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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240521BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240521BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03G21/00 500
B41J29/38 206
B65H7/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020141030
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036693
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】石垣 岳志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 満
(72)【発明者】
【氏名】野崎 旭
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-74610(JP,A)
【文献】特開2015-82090(JP,A)
【文献】特開2004-18126(JP,A)
【文献】特開2013-18561(JP,A)
【文献】特開2015-168059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
B65H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体に画像を形成する印刷ジョブを実行する画像形成装置であって、
前記媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に前記媒体を供給する給紙部と、
前記画像形成部から供給される前記媒体に対して後処理を行う後処理ユニットを備える後処理部と、
前記後処理ユニットにおける操作に起因する前記印刷ジョブの中断後、当該操作のなされた前記後処理ユニットである原因ユニットの復帰準備時間が経過した時に予め定めた供給位置まで前記媒体を供給する搬送制御部と、
前記搬送制御部が前記媒体を前記供給位置まで制御できるよう作像準備を行う印刷制御部と、を備え、
前記印刷制御部は、前記画像形成部に接続された前記給紙部の搬送路の長さに基づいて算出された印刷ジョブ再開時刻に前記作像準備を開始し、
前記供給位置は、前記後処理部の入口であること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記印刷ジョブ再開時刻は、さらに、前記原因ユニットまでの搬送路の長さに基づいて算出され、
前記供給位置は、前記原因ユニットの入口であること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置であって、
前記復帰準備時間は、当該原因ユニットから通知された情報に基づいて算出されること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部、前記給紙部および前記後処理部は、それぞれ、異常を検知した場合、異常信号を出力する異常検知センサを備え、
前記搬送制御部は、前記印刷制御部が前記印刷ジョブを再開後、前記復帰準備時間内に前記異常信号を受信した場合、前記媒体の搬送を停止させること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置であって、
前記搬送制御部は、前記異常信号を受信した際、前記画像形成部内に前記媒体がある場合、当該媒体を前記画像形成部の出口まで搬送すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置であって、
各後処理ユニットは、前記媒体の受け入れ不可の場合、不可信号を出力し、
前記搬送制御部は、前記画像形成部内の前記媒体を、さらに、前記不可信号を出力した前記後処理ユニットの入口直前まで搬送すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、後端部に不要になった前記媒体を収容するパージ部を備え、
前記搬送制御部は、前記異常信号を受信した際、前記画像形成部内に前記媒体がある場合、当該媒体を、前記パージ部まで搬送すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項記載の画像形成装置であって、
前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記媒体の搬送を停止させた場合、停止直後に前記画像形成部の立ち上げ処理を開始すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、トナーが転写された前記媒体を加熱して前記トナーを前記媒体に定着させる定着部をさらに備え、
前記立ち上げ処理には、前記定着部の加熱を含むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に前記媒体を供給する給紙部と、前記画像形成部から供給される前記媒体に対して後処理を行う後処理ユニットを備える後処理部と、を有する画像形成装置が備えるコンピュータを、
前記後処理ユニットにおける操作に起因する印刷ジョブの中断後、当該操作のなされた前記後処理ユニットである原因ユニットの復帰準備時間の経過時に予め定めた供給位置まで前記媒体を供給する搬送制御手段と、
前記搬送制御手段が前記媒体を前記供給位置まで制御できるよう作像準備を行う印刷制御手段と、として機能させ、
前記印刷制御手段は、前記画像形成部に接続された前記給紙部の搬送路の長さに基づいて算出された印刷ジョブ再開時刻に前記作像準備を開始し、
前記供給位置は、前記後処理部の入口である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機(MFP:Multi Function Peripheral/Printer)やインクジェットプリンタ等の画像形成装置には、所定の後処理を行う後処理装置が接続されている。後処理装置が実行する後処理として、印刷済みの他の用紙を表紙や合紙として挿入する処理、用紙に対して折り加工を行う処理、用紙に対しパンチ穴をあける処理、用紙をそろえて積み上げる処理、複数の用紙を纏めた後、ステープルでとめる処理、等がある。
