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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】粉塵量予測装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20240101AFI20240517BHJP
   B01J 2/02 20060101ALI20240517BHJP
   B29B 9/08 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01N15/06 D
B01J2/02 Z
B29B9/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023549659
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 KR2022013635
(87)【国際公開番号】W WO2023043149
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123536
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ピル-スン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ハン・ナム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヒョク・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ミン-キ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホン-キュ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】チャン-ソン・イ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0113702(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108414569(CN,A)
【文献】特開2007-262021(JP,A)
【文献】特開昭59-049838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/06
B29B 9/08
B01J 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリルタワーに流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測装置であって、
学習された微粉量予測モデルを用いて、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報から前記工程過程において生成される微粉量を予測する微粉量予測部と、
学習された粉塵量予測モデルを用いて、前記微粉量予測部により予測された微粉量から前記工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測部と、
を含む、粉塵量予測装置。
【請求項2】
前記微粉量予測モデルは、
前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報と予め設定された微粉量生成割合に基づいて、前記液状BPAから生成可能な前記微粉量を予測するように予め学習された、請求項1に記載の粉塵量予測装置。
【請求項3】
前記微粉量生成割合は、
前記液状BPAの量と前記液状BPAから生成された微粉量との間の対応関係を示すように予め設定された、請求項2に記載の粉塵量予測装置。
【請求項4】
前記微粉量予測モデルは、
前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの特性情報及び前記プリルタワーの工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方をさらに考慮して、前記微粉量を予測するように予め学習された、請求項2に記載の粉塵量予測装置。
【請求項5】
前記微粉量予測部は、
前記液状BPAの特性情報及び前記工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方に対応する前記微粉量生成割合を決定し、決定された微粉量生成割合に基づいて前記微粉量を予測する、請求項4に記載の粉塵量予測装置。
【請求項6】
前記液状BPAの特性情報は、
前記液状BPAの温度情報及び組成情報のうちの少なくともどちらか一方を含む、請求項4に記載の粉塵量予測装置。
【請求項7】
前記工程条件因子は、
前記プリルタワーに流れ込む液状BPAが前記プリルタワーの内部に噴霧される速度、前記工程過程において生成されたBPAプリルと微粉とが前記プリルタワーから外部へと出力される速度、前記工程過程において前記プリルタワーに流れ込む冷媒の量、前記冷媒の温度、前記プリルタワーの内部温度及び前記粉塵が貯留される粉塵フィルターと前記プリルタワーの内部との圧力差のうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項4に記載の粉塵量予測装置。
【請求項8】
前記粉塵量予測モデルは、
前記微粉量と前記粉塵量について予め設定された相関関係に基づいて、前記予測された微粉量から前記粉塵量を予測するように予め学習された、請求項1に記載の粉塵量予測装置。
【請求項9】
前記相関関係は、
前記液状BPAから生成された微粉量と粉塵量との間の対応関係に基づいて予め設定される、請求項8に記載の粉塵量予測装置。
【請求項10】
前記液状BPAは、
前記工程過程において前記プリルタワーに流れ込んで前記BPAプリル、前記微粉及び前記粉塵を生成する、請求項1に記載の粉塵量予測装置。
【請求項11】
前記工程過程において生成される粉塵が貯留される粉塵フィルターの酸素量及び静電気量と前記粉塵量予測部により予測された粉塵量に基づいて前記粉塵フィルターの状態を診断する危険度決定部をさらに含む、請求項1に記載の粉塵量予測装置。
【請求項12】
前記危険度決定部は、
前記粉塵フィルターの状態を正常状態または異常状態と決定し、前記決定された粉塵フィルターの状態が前記異常状態である場合、警告通知を出力する、請求項11に記載の粉塵量予測装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の粉塵量予測装置を含む、BPAプリル製造装置。
【請求項14】
プリルタワーに流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測方法であって、
学習された微粉量予測モデルを用いて、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報及び特性情報と前記プリルタワーの工程条件因子から前記工程過程において生成される微粉量を予測する微粉量予測ステップと、
