(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/03 20060101AFI20240520BHJP
G01N 21/61 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G01N21/03 B
G01N21/61
(21)【出願番号】P 2020042228
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】カマルゴ エジソン ゴメス
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204030(WO,A1)
【文献】特開2018-128323(JP,A)
【文献】特開2005-337878(JP,A)
【文献】特表2003-501653(JP,A)
【文献】特開2000-214077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0268204(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0121614(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0107112(KR,A)
【文献】米国特許第10113957(US,B1)
【文献】中国実用新案第207850907(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/03
G01N 21/17 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
受光部と、
光を反射する反射部と、
前記反射部を
直接保持する保持部と、
前記保持部と接続された
前記保持部とは別体の筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記筐体に直接形成された、光を反射する筐体反射部を有し、
前記発光部から出射した光が前記反射部
及び前記筐体反射部で反射されて前記受光部に入射し、
前記保持部の熱膨張係数は、前記筐体の熱膨張係数の0.8~1.2倍であるガスセンサ。
【請求項2】
前記筐体の融点は、前記保持部の融点の0.8~1.2倍である請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記筐体の荷重たわみ温度は、前記保持部の荷重たわみ温度の0.8~1.2倍である請求項1または2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記筐体および前記保持部はガラス転移特性を有し、前記筐体のガラス転移特性は、前記保持部のガラス転移特性の0.8~1.2倍である請求項1から3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記筐体および前記保持部はフィラーを含有する樹脂である請求項1から4のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記保持部は、接着剤によって前記筐体と接続する請求項1から5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記保持部は、溶接によって前記筐体と接続する請求項1から5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記保持部は、圧着によって前記筐体と接続する請求項1から5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記筐体は、貫通孔を有する請求項1から8のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項10】
前記筐体および保持部がポリフェニレンサルファイドである請求項1から9のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項11】
前記保持部は複数の独立した部材である請求項1から10のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項12】
前記筐体は、傾斜部を有する請求項1から
11のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項13】
基板をさらに備え、前記受光部および発光部は前記基板上に配置され、前記筐体は前記基板に固定される請求項1から
12のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から大気中の測定対象ガスの濃度測定を行うガス濃度測定装置として、ガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりそのガス濃度を測定する非分散赤外吸収型(Non-Dispersive Infrared)ガス濃度測定装置(以下ガスセンサ)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の気体成分検出装置では、発光部から出射された赤外線を含む光が、測定対象のガスが導入されるセルを通過し、その後、受光部に入光し、受光部の出力信号に応じて測定対象のガスの有無または濃度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車載用途のような環境温度のレンジの広く、高湿度な環境においても高信頼性が要求される用途では、従来のガスセンサでは十分な信頼性および高精度を実現することは出来ていない。
【0006】
その理由の一つは、ガスセンサの構造に使われる材料の組み合わせにある。光路を構成する凹面鏡に使われる材料には高い反射率を実現するため、高い表面平坦性が要求され、凹面鏡を保持する部材には高い強度が要求されるので、それぞれ違う材料を利用するのが一般的である。他方、異なる材料を利用すると、環境温度が広い範囲で変動する場合、それぞれの材料の線膨張係数の違いによって、接続部位には応力が掛かってしまい、応力による故障の確率が高くなる。
【0007】
また、非分散赤外吸収型のガスセンサでは光を導くための光学系(光路)が温度、湿度、またはストレス等によって変形すると、光信号が変動して、誤測定が発生しまう。したがって光路に使われる材料選定は重要である。
【0008】
すなわち本発明は、環境温度のレンジの広く、高湿度な環境においても高信頼性が要求される用途においても十分な信頼性を有するガスセンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明を完成させた。本発明の第1の態様は、発光部と、受光部と、光を反射する反射部と、前記反射部を保持する保持部と、前記発光部から出射した光が前記反射部で反射されて前記受光部に入射するように、前記保持部と一体化した筐体と、を備え、前記保持部の熱膨張係数は、前記筐体の熱膨張係数の0.8~1.2倍であるガスセンサである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、環境温度のレンジの広く、高湿度な環境においても高信頼性が要求される用途においても十分な信頼性を有するガスセンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る受発光装置の実施形態1を説明するための構成図である。
【
図2】本発明に係る受発光装置の実施形態2を説明するための構成図である。
【
図3】本発明に係る受発光装置の実施形態3を説明するための構成図である。
【
図4】本発明に係る受発光装置の実施形態4を説明するための構成図である。
【
図5】本発明に係る受発光装置の実施形態4を説明するための構成図である。
【
図6】本発明の一実施例(実施例1)を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例(実施例2)を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例(実施例3)を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例(実施例4)を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例(実施例5)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について説明する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
(ガスセンサ)
本実施形態のガスセンサは、発光部と、受光部と光を反射する反射部と、反射部を保持する保持部と、発光部から出射した光が反射部で反射されて受光部に入射するように、保持部と一体化し、基板に固定される筐体と、を備える。保持部の熱膨張係数は、筐体の熱膨張係数の0.8~1.2倍である。
【0014】
本実施形態のガスセンサは基板をさらに備えていてもよい。受光部および発光部は基板上に配置することができる。また、筐体を基板に固定することもできる。
【0015】
(発光部)
本実施形態のガスセンサにおける発光部は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光を出力するものであれば特に制限されない。具体的な例としては、ランプ、MEMS光源、ヒーター、LEDが挙げられる。その中で、被検出ガス以外の成分の光吸収によるノイズを低減する観点から、被検出ガスの吸収が大きい波長帯の光のみを出力するものであることが好ましい。具体的には、発光部のアクティブ層のバンドギャップで発光波長帯をコントロールできるという観点から、LEDは望ましい場合がある。LEDを用いる場合、発光層に利用される材料のバンドギャップを被検出ガスの吸収波長にチューニングすることにより、光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を使用せずに、特定のガスの検出が可能となり、光学フィルタ無しのガスセンサが実現できる。光学フィルタ無しのガスセンサが実現できると、受発光装置の構造が簡略化され、より好ましい形態となる。
