(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】可変エッチング深さのための方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20240514BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240514BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G02B5/18
H01L21/302 105A
H01L21/302 201B
(21)【出願番号】P 2022567775
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 US2021027613
(87)【国際公開番号】W WO2021231025
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】ディスターソ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ボアス, ライアン
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0144109(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0124865(US,A1)
【文献】特開平06-069605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0258008(US,A1)
【文献】特開平06-053600(JP,A)
【文献】特表2021-502590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0270642(US,A1)
【文献】特開2000-193813(JP,A)
【文献】特開平03-246510(JP,A)
【文献】特開2005-004068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
G02B27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上にマスク層を設けることであって、前記マスク層は、第1の処理領域の上の第1の開口部及び第2の処理領域の上の第2の開口部を含む、基板の上にマスク層を設けること、
第1の深さを有する前記第1の処理領域及び
前記第1の深さと異なる第2の深さを有する前記第2の処理領域を
形成するために、前記基板をエッチングすること、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域が形成された前記基板の上に格子材料を形成すること、並びに
前記基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられた複数の構造を形成するために、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域内の前記格子材料をエッチングすることを含む、方法。
【請求項2】
第1の複数のトレンチ及び第2の複数のトレンチを形成するために、前記格子材料をエッチングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチ間でエッチング深さを変化させること、及び前記第2の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチ間でエッチング深さを変化させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の構造は、第1の組の構造と第2の組の構造とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の組の構造は、第1の平均構造幅を有し、前記第2の組の構造は、第2の平均構造幅を有し、前記第1の平均構造幅は、前記第2の平均構造幅と異なる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記マスク層は、第3の処理領域の上の第3の開口部を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域を
形成するために、前記基板をエッチングすることは、
前記第2の処理領域の上に遮断要素が存在する間に、前記第1の処理領域をエッチングすること、
前記遮断要素を除去すること、並びに
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域をエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記格子材料の上にハードマスクを形成すること、並びに
前記第1の処理領域の上の第1の組の開口部、及び前記第2の処理領域の上の第2の組の開口部をパターニングすることを更に含み、前記格子材料は、前記第1の組の開口部及び前記第2の組の開口部を通してエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記格子材料は、光学格子材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光学デバイスを形成する方法であって、
基板の上にマスク層を設けることであって、前記マスク層は、第1の処理領域を画定する第1の開口部及び第2の処理領域を画定する第2の開口部を含む、基板の上にマスク層を設けること、
第1の深さを有する前記第1の処理領域及び
前記第1の深さと異なる第2の深さを有する前記第2の処理領域を
形成するために、前記基板をエッチングすること、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域が形成された前記基板の上に光学格子材料を形成すること、並びに
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域内の前記光学格子材料の中に複数のトレンチをエッチングすることによって、複数の構造を形成することを含み、前記複数の構造は、前記基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられる、方法。
