(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240514BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G15/20 505
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2020114314
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】足利谷 淳史
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070013(JP,A)
【文献】特開2005-240971(JP,A)
【文献】特開2014-232189(JP,A)
【文献】特開2016-109781(JP,A)
【文献】特開平09-078929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0140766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置基部と、前記装置基部に対して揺動回転可能に取り付けられた開閉体と、を少なくとも備え、
前記装置基部及び前記開閉体の一方に、前記開閉体の回転方向に沿った曲面に、複数の溝部が形成された曲面部材を有し、他方に、前記曲面部材の前記溝部と嵌合する嵌合部材を有し、
前記曲面部材に前記嵌合部材が嵌合することにより、前記装置基部と前記開閉体とが固定され、
前記開閉体は、装置内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間の前記複数の溝部に対応する複数の位置で前記装置基部に固定可能であ
り、
前記曲面部材は、前記嵌合部材と嵌合しない非嵌合部を有し、
前記開閉体が前記閉鎖位置にあるとき、前記嵌合部材は前記曲面部材の前記非嵌合部に位置することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記嵌合部材が、前記曲面部材と嵌合する位置と、前記曲面部材と嵌合しない位置との間で前記開閉体の回転軸方向にスライド移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記嵌合部材を前記曲面部材と嵌合する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記曲面部材が、前記嵌合部材と嵌合する位置と、前記嵌合部材と嵌合しない位置との間で前記開閉体の回転軸方向にスライド移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記曲面部材を前記嵌合部材と嵌合する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項6】
前記曲面部材が前記装置基部に設けられ、前記嵌合部材が前記開閉体に設けられていることを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記開閉体が、トナー画像定着後の被記録媒体を分離する分離部材を有する分離ユニットであることを特徴とする請求項1から
6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
画像形成装置に収容され、前記画像形成装置に対して引き出し可能に搭載された定着装置であって、
前記曲面部材に前記嵌合部材が嵌合した状態では、前記画像形成装置に収容されないことを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー画像を転写紙等の被記録媒体に定着するための定着装置を備えている。定着装置では、例えば、加熱された定着部材(定着ローラや定着ベルト)に加圧部材(加圧ローラ)が圧接することによりニップ部が形成され、該ニップ部を被記録媒体が通過することによって担持されたトナーが溶融し、被記録媒体上にトナー画像が定着される。
【0003】
定着装置は、故障時の他、使用状況に応じてメンテナンス作業や部材の交換作業の必要が発生する。例えば、用紙が搬送路の隙間に詰まったり、定着部材に巻き付いたりする等のジャムが発生した場合には、用紙を取り出すためのメンテナンス作業が必要となる。
このような作業は、ユーザやサービスマンの負荷やレイバーコストに影響し、コスト負担増につながるため、作業容易性を高める技術が種々提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1には、引き出し式の定着ユニットの位置決め精度を向上させるとともに、定着ユニット近傍でのジャム処理の作業性を向上させる画像形成装置として、定着ユニットを付勢部材で画像形成ユニットの方向に付勢し、引き出し部材を収納位置にスライド移動させて装置本体にロックした時に、定着ユニットを付勢部材の付勢力に抗して第2用紙搬送路若しくは画像形成ユニットに当て止めて直接的に位置決めできる構成が開示されている。
