(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】生体用チューブおよび生体測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240516BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B1/00 715
A61B1/00 732
(21)【出願番号】P 2022522226
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2021018508
(87)【国際公開番号】W WO2021230377
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020086095
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和1年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」「マルチスケール・マルチモーダル脳機能マップ作成技術の開発(イメージング)」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】駒田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小山内 実
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170662(WO,A1)
【文献】特表2013-500109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0228375(US,A1)
【文献】特開2012-239669(JP,A)
【文献】特表2005-533533(JP,A)
【文献】池田尚人, 他7名,内視鏡観察機能を有した細径チューブ形状神経電極,第35回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム論文集,2018年10月23日,No.31pm2-PS-154
【文献】池田尚人, 他7名,内視鏡観察機能を有した細径チューブ形状神経電極の作製と電気的特性評価,電気学会研究会資料 マイクロマシン・センサシステム研究会,2018年07月12日,No.MSS-18-007-015.017.019-029,pp.11-14
【文献】池田尚人 他5名,光刺激部および内視鏡観察部周囲に電極を配置したチューブ形状神経電極の開発と電気的評価,生体医工学,2019年,Annual 57巻, Abstract 号,p.S67_2,<DOI:https://doi.org/10.11239/jsmbe.Annual57.S67_2 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe/Annual57/Abstract/Annual57_S67_2/_article/-char/ja/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 1/00-1/32
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に一部が挿入されるチューブであり、
第1端と、第2端と、該第2端から前記第1端に向かう第1方向に亘って位置する貫通孔と、を有するチューブと、
該チューブの外周を前記第1方向に沿って覆う第1フェルールと、を備え、
前記チューブは、
前記貫通孔内のうち、少なくとも前記第1端を含む位置にレンズを有し、
前記チューブおよび前記第1フェルールは、
セラミック製である、生体用チューブ。
【請求項2】
前記第1端は、
前記第1フェルールから突出している、請求項1記載の生体用チューブ。
【請求項3】
前記チューブは、
前記チューブの外径が、前記第1端にかけて狭くなっている、請求項1または請求項2記載の生体用チューブ。
【請求項4】
前記レンズは、
前記第1端から突出している、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の生体用チューブ。
【請求項5】
前記第1フェルールの外周から延び前記生体に繋がる保持部材を備える、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の生体用チューブ。
【請求項6】
前記第1フェルールは、
前記第1フェルールの外周に開口する凹部を有し、
前記保持部材は、
前記凹部に位置する、請求項5記載の生体用チューブ。
【請求項7】
前記保持部材は、
樹脂製である、請求項5または請求項6記載の生体用チューブ。
【請求項8】
前記チューブは、
ジルコニアセラミック製である、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の生体用チューブ。
【請求項9】
前記貫通孔内に位置する前記レンズに繋がるイメージファイバを備える、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の生体用チューブ。
【請求項10】
前記
チューブの外周を固定しているセラミック製の第2フェルールと、
前記第1フェルールおよび前記第2フェルールのそれぞれの外周を固定しているセラミック製のスリーブと、を備える、請求項9記載の生体用チューブ。
【請求項11】
前記スリーブは、
割スリーブである、請求項10記載の生体用チューブ。
【請求項12】
請求項9~請求項11のいずれか1つに記載の生体用チューブと、
