(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/393 20060101AFI20240514BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240514BHJP
G06T 5/00 20240101ALI20240514BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H04N1/393
G06T7/00 300Z
G06T5/00
H04N1/407
(21)【出願番号】P 2020141055
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐也
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-106242(JP,A)
【文献】特開平05-233791(JP,A)
【文献】国際公開第01/097510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/393
G06T 7/00
G06T 5/00
H04N 1/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンマッチングによる解像度変換を行う画像処理装置において、
複数のグループに分けられており、パターンマッチングが成立した入力画素パターンの注目画素に対して、前記入力画素パターンに応じた解像度変換を前記グループそれぞれで行う複数のスムージング処理手段と、
前記入力画素パターンに対応する前記グループを識別するグループ識別手段と、
前記スムージング処理手段により前記グループそれぞれで行われた前記注目画素に対する解像度変換の出力画素パターンから、前記グループ識別手段が識別した前記グループの前記出力画素パターンを選択して出力する出力画素パターン選択手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記スムージング処理手段は、同一の前記グループで複数のパターンマッチングが成立しないように、何れかの前記グループに分けられていること
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記グループ識別手段は、前記グループを識別するために設定されたパターンと、前記入力画素パターンとにより、前記グループのパターンマッチングを行い、前記入力画素パターンに対応する前記グループの識別データを前記出力画素パターン選択手段に送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記スムージング処理手段は、前記複数のスムージング処理手段を前記グループに分けたことにより、前記グループそれぞれで設定可能な非参照画素に基づき、前記入力画素パターンの画素数が減少すること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
複数のグループに分けられており、パターンマッチングが成立した入力画素パターンの注目画素に対して、前記入力画素パターンに応じた解像度変換を前記グループそれぞれで行う複数のスムージング処理手段、
前記入力画素パターンに対応する前記グループを識別するグループ識別手段、
前記スムージング処理手段により前記グループそれぞれで行われた前記注目画素に対する解像度変換の出力画素パターンから、前記グループ識別手段が識別した前記グループの前記出力画素パターンを選択して出力する出力画素パターン選択手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、プリンタ機能を有する複写機、FAX等の画像処理装置では、2値画像の解像度変換実施時にスムージング処理を行うことがある。例えば、入力される2値画像データのパターンに応じて、決まった法則に従ってスムージング処理を行う画像処理装置では、スムージング処理を行うための補正パターンをユーザが外部から設定し、内部メモリに保存しておく構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスムージング処理では、より高画質にするためにパターンのサイズを拡大していくと、回路(論理ゲート)のファンイン数(1出力に対する入力数)が多くなり、回路規模が増大してしまうという問題があった。なお、特許文献1は上記の問題について解決するものではない。
【0004】
本発明の一実施形態は、パターンマッチングのサイズ拡大による回路規模の増大を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を達成するため、本発明の一実施形態は、パターンマッチングによる解像度変換を行う画像処理装置において、複数のグループに分けられており、パターンマッチングが成立した入力画素パターンの注目画素に対して、前記入力画素パターンに応じた解像度変換を前記グループそれぞれで行う複数のスムージング処理手段と、前記入力画素パターンに対応する前記グループを識別するグループ識別手段と、前記スムージング処理手段により前記グループそれぞれで行われた前記注目画素に対する解像度変換の出力画素パターンから、前記グループ識別手段が識別した前記グループの前記出力画素パターンを選択して出力する出力画素パターン選択手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、パターンマッチングのサイズ拡大による回路規模の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るMFPの一例のハードウェア構成図である。
【
図2】本実施形態に係るMFPの一例の機能構成図である。
【
図3】本実施形態に係るパターンマッチングによる解像度変換の一例の説明図である。
【
図4】スムージング部の処理の一例の説明図である。
【
図5】スムージング処理部の入力画素パターン及び出力画素パターンの一例の説明図である。
【
