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特許7489983ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及びその香料としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及びその香料としての使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 33/02 20060101AFI20240517BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20240517BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240517BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240517BHJP
   C07C 29/14 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C07C33/02 CSP
A23L27/20 D
A61K8/34
A61K47/10
A61Q11/00
A61Q13/00 101
A61Q19/00
A61Q19/10
C07C29/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021532832
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2019084411
(87)【国際公開番号】W WO2020120469
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】18211704.4
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブル ロイク,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ガルリヒス,フロリアン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-516300(JP,A)
【文献】特表2008-527023(JP,A)
【文献】特表2017-533981(JP,A)
【文献】特表2018-522896(JP,A)
【文献】特開昭61-172839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A23L
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールである化合物。
【請求項2】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及びそれらの2種以上の混合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含む立体異性体の混合物である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールが、10:1~1:10のモル比で存在する、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
混合物が、(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール若しくは(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、又は(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの両方をさらに含む、請求項5又は6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、及び
(i)ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールとは異なる少なくとも1種の追加の香料、又は
(ii)少なくとも1種の非香料キャリア、又は
(iii)少なくとも1種の抗酸化剤、又は
(iv)少なくとも1種のデオドラント活性剤、又は
(v)成分(i)から(iv)のうちの少なくとも2種の混合物
を含む、香料組成物。
【請求項9】
すぐに使用できるアロマ付き組成物である、請求項8に記載の香料組成物。
【請求項10】
すぐに使用できるアロマ付き組成物が、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物から選択される、請求項9に記載の香料組成物。
【請求項11】
香料としての、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
香料組成物を調製するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
香料組成物のアロマ特性を変更するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
香料組成物が、すぐに使用できるアロマ付き組成物である、請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
すぐに使用できるアロマ付き組成物が、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、
(i)ドデカ-4,8,11-トリエナールを、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを得る工程、
及び任意選択で、
(ii)ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを単離するさらなる工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及びそれを調製する方法、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの香料としての使用;香料組成物を調製するための、又は香料組成物のアロマ特性を変更するためのドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの使用;ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含有する香料組成物;並びにアロマ付き組成物を調製する又はアロマ付き組成物のアロマ特性を変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、特にフレグランス(fragrances)は、特に化粧品並びに洗浄及び洗濯用組成物の分野において、強い関心が持たれている。天然由来のフレグランスは大抵高価であり、多くの場合その利用可能な量が制限されており、環境条件が変動することによって、その含有量、純度等が変動することもある。したがって、これらの望ましくない要素を回避するために、より高価で天然のフレグランスに似ている官能的特性を有するか、又は新規で興味深い官能的プロファイルを有する合成物質を作成することに強い関心が持たれている。
【0003】
多数の既存の合成香料(フレグランス及び香味料(flavorings))にもかかわらず、極めて多様な領域の用途に望ましい多数の特性を満たすことを可能とするために、新規な成分に対する一定の必要性が存在する。これらは第1に、官能的特性を含み、すなわち、化合物は、都合のよい、芳香を放つ(odiferous)(嗅覚(olfactory))特性又は味覚特性を有するべきである。さらに、香料はまた、追加の有益な二次特性、例えば、効率的な調製方法、他のフレグランスとの相乗効果の結果としてよりよい感覚プロファイルをもたらす可能性、特定の適用条件下でのより高い安定性、より高い拡張性、よりよく高い持続性等を有するべきである。
【0004】
特定の脂肪アルコール及び脂肪アルデヒドは、望ましい嗅覚特性を有し、フレグランス及び/又は香味料に使用される。例えば、ペラルゴンアルコール(1-ノナノール)及びデカナールは、シトラス様アロマを与えるために幅広く使用される。さらに、三不飽和直鎖状アルデヒドであるドデカ-4,8,11-トリエナールの立体異性体を含む混合物は、モミの針葉及び木を連想させる匂いを有すると記載されている(WO2010/086313)。
【0005】
しかしながら、化学構造の少しの変化でさえ、感覚特性、例えば匂い及びさらに味の大きな変化をもたらすので、特定の感覚特性、例えば特定の匂いを有する物質を対象とした探索は、極めて困難である。したがって、新規なフレグランス及び香味料の探索は、ほとんどの場合、所望の匂い及び/又は味を有する物質が実際に発見すらされるかどうかが分からず、困難且つ労力を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規な香料を提供することであった。これらは、感じのよい(pleasant)官能的特性を有するべきである。本発明のさらなる目的は、すぐに使用できる組成物中で香料として使用できる物質を提供することであった。特に、感じのよい匂いを有する匂いの強い物質が求められている。さらに、それらは、他の香料と組み合わせることができ、新規な都合のよい感覚プロファイルを作ることを可能とするべきである。加えて、これらの香料は、容易に利用可能な出発材料から得ることができ、それらの速く経済的な製造を可能とするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、新規な化合物ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの提供により達成される。本発明者らは、この化合物が、アルデヒド及びマリンの要素を有する、バイオレットリーフ及びグリーンビーンズを連想させる感じのよい匂いを有することを見出した。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様は、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの立体異性体である化合物に関する。
【0009】
本発明の第2の態様は、本発明の化合物及び(i)ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールとは異なる少なくとも1種の追加の香料、又は(ii)少なくとも1種の非香料キャリア(好ましくは界面活性剤、油成分及び溶媒から選択される)、又は(iii)少なくとも1種の抗酸化剤、又は(iv)少なくとも1種のデオドラント活性剤、又は(v)成分(i)から(iv)のうちの少なくとも2種の混合物を含む香料組成物に関する。
【0010】
本発明の第3の態様は、本発明の化合物の、香料として、特にフレグランスとしての使用に関する。
【0011】
本発明の第4の態様は、本発明の化合物の、香料組成物、特にフレグランス組成物を調製するための使用に関する。
【0012】
