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▶ 小林製薬株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】容器および展示方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20240517BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D73/00 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020112946
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011658
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】片岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】朝山 紘貴
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-053532(JP,A)
【文献】特開2005-271986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0363545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状支持体を挿通可能な厚さ2mm以下の貫通孔部と、被収容体を収容可能な収容部と、を備え、一本の前記円柱状支持体に懸架して使用される容器であって、
前記貫通孔部の周縁部の一部は、前記容器の基材に設けた切込線として構成され、
前記貫通孔部の周縁部の他の部分は、前記切込線により前記基材から分離される分離部と前記基材の残部とを連結する連結部として構成され、
前記連結部は、前記貫通孔部の周縁部のうちの前記収容部側に設けられており、
前記貫通孔部は、
前記円柱状支持体を挿通可能な第一部分と、
前記第一部分の前記収容部側の反対側において前記第一部分に連設された第二部分と、を有し、
前記第一部分と前記第二部分との境界部分の幅は、前記円柱状支持体の直径より小さい容器。
【請求項2】
前記分離部の、前記連結部に対向する周縁部の少なくとも一部は、前記分離部の内側に向けて凸の曲線状に形成されている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記分離部の、前記連結部に対向する周縁部の少なくとも一部は、前記分離部の外側に向けて凸の曲線状に形成されている請求項1に記載の容器。
【請求項4】
厚さ2mm以下の貫通孔部と、被収容体を収容可能な収容部と、を備え、
前記貫通孔部の周縁部の一部は、容器の基材に設けた切込線として構成され、
前記貫通孔部の周縁部の他の部分は、前記切込線により前記基材から分離される分離部と前記基材の残部とを連結する連結部として構成され、
前記連結部は、前記貫通孔部の周縁部のうちの前記収容部側に設けられており、
前記貫通孔部は、
前記円柱状支持体を挿通可能な第一部分と、
前記第一部分の前記収容部側の反対側において前記第一部分に連設された第二部分と、を有し、
前記第一部分と前記第二部分との境界部分の幅は、前記円柱状支持体の直径より小さい容器に、前記被収容体を収容する収容工程と、
円柱状支持体を前記貫通孔部に挿通し、前記容器を一本の前記円柱状支持体に懸架する懸架工程と、を含み、
前記懸架工程において、前記分離部の周縁部の少なくとも一点を、前記円柱状支持体に当接させる展示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器および展示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店の店頭などで商品を展示する方法として、商品を収容した容器に貫通孔を設け、壁面や棚などから延出する棒状の支持体を当該貫通孔に挿通して容器を懸架する方法が汎用される。そのような展示方法に適した容器として、たとえば特開2003-54628号公報(特許文献1)に開示された包装体では、円形の貫通孔が設けられている。また、特表2014-506547号公報(特許文献2)に開示されたパッケージでは、同種の貫通孔が、幅広部分と当該幅広部分の上部に設けられた略半円形部分とを有する形状に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-54628号公報
【文献】特表2014-506547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店頭において商品の訴求効果を高めるため、商品名などが記載された容器正面が顧客に正対する姿勢で商品が展示されることが望ましい。しかし、特許文献1および2に開示されているような貫通孔を設けた容器を円柱状の支持体に懸架すると、容器に外力が加わったときに容器が振動し、容器の姿勢が傾く場合があった。このとき、顧客が容器正面を視認しにくくなる場合があった。
