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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電極形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240514BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240514BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240514BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240514BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L25/08 C
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020096998
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021190642
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小日向 恭祐
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンソク
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204915(JP,A)
【文献】特開2002-343754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0233702(US,A1)
【文献】特開2004-273929(JP,A)
【文献】特開2012-190961(JP,A)
【文献】特開2015-005748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/07
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを有するウェーハの第1の面に、該デバイスに通じる電極を形成する電極形成方法であって、
該第1の面から該デバイスに到達する深さの孔を形成する孔形成工程と、
該第1の面に導電性材料からなる導電性膜を形成するとともに、該孔を導電性材料によって埋める導電性部形成工程と、
研磨装置のチャックテーブルの平坦な保持面によって、該ウェーハにおける該第1の面とは反対側の第2の面を吸引保持し、該保持面に平行な研磨パッドの下面によって、該導電性部形成工程において形成された該導電性材料を研磨することによって、該第1の面に形成された該導電性膜を除去するとともに、該孔を埋めた該導電性材料の露出面を、研磨されて該膜が除去された該第1の面と面一にすることによって、電極を形成する電極形成工程と、
を備え、
該ウェーハは、
表面に配線層が形成されたベースウェーハの表面と、表面にデバイスが形成されたデバイスチップの表面とを貼り合わせる第1貼り合わせ工程と、
該デバイスチップを樹脂によって封止する樹脂形成工程と、
該樹脂を研削する研削工程と、
サポートウェーハの表面と、該研削工程において該樹脂が研削された該ベースウェーハの被研削面とを貼り合わせる第2貼り合わせ工程と、
該第2貼り合わせ工程において該サポートウェーハに貼り合わせられた該ベースウェーハの裏面を研削するベースウェーハ研削工程と、
を含むウェーハ製造方法によって形成される積層ウェーハであり、
該ベースウェーハの被研削面とは反対側の裏面が、該積層ウェーハの該第1の面であり、
該サポートウェーハの表面とは反対側の裏面が、該積層ウェーハの該第2の面である、
電極形成方法。
【請求項2】
該ウェーハ製造方法は、
該樹脂形成工程の前までに、該デバイスチップを収容可能な複数の穴を有するキャビティウェーハを該ベースウェーハに貼り付けるキャビティウェーハ貼り付け工程をさらに含み、
該樹脂形成工程では、該穴を該樹脂で埋める、
請求項記載の電極形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層ウェーハの形成では、表面にデバイスが形成されたウェーハと、表面に配線パターンが形成されたウェーハとを貼り合わせる。その後、ウェーハを薄化して、ビアを形成し、さらに、Cuによってビアを埋めることにより、電極を形成する。