学習された粉塵量予測モデルを用いて、前記微粉量予測ステップにおいて予測された微粉量から前記工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測ステップと、
を含む、粉塵量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年09月15日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0123536号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、粉塵量予測装置及び方法に係り、さらに詳しくは、ビスフェノールA(BPA)プリルの製造過程において生じる粉塵の量を予測することのできる粉塵量予測装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、プリルタワー(Prill tower)を介してBPA(Bisphenol-A)プリルが生成される過程において生成される粉塵(Dust)は、粉塵フィルターに貯留されることがある。このような粉塵フィルターには、プリルタワーから流れ込んだ粉塵がフィルターリングされるバッグフィルター(Bag filter)と、粉塵が最終的に貯留される粉塵ボックス(Dust box)と、が含まれ得る。
【0004】
粉塵フィルターに貯留された粉塵は可燃物質であり、一定の量以上の粉塵が一定の空間内に散らばっている場合、点火源として働き得る静電気が蓄えられる虞がある。すなわち、バッグフィルター内に酸素、静電気(点火源)及び粉塵(可燃物質)が一定のレベル以上に存在してしまうと、バッグフィルターに火災が起きたり、バッグフィルターが爆発したりするリスクがある。したがって、バッグフィルターに貯留される粉塵量を確認して、予期せぬ事故が起こることを予め感知することが重要である。
【0005】
例えば、従来には、一定の期間毎に粉塵フィルターの粉塵ボックスを取り替え、当該期間の間に粉塵ボックスに貯留された粉塵の量を事後的に確認していた。但し、このような従来の方式は、粉塵フィルターに貯留される粉塵の量をリアルタイムにて確認することができないという不都合がある。
【0006】
別の例を挙げると、従来には、粉塵フィルターに粉塵量を検出するセンサーを備設して粉塵量を確認していた。但し、このような従来の方式は、粉塵量を検出するセンサーが必ず備えられなければならないが故に、BPAプリル生産装置の製造コストが高騰してしまうという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような不都合を解決するために案出されたものであり、学習されたモデルを用いて、BPAプリルの生産工程過程において生じる粉塵の量をリアルタイムにて予測する粉塵量予測装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより一層明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現できるということが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る粉塵量予測装置は、プリルタワーに流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測装置であって、学習された微粉量予測モデルを用いて、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報から前記工程過程において生成される微粉量を予測する微粉量予測部と、学習された粉塵量予測モデルを用いて、前記微粉量予測部により予測された微粉量から前記工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測部と、を含んでいてもよい。
【0010】
前記微粉量予測モデルは、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報と予め設定された微粉量生成割合に基づいて、前記液状BPAから生成可能な前記微粉量を予測するように予め学習されてもよい。
【0011】
前記微粉量生成割合は、前記液状BPAの量と前記液状BPAから生成された微粉量との間の対応関係を示すように予め設定されてもよい。
【0012】
前記微粉量予測モデルは、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの特性情報及び前記プリルタワーの工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方をさらに考慮して、前記微粉量を予測するように予め学習されてもよい。
【0013】
前記微粉量予測部は、前記液状BPAの特性情報及び前記工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方に対応する前記微粉量生成割合を決定し、決定された微粉量生成割合に基づいて前記微粉量を予測するように構成されてもよい。
【0014】
前記液状BPAの特性情報は、前記液状BPAの温度情報及び組成情報のうちの少なくともどちらか一方を含むように構成されてもよい。
【0015】
前記工程条件因子は、前記プリルタワーに流れ込む液状BPAが前記プリルタワーの内部に噴霧される速度、前記工程過程において生成されたBPAプリルと微粉とが前記プリルタワーから外部へと出力される速度、前記工程過程において前記プリルタワーに流れ込む冷媒の量、前記冷媒の温度、前記プリルタワーの内部温度及び前記粉塵が貯留される粉塵フィルターと前記プリルタワーの内部との圧力差のうちの少なくともいずれか一つを含むように構成されてもよい。
【0016】
前記粉塵量予測モデルは、前記微粉量と前記粉塵量について、予め設定された相関関係に基づいて、前記予測された微粉量から前記粉塵量を予測するように予め学習されてもよい。
【0017】
前記相関関係は、前記液状BPAから生成された微粉量と粉塵量との間の対応関係に基づいて予め設定されるように構成されてもよい。
【0018】
前記液状BPAは、前記工程過程において前記プリルタワーに流れ込んで前記BPAプリル、前記微粉及び前記粉塵を生成するように構成されてもよい。
【0019】
本発明の他の態様に係る粉塵量予測装置は、前記工程過程において生成される粉塵が貯留される粉塵フィルターの酸素量及び静電気量と前記粉塵量予測部により予測された粉塵量に基づいて前記粉塵フィルターの状態を診断する危険度決定部をさらに含んでいてもよい。
【0020】
前記危険度決定部は、前記粉塵フィルターの状態を正常状態または異常状態と決定し、前記決定された粉塵フィルターの状態が前記異常状態である場合、警告通知を出力するように構成されてもよい。
【0021】
