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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】基板洗浄方法及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022075913
(22)【出願日】2022-05-02
(65)【公開番号】P2023165182
(43)【公開日】2023-11-15
【審査請求日】2023-11-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 右文
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-233473(JP,A)
【文献】特開2004-079767(JP,A)
【文献】特開2018-065953(JP,A)
【文献】特開2008-140892(JP,A)
【文献】特開2015-115492(JP,A)
【文献】特開2013-197115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
H01L 21/027
B08B 1/04
B08B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させつつ滴下ノズルから洗浄液を滴下して基板を洗浄する方法であって、
前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下しながら前記滴下ノズルを基板の中心部から基板の外縁部に向けて移動させることと、
前記滴下ノズルの移動後、前記中心部に前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下することと、を含む、基板洗浄方法。
【請求項2】
前記滴下ノズルは、前記洗浄液を10~20ml/minで滴下する、請求項1に記載の基板洗浄方法。
【請求項3】
基板を回転させつつ滴下ノズルから洗浄液を滴下して基板を洗浄する方法であって、
前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下しながら前記滴下ノズルを移動させることと、
前記滴下ノズルの移動後、基板の中心部に前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下することと、を含み、
前記滴下ノズルは、前記洗浄液を10~20ml/minで滴下する、基板洗浄方法。
【請求項4】
前記滴下ノズルは、前記洗浄液を滴下しながら基板の外縁部から前記中心部に向けて移動することを含む、請求項3に記載の基板洗浄方法。
【請求項5】
前記滴下ノズルは、前記洗浄液を滴下しながら前記中心部と基板の外縁部と間を往復移動することを含む、請求項3に記載の基板洗浄方法。
【請求項6】
前記中心部は、基板が回転する軸心に対応する部分である、請求項1又は請求項3に記載の基板洗浄方法。
【請求項7】
基板の回転数は、500rpm以下である、請求項1又は請求項3に記載の基板洗浄方法。
【請求項8】
前記滴下ノズルの移動速度は、15mm/sec 以下である、請求項1又は請求項3に記載の基板洗浄方法。
【請求項9】
基板を載置して回転するテーブルと、
前記テーブルに載置された基板の上方に配置され、洗浄液を滴下する滴下ノズルと、
前記滴下ノズルを移動させるノズル駆動部と、
前記テーブルの回転及び前記滴下ノズルの移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記テーブルを回転させて基板を回転させつつ、前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下しながら基板の中心部から基板の外縁部に向けて移動させた後、前記中心部に前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下させるように制御する、基板洗浄装置。
【請求項10】
基板を載置して回転するテーブルと、
前記テーブルに載置された基板の上方に配置され、洗浄液を滴下する滴下ノズルと、
前記滴下ノズルを移動させるノズル駆動部と、
前記テーブルの回転及び前記滴下ノズルの移動、前記洗浄液の滴下量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記テーブルを回転させて基板を回転させつつ、前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下しながら移動させた後、基板の中心部に前記滴下ノズルから前記洗浄液を滴下させるように制御し、
前記制御部は、前記滴下ノズルから前記洗浄液を10~20ml/minで滴下させるように制御する、基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄方法及び基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体等の基板を洗浄する際、基板の上方から基板表面に向かってノズルを移動させながらから洗浄液をスプレー方式により噴射しつつ、基板を回転させることにより、洗浄液を基板表面に拡げて洗浄するスピン式の基板洗浄方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-140892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄対象となる基板上に形成されるパターン、電子部品(以下、「電子部品等」という)の中には、基板との密着が弱い場合がある。このような基板を洗浄する際、洗浄液をスプレー方式で噴射して基板表面に供給すると、洗浄液の圧力で電子部品等が基板から剥離する場合がある。基板から電子部品等が剥離すると、製造される半導体装置の品質にも影響を及ぼすこととなる。また、洗浄液の圧力で電子部品等に洗浄液が浸透してしまう場合がある。さらに、単に基板の表面に洗浄液を供給しただけでは、基板上の付着物を完全に除去することができない場合もあるので、基板上の付着物を完全に除去することが求められている。
【0005】
