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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20240514BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q21/30
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020100429
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021197571
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】徳永 諭
(72)【発明者】
【氏名】船津 聡史
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168938(JP,A)
【文献】特開2011-035520(JP,A)
【文献】特開2018-007223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0075613(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられる車両部材に備えられ、第1周波数帯の電波と第2周波数帯の電波を受信するアンテナ装置であって、
第1給電部と、
前記第1給電部に接続される第1アンテナ素子と、
前記第1給電部に接続される第2アンテナ素子と、を備え、
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部から第1端部まで延伸する間に第1方向に延伸する部分を含む第1エレメントと、前記第1端部から第2端部まで延伸する間に前記第1方向とは異なる第2方向に延伸する部分を含む第2エレメントとを有し、
前記第2アンテナ素子は、前記第1給電部から第3端部まで延伸する間に前記第1方向に延伸する部分を含む第3エレメントと、前記第3端部から第4端部まで延伸する間に前記第2方向とは反対向きの第3方向に延伸する部分を含む第4エレメントとを有し、
前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、互いに接続されず、
前記第1給電部から前記第1端部を経由して前記第2端部までの第1エレメント長は、前記第1給電部から前記第3端部を経由して前記第4端部までの第2エレメント長と異なり、
前記第1エレメントおよび前記第3エレメントの少なくとも一方は、複数の屈曲点を含む折れ曲がり形状を有する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第3端部から前記第4端部までのエレメント長は、前記第1給電部から前記第3端部までのエレメント長よりも長い、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1端部から前記第2端部までのエレメント長は、前記第1給電部から前記第1端部までのエレメント長よりも長い、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1方向は、前記第2方向および前記第3方向と45°以上135°以下の範囲で交差する、請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1方向は、前記第2方向および前記第3方向と略直交する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2方向と前記第3方向は、一本の仮想直線に沿った方向である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2エレメントの前記第2方向に延伸する部分と前記第4エレメントの前記第3方向に延伸する部分は、前記仮想直線上にある、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記車両部材が前記車体に取り付けられた状態において、前記仮想直線は、水平面に平行な直線である、請求項6又は7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1エレメントおよび前記第3エレメントは、複数の屈曲点を含む折れ曲がり形状を有し、
前記第1エレメントおよび前記第3エレメントは、前記第1方向に平行な対称軸に関して線対称である、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1エレメントと前記第3エレメントの各々の前記折れ曲がり形状は、2つの屈曲点を有し、互いに離れるように延伸するクランク形状である、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第1エレメントと前記第3エレメントとの、前記第1方向に直交する方向における間隔は、1mm以上250mm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第1エレメント長をL、前記第1周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、前記第1アンテナ素子の周辺媒質の波長短縮率をk、とするとき、