本発明の第5の態様は、本発明の化合物の、香料組成物のアロマ特性を変更するため、特に組成物の香り特性を変更するための使用に関する。
【0013】
本発明の第6の態様は、本発明の化合物を調製する方法に関する。前記方法は、ドデカ-4,8,11-トリエナールを、カルボニル基、特にアルデヒド基の還元に選択的な還元剤、例えばNaBH4又はLiAlH4と反応させて、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを得る工程、及び任意選択で、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを単離するさらなる工程を含む。
【0014】
本発明の第7の態様は、香料組成物を調製する方法に関する。前記方法は、本発明の化合物を他の成分、例えば、少なくとも1種の他の香料及び/又は少なくとも1種の非香料キャリア等と混合して、香料組成物を得る工程を含む。
【0015】
本発明の第8の態様は、香料組成物のアロマを変更する方法に関する。前記方法は、本発明の化合物を香料組成物に組み込んで、アロマを変更した香料組成物を得る工程を含む。
【0016】
本発明の第9の態様は、すぐに使用できる組成物のアロマを変更する方法に関する。前記方法は、本発明の化合物を、すぐに使用できる組成物に組み込んで、アロマを変更したすぐに使用できる組成物を得る工程を含む。
【0017】
本発明の化合物及びその香料組成物は、都合のよい官能的特性、特に感じのよいアロマを持つ。したがって、これらは、芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、作物保護組成物、並びに他のすぐに使用できる組成物にアロマ付け成分として有利に使用することができる。
【0018】
感じのよいアロマ、低い揮発性及び優れた溶解度により、本発明の化合物は、気持ちのよいアロマが望ましい組成物において適切な成分になる。その物理的特性により、本発明の化合物は、すぐに使用できるアロマ付き組成物、例えば特に芳香組成物中の他の香料及び通例の成分と十分に組み合わせ可能である。これにより、例えば、新規な都合のよい感覚プロファイルを有するアロマ組成物、特に芳香組成物の生成が可能となる。
【0019】
さらに、本発明の化合物は、容易に利用可能な出発材料から開始する単純な合成によって、よい収率及び純度で生成できる。したがって、本発明の化合物は、大規模、及び単純且つコスト効率のよい様式で生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に特に規定がなければ、本明細書に記載されている「化合物」及び立体特異的ではない化合物の名称、例えば「ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール」又は「ドデカ-4,8,11-トリエナール」は、いかなる特定の立体異性体又は特定の立体異性体の混合物にも限定されない。例えば、本明細書に特に規定がなければ、「ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール」という用語は、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの1種以上の立体異性体を指す。したがって、本発明の化合物は、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールから選択されるドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの単一の立体異性体であり得、又はドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールのこれらの立体異性体の2種以上の混合物であり得る。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール若しくは(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、又は(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含むドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの2種以上の立体異性体の混合物である。
【0022】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含む混合物において、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールは、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5、より一層好ましくは3:1~1:2、特に2:1~1:1、具体的にはおよそ3:2のモル比(又は重量比、この場合同じである)で存在する。「およそ」は、例えば、比の判定に使用される装置(例えばNMR;GC HPLC等)の測定誤差又は精度の限界のため、不確定性を含むことを意味する。
【0023】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含む混合物である。この混合物では、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールは、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5、より一層好ましくは3:1~1:2、特に2:1~1:1、具体的にはおよそ3:2の重量(又はモル)比で存在する。
【0024】
(4Z,8E)及び(4E,8Z)異性体を含む混合物は、(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール若しくは(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール、又は(4E,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4Z,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの両方をさらに含み得る。
【0025】
特定の実施形態では、(4E,8E)及び(4Z,8Z)異性体は、存在する場合、かなり少ない量、より正確に言えば総計[すなわち(4E,8E)及び(4Z,8Z)の合計量]で、全4種の立体異性体(4Z,8E)、(4E,8Z)、(4E,8E)及び(4Z,8Z)の合計重量に対して多くても20重量%、好ましくは多くても10重量%、特に多くても5重量%、具体的には多くても2重量%、極めて具体的には多くても1重量%の量で含有される。
【0026】
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含む混合物の特定の実施形態では、これらの2種の立体異性体は、混合物の合計重量の、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、具体的には少なくとも98重量%、極めて具体的には少なくとも99重量%を占める。100%までの残りは、大抵他の立体異性体[(4E,8E)及び(4Z,8Z)]の一方又は両方で構成される。
【0027】
本明細書で定義されたような本発明の化合物は、香料として有用である。
【0028】
本発明に関して、「アロマ(aroma)」という用語は、香り(「芳香」又は「フレグランス」とも呼ばれる)及び/又は香味を指す。同じく、本明細書で使用する場合の「アロマ付き」という用語は、香り付き(scented)(「芳香付き(perfumed)」又は「フレグランス付き」とも呼ばれる)及び/又は香味付きを意味する。本発明の好ましい実施形態によれば、「アロマ」という用語は、具体的には香りを指し、「アロマ付き」という用語は、具体的には香り付きを意味する。
【0029】
本明細書で使用する場合の「香料」という用語は、嗅覚及び/又は香味の印象、特に香り又は香味の印象を得るために使用される物質を表す。「嗅覚」という用語は、あらゆる肯定的又は否定的な判断のない匂いの印象を表すが、本明細書で使用する場合の「香り」、「フレグランス」及び「芳香」という用語は、感じのよいものとして一般に感じられる匂いの印象に関係する。香味は、味の印象を引き起こす。
【0030】
「感じのよい匂い」、「感じのよい匂いの印象」、「感じのよい芳香を放つ特性」は、香料により伝えられる匂いの印象の心地よさ(niceness)及び簡明さ(conciseness)を説明する快楽表現である。「都合のよい感覚特性」又は「都合のよい官能的特性」という、より一般的な快楽表現は、香料により伝えられる官能的印象の心地よさ及び簡明さを説明する。「心地よさ」及び「簡明さ」は、当業者、香料製造者になじみ深い用語である。心地よさは、一般に、自然にもたらされ、肯定的に知覚される、感じのよい感覚印象を指す。しかしながら、「心地よい」は、「甘い(sweet)」と同義である必要はない。「心地よい」はまた、ジャコウ(musk)又はビャクダン(sandalwood)の匂いであってもよい。「簡明さ」は、一般に、同じ試験パネルに対して、特定の何かを再現性よく同一に思い出させる、自然にもたらされる感覚印象を指す。例えば、物質は、「リンゴ」の匂いを自然に連想させる匂いを有することができ、それゆえ、その匂いは、簡明に「リンゴ」の匂いになるであろう。このリンゴの匂いが、例えば、甘く、完熟したリンゴを連想させるので非常に感じのよかった場合は、その匂いは「心地よい」と呼ばれるであろう。しかしながら、典型的には、酸味のあるリンゴの匂いも、簡明になり得る。両方の反応が、物質の匂い、この例ではしたがって心地よく簡明なリンゴの匂いをかぐ際に発生する場合、この物質は、特に都合のよい感覚特性を有する。
【0031】
「匂いの強い物質」という用語は、強い匂いの印象を示す物質又は香料を指す。強い匂いの印象は、気体空間濃度が非常に低い場合であっても際立った知覚を可能とする、香料のそれらの特性を意味していると理解される。強さは、しきい値測定により測定できる。しきい値は、もはやそれを定義する必要はないが、匂いの印象が代表的な試験パネルにより依然としてちょうど知覚できる関連する気体空間中の物質の濃度である。最も匂いの強い公知の物質クラスにおおかた属する、すなわち、非常に低い匂いのしきい値を有する物質クラスは、チオールであり、そのしきい値は、多くの場合、ppb/m3の範囲である。
【0032】
適切には、本発明の化合物又は前記化合物を含む香料組成物は、フレグランスとして使用される。
【0033】
特に、本発明の化合物は、アルデヒド及びマリンの要素を有するバイオレットリーフ及びグリーンビーンズを連想させるノートを付与するために使用されるか、又はアルデヒド及びマリンの要素を有するバイオレットリーフ及びグリーンビーンズを連想させる香りを生成するために使用される。
【0034】
本発明の化合物は一般に、すぐに使用できる組成物に、特にすぐに使用できるアロマ付き組成物に使用できる。本明細書で使用する場合の「すぐに使用できるアロマ付き組成物」は、感じのよい匂い及び/又は味の印象を優位に引き起こす、すぐに使用できる組成物を指す。好ましい実施形態では、すぐに使用できるアロマ付き組成物は、すぐに使用できる香り付き組成物であり、すなわち感じのよい匂いを引き起こす。
