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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】給水装置、及び、給水装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
F04D15/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021038124
(22)【出願日】2021-03-10
(62)【分割の表示】P 2016091001の分割
【原出願日】2016-04-28
(65)【公開番号】P2021092225
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-03-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】金田 一宏
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】柿崎 拓
【審判官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-52532(JP,A)
【文献】特開2004-270451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D15/00
F04B53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水対象に給水するための給水装置であって、
水を移送する少なくとも1台のポンプと、
前記ポンプを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、不揮発性メモリ、前記ポンプの運転状態に関する運転情報が入力される入力部、及び、外部表示器に表示する表示用情報を外部と通信するように構成された通信部、を有し、
前記不揮発性メモリには、前記給水装置の構成を示す機種名または型番を示す機種識別情報を含む装置情報が記憶され、
前記表示用情報は、給水装置における複数の装置情報において最も運転情報が多くなる装置構成に対応してメモリ領域が確保されているメモリに格納され、前記給水装置の複数の構成に対応できるように様式が定められた情報であり、
前記制御部は、前記不揮発性メモリに記憶された前記装置情報に含まれる前記機種識別情報と前記入力部に入力された前記運転情報とに基づいて前記表示用情報を設定し、前記表示用情報を前記通信部にて外部と通信する、
給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、予め記憶された対応表を用いて、前記機種識別情報から前記装置情報に含まれていない給水装置の構成に関する情報を取得し、取得した前記給水装置の構成に関する情報を前記表示用情報として設定する、
請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記表示用情報は、前記運転情報に含まれる前記ポンプの運転/停止状態、前記ポンプの回転数、前記ポンプの積算運転時間、前記ポンプの運転回数、前記ポンプの吐出側圧力、前記ポンプの吸込側圧力、及び、ユーザーにより設定されて前記ポンプを制御するのに
用いられる設定情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記装置情報は、個別の給水装置を識別するためのシリアル番号を含む、請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記不揮発性メモリとは別にメモリを有し、前記給水装置の起動時に前記不揮発性メモリに記憶された前記装置情報を前記メモリに記憶する、
請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記表示用情報を前記外部表示器に直接に送信する、または、前記表示用情報を遠方監視器に送信して前記遠方監視器を介して前記表示用情報を前記外部表示器に送信する、
請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項7】
前記運転情報の少なくとも一部を表示する表示部を更に備える、請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記通信部は、前記外部表示器から電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部である、請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項9】
前記通信部は、前記表示用情報を近距離無線通信(NFC)によって外部に送信する、請求項1からの何れか1項に記載の給水装置。
【請求項10】
給水装置の制御方法であって、
前記給水装置の構成を示す機種識別情報を含む装置情報を、前記給水装置が備える不揮発性メモリに記憶するステップと、
前記不揮発性メモリに記憶された前記装置情報に含まれる前記機種識別情報と前記給水装置におけるポンプの運転状態に関する運転情報とに基づいて外部表示器に表示する表示用情報を設定するステップと、
前記設定した表示用情報を前記給水装置から外部に送信するステップと、
を含み、
前記表示用情報は、給水装置における複数の装置情報において最も運転情報が多くなる装置構成に対応してメモリ領域が確保されているメモリに格納され、前記給水装置の複数の構成に対応できるように様式が定められた情報である、
給水装置の制御方法。
【請求項11】
