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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】駆動装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 386
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020103276
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021196520
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】小林 一啓
(72)【発明者】
【氏名】杉田 成実
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116007(JP,A)
【文献】特開2019-132875(JP,A)
【文献】特開2001-228056(JP,A)
【文献】特開2017-007761(JP,A)
【文献】特開2010-197463(JP,A)
【文献】米国特許第04785329(US,A)
【文献】特開2011-110841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの駆動力を被駆動体に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段と、
前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段とを有する駆動装置であって、
前記駆動伝達切替手段として、同じ駆動源からの駆動力を互いに異なる被駆動体にそれぞれ伝達する複数の駆動伝達経路にそれぞれ対応し、各駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える複数の駆動伝達切替手段を備え、
前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から一部の駆動伝達切替手段を異常判断対象として選択し、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時よりも大きい駆動量で前記駆動源を駆動させた状態で、選択した異常判断対象によって前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動源の駆動情報又は該駆動情報から生成される前記駆動源の制御量情報を用いて、該異常判断対象についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から前記異常判断対象を1つずつ順番に選択することを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記異常判断手段は、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時に発生したエラーの情報が所定の開始条件を満たしたら、前記複数の駆動伝達切替手段について前記伝達状態時異常の有無の判断を行うことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記異常判断対象を選択するための選択情報を取得する取得手段を有し、
前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から前記取得手段が取得した選択情報が示す異常判断対象を選択することを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段のそれぞれについて、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時に発生したエラーの情報が所定の開始条件を満たすか否かを判断し、該所定の開始条件を満たした駆動伝達切替手段について前記伝達状態時異常の有無の判断を行うことを特徴とする駆動装置
【請求項6】
求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記駆動源の駆動情報と制御調整値から生成される制御量情報に基づいて前記駆動源を制御する駆動制御手段を有し、
前記異常判断手段は、前記伝達状態時異常の有無の判断の際、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時とは異なる制御調整値を用いて生成される制御量情報に基づいて前記駆動源を駆動させた状態で、前記駆動伝達切替手段により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動情報又は前記制御量情報を用いることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
駆動源からの駆動力を被駆動体に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段と、
前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段とを有する駆動装置であって、
前記異常判断手段は、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時よりも大きい駆動量で前記駆動源を駆動させた状態で、前記駆動伝達切替手段により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動源の駆動情報又は該駆動情報から生成される前記駆動源の制御量情報を用いて、該駆動伝達切替手段についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とする駆動装置
【請求項8】
動装置によって駆動される被駆動体を備えた画像形成装置であって、
前記駆動装置として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記駆動装置における前記異常判断手段の判断結果を報知する報知手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源からの駆動力を被駆動体に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段と、前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段とを有する駆動装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置の回転体を駆動するモータ(駆動源)の回転駆動力を回転体へ伝達するクラッチ(駆動伝達切替手段)の連結(伝達状態)と解放(非伝達状態)とを切り替えるクラッチ制御部を備えた駆動装置が開示されている。この駆動装置では、クラッチが連結動作を行うときのモータの回転速度(駆動情報)に基づき、クラッチの連結動作を開始してから駆動伝達が定常状態になるまでの連結時間が所定の上限値を超えると、クラッチの応答性異常(伝達状態時異常)であると判断し、クラッチの寿命が尽きたと判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の駆動装置では、駆動伝達切替手段の伝達状態時異常を高精度で判断することが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、駆動源からの駆動力を被駆動体に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段と、前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段とを有する駆動装置であって、前記駆動伝達切替手段として、同じ駆動源からの駆動力を互いに異なる被駆動体にそれぞれ伝達する複数の駆動伝達経路にそれぞれ対応し、各駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える複数の駆動伝達切替手段を備え、前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から一部の駆動伝達切替手段を異常判断対象として選択し、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時よりも大きい駆動量で前記駆動源を駆動させた状態で、選択した異常判断対象によって前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動源の駆動情報又は該駆動情報から生成される前記駆動源の制御量情報を用いて、該異常判断対象についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駆動伝達切替手段の伝達状態時異常を高精度で判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態における画像形成装置の概略構成図。
