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特許7489251着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20240516BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20240516BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20240516BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240516BHJP
   C09B 25/00 20060101ALI20240516BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F265/06
C08G59/42
G03F7/004 505
G03F7/004 502
G03F7/004 501
G03F7/027
G02B5/20 101
C09B25/00 B
C09B25/00 D
C09B67/20 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020122442
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018965
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森脇 章太
(72)【発明者】
【氏名】栂井 学
(72)【発明者】
【氏名】土谷 崇夫
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086222(JP,A)
【文献】特開2013-101166(JP,A)
【文献】特開2011-141356(JP,A)
【文献】特開2018-203794(JP,A)
【文献】特開2006-126315(JP,A)
【文献】特開2014-035351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/44
C08F 265/06
C08G 59/42
G03F 7/004
G03F 7/027
G02B 5/20
C09B 25/00
C09B 67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物、重合開始剤及び酸化防止剤(ただし、酸化防止剤に一重項酸素クエンチャーは含まない)を含有し、前記着色剤が式(I)で表される化合物を含む着色硬化性樹脂組成物。
【化1】
[式中、
1~R5は、水素原子を表す。
1及びQ2は、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の複素環基を表し、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z 1 )(Z 2 )(Z 3 )(Z 4 )を表す。
MMは、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z 1 )(Z 2 )(Z 3 )(Z 4 )を表す。
1 ~Z 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH 2 -は、-O-、-S-、-S(O) 2 -又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO 3 M、-CO 2 M又はMMに置き換わっていてもよい。
1 ~Z 4 、M及びMMがそれぞれ複数存在する場合、それらは互いに同一又は異なっていてよい。
【請求項2】
前記酸化防止剤が、フェノール骨格を1個又は2個有するフェノール系酸化防止剤である請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに一重項酸素クエンチャーを含む請求項1又は2に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記一重項酸素クエンチャーが遷移金属錯体である請求項3に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記一重項酸素クエンチャーがニッケル錯体、銅錯体及びコバルト錯体から選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属錯体である請求項4に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記式(I)におけるQ1及びQ2が、それぞれ独立して、式(QQ1)又は式(QQ2)で表される基である請求項1~5のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化2】
[式中、
Q1~RQ10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M、MM、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
Q1~RQ4は、それぞれ互いにRQ1~RQ4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよく、
Q5~RQ10は、それぞれ互いにRQ5~RQ10から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
M及びMMは、前記と同一の意味を表す。
※は、結合手を表す。]
【請求項7】
前記式(I)におけるQ1及びQ2の少なくとも一方が、式(QQ1)で表される基である請求項6に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記式(I)におけるQ1又はQ2が、少なくとも1つの-CO2Hを有する請求項1~7のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
着色樹脂組成物は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置に使用されるカラーフィルタの製造に用いられる。着色樹脂組成物としては、下記式(x)で表されるキノフタロン化合物を含む組成物が知られている(特許文献1)。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-167112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来から知られる上記のキノフタロン化合物を含む着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、耐光性が十分に満足できない場合があった。そこで本発明は、耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 着色剤、樹脂、重合性化合物、重合開始剤及び酸化防止剤を含有し、前記着色剤が式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含む着色硬化性樹脂組成物。
【化2】

[式中、
1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M、MM、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR6、及びR6及びR5は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z1)(Z2)(Z3)(Z4)を表す。
MMは、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z1)(Z2)(Z3)(Z4)を表す。
1~Z4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1及びQ2は、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の複素環基を表し、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1~Z4、M及びMMがそれぞれ複数存在する場合、それらは互いに同一又は異なっていてよい。]
[2] 前記酸化防止剤が、フェノール骨格を1個又は2個有するフェノール系酸化防止剤である[1]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[3] さらに一重項酸素クエンチャーを含む[1]又は[2]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[4] 前記一重項酸素クエンチャーが遷移金属錯体である[3]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[5] 前記一重項酸素クエンチャーがニッケル錯体、銅錯体及びコバルト錯体から選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属錯体である[4]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[6] 前記式(I)又は式(II)におけるQ1及びQ2が、それぞれ独立して、式(QQ1)又は式(QQ2)で表される基である[1]~[5]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化3】

[式中、
Q1~RQ10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M、MM、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、
-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
Q1~RQ4は、それぞれ互いにRQ1~RQ4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよく、
Q5~RQ10は、それぞれ互いにRQ5~RQ10から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
M及びMMは、前記と同一の意味を表す。
※は、結合手を表す。]
[7] 前記式(I)又は式(II)におけるQ1及びQ2の少なくとも一方が、式(QQ1)で表される基である[6]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[8] 前記着色剤が式(I)で表される化合物を含む[1]~[7]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
[9] 前記式(I)におけるQ1又はQ2が、少なくとも1つの-CO2Hを有する[8]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[11] [10]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐光性に優れたカラーフィルタの形成に用いることができる着色硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)という場合がある)、樹脂(以下、樹脂(B)という場合がある)、重合性化合物(以下、重合性化合物(C)という場合がある)、重合開始剤(以下、重合開始剤(D)という場合がある)及び酸化防止剤(以下、酸化防止剤(G)という場合がある)を含む。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに一重項酸素クエンチャー(以下、一重項酸素クエンチャー(H)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(以下、重合開始助剤(D1)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらにレベリング剤(以下、レベリング剤(F)という場合がある)を含んでいてもよい。
なお本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。
【0009】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という場合がある)及び式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)という場合がある)から選択される少なくとも1種を含む。
【0010】
<<化合物(I)、化合物(II)>>
【化4】

[式中、
1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M、MM、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4及びR6、及びR6及びR5は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z1)(Z2)(Z3)(Z4)を表す。
MMは、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよい金属原子又はN(Z1)(Z2)(Z3)(Z4)を表す。
1~Z4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1及びQ2は、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の複素環基を表し、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
1~Z4、M及びMMがそれぞれ複数存在する場合、それらは互いに同一又は異なっていてよい。]
【0011】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。
【0012】
1~R6及びZ1~Z4で表される1価の炭化水素基の炭素数は、1~40であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは1~18であり、よりさらに好ましくは1~12である。
1~R6及びZ1~Z4で表される炭素数1~40の1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基であってもよく、該脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は環状(脂環式炭化水素基)であってもよい。
【0013】
1~R6及びZ1~Z4で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、2-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、及び2-エチルヘキシル基等の分枝鎖状アルキル基;
エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(例えば、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基))、1-メチルエテニル基、ブテニル基(例えば、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基)、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-(2-プロペニル)エテニル基、1-(1-メチルエテニル)エテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、ペンテニル基(例えば、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基)、及びヘキセニル基(例えば、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基)等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基(例えば、1-プロピニル基、2-プロピニル基)、オクチニル基(例えば、1-オクチニル基、7-オクチニル基)、ブチニル基、ペンチニル基、及びヘキシニル基等のアルキニル基;等が挙げられる。
【0014】
飽和又は不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは1~18であり、よりさらに好ましくは1~12である。中でも、炭素数1~12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
【0015】
1~R6及びZ1~Z4で表される飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;
シクロヘキセニル基(例えば、シクロヘキサ-1-エン-1-イル基、シクロヘキサ-2-エン-1-イル基、シクロヘキサ-3-エン-1-イル基)、シクロヘプテニル基及びシクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、ノルボルネニル基、アダマンチル基及びビシクロ[2.2.2]オクチル基等の飽和又は不飽和多環式炭化水素基;等が挙げられる。
【0016】
飽和又は不飽和脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~30であり、より好ましくは3~20であり、さらに好ましくは3~18であり、よりさらに好ましくは3~12である。中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基であることが特に好ましい。
【0017】
1~R6及びZ1~Z4で表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、o-プロピルフェニル基、m-プロピルフェニル基、p-プロピルフェニル基、2,4-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、4-ビニルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントリル基、ペリレン基及びピレニル基等が挙げられる。
【0018】
芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~20であり、さらに好ましくは6~18であり、よりさらに好ましくは6~12である。
【0019】
1~R6及びZ1~Z4で表される炭化水素基は、上記に挙げた炭化水素基を組合せた基であってもよい。上記に挙げた炭化水素基を組合せた基としては、例えば、芳香族炭化水素基、鎖状炭化水素基、及び脂環式炭化水素基から選ばれる少なくとも1つと、芳香族炭化水素基とを組み合わせた基;鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基を組合せた基;等が挙げられる。
【0020】