本発明は、基板洗浄時において基板との密着性の弱い電子部品等の剥離、洗浄液の電子部品等への浸透を防止するとともに、基板表面の付着物を効率よく除去することが可能な基板洗浄方法及び基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る基板洗浄方法は、基板を回転させつつ滴下ノズルから洗浄液を滴下して基板を洗浄する方法であって、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら滴下ノズルを基板の中心部から基板の外縁部に向けて移動させることと、滴下ノズルの移動後、中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下することと、を含む。
また、本発明の態様に係る基板洗浄方法は、上記態様において、滴下ノズルは、洗浄液を10~20ml/minで滴下する。
また、本発明の態様に係る基板洗浄方法は、基板を回転させつつ滴下ノズルから洗浄液を滴下して基板を洗浄する方法であって、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら滴下ノズルを移動させることと、滴下ノズルの移動後、基板の中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下することと、を含み、滴下ノズルは、洗浄液を10~20ml/minで滴下する。
また、本発明の態様に係る基板洗浄方法は、基板を回転させつつ滴下ノズルから洗浄液を滴下して基板を洗浄する方法であって、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら滴下ノズルを移動させることと、滴下ノズルの移動後、基板の中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下することと、を含む。
【0007】
本発明の態様に係る基板洗浄装置は、基板を載置して回転するテーブルと、テーブルに載置された基板の上方に配置され、洗浄液を滴下する滴下ノズルと、滴下ノズルを移動させるノズル駆動部と、テーブルの回転及び滴下ノズルの移動を制御する制御部と、を備え、制御部は、テーブルを回転させて基板を回転させつつ、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら基板の中心部から基板の外縁部に向けて移動させた後、中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下させるように制御する。
また、本発明の態様に係る基板洗浄装置は、基板を載置して回転するテーブルと、テーブルに載置された基板の上方に配置され、洗浄液を滴下する滴下ノズルと、滴下ノズルを移動させるノズル駆動部と、テーブルの回転及び滴下ノズルの移動、洗浄液の滴下量を制御する制御部と、を備え、制御部は、テーブルを回転させて基板を回転させつつ、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら移動させた後、基板の中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下させるように制御し、制御部は、滴下ノズルから洗浄液を10~20ml/minで滴下させるように制御する。
また、本発明の態様に係る基板洗浄装置は、基板を載置して回転するテーブルと、テーブルに載置された基板の上方に配置され、洗浄液を滴下する滴下ノズルと、滴下ノズルを移動させるノズル駆動部と、テーブルの回転及び滴下ノズルの移動を制御する制御部と、を備え、制御部は、テーブルを回転させて基板を回転させつつ、滴下ノズルから洗浄液を滴下しながら移動させた後、基板の中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下させるように制御する。
【発明の効果】
【0008】
上記した態様の基板洗浄方法及び基板洗浄装置によれば、洗浄液を滴下ノズルから基板表面上へ滴下するので、スプレー方式などの洗浄液を噴射する形態よりも基板表面に対する洗浄液の圧力が小さい。その結果、基板との密着性が弱い電子部品等であっても、基板から剥離することは抑制できる。また、洗浄液の圧力で電子部品等に洗浄液が浸透することを防止できる。さらに、回転している基板の上部で滴下ノズルを移動させることにより、滴下ノズルを移動させながら洗浄液を滴下した後に、基板の中心部に滴下ノズルから洗浄液を滴下するので、基板表面の全面に対して洗浄液を拡げることができ、基板表面を確実に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る基板洗浄方法のうち、(A)は、滴下ノズルが基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図であり、 (B)は、滴下ノズルが移動して基板の外縁部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図4図3に続いて、基板洗浄方法のうち、(A)は、滴下ノズルが基板の中心部の上方に移動する図であり、(B)は、滴下ノズルが基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図5】第2実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る基板洗浄方法のうち、(A)は、滴下ノズルが基板の外縁部に向けて洗浄液を滴下している図であり、(B)は、滴下ノズルが移動して基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図7図6に続いて、滴下ノズルが基板の中心部に配置され、滴下ノズルが基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図8】第3実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る基板洗浄方法のうち、(A)は、滴下ノズルが基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図であり、(B)は、滴下ノズルが移動して基板の外縁部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図10図9に続いて、滴下ノズルが移動して基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図である。