図2】同画像形成装置が備える搬送ローラを駆動する駆動装置の概略構成図。
図3】同駆動装置の制御系を示す機能ブロック図。
図4】(a)は、正常な単一の電磁クラッチをオン、オフしたときの積分制御量のデータを示すグラフ。(b)は、滑り(異常)が発生した単一の電磁クラッチをオン、オフしたときの積分制御量のデータを示すグラフ。
図5】(a)は、正常な複数の電磁クラッチを同時にオン、オフしたときの積分制御量のデータを示すグラフ。(b)は、滑り(異常)が発生した複数の電磁クラッチを同時にオン、オフしたときの積分制御量のデータを示すグラフ。
図6】故障診断モード1における電磁クラッチの異常判定を行うための処理手順を示すフローチャート。
図7】(a)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ制御ゲインとして故障診断モード用の設定を用いた場合の積分制御量のデータを示すグラフ。(b)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ制御ゲインとして通常稼働時の設定を用いた場合の積分制御量を示すグラフ。
図8】(a)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ回転数(モータ速度)として故障診断モード用の設定を用いた場合の積分制御量を示すグラフ。(b)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ回転数(モータ速度)として通常稼働時の設定を用いた場合の積分制御量を示すグラフ。
図9】故障診断モード1における故障診断結果を表示した画面の一例を示す説明図。
図10】故障診断モード2における電磁クラッチの異常判定を行うための処理手順を示すフローチャート。
図11】故障診断モード2における異常判断対象とするクラッチを選択するための画面の一例を示す説明図。
図12】故障診断モード2における故障診断結果を表示した画面の一例を示す説明図。
図13】故障診断モード3における電磁クラッチの異常判定を行うための処理手順を示すフローチャート。
図14】故障診断モード4における電磁クラッチの異常判定を行うための処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る駆動装置を、画像形成装置における記録材としての用紙を搬送する被駆動体としての回転体である搬送ローラの駆動装置に適用した一実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成装置において用紙を搬送する搬送用回転体の駆動源として用いられるDCモータの制御を例に説明するが、これに限らず、インクジェット方式等の他の画像形成装置の搬送用回転体やインクキャリッジの駆動手段、その他の電子機器が備える駆動源の駆動手段としても適用できることは勿論である。
【0009】
図1は、本実施形態における画像形成装置の概略構成図である。
本実施形態の画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」と記す。)の可視像たるトナー像を生成するため、4つの潜像担持体としての感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、現像手段としての現像装置2Y,2M,2C,2Kとを備えている。現像装置2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、現像ローラ3Y,3M,3C,3Kを備えている。
【0010】
各現像装置2Y,2M,2C,2Kの図中下方には、潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置4が配設されている。露光装置4は、画像情報に基づいて発したレーザ光を各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに照射して露光する。この露光により、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、K静電潜像が形成される。なお、露光装置4は、光源から発したレーザ光を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、光学レンズやミラーを介して感光体ドラムに照射するものである。
【0011】
また、露光装置4の図中下側には、紙収容カセット5、給紙ローラ6、レジストローラ対7等を有する給紙機構が配設されている。紙収容カセット5は、用紙23を複数枚重ねて収納しており、一番上の用紙23には給紙ローラ6を当接させている。給紙ローラ6が駆動装置によって図中反時計回りに回転すると、一番上の用紙23がレジストローラ対7のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対7は、用紙23を挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、レジストローラ対7は、用紙23を適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
【0012】
また、現像装置2Y,2M,2C,2Kの図中上方には、中間転写体としての中間転写ベルト8を張架しながら無端移動させる中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8のほか、4つの一次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、ベルトクリーニング装置10、二次転写バックアップローラ11、クリーニングバックアップローラ12、テンションローラ13等も備えている。
【0013】
中間転写ベルト8は、これら7つのローラに張架されながら、少なくともいずれか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動させられる。一次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス極性)の転写バイアスを印加する方式のものである。
【0014】
一次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kを除くローラは、すべて電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上のYトナー像、Mトナー像、Cトナー像、Kトナー像が重ね合わせられて一次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0015】
また、中間転写ユニット15には、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Kに接触した状態で、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y,1M,1Cに対して接離するための接離機構も設けられている。
【0016】
二次転写バックアップローラ11は、二次転写ローラ16との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この二次転写ニップで用紙23に転写される。そして、用紙23の白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0017】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、用紙23に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。二次転写ニップにおいては、用紙23が互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と二次転写ローラ16との間に挟まれて、レジストローラ対7側とは反対方向に搬送される。