前記装置情報は、個別の給水装置を識別するためのシリアル番号を含む、請求項10に記載の給水装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置、及び、給水装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、建物等の給水対象に水道水を供給するために広く使用されている。給水装置の給水方式としては、水道本管の水を一旦受水槽に貯留し、受水槽の水を給水対象へポンプにて圧送する受水槽方式、及び、水道本管の本管圧を利用しポンプにて増圧することにより給水対象へ水を供給する直結給水方式などが知られている。給水装置では、制御部によりポンプが制御され、例えばポンプの吐出側圧力に基づいて推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御が行われる。また、給水装置が複数台のポンプを備える場合には、給水量に応じて運転ポンプの台数制御、及び、起動するポンプをローテーションする制御が行われる。
【0003】
給水装置の運転状態に関する情報の表示は、一般的に、給水装置に設けられている運転パネルによって行われる。ここで、給水装置は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズが多い環境に設置されることがあり、運転パネルには電気的ノイズに強い7セグメントLEDおよび表示灯などが使用される。このため運転パネルは比較的簡略化された構成になり、ユーザーに一度に伝達できる情報量が限られていた。これに対して、従来、給水装置に液晶ドットマトリックス表示器を備え、制御部の動作状況を液晶ドットマトリックス表示器にて表示することが提案されている。
【0004】
また、従来、携帯端末にて操作することができる給水装置が提案されている。携帯端末にて給水装置を操作することにより、給水装置の運転パネルを簡略化することができるとともに、携帯端末の操作部を利用して給水装置に不慣れなユーザーでも容易に給水装置を操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-173522号公報
【文献】特開2005-171788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の外部表示器が広く使用されており、給水装置から外部表示器に情報を送信して外部表示器にて情報を表示することが考えられる。これにより、専用の表示用端末を設けなくてもユーザーに伝達できる情報量を増やすことができる。しかし、外部表示器に表示したい内容は、ポンプの台数および給水方式など給水装置の構成によって異なり、給水装置ごとに表示用のソフトウェアを用意することは困難である。また、複数の給水装置を監視する作業員にとって給水装置ごとに専用のソフトウェアを起動することは煩雑となる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、汎用性の高い表示用情報を外部表示器と通信できる給水装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給水装置は、給水対象に給水するための給水装置であって、水を移送する少なくとも1台のポンプと、ポンプを制御する制御部と、を備える。制御部は、書き換え可能
な不揮発性メモリ、ポンプの運転状態に関する運転情報が入力される入力部、及び、外部表示器に表示する表示用情報を外部に送信するように構成された通信部、を有する。不揮発性メモリには、ポンプの台数、給水方式、及び、給水装置の構成を示す機種識別情報、のうちの少なくとも1つを含む装置情報が記憶される。そして、制御部は、不揮発性メモリに記憶された装置情報と入力部に入力された運転情報とに基づいて表示用情報を設定し、表示用情報を通信部にて外部と通信する。
かかる構成により、本発明の給水装置は、不揮発性メモリに記憶されている装置情報に基づいて表示用情報を設定する。これにより、汎用性の高い表示用情報を外部表示器と通信することができる。そして、給水装置から表示用情報を受信した外部表示器は、装置情報ごとの専用のソフトウェアによらず、汎用性の高いソフトウェアを用いて表示用情報を表示することができる。
【0009】
また、表示用情報は、所定台数のポンプに対するそれぞれの運転状態に関する情報を含んでもよい。そして、制御部は、装置情報に基づいてポンプの台数を認識したときには、所定台数のポンプのうち認識した台数のポンプについては入力部に入力された運転情報に基づいて表示用情報を設定し、残りのポンプについてはポンプが存在しないことを示す情報を表示用情報として設定してもよい。
こうすれば、給水装置のポンプの台数が異なっていても、汎用性の高い表示用情報を外部に送信することができる。
【0010】
また、制御部は、装置情報に基づいて給水方式を認識したときに、ポンプの吸込口が直接に水道本管と接続されているときには入力部に入力された運転情報に基づいてポンプの吸込側圧力を表示用情報として設定してもよい。
こうすれば、吸込側圧力の表示の有無の認識にて給水方式の設定を確認しなくても直結給水であると認識することができる。
【0011】
また、装置情報には、機種識別情報が含まれなくてもよい。そして、制御部は、不揮発性メモリに記憶された装置情報に基づいて機種識別情報を判別し、判別した機種識別情報を表示用情報として設定してもよい。
こうすれば、不揮発性メモリに記憶された装置情報に基づいて、外部表示器において機種識別情報を表示することができる。
【0012】
また、表示用情報は、ポンプの運転/停止状態、ポンプの回転数、ポンプの積算運転時間、ポンプの運転回数、ポンプの吐出側圧力、ポンプの吸込側圧力、及び、ユーザーにより設定されてポンプを制御するのに用いられる設定情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