芳香族炭化水素基、鎖状炭化水素基、及び脂環式炭化水素基から選ばれる少なくとも1つと、芳香族炭化水素基とを組み合わせた基としては、例えば、ベンジル基、(4-メチルフェニル)メチル基、及びフェネチル基等のアラルキル基;1-フェニルエテニル基、2-フェニルエテニル基(フェニルビニル基)、2,2-ジフェニルエテニル基、2-フェニル-2-(1-ナフチル)エテニル基等のアリールアルケニル基;フェニルエチニル基等のアリールアルキニル基;(フェニルエチニル)フェニル基等のアリールアルキニル基が結合したアリール(好ましくはフェニル)基;ビフェニリル基、ターフェニリル基等の1つ以上のフェニル基が結合したフェニル基;シクロヘキシルメチルフェニル基、ベンジルフェニル基、(ジメチル(フェニル)メチル)フェニル基等が挙げられる。これらの炭素数は、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~20であり、さらに好ましくは7~18であり、よりさらに好ましくは7~15である。
【0021】
また、鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基を組合せた基としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、(2-メチルシクロヘキシル)メチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基等の1つ以上の脂環式炭化水素基が結合したアルキル基であってもよい。これらの炭素数は、好ましくは4~30であり、より好ましくは4~20であり、さらに好ましくは4~18であり、とりわけ好ましくは4~12である。
【0022】
1~R6及びZ1~Z4で表される炭素数1~40の1価の複素環基は、環の構成要素としてヘテロ原子を含む基を表す。なお、1価の複素環基とは、複素環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を意味する。炭素数1~40の1価の複素環基としては、単環であってもよいし多環であってもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等が挙げられる。
【0023】
複素環基の炭素数は、好ましくは3~30であり、より好ましくは3~20であり、さらに好ましくは3~18であり、よりさらに好ましくは3~12である。
【0024】
窒素原子を含む複素環としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン及びピペラジン等の単環系飽和複素環;ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール及び1,2,4-トリアゾール等の5員環系不飽和複素環;ピリジン、ピリダジン、ピリジミン、ピラジン及び1,3,5-トリアジン等の6員環系不飽和複素環;インダゾール、インドリン、イソインドリン、インドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、3-メチルキノキサリン等のキノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、ベンゾピラゾール、ベンゾピペリジン等の縮合二環系複素環;カルバゾール、アクリジン及びフェナジン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0025】
酸素原子を含む複素環としては、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の単環系飽和複素環;1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン、1,4-ジオキサスピロ[4.5]ノナン、1,4-ジオキサスピロ[4.4]ノナン等の二環系飽和複素環;α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びδ-バレロラクトン等のラクトン系複素環;フラン、2,3-ジメチルフラン、2,5-ジメチルフラン等のフラン等の5員環系不飽和複素環;2H-ピラン、4H-ピラン等の6員環系不飽和複素環;ベンゾフラン、ベンゾピラン、ベンゾジオキソール、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾジオキサン、クロマン及びイソクロマン等の縮合二環系複素環;キサンテン、ジベンゾフラン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0026】
硫黄原子を含む複素環としては、ジチオラン等の5員環系飽和複素環;チアン、1,3-ジチアン、2-メチル-1,3-ジチアン等の6員環系飽和複素環;チオフェン、チオピラン、ベンゾチオピラン等の5員環系不飽和複素環及び6員環系不飽和複素環;ベンゾチオピラン、ベンゾチオフェン等の縮合二環系複素環等;チアントレン、ジベンゾチオフェン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0027】
窒素原子及び酸素原子を含む複素環としては、モルホリン、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、2-メチル-2-ピロリドン、2-ピペリドン、1-メチル-2-ピペリドン及び2-メチル-2-ピペリドン等の単環系飽和複素環;オキサゾール、イソオキサゾール等の単環系不飽和複素環;ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾジオキサン、ベンゾイミダゾリン等の縮合二環系複素環;フェノキサジン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0028】
窒素原子及び硫黄原子を含む複素環としては、チアゾール等の単環系複素環;ベンゾチアゾール等の縮合二環系複素環;フェノチアジン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0029】
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。このような基としては、
【0030】
-SiH3
-Si(CH3)3、-Si(CH2CH3)3、-Si(CH3)2(CH2CH3)等の1~3つの炭化水素基を有するシリル基;
-Si(OH)3、-Si(OCH3)3、-Si(OCH2CH3)3、-Si(O(CH2)2CH3)3、-SiH2(OH)、-Si(CH32(OCH3)等のヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基から選択される少なくとも1種を1~3つ有するシリル基;
アミノ基;
N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N,N-ジsec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N,N
-ジtert-ブチルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基、N,N-プロピルメチルアミノ基、N,N-イソプロピルメチルアミノ基、N,N-ブチルメチルアミノ基、N,N-tert-ブチルメチルアミノ基及びN,N-フェニルメチルアミノ基等の1つ又は2つの炭化水素基を有するアミノ基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、(2-エチル)ヘキシルオキシ基、フェニルオキシ基、m-トリルオキシ基、及び3,4-キシリルオキシ基等の炭化水素基が結合したオキシ基(アルコキシ基及びアリールオキシ基);
オキシラニル基;
ホルミル基;
アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、tert-ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、(2-エチル)ヘキサノイル基、ベンゾイル基等のアルカノイル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、(2-エチル)ヘキシルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、o-トリルオキシカルボニル基等の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;
メルカプト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、(2-エチルヘキシル)チオ基、フェニルチオ基、o-トリルチオ基等の炭化水素基が結合したメルカプト基;
スルファモイル基;
N-メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N,N-ジプロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N,N-ジイソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N,N-ジイソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N,N-ジsec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N,N-ジtert-ブチルスルファモイル基、N-フェニルスルファモイル基、N,N-ジフェニルスルファモイル基、N,N-エチルメチルスルファモイル基、N,N-プロピルメチルスルファモイル基、N,N-イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N-ブチルメチルスルファモイル基、N,N-tert-ブチルメチルスルファモイル基及びN,N-フェニルメチルスルファモイル基等の1つ又は2つの炭化水素基を有するスルファモイル基;
N-ホルミルアミノ基;
N-アセチルアミノ基、N-プロパノイルアミノ基、N-ブタノイルアミノ基、N-2,2-ジメチルプロパノイルアミノ基、N-ペンタノイルアミノ基、N-ヘキサノイルアミノ基、N-(2-エチル)ヘキサノイルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基等のN-アルカノイルアミノ基;
ヒドロキシ基;
ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、(2-エチル)ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアルカノイルオキシ基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、(2-エチル)ヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基及びp-トリルスルホニル基等の炭化水素基が置換したスルホニル基;
カルバモイル基;
N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N,N-ジプロピルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N,N-ジイソプロピルカルバモイル基、N-ブチルカルバモイル基、N,N-ジブチルカルバモイル基、N-イソブチルカルバモイル基、N,N-ジイソブチルカルバモイル基、N-sec-ブチルカルバモイル基、N,N-ジsec-ブチルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルバモイル基、N,N-ジtert-ブチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N,N-ジフェニルカルバモイル基、N,N-エチルメチルカルバモイル基、N,N-プロピルメチルカルバモイル基、N,N-イソプロピルメチルカルバモイル基、N,N-ブチルメチルカルバモイル基、N,N-tert-ブチルメチルカルバモイル基及びN,N-フェニルメチルカルバモイル基等の1つ又は2つの炭化水素基を有するカルバモイル基;等が挙げられる。
【0031】
また、該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
【0032】
M及びMMで表されるアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子等のアルカリ金属原子が挙げられる。
【0033】
M及びMMで表される配位子を有していてもよい金属原子の金属原子としては、元素の周期律表の2族~15族に属する金属原子が挙げられる。当該金属原子としては、より好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd、Ni、Zn、Cu、Hg、Fe、Co、Sn、Pb、Mn、Al、Cr、Rh、Ir、Pd、Ti、Zr、Hf、Si、Geであり、さらに好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cu、Fe、Co、Sn、Mn、Al、Crであり、とりわけ好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cu、Fe、Co、Mn、Al、Crである。
【0034】
配位子を有していてもよい金属原子の配位子としては、特に制限されず、例えば、ハロゲン原子、NO、NO3、SO4、CH3CO2、OH等であってもよく、
該金属原子に配位している配位子と、同一の配位子に含まれる炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子等が、同一の金属原子に配位していてもよく、
該金属原子に、複数の異なる配位子が、同一の金属原子へ配位していてもよく、
オリゴマー又はポリマーを形成していてもよい。
該配位子には、化合物(I)又は化合物(II)が配位子を有していてもよい金属原子を含む場合、配位子を有していてもよい金属原子を除いた化合物(I)又は化合物(II)も含有される。
化合物(I)及び化合物(II)には、このようなオリゴマー又はポリマーも含有される。
ただし、化合物(I)及び化合物(II)の電荷は0である。
【0035】
1~Z4は同一であってもよく異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
1~Z4としては、
それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~40の1価の炭化水素基であることが好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、或いは直鎖状アルキル基又は分枝鎖状アルキル基(以下、単に「アルキル基」という場合がある)であることがより好ましく、
それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~12のアルキル基であることがさらに好ましく、
水素原子であることが特に好ましい。
【0036】
M及びMMで表されるN(Z1)(Z2)(Z3)(Z4)としては、例えば、NH4;NH3(CH2CH3)、NH3((CH27CH3)等のZ1~Z4のうち3つが水素原子であり、1つがアルキル基である基;NH2(CH32、NH2(CH2CH32等のZ1~Z4のうち2つが水素原子であり、2つがアルキル基である基;NH(CH33、NH(CH2CH33等のZ1~Z4のうち1つが水素原子であり、3つがアルキル基である基;N(CH34、N(CH2CH34等のZ1~Z4の全てがアルキル基である基;等が挙げられ、中でもNH4が好ましい。
【0037】
Mとしては、水素原子、アルカリ金属原子が好ましく、より好ましくは、水素原子、ナトリウム原子又はカリウム原子である。
【0038】
MMとしては、アルカリ金属原子、配位子を有していてもよいMg、配位子を有していてもよいCa、配位子を有していてもよいSr、配位子を有していてもよいBa、配位子を有していてもよいNi、配位子を有していてもよいZn、配位子を有していてもよいCu、配位子を有していてもよいFe、配位子を有していてもよいCo、配位子を有していてもよいSn、配位子を有していてもよいMn、配位子を有していてもよいAl、又は配位子を有していてもよいCrが好ましい。
【0039】
1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R4.及びR6、及びR6及びR5は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
【0040】
1~R6としては、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の1価の炭化水素基であることが好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基であることがより好ましく、
水素原子であることが特に好ましい。
【0041】
1及びQ2は、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の複素環基を表す。なお、2価の炭化水素基とは、上記1価の炭化水素基を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基等が挙げられ、その好ましい態様は上記で説明した炭素数1~40の1価の炭化水素基の好ましい態様から水素原子1個を除いた基であり、2価の複素環基とは、上記1価の複素環基を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基等が挙げられ、その好ましい態様は、上記で説明した炭素数1~40の1価の複素環基の好ましい態様から水素原子1個を除いた基である。
【0042】
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
【0043】
該2価の炭化水素基及び該2価の複素環基を構成する水素原子を置き換える基としては、好ましくはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3H、又は-CO2Mであり、より好ましくはハロゲン原子、ニトロ基、-CO2Mであり、さらに好ましくはニトロ基、-CO2Mであり、よりさらに好ましくはニトロ基、-CO2Hであり、特に好ましくは-CO2Hである。
【0044】
化合物(I)におけるQ1又はQ2は、少なくとも1つの水素原子が-CO2Mに置き換えられることにより、少なくとも1つの-CO2Mを有していることが好ましく、少なくとも1つの水素原子が-CO2Hに置き換えられることにより、少なくとも1つの-CO2Hを有していることがより好ましい。
【0045】
1及びQ2は、同一であってもよく異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
【0046】
1及びQ2は、それぞれ独立して、式(QQ1)~式(QQ19)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
[式中、