【0018】
二次転写ニップから送り出された用紙23は、画像形成装置100本体に対して着脱自在なユニットとしての定着ユニット17のローラ間を通過する際に、熱と圧力の響を受けて、表面の4色トナー像が定着される。その後、用紙23は、排紙ローラ対18のローラ間を経て機外へと排出される。
【0019】
画像形成装置100本体の上面には、スタック部20が形成されており、排紙ローラ対18によって機外に排出された用紙23は、このスタック部20に順次スタックされる。
【0020】
中間転写ユニット15とこれよりも上方にあるスタック部20との間には、ボトル支持部21が配設されている。このボトル支持部21には、各色トナーをそれぞれ収容する剤収容器としてのトナーボトル22Y,22M,22C,22Kがセットされている。
【0021】
各トナーボトル22Y,22M,22C,22K内の各色トナーは、それぞれトナー供給装置により、現像装置2Y,2M,2C,2Kに適宜補給される。各トナーボトル22Y,22M,22C,22Kは、現像装置2Y,2M,2C,2Kとは独立して画像形成装置100の本体に対して脱着可能である。
【0022】
また、画像形成装置100は、CPUを含む本体制御部30と、この本体制御部30で実行されるプログラム等を記憶するメモリ31を備えている。本体制御部30は、操作パネル等から入力される指示信号に基づいてメモリ31からプログラムを読出して実行し、前述の各構成要素を制御する。
【0023】
図2は、画像形成装置100が備える搬送ローラを駆動する駆動装置の概略構成図である。
図2に示す駆動装置150は、図1に示した画像形成装置100の何れかの搬送ローラを駆動するDCモータおよびその制御回路等からなるものである。以下の説明では、図1に示した給紙ローラ6及びレジストローラ対7を同じ駆動源によって駆動する駆動装置を例に挙げる。ただし、給紙ローラ6及びレジストローラ対7以外の搬送ローラ(排紙ローラ対18、増設紙収容カセットの給紙ローラなど)についても、同様に適用することができる。
【0024】
給紙ローラ6及びレジストローラ対7の駆動装置150は、駆動源としてのDCモータ101、駆動伝達手段としての駆動伝達ギヤ111~117、駆動伝達切替手段としての電磁クラッチ118,119、駆動制御手段としての制御回路120及びドライバ回路125などを備えている。
【0025】
DCモータ101は、例えばDC(直流)ブラシレスモータで構成され、出力軸102に固定されたギヤ102aおよびエンコーダ103(図3参照)を備えている。DCモータ101は、ギヤ102a、駆動伝達ギヤ111~117を介し、給紙ローラ6及びレジストローラ対7を回転させる。
【0026】
本実施形態のDCモータ101は、インナーロータモータとして構成されているが、これに限らず、アウターロータモータとして構成されていてもよい。特に、アウターロータモータは、一般に定速制御に適しており、速度変化に対してできるだけ早く目標速度に維持させることを狙った本実施形態において適していると言える。
【0027】
DCモータ101のエンコーダ103は、例えば、エンコーダディスク、フォトセンサを有する。エンコーダ103は、駆動源であるDCモータ101の駆動情報を取得するための駆動情報取得手段を構成する。エンコーダディスクは、周方向に所定の角度間隔で所定数のスリットを有し、出力軸102に垂直かつ同心にて固定され、出力軸102の回転とともに回転するようになっている。光学センサであるフォトセンサは、エンコーダディスクを挟み込む形でDCモータ101に取り付けられ、エンコーダディスクのスリットにより光路の伝達、遮断がなされ、フォトセンサの受光素子にてパルス信号となってエンコーダ信号が制御回路120へと伝達する。
【0028】
制御回路120では、このパルス信号を計測することで、DCモータ101の回転量および回転速度を導出し、給紙ローラ6及びレジストローラ対7の位置および速度情報から、用紙23の位置および速度情報を得ることが可能となる。なお、フォトセンサは、2組の発光素子と受光素子を有し、各々のパルス信号位相差が所定量(本実施形態では、π/2[rad])となるように配置されている。
【0029】
制御回路120は、本体制御部30が出力する目標駆動信号およびエンコーダ103の出力信号に基づいてDCモータ101の動作信号を生成し、ドライバ回路125に動作信号を送り、その後、ドライバ回路125から動作信号に合った電流をDCモータ101に流すことで、給紙ローラ6及びレジストローラ対7を駆動させるようになっている。
【0030】
また、本実施形態では、駆動伝達ギヤ111~117のうち、給紙ローラ6の回転軸に取り付けられる駆動伝達ギヤ114と、レジストローラ対7の駆動軸に取り付けられる駆動伝達ギヤ117とには、駆動伝達切替手段としての電磁クラッチ118,119がそれぞれ内蔵されている。電磁クラッチ118,119は、内蔵する一対の連結部材が電磁力でオン(連結)またはオフ(解放)されることにより、駆動伝達ギヤ114,117の入力側から出力側への駆動力の伝達を伝達状態または非伝達状態に切り替えるようになっている。
【0031】
電磁クラッチ118,119のオン/オフにより、DCモータ101から給紙ローラ6及びレジストローラ対7への駆動力の伝達および非伝達が互いに独立して制御される。電磁クラッチ118,119は、制御回路120からの制御信号によって制御される。
【0032】
図3は、本実施形態における駆動装置150の制御系を示す機能ブロック図である。
目標速度設定部130は、DCモータ101の目標回転速度(以下、単に「目標速度」ともいう。)を設定するものである。また、異常判定部140は、異常判断手段として機能し、電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための異常判定処理を実行するものである。目標速度設定部130や異常判定部140は、本体制御部30によって構成することができる。
【0033】
本実施形態の駆動装置150における制御回路120は、主に、コントローラ121、PWM(pulse width modulation:パルス幅変調)変換部122、速度検出部123から構成される。また、DCモータ101に接続される負荷は、駆動伝達ギヤ111~117、電磁クラッチ118,119、給紙ローラ6及びレジストローラ対7などである。本実施形態において、コントローラ121、PWM変換部122および速度検出部123は、例えば、CPUからの指令に基づいて作動するASICとして構成することができる。
【0034】
コントローラ121は、目標速度設定部130で設定されたDCモータ101の目標速度と、エンコーダ103で検知されて速度検出部123から送られてくるDCモータ101の駆動情報である検出回転速度(以下、単に「回転速度」ともいう。)とに基づいて、PID(比例制御、積分制御、微分制御)演算、ローパスフィルタ演算等を行って、制御量を算出するフィードバック制御を行うものである。
【0035】
PWM変換部122は、コントローラ121で算出された制御量に比例したデューティの信号(PWM信号の駆動デューティ、PWM信号のデューティ値)への変換を行うものである。ドライバ回路125は、PWM変換部122から出力される信号のデューティに比例した電圧を、DCモータ101に印加してDCモータ101を駆動させるものである。DCモータ101は、ドライバ回路125からの出力電圧により駆動され、目標速度設定部130で設定される目標速度で回転するように制御される。
【0036】
速度検出部123は、DCモータ101のエンコーダ103からのエンコーダ信号に基づいてDCモータ101の回転速度を検出するものである。エンコーダ103は、DCモータ101の回転速度に比例した周波数の信号を生成し、これをエンコーダ信号として出力する。速度検出部123は、このエンコーダ信号に基づいてDCモータ101の回転速度を検出し、検出した回転速度をコントローラ121へ送る。
【0037】
次に、本実施形態における電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための異常判定処理について説明する。
本実施形態の電磁クラッチ118,119には、経時劣化などによって、連結時(伝達状態時)に滑り(DCモータ101からの駆動力が正確に伝達できない状態)などの異常(伝達状態時異常)が発生する。このような異常が発生した場合、DCモータ101のフィードバック制御に用いられるDCモータ101の駆動情報である検出回転速度、及び、その検出回転速度から生成される制御量には、正常時とは異なる変化が現れる。
