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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240514BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240514BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240514BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240514BHJP
   H02J 50/05 20160101ALI20240514BHJP
【FI】
H02J7/00 301Z
H02J50/90
H02J50/80
H02J50/10
H02J50/05
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020067470
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021164383
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 暁大
(72)【発明者】
【氏名】小原 大輝
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-230523(JP,A)
【文献】米国特許第10153668(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/90
H02J 50/80
H02J 50/10
H02J 50/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式のバッテリと、ガイド信号を発生する発信部とを有する機能端末と、
前記機能端末に近接するように移動して、前記機能端末の前記バッテリの充電を行うことが可能な移動式充電器と、
前記機能端末に近接するための前記移動式充電器の移動を制御する制御装置と、
前記機能端末の位置を前記機能端末に固有の端末IDと対応付けて管理するデータサーバと、
を備える充電システムであって、
前記機能端末は、
前記バッテリの電力を利用して所定の機能を実行する機能部と、
前記端末IDを記憶する端末メモリと、
ネットワークを介して発信指示情報を受信する第1の通信部と、
前記発信指示情報に基づいて前記ガイド信号を発信する前記発信部としての機能を有する第2の通信部と、
を備えて対象物に敷設され、
前記移動式充電器は、
前記ネットワークを介して移動指示情報を受信する第3の通信部と、
前記ガイド信号を受信する第4の通信部と、
前記バッテリを充電する充電機能部と、
前記第3の通信部と前記第4の通信部と前記充電機能部とを搭載して移動する移動体と、
を備え、前記ガイド信号を利用せずに前記機能端末に向かって移動する第1の移動と、前記ガイド信号を利用して前記機能端末に近接するまで移動する第2の移動とを行
前記制御装置は、
複数の前記移動式充電器のうち前記バッテリのメンテナンスを行う特定の前記移動式充電器の位置を導出する位置処理部と、
特定の前記移動式充電器の位置からメンテナンス対象の前記機能端末の位置への移動を指示するための前記移動指示情報と、前記ガイド信号の発信を指示するための前記発信指示情報とを生成する指示処理部と、
を備え、
前記データサーバは、前記ネットワークを介して、特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記移動指示情報を送信し、メンテナンス対象の前記機能端末に対応する前記第1の通信部に前記発信指示情報を送信するように構成され、
前記移動体は、前記第1の移動として、前記移動指示情報をもとにメンテナンス対象の前記機能端末の敷設エリア内に移動し、前記第2の移動として、前記敷設エリア内で前記第2の通信部から発信されている前記ガイド信号に誘導されてメンテナンス対象の前記機能端末に近接するように構成されている、
ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記データサーバは、前記バッテリのメンテナンス実績を前記端末IDと対応付けて管理する、
ことを特徴とする請求項に記載の充電システム。
【請求項3】
前記移動体は、前記敷設エリア内で前記第4の通信部が受信する前記ガイド信号の受信強度が強くなる方向に移動する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記指示処理部は、複数の前記機能端末のうちメンテナンス対象の前記機能端末に対する前記バッテリのメンテナンスを指示するためのメンテナンス指示情報を生成し、
前記データサーバは、前記ネットワークを介して、特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記メンテナンス指示情報を送信し、
前記充電機能部は、前記メンテナンス指示情報に基づいて、メンテナンス対象の前記機能端末の前記バッテリを充電する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項5】
前記制御装置は、複数の前記移動式充電器の中から、前記メンテナンス指示情報を送信していない空き状態であり且つメンテナンス対象の前記機能端末の位置までの到着時間が最も短い状態である特定の前記移動式充電器を検索する検索処理部を備え、
前記データサーバは、検索された特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記メンテナンス指示情報および前記移動指示情報を送信する、
ことを特徴とする請求項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記機能端末は、前記バッテリの蓄電量を測定する蓄電量測定部を備え、
前記制御装置は、測定された前記蓄電量と前記端末IDとを対応付けた蓄電量測定データをもとに、前記機能端末の前記バッテリがメンテナンスを要する状態であるか否かを判断する判断処理部を備え、
前記蓄電量測定データは、前記ネットワークを介して前記データサーバに送信される、
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項7】
前記制御装置は、複数の前記機能端末の中から、前記バッテリの検査対象とする機能端末を選択する選択処理部を備え、
前記データサーバは、選択された前記機能端末の前記蓄電量測定データを受信する、
ことを特徴とする請求項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記判断処理部は、選択された前記機能端末の前記バッテリがメンテナンスを要する状態であるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記充電機能部は、
前記バッテリを充電するための送電部と、
前記バッテリを充電している際の前記送電部の送電量を測定する送電量測定部と、
を備え、
前記データサーバは、測定された前記送電量を示す送電量測定データを、前記ネットワークを介して特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部から受信し、
前記判断処理部は、メンテナンス対象の前記機能端末の前記蓄電量測定データと特定の前記移動式充電器の前記送電量測定データとをもとに、メンテナンス対象の前記機能端末に対する前記バッテリの充電が完了したか否かを判断し、
前記指示処理部は、前記バッテリの充電が完了したと判断された場合、特定の前記移動式充電器に充電完了を指示するための完了指示情報を生成し、前記バッテリの充電が未完了であると判断された場合、特定の前記移動式充電器に前記バッテリの再充電を指示するための再充電指示情報を生成し、
特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部には、前記ネットワークを介して前記データサーバから前記完了指示情報または前記再充電指示情報が送信される、
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項10】
前記データサーバに格納された前記バッテリのメンテナンス実績をもとに、交換が必要な場合と不要な場合との双方における前記バッテリの蓄電状態を学習して、前記バッテリが交換を要する状態であるか否かを判断し得る判断則を構築する学習装置を備え、
前記判断処理部は、前記蓄電量測定データをもとに、前記判断則に従って前記バッテリが交換を要する状態であるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項11】
前記第3の通信部は、前記移動体に設けられている、
ことを特徴とする請求項10のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項12】
前記第4の通信部は、前記充電機能部に設けられている、
ことを特徴とする請求項11のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項13】
前記移動式充電器は、前記第3の通信部を有する通信装置を備え、
前記通信装置は、前記移動体に搭載される、
ことを特徴とする請求項10のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項14】
前記移動式充電器は、静止画または動画を撮像する撮像部を備える、
ことを特徴とする請求項13のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項15】
前記撮像部は、前記移動体に設けられている、
ことを特徴とする請求項14に記載の充電システム。
【請求項16】
前記データサーバは、複数の前記機能端末の各々における前記バッテリの充電実績を示すバッテリ情報および前記バッテリの交換履歴を示す履歴情報を、複数の前記機能端末の各々に割り振られた前記端末IDと対応付けて更新可能に格納する、
ことを特徴とする請求項15のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項17】
前記データサーバは、複数の前記機能端末の各々が敷設されている前記対象物を示す敷設対象情報を、複数の前記機能端末の各々に割り振られた前記端末IDと対応付けて更新可能に格納する、
ことを特徴とする請求項16のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項18】
前記機能部は、前記対象物に関する情報を検出するセンサ部である、
ことを特徴とする請求項17のいずれか一つに記載の充電システム。
【請求項19】
前記センサ部によって検出される前記対象物に関する情報は、温度、湿度、振動量、加速度、前記対象物での漏水、浸水、凍結、降雪、降雨の有無のうち少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項18に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサや通信機器等のデバイスの小型化、高性能化に伴い、多種多様な「モノ(物)」をインターネットにつなげるという概念、所謂、モノのインターネット化(IoT:Internet of Things)への注目が高まっている。様々な産業分野においては、IoTを実現するために対象物に敷設されるデバイス(以下、IoTデバイスという)を活用することにより、作業の自動化や効率化等に役立つことが期待されている。
【0003】
例えば、IoTデバイスは、センサおよび通信機器等を組み合わせることによって構成され、多種多様な対象物に敷設される。IoTデバイスは、対象物に敷設された場合、この対象物の温度や振動量等の物理量を検出し、検出した物理量をインターネット経由で外部の管理装置に送信することができる。
【0004】
また、上記のようなIoTデバイスの電源としては、一般に、乾電池が利用される。しかし、乾電池では、電池切れの恐れがあった。一方、IoTデバイス以外の機器には、電源として、乾電池が採用されているものもあれば、充電と放電とを繰り返し行うことが可能な充電式のバッテリ(二次電池)が採用されているものもある。充電式のバッテリが採用された機器は、電力の消耗に応じてバッテリを充電することにより、一次電池の場合に比べてバッテリ交換の手間を低減するとともに、センシング等の動作を継続して行うことができる。
【0005】
なお、バッテリの充電に関する従来技術としては、例えば、所定の間隔を置いて観測場所に設置されている複数の観測機器の各受電部に対し、移動体に搭載された送電・通信機器から無線で給電するもの(特許文献1参照)が提案されている。また、飛行体が離発着可能な場所に設けられた充電装置により、当該飛行体からなる端末装置のバッテリを充電するもの(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-22949号公報
【文献】国際公開第2018/193776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、IoTデバイスが敷設される対象物には、家電や自動車等、IoTデバイスの敷設範囲が局所的な物もあれば、公共の電線や通信ケーブル等、IoTデバイスの敷設範囲が広域に亘る物もある。例えば、対象物が公共の電線である場合、IoTデバイスは、電線を広域に亘って架空する複数の電柱に各々敷設される。また、対象物が鉄道等の公共施設の通信ケーブルである場合、IoTデバイスは、通信ケーブルを備えた通信機器等の設備を浸水から保護するための密閉容器(クロージャ)の内部に収容された状態で、線路近傍のトラフ内に沿って分散するように複数配置される。
【0008】
また、IoTデバイスの特徴としては、センサ等のデバイスを様々な対象物に敷設することだけでなく、当該デバイスが敷設される対象物を動的に変更すること等が挙げられる。
【0009】
上記のようなIoTデバイスのバッテリは、従来、乾電池が用いられており、再充電されていなかった。そのため、IoTデバイスのバッテリが切れた場合には、例えばIoTデバイスが格納された密閉容器を開閉して、IoTデバイスのバッテリ交換が行われていた。これらの作業は、作業者による手作業であった。これに対し、近年では、IoTデバイスの電源として充電式のバッテリが採用されること、また、IoTデバイスのバッテリ残量が少なくなった場合、このIoTデバイスのバッテリを充電器によって再充電することが要望されている。
【0010】
しかしながら、IoTデバイスのバッテリを再充電するためには、作業者が、充電器を携帯して充電対象のIoTデバイスの敷設位置へ移動し、充電器を操作して当該IoTデバイスのバッテリに電力を供給する必要がある。特に、IoTデバイスが広域に亘り複数分散して対象物に敷設されている場合、作業者は、これら複数のIoTデバイスの各々について、上記バッテリの充電を逐次行うこととなる。これに加え、例えば、IoTデバイスが対象物の高所(電柱や鉄塔の上部等)に敷設されている場合、作業者は、バッテリの充電毎に高所へ移動しなければならない。また、IoTデバイスが密閉容器(トラフ内のクロージャ等)に格納されている場合、作業者は、バッテリの充電毎に、トラフの重い蓋を開閉する等して、密閉容器を開閉しなければならない。故に、上記バッテリの再充電を行う際、作業者に多大な手間が掛かるという問題が生じる。
【0011】
また、上述した特許文献1、2に記載の従来技術では、決まった場所に位置する機器のバッテリを再充電することは可能であるが、IoTデバイスの敷設位置は、上述したように、IoTデバイスが敷設される対象物の変更に伴って変更され得る。それ故、上記従来技術では、敷設位置が変更され得るIoTデバイスに近接して当該IoTデバイスのバッテリを再充電することは困難である。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、バッテリの再充電に掛かる手間を低減してバッテリの再充電を自動で容易に行うことができる充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る充電システムは、
充電式のバッテリと、ガイド信号を発生する発信部とを有する機能端末と、
前記機能端末に近接するように移動して、前記機能端末の前記バッテリの充電を行うことが可能な移動式充電器と、
前記機能端末に近接するための前記移動式充電器の移動を制御する制御装置と、
を備える充電システムであって、
前記移動式充電器は、前記ガイド信号を利用せずに前記機能端末に向かって移動する第1の移動と、前記ガイド信号を利用して前記機能端末に近接するまで移動する第2の移動とを行う、
ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記機能端末の位置を前記機能端末に固有の端末IDと対応付けて管理するデータサーバを備える、
ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記データサーバは、前記バッテリのメンテナンス実績を前記端末IDと対応付けて管理する、
ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記機能端末は、
前記バッテリの電力を利用して所定の機能を実行する機能部と、
前記端末IDを記憶する端末メモリと、
ネットワークを介して発信指示情報を受信する第1の通信部と、
前記発信指示情報に基づいて前記ガイド信号を発信する前記発信部としての機能を有する第2の通信部と、
を備えて対象物に敷設され、
前記移動式充電器は、
前記ネットワークを介して移動指示情報を受信する第3の通信部と、
前記ガイド信号を受信する第4の通信部と、
前記バッテリを充電する充電機能部と、
前記第3の通信部と前記第4の通信部と前記充電機能部とを搭載して移動する移動体と、
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記移動式充電器のうち前記バッテリのメンテナンスを行う特定の前記移動式充電器の位置を導出する位置処理部と、
特定の前記移動式充電器の位置からメンテナンス対象の前記機能端末の位置への移動を指示するための前記移動指示情報と、前記ガイド信号の発信を指示するための前記発信指示情報とを生成する指示処理部と、
を備え、
前記データサーバは、前記ネットワークを介して、特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記移動指示情報を送信し、メンテナンス対象の前記機能端末に対応する前記第1の通信部に前記発信指示情報を送信するように構成され、
前記移動体は、前記第1の移動として、前記移動指示情報をもとにメンテナンス対象の前記機能端末の敷設エリア内に移動し、前記第2の移動として、前記敷設エリア内で前記第2の通信部から発信されている前記ガイド信号に誘導されてメンテナンス対象の前記機能端末に近接するように構成されている、
ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記移動体は、前記敷設エリア内で前記第4の通信部が受信する前記ガイド信号の受信強度が強くなる方向に移動する、
ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記指示処理部は、複数の前記機能端末のうちメンテナンス対象の前記機能端末に対する前記バッテリのメンテナンスを指示するためのメンテナンス指示情報を生成し、
前記データサーバは、前記ネットワークを介して、特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記メンテナンス指示情報を送信し、
前記充電機能部は、前記メンテナンス指示情報に基づいて、メンテナンス対象の前記機能端末の前記バッテリを充電する、
ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記制御装置は、複数の前記移動式充電器の中から、前記メンテナンス指示情報を送信していない空き状態であり且つメンテナンス対象の前記機能端末の位置までの到着時間が最も短い状態である特定の前記移動式充電器を検索する検索処理部を備え、
前記データサーバは、検索された特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部に前記メンテナンス指示情報および前記移動指示情報を送信する、
ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記機能端末は、前記バッテリの蓄電量を測定する蓄電量測定部を備え、
前記制御装置は、測定された前記蓄電量と前記端末IDとを対応付けた蓄電量測定データをもとに、前記機能端末の前記バッテリがメンテナンスを要する状態であるか否かを判断する判断処理部を備え、