【0005】
そこで、展示された商品が正面を向いた姿勢を維持しやすい容器および展示方法の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る容器は、円柱状支持体を挿通可能な厚さ2mm以下の貫通孔部と、被収容体を収容可能な収容部と、を備え、一本の前記円柱状支持体に懸架して使用される容器であって、前記貫通孔部の周縁部の一部は、前記容器の基材に設けた切込線として構成され、前記貫通孔部の周縁部の他の部分は、前記切込線により前記基材から分離される分離部と前記基材の残部とを連結する連結部として構成され、前記連結部は、前記貫通孔部の周縁部のうちの前記収容部側に設けられており、前記貫通孔部は、前記円柱状支持体を挿通可能な第一部分と、前記第一部分の前記収容部側の反対側において前記第一部分に連設された第二部分と、を有し、前記第一部分と前記第二部分との境界部分の幅は、前記円柱状支持体の直径より小さいことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係る展示方法は、厚さ2mm以下の貫通孔部と、被収容体を収容可能な収容部と、を備え、前記貫通孔部の周縁部の一部は、容器の基材に設けた切込線として構成され、前記貫通孔部の周縁部の他の部分は、前記切込線により前記基材から分離される分離部と前記基材の残部とを連結する連結部として構成され、前記連結部は、前記貫通孔部の周縁部のうちの前記収容部側に設けられており、前記貫通孔部は、前記円柱状支持体を挿通可能な第一部分と、前記第一部分の前記収容部側の反対側において前記第一部分に連設された第二部分と、を有し、前記第一部分と前記第二部分との境界部分の幅は、前記円柱状支持体の直径より小さい容器に、前記被収容体を収容する収容工程と、円柱状支持体を前記貫通孔部に挿通し、前記容器を一本の前記円柱状支持体に懸架する懸架工程と、を含み、前記懸架工程において、前記分離部の周縁部の少なくとも一点を、前記円柱状支持体に当接させることを特徴とする。
【0008】
本容器および本展示方法によれば、容器を円柱状支持体に懸架したときに、円柱状支持体の上側において円柱状支持体と貫通孔部とが接触させるとともに、円柱状支持体の下側において円柱状支持体と分離部とを接触させることができる。これによって、容器が円柱状支持体に対して、重力による下向きの力と、分離部の弾性による上向きの力との両方を与えることになる。すなわち、容器が円柱状支持体に与える力は、円柱状支持体を上下方向に挟むように作用する。そのため、円柱状支持体に対する容器の相対運動が規制され、これによって展示された商品が正面を向いた姿勢を維持しやすい。また、貫通孔部を設けるために基材から切り離した部分(分離部)が容器から分離しないため、切り離された部分がゴミとして発生し、そのゴミ処理を行う手間が発生するのを抑制できる。
【0010】
このようにすると、貫通孔の第一部分と第二部分との境界の両端が円柱状支持体に当接する姿勢で当該円柱状支持体に懸架される。ここで容器に外力が加わって容器の姿勢が正面向きから傾くと、容器は安定状態より高い位置に配置されることになり、位置エネルギーが上昇する。その後容器には上昇した位置エネルギーを元に戻そうとする力(重力)が作用し、容器は可動範囲内で最も位置エネルギーが小さくなった状態である正面向きの姿勢に戻ろうとする。すなわち容器は、外力が加えられて傾いた姿勢になったとしても、位置エネルギー的に最も安定する正面を向いた姿勢に自ずから戻る。これによって、展示された商品が正面を向いた姿勢を維持しやすい。
【0011】
他の構成として、前記分離部の、前記連結部に対向する周縁部の少なくとも一部は、前記分離部の内側に向けて凸の曲線状に形成されていることが好ましい。
【0012】
このようにすると、分離部の曲線状に形成された部分が、円柱状支持体の側面に沿う姿勢で円柱状支持体に当接するか、または、当該部分の複数の点が円柱状支持体の側面に当接するので、円柱状支持体に対する容器の相対運動を一層規制しやすい。
【0013】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る容器の斜視図
図2】本実施形態に係る容器の貫通孔部および分離部を示す図
図3】本実施形態に係る容器の展示状態における貫通孔部周辺を示す斜視図
図4】本実施形態に係る容器の展示状態における貫通孔部周辺を示す側面図
図5】本実施形態に係る容器の展示姿勢安定化機構を示す図
図6】貫通孔部の変形例を示す図
図7】貫通孔部の変形例を示す図
図8】貫通孔部の変形例を示す図