【0038】
まず、駆動源(DCモータ101)からの駆動力を被駆動体に伝達する駆動伝達経路の状態を切り替える電磁クラッチが1つだけの構成である場合を考える。電磁クラッチの連結中には、DCモータ101に被駆動体の負荷が常時加わった状態になる。このとき、電磁クラッチに滑り等の異常が発生している場合には、電磁クラッチが連結中であっても、滑り等が発生している結果、DCモータ101に加わる駆動負荷は正常時よりも小さいものとなる。その結果、DCモータ101の検出回転速度は目標回転速度との誤差が正常時よりも少なく、この検出回転速度から生成される積分制御量H2は、図4(b)に示すように、図4(a)に示す正常時の積分制御量H1よりも小さいものとなる。なお、被駆動体である給紙ローラ6及びレジストローラ対7の回転速度については、滑り等の発生により目標値に達しないため、異常となる。
【0039】
一方で、電磁クラッチが正常である場合には、滑り等が発生していないので、DCモータ101に加わる負荷は、滑り等の異常が発生している場合よりも大きいものとなる。その結果、DCモータ101の検出回転速度は、滑り等の異常が発生している場合よりも、目標回転速度との誤差が大きく、この検出回転速度から生成される積分制御量H1は、図4(a)に示すように、図4(b)に示す異常時の積分制御量H2よりも大きいものとなる。したがって、このような正常時と異常時との間における積分制御量の違いによって、電磁クラッチにおける異常の有無を判断することができる。
【0040】
次に、本実施形態のように、同じ駆動源(DCモータ101)からの駆動力を互いに異なる被駆動体である給紙ローラ6及びレジストローラ対7にそれぞれ伝達する各駆動伝達経路の状態を切り替える電磁クラッチ118,119を備える構成について考える。この構成おいては、以下のような場合に、異常の有無を高精度で判断することが難しい。
【0041】
すなわち、2つの電磁クラッチ118,119により全部の駆動伝達経路を伝達状態にした場合、DCモータ101に接続される被駆動体(給紙ローラ6及びレジストローラ対7)の数が2つになり、DCモータ101に接続される被駆動体全体(負荷全体)の慣性が大きいものとなる。この場合、各電磁クラッチ118,119が正常であるときでも、駆動中の負荷全体の慣性が大きいことで、減速しにくく、DCモータ101の検出回転速度が目標回転速度からズレにくい。そのため、DCモータ101の検出回転速度と目標回転速度との誤差が少なく、図5(a)に示すように、積分制御量H3が小さいものとなる。その結果、2つの電磁クラッチ118,119により全部の駆動伝達経路を伝達状態にして異常の有無を判断しようとすると、各電磁クラッチ118,119が正常であっても、検出回転速度や積分制御量H3が、図5(b)に示す異常時の積分制御量H4に近いものとなり、異常の有無を高精度で判断することが難しい。
【0042】
そこで、本実施形態においては、2つの電磁クラッチ118,119の中から一部(1つ)の電磁クラッチを異常判断対象として選択し、選択した1つの電磁クラッチ(異常判断対象)により駆動伝達経路を伝達状態にしたときの積分制御量(制御量情報)を用いて、当該1つの電磁クラッチ(異常判断対象)についての異常の有無を判断する。
【0043】
なお、以下の説明では、積分制御量を用いて電磁クラッチ118,119の異常の有無を判断する場合について説明するが、積分制御量に代えて、検出回転速度を用いてもよい。
また、ここでは、同じ駆動源(DCモータ101)からの駆動力を被駆動体である給紙ローラ6及びレジストローラ対7に伝達する駆動伝達経路上の駆動伝達切替手段である電磁クラッチ118,119が、2つの場合について説明するが、3つ以上の駆動伝達切替手段が存在する構成であってもよい。
【0044】
〔故障診断モード1〕
以下、2つの電磁クラッチ118,119の中から異常判断対象の電磁クラッチを1つずつ順番に選択して、すべての電磁クラッチ118,119の異常の有無を判断する処理の一例(以下「故障診断モード1」という。)について説明する。
【0045】
図6は、本故障診断モード1における電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための処理手順を示すフローチャートである。
ユーザーやメンテナンス業者等の操作者が操作パネル等を操作して故障診断モード1の開始を指示する操作を行うと、異常判定部140は、故障診断モード1を開始し、まず、モータ制御ゲインの設定とモータ回転数(モータ速度)の設定を、通常駆動時(画像形成動作時)の設定から、故障診断モード用の設定へ変更する(S1)。本故障診断モード1では、通常駆動時の設定をそのまま用いることも可能であるが、異常の有無をより高精度に判断するために、故障診断モード用の設定を用いるものである。
【0046】
モータ制御ゲインとして故障診断モード用の設定を用いる理由は、以下のとおりである。
図7(a)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ制御ゲインとして故障診断モード用の設定を用いた場合の積分制御量のデータを示すグラフである。
図7(b)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ制御ゲインとして通常稼働時の設定を用いた場合の積分制御量のデータを示すグラフである。
【0047】
一般に、モータ制御ゲインは、応答感度を管理するための制御因子の役割を担っている。そのため、通常稼働時(画像形成動作時)のモータ制御ゲインは、稼働安定性や応答性のバランスを調整しながら設定が行われる結果、積分制御量は、図7(b)に示すように、立ち上がり波形が鈍化したような波形(楕円で囲った部分)を示す場合がある。しかしながら、積分制御量から電磁クラッチの異常の有無をより高精度に判断するためには、積分制御量の変位、信号(波形)の鋭敏性が重要となる。そのため、図7(b)に示すような立ち上がり波形の鈍化した波形は、積分制御量から電磁クラッチの異常の有無を判断するうえで不向きである。そこで、本故障診断モード1に用いるモータ制御ゲインについては、通常駆動時の設定をそのまま用いるのではなく、図7(a)に示すような積分制御量の変位、信号(波形)の鋭敏性が得られるように調整された故障診断モード用の設定を用いる。
【0048】
また、モータ回転数(モータ速度)として故障診断モード用の設定を用いる理由は、以下のとおりである。
図8(a)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ回転数(モータ速度)として故障診断モード用の設定を用いた場合の積分制御量を示すグラフである。
図8(b)は、電磁クラッチが正常である場合において、モータ回転数(モータ速度)として通常稼働時の設定を用いた場合の積分制御量を示すグラフである。
【0049】
一般に、モータ回転数が高い(モータ速度が速い)ほど、積分制御量の変位が大きくなり、積分制御量から電磁クラッチの異常の有無を高精度に判断するうえで有利となる。そこで、本故障診断モード1に用いるモータ回転数については、通常駆動時の設定よりも高い故障診断モード用の設定を用いる。これにより、故障診断モード時に得られる積分制御量は、図8(a)に示すように、図8(b)に示す通常稼働時における積分制御量よりも大きな変位を示すものとなり、積分制御量から電磁クラッチの異常の有無をより高精度に判断することができる。
【0050】
このようにして、モータ制御ゲインの設定とモータ回転数(モータ速度)の設定を故障診断モード用の設定としたら(S1)、次に、異常判定部140は、制御回路120を通じて、すべての電磁クラッチ118,119の連結をオフ(解放)にした後(S2)、DCモータ101の駆動を開始して、最初の電磁クラッチ118だけをオン(連結)にする(S3)。そして、最初の電磁クラッチ118についての故障診断(異常の有無の判断)を行う(S4)。
【0051】
本故障診断処理1における故障診断は、例えば、積分制御量を用いて次のように行う。
異常判定部140は、まず、制御回路120のコントローラ121から、PID演算によって算出される積分制御(I制御)の制御量(積分制御量)のデータを特徴量として取得する。制御回路120の基板には、PID制御における各制御量を出力する出力端子が備わっており、異常判定部140は、この出力端子と電気的に接続され、この出力端子から出力される信号に基づいて制御量のデータを取得することができる。