前記蓄電量測定データは、前記ネットワークを介して前記データサーバに送信される、
ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記制御装置は、複数の前記機能端末の中から、前記バッテリの検査対象とする機能端末を選択する選択処理部を備え、
前記データサーバは、選択された前記機能端末の前記蓄電量測定データを受信する、
ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記判断処理部は、選択された前記機能端末の前記バッテリがメンテナンスを要する状態であるか否かを判断する、
ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記充電機能部は、
前記バッテリを充電するための送電部と、
前記バッテリを充電している際の前記送電部の送電量を測定する送電量測定部と、
を備え、
前記データサーバは、測定された前記送電量を示す送電量測定データを、前記ネットワークを介して特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部から受信し、
前記判断処理部は、メンテナンス対象の前記機能端末の前記蓄電量測定データと特定の前記移動式充電器の前記送電量測定データとをもとに、メンテナンス対象の前記機能端末に対する前記バッテリの充電が完了したか否かを判断し、
前記指示処理部は、前記バッテリの充電が完了したと判断された場合、特定の前記移動式充電器に充電完了を指示するための完了指示情報を生成し、前記バッテリの充電が未完了であると判断された場合、特定の前記移動式充電器に前記バッテリの再充電を指示するための再充電指示情報を生成し、
特定の前記移動式充電器に対応する前記第3の通信部には、前記ネットワークを介して前記データサーバから前記完了指示情報または前記再充電指示情報が送信される、
ことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記データサーバに格納された前記バッテリのメンテナンス実績をもとに、交換が必要な場合と不要な場合との双方における前記バッテリの蓄電状態を学習して、前記バッテリが交換を要する状態であるか否かを判断し得る判断則を構築する学習装置を備え、
前記判断処理部は、前記蓄電量測定データをもとに、前記判断則に従って前記バッテリが交換を要する状態であるか否かを判断する、
ことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記第3の通信部は、前記移動体に設けられている、
ことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記第4の通信部は、前記充電機能部に設けられている、
ことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記移動式充電器は、前記第3の通信部を有する通信装置を備え、
前記通信装置は、前記移動体に搭載される、
ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記移動式充電器は、静止画または動画を撮像する撮像部を備える、
ことを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記撮像部は、前記移動体に設けられている、
ことを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記データサーバは、複数の前記機能端末の各々における前記バッテリの充電実績を示すバッテリ情報および前記バッテリの交換履歴を示す履歴情報を、複数の前記機能端末の各々に割り振られた前記端末IDと対応付けて更新可能に格納する、
ことを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記データサーバは、複数の前記機能端末の各々が敷設されている前記対象物を示す敷設対象情報を、複数の前記機能端末の各々に割り振られた前記端末IDと対応付けて更新可能に格納する、
ことを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記機能部は、前記対象物に関する情報を検出するセンサ部である、
ことを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る充電システムは、上記の発明において、
前記センサ部によって検出される前記対象物に関する情報は、温度、湿度、振動量、加速度、前記対象物での漏水、浸水、凍結、降雪、降雨の有無のうち少なくとも一つである、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る充電システムは、バッテリの再充電に掛かる手間を低減してバッテリの再充電を自動で容易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る充電システムの一構成例を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態1におけるセンサ装置の一構成例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態1における充電器の一構成例を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施形態1における管理装置の一構成例を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施形態1に係る充電システムのバッテリ検査の処理フローを例示するフロー図である。
図6図6は、本発明の実施形態1におけるセンサ選択処理の一例を示すフロー図である。
図7図7は、本発明の実施形態1における敷設対象情報の更新処理の一例を示すフロー図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係る充電システムによるバッテリのメンテナンス処理の処理フローを例示するフロー図である。
図9図9は、本発明の実施形態1における特定の充電器の広域および局所域の移動を説明するための図である。
図10図10は、本発明の実施形態2に係る充電システムに適用される充電器の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、図面を参照して本発明に係る充電システムの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0037】
<実施形態1>
(充電システムの構成)
まず、本発明の実施形態1に係る充電システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る充電システムの一構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態1に係る充電システム1は、電源として充電式のバッテリを各々備える複数のセンサ装置2-1~2-aと、これらのバッテリの充電を必要に応じて行う複数の充電器3-1~3-bと、これらのバッテリの充電や交換といったメンテナンスの状況等を管理する管理装置6とを備える。以下、「バッテリのメンテナンス」または単に「メンテナンス」といえば、バッテリの充電や交換を意味する。
【0038】
複数のセンサ装置2-1~2-aは、各々、所望の対象物(図示せず)に敷設されるIoTデバイス等の機能端末の一例である。本実施形態1において、上記「a」は2以上の整数(図1では4以上の整数)であり、センサ装置2-1~2-aの配置数は、合計a個(≧2個)である。例えば、複数のセンサ装置2-1~2-aは、広域な領域に亘って分散するように単一または複数の対象物に敷設されている。また、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々が敷設される対象物を特定するために用いるID情報は、これら複数のセンサ装置2-1~2-aの各メモリや管理装置6が備える記憶装置(後述するデータサーバ)に格納されている。
【0039】
これらのセンサ装置2-1~2-aの各々は、電源として充電式のバッテリを備え、所定の情報を検出する検出機能と、図1に示すネットワーク5を介して管理装置6と信号を送受信する通信機能(広域の通信機能)と、充電器3-1~3-bのうち自身の近傍に存在する充電器と直に信号を送受信する通信機能(局所域の通信機能)とを有する。例えば、これらのセンサ装置2-1~2-aの各々は、バッテリの電力を利用して、上記対象物に関する情報を検出し、検出した情報を、ネットワーク5を介して管理装置6に送信する。なお、センサ装置2-1~2-aの個数は、動的に増減することが可能である。
【0040】
これらのセンサ装置2-1~2-aの各々が敷設される対象物としては、例えば、電線、電柱、鉄塔、地中またはトラフ内に設置される通信ケーブル等の通信機器、ビル、インフラ施設等、広域な領域に亘って設置されている構造物が挙げられる。また、センサ装置2-1~2-aの各々によって検出される対象物の情報は、例えば、温度、湿度、振動量、加速度等の物理量や、敷設される対象物での漏水、浸水、凍結(路面凍結、地面凍結)、降雪、降雨の有無等の情報のうち少なくとも一つである。以下、単に「対象物」といえば、センサ装置2-1~2-aの各々が敷設される対象物を意味する。
【0041】
複数の充電器3-1~3-bは、各々、上述したセンサ装置2-1~2-aの各バッテリを必要に応じて充電するための移動式充電器の一例である。本実施形態1において、上記「b」は2以上の整数(図1では5以上の整数)であり、充電器3-1~3-bの総数は、b個(≧2個)である。複数の充電器3-1~3-bの各々は、バッテリを充電する充電機能と、ネットワーク5を介して管理装置6と信号を送受信する広域の通信機能と、センサ装置2-1~2-aのうち自身の近傍に存在するセンサ装置と直に信号を送受信する局所域の通信機能と、自動で移動し得る移動機能とを有する。
【0042】
例えば、これらの充電器3-1~3-bの各々は、メンテナンス対象のセンサ装置に対するバッテリの充電や交換といったメンテナンスに関する情報と、このセンサ装置が敷設された位置への移動に関する情報とを、ネットワーク5を介して管理装置6と送受信する。特に、これらの充電器3-1~3-bのうち、ネットワーク5を介して管理装置6からバッテリのメンテナンス指示情報を受信した特定の充電器が、メンテナンス対象のセンサ装置の位置へ移動し、このセンサ装置に対してバッテリの充電を行う。本実施形態1において、メンテナンス対象のセンサ装置は、センサ装置2-1~2-aのうちの何れかである。また、これらの充電器3-1~3-bの各々が有する充電機能としては、例えば、非接触でバッテリを充電するワイヤレス充電機能が挙げられる。
【0043】
なお、充電器3-1~3-bの各々は、自動で移動可能なものであればよく、通信機能の部分と充電機能の部分とが分離可能に構成されていてもよいし、一体に構成されていてもよい。
【0044】
管理装置6は、複数のセンサ装置2-1~2-aおよび複数の充電器3-1~3-bについて、バッテリのメンテナンス状況等を管理する装置である。例えば、図1に示すように、管理装置6は、ネットワーク5を介して複数のセンサ装置2-1~2-aの各々からバッテリの蓄電量(充電量)等の情報を取得し、取得した情報を各センサ装置2-1~2-a別に管理する。また、管理装置6は、ネットワーク5を介して複数の充電器3-1~3-bの各々からバッテリのメンテナンスに関する情報を送受信し、これにより、バッテリに対するメンテナンスの実行等の状況を各充電器3-1~3-b別に管理する。また、管理装置6は、複数の充電器3-1~3-bの各々について、目的地への移動およびバッテリのメンテナンスを制御する。
【0045】
本実施形態1において、ネットワーク5は、インターネットまたはLAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信ネットワークであり、例えば図1に示すように、複数の基地局4-1~4-cを有する。複数の基地局4-1~4-cは、ネットワーク5における無線通信の基地局であり、広域に亘って、互いの通信エリアが部分的に重なるように分散して設置されている。上述したセンサ装置2-1~2-aの各々は、これらの基地局4-1~4-cのうち少なくとも一つの基地局の通信エリア内に位置するように、対象物に敷設されている。例えば、基地局4-1、4-2、4-3、4-4の各通信エリア内には、センサ装置2-1、2-2、2-3の何れかが位置している。また、これらの基地局4-1~4-cの各々は、自身の通信エリア内に運ばれた充電器(例えば図1に示す充電器3-1、3-2、3-3、3-4)と無線通信を行うことができる。
【0046】
以下では、説明の便宜上、上述したセンサ装置2-1~2-aを総称して「センサ装置2」という場合がある。すなわち、センサ装置2は、複数のセンサ装置2-1~2-aのいずれか一つまたは全てを意味する。これと同様に、上述した充電器3-1~3-bを総称して「充電器3」という場合があり、充電器3は、複数の充電器3-1~3-bのいずれか一つまたは全てを意味する。上述した基地局4-1~4-cを総称して「基地局4」という場合があり、基地局4は、複数の基地局4-1~4-cのいずれか一つまたは全てを意味する。
【0047】
(センサ装置の構成)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1に含まれるセンサ装置2の構成について説明する。図2は、本発明の実施形態1におけるセンサ装置の一構成例を示すブロック図である。本実施形態1において、センサ装置2は、上述した対象物に敷設される機能端末の一例であり、図2に示すように、バッテリ21と、センサ部22と、メモリ23と、受電部24と、蓄電量測定部25と、端末通信部26と、局所域通信部27と、制御部28とを備える。
【0048】
バッテリ21は、センサ装置2の電源として機能する充電式のバッテリであり、センサ装置2に交換可能に組み込まれる。バッテリ21は、充電器3によって充電(再充電を含む)され、これによって電力を蓄積する。バッテリ21は、このような充電と、センサ装置2の各構成部へ電力を供給する放電とを繰り返し行うことが可能である。例えば、バッテリ21は、センサ部22、メモリ23、蓄電量測定部25および制御部28等に電力を供給する。また、バッテリ21は、制御部28を介して、端末通信部26の広域送信部26aおよび広域受信部26bと、局所域通信部27とに電力を供給する。
【0049】
なお、本実施形態1において、広域送信部26a、広域受信部26bおよび局所域通信部27には、制御部28を介してバッテリ21の電力が供給されているが、これに限らず、バッテリ21から直接的に電力が供給されてもよい。また、バッテリ21として、例えば、キャパシタ、鉛蓄電池またはリチウム電池等の充電可能な電池(二次電池)が挙げられる。
【0050】
センサ部22は、センサ装置2が敷設された対象物に関する所定の機能を実行する機能部の一例である。本実施形態1において、センサ部22は、上記所定の機能として、対象物に関する情報を検出する検出機能を有する。具体的には、センサ部22は、バッテリ21の電力を利用して、対象物に関して目的とする情報を検出する。センサ部22によって検出される上記情報(対象物に関する情報)としては、例えば、温度、湿度、振動量(振動振幅)、振動加速度、敷設される対象物での漏水、浸水、凍結(路面凍結、地面凍結)、降雪、降雨の有無、対象物周辺の温度等の環境情報等のうち少なくとも一つが挙げられる。
【0051】
メモリ23は、センサ装置2に固有の端末IDを記憶する端末メモリの一例である。具体的には、上述した複数のセンサ装置2-1~2-a(図1参照)のうち、このセンサ装置2に割り振られた端末IDが、このセンサ装置2のメモリ23に格納される。このメモリ23が当該端末IDを記憶することにより、このセンサ装置2は、当該端末IDと対応付けられ、当該端末IDに基づいて他のセンサ装置と識別可能になる。
【0052】
受電部24は、バッテリ21を充電するための電力を充電器3から受けるものである。受電部24は、ワイヤレス給電方式のものであることが望ましいが、コンセントプラグ方式のものでもよい。具体的には、受電部24がワイヤレス給電方式のものである場合、受電部24は、コイルや電極等の素子によって構成される。受電部24は、充電器3によるバッテリ21の充電の際、充電器3から発生した交番電界または交番磁界(以下、電磁界と略記する)を電力に変換して受電し、得られた電力をバッテリ21に供給する。これにより、受電部24は、充電器3からの電力をバッテリ21に蓄積させる。
【0053】
蓄電量測定部25は、バッテリ21の蓄電量を測定するものである。詳細には、蓄電量測定部25は、電流計および電圧計等によって構成される。蓄電量測定部25は、バッテリ21に蓄積(充電)されている電力の蓄電量(バッテリ残量ともいう)を測定する。
【0054】
端末通信部26は、図1に示したネットワーク5を介してセンサ装置2と管理装置6とが通信を行うための広域の通信部(第1の通信部の一例)である。詳細には、図2に示すように、端末通信部26は、広域送信部26aと広域受信部26bとによって構成される。広域送信部26aおよび広域受信部26bは、ネットワーク5の基地局4と無線通信を行い、これにより、基地局4からネットワーク5を介して管理装置6と通信可能に接続される。例えば、広域送信部26aは、バッテリ21の蓄電量測定データを、無線信号に含めて基地局4に送信することにより、この基地局4からネットワーク5を介して管理装置6に送信する。
【0055】
本実施形態1において、無線信号は、送信対象のデータをのせた搬送波に対して所定の変調処理等を行うことによって生成される信号である。バッテリ21の蓄電量測定データは、蓄電量測定部25によって測定されたバッテリ21の蓄電量とメモリ23から読み出された端末IDとを対応付けたデータである。
【0056】
また、広域受信部26bは、管理装置6によって送信された情報を、ネットワーク5を介して基地局4から受信する。この際、広域受信部26bは、基地局4から受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行うことにより、この無線信号に含まれる情報(管理装置6からの送信情報)を取得する。例えば、広域受信部26bがネットワーク5を介して管理装置6から受信する情報として、バッテリ21の蓄電量の測定を指示する情報、特定の充電器3をメンテナンス対象のセンサ装置2の位置へ誘導するためのガイド信号の発信を指示する情報(後述の発信指示情報)等が挙げられる。
【0057】
局所域通信部27は、上述した端末通信部26に比べて狭い領域(すなわち局所域)内における通信を行う第2の通信部の一例である。局所域通信部27は、無線通信を行うものであることが望ましいが、有線通信を行うものでもよい。具体的には、局所域通信部27が無線通信を行うものである場合、局所域通信部27は、受電部24に対して電磁界を発生させる充電器3、すなわち、バッテリ21を充電する充電器3と無線通信を行う。例えば、局所域通信部27は、この充電器3に対して直に、バッテリ21の充電に関する情報を送受信する。また、局所域通信部27は、管理装置6からの発信指示情報に基づいてガイド信号を発信する発信部としての機能を有する。
【0058】
制御部28は、センサ装置2の動作を制御するものである。詳細には、制御部28は、処理プログラム等を記憶するメモリおよび当該処理プログラムを実行するCPU等によって構成される。制御部28は、センサ装置2の各構成部の動作および処理と、各構成部間での信号の送受信とを制御する。例えば、制御部28は、センサ部22および蓄電量測定部25の各動作タイミング、メモリ23による情報の記憶および読み出し処理、広域送信部26a、広域受信部26bおよび局所域通信部27の各通信処理等を制御する。
【0059】
(充電器の構成)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1に含まれる充電器3の構成について説明する。図3は、本発明の実施形態1における充電器の一構成例を示すブロック図である。本実施形態1において、充電器3は、上述した対象物に敷設されている機能端末に近接するように移動して、当該機能端末のバッテリの充電等のメンテナンスを実行することが可能な移動式充電器の一例である。図3に示すように、充電器3は、充電機能等を担う充電機能部30と、移動機能等を担う移動体40とを備える。
【0060】
充電機能部30は、センサ装置2のバッテリ21(図2参照)を充電する充電機能部の一例であり、図3に示すように、送電部31と、送電量測定部32と、局所域通信部33と、メモリ35と、入力部36と、表示部37と、大容量バッテリ38と、制御部39とを備える。本実施形態1において、充電機能部30は、移動体40に搭載されている。なお、充電機能部30は、移動体40に対して分離可能に搭載されてもよいし、移動体40に対して一体に搭載され、移動体40と同一の筐体内部に設けられてもよい。