本発明のさらに他の態様に係るBPAプリル製造装置は、本発明の一態様に係る粉塵量予測装置を含んでいてもよい。
【0022】
本発明のさらに他の態様に係る粉塵量予測方法は、プリルタワーに流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測方法であって、学習された微粉量予測モデルを用いて、前記プリルタワーに流れ込む前記液状BPAの流量情報及び特性情報と前記プリルタワーの工程条件因子から前記工程過程において生成される微粉量を予測する微粉量予測ステップと、学習された粉塵量予測モデルを用いて、前記微粉量予測ステップにおいて予測された微粉量から前記工程過程において生成される粉塵量を予測する粉塵量予測ステップと、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一局面によれば、BPAプリルの生産工程の過程において生成される粉塵量が学習されたモデルに基づいてリアルタイムにて予測されることが可能になるという利点がある。
【0024】
本発明の効果は、上記の効果に限らず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者にとって明確に理解できるものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【0026】
図1】液状BPAからBPAプリルを生成するBPAプリル生成装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置を概略的に示す図である。
図3】液状BPAから生成された微粉量と粉塵量を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置の動作構成を概略的に示す図である。
図5】BPAプリルの工程過程における液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。
図6図5中、液状BPAの温度が変わった場合の液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。
図7図5中、液状BPAの組成が変わった場合の液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置により予測された粉塵量を概略的に示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る粉塵量予測方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0029】
なお、本発明について説明するにあたって、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0030】
第1、第2などの序数を含む用語は、様々な構成要素のうちのいずれか一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0031】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0032】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「接続(連結)」されているというとき、これは「直接的に接続(連結)」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に接続(連結)」されている場合も含む。
【0033】
以下では、添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0034】
図1は、液状BPAからBPAプリルを生成するBPAプリル生成装置を概略的に示す図である。
【0035】
ここで、液状BPA(Bisphenol-A)は、溶融BPAであって、工程過程においてプリルタワー10に流れ込んでBPAプリル、微粉及び粉塵を生成するように構成されてもよい。
【0036】
図1を参照すると、BPAプリル生成装置は、プリルタワー(Prill tower)10及び粉塵フィルター(Dust filter)20を含んでいてもよい。プリルタワー10は、BPA流入部11、BPA吐出部12、本体部13、冷媒流入部14、BPA出力部15及び粉塵出力部16を含んでいてもよい。
【0037】
BPA流入部11は、液状BPAが流れ込むように構成されてもよい。例えば、図1の実施形態において、液状BPAは、BPA流入部11を介してプリルタワー10に流れ込むことができる。
【0038】
BPA吐出部12は、BPA流入部11と連結され、BPA流入部11を介して流れ込んだ液状BPAが吐き出されるように構成されてもよい。例えば、BPA吐出部12は、液状BPAが吐き出し可能な一本以上の孔(Hole)を含み得る。BPA吐出部12は、定められたRPMにて回転しながら、流れ込んだ液状BPAを本体部13の内部に吐き出すことができる。
【0039】
本体部13は、BPA吐出部12から吐き出された液状BPAが落下するように構成されてもよい。具体的に、吐き出された液状BPAは、本体部13の上部側から下部側へと落下しながら冷却され得る。
【0040】
冷媒流入部14は、外部の冷媒が本体部13の内部に流れ込むように本体部13に一つ以上配備されてもよい。具体的に、冷媒は、液状BPAの温度を下げられる冷却ガスであって、例えば、空気、窒素、不活性ガス(noble gases)またはこれらの組み合わせが適用可能である。
【0041】
本体部13の上部側から下部側へと落下する液状BPAは、冷媒流入部14を介して流れ込む冷媒と接触することにより温度が下がり、温度の下がった液状BPAは、凝固され得る。このような凝固過程を経て、液状BPAからBPAプリルが形成され得る。なお、液状BPAの凝固過程において形成されたBPAプリルとプリルタワー10の内部との衝突またはBPAプリル同士の衝突などにより微粉及び粉塵が生成される虞がある。ここで、BPAプリル、微粉及び粉塵は、粒子径に応じて区分可能である。より具体的に、BPAプリル、微粉及び粉塵は、それぞれについて予め設定された粒子径に応じて分類可能である。
【0042】
粉塵は、冷媒流入部14を介して流れ込んだ冷媒と本体部13の内部圧力と粉塵フィルター20の内部圧力との間の差に基づいて、粉塵出力部16を介して粉塵フィルター20に流れ込むことができる。
【0043】
これに対し、液状BPAから生成されたBPAプリルと微粉は粉塵に比べて相対的に粒子径が大きくて重いため、流れ込んだ冷媒及び本体部13と粉塵フィルター20の間の圧力差により粉塵出力部16に流れ込むことなく、本体部13の下部側に積もることがある。すなわち、液状BPAから生成されたBPAプリルと微粉は、本体部13の下部側に位置することがある。
【0044】
BPA出力部15は、本体部13の下部側に配備され、BPA出力部15は、本体部13の下部側に位置しているBPAプリルと微粉を外部に出力するように構成されてもよい。例えば、BPA出力部15は、BPAプリルと微粉を外部に出力可能なコンベヤー(Conveyor)から構成されてもよい。