図11図10に続いて、滴下ノズルが基板の中心部に配置され、滴下ノズルが基板の中心部に向けて洗浄液を滴下している図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下に説明する内容に限定されない。図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の製品に対する寸法又は形状等が異なっている場合がある。図面ではXYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。水平面はXY面である。水平面における一方向をX方向と表記する。水平面においてX方向に直交する方向をY方向と表記する。X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向と反対の方向が-方向である。
【0011】
[基板洗浄装置]
実施形態に係る基板洗浄装置100について説明する。図1は、実施形態に係る基板洗浄装置100の一例を示す斜視図である。基板洗浄装置100は、半導体装置を製造する際、基板Wの表面に付着する付着物又は基板に形成された膜(層)など(以下、「残渣R等」と総称する。)を基板Wから除去することにより基板Wの洗浄を行う。基板Wは、例えば、集積回路等が形成された半導体基板である。本実施形態では、平面視において円形状の基板Wを示しているが、基板Wが円形状であることに限定されず、矩形状(正方形状、長方形状)の角型基板であってもよい。
【0012】
残渣R等は、例えば、基板Wと支持体とが光反応層を介して積層されている場合に、この積層体から支持体を除去した後に基板Wの表面に付着した光反応層の残渣である。光反応層を構成する物質としては、例えば、フルオロカーボン、光(例えばレーザ光)吸収性を有している構造をその繰返し単位に含んでいる重合体、無機物、赤外線吸収性の構造を有する化合物等が挙げられる。また、残渣R等は、接着層など基板Wに形成された膜である。接着層を構成する物質としては、例えば、炭化水素樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂、ポリサル系樹脂のいずれか又はこれらを組み合わせた樹脂等の化合物が挙げられる。
【0013】
基板洗浄装置100は、テーブル10と、筐体20と、ノズル駆動部30と、滴下ノズル40と、洗浄液供給部50と、制御部60とを備える。テーブル10は、上面において基板Wが載置される。テーブル10は、例えば、平面視で円形状であり、上面の直径は、基板Wの直径よりやや大きく設定されている。すなわち、テーブル10の中心軸AX1に基板Wの中心を合わせた状態で基板Wがテーブル10の上面に載置された際、基板Wの外縁部Eが、テーブル10の上面における外周縁の内側となるようにしている。
【0014】
テーブル10は、例えば、基板Wが載置される範囲に不図示の吸引部が設けられている。吸引部は、例えば、複数の放射状の溝と、複数の環状の溝とが組み合わされてテーブル10の上面に形成され、これら溝の一部が吸引ポンプに接続されて形成される。テーブル10に基板Wが載置された後、吸着部の真空ポンプを駆動させることで、基板Wは、吸着部によってテーブル10の上面に保持される。なお、吸着部の形態については任意であり、基板Wをテーブル10の上面に保持可能な任意の形態を適用することできる。テーブル10は、筐体20において中心軸AX1の軸まわりに回転可能に支持されている。テーブル10は、回転駆動部11によって中心軸AX1の軸まわりに所定の回転数で回転方向Pに向けて回転する。回転駆動部11は、例えば、電動モータ等が用いられ、筐体20に設けられる。
【0015】
筐体20は、収容部21と支持部22とを備える。収容部21は、テーブル10を収容し、テーブル10の周囲を囲むように設けられている。収容部21の材質としては、金属、樹脂が挙げられるが、基板Wを洗浄する際に洗浄液Lが付着する場合があるので、洗浄液Lの成分に耐性を有している素材が好ましい。なお、図示では収容部21の上端がテーブル10の高さと同じ高さとして表しているが、収容部21の上端がテーブル10の高さより高くてもよい。この形態では、洗浄液Lが筐体20に飛散するのを防止できる。また、収容部21は、テーブル10を囲むカップ状であってもよい。
【0016】
支持部22は、ノズル駆動部30を支持する。支持部22は、本実施形態において筐体20の一部として収容部21と一体で設けられているが、この形態に限定されない。例えば、支持部22は、収容部21とは別に収容部21から離れた位置に設けられてもよい。支持部22は、例えば、内部にノズル駆動部30を駆動するための駆動源が収容されてもよい。
【0017】
ノズル駆動部30は、滴下ノズル40を基板Wの上面と平行なXY平面に沿って、揺動軸AX2の軸まわりである揺動方向Sに揺動させることができる。また、ノズル駆動部30は、滴下ノズル40を上下方向(Z方向)に昇降させることができる。ノズル駆動部30は、回転軸31と、アーム32と、揺動・昇降駆動部33とを備える。回転軸31は、支持部22の上面から上方に突出した状態で支持される。回転軸31は、支持部22において揺動軸AX2の軸まわりに回転可能であり、かつ支持部22に対して上下方向Hに沿って昇降可能に支持されている。回転軸31は、揺動・昇降駆動部33により回転し、また昇降する。
【0018】
アーム32は、滴下ノズル40と回転軸31とを連結する。アーム32は、回転軸31の側面から水平方向に延びる棒状体であり、回転軸31と一体で揺動軸AX2の軸まわりに回転(揺動)する。アーム32の一端は回転軸31の側面に固定され、他端で滴下ノズル40を支持する。従って、回転軸31の回転によりアーム32が揺動することで、他端に固定されている滴下ノズル40を揺動方向Sに揺動させることができる。すなわち、テーブル10に載置された基板Wの上方において、基板Wの上面と平行に滴下ノズル40を走査することができる。
【0019】
アーム32の長さは、滴下ノズル40の直下がテーブル10の中心軸AX1と一致するように設定されている。その結果、滴下ノズル40の移動軌跡は、平面視において中心軸AX1(基板Wの中心)を通過して基板Wの外縁部Eに至る円弧状となる。なお、アーム32は、回転軸31から滴下ノズル40の長さ、又は長手方向における滴下ノズル40の位置を調節可能な構造を備えていてもよい。また、アーム32は、回転軸31と一体で上下方向Hに昇降することで、滴下ノズル40の高さを調節可能である。すなわち、回転軸31及びアーム32が昇降することで、滴下ノズル40と基板Wの上面との距離を調節可能である。
