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特許7487766噴射チャネルへの複数の流体経路を備えたプリントヘッド設計
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】噴射チャネルへの複数の流体経路を備えたプリントヘッド設計
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240514BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 603
B41J2/14 307
B41J2/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022198293
(22)【出願日】2022-12-13
(65)【公開番号】P2023117375
(43)【公開日】2023-08-23
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】17/669,350
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ヴォ
(72)【発明者】
【氏名】セザール ウルタード
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-079664(JP,A)
【文献】特開2015-131475(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056396(WO,A1)
【文献】特開2022-111742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴射チャネルと、
前記複数の噴射チャネルへ流体結合されるマニホールド装置と
を有し、
前記複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、
当該噴射チャネルと前記マニホールド装置との間の第1流体経路と、
当該噴射チャネルと前記マニホールド装置との間の第2流体経路と
を含み、当該噴射チャネルが、当該噴射チャネルの圧力チャンバで生成された圧力波により印刷流体を噴射するよう構成され、
前記第1流体経路及び前記第2流体経路の長さは、前記マニホールド装置への前記圧力波の到着時間が閾時間だけ異なるように閾長さだけ異なり、
前記閾時間及び/又は前記閾長さは、各噴射チャネルの共振周波数又はヘルムホルツ周波数に基づき決定され、前記閾時間は、各噴射チャネルの半共振周期若しくは該半共振周期の奇数倍又は半ヘルムホルツ周期である、
プリントヘッド。
【請求項2】
前記マニホールド装置は第1マニホールド及び第2マニホールドを有し、
前記第1流体経路は、前記第1マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記第2流体経路は、前記第2マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記マニホールド装置は、前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に配置された可とう性セパレータを更に有する、
請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記第1マニホールド及び前記第2マニホールドを流体結合する、前記可とう性セパレータにおける1つ以上のバイパスホールを更に有する、
請求項2に記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記バイパスホールのサイズは、前記可とう性セパレータの長手方向中心に向かって大きくなり、前記可とう性セパレータの端部に向かって小さくなる、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記バイパスホール間の距離は、前記可とう性セパレータの長手方向中心に向かって短くなり、前記可とう性セパレータの端部に向かって長くなる、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
前記第1マニホールドへ流体結合される単一の入口/出口(I/O)ポートと、
前記第2マニホールドへ流体結合される単一のI/Oポートと
を更に有し、
前記バイパスホールは、前記可とう性セパレータの端部近くに配置される、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項7】
前記第1マニホールドへ流体結合される単一の入口/出口(I/O)ポートと、
前記第2マニホールドへ流体結合される単一のI/Oポートと
を更に有し、
前記バイパスホールのサイズは、前記可とう性セパレータの端部に向かって大きくなり、前記可とう性セパレータの長手方向中心に向かって小さくなる、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項8】
前記第1マニホールドへ流体結合される単一の入口/出口(I/O)ポートと、
前記第2マニホールドへ流体結合される単一のI/Oポートと
を更に有し、
前記バイパスホール間の距離は、前記可とう性セパレータの端部に向かって短くなり、前記可とう性セパレータの長手方向中心に向かって長くなる、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項9】
前記可とう性セパレータはフィルタを有する、
請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項10】
前記プリントヘッドは、
筐体と、
前記複数の噴射チャネルを形成する前記筐体のインターフェース面に取り付けられたプレートスタックと
を更に有し、
前記複数の噴射チャネルは夫々がノズルと、前記圧力チャンバと、アクチュエータに接触しているダイヤフラムとを含み、
前記プレートスタックは、前記複数の噴射チャネルのダイヤフラムを形成するダイヤフラムプレートを含み、
前記ダイヤフラムプレートは、前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に配置された前記可とう性セパレータを有する、
請求項2に記載のプリントヘッド。
【請求項11】
前記マニホールド装置は第1マニホールド及び第2マニホールドを有し、
前記第1流体経路は、前記第1マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記第2流体経路は、前記第2マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記マニホールド装置は、前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に配置された剛性セパレータと、前記第1マニホールド及び前記第2マニホールドを流体結合する、前記剛性セパレータにおける1つ以上のバイパスホールとを更に有する、
請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項12】
少なくとも1つの、請求項1に記載のプリントヘッドを有する、
噴射装置。
【請求項13】
印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルを有するプリントヘッドの作動方法であって、
前記複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、
マニホールド装置と当該噴射チャネルとの間で第1流体経路を介して前記印刷流体を運ぶことと、
前記マニホールド装置と当該噴射チャネルとの間で第2流体経路を介して前記印刷流体を運ぶことと、
当該噴射チャネルの圧力チャンバで、前記第1流体経路及び前記第2流体経路に沿って伝播する圧力波を生成することと、
前記第1流体経路及び前記第2流体経路の長さが閾長さだけ異なることにより、前記マニホールド装置への前記圧力波の到着時間を閾時間だけ異ならせることと
を有し、
前記閾時間及び/又は前記閾長さは、各噴射チャネルの共振周波数又はヘルムホルツ周波数に基づき決定され、前記閾時間は、各噴射チャネルの半共振周期若しくは該半共振周期の奇数倍又は半ヘルムホルツ周期である、方法。
【請求項14】
前記マニホールド装置は第1マニホールド及び第2マニホールドを有し、
前記第1流体経路は、前記第1マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記第2流体経路は、前記第2マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記方法は、
前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間の圧力波連通を、前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に配置された可とう性セパレータにより提供することを更に有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マニホールド装置は第1マニホールド及び第2マニホールドを有し、
前記第1流体経路は、前記第1マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記第2流体経路は、前記第2マニホールドと当該噴射チャネルとの間にあり、
前記方法は、
前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間の圧力波連通を、前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に配置された1つ以上のバイパスホールにより提供することを更に有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルと、該複数の噴射チャネルへ流体結合されるマニホールド装置とを有するプリントヘッドのための設計ツールであって、
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを有し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記設計ツールに、
前記マニホールド装置と、圧力波に基づき噴射するよう構成される圧力チャンバを備える噴射チャネルとの間に第1流体経路を設計させ、
前記マニホールド装置と前記噴射チャネルとの間に第2流体経路を設計させ、
前記第1流体経路に沿って伝播して前記マニホールド装置に到着する前記圧力波と、前記第2流体経路に沿って伝播して前記マニホールド装置に到着する前記圧力波との目標到着時間差を選択させ、
前記マニホールド装置への前記圧力波の前記目標到着時間差をもたらす閾長さによる前記第1流体経路と前記第2流体経路との間の長さの差を選択させ、
前記閾長さに基づき前記複数の噴射チャネルの前記第1流体経路及び前記第2流体経路を構成させ、
前記目標到着時間差及び/又は前記閾長さは、各噴射チャネルの共振周波数又はヘルムホルツ周波数に基づき決定され、前記目標到着時間差は、各噴射チャネルの半共振周期若しくは該半共振周期の奇数倍又は半ヘルムホルツ周期である、
設計ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、画像形成の分野に、特に、プリントヘッド及びプリントヘッドの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成は、インク又は他のタイプの印刷流体の液滴を紙、プラスチック、3D印刷用基板、などの媒体上に発射することでデジタル画像が再現されるプロシージャである。画像形成は、プリンタ(例えば、インクジェットプリンタ)、ファクシミリ機、コピー機、印刷機、多機能周辺機器、などの装置で広く用いられている。典型的な噴射装置又は画像形成装置の中核は、液滴を吐出するノズルと、プリントヘッド及び/又は媒体を互いに対して動かすメカニズムと、どのように液滴がプリントヘッドの個々のノズルからピクセルの形で媒体上に吐出されるかを制御するコントローラとを備えている1つ以上の液滴吐出ヘッド(一般的に本願では「プリントヘッド」と呼ばれる。)である。