【0035】
すぐに使用できる香り付き組成物は、例えば、パーソナルケア、ホームケア、工業的用途で使用される組成物、及び他の用途で使用される組成物、例えば医薬組成物又は作物保護組成物である。
【0036】
好ましくは、本発明の化合物は、芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物からなる群から選択される組成物中で使用される。本発明の化合物は、香料として、好ましくはフレグランスとして、上記の組成物中で使用される。
【0037】
特に、本発明の化合物は、アルデヒド及びマリンの要素を有するバイオレットリーフ及びグリーンビーンズを連想させるノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0038】
上に列挙された組成物の詳細は、以下に示す。
【0039】
同様に、本発明の化合物は、組成物に含まれる他の香料(例えば他のフレグランス)との相乗効果の結果として、香料組成物の感覚プロファイルを改善でき、これは、化合物が、前記他の香料に対するブースター効果を提供できることを意味する。したがって、化合物は、他の香料のためのブースターとして適切である。
【0040】
したがって、本発明は、アロマ付き(例えばフレグランス)組成物のアロマ特性(例えば香り特性)を変更するための本発明の化合物の使用、具体的には他の香料のためのブースターとしての使用にも関する。
【0041】
物質のブースター効果は、物質が、香料配合物(例えば芳香性配合物等)中で、配合物の全体的な知覚(例えば嗅覚)の印象を増強する及び強めることを意味する。ミントの範囲では、例えば、メンチルメチルエーテルが、ハッカ油の芳香又は味の混合を強め、特に、トップノートにおいては、格段により強くより複雑な知覚を著しくもたらすが、当該エーテルそれ自体は純粋な物質であり、特定の強い匂いを全く発生させないことは公知である。フレグランス用途において、純粋物質として軽いフローラルジャスミンノートしか示さないHedione(登録商標)(メチルジヒドロジャスモネート)は、匂いブースターとして、芳香組成物の拡散、新鮮さ、及び量(volume)を増強する。ブースター効果は、トップノートが特徴的な用途が要求される場合に特に望まれ、ここで、匂いの印象は、例えばデオドラント、エアフレッシュナーにおいて、又はチューインガムの味の部門において、特に迅速且つ強く伝えられ得る。
【0042】
そのようなブースター効果を達成するために、本発明の化合物は、生じた香料組成物の合計重量に対して、例えば0.001~10wt%(重量%)の量で、例えば0.01~2wt%の量で、好ましくは0.05~1wt%の量で、特に0.1~0.5wt%の量で使用できる。
【0043】
さらに、本発明の化合物は、それが使用される組成物に対してさらに肯定的な効果を有し得る。例えば、化合物は、それが組み込まれる組成物の全体的な性能、例えば安定性、例えば組成物の配合安定性、拡張性、又は持続力を増強できる。
【0044】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物、及び
(i)少なくとも1種の追加の香料、又は
(ii)少なくとも1種の非香料キャリア、又は
(iii)少なくとも1種の抗酸化剤、又は
(iv)少なくとも1種のデオドラント活性剤、又は
(v)成分(i)から(iv)のうちの少なくとも2種の混合物)
を含む香料組成物に関する。
【0045】
本明細書で使用する場合の「香料組成物」という用語は、感じのよいアロマ、例えば、感じのよい匂いの印象を引き起こす組成物を指す。
【0046】
本発明の香料組成物における非香料キャリアは、特に界面活性剤、油成分及び溶媒から選択され得る。
【0047】
追加の香料は、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールとはもちろん異なる、すなわちドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの立体異性体でも、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの2種以上の立体異性体の混合物でもない。
【0048】
その物理的特性により、本発明の化合物であるドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールは、すぐに使用できるアロマ付き(例えばフレグランス)組成物、例えば、特に芳香組成物中の他の香料(例えば他のフレグランス)及び他の通例の成分と十分に組み合わせ可能である。これにより、例えば、新規な都合のよい感覚プロファイルを有するアロマ組成物(例えば芳香組成物)の生成が可能となる。特に、既に上で説明したように、化合物は、他の香料(例えば他のフレグランス)のためのブースター効果を提供できる。
【0049】
したがって、好ましい一実施形態では、香料組成物は、本明細書で定義されたような本発明の化合物、及びドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールとは異なる少なくとも1種の追加の香料を含む。
【0050】
さらなる香料は例えば、
ゲラニルアセテート(3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イルアセテート)、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート(Phenirat1)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、メチルジヒドロジャスモネート(好ましくは、シス型異性体の含量が60wt%超である)(Hedione9、Hedione HC9)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid3)、テトラヒドロリナロオール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロオール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral2)、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート(Herbaflorat1)、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート(1-フェニルエチルアセテート)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super3)、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Oryclone1)、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Agrumex HC1)、アルファ-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-アルファ-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Lyral3)、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン(Muscenon9)、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド(Globalide1)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide1)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen1)、cis-3-ヘキセニルアセテート、trans-3-ヘキセニルアセテート、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Vertocitral1)、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン(Claritone1)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal2)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral2)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional3)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon1)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート(好ましくは、シス型異性体の含量が、70wt%以上である)及び2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S1)からなる群から選択される1種、好ましくは2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種又はそれ以上の香料であってよい。したがって、本発明の文脈において、上記香料(複数可)は、好ましくは本明細書で定義されたような本発明の化合物と組み合わせられる。
【0051】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、並びにメチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール及びリナロールからなる群から選択される少なくとも1種の追加の香料を含む組成物に関する。
【0052】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及び2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールを含む組成物に関する。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及びメチルベンゾエートを含む組成物に関する。
【0054】
上記において商標が示されている場合、これらは、以下の供給元を指す。
1ドイツ、Symrise GmbHの商標、
2BASF SEの商標、
3アメリカ、International Flavors & Fragrances Inc.の商標、
9スイス、Firmenich S.A.の商標、
10オランダ、PFW Aroma Chemicals B.V.の商標。
【0055】