(1/4)×λ×k ≦ L ≦ (2/5)×λ×k
を満たす、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第2エレメント長をL、前記第2周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、前記第2アンテナ素子の周辺媒質の波長短縮率をk、とするとき、
(1/7)×λ×k ≦ L ≦(3/11)×λ×k
を満たす、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第1周波数帯は、DAB Band IIIの帯域であり、
前記第2周波数帯は、FM放送波の帯域である、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
第3周波数帯の電波を受信し、前記第3周波数帯は、地上デジタルテレビ放送波の帯域である、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
第2給電部と、前記第2給電部に接続される第3アンテナ素子とを更に備え、
前記第3アンテナ素子は、AM放送波を受信する、請求項1から15のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記第3アンテナ素子は、前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子とは接続されていない、請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記第1方向は、前記車体の金属部分から離れる方向であり、
前記車両部材が前記車体に取り付けられた状態で水平面の法線方向から見て、前記第1エレメントおよび前記第3エレメントは、前記金属部分の端辺と交差する、請求項1から17のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記金属部分の表面に形成された開口を通り前記第1方向に直交する仮想平面を定義するとき、
前記仮想平面から、前記第1アンテナ素子の前記第1方向の側の端までの距離をD、前記仮想平面から、前記第2アンテナ素子の前記第1方向の側の端までの距離をDとするとき、D,Dは、いずれも、105mm以上である、請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記車両部材は、樹脂またはガラスを含む部材である、請求項1から19のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記車両部材は、エアロパーツである、請求項1から20のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両に搭載されるアンテナ装置として、AM放送波、FM放送波、地上デジタルテレビ放送波、DAB(Digital Audio Broadcasting)等の複数の周波数帯の信号を受信可能な複合的なアンテナ素子が集約されたアンテナ装置が実用化されている。例えば、アウタパネルが合成樹脂であるエアスポイラの内側に略T字状のアンテナを備え、周波数帯の異なる複数の電波(FM放送波、AM放送波、テレビ放送波など)を受信するアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-128696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の略T字状のアンテナでは、複数の周波数帯の電波の受信性能が必ずしも十分とは言えなかった。
【0005】
本開示は、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信可能なアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
車体に取り付けられる車両部材に備えられ、第1周波数帯の電波と第2周波数帯の電波を受信するアンテナ装置であって、
第1給電部と、
前記第1給電部に接続される第1アンテナ素子と、
前記第1給電部に接続される第2アンテナ素子と、を備え、
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部から第1端部まで延伸する間に第1方向に延伸する部分を含む第1エレメントと、前記第1端部から第2端部まで延伸する間に前記第1方向とは異なる第2方向に延伸する部分を含む第2エレメントとを有し、
前記第2アンテナ素子は、前記第1給電部から第3端部まで延伸する間に前記第1方向に延伸する部分を含む第3エレメントと、前記第3端部から第4端部まで延伸する間に前記第2方向とは反対向きの第3方向に延伸する部分を含む第4エレメントとを有し、
前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、互いに接続されず、
前記第1給電部から前記第1端部を経由して前記第2端部までの第1エレメント長は、前記第1給電部から前記第3端部を経由して前記第4端部までの第2エレメント長と異なり、