特許文献2には、メンテナンス性が高く、ジャム紙の除去性に優れた定着装置として、複数の分離爪を備えたブラケット部材が、分離爪を定着ベルトから離す方向に支点中心を中心として回動する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジャム処理時に定着装置(定着ユニット)を分割開閉可能な構成において、例えば、分離爪を備えた分離機構が上下に開閉する態様である場合、開閉動作時に分離機構を不用意に落下(閉鎖方向に移動)させてしまうことがある。分離機構には先端部が鋭利な分離爪が設けられているため、落下により定着部材の表面や作業者の手指を損傷させてしまうおそれがある。
特許文献2には、分離爪を離間させることにより、分離爪が定着ベルト表面に衝撃的に圧接するのを防止する技術が開示されているが、分離爪を備えたブラケット部材自体の落下を防止する技術は開示されていない。
【0006】
そこで本発明は、装置の内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間で揺動開閉可能な開閉体が、不用意に閉鎖方向へ落下するのを防止可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、装置基部と、前記装置基部に対して揺動回転可能に取り付けられた開閉体と、を少なくとも備え、前記装置基部及び前記開閉体の一方に、前記開閉体の回転方向に沿った曲面に、複数の溝部が形成された曲面部材を有し、他方に、前記曲面部材の前記溝部と嵌合する嵌合部材を有し、前記曲面部材に前記嵌合部材が嵌合することにより、前記装置基部と前記開閉体とが固定され、前記開閉体は、装置内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間の前記複数の溝部に対応する複数の位置で前記装置基部に固定可能であり、前記曲面部材は、前記嵌合部材と嵌合しない非嵌合部を有し、前記開閉体が前記閉鎖位置にあるとき、前記嵌合部材は前記曲面部材の前記非嵌合部に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置の内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間で揺動開閉可能な開閉体が、不用意に閉鎖方向へ落下するのを防止可能な定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】画像形成装置に搭載された定着装置を引き出した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る定着装置の外観の概略斜視図である。
【
図4】本発明に係る定着装置の外観の概略斜視図である。
【
図5】本発明に係る定着装置の嵌合部材及び曲面部材の一例を示す部分拡大図である。
【
図6】本発明に係る定着装置の分離ユニットの開閉を模式的に示す説明図である。
【
図7】本発明に係る定着装置の分離ユニットの開閉を模式的に示す説明図である。
【
図8】定着装置の挿入を規制する機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明に係る画像形成装置の一実施形態について
図1を参照して説明する。
図1は画像形成装置を示す概略構成図であり、具体的にはモノクロ画像を形成可能な複写印刷機である。また、PC接続によりプリンタとしても機能する。
【0012】
なお、本実施形態の画像形成装置は複写機であるため、スキャナとして機能する原稿読取部を有しているが、PCオンライン出力専用機、所謂プリンタバージョン等でコントローラを内蔵する場合は原稿読取部を省略しても良い。
【0013】
以下、本実施形態の画像形成装置の概略構成及び動作について説明する。
画像形成装置10は、照明装置、光学系及びCCDイメージセンサ等を内部に収めたスキャナユニット104を有する。
スキャナの上方には原稿自動読み取り装置(以下、「ADFユニット」という(ADF:Auto Document Feeder))103を設けている。ADFユニット103は原稿を自動搬送し、コンタクトガラスの読取面に原稿を送る。
【0014】
オペレータはスキャナユニット104上部のコンタクトガラス、またはADFユニット103に原稿をセットし、操作パネル101上の機能選択キーでモードを選択し、液晶画面の表示内容を確認しつつ、テンキーやファンクションキー等を操作して所望の画像形成条件を設定する。なお、画像形成装置は、オペレータに動作状況を示すコールライト100を備えている。