【0003】
各後処理は、それぞれ、独立した後処理ユニットで実現される。ユーザは、画像形成ジョブ(印刷ジョブ)単位で、ジョブ内で実行する後処理の種類を指定することができる。後処理の種類が変更されると、変更前後に準備時間がかかる。この準備時間を短縮する技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の画像形成装置では、後処理装置による後処理の変更準備が完了するのを待たずに、次の印刷ジョブを開始し、後処理装置は、後処理の変更準備が完了すると直ちにその印刷ジョブの後処理を開始する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、後処理の復帰準備動作が完了するタイミングを見計らって用紙を供給する。しかし、画像形成装置では、印刷ジョブが中断することがある。特許文献1に開示の技術では、このような事情で中断した状態から印刷ジョブを再開する場合には用紙の供給タイミングを制御するような対応はできない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、印刷ジョブが中断した際のダウンタイムを短縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シート状の媒体に画像を形成する印刷ジョブを実行する画像形成装置であって、前記媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に前記媒体を供給する給紙部と、前記画像形成部から供給される前記媒体に対して後処理を行う後処理ユニットを備える後処理部と、前記後処理ユニットにおける操作に起因する前記印刷ジョブの中断後、当該操作のなされた前記後処理ユニットである原因ユニットの復帰準備時間が経過した時に予め定めた供給位置まで前記媒体を供給する搬送制御部と、前記搬送制御部が前記媒体を前記供給位置まで制御できるよう作像準備を行う印刷制御部と、を備え、前記印刷制御部は、前記画像形成部に接続された前記給紙部の搬送路の長さに基づいて算出された印刷ジョブ再開時刻に前記作像準備を開始し、前記供給位置は、前記後処理部の入口であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成ジョブが中断した際のダウンタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
図2】第一実施形態の画像形成装置のハードウェア構成図である。
図3】(a)は、第一実施形態のコントローラの機能ブロック図であり、(b)~(d)は、それぞれ、第一実施形態の、構成情報テーブル、搬送時間テーブル、復帰時間テーブルを説明するための説明図である。
図4】(a)および(b)は、第一実施形態のスタッカを説明するための説明図である。
図5】(a)は、第一実施形態の印刷ジョブ開始時刻を、(b)は、従来の印刷ジョブ開始時刻を、それぞれ説明するための説明図である。
図6】第一実施形態の印刷ジョブ再開時刻設定処理のフローチャートである。
図7】(a)は、第一実施形態の変形例の印刷ジョブ再開時刻設定処理のフローチャートであり、(b)は、同変形例の印刷ジョブ開始時刻を説明するための説明図である。
図8】(a)および(b)は、第一実施形態の他の変形例のスタッカ内のトレイの状態を説明するための説明図であり、(c)は、同変形例の印刷ジョブ再開時刻設定処理のフローチャートである。
図9】第二実施形態のコントローラの機能ブロック図である。
図10】第二実施形態の異常検出処理のフローチャートである。
図11】第二実施形態の変形例の画像形成部の構成を説明するための説明図である。
図12】(a)および(b)は、それぞれ、第二実施形態の変形例の印刷ジョブ停止処理内の用紙搬送制御処理のフローチャートである。
図13】第二実施形態の変形例の異常検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る後処理装置を備える画像形成装置と、プログラムとの実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0010】
<<第一実施形態>>
本発明の第一実施形態について説明する。上述のように、画像形成装置に接続される後処理装置では、多種多様な後処理が行われる。後処理ユニットの操作(ジャム解除やステープル交換、スタッカのトレイ脱着など)をするときには、それまで実行されていた印刷ジョブを一時的に中断させる。中断の理由が解消した後、すなわち、当該後処理ユニットの復帰準備が完了後、中断されていた印刷ジョブが再開される。従来は、後処理ユニットの復帰準備が完了した後に画像形成を開始させていたところ、本実施形態では、後処理ユニットの復帰準備が完了したタイミングで、画像形成を終えるよう、画像形成の再開タイミングを制御する。
【0011】
上記処理を実現する本実施形態の装置、制御処理について説明する。以下、本明細書では、後処理装置や給紙装置も含めて画像形成装置と呼ぶ。
【0012】
図1は、本実施形態の画像形成装置100の一例の概略構成図である。本実施形態では、画像形成装置100として、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral/Printer)を例に挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置100であればいずれにも適用することができる。
【0013】
本実施形態の画像形成装置100は、大容量給紙部400と、画像形成部300と、後処理部(後処理装置)200と、コントローラ910(図2、3参照)と、を備える。画像形成装置100を構成する各部は、例えば、通信ケーブルで接続される。
【0014】
[大容量給紙部]