【0016】
発光部は発光部付近に配置される反射部の焦点に配置されることが好ましい。ここで発光部が発光部付近に配置される反射部の焦点に設置されている状態とは、発光部の一部が後述する発光部付近に配置される反射部の焦点を含む状態を意味する。
【0017】
(受光部)
本実施形態のガスセンサにおける受光部は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光の帯域に感度を有するものであれば特に制限されない。受光部には、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile)、ボロメータ(Bolometer)等の熱型センサ、PIN構造を持ったフォトダイオードのような量子型センサ等が好適である。受光部は、測定対象ガスに合わせて所望の光学特性を有する光学フィルタをさらに備えていてもよい。例えば、被検出ガスが炭酸ガスの場合、受光部には炭酸ガスによる赤外線吸収が多く生じる波長帯(代表的には4.3μm付近)の赤外線を濾波できるバンドパスフィルタを搭載する形態が例示される。
【0018】
受光部は受光部付近に配置される反射部の焦点位置に設置されることが好ましい。ここで受光部が受光部付近に配置される反射部の焦点位置に設置されている状態とは、受光部の一部が後述する受光部付近に配置される反射部の焦点を含む状態を意味する。
【0019】
(反射部)
本実施形態のガスセンサにおける反射部は、発光部から出射された光を反射し、受光部に入射できるものであれば特に制限されない。1つの反射部であっても良いし、2つ以上の反射部から構成されるものであっても良い。反射部の材料としては、例えばアルミおよび金などの高い反射率を有する金属を含むことが好ましい。反射部は一つの材料からなっていてもよく、複数の材料からなっていても良い。複数の材料からなる場合、積層膜であってもよい。特に制限されないが、製造容易性の観点から、保持部の一部または全部に材料をコーティングすることで反射部を実現しても良い。
【0020】
また、環境変化によらず高い反射率を保つために保護層を設けても良い。保護層を設けることで、例えば、高い湿度の動作環境に置かれた場合の水分侵入を抑制することができ、高い信頼性が実現できる。
【0021】
(保持部)
本実施形態のガスセンサにおける保持部は、一つの部材から構成されていても良いし、2つ以上の部材から構成されても良い。保持部に保持される反射部によって、発光部から出射した光を効率よく(低損失で)受光部へ導くことができれば設計の制限は無い。保持部の具体的な材質は形状の自由度の高い射出成型可能な樹脂材料であってもよい。高温度環境で動作するガスセンサの場合、エンジニアリングプラスチックが選定される。具体的な材料としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などが挙げられる。保持部はフィラーを含有する樹脂であってよい。
【0022】
保持部の材料は、高温高湿耐性、高温放熱性、ヒートサイクル耐性をバランス良く充足した材料が特に好ましく、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がより好ましい材料としてあげられる。
【0023】
(筐体)
本実施形態のガスセンサにおける筐体は、発光部から出射した光が反射部で反射されて受光部に入射するように、保持部と一体化される。すなわち筐体は、受光部と発光部に対する保持部(反射部)の位置関係を決める。
【0024】
筐体の具体的な材質は形状の自由度の高い射出成型可能な樹脂材料であってもよい。高温度環境で動作するガスセンサの場合、エンジニアリングプラスチックが選定される。具体的な材料としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などが挙げられる。筐体はフィラーを含有する樹脂であってよい。
【0025】
筐体の材料は、高温高湿耐性、高温放熱性、ヒートサイクル耐性をバランス良く充足した材料が特に好ましく、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がより好ましい材料として挙げられる。
【0026】
本実施形態のガスセンサにおける保持部の熱膨張係数は、筐体の熱膨張係数の0.8~1.2倍であり、好ましくは0.9~1.1倍、より好ましくは0.95~1.05倍であり、より更に好ましくは1倍若しくは同一材料であっても良い。
【0027】
使用可能な最大温度の観点から、筐体の融点は、保持部の融点の0.8~1.2倍であり、好ましくは0.9~1.1倍、より好ましくは0.95~1.05倍であり、より更に好ましくは1倍若しくは同一材料であっても良い。
【0028】
光路の変形の観点から、筐体の荷重たわみ温度は、保持部の荷重たわみ温度の0.8~1.2倍であり、好ましくは0.9~1.1倍、より好ましくは0.95~1.05倍であり、より更に好ましくは1倍若しくは同一材料であっても良い。