本明細書に記載されている本発明の化合物と、例えば本発明による組成物を得るために組み合わされ得るさらなる香料は、例えば、自費出版されたS. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、第I巻及び第II巻、Montclair, N. J.、1969又はK. Bauer、D. Garbe及びH. Surburg、Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley- VCH、Weinheim 2001において見出すことができる。具体的には、
【0056】
天然原料から得た抽出物、例えば精油、凝固物、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
【0057】
アンバーグリスチンキ、アミリス油、アンゼリカ種油、アンゼリカ根油、アニス油、吉草根油、メボウキ油、ウッドモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、バーチタール油、ビターアーモンド油、セイバリー油、ブークリーフ油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ油、ショウノウ油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシャ油、カッシャアブソリュート、カストリュームアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、ゴジアオイ油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタスルート油、クミン油、シプレス油、ダバナ油、イノンドハーブ油、イノンド種子油、オードブルアブソリュート(Eau de brouts absolute)、オークモスアブソリュート、エレミ油、エストラゴン油、ユーカリプトスシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ムギワラギクアブソリュート、ムギワラギク油、ショウガ油、イリス根アブソリュート、イリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ油、ブルーカモミル油、ローマカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、リトセアキュベバ油、ローレル(laurel)リーフ油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイバーク油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、クラリセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、オポパナックス(opopanax)油、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パッチュリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレン油、ペパーミント油、胡椒油、ピメント油、パイン油、ペニーローヤル油、ローズアブソリュート、ボアドローズ油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアセージ油、スペインセージ油、白檀油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴ油、タゲテス油、ファーニードル油、ティーツリー油、テレピン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナ油、ベチバ油、ジュニパーベリー油、ワイン澱油、アブサン油、ウィンターグリーン(winter green)油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモンリーフ油、シナモンバーク油及びこれらの画分又はこれらから単離される成分、
【0058】
炭化水素の群からの個別のフレグランス、例えば3-カレン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン、
【0059】
脂肪族アルコール、例えばヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、
【0060】
脂肪族アルデヒド及び脂肪族アルデヒドのアセタール、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エン、脂肪族ケトン及び脂肪族ケトンのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、
【0061】
脂肪族硫黄含有化合物、例えば3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール、
【0062】
脂肪族ニトリル、例えば2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、
【0063】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキリアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネート、
【0064】
非環式テルペンアルコール、例えばゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0065】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル-及びジエチルアセタール、環状テルペンアルコール、例えばメントール、イソプレゴール、アルファ-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール(guajol)、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0066】
環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えばメントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、ショウノウ、フェンコン、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アルファ-n-メチルイオノン、ベータ-n-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、ベータ-イソメチルイオノン、アルファ-イロン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ベータ-ダマセノン、デルタ-ダマスコン、ガンマ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、アルファ-シネンサール、ベータ-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)、
【0067】
環状アルコール、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
【0068】
脂環式アルコール、例えばアルファ-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、
【0069】
環状及び脂環式エーテル、例えばシネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、アルファ-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、
【0070】
環状及び大環状ケトン、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、
【0071】
脂環式アルデヒド、例えば2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、
【0072】
脂環式ケトン、例えば1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン、
【0073】
環状アルコールのエステル、例えば2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、
【0074】
脂環式アルコールのエステル、例えば1-シクロヘキシルエチルクロトネート、
【0075】
脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-及びtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、
【0076】
芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール、
【0077】
芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えばベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート、
【0078】
芳香脂肪族エーテル、例えば2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、
【0079】
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、アルファ-ブチルシンナムアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、
【0080】
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン、
【0081】
芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸並びに芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸のエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、cis-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート、
【0082】
窒素含有芳香族化合物、例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン、
【0083】
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えばエストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、ベータ-ナフチルメチルエーテル、ベータ-ナフチルエチルエーテル、ベータ-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテート、
【0084】
複素環式化合物、例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン、
【0085】
ラクトン、例えば1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン
を挙げることができる。
【0086】
フレッシュなノート、シーノート、オゾンノート、アウトドアのノート及び/又はグリーンフローラルのノートを有する香料、例えばcis-3-ヘキサノール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド(例えばLigustral(登録商標)、Givaudan)、1,4-ビス(エトキシメチル)-シクロヘキサン(例えばVertofruct(登録商標)、BASF)及び8-メチル-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(例えばCalone(登録商標)、Firmenich)との組合せは都合がよく、このフレッシュ、シー、オゾン、アウトドア及び/又はグリーンフローラルのノートは、本発明の化合物によりブーストされる。
【0087】
少なくとも1種の非香料キャリアは、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤であり得る。典型的には、少なくとも1種の非香料キャリアは、本発明による香料組成物に存在する場合、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤である。非香料キャリアは、香料組成物に含まれる香料(複数可)、すなわち式(I)の化合物、及び、上に定義されたような化合物(I)とは異なる、任意選択で1種以上のさらなる香料の希釈及び/又は定着に役立つ。
【0088】
適切なキャリア材料は、液体又は油状キャリア材料、及びワックス状又は固体キャリア材料であり得る。
【0089】
特に、非香料キャリアは、本発明による組成物に存在する場合、界面活性剤、油成分及び溶媒からなる群から選択される。
【0090】
したがって、本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されている本発明の化合物、並びに界面活性剤、皮膚軟化剤(油成分)及び溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む組成物を対象とする。
【0091】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及び少なくとも1種の溶媒を含む組成物を対象とする。
【0092】
本発明の文脈では、「溶媒」は、それ自体の芳香を放つ特性を有さない、本発明によって使用される本発明の化合物の希釈に役立つ。いくつかの溶媒は、同時に定着性を有する。
【0093】
1種以上の溶媒は、本組成物に対して0.01~99wt%で本組成物中に存在し得る。本発明の好ましい実施形態では、本組成物は、本組成物の合計重量に対して0.1~90wt%、好ましくは0.5~80wt%の溶媒(複数可)を含む。溶媒(複数可)の量は、本組成物に応じて選択することができる。本発明の一実施形態において、本組成物は、本組成物の合計重量に対して0.05~10wt%、好ましくは0.1~5wt%、より好ましくは0.2~3wt%を含む。本発明の一実施形態において、本組成物は、本組成物の合計重量に対して20~70wt%、好ましくは25~50wt%の溶媒(複数可)を含む。
【0094】
好ましい溶媒は、エタノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート(DEP)、イソプロピルミリステート(IPM)、トリエチルシトレート(TEC)及びベンジルベンゾエート(BB)である。
【0095】
特に好ましい溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0097】
さらなる態様によれば、本発明の化合物は、界面活性剤含有組成物中での使用に適している。その特徴的な香りプロファイルに従って、化合物は、特に例えば洗浄剤(特に、ランドリーケア用品及び多目的洗浄剤)等の界面活性剤含有組成物の芳香付けのために使用することができる。
【0098】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及び少なくとも1種の界面活性剤を含む組成物を対象とする。
【0099】
界面活性剤(複数可)は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性若しくは双性界面活性剤から選択されてもよい。例えばシャワージェル、泡入浴剤(foam bath)、シャンプー等の界面活性剤含有組成物は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0100】
本発明による組成物は通常、界面活性剤(複数可)を全体として(in the aggregate)、本組成物の総重量に対して0~40wt%の量、好ましくは0~20wt%の量、より好ましくは0.1~15wt%の量、特に0.1~10wt%の量で含有する。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシ化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択により部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギを主体とした植物性生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート並びにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、非イオン性界面活性剤は、従来のホモログ分布を有してもよいが、好ましくは、範囲が狭いホモログ分布を有する。
【0101】
双性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基及び少なくとも1個の-COO(-)又は-SO3 (-)基を含有する、界面活性化合物である。特に適切な双性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキル基又はアシル基中に8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られた脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0102】
両性界面活性剤は、特に共界面活性剤としても適している。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル又はアシル基の他にも、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基及び少なくとも1個の-COOH-基又は-SO3H-基を含有し、内塩を形成することができる、界面活性化合物である。適切な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0103】
アニオン性界面活性剤は、水溶性化作用のあるアニオン性基、例えばカルボキン酸基、硫酸基、スルホン酸基又はリン酸基及び親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、開業医には、関連する教本から多数知られており、市販されている。アニオン性界面活性剤は特に、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12~C18アルキル基又はアシル基を含有するアシルタウリン、並びに、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0104】
特に適切なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムのハロゲン化物、より特定すると塩化物及び臭化物、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、容易に生分解され得る第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で販売されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキル(dialkoyloxyalkyl)アンモニウムメトスルフェート並びに対応するDehyquart(登録商標)シリーズという製品が、カチオン性界面活性剤として使用されてもよい。「エステルクォート(esterquat)」は一般に、第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解される。エステルクォートは、本組成物に格別の柔らかさを付与することができる。エステルクォートは、関連する有機化学的な方法によって調製された、公知の物質である。本発明による使用に適した他のカチオン性界面活性剤は、第四級化タンパク質加水分解物である。
【0105】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及び少なくとも1種の油成分を含む組成物を対象とする。
【0106】
油成分は、一般的に、組成物の合計重量に対して、0.1~80wt%、好ましくは0.5~70wt%、より好ましくは1~60wt%、さらにより好ましくは1~50wt%、特に1~40wt%、より特定すると5~25wt%、具体的には5~15wt%の総量で存在する。
【0107】
油成分は例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベアルコール並びに他のさらなるエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート及びエルシルエルケートから選択されてもよい。同様に適しているものは、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖状又は分岐状C6~C22脂肪アルコール、特により特定するとジオクチルマレートとのエステル、直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール若しくはトリマートリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸を主体としたトリグリセリド、C6~C18脂肪酸を主体とした液体状モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、より特定すると安息香酸とのエステル、ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状及び分岐状C6~C22脂肪アルコールカルボネート、例えばジカプリリルカルボネート(Cetiol(登録商標)CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖状及び/又は分岐状C6~C22アルコール(例えば、Finsolv(登録商標)TN)とのエステル、アルキル基1個当たり6~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の対称又は非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオール及び炭化水素との開環生成物或いはこれらの混合物である。