Q1~RQ94は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M、MM、炭素数1~40の1価の炭化水素基又は炭素数1~40の1価の複素環基を表し、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-C(-)(-)-は、-Si(-)(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH(-)-は、-N(-)-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する-CH2-は、-O-、-S-、
-S(O)2-又は-CO-に置き換わっていてもよく、
該1価の炭化水素基及び該1価の複素環基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SO3M、-CO2M又はMMに置き換わっていてもよい。
Q1~RQ94は、それぞれ互いにRQ1~RQ94から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
M及びMMは、前記と同一の意味を表す。
※は、結合手を表す。]
【0050】
ハロゲン原子としては、上記で説明したハロゲン原子と同様の原子が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0051】
Q1~RQ94で表される炭素数1~40の1価の炭化水素基及び炭素数1~40の1価の複素環基としては、上記で説明した炭素数1~40の1価の炭化水素基及び炭素数1~40の1価の複素環基と同様の基が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0052】
M及びMMは、前記と同一の意味を表し、好ましい態様も同様である。
【0053】
化合物(I)におけるRQ1~RQ94としては、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、炭素数1~40の1価の炭化水素基であることが好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数1~40のアルキル基、炭素数8~40のアリールアルキニル基であることがより好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数8~18のアリールアルキニル基であることがさらに好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数8~12のアリールアルキニル基であることがよりさらに好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、フェニルエチニル基であることがとりわけ好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2Mであることがいっそう好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2Hであることが特に好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、-CO2Hであることが最も好ましい。
【0054】
化合物(II)におけるRQ1~RQ94としては、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、炭素数1~40の1価の炭化水素基であることが好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数1~40のアルキル基、炭素数8~40のアリールアルキニル基であることがより好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数8~18のアリールアルキニル基であることがさらに好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2M、炭素数8~12のアリールアルキニル基であることがよりさらに好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、-CO2H、フェニルエチニル基であることがとりわけ好ましく、
それぞれ独立して、水素原子、フェニルエチニル基であることがいっそう好ましい。
【0055】
1及びQ2としては、
それぞれ独立して、式(QQ1)~式(QQ12)で表される基であることがより好ましく、
それぞれ独立して、式(QQ1)~式(QQ5)で表される基であることがさらに好ましく、
それぞれ独立して、式(QQ1)又は式(QQ2)で表される基であることがよりさらに好ましい。
またQ1及びQ2としては、Q1及びQ2の少なくとも一方が式(QQ1)で表される基であることが好ましく、Q2が式(QQ1)で表される基であることがより好ましく、Q1及びQ2がいずれも式(QQ1)で表される基であることがさらに好ましい。
【0056】
化合物(I)における式(QQ1)で表される基としては、
Q1~RQ4のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、又は炭素数1~40の1価の炭化水素基であり、残り全てが水素原子である基が好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~40のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がより好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~18のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がさらに好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~12のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がよりさらに好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又はフェニルエチニル基であり、残り全てが水素原子である基がとりわけ好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、又は-CO2Mであり、残り全てが水素原子である基がいっそう好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、又は-CO2Hであり、残り全てが水素原子である基が特に好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つが-CO2Hであり、残り全てが水素原子である基が最も好ましい。
【0057】
化合物(II)における式(QQ1)で表される基としては、
Q1~RQ4のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、又は炭素数1~40の1価の炭化水素基であり、残り全てが水素原子である基が好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~40のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がより好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~18のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がさらに好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2M、又は炭素数8~12のアリールアルキニル基であり、残り全てが水素原子である基がよりさらに好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがニトロ基、-CO2H、又はフェニルエチニル基であり、残り全てが水素原子である基がとりわけ好ましく、
Q1~RQ4のいずれか1つがフェニルエチニル基、残り全てが水素原子である基がいっそう好ましい。
【0058】
式(QQ2)で表される基としては、
Q5~RQ10が全て水素原子である基;RQ5~RQ10のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は-CO2Mであり、残り全てが水素原子である基;が好ましく、
Q5~RQ10が全て水素原子である基が特に好ましい。
【0059】
式(QQ3)で表される基としては、
Q11~RQ16が全て水素原子である基;RQ11~RQ16のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は-CO2Mであり、残り全てが水素原子である基;が好ましく、
Q11~RQ16が全て水素原子である基が特に好ましい。
【0060】
式(QQ4)で表される基としては、
Q17~RQ24が全て水素原子である基;RQ17~RQ24のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は-CO2Mであり、残り全てが水素原子である基;が好ましく、
Q17~RQ24が全て水素原子である基が特に好ましい。
【0061】
式(QQ5)で表される基としては、
Q25~RQ30が全て水素原子である基;RQ25~RQ30のいずれか1つがハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は-CO2Mであり、残り全てが水素原子である基;が好ましく、
Q25~RQ30が全て水素原子である基が特に好ましい。
【0062】
化合物(I)又は化合物(II)としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、及びアリールアルキニル基から選ばれる少なくとも1種、好ましくはニトロ基、-CO2M、及び炭素数8~12のアリールアルキニル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物(以下、修飾型化合物(I)又は修飾型化合物(II)という場合がある)が好ましい。修飾型化合物(I)又は修飾型化合物(II)を着色剤(A)として含有する着色硬化性樹脂組成物によれば、得られるカラーフィルタの耐光性をさらに向上させることができる。
【0063】
前記ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2M、及びアリールアルキニル基は、R1~R6及びRQ1~RQ94のいずれかとして修飾型化合物(I)、(II)に導入可能であり、RQ1~RQ94のいずれかとして修飾型化合物(I)、(II)に導入されることが好ましい。
【0064】
化合物(I)としては、例えば、下記表1~表2に示す式(Ia)で表される化合物(Ia1)~化合物(Ia144)が挙げられる。
【0065】
【化7】
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
化合物(II)としては、例えば、下記表3~表4に示す式(IIa)で表される化合物(IIa1)~化合物(IIa144)が挙げられる。
【0069】
【化8】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表1~4中、Qa1~Qa12は、それぞれ、下記式(Qa1)~式(Qa12)で表される基を意味する。
【0073】
【化9】

[式中、※は結合手を表す。]
【0074】
化合物(I)としては、
化合物(Ia1)~化合物(Ia12)、化合物(Ia90)~化合物(Ia100)、化合物(Ia123)~化合物(Ia144)が好ましく、
化合物(Ia1)~化合物(Ia12)、化合物(Ia91)~化合物(Ia94)、化合物(Ia96)、化合物(Ia98)~化合物(Ia100)、化合物(Ia124)~化合物(Ia127)、化合物(Ia129)、化合物(Ia130)、化合物(Ia132)、化合物(Ia133)がより好ましく、
化合物(Ia7)、化合物(Ia8)、化合物(Ia10)、化合物(Ia11)、化合物(Ia12)、化合物(Ia91)、化合物(Ia99)、化合物(Ia124)、化合物(Ia130)がさらに好ましく、
化合物(Ia7)、化合物(Ia11)、化合物(Ia124)がよりさらに好ましく、
化合物(Ia11)がとりわけ好ましい。
【0075】
化合物(II)としては、
化合物(IIa1)~化合物(IIa12)、化合物(IIa90)~化合物(IIa100)、化合物(IIa123)~化合物(IIa133)が好ましく、
化合物(IIa1)~化合物(IIa12)、化合物(IIa91)~化合物(IIa94)、化合物(IIa96)、化合物(IIa98)~化合物(IIa100)、化合物(IIa124)~化合物(IIa127)、化合物(IIa129)、化合物(IIa130)、化合物(IIa132)、化合物(IIa133)、化合物(IIa135)~化合物(IIa138)、化合物(IIa140)、化合物(IIa141)、化合物(IIa143)、化合物(IIa144)がより好ましく、
化合物(IIa7)、化合物(IIa8)、化合物(IIa10)、化合物(IIa11)、化合物(IIa12)、化合物(IIa91)、化合物(IIa99)、化合物(IIa124)、化合物(IIa130)、化合物(IIa99)、化合物(IIa124)、化合物(IIa130)、化合物(IIa135)、化合物(IIa141)、化合物(IIa144)がさらに好ましく、
化合物(IIa12)がよりさらに好ましい。
【0076】
化合物(I)の製造方法は特に限定されないが、例えば、式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物及び式(pt3)で表される化合物との反応により製造することができる。以下、この製造方法を製造方法1という場合がある。
【0077】
【化10】

[式中、R1~R5、Q1及びQ2は、前記と同一の意味を表す。]
【0078】
製造方法1の反応における、式(pt2)で表される化合物の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1~30モルであり、好ましくは1~20モルであり、より好ましくは1~16モルであり、さらに好ましくは1~10モルである。
【0079】
製造方法1の反応における、式(pt3)で表される化合物の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1~30モルであり、好ましくは1~20モルであり、より好ましくは1~16モルであり、さらに好ましくは1~10モルである。
【0080】
反応温度は、通常-100~300℃であり、好ましくは0~280℃であり、より好ましくは50~250℃であり、さらに好ましくは100~230℃であり、よりさらに好ましくは150~200℃である。
【0081】
反応時間は、通常0.5時間~500時間である。
【0082】
製造方法1の反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。
【0083】
溶媒としては、水;アセトニトリル等のニトリル溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、フェノール等のアルコール溶媒;アミン溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸エチル、安息香酸メチル等のエステル溶媒;ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、トリメチルベンゼン(例えば、1,3,5-トリメチルベンゼン)、デカリン、テトラリン等の芳香族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン(例えば、1,3,5-トリクロロベンゼン)、1-クロロナフタレン、2-クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ化炭化水素溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒が挙げられ、中でも安息香酸メチルが好ましい。
【0084】
溶媒の使用量は、式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物及び式(pt3)で表される化合物との反応における、式(pt1)で表される化合物1質量部に対して、通常1~1000質量部である。
【0085】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物及び式(pt3)で表される化合物との反応では、酸が共存することが好ましい。
【0086】
酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、フルオロスルホン酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸等のスルホン酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、安息香酸及び酒石酸等のカルボン酸;等が挙げられ、好ましくは塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びカルボン酸が挙げられ、より好ましくはカルボン酸が挙げられ、さらに好ましくは安息香酸が挙げられる。
【0087】
製造方法1の反応における酸の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常1~90モルであり、好ましくは1~70モルであり、より好ましくは1~50モルであり、さらに好ましくは1~30モルである。
【0088】
なお、化合物(I)が構造中にカルボン酸及び/又はエステルを有する場合に、当該化合物(I)の製造工程に溶媒等としてアルコール、エーテル、又はエステル等が存在する際には、当該化合物(I)が有するカルボン酸及び/又はエステルが、エステル化及び/又はエステル交換された化合物が目的の化合物(I)とともに混合物として製造されてもよい。例えば、下記化合物(Ia11)を製造する工程に、溶媒として安息香酸メチルを用いる場合には、式(Ia11-a)で表される化合物、式(Ia11-b)で表される化合物、及び式(Ia11-c)で表される化合物が、化合物(Ia11)とともに含まれていてもよい。
【0089】
【化11】
【0090】
【化12】
【0091】
反応混合物から、化合物(I)を取り出す方法は特に限定されず、公知の種々の方法で取り出すことができる。
例えば、反応終了後、反応混合物中の化合物(I)は溶解しにくい場合があるが、化合物(I)以外の化合物が溶解しやすい、メタノール等の溶媒と、反応混合物とを、よく混合した後、ろ過することによって、化合物(I)を取り出すことができる。さらに、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒又はそれらの混合溶媒で、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液で、及び/又は塩酸等の酸性水溶液で、得られた残渣を洗浄した後、水、メタノール等の低沸点アルコール又はそれらの混合溶媒で洗浄し、化合物(I)を取り出してもよい。さらに、カラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶等で精製してもよい。