【0061】
送電部31は、センサ装置2のバッテリ21を充電するためのものである。送電部31は、無線で送電するものが望ましいが、有線で送電するものでもよい。具体的には、送電部31が無線で送電するものである場合、送電部31は、コイルや電極等の素子によって構成される。充電機能部30は、管理装置6からのメンテナンス指示情報に基づいて、送電部31により、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を充電する。例えば、送電部31は、大容量バッテリ38から電力を受けて、充電器3の外部空間に電磁界を発生させる。送電部31は、この電磁界をセンサ装置2の受電部24(図2参照)に受けさせ、これにより、この受電部24に大容量バッテリ38からの電力を送電し、この受電部24を介してセンサ装置2のバッテリ21に当該電力を供給(充電)する。
【0062】
送電量測定部32は、センサ装置2のバッテリ21を充電している際の送電部31の送電量を測定するものである。詳細には、送電量測定部32は、電流計および電圧計等によって構成される。送電量測定部32は、センサ装置2のバッテリ21を充電すべく送電部31が電磁界を介してセンサ装置2の受電部24に電力を送電している期間、連続的または所定の時間間隔で断続的に、送電部31からの電力の送電量を測定する。
【0063】
局所域通信部33は、局所域内における無線通信を行うものである。詳細には、局所域通信部33は、送電部31から送電される電力を受電するセンサ装置2、すなわち、メンテナンス対象のセンサ装置2と無線通信を行う。例えば、局所域通信部33は、メンテナンス対象のセンサ装置2におけるバッテリ21の充電に関する情報を、このセンサ装置2から受信する。また、局所域通信部33は、センサ装置2の局所域通信部27(図2参照)から発信されたガイド信号を受信する第4の通信部としての機能を有する。このような局所域通信部33は、例えば図3に示すように、充電機能部30に設けられている。
【0064】
メモリ35は、充電器3に固有の充電器IDを記憶する充電器メモリの一例である。具体的には、上述した複数の充電器3-1~3-b(図1参照)のうち、この充電器3に割り振られた充電器IDが、この充電器3のメモリ35に格納される。このメモリ35が当該充電器IDを記憶することにより、この充電器3は、当該充電器IDと対応付けられ、当該充電器IDに基づいて他の充電器と識別可能になる。
【0065】
入力部36は、充電器3に各種情報を入力するためのものである。詳細には、入力部36は、入力ボタンまたはタッチパネル等によって構成され、作業者の入力操作などに応じて各種情報を制御部39に入力する。入力部36は、カメラやビデオなどを用いて画像情報を入力するものでもよい。入力部36によって入力される情報として、例えば、センサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスに関する情報、センサ装置2が敷設されている対象物を示す情報等が挙げられる。
【0066】
表示部37は、充電器3に各種情報を表示するためのものである。詳細には、表示部37は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスによって構成され、制御部39によって表示指示された情報を表示する。表示部37によって表示される情報として、例えば、管理装置6からの各種情報、入力部36によって入力された情報等が挙げられる。また、表示部37は、カメラやビデオなど(例えば後述の撮像部44)によって撮像された静止画や動画を再生してもよい。
【0067】
大容量バッテリ38は、充電器3の電源およびセンサ装置2の充電用電源として機能する大容量のバッテリである。詳細には、大容量バッテリ38は、一次電池または二次電池によって構成され、例えば、充電機能部30に交換可能に組み込まれる。大容量バッテリ38は、充電機能部30の各構成部、例えば、送電量測定部32、メモリ35、入力部36、表示部37および制御部39等に電力を供給する。また、大容量バッテリ38は、制御部39を介して、局所域通信部33に電力を供給する。一方、大容量バッテリ38は、充電機能部30がセンサ装置2を充電する際、送電部31に充電用の電力を供給する。
【0068】
制御部39は、充電機能部30の動作を制御するものである。詳細には、制御部39は、処理プログラム等を記憶するメモリおよび当該処理プログラムを実行するCPU等によって構成される。制御部39は、充電機能部30の各構成部の動作および処理と、各構成部間での信号の送受信とを制御する。例えば、制御部39は、送電部31および送電量測定部32の各動作タイミング、局所域通信部33の各通信処理、メモリ35による情報の記憶および読み出し処理、入力部36の入力処理、表示部37の表示動作を制御する。
【0069】
一方、移動体40は、充電器3における広域の通信部(第3の通信部)と局所域の通信部(第4の通信部)と充電機能部とを搭載して移動する移動体の一例である。本実施形態1では、図3に示すように、移動体40は、充電器3の充電機能部の一例である充電機能部30と、充電機能部30に設けられている局所域通信部33(第4の通信部の一例)とを搭載している。また、図3に示すように、移動体40は、駆動部41と、作業部42と、位置導出部43と、撮像部44と、広域通信部45と、制御部46とを備える。すなわち、移動体40は、上記第3の通信部の一例として広域通信部45を搭載している。
【0070】
駆動部41は、移動体40の移動機能を実現するものである。詳細には、駆動部41は、地上または空中等での移動を実現するための移動機構と、この移動機構を駆動するためのモータ等の駆動源とによって構成される。例えば、駆動部41の移動機構として、地上で歩行または走行するための脚部や車輪機構、空中で飛行または浮揚するためのホバリング機構等が挙げられる。具体的には、このような駆動部41を有する移動体40として、例えば、自立移動(歩行または走行)が可能なロボット、空中を飛行可能なドローン等の飛行体が挙げられる。また、移動体40としては、例えば、警備ロボットや清掃ロボットなど、LANの通信エリア内で、定期的に指定された特定の範囲を循環するロボットなどを利用してもよい。
【0071】
作業部42は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス作業を行うものである。詳細には、作業部42は、物体を取り扱うことができるアーム等の作業機構と、この作業機構を駆動するためのモータ等の駆動源とによって構成される。本実施形態1において、作業部42は、交換用のバッテリ21を取り扱い、メンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21の交換作業を行う。
【0072】
位置導出部43は、充電器3の位置を導出するものである。詳細には、位置導出部43は、3点測位等の手法によって現在位置を測位する測位処理部、または、現在位置を検出するGPSセンサ等のセンサ類によって構成される。位置導出部43は、充電器3が移動体40の作用によって移動している際、この充電器3の現在位置を時系列に沿って順次導出する。
【0073】
撮像部44は、静止画または動画等の画像を撮像するもの(充電器3の撮像部の一例)である。本実施形態1では、図3に示すように、撮像部44は、一構成部として移動体40に設けられている。撮像部44は、制御部46の制御に基づいて画像を撮像する。撮像部44によって撮像される画像として、例えば、センサ装置2を含む周辺状況の画像、センサ装置2が敷設されている対象物の画像、センサ装置2の充電時や充電前後におけるセンサ装置2の画像等が挙げられる。撮像部44による画像は、充電機能部30のメモリ35に格納されてもよいし、広域通信部45からネットワーク5の基地局4を介して管理装置6に送信されてもよい。
【0074】
広域通信部45は、上述したネットワーク5を介して充電器3と管理装置6とが通信を行うための広域の通信部(第3の通信部の一例)である。詳細には、図3に示すように、広域通信部45は、広域送信部45aと広域受信部45bとによって構成される。広域送信部45aおよび広域受信部45bは、ネットワーク5の基地局4と無線通信を行い、これにより、基地局4からネットワーク5を介して管理装置6と通信可能に接続される。このような広域通信部45は、例えば図3に示すように、移動体40に設けられている。
【0075】
本実施形態1において、広域送信部45aは、充電機能部30の送電部31の送電量測定データを、無線信号に含めて基地局4に送信することにより、この基地局4からネットワーク5を介して管理装置6に送信する。送電量31の送電量測定データは、上述した送電量測定部32によって測定された送電部31の蓄電量を示すデータである。本実施形態1において、広域送信部45aは、このような送電量測定データを、充電器3に固有の充電器IDと対応付けて送信する。
【0076】
また、広域受信部45bは、管理装置6によって送信された情報を、ネットワーク5を介して基地局4から受信する。この際、広域受信部45bは、基地局4から受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行うことにより、この無線信号に含まれる情報(管理装置6からの送信情報)を取得する。例えば、広域受信部45bがネットワーク5を介して管理装置6から受信する情報として、充電器3の移動体40に移動を指示するための情報(後述の移動指示情報)、センサ装置2のバッテリ21のメンテナンスを指示するための情報(後述のメンテナンス指示情報)等が挙げられる。
【0077】
制御部46は、充電器3の移動体40の動作を制御するものである。詳細には、制御部46は、処理プログラム等を記憶するメモリおよび当該処理プログラムを実行するCPU等によって構成される。制御部46は、移動体40の各構成部の動作および処理と、各構成部間での信号の送受信とを制御する。例えば、制御部46は、駆動部41および作業部42の各動作タイミング、位置導出部43の処理、広域送信部45aおよび広域受信部45bの各通信処理、撮像部44の撮像動作を制御する。
【0078】
また、充電器3において、充電機能部30と移動体40とは、配線等を通じて電気的に接続されている。これにより、例えば図3に示すように、移動体40の制御部46は、充電機能部30の制御部39と信号を送受信し得るように接続される。移動体40の制御部46が充電機能部30の制御部39へ送信する信号として、例えば、広域受信部45bによって受信された信号(管理装置6からの情報を含む信号)が挙げられる。移動体40の制御部46が充電機能部30の制御部39から受信する信号として、例えば、送電量測定データや充電器ID等の情報を含む信号が挙げられる。なお、これらの制御部39、46同士は、配線を通じて有線通信可能に接続されてもよいし、無線通信部(図示せず)を介して無線通信可能に接続されてもよい。
【0079】
特に図3には図示していないが、移動体40は、動力源としてバッテリを備えている。移動体40の各構成部には、このバッテリから電力が供給される。或いは、移動体40の各構成部には、充電機能部30の大容量バッテリ38から電力が供給されてもよい。
【0080】
(管理装置の構成)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1に含まれる管理装置6の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態1における管理装置の一構成例を示すブロック図である。本実施形態1において、管理装置6は、充電システム1における複数のセンサ装置2および充電器3の各々に関する各種情報、これらのセンサ装置2の各々におけるバッテリ21のメンテナンスの状況および実績等を管理する装置である。また、管理装置6は、センサ装置2が敷設されている位置への充電器3の移動を制御するための機能を有している。このような管理装置6は、例えば図4に示すように、データサーバ61と、制御装置62と、学習装置63と、入力部64とを備える。
【0081】
データサーバ61は、ネットワーク5を介して各種情報やデータを送受信する広域の通信機能と、取得した情報やデータを格納して管理する管理機能とを有する。本実施形態1において、データサーバ61は、図4に示すように、ネットワーク5と通信可能に接続され、このネットワーク5における複数の基地局4-1~4-cを介して、上述したセンサ装置2および充電器3と通信を行う。データサーバ61は、センサ装置2からの受信データ等に基づく各種情報、すなわち、センサ装置2に関する各種情報を格納して管理する。例えば、データサーバ61は、センサ装置2の位置およびバッテリ21のメンテナンス実績等をセンサ装置2の端末IDと対応付けて管理する。また、データサーバ61は、充電器3からの受信データ等に基づく各種情報、すなわち、充電器3に関する各種情報を格納して管理する。
【0082】
詳細には、図4に示すように、データサーバ61は、センサ装置2に関する情報として、ID情報61aと、敷設対象情報61bと、位置情報61cと、バッテリ情報61dと、履歴情報61eとを格納し、管理する。また、データサーバ61は、充電器3に関する情報として、充電器情報61fを格納し、管理する。
【0083】
上述の各種情報の中でも、IoTデバイスとして機能するセンサ装置2の状況を管理するという観点から特に重要なものが、敷設対象情報61bである。何故ならば、IoTデバイスとしてのセンサ装置2は、敷設される対象物が多種多様であったり、敷設される対象物が動的に変化したりするためである。
【0084】
ID情報61aは、センサ装置2に固有の端末IDを示す情報である。詳細には、ID情報61aは、複数のセンサ装置2(具体的には図1に示したセンサ装置2-1~2-aの全て)に各々割り振られた複数の端末IDを含む。例えば、これら複数の端末IDは、入力部64によって制御装置62に入力され、制御装置62を介してデータサーバ61に入力される。データサーバ61は、これら複数の端末IDを、ID情報61aとして格納し、複数のセンサ装置2の各別に管理する。
【0085】
敷設対象情報61bは、複数のセンサ装置2の各々が敷設されている対象物を示す情報である。例えば、センサ装置2の対象物の情報は、入力部64によってセンサ装置2の端末ID別に制御装置62に入力され、制御装置62を介してデータサーバ61に入力される。あるいは、センサ装置2の対象物の情報は、このセンサ装置2の端末IDとともに充電器3に入力または受信され、この充電器3の広域送信部45aからネットワーク5を介して当該端末IDとともにデータサーバ61に受信される。また、センサ装置2の対象物の情報は、充電器3から送信された対象物の画像(撮像部44による静止画または動画)、対象物の周辺またはセンサ装置2の周辺を示す周辺情報を含んでいてもよい。
【0086】
データサーバ61は、上記のようにして取得した対象物の情報を含む敷設対象情報61bを、複数のセンサ装置2の各々に割り振られた端末IDと対応付けて更新可能に格納する。データサーバ61は、格納した敷設対象情報61bを、センサ装置2が敷設されている現在の対象物を示す情報としてセンサ装置2の端末ID別に管理する。
【0087】
位置情報61cは、複数のセンサ装置2の各位置を示す情報である。例えば、センサ装置2の位置は、後述する制御装置62の位置処理部62eによって算出され、制御装置62からデータサーバ61に入力される。あるいは、センサ装置2の位置は、このセンサ装置2の端末IDとともに充電器3に入力または受信され、この充電器3の広域送信部45aからネットワーク5を介して当該端末IDとともにデータサーバ61に受信される。データサーバ61は、上記のようにして取得したセンサ装置2の位置を示す位置情報61cを、複数のセンサ装置2の各々に割り振られた端末IDと対応付けて更新可能に格納する。データサーバ61は、格納した位置情報61cを、センサ装置2の現在位置を示す情報として端末ID別に管理する。
【0088】
例えば、位置情報61cとしては、センサ装置2の位置を示す緯度および経度(緯度経度情報)、センサ装置2に最も近い基地局4(最寄りの基地局)の位置を示す緯度経度情報、充電器3の撮像部44によって撮像された画像情報(センサ装置2、対象物または最寄りの基地局4等を含む静止画や動画)およびそれらの画像情報から対象物を抽出したり特定したりした二次画像情報が挙げられる。
【0089】
バッテリ情報61dおよび履歴情報61eは、複数のセンサ装置2の各々におけるバッテリ21のメンテナンス実績を示す情報である。詳細には、バッテリ情報61dは、複数のセンサ装置2の各々におけるバッテリ21の充電実績を示す情報である。バッテリ情報61dには、センサ装置2のバッテリ21の蓄電量(測定値)、蓄電量プロファイル、充電回数、充電器3の送電部31の送電量(測定値)等が含まれる。蓄電量プロファイルは、バッテリ21の充電時または放電時における蓄電量の経時変化を示すプロファイルである。
【0090】
例えば、バッテリ21の蓄電量測定データは、ネットワーク5を介してセンサ装置2の端末通信部26からデータサーバ61に送信される。本実施形態1では、データサーバ61は、この蓄電量測定データを受信し、受信した蓄電量測定データから取得したバッテリ21の蓄電量等を含むバッテリ情報61dを、複数のセンサ装置2の各々に割り振られた端末IDと対応付けて更新可能に格納する。一方、履歴情報61eは、複数のセンサ装置2の各々におけるバッテリ21の交換実績を示す情報である。履歴情報61eには、センサ装置2のバッテリ交換の日付(年月日)や時間を示す交換日時、バッテリ21の種類、型番、ロット情報等が含まれる。また、履歴情報61eには、センサ装置2の対象物への敷設履歴(例えば敷設の日付(年月日)や時間を示す敷設日時)が含まれる。データサーバ61は、このような履歴情報61eを、複数のセンサ装置2の各々に割り振られた端末IDと対応付けて更新可能に格納する。
【0091】
データサーバ61は、これらのバッテリ情報61dおよび履歴情報61eをもとに、複数のセンサ装置2の各々におけるバッテリ21のメンテナンス実績を上記端末IDと対応付けて管理する。
【0092】
充電器情報61fは、センサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス状況について複数の充電器3を各々管理するための情報である。詳細には、充電器情報61fには、複数の充電器3の各々に割り振られた充電器ID、複数の充電器3の各位置、複数の充電器3の各々についてバッテリ21のメンテナンスを実行しているか否かを示す情報(例えばフラグ)等が含まれる。データサーバ61は、このような充電器情報61fを、複数の充電器3の各々に割り振られた充電器IDと対応付けて更新可能に格納する。データサーバ61は、充電器情報61fをもとに、センサ装置2のバッテリ21に対するメンテナンス状況を、複数の充電器3の各別に管理する。
【0093】
制御装置62は、センサ装置2に近接するための充電器3の移動と、複数のセンサ装置2の各々に対して充電器3が行うバッテリ21のメンテナンスとを制御する制御装置の一例である。詳細には、図4に示すように、制御装置62は、選択処理部62aと、指示処理部62bと、判断処理部62cと、検索処理部62dと、位置処理部62eと、タイマ62fと、制御部62gとを備える。
【0094】
選択処理部62aは、複数のセンサ装置2の中から目的のセンサ装置を選択する選択処理を実行する。詳細には、選択処理部62aは、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から、バッテリ21の検査対象とするセンサ装置2(以下、検査対象のセンサ装置2という)を選択する。本実施形態1において、バッテリ21の検査は、バッテリ21がメンテナンスを要する状態であるか否かを判断するための検査である。上述したデータサーバ61は、選択処理部62aによって選択された検査対象のセンサ装置2の端末通信部26からネットワーク5を介して、バッテリ21の蓄電量測定データを受信する。また、選択処理部62aは、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から、バッテリ21がメンテナンスを要する状態と判断されたセンサ装置2(以下、メンテナンス対象のセンサ装置2という)を選択する。
【0095】
指示処理部62bは、充電器3に対して、センサ装置2の位置への移動を指示するための処理と、センサ装置2のバッテリ21のメンテナンスを指示するための処理とを実行する。詳細には、指示処理部62bは、複数の充電器3-1~3-bのうち特定の充電器3の位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の位置への移動を指示するための移動指示情報を生成する。また、指示処理部62bは、複数のセンサ装置2-1~2-aのうちメンテナンス対象のセンサ装置2にガイド信号の発信を指示するための発信指示情報を生成する。ガイド信号は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行しようとする特定の充電器3を、当該センサ装置2の位置へ誘導するための信号である。