【0003】
典型的なプリントヘッドは、プリントヘッドの吐出面に沿って1つ以上の行で整列された複数のノズルを含む。各ノズルは、ノズルと、圧力チャンバと、圧電アクチュエータのようなアクチュエータに応答して振動するダイヤフラムとを含む「噴射チャネル」の部分である。プリントヘッドはまた、画像又は印刷データに基づきいつ各個別的な噴射チャネルが発射するかを制御するドライバ回路も含む。噴射チャネルから噴射するために、ドライバ回路は噴射パルスをアクチュエータに供給し、これにより、アクチュエータは圧力チャンバの壁(つまり、ダイヤフラム)を変形させる。圧力チャンバの変形は、ノズルから印刷流体(例えば、インク)の液滴を吐出する圧力を圧力チャンバ内で生み出す。
【0004】
プリントヘッド内の複数の噴射チャネルは、マニホールドと呼ばれる、印刷流体を運ぶ共通の流体経路へ、流体結合されている。プリントヘッド内で発生する1つの問題は、圧力波が噴射チャネルから逃げてマニホールドに沿って伝わる可能性があることである。マニホールド内の圧力波は、個々の噴射チャネルでの噴射に影響を及ぼす可能性があり、その結果、噴射が不安定になる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で記載される実施形態は、マニホールド装置と噴射チャネルとの間に複数の流体経路を備えているプリントヘッド及びプリントヘッドの設計を提供する。噴射チャネルから逃げる圧力波は、異なる流体経路に沿ってマニホールド装置に向かって逆方向に伝播する。流体経路は、マニホールド装置への圧力波の到着時間が閾時間だけ異なるように流体経路の長さの間に閾長さだけ差があるように、設計される。1つの利点は、異なる時点で到着する圧力波がマニホールド装置内で少なくとも部分的に互いを相殺することができることである。これは、噴射の一貫性及び性能の改善をもたらし得る。
【0006】
一実施形態は、複数の噴射チャネルと、複数の噴射チャネルへ流体結合されるマニホールド装置とを有するプリントヘッドを有する。複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、プリントヘッドは、噴射チャネルとマニホールド装置との間の第1流体経路と、噴射チャネルとマニホールド装置との間の第2流体経路とを含む。噴射チャネルが、噴射チャネルの圧力チャンバで生成された圧力波により印刷流体を噴射するよう構成される。第1流体経路及び第2流体経路の長さは、マニホールド装置への圧力波の到着時間が閾時間だけ異なるように閾長さだけ異なる。
【0007】
一実施形態は、印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルを有するプリントヘッドの作動方法を有する。複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、方法は、マニホールド装置と噴射チャネルとの間で第1流体経路を介して印刷流体を運ぶことと、マニホールド装置と噴射チャネルとの間で第2流体経路を介して印刷流体を運ぶことと、噴射チャネルの圧力チャンバで、第1流体経路及び第2流体経路に沿って伝播する圧力波を生成することと、第1流体経路及び第2流体経路の長さが閾長さだけ異なることにより、マニホールド装置への圧力波の到着時間を閾時間だけ異ならせることとを有する。
【0008】
一実施形態は、印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルと、複数の噴射チャネルへ流体結合されるマニホールド装置とを有するプリントヘッドのための設計ツールを有する。設計ツールは、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを有し、プロセッサは、設計ツールに、マニホールド装置と、圧力波に基づき噴射するよう構成される圧力チャンバを備える噴射チャネルとの間に第1流体経路を設計させ、マニホールド装置と噴射チャネルとの間に第2流体経路を設計させ、第1流体経路に沿って伝播してマニホールド装置に到着する圧力波と、第2流体経路に沿って伝播してマニホールド装置に到着する圧力波との目標到着時間差を選択させる。プロセッサは更に、設計ツールに、マニホールド装置への圧力波の目標到着時間差をもたらす閾長さによる第1流体経路と第2流体経路との間の長さの差を選択させ、閾長さに基づき複数の噴射チャネルの第1流体経路及び第2流体経路を構成させる。
【0009】
一実施形態は、印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルを有するプリントヘッドを非循環モードで作動させる方法を有する。複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、方法は、マニホールドから噴射チャネルへ第1流体経路を介して印刷流体を運ぶことと、マニホールドから噴射チャネルへ第2流体経路を介して印刷流体を運ぶことと、噴射チャネルの圧力チャンバで、第1流体経路及び第2流体経路に沿って伝播する圧力波を生成することと、第1流体経路及び第2流体経路の長さが閾長さだけ異なることにより、マニホールドへの圧力波の到着時間を閾時間だけ異ならせることとを有する。
【0010】
一実施形態は、印刷流体を噴射するよう構成される複数の噴射チャネルを有するプリントヘッドを循環モードで作動させる方法を有する。複数の噴射チャネルの噴射チャネルごとに、方法は、第1マニホールドから噴射チャネルへ第1流体経路を介して印刷流体を運ぶことと、噴射チャネルから第2マニホールドへ第2流体経路を介して非噴射印刷流体を運ぶことと、噴射チャネルの圧力チャンバで、第1流体経路及び第2流体経路に沿って伝播する圧力波を生成することと、第1流体経路及び第2流体経路の長さが閾長さだけ異なることにより、第1マニホールド及び第2マニホールドへの圧力波の到着時間を閾時間だけ異ならせることとを有する。
【0011】
上記の概要は、明細書のいくつかの態様の基本的な理解をもたらす。この概要は、明細書の広範な概要ではない。明細書の重要な又は必須の要素を識別することも、明細書の特定の実施形態の任意の範囲又は特許請求の範囲の任意の範囲を定めることも意図しない。その唯一の目的は、後述される詳細な説明の前置きとして、簡単な形で明細書のいくつかの概念を提示することである。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態が、これより、単なる一例として、添付の図面を参照して記載される。同じ参照番号は、全ての図面で同じ要素又は同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実例となる実施形態における噴射装置の概略図である。
図2】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの斜視図である。
図3】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの斜視図である。
図4】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの断面図である。
図5】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の他の断面図である。
図6】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図7】実例となる実施形態におけるマニホールド装置及び噴射チャネルの概略図である。
図8】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの作動方法を示すフローチャートである。
図9】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図10】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図11】実例となる実施形態におけるマニホールド及び噴射チャネルの概略図である。
図12】実例となる実施形態における非循環モードでのプリントヘッドの作動方法を示すフローチャートである。
図13】実例となる実施形態におけるプリントヘッドのヘッド部材の分解斜視図を示す。
図14】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図15】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図16】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図17】実例となる実施形態におけるマニホールド及び噴射チャネルの概略図である。
図18】実例となる実施形態における循環モードでのプリントヘッドの作動方法を示すフローチャートである。
図19】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図20】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図21】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図22】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図23】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図24】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図25】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図26】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図27】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図28】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図29】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの概略図である。
図30】実例となる実施形態におけるプリントヘッドのヘッド部材の分解斜視図を示す。
図31】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図32】実例となる実施形態におけるプリントヘッドのヘッド部材の分解斜視図を示す。
図33】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図34】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの部分の断面図である。
図35】実例となる実施形態におけるプリントヘッドのための設計ツールの概略図である。
図36】実例となる実施形態におけるプリントヘッドの設計方法を示すフローチャートである。
図37】実例となる実施形態において、設計された機能を実行するためのプログラムされた命令を具現化するコンピュータ可読媒体を実行するよう動作可能なプロセッシングシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図及び以下の説明は、具体的な例示的実施形態について記載する。よって、当業者あれば、明細書中に明示的に記載又は図示されていないとしても、実施形態の原理を具現化しかつ実施形態の範囲内に含まれる様々な配置を想到可能である、ことが理解されるだろう。更に、本明細書で記載される如何なる例も、実施形態の原理を理解するのに役立つよう意図され、そのような具体的に挙げられている例及び条件に限定するものではないと理解されるべきである。結果として、発明の概念は、以下で記載されている具体的な実施形態又は例に制限されず、特許請求の範囲及びそれらの均等によって画定される。