前記イメージファイバに接続しているイメージシステムと、を備える、生体測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体用チューブおよび生体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/132756号明細書
【文献】国際公開第2012/017950号明細書
【文献】特表2010-540202号公報
【文献】特許第5224482号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態に係る生体用チューブは、チューブと、第1フェルールと、を備える。チューブは、生体に一部が挿入され、第1端と、第2端と、貫通孔と、レンズと、を有する。貫通孔は、第2端から第1端に向かう第1方向に亘って位置する。第1フェルールは、チューブの外周を第1方向に沿って覆う。レンズは、貫通孔内のうち、少なくとも前記第1端を含む位置に位置する。チューブおよび第1フェルールは、セラミック製である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態に係る生体用チューブのy軸方向からの平面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る生体用チューブのy軸方向からの展開平面図である。
【
図3】
図2に示す生体用チューブにおけるチューブの斜視図である。
【
図4】
図3に示すチューブのx軸方向に沿った断面図である。
【
図5】
図4に示すチューブのVにおける拡大図である。
【
図6】他の実施形態に係る生体用チューブのy軸方向からの平面図である。
【
図7】
図2に示す生体用チューブにおける第1フェルールのy軸方向からの平面図である。
【
図8】
図7に示す第1フェルールのx軸方向に沿った断面図である。
【
図9】
図2に示す生体用チューブにおける第2フェルールのy軸方向からの平面図である。
【
図10】
図8に示す第2フェルールのx軸方向に沿った断面図である。
【
図11】
図2に示す生体用チューブにおけるスリーブの斜視図である。
【
図12】
図11に示すスリーブのx軸方向に沿った断面図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る生体測定装置のy軸方向からの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
生体用チューブおよび生体測定装置は、たとえば、マウスあるいはラットなどの齧(げっ)歯類およびマーモセットなどの小動物の脳から神経活動の情報を一定期間にわたって記録するために用いられる。本開示の生体用チューブおよび生体測定装置の基礎となる構成として、たとえば、小動物の脳にワイヤ電極などの長尺の被挿入物を刺入して固定するものがある。ワイヤ電極の生体への固定は、たとえば、比較的剛性が高いステンレス鋼またはステンレス合金などの線状のワイヤ電極を直接、生体に埋設して固定するか、あるいはねじなどのガイド部材によって固定する手法が採用されている。
【0008】
以下、本開示の実施形態に係る生体用チューブ1および生体測定装置100ついて、図面を参照しながら説明する。本明細書において、便宜的に、直交座標系xyzを用いて説明する場合がある。
【0009】
<生体用チューブ1の構成>
本開示における生体用チューブ1は、生体60である、例えば齧歯類そしてマーモセットなどの実験用小動物そしてサルあるいはチンパンジーなどの実験用霊長類の脳から神経活動などの情報を得るために用いられる。また、臓器などの細胞活動の情報あるいは血管内の血流情報を得るために用いられる。また、人体あるいは動物の治療などの医療用としても用いられる。
【0010】
本開示における生体用チューブ1は、チューブ10と、第1フェルール20と、を備える。また、
図1に示す生体用チューブ1のように、チューブ10と、第1フェルール20と、第2フェルール30と、スリーブ40と、を備えていてもよい。チューブ10は、
図2に示すように生体60に対し、チューブ10の一部が挿入されるとともに、第1端11と、第2端12と、貫通孔13と、レンズ14と、を有する。貫通孔13は、第2端12から第1端11に向かう第1方向に亘って位置する。レンズ14は、貫通孔13内のうち、少なくとも第1端11を含む位置に位置する。第1フェルール20は、チューブ10の外周を第1方向に沿って覆う。なお、本明細書において、第1方向とは、第2端12から第1端11に向かう方向を指す。チューブ10の貫通孔13には、イメージファイバ70が第1方向に挿入される。
【0011】
図1に示す生体用チューブ1のように、チューブ10と、第1フェルール20と、第2フェルール30と、スリーブ40と、を備えていているとき、生体用チューブ1は以下のように生体60に接続される。まず、あらかじめ外周に第1フェルール20が位置するチューブ10を、生体60の、例えば臓器、頭皮、あるいは頭骨などに第1端11を貫通させ、固定する。生体60は、生体60が実験用小動物あるいは実験用霊長類である場合、第1フェルール20およびチューブ10が固定された状態で飼育されてよい。そして、神経活動などの情報を得るための実験時あるいは治療時などに第2フェルール30の貫通孔31に繋がる、言い換えると貫通孔31に位置するイメージファイバ70を、チューブ10の貫通孔13に挿入する。次に、第1フェルール20および第2フェルール30の外周をスリーブ40によって固定する。チューブ10に位置するレンズ14を通った光がイメージファイバ70を通過し、イメージファイバ70と接続されている後述のイメージシステム80で光情報を処理することで、生体60の神経活動などを測定することができる。常に生体60に第1フェルール20およびチューブ10が固定されているため、実験毎に生体60内に被挿入物を何度も抜き差しする必要がなくなるため、生体用チューブ1は、生体60への侵襲が少なくなる。また、生体60の同じ位置での計測が可能になるため、計測結果の信頼性が高い。なお、生体用チューブ1の生体60への固定作業は、術者がピンセットを用いて生体用チューブ1を把持し、臓器、頭皮、あるいは頭骨などの測定対象部位に装着される。