【0096】
上述したデータサーバ61は、指示処理部62bによって生成された移動指示情報を、ネットワーク5を介して特定の充電器3に対応する第3の通信部(本実施形態1では広域通信部45)に送信するように構成されている。また、上述したデータサーバ61は、指示処理部62bによって生成された発信指示情報を、ネットワーク5を介してメンテナンス対象のセンサ装置2に対応する第1の通信部(本実施形態1では端末通信部26)に送信するように構成されている。
【0097】
また、指示処理部62bは、複数のセンサ装置2-1~2-aのうちメンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを指示するためのメンテナンス指示情報を生成する。上述したデータサーバ61は、指示処理部62bによって生成されたメンテナンス情報を、ネットワーク5を介して上記特定の充電器3の広域通信部45に送信するように構成されている。
【0098】
本実施形態1において、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行するものである。例えば、特定の充電器3は、複数の充電器3-1~3-bのうち、特定の条件を満たす何れかの充電器である。
【0099】
判断処理部62cは、センサ装置2のバッテリ21の状態(以下、バッテリ状態と適宜いう)を判断するものである。詳細には、判断処理部62cは、センサ装置2の端末通信部26からネットワーク5を介してデータサーバ61に受信された蓄電量測定データをもとに、このセンサ装置2のバッテリ21がメンテナンスを要する状態であるか否かを判断する。また、判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の蓄電量測定データと上記特定の充電器3の送電量測定データとをもとに、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が充電完了の状態であるか否かを判断する。
【0100】
検索処理部62dは、上述した特定の充電器3の検索処理を実行する。詳細には、検索処理部62dは、複数の充電器3-1~3-bの中から、特定の条件を満たす特定の充電器3を検索する。上記特定の条件としては、例えば、データサーバ61がメンテナンス指示情報を送信していない空き状態であり且つメンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの到達時間が最も短い状態である、という条件が挙げられる。また、上記到達時間は、位置情報61cの一部として管理されるメンテナンス対象のセンサ装置2の位置と、充電器情報61fの一部として管理される充電器3の位置と、これらの位置および移動経路等が含まれるマップ情報とをもとに、算出することが可能である。データサーバ61は、検索処理部62dによって検索された特定の充電器3に対応する第3の通信部(本実施形態1では広域通信部45)に対し、ネットワーク5を介して上述したメンテナンス指示情報および移動指示情報を送信する。
【0101】
位置処理部62eは、複数のセンサ装置2-1~2-aおよび充電器3-1~3-bの各々の位置を導出する。例えば、位置処理部62eは、ネットワーク5の基地局4-1~4-cのうち、センサ装置2の端末通信部26からの無線信号を受信した複数(例えば3つ)の基地局4の位置および受信強度をもとに、3点測位等の手法に基づいて、このセンサ装置2の位置を算出する。これと同様に、位置処理部62eは、充電器3の広域通信部45からの無線信号を受信した複数の基地局4の位置および受信強度をもとに、3点測位等の手法に基づいて、この充電器3の位置を算出する。特に、本実施形態1において、位置処理部62eは、複数の充電器3-1~3-bのうち、メンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを行う特定の充電器3の位置を導出(算出)する。
【0102】
タイマ62fは、現在の日時を出力する時計機能と経過時間を計測する計時機能とを有する。タイマ62fは、要求された現在の日時を出力する。また、タイマ62fは、指定された基準時点からの経過時間を計測し、計測した経過時間を出力する。
【0103】
制御部62gは、上述した選択処理部62a、指示処理部62b、判断処理部62c、検索処理部62dおよび位置処理部62eの各処理を制御する。例えば、制御部62gは、タイマ62fによって出力された日時または経過時間に基づいて、これらの各処理の実行タイミング(開始および終了のタイミング)を制御する。また、制御部62gは、データサーバ61による各種情報の格納(記憶)および更新を制御する。
【0104】
学習装置63は、制御装置62の判断処理部62cがセンサ装置2のバッテリ状態を判断するための判断則63aを構築すべく機械学習を行う装置である。詳細には、学習装置63は、データサーバ61に格納されたバッテリ21のメンテナンス実績(本実施形態1では上述したバッテリ情報61dおよび履歴情報61e)をもとに、交換が必要な場合と不要な場合との双方におけるバッテリ21の蓄電状態を学習する。
【0105】
例えば、学習装置63は、センサ装置2が対象物に敷設されてからの期間の長さ、センサ装置2の充電回数、センサ装置2の前回の充電の際にかかった時間と充電量との関係等の情報をもとに、上記バッテリ21の蓄電状態を学習する。また、学習装置63は、バッテリ21の交換直後の充電プロファイルと最新の充電プロファイルとの変化等の情報を学習してもよい。そして、これらの情報は、例えば、データサーバ61との間でデータの送受信が可能なクラウドコンピュータ(図示せず)によって格納され、管理される。この結果、学習装置63は、従来に比較して多量の情報を学習することができるようになる。
【0106】
これにより、学習装置63は、バッテリ21が交換を要する状態であるか否かを判断し得る判断則63aを構築する。学習装置63は、このように構築した判断則63aを制御装置62に提供する。制御装置62の判断処理部62cは、検査対象のセンサ装置2からの蓄電量測定データをもとに、この判断則63aに従ってバッテリ21が交換を要する状態であるか否かを判断する。また、学習装置63は、データサーバ61がバッテリ情報61dおよび履歴情報61eの少なくとも一つを更新した場合、その都度、更新後のバッテリ情報61dおよび履歴情報61eをもとに、交換が必要な場合と不要な場合との双方におけるバッテリ21の蓄電状態を再学習して、判断則63aを更新する。学習装置63は、更新後の判断則63aを制御装置62に提供する。
【0107】
入力部64は、管理装置6に各種情報を入力するためのものである。詳細には、入力部64は、タッチパネル等の入力デバイスによって構成され、作業者の入力操作に応じて各種情報を制御装置62に入力する。また、入力部64は、作業者の入力操作に応じた各種情報を、制御装置62を介してデータサーバ61に入力する。入力部64によって入力される情報として、例えば、センサ装置2の端末ID、センサ装置2が敷設されている対象物を示す情報、充電器3の充電器ID等、データサーバ61に格納される情報が挙げられる。
【0108】
(バッテリ検査)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1のバッテリ検査について説明する。図5は、本発明の実施形態1に係る充電システムのバッテリ検査の処理フローを例示するフロー図である。本実施形態1に係る充電システム1(図1参照)において、管理装置6は、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々に対して定期的に、対象物に関する物理量等の情報(以下、敷設対象データという)を検出させるとともに現時点でのバッテリ残量を測定させ、このバッテリ残量の測定値をもとにバッテリ検査を行う。
【0109】
詳細には、図5に示すように、管理装置6は、前回のバッテリ検査が終了してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101において、管理装置6(図4参照)では、制御装置62の制御部62gが、タイマ62fから出力される時間情報をもとに、前回のバッテリ検査終了からの経過時間を把握する。制御部62gは、予め設定された所定時間に当該経過時間が達していなければ、所定時間が経過していないと判断し(ステップS101,No)、所定時間が経過するまでステップS101を繰り返す。
【0110】
一方、ステップS101において、制御部62gは、当該経過時間が設定の所定時間に達していれば、所定時間が経過したと判断する(ステップS101,Yes)。この場合、管理装置6は、センサ選択処理を実行する(ステップS102)。ステップS102において、管理装置6では、制御装置62の選択処理部62aが、センサ選択処理を実行して、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から検査対象のセンサ装置2を選択する。
【0111】
ステップS102の実行後、管理装置6は、選択された検査対象のセンサ装置2に対して、バッテリ残量の測定開始を指示する(ステップS103)。ステップS103において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、この検査対象のセンサ装置2にバッテリ残量の測定開始と敷設対象データの検出開始とを指示するための測定開始指示情報を生成する。データサーバ61は、この指示処理部62bによって生成された測定開始指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介して検査対象のセンサ装置2に送信する。
【0112】
ステップS103の実行後、管理装置6は、指示した測定および検出の各データを検査対象のセンサ装置2から受信したか否かを判断する(ステップS104)。管理装置6は、検査対象のセンサ装置2からの上記各データを受信していない場合(ステップS104,No)、このステップS104の処理を繰り返す。
【0113】
一方、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々は、管理装置6から測定や検出等の動作の開始指示を受けていない限り、バッテリ21の電力消費を抑えるスリープ状態となっており、管理装置6からの指示の有無を判断する(ステップS201)。これらのセンサ装置2-1~2-aの各々は、管理装置6から動作開始等の指示情報を受信していない場合、指示なしと判断し(ステップS201,No)、このステップS201の処理を繰り返す。
【0114】
このようなセンサ装置2-1~2-aのうち、検査対象のセンサ装置2は、上述したステップS103により、管理装置6からの測定開始指示情報を受信する。詳細には、検査対象のセンサ装置2(図2参照)において、端末通信部26の広域受信部26bは、ネットワーク5の基地局4を介して、データサーバ61から測定開始指示情報を含む指示信号を受信し、受信した指示信号から復調処理等によって当該測定開始指示情報を取得する。制御部28は、広域受信部26bから当該測定開始指示情報を取得する。制御部28は、この測定開始指示情報に基づいて、管理装置6からの指示ありと判断する。
【0115】
検査対象のセンサ装置2において、管理装置6からの指示ありの場合(ステップS201,Yes)、制御部28は、取得した測定開始指示情報に基づいて、蓄電量測定部25を制御する。蓄電量測定部25は、制御部28の制御に基づいて、バッテリ残量の測定を実行する(ステップS202)。ステップS202において、蓄電量測定部25は、例えば、検査対象のセンサ装置2がスリープ状態から起動する期間を含む所定期間、連続的または断続的にバッテリ21の蓄電量を測定する。蓄電量測定部25は、測定した蓄電量のデータを制御部28に送信する。
【0116】
ステップS202の実行後、制御部28は、上記測定開始指示情報に基づいて、センサ部22を制御する。センサ部22は、制御部28の制御に基づいて、検査対象のセンサ装置2が敷設されている対象物の物理量等の敷設対象データを検出する(ステップS203)。センサ部22は、検出した敷設対象データを制御部28に送信する。
【0117】
ステップS203の実行後、検査対象のセンサ装置2は、得られたデータを管理装置6に送信する(ステップS204)。ステップS204において、制御部28は、ステップS202で測定された蓄電量と、メモリ23から読み出した端末ID(検査対象のセンサ装置2に固有の端末ID)とを対応付けて、バッテリ21の蓄電量測定データを生成する。また、制御部28は、ステップS203で検出された敷設対象データと当該端末IDとを対応付ける。制御部28は、これらの蓄電量測定データおよび敷設対象データを広域送信部26aに与えて、この広域送信部26aを制御する。広域送信部26aは、制御部28の制御に基づいて、これらの蓄電量測定データおよび敷設対象データを含むデータ信号を生成し、生成したデータ信号を、ネットワーク5を介して管理装置6へ送信する。その後、検査対象のセンサ装置2は、スリープ状態になって上述したステップS201に戻り、このステップS201以降の処理を繰り返す。
【0118】
一方、検査対象のセンサ装置2がデータ信号を送信した場合、管理装置6では、データサーバ61が、ネットワーク5を介して検査対象のセンサ装置2から上記データ信号を受信する。この場合、データサーバ61は、検査対象のセンサ装置2からの蓄電量測定データおよび敷設対象データを受信し(ステップS104,Yes)、これらの受信データを格納する。制御装置62は、この蓄電量測定データをデータサーバ61から取得し、上述したステップS102で選択された検査対象のセンサ装置2について、バッテリ状態の解析処理を実行して(ステップS105)、このバッテリ状態がメンテナンスを要する状態か否かを判断する(ステップS106)。
【0119】
ステップS105~S106において、制御装置62の判断処理部62cは、例えば、この取得した蓄電量測定データをもとに、検査対象のセンサ装置2について、バッテリ21の放電時における蓄電量の経時変化(経時的な減少変化)を示す蓄電量プロファイル(バッテリ残量プロファイルともいう)を導出する。判断処理部62cは、この検査対象のセンサ装置2と同じ端末IDと対応付けられた前回の蓄電量プロファイルをデータサーバ61のバッテリ情報61dの中から読み込み、この前回の蓄電量プロファイルと上記導出した今回の蓄電量プロファイルとを比較する。判断処理部62cは、この比較結果をもとに検査対象のセンサ装置2のバッテリ状態を解析して、このセンサ装置2のバッテリ21がメンテナンスを要する状態とメンテナンスを要しない正常な状態との何れであるかを判断する。
【0120】
本実施形態1では、メンテナンスを要するバッテリ状態としては、バッテリ21の残量が充電を要する程度に低下した状態と、バッテリ21が交換を要する程度に故障(劣化を含む)した状態とが挙げられる。判断処理部62cは、上記取得した蓄電量測定データをもとに、判断則63aに従って検査対象のセンサ装置2のバッテリ21が交換を要する状態であるかを判断する。上記のようにして、判断処理部62cは、検査対象のセンサ装置2のバッテリ21がメンテナンスとして充電を要する状態と、メンテナンスとして交換を要する状態と、正常な状態との何れであるかを判断する。
【0121】
検査対象のセンサ装置2のバッテリ状態が充電を要する状態である場合(ステップS106,要充電)、管理装置6では、制御装置62が、バッテリ状態が充電を要する状態であることを示す要充電フラグをオン設定する(ステップS107)。ステップS107において、制御部62gは、検査対象のセンサ装置2に固有の端末IDと要充電フラグとを対応付けて、例えば、データサーバ61の格納情報(ID情報61a等)に要充電フラグを立てる。その後、管理装置6は、ステップS109の処理に進む。
【0122】
また、検査対象のセンサ装置2のバッテリ状態が交換を要する状態である場合(ステップS106,要交換)、管理装置6では、制御装置62が、バッテリ状態が交換を要する状態であることを示す要交換フラグをオン設定する(ステップS108)。ステップS108において、制御部62gは、検査対象のセンサ装置2に固有の端末IDと要交換フラグとを対応付けて、例えば、データサーバ61の格納情報(ID情報61a等)に要交換フラグを立てる。その後、管理装置6は、ステップS109の処理に進む。
【0123】
一方、検査対象のセンサ装置2のバッテリ状態が正常な状態である場合(ステップS106,正常)、管理装置6は、上述したステップS107、S108を行わずに、ステップS109の処理に進む。
【0124】
上述したステップS106、S107またはS108の実行後、管理装置6は、検査対象のセンサ装置2についてセンサ位置の演算処理を実行する(ステップS109)。ステップS109において、管理装置6では、制御装置62の位置処理部62eが、3点測位等の手法に基づいて、検査対象のセンサ装置2が存在する現在の位置(すなわちセンサ位置)を算出する。
【0125】
ステップS109の実行後、管理装置6は、検査対象のセンサ装置2の位置変動の有無を判断する(ステップS110)。ステップS110において、位置処理部62eは、データサーバ61に格納されている位置情報61cの中から、検査対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられているセンサ位置を読み込む。位置処理部62eは、この読み込んだセンサ位置と上述のステップ109で算出したセンサ位置との位置ずれ量と、予め設定された所定の閾値(例えば500m)とを比較する。
【0126】
位置処理部62eは、この位置ずれ量が上記閾値を超える場合、検査対象のセンサ装置2の位置変動ありと判断し(ステップS110,Yes)、今回のステップS109で算出したセンサ位置を、検査対象のセンサ装置2の位置としてデータサーバ61に与える。データサーバ61は、この与えられたセンサ位置を検査対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられた位置として位置情報61cに上書きし、これにより、当該センサ位置を更新する(ステップS111)。その後、管理装置6は、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0127】
一方、位置処理部62eは、上述した位置ずれ量が閾値以下である場合、検査対象のセンサ装置2の位置変動なしと判断する(ステップS110,No)。この場合、管理装置6は、ステップS111を行わずに、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0128】
(センサ選択処理)
つぎに、上述したステップS102のセンサ選択処理について詳細に説明する。図6は、本発明の実施形態1におけるセンサ選択処理の一例を示すフロー図である。上述したステップS102のセンサ選択処理(図5参照)では、管理装置6における制御装置62の選択処理部62a(図4参照)が、図6に示すステップS301~S304の各処理を適宜実行する。
【0129】
詳細には、上述したステップS101において所定時間が経過した場合、選択処理部62aは、まず、センサ番号を決定する(ステップS301)。本実施形態1に係る充電システム1では、複数のセンサ装置2-1~2-aに対して、予めセンサ番号#1~#aが各々割り当てられている。データサーバ61は、これらのセンサ番号#1~#aを、複数のセンサ装置2-1~2-aの各端末IDと各々対応付けて管理している。例えば、センサ番号#1は、センサ装置2-1に割り当てられた番号であり、このセンサ装置2-1の端末IDと対応付けられている。すなわち、センサ番号#1は、センサ装置2-1の端末ID(ID情報61a)、対象物(敷設対象情報61b)、センサ位置(位置情報61c)、バッテリ情報61dおよび履歴情報61e等と対応付けられている。このような対応付けは、センサ番号#2~#aとセンサ装置2-1~2-aとの間においても同様である。
【0130】
ステップS301において、選択処理部62aは、前回のステップS303またはステップS304におけるセンサ番号に対してインクリメント処理を行うことにより、今回のセンサ番号を決定する。詳細には、前回のセンサ選択処理においてステップS303の処理が実行されていた場合、選択処理部62aは、この前回のステップS303において選択したセンサ装置2のセンサ番号(=#x(x:正の整数))に対してインクリメント処理を行う。これにより、選択処理部62aは、今回のセンサ番号(=#x+1)を決定する。一方、前回のセンサ選択処理においてステップS304の処理が実行されていた場合、選択処理部62aは、この前回のステップS304の処理による初期のセンサ番号(例えば#0)に対してインクリメント処理を行う。これにより、選択処理部62aは、今回のセンサ番号(例えば#1)を決定する。