図6】グループマッチング部の処理の一例の説明図である。
【
図7】斜め線のスムージング処理の一例の説明図である。
【
図8】スムージング処理部に対応するパターンの一例の説明図である。
【
図9】グループマッチング部がパターンマッチング処理に用いるパターンの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態ではパターンマッチングによる解像度変換を行う画像処理装置の一例として、MFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)の例を説明するが、コピー機、プリンタ装置、ファクス装置など、パターンマッチングによる解像度変換を行う様々な画像処理装置への適用が可能である。
【0009】
<ハードウェア構成>
パターンマッチングによる解像度変換を行う画像処理装置の一例であるMFP900は例えば
図1に示すようなハードウェア構成により実現される。
図1は本実施形態に係るMFPの一例のハードウェア構成図である。MFP900は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有する。コントローラ910は、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0010】
CPU901は、MFP900の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジである。また、NB903は、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0011】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902aと、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとを有する。RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0012】
SB904はNB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908、及びMEM-C907を、それぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0013】
ASIC906は、PCIターゲットと、AGPマスタと、アービタ(ARB)と、メモリコントローラと、複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、PCIユニットと、を有する。アービタはASIC906の中核をなす。メモリコントローラはMEM-C907を制御する。DMACはハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う。PCIユニットはスキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行う。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしてもよい。
【0014】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。AGPバス921は、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0015】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。操作パネル940は、パネル表示部940a、及び操作パネル940bを備えている。パネル表示部940aは、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等である。操作パネル940bは濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる。
【0016】
コントローラ910は、MFP900全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0017】
なお、MFP900は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクス機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時には、ドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクス機能の選択時にはファクスモードとなる。
【0018】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0019】
なお、MFP900はICカードによる認証を利用する場合、ICカードリーダが内蔵又は外付けされる。MFP900はICカードに埋め込まれたRFタグからICカードに固有の識別情報を無線通信で読み取る。ICカードはスマートフォンなどのスマートデバイスが内蔵するものでもよい。また、MFP900はICカードリーダ以外を利用してもよく、生体認証装置(指紋、掌紋、虹彩、顔など)やバーコード読み取り装置等を利用してもよい。
【0020】
<機能構成>
本実施形態に係るMFP900は例えば
図2に示す機能構成により実現される。
図2は本実施形態に係るMFPの一例の機能構成図である。
図2の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。
【0021】
図2のMFP900は画像データ入力受付部10、入力画像データ記憶部20、入力画素パターン読出部30、グループ識別部40、スムージング部50、出力画素パターン選択部60、出力画素パターン書込部70、及び出力画像データ記憶部80を有する。MFP900は、例えばASIC設計及びプログラム作成により、
図2のような機能構成を実現する。
【0022】
画像データ入力受付部10は、パターンマッチングによる解像度変換を行う画像データの入力を受け付ける。入力画像データ記憶部20は、画像データ入力受付部10が入力を受け付けた画像データ(入力画像データ)を記憶する。
