(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240514BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20240514BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20240514BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L23/00 C
H01L23/28 F
H01L21/78 Q
(21)【出願番号】P 2020058791
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】福住 志津
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直也
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009371(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167778(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/059572(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/032176(WO,A1)
【文献】特開2017-143210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/00
H01L 23/28
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第一の粘着フィルムと、前記第一の粘着フィルムの表面上に互いに離間した状態で配置された複数の半導体パッケージとを備える被処理体を準備する工程と、
(B)前記第一の粘着フィルムから前記半導体パッケージをピックアップする工程と、
(C)仮固定フィルムに対して前記半導体パッケージの回路面が接し且つ隣接する前記半導体パッケージの間隔が0.1mm以上となるように、前記仮固定フィルムに複数の前記半導体パッケージを配置する工程と、
(D)前記仮固定フィルム上の複数の前記半導体パッケージの表面上に電磁波シールド層を形成する工程と、
(E)複数の前記半導体パッケージの表面に形成された前記電磁波シールド層を覆うように第二の粘着フィルムを貼る工程と、
(F)前記第二の粘着フィルム上の複数の前記半導体パッケージから前記仮固定フィルムを剥離する工程と、
を含み、
前記半導体パッケージが40μm未満の再配線層と、前記再配線層の側面に設けられたグランド接触点とを有し、(C)工程において前記グランド接触点が前記仮固定フィルムに埋まらないように、前記仮固定フィルムに複数の前記半導体パッケージを配置する、半導体パッケージの製造方法。
【請求項2】
(A)工程が(a1)複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップを封止している封止材とを備えるパネル部材の第一の表面に対して前記第一の粘着フィルムを貼ることと、(a2)前記第一の粘着フィルム上の前記パネル部材を複数の前記半導体パッケージに個片化することとを含む、請求項1に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項3】
スパッタリング又は蒸着によって前記電磁波シールド層を形成する、請求項1又は2に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項4】
(G)前記第二の粘着フィルムの前記半導体パッケージに対する粘着力を低下させる工程と、
(H)前記第二の粘着フィルムから前記半導体パッケージをピックアップする工程と、
を更に含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体パッケージの製造方法に関し、より詳しくは、表面の少なくとも一部に電磁波シールド層を有する半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体パッケージの小型化、高機能化、高集積化に伴い、半導体チップの多ピン化、高密度化、配線の狭ピッチ化が進展している。その結果、インピーダンスの増加又は信号ライン間の信号干渉に起因して半導体パッケージの本来の性能が阻害される傾向にある。特許文献1は、接着剤層と、電磁波シールド層とを有する半導体装置用接着フィルムを開示している。この半導体装置用接着フィルムは、接着剤層の表面上に、スパッタ法又は蒸着法によって電磁波シールド層を形成する工程を経て作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、今後、半導体パッケージの薄型化がより一層進展し、半導体パッケージの再配線層の厚さが40μm未満となると、半導体パッケージの表面に形成される電磁波シールド層と再配線層との電気的接続を安定的に確保することが困難となり得るとの知見を得た。本開示は、再配線層が40μm未満と薄くても、再配線層の側面のグランド接触点と電磁波シールド層の電気的接続を安定的に確保できる半導体パッケージの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る半導体パッケージの製造方法は、
