IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-計測のための信号-領域適応 図1
  • 特許-計測のための信号-領域適応 図2
  • 特許-計測のための信号-領域適応 図3
  • 特許-計測のための信号-領域適応 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】計測のための信号-領域適応
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240520BHJP
   G01N 21/00 20060101ALI20240520BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240520BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240520BHJP
   G01N 23/201 20180101ALI20240520BHJP
   G01N 23/20091 20180101ALI20240520BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20240520BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/00 B
G01N21/21 Z
G01N21/27 B
G01N23/201
G01N23/20091
G01N23/2251
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022520925
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020054659
(87)【国際公開番号】W WO2021076387
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】62/914,621
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/724,058
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンデブ スティリアン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0003609(US,A1)
【文献】米国特許第10365225(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0282105(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266505(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0198635(US,A1)
【文献】特開2009-282960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/00
G01N 21/21
G01N 21/27
G01N 23/201
G01N 23/20091
G01N 23/2251
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体計測を実施する方法であって、
1つ以上のプロセッサ、および前記1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶するメモリを備えるコンピュータシステムにおいて、
製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについて第1の計測データを獲得することであって、前記デバイス領域が、半周期または非周期構造体を含む、第1の計測データを獲得することと、
計測ターゲットの複数のインスタンスについて第2の計測データを獲得することであって、前記計測ターゲットが、前記デバイス領域内の前記半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む、第2の計測データを獲得することと、
前記第1および第2の計測データを使用して、前記デバイス領域についての計測データに基づいて前記計測ターゲットについての計測データを予測するように機械学習モデルを訓練することと、
前記デバイス領域の最初の前記複数のインスタンスを有する前記半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについて第3の計測データを獲得することと、
前記訓練された機械学習モデルを使用して、前記第3の計測データに基づいて前記計測ターゲットについて第4の計測データを予測することと、
前記計測ターゲットのためのレシピを使用して、前記第4の計測データに基づいて前記計測ターゲットの1つ以上のパラメータを決定することと、
前記1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて前記製造プロセスを監視および制御することと、を含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは各々、偏光解析データ、反射率測定データ、限界寸法小角X線分光(CD-SAXS)回折データ、軟X線分光(SXR)回折データ、走査型電子顕微鏡(SEM)データ、および透過型電子顕微鏡(TEM)データからなる群から選択される計測データを含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは、同じタイプの計測データを含むか、あるいは、前記第1の計測データおよび前記第3の計測データは各々、第1のタイプの計測データを含み、前記第2の計測データおよび前記第4の計測データは各々、前記第1のタイプの計測データと異なる第2のタイプの計測データを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記計測ターゲットに含まれる前記構造体は、周期的であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記第1および第2の計測データを獲得することは、前記デバイス領域および前記計測ターゲットの複数の対となるインスタンスについて計測データを獲得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記複数の対となるインスタンスは、半導体ダイがスクライブラインによって分離される1つ以上の半導体ウエハ上に位置し、