【0131】
ステップS301の実行後、選択処理部62aは、上記ステップS301で決定したセンサ番号が複数のセンサ装置2-1~2-aの配置数を超えるか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302において、選択処理部62aは、上記決定したセンサ番号#n(n:正の整数)と複数のセンサ装置2-1~2-aの配置数(=a)とを比較する。選択処理部62aは、このセンサ番号#nが複数のセンサ装置2-1~2-aの配置数以下(#n≦a)である場合(ステップS302,No)、複数のセンサ装置2-1~2-aのうち、このセンサ番号#nに対応するセンサ装置を検査対象のセンサ装置2として選択する(ステップS303)。その後、管理装置6は、図5に示したステップS102にリターンし、このステップS102以降の処理を行う。
【0132】
一方、選択処理部62aは、上述のステップS301で決定したセンサ番号#nが複数のセンサ装置2-1~2-aの配置数を超える(#n>a)場合(ステップS302,Yes)、このセンサ番号#nに対してリセット処理を行う(ステップS304)。ステップS304において、選択処理部62aは、センサ番号#nを初期値(例えば#n=0)にする。その後、選択処理部62aは、上述したステップS301に戻り、このステップS301以降の処理を繰り返す。
【0133】
(敷設対象情報の更新処理)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1の管理装置6による敷設対象情報61bの更新処理について説明する。図7は、本発明の実施形態1における敷設対象情報の更新処理の一例を示すフロー図である。本実施形態1の管理装置6(図4参照)において、データサーバ61は、上述したように、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々の対象物を示す敷設対象情報61bを、複数のセンサ装置2-1~2-aの各端末IDと対応付けて格納し、管理している。このデータサーバ61に対し、センサ装置2の対象物を示す情報が、ネットワーク5を介して充電器3から送信された場合、あるいは、入力部64によって制御装置62に入力された場合、管理装置6では、制御装置62の制御部62gが、データサーバ61に対する当該対象物の情報を受け付けるとともに、データサーバ61に割り込みフラグを立てる。この割り込みフラグにより、制御部62gは、この受け付け済みの情報以外の対象物を示す情報の受け付け(例えば別の充電器3からネットワーク5を介しての受信または入力部64による入力)を禁止する。この状態において、管理装置6は、この受け付け済みの情報をもとに、敷設対象情報61bの更新処理を行う。
【0134】
詳細には、図7に示すように、管理装置6は、まず、割り込みフラグの有無を判断する(ステップS401)。ステップS401において、上述した割り込みフラグがデータサーバ61に立てられている場合、データサーバ61は、割り込みフラグありと判断する(ステップS401,Yes)。この場合、データサーバ61は、割り込みフラグが立てられる前に受け付け済みの対象物を示す情報をもとに、敷設対象情報61bを更新する(ステップS402)。ステップS402において、データサーバ61は、受け付け済みの対象物を示す情報を、敷設対象情報61bに含まれる対象物の情報のうち、当該情報とともに受け付けた端末IDと同じ端末IDが対応付けられている対象物を示す情報に上書きする。これにより、データサーバ61は、敷設対象情報61bの更新を完了する。
【0135】
ステップS402の実行後、管理装置6は、割り込みフラグのオフ設定を行う(ステップS403)。ステップS403において、制御装置62の制御部62gは、データサーバ61に設定していた割り込みフラグを解除する。これにより、制御部62gは、データサーバ61に対して、対象物を示す情報の新たな受け付けを許可する。その後、管理装置6は、上述したステップS401に戻り、このステップS401以降の処理を繰り返す。
【0136】
一方、上述したステップS401において、割り込みフラグがデータサーバ61に立てられていない場合、データサーバ61は、割り込みフラグなしと判断する(ステップS401,No)。この場合、管理装置6は、データサーバ61に対する対象物を示す情報の新たな受け付けが許可された状態であり、このステップS401の処理を繰り返す。
【0137】
上記のように適宜更新される敷設対象情報61bとしては、例えば、センサ装置2が敷設される対象物を示す文字情報や画像情報(静止画情報、動画情報)等が挙げられる。これらの情報は、充電器3の撮像部44によって取得されてもよいし、作業者が管理装置6の入力部64を操作することによってオフラインで取得(入力)されてもよい。
【0138】
(バッテリのメンテナンス処理)
つぎに、本発明の実施形態1に係る充電システム1のバッテリのメンテナンス処理について説明する。図8は、本発明の実施形態1に係る充電システムによるバッテリのメンテナンス処理の処理フローを例示するフロー図である。本実施形態1に係る充電システム1(図1参照)では、管理装置6が、複数のセンサ装置2-1~2-aにおけるバッテリ21のメンテナンス実績と、複数の充電器3-1~3-bのバッテリ21に対するメンテナンス状況とを管理しながら、複数の充電器3-1~3-bのうち特定の充電器3が、複数のセンサ装置2-1~2-aうちメンテナンス対象のセンサ装置2の位置へ移動して当該センサ装置2に近付き、当該センサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行する。この際、特定の充電器3は、少なくとも、ガイド信号を利用せずにメンテナンス対象のセンサ装置2に向かって移動する第1の移動(広域の移動)と、ガイド信号を利用してメンテナンス対象のセンサ装置2に近接するまで移動する第2の移動(局所域の移動)とを行う。
【0139】
詳細には、図8に示すように、管理装置6は、前回のバッテリ21のメンテナンス処理が完了してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS501)。ステップS501において、管理装置6(図4参照)では、制御装置62の制御部62gが、タイマ62fから出力される時間情報をもとに、前回のバッテリ21のメンテナンス処理完了からの経過時間を把握する。制御部62gは、予め設定された所定時間に当該経過時間が達していなければ、所定時間が経過していないと判断し(ステップS501,No)、所定時間が経過するまでステップS501を繰り返す。
【0140】
一方、ステップS501において、制御部62gは、当該経過時間が設定の所定時間に達していれば、所定時間が経過したと判断する(ステップS501,Yes)。この場合、管理装置6は、センサ選択処理を実行する(ステップS502)。ステップS502において、管理装置6では、制御装置62の選択処理部62aが、図6に示したステップS301~S304と略同様の処理を適宜実行する。すなわち、選択処理部62aは、ステップS303において検査対象のセンサ装置2の代わりにメンテナンス対象のセンサ装置2を選択し、これ以外の処理を上述したステップS301、S302、S304と同様に実行する。
【0141】
ステップS502の実行後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が交換を要する状態であるか否かを判断する(ステップS503)。ステップS503において、管理装置6では、制御装置62の判断処理部62cが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対応する要交換フラグの有無に基づいて、このセンサ装置2のバッテリ21が要交換の状態であるか否かを判断する。詳細には、判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられた要交換フラグがデータサーバ61の格納情報に立てられている場合、このセンサ装置2のバッテリ21は要交換の状態であると判断する。また、判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられた要交換フラグがデータサーバ61の格納情報に立てられていない場合、このセンサ装置2のバッテリ21は要交換の状態ではないと判断する。
【0142】
ステップS503においてメンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が要交換の状態ではないと判断された場合(ステップS503,No)、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が充電を要する状態であるか否かを判断する(ステップS504)。ステップS504において、管理装置6では、制御装置62の判断処理部62cが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対応する要充電フラグの有無に基づいて、このセンサ装置2のバッテリ21が要充電の状態であるか否かを判断する。詳細には、判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられた要充電フラグがデータサーバ61の格納情報に立てられている場合、このセンサ装置2のバッテリ21は要充電の状態であると判断する。また、判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDと対応付けられた要充電フラグがデータサーバ61の格納情報に立てられていない場合、このセンサ装置2のバッテリ21は要充電の状態ではないと判断する。
【0143】
ステップS504においてメンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が要充電の状態ではないと判断された場合(ステップS504,No)、このセンサ装置2のバッテリ21は、交換を要する状態でもなければ充電を要する状態でもない。すなわち、このセンサ装置2は、ステップS502でメンテナンス対象として選択されたが、メンテナンス対象ではない。このため、管理装置6は、上述したステップS502に戻り、このステップS502以降の処理を繰り返す。これにより、管理装置6は、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から、メンテナンス対象のセンサ装置2を選択し直す。
【0144】
一方、上述したステップS503においてメンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が要交換の状態であると判断された場合(ステップS503,Yes)、管理装置6は、ステップS504を行わずにステップS505に進む。また、上述したステップS504においてメンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21が要充電の状態であると判断された場合(ステップS504,Yes)、管理装置6は、ステップS505に進む。
【0145】
上述したステップS503またはステップS504の実行後、管理装置6は、特定の充電器3を検索する(ステップS505)。ステップS505において、管理装置6では、制御装置62の検索処理部62dが、複数の充電器3-1~3-bの中から、特定の条件を満たす特定の充電器3を検索する。この特定条件としては、上述したように、データサーバ61がメンテナンス指示情報を送信していない空き状態であり且つメンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの到達時間が最も短い状態である、という条件が挙げられる。検索処理部62dは、複数の充電器3-1~3-bの中から、バッテリ21のメンテナンス指示情報が送信されていない(すなわち後述のリンク設定が行われていない)1つ以上の充電器を、空き状態の充電器として検索する。ついで、検索処理部62dは、検索した空き状態の充電器のうち、メンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの到達時間が最も短い状態の充電器を特定の充電器3として絞り込むように検索する。
【0146】
ステップS505の実行後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2と上記特定の充電器3とのリンク設定を行う(ステップS506)。ステップS506において、管理装置6では、制御装置62の制御部62gが、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDと、ステップS505で検索された特定の充電器3の充電器IDとを対応付ける。これにより、制御部62gは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対し、バッテリ21のメンテナンスを実行する充電器として特定の充電器3を割り当てる、すなわち、これらのセンサ装置2と充電器3とをリンク設定する。このリンク設定をした状態において、制御部62gは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対して特定の充電器3以外の充電器がバッテリ21のメンテナンスを実行することを禁止する。例えば、制御部62gは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス指示情報を特定の充電器3以外の充電器へ送信すること、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス実行を特定の充電器3以外の充電器が要求すること等を禁止する。
【0147】
なお、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDは、データサーバ61に格納されたID情報61aの中から読み込むことができる。特定の充電器3の充電器IDは、データサーバ61に格納された充電器情報61fの中から読み込むことができる。
【0148】
ステップS506の実行後、管理装置6は、特定の充電器3に対し、メンテナンス対象のセンサ装置2の位置への移動および当該センサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスの実行を指示する(ステップS507)。ステップS507において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、特定の充電器3に対する移動指示情報およびメンテナンス指示情報を生成する。上記移動指示情報は、特定の充電器3の位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の位置への移動を特定の充電器3に指示するための指示情報である。上記メンテナンス指示情報は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを特定の充電器3に指示するための指示情報である。
【0149】
例えば、指示処理部62bは、位置処理部62eによって導出された特定の充電器3の位置を取得する。また、指示処理部62bは、データサーバ61から、位置情報61cのうちメンテナンス対象のセンサ装置2の位置を読み込む。指示処理部62bは、これらの位置をもとに、特定の充電器3の位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの移動経路を示すマップ情報等の移動経路情報を作成する。この移動経路情報は、例えば、特定の充電器3の位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの経路上の各位置を示す緯度経度等の情報によって構成されている。また、指示処理部62bは、メンテナンス対象のセンサ装置2の位置を示す情報として、このセンサ装置2が敷設されている対象物およびその周辺を含む画像情報を上記移動経路情報に加えてもよい。この画像情報は、複数の充電器3-1~3-bのうち何れかの充電器3の撮像部44によって以前撮像された静止画または動画であり、データサーバ61に格納されている位置情報61cの中から読み込むことによって取得できる。指示処理部62bは、このように作成した移動経路情報と移動指示と特定の充電器3の充電器IDとを対応付けて、上記移動指示情報を生成する。
【0150】
また、指示処理部62bは、メンテナンス対象のセンサ装置2に関する情報と、特定の充電器3の充電器IDとを対応付けて、上記メンテナンス指示情報を生成する。上記メンテナンス対象のセンサ装置2に関する情報としては、バッテリ21のメンテナンス指示および内容、メンテナンス対象のセンサ装置2の端末ID等の情報が挙げられる。
【0151】
データサーバ61は、上述のように指示処理部62bによって生成された移動指示情報およびメンテナンス指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介して特定の充電器3に対応する第3の通信部に送信する。本実施形態1において、この第3の通信部は、当該特定の充電器3が有する広域通信部45である。
【0152】
ステップS507の実行後、管理装置6は、バッテリ21のメンテナンスの実行を指示した特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア内に到着したか否かを判断する(ステップS508)。本実施形態1において、敷設エリアは、センサ装置2が敷設されている対象物が存在するエリアである。すなわち、この敷設エリア内には、対象物と、当該対象物に敷設されているセンサ装置2とが位置している。例えば、この敷設エリアは、メンテナンス対象のセンサ装置2からの離間距離が所定値以内のエリアとして定義される。このような敷設エリア内においては、メンテナンス対象のセンサ装置2の局所域通信部27から発信されるガイド信号を受信することが可能である。ステップS508において、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア内に到着したことを示す到着情報を特定の充電器3から受信していない場合、特定の充電器3は未だ到着していないと判断し(ステップS508,No)、このステップS508の処理を繰り返す。
【0153】
一方、複数の充電器3-1~3-bの各々は、管理装置6からの指示に基づいて自動で移動およびバッテリ21のメンテナンスを実行可能なものであり、管理装置6からの移動およびメンテナンスの指示の有無を判断する(ステップS601)。これらの充電器3-1~3-bの各々は、管理装置6から移動指示情報およびメンテナンス指示情報を受信していない場合、指示なしと判断し(ステップS601,No)、このステップS601の処理を繰り返す。
【0154】
このような充電器3-1~3-bのうち特定の充電器3は、上述したステップS507により、管理装置6からの移動指示情報およびメンテナンス指示情報を受信する。詳細には、特定の充電器3(図3参照)において、広域受信部45bは、ネットワーク5の基地局4を介して、データサーバ61から移動指示情報およびメンテナンス指示情報を含む指示信号を受信する。広域受信部45bは、この受信した指示信号から復調処理等によって上記の移動指示情報およびメンテナンス指示情報を取得する。移動体40の制御部46は、これらの移動指示情報およびメンテナンス指示情報を広域受信部45bから取得する。充電機能部30の制御部39は、このメンテナンス指示情報を上記制御部46から取得する。移動体40の制御部46は、取得した移動指示情報に基づいて、管理装置6からの移動指示ありと判断する。充電機能部30の制御部39は、取得したメンテナンス指示情報に基づいて、管理装置6からのメンテナンス指示ありと判断する。
【0155】
ステップS601において管理装置6からの移動指示およびメンテナンス指示ありの場合(ステップS601,Yes)、特定の充電器3は、管理装置6からの移動指示に基づいて、メンテナンス対象のセンサ装置2へ向かう広域の移動を行う(ステップS602)。ステップS602において、特定の充電器3では、移動体40が、上述した第1の移動(広域の移動)として、管理装置6からの移動指示情報をもとに、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア内に移動する。
【0156】