【0052】
取得される積分制御量のデータは、電磁クラッチ118が連結状態(オン状態)であるときの積分制御量のデータである。この積分制御量のデータは、所定期間内にコントローラ121から出力される積分制御(I制御)の制御量(積分制御量)の平均値を用いることができる。異常判定部140は、積分制御量のデータを正常時における積分制御量のデータと比較し、その差が所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0053】
ここで、正常時における積分制御量のデータは、例えば、製品の生産工程時や、ユーザー使用後における電磁クラッチ118を新品に交換した時に取得しておく。取得方法としては、例えば、DCモータ101の回転を開始して、回転速度が安定した後、電磁クラッチ118を連結状態(オン状態)にしたまま、コントローラ121から出力される積分制御(I制御)の制御量(積分制御量)のデータを取得する。そして、異常判定部140は、取得したデータをメモリに記憶したら、DCモータ101の回転を停止する。メモリに記憶される正常時の積分制御量のデータは、例えば、電磁クラッチ118が連結状態(オン状態)であるときの所定期間内にコントローラ121から出力される積分制御(I制御)の制御量(積分制御量)の平均値を用いることができる。
【0054】
異常判定部140は、正常時における積分制御量のデータをメモリから読み出し、現在の積分制御量のデータと正常時における積分制御量のデータとの差が所定の閾値以上であると判断したら、電磁クラッチ118が異常(伝達状態時異常)であると判定する。一方、差が所定の閾値未満であると判断した場合には、電磁クラッチ118が異常(伝達状態時異常)であると判定する。そして、この故障診断結果(異常判定結果)をメモリに記憶して、電磁クラッチ118の故障診断を終える。
【0055】
なお、故障診断は、積分制御量を用いた診断だけでなく、PID演算によって算出される比例制御(P制御)の制御量(比例制御量)などを併用してもよい。また、このような制御量ではなく、PID演算が行われる前の検出回転速度を用いても故障診断は可能である。
【0056】
このようにして電磁クラッチ118の故障診断が終了したら、電磁クラッチ118を解放状態(オフ状態)にし(S5)、次に、残りの電磁クラッチ119だけをオン(連結)にする(S6)。そして、この電磁クラッチ119について、上述した電磁クラッチ118の場合と同様に、故障診断(異常の有無の判断)を行い(S7)、故障診断を終えたら、電磁クラッチ119を解放状態(オフ状態)にする(S8)。
【0057】
以上のようにして、2つの電磁クラッチ118,119についての故障診断を終えたら、異常判定部140は、各電磁クラッチ118,119についての故障診断結果をメモリから読み出し、各電磁クラッチ118,119についての故障診断結果を図9に示すように操作パネル等に表示する(S9)。このとき、必要に応じて、部品交換箇所や交換部品の種類などの付随情報も、操作パネル等に表示してもよい。
【0058】
以上、本故障診断モード1によれば、各電磁クラッチ118,119について、1つずつ連結させて電磁クラッチ118,119ごとに異常の有無を判断する。これにより、2つの電磁クラッチ118,119により全部の連結させて異常の有無を判断する場合よりも、電磁クラッチ118,119が正常であるときの積分制御量が大きくなり、異常(伝達状態時異常)時のものと区別しやすくなる。よって、電磁クラッチ118,119の異常の有無を高精度で判断することができる。
【0059】
特に、本故障診断モード1では、すべての電磁クラッチ118,119について故障診断を行うため、処理時間が長くかかるが、異常や故障が予見される箇所が明確でない状況において故障箇所の有無を検知する場合に有益である。
【0060】
〔故障診断モード2〕
次に、2つの電磁クラッチ118,119の中から選択される1つの電磁クラッチだけについて、異常の有無を判断する処理の一例(以下「故障診断モード2」という。)について説明する。
なお、以下の説明では、上述した故障診断モード1と同様の内容については、適宜説明を省略する。
【0061】
図10は、本故障診断モード2における電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための処理手順を示すフローチャートである。
ユーザーやメンテナンス業者等の操作者が操作パネル等を操作して故障診断モード2の開始を指示する操作を行うと、異常判定部140は、故障診断モード2を開始し、上述した故障診断モード1と同様、モータ制御ゲインの設定とモータ回転数(モータ速度)の設定を故障診断モード用の設定とする(S11)。そして、異常判定部140は、制御回路120を通じて、すべての電磁クラッチ118,119の連結をオフ(解放)にする(S12)。
【0062】
次に、本故障診断モード2では、例えば、図11に示すように、操作パネル等の画面上に異常判断対象となるすべての電磁クラッチの番号を表示させ、操作者は、操作パネル等を操作して、故障診断を行う電磁クラッチを選択する(S13)。この選択指示の操作情報(ここでは、クラッチ1=電磁クラッチ118が選択されたものとする。)は、操作パネル等から異常判定部140へ送られる。
【0063】
その後、DCモータ101の駆動を開始して、選択されたクラッチ1(電磁クラッチ118)だけをオン(連結)にし(S14)、この電磁クラッチ118についての故障診断(異常の有無の判断)を行う(S15)。本故障診断モード2における故障診断は、上述した故障診断モード1と同様の処理を行うことができる。このようにして電磁クラッチ118の故障診断が終了したら、電磁クラッチ118を解放状態(オフ状態)にし(S16)、電磁クラッチ118についての故障診断結果を図12に示すように操作パネル等に表示する(S17)。
【0064】
以上、本故障診断モード2によれば、2つの電磁クラッチ118,119のうち、操作者によって選択される電磁クラッチ118だけについて異常の有無を判断する。これにより、用紙ジャムやマシンエラー番号(エラー情報)などから操作者が故障していると推測した電磁クラッチだけについて異常の有無を判断することができるので、すべての電磁クラッチについて異常の有無を判断する上述した故障診断モード1よりも、処理時間を短縮できる点で有益である。
【0065】
〔故障診断モード3〕
次に、上述した故障診断モード1と同様に、2つの電磁クラッチ118,119の中から異常判断対象の電磁クラッチを1つずつ順番に選択して、すべての電磁クラッチ118,119の異常の有無を判断する処理の他の例(以下「故障診断モード3」という。)について説明する。
本故障診断モード3では、画像形成装置100の稼働中に用紙ジャムやマシンエラー等のエラーが発生した時のマシンリカバリー処理時に自動的に電磁クラッチの故障診断モードを実行する。より詳しくは、予め決められた種類(用紙ジャム種別)の用紙ジャムの連続発生回数が閾値を超えた場合や、予め決められた種類(マシンエラー番号)のマシンエラーが発生した場合などの所定の開始条件が満たされたら、電磁クラッチの故障診断処理を実行する。
なお、以下の説明では、上述した故障診断モードと同様の内容については、適宜説明を省略する。
【0066】
図13は、本故障診断モード3における電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための処理手順を示すフローチャートである。
画像形成装置100の稼働中(画像形成動作中)にエラーが発生し(S21)、そのエラーがマシンエラーである場合(S22-1)、エラーを解消するための処理としてマシンリブート動作を実行し(S23-1)、その後、異常判定部140は、発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーであるかどうかを判断する(S24-1)。所定のマシンエラー番号は、例えば、異常判断対象となる電磁クラッチ118,119の異常によって発生し得るマシンエラーに対応する番号である。
【0067】
発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーである場合には(S24-1のYes)、上述した故障診断モード1の動作を実行する(S26)。一方、発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーでない場合(S24-1のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S28)。