前記複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンスは、それぞれの半導体ダイ上の前記デバイス領域のインスタンス、および前記それぞれの半導体ダイに隣接するそれぞれのスクライブライン内の前記計測ターゲットのインスタンスを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記複数の対となるインスタンスは、半導体ウエハ上に位置する前記デバイス領域および前記計測ターゲットの対となるインスタンスを含み、
前記半導体ウエハは、複数のリソグラフィフィールドへと分割され、異なるリソグラフィフィールドは、実験計画(DOE)に従って、前記製造プロセスのための異なる条件を使用して製造され、
前記複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンスは各々、リソグラフィフィールド内のそれぞれの半導体ダイ上の前記デバイス領域のインスタンス、および前記それぞれの半導体ダイと同じリソグラフィフィールドに位置する前記計測ターゲットのインスタンスを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスと対にされず、
前記機械学習モデルを訓練することは、サイクル生成敵対ネットワーク(Cycle GAN)技術を使用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の一連のステップを使用して製造される1つ以上の全ループ半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の前記一連のステップの部分集合を使用して製造される1つ以上の短ループ半導体ウエハ上に位置することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、1つ以上の半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスがシミュレートされ、前記第2の計測データを獲得することは、前記製造プロセスのための変化するシミュレート条件の下で前記計測ターゲットのモデルについてシミュレーションを実施することを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは各々、光学スペクトルについてのデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の計測データおよび前記第3の計測データは各々、光学スペクトルについてのデータを含み、
前記第2の計測データおよび前記第4の計測データは各々、SEMデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の計測データおよび前記第3の計測データは各々、SEMデータを含み、
前記第2の計測データおよび前記第4の計測データは各々、光学スペクトルについてのデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上のパラメータは、限界寸法(CD)、オーバーレイ、側壁角、エッジ配置誤差、フォトリソグラフィ焦点、およびフォトリソグラフィ露光量からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つ以上のプログラムが、
第1および第2の計測データを使用して、デバイス領域についての計測データに基づいて計測ターゲットについての計測データを予測するように機械学習モデルを訓練することであって、
前記第1の計測データは、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについてであり、前記デバイス領域が、半周期または非周期構造体を含み、
前記第2の計測データは、計測ターゲットの複数のインスタンスについてであり、前記計測ターゲットが、前記デバイス領域内の前記半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む、機械学習モデルを訓練すること、
前記訓練した機械学習モデルを使用して、前記デバイス領域の最初の前記複数のインスタンスを有する半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについての第3の計測データに基づいて前記計測ターゲットについての第4の計測データを予測すること、
前記計測ターゲットのためのレシピを使用して、前記第4の計測データに基づいて前記計測ターゲットの1つ以上のパラメータを決定すること、ならびに
前記1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて前記製造プロセスを監視および制御すること、のための命令を含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは各々、偏光解析データ、反射率測定データ、限界寸法小角X線分光(CD-SAXS)回折データ、軟X線分光(SXR)回折データ、走査型電子顕微鏡(SEM)データ、および透過型電子顕微鏡(TEM)データからなる群から選択される計測データを含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは、同じタイプの計測データを含むか、あるいは、前記第1の計測データおよび前記第3の計測データは各々、第1のタイプの計測データを含み、前記第2の計測データおよび前記第4の計測データは各々、前記第1のタイプの計測データと異なる第2のタイプの計測データを含む、ことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記計測ターゲットに含まれる構造体は、周期的であることを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の一連のステップを使用して製造される1つ以上の全ループ半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の前記一連のステップの部分集合を使用して製造される1つ以上の短ループ半導体ウエハ上に位置することを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、1つ以上の半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスがシミュレートされ、
前記1つ以上のプログラムは、前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスを生成するために、前記製造プロセスのための変化するシミュレート条件の下で前記計測ターゲットのモデルのためのシミュレーションを実施するための命令をさらに含むことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
