(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】情報処理システム、保守方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240521BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240521BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240521BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F11/07 190
G06F11/07 160
G06F11/07 140P
G03G21/00 396
G03G21/00 500
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J29/38 401
B41J29/38 301
B41J29/38 801
H04N1/00 002A
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2020131128
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智樹
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235707(JP,A)
【文献】特開2012-011636(JP,A)
【文献】特開2011-090401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G03G 21/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器とネットワークを介して通信できる情報処理システムであって、
前記機器が有するメモリの書き込み回数と前記機器のカウンタ情報を前記機器から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記書き込み回数に基づいて異常又は異常の可能性を判断する判断手段と、
前記判断手段が異常又は異常の可能性があると判断した場合、前記カウンタ情報に基づいて異常の原因となるソフトウェアを特定する特定手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記カウンタ情報を増やす前記ソフトウェアを、前記異常の原因となるソフトウェアとして特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記カウンタ情報の種類にソフトウェアが対応付けられているソフトウェア情報を記憶する第一の記憶手段を有し、
前記特定手段は、前記書き込み回数の増加量が閾値以上であった一定期間において前記カウンタ情報の増加量が閾値以上の前記カウンタ情報を特定し、特定した前記カウンタ情報の種類に対応付けられているソフトウェアを、前記第一の記憶手段を参照して特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ソフトウェアに通知先を対応付けて記憶する第二の記憶手段と、
前記判断手段により異常又は異常の可能性があると判断された場合、前記第二の記憶手段において前記特定手段が特定したソフトウェアに対応づけられている通知先に通知する通知手段と、
を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判断手段は、経過日数に対する標準的な前記書き込み回数よりも、前記受信手段が受信した前記書き込み回数の方が閾値以上大きい場合、異常又は異常の可能性があると判断することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判断手段は、前記書き込み回数の経過日数に対する増加率が閾値以上の場合、異常又は異常の可能性があると判断することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記判断手段は、前記受信手段が前記書き込み回数を受信した日時と前記書き込み回数の関係から、将来の書き込み回数を予測し、
前記書き込み回数が前記メモリの寿命に達する使用可能期限に基づいて、異常又は異常の可能性があると判断することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
機器とネットワークを介して通信できる情報処理システムが行う保守方法であって、
受信手段が、前記機器が有するメモリの書き込み回数と前記機器のカウンタ情報を前記機器から受信するステップと、
判断手段が、前記受信手段が受信した前記書き込み回数に基づいて異常又は異常の可能性を判断するステップと、
特定手段が、前記判断手段が異常又は異常の可能性があると判断した場合、前記カウンタ情報に基づいて異常の原因となるソフトウェアを特定するステップと、
を有することを特徴とする保守方法。
【請求項9】
機器とネットワークを介して通信できる情報処理システムを、