【0015】
スキャナユニット104で読み取られた画像信号は、SBU(Sensor Board Unit)にてA/D(Analog/Digital)変換された後、レーザ書き込みユニット112からのレーザ光として照射される。レーザ光はレーザ書き込みユニット112のシリンダレンズにより集光され、ポリゴンミラーにより主走査方向にライン走査され、感光体ドラム116上に静電潜像を形成する。
【0016】
現像ユニット113は、感光体ドラム116の周囲にクリーニングユニット114、帯電チャージャを備えている。感光体ドラム116上の帯電には、帯電チャージャ115が用いられる。
帯電チャージャ115には、PSU(Power Supply Unit)からリセプタクル、電極端子、導電性軸受け等を介して高電圧が印加される。
【0017】
トナー補給ユニット(トナーボトル)111から随時供給されるトナーと、予め現像ユニット113内に充填されていた現像剤は、内部の搬送スクリューにより攪拌混合されつつ現像ローラへと運ばれる。磁力により静電吸着しているトナーはマイナスに帯電している。
【0018】
現像ローラに担持された二成分現像剤は,現像ローラ下方に配設されたドクタブレードやケーシング等の現像剤穂立ち規制部材によって適量規制された後、その二成分中の摩擦帯電したトナーがバイアス電圧に依り感光体ドラム116上へと移動し、静電潜像に応じて選択的に付着する。
【0019】
現像ユニット113内部のトナー濃度は、底面位置に配置されたトナー濃度センサによってその帯電量から検出される。
転写後の感光体ドラム116上に残存する未転写のトナーは、クリーニングユニット114内に設けられたクリーニングブレードで掻き落とされ、廃トナーボトル125へと搬送、回収される。
【0020】
また、現像ユニット113の周囲には、トナー飛散を防止するためのマイラーやスポンジ状材料からなる入口シールが適宜設けられている。
【0021】
感光体ドラム116上のトナーで形成された顕像は、中間転写ベルトユニット105上に一旦転写される。
【0022】
用紙搬送部117により搬送されレジストローラ部を通過した転写紙は、中間転写ベルトユニット105と二次転写ユニット118のニップ間を通過する際、二次転写ローラからのプラス帯電により中間転写ベルトユニット105上のトナーが転写される。
【0023】
転写後の中間転写ベルトユニット105上に残存する未転写のトナーは、ベルトクリーニングユニット106内のクリーニングブレードで掻き落とされ、廃トナーボトル125へと搬送、回収される。
【0024】
転写ローラには、PSUからリセプタクル、電極端子、導電性軸受け等を介して高電圧が印加される。
印刷環境や転写紙の種類等に起因した変動を抑制するために、定電流制御されると共に、転写電流は給紙トレイ、転写紙サイズ及び紙厚等に応じて適宜切り替えが行われる。
【0025】
また、転写ローラに付着したトナーによって転写紙の裏汚れが生じるのを防止するために、所定のタイミングで転写ローラにマイナスバイアスを印加し、付着したトナーを中間転写ベルトユニット105に戻すようにすることができる。これにより、転写ローラがクリーニングされる。
【0026】
トナーが転写された転写紙は、定着装置(定着ユニット)11に搬送され、一定の温度と圧力を加えてトナー画像が用紙上に熱融着される。
定着装置11内の定着ローラには、サーミスタを設けて表面温度検出を行い、ヒータのON/OFF制御を行っている。サーミスタは、接触型であっても非接触型であってもよい。また、温度過昇防止の為に温度ヒューズが設けられている。
【0027】
本実施形態の定着装置11は、少なくとも定着部材、加熱手段、及び加圧部材を備える。
定着部材は、例えば、加熱ローラ49、定着ローラ48、および加熱ローラ49と定着ローラ48に張架される定着ベルト47を備える。
加圧部材(加圧ローラ)43は例えば、定着部材に当接して回転する中空の部材であり定着ベルト47との間にニップ部を形成する。ニップ部はカムにより加圧脱圧が制御されている。加圧部材43の内部には加熱部材を備えていてもよい。
なお、定着装置11のその他の構成については後述する。
【0028】
トナー画像が熱融着された転写紙は、定着分離板により加熱ローラ及び定着ベルトから分離された後、反転排紙ユニット109を経て、または設定条件に応じて両面印刷された後、排紙トレイ126に排出される。なお、後処理装置等が接続されている場合は、その接続された装置の転写紙入口へ搬送される。
また、画像形成装置は、本体移動用キャスタ127を備えている。
【0029】
本実施形態の画像形成装置10は、上述の構成及び動作により、電子写真方式による画像形成が行われる。