または、反応終了後、反応混合物の溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶等で精製してもよいし、
反応終了後、反応混合物をカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶等で精製してもよい。
【0092】
また、式(I)で表される化合物は、式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物との反応により、式(I’)で表される化合物(以下、化合物(I’)という場合がある)を製造し、続いて、
化合物(I’)を、塩基存在下、加水分解して、式(IM1)で表される化合物(以下、化合物(IM1)という場合がある。)を製造し、さらに、
化合物(IM1)と、式(pt3)で表される化合物との反応により、製造することができる。
【0093】
【化13】

[式中、R1~R5、Q1、Q2は、前記と同一の意味を表す。]
【0094】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応における、式(pt2)で表される化合物の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1~60モルであり、好ましくは1~40モルであり、より好ましくは1~32モルであり、さらに好ましくは2~20モルである。
【0095】
式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応における、式(pt3)で表される化合物の使用量は、式(IM1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1~30モルであり、好ましくは1~20モルであり、より好ましくは1~16モルであり、さらに好ましくは1~10モルである。
【0096】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応における反応温度及び反応時間、並びに、式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応における反応温度及び反応時間は、製造方法1での反応温度及び反応時間と同様であり、それらの好ましい態様も同様である。
【0097】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応、並びに式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。溶媒としては、製造方法1に例示した溶媒が挙げられ、好ましい態様も同様である。
【0098】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応における溶媒の使用量は、式(pt1)で表される化合物1質量部に対して、通常1~1000質量部である。
【0099】
式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応における溶媒の使用量は、式(IM1)で表される化合物1質量部に対して、通常1~1000質量部である。
【0100】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応、並びに式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応では、酸が共存することが好ましい。酸としては、製造方法1に例示した酸が挙げられ、好ましい態様も同様である。
【0101】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応における酸の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常1~90モルであり、好ましくは1~70モルであり、より好ましくは1~50モルであり、さらに好ましくは1~30モルである。
【0102】
式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応における酸の使用量は、式(IM1)で表される化合物1モルに対して、通常1~90モルであり、好ましくは1~70モルであり、より好ましくは1~50モルであり、さらに好ましくは1~30モルである。
【0103】
なお、製造方法1と同様に、化合物(I)が構造中にカルボン酸及び/又はエステルを有する場合、当該化合物(I)が有するカルボン酸及び/又はエステルが、エステル化及び/又はエステル交換された化合物が目的の化合物(I)とともに混合物として製造されてもよい。
【0104】
式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物の反応における反応混合物から、式(I’)で表される化合物を取り出す方法、並びに、式(IM1)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物との反応における反応混合物から、式(I)で表される化合物を取り出す方法は特に限定されず、公知の種々の方法で取り出すことができ、例えば、製造方法1に例示した方法が挙げられる。
【0105】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における塩基としては、トリエチルアミン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウム等の有機金属化合物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等の無機塩基等が挙げられ、無機塩基が好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
【0106】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における塩基の使用量は、式(I’)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1~100モルであり、好ましくは1~70モルであり、より好ましくは2~40モルである。
【0107】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における水の使用量は、式(I’)で表される化合物1質量部に対して、通常1~1000質量部であり、好ましくは1~200質量部であり、より好ましくは1~100質量部であり、さらに好ましくは1~50質量部である。
【0108】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における反応温度は、通常0~100℃であり、好ましくは5~100℃であり、より好ましくは20~100℃であり、さらに好ましくは40~100℃であり、よりさらに好ましくは60~100℃である。
【0109】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における反応時間としては、式(I’)で表される化合物の消失が確認されるまで続けることが好ましく、通常0.5~120時間であり、好ましくは1~72時間であり、より好ましくは1~24時間である。
【0110】
塩基存在下での式(I’)で表される化合物の加水分解反応における反応混合物から、式(IM1)で表される化合物を取り出す方法は特に限定されず、公知の種々の方法で取り出すことができ、例えば、製造方法1に例示した方法が挙げられる。
【0111】
化合物(II)の製造方法は特に限定されないが、上述の化合物(I)の製造方法を参考に、式(pt1)で表される化合物を下記式(pt1’)で表される化合物に置き換えて製造することができる。
【0112】
【化14】

[式中、R2~R6は、前記と同一の意味を表す。]
【0113】
着色剤(A)が化合物(I)を含む場合、化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量に対して、100質量%であってもよく、下限としては例えば、0.1質量%以上であってもよく、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上がいっそう好ましい。
【0114】
着色剤(A)が化合物(II)を含む場合、化合物(II)の含有率は、着色剤(A)の総量に対して、100質量%であってもよく、下限としては例えば、0.1質量%以上であってもよく、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上がいっそう好ましい。
【0115】
着色剤(A)は、化合物(I)を含んでいることが好ましく、化合物(I)と化合物(II)とをともに含んでいてもよい。
【0116】
着色剤(A)として化合物(I)及び化合物(II)を、それぞれ1種以上含む場合、化合物(I)と化合物(II)の合計での含有率は、着色剤(A)の総量に対して、100質量%であってもよく、下限としては例えば、0.1質量%以上であってもよく、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上がいっそう好ましい。
【0117】
着色剤(A)として化合物(I)及び化合物(II)を、それぞれ1種以上含む場合、化合物(I)と化合物(II)との含有量比(化合物(II)/化合物(I))は、モル基準で0.01以上100以下であることが好ましく、0.05以上50以下であることがより好ましい。
【0118】
<<着色剤(A1)>>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)及び化合物(II)以外の染料(以下、染料(A1-1)という場合がある)及び/又は顔料(以下、顔料(A1-2)という場合がある)を含んでいてもよい(以下、染料(A1-1)及び顔料(A1-2)を合わせて着色剤(A1)という場合がある)。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0119】
染料(A1-1)は、化合物(I)及び化合物(II)を包含しない限り、公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、フタロシアニン染料、ペリレン染料、キノフタロン染料、イソインドリン染料等が挙げられる。
【0120】
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90,91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、77、86、99;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、38、44、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、15、16、17、19、21、23、24、25、30、34、38、49、72、102;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、249、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、87、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、79、82;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、6;0等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53;等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1;等のC.I.バット染料等
【0121】
さらに、BASF社の製品であるルモゲン(登録商標)が挙げられ、ルモゲン(登録商標) F イエロー 083(BASF社製)、ルモゲン(登録商標) F イエロー 170(BASF社製)、ルモゲン(登録商標) F オレンジ 240(BASF社製)及びルモゲン(登録商標) F レッド 305(BASF社製)が挙げられる。
【0122】
顔料(A1-2)としては、化合物(I)及び化合物(II)を包含しない限り、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
【0123】
ピグメントに分類されている顔料としては、具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、178、179、180、190、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7、31、32等の黒色顔料;等が挙げられる。
【0124】
着色剤(A1)としては、黄色染料及び黄色顔料(以下、これらを総称して「黄色着色剤」という場合がある)、橙色染料及び橙色顔料(以下、これらを総称して「橙色着色剤」という場合がある)、赤色染料及び赤色顔料(以下、これらを総称して「赤色着色剤」という場合がある)、緑色染料及び緑色顔料(以下、これらを総称して「緑色着色剤」という場合がある)が好ましく、黄色着色剤、緑色着色剤がより好ましく、黄色顔料、緑色顔料がさらに好ましく、緑色顔料がよりさらに好ましい。
【0125】
黄色染料としては、上記染料のうち、色相が黄に分類されている染料が挙げられ、黄色顔料としては、上記顔料のうち、色相が黄に分類されている顔料が挙げられる。
黄色着色剤としては、黄色染料、黄色顔料が好ましく、黄色顔料がより好ましく、キノフタロン顔料、金属含有顔料、イソインドリン顔料がさらに好ましく、C.I.ピグメントイエロー129、138、139、150、185、231がよりさらに好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231が特に好ましい。
【0126】
橙色染料としては、上記染料のうち、色相が橙に分類されている染料が挙げられ、橙色顔料としては、上記顔料のうち、色相が橙に分類されている顔料が挙げられる。
橙色着色剤としては、橙色染料、橙色顔料が好ましく、橙色顔料がより好ましく、C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73がさらに好ましい。
【0127】
赤色染料としては、上記染料のうち、色相が赤に分類されている染料が挙げられ、赤色顔料としては、上記顔料のうち、色相が赤に分類されている顔料が挙げられる。
赤色着色剤としては、赤色染料、赤色顔料が好ましく、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、ペリレン染料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、トリフェニルメタン顔料、キサンテン顔料、ペリレン顔料がより好ましく、C.I.アシッドレッド52、C.I.ピグメントレッド144、177、179、242、254、269がさらに好ましい。
【0128】
また、黄色着色剤、橙色着色剤又は赤色着色剤として、特開2013-235257号公報に記載のキサンテン化合物等を使用してもよい。
【0129】
緑色染料としては、上記染料のうち、色相が緑に分類されている染料が挙げられ、緑色顔料としては、上記顔料のうち、色相が緑に分類されている顔料が挙げられる。
緑色着色剤としては、緑色染料、緑色顔料が好ましく、緑色顔料がより好ましく、フタロシアニン顔料がさらに好ましく、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、ハロゲン化アルミニウム亜鉛フタロシアニン顔料がよりさらに好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63が特に好ましい。
【0130】
着色剤(A)が着色剤(A1)をさらに含む場合、着色剤(A)中の化合物(I)及び化合物(II)の合計含有率の下限は、着色剤(A)の総量に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上である。一方、着色剤(A)が着色剤(A1)をさらに含む場合、着色剤(A)中の化合物(I)及び化合物(II)の合計含有率の上限は、着色剤(A)の総量に対して、例えば、100質量%未満である。
【0131】
着色硬化性樹脂組成物が溶剤(E)を含む場合、予め着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色組成物(以下、着色剤含有液と称する場合もある)を調製した後、該着色組成物を使用して着色硬化性樹脂組成物を調製してもよい。着色剤(A)が溶剤(E)に溶解しない場合、例えば着色剤(A)が顔料(A1-2)を含む場合等には、着色組成物は、着色剤(A)を溶剤(E)に分散させて混合することにより調製できる(この場合の着色組成物を以下、着色分散液と称する場合もある)。着色組成物は、着色硬化性樹脂組成物に含有される溶剤(E)の一部又は全部を含んでいてもよい。
【0132】
着色組成物中の固形分の含有率は、着色組成物の総量に対して、100質量%未満であり、好ましくは0.01質量%以上99.99質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上99.9質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上99質量%以下であり、よりさらに好ましくは1質量%以上90質量%以下であり、とりわけ好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、いっそう好ましくは1質量%以上70質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
【0133】
着色組成物中の着色剤(A)の含有率は、着色組成物中の固形分の総量に対して、100質量%以下であり、好ましくは0.0001質量%以上99.9999質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下であり、よりさらに好ましくは3質量%以上90質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上90質量%以下である。
【0134】
着色剤(A)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤(A)表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法、ソルトミリング法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
また、着色剤(A)は、必要に応じて、結晶構造変換、粒子の整形及び/又は粒径の略均一化処理;
着色剤(A)と、水及び/又は有機溶剤とを混合し、撹拌及び/又は加熱しながら撹拌して、懸濁液を得た後、該懸濁液をろ過して、結晶構造が変わった着色剤(A)を得る処理;
再結晶することにより、着色剤(A)の結晶構造を変える処理;
着色剤(A)と、水、硫酸又は有機溶剤とを混合し、撹拌及び/又は加熱しながら撹拌して、溶液又は懸濁液を得た後、該溶液又は該懸濁液を、着色剤(A)の貧溶剤と混合し、懸濁液を得た後、該懸濁液をろ過して、結晶構造が変わった、着色剤(A)を得る処理;