前記第1エレメントおよび前記第3エレメントの少なくとも一方は、複数の屈曲点を含む折れ曲がり形状を有する、アンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する分解斜視図である。
図2】一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する断面図である。
図3】一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する平面図である。
図4】一実施形態におけるアンテナ装置の第1構成例を示す平面図である。
図5】一実施形態におけるアンテナ装置の第2構成例を示す平面図である。
図6】第2エレメント長Lを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図7】第1エレメント長Lを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図8】第1エレメントと第3エレメントとの間隔Wを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図9】距離D,Dを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図10】一実施形態におけるアンテナ装置のUHF帯における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。
【0010】
図1は、一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する分解斜視図である。この例では、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、車幅方向、車両の前後方向、車両の上下方向に対応する。図1に示すアンテナ装置101は、車体に取り付けられる車両部材に備えられ、第1周波数帯の電波と第2周波数帯の電波を受信するアンテナ装置の一例である。図1は、車体の一部であるリフトゲート10に取り付けられるスポイラー18にアンテナ装置101が搭載される例を示している。
【0011】
リフトゲート10は、車体の後部に開閉可能に取り付けられるドアであり、窓ガラス11が取り付けられている。スポイラー18は、車両部材の一例であり、車体の後部に取り付けられるエアロパーツの一つである。スポイラー18は、例えば、リフトゲート10の上部に固定される。スポイラー18は、樹脂製の部品であるが、樹脂以外の素材で形成されてもよい。スポイラー18は、内カバー14と外カバー13とを有する。アンテナ装置101は、給電部16、アンテナ30及びアンプ60を備える。
【0012】
給電部16は、アンテナ30に給電するための給電点であり、アンテナ30に電気的に接続される。給電部16は、ケーブル61(配線)を介して、アンプ60の入力端子に接続される。給電部16は、例えば、車体の金属部分12に形成されたアンテナ取り出し口12bに取り付けられる防水コネクタである。アンテナ取り出し口12bは、金属部分12の車外側の表面に形成される開口である。
【0013】
アンテナ30は、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を受信する導体であり、この例では、アンテナ30の一部は、内カバー14と外カバー13とに挟まれた状態でスポイラー18の内部に配置される。アンテナ30は、スポイラー18に内蔵されてもよいし、スポイラー18の外表面に設けられてもよい。アンテナ30は、線状に形成された導電性部材であり、例えば、導線、導電性塗料、金属棒、金属板などによって形成されてもよい。
【0014】
アンプ60は、給電部16に電気的に接続される入力端子を有し、アンテナ30で受信した信号を増幅する。アンプ60により増幅された信号は、車体に搭載される不図示の受信装置などに供給される。この例では、アンプ60は、リフトゲート10の上部に取り付けられる。
【0015】
図2は、一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する断面図である。スポイラー18には、ハイマウントストップランプ17が搭載されてもよい。ハイマウントストップランプ17がスポイラー18に搭載される場合、アンテナ30をハイマウントストップランプ17の上部に配置することで、アンテナ30の電波の受信感度の低下を抑制できる。また、アンテナ30の電波の受信感度の低下を抑制する点で、アンテナ30は、ハイマウントストップランプ17に接続される配線をまたがないように配置されることが好ましい。図2では、外カバー13の図示が省略されている。
【0016】
アンテナ30が形成される又は取り付けられる部位は、誘電体である内カバー14又は(不図示の)外カバー13でもよいし、内カバー14又は外カバー13に固定された不図示の誘電体基板でもよい。アンテナ30が誘電体基板に形成されることで、スポイラー18へのアンテナ30の取り付けが容易になる。誘電体基板には、プリント基板、フレキシブル基板などがある。
【0017】
アンテナ30のエレメントは、内カバー14に形成された孔20を通って、車体の金属部分12のアンテナ取り出し口12bに取り付けられた給電部16に接続される。また、アンテナ取り出し口12bを通りY軸方向と直交するZX平面を仮想平面12cとする。仮想平面12cについては、図4に示すアンテナ30において詳述する。
