(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/08 20060101AFI20240517BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20240517BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
C07F7/08 X
B01J31/02 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020175855
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-07-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】松本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】河津 貴大
(72)【発明者】
【氏名】崔 準哲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500321(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159756(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/141796(WO,A1)
【文献】特表2019-529670(JP,A)
【文献】特開2010-65221(JP,A)
【文献】特表2020-511400(JP,A)
【文献】Chemistry - An Asian Journal,2017年,Vol. 12, No. 11,p. 1208-1212
【文献】Polymer Preprints (American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry),2005年,Vol. 46, No. 1,p. 706-707
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/08
B01J 31/02
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を製造する方法であって、
【化1】
(式(B)中、R
1、R
2、R
3、および、R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、下記式(i)、(ii)、(iii)、若しくは、(iv)に示される基を示す。ただし、R
1、R
2、R
3、および、R
4のうちの少なくとも1つは下記式(i)、(ii)、(iii)、又は、(iv)を示す。)
【化2】
(式(i)、(ii)、(iii)、(vi)中、R
5、R
6および、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。ただし、R
5、R
6および、R
7のうちの少なくとも2つはメチル基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、式(ii)、(iii)中、mとnの和は0~8の整数である。)
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、下記式(A)で表される化合物の存在下、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンから不均化反応によりジメチルシランを生じさせる工程であって、前記ジメチルシランが前記式(A)で表される化合物と縮合反応し、式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成する工程を含む、製造方法:
【化3】
(式A中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、-OR
7、又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基を示し、R
1~R
4の少なくとも一つは-OR
7又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基である。R
7はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
【化4】
(式(v)、(vi)、(vii)、(viii)中、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、式(vi)、(vii)中、mとnの和は0~8の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、前記不均化反応および前記縮合反応が同一の反応容器内で行われる、製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法であって、
前記工程により得られたジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を精製する工程をさらに含む、製造方法。
【請求項4】
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として使用する方法であって、
アルコキシシランまたはシリルアルコールと1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンとを用いてジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を製造する方法において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法に関し、より詳しくは、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンを触媒量のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で不均化させることで発生させたジメチルシランとアルコキシシランまたはシラノールとの縮合によるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジメチルシランは常温常圧で気体であり、高い可燃性を有することから、その取り扱いには細心の注意を要する。例えば、ジメチルシランを充填したガスボンベをシリンダーキャビネット内に設置するなどのガス漏洩対策が必要となる。また、液相での合成反応に用いる場合には、気体であるため、所定量を反応溶液に正確に導入して反応させることが困難である。この困難さは反応スケールが少量になればなるほど顕著になる。
そのため、取り扱いの容易な前駆体からジメチルシランを発生させ、同一の反応容器内で目的とする反応に用いる手法が開発されている。例えば、Oestreichらは、触媒量のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で、シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イルジメチルシランからジメチルシランを発生させ、これを用いたアルケンのヒドロシリル化やアルコールとの脱水素縮合を報告している(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。しかし、シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イルジメチルシランの合成には、自然発火性物質であるアルキルリチウムを使用しなければならないという問題がある。
一方、安定で取り扱いの容易な液体である1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンは、触媒量のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で不均化反応を起こし、ジメチルシランとヘキサメチルシクロトリシロキサンを生じることが知られている(特許文献2、非特許文献3参照)。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランはアルコキシシランとヒドロシランの脱炭化水素縮合によるシロキサン結合形成の触媒となることが報告されているが(非特許文献4参照)、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンの不均化反応により発生させたジメチルシランをアルコキシシランとの脱炭化水素縮合に用いた例は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州公開公報2845857号
【文献】米国特許第7148370号
【非特許文献】
【0004】
【文献】A.Simonneau,M.Oestreich,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,11905.
【文献】A.Simonneau,J.Friebel,M.Oestreich,Eur.J.Org.Chem.,2014,2077.
【文献】J.Chojnowsk,W.Fortuniak,J.Kurjata,S.Rubinsztajn,J.A.Cella,Macromolecules,2006,39, 3802.