【0108】
本発明の化合物は、抗酸化剤とも共に使用できる。
【0109】
抗酸化剤は、酸素の効果及び他の酸化過程によって引き起こされる、保護される組成物における望ましくない変化を阻害又は予防することを可能にする。抗酸化剤の効果は、ほとんどの場合、抗酸化剤が自動酸化中に生じる遊離基に対する遊離基スカベンジャーとして作用することにある。
【0110】
抗酸化剤は、例えば
- アミノ酸(例えばグリシン、アラニン、アルギニン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、
- イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びその誘導体、
- ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン(=β-アラニル-L-ヒスチジン)及びその誘導体、
- カロテノイド、カロテン(例えばアルファ-カロテン、ベータカロテン、リコペン、ルテイン)又はその誘導体、
- クロロゲン酸及びその誘導体、
- リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、
- アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、ガンマ-リノレイル、コレステリル及びそのグリセリルエステル)並びにその塩、
- ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、
- スルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、
- (金属)キレート剤(例えばアルファ-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、
- アルファ-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、
- フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、ボルジン(=植物ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus)からのアルカロイド、ボルドー抽出物、
- EDTA、EGTA及びその誘導体、
- 不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えばガンマ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、
- 葉酸及びその誘導体、
- ユビキノン及びユビキノール並びにその誘導体、
- ビタミンC及び誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、
- トコフェロール及び誘導体(例えばビタミンEアセテート)、
- ビタミンA及び誘導体(例えばビタミンAパルミテート)、
- ガムベンゾインのコニフェリルベンゾエート、ルチン酸(rutic acid)及びその誘導体、アルファ-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、
- ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、
- ノルジヒドログアイアシン酸(nordihydroguaiacic acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、
- スーパーオキシドディスムターゼ、
- 亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、
- セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)並びに
- スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans-スチルベンオキシド)からなる群から選択され得る。
【0111】
好ましい実施形態では、抗酸化剤は、ペンタエリスリチル、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ノルジヒドログアイアレチン酸、フェルラ酸、レスベラトロール、プロピルガレート、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビルパルミテート及びトコフェロールからなる群から選択される。
【0112】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して0.001~25wt%の量、好ましくは0.005~10wt%の量、好ましくは0.01~8wt%の量、好ましくは0.025~7wt%の量、好ましくは0.05~5wt%の量で抗酸化剤を含み得る。
【0113】
本発明の化合物は、消臭組成物とも共に使用できる。
【0114】
消臭組成物(デオドラント及び制汗剤)は、体の匂いを中和する、マスキングする、又は解消する。体の匂いは、アポクリン発汗時の皮膚細菌の作用を介して形成され、これにより、不快な匂いのする分解生成物が形成される。
【0115】
本発明の別の実施形態は、したがって、本発明の化合物及び少なくとも1種のデオドラント活性剤を含む組成物を対象とする。
【0116】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのデオドラント活性剤は、制汗剤、エステラーゼ阻害剤及び抗菌剤からなる群から選択される。
【0117】
適切な制汗剤は、アルミニウム、ジルコニウム又は亜鉛の塩からなる群から選択され得る。例は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート及び例えば1,2-プロピレングリコールとのその錯体化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート及び例えばアミノ酸例としてグリシンとのその錯体化合物である。アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート及びその錯体化合物が、好ましくは使用される。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート及びアルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレートからなる群から選択される少なくとも1種の制汗剤を含む。
【0119】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、制汗剤を1~50wt%の量、好ましくは5~30wt%の量、より詳細には10~25wt%の量で含み得る。
【0120】
汗がわきの下の領域に存在する場合、細胞外酵素であるエステラーゼ、主にプロテアーゼ及び/又はリパーゼが細菌により形成され、汗に存在するエステルを分裂させ、この工程の際に匂いが放出される。適切なエステラーゼ阻害剤は、例えばトリアルキルシトレート、例としてトリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、特にトリエチルシトレートである。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害するので、匂いの発生を抑える。遊離酸は、おおかたクエン酸エステルの切断により放出され、皮膚のpH値を、酵素がアシル化により不活化される程度まで低下させる。他のエステラーゼ阻害剤は、ステロールスルフェート又はホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロールスルフェート又はホスフェート、ジカルボン酸及びそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルエステル並びに亜鉛グリシネートである。
【0121】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、トリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレートトリエチルシトレート、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロールスルフェート、シトステロールホスフェート、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸、マロン酸ジエチルエステル、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ジエチルエステル及び亜鉛グリシネートからなる群から選択される少なくとも1つのエステラーゼ阻害剤を含む。
【0122】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、0.01~20wt%の量、好ましくは0.1~10wt%の量、より詳細には0.5~5wt%の量でエステラーゼ阻害剤を含み得る。
【0123】
本明細書で使用する場合の「抗菌剤」という用語は、殺菌及び/又は静菌特性を有する物質を包含する。典型的には、これらの物質は、グラム陽性菌に対して作用し、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えばサリチル酸-n-オクチルアミド又はサリチル酸-n-デシルアミドである。
【0124】
好ましい実施形態では、抗菌剤は、キトサン、フェノキシエタノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェンオキシ)-フェノール、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミドからなる群から選択される。
【0125】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、0.01~5wt.%の量、好ましくは0.1~2wt%の量で抗菌剤を含み得る。
【0126】
ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールは、有機化学の標準方法によって、及び当技術分野に記載されている方法によって調製できる。より正確に言えば、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールは、対応するドデカ-4,8,11-トリエナールを、カルボニル基をヒドロキシル基に選択的に変換する還元に供することにより調製できる。対応する(不飽和)アルコールを得る、C=C二重結合を含む化合物中のカルボニル基の選択的還元に適した方法は、当業者に周知である。例えば、カルボニル基の還元は、ドデカ-4,8,11-トリエナールを水素化ホウ素、例えばテトラヒドロホウ酸リチウム、ナトリウム若しくはカリウム、又は水素化アルミニウム、例えば水素化アルミニウムリチウム、DIBAL-H又はLiAlH[OC(CH3)3]3と反応させることにより達成され得る。反応は、例えば、S. Krishnamurthyら Org. Chem.、1977年、42(7)、1197~1201頁、J.C. Fullerら、Tetrahedron Lett. 34、1993年、257~260頁、B. Zeynidazehら、Bull. Korean Chem. Soc. 24(3)、2003年、295~298頁により記載されている方法と同様に行われ得る。好ましくは、NaBH4又はLiAlH4が使用される。特定の実施形態によれば、ドデカ-4,8,11-トリエナールのC=O(カルボニル)基の還元は、NaBH4を使用して実行する。
【0127】
ドデカ-4,8,11-トリエナールのC=O(カルボニル)基の還元は、好ましくは有機溶媒中で実行する。適切な有機溶媒は、反応において干渉しないもの、特にそれら自体が還元されて、トリエナールと競合する傾向がないものすべてである。さらに、これらは、使用される還元剤と適合しなければならない。例えば、LiAlH4が使用される場合、加水分解し易いので、溶媒は無水でなければならない一方、反応性がはるかに低いNaBH4を使用する場合、反応は、水又は水性混合物中でさえも実行できる。適切な溶媒は、例えばアルコール、特にアルカノール又はグリコール、エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン又はヘプタン、シクロアルカン、例えばシクロヘキサン又はシクロオクタン、並びに芳香族炭化水素、例えばトルエン又はキシレンであり、また、NaBH4を使用する場合は、水又は水と上に列挙された溶媒のうち水混和性であるものの混合物である。NaBH4を使用する場合、アルコール又はアルコールの混合物が好ましい。前記アルコールの例は、アルカノール、例えば、C1~C4-アルカノール、例としてメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール又はtert-ブタノール、グリコール、特にモノ-又はジ-C2~C4-アルキレングリコール、例としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等及びグリコールのモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はジエチレングリコールのモノメチル又はモノエチルエーテルを含む。アルカノール、特にC1~C4-アルカノールがより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はそれらの混合物が、使用される。極めて具体的には、エタノールが使用される。LiAlH4、LiAlH[OC(CH3)3]及びDIBAL-Hを使用する場合、上記のエーテル、アルカン、シクロアルカン及び芳香族炭化水素、特に上記のエーテル及びアルカンの使用が好ましい。上述のように、LiAlH4の場合、溶媒は適切には無水である。溶媒中の残留水を除去する方法は当業界で周知である。
【0128】
ドデカ-4,8,11-トリエナールの還元(水素化)は、-20℃~反応混合物の沸点、好ましくは0~40℃、より好ましくは10~30℃、特に20~30℃の範囲の温度で行うことができる。具体的には、還元は室温(20~25℃)で実行する。
【0129】
反応圧力は重要ではない。通常、反応は周囲圧力で実行する。
【0130】
還元剤の量及び反応時間は、高い収率のドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを得るために適切に選択される。好ましくは使用されるLiAlH4、及びNaBH4は全4個の水素化物アニオンを移動させることができるので、ドデカ-4,8,11-トリエナールは、等モルより少ない量からほぼ等モル量のNaBH4又はLiAlH4、例えばドデカ-4,8,11-トリエナール1mol当たり0.2~0.9、好ましくは0.4~0.9、特に0.5~0.8、具体的には0.5~0.7molの範囲の量のNaBH4又はLiAlH4と適切に反応する。しかし、等モル又はより多い量で還元剤を使用することも可能である。水素化物イオン1個のみを移動させる還元剤、例えばLiAlH[OC(CH3)3]及びDIBAL-Hの場合、等モル又はより多い量でのそれらの使用、例えば、ドデカ-4,8,11-トリエナール1mol当たり1~1.5mol、好ましくは1~1.2mol、特に1~1.1molの量でのそれらの使用が好ましい。
【0131】
反応が十分に進展した、すなわちドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの量が、理想的にその最大値に達した後で、反応を、一般に水の添加によりクエンチして未反応の還元剤を不活性化する。後処理は、通例の手段により実行できる。例えば有機溶媒は、必要に応じて例えば減圧下での蒸発により除去できる。ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含有する水素化生成物は、水相を適切な有機溶媒、例えば、次いで蒸発により除去できる酢酸エチル等で抽出することにより回収できる。
【0132】
典型的には、水素化から得られる粗生成物は、続いて精製して、望ましくない副生成物及び/又は不純物、例えば残留出発材料を除去する。一般に、精製は、よく知られている精製法、例えば蒸留又はクロマトグラフィー法等、例としてカラムクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーを使用して行われる。
【0133】
本発明の化合物を調製するための出発材料として使用されるドデカ-4,8,11-トリエナールは、当業界で公知の方法により調製できる。例えば、ドデカ-4,8,11-トリエナールは、シクロドデカ-1,5,9-トリエンをN2Oによって酸化させ、次いでドデカ-4,8,11-トリエナールを反応混合物から単離することにより得られる。ドデカ-4,8,11-トリエナールを調製、単離及び精製する方法は、例えばWO2010/086313に記載されている。一般に、出発材料としてのシクロドデカ-1,5,9-トリエンは、商用供給源からも容易に入手可能である。
【0134】
本明細書に記載されている本発明の化合物は、多種多様な香料組成物に使用できる。ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの嗅覚特性、物質特性(通常の溶媒への溶解性及びこのような組成物のさらなる通常の構成要素との適合性等)は、記載してきた使用目的及び組成物に対する特段の適性を際立たせている。
【0135】
適切な香料組成物は、例えば芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物である。
【0136】
芳香組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状の形態又は固体キャリアに塗布された形態のエアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、香り付き洗浄剤、香りキャンドル、及びオイル、例えばランプオイル又はメッセージ用オイルから選択することができる。
【0137】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物(perfume extracts)、オードパルファン、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド及びエクストレパルファン(Extrait Parfum)である。
【0138】
ボディケア組成物は、化粧品組成物を含み、アフターシェーブ、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固体石けん及び液体石けん、シャワージェル、シャンプー、ひげ剃り用石けん、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品用エマルション、例えばスキンクリーム及びスキンローション、フェイスクリーム及びフェイスローション、日焼け止めクリーム及び日焼け止めローション、日焼けケア用クリーム及び日焼けケア用ローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛クリーム及び脱毛ローション、アフターシェーブクリーム及びアフターシェーブローション、日焼けクリーム及び日焼けローション、ヘアケア製品、例えばヘアスプレー、ヘア用ジェル、整髪ローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、パーマネント型及びセミパーマネント型の毛染め剤、ヘアシェイピング用組成物、例えばコールドウェーブ用薬剤(cold wave)及びヘアスムージング用組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローション、消臭剤及び制汗剤、例えばわきの下用のスプレー剤、ロールオン、消臭スティック及び消臭クリーム、装飾化粧品、例えばアイライナー、アイシャドウ、マニキュア液、メーキャップ、口紅及びマスカラから選択することができる。
【0139】
口腔及び歯科衛生用品は、練り歯磨き、デンタルフロス、マウスウォッシュ、ブレスフレッシュナー、デンタルフォーム、デンタルジェル、及びデンタルストリップを含む。
【0140】
衛生用品は、線香、殺虫剤、防虫剤、噴射剤、さび取り剤、芳香付きふき取りシート(perfumed freshening wipe)、わきパッド、赤ちゃん用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧品ふき取りシート(cosmetic wipe)、ポケットティッシュ、食洗機及び脱臭剤から選択することができる。
【0141】
家庭用洗浄組成物、例えば固体表面のための洗浄剤は、芳香付きの酸性、アルカリ性及び中性洗浄剤、例えば床用洗浄剤、窓用洗浄剤、手洗い用及び機械洗浄用の食器洗い用洗剤、浴室用洗浄剤及びサニタリー用洗浄剤、スカーリングミルク(scouring milk)、固体型及び液体型トイレ用洗浄剤、粉末型及び泡型カーペット用洗浄剤、ワックス及び磨き剤、例えば家具用磨き剤、床用ワックス、靴クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水垢除去剤、グリル用及びオーブン用洗浄剤、藻類除去剤及びコケ除去剤、カビ除去剤、ファサード洗浄剤(facade cleaner)から選択することができる。
【0142】
繊維用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯用前処理剤、例えば漂白剤、漬け置き剤及び染み除去剤、繊維柔軟剤、洗濯用石けん、洗濯用錠剤から選択することができる。
【0143】