(A)第一の粘着フィルムと、第一の粘着フィルムの表面上に互いに離間した状態で配置された複数の半導体パッケージとを備える被処理体を準備する工程と、
(B)第一の粘着フィルムから半導体パッケージをピックアップする工程と、
(C)仮固定フィルムに対して半導体パッケージの回路面が接し且つ隣接する半導体パッケージの間隔が0.1mm以上となるように、仮固定フィルムに複数の半導体パッケージを配置する工程と、
(D)仮固定フィルム上の複数の半導体パッケージの表面上に電磁波シールド層を形成する工程と、
を含み、
半導体パッケージが40μm未満の再配線層と、再配線層の側面に設けられたグランド接触点とを有し、(C)工程においてグランド接触点が仮固定フィルムに埋まらないように、仮固定フィルムに複数の半導体パッケージを配置する。
【0006】
上記製造方法によれば、(C)工程においてグランド接触点が仮固定フィルムに埋まらないように、仮固定フィルムに複数の半導体パッケージが配置されるため、(D)工程において、再配線層の側面にも電磁波シールド層を安定的に形成することができる。このため、半導体パッケージの再配線層が40μm未満と薄くても、再配線層の側面のグランド接触点と電磁波シールド層とを電気的に接続することができる(
図1参照)。また、(D)工程において、回路面が仮固定フィルムで覆われている半導体パッケージに対して電磁波シールド層が形成されるため、電磁波シールド層を構成する材料が半導体パッケージの回路面に回り込むことを抑制できる。
【0007】
(A)工程は、(a1)複数の半導体チップと、複数の半導体チップを封止している封止材とを備えるパネル部材の第一の表面に対して第一の粘着フィルムを貼ることと、(a2)第一の粘着フィルム上のパネル部材を複数の半導体パッケージに個片化することとを含んでもよい。ここでいうパネル部材は、複数の半導体パッケージが一体化された状態の部材である。(a2)工程においてパネル部材が個片化されることで、例えば、ウエハレベルパッケージ又はパネルレベルパッケージが得られる。
【0008】
(D)工程後、半導体パッケージを効率的にピックアップできるように、以下の工程を適宜実施してもよい。
(E)複数の半導体パッケージの表面に形成された電磁波シールド層を覆うように粘着フィルムを貼る工程。
(F)粘着フィルム上の複数の半導体パッケージから仮固定フィルムを剥離する工程。
【0009】
例えば、上記粘着フィルムの粘着力が紫外線照射又は加熱によって低下するものである場合、(F)工程後に以下の工程を適宜実施してもよい。
(G)粘着フィルムの半導体パッケージに対する粘着力を低下させる工程。
(H)粘着フィルムから半導体パッケージをピックアップする工程。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、再配線層が40μm未満と薄くても、再配線層の側面のグランド接触点と電磁波シールド層の電気的接続を安定的に確保できる半導体パッケージの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本開示の製造方法によって製造される半導体パッケージの一例(ファンアウト・ウエハレベルパッケージ)を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2はファンアウト・ウエハレベルパッケージ用パネル部材の一例を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は
図2に示すパネル部材を複数の半導体パッケージに個片化する過程を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4(a)は半導体パッケージを仮固定フィルム上に配置する様子を模式的に示す断面図であり、
図4(b)は半導体パッケージが仮固定フィルム上に配置された状態を拡大して示す断面図である。
【
図5】
図5(a)は仮固定フィルム上への複数の半導体パッケージの配置が完了した状態を模式的に示す断面図であり、
図5(b)は半導体パッケージの封止層と再配線層の側面とを覆うように電磁波シールドが形成された状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(c)は半導体パッケージをピックアップするまでの過程を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は第一の粘着フィルム上の複数の半導体パッケージを一括して仮固定フィルム上に配置する工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