詳細には、移動体40において、制御部46は、上記移動指示情報に含まれる移動経路情報をもとに、移動体40が進むべき移動経路を把握する。制御部46は、この移動経路に沿って移動体40が移動するように駆動部41を制御する。これに並行して、位置導出部43は、制御部46の制御に基づいて、移動体40の現在位置を導出する。本実施形態1において、移動体40の現在位置は、この移動体40の作用によって移動する特定の充電器3の現在位置と同じである。制御部46は、この位置導出部43によって導出された移動体40の現在位置と上記移動経路とを比較する。制御部46は、この比較処理の結果をもとに、上記移動経路上における特定の充電器3の現在位置を把握しながら、これら現在位置と移動経路との位置ずれを補正するように駆動部41を制御する。駆動部41は、このような制御部46の制御に基づいて駆動する。
【0157】
また、撮像部44は、制御部46の制御に基づいて、移動体40の進行方向等の周囲の画像を撮像する。制御部46は、撮像部44によって撮像された画像情報をもとに、移動体40の移動の妨げとなる障害物を把握し、把握した障害物を回避するように駆動部41を制御する。
【0158】
移動体40は、上記のような駆動部41の作用により、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する遠隔地から当該センサ装置2の敷設エリア内へ向かう広域の移動を行う。図9は、本発明の実施形態1における特定の充電器の広域および局所域の移動を説明するための図である。例えば、図9に示すように、移動体40は、充電機能部30を搭載した状態で、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する遠隔地から上記移動経路に沿って順次移動する。
【0159】
本実施形態1において、上記遠隔地は、メンテナンス対象のセンサ装置2から所定の距離以上離間した遠方の位置である。このような遠隔地として、例えば、メンテナンス対象のセンサ装置2との局所域の通信は行えないが、ネットワーク5の基地局4を介して管理装置6との広域の通信は行える位置が挙げられる。図9には、上記遠隔地として、3つの基地局4-1~4-3の通信エリアが例示されている。移動体40は、このような遠隔地から、図9に示すように、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に移動する。これにより、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着する。
【0160】
ステップS602の実行後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着したか否かを判断する(ステップS603)。ステップS603において、特定の充電器3では、移動体40の制御部46が、管理装置6からの移動指示情報と位置導出部43による導出位置とをもとに、移動体40の現在位置が敷設エリア10内の位置であるか否かを判断する。
【0161】
具体的には、制御部46は、上記移動指示情報によって指示された移動経路上の目的地の位置情報(例えばマップ情報の緯度経度)と、位置導出部43によって導出された移動体40の現在位置の位置情報(例えばGPSセンサ等による緯度経度)とを比較する。制御部46は、これらの位置情報同士の差が所定の閾値以下(例えば5m以下)である場合、移動体40の現在位置が敷設エリア10内の位置であると判断し、これらの位置情報同士の差が所定の閾値を超える場合、移動体40の現在位置が敷設エリア10外の位置であると判断する。制御部46は、移動体40の現在位置が敷設エリア10外の位置である場合、特定の充電器3が敷設エリア10内に未だ到着していないと判断し、移動体40の現在位置が敷設エリア10内の位置である場合、特定の充電器3が敷設エリア10内に到着したと判断する。
【0162】
或いは、制御部46は、上記移動指示情報(移動経路情報)に含まれる対象物等の画像情報と、撮像部44によって撮像された画像情報とを比較し、この比較処理結果に基づいて、敷設エリア10内に到着したか否かを判断してもよい。この際、制御部46は、例えば、これらの画像情報同士の整合率が所定の閾値以上である場合、移動体40の現在位置が敷設エリア10内の位置であると判断し、上記整合率が閾値を超える場合、移動体40の現在位置が敷設エリア10外の位置であると判断する。
【0163】
ステップS603において、特定の充電器3は、敷設エリア10内に未だ到着していない場合(ステップS603,No)、上述したステップS602に戻り、このステップS602以降の処理を繰り返す。すなわち、特定の充電器3の移動体40は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着するまで、ステップS602の広域の移動を継続する。
【0164】
一方、特定の充電器3は、敷設エリア10内に到着した場合(ステップS603,Yes)、撮像処理を実行する(ステップS604)。ステップS604において、特定の充電器3では、移動体40が、広域の移動を停止して敷設エリア10内で待機する。この状態において、撮像部44は、移動体40が敷設エリア10内に到着したことを示す画像を撮像する。当該画像として、例えば、メンテナンス対象のセンサ装置2が敷設されている対象物を含む静止画または動画が挙げられる。なお、移動体40が敷設エリア10内に到着することは、この移動体40を備える特定の充電器3が敷設エリア10内に到着したことと同じ意味である。
【0165】
ステップS604の実行後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着したことを管理装置6へ通知する(ステップS605)。ステップS605において、特定の充電器3では、移動体40の制御部46が、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着したことを示す到着情報を生成する。また、制御部46は、上記特定の充電器3の到着を示す画像情報を撮像部44から取得する。制御部46は、これらの情報を広域送信部45aに与えて広域送信部45aの送信動作を制御する。広域送信部45aは、制御部46の制御に基づいて、これらの到着情報および画像情報を含む通知信号を生成し、生成した通知信号を、ネットワーク5の基地局4を介して管理装置6のデータサーバ61へ送信する。
【0166】
ステップS605の実行後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2から発信されるガイド信号の検知の有無を判断する(ステップS606)。ステップS606において、特定の充電器3では、局所域通信部33が当該センサ装置2からのガイド信号を受信していない場合、充電機能部30の制御部39は、このガイド信号を検知しない。この場合、制御部39は、ガイド信号の検知なしと判断し(ステップS606,No)、このステップS606の処理を繰り返す。
【0167】
一方、管理装置6において、データサーバ61は、上述したステップS605で特定の充電器3から送信された通知信号を、ネットワーク5を介して受信する。この場合、上述したステップS508において、制御装置62の制御部62gは、この通知信号に含まれる到着情報をデータサーバ61から取得し、取得した到着情報をもとに、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に到着したと判断する(ステップS508,Yes)。また、データサーバ61は、この通知信号に含まれる画像情報を取得し、取得した画像情報を、メンテナンス対象のセンサ装置2の現在位置を示す位置情報61cの一つとして格納(更新)し、管理する。
【0168】
その後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対し、特定の充電器3を誘導するためのガイド信号の発信を指示する(ステップS509)。ステップS509において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する発信指示情報を生成する。上記発信指示情報は、メンテナンス対象のセンサ装置2にガイド信号の発信を指示するための指示情報である。指示処理部62bは、例えば、ガイド信号の発信指示とメンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDとを対応付けて、上記発信指示情報を生成する。
【0169】
データサーバ61は、上述のように指示処理部62bによって生成された発信指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介してメンテナンス対象のセンサ装置2に対応する第1の通信部に送信する。本実施形態1において、この第1の通信部は、当該メンテナンス対象のセンサ装置2が有する端末通信部26である。
【0170】
ステップS509の実行後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対して特定の充電器3がバッテリ21のメンテナンスを実行したか否かを判断する(ステップS510)。ステップS510において、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス実行の結果等を示すメンテナンス実行情報を特定の充電器3から受信していない場合、バッテリ21のメンテナンスが未だ実行し終えていないと判断し(ステップS510,No)、このステップS510の処理を繰り返す。
【0171】
一方、メンテナンス対象のセンサ装置2は、管理装置6からの指示の有無を判断する(ステップS701)。ステップS701において、メンテナンス対象のセンサ装置2が有無を判断する管理装置6からの指示は、ガイド信号の発信指示または動作確認の実行指示である。例えば、メンテナンス対象のセンサ装置2は、発信指示情報および動作確認指示情報のいずれも管理装置6から受信していない場合、指示なしと判断し(ステップS701,No)、このステップS701の処理を繰り返す。
【0172】
上述したステップS509においてデータサーバ61が発信指示情報を含む指示信号を送信している場合、メンテナンス対象のセンサ装置2では、広域受信部26bが、ネットワーク5を介してデータサーバ61から上記指示信号を受信する。制御部28は、上記指示信号に含まれる発信指示情報を広域受信部26bから取得し、この取得した発信指示情報に基づいて、管理装置6からの指示ありと判断する(ステップS701,Yes)。この発信指示情報はガイド信号の発信を指示する指示情報であるから、今回の管理装置6からの指示内容は、ガイド信号の発信である(ステップS702,ガイド)。この場合、メンテナンス対象のセンサ装置2は、管理装置6からの指示に従ってガイド信号を発信する(ステップS703)。
【0173】
ステップS703において、メンテナンス対象のセンサ装置2では、制御部28が、上記発信指示情報に基づいて局所域通信部27を制御する。局所域通信部27は、制御部28の制御に基づき、例えば当該センサ装置2から全方位に向けて、ガイド信号を発信する。本実施形態1において、このガイド信号は、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内で受信可能な局所域の信号である。
【0174】
ステップS703の実行後、メンテナンス対象のセンサ装置2は、ガイド信号の停止指示の有無を判断する(ステップS704)。ステップS704において、メンテナンス対象のセンサ装置2は、管理装置6からガイド信号の停止指示情報を受信していない場合、ガイド信号の停止指示なしと判断し(ステップS704,No)、このステップS704の処理を繰り返す。すなわち、メンテナンス対象のセンサ装置2の局所域通信部27は、管理装置6からガイド信号の停止が指示されない限り、ガイド信号の発信を継続する。
【0175】
上記のようにガイド信号が発信されている状況において、特定の充電器3では、局所域通信部33がガイド信号を受信する。この場合、充電機能部30の制御部39は、このガイド信号を検知してガイド信号の検知ありと判断する(ステップS606,Yes)。その後、特定の充電器3は、ガイド信号を頼りにメンテナンス対象のセンサ装置2に近付く局所域の移動を行う(ステップS607)。ステップS607において、特定の充電器3では、移動体40が、上述した第2の移動(局所域の移動)として、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内で発信されているガイド信号に誘導されて、当該センサ装置2に近接するように移動する。
【0176】
詳細には、移動体40において、制御部46は、充電機能部30の局所域通信部33が時系列に沿って順次受信するガイド信号を、充電機能部30の制御部39を介して取得する。制御部46は、ガイド信号を取得する都度、取得したガイド信号の受信強度を算出する。このようにして、制御部46は、ガイド信号の受信強度を時系列に沿って順次取得する。制御部46は、取得したガイド信号の受信強度が順次強くなるように駆動部41を制御する。また、撮像部44は、制御部46の制御に基づいて、移動体40の進行方向等の周囲の画像を撮像する。制御部46は、撮像部44によって撮像された画像情報をもとに、移動体40の移動の妨げとなる障害物を把握し、把握した障害物を回避するように駆動部41を制御する。
【0177】
移動体40は、上記のような駆動部41の作用により、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内において当該センサ装置2に近接する局所域の移動を行う。詳細には、図9に示すように、移動体40は、充電機能部30を搭載した状態で、メンテナンス対象のセンサ装置2から敷設エリア10内に発信されているガイド信号を受信しながら、このガイド信号を頼りに当該センサ装置2に向かって移動する。この際、移動体40は、例えば、敷設エリア10内で局所域通信部33(第4の通信部の一例)が受信するガイド信号の受信強度が強くなる方向に移動する。これにより、移動体40は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行し得るように、当該センサ装置2に近接する。
【0178】
ステップS607の実行後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に近接したか否かを判断する(ステップS608)。ステップS608において、特定の充電器3では、移動体40の制御部46が、ガイド信号の受信強度をもとに、当該センサ装置2に近接したか否かを判断する。
【0179】
詳細には、ステップS608において、制御部46は、ガイド信号の受信強度と予め設定された閾値とを比較する。制御部46は、ガイド信号の受信強度が所定の閾値以上である場合、メンテナンス対象のセンサ装置2に近接したと判断し、ガイド信号の受信強度が所定の閾値未満である場合、当該センサ装置2に未だ近接していないと判断する。
【0180】
ステップS608において、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に未だ近接していない場合(ステップS608,No)、上述したステップS607に戻り、このステップS607以降の処理を繰り返す。すなわち、特定の充電器3の移動体40は、メンテナンス対象のセンサ装置2に近接するまで、ステップS607の局所域の移動を継続する。
【0181】
一方、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に近接した場合(ステップS608,Yes)、当該センサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス処理を実行する(ステップS609)。ステップS609において、特定の充電器3は、管理装置6からのメンテナンス指示情報に応じて、当該センサ装置2のバッテリ21の交換または充電を行う。
【0182】
詳細には、上述したステップS601で管理装置6から取得したメンテナンス指示情報によってバッテリ21の交換が指示されている場合、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を交換する。この場合、制御部46は、上記メンテナンス指示情報に基づいて、作業部42の駆動を制御する。作業部42は、制御部46の制御に基づいて駆動し、これにより、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を正常なものに交換する。
【0183】
その後、充電機能部30の送電部31は、制御部39の制御に基づいて、大容量バッテリ38から電力を受け、この電力を、例えば電磁界を介してメンテナンス対象のセンサ装置2に送電する。当該センサ装置2では、受電部24が、電磁界を介して送電部31からの電力を順次受電し、受電した電力をバッテリ21に順次供給する。バッテリ21は、受電部24から供給された電力を順次蓄積する。これにより、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21には、特定の充電器3からの電力が充電される。
【0184】
一方、上述したステップS601で管理装置6から取得したメンテナンス指示情報によってバッテリ21の充電が指示されている場合、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を交換せずに充電する。この場合、特定の充電器3は、上述した交換後のバッテリ21の充電と同様に、当該センサ装置2のバッテリ21を充電する。
【0185】
また、ステップS609では、交換後のバッテリ21の充電および交換なしのバッテリ21の充電の何れにおいても、特定の充電器3は、バッテリ21の充電時の送電量を測定する。詳細には、充電機能部30において、送電量測定部32は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を充電している際の送電部31の送電量を連続的または断続的に測定する。送電量測定部32は、当該バッテリ21を充電している期間中、この送電量の測定を継続して行い、測定した送電量のデータを制御部39に送信する。
【0186】
また、ステップS609において、特定の充電器3では、局所域通信部33が、制御部39の制御に基づいて、バッテリ21の充電を開始したことを示す信号をメンテナンス対象のセンサ装置2に送信する。メンテナンス対象のセンサ装置2では、局所域通信部27が特定の充電器3からの信号を受信する。制御部28は、この信号が局所域通信部27に受信された時点から所定のタイミングに、バッテリ21の充電を停止するための充電停止情報を送信するように局所域通信部27を制御する。
【0187】
なお、上記所定のタイミングとしては、例えば、特定の充電器3からの信号を受信してから所定の時間が経過したタイミング、特定の充電器3からの信号を受信してから所定の電力がバッテリ21に供給されたタイミング等が挙げられる。局所域通信部27は、制御部28の制御に基づいて、上記所定のタイミングに充電停止情報を示す信号を特定の充電器3へ送信する。この場合、特定の充電器3では、局所域通信部33が当該センサ装置2からの信号を受信する。制御部39は、この受信した信号によって示される充電停止情報に基づいて、送電部31の送電動作を停止させる。これにより、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電処理を停止する。
【0188】
その後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンス実行実績を示すメンテナンス実行情報を管理装置6へ送信する(ステップS610)。
【0189】
ステップS610において、特定の充電器3では、充電機能部30の制御部39が、送電量測定部32によって測定された送電部31の送電量を示す送電量測定データと、メモリ35から読み込んだ充電器ID(すなわち当該充電器3の固有ID)とを対応付けて、メンテナンス実行情報を生成する。或いは、制御部39は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ交換が行われている場合、上記の送電量測定データおよび充電器IDに加え、バッテリ21の交換履歴(交換日時や交換後のバッテリ21の種類等)を示す情報が含まれるメンテナンス実行情報を生成する。制御部39は、生成したメンテナンス実行情報を移動体40の制御部46に入力する。制御部46は、このメンテナンス実行情報を広域送信部45aに与えて、広域送信部45aの送信動作を制御する。広域送信部45aは、制御部46の制御に基づいて、このメンテナンス実行情報を含むデータ信号を、ネットワーク5の基地局4を介して管理装置6に送信する。
【0190】