【0068】
また、発生したエラーが用紙ジャムである場合(S22-2)、エラーを解消するための処理としてジャムリカバリー動作を実行し(S23-2)、その後、異常判定部140は、発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムであるかどうかを判断する(S24-2)。所定のジャム種別は、例えば、異常判断対象となる電磁クラッチ118,119の異常によって発生し得る用紙ジャムに対応する番号である。
【0069】
発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムでない場合(S24-2のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S28)。一方、発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムである場合には(S24-2のYes)、次に、その用紙ジャムの連続発生回数が閾値を超えているか否かを判断する(S25)。発生した用紙ジャムの連続発生回数が閾値を超えていなければ(S25のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S28)。一方、発生した用紙ジャムの連続発生回数が閾値を超えている場合には(S25のYes)、上述した故障診断モード1の動作を実行する(S26)。
【0070】
このようにして故障診断モード1の動作が実行された後(S26)、電磁クラッチ118,119の故障が発見された場合には(S27のYes)、画像形成装置100の動作を停止させ(S29)、修理業者へ通知したり、エラーモードにより画像形成動作を一時的に継続したりする。一方、電磁クラッチ118,119の故障が発見されなかった場合には(S27のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S28)。
【0071】
以上、本故障診断モード3によれば、操作者による指示操作がなくても、電磁クラッチ118,119の異常の有無を判断するための故障診断処理を実行することができる。
【0072】
〔故障診断モード4〕
次に、上述した故障診断モード2と同様に、2つの電磁クラッチ118,119の中から選択される電磁クラッチだけについて、異常の有無を判断する処理の他の例(以下「故障診断モード4」という。)について説明する。
本故障診断モード4では、画像形成装置100の稼働中に用紙ジャムやマシンエラー等のエラーが発生した時のマシンリカバリー処理時に自動的に電磁クラッチの故障診断処理を実行する。より詳しくは、予め決められた種類(用紙ジャム種別)の用紙ジャムの連続発生回数が閾値を超えた場合や、予め決められた種類(マシンエラー番号)のマシンエラーが発生した場合などの所定の開始条件が満たされたら、発生した用紙ジャムやマシンエラーに対応する電磁クラッチについて故障診断処理を実行する。
なお、以下の説明では、上述した故障診断モードと同様の内容については、適宜説明を省略する。
【0073】
図14は、本故障診断モード4における電磁クラッチ118,119の異常判定を行うための処理手順を示すフローチャートである。
画像形成装置100の稼働中(画像形成動作中)にエラーが発生し(S31)、そのエラーがマシンエラーである場合(S32-1)、エラーを解消するための処理としてマシンリブート動作を実行し(S33-1)、その後、異常判定部140は、発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーであるかどうかを判断する(S34-1)。
【0074】
発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーでない場合(S34-1のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。一方、発生したマシンエラーが所定のマシンエラー番号に該当するエラーである場合には(S34-1のYes)、該当するマシンエラー番号がNo1であれば(S35-1)、マシンエラー番号No1に対応するクラッチ1(電磁クラッチ118)を異常判断対象として選択する(S36-1)。また、該当するマシンエラー番号がNo2であれば(S35-2)、マシンエラー番号No2に対応するクラッチ2(電磁クラッチ119)を異常判断対象として選択する(S36-2)。そして、選択した電磁クラッチに対し、上述した故障診断モード2の動作を実行する(S38)。
【0075】
また、発生したエラーが用紙ジャムである場合(S32-2)、エラーを解消するための処理としてジャムリカバリー動作を実行し(S33-2)、その後、異常判定部140は、発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムであるかどうかを判断する(S34-2)。
【0076】
発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムでない場合(S34-2のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。一方、発生した用紙ジャムが所定のジャム種別に該当する用紙ジャムである場合には(S34-2のYes)、次のように、そのジャム種別に応じた処理を実行する。
【0077】
該当するジャム種別が種別Aであれば(S35-3)、この種別Aに対応する閾値TAを読み出して、今回の種別Aの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TAを超えているか否かを判断する(S37-1)。そして、今回の種別Aの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TAを超えていなければ(S37-1のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。一方、今回の種別Aの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TAを超えている場合には(S37-1のYes)、用紙ジャムの種別Aに対応するクラッチ1(電磁クラッチ118)を異常判断対象として選択し(S36-3)、選択した電磁クラッチ118に対し、上述した故障診断モード2の動作を実行する(S38)。
【0078】
また、該当するジャム種別が種別Bであれば(S35-4)、この種別Bに対応する閾値TBを読み出して、今回の種別Bの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TBを超えているか否かを判断する(S37-2)。そして、今回の種別Bの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TBを超えていなければ(S37-2のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。一方、今回の種別Bの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TBを超えている場合には(S37-2のYes)、用紙ジャムの種別Bに対応するクラッチ2(電磁クラッチ119)を異常判断対象として選択し(S36-4)、選択した電磁クラッチ119に対し、上述した故障診断モード2の動作を実行する(S38)。
【0079】
また、該当するジャム種別が種別Cであれば(S35-5)、この種別Cに対応する閾値TCを読み出して、今回の種別Cの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TCを超えているか否かを判断する(S37-3)。そして、今回の種別Cの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TCを超えていなければ(S37-3のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。一方、今回の種別Cの用紙ジャムの連続発生回数が閾値TCを超えている場合には(S37-3のYes)、用紙ジャムの種別Cに対応するクラッチ1及びクラッチ2(電磁クラッチ118,119)を異常判断対象として選択し(S36-5)、選択した電磁クラッチ118,119に対し、上述した故障診断モード2の動作を実行する(S38)。
【0080】