【0045】
粉塵出力部16は、本体部13の上部側に配備され、本体部13の内部と粉塵フィルター20とを連結するように構成されてもよい。本体部13の内部において生成された粉塵を、粉塵出力部16を介して粉塵フィルター20に流れ込ませることができる。
【0046】
場合によっては、BPA出力部15を介して粉塵がプリルタワー10の外部に出力されることもあるが、以下では、粉塵は、粉塵出力部16を介して粉塵フィルター20に流れ込むものと説明する。
【0047】
例えば、粉塵は、BPA吐出部12から吐き出された液状BPAが凝固される過程において生成されることができる。また、粉塵は、生成されたBPAプリル及び/又は微粉が本体部13の下部側に衝突しながら生成されることもできる。さらに、粉塵は、本体部13の下部側に積もったBPAプリル及び/又は微粉がBPA出力部15を介して外部に出力される過程において、互いに衝突し合って生成されることもできる。このように、本体部13の内部において生成された粉塵は、冷媒流入部14を介して流れ込んだ冷媒及び/又は本体部13と粉塵フィルター20の内部圧力との差により粉塵出力部16を介して粉塵フィルター20に流れ込むことができる。
【0048】
粉塵フィルター20は、バッグフィルター(Bag filter)21と粉塵ボックス(Dust box)22を含んでいてもよい。
【0049】
バッグフィルター21は、粉塵出力部16を通過した粉塵が流れ込むように構成されてもよい。バッグフィルター21には、内部の酸素量と静電気量を測定するためのセンシングユニット23が配備されてもよい。
【0050】
粉塵ボックス22は、バッグフィルター21に流れ込んだ粉塵が蓄えられるように構成されてもよい。例えば、粉塵ボックス22は、バッグフィルター21に着脱自在に構成されてもよい。したがって、粉塵ボックス22に粉塵が所定の割合以上に蓄えられた場合、バッグフィルター21に取り付けられた粉塵ボックス22が回収され、新たな粉塵ボックス22または掃除済みの粉塵ボックス22がバッグフィルター21に再び取り付けられることが可能になる。
【0051】
図2は、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100を概略的に示す図である。
【0052】
本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測するように構成されてもよい。
【0053】
例えば、図1の実施形態において、粉塵量予測装置100は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAから生成される粉塵量を予測することができる。具体的に、粉塵量予測装置100は、プリルタワー10からバッグフィルター21へと流れ込む粉塵量を予測することができる。
【0054】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、微粉量予測部110及び粉塵量予測部120を含んでいてもよい。
【0055】
微粉量予測部110は、学習された微粉量予測モデルを用いて、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報から工程過程において生成される微粉量を予測するように構成されてもよい。
【0056】
ここで、液状BPAの流量情報は、BPA流入部11を介して外部から本体部13へと流れ込む液状BPAの流量に関する情報であってもよい。
【0057】
微粉量予測モデルは、工程条件において、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報と予め設定された微粉量生成割合に基づいて、液状BPAから生成可能な微粉量を予測するように予め学習されてもよい。ここで、微粉量生成割合は、液状BPAの量と液状BPAから生成された微粉量との間の対応関係を示すように予め設定されてもよい。
【0058】
例えば、BPAプリルの工程過程において生成される粒子(Particle)の粒径は、0.15mm以下、0.15mm超え0.5mm以下、0.5mm超え0.85mm以下、0.85mm超え2mm以下または2mm超えに区分され得る。一般に、粒子径(Particle size)が0.15mm以下であれば微粉に分類され、残りはBPAプリルに分類され得る。
【0059】
すなわち、微粉量生成割合は、実験過程においてプリルタワー10に流れ込んだ液状BPAの総量に対する生成された微粉の量の割合として予め設定されてもよい。また、このような微粉量生成割合に基づいて、微粉量予測モデルは、液状BPAの量に関する情報が入力されれば、生成可能な微粉の量(微粉量)を出力するように学習されてもよい。したがって、微粉量予測部110は、学習された微粉量予測モデルを用いて、現在プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報に対応する微粉量を予測することができる。
【0060】
粉塵量予測部120は、微粉量予測部110と通信可能なように接続されてもよい。
【0061】
粉塵量予測部120は、学習された粉塵量予測モデルを用いて、微粉量予測部110により予測された微粉量から工程過程において生成される粉塵量を予測するように構成されてもよい。
【0062】
粉塵量予測モデルは、微粉量と粉塵量について予め設定された相関関係に基づいて、予測された微粉量から粉塵量を予測するように予め学習されてもよい。ここで、微粉量と粉塵量について予め設定された相関関係は、液状BPAから生成された微粉量と粉塵量との間の対応関係に基づいて予め設定されてもよい。
【0063】
例えば、微粉量と粉塵量との間の相関関係は、予め実験を通じて設定された値であってもよい。具体的に、所定の周期毎に生成された微粉量と粉塵量を取得し、それぞれの周期において取得された微粉量と粉塵量に基づいて微粉量と粉塵量との間の相関関係が設定されてもよい。すなわち、粉塵量予測部120は、予め設定された微粉量と粉塵量との間の相関関係に基づいて、微粉量予測部110により工程過程において生成されるだろうと予測された微粉量から前記工程過程において生成されるだろうと予測される粉塵量を算出することができる。
【0064】
図3は、液状BPAから生成された微粉量と粉塵量を概略的に示す図である。
【0065】
図3の実施形態は、毎週微粉の発生総量と粉塵の発生総量を測定した実験データであってもよい。図3の実施形態において、微粉の発生総量は、プリルタワー10を介して液状BPAから生成される微粉の量を一週間毎に測定した値である。また、粉塵の発生総量は、粉塵ボックス22に貯留された粉塵の量を一週間毎に測定した値である。なお、同じ週に測定された微粉の発生総量と粉塵の発生総量は互いにマッピングされて、図3においてそれぞれのポイント▲により表示され得る。
【0066】