【0015】
図1は、実例となる実施形態における噴射装置100の概略図である。噴射装置100は、印刷流体又はマーキング材を媒体上に吐出するために1つ以上のプリントヘッドを使用するデバイス又はシステムである。噴射装置100の一例は、シングルパス(single-pass)印刷を実行するインクジェットプリンタ(例えば、カットシート又は連続休止プリンタ)である。噴射装置100の他の例には、スキャンパス(scan pass)インクジェットプリンタ(例えば、ワイドフォーマットプリンタ)、多機能プリンタ、デスクトッププリンタ、産業用プリンタ、3Dプリンタ、などがある。一般に、噴射装置100は、媒体112に対して1つ以上のプリントヘッド104を支持するマウントメカニズム102を含む。マウントメカニズム102は、シングルパス印刷の場合に噴射装置100内に固定され得る。代替的に、マウントメカニズム102は、マルチパス(multi-pass)印刷の場合に、スキャンライン又はサブスキャン方向に沿って前後に往復運動するキャリッジアセンブリに配置され得る。プリントヘッド104は、複数のノズル(図1に図示せず。)を通ってインク(例えば、水、溶媒、油、又はUV硬化性)などの印刷流体の液滴106を吐出するよう構成されるデバイス、装置、又はコンポーネントである。プリントヘッド104の液滴から吐出された液滴は、媒体112の方に方向付けられる。媒体112は、インク又は他のマーキング材がプリントヘッドによって塗布されるあらゆるタイプの材料、例えば、紙、プラスチック、カード用紙、透明シート、3D印刷用基板、衣服、などを有する。通常、プリントヘッド104のノズルは、プリントヘッド104及び/又は媒体112が互いに対して動かされる場合にノズルからの印刷流体の吐出が媒体112での文字、符号、画像、オブジェクトのレイヤ、などの形成をもたらすように、1つ以上の行において配置される。噴射装置100は、媒体輸送メカニズム114又は媒体保持ベッド116を含んでよい。媒体輸送メカニズム114は、プリントヘッド104に対して媒体112を動かすよう構成される。媒体保持ベッド116は、プリントヘッド104が媒体112に対して動いている間に固定位置で媒体112を指示するよう構成される。
【0016】
噴射装置100はまた、噴射装置100の全体の動作を制御する噴射装置コントローラ122を含む。噴射装置コントローラ122は、印刷データ、画像データ、などを受け取るようデータ源へ接続し、媒体112の上に印刷流体を吐出するよう各プリントヘッド104を制御し得る。噴射装置100はまた、印刷流体又は複数のタイプの印刷流体のための1つ以上の容器124を含む。図1には示されていないが、容器124は、例えばホースなどにより、プリントヘッド104へ流体結合される。
【0017】
図2は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の斜視図である。この実施形態では、プリントヘッド104はヘッド部材202及び電子装置204を含む。ヘッド部材202は、プリントヘッド104の噴射チャネルを形成する細長い部品である。典型的な噴射チャネルは、ノズルと、圧力チャンバと、圧電アクチュエータなどのアクチュエータによって駆動されるダイヤフラムとを含む。電子装置204は、他のコントローラ(例えば、噴射装置コントローラ122)から受け取ったデータ信号及び制御信号に応答して、どのようにプリントヘッド104のノズルが液滴を噴射するかを制御する。電子装置204は、データ信号及び制御信号に基づき個々の噴射チャネルを駆動するよう構成された組み込みプリントヘッドコントローラ206又はドライバ回路を含む。図2のヘッド部材202の底面は、噴射チャネルのノズルを含み、プリントヘッド104の吐出面220に相当する。図2のヘッド部材202の上面(I/O面222と呼ばれる。)は、プリントヘッド104への1つ以上の印刷流体を受け且つ/あるいはプリントヘッド104から印刷流体(噴射されない流体)を運び出す入力/出力(I/O)部に相当する。I/Oポート211~214は、印刷流体のための入口ポイントの機能を果たすヘッド部材202の開口である入口I/Oポートを有し得る。I/Oポート211~214は、印刷流体のための出口ポイントの機能を果たすヘッド部材202の開口である出口I/Oポートを有し得る。I/Oポート211~214は、容器、キャリッジ、などのホースと結合するホースためのホース結合、ホースバーブ、などを含んでもよい。I/Oポート211~214の数は、プリントヘッド104が他の数のI/Oポートを含んでもよいということで、一例として与えられている。
【0018】
ヘッド部材202は筐体230及びプレートスタック232を含む。筐体230は、ステンレス鋼又は他のタイプの材料から作られた硬質部材である。筐体230は、アクチュエータが噴射チャネルのダイヤフラムとインターフェース接続し得る(つまり、接触し得る)ように電子装置204が筐体230を通るための通路を設けるアクセスホール234を含む。プレートスタック232は、筐体230の内面(見えず。)に付いている。プレートスタック232(ラミネートプレートスタックとも呼ばれる。)は、積層スタックを形成するよう互いに固定又は接合されている一連のプレートである。プレートスタック232は、次のプレート:1つ以上のノズルプレート、1つ以上のチャンバプレート、リストリクタプレート、及びダイヤフラムプレート、を含み得る。ノズルプレートは、1つ以上の行(例えば、2行、4行、など)で配置されている複数のノズルを含む。チャンバプレートは、噴射チャネルの圧力チャンバを形成する複数の開口を含む。リストリクタプレートは、噴射チャネルの圧力チャンバをマニホールドと流体接続する複数のリストリクタを含む。ダイヤフラムプレートは、アクチュエータ(例えば、圧電アクチュエータ)による作動に応答して振動する半硬質材料のシートである。図2の実施形態は、プリントヘッド104の1つの特定の構成を表し、複数の噴射チャネルを備える他のプリントヘッド構成が本明細書では考えられていることが理解される。
【0019】
図3は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の斜視図である。図3で、プレートスタック232は筐体230に取り付け又は貼り付けられている。図4は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の断面図である。図4は、図3の切断面4-4に沿った噴射チャネル402の行の一部の断面を示す。噴射チャネル402は、印刷流体を噴射又は吐出するプリントヘッド104内の構造要素である。各噴射チャネル402は、ダイヤフラム410、圧力チャンバ412、及びノズル414を含む。アクチュエータ416が、噴射チャネル402からの噴射を制御するようダイヤフラム410と接触している。噴射チャネル402は、プリントヘッド104の長さに沿って1つ以上の行で形成されてよく、各噴射チャネル402は、図4に示されているのと同様の構成を有してよい。
【0020】
図5は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の他の断面図である。図5は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。図4と同じく、噴射チャネル402は、ダイヤフラム410、圧力チャンバ412、及びノズル414を含む。プリントヘッド104のマニホールド装置518(マニホールドアセンブリとも呼ばれる。)が、噴射チャネル402(及び同じタイプの印刷流体を噴射するよう構成されたプリントヘッド104の他の噴射チャネル402)へ印刷流体を供給するよう、かつ/あるいは、噴射されなかった印刷流体を噴射チャネル402から受け取るよう、噴射チャネル402へ流体結合されている。圧力チャンバ412は、リストリクタ520(第1リストリクタ、トップリストリクタ、などとも呼ばれ得る。)を通ってマニホールド装置518へ流体結合されている。リストリクタ520は、1つの流体経路に沿ったマニホールド装置518と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローを制御する。この実施形態では、圧力チャンバ412はまた、他のリストリクタ522を通ってマニホールド装置518へ流体結合されている。リストリクタ522は、他の流体経路に沿ったマニホールド装置518と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローを制御する。圧力チャンバ412の1つの壁は、アクチュエータ416と物理的にインターフェース接続するダイヤフラム410で形成される。ダイヤフラム410は、アクチュエータ416による作動に応答して振動する半硬質材料のシートを有し得る。印刷流体は、アクチュエータ416による作動に応答して圧力チャンバ412を通って液滴の形でノズル414から流れ出る。アクチュエータ416は、噴射パルスを受け、噴射パルスに応答して作動又は“発射”するよう構成される。噴射チャネル402でのアクチュエータ416の発射は、ノズル414からの液滴の噴射を引き起こす圧力波を圧力チャンバ412において生み出す。
【0021】
図4及び図5に示される噴射チャネル402は、ダイヤフラム、圧力チャンバ、及びノズルなどの噴射チャネルの基本構造を説明するための例である。他のタイプの噴射チャネルも本明細書では考えられている。例えば、いくつかの噴射チャネルは、図4及び図5に示されているのとは異なった形状を有している圧力チャンバを有してよい。また、マニホールド装置518、リストリクタ520/522、ダイヤフラム410、などの位置は、他の実施形態では異なってもよい。
【0022】
図6は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。プリントヘッド104の複数の噴射チャネル402が、マニホールド装置518へ流体結合されたノズル414の行として、図6では概略的に示されている。以下で更に詳細に記載されるように、マニホールド装置518は1つ以上のマニホールドを有し得る。マニホールドは、プリントヘッド104の内部の(つまり、プリントヘッド104の本体又は筐体230内にある)導管又はチャネルであり、複数の噴射チャネル402のための共通の流体経路を提供する。噴射チャネル402の夫々について、その噴射チャネル402とマニホールド装置518との間の第1流体経路601(流体導管、流体チャネル、などとも呼ばれる。)と、その噴射チャネル402とマニホールド装置518と間の第2流体経路602とが存在する。図5に示される実施形態では、例えば、噴射チャネル402とマニホールド装置518との間の第1流体経路601はリストリクタ520を通ってよく、これにより、第1流体経路601に沿った印刷流体のフローは制御される。更に、噴射チャネル402とマニホールド装置518との間の第2流体経路602はリストリクタ522を通ってよく、これにより、第2流体経路602に沿った印刷流体のフローは制御される。よって、第1流体経路601及び第2流体経路602は、印刷流体が圧力チャンバ412とマニホールド装置518との間を流れるための別個の経路に相当する。
【0023】