また、制御部は、不揮発性メモリとは別にメモリを有してもよい。そして、制御部は、給水装置の起動時に不揮発性メモリに記憶された装置情報をメモリに記憶してもよい。
【0014】
また、通信部は、表示用情報を外部表示器に直接に送信してもよいし、表示用情報を遠方監視器に送信して遠方監視器を介して表示用情報を外部表示器に送信してもよい。
【0015】
また、運転情報の少なくとも一部を表示する表示部を更に備えてもよい。
【0016】
また、通信部は、外部表示器から電波を受信して該電波を電力に変換する制御部側アンテナ部であってもよい。
【0017】
また、通信部は、表示用情報を近距離無線通信(NFC)によって外部に送信してもよい。
【0018】
本発明の給水装置の制御方法は、給水装置のポンプの台数、給水方式、及び、給水装置の機種識別情報、のうちの少なくとも1つを含む装置情報を、給水装置が備える不揮発性メモリに記憶するステップを含む。また、制御方法は、不揮発性素子に記憶された装置情報とポンプの運転状態に関する運転情報とに基づいて外部表示器に表示する表示用情報を設定するステップと、設定した表示用情報を給水装置から外部に送信するステップと、を含む。
かかる構成により、本発明の給水装置の制御方法は、上記した本発明の制御装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る給水装置の一例を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る給水装置の一例を示す正面図ある。
図3】本発明の実施形態に係る給水装置の一例を示す左側面図である。
図4】制御部の一例を示す概略ブロック構成図である。
図5】制御部により実行される表示用データ設定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】給水装置の電源がオンされた直後の不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。
図7図5中ステップS100の処理が実行されたときの不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。
図8図5中ステップS110の処理が実行されたときの不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。
図9図5中ステップS120の処理が実行されたときの不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。
図10】変形例の制御部および外部表示器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1図3は本発明の実施形態に係る給水装置の一例を示す模式図であり、図1は平面図、図2は正面図、図3は左側面図である。図示するように給水装置10は、ベース20の上に、二台のポンプ30A,30Bと、これらポンプ30A,30Bの中間に配置される圧力タンク50とが載置されている。また、給水装置10は、ポンプ30A,30Bの吐出側に接続される吐出配管40と、圧力タンク50の上部に設置される制御盤60とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0021】
まず、給水装置10の建物への給水方式としては、水道本管の水を一旦受水槽に貯留し、受水槽の水を給水対象へポンプにて圧送する受水槽方式、及び、水道本管の本管圧を利用しポンプにて増圧することにより給水対象へ水を供給する直結給水方式などがある。また、給水対象への給水方式としては、ポンプにて増圧した水を直接圧送する直送式、または、ポンプにて増圧した水を屋上のタンクに一旦貯留し、自然流下にて給水を行う高置水槽方式等がある。
【0022】
ベース20は略矩形の平板状で、長手方向の両側辺は下方向に折り曲げられた後に外方向に折り曲げられることで、L字状の固定辺23,23を構成している。
【0023】
ポンプ30A,30Bは、それぞれポンプ部31A,31Bと、これらを駆動するモータ部33A,33Bとを備えている。ポンプ部31A,31Bの手前側の端面には、図示しない受水槽または水道本管から分岐した供給管(不図示)を接続する吸込部35A,35Bが設けられ、またポンプ部31A,31Bの上面には吐出部37A,37Bが設けられ
ている。なお、直結給水方式の場合には、吸込部35A,35Bが水道本管から分岐した供給管に逆流防止装置(不図示)を介して接続され、供給管には、水道本管の圧力を検出する図示しない圧力センサが設けられる。以下、供給管に設けられる水道本管の圧力を計測する圧力センサにより検出される圧力値を「吸込側圧力」という。
【0024】
吐出配管40は略T字状の配管であり、両ポンプ30A,30Bの吐出部37A,37Bに、フロースイッチ49A,49B、及びチェッキ弁(逆止弁)47A,47Bを介してその両端が接続されている。また吐出配管40の中央には吐出集合管43が設けられている。これによって両ポンプ30A,30Bの吐出側は並列に接続され、両ポンプ30A,30Bの吐出流体は吐出集合管43にて合流する。またチェッキ弁47A,47Bによって、ポンプ30A,30Bが停止したときに吐出配管40内の水がポンプ30A,30B側に逆流しない。また吐出配管40の中央の下部にはこの吐出配管40を圧力タンク50に連結する連結配管45が取り付けられ、さらに吐出配管40には配管内圧力を検出する圧力センサ48が取り付けられている。そして圧力タンク50とチェッキ弁47A,47Bの効果によって、ポンプ30A,30Bが停止した後の吐出配管40内の圧力は、水が使用されない限り一定圧力に保持される。以下、圧力センサ48により検出される圧力値を「吐出側圧力」という。