一例を挙げると、微粉量と粉塵量についての相関関係は、生成された微粉量に対する生成された粉塵量の割合として設定されてもよい。例えば、図3の実施形態において、微粉の発生総量に対する粉塵の発生総量の割合に基づいて設定されてもよい。好ましくは、微粉の発生総量に対する粉塵の発生総量の最大の割合または平均の割合が相関関係として設定されてもよい。より好ましくは、粉塵は、点火源として働く可能性があるため、粉塵量が多く発生したと予測されれば予測されるほど、粉塵フィルター20において起こり得る事故を未然に感知することができる。したがって、微粉量と粉塵量についての相関関係は、微粉の発生総量に対する粉塵の発生総量の最大の割合として設定されてもよい。
【0067】
別の例を挙げると、微粉量と粉塵量についての相関関係は、生成された微粉量と生成された粉塵量との間の相関関係として設定されてもよい。例えば、図3の実施形態において、相関係数は、微粉の発生総量と粉塵の発生総量との共分散を通じて算出されてもよい。具体的に、Xを微粉の発生総量に設定し、Yを粉塵の発生総量に設定した場合、微粉の発生総量と粉塵の発生総量との間の対応関係は、図3の実施形態のようなX-Yグラフにより表わされてもよい。なお、微粉の発生総量間の分散、粉塵の発生総量間の分散及び微粉の発生総量と粉塵の発生総量との共分散に基づいて、相関関係が算出されてもよい。図3の実施形態において、微粉の発生総量と粉塵の発生総量との間の相関関係は、0.56であってもよい。
【0068】
すなわち、微粉量と粉塵量についての相関関係は、実験過程において生成された微粉量及び粉塵量に基づいて予め設定されてもよい。また、このような相関関係に基づいて、粉塵量予測モデルは、微粉量に関する情報が入力されれば、生成可能な粉塵の量(粉塵量)を予測するように学習されてもよい。したがって、粉塵量予測部120は、学習された粉塵量予測モデルを用いて、工程過程において生成されるだろうと予想される粉塵量を微粉量予測部110により予測された微粉量から予測することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、粉塵量を測定するための追加のセンサーを備えていなくても、BPAプリルの工程過程において生成される粉塵量を予測することができる。また、粉塵量予測装置100は、粉塵フィルター20に貯留された粉塵量を事後的に測定することなく、BPAプリルの工程過程において生成される粉塵量をリアルタイムにて予測することができる。したがって、粉塵量予測装置100は、粉塵量をリアルタイムにて予測することにより、バッグフィルター21に火災や爆発が起こり得るというリスク状況を予め感知することができるという利点がある。
【0070】
図4は、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100の動作構成を概略的に示す図である。
【0071】
微粉量予測モデルは、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの特性情報及びプリルタワー10の工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方をさらに考慮して、微粉量を予測するように予め学習されてもよい。
【0072】
すなわち、微粉量予測モデルは、液状BPAの流量情報のみならず、液状BPAの特性情報及びプリルタワー10の工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方をさらに考慮して学習されてもよい。
【0073】
ここで、液状BPAの特性情報は、液状BPAの温度情報及び組成情報のうちの少なくともどちらか一方を含むように構成されてもよい。
【0074】
また、工程条件因子は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAがプリルタワー10の内部に噴霧される速度、工程過程において生成されたBPAプリルと微粉とがプリルタワー10から外部へと出力される速度、工程過程においてプリルタワー10に流れ込む冷媒の量、冷媒の温度、プリルタワー10の内部温度及び粉塵が貯留される粉塵フィルター20とプリルタワー10との間の内部の圧力差のうちの少なくともいずれか一つを含むように構成されてもよい。
【0075】
微粉量予測部110は、液状BPAの特性情報及びプリルタワー10の工程条件因子のうちの少なくともどちらか一方に対応する微粉量生成割合を決定することができる。好ましくは、微粉量予測部110は、液状BPAの特性情報及びプリルタワー10の工程条件因子を両方とも考慮して、対応する微粉量生成割合を決定することができる。
【0076】
例えば、微粉量生成割合は、液状BPAの特性情報及びプリルタワー10の工程条件因子に対応するように複数設定されてもよく、微粉量予測部110は、複数の微粉量生成割合のうちのいずれか一つを決定することができる。なお、微粉量予測部110は、決定された微粉量生成割合が適用された微粉量学習モデルを用いて、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報から微粉量を予測することができる。
【0077】
図4の実施形態において、微粉量予測部110に液状BPAの流量情報IN1、液状BPAの特性情報IN2及び工程条件因子IN3が入力されてもよい。微粉量予測部110は、入力された液状BPAの流量情報IN1、液状BPAの特性情報IN2及び工程条件因子IN3を微粉量予測モデルに入力することができる。なお、微粉量予測部110は、微粉量予測モデルから出力される結果を工程過程において生成されるだろうと予測される微粉量情報OUT1として出力することができる。
【0078】
そして、微粉量予測部110から出力された微粉量情報は、粉塵量予測部120に入力され得る。
【0079】
図4の実施形態において、粉塵量予測部120は、微粉量予測部110から出力された微粉量情報OUT1を受信し、受信した微粉量情報OUT1と予め設定された微粉量と粉塵量との間の相関関係IN4を粉塵量予測モデルに入力することができる。なお、粉塵量予測部120は、粉塵量予測モデルから出力される結果を工程過程において生成されるだろうと予測される粉塵量情報OUT2として出力することができる。
【0080】
すなわち、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量、温度及び組成の情報とプリルタワー10の動作条件因子のうちの少なくともどちらか一方に基づいてBPAプリルの工程過程において生成されるだろうと予想される粉塵量をリアルタイムにて予測することができるという利点がある。
【0081】
以下では、BPAプリルの工程過程における液状BPAの相転移過程に基づいて、微粉量を予測するために微粉量予測モデルに入力される因子について説明する。具体的に、液状BPAの組成、液状BPAの温度及びプリルタワー10の工程条件因子について説明する。
【0082】
図5は、BPAプリルの工程過程における液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。具体的に、図5の実施形態は、液状BPAから固体BPA(BPAプリル、微粉及び粉塵)が生成される標準過程を示している。