【0020】
揺動・昇降駆動部33は、回転軸31を回転させ、また回転軸31を昇降させる。揺動・昇降駆動部33は、回転軸31を回転させる駆動源と、回転軸31を昇降させる駆動源とを別に備えていてもよいし、1つの駆動源を用いて回転軸31の回転と、回転軸31の昇降とを行ってもよい。回転軸31を回転させる駆動源としては、例えば電動モータ等が用いられる。回転軸31を昇降させる駆動源としては、例えば電動モータ、シリンダ装置などが用いられる。
【0021】
なお、上記したノズル駆動部30は一例であり、この形態に限定されない。ノズル駆動部30は、滴下ノズル40をX方向、Y方向、Z方向、及びこれらを合成した方向に移動させる任意の駆動系を用いることができる。例えば、ノズル駆動部30は、滴下ノズル40を先端に保持したロボットアーム(多関節アーム)が用いられてもよいし、Xスライダ、Yスライダ、昇降スライダ(Zスライダ)を組み合わせて構成される形態が用いられてもよい。
【0022】
滴下ノズル40は、アーム32の端部に取り付けられ、基板Wの上方に配置される。また、滴下ノズル40は、アーム32が揺動することにより揺動方向Sに揺動可能である。滴下ノズル40は、吐出口41と、供給管42と、を備える。吐出口41は、滴下ノズル40の下端において、基板Wの表面と対向するように下向きに設けられ、洗浄液Lを滴下する。吐出口41の口径は、0.5mm~2mm程度が好ましい。滴下ノズル40は、基板W上に洗浄液Lを強い圧力をかけずに、基板W上に洗浄液Lを滴下することにより供給し、例えば、スプレーノズルのような洗浄液Lに強い圧力をかけて基板W上に洗浄液Lを供給する形態とは異なる。滴下ノズル40としては、公知の滴下ノズルが使用可能であり、例えば、一流体ノズルが用いられる。
【0023】
供給管42は、一端が滴下ノズル40に接続され、洗浄液Lを滴下ノズル40に送る。供給管42の他端は、洗浄液供給部50に接続されている。供給管42としては、例えばフレキシブルチューブなどが用いられる。供給管42の素材は、洗浄液Lの成分に耐性を有している素材であれば、公知の素材が用いられる。例えば、供給管42の素材としては、金属、塩化ビニル等の樹脂などが挙げられる。
【0024】
洗浄液供給部50は、例えば、洗浄液Lを貯留するタンクと、洗浄液Lを送液する送液ポンプと、流量調整部とを有している。この流量調整部により滴下ノズル40に送る洗浄液Lの単位時間当たりの流量を調整することで、吐出口41から強い圧力をかけずに洗浄液Lを滴下することが可能となる。なお、本実施形態では、1本の滴下ノズル40を有する形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、複数本の滴下ノズル40がアーム32に取り付けられ、それぞれから洗浄液Lを滴下する形態であってもよい。
【0025】
洗浄液Lは、基板Wの表面の洗浄に必要な液体が用いられる。例えば、基板Wの上面に付着する残渣R等が、上記した光反応層の残渣である場合は洗浄液Lとして純水、有機溶剤等が用いられる。また、基板Wの上面の残渣R等が、基板Wに設けられた接着層である場合は、例えば洗浄液Lとして有機系溶剤等が用いられる。
【0026】
制御部60は、基板洗浄装置100を統括して制御し、例えば、コンピュータが用いられる。制御部60は、回転駆動部11、揺動・昇降駆動部33、及び洗浄液供給部50を制御する。制御部60は、回転駆動部11を制御することにより、テーブル10の回転及び停止、さらにテーブル10の回転時においてテーブル10を所定の回転数で回転させる。テーブル10の回転数は、制御部60に備える不図示の記憶部に予め記憶されている値が用いられてもよいし、オペレータにより適宜設定されてもよい。
【0027】
制御部60は、揺動・昇降駆動部33により滴下ノズル40の上下方向Hの高さを調整し、さらに滴下ノズル40を揺動方向Sに揺動させる。制御部60は、揺動・昇降駆動部33を制御することにより、滴下ノズル40の揺動速度、揺動幅を設定する。滴下ノズル40の揺動速度、揺動幅は、制御部60に備える不図示の記憶部に予め記憶されている値が用いられてもよいし、オペレータにより適宜設定されてもよい。制御部60の制御により、滴下ノズル40は、テーブル10に載置された基板Wの上方において、基板Wの上面と平行に走査される。
【0028】
また、制御部60は、滴下ノズル40の揺動と同期して洗浄液供給部50を駆動させ、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させる。制御部60は、洗浄液供給部50の流量調整部を制御することで、単位時間あたりの洗浄液Lの流量を調整し、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を実行させる。
【0029】
このような制御部60の制御により、滴下ノズル40と基板Wとの間隔が調整された状態で、基板Wが載置されたテーブル10を回転させつつ、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下し、この滴下ノズル40を揺動させることができる。上記したように、滴下ノズル40は、基板Wの中心から外縁部Eに至る円弧状を揺動方向Sに揺動しつつ、洗浄液Lを基板Wに供給する。この間、テーブル10は、所定の回転数で回転状態が維持されているので、滴下ノズル40から滴下された洗浄液Lは基板Wの上面全体に広がり、基板Wに付着している残渣R等を洗浄液Lによって除去することが可能となる。
【0030】
[基板洗浄方法]
次に、図2から図11を参照にして、実施形態に係る基板洗浄方法について説明する。なお、基板洗浄装置100については、説明をわかり易くするため、一部を省略して記載している。
【0031】
<第1実施形態>
