(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ブロー成形用ダイ及びそれを用いたブロー成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20240514BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/04
(21)【出願番号】P 2020111704
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊地 元三
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-289014(JP,A)
【文献】特開2009-143079(JP,A)
【文献】特開2011-195629(JP,A)
【文献】特開平04-329115(JP,A)
【文献】深田 和義, 武者 亨,中空成形におけるパリソン形成過程の実験的研究,成形加工,1990年02月20日,第2巻, 第1号,第80-87頁
【文献】Azizeh-Mitra Yousefi et al.,A Modeling Approach to the Effect of Resin Characteristics on Parison Formation in Extrusion Blow Molding,POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,2009年02月,Volume 49, Issue 2,Pages 251-263
【文献】Rosato et al.,Blow Molding Handbook,2nd revised Edition,2003年,Pages 184-191
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヘッドに取り付けられた外筒と、マンドレルの下端に取り付けられたコアを有し、当
該外筒とコアの間に熱可塑性樹脂が通過する環状流路を有し、ダイリップ面上に熱可塑性
樹脂が吐出される環状間隙を有するブロー成形用ダイであって、当該環状流路の少なくと
も一部の間隙が0.5~1.5mmであり、当該間隙の流路方向の長さが10~50mm
であり、当該環状間隙が環状流路の間隙と同等または広く、その直径が10~100mm
である、ブロー成形用ダイを有するブロー成型機を用い、パリソンの垂下速度が5~50mm/secであって、スウェルが1.3~2.5となることを特徴とす
るブロー成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ブロー成形用ダイのコア先端部がテーパー形状であることを特徴とする請求項1記載のブロー成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ブロー成形用ダイのコア先端部が逆テーパー形状であることを特徴とする請求項1記載のブロー成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形用ダイ及びそれを用いたブロー成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日用品や医療用等の容器として、合成樹脂(以下、樹脂)製のブロー成形品が生産されており、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートといった樹脂が広く使用されている。
【0003】
ブロー成形は、外筒とコアの隙間として形成される二重円筒状の間隙(以下、環状間隙)から押しだされる熱可塑性樹脂(以下、パリソン)を金型に挟み込んで空気を吹き込むことで成形体を得る成形方法である。
【0004】
ブロー成形においては、成形時にシャークスキンやメルトフラクチャーと呼ばれる成形体表面の荒れが発生し、製品の外観不良として問題になる場合がある。表面荒れの中でも、シャークスキンは、表面が周期的に細かく荒れるタイプの表面荒れとして知られており、高粘度の樹脂を使用した場合や高速で押出を行った場合に発生し易いことが知られている。シャークスキンの発生原因については、諸説あり、現在でも発生メカニズムの特定には至っていない。しかし、シャークスキンは、熱可塑性樹脂の吐出部、もしくはその近傍で発生しており、熱可塑性樹脂の滑り性が悪いと発生し易いこと、熱可塑性樹脂の吐出部にて熱可塑性樹脂が受ける剪断応力が高いほど発生し易いこと、更に溶融弾性の低い直鎖状の分子構造の樹脂、例えば、高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどでは、吐出部で受ける急激な伸長応力に耐えきれず局所的に溶融破断するため、発生し易いことが明らかとなっている。