図7は、実例となる実施形態におけるマニホールド装置518及び噴射チャネル402の概略図である。図7は、噴射チャネル402とマニホールド装置518との間の第1流体経路601と、噴射チャネル402とマニホールド装置518との間の第2流体経路602とを示す。第1流体経路601は長さ701を有し、第2流体経路602は長さ702を有する。この実施形態では、第1流体経路601の長さ701は、第2流体経路602の長さ702とは閾長さ(例えば、数ミリメートル)だけ異なっている。アクチュエータ416が噴射パルスに応答して作動すると、圧力波706が圧力チャンバ412で生成されて、ノズル414からの液滴の噴射を引き起こす。このような圧力波706は、圧力チャンバ412から逃げて、第1流体経路601及び第2流体経路602に沿ってマニホールド装置518の方へ伝わる場合がある。圧力波706は、圧力チャンバ412から逃げるときに最初は同相である。第1流体経路601の長さ701は閾長さだけ第2流体経路602の長さ720と異なっており、それにより、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間は等しくなく、閾時間(例えば、数ミリ秒)だけ異なる。よって、第1流体経路601に沿って伝わる圧力波706は、マニホールド装置518で受け取られるときに、第2流体経路602に沿って伝わる圧力波706とは位相がずれている。1つの技術的利点は、圧力波706がマニホールド装置518内で互いに通り過ぎるか又は干渉する場合に、圧力波706が破壊的に干渉することである。背景で記載されたように、噴射チャネル402から逃げる圧力波706はマニホールド装置518に沿って伝播する可能性があり、これは、個々の噴射チャネル402での噴射に影響を及ぼす可能性がある。第1流体経路601及び第2流体経路602に沿って逃げる圧力波706が、マニホールド装置518で受け取られるときに同相であったならば、マニホールド装置518内では建設的な干渉が起こり、結果として表れる波は、第1流体経路601及び第2流体経路602に沿って移動する圧力波706の最大値の和である振幅を有することになる。しかし、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間が閾時間だけ異なる場合には、圧力波706は破壊的に干渉し、結果として表れる波は低減された振幅を有する。
【0024】
一実施形態で、第1流体経路601の長さ701は、圧力波706の始点711からマニホールド装置518の開口731までである。圧力波706の始点は、アクチュエータ416の中心722、噴射チャネル402内のダイヤフラム410の中心722、などであってよい。同様に、第2流体経路602の長さ702は、圧力波706の始点711からマニホールド装置518の開口732までである。一実施形態で、閾長さ及び/又は閾時間は、噴射チャネル402の共振周波数に基づき得る。アクチュエータ416が噴射パルスに応答して変位すると、圧力波706が特性周波数で共振又は吸収する。特性周波数は、圧力チャンバ412(及び噴射チャネル402の他の構造)の形状及びそれらの関連する流体特性によって決定され、噴射チャネル402の共振周波数又はヘルムホルツ周波数と呼ばれる。閾長さによる第1流体経路601及び第2流体経路602の長さの違いは、閾時間によるマニホールド装置518への圧力波706の到着時間の違いを生じさせる。一実施形態で、閾時間及び/又は閾長さは、噴射チャネル402の共振周波数又はヘルムホルツ周波数に基づく。例えば、閾時間は、噴射チャネル402の半共振周期(例えば、0.5)若しくは半ヘルムホルツ周期、又は半共振周期の倍数(例えば、1.5、2.5、3.5、など)であってよい。閾時間が半共振周期又は半共振周期の倍数である場合に、第1流体経路601及び第2流体経路602に沿って逃げる圧力波706は、それらがマニホールド装置518内で干渉するときに約180度位相がずれることになる。よって、破壊的な干渉がマニホールド装置518内で起こり、結果として表れる波はほとんど又は全く振幅を有さないことになる。なお、180度位相ずれ以外の位相差は依然として、圧力波706が破壊的に干渉することを生じさせ、それにより、結果として表れる波は低減された振幅を有する。
【0025】
一実施形態で、第1流体経路601及び第2流体経路602の特徴の他の違いが、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間に影響を及ぼす場合があり、これは本明細書で考えられている。例えば、第1流体経路601及び第2流体経路602を形成するプリントヘッド104の材料特性が異なってもよい。第1流体経路601及び第2流体経路602のそれらの各々の長さに沿ったボリュームが異なってもよい。第1流体経路601及び第2流体経路602の長さに沿った段差又は変形が異なってもよい。これら及び他の特徴の1つ以上の組み合わせは、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間に更に影響を及ぼし得る。
【0026】
図8は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の作動方法を示すフローチャートである。方法800のステップは、図4~7のプリントヘッド104を参照して記載されるが、当業者に明らかなように、方法800は他のプリントヘッドによって実行されてもよい。また、本明細書で記載されるフローチャートのステップは、全てを網羅するものではなく、図示されていない他のステップを含んでもよく、また、ステップは、代替の順序で実行されてもよい。
【0027】
方法800について、プリントヘッド104は、マニホールド装置518へ流体結合されている複数の噴射チャネル402を含む、と仮定される。噴射チャネル402ごとに、印刷流体は、マニホールド装置518と噴射チャネル402との間で第1流体経路601を介して運ばれ(ステップ802)、印刷流体は、マニホールド装置518と噴射チャネル402との間で第2流体経路602を介して運ばれる(ステップ804)。噴射チャネル402のノズル414から印刷流体の液滴を噴射するために、例えば、アクチュエータ416の作動により、噴射チャネル402の圧力チャンバ412で圧力波706が生成される(ステップ806)。圧力チャンバ412で生成された圧力波706は、第1流体経路601に沿ってマニホールド装置518へ伝播し、また、第2流体経路602に沿ってマニホールド装置518へ伝播する。プリントヘッド104の設計は、第1流体経路601の長さ701と第2流体経路602の長さ702とを閾長さだけ異ならせることにより、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間の差(つまり、閾時間だけ)を実現、発生、又は生成する(ステップ808)。このようにして、第1流体経路601を介して及び第2流体経路602を介してマニホールド装置518に到着する圧力波706は、マニホールド装置518内で破壊的に干渉する。
【0028】
図9~12は、一実施形態において非循環モードでのプリントヘッド104を開示する。非循環モードでは、印刷流体は、第1流体経路601及び第2流体経路602を通って噴射チャネル402へ供給される。図9は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の断面図である。図9は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。この実施形態では、マニホールド装置518は、複数の噴射チャネル402のための共通の流体供給として機能するマニホールド910を有する。圧力チャンバ412は、リストリクタ520を通ってマニホールド910へ流体結合され、これにより、1つの流体経路に沿ったマニホールド910から圧力チャンバ412への印刷流体のフローが制御される。圧力チャンバ412はまた、リストリクタ522を通ってマニホールド910へ流体結合され、これにより、他の流体経路に沿ったマニホールド910から圧力チャンバ412への印刷流体のフローが制御される。
【0029】
図9の矢印は、マニホールド910から噴射チャネル402への印刷流体のフローを表す。印刷流体は、マニホールド910からリストリクタ520を通って圧力チャンバ412へ流れ込み、また、マニホールド910からリストリクタ522を通っても圧力チャンバ412へ流れ込む。圧力チャンバ412の1つの壁は、アクチュエータ416と物理的にインターフェース接続するダイヤフラム410で形成されており、アクチュエータ416による作動に応答して振動する。圧力チャンバ412内の印刷流体は、アクチュエータ416による作動に応答して液滴の形でノズル414から噴射される。
【0030】
図10は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。プリントヘッド104の複数の噴射チャネル402が、ノズル414の行として図10では概略的に表されている。マニホールド910は、プリントヘッド104の内部の導管又はチャネルであり、印刷流体を噴射チャネル402へ運ぶ。マニホールド910は、プリントヘッド104への印刷流体の入口を画定するI/Oポート211~212の間に配置される。よって、印刷流体がI/Oポート211~212の一方又は両方でプリントヘッド104に入ると、印刷流体はマニホールド910を通って噴射チャネル402へ流れる。印刷流体を噴射チャネル402へ運ぶマニホールド910は、マニホールド910が、マニホールド910から噴射チャネル402への印刷流体のフローを制御するリストリクタ又は同様の要素を通って流体結合されるということで、噴射チャネル402との直接的な流体結合を有していると見なされ得る。マニホールド910の主要部分又はセクションは、噴射チャネル402と流体結合するようプリントヘッド104内で長手方向に配置される。1つのマニホールド910が図10では示されているが、プリントヘッド104は、必要に応じて、より多くのマニホールドを含んでもよい。
【0031】
示されている噴射チャネル402の夫々について、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第1流体経路601と、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第2流体経路602とが存在する。図9に示される実施形態では、例えば、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第1流体経路601はリストリクタ520を通ってよく、これにより、第1流体経路601に沿った印刷流体のフローは制御される。更に、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第2流体経路602はリストリクタ522を通ってよく、これにより、第2流体経路602に沿った印刷流体のフローは制御される。
【0032】
図11は、実例となる実施形態におけるマニホールド910及び噴射チャネル402の概略図である。図11は、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第1流体経路601と、噴射チャネル402とマニホールド910との間の第2流体経路602とを示す。一実施形態で、第1流体経路601の長さ701は、圧力波706の始点711からマニホールド910の開口1131までである。第2流体経路602の長さ702は、圧力波706の始点711からマニホールド910の開口1132までである。上記の通り、第1流体経路601の長さ701は、閾長さだけ第2流体経路602の長さ702と異なる。第1流体経路601の長さ701は、マニホールド910への圧力波706の到着時間が等しくなく、閾時間だけ異なるように、閾長さだけ第2流体経路602の長さ702と異なる。このようにして、圧力波706がマニホールド910内で互いに通り過ぎたり又は干渉したりすると、圧力波706は破壊的に干渉する。
【0033】