【0003】
特許文献1および2に開示の積層ウェーハでは、貼り合わされたウェーハの被研削面に、二酸化珪素層からなる中間誘電体層を形成する。その後、二酸化珪素層およびシリコンを貫通しデバイスおよび配線に到達するビアを形成する。そのビアの表面に、タンタルなどの障壁層を形成する。さらに、Cuなどの導電材料によって、ビアを埋めている。ビアをCuによって埋める際は、電解メッキを用いるため、障壁層の上面にCu層が形成される。
【0004】
その後、Cuを研磨することによって、ビアと配線の部分だけにCuを残す。これにより、電極が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-156029号公報
【文献】特表2002-506295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなCuの研磨では、研磨パッドにウェーハを押し当てて研磨を実施することにより、ウェーハ表面のCuを除去している。この際、ウェーハのビアの部分が凹むことがある。この場合、研磨パッドをCuに押し当てて研磨した際に、ビアの部分だけにCuを残すこと、つまり、電極を形成することが困難である。
【0007】
また、上記のようにウェーハとウェーハとを積層する場合ではなく、ウェーハにデバイスチップを配置し、デバイスチップをモールド樹脂で封止した後、電極を形成する場合もある。この場合には、モールド樹脂が収縮することにより、モールド樹脂側が凹んで、ウェーハが反ることがある。この場合も、上記と同様に、電極を形成することが困難である。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ウェーハのビア(細孔)に、電極を良好に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電極形成方法(本電極形成方法)は、デバイスを有するウェーハの第1の面に、該デバイスに通じる電極を形成する電極形成方法であって、該第1の面から該デバイスに到達する深さの孔を形成する孔形成工程と、該第1の面に導電性材料からなる導電性膜を形成するとともに、該孔を導電性材料によって埋める導電性部形成工程と、研磨装置のチャックテーブルの平坦な保持面によって、該ウェーハにおける該第1の面とは反対側の第2の面を吸引保持し、該保持面に平行な研磨パッドの下面によって、該導電性部形成工程において形成された該導電性材料を研磨することによって、該第1の面に形成された該導電性膜を除去するとともに、該孔を埋めた該導電性材料の露出面を、研磨されて該膜が除去された該第1の面と面一にすることによって、電極を形成する電極形成工程と、を備え、該ウェーハは、表面に配線層が形成されたベースウェーハの表面と、表面にデバイスが形成されたデバイスチップの表面とを貼り合わせる第1貼り合わせ工程と、該デバイスチップを樹脂によって封止する樹脂形成工程と、該樹脂を研削する研削工程と、サポートウェーハの表面と、該研削工程において該樹脂が研削された該ベースウェーハの被研削面とを貼り合わせる第2貼り合わせ工程と、該第2貼り合わせ工程において該サポートウェーハに貼り合わせられた該ベースウェーハの裏面を研削するベースウェーハ研削工程と、を含むウェーハ製造方法によって形成される積層ウェーハであり、該ベースウェーハの被研削面とは反対側の裏面が、該積層ウェーハの該第1の面であり、該サポートウェーハの表面とは反対側の裏面が、該積層ウェーハの該第2の面である。
【0012】
また、この場合、該ウェーハ製造方法は、該樹脂形成工程の前までに、該デバイスチップを収容可能な複数の穴を有するキャビティウェーハを該ベースウェーハに貼り付けるキャビティウェーハ貼り付け工程をさらに含んでもよく、該樹脂形成工程では、該穴を該樹脂で埋めてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本実施形態では、電極形成工程において、ウェーハの第2の面を、研磨装置におけるチャックテーブルの保持面によって吸引保持する。これにより、ウェーハの反りが抑制される。この状態で、研磨パッドの下面により、ウェーハの導電性材料を研磨する。したがって、ウェーハの反りを、チャックテーブルによって抑制した状態(すなわち、ウェーハを略平坦化した状態)で、導電性材料を研磨することができる。これにより、ウェーハの反りに起因する研磨不良を抑制することができる。その結果、研磨パッドによる研磨によって、導電性膜を良好に除去すること、および、孔内の導電性材料の露出面を、導電性膜が除去された第1の面と面一とすることが容易となる。したがって、孔内に、導電性材料からなる電極を良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の準備工程を示す説明図である。