大容量給紙部400は、画像形成部300にシート状の記録媒体を供給する。本実施形態に係る大容量給紙部400および画像形成部300を含むその他の構成において用いられる記録媒体は、搬送や積載または綴じ処理などが可能なシート状のものあればよい。以下、本実施形態では、記録媒体の一例として「用紙」を用いるが、紙に限定されるものではない。本図では、2つの大容量給紙ユニット410および420を備える場合を例示する。なお、大容量給紙ユニット410および420の間には、連結ユニット411が配置されている。連結ユニット411によって大容量給紙ユニット410ともう一つの大容量給紙ユニット420は接続される。なお、大容量給紙ユニットの数は問わない。
【0015】
[画像形成部]
画像形成部300は、大容量給紙部400から供給された用紙に画像を形成する。画像形成部300によって画像が形成された用紙は、後処理装置200に出力される。
【0016】
画像形成部300は、例えば、電子写真方式で画像形成を行う。電子写真方式の画像形成部300は、最初に、帯電器により一様に帯電された感光体ドラムに対し、レーザビーム等の光学的な画像データを照射して露光を行うことにより画像データに従った静電潜像を形成する。静電潜像を形成した後、静電潜像に対してトナーカートリッジから供給されたトナーを付着させる。トナーを付着させた感光体ドラムから用紙に対してトナーを転写した後、定着器によりトナーを用紙に定着させることにより、画像データに従った画像を用紙に形成する。なお、画像形成部300は、電子写真方式だけでなく、インクジェット方式など、種々の画像形成方式を採ることができる。
【0017】
本実施形態の画像形成部300は、例えば、給紙トレイ(バンク給紙部)と、パージ部と、感光体と、中間転写ベルトと、を備える。これらは、一般的な電子写真プロセスの一般的な機構と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0018】
図1に示されるように、画像形成部300で画像が形成された用紙は、点線で示される搬送経路を、矢印Aの方向に搬送される。すなわち、画像形成部300で画像が形成され排出された用紙は、後処理装置200に搬送され、後処理装置200の各後処理ユニットを通過し排出される。
【0019】
[後処理装置]
後処理装置200は、画像形成部300において画像が形成された用紙に対し、種々の後処理を施す。各後処理は、それぞれの後処理を行う後処理ユニットによって実現される。図1では、後処理ユニットとして、紙冷却ユニット240と、インサータ250と、折りユニット260と、リング製本ユニット270と、スタッカ280と、フィニッシャ290と、を備える場合を例示する。なお、各後処理ユニットは、必ずしも全て備えなくてもよい。また、以下、各後処理ユニットを区別する必要がない場合は、後処理ユニット201で代表する。
【0020】
なお、紙冷却ユニット240は、印刷された用紙を冷却する。また、インサータ250は、既に印刷済みの用紙を表紙や合紙として挿入する。折りユニット260は、用紙に対して折り加工を行う。リング製本ユニット270は、用紙にパンチ処理を施し、複数の用紙を纏めた束に対してリング製本処理を行う。スタッカ280は、印刷した用紙を揃えて大量に積み上げる。フィニッシャ290は、用紙にパンチ処理や、複数の用紙を纏めた束の状態にしてステープル処理を行う。
【0021】
各後処理ユニット201は、それぞれ、自装置の状態を検出する、1以上のセンサを備える。センサで検出した信号は、コントローラ910に送信される。取り付けられるセンサは、例えば、ジャム等の異常を検出した際に異常検出信号を出力する異常検出センサ、ドアの開閉に応じて開信号、閉信号をそれぞれ出力するドアセンサ等である。なお、各センサから出力されるセンサ信号は、センサが取り付けられた後処理ユニット201を特定する情報と、センサを特定する情報と、を含む。
【0022】
[コントローラ]
コントローラ910は、画像形成装置100全体の動作を制御する。例えば、画像が形成された原稿を光学的にスキャンする画像読取部によって得られた画像データに基づく印刷指示や、操作部から入力された印刷指示、または汎用のPC(Personal Computer)等から受信した画像データの印刷指示等に基づいて、画像形成指示を生成する。画像形成指示には少なくとも、画像形成部300が画像形成を実行するための情報である画像形成情報(印刷ジョブと呼ばれることもある。)と、後処理装置200が後処理を実行するための設定値が含まれる。
【0023】
また、本実施形態では、後処理装置200の操作に起因して印刷ジョブが中断した場合の、印刷ジョブの再開時刻の設定も行う。
【0024】
[ハードウェア構成]
ここで、本実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成を説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成図である。本図に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950と、を備える。
【0025】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0026】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置100の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0027】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902aと、プログラムやデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとを備える。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0028】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとを備える。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしてもよい。
【0029】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0030】
また、近距離通信回路920は、近距離通信I/F920aを備える。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0031】