図9】貫通孔部の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る容器および展示方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る容器を、歯間清掃具群Daを収容してこれを店頭に展示可能な容器1に適用した例について説明する。
【0016】
〔容器の構成〕
まず、本実施形態に係る容器1の構成について説明する。図1に示すように、容器1は、厚さ0.3mmの合成樹脂フイルム(基材の例)により構成されたブリスターBと、ブリスターBの裏面側を封止する封止シールSと、を有する。ブリスターBには、貫通孔部2と収容部3とが設けられている。収容部3に歯間清掃具群Da(被収容体の例)を収容した容器1は、貫通孔部2に円柱状支持体を挿通する態様で当該円柱状支持体に懸架されて展示される。なお、以下の説明において、容器1の展示状態における姿勢に基づいて上下方向を定義する。すなわち、容器1のうち貫通孔部2が設けられた側が「上」と定義される。
【0017】
貫通孔部2は、ブリスターBを貫通する貫通孔として設けられている。したがって、貫通孔部2の厚さは、ブリスターBを構成する合成樹脂フイルムの厚さに対応して、0.3mmである。また、貫通孔部2は、半径R1が4.0mmの円の一部として構成された第一部分21と、半径R2が2.5mmの円の一部として構成された第二部分22とを有する。第二部分22は、第一部分21の上側(すなわち収容部3側の反対側)において第一部分21に連設されている。
【0018】
第一部分21と第二部分22との境界23は、第一部分21の周縁部を画定する半径R1の円と、第二部分22の周縁部を画定する半径R2の円との二つの交点23a、23bを結ぶ線分として規定される。本実施形態では、境界23の幅Wは4.9mmである。すなわち、境界23の幅Wは、第一部分21の幅方向の開口寸法である8.0mm(半径R1の2倍)より小さく、より具体的には、境界23の幅Wは第一部分21の幅方向の開口寸法の61%である。
【0019】
図2に示すように、貫通孔部2は、ブリスターBを構成する合成樹脂フイルムに、切込線24を設ける態様で形成される。したがって、第一部分21の周縁部の一部および第二部分22の周縁部の全部(貫通孔部2の周縁部の一部)は、切込線24として構成される。切込線24は閉曲線を構成しないため、切込線24によって合成樹脂フイルムから分離された分離部25は完全には分離されず、連結部26を介して合成樹脂フイルム本体に連結されている。ここで、連結部26は第一部分21の下側(すなわち収容部3側)に設けられており、第一部分21の周縁部に沿う連結部26の長さLは3mmである。貫通孔部2の周縁部の幅は8mmであるので、連結部26の長さLの周縁部の幅に対する割合は37.5%である。
【0020】
収容部3は、ブリスターBを構成する合成樹脂フイルムが湾曲されて構成されており、歯間清掃具群Daを収容可能な空間を形成する。収容部3の裏面側は開口しており、当該開口から歯間清掃具群Daを収容したのちに、封止シールSにより当該開口が閉鎖される。
【0021】
〔展示方法〕
次に、容器1を用いた歯間清掃具群Daの展示方法について説明する。本実施形態に係る展示方法は、歯間清掃具群Daを容器1に収容する収容工程と、歯間清掃具群Daを収容した容器1を円柱状支持体に懸架する懸架工程とを有する。ただし、収容工程において歯間清掃具群Daを容器1に収容する方法は前述の通りである。
【0022】
歯間清掃具群Daを収容した容器1は、小売店の商品棚などに設置された円柱状支持体Pに懸架される。より具体的には、貫通孔部2に円柱状支持体Pを挿通する態様で、貫通孔部2を容器1全体の支持部として容器1を円柱状支持体Pに懸架する(図3)。
【0023】
ここで、円柱状支持体Pの直径Dpは6.1mmである。すなわち、円柱状支持体Pの直径Dpは、第一部分21と第二部分22との境界23の幅Wより大きい。直径Dpと幅Wとの上記の大小関係により、容器1を円柱状支持体Pに懸架した状態において、境界23の両端23a、23bが円柱状支持体Pに当接する姿勢が、容器1が最も安定する姿勢となる。
【0024】
また、分離部25が連結部26を介してブリスターBを構成する合成樹脂フイルムと連接されているため、貫通孔部2に円柱状支持体Pを挿通しようとした際に、分離部25が貫通孔部2の全てまたは一部を塞いでいる場合がある。この場合、円柱状支持体Pの先端を押し当てて分離部25を押し倒すようにするか、または、あらかじめ分離部25を連結部26で折り曲げて開口を確保した貫通孔部2に円柱状支持体Pを挿通する必要がある。このような挿通操作の結果、図4に示すように、容器1を円柱状支持体Pに懸架した状態において、分離部25の周縁部のうちの遠端部分25aが円柱状支持体Pの下側の点Pcに当接する。これは、連結部26で折り曲げられた分離部25が、合成樹脂フイルムの弾性に起因する弾性力によって貫通孔部2側に戻ろうとする作用が働くためである。