図2】第1実施形態のウェーハ張り合わせ工程を示す説明図である。
図3】第1実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図4】第1実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図5】第1実施形態の絶縁層形成工程を示す説明図である。
図6】第1実施形態の細孔形成工程を示す説明図である。
図7】第1実施形態の導電性部形成工程を示す説明図である。
図8】第1実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
図9】第1実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
図10】第2実施形態の準備工程を示す説明図である。
図11】第2実施形態の第1接着剤塗布工程を示す説明図である。
図12】第2実施形態の第1貼り合わせ工程を示す説明図である。
図13】第2実施形態の樹脂形成工程を示す説明図である。
図14】第2実施形態の研削工程を示す説明図である。
図15】第2実施形態の研削工程を示す説明図である。
図16】第2実施形態の第2接着剤塗布工程を示す説明図である。
図17】第2実施形態の第2貼り合わせ工程を示す説明図である。
図18】第2実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図19】第2実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図20】第2実施形態の絶縁層形成工程を示す説明図である。
図21】第2実施形態の細孔形成工程を示す説明図である。
図22】第2実施形態の導電性部形成工程を示す説明図である。
図23】第2実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
図24】第2実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
図25】第3実施形態の準備工程を示す説明図である。
図26】第3実施形態の第1接着剤塗布工程を示す説明図である。
図27】第3実施形態の第1貼り合わせ工程を示す説明図である。
図28】第3実施形態のキャビティウェーハ貼り付け工程を示す説明図である。
図29】第3実施形態の樹脂形成工程を示す説明図である。
図30】第3実施形態の研削工程を示す説明図である。
図31】第3実施形態の研削工程を示す説明図である。
図32】第3実施形態の第2接着剤塗布工程を示す説明図である。
図33】第3実施形態の第2貼り合わせ工程を示す説明図である。
図34】第3実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図35】第3実施形態のベースウェーハ研削工程を示す説明図である。
図36】第3実施形態の絶縁層形成工程を示す説明図である。
図37】第3実施形態の細孔形成工程を示す説明図である。
図38】第3実施形態の導電性部形成工程を示す説明図である。
図39】第3実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
図40】第3実施形態の電極形成工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
本実施形態にかかるウェーハ形成方法は、積層ウェーハを製造するウェーハ製造方法、および、積層ウェーハに電極を形成する電極形成方法を含む。
【0016】
〔ウェーハ製造方法;準備工程〕
まず、ウェーハ製造方法について説明する。
ウェーハ製造方法の準備工程では、図1に示すように、ベースウェーハ10と、デバイスウェーハ20とを準備する。ベースウェーハ10は、配線層が形成された配線層形成面である表面11と、その反対側の面である裏面12とを有している。デバイスウェーハ20は、デバイス25が形成されているデバイス形成面である表面21と、その反対側の面である裏面22とを有している。
ベースウェーハ10およびデバイスウェーハ20の厚みは、たとえば、775μmである。
【0017】