【0005】
高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン製の容器の機械強度向上には、高分子量化が有効であるが、高分子量のポリエチレンは、溶融状態での粘度が高くなるため、上述の理由から成形時にシャークスキンが発生し易くなる。また、生産コスト低減に向けては、高速成形による生産性向上が望まれるが、押出速度が上がるため、成形時にシャークスキンが発生し易くなる。
【0006】
このような状況下で、ブロー成形用の外筒およびコアにメッキなどのコーティングを行うことにより、環状間隙での樹脂の滑り性を向上させシャークスキンを抑制する方法が公知である。また、パリソンに発生したシャークスキンを消去するために、パリソンを挟み込む金型の温度を高く設定する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。更には、樹脂の分子量や分子量分布などを特定の範囲することにより、機械強度を維持しつつ、成形時のシャークスキンを抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、樹脂に滑材を添加し、樹脂組成物の滑り性を向上させる方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-269864号公報
【文献】特開2009-138122号公報
【文献】特開平6-328549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、公知技術である外筒およびコアへのコーティングにおいては、耐久性のある金属メッキは、シャークスキン抑制効果に乏しく、シャークスキン抑制効果に優れるテフロン(登録商標)コーティングなどは耐久性に乏しいため、耐久性とシャークスキン抑制効果を高度に両立する方法が見出されていないのが現状である。また、上記特許文献1で提案されている方法は、本来、生産性向上のために冷却効果を高めるべき金型工程で加熱を行うため、生産性向上方法としては不向きである。また、上記特許文献2、3で提案されている方法においては、シャークスキン抑制のために低下させざるを得ない樹脂特性(例えば、耐衝撃性やクリーン性など)が生じてしまうことから、用途が限定されるなどの不具合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の要件を満足する形状のダイを使用して、ブロー成形を行うことにより、シャークスキンが発生しないブロー成形体を容易に得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。すなわち、本発明は、本発明の各態様は以下に示す[1]~[5]である。
[1]ダイヘッドに取り付けられた外筒と、マンドレルの下端に取り付けられたコアを有し、当該外筒とコアの間に熱可塑性樹脂が通過する環状流路を有し、ダイリップ面上に熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙を有するブロー成形用ダイであって、当該環状流路の少なくとも一部の間隙が0.5~1.5mmであり、当該間隙の流路方向の長さが10~50mmであり、当該環状間隙が環状流路の間隙と同等または広く、その直径が10~100mmである、ブロー成形用ダイ。
[2]コア先端部がテーパー形状であることを特徴とする[1]記載のブロー成形用ダイ。
[3]コア先端部が逆テーパー形状であることを特徴とする[1]記載のブロー成形用ダイ。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のブロー成形用ダイを有するブロー成型機を用いるブロー成形体の製造方法。
[5]パリソンの垂下速度が5~50mm/secであって、スウェルが1.3~2.5となることを特徴とする[4]に記載のブロー成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブロー成形用ダイを用いたブロー成形体の製造方法はブロー成形体表面の荒れが抑制可能であり、得られるブロー成形体は、食品用容器、医療用容器、および化粧品用容器等に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様であるブロー成形用ダイは、ダイヘッドに取り付けられた外筒とマンドレルの下端に取り付けられたコアを有し、当該外筒とコアの間に、熱可塑性樹脂が通過する、環状流路を有しダイリップ面上に熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙を有する。熱可塑性樹脂が通過する環状流路の少なくとも一部の間隙が0.5~1.5mmであり、当該間隙の流路方向の長さが10~50mmであり、好ましくは15~25mmである。