図2から図4を参照して第1実施形態に係る基板洗浄方法について説明する。図2は、第1実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。図3及び図4は、それぞれ第1実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示す工程図である。図2に示すように、先ず、基板Wを基板洗浄装置100に搬入する(ステップS01)。ステップS01において、基板Wは、例えば搬送装置によりテーブル10に載置される。この搬送装置は、例えば基板Wの上面を吸着する吸着パッドを備え、吸着パッドで基板Wを吸着した状態で搬送し、テーブル10に基板を載置する。その後、吸着パッドによる吸着を解放して基板洗浄装置100から退避することで、基板Wは、テーブル10に載置された状態となる。
【0032】
なお、基板Wの搬入時において、制御部60は、滴下ノズル40をテーブル10の上方から外れた位置に退避させている。また、基板Wがテーブル10に載置された後、制御部60は、図示しない吸着部を駆動し、基板Wをテーブル10に吸着保持させる。なお、基板Wがテーブル10に載置された後、基板Wの吸着に先立って、基板Wの中心部Oと中心軸AX1とを一致させるように、基板Wのアライメントを行ってもよい。このような基板Wのアライメントを行う場合は、基板Wのアライメント後に、吸着部による基板Wの吸着を行う。
【0033】
次に、制御部60は、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方に配置させる(ステップS02)。ステップS02において、制御部60は、ノズル駆動部30を制御して滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方、すなわち中心軸AX1と一致した位置に配置させる。次に、制御部60は、テーブル10を回転させる(ステップS03)。ステップS03において、制御部60は、回転駆動部11を制御して、予め設定された回転数(例えば、例えば500rpm以下)でテーブル10を中心軸AX1の軸まわりに回転させる。なお、ステップS03のテーブル10の回転は、上記したステップS02より先に行ってもよいし、ステップS02と同時に行ってもよい。
【0034】
次に、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eに向けて移動(揺動)させる(ステップS04)。ステップS04において、制御部60は、洗浄液供給部50を制御することにより、予め設定された流量で洗浄液Lを滴下ノズル40に送り、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させる。滴下される洗浄液Lの量は、例えば10~20ml/minである。滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0035】
図3(A)に示すように、洗浄液Lは、基板Wの中心部Oに向けて滴下された後、滴下ノズル40の移動に伴って基板Wに対する滴下位置を変更する。制御部60は、ノズル駆動部30を制御することにより、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oから基板Wの外縁部Eに向けて移動させる。すなわち、滴下ノズル40は、洗浄液Lを滴下しながら基板Wの中心部Oから外縁部Eに向けて移動する。滴下ノズル40の移動速度は、例えば15mm/sec以下に設定される。
【0036】
図3(B)に示すように、滴下ノズル40が基板Wの外縁部Eまで移動する間、滴下ノズル40は洗浄液Lを滴下している。従って、基板Wが回転していることから、基板Wの上面の全面に洗浄液Lを拡げることができる。また、基板Wの回転により洗浄液Lが遠心力を受けて基板W上を放射方向に移動する。この洗浄液Lの流れによって基板Wに付着している残渣R等の全部又は一部を除去することができる。
【0037】
滴下ノズル40が基板Wの外縁部Eまで移動したタイミングで、制御部60は、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を停止させる(ステップS05)。ステップS05において、制御部60は、ノズル駆動部30による回転軸31の回転角度(アーム32の揺動量)などから滴下ノズル40が基板Wの外縁部Eに達したことを取得し、このタイミングで洗浄液供給部50の駆動を停止して滴下ノズル40から洗浄液Lの滴下を停止させる。なお、洗浄液Lの滴下を停止するタイミングは、滴下ノズル40が基板Wの外縁部Eに達したタイミングに限定されず、例えば、滴下ノズル40が基板Wの外縁部Eに達する前であってもよい。
【0038】
次に、制御部60は、基板Wの中心部O上方に滴下ノズル40を移動させる(ステップS06)。図4(A)に示すように、制御部60は、洗浄液供給部50の駆動を停止した状態で、ノズル駆動部30を制御して滴下ノズル40を移動させ、基板Wの中心部O上方に滴下ノズル40を配置させる。ステップS06において、滴下ノズル40の移動速度は、ステップS04における滴下ノズル40の移動速度と同一であってもよいし、ステップS04における滴下ノズル40の移動速度よりも速い速度であってもよい。
【0039】
次に、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させる(ステップS07)。図4(B)に示すように、制御部60は、洗浄液供給部50を制御することにより、洗浄液Lを基板Wの中心部Oに向けて滴下させる。このとき、制御部60は、ノズル駆動部30の駆動を停止し、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方に保持させる。洗浄液Lは、基板Wの中心部Oに供給された後、基板Wの回転による遠心力で外縁部Eに向けて拡がっていく。この洗浄液Lの流れにより、ステップS04で除去されずに残存する残渣R等があったとしても、残存する残渣R等は洗浄液Lによって基板Wの上面から除去される。
【0040】
ステップS07において、制御部60は、予め設定された所定時間において洗浄液Lを供給する。なお、洗浄液Lを供給する所定時間は、オペレータにより手動で設定されてもよい。また、ステップS07で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量は、ステップS04で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量と同一であってもよいし、ステップS04で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量より多くてもよい。