【0012】
図1に示すように、チューブ10における第1端11は、第1フェルール20から突出していてもよい。これによって、生体60に、チューブ10を挿入しやすくなるので、生体用チューブ1は操作性が高い。
【0013】
図6に示すように、チューブ10は、チューブ10の外径が、第1端11にかけて狭くなっていてもよい。これによって、生体60への挿入が容易になることに加え、挿入の際に生体60の損傷が低減される。その結果、生体用チューブ1は生体60への侵襲が少ない。
【0014】
チューブ10は、セラミック製である。これによって、例えばチューブ10が金属性である場合に比較して、生体60が金属アレルギーなどのアレルギーの発症を低減できる。その結果、生体用チューブ1は生体60への侵襲が少ない。また、チューブ10が、セラミック製であることにより、生体60のMRI(magnetic resonance imaging)測定などを容易に実施することができる。
【0015】
チューブ10に用いるセラミックとしては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チッ化アルミ(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、チッ化ケイ素(Si3N4)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、サイアロン(SiAION)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、フェライトおよびムライトなどであってもよい。チューブ10が、ジルコニアセラミック製であるとき、ジルコニアは粒子が細かいため、チューブ10を作製する際の寸法精度を向上させることができる。また、チューブ10がジルコニアセラミック製であるときに、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえばイットリア(Y2O3)などの安定化剤であってもよい。これによって、チューブ10の靭性を向上させることができる。
【0016】
図3に示すように、チューブ10は、例えば円筒形状であってもよい。チューブ10が円筒形状であるとき、第1端11および第2端12は、例えば直径が0.5mm~3.0mmであってもよい。また、z軸方向の大きさが5mm~30mmであってもよい。貫通孔13の直径は0.3mm~2.0mmであってもよい。
【0017】
レンズ14は、チューブ10の貫通孔13に位置しており、チューブ10の貫通孔13の形状と同じであってもよい。つまり、レンズ14は、円柱形状であってもよい。レンズ14が円柱形状であるとき、z軸方向の正側に位置する端部は、例えば直径が0.3mm~2.0mmであってもよい。また、z軸方向の負側に位置する端部は、例えば直径が0.3mm~2.0mmであってもよい。また、z軸方向の大きさが0.3mm~3.0mmであってもよい。
【0018】
レンズ14は、例えばロッドレンズあるいはグリンレンズであってもよい。
【0019】
図4の拡大図である
図5に示すように、レンズ14は、第1端11から突出していてもよい。これによって、レンズ14が生体60の測定部位に接触するため、情報取集精度が向上する。このようなレンズ14を有する生体用チューブ1は、測定精度が高い。
【0020】
実験用小動物の頭部の頭皮および頭骨などを第1端11が貫通するとき、生体用チューブ1が第1フェルール20を有している場合、第1フェルール20がストッパーとして機能する。第1フェルール20がストッパーとして機能することで、生体用チューブ1を生体60に接続する際、生体用チューブ1の固定作業が容易になるとともに、生体用チューブ1を生体60へ必要以上に挿入してしまうことが低減される。その結果、生体用チューブ1は、接続安定性が高く、かつ、生体60への侵襲が少ない。なお、第1フェルール20は、チューブ10の外周を固定しているとともに、チューブ10の貫通孔13と、第1フェルール20の貫通孔22とが同軸となるように配置される。
【0021】
第1フェルール20は、外周に開口する凹部21を有していてもよい。凹部21は、後述する保持部材50が位置していてもよい。また、凹部21の表面は、粗面状であってもよい。粗面状とは、他の箇所よりも表面粗さが大きい状態のことをいう。表面粗さは、接触式であれば触針法、非接触式であれば、光干渉法、焦点移動による画像合成法またはコンフォーカル法等を用いて測定および算出できる。測定方法は、対象物の大きさおよび形状等に応じて適宜選択すればよい。
【0022】
図2に示すように、生体用チューブ1は、第1フェルール20の外周から生体60に亘って延び、生体60に繋がる保持部材50を備えていてもよい。つまり、保持部材50は、生体60と第1フェルール20を固定する。これによって、生体用チューブ1は、生体60に強固に固定することができる。
【0023】
第1フェルール20が凹部21を有しているとき、保持部材50は、凹部21に位置していてもよい。これによって、保持部材50と第1フェルール20の接触面積が増加するため、生体60と第1フェルールの接続強度が向上する。また、凹部21の表面が粗面状であることによって、さらに接続強度が向上する。
【0024】
第1フェルール20は、セラミック製である。これによって、生体60が金属アレルギーなどのアレルギーの発症を低減できる。その結果、生体用チューブ1は生体60への侵襲が少ない。また、第1フェルール20は、セラミック製であることで、生体60のMRI測定などを容易に実施することができる。
【0025】