【0083】
図5の実施形態において、t0の時刻に、T1の温度の液状BPAがBPA吐出部12から吐き出され得る。
【0084】
t0~t1の時刻は、液体冷却区間であってもよい。液体冷却区間において、液状BPAは、本体部13の内部との温度差及び冷媒流入部14を介して本体部13の内部に流れ込む冷媒との温度差により冷却され得る。t1の時刻に冷却された液状BPAの温度は、T0であってもよい。
【0085】
t1~t2の時刻は、凝固区間であってもよい。凝固区間において、冷却された液状BPAは、凝固され得る。すなわち、温度T0は、液状BPAの凝固点であってもよい。
【0086】
例えば、液体冷却区間を経て温度T0まで冷却された液状BPAに相転移が生じて、凝固区間において液状BPAが凝固され得る。具体的に、凝固区間において、液状BPAからBPAプリル、微粉及び粉塵が生成され得る。
【0087】
そして、t2の時刻以降は、固体冷却区間であってもよい。凝固区間を経ながら生成された固体BPAは、固体冷却区間において冷却され得る。
【0088】
図6は、図5の実施形態において、液状BPAの温度が変わった場合の液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。具体的に、図6は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの温度がT1よりも高いT2である場合、液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。すなわち、図6の実施形態は、液状BPAの温度が昇温した場合についての実施形態である。
【0089】
図6の実施形態において、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの温度がT2に高くなった場合、液体冷却区間の長さが図5の液体冷却区間の長さよりも長くなることができる。
【0090】
図5及び図6を参照すると、図6の実施形態においては、液状BPAの温度しか変わっておらず、液状BPAの組成及びプリルタワー10の工程条件因子は図5の実施形態と同じであるため、液体冷却区間において、液状BPAについての冷却速度は、図5図6の実施形態において同じでもよい。
【0091】
但し、液状BPAの温度がT2に高くなったため、液状BPAの温度は、t1_chgの時刻において凝固点に達することができる。この場合、凝固区間は、t1_chg~t2の時刻であってもよい。すなわち、図6の実施形態の凝固区間は、図5の実施形態の凝固区間に比べて「t1_chg-t1」に見合う分だけ減少することができる。
【0092】
すなわち、図6の実施形態において、液状BPAの温度が高くなるにつれて、液状BPAの凝固時間が短縮され得る。この場合、液状BPAが短い期間の間しか凝固されることができないため、図6の実施形態において生成される固体BPAの粒子は、図5の実施形態において生成される固体BPAの粒子よりも小さいことがある。このことは、図6の実施形態において、図5の実施形態に比べてさらに多くの量の微粉が生成可能であるということを意味する。
【0093】
したがって、図5及び図6を参照すると、液状BPAの温度は、微粉量に影響を及ぼし得る因子であるため、微粉量予測部110は、液状BPAの温度を考慮して、生成される微粉量を予測することができる。
【0094】
図7は、図5中、液状BPAの組成が変わった場合の液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。具体的に、図7は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの組成が図5の実施形態に係る液状BPAの組成とは異なってきた場合、液状BPAの相転移過程を概略的に示す図である。すなわち、図7の実施形態は、工程条件因子のうち、液状BPAの組成が変更された場合についての実施形態である。
【0095】
図7の実施形態において、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの組成が変更された場合、液体冷却区間の長さが図5の液体冷却区間の長さよりも長くなることができる。
【0096】
図5及び図7を参照すると、図7の実施形態においては、液状BPAの組成しか変更されておらず、液状BPAの温度及びプリルタワー10の工程条件因子は、図5の実施形態と同じであるため、液体冷却区間において、液状BPAについての冷却速度は、図5図7の実施形態において同じでもよい。
【0097】
但し、図7の実施形態において、液状BPAの組成が変更されたため、液状BPAの温度は、t1_chgの時刻において凝固点に達することができる。すなわち、混合物の凝固点は、純物質の凝固点よりも低いため、図7の液状BPAの凝固点が図5の液状BPAの凝固点よりも低いことができる。なお、図5図7において、冷却速度は同じであるため、図7の液状BPAの凝固点はT3に下がることができる。この場合、凝固区間は、t1_chg~t2の時刻であってもよい。すなわち、図7の実施形態の凝固区間は、図5の実施形態の凝固区間に比べて「t1_chg-t1」に見合う分だけ減少することができる。
【0098】
すなわち、図7の実施形態において、液状BPAの組成が変更されることに伴い、液状BPAの凝固時間が短縮され得る。この場合、液状BPAが短い期間の間しか凝固されることができないため、図7の実施形態において生成される固体BPAの粒子は、図5の実施形態において生成される固体BPAの粒子よりも小さいことができる。これは、図7の実施形態において、図5の実施形態に比べてさらに多くの量の微粉が生成可能であるということを意味する。
【0099】
したがって、図5及び図7を参照すると、液状BPAの組成は、微粉量に影響を及ぼし得る因子であるため、微粉量予測部110は、液状BPAの組成を考慮して、生成される微粉の量を予測することができる。
【0100】
また、液状BPAの温度及び/又はプリルタワー10の工程条件因子が変更された場合、液状BPAの冷却速度が変更され得る。
【0101】
図5の実施形態において、液状BPAの温度及び/又はプリルタワー10の工程条件因子が変更されれば、液体冷却区間において、液状BPAが冷却される速度が変更され得る。冷却速度の変化は、液状BPAが凝固点に達する時間に影響を及ぼし得るだけではなく、凝固メカニズムに影響を及ぼし得る。
【0102】
例えば、冷却速度が増加すれば、液状BPA内に核が多数生成されて、核生成(Nucleation)後に成長(Growth)を通じて形成されるBPAプリルの大きさが小さくなるか、あるいは、BPAプリルを構成する結晶(Grain)の大きさが小さくなることがある。すなわち、冷却速度の増加に伴う凝固メカニズムの変化は、BPAプリルの強度を弱める虞があるため、液状BPAの凝固過程後に生じる衝突などにより微粉及び/又は粉塵がさらに生成されることがある。したがって、微粉量予測部110は、液状BPAの温度及びプリルタワー10の工程条件因子をさらに考慮して微粉量を予測することができる。