【0018】
図3は、一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する平面図であり、具体的には、車両の上方からの視点で示す図である。この例では、スポイラー18が車体に取り付けられた状態で水平面(この例では、XY平面)の法線方向(この例では、Z軸方向)から見ると、アンテナ30は、車体の金属部分12の端辺12aと交差する。金属部分12は、例えば、リフトゲート10の上部である。図2,3に示す例では、金属部分12は、窓ガラス11が取り付けられるフランジであり、端辺12aは、そのフランジ縁である。
【0019】
Z軸方向から見てアンテナ30と端辺12aとがこのように交差することで、Z軸方向から見たときに、アンテナ30の一部が金属部分12にZ軸方向で重複しない。これにより、アンテナ30の一部が金属部分12にZ軸方向で重複しない部分(幅Sの部分)を形成でき、アンテナ30の受信感度の低減を抑制できる。幅Sは、端辺12aからスポイラー18の端までのY軸方向の距離である。幅Sは、スポイラー18の車幅方向の幅である。なお、Z軸方向から見て、アンテナ30は、端辺12aと交差しなくてもよい。アンテナ30が端辺12aと交差しない形態として、アンテナ30の全体が金属部分12とZ軸方向で重複する形態と、アンテナ30の全体が金属部分12とZ軸方向で重複しない形態とがある。
【0020】
図4は、一実施形態におけるアンテナ装置の第1構成例を示す平面図である。正のY軸方向は、車両の後方に対応し、負のY軸方向は、車両の前方に対応し、X軸方向は、車幅方向に対応する。第1方向は、正のY軸方向、第2方向は、負のX軸方向に対応する。第2方向とは反対側の第3方向は、正のX軸方向に対応する。図4に示すアンテナ装置101は、第1周波数帯の電波および第2周波数帯の電波を受信可能に形成されたアンテナ30を備える。アンテナ30は、少なくともVHF帯以上の各周波数帯における周波数で共振するように形成されている。
【0021】
例えば、第1周波数帯および第2周波数帯は、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯である。この場合、第1周波数帯は、VHF帯に含まれるDAB Band IIIの帯域(例えば、170MHz~240MHz)に設定され、第2周波数帯は、VHF帯に含まれるFM放送波の帯域(例えば、76MHz~108MHz)に設定されてもよい。
【0022】
アンテナ30は、さらに、第3周波数帯の電波を受信可能に形成されてもよく、この場合、第3周波数帯における周波数で共振する。例えば、第3周波数帯は、300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯である。第3周波数帯は、UHF帯に含まれる地上デジタルテレビ放送波の帯域(例えば、470MHz~720MHz)に設定されてもよい。
【0023】
アンテナ30は、第1アンテナ素子40及び第2アンテナ素子50を有する。第1アンテナ素子40は、給電部16に電気的に接続される導体であり、第2アンテナ素子50は、給電部16に電気的に接続される導体である。第1アンテナ素子40は、第1エレメント41と第2エレメント42とを有し、第2アンテナ素子50は、第3エレメント51と第4エレメント52とを有する。なお、「電気的に接続される」とは、図4のように、第1アンテナ素子40及び第2アンテナ素子50が給電部16に導電的に直接接続される構成に限らず、容量結合等で高周波的に接続される構成を含む。
【0024】
給電部16は、第1給電部の一例であり、第1アンテナ素子40および第2アンテナ素子50に給電するための給電点である。給電部16の具体例として、コネクタ、電極などが挙げられる。
【0025】
第1エレメント41は、給電部16から端部41bまで延伸する間に第1方向に延伸する部分43を含む導体部である。この例では、第1エレメント41は、給電部16に接続される端部41aと、給電部16とは反対側の端部41bとを有し、端部41aと端部41bとの間に複数(図4の場合、2つ)の屈曲点a,bを含む折れ曲がり形状を有する。端部41bは、第1端部の一例である。なお、第1エレメント41は、給電部16から端部41bまで延伸する間に第1方向とは異なる方向(例えば、第1方向に対して45°傾斜した方向など)に直線的に又は湾曲して延伸する部分を含んでもよい。
【0026】
第2エレメント42は、端部41bから端部44bまで延伸する間に第1方向とは異なる第2方向に延伸する部分44を含む導体部である。この例では、第2エレメント42は、第1エレメント41と共有する端部41bと、端部41bとは反対側の端部44bとを有し、端部41bから端部44bまで第2方向に直線的に延伸する線分エレメントである。端部44bは、第2端部の一例である。なお、第2エレメント42は、端部41bから端部44bまで延伸する間に第2方向とは異なる方向(例えば、第2方向に対して45°傾斜した方向、又は第1方向など)に直線的に又は湾曲して延伸する部分を含んでもよい。
【0027】