【0025】
制御盤60は、ケース61内に、ポンプの運転制御を行う各種電気回路からなる制御部65を内蔵して構成されている。この制御部65は、外部表示器80と有線または無線により通信する通信部73を備えている。外部表示器80としては、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器、または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。
【0026】
図4は、制御部の一例を示す概略ブロック構成図である。図示するように、制御部65は、制御用メモリ66と、通信用メモリ67と、不揮発性メモリ68と、演算部69と、I/O部(入力部および出力部)70と、設定部71と、表示部72と、通信部73と、を備えている。設定部71及び表示部72は、給水装置10の運転パネル79に備えられている。また、通信用メモリ67および不揮発性メモリ68は、通信部73に含まれるものとしている。ただし、こうした例に限定されず、例えば通信部73、通信用メモリ67、及び不揮発性メモリ68は、別々に構成されてもよい。
【0027】
また、図3のように制御部65は通信部73と別々の基板としてもよい。その場合は、制御部65と通信部73はシリアル通信や信号線等にて接続される。制御部65に制御用メモリ66と不揮発性メモリ68を配置し且つ通信部73に通信用メモリ67を配置する構成としてもよいし、または、制御部65に制御用メモリ66を配置し且つ通信部73に通信用メモリ67と不揮発性メモリ68を配置する構成としてもよい。制御部65と通信部73を別々の基板とした場合は、給水装置10から離れた場所(例えば、管理人室や遠隔監視室等)に設置し、制御部65とシリアル通信や信号線等で接続された遠隔監視器内に通信部73を構成してもよい。または、制御部65に制御用メモリ66と不揮発性メモリ68を配置し且つ通信部73に通信用メモリ67と不揮発性メモリ(不図示)を配置する構成としてもよい。
【0028】
設定部71は、外部操作により、給水を行うのに必要な各種設定値(設定情報)を設定するのに使用される。設定部71において設定された各種設定値は、制御用メモリ66に記憶され、更には不揮発性メモリ68に記憶される。一例として、ユーザーは、設定部71を介して、停止圧力、始動圧力、及び、その他制御に必要な情報を入力できるようになっている。また、本実施形態では設定部71には、リセットボタン74、および、クリアボタン75が備えられている。クリアボタン75の押下により、制御部65は、表示部72の表示の警報等の表示のみをクリアする。また、リセットボタン74の押下により、制
御部65は、異常情報およびメンテナンス情報(例えば、運転時間、始動回数、消耗部品の使用期間、故障履歴)などのデータをリセットする。
【0029】
表示部72は、ユーザーインターフェースとして機能し、制御用メモリ66又は通信用メモリ67に格納されている設定値等の各種データや、現在のポンプ30A,30Bの運転状況(運転情報)、例えばポンプ30A,30Bのそれぞれの運転または停止、運転周波数、電流、吸込側圧力、吐出側圧力、モータ部33A,33Bを駆動するインバータのトリップ、吸入側圧力低下警報、及び、受水槽警報等を表示する。
【0030】
不揮発性メモリ68としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等のメモリが使用される。不揮発性メモリ68には、給水装置10を制御するための制御プログラム、給水装置10の装置情報、故障履歴、運転履歴、及び、設定部71を通じて入力されたデータ等が格納されている。ここで、給水装置10の装置情報としては、ポンプの台数、ポンプの口径、ポンプの出力、給水方式、および、給水装置の機種名などの少なくとも1つが含まれ、予め工場出荷時に不揮発性メモリ68に記憶されていてもよいし、給水装置10の設置時に作業員によって記憶されてもよい。ここで、ポンプの出力は、モータ部33A,33Bの容量やモータ部33A,33Bを駆動するためのインバータの容量等にて代用してもよい。また、故障発生時には故障履歴、定期的に給水装置10の運転履歴等の情報も不揮発性メモリ68に記憶される。
【0031】
給水装置10の装置情報は給水装置の構成によって決まるため、間違った設定を行うと正常な給水が出来なくなる虞がある。よって、本実施形態では、不揮発性メモリ68に記憶されている装置情報は、外部表示器80からの指令および設定部71の操作によって変更できないものとする。もしくはパスワード等により権限を設け、装置情報の変更可能な権限を持ったユーザーのみが変更可能とする。
【0032】
制御用メモリ66及び通信用メモリ67としては、RAM等の揮発性メモリが使用される。また、給水装置10の制御プログラムに支障のない程度、データ読み書きにおけるアクセス時間が短いメモリであれば揮発性メモリでなくてもよい。制御用メモリ66には、給水装置10の運転制御を行うための情報が格納され、通信用メモリ67には、外部表示器80等に送受信するためのデータが格納される。なお、制御用メモリ66と通信用メモリ67とは、別々の回路基板または回路素子で構成されてもよいし、1つの回路基板または回路素子における仮想的な区別であってもよい。制御部65は、給水装置10が電源オンされたときに不揮発性メモリ68に記憶されている装置情報および設定情報を読み込み、必要な情報を制御用メモリ66に記憶する。制御用メモリ66には、各種データ、例えば演算部69における演算結果のデータ(運転時間、積算値等)、圧力値(吸込側圧力、吐出側圧力)、設定部71を通じて入力された設定データ、及びI/O部70を通じて入力される、またはI/O部70を通じて出力されるデータ等が格納される。