【0041】
次に、滴下ノズル40の滴下が所定時間を経過した後、制御部60は、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を停止させる(ステップS08)。ステップS08において、制御部60は、不図示のタイマ等による所定時間の経過を取得し、洗浄液供給部50の駆動を停止して滴下ノズル40への洗浄液Lの滴下を停止させる。なお、制御部60は、洗浄液供給部50に備える流量調整部から洗浄液Lを送った流量に関する情報を取得して、所定の流量を送ったタイミングで洗浄液供給部50の駆動を停止させてもよい。なお、上記したステップS03からステップS08までの間において、制御部60は、回転駆動部11を制御してテーブル10の回転を維持している。
【0042】
次に、制御部60は、テーブル10の回転を停止させる(ステップS09)。ステップS09において、制御部60は、回転駆動部11を制御してテーブル10の回転を停止させる。なお、ステップS09は、ステップS08と同時であってもよい。すなわち、制御部60は、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を停止させたタイミングで、テーブル10の回転を停止させてもよい。
【0043】
次に、基板Wを基板洗浄装置100から搬出する(ステップS10)。ステップS10において、制御部60は、テーブル10の吸着部による基板Wの吸着を解除する。その後、基板Wは、例えば、上記した搬送装置によりテーブル10から搬出される。なお、基板Wの搬出に先立って、基板Wの上面を乾燥させるステップが行われてもよい。基板Wの乾燥は、例えば、テーブル10に載置したまま所定時間自然乾燥させる形態であってもよいし、ドライエア等を基板Wの上面に吹き付ける形態であってもよい。また、テーブル10がヒータ等の加熱装置を備える場合は、加熱装置を駆動して基板Wを加熱することで基板Wの乾燥を行ってもよい。
【0044】
上記した一連のステップが行われることで、基板Wの上面に付着している残渣R等が基板Wから除去される。このように、本実施形態によれば、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下することで基板Wに洗浄液Lを供給するので、スプレーノズル等で洗浄液Lを噴出させて基板Wに供給することに比べて、基板Wへの洗浄液Lの液圧が小さい。その結果、基板W上の電子部品等が剥離することを防止でき、さらに、洗浄液Lの圧力で電子部品等に洗浄液Lが浸透することを防止できる。
【0045】
また、回転している基板Wの表面に滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oから外縁部Eまで移動させ、その後、基板Wの中心部Oに滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下することにより、基板Wの表面全面に対して洗浄液Lを拡げることができ、基板Wの上面に付着している残渣R等を確実に除去することができる。なお、上記した実施形態では、残渣R等が光反応層の残渣である場合を例に挙げて説明しているが、残渣R等が接着層などの膜である場合も同様である。
【0046】
<第2実施形態>
図5から図7を参照して第2実施形態に係る基板洗浄方法について説明する。図6及び図7は、それぞれ第2実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示す工程図である。また、上記した実施形態で説明した内容と同一の内容については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。図5に示すように、先ず、基板Wを基板洗浄装置100に搬入する(ステップS11)。ステップS11は、上記したステップS01と同様である。次に、制御部60は、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eの上方に配置させる(ステップS12)。ステップS12において、制御部60は、ノズル駆動部30を制御して滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eの上方に配置させる。次に、制御部60は、テーブル10を回転させる(ステップS13)。ステップS13は、上記したステップS03と同様である。
【0047】
次に、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oに向けて移動(揺動)させる(ステップS14)。ステップS14において、制御部60は、洗浄液供給部50を制御することにより、予め設定された流量で洗浄液Lを滴下ノズル40に送り、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させる。滴下される洗浄液Lの量は、例えば10~20ml/minである。滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0048】
図6(A)に示すように、洗浄液Lは、基板Wの外縁部Eに向けて滴下された後、滴下ノズル40の移動に伴って基板Wに対する滴下位置を変更する。制御部60は、ノズル駆動部30を制御することにより、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eから基板Wの中心部Oに向けて移動させる。すなわち、滴下ノズル40は、洗浄液Lを滴下しながら基板Wの外縁部Eから中心部Oに向けて移動する。滴下ノズル40の移動速度は、例えば15mm/sec以下に設定される。
【0049】
図6(B)に示すように、滴下ノズル40が基板Wの中心部Oまで移動する間、滴下ノズル40は洗浄液Lを滴下している。従って、基板Wが回転していることから、基板Wの上面の全面に洗浄液Lを拡げることができる。また、基板Wの回転により洗浄液Lが遠心力を受けて基板W上を放射方向に移動する。この洗浄液Lの流れによって基板Wに付着している残渣R等の全部又は一部を除去することができる。
【0050】