第3エレメント51は、給電部16から端部51bまで延伸する間に第1方向に延伸する部分53を含む導体部である。この例では、第3エレメント51は、給電部16に接続される端部51aと、給電部16とは反対側の端部51bとを有し、端部51aと端部51bとの間に複数(図4の場合、2つ)の屈曲点c,dを含む折れ曲がり形状を有する。端部51bは、第3端部の一例である。なお、第3エレメント51は、給電部16から端部51bまで延伸する間に第1方向とは異なる方向(例えば、第1方向に対して45°傾斜した方向など)に直線的に又は湾曲して延伸する部分を含んでもよい。
【0028】
第4エレメント52は、端部51bから端部54bまで延伸する間に第2方向とは反対向きの第3方向に延伸する部分54を含む導体部である。この例では、第4エレメント52は、第3エレメント51と共有する端部51bと、端部51bとは反対側の端部54bとを有し、端部51bから端部54bまで第3方向に直線的に延伸する線分エレメントである。端部54bは、第4端部の一例である。なお、第4エレメント52は、端部51bから端部54bまで延伸する間に第3方向とは異なる方向(例えば、第3方向に対して45°傾斜した方向、又は第1方向など)に直線的に又は湾曲して延伸する部分を含んでもよい。
【0029】
屈曲点(この例では、屈曲点a,b,c,d)及び端部(この例では、端部41b,51b)は、図4のように直角に折れ曲がっている箇所に限られず、屈曲する前後で延伸する方向が変化する箇所であれば、例えば、湾曲した部分でもよい。
【0030】
第1アンテナ素子40と第2アンテナ素子50は、互いに物理的に接続されず、この例では、第1エレメント41の部分43と第3エレメント51の部分53とがX軸方向に互いに離れるように配置されている。第1アンテナ素子40と第2アンテナ素子50とを互いに接続せずに物理的に離して配置することで、アンテナ装置101は、アンテナ30によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。例えば、アンテナ装置101は、特許文献1に示すような略T字状のアンテナを備えるアンテナ装置に比べて、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を高感度に受信できる。
【0031】
また、給電部16から端部41bを経由して端部44bまでの第1エレメント長をL、給電部16から端部51bを経由して端部54bまでの第2エレメント長をLとする。Lは、給電部16から端部41bまでのエレメント長L41と、端部41bから端部44bまでのエレメント長L42との和である。Lは、給電部16から端部51bまでのエレメント長L51と、端部51bから端部54bまでのエレメント長L52との和である。LをLと異なる長さに設定することで、アンテナ装置101は、アンテナ30によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。
【0032】
図4に示す形態では、第2アンテナ素子50の第2エレメント長Lは、第1アンテナ素子40の第1エレメント長Lよりも長く設定されている。この場合、アンテナ装置101は、Lを有する第1アンテナ素子40によって、第1周波数帯の電波を高感度に受信でき、Lを有する第2アンテナ素子50によって、第1周波数帯よりも低い第2周波数帯の電波を高感度に受信できる。
【0033】
第2アンテナ素子50において、エレメント長L52は、エレメント長L51よりも長く設定されてもよい。このように設定されることで、アンテナ30は、第2アンテナ素子50が受信する電波の受信感度の低下を抑制できる。なお、エレメント長L52は、エレメント長L51以下でもよい。
【0034】
第1アンテナ素子40において、エレメント長L42は、エレメント長L41よりも長く設定されてもよい。このように設定されることで、アンテナ30は、第1アンテナ素子40が受信する電波の受信感度の低下を抑制できる。なお、エレメント長L42は、エレメント長L41以下でもよい。
【0035】
図4に示す例では、第1方向は、Z軸方向から見ると、車体の金属部分12から離れる方向である。アンテナ装置101が設置される車両部材が車体に取り付けられた状態で水平面の法線方向から見ると、第1エレメント41及び第3エレメント51は、金属部分12の端辺12aと交差する。このように交差させることで、アンテナ30の一部が金属部分12にZ軸方向で重複しないので、アンテナ30の受信感度の低減を抑制できる。
【0036】
第1エレメント41及び第3エレメント51は、給電部16における異なる接続点(具体的には、コネクタにおける端子)に接続されている。第1エレメント41は、端部41aで給電部16に接続され、第3エレメント51は、端部51aで給電部16に接続されている。第1エレメント41及び第3エレメント51を、互いに異なる接続点で共通の給電部16に接続するので、第1エレメント41と第3エレメント51をそれぞれ独立に共通の給電部16に接続できる。特に、第1エレメント41及び第3エレメント51がAV線等のワイヤから構成されている場合、第1エレメント41及び第3エレメント51を給電部16に接続する作業が容易になる。
【0037】