1つ以上の半導体計測ツールと、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶するメモリと
を備える、半導体検査システムであって、前記1つ以上のプログラムは、
第1および第2の計測データを使用して、デバイス領域についての計測データに基づいて計測ターゲットについての計測データを予測するように機械学習モデルを訓練することであって、
前記第1の計測データは、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについてであり、前記デバイス領域が、半周期または非周期構造体を含み、
前記第2の計測データは、計測ターゲットの複数のインスタンスについてであり、前記計測ターゲットが、前記デバイス領域内の前記半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む、機械学習モデルを訓練すること、
前記訓練した機械学習モデルを使用して、前記デバイス領域の最初の前記複数のインスタンスを有する半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについての第3の計測データに基づいて前記計測ターゲットについての第4の計測データを予測すること、
前記計測ターゲットのためのレシピを使用して、前記第4の計測データに基づいて前記計測ターゲットの1つ以上のパラメータを決定すること、ならびに
前記1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて前記製造プロセスを監視および制御すること、のための命令を含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは各々、偏光解析データ、反射率測定データ、限界寸法小角X線分光(CD-SAXS)回折データ、軟X線分光(SXR)回折データ、走査型電子顕微鏡(SEM)データ、および透過型電子顕微鏡(TEM)データからなる群から選択される計測データを含み、
前記第1の計測データ、前記第2の計測データ、前記第3の計測データ、および前記第4の計測データは、同じタイプの計測データを含むか、あるいは、前記第1の計測データおよび前記第3の計測データは各々、第1のタイプの計測データを含み、前記第2の計測データおよび前記第4の計測データは各々、前記第1のタイプの計測データと異なる第2のタイプの計測データを含む、ことを特徴とする半導体検査システム。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体検査システムであって、前記計測ターゲットに含まれる構造体は、周期的であることを特徴とする半導体検査システム。
【請求項19】
請求項17に記載の半導体検査システムであって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の一連のステップを使用して製造される1つ以上の全ループ半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスは、前記製造プロセス内の前記一連のステップの部分集合を使用して製造される1つ以上の短ループ半導体ウエハ上に位置することを特徴とする半導体検査システム。
【請求項20】
請求項17に記載の半導体検査システムであって、
前記デバイス領域の前記複数のインスタンスは、1つ以上の半導体ウエハ上に位置し、
前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスがシミュレートされ、
前記1つ以上のプログラムは、前記計測ターゲットの前記複数のインスタンスを生成するために、前記製造プロセスのための変化するシミュレート条件の下で前記計測ターゲットのモデルのためのシミュレーションを実施するための命令をさらに含むことを特徴とする半導体検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体計測、およびより詳細には、半導体構造体のためのパラメータ測定値を獲得するために計測データを変換することに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年10月14日に提出された米国仮特許出願第62/914,621号の優先権を主張するものであり、あらゆる目的のためその全体を本願に引用して援用する。
【0003】
半導体計測は、計測データを獲得し、構造体のモデルを使用してその計測データを処理することによって、半導体ウエハ上の構造体のパラメータ(すなわち、パラメータ値)を測定するために使用され得る。しかしながら、半周期および非周期構造体などの複雑な構造体は、モデル化するのが困難または不可能である。例えば、光学限界寸法(OCD)計測は、周期構造体には有効であるが、複雑な非周期構造体にはそうではない。従来の回帰ベースのモデリングは、複雑な構造体ではうまくいかない場合があり、複雑な構造体をモデル化するための機械学習の使用は、非効果的であり得る。例えば、機械学習のために使用されるべき参照データが、利用不可能であり得るか、またはプロセス変動に対してロバストであるよく訓練された正確なモデルを生み出すために十分なバリエーションの構造パラメータを含まない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10365225号
【文献】米国特許出願公開第2016/0282105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、複雑な半導体構造体のパラメータを測定するために計測データを使用する改善された方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態において、半導体計測を実施する方法は、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶するメモリを含むコンピュータシステムにおいて実施される。本方法において、第1の計測データは、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについて獲得される。デバイス領域は、半周期または非周期構造体を含む。第2の計測データは、計測ターゲットの複数のインスタンスについて獲得され、計測ターゲットは、デバイス領域内の半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む。第1および第2の計測データを使用して、機械学習モデルは、デバイス領域についての計測データに基づいて計測ターゲットについての計測データを予測するように訓練される。第3の計測データは、デバイス領域の最初の複数のインスタンスを有する半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについて獲得される。訓練された機械学習モデルを使用して、第4の計測データは、第3の計測データに基づいて計測ターゲットについて予測される。計測ターゲットのためのレシピを使用して、計測ターゲットの1つ以上のパラメータは、第4の計測データに基づいて決定される。製造プロセスは、1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて監視および制御される。