【請求項11】
前記光学格子材料の中に前記複数のトレンチをエッチングすることは、第1の複数のトレンチ及び第2の複数のトレンチを形成するために、傾斜イオン注入を実行することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチ間でトレンチ深さを変化させること、及び前記第2の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチ間でトレンチ深さを変化させることを更に含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の構造は、第1の組の構造と第2の組の構造とを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の組の構造は、第1の平均構造幅を有し、前記第2の組の構造は、第2の平均構造幅を有し、前記第1の平均構造幅は、前記第2の平均構造幅と異なる、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記マスク層は、第3の処理領域を画定する第3の開口部を更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域を
形成するために、前記基板をエッチングすることは、
前記第2の処理領域の上に遮断要素を形成すること、
前記第2の処理領域の上に前記遮断要素が存在する間に、前記第1の処理領域をエッチングすること、
前記遮断要素を除去すること、並びに
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域をエッチングすることを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項17】
前記
光学格子材料の上にハードマスクを形成すること、並びに
前記第1の処理領域の上の第1の組の開口部、及び前記第2の処理領域の上の第2の組の開口部をパターニングすることを更に含み、前記
光学格子材料は、前記第1の組の開口部及び前記第2の組の開口部を通してエッチングされる、請求項
10に記載の方法。
【請求項18】
チャンバ内にイオンビーム源を設けることであって、前記チャンバは基板にイオンビームを供給するように動作可能であり、前記基板は、マスク要素によって第2の処理領域から分離された第1の処理領域を含む、イオンビーム源を設けること、
第1の深さを有する前記第1の処理領域及び
前記第1の深さと異なる第2の深さを有する前記第2の処理領域を
形成するために、前記基板をエッチングするこ
と、
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域が形成された前記基板の上に光学格子材料を形成すること、並びに
前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域内の前記光学格子材料の中に複数のトレンチをエッチングすることによって、複数の構造を形成することを含み、前記複数の構造は、前記基板
の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、格子材料の処理に関する。特に、本開示は、可変深さ格子材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 光学レンズといった光学素子は、様々な利点により光を操作するために長い間にわたって使用されてきた。近年では、ホログラフィックデバイス、及び拡張現実/仮想現実(AR(augmented reality)及びVR(virtual reality))デバイスにおいて、マイクロ回折格子が利用されている。1つの特定のAR及びVRデバイスが、ヘッドセットといった装着可能な表示システムであり、人間の目から短距離内に画像を表示するよう構成されている。このような装着可能なヘッドセットは、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれることもあり、ユーザの目から数センチメートル以内に画像を表示するフレームが具備されている。画像は、マイクロディスプレイといったディスプレイ上の、コンピュータにより生成された画像であり得る。光学部品が、所望の画像の光を伝えるよう構成されており、ここでは、上記画像がユーザに見えるようにするために、ユーザの目に対するディスプレイ上で光が生成される。画像が生成されるディスプレイは、ライトエンジンの部分を形成することができ、したがって、画像が、光学部品によって案内される平行光ビームを生成して、ユーザに見える画像を提供する。
【0003】
[0003] 光学部品は、基板上に、傾斜エッチングシステムを使用して形成された、1以上の格子のフィンなどの、異なる傾斜角を有する構造を含んでよい。傾斜エッチングシステムの一例は、イオンビーム源を収容するイオンビームチャンバである。イオンビーム源は、リボンビーム(ribbon beam)、スポットビーム(spot beam)、又はフル基板サイズビーム(full substrate-size beam)などの、イオンビームを生成するように構成されている。イオンビームチャンバは、特定の傾斜角を有する構造を生成するために、基板の表面法線に対してある角度でイオンビームを向けるように構成される。イオンビームによって生成されるべき構造の傾斜角を変更することは、イオンビームチャンバの実質的なハードウェア再構成を必要とする。
【0004】
[0004] 基板の表面にわたり異なる深さを有する異なる構造を含む光学装置の形成は、従来、グレイトーン・リソグラフィを用いて行われてきた。しかし、グレイトーン・リソグラフィは、時間がかかり複雑なプロセスであり、このプロセスを使用して製造されるデバイスにかなりのコストがかかる。
【0005】