ステップS610の実行後、特定の充電器3は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の再充電が指示されたか否かを判断する(ステップS611)。ステップS611において、特定の充電器3は、管理装置6から再充電指示情報を受信していない場合、再充電の指示なしと判断し(ステップS611,No)、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電完了が指示されたか否かを判断する(ステップS612)。ステップS612において、特定の充電器3は、管理装置6から完了指示情報を受信していない場合、充電完了の指示なしと判断し(ステップS612,No)、上述したステップS611に戻り、このステップS611以降の処理を繰り返す。
【0191】
一方、管理装置6において、データサーバ61は、上述した送電量測定データを、特定の充電器3に対応する第3の通信部からネットワーク5を介して受信する。本実施形態1において、この第3の通信部は、当該特定の充電器3が有する広域通信部45である。詳細には、上述したステップS510において、データサーバ61は、ステップS610で特定の充電器3の広域送信部45aから送信されたデータ信号を、ネットワーク5を介して受信する。これにより、データサーバ61は、この受信したデータ信号に含まれるメンテナンス実行情報を取得する。このメンテナンス実行情報には、特定の充電器3の送電量測定データ、充電器ID、およびバッテリ21の交換履歴等の情報やデータが適宜含まれる。制御装置62の制御部62gは、このメンテナンス実行情報(例えば送電量測定データ)をデータサーバ61から取得し、取得したメンテナンス実行情報をもとに、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行したと判断する(ステップS510,Yes)。
【0192】
その後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対し、上述したガイド信号の発信の停止を指示する(ステップS511)。ステップS511において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する停止指示情報を生成する。上記停止指示情報は、メンテナンス対象のセンサ装置2にガイド信号の発信の停止を指示するための指示情報である。指示処理部62bは、例えば、ガイド信号の停止指示とメンテナンス対象のセンサ装置2の端末IDとを対応付けて、上記停止指示情報を生成する。データサーバ61は、上述のように指示処理部62bによって生成された停止指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介してメンテナンス対象のセンサ装置2の端末通信部26(第1の通信部)に送信する。
【0193】
上記ガイド信号停止の指示信号が送信された場合、メンテナンス対象のセンサ装置2では、上述したステップS704において、端末通信部26の広域受信部26bが、この指示信号を受信し、受信した指示信号に含まれる停止指示情報を取得する。制御部28は、この停止指示情報を広域受信部26bから取得し、取得した停止指示情報に基づいて、ガイド信号の停止指示ありと判断する(ステップS704,Yes)。この場合、制御部28は、この停止指示情報に基づいて局所域通信部27を制御する。局所域通信部27は、制御部28の制御に基づいて、ガイド信号の発信を停止する(ステップS705)。その後、メンテナンス対象のセンサ装置2は、上述したステップS701に戻り、このステップS701以降の処理を繰り返す。
【0194】
一方、上述したステップS511の実行後、管理装置6は、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2に対して充電を実行したバッテリ21について、充電結果の解析処理を実行する(ステップS512)。ステップS512において、制御装置62の判断処理部62cは、例えば、取得した送電量測定データをもとに、特定の充電器3の送電量プロファイルを解析する。送電量プロファイルは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する今回のバッテリ21の充電期間における、特定の充電器3から当該センサ装置2への送電量と時間(送電時間)との相関を示すプロファイルである。判断処理部62cは、この送電量プロファイルの解析により、今回のバッテリ21の充電期間中に特定の充電器3からメンテナンス対象のセンサ装置2へ送電された電力の送電量の合計値(以下、合計送電量という)を導出する。
【0195】
ステップS512の実行後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対して、バッテリ21のメンテナンス実行後の動作確認を指示する(ステップS513)。ステップS513において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、このメンテナンス対象のセンサ装置2に動作確認の開始を指示するための動作確認指示情報を生成する。データサーバ61は、この指示処理部62bによって生成された動作確認指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介してメンテナンス対象のセンサ装置2に送信する。
【0196】
ステップS513の実行後、管理装置6は、指示した動作確認の結果を示すデータをメンテナンス対象のセンサ装置2から受信したか否かを判断する(ステップS514)。管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2からの上記データを受信していない場合(ステップS514,No)、このステップS514の処理を繰り返す。
【0197】
上述したステップS513においてデータサーバ61が動作確認指示情報を含む指示信号を送信している場合、メンテナンス対象のセンサ装置2では、ステップS701において、広域受信部26bが、ネットワーク5を介してデータサーバ61から上記指示信号を受信する。制御部28は、上記指示信号に含まれる動作確認指示情報を広域受信部26bから取得し、この取得した動作確認指示情報に基づいて、管理装置6からの指示ありと判断する(ステップS701,Yes)。この動作確認指示情報はメンテナンス対象のセンサ装置2の動作確認を指示する指示情報であるから、今回の管理装置6からの指示内容は、当該センサ装置2の動作確認である(ステップS702,動作)。この場合、メンテナンス対象のセンサ装置2は、管理装置6からの指示に従って動作確認処理を実行する(ステップS706)。
【0198】
ステップS706において、メンテナンス対象のセンサ装置2では、まず、制御部28が、取得した動作確認指示情報に基づいて、蓄電量測定部25を制御する。蓄電量測定部25は、制御部28の制御に基づいて、メンテナンス実行後のバッテリ21の蓄電量を測定する。この際、蓄電量測定部25は、例えば、バッテリ21の充電後からの所定期間、連続的または断続的にバッテリ21の蓄電量を測定する。蓄電量測定部25は、測定した蓄電量のデータを制御部28に送信する。続いて、制御部28は、上記動作確認指示情報に基づいて、センサ部22を制御する。センサ部22は、制御部28の制御に基づいて、メンテナンス対象のセンサ装置2の敷設対象データを検出し、検出した敷設対象データを制御部28に送信する。
【0199】
ステップS706の実行後、メンテナンス対象のセンサ装置2は、得られたデータを管理装置6に送信する(ステップS707)。ステップS707において、制御部28は、ステップS706で測定された蓄電量とメモリ23から読み出した端末IDとを対応付けて、メンテナンス実行後のバッテリ21の蓄電量測定データを生成する。また、制御部28は、ステップS706で検出された敷設対象データと当該端末IDとを対応付ける。制御部28は、これらの蓄電量測定データおよび敷設対象データを広域送信部26aに与えて、この広域送信部26aを制御する。広域送信部26aは、制御部28の制御に基づいて、これらの蓄電量測定データおよび敷設対象データを含むデータ信号を生成し、生成したデータ信号を、ネットワーク5の基地局4を介して管理装置6へ送信する。その後、メンテナンス対象のセンサ装置2は、上述したステップS701に戻り、このステップS701以降の処理を繰り返す。
【0200】
一方、管理装置6では、メンテナンス対象のセンサ装置2がデータ信号を送信した場合、上述したステップS514において、データサーバ61が、ネットワーク5を介してメンテナンス対象のセンサ装置2から上記データ信号を受信する。この場合、データサーバ61は、メンテナンス対象のセンサ装置2からの蓄電量測定データおよび敷設対象データを受信し(ステップS514,Yes)、これらの受信データを格納する。制御装置62は、この蓄電量測定データをデータサーバ61から取得し、取得したデータをもとに、メンテナンス対象のセンサ装置2についてメンテナンス実行後のバッテリ状態の解析処理を行う(ステップS515)。
【0201】
ステップS515において、制御装置62の判断処理部62cは、例えば、取得した蓄電量測定データをもとに、メンテナンス対象のセンサ装置2について、バッテリ21の充電時における蓄電量プロファイルを導出して解析する。この充電時の蓄電量プロファイルは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対する今回のバッテリ21の充電期間における、当該バッテリ21の蓄電量と時間との相関を示すプロファイルである。判断処理部62cは、この蓄電量プロファイルの解析により、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2に対して今回行ったバッテリ21の充電による蓄電量の増加量(以下、蓄電増加量という)および合計値(以下、合計蓄電量)を導出する。
【0202】
ステップS515の実行後、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ充電が完了したか否かを判断する(ステップS516)。ステップS516において、制御装置62の判断処理部62cは、メンテナンス対象のセンサ装置2の蓄電量測定データと特定の充電器3の送電量測定データとをもとに、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電が完了したか否かを判断する。
【0203】
詳細には、判断処理部62cは、ステップS515で蓄電量測定データをもとに導出したバッテリ21の充電時の蓄電増加量および合計蓄電量と、上述したステップS512で送電量測定データをもとに導出した特定の充電器3の合計送電量とを比較する。上記比較処理の結果に基づき、例えば、判断処理部62cは、合計送電量と蓄電増加量との差および合計送電量と合計蓄電量との差が所定の閾値未満である場合、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電は未だ完了していないと判断する。また、判断処理部62cは、合計送電量と蓄電増加量との差および合計送電量と合計蓄電量との差が所定の閾値以上である場合、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電は完了したと判断する。
【0204】
ステップS516においてバッテリ21の充電が未完了であると判断された場合(ステップS516,No)、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の再充電の実行を、特定の充電器3に指示する(ステップS517)。ステップS517において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の再充電を特定の充電器3に指示するための再充電指示情報を生成する。データサーバ61は、この生成された再充電指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介して特定の充電器3の広域通信部45(第3の通信部)に送信する。ステップS517の実行後、管理装置6は、上述したステップS510に戻り、このステップS510以降の処理を繰り返す。
【0205】
上記のように再充電指示情報を含む指示信号が送信された場合、特定の充電器3では、広域通信部45(詳細には広域受信部45b)が、ネットワーク5の基地局4を介してデータサーバ61からの指示信号を受信する。この場合、上述したステップS611において、広域受信部45bは、この指示信号を受信して再充電指示情報を取得する。この再充電指示情報は、移動体40の制御部39を介して充電機能部30の制御部39に与えられる。制御部39は、この再充電指示情報をもとに、管理装置6からの再充電の指示ありと判断する(ステップS611,Yes)。この場合、特定の充電器3は、この再充電指示情報によって指示されたバッテリ21の再充電を実行すべく、上述したステップS609に戻り、このステップS609以降の処理を繰り返す。このステップ609において、特定の充電器3は、上述したメンテナンス指示情報に基づくバッテリ21の充電と同様に、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を再充電する。
【0206】
一方、ステップS516においてバッテリ21の充電が完了したと判断された場合、管理装置6は、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電完了および帰還を、特定の充電器3に指示する(ステップS518)。ステップS518において、管理装置6では、制御装置62の指示処理部62bが、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電完了を特定の充電器3に指示するための完了指示情報を生成する。また、指示処理部62bは、特定の充電器3に所定位置への帰還を指示するための帰還指示情報を生成する。データサーバ61は、これらの完了指示情報および帰還指示情報を含む指示信号を、ネットワーク5を介して特定の充電器3の広域通信部45(第3の通信部)に送信する。
【0207】
ステップS518の実行後、管理装置6は、上記充電完了および帰還の指示に対する特定の充電器3からの応答の有無を判断する(ステップS519)。ステップS519において、管理装置6は、上記指示信号(完了指示情報および帰還指示情報)に対する特定の充電器3からの応答信号を受信していない場合、特定の充電器3からの応答なしと判断し(ステップS519,No)、このステップS519の処理を繰り返す。
【0208】
一方、上述したステップS611において、特定の充電器3では、再充電指示情報を含む指示信号が広域受信部45bによって受信されていない場合、制御部39は、再充電指示情報を取得していないことから、上述したように再充電の指示なしと判断し、ステップS612に進む。特定の充電器3では、上述した完了指示情報および帰還指示情報を含む指示信号がデータサーバ61から送信された場合、広域受信部45bが、ネットワーク5の基地局4を介して、この指示信号を受信する。この場合、上述したステップS612において、広域受信部45bは、この指示信号に含まれる完了指示情報および帰還指示情報を取得する。この完了指示情報は、広域受信部45bから移動体40の制御部46を介して充電機能部30の制御部39に与えられる。制御部39は、この完了指示情報をもとに、管理装置6からの充電完了の指示ありと判断する(ステップS612,Yes)。また、上記帰還指示情報は、広域受信部45bから制御部46に与えられる。
【0209】
ステップS612において充電完了の指示があった場合、特定の充電器3は、管理装置6からの充電完了の指示に対して応答する(ステップS614)。ステップS614において、特定の充電器3では、充電機能部30の制御部39が、上記完了指示情報に対する応答情報を生成し、この応答情報を移動体40の制御部46に与える。制御部46は、上記帰還指示情報に対する応答情報を生成し、これら完了指示情報および帰還指示情報に対する各応答情報を広域送信部45aに与えて広域送信部45aの送信動作を制御する。広域送信部45aは、これらの応答情報を含む応答信号を、ネットワーク5の基地局4を介してデータサーバ61へ送信する。
【0210】
ステップS613の実行後、特定の充電器3は、帰還処理を実行し(ステップS614)、本処理を終了する。ステップS614において、特定の充電器3では、移動体40の制御部46が、上記帰還指示情報に基づいて駆動部41を制御する。駆動部41は、制御部46の制御に基づいて、現在位置(メンテナンス対象のセンサ装置2の位置)から所定の場所への広域の移動を行うために駆動する。この駆動部41による広域の移動は、目的地が異なる以外、上述したステップS602における広域の移動と同様である。上記所定の場所の位置情報は、制御部46に予め設定されていてもよいし、上記帰還指示情報に含まれていてもよい。移動体40は、駆動部41の作用により、現在位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10外に出て所定の場所に向かい移動する。これにより、特定の充電器3は、上記所定の場所(例えば充電器3の基地または待機施設等)に帰還する。
【0211】
一方、管理装置6において、データサーバ61は、上述したステップS613で特定の充電器3から送信された応答信号を、ネットワーク5を介して受信する。この場合、上述したステップS519において、制御装置62の制御部62gは、この応答信号に含まれる応答情報をデータサーバ61から取得し、取得した応答情報をもとに、特定の充電器3からの応答ありと判断する(ステップS519,Yes)。この場合、管理装置6は、バッテリ21のメンテナンス完了後のセンサ装置2をメンテナンス対象から解除するための解除処理を実行し(ステップS520)、ついで、このメンテナンス完了後のセンサ装置2に関する各種情報の更新処理を実行する(ステップS521)。その後、管理装置6は、上述したステップS501に戻り、このステップ501以降の処理を繰り返す。
【0212】
ステップS520において、制御装置62の制御部62gは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対応するフラグ、具体的には要交換フラグまたは要充電フラグを、データサーバ61の格納情報(例えばID情報61a)から削除(オフ設定)する。これにより、制御部62gは、メンテナンス完了後のセンサ装置2を、バッテリ21のメンテナンス対象から解除する。
【0213】
また、ステップS520において、データサーバ61は、上述したメンテナンス対象のセンサ装置2および特定の充電器3から各々受信した各種受信データをもとに、このセンサ装置2の端末IDと対応付けられたバッテリ情報61d、履歴情報61eおよび充電器情報61fを更新する。これにより、更新後のバッテリ情報61dおよび履歴情報61eには、今回のバッテリ21のメンテナンス実績が当該端末IDと対応付けられた態様で含まれる。また、更新後の充電器情報61fには、バッテリ21のメンテナンスを今回実行した特定の充電器3のメンテナンス状況等の情報が充電器IDと対応付けられた態様で含まれる。例えば、更新される情報としては、バッテリ21の蓄電量、充電回数、交換日時、バッテリ種類、バッテリ21に対する送電量、充電器の位置等の情報が挙げられる。
【0214】
以上、説明したように、本発明の実施形態1に係る充電システム1は、対象物に敷設されるセンサ装置2と、センサ装置2に電源として備わっている充電式のバッテリ21のメンテナンスを適宜実行すべく自動で移動するための移動体40を有する充電器3と、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々の位置とバッテリ21のメンテナンスとを管理し且つ複数の充電器3-1~3-bの各移動とバッテリ21のメンテナンスとを制御するためのデータサーバ61および制御装置62を有する管理装置6と、を備えている。
【0215】
この充電システム1において、センサ装置2および充電器3は、各々、ネットワーク5を介してデータサーバ61と信号を送受信する広域通信機能と、ネットワーク5を介さず局所域(例えばセンサ装置2の敷設エリア10)内で直に信号(例えばガイド信号)を送受信する局所域通信機能とを有している。制御装置62は、複数の充電器3-1~3-bのうちバッテリ21のメンテナンスを行う特定の充電器3の位置を導出する位置処理部62eと、特定の充電器3の位置からメンテナンス対象のセンサ装置2の位置への移動を指示するための移動指示情報と、ガイド信号の発信を指示するための発信指示情報とを生成する指示処理部62bと、を備えている。データサーバ61は、ネットワーク5を介して、特定の充電器3に上記移動指示情報を送信し、メンテナンス対象のセンサ装置2に上記発信指示情報を送信するように構成されている。特定の充電器3の移動体40は、上記移動指示情報をもとにメンテナンス対象のセンサ装置2の敷設エリア10内に移動し、敷設エリア10内で当該センサ装置2から発信されているガイド信号に誘導されて当該センサ装置2に近接するように構成されている。