【0029】
光路の変形の観点から、筐体のガラス転移温度は、保持部のガラス転移温度の0.8~1.2倍であり、好ましくは0.9~1.1倍、より好ましくは0.95~1.05倍であり、より更に好ましくは1倍若しくは同一材料であっても良い。
【0030】
光路の変形の異方性の観点から、筐体のフィラーの含有量は、保持部のフィラー含有量の0.8~1.2倍であり、好ましくは0.9~1.1倍、より好ましくは0.95~1.05倍であり、より更に好ましくは1倍若しくは同一材料であっても良い。
フィラーの主な役割は部品(筐体、保持部)の強度を高めることであって、フィラーの材質はガラス繊維若や無機質フィラーなどであってもよい。但し、フィラーの含有量と形状によって、保持部の表面が粗くなる可能性あるので、反射部で高い反射率を実現するために、適切な形状のフィラーで、且つ、その含有量を決める必要がある。具体的には含有量は70%以下であってもよく、更に60%以下は好ましく、保持部の表面平坦性の観点から、55%若しくは50%以下は好ましい場合はある。
【0031】
筐体と保持部を一体化する方法は特に制限されないが、接着剤による固定方法、溶接による固定方法、圧着による固定方法などが上げられる。
【0032】
接着剤は保持部の材料と筐体の材料と強い密着性をもち、ガスセンサの動作環境温度範囲に使用可能なものなら特に材質、種類、グレード、およびメーカーは制限されない。
【0033】
溶接法を利用する場合、筐体の一部と保持部の一部が溶け込み混ざり合う部位が形成される。製造の観点からこの固定方法を利用すると好ましい場合はある。
【0034】
圧着法としては、ネジ、ツメ、はめ合い、グロメット、などが例示される。
【0035】
(基板)
本実施形態のガスセンサにおける基板は、受光部と発光部を配置可能なものであることが好ましい。また、基板は筐体が固定されるものであることが好ましい。
【0036】
基板は、発光部への駆動または、受光部からの出力信号が入力される信号処理回路を備えても良い。信号処理回路は、ガス濃度算出における演算が可能なものであれば特に制限されず、例えば、アナログIC、ディジタルICおよびCPU(Central Processing Unit)等が好適である。信号処理回路には、光源を制御するための機能が含まれていても構わない。また、信号処理回路は受光部の出力信号から、被検出ガスの濃度を算出し、ディジタル若しくはアナログの電気信号として出力しても良い。または、被検出ガスが所定の濃度以上(若しくは所定の濃度以下)になった場合、その判定に相当するディジタル信号を出力しても良い。
【0037】
次に、図面を用いて本実施形態のガスセンサについて説明する。図中、本実施形態に係るガスセンサは
図1に示すように、発光部1、受光部2、反射部3、保持部4、筐体5等で構成される。下記は各部位の詳細説明をする。
【0038】
[実施形態1]
図1は、本発明に係るガスセンサの実施形態1を説明するための構成図である。実施形態1のガスセンサは発光部1、受光部2、反射部3、保持部4、筐体5を有する。また、
図1には、光路6と、基板7と、が示されている。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0039】
基板7の上に、発光部1と受光部2が実装される。発光部1にはLED、受光部2には赤外線センサを利用してもよい。発光部1から出射された光が反射部3によって反射され受光部2へ導かれる。反射部3の形状は保持部4の表面形状に追従している。また、筐体5は保持部4を適切な位置に配置する。
【0040】
[実施形態2]
図2は、本発明に係るガスセンサの実施形態2を説明するための構成図である。実施形態2によれば、保持部4と筐体5が接着剤8によって固定される。
【0041】
[実施形態3]
図3は、本発明に係るガスセンサの実施形態3を説明するための構成図である。実施形態3によれば、保持部4と筐体5は溶接によって固定され、溶接個所には保持部4と筐体5が溶解した溶接部9が存在する。一般的に、溶接は接続部位の加熱によって実現でき、組み立て性、生産性の観点から好ましい場合はある。
【0042】
[実施形態4]
図4は、本発明に係るガスセンサの実施形態4を説明するための構成図である。実施形態4によれば、保持部4と筐体5が圧着によって固定される。この場合、圧着部10が形成される。圧着部10の具体的形態は
図4で示すように、筐体5に形成される貫通孔に差し込むような変形可能な形状であってもよい。
【0043】
実施形態4のような構造では、保持部4を簡単に筐体5に固定することができることから、組み立て性の観点から好ましい場合はある。
【0044】
また、筐体5側には
図5に示すように、筐体5側に爪部10aを設けてもよい。爪部10aを設けることによって、組み立てる際に筐体5への応力を抑制することができるため、好ましい場合はある。
【0045】
以下は本発明の実施例を説明する。
【0046】
[実施例1]
図6は実施例1を示す模式図であり、
図6(a)は全体図(ただし筐体5は透過表示)、