着色剤(A)と、誘導体と、水及び/又は有機溶剤とを混合し、撹拌及び/又は加熱しながら撹拌して、懸濁液を得た後、該懸濁液をろ過して、結晶構造が変わった、着色剤(A)を含む混合物を得る処理及び/又は、着色剤(A)と誘導体とを混合する処理;
着色剤(A)と誘導体の混合物を再結晶することにより、結晶構造が変わった、着色剤(A)を含む混合物を得る処理及び/又は、着色剤(A)と誘導体とを混合する処理;
着色剤(A)と、誘導体と、水、硫酸又は有機溶剤とを混合し、撹拌及び/又は加熱しながら撹拌して、溶液又は懸濁液を得た後、該溶液又は該懸濁液を、着色剤(A)の貧溶剤と混合し、懸濁液を得た後、該懸濁液をろ過して、結晶構造が変わった着色剤(A)を含む混合物を得る処理及び/又は着色剤(A)と誘導体とを混合する処理;
等が施されていてもよい。
着色剤(A)又は誘導体を複数種使用する場合、それぞれ単独でこれらの処理をしてもよいし、複数種を混合してこれらの処理をしてもよい。
着色剤(A)の粒径は、略均一であることが好ましい。
【0135】
着色組成物が誘導体を含有する場合、該誘導体の含有率は、着色剤(A)100質量部に対して、0.01質量部以上100質量部以下であり、0.01質量部以上70質量部以下が好ましく、0.1質量部以上50質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上30質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以上20質量部以下がとりわけ好ましい。
【0136】
着色剤(A)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、着色剤(A)が溶液中で均一に分散した状態にすることができる。着色剤(A)として2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを単独で分散処理してもよく、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0137】
分散剤としては、例えば、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(BYK社製)、BYK(登録商標)(BYK社製)等が挙げられる。
【0138】
分散剤を用いる場合、該分散剤(固形分)の使用量は、着色組成物中の着色剤(A)100質量部に対して、通常1質量部以上10000質量部以下であり、好ましくは5質量部以上5000質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上3000質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以上1000質量部以下であり、よりさらに好ましくは18質量部以上500質量部以下であり、特に好ましくは20質量部以上350質量部以下である。該分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色組成物が得られる傾向がある。
【0139】
着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色組成物を予め調製した後、該着色組成物を使用して着色硬化性樹脂組成物を調製する場合、着色組成物は、着色硬化性樹脂組成物に含有される樹脂(B)の一部又は全部、好ましくは一部を予め含んでいてもよい。樹脂(B)を予め含ませておくことで、着色組成物の分散安定性をさらに改善できる。
【0140】
着色組成物が樹脂(B)を含有する場合、樹脂(B)の含有量は、着色組成物中の着色剤(A)100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上10000質量部以下であり、0.01質量部以上5000質量部以下が好ましく、0.01質量部以上1000質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上500質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以上300質量部以下がよりさらに好ましい。
【0141】
着色剤(A)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量中、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上30質量%以下であり、よりさらに好ましくは1質量%以上20質量%以下である。着色剤(A)の含有率が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができることから好ましい。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0142】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(以下、「単量体(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する重合体であることがより好ましい。
樹脂(B)は、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b)」という場合がある)に由来する構造単位、及びその他の構造単位を有する共重合体であることが好ましい。
その他の構造単位としては、単量体(a)と共重合可能な単量体(ただし、単量体(a)及び単量体(b)とは異なる。以下、「単量体(c)」という場合がある)に由来する構造単位、エチレン性不飽和結合を有する構造単位等が挙げられる。
【0143】
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0144】
単量体(a)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びo-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸及び1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕及びフタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸等、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート;等が挙げられる。
【0145】
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸及び無水マレイン酸等が好ましい。
【0146】
単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。
単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0147】
単量体(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0148】
単量体(b1)としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0149】
単量体(b1-1)としては、グリシジル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。
単量体(b1-1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0150】
単量体(b1-2)としては、例えば、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド(登録商標)2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)A400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)M100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0151】
【化15】

[式(BI)及び式(BII)中、Ra及びRbは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
a及びXbは、互いに独立に、単結合、*-Rc-、*-Rc-O-、*-Rc-S-又は*-Rc-NH-を表す。
cは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0152】
炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0153】
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0154】
a及びRbとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0155】
アルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
【0156】
a及びXbとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-、*-CH2CH2-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0157】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BI-5)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0158】
【化16】
【0159】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられ、中でも、好ましくは式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-15)で表される化合物が挙げられる。
【0160】
【化17】
【0161】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率〔式(BI)で表される化合物:式(BII)で表される化合物〕はモル基準で、好ましくは5:95~95:5であり、より好ましくは10:90~90:10であり、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0162】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
単量体(b2)としては、例えば、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0163】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
単量体(b3)としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0164】
単量体(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、単量体(b1)であることが好ましい。さらに、着色組成物の保存安定性が優れるという点で、単量体(b1-2)がより好ましい。
【0165】
単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート及びN-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、9-ビニルカルバゾール及びp-メトキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニル基含有ニトリル;塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化炭化水素;(メタ)アクリルアミド等のビニル基含有アミド;酢酸ビニル等のエステル;1,3-ブタジエン、イソプレン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等のジエン;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、フェニル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、9-ビニルカルバゾール、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アククリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0166】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/9-ビニルカルバゾール/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/o-ビニル安息香酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/m-ビニル安息香酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/p-ビニル安息香酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/トリシクロ[5.2.1.02,6]デセニル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体並びに特開平9-106071号公報、特開2004-29518号公報及び特開2004-361455号公報の各公報記載の樹脂等が挙げられる。
中でも、樹脂(B)としては、単量体(a)に由来する構造単位及び単量体(b)に由来する構造単位を含む共重合体が好ましい。
【0167】
樹脂(B)は2種以上を組み合わせてもよく、この場合は、樹脂(B)は、少なくとも、
単量体(a)に由来する構造単位及び単量体(b)に由来する構造単位を含む共重合体を少なくとも1種含むことが好ましく、
単量体(a)に由来する構造単位及び単量体(b1)に由来する構造単位を含む共重合体を少なくとも1種含むことがより好ましく、
単量体(a)に由来する構造単位及び単量体(b1-2)に由来する構造単位を含む共重合体を少なくとも1種含むことがさらに好ましく、
3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれる1以上を含むことがよりさらに好ましい。
【0168】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上100,000以下であり、より好ましくは2,000以上50,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上30,000以下であり、よりさらに好ましくは5,000以上30,000以下である。重量平均分子量が前記の範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高く、得られるパターンの残膜率や硬度も高い傾向がある。
【0169】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1以上6以下であり、より好ましくは1以上5以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。
【0170】
樹脂(B)の酸価(固形分換算値)は、好ましくは10mg-KOH/g以上300mg-KOH/g以下であり、より好ましくは20mg-KOH/g以上250mg-KOH/g以下であり、さらに好ましくは25mg-KOH/g以上200mg-KOH/g以下であり、よりさらに好ましくは30mg-KOH/g以上180mg-KOH/g以下であり、特に好ましくは40mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下である。ここで酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0171】
樹脂(B)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分100質量%に対して、好ましくは5~90質量%であり、より好ましくは10~80質量%であり、さらに好ましくは13~70質量%であり、よりさらに好ましくは15~60質量%である。樹脂(B)の含有率が、前記の範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高い傾向がある。
【0172】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0173】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン等、並びに、上述の単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)が挙げられる。
【0174】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0175】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0176】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは50以上4000以下であり、より好ましくは70以上3500以下であり、さらに好ましくは100以上3000以下であり、よりさらに好ましくは150以上2900以下であり、特に好ましくは250以上1500以下である。
【0177】
重合性化合物(C)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、例えば、1質量%以上99質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上70質量%以下である。
【0178】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
【0179】
重合開始剤(D)としては、オキシム化合物(例えば、O-アシルオキシム化合物等)、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0180】
O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセチルオキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセチルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。また、O-アシルオキシム化合物として、イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)及びN-1919((株)ADEKA製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物としては、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセチルオキシ-1-{9-エチル-6-[2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル]-9H-カルバゾール-3-イル}エタン-1-イミン及びN-アセチルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0181】