【0023】
入力画素パターン読出部30は、入力画像データ記憶部20に記憶されている入力画像データから入力画素パターンを読み出し、グループ識別部40、スムージング部50に提供する。入力画素パターン読出部30は、入力画像データの全ての画素を順番に着目画素として選択し、選択した着目画素と、その着目画素に隣接する参照画素と、を含む入力画素パターンを入力画像データから読み出す。
【0024】
グループ識別部40は入力画素パターン読出部30から提供された入力画素パターンに対応するグループを識別する。グループ識別部40は例えばグループマッチング部42を有する構成である。例えばグループマッチング部42は、グループを識別するために設定されているパターンを用いて入力画素パターンのパターンマッチングを行い、入力画素パターンに対応するグループを識別する。グループマッチング部42は識別したグループの識別データを出力画素パターン選択部60に提供する。グループマッチング部42が識別するグループの数は、スムージング部50のグループの数と等しくなる。
【0025】
スムージング部50は複数のスムージング処理部52a1、52a2、52b1、及び52b2を有する構成である。スムージング処理部52a1、52a2、52b1、及び52b2は、以下の説明においてスムージング処理部52と総称する場合がある。
【0026】
スムージング部50が有する複数のスムージング処理部52は、複数のグループに分けられている。
図2では複数のスムージング処理部52が「グループA」「グループB」に分けられた例を示しているが、3つ以上のグループに分けられてもよい。複数のスムージング処理部52は、スムージング処理部52ごとに設定されているパターンを用いて入力画素パターンのパターンマッチングを行う。パターンマッチングが成立したスムージング処理部52は入力画素パターンの注目画素に対して解像度変換を行い、出力画素パターンとして出力する。
【0027】
なお、スムージング処理部52は、同一のグループで複数のパターンマッチングが成立しないようにグループ分けされている。例えば
図2のスムージング部50では「グループA」にグループ分けされたスムージング処理部52a1及び52a2は、同一の入力画素パターンでパターンマッチングが成立しない。また、「グループB」にグループ分けされたスムージング処理部52b1及び52b2は、同一の入力画素パターンでパターンマッチングが成立しない。スムージング部50はスムージング処理部52のグループごとに注目画素に対する解像度変換の出力画素パターンを1つ、出力する。
【0028】
出力画素パターン選択部60はセレクタ部62を有する構成である。セレクタ部62はグループマッチング部42からグループの識別データを提供される。また、セレクタ部62はスムージング部50から出力されたグループごとの出力画素パターンを受信する。セレクタ部62は、受信したグループごとの出力画素パターンから、グループマッチング部42により識別されたグループの出力画素パターンを選択して出力する。
【0029】
例えばセレクタ部62はグループマッチング部42から「グループA」の識別データが提供されると、スムージング部50から受信した「グループA」及び「グループB」の出力画素パターンから「グループA」の出力画素パターンを選択して出力する。
【0030】
出力画素パターン書込部70は、セレクタ部62から出力された出力画素パターンに基づく画像データ(出力画像データ)を、出力画像データ記憶部80に書き込む。出力画像データ記憶部80は、出力画素パターン書込部70に書き込まれた、パターンマッチングによる解像度変換後の出力画像データを記憶する。
【0031】
<処理>
MFP900は、パターンマッチングによる解像度変換を例えば
図3~
図6に示すように行う。
図3は本実施形態に係るパターンマッチングによる解像度変換の一例の説明図である。
図4はスムージング部の処理の一例の説明図である。
図5はスムージング処理部の入力画素パターン及び出力画素パターンの一例の説明図である。
図6はグループマッチング部の処理の一例の説明図である。
【0032】
例えば
図3の入力(入力画素パターン)は、白黒の2値画像データである。
図3に示したように、入力画素パターンはグループマッチング部42、及びスムージング部50に提供される。
【0033】
グループマッチング部42は、供給された入力画素パターンに対して、例えば
図6に示す予め設定されたパターン1200とのパターンマッチングを行う。パターン1200はスムージング部50のグループを識別するために設定されている。例えばグループマッチング部42はスムージング部50のグループが3つ(パターンマッチングが成立しない場合のグループを含む)であれば、例えば
図6に示すようなパターン1200が設定される。このように、グループマッチング部42はスムージング部50のグループを識別できるようにパターンが設定される。
【0034】
パターンマッチングが成立した場合、グループマッチング部42は入力画素パターンとのパターンマッチングが成立したパターンに対応するグループを識別し、グループの識別データをセレクタ部62に提供する。例えば
図6の例では「グループA」を示している識別データ「1」と「グループB」を示している識別データ「2」のうち、「グループA」を示した識別データ「1」がセレクタ部62に提供される。なお、パターンマッチングが成立しなかった場合、グループマッチング部42はパターンマッチングが成立しなかった場合の「グループC」を示す識別データ「3」を、セレクタ部62に提供する。
【0035】
スムージング部50は、グループごとに入力された入力画素パターンに対して例えば
図4に示すようなスムージング処理を行い、解像度変換を行う。
図4は「グループA」にグループ分けされたスムージング処理部52ごとに設定されたパターン1000を用いて入力画素パターンのパターンマッチングを行う。また、「グループB」にグループ分けされたスムージング処理部52ごとに設定されたパターン1000を用いて入力画素パターンのパターンマッチングを行う。また、「グループC」にグループ分けされたスムージング処理部52ごとに設定されたパターン1000を用いて入力画素パターンのパターンマッチングを行う。