本明細書の記載及び請求項において「左」、「右」、「正面」、「裏面」、「上」、「下」、「上方」、「下方」等の用語が利用されている場合、これらは、説明を意図したものであり、必ずしも永久にこの相対位置である、という意味ではない。また、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
【0014】
(半導体パッケージ)
図1は本実施形態に係る製造方法によって製造される半導体パッケージを模式的に示す断面図である。この図に示す半導体パッケージ10は、ファンアウト・ウエハレベルパッケージ(Fan-out WLP、FO-WLP)と称されるものである。半導体パッケージ10は、半導体チップ1と、封止層3と、再配線層4と、電磁波シールド層5(機能層)とを備える。なお、パッケージ形態は、FO-WLPに限られるものではなく、ウエハレベルパッケージ(WLP)、フリップチップ・チップスケールパッケージ(FC-CSP)、フリップチップ・ボールグリッドアレイ(FC-BGA)、メモリーパッケージ等でもよい。
【0015】
平面視における半導体パッケージ10の形状は、例えば正方形又は長方形である。平面視における半導体パッケージ10の面積は、例えば、1~900mm2であり、9~625mm2又は25~400mm2であってもよい。平面視における半導体パッケージ10の一辺の長さは、例えば、1~30mmであり、3~25mm又5~20mmであってもよい。半導体パッケージ10の厚さ(バンプ4cの高さを除く。)は、例えば、100~1500μmであり、200~1000μmであってもよい。
【0016】
半導体チップ1は、回路面1aと、回路面1aに形成された複数のバンプ1b(突起電極)とを有する。回路面1aは、Ni/Auめっきパッド等の比較的平坦な金属パッドを有するものであってもよい。バンプ1bは、例えば、銅バンプ及びはんだバンプである。平面視における半導体チップ1の形状は、例えば正方形又は長方形である。平面視における半導体チップ1の面積は、例えば、1~400mm2であり、9~225mm2又は25~100mm2であってもよい。平面視における半導体チップ1の一辺の長さは、例えば、1~20mmであり、3~15mm又5~10mmであってもよい。半導体チップ1の厚さ(バンプ1bの高さを除く。)は、例えば、50~775μmであり、100~500μmであってもよい。
【0017】
封止層3は、熱硬化性樹脂組成物によって構成されている。封止層3は、半導体チップ1を封止している。封止層3は、光、熱、湿気、ほこり及び物理的衝撃等から半導体チップ1を保護している。封止層3は、例えば、コンプレッションモールド、トランスファーモールド、フィルム状の封止材のラミネートによって形成される。封止層3の厚さは、例えば、50μm以上、100μm以上であってもよい。
【0018】
再配線層4は半導体チップ1のバンプ1bと電気的に接続されている。再配線層4は、導体部4aと、絶縁部4bと、バンプ4c,4dとによって構成されている。導体部4aは半導体チップ1のバンプ1bとバンプ4cとを電気的に接続している。
図1の左端に示すバンプ4dは電磁波シールド層5と電気的に接続されている。
【0019】
再配線層4の側面4fはグランド接触点4gを有する。グランド接触点4gは電磁波シールド層5と接している。これにより、電磁波シールド層5はグランド接続を取ることができる。再配線層4の厚さは、40μm未満であり、30μm未満であってよいし、20μm未満であってもよい。再配線層4の厚さの下限は、例えば、10μm程度である。本実施形態に係る半導体パッケージ10は、再配線層4の厚さが40μm未満と薄くても、電磁波シールド層5のグランド接続の不良が生じにくいという利点がある。これは、後述の製造方法に起因するものである。なお、
図1には一点のグランド接触点4gを図示したが、半導体パッケージ10は再配線層4の側面4fに複数のグランド接触点を有してもよい。
【0020】
電磁波シールド層5は、封止層3の面3a及び側面3bを覆うとともに、再配線層4の側面4fの少なくも一部を覆っている。電磁波シールド層5は、例えば、スパッタリング又は蒸着によって形成される金属層である。電磁波シールド層5は、例えば、銅、クロム及びニッケル等の金属元素を含む。電磁波シールド層5を構成する金属元素は一種であってもよいし、二種以上であってもよい。電磁波シールド層5の厚さは、例えば、0.01~100μmであり、0.05~50μmであってもよい。なお、電磁波シールド層5の形成方法は、スパッタリング又は蒸着に限定されず、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、無電解めっき法又は電解めっき法等でもよい。
【0021】