【0216】
上記の構成により、管理装置6から遠隔に位置する複数のセンサ装置2-1~2-aの各々のセンサ位置およびバッテリ21のメンテナンス実績を把握して一元管理しながら、特定の充電器3がメンテナンス対象のセンサ装置2の遠隔地から敷設エリア10内への移動(広域の移動)を行うように、管理装置6からネットワーク5を介して特定の充電器3を遠隔制御し、さらに、特定の充電器3が敷設エリア10内でメンテナンス対象のセンサ装置2に近接する移動(局所域の移動)を行うように、管理装置6からネットワーク5を介して当該センサ装置2によるガイド信号の発信を遠隔制御することができる。
【0217】
このため、特定の充電器3は、ネットワーク5の基地局4の通信エリアに位置していれば、如何に遠く離れた遠隔地の対象物にメンテナンス対象のセンサ装置2が敷設されていても、第1段階として、当該センサ装置2の敷設エリア10内へ自動で移動し、これに続く第2段階として、敷設エリア10内で当該センサ装置2に対してバッテリ21のメンテナンスを実行し得る程度に自動で近接することができる。この結果、特定の充電器3によってメンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを自動で容易に実行できるから、バッテリ21の充電(再充電を含む)に掛かる手間を低減して容易にバッテリ21の充電を行うことができる。
【0218】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、特定の充電器3の移動体40が、メンテナンス対象のセンサ装置2から発信されるガイド信号の受信強度が強くなる方向に移動するようにしている。このため、敷設エリア10内に進入してきた特定の充電器3をガイド信号によって容易にメンテナンス対象のセンサ装置2の位置へ誘導することができる。
【0219】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、指示処理部62bがメンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを指示するためのメンテナンス指示情報を生成し、データサーバ61が、ネットワーク5を介して特定の充電器3に上記メンテナンス指示情報を送信し、特定の充電器3が、上記メンテナンス指示情報に基づいて、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を充電するようにしている。このため、複数のセンサ装置2-1~2-aのうちメンテナンス対象のセンサ装置2にバッテリ21の交換や充電といったメンテナンスを自動で実行するように、管理装置6によって特定の充電器3を遠隔制御することができる。
【0220】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、制御装置62が、検索処理部62dにより、複数の充電器3-1~3-bの中から、上記メンテナンス指示情報を送信していない空き状態であり且つメンテナンス対象のセンサ装置2の位置までの到着時間が最も短い状態にある充電器を上記特定の充電器3として検索し、この検索された特定の充電器3に対して、データサーバ61が、ネットワーク5を介して上記メンテナンス指示情報および移動指示情報を送信している。このため、複数の充電器3-1~3-bのうち、バッテリ21のメンテナンスを実行中ではなく且つメンテナンス対象のセンサ装置2の位置へ最も短時間に到着し得る状態にある特定の充電器3に対し、当該センサ装置2の位置への移動およびバッテリ21のメンテナンス実行を指示することができる。これにより、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを、特定の充電器3によって自動で効率よく実行することができる。
【0221】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、センサ装置2が、蓄電量測定部25によってバッテリ21の蓄電量を測定し、この測定された蓄電量と当該センサ装置2の端末IDとを対応付けた蓄電量測定データが、ネットワーク5を介してデータサーバ61に送信され、制御装置62が、判断処理部62cにより、上記蓄電量測定データをもとに、当該センサ装置2のバッテリ21がメンテナンスを要する状態であるか否かを判断している。このため、管理装置6から遠隔に位置する複数のセンサ装置2-1~2-aの各々のバッテリ状態を把握して一元管理しながら、これら複数のセンサ装置2-1~2-aのうちバッテリ21のメンテナンスが必要なセンサ装置(メンテナンス対象のセンサ装置2)を適切に判断することができる。これにより、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを、特定の充電器3によって自動で無駄なく実行することができる。
【0222】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、制御装置62が、選択処理部62aにより、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から、バッテリ21の検査対象とするセンサ装置2を選択し、データサーバ61が、この選択された検査対象のセンサ装置2からネットワーク5を介してバッテリ21の上記蓄電量測定データを受信している。このため、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々におけるバッテリ21の蓄電量測定データを、検査対象として選択されたセンサ装置2から順次取得することができ、これにより、これら複数のセンサ装置2-1~2-aの各別にバッテリ21の蓄電量測定データを効率よく取得して管理することができる。
【0223】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、検査対象として選択されたセンサ装置2のバッテリ21がメンテナンスを要する状態であるか否かを判断処理部62cによって判断している。このため、複数のセンサ装置2-1~2-aのうち検査対象として選択されたセンサ装置2から順に、バッテリ21の状態を判断することができる。これにより、複数のセンサ装置2-1~2-aの各々についてバッテリ21の状態を効率よく判断することができる。
【0224】
また、本発明の実施形態1に係る充電システム1では、特定の充電器3が、バッテリ21を充電している際の送電部31の送電量を送電量測定部32によって測定し、判断処理部62cが、複数のセンサ装置2-1~2-aのうちメンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電が完了したか否かを判断し、バッテリ21の充電が完了したと判断された場合、指示処理部62bが、上記特定の充電器3に充電完了を指示するための完了指示情報を生成し、バッテリ21の充電が未完了であると判断された場合、指示処理部62bが、上記特定の充電器3にバッテリ21の再充電を指示するための再充電指示情報を生成し、データサーバ61が、上記完了指示情報または再充電指示情報を、ネットワーク5を介して上記特定の充電器3に送信している。このため、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21のメンテナンスを、当該バッテリ21の充電が完了するまで繰り返し実行することができ、これにより、メンテナンス対象のセンサ装置2のバッテリ21を確実にメンテナンスすることができる。
【0225】
<実施形態2>
つぎに、本発明の実施形態2に係る充電システムの構成について説明する。図10は、本発明の実施形態2に係る充電システムに適用される充電器の一構成例を示す図である。図10に示すように、本実施形態2における充電器3Aは、本発明における移動式充電器の一例であり、上述した実施形態1における充電器3の移動体40に代えて移動体40Aを備え、また、通信装置50を備える。特に図示しないが、本実施形態2に係る充電システムは、上述した実施形態1に係る充電システム1の充電器3を充電器3Aに置き換えたものである。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0226】
移動体40Aは、図10に示すように、実施形態1と同様の駆動部41、作業部42、位置導出部43、撮像部44および制御部46を備え、充電機能部30と通信装置50とを搭載している。移動体40Aにおいて、制御部46は、通信装置50と通信可能に接続されている。これら移動体40Aの制御部46と通信装置50との通信可能な接続は、配線等による有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
【0227】
通信装置50は、充電器3Aにおける広域通信機能を担う装置である。詳細には、通信装置50は、広域通信機能を担う第3の通信部の一例であり、充電機能部30および移動体40Aとは分離可能な別体の装置として構成されている。例えば図10に示すように、通信装置50は、上述した実施形態1と同様の広域通信部45を備えている。本実施形態2において、広域通信部45は、上述した実施形態1と同様の広域送信部45aと広域受信部45bとを備え、充電機能部30(具体的には制御部39)と通信可能に接続されている。これら充電機能部30と通信装置50との通信可能な接続は、配線等による有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。また、通信装置50は、上述したように、移動体40Aの制御部46と通信可能に接続されている。
【0228】
このような充電器3Aにおいて、通信装置50は、ネットワーク5の基地局4を介して管理装置6のデータサーバ61と信号を送受信する。具体的には、広域送信部45aは、充電機能部30の制御部39または移動体40Aの制御部46から送信指示された情報やデータを含む信号を、ネットワーク5を介してデータサーバ61に送信する。広域受信部45bは、ネットワーク5を介してデータサーバ61から受信した情報やデータを、充電機能部30の制御部39または移動体40Aの制御部46に入力する。
【0229】
なお、本実施形態2に係る充電システムでは、上述した実施形態1と同様の処理フロー(図5~8参照)に沿って各種処理を行うことにより、センサ装置2のバッテリ検査、センサ選択処理、敷設対象情報61bの更新処理、バッテリ21のメンテナンス処理が各々実行される。この際、充電器3Aの充電機能および局所域の通信(ガイド信号の受信等)は、充電機能部30が担う。充電器3Aの移動機能およびバッテリ交換機能は、移動体40Aが担う。ネットワーク5を介した充電器3Aとデータサーバ61との信号の送受信(広域の通信)は、通信装置50が担う。
【0230】
以上、説明したように、本発明の実施形態2に係る充電システムでは、メンテナンス対象のセンサ装置2に対するバッテリ21の充電等を行う充電機能部30と、当該センサ装置2に対するバッテリ交換および充電器3Aの移動等を行う移動体40Aと、ネットワーク5を介して管理装置6のデータサーバ61と信号の送受信を行う通信装置50とを別体に構成し、充電機能部30および移動体40Aと通信装置50とを通信可能に接続し、これらの充電機能部30および通信装置50を移動体40Aに搭載するようにし、その他を実施形態1と同様に構成している。このため、上述した実施形態1と同様の作用効果を享受するとともに、既存の通信端末を用いて充電器3Aの広域の通信を簡易に実現することができる。この結果、充電システムを簡易に構成できるとともに、充電システムに要するコストを低減することができる。
【0231】
なお、上述した実施形態1、2では、対象物に敷設される機能端末の一例としてセンサ装置2を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記機能端末は、対象物に関する物理量(敷設対象データ)の検出機能を有するものに限らず、測定機能、検知機能、駆動機能等、検出以外の機能を有するものであってもよい。すなわち、機能端末の機能部は、図2に示したセンサ部22に限らず、バッテリ21の電力を利用して検出以外の上記機能を実行するものであってもよい。
【0232】
また、上述した実施形態1、2では、特定の充電器に移動を指示する際、メンテナンス対象のセンサ装置の位置を示す情報として緯度経度情報を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、当該センサ装置の位置を示す情報として、複数の基地局のうち当該センサ装置に最も近い基地局(最寄りの基地局)の位置を示す情報であってもよいし、当該センサ装置または当該センサ装置が敷設されている対象物の位置を示す画像情報であってもよい。また、上記画像情報としては、例えば、当該センサ装置に対する前回のバッテリのメンテナンス時の撮像処理(前回のステップS604)において撮像された静止画または動画であってもよい。
【0233】
また、上述した実施形態1、2では、特定の充電器の移動位置(移動時の現在位置)とメンテナンス対象のセンサ装置の位置との差が所定の閾値以下である場合、すなわち、特定の充電器が当該センサ装置から所定の距離以内の位置に移動した場合、特定の充電器が到着したと判断していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、当該センサ装置の最寄りの基地局から所定の距離以内の位置に特定の充電器が移動した場合に到着と判断してもよいし、当該センサ装置の位置を示す静止画または動画と特定の充電器によるステップS604の撮像処理で撮像された静止画または動画との類似度が所定の閾値以上である場合に到着と判断してもよい。
【0234】
また、上述した実施形態1、2では、特定の充電器がメンテナンス対象のセンサ装置の位置(敷設エリア内)に到着したことを示す到着情報を管理装置に送信して到着の通知を行っていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記到着情報は、特定の充電器が到着した当該センサ装置の位置を示すGPS情報であってもよいし、当該センサ装置の最寄りの基地局の位置を示す情報であってもよいし、特定の充電器の到着位置を示す動画または静止画の画像情報であってもよい。
【0235】
また、上述した実施形態1、2では、特定の充電器がガイド信号に誘導されてメンテナンス対象のセンサ装置に近接したことを当該充電器が判断し、当該センサ装置に対するバッテリのメンテナンス実行情報の送信によって上記近接の旨を管理装置に通知して、ガイド信号の発信を停止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、特定の充電器がメンテナンス対象のセンサ装置に近接したことを当該センサ装置が当該充電器からの受信信号等をもとに検知し、上記近接の旨を当該センサ装置が管理装置に通知して、ガイド信号の発信を停止してもよい。
【0236】
また、上述した実施形態1、2では、バッテリのメンテナンス処理は所定の時間が経過する毎に定期的に実行していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、管理装置の制御装置に予測処理部(図示せず)を設け、この予測処理部がデータサーバ内のバッテリ情報および履歴情報等をもとに、複数のセンサ装置の各々についてバッテリの残量不足を予測し、その都度、バッテリの残量不足が予測されたセンサ装置に対してバッテリのメンテナンス処理を実行してもよい。または、複数のセンサ装置の各々に予測処理部(図示せず)を設け、この予測処理部が蓄電量測定部によるバッテリの蓄電量等をもとに、バッテリの残量不足を予測し、その都度、バッテリの残量不足が予測されたセンサ装置から管理装置に上記残量不足の旨を通知して、当該センサ装置に対するバッテリのメンテナンス処理を実行してもよい。
【0237】
また、上述した実施形態1、2では、複数の充電器のうち特定の充電器に対して、メンテナンス対象である1つのセンサ装置についてバッテリのメンテナンス実行を指示していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記特定の充電器には、メンテナンス対象である複数のセンサ装置についてバッテリのメンテナンス実行を掛け持ちするように指示してもよい。
【0238】
また、上述した実施形態1、2では、管理装置6の制御装置62がタイマ62fを有し、このタイマ62fによって経過時間等の時間管理を行っていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、機能端末(センサ装置2等)や充電器がタイマを有し、これらの機能端末および充電器の各々が充電時間等の時間情報を計時してもよい。
【0239】
また、上述した実施形態1、2では、学習装置63によって構築された判断則63aに従ってセンサ装置のバッテリが要交換の状態(すなわち交換すべき程に劣化した状態)であるか否かを判断していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、バッテリの状態は、充電器の送電量に関するデータ(送電量測定データまたは送電量プロファイル等)とセンサ装置の蓄電量に関するデータ(蓄電量測定データまたは蓄電量プロファイル等)との差を、予め設定された閾値と比較し、この比較結果をもとに判断されてもよい。
【0240】
また、上述した実施形態1、2では、バッテリ21のメンテナンス処理におけるステップS502のセンサ選択処理(図8参照)は、予め設定されたセンサ番号順にセンサ装置2を選択するように実行されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ステップS502のセンサ選択処理は、センサ番号順によらず、複数のセンサ装置2-1~2-aの中から、メンテナンス対象であることを示すフラグ(要交換フラグまたは要充電フラグ)が端末ID等に設定されたセンサ装置2をメンテナンス対象として選択するように実行されてもよい。
【0241】
また、上述した実施形態1、2では、充電器の移動体に撮像部を設けていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上述した撮像部は、充電器の充電機能部に設けられてもよいし、通信装置に設けてもよい。
【0242】
また、上述した実施形態1、2では、充電器の局所域通信部は充電機能部に設けられ、充電器の広域通信部は移動体又は通信装置に設けられていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、充電器の局所域通信部は、充電機能部に設けられてもよいし、移動体に設けられてもよいし、通信装置に設けられてもよいし、これらの各々に設けられてもよい。また、充電器の広域通信部は、充電機能部に設けられてもよいし、移動体に設けられてもよいし、通信装置に設けられてもよいし、これらの各々に設けられてもよい。また、センサ装置とデータサーバとの通信は、当該センサ装置と充電器との局所域の通信と、当該充電器と当該データサーバとの広域の通信とを介して行われてもよい。充電器とデータサーバとの通信は、当該充電器とセンサ装置との局所域の通信と、当該センサ装置と当該データサーバとの広域の通信とを介して行われてもよい。
【0243】
また、上述した実施形態1、2により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態1、2に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0244】
1 充電システム
2、2-1~2-a センサ装置
3、3-1~3-b、3A 充電器
4、4-1~4-c 基地局
5 ネットワーク
6 管理装置
10 敷設エリア
21 バッテリ
22 センサ部
23 メモリ
24 受電部
25 蓄電量測定部
26 端末通信部
26a 広域送信部
26b 広域受信部
27 局所域通信部
28 制御部
30 充電機能部
31 送電部
32 送電量測定部
33 局所域通信部
35 メモリ
36 入力部
37 表示部
38 大容量バッテリ
39 制御部
40、40A 移動体
41 駆動部
42 作業部
43 位置導出部
44 撮像部
45 広域通信部
45a 広域送信部
45b 広域受信部
46 制御部
50 通信装置
61 データサーバ
61a ID情報
61b 敷設対象情報
61c 位置情報
61d バッテリ情報
61e 履歴情報
61f 充電器情報
62 制御装置
62a 選択処理部
62b 指示処理部
62c 判断処理部
62d 検索処理部
62e 位置処理部
62f タイマ
62g 制御部
63 学習装置
63a 判断則
64 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10