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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】物理量センサの固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20240514BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01K7/22 L
G01K7/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021002799
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022108023
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福地 圭介
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-044693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G01D 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を検出する検出部及び前記検出部に接続された複数のリード線を有する物理量センサを、前記複数のリード線がそれぞれ接続される複数の導電性支持部材に対し、前記物理量センサを保持する保持器によって固定する物理量センサの固定構造であって、
前記保持器は、前記物理量センサの少なくとも一部を収容する収容部が形成された本体部材と、前記収容部の少なくとも一部を覆う蓋部材とを有し、
前記本体部材には、前記検出部を収容する凹部と、前記複数のリード線のそれぞれの少なくとも一部を収容する複数の凹溝とが形成されており、前記凹部と前記複数の凹溝とが連通しており、
前記複数のリード線は、前記検出部とは反対側の先端部が前記複数の凹溝から前記保持器の外部に導出されており、
前記複数のリード線のそれぞれの前記先端部が前記保持器の外部で前記複数の導電性支持部材に接続されている、
物理量センサの固定構造。
【請求項2】
前記凹部及び前記複数の凹溝は、前記複数の導電性支持部材の並び方向に対して垂直な所定の方向に向かって開放されている、
請求項に記載の物理量センサの固定構造。
【請求項3】
前記本体部材には、前記複数の導電性支持部材のそれぞれの一端部が収容される複数の嵌合穴が形成されており、
前記複数の嵌合穴に前記複数の導電性支持部材が嵌合することで、前記本体部材が前記複数の導電性支持部材に固定されている、
請求項1又は2に記載の物理量センサの固定構造。
【請求項4】
物理量を検出する検出部及び前記検出部に接続された複数のリード線を有する物理量センサを、前記複数のリード線がそれぞれ接続される複数の導電性支持部材に対し、前記物理量センサを保持する保持器によって固定する物理量センサの固定構造であって、
前記保持器は、前記物理量センサの少なくとも一部を収容する収容部が形成された本体部材と、前記収容部の少なくとも一部を覆う蓋部材とを有し、
前記本体部材には、前記検出部を収容する凹部と、前記複数のリード線のそれぞれの少なくとも一部を収容する複数の凹溝とが形成されており、前記凹部と前記複数の凹溝とが連通しており、
前記本体部材には、前記複数の導電性支持部材のそれぞれの一端部が収容される複数の嵌合穴が形成されており、
前記複数の嵌合穴に前記複数の導電性支持部材が嵌合することで、前記本体部材が前記複数の導電性支持部材に固定されており、
前記本体部材は、前記複数のリード線がそれぞれ導出される前記複数の凹溝の端部と前記複数の嵌合穴とを区画する隔壁部を有する、
理量センサの固定構造。
【請求項5】
物理量を検出する検出部及び前記検出部に接続された複数のリード線を有する物理量センサを、前記複数のリード線がそれぞれ接続される複数の導電性支持部材に対し、前記物理量センサを保持する保持器によって固定する物理量センサの固定構造であって、
前記保持器は、前記物理量センサの少なくとも一部を収容する収容部が形成された本体部材と、前記収容部の少なくとも一部を覆う蓋部材とを有し、
前記本体部材には、前記検出部を収容する凹部と、前記複数のリード線のそれぞれの少なくとも一部を収容する複数の凹溝とが形成されており、前記凹部と前記複数の凹溝とが連通しており、
前記蓋部材は、前記複数の凹溝を覆い、
前記検出部は、前記凹部内で硬化性樹脂により固定されている、
理量センサの固定構造。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記複数の凹溝を覆う平板状の板部を有し、
前記本体部材には、前記板部を収容する凹所が形成されており、
前記複数の凹溝は、前記凹所の底面から窪むように形成されている、