【0033】
I/O部70としては、ポート等が使用される。I/O部70は、圧力センサ48の入力信号、及び、フロースイッチ49A,49Bの信号等を受け入れて演算部69に送る。演算部69としては、CPUが使用される。演算部69は、制御用メモリ66に格納されているプログラム及び各種データ、並びにI/O部70から入力される信号に基づいて、ポンプ30A,30Bを運転するための各種データの設定、計時、及び、演算等を行う。演算部69からの出力は、I/O部70に入力される。
【0034】
また、I/O部70とポンプ30A,30Bを駆動するインバータとは、RS422,232C,485等の通信手段により互いに接続される。I/O部70からポンプ30A,30Bへは、各種設定値や周波数指令値、発停信号(運転・停止信号)などの制御信号がインバータへ送られ、ポンプ30A,30BからI/O部70へは、実際の周波数値や
電流値等の運転状況(運転情報)がインバータから逐次送られる。
【0035】
なお、I/O部70とポンプ30A,30Bを駆動するインバータとの間で送受信される制御信号としては、アナログ信号および/またはデジタル信号を用いることができる。例えば、回転周波数等にはアナログ信号を用い、運転停止指令等にはデジタル信号を用いることができる。また、30A,30Bの可変速制御を行わない場合はインバータはなくてもよい。
【0036】
通信部73は、有線通信または無線通信によって外部表示器80と通信可能なように構成されている。無線通信としては、例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を利用することができる。また、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fiなど、任意の方式の無線通信を利用することができる。ただし、NFCは、制御部65と外部表示器80とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、有線通信としては、例えば制御部65にUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部表示器80が接続されることによって通信がなされてもよいし、RS422,232C,485等のシリアル通信を用いてもよい。
【0037】
本実施形態では、表示部72として、7セグメントLED及び表示灯などの簡易な表示器を採用することができる。また、外部表示器80として、タッチ入力方式または押圧ボタン方式を用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、表示部72には簡易な情報を表示でき、外部表示器80には大きな情報量の情報を表示できる。こうした構成により、外部表示器80に、制御部65によるポンプ30A,30Bの運転状況に関した情報など(例えば、目標圧SV、現在圧PV、ポンプ30A,30Bの運転・停止、及び、ポンプ30A,30Bの周波数など)を同一画面上に表示することによって、給水装置に不慣れなユーザーも誤解することなく、給水装置10の状態を認識することができる。また、給水装置10は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部72として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、外部環境から発生される電気的なノイズによって外部表示器80の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示部72により給水装置10の運転に必要な最低限度の表示および操作を行うことができる。したがって、給水装置10を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。
【0038】
さらに、外部表示器80として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器を採用した場合には、これらの機器に、外部表示器80として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアをユーザーのレベル又は目的に沿って複数用意してもよい。
【0039】
なお、制御部65に運転パネル79(表示部72)が設けられずに、外部表示器(高機能表示器)80のみが設けられてもよい。この場合、上述した運転パネル79の機能は外部表示器80にて全て実施可能とする。給水装置10には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置10全体のコストを更に下げることが可能である。また、運転パネル79の設定部71にリセットボタン74及びクリアボタン75が備えられず、代わりに、外部表示器80にリセットボタン(不図示)又はクリアボタン(不図示)が備えられてもよい。外部表示器80上のクリアボタンを押すと、外部表示器80上に表示されている表示が消去される。
【0040】