(半導体パッケージの製造方法)
次に、半導体パッケージ10の製造方法について説明する。半導体パッケージ10は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。
(a)粘着フィルム21と、粘着フィルム21の表面上に互いに離間した状態で配置された複数の半導体パッケージ10Pとを備える被処理体20を準備する工程(
図3(b)参照)。
(b)粘着フィルム21から半導体パッケージ10Pをピックアップする工程。
(c)仮固定フィルム25に対して半導体パッケージ10Pの再配線層4(回路面)が接し且つ隣接する半導体パッケージ10Pの間隔が0.1mm以上となるように、仮固定フィルム25に複数の半導体パッケージ10Pを配置する工程(
図4(a)参照)。
(d)仮固定フィルム25上の複数の半導体パッケージ10Pの表面上に電磁波シールド層5を形成する工程(
図5(b)参照)。
(c)工程においてグランド接触点4gが仮固定フィルム25に埋まらないように、仮固定フィルム25に複数の半導体パッケージ10Pを配置する(
図4(b)参照)。
【0022】
上記製造方法によれば、以下の効果が奏される。
・半導体パッケージ10の再配線層4が40μm未満と薄くても、電磁波シールド層5のグランド接続を安定的に取ることができる。すなわち、(d)工程において再配線層4の側面4fにも電磁波シールド層5を安定的に形成され、再配線層4のグランド接触点4gを十分に覆うように電磁波シールド層5を形成することができる。
・(d)工程において、再配線層4が仮固定フィルム25で覆われている半導体パッケージ10Pに対して電磁波シールド層5が形成されるため、電磁波シールド層5を構成する材料が再配線層4に回り込むことを抑制できる。
【0023】
[(a)工程]
(a)工程は被処理体20を準備する工程である。(a)工程において、例えば、以下のステップを経て被処理体20を作製することができる。
(a1)複数の半導体チップ1と、複数の半導体チップ1を封止している封止材13とを備えるパネル部材30の表面30a(第一の表面)に対してダイシングフィルム15(第一の粘着フィルム)を貼るステップ(
図3(a)参照)。
(a2)ダイシングフィルム15上のパネル部材30を複数の半導体パッケージ10Pに個片化するステップ(
図3(b)参照)。
【0024】
本実施形態においては、パネル部材30として、FO-WLPを製造するためのパネルを使用する場合を例に挙げる。なお、上述のとおり、パッケージ形態はFO-WLPに限られるものではない。
図2は、FO-WLP用パネル部材の一例を模式的に示す平面図である。この図に示すパネル部材30の表面30aは封止材13からなる面である。他方、パネル部材30の表面30bには再配線層4が露出している。パネル部材30は平面視で略円形であり、その直径は、例えば、100~300mmである。パネル部材30は、複数の半導体チップ1と、これらの半導体チップ1を封止する封止材13とによって構成されている。なお、
図2には、便宜上、21個の半導体パッケージ10A(個片化前)が一体化されたものを図示したが、FO-WLP用パネル部材が備える半導体パッケージ10Aの数数は、例えば、100個以上であり、100~6000個又は1600~24000個であってもよい。
【0025】
図3(a)は、パネル部材30の表面30aにダイシングフィルム15を貼り付けた状態を模式的に示す断面図である。ダイシングフィルム15は、基材フィルム15aと、粘着層15bとを備える。
図3(b)は、ブレードによってパネル部材30を複数の半導体パッケージ10Pに個片化した状態を示す断面図である。隣接する二つの半導体パッケージ10Pの離間距離は、切断に使用したブレード幅とほぼ同じであり、例えば、50μm程度である。これらのステップを経て被処理体20が得られる。
【0026】
[(b)工程]
(b)工程は、ダイシングフィルム15から半導体パッケージ10Pをピックアップする工程である。なお、
図3(b)に示すように、再配線層4が上を向いている半導体パッケージ10Pを、
図4(a)に示すように、再配線層4を下に向けて仮固定フィルム25に配置するには、フリップチップボンダーと称される装置を使用すればよい。フリップチップボンダーはピックアップした半導体パッケージ10Pの上下を反転させることが可能である。
【0027】
[(c)工程]
(c)工程は、仮固定フィルム25に対して半導体パッケージ10Pの再配線層4が接し且つ隣接する半導体パッケージ10Pの間隔が0.1mm以上となるように、仮固定フィルム25に複数の半導体パッケージ10Pを配置する工程である(
図4(a)参照)。仮固定フィルム25は、基材フィルム25aと、粘着層25bとを備える。隣接する二つの半導体パッケージ10Pの離間距離は、0.1mm以上であり、好ましくは100~800μmであり、より好ましくは200~800μmである。この距離Dと半導体パッケージの厚さTの比(D/T)は1以上であることが好ましい。比D/Tが1以上であることで、(d)工程におけるスパッタリング又は蒸着によって半導体パッケージ10Pの側面に、所望の厚さの電磁波シールド層5を安定的に形成することができる。