また、図6(B)に示すように、滴下ノズル40が基板Wの中心部Oまで移動後、制御部60は、引き続き滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに洗浄液Lを滴下させる(ステップS15)。すなわち、ステップS15は、ステップS14で洗浄液Lを滴下しながら滴下ノズル40を基板Wの中心部O上方まで移動させた後に、そのまま滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに洗浄液Lを滴下させるステップである。図7は、図6(B)に続けて、滴下ノズル40が基板Wの中心部Oに移動後、さらに滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに向けて洗浄液Lを滴下している図である。
【0051】
図7に示すように、制御部60は、洗浄液供給部50を制御することにより、洗浄液Lを基板Wの中心部Oに向けて滴下させる。このとき、制御部60は、ノズル駆動部30の駆動を停止し、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方に保持させる。洗浄液Lは、基板Wの中心部Oに供給された後、基板Wの回転による遠心力で外縁部Eに向けて拡がっていく。この洗浄液Lの流れにより、ステップS14で除去されずに残存する残渣R等があったとしても、残存する残渣R等は洗浄液Lによって基板Wの上面から除去される。
【0052】
ステップS15において、制御部60は、予め設定された所定時間において洗浄液Lを供給する。なお、洗浄液Lを供給する所定時間は、オペレータにより手動で設定されてもよい。また、ステップS16で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量は、ステップS14で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量と同一であってもよいし、ステップS14で供給する洗浄液Lの単位時間あたりの量より多くてもよい。
【0053】
次に、滴下ノズル40の滴下が所定時間を経過した後、制御部60は、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を停止させる(ステップS16)。次に、制御部60は、テーブル10の回転を停止させる(ステップS17)。次に、基板Wを基板洗浄装置100から搬出する(ステップS18)。ステップS16、S17、S18は、上記したステップS08、S09、S10と同様である。上記した一連のステップが行われることで、基板Wの上面に付着している残渣R等が基板Wから除去される。
【0054】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、基板W上の電子部品等が剥離することを防止でき、さらに、洗浄液Lの圧力で電子部品等に洗浄液Lが浸透することを防止できる。また、回転している基板Wの表面に滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eから中心部Oまで移動させ、その後、基板Wの中心部Oに滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下することにより、基板Wの表面全面に対して洗浄液Lを拡げることができ、基板Wの上面に付着している残渣R等を確実に除去することができる。
【0055】
<第3実施形態>
図8から図11を参照して第3実施形態に係る基板洗浄方法について説明する。図9から図10は、それぞれ第3実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示す工程図である。また、上記した実施形態で説明した内容と同一の内容については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。図8に示すように、先ず、基板Wを基板洗浄装置100に搬入する(ステップS21)。次に、制御部60は、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方に配置させる(ステップS22)。次に、制御部60は、テーブル10を回転させる(ステップS23)。ステップS21、S22、S23は、上記したステップS01、S02、S03と同様である。
【0056】
次に、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eに向けて移動させる(ステップS24)。図9(A)に示すように、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させつつ、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oから外縁部Eに向けて移動させる。なお、ステップS24は、上記したステップS04と同様である。
【0057】
次に、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oに向けて移動させる(ステップS25)。図9(B)に示すように、制御部60は、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下させつつ、滴下ノズル40を基板Wの外縁部Eから中心部Oに向けて移動させる。なお、ステップS25は、上記したステップS14と同様である。ステップS25において滴下される洗浄液Lの量は、ステップS24において滴下される洗浄液Lの量と同一であってもよいし、異なってもよい。また、ステップS25における滴下ノズル40の移動速度は、ステップS24における滴下ノズル40の移動速度と同一の移動速度であってもよいし、異なる移動速度であってもよい。
【0058】
滴下ノズル40が基板Wの中心部Oから外縁部Eまで往復する間、滴下ノズル40は洗浄液Lを滴下している。従って、基板Wが回転していることから、基板Wの上面の全面に洗浄液Lを拡げることができる。また、基板Wの回転により洗浄液Lが遠心力を受けて基板W上を放射方向に移動する。この洗浄液Lの流れによって基板Wに付着している残渣R等の全部又は一部を除去することができる。
【0059】
図10は、滴下ノズル40が移動して基板Wの中心部Oに向けて洗浄液Lを滴下している図である。図10に示すように、滴下ノズル40が基板Wの中心部Oまで移動後、制御部60は、引き続き滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに洗浄液Lを滴下させる(ステップS26)。すなわち、ステップS26は、ステップS25で洗浄液Lを滴下しながら滴下ノズル40を基板Wの中心部O上方まで移動させた後に、そのまま滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに洗浄液Lを滴下させるステップである。