【0025】
〔展示姿勢の安定化〕
最後に、容器1を用いて歯間清掃具群Daを展示したときに、その展示姿勢が安定することについて説明する。前述のように、容器1を円柱状支持体Pに懸架すると、境界23の両端23a、23bが円柱状支持体Pに当接する姿勢で安定する(図5(a))。また、分離部25の周縁部のうちの遠端部分25aが円柱状支持体Pの下側の点Pcに当接している(図4)。
【0026】
このとき、容器1が円柱状支持体Pに与える力は、点23a、23bでは下向きの力(重力による。)であり、点25aでは上向きの力(弾性力による。)である。すなわち、容器1が円柱状支持体Pに与える力は、円柱状支持体Pを上下方向に挟むように作用するので、円柱状支持体Pに対する容器1の相対運動が規制される。この効果によって、容器1が傾くことが抑制される。また、容器1が、三つの点23a、23b、25aが円柱状支持体Pに当接する姿勢で円柱状支持体Pに懸架されることも、容器1の傾きを抑制することに寄与する。
【0027】
円柱状支持体Pの側の上記の三つの点Pa、Pb、Pcのうち、二つの点Pa、Pbの間の距離は、境界23の幅Wに等しい。また、二つの点Pa、Pbを結ぶ直線は、円柱状支持体Pの軸心Xと直交する。ここで、容器1に何らかの外力が加わり、容器1の姿勢が正面向きから傾いた場合(傾斜角θ)を想定する(図5(b))。このとき円柱状支持体Pは、二つの点Pa’、Pb’で当接し、その間の距離は境界23の幅Wに等しい。ここで、二つの点Pa’、Pb’を結ぶ直線は円柱状支持体Pの軸心Xに対して傾いているので、離間距離が幅Wに等しくなる二つの点Pa’、Pb’の高さHbは、容器1の姿勢が正面向きの場合の二つの点Pa、Pbの高さHaより高くなる。そのため容器1は、安定状態より高い位置に配置されることになり、位置エネルギーが上昇する。その後容器1には、上昇した位置エネルギーを元に戻そうとする力(重力)が作用し、容器1は可動範囲内で最も位置エネルギーが小さくなった状態、すなわち正面向きの姿勢に戻ろうとする。このため、容器1は一時的に傾いた場合であっても、ひとりでに正面を向いた姿勢に戻る。
【0028】
このようにして、容器1は正面を向いた姿勢、すなわち歯間清掃具群Daを消費者に対して最も好適に展示できる姿勢を維持しうる。
【0029】
〔貫通孔部の変形例〕
ここで、貫通孔部の変形例について説明する。なお、いずれの変形例においても、分離部は完全には分離されず、収容部3側に設けられた連結部を介してブリスターBを構成する合成樹脂フイルム本体に連結されている。
【0030】
図6に示した貫通孔部4は、半径4.0mmの円と半径1.5mmの円とを二つの直線で結んだ形状を有する。すなわち、第一部分41は概ね半径4.0mmの円の一部として構成され、第二部分42は半径1.5mmの半円を頂点とした三角形とが結合した形状に構成されている。第一部分41と第二部分42との境界43の幅は、上記の実施形態と同様に4.9mmである。
【0031】
図6に示した貫通孔部4を備える容器1が円柱状支持体Pに懸架された場合において、容器1の姿勢が正面向きから傾くと、円柱状支持体Pと容器1の接点の距離が長くなる。
すなわち、容器1における接点の位置は正面向きの時と比べると下方になる。このとき、円柱支持体の位置は変わっていないので、容器1は正面向きの姿勢の場合に比べて高い位置となり、上昇した位置エネルギーを元に戻そうとする力(重力)が作用し、容器1は可動範囲内で最も位置エネルギーが小さくなった状態、すなわち正面向きの姿勢に戻ろうとする。したがって上記の実施形態について説明したのと同様に、容器1はひとりでに正面を向いた姿勢に戻る。
【0032】
図7に示した貫通孔部5では、第一部分51は半径4.0mmの円の一部として構成され、第二部分52は幅4.7mm、高さ2.5mmの角丸四角形として構成されている。
第一部分51と第二部分52との境界53の幅は、上記の実施形態と同様に4.9mmである。
【0033】
図8に示した貫通孔部6では、第一部分61の形状は上記に詳細を説明した実施形態における第一部分21の形状と同様である。一方、第二部分62の上側の周縁部62aは、貫通孔部6側に凸の曲線状に形成されている。これに対応するように、分離部65の遠端部分65aは、分離部65の内側に向けて凸の曲線状に形成されている。そのため、貫通孔部6に円柱状支持体Pを挿通した際に、弾性力によって貫通孔部6側に戻ろうとする分離部65は、曲線状に形成された遠端部分65aが、円柱状支持体Pの側面に沿う姿勢で円柱状支持体Pに当接するか、または、遠端部分65aの複数の点が円柱状支持体Pの側面に当接する。これによって、遠端部分25aが円柱状支持体Pと一点で接触する上記の実施形態に比べて、容器1の傾きを抑制する効果がさらに高まる。
【0034】