アルキルフェノン化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン及び2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。アルキルフェノン化合物として、イルガキュア(登録商標)369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
アルキルフェノン化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン及びベンジルジメチルケタールも挙げられる。
【0182】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)及び4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0183】
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン及び2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0184】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0185】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン及びカンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル及びチタノセン化合物等が挙げられる。
これらは、後述の重合開始助剤(D1)、特にアミン類と組み合わせて用いることが好ましい。
【0186】
重合開始剤(D)は、好ましくはアルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む重合開始剤であり、より好ましくはオキシム化合物を含む重合開始剤であり、さらに好ましくはO-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤である。
【0187】
重合開始剤(D)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる全樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0188】
<酸化防止剤(G)>
酸化防止剤(G)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、例えば、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤及び金属不活性化剤が挙げられ、好ましくは、ラジカル連鎖禁止剤又は過酸化物分解剤であり、より好ましくはラジカル連鎖禁止剤である。なお、酸化防止剤(G)に後述の一重項酸素クエンチャー(H)は含まないものとする。これらの酸化防止剤(G)としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。本発明の着色硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤(G)を含有することにより耐光性に優れたカラーフィルタを形成することができる。
【0189】
フェノール系酸化防止剤は、分子内にフェノール性ヒドロキシ基を有する酸化防止剤であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トルイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ肉桂酸、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、1,3,5-トリス{2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシ]エチル}ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、及びビタミンE等が挙げられる。
【0190】
フェノール系酸化防止剤としては市販品を用いてもよく、具体的には、イルガノックス(登録商標)565、同1010、同1035、同1076、同1135、同1330、同1520L、同3114、同3125、同3790(以上、BASF社製)、アデカスタブ(登録商標)AO-80(株)ADEKA製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA-80、同GS(以上、住友化学(株)製)、シアノックス(登録商標)1790((株)サイテック製)等が挙げられる。
【0191】
得られるカラーフィルタの耐光性向上の観点から、フェノール系酸化防止剤としては、フェノール骨格を1個以上10個以下有する化合物が好ましく、フェノール骨格を1個以上5個以下有する化合物がより好ましく、フェノール骨格を1個又は2個有する化合物がさらに好ましく、フェノール骨格を2個有する化合物がよりさらに好ましい。また、フェノール系酸化防止剤は、フェノール性ヒドロキシ基のオルト位がアルキル基であるフェノール骨格を少なくとも1つ有する化合物が好ましく、フェノール性ヒドロキシ基の2つのオルト位の一方が炭素数3~5の分枝鎖状アルキル基であり、もう一方が炭素数1~3の直鎖状アルキル基であるフェノール骨格を少なくとも1つ有する化合物がより好ましく、フェノール性ヒドロキシ基の2つのオルト位の一方が炭素数3~5の分枝鎖状アルキル基であり、もう一方が炭素数1~3の直鎖状アルキル基であるフェノール骨格を2つ有する化合物がさらに好ましい。
【0192】
フェノール系酸化防止剤の分子量は、好ましくは400以上1200以下であり、より好ましく500以上1000以下であり、さらに好ましくは600以上900以下である。
【0193】
フェノール系酸化防止剤としては、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンが特に好ましい。
【0194】
アミン系酸化防止剤は、分子内にアミノ基を有する酸化防止剤であり、ヒンダードアミン系、芳香族アミン系等が挙げられ、アミン系酸化防止剤としてはヒンダードアミン系が好ましい。
【0195】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)エステル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-1,6-ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。
【0196】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては市販品を用いてもよく、具体的には、アデカスタブ(登録商標)LAシリーズ((株)ADEKA製)及びチヌビン(登録商標)シリーズ(BASF社製)等が挙げられる。
【0197】
得られるカラーフィルタの耐光性向上の観点から、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、分子内にさらにアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましく、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレートが特に好ましい。
【0198】
芳香族アミン系酸化防止剤としては、例えば、1-ナフチルアミン、フェニル-1-ナフチルアミン、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-1,3-ジメチルブチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-フェニル-p-トルイジン、ン、ビス-p-トルイルアミン、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0199】
リン系酸化防止剤は、分子内にリン原子を有する酸化防止剤であり、ホスファイト系、ホスフィン系等が挙げられ、リン系酸化防止剤としてはホスフィン系が好ましい。
【0200】
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールドデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-トリデシルホスファイト-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、3,4,5,6-ジベンゾ-1,2-オキサホスファン-2-オキシド等が挙げられる。
【0201】
ホスフィン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス(p-トリル)ホスフィン、トリス(p-ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル(ヒドロキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(アセトキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(β-エチルカルボキシエチル)ホスフィン、トリス(p-クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p-フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル-β-シアノエチルホスフィン、ジフェニル(p-ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-1,4-ジヒドロキシフェニル-2-ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。
【0202】
得られるカラーフィルタの耐光性向上の観点から、ホスフィン系酸化防止剤としては、置換基を有していてもよいフェニル基がリン原子に3つ結合した化合物(3つの置換基を有していてもよいフェニル基は同一であっても、異なっていてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基等が挙げられる)が好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0203】
硫黄系酸化防止剤は、分子内に硫黄原子を有する酸化防止剤であり、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート化合物;テトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物;等が挙げられる。
【0204】
酸化防止剤(G)は、好ましくはフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む酸化防止剤であり、より好ましくはフェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤のいずれか一種を少なくとも含む酸化防止剤であり、さらに好ましくはフェノール系酸化防止剤を含む酸化防止剤である。
【0205】
酸化防止剤(G)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる全重合開始剤(D)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上500質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上400質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以上300質量部以下であり、よりさらに好ましくは20質量部以上250質量部以下である。酸化防止剤(G)の含有量が、前記の範囲内にあると、得られるカラーフィルタの耐光性がより向上する。
また酸化防止剤(G)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.05質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.10質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは0.50質量%以上15質量%以下であり、よりさらに好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。酸化防止剤(G)の含有率が、前記の範囲内にあると、得られるカラーフィルタの耐光性がより向上する。
【0206】
<一重項酸素クエンチャー(H)>
一重項酸素クエンチャー(H)としては、一重項状態の酸素からのエネルギー移動により一重項酸素を不活性化させ得る化合物であれば特に限定されることなく、公知の一重項酸素クエンチャーを用いることができる。
【0207】
一重項酸素クエンチャー(H)としては、遷移金属錯体、アジ化ナトリウム等のアジ化物、アスコルビン酸等の抗酸化剤、イソベンゾフラン、ジヒドロキノン、ヘモグロビン等のヘムを含む遷移金属、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル等が挙げられる。なお、一重項酸素クエンチャー(H)としての遷移金属錯体は、前述の化合物(I)及び/又は化合物(II)の構造を有するものは含まないものとする。
【0208】
一重項酸素クエンチャー(H)としては、特に遷移金属錯体が好ましい。遷移金属錯体を一重項酸素(H)クエンチャーとして含有する着色硬化性樹脂組成物によれば、形成されるカラーフィルタの耐光性がさらに向上する。特に一重項酸素クエンチャー(H)としての遷移金属錯体を、化合物(I)又は化合物(II)としての前記修飾型化合物(I)、又は修飾型化合物(II)と組み合わせることが、形成されるカラーフィルタの耐光性がよりさらに向上するため、最も好ましい。
【0209】
前記遷移金属錯体の中心金属原子としては、元素の周期律表の3族~11族に属する種々の金属原子が挙げられ、第1遷移元素又は第3遷移元素である金属原子が好ましく、第1遷移元素である金属原子がより好ましく、Co、Ni又はCuがさらに好ましく、Co又はNiがよりさらに好ましく、Coが特に好ましい。
【0210】
遷移金属錯体としては、中心金属原子がCoの遷移金属錯体(以下、コバルト錯体という場合がある)、中心金属原子がNiの遷移金属錯体(以下、ニッケル錯体という場合がある)及び中心金属原子がCuの遷移金属錯体(以下、銅錯体という場合がある)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0211】
前記遷移金属錯体の配位子としては、中心金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を形成する、中性若しくはアニオン性の単座配位子、又は中性若しくはアニオン性の多座配位子が挙げられ、好ましくは中性若しくはアニオン性の単座配位子、又は中性若しくはアニオン性の2座配位子である。中心金属原子と配位子との間の結合としては、例えば、金属-窒素結合、金属-炭素結合、金属-酸素結合、金属-リン結合、金属-硫黄結合及び金属-ハロゲン結合が挙げられ、好ましくは、金属-炭素結合、金属-酸素結合、金属-硫黄結合又は金属-ハロゲン結合である。
【0212】
コバルト錯体としては、2,4-ペンタンジオナト基、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト、ベンゾイルアセトナト基、1,3-ブタンジオナト基、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト基等のβ-ジケトナト基を配位子として有する錯体が好ましく、下記の式(Co-x)で表される錯体がより好ましい。
【0213】
【化18】

[式中、
Co1及びRCo3は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1~15の1価の炭化水素基を表し、
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
Co2は、水素原子又は炭素数1~15の1価の炭化水素基を表し、
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。]
【0214】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0215】
Co1~RCo3で表される炭素数1~15の1価の炭化水素基としては、炭素数が16以上となる例を含まない以外は、上記のR1~R6で表される炭化水素基と同じ例が挙げられる。
【0216】
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
【0217】
Co1及びRCo3としては、炭素数1~15の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10の1価の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、炭素数1~3の直鎖状アルキル基であることがよりさらに好ましい。
【0218】
Co2としては、水素原子であることが好ましい。
【0219】
コバルト錯体としては、ビス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)が特に好ましい。
【0220】
ニッケル錯体としては、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)、ビス[4,4’-ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケル(II)、ビス(4-ジメチルアミノジチオベンジル)ニッケル(II)、テトラブチルアンモニウムビス(1,3-ジチオール-2-チオン-4,5-ジチオラト)ニッケル(III)、テトラブチルアンモニウムビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(III)、テトラブチルアンモニウムビス(3,6-ジクロロ-1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケル(III)、テトラメチルアンモニウムビス(3,4,6-トリクロロ-1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケル(III)、テトラブチルアンモニウムビス(4-メチル-1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケル(III)が挙げられ、テトラメチルアンモニウムビス(3,4,6-トリクロロー1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケル(III)等のジチオレン錯体が好ましく、ベンゼンジチオラト配位子を有する錯体がより好ましく、下記の式(Ni-x)で表される錯体がさらに好ましい。