前記機器が有するメモリの書き込み回数と前記機器のカウンタ情報を前記機器から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記書き込み回数に基づいて異常又は異常の可能性を判断する判断手段と、
前記判断手段が異常又は異常の可能性があると判断した場合、前記カウンタ情報に基づいて異常の原因となるソフトウェアを特定する特定手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、保守方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが使用している機器に異常が生じる場合がある。例えば、複合機に搭載されているフラッシュメモリ(eMMC,NAND等)やHDD(Hard Disk Drive)への過剰な書込みなどによりこれらに異常が生じる場合がある。機器はますます高機能及び複雑化しているため、異常が発生するとユーザ側での対応は困難な場合が多い。
【0003】
そこで、これらの機器を遠隔地から監視して異常を早期に検出する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、サーバが必要なデータを収集して異常を予測することが可能なシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では異常の原因を特定する方法について開示されていないという問題がある。例えば、機器では各種のソフトウェアが動作しているが、どのソフトウェアが異常の原因かを特定することが困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み、異常が検出された場合に異常の原因を特定できる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、機器とネットワークを介して通信できる情報処理システムであって、前記機器が有するメモリの書き込み回数と前記機器のカウンタ情報を前記機器から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記書き込み回数に基づいて異常又は異常の可能性を判断する判断手段と、前記判断手段が異常又は異常の可能性があると判断した場合、前記カウンタ情報に基づいて異常の原因となるソフトウェアを特定する特定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
異常が検出された場合に異常の原因を特定できる情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】保守システムの動作の概略を説明する図の一例である。
【
図2】機器が顧客に配置されている経過日数とフラッシュメモリなどへの書き込み回数の対応をグラフで示す図の一例である。
【
図4】保守サーバの概略的なハードウェア構成図の一例である。
【
図5】機器の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。
【
図6】保守システムが有する機器と保守サーバの機能をフロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図8】機器がログデータを保守サーバに送信する手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図9】保守サーバがログデータを分析し、異常又は異常の可能性を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図10】経過日数に対するフラッシュメモリへの書き込み回数の増加率を説明する図である。
【
図11】フラッシュメモリへの将来の書き込み回数の予測方法を説明する図である。
【
図12】アプリ担当者に送信されるメールの内容を示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、保守システム、保守サーバ、及び、保守システムが行う保守方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<保守システムの概略の動作>
図1は、本実施形態の保守システム100の動作の概略を説明する図の一例である。
(1)機器10は自機の状態を示すログデータを収集して定期的に(又は操作等を契機に)して保守サーバ30に送信する。
(2)保守サーバ30は分析ツールを使用して、異常の有無を判断したり、異常が生じる可能性が高いと判断したりする。具体的には以下のような処理を行う。
・メーカ等で予め機器が有する部品の標準的な使用頻度を見積もり、見積もりと実績の差異から異常を検出する(
図2参照)。
・使用頻度が急に増加している場合に異常を検出する。
・部品の寿命を超えそうな場合に異常を検出する。
(3)異常が検出された場合、保守サーバ30は取得したログデータに基づいて調査の対象とするアプリケーションを特定する。例えば、部品がフラッシュメモリの場合、フラッシュメモリの使用頻度が増大している一定期間において、使用頻度が増大しているプリント枚数などのカウンタ情報を特定する。そして、プリントするアプリケーションを特定する。