【0103】
図8は、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100により予測された粉塵量を概略的に示す図である。
【0104】
具体的に、図8は、粉塵量予測部120が、所定の期間(13ヶ月)の間に、実際に生成された粉塵量(●)と予測された粉塵量(▲)とを比較して示す図である。
【0105】
粉塵量予測部120は、微粉量予測部110から受信した微粉量情報と微粉量と粉塵量との間の相関関係を考慮して、液状BPAから生成される粉塵量を予測することができる。したがって、図8を参照すると、粉塵量予測部120により予測された粉塵量は、実際に生成された粉塵量と略同量であるということが分かる。
【0106】
特に、粉塵量予測部120により予測された粉塵量は、実際に生成された粉塵量が急減する傾向を示す場合であっても、これを正確に予測するということが分かる。したがって、粉塵量予測部120は、予測された微粉量からBPAプリルの工程過程において生成される粉塵量を高い正確度をもって予測することができる。
【0107】
一方で、粉塵量予測装置100に配備された微粉量予測部110、粉塵量予測部120及び危険度決定部130は、本発明において行われる様々な制御ロジックを起動するための当業界における周知のプロセッサー、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。
【0108】
また、粉塵量予測装置100は、記憶部140をさらに含んでいてもよい。記憶部140は、粉塵量予測装置100の各構成要素が動作及び機能を行う上で必要なデータやプログラムまたは動作及び機能が行われる過程において生成されるデータなどを記憶することができる。記憶部140は、データを記録、消去、更新及び読出できると知られている公知の情報記憶手段であれば、その種類に特に制限がない。例えば、情報記憶手段としては、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM:read-only memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、レジスターなどが挙げられる。なお、記憶部140は、微粉量予測部110、粉塵量予測部120及び危険度決定部130により起動可能なプロセッサーが定義されたプログラムコードを記憶することができる。
【0109】
例えば、記憶部140には、微粉量予測モデル、微粉量生成割合、粉塵量予測モデル及び粉塵量と微粉量についての相関関係が記憶され得る。
【0110】
一方で、図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、危険度決定部130をさらに含んでいてもよい。
【0111】
危険度決定部130は、工程過程において生成される粉塵が貯留される粉塵フィルター20の酸素量及び静電気量と粉塵量予測部120により予測された粉塵量に基づいて粉塵フィルター20の状態を診断するように構成されてもよい。
【0112】
例えば、図1の実施形態において、危険度決定部130は、センシングユニット23と通信可能なように接続されてもよい。なお、危険度決定部130は、粉塵量予測部120とも通信可能なように接続されてもよい。
【0113】
図4を参照すると、危険度決定部130は、センシングユニット23から受信したバッグフィルター21の酸素量及び静電気量IN5と粉塵量予測部120から受信した粉塵量情報OUT2に基づいて粉塵フィルター20の状態を診断することができる。
【0114】
具体的に、危険度決定部130は、粉塵フィルター20の状態を正常状態または異常状態と決定することができる。
【0115】
ここで、正常状態とは、酸素量、静電気量及び粉塵量が正常範囲に納められて、粉塵フィルター20に火災や爆発のリスクがない状態を意味する。なお、異常状態とは、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが正常範囲に納められていない状態を意味する。
【0116】
本発明の一実施形態によれば、異常状態は、警告状態及びリスク状態を含み得る。警告状態とは、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが正常範囲を逸脱したものの、粉塵フィルター20に火災や爆発の可能性は低い状態を意味する。すなわち、警告状態は、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが正常範囲を僅かに逸脱した状態であって、粉塵フィルター20の状態が正常状態ではないものの、火災や爆発のリスクは低い状態であってもよい。
【0117】
逆に、リスク状態とは、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが正常範囲を逸脱しており、粉塵フィルター20に火災や爆発の可能性がある状態を意味する。すなわち、リスク状態は、粉塵フィルター20の状態が正常状態ではなく、火災や爆発のリスクが高い状態であってもよい。
【0118】
例えば、酸素量、静電気量及び粉塵量のそれぞれについて、正常範囲、警告範囲及びリスク範囲が予め設定されてもよい。なお、酸素量、静電気量及び粉塵量がいずれも対応する正常範囲に属すると、危険度決定部130は、粉塵フィルター20の状態を正常状態と決定することができる。
【0119】
別の例を挙げると、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが対応する警告範囲に属すると、危険度決定部130は、粉塵フィルター20の状態を異常状態(具体的には、警告状態)と決定することができる。
【0120】
さらに別の例を挙げると、酸素量、静電気量及び粉塵量のうちの少なくともいずれか一つが対応するリスク範囲に属すると、危険度決定部130は、粉塵フィルター20の状態を異常状態(具体的には、リスク状態)と決定することができる。
【0121】
以上では、異常状態を警告状態及びリスク状態にしか区別しなかったが、粉塵フィルター20に火災や爆発が起こる可能性に応じて、異常状態はさらに細分化され得る。すなわち、酸素量、静電気量及び粉塵量のそれぞれに対応する状態範囲が正常状態、警告状態及びリスク状態の他にも、さらに細分化され得る。
【0122】
危険度決定部130は、決定された粉塵フィルター20の状態が異常状態である場合、警告通知を出力するように構成されてもよい。
【0123】
例えば、危険度決定部130は、外部ディスプレイ、ユーザー端末及び/又は中央制御サーバーに、決定された粉塵フィルター20の状態とともに警告通知を出力することができる。
【0124】