環状流路の流路方向の長さが10mm未満では、成形機内部で受けた熱可塑性樹脂の変形応力が、ダイリップ面上の環状間隙から吐出される間に緩和しきらず、パリソンのスウェルが大きくなってしまう。また、50mmを超えると、熱可塑性樹脂の粘度に起因する圧力損失が非常に大きくなり、ダイヘッド上部の流路における樹脂圧力が機械上限を超えてしまう恐れがある。環状流路の少なくとも一部の間隙が0.5mm未満では、熱可塑性樹脂の粘度に起因する圧力損失が非常に大きくなり、ダイヘッド上部の流路における樹脂圧力が機械上限を超えてしまう恐れがある。また、1.5mmを超えると、成形機内部で受けた熱可塑性樹脂の変形応力が、ダイリップ面上の環状間隙から吐出される間に緩和しきらず、パリソンのスウェルが大きくなってしまう。また、熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙が、熱可塑性樹脂が通過する環状流路の間隙と同等又は広く、その直径が10~100mmである。熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙が、熱可塑性樹脂が通過する環状流路の間隙よりも小さい場合、パリソンがスウェルする時に生じる伸長変形の影響を強く受け、溶融破断によるシャークスキンが発生し易くなる。熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙の直径が10mm未満では、熱可塑性樹脂の粘度に起因する圧力損失が非常に大きくなり、ダイヘッド上部の流路における樹脂圧力が機械上限を超えてしまう恐れがある。100mmを超えると、前記ダイを使用して製造するブロー成形体の用途に対して、実用上限以上の大きさのブロー成形体しか得ることができない。
【0012】
本発明の一態様であるブロー成形用ダイは、組み合わせて使用するコア先端部がテーパー形状、または逆テーパー形状であることが好ましい。
【0013】
特定の環状流路を形成するダイを使用することによりシャークスキンが抑制される理由は、以下の通りである。
【0014】
一般的なブロー成形機には、パリソン制御機構が搭載されており、同機構により、成形中にパリソン厚みを変更することが可能である。具体的には、固定された外筒に対して、
図3に示すようなダイリップ面側の先端部(コア先端部)が、テーパー(ダイバージェンスタイプ)あるいは逆テーパー形状(コンバージェンスタイプ)のコアを機械的に上下動させることによりダイリップ面上の環状間隙を変動させ、パリソン厚みを変更させる仕組みのことをパリソン制御機構と呼んでいる。こうして、パリソン厚みが厚ければ、肉厚の成形体が得られ、パリソン厚みが薄ければ、薄肉の成形体が得られることとなる。
【0015】
パリソンが環状間隙から自由空間に押出された場合、パリソンの肉厚が、環状間隙の幅よりも厚くなる現象が生じる。この現象は、熱可塑性樹脂が粘弾性流体であるため起こる現象であり、一般的にスウェルと呼ばれている。このため、パリソン厚みは、スウェルによっても影響を受ける。基本的にスウェルは熱可塑性樹脂の一次構造に強く依存するが、同一樹脂を使用した場合のスウェルの大きさは、外筒、コアを組み合わせて形成される環状流路の形状に強く影響される。具体的には、成形機内部で受けた熱可塑性樹脂の変形応力が、ダイリップ面上の環状間隙から吐出される間に緩和される場合、スウェルは小さくなる。すなわち、吐出速度が非常に遅い、あるいは、ダイリップ面上の環状間隙から吐出されるまでの環状流路が狭くかつ長い流路であれば、熱可塑性樹脂が受けた変形応力が緩和されることでスウェルは小さくなる。ここで、同一樹脂を使用し、同一厚みの成形体を得ようと試みた場合、スウェルが小さくなるダイを使用すると、スウェルが大きくなるダイを使用する場合よりも間隙を広げてパリソン厚みを調整する必要が生じる。すなわち、ダイリップ面上の環状間隙を広げることにより、熱可塑性樹脂にかかる吐出部での剪断応力が低下する。前述のとおり、シャークスキンは、吐出部にて熱可塑性樹脂が受ける剪断応力が高いと発生することが明らかとなっていることから、スウェルが小さくなるように設計されたダイの使用により、シャークスキンが抑制されることが自明である。
【0016】
本発明の一態様であるブロー成形体の製造方法は、前記のブロー成形用ダイを有するブロー成形機を用いることを特徴とする。成形条件としては、パリソンの垂下速度が5~50mm/secであって、スウェルが1.3~2.5となる条件にて、ブロー成形体を製造することが好ましい。パリソンの垂下速度が5~50mm/secでパリソンを押出した際のパリソンのスウェルが1.3~2.5の範囲となるパリソンをブロー成形すると、スウェルが2.5を超えることが一般的なブロー成形ダイを使用するよりもダイリップ面上の環状間隙を広げて成形することが可能となり、シャークスキンがない平滑な表面のブロー成形体が得られるため、好ましい。