【文献】J.Chojnowsk, S.Rubinsztajn, J.A.Cella, W.Fortuniak, M.Cypryk, J.Kurjata, K.Kazmierski, Organometallics 2005, 24, 6077-6084.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンの不均化によりジメチルシランを発生させる触媒であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが、アルコキシランとヒドロシランの脱炭化水素縮合によるシロキサン結合の形成反応の触媒としても知られていることに着目し、不均化反応を行う反応容器内にアルコキシシランを加えておくことで、不均化反応と脱炭化水素縮合が同時に進行して、目的とするジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を含む。
本発明の一態様は、
<1>下記式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を製造する方法であって、
【化1】
(式(B)中、R
1、R
2、R
3、および、R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、下記式(i)、(ii)、(iii)、若しくは、(iv)に示される基を示す。ただし、R
1、R
2、R
3、および、R
4のうちの少なくとも1つは下記式(i)、(ii)、(iii)、又は、(iv)を示す。)
【化2】
(式(i)、(ii)、(iii)、(iv)中、R
5、R
6および、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。ただし、R
5、R
6および、R
7のうちの少なくとも2つはメチル基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、式(ii)、(iii)中、mとnの和は0~8の整数である。)
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、下記式(A)で表される化合物の存在下、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンから不均化反応によりジメチルシランを生じさせる工程であって、前記ジメチルシランが式(A)で表される化合物と縮合反応し、前記式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成する工程を含む、製造方法に関する:
【化3】
(式A中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、-OR
7、又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基を示し、R
1~R
4の少なくとも一つは-OR
7又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基である。R
7はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
【化4】
(式(v)、(vi)、(vii)、(viii)中、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、式(vi)、(vii)中、mとnの和は0~8の整数である。)
【0007】
ここで、本発明の製造方法は一実施の形態において、
<2>上記<1>に記載の製造方法であって、前記不均化反応および前記縮合反応が同一の反応容器内で行われることを特徴とする。
また、本発明の製造方法は一実施の形態において、
<3>上記<1>または<2>のいずれかに記載の製造方法であって、
前記工程により得られたジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を精製する工程をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の別の態様は、
<4>トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として使用する方法であって、
アルコキシシランまたはシリルアルコールと1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンとを用いてジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を製造する方法において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として使用する方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、可燃性のガスであるため取り扱いが困難であるジメチルシランを直接用いることなく、安定で取り扱いの容易な液体である1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンの不均化反応によってジメチルシランを発生させて、これを同一の反応容器内でアルコキシシランなどとの縮合に用いることで、合成化学上有用なビルディングブロックであるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の簡便な製造方法が提供される。また、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンからジメチルシランを発生させるための触媒と発生したジメチルシランを用いる縮合の触媒が同一であるため、複数の触媒を用いる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例2の反応スキームの概要図を示す。
【
図2】
図2は、実施例5の反応スキームの概要図を示す。
【
図3】
図3は、実施例10の反応スキームの概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0011】
<ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法>
本発明の一態様であるジメチルシリル基を有する化合物の製造方法は、一実施の形態において、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、式(A)で表される化合物(アルコキシシランまたはシリルアルコールを含む化合物)の存在下で、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンから生じさせたジメチルシランが式(A)で表される化合物と縮合反応することで、式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成する反応工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明者らは、ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法について検討を重ねた結果、取り扱いが困難なジメチルシランガスを用いなくても、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンの不均化反応によって発生させたジメチルシランを用いることで、様々なアルコキシシランやシラノールとの縮合に用いることができ、合成化学上有用なビルディングブロックであるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の簡便な製造方法となり得ることを見出した。
【0013】
【化5】
(式A中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、-OR
7、又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基を示し、R
1~R
4の少なくとも一つは-OR
7又は、下記式(v)、(vi)、(vii)若しくは、(viii)で示される基である。R
7はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
【化6】
(式(v)、(vi)、(vii)、(viii)中、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、式(vi)、(vii)中、mとnの和は0~8の整数である。)
【0014】
【化7】
(式(B)中、R
1、R
2、R
3、および、R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、下記式(i)、(ii)、(iii)、若しくは、(iv)に示される基を示す。ただし、R
1、R
2、R
3、および、R
4のうちの少なくとも1つは下記式(i)、(ii)、(iii)、又は、(iv)を示す。)
【0015】
【化8】
(式(i)、(ii)、(iii)、(iv)中、R
5、R
6および、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。ただし、R
5、R
6および、R
7のうちの少なくとも2つはメチル基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、mとnの和が0~8の整数である。)
【0016】
なお一実施の形態において、式(A)で示される化合物は下記(C-i)~(C-viii)に示される化合物である。
【化9】
(式(C-i)、(C-ii)、(C-iii)、および、(C-iv)中、R
1、R
2、R
3、および、R
4はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、mとnの和が0~8の整数である。)
【0017】
【化10】
(式(C-v)、(C-vi)、(C-vii)、および(C-viii)中、R
1、R
2、R
3、R
4、および、R
5はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。ただし、R
1、R
2、および、R
3の少なくとも2つはジメチル基である。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、mとnの和が0~8の整数である。)
【0018】
また一実施の形態において、式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物は下記(B-i)(B-ii)、(B-iii)又は、(B-iv)のいずれかで示される化合物である。
【化11】
(式(B-i)、(B-ii)、(B-iii)、(B-iv)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5および、R