【0007】
いくつかの実施形態において、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶する。1つ以上のプログラムは、第1および第2の計測データを使用して、デバイス領域についての計測データに基づいて計測ターゲットについての計測データを予測するように機械学習モデルを訓練するための命令を含む。第1の計測データは、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについてである。デバイス領域は、半周期または非周期構造体を含む。第2の計測データは、計測ターゲットの複数のインスタンスについてである。計測ターゲットは、デバイス領域内の半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む。1つ以上のプログラムはまた、訓練した機械学習モデルを使用して、デバイス領域の最初の複数のインスタンスを有する半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについての第3の計測データに基づいて計測ターゲットについての第4の計測データを予測するための命令を含む。1つ以上のプログラムはまた、計測ターゲットのためのレシピを使用して、第4の計測データに基づいて計測ターゲットの1つ以上のパラメータを決定するための命令、ならびに1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて製造プロセスを監視および制御するための命令を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、半導体検査システムは、1つ以上の半導体計測ツール、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶するメモリを含む。1つ以上のプログラムは、第1および第2の計測データを使用して、デバイス領域についての計測データに基づいて計測ターゲットについての計測データを予測するように機械学習モデルを訓練するための命令を含む。第1の計測データは、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ上のデバイス領域の複数のインスタンスについてである。デバイス領域は、半周期または非周期構造体を含む。第2の計測データは、計測ターゲットの複数のインスタンスについてである。計測ターゲットは、デバイス領域内の半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む。1つ以上のプログラムはまた、訓練した機械学習モデルを使用して、デバイス領域の最初の複数のインスタンスを有する半導体ダイと異なる第1の半導体ダイ上のデバイス領域のインスタンスについての第3の計測データに基づいて計測ターゲットについての第4の計測データを予測するための命令を含む。1つ以上のプログラムはまた、計測ターゲットのためのレシピを使用して、第4の計測データに基づいて計測ターゲットの1つ以上のパラメータを決定するための命令、ならびに1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて製造プロセスを監視および制御するための命令を含む。
【0009】
様々な説明された実装形態のより良好な理解のため、以下の図面と併せて、下記の発明を実施するための形態を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】いくつかの実施形態に従う、半導体ウエハであって、その上に複数の半導体ダイが製造プロセスを使用して製造されている、半導体ウエハを示す図である。
図2】いくつかの実施形態に従う、信号-領域適応を使用して半導体計測を実施する方法のフローチャートである。
図3】いくつかの実施形態に従う、図2の方法におけるデータの流れを示す図である。
図4】いくつかの実施形態に従う、半導体検査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照番号は、図面および明細書の全体を通して対応する部分を指す。
【0012】
これより、様々な実施形態に対して詳細に言及され、それらの例が添付の図面に例証される。以下の詳細な説明において、数値的な特定の詳細は、様々な説明された実施形態の徹底的な理解を提供するために明記される。しかしながら、様々な説明された実施形態がこれらの特定の詳細なしに実践され得ることは当業者には明らかであるものとする。場合によっては、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように詳細には説明されていない。
【0013】
図1は、いくつかの実施形態に従う、半導体ウエハ100であって、その上に複数の半導体ダイ102が製造プロセスを使用して製造されている、半導体ウエハ100を示す。いくつかの実施形態において、半導体ダイ102は、完全に製造されており、そのため製造プロセス内の全てのステップが実施されている。代替的に、半導体ダイ102は、部分的に製造されており、そのため製造プロセスは、測定値がウエハ100上の構造体に対して取られ得るように、所定の地点に至るまで実施され、その後停止されている。いずれの場合においても、ウエハ100は、開始から特定の地点(すなわち、製造プロセスが停止されている所定の地点または製造プロセスの終わりのいずれか)に至るまでの製造プロセス内のステップの全てが実施されていることから、全ループウエハと称される。全ループウエハは、短ループウエハとは異なるものであり、短ループウエハでは、製造プロセス内のステップの一部分のみ(例えば、1つ以上の層に対応するが、特定の地点に至るまでの全ての層には対応しないステップ)が実施される。例えば、短ループウエハは、製造プロセスの最初からではなく、製造プロセス内の何らかの中間点から開始するステップを実施することによって製造され得る。
【0014】