第1方向は、第2方向および第3方向と45°以上135°以下の範囲で交差すると、アンテナ装置101は、アンテナ30によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。図4に示す例では、第1方向は、第2方向および第3方向と略直交するので、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成でより高感度に受信できる。略直交には、直交する場合(90°で交差する場合)を含んでよい。この例では、第1方向は、正のY軸方向に平行で、第2方向は、負のX軸方向に平行で、第3方向は、正のX軸方向に平行である。
【0038】
第2方向と第3方向は、例えば、一本の仮想直線に沿った方向である。これにより、アンテナ装置101は、第2方向に延伸する部分44を含む第1アンテナ素子40と第3方向に延伸する部分54を含む第2アンテナ素子50によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。図4に示す例では、第2方向に延伸する部分44と第3方向に延伸する部分54は、X軸方向に平行な一本の仮想直線上にあるので、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成でより高感度に受信できる。
【0039】
例えば、アンテナ装置101が備えられる車両部材が車体に取り付けられた状態において、上記の一本の仮想直線は、水平面に平行な直線である。この場合、アンテナ装置101は、第2方向に延伸する部分44を含む第1アンテナ素子40と第3方向に延伸する部分54を含む第2アンテナ素子50によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成でより高感度に受信できる。
【0040】
第1エレメント41および第3エレメント51は、第1方向に平行な対称軸63に関して線対称であると、アンテナ装置101は、アンテナ30によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。図4に示す例では、第1エレメント41と第3エレメント51の各々の折れ曲がり形状は、2つの屈曲点を有し、互いに離れるように延伸するクランク形状である。
【0041】
第1エレメント41および第3エレメント51の一方または両方は、図4に示すような折れ曲がり形状を有さなくてもよく、例えば、第1方向に延伸する線分エレメントのみでもよい。この場合でも、アンテナ装置101は、アンテナ30によって、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。
【0042】
第1エレメント41と第3エレメント51との、第1方向に直交する方向(この例では、X軸方向)における間隔Wは、1mm以上250mm以下であると、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。間隔Wが1mm未満であると、第1エレメント41と第3エレメント51をそれぞれ覆う絶縁被覆が存在するスペースの確保が難しくなる。間隔Wが250mmを超えると、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を高感度に受信することが難しくなる。少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を高感度に受信する点で、間隔Wは、2mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましい。少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を高感度に受信する点で、間隔Wは、200mm以下が好ましく、160mm以下がより好ましい。
【0043】
第1アンテナ素子40の第1エレメント長をL、第1周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、第1アンテナ素子40の周辺媒質の波長短縮率をk、とする。このとき、第1エレメント長Lは、
(1/4)×λ×k ≦ L ≦(2/5)×λ×k
を満たす場合、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。
【0044】
例えば、第1周波数帯がDAB Band IIIの帯域(170MHz~240MHz)の場合、中心周波数205MHzにおける空気中の電波の波長λは、約1463mmである。第1アンテナ素子40の周辺媒質がエレメントの絶縁被覆(塩化ビニル)の場合、kは約0.8なので、第1エレメント長Lを約289mm以上約463mm以下に調整すると、DAB Band IIIの帯域の電波のアンテナ利得(受信感度)が向上する。
【0045】
好ましくは、第1エレメント長Lは、
(2/7)×λ×k ≦ L ≦(3/8)×λ×k
を満たす場合、第1周波数帯の電波を簡易な構成でより高感度に受信できる。
【0046】
第2アンテナ素子50の第2エレメント長をL、第2周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、第2アンテナ素子50の周辺媒質の波長短縮率をk、とする。このとき、第2エレメント長Lは、
(1/7)×λ×k ≦ L ≦(3/11)×λ×k
を満たす場合、少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。