6はそれぞれ独立して、水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。ただし、R
4、R
5および、R
6のうちの少なくとも2つはメチル基を示す。R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、メチル基またはフェニル基を示す。mおよびnは0~8の整数を示し、mとnの和が0~8の整数である。)
【0019】
式(A)中、R1~R4はそれぞれ独立して水素原子、少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、又は、-OR7を表し、R1~R4の少なくとも一つは-OR7である。「炭化水素基」は、分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。R7は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表しているが、「炭化水素基」は、分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。
【0020】
「ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基等のハロゲン原子を含む置換基を有していてもよい置換フェニル基等が挙げられる。
【0021】
「置換シリルオキシ基」は、炭素数1~20のアルキル基、アリール基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルオキシ基を意味する。置換シリルオキシ基の炭素数は、通常、1~12であり、好ましくは1~6である。
置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、イソプロピルジメチルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルペンチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルオクチルシリルオキシ基、2-エチルヘキシル-ジメチルシリルオキシ基、ジメチルノニルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7-ジメチルオクチル-ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル-C1~C12アルキルシリルオキシ基、C1~C12アルコキシフェニル-C1~C12アルキルシリルオキシ基、C1~C12アルキルフェニル-C1~C12アルキルシリルオキシ基、1-ナフチル-C1~C12アルキルシリルオキシ基、2-ナフチル-C1~C12アルキルシリルオキシ基、フェニル-C1~C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ(p-トリル)シリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、ペンタメチルジシロキシ基、ヘプタメチルトリシロキシ基等が挙げられる。
【0022】
式(A)中のR1~R4の少なくとも一つは-OR7である。式(A)で示される化合物における-OR7の部分(例えば、アルコキシ基)が、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンより生じるジメチルシランと縮合し、式(B)で表されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成する。一実施の形態において、式(A)中のR1~R4の少なくとも二つ、三つ、または、全てが-OR7である。このような実施の形態においては、複数の-OR7の部分(例えば、アルコキシ基)が、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンより生じるジメチルシランと縮合することができる。
ここで、式(A)中の「-OR7」におけるR7の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基等が挙げられる。
R5としては、反応性の観点から、好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり;さらに好ましくは、炭素原子数1~10のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であり;特に好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基であり;最も好ましくは、iso-プロピル基である。
【0023】
R1~R4が-OR7でない場合、入手容易性の観点から、好ましくは少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、より好ましくは少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり;さらに好ましくは、炭素数1~10のアルキル基若しくはアルケニル基、又は少なくとも1種のハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であり;特に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-アセトキシフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基であり;最も好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-トリメチルシリルフェニル基である。
【0024】
式(A)で示される化合物の製造方法は公知の手法に準じて行うことができる。例えば、再表2018/159756号公報に記載の方法を参考にして製造することができる。
【0025】
反応工程におけるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの使用量(仕込量)は、式(A)で表される構造を有する化合物に対して物質量換算で、通常0.01mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常20mol%以下、好ましくは10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。前記範囲内であると、より効率良くジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成することができる。
反応工程における1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンの使用量は、式(A)で表される構造を有するアルコキシシランのアルコキシ基1つに対して、あるいはシラノールのヒドロキシ基1つに対して物質量換算で、通常0.5当量以上、好ましくは0.8当量以上、より好ましくは0.9当量以上であり、通常1.5当量以下、好ましくは1.2当量以下、より好ましくは1.1当量以下である。前記範囲内であると、より効率よくジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成することができる。
【0026】
(溶媒)
反応工程は、通常、溶媒中で行う。反応工程に用いられる溶媒の種類は、酸素原子や窒素原子を含んでいない溶媒が適している。ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0027】
(反応条件)
反応工程の反応温度は、通常-20℃以上、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上であり、通常70℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下である。前記範囲内であると、より効率良くジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を生成することができる。
反応工程の反応時間は、通常1分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、通常12時間以下、好ましくは6時間以下、より好ましくは3時間以下である。
反応工程は、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
【0028】
なお、式(A)に示される化合物中に、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサンより生じるジメチルシランと縮合可能な官能基を複数有する場合は、上述の通り、当該ジメチルシランと複数の個所において縮合が生じる。下記に、一実施の形態における反応式を示す。
【化12】
【0029】
(その他の工程)
本実施形態に係るジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法においては、上記反応工程の他、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の純度を高めるための精製工程が挙げられる。精製工程においては、ろ過、吸着、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の有機合成分野で通常行われる精製方法を採用することができる。具体的には、反応工程後、例えば、反応混合物をゲル浸透クロマトグラフィーにより精製することができる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0031】
<実施例1>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(2.6mg,0.005mmol)をトルエン(2.0mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(87μL,0.50mmol)を加えた。さらに、1、1、3、3、5、5、7、7、オクタメチルテトラシロキサン(164μL,0.50mmol)を加えて室温で撹拌した。5分後、反応混合物の
1H NMRを測定し、目的とするシロキサンが得られたことを確認した。下記に本実施例における反応式を示す。
【化13】
【0032】
<実施例2>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,7,7,11,11,11-デカメチル-5,5,9,9-テトラフェニルヘキサシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.66g,47%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3):δ 9.9, 7.5, -19.5, -20.4, -47.8, -48.4 ppm