〔ウェーハ製造方法;ウェーハ張り合わせ工程〕
ウェーハ張り合わせ工程では、まず、ベースウェーハ10の表面11に、接着剤15を塗布する。そして、図2に示すように、接着剤15を介して、ベースウェーハ10の表面11と、デバイスウェーハ20の表面21とを貼り合わせる。
【0018】
〔ウェーハ製造方法;ベースウェーハ研削工程〕
ベースウェーハ研削工程では、貼り合わせ工程においてデバイスウェーハ20に貼り合わせられたベースウェーハ10の裏面12を研削する。すなわち、図3に示すように、まず、研削装置100を準備する。
【0019】
研削装置100、チャックテーブル110を有している。チャックテーブル110は、デバイスウェーハ20を保持するための円板形状のテーブルである。チャックテーブル110は、ポーラス材からなる保持面111を備えている。保持面111は、図示しない吸引源に連通されることで、デバイスウェーハ20の裏面22を吸引保持することができる。
【0020】
また、研削装置100は、スピンドル101、スピンドル101の下端に接続されたホイールマウント102、および、ホイールマウント102の下面に着脱可能に装着された研削ホイール103を備える。研削ホイール103は、円環状のホイール基台(環状基台)104、および、ホイール基台104の下面に設けられた複数の研削砥石105を備えている。
【0021】
ベースウェーハ研削工程では、デバイスウェーハ20の裏面22を保持しているチャックテーブル110を回転させながら、スピンドル101の回転により回転される研削砥石105によって、ベースウェーハ10の裏面12を研削する。これにより、図4に示すように、ベースウェーハ10が薄くされる。
【0022】
〔ウェーハ製造方法;絶縁層形成工程〕
絶縁層形成工程では、図5に示すように、ベースウェーハ研削工程において研削されたベースウェーハ10の被研削面である裏面12に、絶縁層18を形成する。
ここまでの工程により、ベースウェーハ10およびデバイスウェーハ20等を含む積層ウェーハ1が形成される。
【0023】
〔電極形成方法;細孔形成工程〕
次に、積層ウェーハ1に対する電極形成方法について説明する。電極形成方法では、デバイス25を有する積層ウェーハ1の第1の面であるベースウェーハ10の裏面12に、デバイス25に通じる電極を形成する。
【0024】
電極形成方法の細孔形成工程では、図6に示すように、積層ウェーハ1における第1の面であるベースウェーハ10の裏面12に、絶縁層18を介して、複数の細孔31を形成する。細孔31は、ベースウェーハ10の裏面12から、ベースウェーハ10を貫通して、デバイスウェーハ20のデバイス25に到達する深さを有する。
【0025】
〔電極形成方法;導電性部形成工程〕
導電性部形成工程では、図7に示すように、積層ウェーハ1におけるベースウェーハ10の裏面12に、絶縁層18を介して、導電性材料(たとえばCu)からなる導電性膜33を形成する。さらに、細孔31を、導電性材料によって埋める。これにより、細孔31内に、導電性材料からなる柱である導電性柱34が形成される。
【0026】
なお、導電性部形成工程の前に、絶縁層18の表面および細孔31の内部側面に障壁層(タンタル層または窒化タンタル層)を形成する、障壁層形成工程を実施してもよい。
【0027】
〔電極形成方法;電極形成工程〕
電極形成工程では、まず、図8に示すように、研磨装置200を準備する。
研磨装置200は、チャックテーブル210を有している。チャックテーブル210は、積層ウェーハ1を保持するための円板形状のテーブルである。チャックテーブル210は、ポーラス材からなる平坦な保持面211を備えている。保持面211は、図示しない吸引源に連通されることで、積層ウェーハ1を吸引保持することができる。
電極形成工程では、チャックテーブル210の保持面211は、積層ウェーハ1の第2の面であるデバイスウェーハ20の裏面22を吸引保持する。
【0028】
また、研磨装置200は、スピンドル201、スピンドル201の下端に接続されたホイールマウント202、および、ホイールマウント202の下面に着脱可能に装着された研磨ホイール203を備える。研磨ホイール203は、円環状のホイール基台204、および、ホイール基台204の下面に設けられた研磨パッド205を備えている。
【0029】
研磨パッド205の下面は、チャックテーブル210の保持面211に平行である。また、研磨動作の際、研磨パッド205には、矢印206によって示すように、スピンドル201を介して研磨液が供給される。また、研磨装置200では、スピンドル201を回転軸方向に移動させる加重付与手段207により、研磨パッド205から被研磨面にかかる加重を調整することが可能である。