食品は、食べることができる生の、調理済みの若しくは加工済みの物質、氷、飲料、又は、人間の消費のために全体若しくは一部が使用される若しくは使用されることが意図された成分、或いは、チューインガム、グミ、ゼリー及び菓子類を意味する。
【0144】
栄養補助食品は、さらなる栄養価を飲食物に加えるように意図された食用成分を含有する、摂取が意図された製品である。食用成分は、次の物質、すなわち、ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物性薬品、アミノ酸、合計飲食物摂取量の増大によって飲食物を補助することを目的とした人々が使用するための飲食物用物質、濃縮物、代謝物質、構成要素又は抽出物のうちの1つ又は任意の組合せであってもよい。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、軟質ゲル、ジェルキャップ、液体又は粉末等の数多くの形態で見出され得る。
【0145】
医薬組成物は、疾患の診断、治療、軽減、処置又は予防における使用のために意図された組成物、及び、人間又は他の動物の身体の構造又は何らかの機能に影響するように意図された(食品以外の)物品を含む。
【0146】
作物保護組成物は、農業作物及び森林を損なう植物病害、雑草及び他の有害生物(脊椎動物と無脊椎動物との両方)の管理のために意図された、組成物を含む。
【0147】
本発明による組成物は、1種以上の物質、例えば、保存料、研磨剤、抗にきび剤、皮膚の老化を抑えるための作用物質、抗細菌剤、脂肪沈着防止剤、フケ防止剤、抗炎症剤、刺激予防剤、刺激緩和剤、抗菌剤、抗酸化剤、収れん剤、発汗抑制剤、消毒剤、静電気防止剤、結合剤、緩衝材、キャリア材料、キレート化剤、細胞刺激物質、洗浄剤、手入れ用物質(care agent)、脱毛剤、界面活性物質、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、保留剤(fixative)、泡形成剤、泡安定剤、発泡を予防するための物質、発泡増進剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェイピング剤、ヘアスムージング、水分付与剤、加湿物質、湿潤剤物質、漂白剤、補強剤、染み除去剤、蛍光増白剤、含浸剤、汚れ忌避剤(soil repellent)、摩擦低減剤、滑沢剤、加湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、磨き剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、加脂剤(refatting agent)、スクラブ剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤(warming agent)、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線フィルター、繊維柔軟剤、懸濁剤、日焼け剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、着色防止剤(color-protection agent)、顔料、防食剤、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体をさらに含むことができる。
【0148】
本発明の化合物及び本発明によるそれを含む香料組成物は、マイクロカプセル封入された形態、噴霧乾燥形態、包接錯体の形態、又は押出製品の形態であってもよい。より目標を絞った香気の放出に関する特性は、適切な材料を用いたいわゆる「コーティング」によって、さらに最適化することが可能であり、この目的ために、好ましくは、例えばポリビニルアルコール等のワックス状合成物質が使用される。
【0149】
マイクロカプセル封入は例えば、いわゆるコアセルベーション法によって、例えばポリウレタン状物質又は軟ゼラチンから製造されたカプセル材料を用いて実施することができる。噴霧乾燥された香油は、例えば、本明細書に記載されている本発明の混合物又は組成物を含むエマルション又は分散物を噴霧乾燥させることによって製造することができ、使用され得るキャリア物質は、変性デンプン、タンパク質、デキストリン、及び植物性ガムである。包接錯体は、例えば、フレグランス組成物及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散物を適切な溶媒、例えば水に導入することによって、調製することができる。押出製品は、本明細書に記載されている本発明の混合物又は組成物を、適切なワックス状物質と一緒にして、任意選択により適切な溶媒、例えばイソプロパノール中で、溶融させ、押出した後に固化させることによって、製造することができる。
【0150】
一般に、本発明による香料組成物中の本明細書に記載されている本発明の化合物の合計量は、典型的には、特定の使用目的又は意図する用途に適合され、よって、広範囲にわたって変化し得る。原則として、従来の標準的な市販品の香りの量が用いられる。
【0151】
本発明による組成物は、本明細書に記載されている本発明の化合物を、本組成物の合計重量に対して0.0001~99.9wt%の総量で含むことができる。
【0152】
すぐに使用できる組成物として直接使用されないが、アロマ付けを意図している本発明の香料組成物は、典型的には、本発明の化合物を、本組成物の合計重量に対して0.01~5wt%の総量、好ましくは0.05~1wt%の総量、特に0.1~0.5wt%の総量で含む。
【0153】
すぐに使用できる組成物である本発明の組成物は、典型的には、本明細書に記載されている本発明の化合物を、本組成物の合計重量に対して0.0001~0.5wt%の総量、好ましくは0.0005~0.1wt%、特に0.001~0.05wt%の量で含む。
【0154】
本発明のさらなる実施形態は、香料組成物、特にアロマ付き(例えばフレグランス)組成物、特にすぐに使用できるアロマ付き(例えばフレグランス)組成物を調製する方法であって、本明細書に記載されている本発明の化合物を、香料組成物、特にアロマ付き(例えばフレグランス)組成物、特にすぐに使用できるアロマ付き(例えばフレグランス)組成物に組み込む工程を含む方法を対象とする。
【0155】
例えば、方法は、本明細書に記載されている本発明の化合物、及び
(i)ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールとは異なる少なくとも1種の追加の香料、又は
(ii)少なくとも1種の非香料キャリア、又は
(iii)少なくとも1種の抗酸化剤、又は
(iv)少なくとも1種のデオドラント活性剤、又は
(v)成分(i)から(iv)のうちの少なくとも2種の混合物)を混合することにより実行できる。
【0156】
本発明は、香料組成物、例えばフレグランス組成物、特にすぐに使用できるフレグランス組成物等のアロマ特性(例えば香り特性)を変更する方法も対象とし、この方法は、本明細書に記載されている本発明の化合物を、香料組成物、例えばフレグランス組成物、特にすぐに使用できるフレグランス組成物等に組み込む工程を含む。
【0157】
特に、本発明は、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物を調製する方法であって、本明細書に記載されている本発明の化合物を、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0158】
一実施形態では、本発明は、アルデヒド及びマリンの要素を有するバイオレットリーフ及びグリーンビーンズを連想させるノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、本発明の化合物を、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0159】
以下の実施例は、本発明のさらなる例示としての役割を果たす。
【0160】
[実施例]
1. 調製例
ドデカ-4,8,11-トリエナールをWO2010/086313に記載されているように、調製し、精製した。100gのドデカ-4,8,11-トリエナールを、400mlのエタノールに溶解した。次いで、12.2gのNaBH4を、室温にて溶液に段階的様式で添加した。混合物を室温にて2.5時間撹拌した後で、反応を、300mlの水の添加により停止した。エタノールを蒸発により除去し、反応生成物を、300mlの酢酸エチルを使用して水相から抽出した。このように得られた有機相をブライン溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒の蒸発後、約76%のドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを含有する94.6gの粗生成物を得た。生成物を、蒸留により精製し、ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールを88%の純度で得た。精製した生成物を、NMRにより分析し、結果から、(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール及び(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの存在が3:2の比で指し示された。
(4Z,8E)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール
13C NMR (125 MHz, CDCl3): d = 23.61 (C10), 27.17 (C6), 32.49 (C7), 32.51 (C11), 36.72 (C3), 62.22 (C12), 114.85 (C1), 128.04 (C4), 129.30 (C5), 129.76 (C9), 130.95(C8), 137.26 (C2).
(4E,8Z)-ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オール
13C NMR (125 MHz, CDCl3): d = 28.86 (C10), 27.18 (C6), 31.55 (C7), 32.32 (C11), 36.72 (C3), 62.14 (C12), 114.57 (C1), 126.92 (C4), 129.97 (C5), 130.21 (C9), 130.32(C8), 137.94 (C2).
【0161】
2. 嗅覚評価
ドデカ-4,8,11-トリエン-1-オールの匂いの質及び強さを試験するために、香りストリップ試験を行った。
【0162】
この目的のために、吸収紙のストリップを、エタノール中1~10wt%の試験される化合物を含有する溶液へと浸漬させた。溶媒を蒸発させた後(約30秒)、香りの印象を、熟練のパフューマーにより嗅覚で評価した。
【0163】
結果:
【0164】
【表1】
【0165】
都合のよい芳香成分
実施例1の化合物を、表2及び3による芳香組成物に配合した。
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】