【0030】
次に、本発明に係る定着装置11の構成について
図2~
図4に基づき説明する。
本実施形態の定着装置11は、
図2に示すように、画像形成装置10内部のスライドレール12に載置され、画像形成装置10の外部へ引き出し可能に搭載されている。
画像形成装置10の停止後、定着装置11が十分に冷却されてからスライドレール12に載置された定着装置11を引き出す。そして、スライドレール12上から取り外した定着装置を作業スペース上に静置し、メンテナンス作業を開始する。
メンテナンス作業が終了した後は、定着装置11をスライドレール12に載置し、画像形成装置10内に収める。
【0031】
本実施形態の定着装置11は複数の構成部を備え、例えば、定着部材及び加熱手段を有する加熱ユニットと、定着部材に当接してニップ部を形成する加圧部材を有する加圧ユニットと、トナー画像定着後の用紙を分離する分離部材(例えば、分離爪など)を有する分離ユニットと、を備える。
以下、分離ユニットを「開閉体」と表し、分離ユニットが取付けられた加熱ユニット及び加圧ユニットからなる本体部を「装置基部」と表すことがある。
【0032】
スライドレール12から取り外された定着装置11の斜視図を
図3及び
図4に示す。
図3は分離ユニット13を完全に開放した状態を示した図であり、
図4は分離ユニット13を開放位置と閉鎖位置との間で固定した状態を示した図である。
【0033】
従来の定着装置では、開閉可能な分離ユニット(開閉体)13が自重で落下してしまわないよう、一般的に開閉補助部材25としてコイルバネ等を備え、その張力で開閉時の重量バランスを保っている。しかしながら、コイルバネの張力が不十分であると保持力も不足し、分離ユニット13が自重で落下してしまうことがある。分離ユニット13の不用意な落下は、作業効率を低下させるとともに、先端が鋭利になっている分離爪21によって定着部材の損傷やユーザの手指の負傷を招くおそれがある。同様に、コイルバネの張力が過剰であると、円滑な開閉動作が困難となり、作業効率の低下につながるおそれがある。
これに対し、本発明に係る定着装置は、
図3に示すように開放位置と閉鎖位置との間の所望の位置で分離ユニット13を固定させることができ、分離ユニット13の不用意な落下や移動を防止することができる。
【0034】
本発明に係る定着装置は、全重量の半分以上を占める装置基部14と、装置基部14に対して揺動回転可能に取り付けられた開閉体13と、を少なくとも備え、装置基部14及び開閉体13の一方に、開閉体13の回転方向に沿った曲面に、複数の溝部31が形成された曲面部材30を有し、他方に、曲面部材30の溝部31と嵌合する嵌合部材22を有し、曲面部材30に嵌合部材22が嵌合することにより、装置基部14と開閉体13とが固定され、開閉体13は、装置内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間の複数の溝部31に対応する複数の位置で装置基部14に固定可能である。
なお、曲面部材30は複数の溝部31を構成する山・谷形状の山の先端部分を結んだ面が曲面になる部分があればよく、曲面部材30の全体が曲面で形成される必要はない。
【0035】
なお、
図3及び
図4に示す本実施形態の定着装置11において、開閉体13は、トナー画像定着後の被記録媒体(用紙)24を分離する分離ユニットである。
また、本実施形態の定着装置11において、曲面部材30は装置基部14に設けられ、嵌合部材22は開閉体13に設けられている。
【0036】
嵌合部材22は、曲面部材30と嵌合する位置と、曲面部材30と嵌合しない位置との間で、開閉体13(分離ユニット)の回転軸方向(
図4中、矢印Dで示す方向)にスライド移動可能となっている。
【0037】
また、嵌合部材22は、曲面部材30と嵌合する方向に付勢する付勢部材26を有する。
【0038】
本実施形態の定着装置において、開閉体(分離ユニット)13を揺動回転させ、開閉するための動作は、嵌合部材22及び操作ノブ23を手動で動かすことにより行われる。
まず、付勢部材(コイルスプリング)26を押しつけつつ、左手で嵌合部材22を矢印Dの右方向へスライド移動させながら、右手で操作ノブ23を23aの位置に起こすことによりロックが解除され、開閉体(分離ユニット)13が開閉可能となる。
【0039】
スライド移動させて保持していた嵌合部材22を離すことにより、嵌合部材22は付勢部材26の付勢力により矢印Dの左方向へ戻る。これにより嵌合部材22は、曲面部材30の溝部31と嵌合し、嵌合した時点の位置において開閉体(分離ユニット)13が固定される。