(4)保守サーバ30はこのアプリケーションを開発したアプリ設計区にメールなどで異常又は異常が生じる可能性がある旨を通知する。ログデータも送信してもよい。
(5)アプリ設計区のアプリ担当者が調査した結果、アプリケーションに問題があった場合、アプリ設計区はサービス担当部と連携を取り、ユーザ(顧客)に対してアプリケーション及びアプリケーションと関係するファームウェア等の更新を行う。
【0011】
図2は、機器10が顧客に配置されている経過日数とフラッシュメモリなどへの書き込み回数の対応をグラフで示す図の一例である。
図2には、見積もられたグラフ311と、ログデータに含まれる実績のグラフ312が示されている。ユーザ側の社員の人数や業種の標準的な使用形態における一日の書き込み回数が予め統計的に見積もられている。見積もられたグラフ311は、標準的な使用形態における1日の書き込み回数を経過日数に対し蓄積したグラフである。一方、実績のグラフ312は、実際にユーザが機器10を使用することで、フラッシュメモリ等に書き込まれた日々の回数を経過日数に対し蓄積したグラフである。
【0012】
したがって、保守サーバ30は、見積もられたグラフ311に対し実績のグラフ312の方が閾値以上に大きい場合、異常が生じた可能性がある又は異常を生じる可能性があると判断できる。
【0013】
フラッシュメモリなどの部品はアプリケーションが動作することでアクセスされる場合がある。一方、フラッシュメモリの読み込みのみを行うアプリケーションや、フラッシュメモリを一切使用しないアプリケーションも存在する。したがって、(3)に示したように、保守サーバ30は書き込み回数に基づいてアプリケーションを特定することができる。アプリ設計区は、この場合、アプリケーションがフラッシュメモリへ書き込む頻度を低下させる改良をアプリケーションに対して行うことが考えられる。また、アプリケーションの改良に関係なく、サービス担当部は早期にフラッシュメモリを交換することができる。
【0014】
このように、本実施形態の保守システム100は、機器の異常の原因を特定できる。例えば、異常に関係するアプリケーションを特定できる。
【0015】
<用語について>
ソフトウェアとはコンピュータに命令を出すための情報であるコンピュータ・プログラムのことである。また、プログラムにはアプリケーションソフトが含まれる。アプリケーションソフトは、ワープロや表計算を行なうといった目的に応じてコンピュータのプログラムを応用(アプリケーション)したソフトウェアをいう。本実施形態では単にアプリケーションという。
【0016】
メモリ情報は、機器が有するメモリに関する情報である。メモリは例えば(eMMC,NAND)などのフラッシュメモリ、又は、HDD(Hard Disk Drive)等である。メモリ情報は本実施形態ではログデータという用語で説明される。
【0017】
機器のカウンタ情報は、機器が処理したページの枚数、各種の機能を操作回数などである。従来から機器の使用料を課金するためにカウントされている。
【0018】
異常とは通常とは違っていることを言う。故障、支障、又は、欠陥等と称してよい。正常でない状態と称してもよい。異常の可能性とは、現在は異常でないが、異常になることが予測できることをいう。
【0019】
<システム構成例>
図3は、本実施形態の保守システム100の概略構成図の一例である。保守システム100は、ネットワークNを介して通信することが可能な一台以上の機器10、及び、保守サーバ30を有する。
【0020】
ネットワークNは機器10が存在する施設などに構築されているLAN、広域イーサネット(登録商標)、LAN同士が接続されたWAN、VPN(Virtual Private Network)、通信事業者の電話網、及び、インターネット等の一部又は全体より構築されている。
【0021】
機器10-1~機器10-n(以下、任意の機器10の符号を10とする)はユーザが操作する装置であり、更に異常が生じうる装置である。機器10は1つの顧客に1台以上、配置される。顧客は例えば組織、機関、機構、会社、企業、団体、協同組合、連盟、連合などである。
【0022】
また、機器10はユーザが業務に使用する電子的な情報を入力したり、出力したりすることで業務の効率化を支援する。機器10では、プリントやスキャンなどのアプリケーションソフトが動作し、各種のサーバと通信するブラウザソフトウェアが動作する。機器10は、例えば複合機(MFP)である。複合機とはスキャナ機能、プリント機能、コピー機能、及び、FAX送受信機能など複数の機能を有する装置をいう。MFP(Multi‐Function Printer/Product/Peripheral)、SPC(Scan Print Copy)、又は、AIO(All In One)と呼ばれる場合がある。本実施形態では複数の機能を有することまでは要求されず、機器10は、スキャナ装置、プリント装置(印刷装置)、コピー装置、FAX装置などでもよい。
【0023】
