記載の接着剤組成物または[18]に記載の積層体の使用。
【実施例
【0086】
下記実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し実践するのを支援することを目的としている。本発明の範囲は、実施例によって限定されず、添付の特許請求の範囲にて規定されている。特に明記されていない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づく。
【0087】
原料:
Dynacoll(登録商標)7360は、Evonik Industries AGから入手可能な3500g/molの数平均分子量および55℃の融点を有する結晶質ポリエステルポリオールである。
Dynacoll(登録商標)7361は、Evonik Industries AGから入手可能な8500g/molの数平均分子量および57℃の融点を有する結晶質ポリエステルポリオールである。
Dynacoll(登録商標)7231は、Evonik Industries AGから入手可能な3500g/mol数平均分子量および-30℃のガラス転移温度を有する液体ポリエステルポリオールである。
Dynacoll(登録商標)7250は、Evonik Industries AGから入手可能な5500g/molの数平均分子量および-50℃のガラス転移温度を有する液体ポリエステルポリオールである。
VoranolTM 2120は、Dow Chemical Companyから入手可能な2000g/molの数平均分子量を有するポリエーテルポリオールである。
PolyTHF(登録商標)2000は、BASFから入手可能な2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランポリオールである。
Desmodur(登録商標)44Cは、Covestro Polymers (China) Co., Ltdから入手可能な単量体ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートである。
Elvacite(登録商標)2013は、Lucite Internationalから入手可能な34,000g/molの数平均分子量および76℃のガラス転移温度を有するポリアクリルベース熱可塑性樹脂である。
Sasolwax H1は、Sasol Wax (South Africa) Pty. Ltdから入手可能な112℃の融点を有するフィッシャー・トロプシュワックスである。
Luvotix(登録商標)LT10は、Lehmann & Vossから入手可能な130℃の融点を有するポリアミドワックスである。
Finntalc M03は、Mondo Mineralsから入手可能なタルクである。
SOCAL(登録商標)321は、Solvayから入手可能な超微細表面処理沈降炭酸カルシウムである。
JEFFCAT(登録商標)DMDEEは、HUNTSMANから入手可能な2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテルの触媒である。
【0088】
試験方法:
アスペクト比:
本発明は、接着剤のボンドラインの形状を評価する新規な手段を提供する。この方法では、下記:
のように接着剤のボンドラインの幅および高さにより規定される指標「アスペクト比」を用いる。
接着剤のアスペクト比が高いほど、接着剤ボンドラインは薄くなり、従って、ベゼルフリー電子製品に特に使用される。
【0089】
具体的には、アスペクト比は、下記工程により測定した:
i.本発明の接着剤組成物をLoctite 400Dディスペンサー装置(Henkel社製)にて110℃で30分間加熱した。
ii.21#サイズのニードルを分注に使用した。加圧を伴わず0.4mmの幅の1つの接着剤ボンドラインを、20重量%のガラス繊維を含むポリカーボネート基材に適用した。
iii.4分後、接着剤ボンドラインの幅および高さを、3Dビジョン測定装置(Mitutoyo社製)で測定した。
iv.上記式により、アスペクト比を計算した。
【0090】
アスペクト比が50%より大きい場合、接着剤組成物は、ベゼルフリー設計を有する電子デバイスにおける使用に適している。
【0091】
クロス引張強さ:
サンプル調製:
i.まず、101.6×25.4×1mmの寸法を有し、20重量%のガラス繊維を含むポリカーボネート基材および101.6×25.4×3mmの寸法を有するインクガラスを用意した。これらの基材をイソプロパノールで清浄化し、表面が完全に乾燥していることを確実にするために、周囲条件で数分間そのままの状態にした。第一基材および第二基材を横向きに配置した。重なり合う領域が、それらの間に挟まれた接着剤層を形成する。
ii.次いで、接着剤層の厚みを制御するために、0.127mmの直径を有する2つのスペーサーを配置した。接着剤組成物を拡散させる前に、重なり合う領域の縁から3mmの距離で、第一基材の縁に前記スペーサーを配置した。
iii.その後、接着剤組成物を、Loctite 400Dディスペンサー装置にて110℃で30分間加熱した。21#サイズのニードルを、インクガラス表面への接着剤組成物の分注に使用した。分注過程で、ニードルを通して分注された接着剤ビーズによって、2つのボンドラインが形成された。2つのボンドラインは平行に適用され、それぞれ、2つの基材の重なり合う領域の縁に対して1.5~1.8mmの距離を有していた。また、各接着剤ビーズ間の距離は8mmに制御されており、接着剤ビーズから2つの基材の重なり合う領域の縁までの距離も8mmであった。
iv.分注後、各基材の2つの自由端を残したまま、20重量%のガラス繊維を含むポリカーボネート基材を、その上から加圧し、重なり合う領域のサンドイッチ構造を形成した。次いで、積層体を調製した。
v.重なり合う領域のサンドイッチ構造に2kg重を15秒間適用した。次いで、加重を除き、得られたサンプルを23℃、50%相対湿度で24時間置いて接着剤組成物を硬化させた。
【0092】
サンプル試験:
接着剤層の破損時の引張強さを測定するため、サンプルのクロス引張強さを、10mm/分の試験速度でINSTRON引張試験機により測定した。それにより、破壊時負荷および破壊モードが記録された。引張強さが3MPaより大きい場合、接着剤組成物は、ベゼルフリー設計を有する電子デバイスにおける使用に適している。
【0093】
実施例1~13(Ex.1~Ex.13)および比較例1~4(CE.1~CE.4)
表1に記載の量(重量部)で成分を用い、下記方法により接着剤を調製し、上記方法を用いて特性を試験した。評価結果を表1に示す。
【0094】
ポリウレタンホットメルト接着剤組成物の調製方法は、下記工程:
(i)130~150℃の温度で窒素保護下、ポリオール、熱可塑性樹脂およびアスペクト比促進剤を混合し、次いで減圧する工程;
(ii)反応温度を低減し、80~120℃の温度でポリイソシアネートを添加し、次いで100~120℃の温度で制御する工程;
(iii)触媒および任意添加剤を添加し、均一になるまで混合する工程;および
(iv)100~150℃の温度で窒素保護下、混合物を取り出す工程
を含む。
【0095】
【0096】
【0097】
表1からわかるように、本発明の実施例のホットメルト接着剤組成物は、比較例と比べて、硬化すると、高い引張強さを維持したまま、より高いアスペクト比を示した。
【0098】
好ましい幾つか実施形態を説明したが、上記教示に照らして、多くの修正および変更をそれに加えることができる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に記載されている以外の方法で実施出来ることが理解される。