図6(b)は筐体5を取り外した反射部3、保持部4および光路6を示す図(ただし保持部4a、4bは透過表示)、
図6(c)は組立前の各パーツの模式図である。
【0047】
実施例1の光路6は保持部4aと保持部4b(光路6中の領域に反射部3が設けられている。図示せず)、筐体5で構成される。実施例1の保持部4は、複数の独立した部材(保持部4a、保持部4b)で構成される。
【0048】
保持部4aと保持部4bと筐体5の材質はPPSを利用した。また、保持部4aと筐体5、および保持部4bと筐体5は接着剤によって固定した。
【0049】
保持部4bは、発光部1からの光を受け反射する反射部3Aと、反射部3Bからの光を受けて反射する反射部3Cと、反射部3Dからの光を受けて受光部2へ反射する反射部3Eを有する。また、保持部4aは、反射部3Aからの光を受けて反射部3Cに光を反射する反射部3Bと、反射部3Cからの光を受けて反射部3Eに光を反射する反射部3Dを有する。
【0050】
保持部4a、保持部4bおよび筐体5の材質を同じポリフェニレンサルファイドを用いているため、保持部4a、保持部4bおよび筐体5の熱膨張係数、融点、荷重たわみ温度、ガラス転移特性は同一であるから、広い温度範囲下でも光路6の変化を低減できるため高精度のガス濃度測定が実現できる。
【0051】
[実施例2]
図7は実施例2を示す模式図である。
図7(a)は全体図(ただし筐体5は透過表示)、
図7(b)は組立前の各パーツの模式図である。
【0052】
実施例2の光路は保持部4b(光路中の領域に反射部3が設けられている。図示せず)と、実施例1における保持部4aの役割を担う筐体5(光路中の領域に反射部3が設けられている。図示せず)から構成される。
【0053】
保持部4bと筐体5の材質はポリフェニレンサルファイドを利用した。また、保持部4bと筐体5は圧着によって固定される。圧着部10は保持部4bにある凸部10Aと筐体5にある凹部10Bから構成される。
【0054】
保持部4bは、発光部1からの光を受け反射する反射部3Aと、反射部3Bからの光を受けて反射する反射部3Cと、反射部3Dからの光を受けて受光部2へ反射する反射部3Eを有する。また、筐体5は反射部3Aからの光を受けて反射する反射部3Bと、反射部3Cからの光を受けて反射する反射部3Dを有する。
【0055】
保持部4bと筐体5の材質が同一であるため、広い温度範囲下でも光路の変化がより低減されるため高精度のガス濃度測定が実現できる。
【0056】
実施例2は実施例1に比べて、反射部3Bと3Dが筐体5に直接形成されるため、保持部の数が少なく、量産性が良いため、好ましい場合はある。
【0057】
[実施例3]
図8は実施例3を示す模式図である。
図8(a)は全体図(ただし筐体5は透過表示)、
図8(b)は組立前の各パーツの模式図である。実施例2と比較して、筐体5は傾斜部11を有している。傾斜部11を設けることによって、保持部4と一体化した筐体5の射出成型が用意にできることから、生産性の観点で好ましい場合はある。このような傾斜は
図8(a)に示した側面AAとBBに、設けても好ましい場合はある。
【0058】
[実施例4]
図9は実施例4を示す模式図である。
図9(a)は全体図(ただし筐体5および保持部4は透過表示)、
図9(b)は組立前の各パーツの模式図である。
【0059】
実施例4では、筐体5の一部と保持部4aが一体形成された光路部aと、筐体5の一部と保持部4bが一体形成された光路部bから構成され、内側の一部に反射部3が設けられている(図示せず)。光路部a、光路部bの材料はポリフェニレンサルファイドを使用した。
【0060】
光路部aと光路部bには同一材質であるので、広い温度範囲下でも光路の変化は低減され、高精度のガス濃度測定が実現できる。
【0061】
実施例4には保持部4と筐体5は一体化されているため、部品数が少なく、量産性の観点から好ましい場合はある。
【0062】
[実施例5]
図10は実施例5を示す模式図である。
図10(a)は全体図(ただし筐体5および保持部4は透過表示)、
図10(b)は組立前の各パーツの模式図である。
【0063】
実施例5では、筐体5が、実施例1における保持部4a、4bおよび筐体5の役割を果たす。すなわち、保持部4a、4bが筐体5として一体形成されており、光路となる内側の一部に反射部3が設けられている(図示せず)。材料はポリフェニレンサルファイドを使用した。
【0064】
筐体5と保持部4が一体形成されているため、広い温度範囲下でも光路の変化は低減され、高精度のガス濃度測定が実現できる。
【0065】
実施例5は実施例1~4に比べて組み立て光学部品数は低減できるため、強度および組み立て性の観点から好ましい場合はある。
【0066】
図1~10では図示していないが、ガス出入りのために、基板若しくは筐体に貫通穴を設けても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 発光部
2 受光部
3 反射部
4 保持部
5 筐体
6 光路
7 基板
8 接着剤
9 溶接部
10 圧着部
10a 爪部
11 傾斜部