【0047】
例えば、第2周波数帯がFM放送波の帯域(76MHz~108MHz)の場合、中心周波数92MHzにおける電波の空気中の波長λは、3261mmである。第2アンテナ素子50の周辺媒質がエレメントの絶縁被覆(塩化ビニル)の場合、kは約0.8なので、第2エレメント長Lを約370mm以上約703mm以下に調整すると、FM放送波の帯域の電波のアンテナ利得(受信感度)が向上する。
【0048】
好ましくは、第2エレメント長Lは、
(1/6)×λ×k ≦ L ≦(1/4)×λ×k
を満たす場合、第2周波数帯の電波を簡易な構成でより高感度に受信できる。
【0049】
また、金属部分12の表面に形成されたアンテナ取り出し口12b(給電部16)を通り第1方向に直交する仮想平面を仮想平面12cと定義する。仮想平面12cから、第1アンテナ素子40の第1方向の側の端までの距離をD、仮想平面12cから、第2アンテナ素子50の第1方向の側の端までの距離をDとする。このとき、距離D,Dは、いずれも、105mm以上であればよく、より好ましくは125mm以上であると、VHF帯に含まれる少なくとも2つの異なる周波数帯の電波を簡易な構成で高感度に受信できる。距離D,Dの最大値は特に限定されないが、距離D,Dは、いずれも、300mm以下であると、アンテナ30の大型化を抑制できる。
【0050】
第1アンテナ素子40及び第2アンテナ素子50は、プリント基板等の不図示の誘電体基板に形成される導体であると、アンテナ30を上述のスポイラー18等の車両部材に取り付ける作業が容易になる。また、部分44,54が延伸するX軸方向が車幅方向に対応するようにアンテナ30をスポイラー18に取り付けると、車幅方向を長手方向とするスポイラー18の余白スペースをアンテナ30の取り付けスペースとして有効活用できる。
【0051】
図5は、一実施形態におけるアンテナ装置の第2構成例を示す平面図である。第2構成例において、上記の第1構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略する。図5に示すアンテナ装置101Aは、給電部70と第3アンテナ素子71を更に備える点で、上記のアンテナ装置101と異なる。また、アンテナ30Aは、第1アンテナ素子40、第2アンテナ素子50及び第3アンテナ素子71を備える。
【0052】
給電部70は、第2給電部の一例であり、第3アンテナ素子71に給電するための給電点である。給電部70は、例えば、第3アンテナ素子71で受信した信号を増幅する不図示のアンプの入力端子に電気的に接続される。アンプにより増幅された信号は、車体に搭載される不図示の受信装置などに供給される。給電部70の具体例として、コネクタ、電極などが挙げられる。また、アンテナ装置101Aにおいて、給電部70は、給電部16近傍に配置されるとよい。図5に示すアンテナ装置101Aのように、給電部16と給電部70とが近い距離にあることで、これらの給電部16,70と、不図示のアンプの入力端子とを繋ぐ配線を容易に束ねられるなどの簡素化ができ、空間を有効利用できる点で好ましい。
【0053】
第3アンテナ素子71は、周波数が300kHz~3MHzのMF(Medium Frequency)帯に含まれるAM放送波を受信可能に形成された導体である。第3アンテナ素子71は、スポイラー18等の車両部材に内蔵されてもよいし、当該車両部材の外表面に設けられてもよい。第3アンテナ素子71は、例えば、線状に形成された導電性部材であり、導線、導電性塗料、金属棒、金属板などによって形成されてもよいし、絶縁材料で導体を被覆した被覆導体で構成されてもよい。第3アンテナ素子71は、給電部70に導電的に直接接続されてもよいし、容量結合等で高周波的に接続されてもよい。第3アンテナ素子71は、比較的大きな面積を占める導体であり、その形状は、特に限定されない。
【0054】
図6は、第2エレメント長Lを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図6の測定時において、アンテナ装置101(図4)の各部の寸法は、単位をmmとすると、
:410
41:180
42:230
:110
(L52):変化
51:180
:110
:40
,D:135
とした。
【0055】
図6によれば、部分54のエレメント長L52の調整により第2エレメント長Lを変化させた場合、FM放送波帯の平均アンテナ利得は、大きく変化したが、DABのBand III帯の平均アンテナ利得は、変化が少なかった。
【0056】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-11dB"以上の範囲は、
380mm ≦ L ≦ 680mm
となった。
【0057】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-10dB"以上の範囲は、
410mm ≦ L ≦ 630mm
となった。
【0058】
図7は、第1エレメント長Lを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図7の測定時において、アンテナ装置101(図4)の各部の寸法は、単位をmmとすると、
(L42):変化
41:180
:110
:590
51:180
52:410