また、機器10は複合機に限らず、保守サーバ30にログデータを送信しうる装置であればよい。例えば、テレビ会議端末、電子黒板、又はプロジェクタなどでもよい。この他、例えばPC(Personal Computer)、タブレット装置、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション端末、ウェアラブルPCなどの情報処理装置が機器10でもよい。
【0024】
保守サーバ30は機器10に対しネットワークNを通じて情報や機能を提供する情報処理システムである(1台以上の情報処理装置)。保守サーバ30は、機器10から取得したログデータを分析し、機器10の異常の発生を検出又は予測する。保守サーバ30は異常に関係するアプリケーションの担当者に異常が検出又は予測された旨をメールなどで通知する。
【0025】
保守サーバ30はクラウドコンピューティングに対応していてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドコンピューティングに対応している場合、本実施例の保守サーバ30の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷等に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。また、保守サーバ30はオンプレミスに存在してもよい。
【0026】
<ハードウェア構成>
<<保守サーバ>
図4は、保守サーバ30の概略的なハードウェア構成図の一例である。保守サーバ30は、コンピュータによって構築されており、
図4に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0027】
これらのうち、CPU501は、保守サーバ30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0028】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0029】
<<機器>>
図5は、機器10の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。
図5では機器としてMFPが想定されている。
図5に示されているように、MFP(Multi function Peripheral/Product/Printer9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0030】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0031】
これらのうち、CPU901は、機器10の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0032】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0033】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0034】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0035】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0036】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるキーボード940bを備えている。コントローラ910は、機器10全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0037】
なお、機器10は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリント機能、及び、ファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリント機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0038】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0039】
<機能について>
図6は、保守システム100が有する機器10と保守サーバ30の機能をフロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0040】
<<機器>>
機器10は、異常検出部11、基本機能部12、ログデータ送信部15、及び、状態監視部16、を有している。機器10が有するこれら各機能は、
図5に示したHD909からRAM902bに展開されたプログラムをCPU901が実行することにより実現されている。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0041】