【0017】
また、ダイリップ面上の環状間隙から吐出される熱可塑性樹脂の剪断応力が80kPa~220kPaとなる条件にて、ブロー成形体を製造することが好ましい。ダイリップ面上の環状間隙から吐出される熱可塑性樹脂の剪断応力が80kPa~220kPaの範囲にてパリソンを押出し、ブロー成形すると、シャークスキンがない平滑な表面のブロー成形体が得られるため、好ましい。
【0018】
本発明の一態様であるブロー成形体の製造方法に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば、特に制限はないが、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリレートなどの非結晶性熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】
上記製造方法により得られるブロー成形体としては、容器として用いられるのであれば、特に制限はないが、液体を収容する収容部を備えた容器であって、例えば、収容部がポリエチレン系樹脂からなるものであることが好ましい。容器胴部の平均厚みは実用上0.2~1.0mmであり、好ましくは、0.3~0.9mmである。尚、ブロー成形の性質上、薄肉部と厚肉部ができてしまい、容器胴部の平均厚みに対して、容器底面の角などに0.1~0.5mm程度の偏肉が生じることがある。
【0020】
上記製造方法により得られるブロー成形体の用途としては、食品用容器、医療用容器、食品用容器、化粧品用容器等が挙げられる。食品用容器としては、各種飲料容器、濃縮飲料容器、調味料容器、惣菜容器、ドレッシング容器、マヨネーズ・ケチャップ容器、各種レトルト食品容器、哺乳瓶等が挙げられる。医療用容器としては、輸液製剤容器、アンプル製剤容器、キット製剤容器、点眼薬容器、等が挙げられる。食品用容器としては、各種飲料容器、濃縮飲料容器、調味料容器、惣菜容器、ドレッシング容器、マヨネーズ・ケチャップ容器、各種レトルト食品容器、哺乳瓶等が挙げられる。化粧品用容器としては、整髪料、毛髪料、香水、毛染剤、アイシャドー、マニキュア、ローション、クリーム、乳液、化粧水、パーマ液等の容器が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
~樹脂~
東ソー(株)製のポリエチレンFY31(MFR=1.0g/10分、密度=930kg/m3)を用いた。
~ブロー成形評価~
500ml角型ボトル用金型、及び40mmφの押出スクリュー、および外筒とコアを備えたダイレクト式ブロー成形機(タハラ社製)を用いて、上記樹脂を成形温度210℃、押出速度5~10kg/hの条件でダイリップ面上の環状間隙からパリソンを押出した。コアは、ダイリップ面が18mmΦのダイバージェンスタイプを固定して使用した。外筒は、ダイリップ面が20mmΦで、上記コアと組み合わせた際に、熱可塑性樹脂が通過する環状流路の流路方向の長さと間隙が変わるような数種類の外筒を使用した。押し出されたパリソンを金型で挟んで、容器胴部の平均厚みが0.3mmとなる500ml角型ボトルを成形した。尚、使用するダイおよび吐出量が異なるとパリソンのスウェルが変化し、パリソンの厚みも変化すること、またパリソンの自重によりパリソン垂下中に、パリソンの垂下方向(上下方向)にも偏肉が生じることから、成形ボトルの厚みを0.3mmにするため、一般的なブロー成形と同様に、成形機のパリソン制御機構を使用し、ダイリップ面上の熱可塑性樹脂が吐出する環状間隙(以下、ダイクリアランス)を変更しながら成形を行った。ブロー成形時のパリソンのスウェルと垂下速度、及び成形により得られたボトル胴部の表面粗さを評価した。以下に、実施例および比較例で用いた評価方法を示す。
【0022】
ダイリップ面が18mmΦのダイバージェンスコアとダイリップ面が20mmΦの外筒を使用するため、ダイリップ面上に熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙の直径は、20mmとなり、環状間隙の間隙は、最小0.5mmであり、パリソン制御機構により、任意に広くすることが可能である。
~スウェルの評価~
前述のブロー成形評価において、成形機のパリソン制御機構を使わず、ダイクリアランスを1.5mmに固定してパリソンを押出した際に、ダイリップ面から50mm垂下したパリソンをダイリップ面より切り取り、重量を測定した。得られたパリソン重量をもとに、下式よりスウェルを算出した。
【0023】
スウェル(-)= パリソン体積/理想体積
ここで、パリソン体積は、得られたパリソン重量を溶融パリソンの密度(750kg/m3)で除すことで算出した。理想体積は、外径20mm、内径18mm、高さ50mmの二重円筒の体積として算出した。
~垂下速度~、