このようにして故障診断モード2の動作が実行された後(S38)、電磁クラッチ118,119の故障が発見された場合には(S39のYes)、画像形成装置100の動作を停止させ(S41)、修理業者へ通知したり、エラーモードにより画像形成動作を一時的に継続したりする。一方、電磁クラッチ118,119の故障が発見されなかった場合には(S39のNo)、マシン復帰の動作を実行する(S40)。
【0081】
以上、本故障診断モード4によれば、操作者による指示操作がなくても、電磁クラッチ118,119の異常の有無を判断するための故障診断処理を実行することができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、被駆動体が給紙ローラ6及びレジストローラ対7である例で説明したが、本発明は、給紙ローラ6、レジストローラ対7、二次転写ローラ16など、用紙23を搬送する他の搬送ローラにも同様に適用することができる。また、このような搬送ローラに限らず、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kなどの潜像担持体、中間転写ベルト8などの中間転写体、現像ローラ3Y,3M,3C,3Kなどの現像剤担持体など、本画像形成装置に搭載される他の被駆動体にも、同様に適用することができる。
【0083】
また、本実施形態では、駆動伝達切替手段が電磁クラッチ118,119である例で説明したが、本発明は、電磁ブレーキ、ソレノイド、ワンウェイクラッチ、トルクリミッタなどの他の駆動伝達切替手段にも同様に適用することができる。
【0084】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、駆動源(例えばDCモータ101)からの駆動力を被駆動体(例えば給紙ローラ6及びレジストローラ対7)に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段(例えば電磁クラッチ118,119)と、前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段(例えば異常判定部140)とを有する駆動装置150であって、前記駆動伝達切替手段として、同じ駆動源(例えばDCモータ101)からの駆動力を互いに異なる被駆動体(例えば給紙ローラ6及びレジストローラ対7)にそれぞれ伝達する複数の駆動伝達経路にそれぞれ対応し、各駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える複数の駆動伝達切替手段(例えば電磁クラッチ118,119)を備え、前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から一部の駆動伝達切替手段を異常判断対象として選択し、選択した異常判断対象によって前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動源の駆動情報(例えば検出回転速度)又は該駆動情報から生成される前記駆動源の制御量情報(例えば積分制御量)を用いて、該異常判断対象についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とするものである。
【0085】
駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段には、経時劣化などによって、伝達状態時に滑り(駆動源からの駆動力が正確に被駆動体に伝達されない状態)などの異常(伝達状態時異常)が発生する。このような伝達状態時異常が発生した場合、駆動源の駆動制御に用いられる当該駆動源の駆動情報やその駆動情報から生成される制御量情報(例えば比例制御量や積分制御量)には、正常時とは異なる変化が現れる。
例えば、PID制御の比例制御量を用いて駆動伝達切替手段の滑り(伝達状態時異常)を判断する具体例で説明する。駆動伝達経路の状態が伝達状態である間、駆動源には、駆動伝達切替手段よりも被駆動体側から伝わる負荷が駆動負荷として常時加わった状態になる。このとき、駆動伝達切替手段に滑りが発生している場合、駆動源には、駆動伝達切替手段よりも被駆動体側の負荷が滑りによって伝わりにくく、駆動量が安定した後の駆動源に加わる駆動負荷は小さいものとなる。その結果、駆動源の駆動量が安定した後の駆動源の駆動情報が示す駆動量と目標駆動量との誤差(残差)が少なく、この駆動情報から生成される積分制御量は小さいものとなる。なお、被駆動体の駆動量については、滑りによって目標駆動量に達しないため、異常なものとなる。
一方で、駆動伝達切替手段が正常である場合には、滑りが発生しないので、駆動源には、駆動伝達切替手段よりも被駆動体側の負荷がダイレクトに伝わり、駆動量が安定した後の駆動源に加わる駆動負荷は、滑りが発生している場合よりも大きいものとなる。その結果、駆動源の駆動量が安定した後の駆動源の駆動情報が示す駆動量と目標駆動量との誤差(残差)は、滑りが発生している場合よりも大きく、この駆動情報から生成される積分制御量も大きいものとなる。
したがって、このような積分制御量の違いによって、駆動伝達切替手段における伝達状態時異常の有無を判断することができる。
【0086】
ここで、同じ駆動源からの駆動力を互いに異なる被駆動体にそれぞれ伝達する複数の駆動伝達経路にそれぞれ対応し、各駆動伝達経路の状態を切り替える複数の駆動伝達切替手段を備える構成においては、以下のような場合に、伝達状態時異常の有無を高精度で判断することが難しい。
前記複数の駆動伝達切替手段により全部の駆動伝達経路を伝達状態にしているとき、駆動源に接続される被駆動体の数が多くなるので、駆動源に接続される被駆動体全体の慣性が大きいものとなる。そのため、駆動伝達切替手段が正常である場合でも、このように被駆動体全体の慣性が大きいことで、駆動源の駆動量が安定した後の駆動源の駆動量は低下しにくく、目標駆動量からズレにくい。そのため、駆動源に接続される被駆動体の数が多いほど、駆動源の駆動量と目標駆動量との誤差(残差)が少なくなり、積分制御量が小さいものとなる。よって、複数の駆動伝達切替手段により全部の駆動伝達経路を伝達状態にして伝達状態時異常の有無を判断しようとすると、駆動伝達切替手段が正常である場合の積分制御量が、滑りの発生している場合の積分制御量に近い値をとるようになり、滑りの有無を高精度で判断することが難しい。
【0087】
なお、ここでは、PID制御の比例制御量を用いて駆動伝達切替手段の滑り(伝達状態時異常)を判断する具体例で説明したが、駆動源の駆動情報や、比例制御量以外の他の制御量情報を用いて判断する場合でも、同様である。すなわち、駆動源の駆動情報や他の制御量情報を用いて判断する場合でも、複数の駆動伝達切替手段により全部の駆動伝達経路を伝達状態にして伝達状態時異常の有無を判断しようとすると、駆動伝達切替手段が正常である場合の駆動情報や他の制御量情報が、滑りの発生している場合に近い値となり、滑りの有無を高精度で判断することが難しい場合がある。
【0088】
本態様においては、複数の駆動伝達切替手段の中から一部の駆動伝達切替手段を異常判断対象として選択し、選択した異常判断対象により駆動伝達経路を伝達状態にしているときの駆動情報又は制御量情報を用いて、当該異常判断対象である一部の駆動伝達切替手段についての滑り(伝達状態時異常)の有無を判断することができる。これにより、複数の駆動伝達切替手段により全部の駆動伝達経路を伝達状態にして滑り(伝達状態時異常)の有無を判断する場合よりも、駆動伝達切替手段が正常である場合と滑り(伝達状態時異常)が発生している場合との間における駆動情報や制御量情報の違いを大きくすることができ、伝達状態時異常の有無を判断しやすくなる。よって、同じ駆動源からの駆動力を互いに異なる被駆動体にそれぞれ伝達する各駆動伝達経路の状態を切り替える複数の駆動伝達切替手段を備える構成においても、伝達状態時異常の有無を高精度で判断することができる。
【0089】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から前記異常判断対象を1つずつ順番に選択することを特徴とするものである。
これによれば、上述した故障診断モード1のように、複数の駆動伝達切替手段の全部についての異常の有無を高精度に判断することができる。
【0090】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記異常判断手段は、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時に発生したエラーの情報(例えば用紙ジャム、マシンエラー)が所定の開始条件を満たしたら、前記複数の駆動伝達切替手段について前記伝達状態時異常の有無の判断を行うことを特徴とするものである。