なお、実施例2の反応スキームの概要図を
図1に示す。
【化14】
【0033】
<実施例3>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,5,5,11,11,11-デカメチル-7,7,9,9-テトラフェニルヘキサシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.86g,53%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 10.0, 7.2, -20.8, -21.2, -47.3, -47.8 ppm
【化15】
【0034】
<実施例4>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,9,9,11,11,11-デカメチル-5,5,7,7-テトラフェニルヘキサシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.67g,47%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 7.4, -20.4, -47.8 ppm
【化16】
【0035】
<実施例5>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、水(45μL,2.5mmol)を加えて撹拌した。3時間後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,5,5,7,7,11,11,11-デカメチル-3,3,9,9-テトラフェニルヘキサシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.12g,32%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 9.9, -20.8, -48.0 ppm
なお、実施例5の反応スキームの概要図を
図2に示す。
【化17】
【0036】
<実施例6>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,7,7,11,11,15,15,15-ドデカメチル-5,5,9,9,13,13-ヘキサフェニルオクタシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.98g,40%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 9.9, 7.5, -19.3, -19.5, -20.4, -47.8, -48.1, -48.4 ppm
【化18】
【0037】
<実施例7>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その1時間後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン-1-オール(863mg,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,5,5,7,7,15,15,15-ドデカメチル-9,9,11,11,13,13-ヘキサフェニルオクタシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.86g,38%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 10.0, 7.3, -20.7, -21.4, -21.9, -46.6, -47.3, -47.6 ppm
【化19】
【0038】
<実施例8>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,7,7,11,11,15,15,19,19,19-テトラデカメチル-5,5,9,9,13,13,17,17-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.15g,18%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 9.9, 7.5, -19.27, -19.29, -19.5, -20.4, -47.8, -48.10, -48.12, -48.3 ppm
【化20】
【0039】
<実施例9>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その1時間後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その3時間後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン-1-オール(863mg,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,19,19,19-テトラデカメチル-11,11,13,13,15,15,17,17-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.08g,17%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 9.9, 7.3, -20.7, -21.4, -21.8, -22.1, -46.4, -46.5, -47.3, -47.6 ppm
【化21】
【0040】
<実施例10>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えた。さらに、アセトン(184μL,2.5mmol)を加えて、室温で撹拌した。10分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その1時間後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その3時間後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、トリメチルシラノール(498μL,5.25mmol)を加えて撹拌した。30分後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,5,5,15,15,17,17,19,19,19-テトラデカメチル-7,7,9,9,11,11,13,13-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.89g,30%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 7.2, -20.8, -21.3, -46.4, -47.7 ppm
なお、実施例10の反応スキームの概要図を
図3に示す。
【化22】
【0041】
<実施例11>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサン(976μL,5.0mmol)を加えた。さらに、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、水(45μL,2.5mmol)を加えて撹拌した。3時間後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,3,3,9,9,11,11,17,17,19,19,19-テトラデカメチル-5,5,7,7,13,13,15,15-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.90g,30%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 7.4, -20.35, -20.43, -47.7, -47.8 ppm
【化23】
【0042】
<実施例12>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、水(45μL,2.5mmol)を加えて撹拌した。3時間後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,7,7,9,9,11,11,13,13,19,19,19-テトラデカメチル-3,3,5,5,15,15,17,17-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.21g,39%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 10.1, -20.7, -21.7, -47.3, -47.8 ppm
【化24】
【0043】
<実施例13>
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、B(C
6F
5)
3(128mg,0.25mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロポキシトリメチルシラン(870μL,5.0mmol)を加えた。さらに、ジフェニルシラン(922μL,5.0mmol)を加えて、室温で撹拌した。15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その15分後、アセトン(367μL,5.0mmol)を加えて撹拌したその15分後、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン(1638μL,5.0mmol)を加えて撹拌した。その30分後、1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン-1,3-ジオール(1037mg,2.5mmol)を加えて撹拌した。その1時間後、反応混合物をアルミナパッドに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製し、目的とする1,1,1,5,5,7,7,13,13,15,15,19,19,19-テトラデカメチル-3,3,9,9,11,11,17,17-オクタフェニルデカシロキサン(下記式に示す)を得た。無色液体(1.02g,32%)
29Si{
1H} NMR (119 MHz, CDCl
3): δ 9.9, -20.4, -20.7, -47.7, -48.0 ppm
【化25】
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の製造方法によって、ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を簡便に製造することができる。製造されるジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物は、合成化学上有用なビルディングブロックであり、各種機能性材料やその原料として有用である。