:110
:40
,D:135
とした。
【0059】
図7によれば、部分44のエレメント長L42の調整により第1エレメント長Lを変化させた場合、DABのBand III帯の平均アンテナ利得は、大きく変化したが、FM放送波帯の平均アンテナ利得は、変化が少なかった。
【0060】
DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-14dB"以上の範囲は、
305mm ≦ L ≦ 455mm
となった。
【0061】
DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-13dB"以上の範囲は、
330mm ≦ L ≦ 430mm
となった。
【0062】
図8は、第1エレメント41と第3エレメント51との間隔Wを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図8の測定時において、アンテナ装置101(図4)の各部の寸法は、単位をmmとすると、
:410
41:180
42:230
:110
:590
51:180
52:410
:110
:変化
,D:135
とした。
【0063】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-11dB"以上で、且つ、DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-14dB"以上の範囲は、
2mm ≦ W ≦ 250mm
となった。
【0064】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-10dB"以上で、且つ、DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-13dB"以上の範囲は、
30mm ≦ W ≦ 160mm
となった。
【0065】
図9は、距離D,Dを変化させたときの、FM放送波の帯域とDABのBandIIIの帯域における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図9の測定時において、アンテナ装置101(図4)の各部の寸法は、単位をmmとすると、
:40
,D:同一値で変化
とし、それ以外の条件については図8の測定時と同じにした。
【0066】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-11dB"以上で、且つ、DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-14dB"以上の範囲は、
105mm ≦ D,D ≦ 300mm
となった。
【0067】
FM放送波を比較的高感度に受信できる閾値"-10dB"以上で、且つ、DAB Band IIIの電波を比較的高感度に受信できる閾値"-13dB"以上の範囲は、
125mm ≦ D,D ≦ 300mm
となった。
【0068】
図10は、一実施形態におけるアンテナ装置のUHF帯における平均アンテナ利得の測定結果の一例を示す。図10の測定時において、アンテナ装置101(図4)の各部の寸法は、単位をmmとすると、
:40
とし、それ以外の条件については図8の測定時と同じにした。アンテナ装置101は、UHF帯(特に、地上デジタルテレビ放送波の帯域)の受信にも、十分使用可能であることが確認できた。つまり、FM放送波、DAB Band IIIの放送波に加えて、地上デジタルテレビ放送波も十分に受信できた。なお、図10に示す測定結果は、地上デジタルテレビ放送波の帯域を470MHz~720MHzとした場合の、水平偏波における平均アンテナ利得である。
【0069】
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【0070】
例えば、本開示に係るアンテナ装置は、樹脂製の車両部材に設置される場合に限られるものではなく、例えば、電波を所望の感度で送受できれば、樹脂以外の誘電体の素材(例えば、ガラスなど)で形成された車両部材に設置されてもよい。また、アンテナ装置が設置される車両部材は、スポイラー等のエアロパーツに限られず、ドア、バンパー、ルーフ、ボンネット、窓ガラスなどの外装部品でもよい。
【0071】
また、第1アンテナ導体、第2アンテナ導体及び第3アンテナ導体は、XY平面上に平面的に配置される形態に限られず、Z軸方向の成分を含んでもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 リフトゲート
11 窓ガラス
12 金属部分
12a 端辺
12b アンテナ取り出し口
12c 仮想平面
13 外カバー
14 内カバー
16 給電部
17 ハイマウントストップランプ
18 スポイラー
20 孔
30,30A アンテナ
40 第1アンテナ素子
41 第1エレメント
42 第2エレメント
43,44 部分
50 第2アンテナ素子
51 第3エレメント
52 第4エレメント
53,54 部分
60 アンプ
61 ケーブル
63 対称軸
70 給電部
71 第3アンテナ素子
101,101A アンテナ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10