次に、制御部65による給水装置10の制御について説明する。ポンプ30A,30Bが停止している状態で吐出側圧力が所定の始動圧力にまで低下すると、制御部65はポンプ30A,30Bの少なくとも一方を始動させる。具体的には、制御部65はポンプ30A,30Bの駆動を開始するようにモータ部33A,33B(インバータを備える場合にはインバータ)に指令を出す。ポンプ30A,30Bの運転中は、設定された圧力(設定圧)により推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などの制御が行われる。具体的には推定末端圧力一定制御の場合はポンプ30A,30Bの回転数と目標圧力制御カーブとを用いて目標圧(SV)を設定し、目標圧力一定制御の場合は設定圧を目標圧(SV)とする。また、吐出側圧力を現在圧(PV)とする。そして、SVとPVの偏差にてPID演算を行いポンプ30A,30Bの指令回転数が設定される。なお、直結給水にて推定末端圧力一定制御を行う場合、吸込側圧力に基づいて目標圧力制御カーブを補正してもよい。具体的には目標圧力制御カーブを吸込側圧力だけ加算し、目標圧(SV)を算出する。また、制御部65は、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合は、同時に起動可能なポンプ台数(ポンプ並列運転台数)にて水量に応じたポンプの台数制御も行われる。
【0041】
ポンプ30A,30Bの運転中に建物での水の使用が少なくなると、フロースイッチ49A,49Bは、過少水量を検出し、その検出信号を制御部65に送る。制御部65はこの検出信号を受け、ポンプ30A,30Bに指令を出して吐出側圧力が所定の運転停止圧力に達するまでポンプ30A,30Bの回転数を増加させ、圧力タンク50に蓄圧した後ポンプ30A,30Bを停止(小水量停止)させる。ポンプ30A,30Bが小水量停止した後に、再び建物内で水が使用されると吐出側圧力が始動圧力以下まで低下しポンプ30A,30Bが始動する。なお、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合には、始動するポンプ30A,30Bをローテーションさせ、ポンプ30A,30B内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。また、小水量を検知する方法としては、フロースイッチ49A,49Bを用いずに、モータ部33A,33Bの電流値による低負荷や締切圧力等その他の手段を用いてもよい。
【0042】
図5は、制御部により実行される表示用データ設定処理の一例を示すフローチャートである。制御部65は、給水装置10の電源がオン(給水装置10が起動)されると、まず不揮発性メモリ68に記憶されている装置情報および設定情報を読み込んで必要な情報を制御用メモリ66に記憶する(ステップS100)。続いて、制御部65は、制御用メモリ66に記憶された装置情報および設定情報に基づいて、上記したように給水装置10の制御を行う。このときには、制御部65は、ポンプ30A,30Bの運転状態に関する情報(運転情報)をI/O部70を通じて取得して制御用メモリ66に格納する(ステップS110)。また、制御部65は、制御用メモリ66に記憶されている装置情報、設定情報、および、運転情報に基づいて、通信部73から送信するための表示用情報を設定して通信用メモリ67に記憶する(ステップS120)。そして、制御部65は、給水装置10の電源がオフされるまで、ステップS110,S120の処理を繰り返し実行する。こうして設定された表示用情報は、給水装置10が外部表示器80と通信接続されたときに、通信部73を通じて外部表示器80へ送信される。なお、本実施形態では、制御部65は、I/O部70からの運転情報の入力に伴って逐次通信用メモリ67に表示用情報を設定して記憶するものとしている。しかし、こうした例に限定されず、制御部65は、所定期間毎(例えば、数秒毎、数分毎など)に表示用情報を設定して通信用メモリ67に記憶してもよいし、外部から指令があったときに表示用情報を設定して通信用メモリ67に記憶してもよい。
【0043】
図6は、給水装置10の電源がオンされた直後の不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。また、図7図9のそれぞれは、図5中ステップS100~S120の処理が実行されたときの不揮発性メモリ、制御用メモリ、及び、通信用メモリに格納されているデータの一例を示す図である。なお
図6~9中、枠内の左右に縦線が記載されているメモリ領域は、初期値が格納されていることを示す。
【0044】
図6に示すように、不揮発性メモリ68に記憶されている情報は電源が供給されていないときにも保持される。一例として、図6に示す例では、不揮発性メモリ68には、装置情報として、ポンプ台数(2台)、給水方式(受水槽方式)、ポンプ口径(30mm)、ポンプ出力(3kW)が格納されている。また、不揮発性メモリ68には、設定情報として、各種設定値が格納されている。
【0045】
一方、本実施形態では、給水装置10に電源が供給されていないときには制御用メモリ66および通信用メモリ67の記憶は保持されず、それらのメモリ領域には電源起動時に初期値を格納する。ここで、本実施形態では、制御用メモリ66および通信用メモリ67の運転情報を格納するメモリ領域は、多機種の給水装置に対応できるように構成されている。つまり、想定される装置情報において最もデータ量が大きくなる装置情報に対応してメモリ領域が構成されている。例えば、本実施形態の給水装置10は、ポンプ台数が2台であるが、所定台数(図6に示す例では6台)のポンプの運転状態に関する情報を記憶できるようにメモリ領域が確保されている。また、本実施形態の給水装置10は、給水方式が受水槽方式であり、吸込側圧力を検出する圧力センサを有していないが、直結給水方式の給水装置にも対応できるように、吸込側圧力を格納するメモリ領域が確保されている。これにより、給水装置が直結給水方式である場合には、制御部65は、検出された吸込側圧力を制御用メモリ66に記憶することができる。こうしたメモリ構成により、給水装置10の装置構成によらず制御用メモリ66および通信用メモリ67に記憶される情報の大きさ及び並び順などの様式を統一することができる。また、図6~9に示す例では、運転情報としてポンプの情報、吸込側圧力、吐出側圧力が示されているが、こうした例に限定されず、目標圧SV、現在圧PV、運転モード、消耗部品の使用期間、及び、故障履歴などが含まれてもよい。さらに、ポンプの情報としては、ポンプの運転/停止、指令周波数、検出周波数、積算運転時間、及び、運転回数などのうち、少なくとも1つが含まれる。