図12は、実例となる実施形態における非循環モードでのプリントヘッド104の作動方法1200を示すフローチャートである。方法1200について、プリントヘッド104は、マニホールド910へ流体結合されている複数の噴射チャネル402を含む、と仮定される。噴射チャネル402ごとに、印刷流体は、マニホールド910から噴射チャネル402へ第1流体経路601を介して運ばれ(ステップ1202)、印刷流体は、マニホールド910から噴射チャネル402へ第2流体経路602を介して運ばれる(ステップ1204)。噴射チャネル402のノズル414から印刷流体の液滴を噴射するために、例えば、アクチュエータ416の作動により、噴射チャネル402の圧力チャンバ412で圧力波706が生成される(ステップ1206)。圧力チャンバ412で生成された圧力波706は、第1流体経路601に沿ってマニホールド910へ伝播し、また、第2流体経路602に沿ってマニホールド910へ伝播する。プリントヘッド104の設計は、第1流体経路601の長さ701と第2流体経路602の長さ702とを閾長さだけ異ならせることにより、マニホールド910への圧力波706の到着時間の差(つまり、閾時間だけ)を実現、発生、又は生成する(ステップ1208)。このようにして、第1流体経路601を介して及び第2流体経路602を介してマニホールド910に到着する圧力波706は、マニホールド910内で破壊的に干渉する。
【0034】
図13は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104のヘッド部材202の分解斜視図を示す。この実施形態では、ヘッド部材202は、筐体230及びプレートスタック232を含むアセンブリである。プレートスタック232は、筐体230に取り付け又は貼り付けられ、噴射チャネル402の1つ以上の行を形成する。筐体230は、ステンレス鋼などの硬質材料から作られた細長い部材である。筐体230は、長さ(L)、幅(W)、及び高さ(H)を有し、筐体230の寸法は、長さが幅よりも長いようなものである。噴射チャネル402の行の方向は筐体230の長さに対応する。筐体230は、I/O面(見えず。)から反対のインターフェース面1312へ延在するアクセスホール234をその中心で又はその近くで含む。アクセスホール234は、噴射チャネル402のダイヤフラム410を通ってそれと接触するよう、複数の圧電アクチュエータなどのアクチュエータアセンブリ(図示せず。)のための通路を提供する。インターフェース面1312は、プレートスタック232に面する筐体230の面であり、プレートスタック232のプレートとインターフェース接続する。筐体230はまた、インターフェース面1312の長さに沿って長手方向に延在するマニホールドダクト1316~1317を含む。マニホールドダクト1316~1317は、印刷流体を運ぶよう構成され、プリントヘッド104のためのマニホールドの少なくとも一部を形成する細長い切り込み又は溝をインターフェース面1312に沿って有する。
【0035】
プレートスタック232は、積層プレート構造を形成するよう互いに固定又は接合されている一連のプレート1301~1308を含む。図13に示されているプレートスタック232は、プリントヘッドの基本構造の一例であるよう意図される。プレートスタック232で使用されるが図13に図示されていない追加のプレートが存在してもよく、様々なプレートの構成は必要に応じて変更されてもよい。また、図13は実寸通りではない。
【0036】
この実施形態では、プレートスタック232は、次のプレート:ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。ダイヤフラムプレート1301は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料(例えば、金属、プラスチック、など)の薄いシートである。ダイヤフラムプレート1301は、噴射チャネル402のためのダイヤフラム410を形成する半硬質材料のシートを有するダイヤフラム1321である。ダイヤフラムプレート1301はまた、マニホールドと噴射チャネル402の圧力チャンバ412との間の流体経路の部分を形成する細長い開口又は穴であるマニホールド開口1322を含む。スペーサプレート1302は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料の薄いシートである。スペーサプレート1302はチャンバ開口1324及びマニホールド開口1325を含む。チャンバ開口1324は、噴射チャネル402のための圧力チャンバ412の少なくとも部分を形成する開口又は穴を有する。リストリクタプレート1303は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料の薄いシートである。リストリクタプレート1303はリストリクタ開口1327及びマニホールド開口1328を含む。リストリクタ開口1327は、横方向に配置されているか又は方向付けられている細長い開口又は穴であり、噴射チャネル402の圧力チャンバ412をマニホールドと流体結合するよう構成される。チャンバプレート1304~1306は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料の薄いシートである。チャンバプレート1304はチャンバ開口1330及びマニホールド開口1331を含む。チャンバプレート1305はチャンバ開口1333及びマニホールド開口1334を含む。チャンバプレート1306はチャンバ開口1335及びマニホールド開口1337を含む。リストリクタプレート1307は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料の薄いシートである。リストリクタプレート1307は、横方向に配置されているか又は方向付けられている細長い開口又は穴であるリストリクタ開口1339を含み、噴射チャネル402の圧力チャンバ412をマニホールドと流体結合するよう構成される。ノズルプレート1308は、形状が概して長方形であり、実質的に平坦又は平面である材料の薄いシートである。ノズルプレート1308は、噴射チャネル402のノズル414を形成する円形の開口又は穴1340を含む。この実施形態では、ノズル414は2つのノズル行で配置されている。なお、ノズル414は、他の実施形態では単一の行で又は2つよりも多い行で配置されてもよい。
【0037】
図14は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。図14は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。プリントヘッド104は、噴射チャネル402を形成するよう筐体230及び筐体230に取り付け又は貼り付けられたプレートスタック232を含む。上記の通り、プレートスタック232は、ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。
【0038】
図15~18は、一実施形態において、循環モードでのプリントヘッド104を開示する。循環モードでは、印刷流体は、各ノズル414を通過してプリントヘッド104を通って再循環され得る。循環モードは、再循環モード、フロースルーモード、などとも呼ばれ得る。図15は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。図15は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。この実施形態では、マニホールド装置518はマニホールド1510~1511を有する。圧力チャンバ412は、リストリクタ520を介してマニホールド1510へ流体結合され、これにより、1つの流体経路に沿ったマニホールド1510と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローは制御される。圧力チャンバ412はまた、リストリクタ522を介してマニホールド1511へ流体結合され、これにより、他の流体経路に沿ったマニホールド1511と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローは制御される。
【0039】
この実施形態では、マニホールド装置518は、マニホールド1510~1511の間に設置、実装、又は配置された可とう性セパレータ1520を更に有する。可とう性セパレータ1520は、マニホールド1511からマニホールド1510を物理的に分離する可とう性の、弾性の、又は柔軟な材料(例えば、プラスチック、ゴム、金属の薄いシート、など)から作られた膜、壁、プレート、又は他の構造要素を有する。この実施形態では、可とう性セパレータ1520は、マニホールド装置518をマニホールド1510及びマニホールド1511に分けるよう構成される。マニホールド1510~1511は、それらの長手方向の長さに沿って可とう性セパレータ1520によって流体的に分離され、それにより、印刷流体がマニホールド1510~1511の間を直接流れることを防ぐ(ただし、マニホールド1510~1511は、噴射チャネル402を介して間接的に流体結合されていることに留意されたい。)。
【0040】
図15の矢印は、噴射チャネル402を通る印刷流体のフローを示す。印刷流体はマニホールド1510からリストリクタ520を通って圧力チャンバ412に流れ込む。圧力チャンバ412の1つの壁は、アクチュエータ416と物理的にインターフェース接続するダイヤフラム410で形成されており、アクチュエータ416による作動に応答して振動する。印刷流体は、アクチュエータ416の作動に応答して、圧力チャンバ412を通って液滴の形でノズル414から流れ出る。ノズル414から噴射されない印刷流体は、圧力チャンバ412からリストリクタ522を通ってマニホールド1511に流れ込む。ノズル414から噴射されない印刷流体は、「非噴射印刷流体」と本明細書で呼ばれる。このシナリオでは、マニホールド1510は、それが印刷流体を噴射チャネル402へ供給するよう構成されるということで、供給マニホールドと呼ばれ得る。マニホールド1511は、それが噴射チャネル402から非噴射印刷流体を受け取るよう構成されるということで、返還マニホールドと呼ばれ得る。しかし、印刷流体のフローは逆になる場合がある。よって、マニホールド1510~1511のどちらか一方が、印刷流体のフローの方向に応じて供給マニホールド又は返還マニホールドとして機能し得る。リストリクタ520及び522の長さは、このようにしてフローの逆転を可能にするよう同じであり得る。
【0041】
図16は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。プリントヘッド104の複数の噴射チャネル402が、ノズル414の行として図16では概略的に表されている。マニホールド1510は、プリントヘッド104への印刷流体の入口を画定するI/Oポート211~212の間に配置される。印刷流体がI/Oポート211~212の一方又は両方でプリントヘッド104に入ると、印刷流体はマニホールド1510を通って噴射チャネル402へ流れる。マニホールド1511は、プリントヘッド104からの印刷流体の出口を画定するI/Oポート213~214の間に配置される。非噴射印刷流体は、噴射チャネル402からマニホールド1510を通って流れ、I/Oポート213~214の一方又は両方でプリントヘッド104から出る。2つのマニホールド1510~1511が図16では示されているが、プリントヘッド104は、必要に応じて、より多くのマニホールドを含んでもよい。
【0042】
示されている噴射チャネル402の夫々について、マニホールド1510から噴射チャネル402への第1流体経路601と、噴射チャネル402からマニホールド1511への第2流体経路602とが存在する。図15に示される実施形態では、例えば、マニホールド1510から噴射チャネル402への第1流体経路601はリストリクタ520を通ってよく、これにより、第1流体経路601に沿った印刷流体のフローは制御される。更に、噴射チャネル402からマニホールド1511への第2流体経路602はリストリクタ522を通ってよく、これにより、第2流体経路602に沿った印刷流体のフローは制御される。