基本機能部12は、ユーザ操作等に応じて機器10が有する基本的な機能を提供する。例えば、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能、及び、FAX機能などを提供する。各機能はユーザインタフェースを含め別々のアプリケーションで制御される。例えば、印刷機能はプリントアプリ、スキャナ機能はスキャナアプリ、コピー機能はコピーアプリ、FAX機能はFAXアプリにより制御される。
【0042】
したがって、基本機能部12は各機能の提供に必要なアクチュエータ(モータ、クラッチ等)の制御、スイッチのON/OFF、定着ユニットの温度制御、センサの制御、フラッシュメモリやHDDへの書き込み等を行う。
【0043】
状態監視部16は、基本機能部12を監視して機器10の状態を表す機器監視データを取得する。機器監視データは異常と関連性が高いと推測される機器10の状態を含むことが好ましい。例えば、用紙の通過時刻、モータの電流値、定着ユニットの温度、ASICのレジスタの値、フラッシュメモリへの書き込み、HDDの通電のON/OFF等を機器監視データに含める。状態監視部16は次述するサービスコールと共に機器監視データとサービスコールをログデータとしてログデータ記憶部21に記憶させる。
【0044】
異常検出部11は基本機能部12の異常の有無を監視する。本実施形態では、異常はサービスコールという所定の情報により保守サーバ30に通知される。異常も機器10の状態の一態様であるが、状態(機器監視データ)は機器の状態に過ぎないのに対し、サービスコールは何らかの不具合が生じたことを意味する。多くのサービスコールは、ユーザだけでは復旧が困難な不具合が生じたことを示す。
【0045】
ログデータ送信部15は、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータを所定のタイミングで保守サーバ30に送信する。例えば、サービスコールが検出された直後、定期的(毎時、半日ごと、毎日、1週ごと等)なタイミング、又は、一定量のログデータが蓄積されたタイミング、又は、決まった操作が検出されたタイミング等である。
【0046】
機器10は、
図5に示したHD909又はRAM902b等により実現される記憶部20を有している。記憶部20にはログデータ記憶部21が構築されている。ログデータ記憶部21は状態監視部16が収集したログデータ(機器監視データとサービスコール)を記憶する。ログデータ記憶部21のログデータは保守サーバ30に送信されると消去される。ログデータについては
図7で説明する。
【0047】
<<保守サーバ>>
保守サーバ30は、ログデータ受信部31、特定部32、判断部33、及び、通知部34を有する。保守サーバ30が有するこれらの各機能は、
図4に示したHD504からRAM503に展開されたプログラムをCPU501が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0048】
また、保守サーバ30は
図4に示したHD504又はRAM503等により実現される記憶部40を有している。記憶部40にはログデータ蓄積部41、アプリ情報記憶部42(第一の記憶手段の一例)、及び、アプリ担当者情報記憶部43(第二の記憶手段の一例)が構築されている。ログデータ蓄積部41が蓄積するログデータは機器10が送信するログデータと同じであるが、保守サーバ30には各機器10からのログデータが蓄積される。
【0049】
【表1】
表1は、アプリ情報記憶部42に記憶されているアプリ情報(ソフトウェア情報の一例)の一例を示す。ログデータから抽出されるパラメータに対応付けて、アプリ名が設定されている。パラメータはログデータに含まれるカウンタ情報の種類(コピー枚数、プリント枚数、FAX送信・受信枚数、スキャン枚数、主電源ON回数、省エネ移行・復帰回数等)である。
【0050】
例えば、パラメータ名がプリント枚数の場合、対応するアプリケーションはプリントアプリである。パラメータ名がスキャン枚数の場合、対応するアプリケーションはスキャナアプリである。パラメータ名がHDDアクセス回数の場合、対応するアプリケーションはスキャナアプリとプリントアプリである(パラメータには、複数のアプリケーションが対応づけて管理されていても良い。)。
【0051】
すなわち、事前の知見によって、各パラメータを増やすアプリケーションのアプリ名がパラメータに対応付けられている。例えば、プリントアプリはプリント枚数を増大させる。したがって、特定部32は表1を参照することで、パラメータに応じて対応するアプリケーションを特定できる。
【0052】
【表2】
表2は、アプリ担当者情報記憶部43に記憶されたアプリ担当者情報の一例を示す。アプリ担当者情報は、アプリケーションを担当する担当者に関する情報である。アプリ担当者情報はアプリ名、担当者名、及び、担当者アドレスの各項目を有している。通知部34は、アプリ担当者情報を参照することにより、担当者アドレスを通知先にして、アプリ担当者に自動的にメールを送信することができる。なお、メール本文中は、少なくとも異常の原因となったアプリ名を含むとよい。ただし、メール本文中に含む情報はこれに限定されず、パラメータ名、異常の種類等を含むことができる。
【0053】
(保守サーバの各機能)