[0005] したがって、異なる傾斜角及び/又は異なる深さを有する異なる構造を含む光学装置を単一の基板にわたって形成するために、改良された方法及び関連する装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本概要は、以下の「発明を実施するための形態」で詳述する構想から選んだものを、簡略化した形で紹介するために設けられている。本概要は、特許請求される発明の主題の重要な特徴又は本質的な特徴を確認することを意図しておらず、また、特許請求される発明の主題の範囲を決定する際の助けとしても意図されていない。
【0007】
[0007] 一実施形態によれば、方法は、基板の上にマスク層を設けることを含んでよい。該マスク層は、第1の処理領域の上の第1の開口部、及び第2の処理領域の上の第2の開口部を含む。該方法は、第1の処理領域及び第2の処理領域を凹ませるために、基板をエッチングすること、基板の上に格子材料を形成すること、並びに、基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられた複数の構造を形成するために、第1の処理領域及び第2の処理領域内の格子材料をエッチングすることを更に含んでよい。
【0008】
[0008] 別の一実施形態によれば、光学装置を形成する方法は、基板の上にマスク層を設けることを含んでよい。該マスク層は、第1の処理領域を画定する第1の開口部、及び第2の処理領域を画定する第2の開口部を含む。該方法は、第1の処理領域及び第2の処理領域を凹ませるために、基板をエッチングすること、基板の上に光学格子材料を形成すること、並びに、第1の処理領域及び第2の処理領域内の光学格子材料の中に複数のトレンチをエッチングすることによって、複数の構造を形成することを更に含んでよい。複数の構造は、基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられる。
【0009】
[0009] 別の一実施形態によれば、方法は、チャンバ内にイオンビーム源を設けることを含んでよい。該チャンバは、基板にイオンビームを供給するように動作可能である。該基板は、マスク要素によって第2の処理領域から分離された第1の処理領域を含む。該方法は、第1の処理領域及び第2の処理領域を凹ませるために、基板をエッチングすることを更に含む。第1の処理領域と第2の処理領域とは、基板の上面に対して異なる深さで凹まされる。該方法は、第1の処理領域及び第2の処理領域内の光学格子材料の中に複数のトレンチをエッチングすることによって、複数の構造を形成することを更に含む。複数の構造は、基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられる。
【0010】
[0010] 添付図面は、本開示の原理の実際的な応用を含む本開示の例示的なアプローチを、以下のように示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011] 本開示の実施形態による、光学デバイスの斜視正面図である。
【
図2A】[0012] 本開示の実施形態による、傾斜エッチングシステムの側面概略断面図である。
【
図2B】[0013] 本開示の実施形態による、
図2Aで示されている傾斜エッチングシステムの上面概略断面図である。
【
図3A】[0014] 本開示の実施形態による、格子材料から形成される光学格子構成要素の側面断面図を描く。
【
図3B】[0015] 本開示の実施形態による、
図3Aの光学格子構成要素の正面図を描く。
【
図4】[0016]
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図5A】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図5B】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図5C】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図5D】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図6】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図7】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図8】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図9】
図4~
図9は、本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するためのプロセスを描く。
【
図10】[0017] 本開示の実施形態による、格子デバイスを形成するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018] 図面は、必ずしも縮尺通りではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを表すことを意図しない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面では、同様の番号が同様の要素を表す。
【0013】
[0019] 更に、図面の幾つかにおける特定の要素は、説明を明確にするために、省略されるか又は縮尺通りには図示されていないことがある。断面図は、「スライス」または「近接して見た」断面図の形態の場合があり、説明を明確にするために、「真の」断面図では見えている特定の背景線を省略することがある。更に、明瞭さのために、幾つかの参照番号は、幾つかの図面では省略されることがある。
【0014】
[0020] 次に、本開示による装置、システム、及び方法が、様々な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、本明細書で以後より完全に説明されることになる。装置、システム、方法は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。その代わりに、これらの実施形態は、本開示が一貫しており且つ完全となるように提供され、当業者に、装置、システム、及び方法の範囲を完全に伝える。
【0015】
[0021]