【0043】
可とう性セパレータ1520はマニホールド1510とマニホールド1511との間に配置される。一般に、マニホールド1510~1511の主要部分又はセクションは、噴射チャネル402と流体結合するようプリントヘッド104内で長手方向に配置される。例えば、噴射チャネル402の行は、プリントヘッド104の長さに沿って長手方向に配置される。マニホールド1510~1511は、噴射チャネル402の行と平行して長手方向に配置されてよい。マニホールド1510~1511は、プリントヘッド104内で水平方向に整列されてもよく、プリントヘッド104内で垂直方向に整列されてもよく、あるいは、他の構成を有してもよい。この実施形態では、可とう性セパレータ1520は、マニホールド1510~1511がそれらの長手方向の長さに沿って流体的に分離されるように、マニホールド1510~1511の間に長手方向の壁又は仕切りを形成する。
【0044】
図17は、実例となる実施形態におけるマニホールド1510~1511及び噴射チャネル402の概略図である。図17は、噴射チャネル402とマニホールド1510との間の第1流体経路601と、噴射チャネル402とマニホールド1511との間の第2流体経路602とを示す。一実施形態で、第1流体経路601の長さ701は、圧力波706の始点711からマニホールド1510の開口1731までである。第2流体経路602の長さ702は、圧力波706の始点711からマニホールド1511の開口1732までである。上記の通り、第1流体経路601の長さ701は、閾長さだけ第2流体経路602の長さ702と異なる。第1流体経路601の長さ701は、マニホールド1510~1511への圧力波706の到着時間が等しくなく、閾時間だけ異なるように、閾長さだけ第2流体経路602の長さ702と異なる。図17には、マニホールド1510~1511の間に配置された可とう性セパレータ1520も示されている。可とう性セパレータ1520の圧縮性又は弾性により、圧力波706は、マニホールド1510~1511の間で可とう性セパレータ1520を介して連通することができる。よって、マニホールド1510に到着する圧力波706は、可とう性セパレータ1520を通ってマニホールド1511内に入り、マニホールド1511に到着する圧力波706は、可とう性セパレータ1520を通ってマニホールド1510に入る。マニホールド1510~1511への圧力波706の到着時間は異なるので、マニホールド1510に到着する圧力波706は、可とう性セパレータ1520を介して、マニホールド1510に到着する圧力706と破壊的に干渉する。
【0045】
図18は、実例となる実施形態における循環モードでのプリントヘッド104の作動方法1800を示すフローチャートである。方法1800について、プリントヘッド104は、マニホールド1510~1511へ流体結合されている複数の噴射チャネル402を含み、マニホールド1510~1511は可とう性セパレータ1520で分離される、と仮定される。噴射チャネル402ごとに、印刷流体は、マニホールド1510から噴射チャネル402へ第1流体経路601を介して運ばれる(ステップ1802)。非噴射印刷流体は、噴射チャネル402からマニホールド1511へ第2流体経路602を介して運ばれる(ステップ1804)。噴射チャネル402のノズル414から印刷流体の液滴を噴射するためのように、アクチュエータ416の作動により噴射チャネル402の圧力チャンバ412で圧力波706が生成される(ステップ1806)。圧力チャンバ412で生成された圧力波706は、第1流体経路601に沿ってマニホールド1510へ伝播し、また、第2流体経路602に沿ってマニホールド1511へ伝播する。プリントヘッド104の設計は、第1流体経路601の長さ701と第2流体経路602の長さ702とを閾長さだけ異ならせることにより、マニホールド1510への圧力波706とマニホールド1511への圧力波706とのの到着時間の差(つまり、閾時間だけ)を実現、発生、又は生成する(ステップ1808)。可とう性セパレータ1520は、マニホールド1510~1511の間の圧力波の連通を提供する(ステップ1810)。このようにして、マニホールド1510に到着する圧力波706は、可とう性セパレータ1520による圧力波706の連通により、マニホールド1511に到着する圧力波706と破壊的に干渉する。
【0046】
図19は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。図19は、プリントヘッド104がI/Oポート211~212の間に配置されたマニホールド1510と、I/Oポート213~214に配置されたマニホールド1511と、マニホールド1510とマニホールド1511との間に配置されている可とう性セパレータ1520を含むものとして概略的に表されている点で、図16と類似している。可とう性セパレータ1520は、先と同じく、マニホールド1510~1511の間の長手方向の壁又は仕切りを形成する。この実施形態では、可とう性セパレータ1520は1つ以上のバイパスホール1920を含む。バイパスホール1920は、壁又は仕切り(例えば、可とう性セパレータ1520)を貫通して形成された穴であり、流体がマニホールド1510~1511の間を通ることを可能にする。バイパスホール1920は、可とう性セパレータ1520によるマニホールド1510~1511の間の更なる圧力波連通を可能にするという技術的利点をもたらす。
【0047】
図19に示されるバイパスホール1920の数及び配置は一例にすぎず、必要に応じて変更され得る。図20~27は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。図20~23は、I/Oポート211~212の間に配置されたマニホールド1510と、I/Oポート213~214の間に配置されたマニホールド1511と、マニホールド1510とマニホールド1511との間に配置されている可とう性セパレータ1520とを含むプリントヘッド104の様々な例を示す。図20で、例えば、マニホールド1510は、第1端部2011と第2端部2012との間の長さ2010を有する。マニホールド1510が端部2011~2012でI/Oポート211~212を夫々有している場合に、印刷流体は、各端部2011~2012からマニホールド1510内に流れ込むことができる。各端部2011~2012からの各々のフローは、マニホールド1510の中心2014(つまり、長手方向の中心)の近くで交わり、これにより、ほとんど又は全く流体フローがないデッドゾーン2008が生じる。同様に、マニホールド1511は、第1端部2023と第2端部2024との間の長さ2020を有する。マニホールド1511が端部2023~2024でI/Oポート213~214を夫々有している場合に、印刷流体は、各端部2023~2024からマニホールド1511の外に流れ出ることができる。各端部2023~2024からの各々のフローは、ほとんど又は全く流体フローがないデッドゾーン2018を中心2026(つまり、長手方向の中心)の近くで生じさせる。これは、印刷流体がデッドゾーン2008/2018で定着したり又は固まったりする可能性があるということで、問題となり得る。
【0048】
図21で、1つ以上のバイパスホール1920が可とう性セパレータ1520に配置される。例えば、1つ以上のバイパスホール1920は、可とう性セパレータ1520の長手方向の中心に又はその近くに(つまり、マニホールド1510~1511の中心2016/2026に又はその近くに)位置付けられ得る。言い換えると、1つ以上のバイパスホール1920は、マニホールド1510~1511におけるデッドゾーン2008/2018に又はその近くに配置されるか又は位置付けられ得る。これは、デッドゾーン2008/2018で又はその近くでマニホールド1510~1511の間の流体のフローを作り出す。これは、デッドゾーン2008/2018での印刷流体の定着又は硬化を有利に回避する。
【0049】
更に、バイパスホール1920のサイズ、配置、及び/又は数は、マニホールド1510~1511の長さ2010/2020に沿ってマニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成又は実現するよう最適化され得る。図22に示される一実施形態では、バイパスホール1920のサイズ2210(例えば、直径)は、マニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成するよう最適化され得る。一例では、バイパスホール1920のサイズ2210は、可とう性セパレータ1520の中心2140に向かって大きくなり、可とう性セパレータ1520の両端2241~2242に向かって小さくなる。他の例では、バイパスホール1920のサイズ2210は、可とう性セパレータ1520の長さに沿って一様であってもよい。図23に示される一実施形態では、バイパスホール1920の配置は、マニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成するよう最適化され得る。マニホールド1510での印刷流体のフローは、両端2011~2012に向かって多くなり、デッドゾーン2008に向かって少なくなり、マニホールド1511での印刷流体のフローは、両端2023~2024に向かって多くなり、デッドゾーン2018に向かって少なくなる。一実施形態において、バイパスホール1920間の距離2302(つまり、長手方向の距離)は、可とう性セパレータ1520の中心2140に向かって短くなり、可とう性セパレータ1520の両端2241~2242に向かって長くなる。他の例では、バイパスホール1920間の距離2302は、可とう性セパレータ1520の長さに沿って一様であってもよい。
【0050】
図24は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。この実施形態では、マニホールド1510~1511は夫々単一のI/Oポートへ流体結合されている。よって、プリントヘッド104は、I/Oポート211へ流体結合されたマニホールド1510と、I/Oポート212へ流体結合されたマニホールド1511と、マニホールド1510とマニホールド1511との間に配置されている可とう性セパレータ1520とを含むものとして概略的に表されている。可とう性セパレータ1520は、先と同じく、マニホールド1510~1511の間に長手方向の壁又は仕切りを形成し、1つ以上のバイパスホール1920が可とう性セパレータ1520を貫通して形成されている。
【0051】
図24に示されているバイパスホール1920の数及び配置は一例にすぎず、必要に応じて変更されてよい。図25~27は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。図25~27は、I/Oポート211へ流体結合されたマニホールド1510と、I/Oポート212へ流体結合されたマニホールド1511と、マニホールド1510とマニホールド1511との間に配置されている可とう性セパレータ1520とを含むプリントヘッド104の様々な例を示す。図25で、例えば、マニホールド1510は、第1端部2011と第2端部2012との間の長さ2010を有する。マニホールド1510が端部2011でI/Oポート211を有する場合に、印刷流体は、端部2011からマニホールド1510内に流れ込むことができ、端部2012で行き止まる。これは、ほとんど又は全く流体フローがない端部2012で又はその近くでデッドゾーン2008を作り出す。同様に、マニホールド1511は、第1端部2023と第2端部2024との間の長さ2020を有する。マニホールド1511が端部2024でI/Oポート212を有する場合に、印刷流体は、端部2024からマニホールド1511の外に流れ出ることができるが、端部2023で行き止まりになる。これは、ほとんど又は全く流体フローがない端部2023で又はその近くでデッドゾーン2018を作り出す。これは、印刷流体がデッドゾーン2008/2018で定着したり又は固まったりするということで、問題となり得る。