【0030】
電極形成工程では、まず、チャックテーブル210の保持面211によって、デバイスウェーハ20の裏面12が保持される。この状態で、チャックテーブル210を回転させながら、スピンドル201の回転により回転される研磨パッド205の下面によって、積層ウェーハ1における導電性部形成工程において形成された導電性材料を研磨する。すなわち、研磨パッド205の下面によって、ベースウェーハ10の裏面12(絶縁層18を含む)に形成された導電性膜33、および、細孔31内に形成された導電性柱34の表面を研磨する。
【0031】
これによって、図9に示すように、絶縁層18を介してベースウェーハ10の裏面12に形成された導電性膜33が除去される。さらに、細孔31を埋めている導電性材料からなる導電性柱34の露出面が、研磨されて導電性膜33が除去された裏面12(絶縁層18を含む)と面一となる。このようにして、細孔31内に、導電性柱34からなる電極が形成される。
【0032】
以上のように、本実施形態では、電極形成工程において、積層ウェーハ1の第2の面であるデバイスウェーハ20の裏面22を、研磨装置200におけるチャックテーブル210の保持面211によって吸引保持する。これにより、積層ウェーハ1の反りが抑制される。この状態で、研磨装置200の研磨パッド205の下面により、積層ウェーハ1の導電性材料を研磨する。
【0033】
したがって、本実施形態では、積層ウェーハ1において、樹脂製の絶縁層18と、樹脂とは異なる材質からなる、たとえばシリコン製のベースウェーハ10とが積層されている場合でも、材質が異なることに起因する積層ウェーハ1の反りを、チャックテーブル210によって抑制した状態(すなわち、積層ウェーハ1を略平坦化した状態)で、導電性材料を研磨することができる。
これにより、積層ウェーハ1の反りに起因する研磨不良を抑制することができる。その結果、研磨パッド205による研磨によって、導電性膜33を除去すること、および、細孔31内の導電性柱34の露出面を、研磨されて導電性膜33が除去された裏面12(絶縁層18を含む)と面一とすることが容易となる。したがって、細孔31内に、電極としての導電性柱34を良好に形成することができる。
【0034】
[第2実施形態]
本実施形態にかかるウェーハ形成方法は、第1実施形態と同様に、積層ウェーハを製造するウェーハ製造方法、および、積層ウェーハに電極を形成する電極形成方法を含む。本実施形態では、ウェーハ製造方法において製造される積層ウェーハが、第1実施形態における積層ウェーハ1とは異なっている。
【0035】
〔ウェーハ製造方法;準備工程〕
まず、ウェーハ製造方法について説明する。
ウェーハ製造方法の準備工程では、図10に示すように、ベースウェーハ40と、サポートウェーハ50と、デバイスチップ60と、を準備する。
【0036】
ベースウェーハ40は、配線層が形成された配線層形成面である表面41と、その反対側の面である裏面42とを有している。サポートウェーハ50は、表面51および裏面52を有しており、ベースウェーハ40以上の面積を有している。ベースウェーハ40およびサポートウェーハ50の厚みは、たとえば、775μmである。
【0037】
デバイスチップ60は、デバイス63が形成された表面61を備えている。デバイスチップ60の厚みは、たとえば20μmである。
【0038】
〔ウェーハ製造方法;第1接着剤塗布工程〕
第1接着剤塗布工程では、図11に示すように、ベースウェーハ40の表面41に、第1接着剤45を塗布する。
【0039】
〔ウェーハ製造方法;第1貼り合わせ工程〕
第1貼り合わせ工程(チップ接着工程)では、図12に示すように、ベースウェーハ40の表面41と、デバイスチップ60の表面61とを貼り合わせる。すなわち、デバイスチップ60におけるデバイス63が形成されている表面61を、ベースウェーハ40の表面41に塗布されている第1接着剤45に向けた状態で、デバイスチップ60を第1接着剤45上に載置する。これにより、ベースウェーハ40の表面41とデバイスチップ60の表面61とが、第1接着剤45によって、互いに接着される。
【0040】
〔ウェーハ製造方法;樹脂形成工程〕
樹脂形成工程では、デバイスチップ60を樹脂によって封止する。すなわち、図13に示すように、ベースウェーハ40の表面41(第1接着剤45を含む)およびその上のデバイスチップ60を、樹脂48によって覆う。