各ダイ102は、適切な計測技術を使用して検査され得るデバイス領域104のそれぞれのインスタンスを含む。実際には、ダイ102は、対象となる複数の領域を有し得る。以下の開示は、簡略性のために単一のデバイス領域104を説明するが、ダイ102上の複数のデバイス領域に適用され得る。ウエハ100はまた、適切な計測技術を使用して検査され得る計測ターゲット106のインスタンスを含む。(簡略性のため、デバイス領域104の単一のインスタンスおよび計測ターゲット106の単一のインスタンスが、図1に示される。)
【0015】
いくつかの実施形態において、計測ターゲット106のインスタンスは、ダイ102を分離するスクライブライン108に位置する。スクライブラインは、ウエハ100上に水平および垂直に(すなわち、それぞれ左右および上下)に延び、製造が完了すると、パッケージングのためにダイ102を分離するために切られる。1つの例において、計測ターゲット106のインスタンスは、それぞれのダイ102の上、下、左、および/または右に位置し得る。別の例において、少なくとも1つの計測ターゲット106は、少なくとも1つの計測ターゲット106がそれぞれのダイ102と同じフォトリソグラフィフィールド110に位置するように、各フォトリソグラフィフィールド110に位置し得る。フォトリソグラフィフィールド110は、ダイ102、および単一のフォトリソグラフィ露光においてレチクルを通じて露光される付属のスクライブライン108の集まりである。より一般的には、計測ターゲット106のインスタンスは、デバイス領域104のそれぞれのインスタンスの指定の距離内に位置し得る。
【0016】
他の実施形態において、計測ターゲット106のインスタンスは、それぞれのダイ102に位置する。例えば、計測ターゲット106の単一のそれぞれのインスタンスが、ウエハ100上の各ダイ102に位置し得るか、または計測ターゲット106の複数のインスタンスが、ウエハ100上の各ダイ102内に分布され得る。しかしながら、ダイ102内に計測ターゲット106を含むことは、ダイサイズを増大させ、故に、ウエハ収率を減少させ、ダイ費用を増大させる。
【0017】
同じ計測技術が、デバイス領域104および計測ターゲット106の両方のインスタンスを検査するために使用され得る。代替的に、デバイス領域104のインスタンスは、第1の計測技術を使用して検査され得、計測ターゲット106のインスタンスは、第1の計測技術と異なる第2の計測技術を使用して検査され得る。デバイス領域104および/または計測ターゲット106のインスタンスを検査するために使用される計測技術の例としては、限定することなく、偏光解析、反射率測定、限界寸法小角X線分光(CD-SAXS)、軟X線分光(SXR)、走査型電子顕微鏡(SEM)、および透過型電子顕微鏡(TEM)が挙げられる。
【0018】
デバイス領域104内の、構造体、または構造体の配置は、計測ターゲット106内の、構造体、または構造体の配置よりも複雑である。例えば、計測ターゲット106内の構造体は周期的である一方で、デバイス領域104内の構造体は、半周期的または非周期的である。半周期構造体は、周期性における1つ以上の中断の存在を除き、周期的である。例えば、半周期構造体は、層の第1のセット(例えば、上層、または下層)においては周期的であり得るが、層の第2のセット(例えば、下層、または代替的に上層)においては非周期的であり得る。1つのそのような例において、デバイス領域104は、アレイの下のCMOS回路(CUA、またはCMOS Under Array)を含み、アレイが周期的であり、下にあるCMOS回路はそうではない。半周期構造体の他の例が可能である。
【0019】
計測ターゲット106内の構造体は、モデル化され得、結果として生じるモデルは、計測ターゲット106の特定のインスタンスについてのパラメータデータを、計測ターゲット106のそのインスタンスについての計測データから抽出するために使用される。しかしながら、デバイス領域104内の構造体は、この様式ではモデル化するのが困難または不可能であり得、その結果として、正確なパラメータデータは、デバイス領域104についての計測データから確実に抽出することができない。この状況において、デバイス領域104のそれぞれのインスタンスは、それらが製造中に経た製造プロセスにおける変動(すなわち、プロセス変動)に関する情報を依然として含む。デバイス領域104のそれぞれのインスタンスについての計測データは、故に、この情報を、少なくともおおよそ含むが、この情報は、計測データから直接抽出することはできない。この情報を獲得するために、信号-領域適応が、デバイス領域104の特定のインスタンスについての計測データを計測ターゲット106の仮説インスタンスについての計測データへと変換するために使用される。計測ターゲット106の仮説インスタンスについての1つ以上のパラメータ(すなわち、パラメータ値)が、次いで、計測ターゲット106のためのモデルを使用して抽出される。これらのパラメータは、デバイス領域104の特定のインスタンスについての所望のプロセス変動情報を提供する。
【0020】
図2は、いくつかの実施形態に従う、信号-領域適応を使用して半導体計測を実施する方法200のフローチャートを示す。方法200は、コンピュータシステム(例えば、半導体検査システム400のコンピュータシステム、図4)において実施され得る。方法200のステップは、組み合わせられ得るか、または切り離され得る。方法200は、いくつかの実施形態に従う方法200におけるデータの流れを示す図3を参照して説明される。図3に示されるモジュールは、コンピュータシステムのメモリ(例えば、メモリ410、図4)に記憶される命令に対応する。方法200は、ユーザ介入なしに、自動的に実施され得る。
【0021】
方法200において、第1の計測データ302(図3)は、製造プロセスを使用して製造される半導体ダイ102上のデバイス領域104(図1)の複数のインスタンスについて獲得される(202)。デバイス領域104は、半周期または非周期構造体を含む。第2の計測データ304は、計測ターゲット106の複数のインスタンスについて獲得される(202)。計測ターゲット106は、デバイス領域104内の半周期または非周期構造体と異なる構造体を含む。いくつかの実施形態において、計測ターゲット106に含まれる構造体は、周期的である(204)。第1の計測データ302および第2の計測データ304は、1つ以上の計測ツール442(図4)から、直接的または間接的に獲得される。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の計測データ302および第2の計測データ304を獲得すること(202)は、デバイス領域104および計測ターゲット106の複数の対となるインスタンスについての計測データを獲得すること(206)を含む。