【0052】
図26で、1つ以上のバイパスホール1920が可とう性セパレータ1520に配置されている。例えば、バイパスホール1920は、可とう性セパレータ1520の端部2241~2242に又はその近くに(つまり、マニホールド1510~1511の端部212/2013に又はその近くに)配置されるか又は位置付けられ得る。言い換えると、バイパスホール1920は、マニホールド1510~1511におけるデッドゾーン2008/2018に又はその近くに配置され得る。これは、デッドゾーン2008/2018で又はその近くでマニホールド1510~1511の間の印刷流体のフローを作り出す。これは、デッドゾーン2008/2018での印刷流体の定着又は硬化を有利に回避する。
【0053】
更に、バイパスホール1920のサイズ、配置、及び/又は数は、マニホールド1510~1511の長さ2010/2020に沿ってマニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成又は実現するよう最適化され得る。図26に示される一実施形態では、バイパスホール1920のサイズ2210(例えば、直径)は、マニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成するよう最適化され得る。一例では、バイパスホール1920のサイズ2210は、可とう性セパレータ1520の両端2241~2242に向かって大きくなり、可とう性セパレータ1520の中心2140に向かって小さくなる。他の例では、バイパスホール1920のサイズ2210は、可とう性セパレータ1520の長さに沿って一様であってもよい。図27に示される一実施形態では、バイパスホール1920の配置は、マニホールド1510~1511の間の印刷流体の一様なフローを生成するよう最適化され得る。マニホールド1510での印刷流体のフローは、端部2011に向かって多くなり、デッドゾーン2008に向かって少なくなり、マニホールド1511での印刷流体のフローは、端部2024に向かって多くなり、デッドゾーン2018に向かって少なくなる。一実施形態において、バイパスホール1920間の距離2302(つまり、長手方向の距離)は、可とう性セパレータ1520の両端2241~2242に向かって短くなり、可とう性セパレータ1520の中心2140に向かって長くなる。他の例では、バイパスホール1920間の距離2302は、可とう性セパレータ1520の長さに沿って一様であってもよい。
【0054】
一実施形態で、バイパスホール1920を有する可とう性セパレータ1520は、フィルタであってもよい。この実施形態では、バイパスホール1920のサイズ2210は、ノズル414を塞ぐか又はインク通路を狭める可能性があるデブリを捕らえるほど十分に小さく、バイパスホール1920の数は、小さいフロー抵抗で印刷流体が圧力チャンバ412へ流れることを可能にするほど十分に多い。図28は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。図28は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。図15と同じく、マニホールド装置518はマニホールド1510~1511から成る。圧力チャンバ412は、リストリクタ520を介してマニホールド1510へ流体結合され、これにより、1つの流体経路に沿ったマニホールド1510と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローは制御される。圧力チャンバ412はまた、リストリクタ522を介してマニホールド1511へ流体結合され、これにより、他の流体経路に沿ったマニホールド1511と圧力チャンバ412との間の印刷流体のフローは制御される。この実施形態では、可とう性セパレータ1520は、マニホールド1510~1511の間に設置、実装、又は配置されているフィルタ2820を有する。
【0055】
図29は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の概略図である。プリントヘッド104の複数の噴射チャネル402が、ノズル414の行として図29では概略的に表されている。マニホールド1510は、プリントヘッド104への印刷流体の入口を画定するI/Oポート211~212の間に配置される。印刷流体がI/Oポート211~212の一方又は両方でプリントヘッド104に入ると、印刷流体は、マニホールド1510を通って噴射チャネル402へ流れる。マニホールド1511は、プリントヘッド104からの印刷流体の出口を画定するI/Oポート213~214の間に配置される。非噴射印刷流体は、噴射チャネル402からマニホールド1511を通って流れ、I/Oポート213~214の一方又は両方でプリントヘッド104から出る。2つのマニホールド1510~1511が図29で示されているが、プリントヘッドは、必要に応じて、より多くのマニホールドを含んでもよい。
【0056】
示されている噴射チャネル402の夫々について、マニホールド1510から噴射チャネル402への第1流体経路601と、噴射チャネル402からマニホールド1511への第2流体経路602とが存在する。図28に示される実施形態では、例えば、マニホールド1510から噴射チャネル402への第1流体経路601はリストリクタ520を通ってよく、これにより、第1流体経路601に沿った印刷流体のフローは制御される。更に、噴射チャネル402からマニホールド1511への第2流体経路602はリストリクタ522を通ってよく、これにより、第2流体経路602に沿った印刷流体のフローは制御される。フィルタ2820は、マニホールド1510とマニホールド1511との間に配置される。フィルタ2820は、第1流体経路601に沿って印刷流体にフィルタをかけるよう動作し、また、マニホールド1510とマニホールド1511との間の可とう性セパレータ1520としても機能する。
【0057】
図30は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104のヘッド部材202の分解斜視図を示す。この実施形態では、筐体230は、インターフェース面1312に沿ってマニホールドダクト1316~1317を含む。マニホールドダクト1316は、マニホールド1510の部分を形成する、アクセスホール234の周りの溝を有する(図15を参照。)。マニホールドダクト1316の主要部分は、インターフェース面1312に沿って長手方向に配置される。マニホールドダクト1317は、マニホールド1511の部分を形成するように、筐体230の短端ヘッドに向かって溝を有する。前述の通り、プレートスタック232は次のプレート:ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。プレートの構造は、図13と同様であってよい。しかし、この実施形態では、ダイヤフラムプレート1301は、ダイヤフラム1321、マニホールド開口1322、及び可とう性セパレータ1520を含む。スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、及びチャンバプレート1304も、マニホールド1511の部分を形成するマニホールド開口1322を含み得る。
【0058】
図31は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。図31は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。プリントヘッド104は、噴射チャネル402を形成するよう筐体230及び筐体230に取り付け又は貼り付けられたプレートスタック232を含む。上記の通り、プレートスタック232は、ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。一実施形態で、ダイヤフラムプレート1301における可とう性セパレータ1520は、マニホールド1510~1511がそれらの長手方向の長さに沿って可とう性セパレータ1520によって流体的に分離されて、印刷流体がマニホードル1510~1511の間を直接流れないように(ただし、マニホールド1510~1511は、噴射チャネル402を介して間接的に流体結合されることに留意されたい。)、マニホールド1510をマニホールド1511から物理的に分離する。一実施形態で、可とう性セパレータ1520は、流体がマニホードル1510~1511の間を通ることを可能にする1つ以上のバイパスホール1920(図19を参照。)を含む。この実施形態ではダイヤフラムプレート1301の部分として示されているが、可とう性セパレータ1520は、他の実施形態で他のプレートで実装される。
【0059】
図32は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104のヘッド部材202の分解斜視図を示す。この実施形態では、筐体230は、インターフェース面1312に沿ってマニホールドダクト1316~1317を含む。マニホールドダクト1316は、マニホールド1510の部分を形成する、アクセスホール234の周りの溝を有する(図15を参照。)。マニホールドダクト1316の主要部分は、インターフェース面1312に沿って長手方向に配置される。マニホールドダクト1317は、マニホールド1511の部分を形成する、マニホールドダクト1316の周りの溝を有する。マニホールドダクト1317の主要部分は、インターフェース面1312に沿って長手方向に配置される。前述の通り、プレートスタック232は次のプレート:ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。プレートの構造は、図13と同様であってよい。しかし、この実施形態では、プレートスタックは1つ以上のマニホールドプレート3209を更に含む。マニホールドプレート3209は、電子装置204のための通路を設けるよう筐体230のアクセスホール234に対応するアクセスホール3234と、マニホールド開口3222とを含む。マニホールドプレート3209はまた、マニホールド開口3222の間に可とう性セパレータ1520を含む。
【0060】
図33は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。図33は、図3の切断面5-5に沿ったプリントヘッド104の断面を示す。プリントヘッド104は、噴射チャネル402を形成するよう筐体230及び筐体230に取り付け又は貼り付けられたプレートスタック232を含む。上記の通り、プレートスタック232は、ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。この実施形態では、マニホールドプレート3209における可とう性セパレータ1520は、マニホールド1510~1511がそれらの長手方向の長さに沿って可とう性セパレータ1520によって流体的に分離されて、印刷流体がマニホードル1510~1511の間を直接流れないように(ただし、マニホールド1510~1511は、噴射チャネル402を介して間接的に流体結合されることに留意されたい。)、マニホールド1510をマニホールド1511から物理的に分離する。一実施形態で、可とう性セパレータ1520は、流体がマニホードル1510~1511の間を通ることを可能にする1つ以上のバイパスホール1920(図19を参照。)を含む。この実施形態ではマニホールドプレート3209の部分として示されているが、可とう性セパレータ1520は、他の実施形態で他のプレートで実装される。
【0061】