請求項乃至の何れか1項に記載の物理量センサの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、種々の物理量を検出する物理量センサが搭載されている。例えば特許文献1には、内燃機関の吸気管内の温度や圧力を検出するための温度センサ一体型圧力センサ装置が記載されている。
【0003】
この温度センサ一体型圧力センサ装置は、圧力センサセル及び温度センサと、圧力センサ端子と、温度センサ端子と、これらを収容する樹脂製のケースとを備えている。ケースは、オーバーモールドの樹脂材とプリモールドの樹脂材とからなる。温度センサは、温度検出素子と、温度センサ端子に電気的に接続されるリード線を有しており、リード線がプリモールド内で温度センサ端子に接続されている。温度検出素子は、吸気管に流入して来た異物と衝突を防ぐためのガードの内側に配置され、リード線は、ガードの内側でプリモールドから導出されている。温度検出素子は、プリモールドから導出されたリード線により、ガードに非接触で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-180944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置では、温度センサの温度検出素子がリード線によって支持されているので、例えば内燃機関の振動により温度検出素子に振れが発生しやすく、センサ装置の取り付け位置等によっては耐久性への懸念が生じる。また、例えば温度センサにより電動モータや電線等の発熱部位の温度を検出する場合には、振動によって温度検出素子と発熱部位との間隔が変化することにより、温度の検出精度が低下してしまうおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は、物理量を検出する検出部及びリード線を有する物理量センサを、リード線が接続される導電性支持部材に対して支持剛性を高めて支持することが可能な物理量センサの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、物理量を検出する検出部及び前記検出部に接続された複数のリード線を有する物理量センサを、前記複数のリード線がそれぞれ接続される複数の導電性支持部材に対し、前記物理量センサを保持する保持器によって固定する物理量センサの固定構造であって、前記保持器は、前記物理量センサの少なくとも一部を収容する収容部が形成された本体部材と、前記収容部の一部を覆う蓋部材とを有する、物理量センサの固定構造を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る物理量センサの固定構造によれば、導電性支持部材に対する物理量センサの支持剛性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る物理量センサの固定構造が適用された保持器一体型物理量検出装置を示す斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】(a)及び(b)は、組み立て工程を示す斜視図である。
図4】(a)及び(b)は、物理量センサを保持する保持器の本体部材の正面図及び側面図である。
図5】(a)は、図4(a)のB-B線断面図、(b)は、図4(a)のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る物理量センサの固定構造が適用された保持器一体型物理量検出装置を示す斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3(a)及び(b)は、組み立て工程を示す斜視図である。図4(a)及び(b)は、物理量センサを保持する保持器の本体部材の正面図及び側面図である。図5(a)は、図4(a)のB-B線断面図、図5(b)は、図4(a)のC-C線断面図である。
【0011】
本実施の形態に係る物理量センサの固定構造は、物理量センサを保持器によって複数の導電性支持部材に対して固定するものである。また、本実施の形態では、一例として、物理量センサが温度を検出するサーミスタ1である場合について説明するが、物理量センサが例えば熱電対であってもよい。また、物理量センサとしては、温度を物理量として検出するものに限らず、例えば磁界の強度を検出する磁界センサであってもよい。
【0012】
サーミスタ1は、温度を検出する検出部10、及び検出部10に接続された複数のリード線11,12を有している。検出部10は、図2に示すように、平板状の金属酸化物焼結体100と、金属酸化物焼結体100を挟む一対の電極板101,102と、金属酸化物焼結体100及び一対の電極板101,102を封止する封止体103とを有して構成されている。封止体103は、例えばガラス封止材からなり、楕円球状に形成されている。ただし、封止体103の材質や形状はこれに限らず、適宜のものを用いることができる。