【0060】
図11は、図10に続けて、滴下ノズル40が基板Wの中心部Oに移動後、さらに滴下ノズル40から基板Wの中心部Oに向けて洗浄液Lを滴下している図である。図11に示すように、制御部60は、洗浄液供給部50を制御することにより、洗浄液Lを基板Wの中心部Oに向けて滴下させる。このとき、制御部60は、ノズル駆動部30の駆動を停止し、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oの上方に保持させる。洗浄液Lは、基板Wの中心部Oに供給された後、基板Wの回転による遠心力で外縁部Eに向けて拡がっていく。この洗浄液Lの流れにより、ステップS25で除去されずに残存する残渣R等があったとしても、残存する残渣R等は洗浄液Lによって基板Wの上面から除去される。
【0061】
次に、滴下ノズル40の滴下が所定時間を経過した後、制御部60は、滴下ノズル40からの洗浄液Lの滴下を停止させる(ステップS27)。次に、制御部60は、テーブル10の回転を停止させる(ステップS28)。次に、基板Wを基板洗浄装置100から搬出する(ステップS29)。ステップS27、S28、S29は、上記したステップS08、S09、S10と同様である。上記した一連のステップが行われることで、基板Wの上面に付着している残渣R等が基板Wから除去される。
【0062】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、基板W上の電子部品等が剥離することを防止でき、さらに、洗浄液Lの圧力で電子部品等に洗浄液Lが浸透することを防止できる。また、回転している基板Wの表面に滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を基板Wの中心部Oから外縁部Eまで往復させ、その後、基板Wの中心部Oに滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下することにより、基板Wの表面全面に対してより一層洗浄液Lを拡げることができ、基板Wの上面に付着している残渣R等を確実に除去することができる。
【0063】
次に、実施例について説明する。
(実施例1)
基板洗浄装置100のテーブル10上に、光反応層を形成した基板(直径140mm)を載置し、テーブル10の回転数を300rpmとした。1流体の滴下ノズル40用いて、滴下ノズル40を基板Wの中心部O上方に配置して、洗浄液Lを、滴下ノズル40から15ml/minで基板Wの中心部Oに滴下し、洗浄液Lを滴下しながら、滴下ノズル40を15mm/secで基板Wの外縁部Eまで移動させた。洗浄液Lの滴下を停止して、滴下ノズル40を基板Wの中心部O上方に移動させ、再び、滴下ノズル40から洗浄液Lを15ml/minで基板Wの中心部Oに40秒間滴下した。結果は、目視で判断したところ、基板Wの外縁部E近傍を除いて、基板Wの表面に光反応層の褐色の残渣はほとんど残っていなかった。
【0064】
(比較例1)
基板洗浄装置100のテーブル10上に、実施例1と同様の基板を載置し、テーブル10の回転数を300rpmとした。2流体のスプレーノズルを基板Wの中心部O上方に配置して、実施例1と同様の洗浄液Lを、スプレーノズルから15ml/minで基板Wの中心部Oに噴射させ、洗浄液Lを噴射させながら、スプレーノズルを15mm/secで基板Wの外縁部Eまで移動させた。その後、洗浄液Lを噴射させながら、スプレーノズルを基板Wの中心部O上方に移動させ、洗浄液Lの噴射を停止した。結果は、基板Wの表面において、基板Wの外縁部Eに光反応層の褐色の残渣が残っていた。
【0065】
(比較例2)
基板洗浄装置100のテーブル10上に、実施例1と同様の基板Wを載置し、テーブル10の回転数を300rpmとした。滴下ノズル40を基板Wの中心部O上方に配置して、実施例1と同様の洗浄液Lを、滴下ノズル40から15ml/minで基板Wの中心部Oに180秒間滴下した。結果は、基板Wの表面において、全面に洗浄液Lが拡がらず、洗浄液Lが流れた部分のみ洗浄され、他の部分には光反応層の褐色の残渣が残存していた。
【0066】
上記したように、実施例1は、比較例1及び比較例2に比べて、基板W上に形成された光反応層(残渣R等)をほとんど除去されていることが確認された。一方、比較例1及び比較例2では、基板W上に光反応層が残存していることが確認された。また、比較例1では、スプレーノズルにより高い液圧で洗浄液Lが基板Wにあたるため、基板Wに形成された電子部品等が剥離するなど、基板Wへのダメージが想定される。比較例1に対して、実施例1では、滴下ノズル40から洗浄液Lを滴下しているので、洗浄液Lの液圧が低く、基板Wに与えるダメージが小さい。
【0067】
以上、実施形態及び実施例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例に限定されない。上記した実施形態及び実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態及び実施例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態及び実施例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態及び実施例において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態及び実施例における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0068】
W・・・基板
O・・・中心部
E・・・外縁部
L・・・洗浄液
R・・・残渣
10・・・テーブル
11・・・回転駆動部
20・・・筐体
21・・・収容部
22・・・支持部
30・・・ノズル駆動部
31・・・回転軸
32・・・アーム
33・・・揺動・昇降駆動部
40・・・滴下ノズル
50・・・洗浄液供給部
60・・・制御部
100・・・基板洗浄装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11