【0041】
〔ウェーハ製造方法;研削工程〕
研削工程では、樹脂48を研削する。すなわち、まず、図14に示すように、図3に示した研削装置100を準備する。そして、研削装置100におけるチャックテーブル110の保持面111によって、ベースウェーハ40の裏面42を吸引保持する。そして、このチャックテーブル110を回転させながら、スピンドル101の回転により回転される研削砥石105によって、樹脂48の上面を研削する。これにより、図15に示すように、樹脂48が薄くされ、樹脂48の上面が平坦化される。
なお、樹脂48の上面と共にデバイスチップ60を研削して、デバイスチップ60を露出させてもよい。
【0042】
〔ウェーハ製造方法;第2接着剤塗布工程〕
第2接着剤塗布工程では、図16に示すように、サポートウェーハ50の表面51に、第2接着剤55を塗布する。
【0043】
〔ウェーハ製造方法;第2貼り合わせ工程〕
第2貼り合わせ工程(ウェーハ接着工程)では、図17に示すように、サポートウェーハ50の表面51と、研削工程において樹脂48が研削されたベースウェーハ40の被研削面とを貼り合わせる。すなわち、ベースウェーハ40における研削された樹脂48およびデバイスチップ60が形成されている表面41を、サポートウェーハ50の表面51に塗布されている第2接着剤55上に載置する。これにより、ベースウェーハ40の表面41側の研削された樹脂48と、サポートウェーハ50の表面51とが、第2接着剤55によって、互いに張り合わせられる。
【0044】
〔ウェーハ製造方法;ベースウェーハ研削工程〕
ベースウェーハ研削工程では、第2貼り合わせ工程においてサポートウェーハ50に貼り合わせられたベースウェーハ40の裏面42を研削する。すなわち、まず、図18に示すように、図14に示した研削装置100を準備する。そして、研削装置100におけるチャックテーブル110の保持面111によって、サポートウェーハ50の裏面52を吸引保持する。そして、このチャックテーブル110を回転させながら、スピンドル101の回転により回転される研削砥石105によって、ベースウェーハ40の裏面42を研削する。これにより、図19に示すように、ベースウェーハ40の裏面42が、たとえば20μmの厚みを有するように、薄くされる。
【0045】
〔ウェーハ製造方法;絶縁層形成工程〕
絶縁層形成工程では、図20に示すように、ベースウェーハ研削工程において研削されたベースウェーハ40の被研削面である裏面42に、絶縁層49を形成する。
ここまでの工程により、ベースウェーハ40、サポートウェーハ50およびデバイスチップ60等を含む積層ウェーハ2が形成される。
【0046】
〔電極形成方法;細孔形成工程〕
次に、積層ウェーハ2に対する電極形成方法について説明する。電極形成方法では、デバイスチップ60を有する積層ウェーハ2の第1の面であるベースウェーハ40の裏面42に、デバイスチップ60に通じる電極を形成する。
【0047】
電極形成方法の細孔形成工程では、図21に示すように、積層ウェーハ2における第1の面であるベースウェーハ40の裏面42に、絶縁層49を介して、複数の細孔71を形成する。細孔71は、ベースウェーハ40の裏面42から、ベースウェーハ40を貫通して、デバイスチップ60に到達する深さを有する。
【0048】
〔電極形成方法;導電性部形成工程〕
導電性部形成工程では、図22に示すように、積層ウェーハ2におけるベースウェーハ40の裏面42に、絶縁層49を介して、導電性材料(たとえばCu)からなる導電性膜73を形成する。さらに、細孔71を、導電性材料によって埋める。これにより、細孔71内に、導電性材料からなる柱である導電性柱74が形成される。
なお、第1実施形態と同様に、電性部形成工程の前に、絶縁層49の表面および細孔71の内部側面に障壁層を形成する、障壁層形成工程を実施してもよい。
【0049】
〔電極形成方法;電極形成工程〕
電極形成工程では、まず、図23に示すように、図8に示した研磨装置200を準備する。そして、チャックテーブル210の保持面211によって、積層ウェーハ2の第2の面であるサポートウェーハ50の裏面52を吸引保持する。さらに、このチャックテーブル210を回転させながら、スピンドル201の回転により回転される研磨パッド205の下面によって、積層ウェーハ2における導電性部形成工程において形成された導電性材料を研磨する。すなわち、研磨パッド205の下面によって、ベースウェーハ40の裏面42(絶縁層49を含む)に形成された導電性膜73、および、細孔71内に形成された導電性柱74の表面を研磨する。