図1は、本開示の実施形態による、光学装置などのデバイス100の斜視正面図である。光学装置100の例としては、平坦な光デバイス及び導波路(例えば、導波結合器)が挙げられるが、これらに限定されない。光学装置100は、格子などの1以上の構造を含む。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、光学装置100が、入力格子102、中間格子104、及び出力格子106を含む。格子102、104、106の各々は、対応する構造108、110、112(例えばフィン)を含む。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、構造108、110、112、及び構造間の深さが、光学装置100にわたって1以上の寸法が変化してよいサブミクロン限界寸法(例えば、ナノサイズの限界寸法)を含む。
【0016】
[0022]
図2Aは、カリフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズ社から入手可能なVarian VIISta(登録商標)システムなどの、傾斜エッチングシステム(本明細書で以後「システム」)200の側面概略断面図であり、
図2Bは、その上面概略断面図である。以下で説明されるシステム200は、例示的な傾斜エッチングシステムであり、本明細書で説明される構造を基板上に形成するために、他の製造業者からの傾斜エッチングシステムを含む他の傾斜エッチングシステムが、使用されてよく又は変形されてよいことを理解されたい。
【0017】
[0023]
図2A~
図2Bは、プラテン206上に配置されたデバイス205を示している。デバイス205は、基板210、基板210の上に配置されたエッチング停止層211、エッチング停止層211の上に配置された格子材料212のようなエッチングされるべきエッチング層、及び格子材料212の上に配置されたハードマスク213を含んでよい。デバイス205は、他の実施形態では、異なる層形成材料及び/又は組み合わせを含んでもよいことが理解されよう。例えば、エッチング層は、フォトレジスト型材料又は光学的に透明な材料(例えば、シリコン若しくは窒化ケイ素)などの、処理されるべきブランケット膜であってもよい。ブランケット膜は、デバイス205の1以上の傾斜面又は湾曲面を形成するために、選択的領域処理(SAP)エッチングサイクル(複数可)を使用して処理されてよい。別の一実施形態では、エッチング停止層211が存在しなくてもよい。
【0018】
[0024] 傾斜角を有する構造(例えばフィン)222を形成するために、格子材料212が、システム200によってエッチングされてよい。一実施形態では、格子材料212が、基板210上に配置されたエッチング停止層211上に配置される。一実施形態では、格子材料212のうちの1以上の材料が、形成されるべき各構造の傾斜角θ’及び基板210の屈折率に基づいて選択される。幾つかの実施形態では、格子材料212が、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO2)を含有する材料のうちの1以上を含む。格子材料212は、約1.5と約2.65との間の屈折率を有し得る。
【0019】
[0025] 幾つかの実施形態では、パターニング済みハードマスク213が、デバイス205が形成された後に除去される非透明ハードマスクである。例えば、非透明ハードマスク213は、クロム(Cr)又は銀(Ag)などの反射材料を含み得る。別の一実施形態では、パターニング済みハードマスク213が、透明ハードマスクである。一実施形態では、エッチング停止層211が、デバイス205が形成された後に除去される非透明エッチング停止層である。別の一実施形態では、エッチング停止層211が、透明エッチング停止層である。
【0020】
[0026] システム200は、イオンビーム源204を収容するイオンビームチャンバ202を含んでよい。イオンビーム源204は、リボンビーム、スポットビーム、又はフル基板サイズビームなどの、イオンビーム216を生成するように構成されている。イオンビームチャンバ202は、基板210の表面法線218に対して第1のイオンビーム角度αでイオンビーム216を向けるように構成されている。第1のイオンビーム角度αを変更することは、イオンビームチャンバ202のハードウェアの再構成を必要とすることがある。基板210は、第1のアクチュエータ208に結合されたプラテン206上に保持される。第1のアクチュエータ208は、y方向及び/又はz方向に沿った走査運動でプラテン206を移動させるように構成されている。一実施形態では、基板210が、イオンビームチャンバ202のx軸に対して傾斜角度βで配置されるように、第1のアクチュエータ208が、プラテン206を傾斜させるように更に構成されている。幾つかの実施形態では、第1のアクチュエータ208が、y軸及び/又はz軸に対してプラテン206を傾斜させるように更に構成され得る。
【0021】
[0027] 第1のイオンビーム角度α及び傾斜角度βは、基板210が傾斜した後に、基板210の表面法線218に対して第2のイオンビーム角度θをもたらす。表面法線218に対して傾斜角θ’を有する構造を形成するために、イオンビーム源204は、イオンビーム216を生成し、イオンビームチャンバ202は、第1のイオンビーム角度αでイオンビーム216を基板210の方へ向ける。イオンビーム216が、第2のイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212をエッチングして、格子材料212の所望の部分上に傾斜角θ’を有する構造を形成するように、第1のアクチュエータ208は、プラテン206を配置する。
【0022】