嵌合部材22が曲面部材30の溝部31に対して嵌合する位置に応じて、開閉体(分離ユニット)13の固定位置も変化する。すなわち、開閉体(分離ユニット)13を揺動回転させ、溝部31に対応する所望の位置で嵌合部材22を曲面部材30の溝部31に嵌合させることにより、多段階に装置基部14に固定することができる。
【0040】
また、上述のように曲面部材30に対して嵌合部材22をスライド移動させる態様に限定されず、曲面部材30を
図5(A)に示すように嵌合部材22と嵌合する位置と、
図5(B)に示すように嵌合部材22と嵌合しない位置との間で開閉体13の回転軸方向(図中矢印D方向)にスライド移動可能とすることができる。
【0041】
この態様において、曲面部材30は嵌合部材22と嵌合する方向に付勢する圧縮スプリング等の付勢部材33を備えている。
図5(B)に示すように、曲面部材30を開閉体13の回転軸方向(図中矢印D)の右方向にスライド移動させることにより、嵌合部材22との嵌合が解除される。保持していた曲面部材30を離すことにより、付勢部材33の付勢力により
図5(A)に示すように嵌合部材22と嵌合する方向(図中矢印Dの左方向)に戻る。
【0042】
図6及び
図7は、開閉体(分離ユニット)13の開閉状態と、嵌合部材22及び曲面部材30の位置関係を模式的に示した説明図であり、
図6は被記録媒体の搬送方向正面の図であり、
図7は側面の図である。
図6(A)及び
図7(A)は開閉体(分離ユニット)13が閉鎖位置にて固定された状態、
図6(B)及び
図7(B)は開閉体(分離ユニット)13を開閉動作の途中で固定された状態、
図6(C)及び
図7(C)は開閉体(分離ユニット)13が完全に開放した位置にある状態を示した図である。
【0043】
図8は、開閉体(分離ユニット)13の状態に応じた嵌合部材22及び曲面部材30の模式図を示したものであり、それぞれ以下の状態を示している。
図8(A)は、開閉体(分離ユニット)13が閉鎖位置にあり、嵌合部材22は付勢部材26により曲面部材30の溝部31と嵌合する方向に付勢されている。
図8(A)に示すように、曲面部材30は、前記嵌合部材と嵌合しない非嵌合部32を有し、開閉体(分離ユニット)13が閉鎖位置にあるとき、嵌合部材22は曲面部材30の非嵌合部32に位置している。
【0044】
図8(B)は、開閉体(分離ユニット)13が開閉動作中の状態を示している。
図8(C)は、開閉体(分離ユニット)13の開閉動作の途中で固定された状態を示している。嵌合部材22は付勢部材26の付勢力により図中左方向へ戻り、曲面部材30の溝部31と嵌合することにより固定される。
図8(D)は、開閉体(分離ユニット)13が開放された状態を示している。
図8(D)において、嵌合部材22は曲面部材30の非嵌合部32に位置している。
【0045】
本実施形態の定着装置11は、上述のとおり画像形成装置10に対して引き出し可能に搭載された定着装置である。
図8(E)は、
図8(A)と同様に開閉体(分離ユニット)13が閉鎖位置にあり、この状態において誤挿入規制部材50とは干渉せず、画像形成装置10に収容される。
一方、
図8(F)は、
図8(C)と同様に、開閉体(分離ユニット)13の開閉動作の途中で固定された状態を示している。このように、嵌合部材22が曲面部材30の溝部31と嵌合した状態では、誤挿入規制部材50と干渉するため、画像形成装置10に収容されない。
【0046】
誤挿入規制部材50は、嵌合部材22が曲面部材30の溝部31と嵌合する位置、及び
図8(D)に示すように開閉体(分離ユニット)13が開放された状態で位置する曲面部材30の非嵌合部32にあるとき干渉する。
そのため、開閉体(分離ユニット)13が閉鎖位置に保持されている状態においてのみ、定着装置11を画像形成装置10に収容することができるため、誤って開閉体(分離ユニット)13を破損するなどの不具合の発生を回避することができる。
【0047】
上述のように、本発明に係る定着装置によれば、装置の内部を覆う閉鎖位置と開放する開位置との間で揺動開閉可能な開閉体(分離ユニット)が不用意に閉鎖方向へ落下するのを防止することができ、作業効率を低下させることがなく、ユーザやサービスマンの負荷やレイバーコストを低減し、定着部材の損傷やユーザの手指の負傷を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
11 定着装置
12 スライドレール
13 開閉体(分離ユニット)
14 装置基部
21 分離爪
22 嵌合部材
23 操作ノブ
24 用紙
25 付勢部材
26 開閉補助部材
30 曲面部材
31 溝部
43 加圧部材
47 定着ベルト
48 定着ローラ
50 誤挿入規制部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【文献】特開2007-171850公報
【文献】特開2005-352383号公報