【0050】
これによって、図24に示すように、絶縁層49を介してベースウェーハ40の裏面42に形成された導電性膜73が、除去される。さらに、細孔71を埋めている導電性材料からなる導電性柱74の露出面が、研磨されて導電性膜73が除去された裏面42(絶縁層49を含む)と面一となる。このようにして、細孔71内に、導電性柱74からなる電極が形成される。
【0051】
以上のように、本実施形態の電極形成工程でも、積層ウェーハ2の第2の面であるサポートウェーハ50の裏面52を、研磨装置200におけるチャックテーブル210の保持面211によって吸引保持することによって、積層ウェーハ2の反りを抑制した状態で、研磨パッド205の下面により、積層ウェーハ2の導電性材料を研磨する。したがって、本実施形態でも、積層ウェーハ2の反りを抑制した状態で、導電性材料を研磨することができる。これにより、積層ウェーハ2の反りに起因する研磨不良を抑制することができる。
【0052】
[第3実施形態]
本実施形態にかかるウェーハ形成方法は、第2実施形態と同様に、積層ウェーハを製造するウェーハ製造方法、および、積層ウェーハに電極を形成する電極形成方法を含む。本実施形態では、ウェーハ製造方法において製造される積層ウェーハが、さらに、キャビティウェーハを含んでいる。
【0053】
〔ウェーハ製造方法;準備工程〕
図25に示すように、ウェーハ製造方法の準備工程では、図10に示したベースウェーハ40、サポートウェーハ50およびデバイスチップ60に加えて、キャビティウェーハ80を準備する。
キャビティウェーハ80は、デバイスチップ60を収容可能な複数の穴82を有するウェーハである。キャビティウェーハ80の厚みは、たとえば、775μmである。
【0054】
〔ウェーハ製造方法;第1接着剤塗布工程、第1貼り合わせ工程〕
第1接着剤塗布工程および第1貼り合わせ工程は、第2実施形態と同様に実施される。すなわち、まず、図26に示すように、ベースウェーハ40の表面41に、第1接着剤45を塗布する。そして、図27に示すように、ベースウェーハ40の表面41と、デバイスチップ60の表面61とを貼り合わせる。これにより、ベースウェーハ40の表面41とデバイスチップ60の表面61とが、第1接着剤45によって、互いに接着される。
【0055】
〔ウェーハ製造方法;キャビティウェーハ貼り付け工程〕
キャビティウェーハ貼り付け工程では、樹脂形成工程前までに、キャビティウェーハ80を、ベースウェーハ40に貼り付ける。
すなわち、図28に示すように、ベースウェーハ40の表面41に既に貼り付けられているデバイスチップ60が、キャビティウェーハ80の穴82に収容されるように、キャビティウェーハ80を、ベースウェーハ40の表面41に、第1接着剤45を介して貼り付ける。
【0056】
〔ウェーハ製造方法;樹脂形成工程〕
樹脂形成工程では、デバイスチップ60を樹脂によって封止する。すなわち、図29に示すように、ベースウェーハ40の表面41(第1接着剤45を含む)およびその上のデバイスチップ60を、樹脂48によって覆う。この際、キャビティウェーハ80の穴82を、樹脂によって埋める。
【0057】
〔ウェーハ製造方法;研削工程〕
図30に示す研削工程では、図14に示した第2実施形態の研削工程と同様に、研削装置100を用いて、樹脂48の上面を研削する。これにより、図31に示すように、樹脂48が薄くされ、樹脂48の上面が平坦化される。研削工程後における樹脂48の厚みは、たとえば150μmである。
なお、樹脂48の上面と共にデバイスチップ60を研削して、デバイスチップ60を露出させてもよい。
【0058】
〔ウェーハ製造方法;第2接着剤塗布工程、第2貼り合わせ工程〕
図32に示す第2接着剤塗布工程では、第2実施形態と同様に、サポートウェーハ50の表面51に、第2接着剤55を塗布する。
そして、図33に示す第2貼り合わせ工程では、第2実施形態と同様に、サポートウェーハ50の表面51と、研削工程において樹脂48が研削されたベースウェーハ40の被研削面とを貼り合わせる。
【0059】
〔ウェーハ製造方法;ベースウェーハ研削工程、絶縁層形成工程〕
図34に示すベースウェーハ研削工程では、第2実施形態と同様に、第2貼り合わせ工程においてサポートウェーハ50に貼り合わせられたベースウェーハ40の裏面42を研削する。これにより、図35に示すように、ベースウェーハ40の裏面42が、たとえば20μmの厚みを有するように、薄くされる。