一実施形態で、剛性セパレータが、マニホールド1510をマニホールド1511から物理的に分離するように、例えばマニホールドプレート3209で、実装されてもよい。図34は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の部分の断面図である。プリントヘッド104は、噴射チャネル402を形成するよう筐体230及び筐体230に取り付け又は貼り付けられたプレートスタック232を含む。上記の通り、プレートスタック232は、ダイヤフラムプレート1301、スペーサプレート1302、リストリクタプレート1303、チャンバプレート1304~1306、リストリクタプレート1307、及びノズルプレート1308を含む。この実施形態では、マニホールドプレート3209における剛性セパレータ3420がマニホールド1510をマニホールド1511から物理的に分離する。剛性セパレータ3420は、流体がマニホードル1510~1511の間を通ることを可能にする1つ以上のバイパスホール1920を含む。
【0062】
図35は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104のための設計ツール3500の概略図である。設計ツール3500は、プリントヘッド104のようなプリントヘッドの設計を支援するよう構成された装置又はデバイスである。より具体的に、設計ツール3500は、プリントヘッド104におけるコンポーネントの1つ以上の寸法を決定するよう構成され得るが、設計ツール3500は、プリントヘッド104の他の設計態様を決定するよう構成されてよい。設計ツール3500は、プロセッサ3510及びメモリ3512を含むハードウェアプラットフォームを含む。プロセッサ3510は、メモリ3512に記憶されている命令を実行するよう構成された集積ハードウェア回路を有する。メモリ3512は、データ、命令、などのための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ3510によってアクセス可能である。設計ツール3500は、ユーザインターフェース3514を更に含んでもよい。ユーザインターフェース3514は、エンドユーザと相互作用するためのハードウェアコンポーネントである。例えば、ユーザインターフェース3514は、ディスプレイ、スクリーン、タッチスクリーン、など(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、など)を含み得る。ユーザインターフェース3514は、キーボード又はキーパッド、トラッキングデバイス(例えば、トラックボール又はトラックパッド)、スピーカ、マイクロホン、などを含み得る。設計ツール3500は、図35に具体的に示されていない様々な他のコンポーネントを含んでもよい。
【0063】
図36は、実例となる実施形態におけるプリントヘッド104の設計方法3600を示すフローチャートである。方法3600のステップは、図35の設計ツール3500を参照して記載されるが、当業者に明らかなように、方法3600は他のシステム、ツール、又はエンティティによって実行されてもよい。この実施形態については、プリントヘッド104は、1つ以上のマニホールド1510~1511を備えているマニホールド装置518を含むか又は含むことになっており、マニホールド装置518は複数の噴射チャネル402へ流体結合される、と仮定される。プロセッサ3510は、マニホールド装置518と噴射チャネル402との間の第1流体経路601を計画、モデリング、又は設計し(ステップ3602)、マニホールド装置518と噴射チャネル402との間の第2流体経路602を計画、モデリング、又は設計する(ステップ3604)。噴射チャネル402が動作中であるとき、圧力波706が、例えば、噴射チャネル402ノズル414から印刷流体の液滴を噴射するために、アクチュエータ416の作動により噴射チャネル402の圧力チャンバ412で生成される。圧力チャンバ412で生成された圧力波706は、第1流体経路601に沿ってマニホールド装置518へ伝播し、第2流体経路602に沿ってマニホールド装置518へ伝播する。プロセッサ3510は、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間の目標差を選択、計算、又は特定する(ステップ3606)。プロセッサ3510は、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間の目標差を引き起こす閾長さによって第1流体経路601と第2流体経路602との間の長さの差を選択する。閾長さによる第1流体経路601の長さ701と第2流体経路602の長さ702との差は、マニホールド装置518への圧力波706の到着時間の差を引き起こす(つまり、閾時間だけ)。プロセッサ3510は、次いで、閾長さに基づき噴射チャネル402のための第1流体経路601及び第2流体経路602を構成し得る(ステップ3610)。一実施形態で、プロセッサ3510は、閾長さをユーザインターフェース3514によりユーザに表示するか又はネットワークを介して遠隔のシステムに別なふうに提供するか、あるいは、目標長さを選択する場合に他の機能を実行してもよい(任意のステップ3620)。一実施形態で、プロセッサ3510は、流体経路601~602の間の閾長さに基づきプリントヘッド104を製造するよう1つ以上の製造プロセスを制御、調整、設定、又は命令してもよい(任意のステップ3622)。
【0064】
一実施形態で、プロセッサ3510は、噴射チャネル402の共振周波数又はヘルムホルツ周波数を決定し(任意のステップ3616)、共振周波数に基づきマニホールド装置518への圧力波706の到着時間の目標差を選択してもよい(任意のステップ3618)。例えば、プロセッサ3510は、プリントヘッド104又は同様のプリントヘッド(つまり、同じ又は類似した寸法を有している噴射チャネルを備えた他のプリントヘッド)に対して試験を実行してもよく、あるいは、噴射チャネル402の共振周波数を決定するためにプリントヘッド104又は同様のプリントヘッドに関する試験データを受け取ってもよい。プロセッサ3510は、プリントヘッド104又は同様のプリントヘッドに対してシミュレーションを実行してもよく、あるいは、噴射チャネル402の共振周波数を決定するためにプリントヘッド104又は同様のプリントヘッドに関するシミュレーションデータを受け取ってもよい。プロセッサ3510は、他の方法で噴射チャネル402の共振周波数を決定してもよい。プロセッサ3510は、次いで、噴射チャネル402の共振周波数に基づき目標到着時間差及び/又は閾長さを選択し得る。例えば、目標到着時間差は、噴射チャネル402の半共振周期(例えば、0.5)若しくは半ヘルムホルツ周期、又は半共振周期の倍数(例えば、1.5、2.5、3.5、など)であってよい。
【0065】
本明細書で開示されている実施形態は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの様々な組み合わせの形をとることができる。1つの特定の実施形態では、ソフトウェアが、本明細書で開示されている様々な動作を実行するように設計ツール3500のプロセッシングシステムに指示するために使用される。図37は、実例となる実施形態において、所望の機能を実行するためのプログラムされた命令を具現化するコンピュータ可読媒体を実行するよう動作可能なプロセッシングシステム3700を示す。プロセッシングシステム3700は、コンピュータ可読記憶媒体3712に有形に具現化されているプログラムされた命令を実行することによって上記の動作を実行するよう動作可能である。これに関して、実施形態は、コンピュータ又は任意の他の命令実行システムによって使用されるプログラムコードを供給するコンピュータ可読媒体3712を介してアクセス可能なコンピュータプログラムの形をとることができる。この説明のために、コンピュータ可読記憶媒体3712は、コンピュータによって使用されるプログラムを含むか又は記憶することができる如何なるものであることもできる。
【0066】
コンピュータ可読記憶媒体3712は、電子、磁気、光学、赤外線、又は半導体デバイスであることができる。コンピュータ可読記憶媒体3712の例には、ソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、硬質磁気ディスク、及び光ディスクがある。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク-リードオンリーメモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-リード/ライト(CD-R/W)、及びDVDがある。
【0067】
プロセッシングシステム3700は、プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適しており、システムバス3750によりプログラム及びデータメモリ3704へ結合された少なくとも1つのプロセッサ3702を含む。プログラム及びデータメモリ3704は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリと、バルクストレージと、実行中にコード及び/又はデータがバルクストレージから読み出される回数を減らすために少なくとも一部のプログラムコード及び/又はデータの一時記憶を提供するキャッシュメモリとを含むことができる。
【0068】
入力/出力又はI/Oデバイス3706(キーボード、ディスプレイ、指示デバイス、などを含むがこれらに限られない。)は、直接に、又は介在するI/Oコントローラを通じて、結合され得る。ネットワークアダプタインターフェース3708も、プロセッシングシステム3700が、介在するプライベート又はパブリックネットワークを通じて他のデータプロセッシングシステム又はストレージデバイスへ結合されることを可能にするために、当該システムと一体化されてもよい。モデム、ケーブルモデム、IBMチャネルアタッチメント、SCSI、Fibre Channel、及びEthernet(登録商標)カードは、現在利用することができるネットワーク又はホストインターフェースアダプタのタイプのほんの一部である。ディスプレイデバイスインターフェース3710は、プロセッサ3702によって生成されたデータの提示のために印刷システム及びスクリーンなどの1つ以上のディスプレイデバイスへインターフェース接続するように、システムと一体化されてもよい。
【0069】
具体的な実施形態が本明細書で記載されてきたが、発明の範囲はこれらの具体的な実施形態に制限されない。発明の範囲は、次の特許請求の範囲及びそれらのあらゆる均等によって定義される。
【符号の説明】
【0070】
100 噴射装置
102 マウントメカニズム
104 プリントヘッド
106 液滴
112 媒体
114 媒体輸送メカニズム
116 媒体保持ベッド
122 噴射装置コントローラ
124 容器
202 ヘッド部材
204 電子装置
206 組み込みプリントヘッドコントローラ
211~214 I/Oポート
220 吐出面
222 I/O面
230 筐体
232 プレートスタック
234 アクセスホール
402 噴射チャネル
410,1321 ダイヤフラム
412 圧力チャンバ
414 ノズル
416 アクチュエータ
518 マニホールド装置
520,522 リストリクタ
601 第1流体経路
602 第2流体経路
706 圧力波
910,1510,1511 マニホールド
1301 ダイヤフラムプレート
1302 スペーサプレート
1303,1307 リストリクタプレート
1304~1306 チャンバプレート
1308 ノズルプレート
1316,1317 マニホールドダクト
1520 可とう性セパレータ
1920 バイパスホール
2820 フィルタ
3209 マニホールドプレート
3420 剛性セパレータ
3500 設計ツール
3510 プロセッサ
3512 メモリ
3700 プロセッシングシステム
図1
図2
図3
図4
図5
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