複数の対となるインスタンスは、半導体ダイ102がスクライブライン108によって分離される1つ以上の半導体ウエハ100(図1)上に位置し得る。例えば、複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンス(例えば、各々対となるインスタンス)は、それぞれの半導体ダイ102上のデバイス領域104のインスタンス、およびそれぞれの半導体ダイ102に隣接するそれぞれのスクライブライン108内の計測ターゲット106のインスタンスを含む。別の例において、1つ以上の半導体ウエハ100は、複数のリソグラフィフィールドへと分割され、異なるリソグラフィフィールド110は、実験設計(実験の設計またはDOEと称される)に従って製造プロセスのための異なる条件を使用して製造される。複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンス(例えば、全ての対となるインスタンス)は各々、リソグラフィフィールド110内のそれぞれの半導体ダイ102上のデバイス領域104のインスタンス、および同じリソグラフィフィールド110に位置する計測ターゲット106のインスタンスを含む。さらに別の例において、複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンス(例えば、全ての対になるインスタンス)は各々、それぞれの半導体ダイ102上のデバイス領域104のインスタンス、および同じ半導体ダイ102上に位置する計測ターゲット106のインスタンスを含む。より一般的には、複数の対となるインスタンスのそれぞれの対となるインスタンス(例えば、全ての対になるインスタンス)は各々、互いの指定距離内に位置するデバイス領域104のインスタンスおよび計測ターゲット106のインスタンスを含む。
【0023】
他の実施形態において、デバイス領域104の複数のインスタンスは、計測ターゲット106の複数のインスタンスと対にされない(208)。例えば、デバイス領域104の複数のインスタンスは、1つ以上のウエハ100の第1のセットからであり得、計測ターゲット106の複数のインスタンスは、1つ以上のウエハ100の非重複の第2のセットからであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、デバイス領域104の複数のインスタンスは、製造プロセス内の一連のステップを使用して製造される1つ以上の全ループ半導体ウエハ100上に位置する(210)。計測ターゲット106の複数のインスタンスは、製造プロセス内の一連のステップの部分集合を使用して製造される1つ以上の短ループ半導体ウエハ上に位置する。1つ以上の短ループ半導体ウエハは、いくつかの実施形態に従って、変化するプロセス条件下で製造される(例えば、異なるリソグラフィフィールド110は異なるプロセス条件下で製造される)。そのような実施形態は、デバイス領域104の複数のインスタンスが計測ターゲット106の複数のインスタンスと対にされない(208)例である。
【0025】
いくつかの実施形態において、デバイス領域104の複数のインスタンスは、1つ以上の半導体ウエハ100上に位置する(212)。計測ターゲット106の複数のインスタンスがシミュレートされる。第2の計測データ304は、故に、シミュレートされた計測データを含み得る(例えば、シミュレートされた計測データおよび/または実計測データである)。例えば、ステップ202において第2の計測データ(またはその一部分)を獲得することは、製造プロセスのための変化するシミュレート条件の下で計測ターゲット106のモデルのためのシミュレーションを実施することを含み得る。そのような実施形態は、デバイス領域104の複数のインスタンスが計測ターゲット106の複数のインスタンスと対にされない(208)さらなる例である。
【0026】
第1の計測データ302および第2の計測データ304を使用して、機械学習モデルは、デバイス領域104についての計測データに基づいて計測ターゲット106についての計測データを予測するように訓練される(214)。例えば、第1の計測データ302および第2の計測データ304は、計測データ予測モデル306を訓練する訓練モジュール418(図3)に提供される。いくつかの実施形態において、機械学習モデル(例えば、計測データ予測モデル306)は、ニューラルネットワークであり、これは、ニューラルネットワーク内のそれぞれのノードにおいて重みを調節することによって訓練される。
【0027】
デバイス領域104の複数のインスタンスが計測ターゲット106の複数のインスタンスと対にされるいくつかの実施形態において、機械学習モデルは、第2の計測データ304と、第1の計測データ302に基づいてモデルによって予測される計測データとの差を最小限にするために重みを調節することによって訓練される。例えば、第1の計測データ302が、デバイス領域104のインスタンスについてのスペクトル(例えば、光学スペクトル)SDAを含む場合、機械学習モデルは、計測ターゲット106についての予測した計測データをもたらす関数G(SDA)を実行し、第2の計測データ304は、計測ターゲット106のインスタンスについてのスペクトル(例えば、光学スペクトル)SMTを含み、機械学習モデルのための重みwは、
w=argmin||G(SDA)-SMT|| (1)
として決定される。
故に、第2の計測データ304は、機械学習モデルの出力が訓練プロセス中に比較されるグラウンドトゥルースの役割を果たし、機械学習モデルが相応して調節される。いくつかの実施形態に従って、各々対となるインスタンスについてのデバイス領域104と計測ターゲット106との近接性が理由で、それぞれの対となるインスタンスについてのデバイス領域104および計測ターゲット106は、同様の(例えば、ほぼ等価の)プロセス変動を経て、第2の計測データ304をグラウンドトゥルースの容認可能な供給源にする。
【0028】
デバイス領域104の複数のインスタンスが計測ターゲット106の複数のインスタンスと対にされないいくつかの実施形態(例えば、ステップ208、210、および/または212に従う)において、訓練は、サイクル生成敵対ネットワーク(Cycle GAN)技術を使用して実施される。Cycle GANは、2つのモデル、生成器および弁別器を伴い、それらの両方が、訓練ステップ202中に訓練される。生成器は、デバイス領域104についての計測データに基づいて計測ターゲット106についての予測された計測データをもたらす関数Gを実行する。訓練中、生成器は、第1の計測データ302を入力として受信する。例えば、第1の計測データ302がデバイス領域104のインスタンスについてのスペクトル(例えば、光学スペクトル)SDAを含む場合、機械学習モデルは、計測ターゲット106についての予測された計測データをもたらす関数G(SDA)を実行する。弁別器は、計測ターゲット106についての計測データが実でありそうか、または偽でありそうかを決定する。訓練中、弁別器は、第2の計測データ304(例えば、SMT)を計測ターゲット106についての実計測データの例として受信し(たとえ第2の計測データ304がシミュレートされるとしても-Cycle GANのコンテクストにおける「実」という言葉は、計測データのコンテクストにおける「実」という言葉とは異なって使用される)、生成器の出力(例えば、G(SDA))を実または偽と分類する。訓練は、弁別器が、生成器の出力が実であることを指定の程度まで信じるときに完了する。