第1フェルール20に用いるセラミックとしては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チッ化アルミ(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、チッ化ケイ素(Si3N4)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、サイアロン(SiAION)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、フェライトおよびムライトなどであってもよい。第1フェルール20が、ジルコニアセラミック製であるとき、第1フェルール20を作製する際の寸法精度を向上させることができる。また、第1フェルール20がジルコニアセラミック製であるときに、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえばイットリア(Y2O3)などの安定化剤であってもよい。これによって、第1フェルール20の靭性を向上させることができる、
【0026】
第1フェルール20の外周の全面が粗面状であってもよい。これによって、ピンセットによる把持力が高まるため、生体60に接続する際の位置ずれが少ない。その結果、生体用チューブ1は、接続信頼性が高い。
【0027】
図7および
図8に示す第1フェルール20は、例えば円筒形状であってもよい。第1フェルール20が円筒形状であるとき、z軸方向の正側に位置する端部は、例えば直径が1.0mm~5.0mmであってもよい。また、z軸方向の負側に位置する端部は、例えば直径が1.0mm~5.0mmであってもよい。また、z軸方向の大きさが5mm~30mmであってもよい。貫通孔22の直径は0.5mm~3.0mmであってもよい。
【0028】
保持部材50はエポキシなどの樹脂製であってもよい。保持部材50が樹脂製であることで、速乾性を向上させることができるため、生体60への負荷を低減させることができる。その結果、生体用チューブ1は、生体60への侵襲が少ない。
【0029】
生体用チューブ1は、チューブ10の外周を固定している第2フェルール30を有していてもよい。これによって、チューブ10を第1フェルール20に精度よく接続できると同時に、イメージファイバ70が衝撃などによって破損することを低減できる。イメージファイバ70は、チューブ10の貫通孔13に挿入されることで、チューブ10によって固定される。そのとき、第2フェルール30の貫通孔31と、チューブ10の貫通孔13と、第1フェルール20の貫通孔22とが同軸となるように配置される。
【0030】
第2フェルール30は、セラミック製であってもよい。これによって、生体60が金属アレルギーなどのアレルギーの発症を低減できる。これによって、第1フェルール20がセラミック製である場合、第1フェルール20と第2フェルール30とを精度よく接続することができる。また、第2フェルール30が、セラミック製であることにより、生体60のMRI測定などを容易に実施することができる。
【0031】
第2フェルール30に用いるセラミックとしては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チッ化アルミ(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、チッ化ケイ素(Si3N4)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、サイアロン(SiAION)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、フェライトおよびムライトなどであってもよい。第2フェルール30が、ジルコニアセラミック製であるとき、第2フェルール30を作製する際の寸法精度を向上させることができる。また、第2フェルール30がジルコニアセラミック製であるときに、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえばイットリア(Y2O3)などの安定化剤であってもよい。これによって、第2フェルール30の靭性を向上させることができる。
【0032】
第2フェルール30の外周面は全面が粗面状であってもよい。これによって、ピンセットによる把持力が高まるため、生体60に接続する際の位置ずれが少ない。その結果、生体用チューブ1は、接続信頼性が高い。
【0033】
図9および
図10に示す第2フェルール30は、例えば円筒形状であってもよい。第2フェルール30が円筒形状であるとき、z軸方向の正側に位置する端部は、例えば直径が1.0mm~5.0mmであってもよい。また、z軸方向の負側に位置する端部は、例えば直径が1.0mm~5.0mmであってもよい。また、z軸方向の大きさが5mm~30mmであってもよい。貫通孔31の直径は0.5mm~3.0mmであってもよい。
【0034】
生体用チューブ1は、第1フェルール20および第2フェルール30の外周を固定しているスリーブ40を有していてもよい。第1フェルール20および第2フェルール30の外周を固定していることで、スリーブ40の貫通孔41と、チューブ10の貫通孔13と、第1フェルール20の貫通孔22と、第2フェルール30の貫通孔31とが同軸となるように配置される。
【0035】
スリーブ40は、セラミック製であってもよい。これによって、第1フェルール20および第2フェルール30がセラミック製である場合、第1フェルール20および第2フェルール30と精度よく接続することができる。また、スリーブ40が、セラミック製であることにより、生体60のMRI測定などを容易に実施することができる。
【0036】