[0028] 従来、構造の隣接する部分の傾斜角θ’とは異なる傾斜角θ’を有する構造の一部分を形成するために、又は連続する基板上に異なる傾斜角θ’を有する構造を形成するために、第1のイオンビーム角度αが変更され、傾斜角度βが変更され、及び/又は多重傾斜エッチングシステムが使用される。第1のイオンビーム角度αを変更するようにイオンビームチャンバ202のハードウェアを再構成することは、複雑であり時間がかかる。イオンビーム角度θを修正するために傾斜角度βを調整することは、イオンビーム216が格子材料212に種々のエネルギ準位で接触するときに、基板210の部分にわたる構造の不均一な深さをもたらす。例えば、イオンビームチャンバ202のより近くに配置された一部分は、イオンビームチャンバ202から更に離れて配置された隣接部分の構造よりも大きい深さを有する構造を有することになる。複数の傾斜エッチングシステムを使用すると、製造時間が増加し、複数のチャンバを必要とするために費用が増加する。イオンビームチャンバ202を再構成すること、傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを修正すること、及び複数の傾斜エッチングシステムを使用することを回避するために、傾斜エッチングシステム200は、プラテン206のx軸の周りで基板210を回転させて構造の傾斜角θ’を制御するために、プラテン206に結合された第2のアクチュエータ220を含んでよい。
【0023】
[0029] 使用中、知られているシステムにおけるように、イオンビームチャンバ202と基板210又は基板プラテンとの間にバイアス供給源を使用して電圧差が印加されたときに、イオンビーム216が引き出されてよい。バイアス供給源は、イオンビームチャンバ202に結合されてよい。その場合、例えば、イオンビームチャンバ202と基板210とが同じ電位に保持される、
【0024】
[0030] イオンビーム216内のイオンの軌道は、互いに対して相互に平行であってよく、又は互いに10度以内といった、狭い角度の広がり範囲内にあってよい。他の実施形態では、イオンビーム216内のイオンの軌道が、例えば扇形に、互いに収束又は互いから発散してよい。様々な実施形態では、知られているシステムにおけるように、イオンビーム216が、連続ビームとして又はパルスイオンビームとして抽出されたリボン反応性イオンビームとして提供されてよい。
【0025】
[0031] 様々な実施形態では、反応性ガスなどのガスが、供給源によってイオンビームチャンバ202に供給されてよい。イオンビームチャンバ202に提供される種の正確な組成に応じて、プラズマが、様々なエッチング種又は堆積種を生成してよい。イオンビーム216は、不活性ガスや反応性ガスを含む任意の好都合な混合ガスで構成されてよく、幾つかの実施形態では、他のガス種と共に提供されてよい。幾つかの実施形態では、イオンビーム216及び他の反応種が、格子材料212などの層の指向性反応性イオンエッチング(RIE)を実行するように、エッチングレシピとして基板210に提供されてよい。そのようなエッチングレシピは、当該技術分野で知られているような、酸化物又は他の材料といった材料をエッチングするための知られた反応性イオンエッチング化学物質を使用してよい。他の実施形態では、イオンビーム216が不活性種から形成されてよい。その場合、イオンビーム216は、基板210がイオンビーム216に対して走査されるときに、物理的スパッタリングによって、基板210又はより具体的には格子材料212をエッチングするために提供される。
【0026】
[0032]
図3Aは、本開示の実施形態による、格子材料312から形成された光学格子構成要素300の側面断面図を描いている。
図3Bは、光学格子構成要素300の正面図を描いている。図示されているように、光学格子構成要素300は、基板310、及び基板310上に配置された光学格子材料312を含む。光学格子構成要素300は、
図1の入力格子102、中間格子104、及び/又は出力格子106と同一又は類似であってよい。幾つかの実施形態では、基板310が、知られているガラスといった光学的に透明な材料である。幾つかの実施形態では、基板310がシリコンである。後者の場合に、基板310はシリコンであり、ガラス又は石英といった別の光学基板の表面上の膜に格子パターンを転写するためには、別のプロセスが使用される。複数の実施形態は、この文脈に限定されない。
図3A及び
図3Bの非限定的な一実施形態では、光学格子構成要素300が、基板310と格子材料312との間に配置されたエッチング停止層311を更に含む。他の実施形態では、基板310と格子材料312との間にエッチング停止層が存在しない。
【0027】
[0033] 幾つかの実施形態では、光学格子構成要素300が、トレンチ325A~325Nによって分離された、傾斜した構成要素又は構造322として図示されている、複数の傾斜した構造を含んでよい。構造322は、基板310の平面(例えばy‐z平面)及び格子材料312の上面313に対する垂直線に対してゼロでない傾斜の角度(Φ)で配置されてよい。傾斜した構造322は、スラント型回折格子の1以上のフィールド内に含まれてよく、スラント型回折格子が共に「マイクロレンズ」を形成する。
【0028】
[0034]
図3Aの一実施例では、傾斜した構造322及びトレンチ325A~325Nが、y軸に平行な方向に沿って可変の高さを規定する。例えば、光学格子構成要素300の第1の部分331における第1のトレンチ325Aの深さ‘d1’は、光学格子構成要素300の第2の部分333における第2のトレンチ325Bの深さ‘d2’と異なってよい。幾つかの実施形態では、傾斜した構造322及び/又はトレンチ325の幅も、例えばy方向に沿って変化してよい。
【0029】
[0035] 傾斜した構造322は、処理レシピを使用して、イオンビームに対して基板310を走査することによって実現されてよい。つまり、処理レシピによって、プロセスパラメータの集合のうちの少なくとも1つのプロセスパラメータが変更され、例えば、基板310の走査中にイオンビームによって生ぜしめられるエッチング速度又は堆積速度などの変更という効果が与えられてよい。このようなプロセスパラメータは、基板310の走査速度、イオンビームのイオンエネルギー、パルスイオンビームとして供給されるときのイオンビームのデューティーサイクル、イオンビームの広がり角、及び基板310の回転位置を含んでよい。エッチングプロファイルは、マスク全体にわたってイオンビーム品質を変化させることによって、更に変更されてよい。品質は、強度/エッチング速度、例えば、異なる角度に対してデューティーサイクル又はビーム形状で変化する電流を含んでよい。本明細書の少なくとも幾つかの実施形態では、処理レシピが、格子材料312のうちの材料(複数可)、及びイオンビームのエッチングイオンの化学的性質を更に含んでよい。更に他の実施形態では、処理レシピが、寸法及びアスペクト比を含む、格子材料312の開始ジオメトリを含んでもよい。複数の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0030】