【0029】
第3の計測データ308は、デバイス領域104の最初の複数のインスタンスを有する半導体ダイ102と異なる第1の半導体ダイ102上のデバイス領域104のインスタンスについて獲得される(216)。いくつかの実施形態において、第3の計測データ308は、計測ツール442(図4)から直接的または間接的に獲得され、計測データ予測モジュール416(図3)に提供される。第1の半導体ダイ102は、第1の計測データ302および第2の計測データ304を生成するために検査された(または、第2の計測データ304がシミュレートされる場合、第1の計測データ302を生成するために検査された)1つ以上のウエハ100とは異なる(例えば、これとは異なるウエハロットからである)ウエハ100上に位置し得る。例えば、第1の計測データ302および/または第2の計測データ304を生成するために検査された1つ以上のウエハ100は、実験ウエハ(例えば、プロセス変動DOEを実行する)であり得る一方、第1の半導体ダイ102は、生産ウエハ上に位置する。
【0030】
訓練された機械学習モデルを使用して、第4の計測データ310は、第3の計測データ308に基づいて、計測ターゲット106について(すなわち、計測ターゲット106の仮説インスタンスについて)予測される(218)。例えば、計測データ予測モジュール416(図3)は、訓練モジュール418から訓練された計測データ予測モデル306を受信し、訓練された計測データ予測モデル306を用いて第3の計測データ308を処理することによって、第4の計測データ310を予測する。いくつかの実施形態において、Cycle GANが計測データ予測モデル306を訓練するために使用された場合、訓練された生成器(計測データ予測モデル306の一部である)は、第3の計測データ308に基づいて第4の計測データ310を予測するために使用される。
【0031】
計測ターゲット106のためのレシピを使用して、計測ターゲット106の(すなわち、ステップ218について説明される計測ターゲット106の仮説インスタンスの)1つ以上のパラメータが、第4の計測データ310に基づいて決定される(220)。例えば、計測ターゲットレシピモジュール420(図3)は、第4の計測データ310を受信し、レシピ421(図4)を使用して第4の計測データ310を処理することによって1つ以上のパラメータを決定する。1つ以上のパラメータは、幾何学的パラメータ(例えば、限界寸法(CD)、オーバーレイ、側壁角、エッジ配置誤差など)、および/または製造プロセスパラメータ(例えば、フォトリソグラフィ焦点、フォトリソグラフィ露光量など)を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のパラメータは、CD、オーバーレイ、側壁角、エッジ配置誤差、フォトリソグラフィ焦点、およびフォトリソグラフィ露光量からなる群から選択される(222)。いくつかの実施形態において、レシピ(例えば、レシピ421、図4)は、モデルベースのレシピである。モデルベースのレシピは、例えば、回帰ベースであり得る。別の例において、モデルベースのレシピは、モデルおよびシミュレータを使用して生成されるデータから訓練される機械学習ベースのレシピであり得る。いくつかの他の実施形態において、レシピ(例えば、レシピ421、図4)は、ウエハからの実計測データおよび参照計測ツールからの参照を使用して訓練されるモデルフリー(すなわち、モデルのない)レシピである。依然として他の実施形態において、レシピ(例えば、レシピ421、図4)は、シミュレートされた計測データおよび実計測データの両方を使用して訓練され得る。そのようなレシピは、シミュレートされた計測データがモデルおよびシミュレータを使用して生成されることから、モデルベースと考えられ得る。
【0032】
製造プロセスは、ステップ220において決定されるような1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて監視および制御される(224)。いくつかの実施形態において、この監視および制御は、プロセス監視および制御モジュール422(図3)によって実施される。例えば、1つ以上のパラメータの全てまたは一部分が、閾値を満足する(例えば、これを超える、またはこれ以上である)量だけそれぞれの目標値と異なる場合、製造プロセスは、未来のウエハ100上のダイ102のための値が目標値の範囲内にある(例えば、閾値差を満足しない)ように調節される。別の例において、1つ以上のパラメータは、統計的プロセス制御(SPC)手続きのための入力として提供され得、1つ以上の製造プロセスパラメータは、SPC結果に基づいて調節され得る。
【0033】
代替的に、またはステップ224を実施することに加えて、方法200は、ステップ220において決定されるような1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、第1の半導体ダイ102が位置する半導体ウエハ100を配列することを含み得る。半導体ウエハ100を配列することは、ウエハ100を加工し続けること、ウエハ100を改変すること、またはウエハ100を解体することの中から選択することを含み得る。配列は、ウエハ配列モジュール424(図3)によって実施され得る。
【0034】
代替的に、またはステップ224を実施することおよび/もしくは配列を実施することに加えて、方法200は、ステップ220において決定されるような1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、第1の半導体ダイ102の性能(例えば、速度および/または電力消費)を推定することを含み得る。この推定は、性能推定モジュール426(図3)によって実施され得る。
【0035】