【0060】
そして、図36に示すように、絶縁層形成工程では、第2実施形態と同様に、ベースウェーハ研削工程において研削されたベースウェーハ40の被研削面である裏面42に、絶縁層49を形成する。
ここまでの工程により、ベースウェーハ40、サポートウェーハ50、デバイスチップ60およびキャビティウェーハ80等を含む積層ウェーハ3が形成される。
【0061】
〔電極形成方法;細孔形成工程、導電性部形成工程、電極形成工程〕
電極形成方法では、積層ウェーハ3の第1の面であるベースウェーハ40の裏面42に、第2実施形態と同様に、デバイスチップ60に通じる電極を形成する。
【0062】
すなわち、細孔形成工程では、図37に示すように、ベースウェーハ40の裏面42に、絶縁層49を介して、複数の細孔71を形成する。そして、導電性部形成工程では、図38に示すように、ベースウェーハ40の裏面42に、絶縁層49を介して導電性膜73を形成する。さらに、細孔71を導電性材料によって埋めることにより、細孔71内に導電性柱74を形成する。
【0063】
さらに、図39に示す電極形成工程では、研磨装置200のチャックテーブル210の保持面211によって、積層ウェーハ3の第2の面であるサポートウェーハ50の裏面52を吸引保持する。この状態で、研磨パッド205の下面によって、ベースウェーハ40の裏面42(絶縁層49を含む)に形成された導電性膜73、および、細孔71内の導電性柱74の表面を研磨する。
【0064】
これによって、図40に示すように、導電性膜73が除去されるとともに、細孔71を埋めている導電性柱74の露出面が、裏面42(絶縁層49を含む)と面一となる。このようにして、細孔71内に、導電性柱74からなる電極が形成される。
【0065】
このように、本実施形態の電極形成工程でも、積層ウェーハ3の第2の面であるサポートウェーハ50の裏面52をチャックテーブル210の保持面211によって吸引保持して、積層ウェーハ3の反りを抑制した状態で、研磨パッド205の下面により、積層ウェーハ2の導電性材料を研磨する。したがって、本実施形態でも、積層ウェーハ3の反りを抑制しながら導電性材料を研磨することができるので、積層ウェーハ3の反りに起因する研磨不良を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、積層ウェーハ3が、キャビティウェーハ80を含んでいる。このため、積層ウェーハ3では、積層ウェーハ2に比して、反りの発生をさらに抑制することができる。
【0067】
なお、上述の実施形態では、電極形成方法において電極が形成されるウェーハとして、積層ウェーハ1~3を示している。これに関し、電極が形成されるウェーハは、積層ウェーハでなくてもよい。すなわち、電極が形成されるウェーハは、たとえば、第1の面にデバイスチップを配置すること、および、これらのデバイスチップをモールド樹脂で封止することによって形成されるウェーハであってもよい。
【0068】
このようなウェーハに関しても、上述した電極形成方法における細孔形成工程、導電性部形成工程および電極形成工程を実施することによって、モールド樹脂の収縮に起因するウェーハの反りを抑制しながら、良好に電極を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1:積層ウェーハ、
10:ベースウェーハ、11:表面、12:裏面、
15:接着剤、18:絶縁層、
20:デバイスウェーハ、21:表面、22:裏面、25:デバイス、
31:細孔、33:導電性膜、34:導電性柱、
2,3:積層ウェーハ、
40:ベースウェーハ、41:表面、42:裏面、
45:第1接着剤、49:絶縁層、
50:サポートウェーハ、51:表面、52:裏面、
55:第2接着剤、
60:デバイスチップ、61:表面、63:デバイス、
71:細孔、73:導電性膜、74:導電性柱、
80:キャビティウェーハ、82:穴、
100:研削装置、101:スピンドル、102:ホイールマウント、
103:研削ホイール、104:ホイール基台、105:研削砥石、
110:チャックテーブル、111:保持面、
200:研磨装置、201:スピンドル、202:ホイールマウント、
203:研磨ホイール、204:ホイール基台、205:研磨パッド、
207:加重付与手段、
210:チャックテーブル、211:保持面
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