図5に戻って説明する。ログデータ受信部31は、機器10からログデータを受信して記憶部40に構築されたログデータ蓄積部41に蓄積する。
【0054】
判断部33は、ログデータを分析して、部品の異常が生じたか、又は、異常が生じる可能性があるかを判断する。詳細は後述される。特定部32は、異常又はその可能性が検出された場合、表1のアプリ情報記憶部42を参照して、異常が検出された部品に関するアプリケーションを特定する。
【0055】
通知部34は、表2のアプリ担当者情報を参照して、異常又はその可能性が検出されたアプリケーションの担当者にメールを送信する。メールでなく、SNS(Social Network Service)で送信してもよい。
【0056】
<ログデータ>
図7は、ログデータの一例を模式的に示す図である。
図7はログデータが取得された順に時系列のログデータを示す。機器10は自機の状態を示すデータ(機器監視データとサービスコール)を常に収集している。機器10の異常の発生要因はさまざまであるので、さまざまな機器10の状態を予め監視して、ログデータとして記録しておくことが好ましい。
図7のログデータは以下のような内容である。なお、いずれのログデータも発生日時が記録されている。
【0057】
・SC101
異常の発生を示すサービスコール(SC)の一例であり、「SC+番号」の形式で出力される。この番号によりサービスコールの内容(種類)が分かる。
【0058】
・SENSOR_A ON, SENSOR_A OFF
用紙搬送をスタートさせてから各用紙通過センサを通過した時間を記録するためのログデータである。つまり、SENSOR_AがONになった時刻からOFFになった時刻までの経過時間により用紙が通過するために要した時間がわかる。用紙の搬送に標準よりも時間がかかることは異常の要因が隠されている可能性がある。
【0059】
・MOTOR_A CURRENT
モータ名と電流値のログデータである。MOTOR_Aが用紙搬送モータ名、0.155mAが電流値である。電流値が高いことは紙を送りにくくなっていることを示すので、用紙搬送モータの電流値が高いことは異常の要因が隠されている可能性がある。
【0060】
・TEICHAKU 30 degree
定着ユニット(TEICHAKU)の温度(30度)が記録されたログデータである。定着ユニットの温度が高すぎる又は温度が上昇しないことは、異常の要因が隠されている可能性がある。
【0061】
・REGISTOR_A 50
CPUが画像処理用のASICのレジスタ(REGISTOR_A)に設定する値(50)と設定された時刻が記録されたログデータである。ASICのレジスタ(REGISTOR_A)に設定する値は画像処理に使用されるフィルタの番号やガンマ変換テーブルの番号等であり、決まった位置を用紙が通過する前にレジスタに正しい値が設定される必要がある。上記のSENSOR_A ON, SENSOR_A OFF等のログデータで用紙が通過したタイミングは記録されているので、これとレジスタの値と設定時刻からタイミングのずれ(遅れ)を検出できる。タイミングが遅れることは、異常の要因が隠されている可能性がある。
【0062】
・eMMC_write
eMMC(フラッシュメモリ)に書き込まれた時刻が記録されたログデータである。書き込みだけでなく読み取った時刻もログデータに記録される。
【0063】
・HDD_current_on
HDDに通電が開始された時刻が記録されたログデータである。例えば、機器の電源ONやスリープからの復帰で記録される。
【0064】
・HDD_current_off
HDDへの通電が終了した時刻が記録されたログデータである。例えば、機器の電源OFFやスリープへの移行で記録される。
【0065】
・HDD_accesstime 0.2ms
HDDがデータを読み書きする場合のシーク時間、回転待ち時間及びデータ転送時間を合計したアクセス時間である。この例では例えば、0.2秒となっている。
【0066】
・print_count 1593
設置されてから現在までのプリント枚数である。日時に対応付けられているので、保守サーバ30は一定期間のプリント枚数の増加量を算出できる。プリント枚数はカウンタ情報の1つである。カウンタ情報は、コピー枚数、プリント枚数、FAX送信・受信枚数、スキャン枚数、主電源ON回数、省エネ移行・復帰回数、各種設定のON/OFF情報(例えば、ユーザ認証機能の有効/無効の設定)などである。
【0067】
なお、
図7のログデータは一例に過ぎず、機器10から取得可能な情報であればログデータとなりうる。ログデータには、プリント枚数以外のカウンタ情報も含まれる。
【0068】
<ログデータの送信手順>
図8は、機器10がログデータを保守サーバ30に送信する手順を示すシーケンス図の一例である。なお、「S+番号」の「S」はステップを意味する。
【0069】
S11:機器10のログデータ送信部15は、所定の通信プロトコルを使って機器10のログデータの送信要求を保守サーバ30に送信する。所定のプロトコルはHTTPs、HTTP2.0、HTTP、FTP、WebDAVなどどのようなものでもよい。
【0070】