[0036] 次に、
図4~
図9に戻ると、本開示の実施形態による光学格子デバイス400を形成するためのプロセスが説明されることになる。
図4で示されているように、マスク層404が、基板410の上に設けられる。マスク層404は、第1の処理領域422の上の第1の開口部420、及び第2の処理領域426の上の第2の開口部424を含むように、パターニングされるか又は他の方法で処理されてよい。第1及び第2の処理領域422、426は、光学格子又は他の半導体トレンチ/構造が形成されることになる基板410の領域に対応してよいことが理解されよう。図示されているように、第1の処理領域422は、マスク層404のマスク要素428によって第2の処理領域から分離されてよい。第1の開口部420は、(例えば、y方向に沿って)第1の幅‘W1’を有してよく、第2の開口部424は、第2の幅‘W2’を有してよく、W2>W1である。図示されていないが、マスク層404は、第3の処理領域を画定する第3の開口部を更に含んでよい。
【0031】
[0037] 次に、
図5Aで示されているように、第1及び第2の処理領域422、426において基板410を凹ませる目的で、デバイス400がエッチング(430)されてよい。エッチング(430)は、基板410の上面432から延在する垂直線431に対して平行な角度で実行/供給されるイオンエッチングであってよい。他の実施形態では、エッチング(430)が、垂直線431に対してゼロでない角度で実行されてもよい。更に、エッチング430は、1以上のエッチングサイクルを表してよいことを理解されたい。
【0032】
[0038] 幾つかの実施形態では、
図5Bで示されているように、第2の処理領域426が、エッチング(430)の1以上のエッチングサイクルによって影響を受けることを防止するために、遮断要素434が、第2の開口部424の上に形成されてよい。例えば、遮断要素434が、第2の処理領域426の上に存在する間に、第1の処理領域422が、1以上のエッチングサイクルにわたってエッチングされてよい。次いで、遮断要素434が除去されてよく、第1及び第2の処理領域422、426の両方が、同時にエッチングされてよい。非限定的であるが、遮断要素434は、エッチングによって除去されるグレートーン(GT)レジスト膜であってもよく、したがって、エッチング(430)は、第1の処理領域422の後で、第2の処理領域426に影響を与えることが可能になる。遮断要素434は、薄膜として堆積されリソグラフィによってパターニングされるCrハードマスクなどのハードマスクであってよい。
【0033】
[0039]
図5C~
図5Dで示されているように、別の一実施形態では、遮断要素(複数可)が、基板410の上方に配置された金属又は他の材料などの近接又はシャドウマスク435であってもよい。シャドウマスク435は、エッチング(430)のイオンビームが基板410に向かって通過することを可能にする、そこを通って形成された複数の開口部を含んでよい。シャドウマスク435は、例えばx方向に沿って、ある間隙又は距離だけ基板から分離されてよい。別の言い方をすれば、シャドウマスク435は、典型的には、デバイス基板410の上に直接形成されない。しかし、代替的な一実施形態では、シャドウマスク435が、デバイス400と直接物理的に接触していてもよいが、シャドウ効果を生成するために、シャドウマスク435を通る複数の開口部のうちの少なくとも1つを画定する1以上の縁部が、基板410の上方に離隔され又は持ち上げられる。
【0034】
[0040]
図5Cの実施形態では、エッチング(430)が、基板410の上面432から延在する垂直線431に対して平行な角度で実行/供給されるイオンエッチングであってよい。
図5Dの一実施形態では、エッチング(430)が、垂直線431に対してゼロでない角度θで実行されてよい。
【0035】
[0041] シャドウマスク435の開口部の各々は、後縁とは反対側(例えば、
図5Dの傾斜したエッチング(430)のイオンの進行方向に対する)の前縁によって画定されてもよい。開口部の各々は、第2の側縁の反対側の第1の側縁(例えば、z方向に沿った開口部の縁部)によって更に画定されてよい。開口部は、実質的に任意の数、形状、又は構成を採り得ることが理解されよう。更に、シャドウマスク435の1以上の開口部は、特有の又は他の開口部とは異なる形状/構成を採り得ることが理解されよう。複数の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0036】
[0042] 幾つかの非限定的な実施形態では、シャドウマスク435が、開口部の前縁、後縁、及び/又は側縁に沿って複数の隆起表面特徴を更に含んでもよい。隆起表面特徴は、シャドウマスク435の上面によって画定される平面の上方に延在してもよい。幾つかの実施形態では、シャドウマスク435が、更に又は代替的に、シャドウマスクの底面によって画定される平面の下方に延在する表面特徴を含んでもよい。表面特徴は、エッチング(430)のイオンビーム(複数可)を部分的に遮断してよく、したがって、それぞれの開口部を通過し、基板410に衝突するイオンビームの量、角度、及び/又は深さに影響を及ぼし得ることが理解されよう。
【0037】
[0043]
図6で示されているように、基板410は、エッチング(430)の結果として、第1及び第2の処理領域422、426において、基板410の上面432に対して凹んでいる。幾つかの実施形態では、基板410が、第1の処理領域422において第1の深さ‘D1’まで、及び第2の処理領域426において第2の深さ‘D2’まで凹んでおり、D1>D2である。他の実施形態では、基板410が、第1及び第2の処理領域422、426の両方において、同じ又は実質的に同じ深さまで凹んでいる。図示されているように、第1及び第2の処理領域422、426における基板410の上面は、傾斜又は湾曲していてよい。
【0038】
[0044]