これによれば、上述した故障診断モード3のように、複数の駆動伝達切替手段についての異常が疑われる状況になった適切なタイミングで、複数の駆動伝達切替手段の全部についての異常の有無を高精度に判断することができる。
【0091】
[第4態様]
第4態様は、第1態様において、前記異常判断対象を選択するための選択情報(例えば作業者の選択指示の操作情報)を取得する取得手段(例えば操作パネル等)を有し、前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段の中から前記取得手段が取得した選択情報が示す異常判断対象を選択することを特徴とするものである。
これによれば、上述した故障診断モード2のように、複数の駆動伝達切替手段のうち異常が疑われる駆動伝達切替手段だけを選択して、異常の有無を高精度に判断することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0092】
[第5態様]
第5態様は、第1態様において、前記異常判断手段は、前記複数の駆動伝達切替手段のそれぞれについて、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時に発生したエラーの情報(例えば用紙ジャム、マシンエラー)が所定の開始条件を満たすか否かを判断し、該所定の開始条件を満たした駆動伝達切替手段について前記伝達状態時異常の有無の判断を行うことを特徴とするものである。
これによれば、上述した故障診断モード4のように、複数の駆動伝達切替手段のうち異常が疑われる駆動伝達切替手段について、自動的に異常の有無を高精度に判断することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0093】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記異常判断手段は、前記伝達状態時異常の有無の判断の際、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時よりも大きい駆動量(例えば高い回転数、速い回転速度)で前記駆動源を駆動させた状態で、前記異常判断対象により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動情報又は前記制御量情報を用いることを特徴とするものである。
これによれば、異常の兆候をより顕著に含む駆動情報又は制御量情報から駆動伝達切替手段の異常の有無を判断できるので、駆動伝達切替手段の異常の有無をより高精度に判断することができる。
【0094】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記駆動制御手段は、前記駆動源の駆動情報(例えば検出回転速度)と制御調整値(例えばモータ制御ゲイン)から生成される制御量情報(例えば積分制御量)に基づいて前記駆動源を制御し、前記異常判断手段は、前記伝達状態時異常の有無の判断の際、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時とは異なる制御調整値を用いて生成される制御量情報に基づいて前記駆動源を駆動させた状態で、前記駆動伝達切替手段により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動情報又は前記制御量情報を用いることを特徴とするものである。
これによれば、異常の兆候をより顕著に含む駆動情報又は制御量情報から駆動伝達切替手段の異常の有無を判断できるので、駆動伝達切替手段の異常の有無をより高精度に判断することができる。
【0095】
[第8態様]
第8態様は、駆動源(例えばDCモータ101)からの駆動力を被駆動体(例えば給紙ローラ6及びレジストローラ対7)に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段(例えば電磁クラッチ118,119)と、前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段(例えば異常判定部140)とを有する駆動装置150であって、前記異常判断手段は、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時よりも大きい駆動量(例えば高い回転数、速い回転速度)で前記駆動源を駆動させた状態で、前記駆動伝達切替手段により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動源の駆動情報(例えば検出回転速度)又は該駆動情報から生成される前記駆動源の制御量情報(例えば積分制御量)を用いて、該駆動伝達切替手段についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とするものである。
本態様によれば、異常の兆候をより顕著に含む駆動情報又は制御量情報から駆動伝達切替手段の異常の有無を判断できるので、駆動伝達切替手段の異常の有無をより高精度に判断することができる。
【0096】
[第9態様]
第9態様は、駆動源(例えばDCモータ101)からの駆動力を被駆動体(例えば給紙ローラ6及びレジストローラ対7)に伝達する駆動伝達経路の状態を伝達状態と非伝達状態とに切り替える駆動伝達切替手段(例えば電磁クラッチ118,119)と、前記駆動源の駆動情報(例えば検出回転速度)から生成される制御量情報(例えば積分制御量)に基づいて前記駆動源を制御する駆動制御手段(例えば制御回路120及びドライバ回路125)と、前記駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の有無を判断する異常判断手段(例えば異常判定部140)とを有する駆動装置150であって、前記異常判断手段は、前記被駆動体を稼働させる通常駆動時とは異なる制御調整値(例えばモータ制御ゲイン)を用いて生成される制御量情報(例えば積分制御量)に基づいて前記駆動源を駆動させた状態で、前記駆動伝達切替手段により前記駆動伝達経路の状態を伝達状態にしているときの前記駆動情報又は前記制御量情報を用いて、該駆動伝達切替手段についての伝達状態時異常の有無を判断することを特徴とするものである。
本態様によれば、異常の兆候をより顕著に含む駆動情報又は制御量情報から駆動伝達切替手段の異常の有無を判断できるので、駆動伝達切替手段の異常の有無をより高精度に判断することができる。
【0097】
[第10態様]
第10態様は、駆動装置によって駆動される被駆動体(例えば給紙ローラ6及びレジストローラ対7)を備えた画像形成装置100であって、前記駆動装置として、第1乃至第9態様のいずれかの駆動装置150を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、駆動伝達切替手段の伝達状態時異常を高精度で判断できる画像形成装置を提供することができる。
【0098】
[第11態様]
第11態様は、第10態様において、前記駆動装置における前記異常判断手段の判断結果を報知する報知手段(例えば操作パネル等)を有することを特徴とするものである。
これによれば、駆動伝達切替手段の伝達状態時異常の判断結果を作業者に知らせることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 :感光体ドラム
2 :現像装置
4 :露光装置
5 :紙収容カセット
6 :給紙ローラ
7 :レジストローラ対
8 :中間転写ベルト
9 :一次転写バイアスローラ
16 :二次転写ローラ
17 :定着ユニット
18 :排紙ローラ対
23 :用紙
30 :本体制御部
31 :メモリ
100 :画像形成装置
101 :DCモータ
102 :出力軸
102a:ギヤ
103 :エンコーダ
111~117:駆動伝達ギヤ
118,119:電磁クラッチ
120 :制御回路
121 :コントローラ
122 :PWM変換部
123 :速度検出部
125 :ドライバ回路
130 :目標速度設定部
140 :異常判定部
150 :駆動装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【文献】特開2019-132875号公報
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