第1の計測データ302、第2の計測データ304、第3の計測データ308、および第4の計測データ310は、限定することなく、図1に関して説明される計測のタイプのうちのいずれかの計測データを含み得る。例えば、第1の計測データ302、第2の計測データ304、第3の計測データ308、および第4の計測データ310は、同じタイプの計測データを含み得、第2の計測データ304が実および/またはシミュレートであり、第4の計測データ310がステップ218において生成される予測データである。1つのそのような例において、第1の計測データ302、第2の計測データ304、第3の計測データ308、および第4の計測データ310は各々、光学スペクトルについてのデータ(例えば、偏光解析データまたは反射率測定データ)を含む。代替的に、第1の計測データ302および第3の計測データ308は各々、第1のタイプの計測データを含む一方、第2の計測データ304および第4の計測データ310は各々、第1のタイプの計測データと異なる第2のタイプの計測データを含む。1つのそのような例において、第1の計測データ302および第3の計測データ308は各々、光学スペクトルについてのデータ(例えば、偏光解析データまたは反射率測定データ)を含む一方、第2の計測データ304および第4の計測データ310は各々、SEMデータを含む(またはその逆も然りである)。多数の他の例が可能である。
【0036】
図4は、いくつかの実施形態に従う、半導体検査システム400のブロック図である。半導体検査システム400は、1つ以上の半導体計測ツール442-1~442-n(nは、1以上の整数である)、ならびに1つ以上のプロセッサ402(例えば、CPUおよび/またはGPU)、ユーザインターフェース406、メモリ410、およびこれらの構成要素を相互接続する1つ以上の通信バス404を伴うコンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、1つ以上の有線および/またはワイヤレスネットワーク440を通じて1つ以上の半導体計測ツール442と通信可能に結合され得る。コンピュータシステムは、1つ以上の半導体計測ツール442および/または遠隔コンピュータシステムと通信するための1つ以上のネットワークインターフェース(有線および/またはワイヤレス、図示されない)をさらに含み得る。1つ以上の半導体計測ツール442の例としては、限定することなく、偏光解析器、反射率計、CD-SAXSツール、SXRツール、SEM(例えば、CD-SEM)、またはTEMが挙げられる。いくつかの実施形態において、半導体計測ツール442は、複数のタイプの計測を実施するように構成され得る。いくつかの実施形態において、半導体計測ツール442は、異なるタイプの計測ツール(例えば、偏光解析器およびSEMなど)を含み得る。
【0037】
ユーザインターフェース406は、ディスプレイ407および1つ以上の入力デバイス408(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ407のタッチセンシティブ面など)を含み得る。ディスプレイ407は、方法200(図2)の結果を報告し得る。例えば、ディスプレイ407は、ステップ220において決定される1つ以上のパラメータ、1つ以上のパラメータに従って生成される計測ターゲット106の画像、ステップ224の監視の結果、ステップ224のプロセス制御ごとに行われる、もしくは行われるべき製造プロセスに対する調節、ウエハ配列モジュール424(図3)によって決定されるウエハ配列結果、および/または性能推定モジュール426(図3)によって決定されるデバイス性能推定を表示し得る。
【0038】
メモリ410は、揮発性および/または不揮発性メモリを含む。メモリ410(例えば、メモリ410内の不揮発性メモリ)は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。メモリ410は、任意選択的に、プロセッサ402から遠隔設置される1つ以上の記憶デバイス、および/またはコンピュータシステム内に取り外し可能に挿入される非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態において、メモリ410(例えば、メモリ410の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)は、以下のモジュールおよびデータ、またはその部分集合もしくは上位集合:様々な基本システムサービスを取り扱うための手続きおよびハードウェア依存タスクを実施するための手続きを含むオペレーティングシステム412、計測データ414(例えば、第1の計測データ302、第2の計測データ304、第3の計測データ308、および第4の計測データ310)、計測データ予測モジュール416(図3)、訓練モジュール418(図3)、計測ターゲットレシピモジュール420(図3)、プロセス監視および制御モジュール422(図3)、ウエハ配列モジュール424(図3)、ならびに性能推定モジュール426を記憶する。計測データ予測モジュール416は、計測データ予測モデル306(図3)を含む。計測ターゲットレシピモジュール420は、レシピ421を含む。
【0039】
メモリ410(例えば、メモリ410の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)は、故に、方法200(図2)の全てまたは一部分を実施するための命令、および図3のデータフローを実行するための命令を含む。メモリ410に記憶されるモジュールの各々は、本明細書に説明される1つ以上の機能を実施するための命令のセットに対応する。別個のモジュールは、別個のソフトウェアプログラムとして実行される必要はない。モジュールおよびモジュールの様々な部分集合は、組み合わされ得るか、または別途再配置され得る。いくつかの実施形態において、メモリ410は、上に特定されるモジュールおよび/またはデータ構造の部分集合または上位集合を記憶する。
【0040】
図4は、構造的概略というよりも、半導体検査システムに存在し得る様々な機能の機能的説明であることを目的とする。例えば、半導体検査システム400内のコンピュータシステムの機能性は、複数のデバイス間で分かれていてもよい。メモリ410に記憶されるモジュールの一部分は、代替的に、1つ以上のネットワークを通じて半導体検査システム400のコンピュータシステムと通信可能に結合される1つ以上の他のコンピュータシステムに記憶されてもよい。
【0041】
先の説明は、説明の目的のため、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上の例証的な議論は、徹底的であること、または特許請求の範囲を開示された正確な形態に限定することは意図されない。多くの変形および変異形が、上の教示を考慮して可能である。実施形態は、特許請求の基礎となる原則およびそれらの実践的応用を最良に説明するために選択されたものであり、これにより、当業者が、様々な変形を伴った実施形態を、企図した特定の用途に適しているように使用することを可能にする。
図1
図2
図3
図4