【0013】
サーミスタ1のリード線11,12は、例えば錫めっき銅線等の線状の良導電性金属からなり、それぞれの一端部が検出部10の一対の電極板101,102に接続されている。リード線11,12は、図3(a)に示すように、それぞれ4箇所の屈曲部111~114,121~124で屈曲されている。
【0014】
サーミスタ1は、樹脂製の保持器2に保持されている。保持器2は、サーミスタ1の少なくとも一部を収容する収容部30が形成された本体部材3と、収容部30の一部を覆う蓋部材4とを有し、全体として直方体状に形成されている。本体部材3及び蓋部材4は、それぞれ射出成形された樹脂からなる成形体である。なお、本体部材3の樹脂材料としては、熱伝導率が1W/m・K以上のものを用いることが好ましく、熱伝導率が3W/m・K以上のものを用いることがより好ましい。
【0015】
保持器2は、複数の導電性支持部材51,52に対し、サーミスタ1を固定している。複数の導電性支持部材51,52は、例えばコネクタの端子であるが、これに限らず、例えば制御装置等の電子機器のケースから一部が外部に突出したワイヤであってもよい。導電性支持部材51,52は、サーミスタ1のリード線11,12よりも断面積が大きい棒状の金属導体からなり、リード線11,12よりも高い剛性を有し、互いに平行に延在している。
【0016】
サーミスタ1のリード線11,12は、検出部10に接続された一端部とは反対側の他端部が導電性支持部材51,52にそれぞれ接続されている。リード線11,12は、例えば溶接によって導電性支持部材51,52に接続されるが、半田付け又は加締めによってリード線11,12を導電性支持部材51,52に接続してもよい。
【0017】
以下、リード線11,12のうち、一方のリード線11を第1のリード線11といい、他方のリード線12を第2のリード線12という。また、導電性支持部材51,52のうち、第1のリード線11に接続される導電性支持部材51を第1の導電性支持部材51といい、第2のリード線12に接続される導電性支持部材52を第2の導電性支持部材52という。
【0018】
本体部材3には、図4に示すように、検出部10を収容する凹部300と、第1のリード線11の少なくとも一部を収容する第1の凹溝301と、第2のリード線12の少なくとも一部を収容する第2の凹溝302と、第1の凹溝301と第2の凹溝302とを連通させる連通溝31とが形成されている。このうち、凹部300と第1及び第2の凹溝301,302とは、互いに連通して収容部30を構成している。なお、連通溝31は、本体部材3に形成されていなくともよい。
【0019】
凹部300は、図2及び図3(a)に示すように、検出部10の封止体103の外形に沿うように湾曲した半球状の底側部分300aと、底側部分300aよりも開口側の開口側部分300bとからなり、開口側部分300bが本体部材3の平坦な上面3aに開口している。底側部分300aと開口側部分300bとの境界部には段差面300cが形成されており、凹部300における開口側部分300bの内径は、段差面300cの内径(底側部分300aの最大内径)よりも大きく形成されている。
【0020】
本実施の形態では、第1及び第2の凹溝301,302が第1及び第2のリード線11,12のそれぞれの一部を収容しており、第1のリード線11と第1の導電性支持部材51、及び第2のリード線12と第2の導電性支持部材52が、保持器2の外部で接続されている。
【0021】
本体部材3には、図3(a)に示すように、第1の導電性支持部材51の一端部が収容される第1の嵌合穴321、及び第2の導電性支持部材52の一端部が収容される第2の嵌合穴322が形成されている。本体部材3は、第1及び第2の嵌合穴321,322に第1及び第2の導電性支持部材51,52が嵌合することで、第1及び第2の導電性支持部材51,52に固定されている。第1の導電性支持部材51には、第1の嵌合穴321からの抜け止めのための突起511,512が設けられている。また、第2の導電性支持部材52には、第2の嵌合穴322からの抜け止めのための突起521,522が設けられている。
【0022】
第1及び第2の嵌合穴321,322は、第1及び第2の導電性支持部材51,52の長手方向に対して垂直な本体部材3の側面3bに開口しており、第1及び第2の凹溝301,302も、この側面3bに開口している。第1及び第2のリード線11,12は、第1及び第2の導電性支持部材51,52に接続される先端部が、第1及び第2の凹溝301,302における側面3b側の端部から保持器2の外部に導出されている。本体部材3における第1及び第2の導電性支持部材51,52と第1及び第2の凹溝301,302との間の部分は、第1及び第2の導電性支持部材51,52と第1及び第2の凹溝301,302とを区画する隔壁部331,332となっている。
【0023】