S12:保守サーバ30がログデータを受け取れる状態であれば了解を機器10に送信する。例えば、保守サーバ30側が別のタスクにより負荷が大きくなっている等の場合はログデータの送信を拒否する。データ送信を拒否された場合、機器10は一定の時間経過後に再度、送信要求を行なう。
【0071】
S13:機器10のログデータ送信部15は、送信するログデータのサイズ、データ圧縮方式、及び、暗号化方式などのデータ属性を保守サーバ30に送信する。
【0072】
S14:保守サーバ30のログデータ受信部31はログデータを受け取るために必要なメモリを確保し、データ受け取りの準備完了の通知を行なう。ログデータを受け取れるメモリサイズが確保できない場合は、データを分割して送信するように通知する。
【0073】
S15:機器10のログデータ送信部15はログデータの送信を開始する。
【0074】
S16:保守サーバ30のログデータ受信部31はサイズに基づいてログデータをすべて受け取ったか否かを判断し、全てを受信すると機器10にデータ受信完了を送信する。
【0075】
<分析の流れ>
次に、
図9を参照して、保守サーバ30がログデータを分析する動作又は処理について説明する。
図9は、保守サーバ30がログデータを分析し、異常又は異常の可能性を検出する手順を示すフローチャート図である。
【0076】
まず、保守サーバ30のログデータ受信部31は
図8にて説明したようにログデータを受信する(S101)。
【0077】
新しいログデータを受信すると、判断部33は異常又は異常の可能性の有無の判断する(S102)。判断方法の一例として、以下のA~Cの3つの方法を説明する。
【0078】
A.見積もりと実績の差異から判断
ログデータには、日時に対応付けて、フラッシュメモリへの書き込み、HDDの通電時間(HDD_current_onからHDD_current_offまでの時間)、又は、HDDのアクセス時間などが含まれている。また、
図2にて説明したように、保守サーバ30は、フラッシュメモリやHDDの経過日数(ユーザが機器10を使用している日数と考えられる)に対する標準的な書き込み回数や通電時間を示す標準データを記憶している。判断部33は、経過日数に対する実際の書き込み回数又は通電時間を、標準データと比較し、書き込み回数や通電時間が標準データより閾値以上大きい場合、異常又は異常の可能性があると判断する。
【0079】
なお、ある経過日数における書き込み回数は、経過日数が大きいほど大きくなるので、実際の書き込み回数と標準の書き込み回数の差異も経過日数の影響を受けやすくなる。そこで、判断部33は標準の書き込み回数に対する実際の書き込み回数の比率と閾値を比較してもよい。例えば、標準の書き込み回数より実際の書き込み回数が50%以上大きい場合に異常又は異常の可能性があると判断する場合、「実際の書き込み回数/標準の書き込み回数>1.5」が満たされるか否かを判断する。
【0080】
B.機能の使用頻度の増加率に応じた判断
判断部33は、ログデータに基づいて、経過日数に対するフラッシュメモリへの書き込み回数やHDDへの通電時間の増加率を算出することができる。
【0081】
図10は、経過日数に対するフラッシュメモリへの書き込み回数の増加率を説明する図である。日数がD日の時の書き込み回数をN回とする。この場合、増加率は以下のようになる。
増加率=N/D
なお、経過日数の全てで書き込み回数を割るのではなく、一定期間の経過日数でその間の書き込み回数を割って、増加率を算出してもよい。判断部33は、増加率が閾値以上の場合、異常又は異常の可能性があると判断することができる。
【0082】
あるいは、ログデータから算出した増加率と、フラッシュメモリへの標準的な書き込み回数の増加率を示す標準データを比較し、算出した増加率が標準データより閾値以上大きい場合に、異常又は異常の可能性があると判断してもよい。
【0083】
C.部品の寿命から判断
判断部33は、各部品の寿命情報を有している。例えば、フラッシュメモリの場合、書き込み回数=100万回が寿命情報となる(100万回は一例に過ぎない)。HDDの場合、通電時間=5万時間が寿命情報となる(5万時間は一例に過ぎない)。
【0084】
判断部33は、ログデータに含まれる書き込み回数や通電時間に基づいて、将来の書き込み回数や通電時間を予測する。
【0085】
図11は、フラッシュメモリへの将来の書き込み回数の予測方法を説明する図である。ログデータには、日時に対応付けて書き込み回数が記録されている。判断部33は現在までの経過日数と書き込み回数の関係を最小二乗法で直線又は曲線に近似する。これにより、経過日数に対し将来の書き込み回数を予測する関係式が得られる(
図11の点線部分)。判断部33は、関係式に既知の寿命情報を代入して、フラッシュメモリが寿命に達する日数(使用可能期限)を算出する。
【0086】
例えば、使用可能期限が現在から見て一定期間内(例えば5年)になると、判断部33は異常又は異常の可能性があると判断できる。この一定期間は部品に応じて予め定められている。
【0087】
図10に戻って説明する。分析した結果、異常又は異常の可能性がある場合(S103のYes)、特定部32は該当する部品と相関があるカウンタ情報をログデータから抽出する(S104)。