スリーブ40に用いるセラミックとしては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チッ化アルミ(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、チッ化ケイ素(Si3N4)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、サイアロン(SiAION)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、フェライトおよびムライトなどであってもよい。スリーブ40が、ジルコニアセラミック製であるとき、スリーブ40を作製する際の寸法精度を向上させることができる。また、スリーブ40がジルコニアセラミック製であるときに、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえばイットリア(Y2O3)などの安定化剤であってもよい。これによって、スリーブ40の靭性を向上させることができる。
【0037】
スリーブ40は、割スリーブであってもよい。また、スリーブ40は、精密スリーブであってもよい。スリーブ40が割スリーブの場合、弾性を有するため、第1フェルール20および第2フェルール30を強固に固定することができる。そのようなスリーブ40を有する生体用チューブ1は、接続信頼性が高い。なお、割スリーブとは、
図11に示すように、z軸方向に割れ目を有するスリーブを指す。精密スリーブとは、割スリーブのようなz軸方向の割れ目を有さないスリーブを指す。
【0038】
スリーブ40の外周は全面が粗面状であってもよい。これによって、ピンセットによる把持力が高まるため、生体60に接続する際の位置ずれが少ない。その結果、生体用チューブ1は、接続信頼性が高い。
【0039】
図11および
図12に示すスリーブ40は、例えば円筒形状であってもよい。スリーブ40が円筒形状であるとき、z軸方向の正側に位置する端部は、例えば直径が1.5mm~8.0mmであってもよい。また、z軸方向の負側に位置する端部は、例えば直径が1.5mm~8.0mmであってもよい。また、z軸方向の大きさが5mm~30mmであってもよい。貫通孔41の直径は1.0mm~5.0mmであってもよい。
【0040】
生体用チューブ1の各構成における寸法は、上述したものに限るものではなく、計測対象の種類、測定対象部位などに応じて適切な寸法を採用し得る。
【0041】
イメージファイバ70は、例えば石英ガラスの光ファイバであってもよい。
【0042】
イメージファイバ70は、チューブ10の貫通孔13に挿入されるとき、イメージファイバ70の端面がレンズ14と繋がっていてもよい。
【0043】
<生体測定装置100の構成>
図13に示す生体測定装置100は、上述してきた生体用チューブ1と、イメージファイバ70に接続しているイメージシステム80と、を備える。
【0044】
イメージシステム80は、例えば内視鏡システムであってもよい。
【0045】
<生体用チューブ1の製造方法>
生体用チューブ1を構成するチューブ10および第1フェルール20は、たとえば以下の各工程により作製することができる。まず、ジルコニアなどのセラミック原料の粉末を熱可塑性バインダとともに混練して混合材料を作製する。次に、この混合材料を、所定形状の金型を用いて加圧成形し、生成形体を作製する。その後、この生成形体を約1300~1600℃の温度で焼成する。以上の工程で、ジルコニアを含むセラミック製のチューブ10および第1フェルール20を作製することができる。また、第2フェルール30およびスリーブ40についても、上述したチューブ10および第1フェルール20の作製方法で作製することができる。
【0046】
図7に示すように、第1フェルール20が凹部21を有する場合、凹部21は、第1フェルール20の作製時に使用する金型を、凹部21を形成するように突起を有するものとしておくことで形成できる。また、チューブ10の先端が第1端11にかけて狭くなるようチューブ10を作製する場合も、チューブ10の作成時に使用する金型の形状を、先端にかけて狭くなるように加工したものを用いることで作製できる。
【0047】
第1フェルール20の凹部21、第1フェルール20、第2フェルール30そしてスリーブ40の外周が粗面状である場合、研磨剤を吹付けるブラスト法を用いて粗面状としてもよい。また、粗面状としたい部分をエッチング液で浸漬し、化学的に侵食して粗面状に形成しもよい。また、第1フェルール20、第2フェルール30そしてスリーブ40になる生成形体の外周に対応した部分に、表面が粗い樹脂材などの部材を押し当てる粗面化処理を施した後に、焼成し、粗面状を形成してもよい。
【0048】
本開示は次の実施の形態が可能である。
【0049】
本開示の一実施形態に係る生体用チューブは、チューブと、第1フェルールと、を備える。チューブは、生体に一部が挿入され、第1端と、第2端と、貫通孔と、レンズと、を有する。貫通孔は、第2端から第1端に向かう第1方向に亘って位置する。第1フェルールは、チューブの外周を第1方向に沿って覆う。レンズは、貫通孔内のうち、少なくとも前記第1端を含む位置に位置する。チューブおよび第1フェルールは、セラミック製である。
【0050】
本開示の一実施形態に係る生体用チューブは、生体への踏襲が少ない。
【0051】
なお、本開示は上述の実施形態の例に限定されるものではない。また、各構成は、数値などの種々の変形が可能である。なお、本開示の一実施形態の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものでない。
【符号の説明】
【0052】
1:生体用チューブ
10:チューブ
11:第1端
12:第2端
13:貫通孔
14:レンズ
20:第1フェルール
21:凹部
22:貫通孔
30:第2フェルール
31:貫通孔
40:スリーブ
50:保持部材
60:生体
70:イメージファイバ
80:イメージシステム
100:生体測定装置