収容部30(凹部300ならびに第1及び第2の凹溝301,302)は、保持器2の近傍における第1及び第2の導電性支持部材51,52の並び方向及び長手方向に対して垂直な所定の方向(図4(a)の紙面に垂直な手前方向)に向かって開放されている。収容部30に収容されたサーミスタ1の第1及び第2のリード線11,12は、蓋部材4によって第1及び第2の凹溝301,302から抜け止めされている。
【0024】
蓋部材4は、平板状の板部40と、板部40の長手方向(第1及び第2の導電性支持部材51,52の並び方向)の両端部から長手方向に対して垂直な方向に延出された一対の腕部41,42とを有している。板部40は、第1及び第2の凹溝301,302を覆っている。腕部41,42には、本体部材3への係止のための係止突起411,421がそれぞれ設けられている。
【0025】
本体部材3には、蓋部材4を収容する蓋部材収容部34が形成されている。蓋部材収容部34は、図5(b)に示すように、蓋部材4の板部40を収容する凹所340、及び腕部41,42をそれぞれ収容する溝部341,342からなる。溝部341,342には、係止突起411,421を係止する係止面341a,342aがそれぞれ形成されている。第1及び第2の凹溝301,302は、凹所340の底面340aから窪むように形成されている。なお、底面340aからの第1及び第2の凹溝301,302の深さは、第1及び第2のリード線11,12の太さよりも深く形成されている。第1及び第2の凹溝301,302に収容された第1及び第2のリード線11,12は、蓋部材4の板部40に接していてもよいが、接していなくともよい。
【0026】
サーミスタ1の検出部10は、凹部300内で硬化性樹脂20により本体部材3に固定されている。硬化性樹脂20としては、エポキシ樹脂を好適に用いることができ、特に熱伝導率が1W/m・K以上のエポキシ樹脂を用いることがより好ましい。なお、硬化性樹脂20の一部が第1及び第2の凹溝301,302に浸入していてもよく、凹所340の底面340aと蓋部材4の板部40との間に浸入していてもよい。
【0027】
次に、保持器2及びその周辺部の組み立て手順について説明する。この組み立て手順は、本体部材3の収容部30にサーミスタ1を収容する第1収容工程と、本体部材3の蓋部材収容部34に蓋部材4を収容する第2収容工程と、サーミスタ1の検出部10が収容された凹部300に硬化前の液状の硬化性樹脂20を注入する注入工程と、本体部材3の第1及び第2の嵌合穴321,322に第1及び第2の導電性支持部材51,52を嵌合する嵌合工程と、第1及び第2のリード線11,12を第1及び第2の導電性支持部材51,52に接続する接続工程とを有する。なお、これらの工程の順序としては、第1収容工程を第2収容工程及び注入工程よりも先に行うこと以外には特に制限はない。
【0028】
この組み立て手順により、サーミスタ1及び保持器2を備え、第1及び第2の導電性支持部材51,52に対してサーミスタ1が保持器2によって固定された保持器一体型物理量検出装置6が得られる。
【0029】
(実施の形態の効果)
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次に述べる効果が得られる。
【0030】
(1)サーミスタ1は、本体部材3の収容部30に収容され、収容部30の少なくとも一部が蓋部材4に覆われるので、サーミスタ1が収容部30から抜け止めされて保持器2に保持される。これにより、サーミスタ1の検出部10が第1及び第2のリード線11,12のみによって支持される場合に比較して、支持剛性を高めることが可能となる。
【0031】
(2)収容部30は、サーミスタ1の検出部10を収容する凹部300と第1及び第2のリード線11,12を収容する第1及び第2の凹溝301,302とを有しているので、サーミスタ1の保持を確実に行うことができる。
【0032】
(3)凹部300ならびに第1及び第2の凹溝301,302は、第1及び第2の導電性支持部材51,52の並び方向に対して垂直な所定の方向に向かって開放されているので、第1収容工程において本体部材3の収容部30にサーミスタ1を容易に収容できると共に、第1及び第2のリード線11,12を第1及び第2の導電性支持部材51,52のそれぞれに沿わせることができ、これらの接続が容易となる。
【0033】
(4)第1及び第2のリード線11,12は、検出部10とは反対側の先端部が第1及び第2の凹溝301,302から保持器2の外部に導出されて第1及び第2の導電性支持部材51,52に接続されるので、サーミスタ1を保持器2に保持した状態で第1及び第2のリード線11,12と第1及び第2の導電性支持部材51,52とを接続する作業を着実に行うことができる。
【0034】
(5)本体部材3の第1及び第2の嵌合穴321,322に第1及び第2の導電性支持部材51,52を嵌合することにより、本体部材3と第1及び第2の導電性支持部材51,52との固定を容易に行うことができる。