【0046】
制御部65は、給水装置10の電源がオンされると、図5中ステップS100の処理を実行する。これにより、図7に示すように、不揮発性メモリ68の装置情報および設定情報が読み込まれて制御用メモリ66の所定のメモリ領域に格納される。
【0047】
続いて、制御部65により給水装置10の制御が行われ、制御用メモリ66には、図8に示すように、ポンプ30A,30Bの運転情報が格納される。ここで、本実施形態では、制御用メモリ66への運転情報の格納は、不揮発性メモリ68から読み込んだ装置情報に基づいて行われるものとした。例えば、本実施形態ではポンプ台数が2台であるため、制御部65は、2台のポンプ30A,30Bについて制御用メモリ66に運転情報を格納する。また、制御部65は、残りのポンプ(所定台数から2台を除いた4台のポンプ)について情報を変更することなく初期値のままとする。さらに、本実施形態では給水方式が受水槽方式であるため、吐出側圧力を更新し、吸込側圧力は更新しない。こうした制御により、I/O部70が存在しない運転情報に対応する入力ポートを有すると共に存在しない運転情報がノイズなどによって入力された場合にも、制御用メモリ66に運転情報が格納されることを防止できる。また、本実施形態では、制御用メモリ66に記憶されている運転情報が初期値のときには、その運転情報が存在しないことを示すものとしている。この初期値としては、各運転情報の正常値から外れた値とすればよい。なお、制御部65は、運転情報が存在しないメモリ領域には、その旨を示す情報を更新して記憶してもよい。ただし、運転情報が存在しないことを初期値で示すと、制御用メモリ66の書き込み量を減らすことができる点で有利である。
【0048】
そして、制御部65は、装置情報と運転情報とに基づいて表示用情報を設定して通信用
メモリ67に格納する。図9に示す例では、制御部65は、制御用メモリ66に記憶されている情報をそのまま表示用情報として通信用メモリ67に格納している。しかし、こうした例に限定されず、制御部65は、予め定められている並び順に運転情報の並び替えを行ってもよいし、外部表示器80の受信に適した様式に情報を変換してもよい。また、表示用情報は、暗号化処理等がなされていてもよい。こうして通信用メモリ67に記憶された表示用情報は、給水装置10が外部表示器80と通信接続されたときに、通信部73を通じて外部表示器80へ送信される。表示用情報は、不揮発性メモリに記憶されていた装置情報に基づいて設定されているため、複数の装置情報に対応できるように予め定められた統一された様式とするなど、汎用性の高い情報とすることができる。このため、表示用情報を受信した外部表示器80は、装置情報ごとの専用のソフトウェアによらず、汎用性の高いソフトウェアを用いて表示用情報を表示することができる。
【0049】
(変形例)
図10は、変形例の制御部および外部表示器を示す図である。変形例の制御部65Aは、通信部73に代えて、制御部側アンテナ部76を備えている点、および制御部側アンテナ部76に接続された集積回路77を備えている点で、実施形態の制御部と異なっている。また、図10に示す例では、実施形態の制御用メモリ66、通信用メモリ67、および、不揮発性メモリ68は、記憶部78に含まれる。集積回路77は、記憶部78に電気的に接続されている。なお、図10に示す制御部65Aは表示部72を備えていないが、表示部72を備えてもよい。また、変形例の制御部65Aは、ポンプ30A,30B等の給水装置10の他の構成と一体に設けられていてもよいし、給水装置10のデータを中継するための装置として給水装置10の他の構成から離れて設けられてもよい。
【0050】
変形例の外部表示器80は、電波を送受信する表示器側アンテナ部81と、表示部82と、バッテリー83と、データリーダー84と、を備えている。この外部表示器80では、表示器側アンテナ部81で受信した表示用情報がデータリーダー84で読み取られる。そして、データリーダー84で読み取られた表示用情報(例えば、目標圧SV、現在圧PV、ポンプ30A,30Bの周波数など)が表示部82で表示される。バッテリー83は、表示器側アンテナ部81、データリーダー84、および表示部82に電力を供給する。
【0051】
外部表示器80として、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器を用いてもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器を用いてもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に給水装置10の状態を表示させることができるので、ユーザーのレベル又は目的に沿った表示操作を提供することが可能である。たとえば、マンションまたはビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対して、ポンプ30A,30Bの制御に関する情報などを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
【0052】