(i) まず、特定部32は、ログデータを参照し、フラッシュメモリへの書き込みが多く行われた一定期間があるかどうかを判断する。一定期間は、例えば、異常が検出された日、又は、異常が検出された日から遡った一定期間内(例えば、三日前まで等)である。一定期間の書き込み数が閾値以上の場合、特定部32は当該一定期間を特定する。
(ii) 次に、特定部32は、ログデータに含まれるカウンタ情報に基づいて、特定した一定期間に閾値以上増加したパラメータ(コピー枚数、プリント枚数、FAX送信・受信枚数、スキャン枚数、主電源ON回数、省エネ移行・復帰回数)を特定する。例えば、カウンタ情報としてプリント枚数がある。機器10が印刷を実行することにより、プリント枚数が増えるが、印刷の実行時にフラッシュメモリへの書き込みが発生するのであれば、特定した一定期間にプリント枚数も急増する。このように、同じ一定期間にフラッシュメモリへの書き込み回数とプリント枚数が増大している場合、フラッシュメモリへの書き込み回数とプリント枚数には相関関係があると判断できるので、フラッシュメモリへの書き込み回数が閾値以上増加した一定期間に閾値以上増加したプリント枚数を特定できる。
【0088】
次に、特定部32は、アプリ情報記憶部42を参照して、特定したパラメータに対応付けられているアプリケーションを特定する(S105)。特定部32は換言すると、カウンタ情報を増やすソフトウェアを特定する。すなわち、書き込み回数の増加量が閾値以上であった一定期間においてカウンタ情報の増加量が閾値以上のカウンタ情報を特定し、特定したカウンタ情報の種類に対応付けられているソフトウェアを、アプリ情報記憶部42を参照して特定する。これにより、異常又は異常の可能性の原因となったアプリケーションを特定することができる。
【0089】
次に、通知部34は、アプリ担当者情報記憶部43を参照して、このアプリケーションを担当するアプリ担当者に、異常に関する情報を記載したメールを送信する(S106)。
【0090】
図12は、アプリ担当者に送信されるメールの内容を示す。
送信日時301 :メールの送信日時である。
送信元302 :メールの送信元なので例えば「保守サーバ」である。
宛先303 :アプリケーションを担当するアプリ担当者の氏名である。
件名304 :メールの件名である。異常を知らせる旨が件名となる。
メッセージ305「プリントアプリに異常が検出されました。」
:アプリケーションの名称と異常が検出された旨が含まれる。
検出方法306 :上記A~Cの異常の検出方法である。
パラメータ307:異常の検出に使用されたパラメータである。
顧客ID308 :機器を使用するユーザ(顧客)の識別情報である。
MFP ID309 :MFPの識別情報である。
【0091】
メールを受信したメール担当者は、異常の内容を分析してアプリケーションの改善を行うことができる。
【0092】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の保守システム100は、異常又は異常の可能性があるフラッシュメモリなどの部品をログデータから特定し、部品に関係するパラメータをログデータから特定し、パラメータに対応づけられているアプリケーションを特定できる。したがって、機器の異常の原因として、異常に関係するアプリケーションを特定できる。
【0093】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0094】
例えば、本実施形態では複合機等の機器の異常の検出について説明したが、旋盤等の工作機械、産業機械などの異常を検出してもよい。
【0095】
また、本実施形態ではログデータが主にテキストデータであったが、機器の内部の音データ、又は、機器の内部が撮像された画像データをログデータとしてもよい。
【0096】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、保守サーバ30は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0097】
また、
図6などの構成例は、機器10、及び保守サーバ30の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、機器10、及び保守サーバ30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0098】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0099】
なお、ログデータ受信部31は受信手段の一例であり、特定部32は特定手段の一例であり、判断部33は判断手段の一例であり、通知部34は通知手段の一例である。
【符号の説明】
【0100】
10 機器
30 保守サーバ
31 ログデータ受信部
32 特定部
33 判断部
34 通知部
42 アプリ情報記憶部
100 保守システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】