【0221】
【化19】

[式中、
Ni1~RNi8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~15の1価の炭化水素基を表し、
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
Ni1~RNi4は、それぞれ互いにRNi1~RNi4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよく、
Ni5~RNi8は、それぞれ互いにRNi5~RNi8から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
+はカチオンを表す。]
【0222】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0223】
Ni1~RNi8で表される炭素数1~15の1価の炭化水素基としては、炭素数が16以上となる例を含まない以外は、上記のR1~R6で表される炭化水素基と同じ例が挙げられる。
【0224】
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
【0225】
Ni1~RNi4は、それぞれ互いにRNi1~RNi4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよく、
Ni5~RNi8は、それぞれ互いにRNi5~RNi8から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
【0226】
Ni1~RNi8としては、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることがより好ましく、水素原子又はハロゲン原子であることがさらに好ましく、水素原子又は塩素原子であることがよりさらに好ましい。
【0227】
Ni1~RNi8としては、RNi1~RNi8のうち2~8つがハロゲン原子であり、残り全てが水素原子であることが好ましく、RNi1~RNi8のうち4~8つがハロゲン原子であり、残り全てが水素原子であることがより好ましく、RNi1~RNi4のうち2~4つがハロゲン原子であり、且つRNi5~RNi8のうち2~4つがハロゲン原子であり、残り全てが水素原子であることがさらに好ましく、RNi1~RNi4のうち2~4つが塩素原子であり、且つRNi5~RNi8のうち2~4つが塩素原子であり、残り全てが水素原子であることがよりさらに好ましい。
【0228】
+で表されるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、アンモニウムカチオンが好ましい。
【0229】
アンモニウムカチオンとしては、例えば、ピリジニウムイオン、N,N-ジメチルアミノピリジニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、ピペリジニウムイオン、N-メチルピペリジニウムイオン、モルホリニウムイオン等が挙げられ、テトラメチルアンモニウムイオンが好ましい。
【0230】
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン等が挙げられる。
【0231】
ニッケル錯体としては、テトラメチルアンモニウムビス(3,4,6-トリクロロー1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケル(III)が特に好ましい。
【0232】
銅錯体としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含有するカルベン化合物を配位子として有する錯体が好ましく、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子が隣接して結合した構造を有するカルベン化合物を配位子として有する錯体がより好ましく、カルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含んでヘテロ環が形成された構造を有するカルベン化合物を配位子として有する錯体がさらに好ましく、窒素原子をヘテロ原子として含有するN-ヘテロ環状カルベン化合物を配位子として有する錯体がよりさらに好ましく、下記の式(Cu-x)で表される錯体がとりわけ好ましい。
【0233】
【化20】

[式中、
Cu1~RCu4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~20の1価の炭化水素基を表し、
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
Cu1~RCu4は、それぞれ互いにRCu1~RCu4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
Cuはハロゲン原子を表す。]
【0234】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0235】
Cu1~RCu4で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、炭素数が21以上となる例を含まない以外は、上記のR1~R6で表される炭化水素基と同じ例が挙げられる。
【0236】
該1価の炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-又は-S-に置き換わっていてもよい。
【0237】
Cu1~RCu4は、それぞれ互いにRCu1~RCu4から選ばれる1つ以上と結合して環を形成してもよい。
【0238】
Cu1及びRCu4としては、炭素数6~20の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が少なくとも1つ結合したフェニル基であることがより好ましく、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が2つ以上結合したフェニル基であることがさらに好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が2つ以上結合したフェニル基であることがよりさらに好ましく、2,4,6-トリメチルフェニル基又は2,6-ジイソプロピルフェニル基がとりわけ好ましい。
【0239】
Cu2及びRCu3としては、水素原子又は炭素数1~5の1価の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0240】
Cuとしては塩素原子であることが好ましい。
【0241】
銅錯体としては、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]銅(I)が特に好ましい。
【0242】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤(G)に加えてさらに一重項酸素クエンチャー(H)を含有することにより、より耐光性に優れたカラーフィルタを形成することができる。
【0243】
一重項酸素クエンチャー(H)を含む場合、一重項酸素クエンチャー(H)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる全重合開始剤(D)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上500質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上400質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以上300質量部以下であり、よりさらに好ましくは25質量部以上250質量部以下である。
一重項酸素クエンチャー(H)を含む場合、一重項酸素クエンチャー(H)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる全酸化防止剤(G)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上500質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上400質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以上300質量部以下であり、よりさらに好ましくは30質量部以上250質量部以下であり、とりわけ好ましくは40質量部以上200質量部以下である。
また一重項酸素クエンチャー(H)を含む場合、一重項酸素クエンチャー(H)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.05質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.10質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは0.50質量%以上15質量%以下であり、よりさらに好ましくは1.0質量%以上12質量%以下である。
【0244】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0245】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0246】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン及び2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0247】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン及び1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0248】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン及びナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0249】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上30質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。
【0250】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。
溶剤(E)は、例えば、エステル溶剤(分子内に-CO-O-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-CO-O-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-CO-O-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-CO-O-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-CO-O-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0251】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0252】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0253】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0254】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0255】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0256】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
【0257】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0258】
これらの溶剤は、2種以上を併用してもよい。
【0259】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン及びN,N-ジメチルホルムアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン及びシクロヘキサノンがより好ましい。
【0260】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、通常100質量%未満であり、好ましくは99.99質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上99.9質量%以下であり、さら好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、よりさらに好ましくは20質量%以上97質量%以下であり、とりわけ好ましくは30質量%以上95質量%以下であり、いっそう好ましくは40質量%以上95質量%以下であり、特に好ましくは50質量%以上95質量%以下である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0261】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0262】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0263】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0264】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0265】
レベリング剤(F)を含有する場合、レベリング剤(F)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.00001質量%以上3質量%以下であり、より好ましくは0.0001質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下である。なおこの含有率に、顔料分散剤の含有率は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0266】
<その他の成分>
着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0267】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び酸化防止剤(G)、並びに必要に応じて用いられる重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)、一重項酸素クエンチャー(H)及び/又はその他の成分を混合することにより調製できる。混合は公知又は慣用の装置や条件により行うことができる。
着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させた状態で用いてもよい。この際、必要に応じて前記分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。ビーズミルを用いるビーズの直径は0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、ビーズの材質はガラス、セラミック、金属等が挙げられる。
着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部に溶解させた溶液(着色組成物)の状態で用いてもよい。
上記のようにして得られた着色組成物に、残りの成分を所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
【0268】
<カラーフィルタ>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜は、本発明のカラーフィルタである。
【0269】
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることがよりさらに好ましく、下限は特に限定されないが、通常0.1μm以上である。
【0270】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。また、シリコン基板上にHMDS(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン)処理を施した基板を使用してもよい。
【0271】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。
組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0272】
次に、組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。また、露光面全体に均一に平行光線を照射することや、フォトマスクと組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、ステッパ(縮小投影露光機)、プロキシミティ露光機等の露光装置(マスクアライナ)を使用することが好ましい。
【0273】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後の基板は、水洗されることが好ましい。
【0274】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、250℃以下が好ましく、245℃以下がより好ましい。ポストベーク時間は、1分間以上が好ましく、2分間以上がより好ましく、120分間以下が好ましく、60分間以下がより好ましく、30分間以下がさらに好ましい。
このようにして得られた着色パターンや着色塗膜であるカラーフィルタは、種々の特性を付与する為、さらに表面コート処理に供してもよい。
【0275】
<表示装置>
前記カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等)、電子ペーパー、固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタとして、中でもDCI(Digital Cinema Initiatives)規格等の高色域の規格に準拠した表示装置に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【0276】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、耐光性に優れたカラーフィルタを形成することが可能である。なお、本発明においてカラーフィルタの耐光性が優れるとは、光照射試験前後での色の変化が小さいこと、及び光照射試験前後での吸光度の変化が小さい(つまり吸光度の維持率が高い)ことのうち少なくとも一方を満足することをいう。
【実施例
【0277】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0278】