前述のブロー成形評価において、容器胴部の平均厚みが0.3mmとなる500ml角型ボトルを成形する際に、パリソンがダイリップ面から50mm垂下するまでの時間を実測し、下式にて垂下速度を算出した。
【0024】
垂下速度(mm/sec)= 50(mm)/パリソンがダイリップ面から50mm垂下するまでの時間(sec)
~表面粗さの評価~
前述のブロー成形評価において、成形した容器胴部の平均厚みが0.3mmとなる500ml角型ボトルの容器胴部より10mm角の試験片を切り出した。試験片の表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製)にて画像解析し、線粗さ(Rz)を測定した。尚、Rzは、測定直線状の最高部と最低部の差であらわされることから、値が小さいほど表面粗さが小さく平滑性に優れていることを示す。
~実施例1~
前述のブロー成形評価において、環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が1.5mmとなるダイを使用し、押出速度5.0kg/hとして、スウェル及び垂下速度を評価した。結果を表1に示す。
~実施例2、3~
押出速度を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
~実施例4~
前述のブロー成形評価において、環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が1.5mmとなるダイを使用し、押出速度8.0kg/hで、容器胴部の平均厚みが0.25mmとなる500ml角型ボトルを成形した。成形により得られたボトル胴部の表面粗さを評価した。
~実施例5、6~
容器胴部の平均厚みを表2となるように変えた以外は、実施例4と同様に行った。
結果を表2に示す。
【0026】
【0027】
~比較例1~
ダイを環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が2.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
~比較例2、3~
押出速度を表3のように変えた以外は、比較例1と同様に行った。結果を表3に示す。
~比較例4~
ダイを環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が3.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
~比較例5、6~
押出速度を表3のように変えた以外は、比較例4と同様に行った。結果を表3に示す。
~比較例7~
ダイを環状流路の流路方向の長さが5mm、間隙が3.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
~比較例8~
ダイを環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が2.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例4と同様に行った。結果を表4に示す。
~比較例9、10~
容器胴部の平均厚みを表4となるように変えた以外は、比較例8と同様に行った。結果を表4に示す。
~比較例11~
ダイを環状流路の流路方向の長さが20mm、間隙が3.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例4と同様に行った。結果を表4に示す。
~比較例12、13~
容器胴部の平均厚みを表4となるように変えた以外は、比較例11と同様に行った。結果を表4に示す。
~比較例14~
ダイを環状流路の流路方向の長さが5mm、間隙が3.5mmとなるダイに変更した以外は、実施例4と同様に行った。結果を表4に示す。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】テーパー形状コアを用いたブロー成型用ダイを示す図である。
【
図4】テーパー形状コアが下がることによりダイリップ面上の環状間隙が広がることを示す図である。
【
図5】逆テーパー形状コアを用いたブロー成型用ダイを示す図である。
【
図6】逆テーパー形状コアが下がることによりダイリップ面上の環状間隙が狭まることを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 熱可塑性樹脂
2 押出機
3 ダイヘッド
4 マンドレル
5 コア
6 外筒
7 ダイ
8 熱可塑性樹脂が通過する環状流路
9 熱可塑性樹脂が吐出される環状間隙
10 ダイリップ面
11 環状流路の間隙
12 環状流路の流路方向の長さ
13 テーパー形状外筒
14 テーパー形状コア(ダイバージェンスタイプ)
15 ダイクリアランス
16 逆テーパー形状外筒
17 逆テーパー形状コア(コンバージェンスタイプ)