図7で示されているように、次いで、格子材料412が、デバイス400の上、例えば、基板410の上に形成されてよい。格子材料412は、第1及び第2の処理領域422、426内に延在する。次いで、ハードマスク413が、格子材料412の上に形成されてよい。幾つかの実施形態では、マスク層404(
図6)が、格子材料412の堆積前に除去されてよい。幾つかの実施形態では、エッチング停止層(図示せず)が、マスク層404が除去された後であるが、格子材料412が堆積される前に、デバイス400の上に形成されてもよい。格子材料412は、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化バナジウム(IV)(VO
x)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化チタン(TiN)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO
2)を含有する材料のうちの1以上から作製される光学格子材料であってよい。ハードマスク413は、例えば、クロム(Cr)又は銀(Ag)などの反射材料を含む非透明ハードマスクであってもよい。別の実施形態では、ハードマスク413が、透明ハードマスクである。
【0039】
[0045] 次いで、
図8で示されているように、ハードマスク413がパターニングされてよい。幾つかの実施形態では、第1の組の開口部444が、概して第1の処理領域422の上に形成されてよく、一方、第2の組の開口部446が、概して第2の処理領域426の上に形成されてよい。図示されているように、第1の複数のハードマスクセグメント448が、第1の組の開口部444によって互いから分離されている。第1の複数のハードマスクセグメント448の各々は、セグメント幅‘SG1’を有してよい。同様に、第2の複数のハードマスクセグメント450が、第2の組の開口部446によって互いから分離され、第2の複数のハードマスクセグメント450は、セグメント幅‘SG2’を有する。図示されているように、SG2>SG1である。他の実施形態では、SG1とSG2とが、等しくてよく又は略等しくてよい。更に、第1の組の開口部444の各々は、開口幅‘OW1’を有してよく、第2の組の開口部446の各々は、開口幅‘OW2’を有してよい。様々な実施形態では、OW1とOW2とが、同じであっても又は異なっていてもよい。
【0040】
[0046] 次に、
図9で示されているように、複数の構造460及び複数のトレンチ462を形成するために、デバイス400がエッチング(455)されてよい。より具体的には、第1の組の傾斜した構造460A及び第2の組の傾斜した構造460Bを形成するために、格子材料412が、基板410の上面432から延在する垂直線431に対してゼロでない角度βでエッチングされてよい。第1の複数のトレンチ462Aを形成するために、エッチング(455)のイオンが、第1の組の開口部444を通過してよく、第2の複数のトレンチ462Bを形成するために、エッチング(455)のイオンが、第2の組の開口部446を通過してよい。例示的な実施形態では、第1及び第2の複数のトレンチ462A~462Bの各々が、基板410と格子材料412との交差部分において、実質的に平坦な底部を有する。
【0041】
[0047] 図示されているように、第1の複数のトレンチ462Aのうちの2つ以上のトレンチ間で、深さが変化してもよい。同様に、第2の複数のトレンチ462Bのうちの2つ以上のトレンチ間で、深さが変化してもよい。幾つかの実施形態では、第1の組の構造460Aの平均幅‘AW1’が、第2の組の構造460Bの平均幅‘AW2’と異なってよい。他の実施形態では、AW1がAW2に等しい。更に、第1の組の構造460Aの角度は、第2の組の構造460Bの角度と同じであってもよいし又は異なっていてもよい。第1及び第2の組の構造460A~460Bが完成すると、デバイス400は、複数の回折光学素子を含む。限定するものではないが、第1の組の構造460Aは、入力格子に対応してよく、一方で、第2の組の構造460Bは、中間格子又は出力格子に対応してよい。
【0042】
[0048]
図10に戻ると、本開示の実施形態による方法1000が、説明されることとなる。図示されているように、ブロック1010では、方法1000が、基板の上にマスク層を設けることを含んでよい。マスク層は、第1の処理領域の上の第1の開口部、及び第2の処理領域の上の第2の開口部を含む。幾つかの実施形態では、マスク層が、第3の処理領域の上の第3の開口部を更に含む。
【0043】
[0049] ブロック1020では、方法1000が、第1及び第2の処理領域を凹ませるために、基板をエッチングすることを含んでよい。エッチングは、基板の上面から延在する垂直線に対して平行な角度で実行/供給されるイオンエッチングであってよい。他の実施形態では、エッチングが、垂直線に対してゼロでない角度で実行されてもよい。
【0044】
[0050] 幾つかの実施形態では、第2の処理領域がエッチングによって影響を受けることを防止するために、遮断要素が第2の開口部の上に形成されてもよい。一実施形態では、遮断要素が第2の処理領域の上に存在している間に、第1の処理領域が、1以上のエッチングサイクルにわたってエッチングされてよい。次いで、遮断要素が除去されてよく、第1及び第2の処理領域の両方が、同時にエッチングされてよい。幾つかの実施形態では、第1及び第2の処理領域が、異なる深さまで凹まされる。
【0045】
[0051] ブロック1030では、方法1000が、凹んだ第1及び第2の処理領域の上を含む、基板の上に格子材料を形成することを更に含んでよい。幾つかの実施形態では、格子材料が、マスク層が除去された後で基板の上に形成される光学格子材料である。
【0046】
[0052] ブロック1040では、方法1000が、基板の上面から延在する垂直線に対してゼロでない角度に方向付けられた複数の構造を形成するために、第1及び第2の処理領域内の格子材料をエッチングすることを更に含んでよい。幾つかの実施形態では、第1の複数のトレンチ及び第2の複数のトレンチを形成するために、格子材料がエッチングされる。幾つかの実施形態では、該方法が、第1の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチの間でエッチング深さを変化させること、及び第2の複数のトレンチのうちの2つ以上のトレンチの間でエッチング深さを変化させることを含む。幾つかの実施形態では、複数の構造が、第1の組の構造及び第2の組の構造を含み、第1の組の構造は、第1の平均構造幅を有し、第2の組の構造は、第2の平均構造幅を有し、第1の平均構造幅は、第2の平均構造幅と異なる。