【0035】
(6)本体部材3が第1及び第2の凹溝301,302の端部と第1及び第2の嵌合穴321,322とを区画する隔壁部331,332を有することにより、第1及び第2の嵌合穴321,322に第1及び第2の導電性支持部材51,52を嵌合した際に、本体部材3に割れ等が発生することが防止される。
【0036】
(7)サーミスタ1の検出部10は、凹部300内で硬化性樹脂20によって固定されているので、検出部10を強固に本体部材3に固定することができる。また、凹部300は、検出部10の封止体103の外形に沿う底側部分300aと、底側部分300aよりも内径が大きい開口側部分300bとを有するので、底側部分300aによって検出部10の位置決めが確実になされると共に、段差面300cよりも開口側の部分における封止体103の周囲に硬化性樹脂20を確実に行き渡らせることができる。
【0037】
(8)蓋部材4は、第1及び第2の凹溝301,302を覆う平板状の板部40を有し、本体部材3には、板部40を収容する凹所340の底面340aから窪むように第1及び第2の凹溝301,302が形成されているので、蓋部材4による第1及び第2のリード線11,12の抜け止めを確実に行うことができる。
【0038】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0039】
[1]物理量を検出する検出部(10)及び前記検出部(10)に接続された複数のリード線(11,12)を有する物理量センサ(サーミスタ1)を、前記複数のリード線(11,12)がそれぞれ接続される複数の導電性支持部材(51,52)に対し、前記物理量センサ(1)を保持する保持器(2)によって固定する物理量センサ(1)の固定構造であって、前記保持器(2)は、前記物理量センサ(1)の少なくとも一部を収容する収容部(30)が形成された本体部材(3)と、前記収容部(30)の少なくとも一部を覆う蓋部材(4)とを有する、物理量センサの固定構造。
【0040】
[2]前記本体部材(3)には、前記検出部(10)を収容する凹部(300)と、前記複数のリード線(11,12)のそれぞれの少なくとも一部を収容する複数の凹溝(301,302)とが形成されており、前記凹部(300)と前記複数の凹溝(301,302)とが連通している、上記[1]に記載の物理量センサの固定構造。
【0041】
[3]前記凹部(300)及び前記複数の凹溝(301,302)は、前記複数の導電性支持部材(51,52)の並び方向に対して垂直な所定の方向に向かって開放されている、上記[2]に記載の物理量センサの固定構造。
【0042】
[4]前記複数のリード線(11,12)は、前記検出部(10)とは反対側の先端部が前記複数の凹溝(301,302)から前記保持器(2)の外部に導出されており、前記複数のリード線(11,12)のそれぞれの前記先端部が前記保持器(2)の外部で前記複数の導電性支持部材(51,52)に接続されている、上記[2]又は[3]に記載の物理量センサの固定構造。
【0043】
[5]前記本体部材(3)には、前記複数の導電性支持部材(51,52)のそれぞれの一端部が収容される複数の嵌合穴(321,322)が形成されており、前記複数の嵌合穴(321,322)に前記複数の導電性支持部材(51,52)が嵌合することで、前記本体部材(3)が前記複数の導電性支持部材(51,52)に固定されている、上記[2]乃至[4]に記載の物理量センサの固定構造。
【0044】
[6]前記本体部材(3)は、前記複数のリード線(11,12)がそれぞれ導出される前記複数の凹溝(31,32)の端部と前記複数の嵌合穴(321,322)とを区画する隔壁部(331,332)を有する、上記[5]に記載の物理量センサの固定構造。
【0045】
[7]前記蓋部材(4)は、前記複数の凹溝(301,302)を覆い、前記検出部(10)は、前記凹部(300)内で硬化性樹脂(20)により固定されている、上記[2]乃至[6]に記載の物理量センサの固定構造。
【0046】
[8]前記蓋部材(4)は、前記複数の凹溝(301,302)を覆う平板状の板部(40)を有し、本体部材(3)には、前記板部(40)を収容する凹所(340)が形成されており、前記複数の凹溝(301,302)は、前記凹所(340)の底面(340a)から窪むように形成されている、上記[2]乃至[7]に記載の物理量センサの固定構造。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0048】
1…サーミスタ(物理量センサ)
10…検出部
11,12…リード線
2…保持器
20…硬化性樹脂
3…本体部材
30…収容部
300…凹部
301,302…凹溝
321,322…嵌合穴
331,332…隔壁部
34…蓋部材収容部
340…凹所
340a…底面
4…蓋部材
40…板部
51,52…導電性支持部材
図1
図2
図3
図4
図5