外部表示器80は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部65Aと接続される。より具体的には、外部表示器80を制御部65Aに近づけた状態で、表示器側アンテナ部81が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部76が受け取り、制御部側アンテナ部76は電波を電力に変換する。この電力は集積回路77および記憶部78に供給されてこれら集積回路77および記憶部78を駆動する。集積回路77は、記憶部78に記憶されている表示用情報を読み取り、制御部側アンテナ部76にデータを送る。制御部側アンテナ部76は、データとともに電波を表示器側アンテナ部81に送信する。データリーダー84は、表示器側アンテナ部81が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部82に表示させる。
【0053】
外部表示器80は、表示を消去するためのクリアボタン86と、データをリセットするためのリセットボタン(不図示)を備えていてもよい。ユーザーがクリアボタン86を押すと、表示部82の表示が消去される。また、リセットボタンを押すと、リセット信号が制御部65Aに送信され、リセット信号を受信した制御部65Aは、メンテナンス情報などのデータをリセットする。本実施形態のクリアボタン86は、表示部82の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン86は表示部82の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。変形例の制御部65Aは、リセットボタンを備えていないが、制御部65Aにクリアボタン、リセットボタンを設けてもよい。
【0054】
変形例では、制御部65Aの記憶部78に記憶されている表示用情報は、無線通信により制御部65Aから外部表示器80に送られる。変形例によれば、給水装置10の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部76は外部表示器80から発せられる電波から電力を発生し、集積回路77および記憶部78を駆動することができる。したがって、給水装置10のメンテンナンス中などにおいて制御部65Aに電力が供給されていないときでも、外部表示器80は、制御部65Aの記憶部78から表示用情報を取得して表示することができる。
【0055】
NFCは、数cmの近距離にて相互通信する技術である。変形例の制御部65Aが給水装置10の他の構成と一体に設けられている場合、外部表示器80に各種情報を表示するときには、ユーザー及びメンテナンス員は、相互通信可能な距離まで外部表示器80を制御部65Aに近づけることになる。このことは、外部表示器80を操作するときは、ユーザーおよびメンテナンス員は給水装置10の近くにいることを意味する。このため、例えば消耗品の交換作業中にリセットボタンが押されてポンプが起動するといった誤操作に起因した給水装置10の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水装置10が設置された現場では、表示したい給水装置10の近距離で相互通信が可能となる為、意図しない別の給水装置の状態を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
【0056】
なお、図4において、通信部73は、公衆回線やネットワーク、専用回線等を介して、保守管理会社または管理人室に設けられた遠隔監視装置(例えば、パソコン、スマートフ
ォン、又は、専用モニター)と通信してもよい。この場合、表示用情報等が、通信部73
から遠隔監視装置に送信される。遠隔監視装置は、表示用情報を表示する表示部を備えてもよい。また、遠隔監視装置は給水装置10から受信した表示用情報を、外部表示器80に送信してもよい。また、外部表示器80および遠隔監視装置は、給水装置10から受信した表示用情報を外部サーバに送信して記憶させてもよい。
【0057】
また、装置情報には、給水装置10の構成を示す機種識別情報(例えば機種名、型番など)が含まれてもよい。また、制御部65は、予め記憶された対応表を用いて、機種名から給水装置10の装置情報(例えば、ポンプの台数、ポンプの出力、ポンプの口径、及び、給水方式のうち、少なくとも1つの情報)を取得してもよい。反対に、制御部65は、不揮発メモリ68に記憶されている装置情報に基づいて、給水装置の機種識別情報を取得してもよい。そして、制御部65は、取得した装置情報または機種識別情報を表示用情報に設定して、外部表示器80に表示させてもよい。
【0058】
更には装置情報には、個別の給水装置10を識別するためのシリアル番号が含まれてもよい。また、外部表示器80および遠隔監視装置は、給水装置10から受信したシリアル番号を外部サーバに送信し、外部サーバに記憶されたシリアル番号に対応した給水装置10の装置情報(例えば、ポンプの台数、ポンプの出力、ポンプの口径、及び、給水方式のうち、少なくとも1つの情報)を取得してもよい。そして、取得した装置情報または機種識別情報にて、外部表示器80にデータ表示をさせてもよい。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10…給水装置
20…ベース
30A,30B…ポンプ
40…吐出配管
45…連結配管
48…圧力センサ
50…圧力タンク
60…制御盤
65,65A…制御部
66…制御用メモリ
67…通信用メモリ
68…不揮発性メモリ
69…演算部
70…I/O部
71…設定部
72…表示部
73…通信部
76…制御部側アンテナ部
77…集積回路
78…記憶部
79…運転パネル
80…外部表示器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10