【0047】
[0053] 便宜上及び明確性のために、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」、「横方向(lateral)」、及び「縦方向(longitudinal)」といった用語は、本明細書では、図に見られるように、様々な構成要素及びそれらを構成する部分の相対的な配置及び配向を説明するために使用される。専門用語には、具体的に言及された単語、その派生語、及び同様の重要度の単語が含まれる。
【0048】
[0054] 本明細書で使用される場合、「1つの/ある」(「a」又は「an」)という語から始まる、単数形で記載された要素又は動作は、複数の要素又は動作を除外することが明示的に記載されていなければ、複数の要素又は動作を含むと理解されたい。更に、本開示の「一実施形態(one embodiment)」への言及は、限定を意図するものではない。追加の実施形態は、記載された特徴を組み込むこともできる。
【0049】
[0055] 更に、「実質的(substantial)」又は「実質的に(substantially)」という語、それに加えて「おおよその(approximate)」又は「約/おおよそ(approximately)」という語は、一部の実施形態では互換的に使用されてよく、当業者によって許容される任意の相対的尺度を使用して説明され得る。例えば、これらの用語は、基準パラメータとの比較として役立ち、意図された機能を提供し得る許容差を示す。非限定的ではあるが、基準パラメータからの許容差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などであり得る。
【0050】
[0056] 更に、層、領域、又は基板といった1つの要素が、他の要素上の「上に(on、over、又はatop)」形成され、堆積され、又は配置されると言及された場合に、当業者は、1つの要素が他の要素の上に直接的に存在することができ、又は介在要素も存在し得ることが分かるであろう。対照的に、1つの要素が他の要素の「直上(directly on、directly over、又はdirectly atop)」にあると言及される場合には、介在要素は存在しない。
【0051】
[0057] 種々の実施形態では、格子材料の層及び本明細書で説明される回折光学素子をパターニングするために使用されるデータセットを作成するために、設計ツールを提供し、構成することができる。例えば、データセットが、リソグラフィ工程中に使用するフォトマスクを生成して、本明細書に記載された構造のための層をパターニングするために生成され得る。そのような設計ツールは、1以上のモジュールの集合を含むことができ、ハードウェア、ソフトウェア、又これらの組合せで構成することも可能である。したがって、例えば、ツールは、1以上のソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール、ソフトウェア/ハードウェアモジュール、又は、これらの任意の組み合わせ若しくは置換の集合であり得る。他の例として、ツールは、ソフトウェアを実行する計算装置若しくは他の機器であってよく、又は、ハードウェアで実装されていてよい。
【0052】
[0058] 本明細書では、モジュールは、任意の形態のハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組合せを利用して実装され得る。例えば、モジュールを構成するために、1以上のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、論理部品、ソフトウェアルーチン、又は他の仕組みが実装されることもある。実装において、本明細書で説明される様々なモジュールが、個別のモジュールとして実装されてよく、又は、説明される機能及び特徴が、1以上のモジュールの間で部分的に又は全体的に共有され得る。言い換えれば、本明細書の記載を読んだ後に当業者には明らかであるように、本明細書で説明される様々な特徴及び機能は、任意の所与のアプリケーションで実装され得る。更に、様々な特徴及び機能が、様々な組み合わせ及び配列において、1以上の別々の又は共用のモジュールに実装され得る。機能の様々な特徴又は要素が、別々のモジュールとして個別に記載され又は特許請求され得るが、当業者は、これらの特徴及び機能が、1以上の共有のソフトウェア及びハードウェア要素の間で共用され得ることが分かるであろう。
【0053】
[0059] 本明細書に記載する実施形態を利用することにより、エッチング深さが可変の領域を有する導波管が形成される。本実施形態の導波路の第1の技術的利点は、より時間がかかり且つ困難なプロセスを排除することによって、改善された製造効率を含む。更に、本実施形態の傾斜した格子構造の第2の技術的利点は、二次元又は三次元の形状を提供して、更に広い用途範囲において導波路を利用することを可能とすることを含む。
【0054】
[0060] 本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。上述したもの以外の本開示の様々な実施形態及び本開示の変形例は、本明細書に説明したものと同様に、上述の説明及び添付図面から、当業者には明らかである。このため、そのような上記以外の実施形態及び変形例は、本開示の範囲に含まれるものである。更に、本開示は、本明細書において、特定の目的のための特定の環境における特定の実装の文脈で説明されてきた。当業者は、有用性がこれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実現され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求項の範囲は、本明細書に記載した本開示の完全な範囲及び思想の観点から、解釈されるべきである。