上記のいずれの変形例においても、貫通孔部に円柱状支持体Pを挿通する態様で容器1を円柱状支持体Pに懸架したときに、第一部分と第二部分との境界が円柱状支持体Pに当接する姿勢で容器1が安定する。したがって、上記に説明した展示姿勢を安定化する効果が、上記のいずれの変形例によっても発現する。このように、本発明における貫通孔部に第一部分および第二部分を設ける場合、第一部分および第二部分の形状は、第一部分と第二部分との境界部分の幅が幅方向の第一部分の開口寸法より小さい限りにおいて任意に選択しうる。
【0035】
なお、貫通孔部が第一部分および第二部分を有さない変形例についても説明する。図9に示した貫通孔部7は、半径4.0mmの円形に形成されている。この変形例では、容器1を円柱状支持体Pに懸架すると、貫通孔部7の上側の周縁部71が円柱状支持体Pの上側に当接する。また、連結部76で折り曲げられた分離部75が弾性力によって貫通孔部7側に戻ろうとする作用により、分離部75の遠端部分75aが円柱状支持体Pの下側に当接する。このように、上記の実施形態同様に、本変形例においても、容器1が円柱状支持体Pに与える力は、周縁部71における下向きの力(重力による。)および遠端部分75aにおける上向きの力(弾性力による。)である。したがって、上記の実施形態と同様に、容器1が円柱状支持体Pに与える力は、円柱状支持体Pを上下方向に挟むように作用するので、円柱状支持体Pに対する容器1の相対運動が規制される。
【0036】
なお、図9に示した変形例に対して、貫通孔部7の上側の周縁部71を貫通孔部7側に凸の曲線として形成するさらなる変形を加えることが可能である。このとき、図8に示した変形例と同様に、分離部75の遠端部分75aが分離部75の内側に向けて凸の曲線状に形成されることになるので、図8に示した変形例と同じように、容器1の傾きを抑制する効果がさらに高まる。
【0037】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る容器および展示方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0038】
上記の実施形態では、貫通孔部2が設けられたブリスターBが合成樹脂フイルムにより構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、貫通孔部は、厚さ2mm以下である限りにおいて、紙、木片、金属などの材料により構成された容器にも設けられうる。なお、貫通孔部の厚さは、分離部を円柱状支持体に当接させる弾性力を発生させうる限度において、選択される材料の弾性に応じて適宜選択されうるが、たとえば厚さ0.2mm以上でありうる。
【0039】
上記の実施形態では、第一部分21の周縁部に沿う連結部26の長さLの周縁部の幅に対する割合が37.5%である構成を例として説明した。しかし、連結部の、貫通孔部の周縁部に沿う方向の長さは、特に限定されない。ただし、分離部を円柱状支持体に当接させる弾性力を好適に発生させる観点から、当該長さが周縁部の幅の20~40%であることが好ましい。
【0040】
上記の実施形態では、貫通孔部2の第一部分21と第二部分22との境界23の幅Wが4.9mmである構成を例として説明した。しかし、貫通孔部に第一部分および第二部分を設ける場合、第一部分と第二部分との境界の幅は、容器を懸架する円柱状支持体の直径より小さい限りにおいて、特に限定されない。ただし、小売店などで使用されている円柱状支持体の直径が典型的には5~7mmであることに鑑みると、第一部分と第二部分との境界の幅は1.0mm以上4.9mm以下であることが好ましい。また、第一部分が円柱状支持体を挿通可能であることに鑑みると、第一部分と第二部分との境界の幅が第一部分の幅方向の開口寸法の80%以下であると、第一部分と第二部分との境界の幅が円柱状支持体の直径より小さくなりやすいので、展示姿勢を安定化する効果が一層発現しやすい。
【0041】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、たとえば、歯間清掃具などの小型の商品を収容して店頭に展示する容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 :容器
2 :貫通孔部
21 :第一部分
22 :第二部分
23 :境界
24 :切込線
25 :分離部
25a :分離部25の遠端部分
26 :連結部
3 :収容部
4 :貫通孔部(変形例)
5 :貫通孔部(変形例)
6 :貫通孔部(変形例)
61 :第一部分
62 :第二部分
62a :第二部分62の上側の周縁部
65 :分離部
65a :分離部65の遠端部分
7 :貫通孔部(変形例)
71 :貫通孔部7の上側の周縁部
75 :分離部
75a :分離部75の遠端部分
76 :連結部
P :円柱状支持体
B :ブリスター
S :封止シール
Da :歯間清掃具群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9