以下の合成例において、化合物の構造は、質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD6130型)で確認した。
【0279】
(合成例1)
〔式(Ia11)で表される化合物の作製〕
4-アミノ-2-メチルキノリン(東京化成工業(株)製)4.04部、トリメリット酸無水物(東京化成工業(株)製)10.8部、安息香酸(東京化成工業(株)製)15.6部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)92.3部を混合した。
この混合物を、167℃に保ちながら、5時間撹拌した。
この混合物に、安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)40.2部を加えた。
この混合物を、167℃に保ちながら、9時間撹拌した。
この混合物に、安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)28.0部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、11時間撹拌した。
この混合物を室温まで冷却し、この混合物に、メタノール2000部を加えた。
この混合物を室温で撹拌した。
得られた混合物にメタノール173部を加えた。
この混合物をろ過し、得られた残渣を、メタノール124部で1回、160部で1回、400部で1回洗浄した。
得られた残渣を60℃で減圧乾燥させて、式(Ia11)で表される化合物を得た(乾燥重量9.91部;以下、着色剤(Ia11)という場合がある)。
【0280】
【化21】
【0281】
<式(Ia11)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 507
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 505
Exact Mass: 506
【0282】
(合成例2)
〔式(Ia7)で表される化合物の作製〕
4-アミノ-2-メチルキノリン(東京化成工業(株)製)5.23部、3-ニトロフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)14.2部、安息香酸(東京化成工業(株)製)20.2部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)119部を混合した。
この混合物を、168℃に保ちながら、12時間撹拌した。
この混合物に、3-ニトロフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)7.12部、安息香酸(東京化成工業(株)製)10.3部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)16.0部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、26時間撹拌した。
この混合物を室温まで冷却し、この混合物に、メタノール2400部を加えた。
得られた混合物を室温で撹拌した後、ろ過した。
得られた残渣を、メタノール400部で5回洗浄した。
得られた残渣を60℃で減圧乾燥させて、式(Ia7)で表される化合物13.0部を得た(以下、着色剤(Ia7)という場合がある)。
【0283】
【化22】
【0284】
<式(Ia7)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 509
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 507
Exact Mass: 508
【0285】
(合成例3)
〔式(Ia124)で表される化合物の作製〕
4-アミノ-2-メチルキノリン(東京化成工業(株)製)3.02部、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製)8.33部、安息香酸(東京化成工業(株)製)11.7部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)66.7部を混合した。
この混合物を、170℃に保ちながら、9時間撹拌した。
この混合物に、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製)13.6部、安息香酸(東京化成工業(株)製)22.9部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)66.4部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、49時間撹拌した。
この混合物に、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製)8.32部、安息香酸(東京化成工業(株)製)11.7部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)43.5部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、28時間撹拌した。
この混合物を室温まで冷却し、この混合物に、メタノール1300部を加えた。
この混合物を室温で撹拌した後、ろ過し、得られた残渣を、メタノール400部で7回洗浄した。
得られた残渣を60℃で減圧乾燥させた。
この残渣に、N,N-ジメチルホルムアミド875部を加えた。
この混合物を室温で撹拌した後、ろ過し、得られた残渣を、得られた残渣と同じ体積のN,N-ジメチルホルムアミドで3回洗浄した。
この残渣をメタノール200部で3回洗浄した。
得られた残渣を60℃で減圧乾燥させて、式(Ia2)で表される化合物7.25部を得た。
【0286】
【化23】
【0287】
<式(Ia2)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 519
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 517
Exact Mass: 518
【0288】
式(Ia2)で表される化合物1モル及び、水酸化カリウム20モルと式(Ia2)で表される化合物1モルの重量の10倍の重量の水との混合物を混合した。
この混合物を、90℃に保ちながら、式(Ia2)で表される化合物が消失するまで撹拌した。
この混合物と36%塩酸を混合し、中和した。
この混合物をろ過した。
得られた残渣を、水で洗浄した。
この残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、式(IM1-1)で表される化合物を得た。
【0289】
【化24】
【0290】
<式(IM1-1)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 339
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 337
Exact Mass: 338
【0291】
式(IM1-1)で表される化合物1モル、トリメリット酸無水物(東京化成工業(株)製)8モル、安息香酸(東京化成工業(株)製)21モル及び式(IM1-1)で表される化合物1モルの重量の73倍の重量の安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)を混合した。
この混合物を、170℃に保ちながら、120時間撹拌した。
この混合物を室温まで冷却し、この混合物に、この混合物の重量の13倍の重量のメタノールを加えた。
得られた混合物を室温で撹拌した後、ろ過した。
得られた残渣を、メタノールで洗浄した。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、式(Ia124)で表される化合物を得た(以下、着色剤(Ia124)という場合がある)。
【0292】
【化25】
【0293】
<式(Ia124)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 513
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 511
Exact Mass: 512
【0294】
(合成例4)
〔式(IIa12)で表される化合物の作製〕
8-アミノ-2-メチルキノリン(東京化成工業(株)製)1.01部、4-フェニルエチニルフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)3.49部、安息香酸(東京化成工業(株)製)3.95部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)28.7部を混合した。
この混合物を、170℃に保ちながら、20時間撹拌した。
この混合物に、4-フェニルエチニルフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)0.476部、安息香酸(東京化成工業(株)製)1.32部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)3.3部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、10時間撹拌した。
この混合物に、4-フェニルエチニルフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)0.801部、安息香酸(東京化成工業(株)製)2.90部及び安息香酸メチル(東京化成工業(株)製)9.13部を加えた。
この混合物を、170℃に保ちながら、29時間撹拌した。
この混合物を室温まで冷却し、この混合物に、メタノール400部を加え、1時間撹拌した。
この混合物をろ過し、得られた残渣を、メタノール140部で6回洗浄した。
得られた残渣を60℃で減圧乾燥させて、式(IIa12)で表される化合物3.12部を得た(以下、着色剤(IIa12)という場合がある)。
【0295】
【化26】
【0296】
<式(IIa12)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 619
(質量分析)イオン化モード=ESI-: m/z=[M-H]- 617
Exact Mass: 618
【0297】
(合成例5)
〔樹脂B-1の作製〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、固形分35.1%、B型粘度計(23℃)で測定した粘度125mPasの共重合体(樹脂B-1)溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は9.2×103、分散度2.08、固形分換算の酸価は77mg-KOH/gであった。樹脂B-1は、以下の構造単位を有する。
【0298】
【化27】
【0299】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0300】
(合成例6)
〔着色分散液(CD-1)の作製〕
以下の割合で各成分を混合し、直径0.2mmのジルコニアビーズ300部を加えて振盪した後、ろ過によりジルコニアビーズを除去して着色分散液(CD-1)を作製した。
着色剤(A):着色剤(Ia11) 4部;
分散剤:DISPERBYK-161(BYK社製;固形分換算) 7.5部;
樹脂(B):樹脂B-1(固形分換算) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.5部;
【0301】
(合成例7)
〔着色分散液(CD-2)の作製〕
以下の割合で各成分を混合し、直径0.2mmのジルコニアビーズ300部を加えて振盪した後、ろ過によりジルコニアビーズを除去して着色分散液(CD-2)を作製した。
着色剤(A):着色剤(Ia7) 4部;
分散剤:BYK-LP N 21324(BYK社製;固形分換算) 7.5部;
樹脂(B):樹脂B-1(固形分換算) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.5部;
【0302】
(合成例8)
〔着色分散液(CD-3)の作製〕
以下の割合で各成分を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ300部を加えて振盪した後、ろ過によりジルコニアビーズを除去して着色分散液(CD-3)を作製した。
着色剤(A):着色剤(Ia124) 4部;
分散剤:BYK-LP N 6919(BYK社製;固形分換算) 7.5部;
樹脂(B):樹脂B-1(固形分換算) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.5部;
【0303】
(合成例9)
〔着色分散液(CD-4)の作製〕
以下の割合で各成分を混合し、直径0.2mmのジルコニアビーズ300部を加えて振盪した後、ろ過によりジルコニアビーズを除去して着色分散液(CD-4)を作製した。
着色剤(A):着色剤(IIa12) 4部;
分散剤:DISPERBYK-161(BYK社製;固形分換算) 7.5部;
樹脂(B):樹脂B-1(固形分換算) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.5部;
【0304】
(合成例10)
〔樹脂B-2の作製〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、乳酸エチル141部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート178部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)25部、N-シクロヘキシルマレイミド137部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート338部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビスイソブチロニトリル5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88部に溶解した溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度23mPas、固形分25.6%の共重合体(樹脂B-2)溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は8.0×103、分散度2.1、固形分換算の酸価は109mg-KOH/gであった。樹脂B-2は、以下の構造単位を有する。
【0305】
【化28】
【0306】
(実施例1~9、比較例1~4)
〔着色硬化性樹脂組成物の作製〕
表5に示す組成となるように各成分を混合して、各々の着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0307】
【表5】
【0308】
表5中、各成分は以下の化合物を表す。
酸化防止剤(Ph-1):3,9-Bis{2-[3-(3-tert-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propionyloxy]-1,1-dimethylethyl}-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane(GA-80:住友化学(株)製)
酸化防止剤(Am-1):2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl methacrylate(LA-87:(株)ADEKA製)
酸化防止剤(P-1):トリフェニルホスフィン
一重項酸素クエンチャー(Cu-1):クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]銅(I)
樹脂(B-2):樹脂B-2(固形分換算)
重合性化合物(C-1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)
重合開始剤(D-1):N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン(PBG-327;オキシム化合物;常州強力電子新材料(株)製)
溶剤(E-1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(E-2):ジアセトンアルコール
溶剤(E-3):シクロヘキサノン
レベリング剤(F-1):ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンSH8400」)
【0309】
〔カラーフィルタ(着色塗膜)の作製〕
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物をポストベーク後の膜厚が2.0μmになるようにスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、組成物層を形成した。放冷後、基板上に形成された組成物層に、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。得られた着色塗膜について、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて膜厚を測定したところ、2.0μmであることを確認した。
【0310】
〔色度の測定〕
着色塗膜の色度は、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて測定した分光と、C光源の特性関数とから、CIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と刺激値Yとして求めた。
【0311】
〔耐光性評価〕
得られた着色塗膜上に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38;ホヤ社製;380nm以下の光をカットする)を配置し、耐光性試験機(SUNTEST CPS+:東洋精機社製)にてキセノンランプ光を48時間照射した。
耐光性試験前後で色度の測定を行い、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△Eab*を計算した。なお色差△Eab*はその小さいほど色変化が小さいことを意味し、耐光性が高いことを意味する。結果を表6に示す。
また、耐光性試験前後において測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)で測定した分光から極大吸光度を求め、下記式に従って極大吸光度の維持率を計算した。
吸光度維持率(ΔAbs.Max)=耐光性試験後の極大吸光度/耐光性試験前の極大吸光度×100(%)
吸光度維持率が高いほど耐光性が高いことを意味する。結果を表7に示す。
【0312】
【表6】
【0313】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0314】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、耐光性に優れるカラーフィルタを形成することができる。