【0028】
上述のように、フリップチップボンダーでピックアップした半導体パッケージ10Pを位置調整しながら、仮固定フィルム25の粘着層25bに押し当てることによって半導体パッケージ10を配置すればよい。
図4(b)は半導体パッケージ10Pが仮固定フィルム25上に配置された状態を拡大して示す断面図である。再配線層4のグランド接触点4gが粘着層25bに埋まらないように、仮固定の際に半導体パッケージ10Pに付与する押圧力を調整する。なお、押圧力を調整する代わりに、あるいは、押圧力を調整するとともに、適度な硬度及び/又は厚さを有する粘着層25bを選択することによって、(c)工程においてグランド接触点4gが仮固定フィルム25に埋まらないようにしてもよい。
【0029】
[(d)工程]
(d)工程は、仮固定フィルム25上の複数の半導体パッケージ10Pの表面上に電磁波シールド層5を形成する工程である。
図5(a)は仮固定フィルム25上への複数の半導体パッケージ10Pの配置が完了した状態を模式的に示す断面図であり、
図5(b)は半導体パッケージ10Pの封止層3と再配線層4の側面4fとを覆うように電磁波シールド層5が形成された状態を模式的に示す断面図である。スパッタリングは、例えば芝浦メカトロニクス株式会社製のCCS-2110(商品名)を使用して実施できる。蒸着は、例えば、株式会社神戸製鋼所(KOBELCO)製のAIP-Gシリーズ(商品名、「AIP」は登録商標)を使用して実施できる。(c)工程において、グランド接触点4gが仮固定フィルム25に埋まっていないため(
図4(b)参照)、(d)工程においてグランド接触点4gを覆うように電磁波シールド層5を形成することができる。これにより電磁波シールド層5のグランド接続を安定的に取ることができる。
【0030】
(d)工程後、半導体パッケージ10を効率的にピックアップできるように、複数の半導体パッケージ10を仮固定フィルム25から粘着フィルム35(第二の粘着フィルム)に転写し、粘着フィルム35から半導体パッケージ10をピックアップしてもよい。すなわち、(d)工程後、以下の工程を適宜実施してもよい。なお、粘着フィルム35として、例えば、紫外線照射又は加熱によって粘着力が低下するものを使用すればよい。
(e)複数の半導体パッケージ10の表面に形成された電磁波シールド層5を覆うように粘着フィルム35を貼る工程(
図6(a)参照)。
(f)粘着フィルム35上の複数の半導体パッケージ10から仮固定フィルム25を剥離する工程(
図6(b)参照)。
(g)粘着フィルム35の半導体パッケージ10に対する粘着力を低下させる工程。(h)粘着フィルム35から半導体パッケージ10をピックアップする工程。
【0031】
図6(c)は、粘着フィルム35から半導体パッケージ10をピックアップしている様子を模式的に示す断面図である。
図6(c)に示されたように、突き上げ冶具51で半導体パッケージ10を粘着フィルム35の下面側から突き上げるとともに、半導体パッケージ10をコレット52で吸引してピックアップする。
【0032】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ダイシング後の半導体パッケージ10Pを一つずつピックアップして仮固定フィルム25上に配置する場合を例示したが、例えば、複数の半導体パッケージ10Pを一括して仮固定フィルム25に配置してもよい。すなわち、ダイシングフィルム15として延伸性を有するフィルム(例えば、エキスパンドフィルム)を使用し、まず、
図7(a)に示すように、ダイシングフィルム15に張力を付与することにより、隣接する二つの半導体パッケージ10Pの間隔を拡大させる。次いで、
図7(b)に示すように、ダイシングフィルム15に張力を付与した状態で、複数の半導体パッケージ10Pの再配線層4を覆うように仮固定フィルム25を貼り合わせてもよい。
図7(b)に示された状態からダイシングフィルム15を剥離することで、
図5(a)に示された状態となる。
【符号の説明】
【0033】
1…半導体チップ、1a…回路面、1b…バンプ、3…封止層、3a…面、3b…側面、4…再配線層、4a…導体部、4b…絶縁部、4c,4d…バンプ、4f…再配線層の側面、4g…グランド接触点、5…電磁波シールド層、10…半導体パッケージ、10A…半導体パッケージ(個片化前)、10P…半導体パッケージ(電磁波シールド層形成前)、13…封止材、15…ダイシングフィルム(第一の粘着フィルム)、15a…基材フィルム、15b…粘着層、20…被処理体、21…粘着フィルム、25…仮固定フィルム、25a…基材フィルム、25b…粘着層、30…パネル部材、30a…表面(第一の表面)、30b…表面、35…粘着フィルム(第二の粘着フィルム)、51…冶具、52…コレット