【0036】
パターンマッチングが成立したスムージング処理部52は、入力画素パターンの注目画素に対して例えば
図5に示すように、パターンマッチングが成立したパターン1000に対応する出力画素パターンを出力する。
図5の例は、注目画素を主副方向それぞれ2倍した場合である。
【0037】
例えば
図4において、スムージング部50はパターンマッチングが成立した「グループA」のパターン「A-1」に対応する出力画素パターンを出力する。また、スムージング部50は「グループB」のパターンマッチングが成立しなかった例である。スムージング部50は「グループB」の出力画素パターンとして、パターンマッチングが成立しない場合の出力画素パターンを出力している。また、スムージング部50はパターンマッチングが成立した「グループC」のパターン「C-1」に対応する出力画素パターンを出力する。
【0038】
図4及び
図5に示したスムージング部50は6つのスムージング処理部52が3つのグループが独立するように分けられている。スムージング部50は3つのグループそれぞれに対して入力画素パターンが入力され、それぞれのグループが出力画素パターンを出力する。なお、
図4及び
図5の例は一例である。スムージング部50のグループ及びパターンの数は
図4及び
図5の例に限定されない。
【0039】
図3に戻り、セレクタ部62はグループマッチング部42からグループの識別データを提供される。また、セレクタ部62はスムージング部50から出力されたグループごとの出力画素パターンを受信する。セレクタ部62はスムージング部50からグループごとに出力された出力画素パターンを、グループマッチング部42から提供されたグループの識別データに基づき、切り替えて出力する。
【0040】
例えば
図3~
図6の例では「グループA」を示した識別データ「1」がセレクタ部62に提供されるため、セレクタ部62から「グループA」の出力画素パターンが出力されることになる。
【0041】
例えばスムージング処理を論理演算による論理回路で実現する場合は、スムージング処理部52をグループ分けしなければ、パターン分の9画素の入力が必要となる。しかしながら、
図3~
図6に示したように、グループ分けを行った場合は、各グループで必ず「Don't care」となる画素(非参照画素)がある。非参照画素とは、マッチング処理において参照しない画素であり、パターンマッチングの成立/不成立の判定に影響を与えない画素である。
図5の例では非参照画素が2つあり、7画素の入力で十分となる。
【0042】
このように、本実施形態に係るMFP900はスムージング処理部52をグループ分けしたことで、回路単位のファンイン数を減らすことができる。また、本実施形態に係るMFP900はパターンマッチング処理のファンイン数を減らすことで論理演算子の数を減らすことができる。したがって、本実施形態に係るMFP900はパターンマッチングのサイズ拡大による回路規模の増大を抑えることができると共に、出力までの遅延を減らすことができる。
【0043】
また、本実施形態に係るMFP900は、
図7~
図9を用いて説明するように斜め線をスムージング処理する。
図7は斜め線のスムージング処理の一例の説明図である。
図8はスムージング処理部に対応するパターンの一例の説明図である。
図9はグループマッチング部がパターンマッチング処理に用いるパターンの一例の説明図である。
【0044】
図7では左が入力画像データ、右が出力画像データを示している。また、
図7は注目画素を主副方向それぞれ2倍した例である。なお、
図7に記載されたA1~A3、B1~B3、C1~C3、及びD1~D3は、スムージング処理部52のパターンマッチングが成立する注目画素を示している。A1~A3、B1~B3、C1~C3、及びD1~D3のアルファベットはスムージング処理部52のグループを示し、数字がグループ内におけるパターンを示す。
【0045】
図8は、
図7の場合のグループとパターンとを例示している。
図8に示したグループは線の方向に応じてグループ分けされている。
図9は、
図8の場合にグループマッチング部42がパターンマッチング処理に用いるパターンを例示している。
【0046】
図9の「グループA」に着目すると、パターン「A1」でパターンマッチングが成立した場合は、
図8の「グループA」のパターン「A1」又は「A2」のいずれかでパターンマッチングが成立することになり、パターンが絞られたことになる。
【0047】
角度が小さい斜め線になるほどスムージング処理で用いるパターンマッチングのウインドウサイズは大きくする必要があり、パターンの数も増加する。本実施形態に係るMFP900では線の方向に着目することでパターンをグループ分けできるようになる。本実施形態に係るMFP900では、パターンのグループ分けにより、グループあたりの入力画素パターンの画素数を減らすことができるため、論理演算子の数を減らして、出力までの遅延量を低減できる。
【0048】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0049】
また、本実施形態ではパターンマッチングによる解像度変換を行う画像処理装置の一例であるMFP900の例を説明したが、上記したパターンマッチングによる解像度変換の処理をPCなどの情報処理装置に実行させるプログラムに適用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
10 画像データ入力受付部
20 入力画像データ記憶部
30 入力画素パターン読出部
40 グループ識別部
42 グループマッチング部
50 スムージング部
52 スムージング処理部
60 出力画素パターン選択部
62 セレクタ部
70 出力画素パターン書込部
80 出力画像データ記憶部
900 MFP
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】