また、ユーザー及び/又はサーバーは、粉塵フィルター20において火災及び/又は爆発が起こることを防ぐために、危険度決定部130から受信した警告通知に従って、BPAプリルの工程過程を一時的に中止することができる。例えば、危険度決定部130により決定された粉塵フィルター20の状態が異常状態(特に、リスク状態)である場合、BPAプリルの工程過程が一時的に中止され得る。
【0125】
本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、BPAプリルの工程過程において生じる粉塵の量をリアルタイムにて予測することができる。したがって、粉塵量予測装置100は、BPAプリルの工程過程において火災及び/又は爆発などの予期せぬ事故が起こることを未然に防いだり、このような事故の発生を速やかに外部に知らせたりすることができるという利点がある。
【0126】
一方で、本発明の一実施形態に係る粉塵量予測装置100は、BPAプリル製造装置に含まれてもよい。
【0127】
例えば、図1及び図2を参照すると、BPAプリル製造装置は、プリルタワー10、粉塵フィルター20及び粉塵量予測装置100を含んでいてもよい。
【0128】
図4の実施形態において、粉塵量予測装置100は、BPA流入部11を介して流れ込む液状BPAの流量情報IN1、液状BPAの特性情報IN2及びプリルタワー10の工程条件因子IN3を外部から入力され得る。なお、粉塵量予測装置100は、バッグフィルター21に配備されたセンシングユニット23と通信可能なように接続されて、センシングユニット23から酸素量及び静電気量IN5を受信することができる。
【0129】
そして、粉塵量予測装置100は、BPAプリル製造装置がBPAプリルを生成する工程において、バッグフィルター21に含まれる粉塵の量をリアルタイムにて予測することができる。したがって、BPAプリル製造装置は、粉塵フィルター20の火災及び/又は爆発の可能性をリアルタイムにて確認することができるので、より安全にBPAプリルを生成することができるという利点がある。
【0130】
図9は、本発明の他の実施形態に係る粉塵量予測方法を概略的に示す図である。
【0131】
好ましくは、粉塵量予測方法の各ステップは、粉塵量予測装置100により行われてもよい。以下では、説明のしやすさのために、上述した内容と重複する内容は省略したり、簡略に説明したりする。
【0132】
粉塵量予測方法は、プリルタワー10に流れ込む液状BPAからBPAプリルが生成される工程過程において生成される粉塵量を予測する方法である。
【0133】
図9を参照すると、粉塵量予測方法は、微粉量予測ステップ(S100)及び粉塵量予測ステップ(S200)を含んでいてもよい。
【0134】
微粉量予測ステップ(S100)は、学習された微粉量予測モデルを用いて、プリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報から工程過程において生成される微粉量を予測するステップであって、微粉量予測部110により行われ得る。
【0135】
例えば、微粉量予測部110は、リアルタイムにてプリルタワー10に流れ込む液状BPAの流量情報から生成されるだろうと予想される微粉量を予測することができる。
【0136】
図4の実施形態において、微粉量予測部110は、液状BPAの流量情報IN1、液状BPAの特性情報IN2及び工程条件因子IN3から微粉量情報を生成することができる。
【0137】
粉塵量予測ステップ(S200)は、学習された粉塵量予測モデルを用いて、微粉量予測ステップ(S100)において予測された微粉量から工程過程において生成される粉塵量を予測するステップであって、粉塵量予測部120により行われ得る。
【0138】
例えば、図4の実施形態において、粉塵量予測部120は、微粉量予測部110から微粉量情報OUT1を受信することができる。なお、粉塵量予測部120は、予め設定された相関関係IN4と微粉量情報OUT1に基づいて、BPAプリルの工程過程において生成可能な粉塵量を予測することができる。
【0139】
本発明の他の実施形態に係る粉塵量予測方法は、非破壊的な方式を通じて、BPAプリルの工程過程において生じ得る粉塵の量をリアルタイムにて予測することができるという利点がある。
【0140】
図9を参照すると、粉塵量予測方法は、危険度決定ステップ(S300)をさらに含んでいてもよい。
【0141】
危険度決定ステップ(S300)は、工程過程において生成される粉塵が貯留される粉塵フィルター20の酸素量及び静電気量と粉塵量予測部120により予測された粉塵量に基づいて粉塵フィルター20の状態を診断するステップであって、危険度決定部130により行われ得る。
【0142】
例えば、図4の実施形態において、危険度決定部130は、粉塵量予測部120から粉塵量情報OUT2を受信することができる。なお、危険度決定部130は、粉塵フィルター20、具体的に、バッグフィルター21に配備されたセンシングユニット23から酸素量及び静電気量IN5を受信することができる。
【0143】
危険度決定部130は、酸素量、静電気量及び粉塵量に基づいて、粉塵フィルター20の状態を正常状態または異常状態と決定することができる。もし、粉塵フィルター20の状態が異常状態と決定された場合、危険度決定部130は、警告通知を外部に出力するように構成されてもよい。
【0144】
すなわち、本発明の他の実施形態に係る粉塵量予測方法は、粉塵フィルター20が異常状態である場合、外部に警告通知を出力することにより、粉塵フィルター20において起こり得る火災及び/又は爆発などの事故を未然に防いだり、このような事故の発生を外部に速やかに知らせたりすることができる。
【0145】
以上説明した本発明の実施形態は、装置および方法によってのみ実現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を介して実現されてもよい。このような実現は、上述した実施形態の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に実現できるものである。
【0146】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0147】
また、以上で説明した本発明は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であるため、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるのではなく、様々な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0148】
10 プリルタワー
11 BPA流入部
12 BPA吐出部
13 本体部
14 冷媒流入部
15 BPA出力部
16 粉塵出力部
20 粉塵フィルター
21 バッグフィルター
22 粉塵ボックス
23 センシングユニット
100 粉塵量予測装置
110 微粉量予測部
120 粉塵量予測部
130 危険度決定部
140 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9