さらに、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932を備える。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等を有する操作パネル部940bを備える。
【0032】
なお、画像形成装置100は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0033】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続される。
【0034】
コントローラ910は、画像形成装置100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0035】
また、本実施形態では、コントローラ910は、さらに、後処理装置200からの各種の信号を受け、後処理装置200へ制御信号を出力することにより、後処理装置200の動作を制御する。
【0036】
[機能ブロック]
図3は、本実施形態のコントローラ910の、本実施形態の処理に係る機能の機能ブロック図である。
【0037】
本実施形態のコントローラ910は、印刷制御部(印刷制御手段)961と、搬送制御部(搬送制御手段)962と、監視部963と、必要時間算出部964と、再開時刻設定部965と、を備える。これらの各部は、プログラムとして、ROM902aに登録される。そして、CPU901がRAM902bに展開して実行することにより実現される。
【0038】
また、ROM902aには、これらの各部を実現するために必要なデータが登録される。本実施形態では、例えば、構成情報テーブル971と、搬送時間テーブル972と、復帰時間テーブル973と、が登録される。なお、構成情報テーブル971に含まれる情報と同等の情報は、画像形成装置100を起動させたときに、画像形成装置100において通信可能に接続されている後処理装置200のそれぞれから、情報を取得してRAM902bに記憶させるようにしてもよい。すなわち、後述する制御処理において用いられる画像形成装置100の構成に係る情報は、予めコントローラ910に設定されていてもよいし、画像形成装置100の動作時に連結されている各装置から取得されるものでもよい。
【0039】
印刷制御部961は、ユーザによる印刷指示を受け付けると、画像形成部300の各部を動作させ、画像形成ジョブ(印刷ジョブ)を実行する。また、印刷ジョブが中断した場合、再開時刻設定部965が設定した印刷ジョブの再開時刻から、印刷ジョブを再開する。なお、本実施形態では、印刷ジョブの中断は、後処理装置200の操作に起因するものとする。ここで、後処理装置200の操作とは、例えば、用紙が搬送路に詰まる「ジャム」からの復帰のための操作や、綴じ処理に用いられる綴じ部材(綴じ針など)の補充または交換のための操作、積載トレイの交換を含むトレイの脱着のための操作など、印刷ジョブを中断しないと行えない操作をいう。
【0040】
搬送制御部962は、画像形成装置100内の用紙の搬送を制御する。本実施形態では、用紙の位置、搬送速度を監視し、用紙の搬送を制御する。また、印刷ジョブが中断した際、必要時間算出部964が算出した再開時刻に、予め定めた用紙供給位置まで用紙を搬送(供給)する。
【0041】
監視部963は、画像形成装置100を構成する各部が備えるセンサからの信号を受信し、画像形成装置100の構成、各部の状態、各部の動作状況等を監視する。本実施形態では、例えば、各センサからの信号に応じて、構成情報テーブル971に格納される構成情報を更新する。例えば、特定の後処理ユニット201のセンサから、当該後処理ユニット201が受け入れ不可であることを示す受入不可信号を受信すると、構成情報テーブル971の当該後処理ユニット201のデータを受入不可状態に更新する。監視部963の処理の詳細は、後述する各部の説明において行う。
【0042】
必要時間算出部964は、印刷ジョブが中断した場合、印刷ジョブ再開までに必要な時間を、復帰準備時間および印刷搬送時間として算出する。本実施形態では、接続されている装置の構成、後処理ユニット201が備える各種のセンサからのセンサ信号に応じて、必要な時間を算出する。算出の詳細は、後述する。
【0043】
再開時刻設定部965は、必要時間算出部964が算出した復帰準備時間および印刷搬送時間を用いて、印刷ジョブの再開時刻を算出し、設定する。なお、印刷制御部961および搬送制御部962は、再開時刻設定部965が設定した再開時刻に基づいて、制御を行う。設定の詳細は、後述する。
【0044】
構成情報テーブル971には、画像形成装置100を構成する各部の情報が登録される。例えば、図3(b)に示すように、画像形成部300に接続された、大容量給紙部400および各後処理ユニット201を特定する情報(ID)と、接続順、接続状態、および、画像形成部300も含む個々の装置の状態が登録される。
【0045】
本実施形態では、システムの起動時、コントローラ910は、どのような装置が、どのような順番で接続されているかを検知し、構成情報テーブル971として保持する。その後、上述のように監視部963が、各部のセンサからの信号を受信する毎に、送信元の装置の状態情報、動作情報等を更新する。
【0046】
なお、各装置に取り付けられたセンサに応じて、装置毎に、種々の情報が登録される。例えば、後述するように、スタッカ280の場合、ドアの開閉状態、トレイの位置等も登録される。
【0047】
搬送時間テーブル972には、図3(c)に示すように、画像形成装置100を構成する各装置内の、各部を用紙が通過する際に要する搬送時間が登録される。本情報は、予め設定される。本実施形態では、例えば、各大容量給紙ユニット410、420から画像形成部300の書き込み開始可能位置まで用紙を搬送する時間(300a)、書き込み開始可能位置から画像形成部300の出口まで搬送する時間(300b)、各後処理ユニット201内を用紙が通過する際に要する時間等が格納される。
【0048】
復帰時間テーブル973には、図3(d)に示すように、印刷中断時に各部を復帰させる際に要する時間が登録される。本実施形態では、例えば、画像形成部300での作像準備時間、スタッカ280での給紙トレイが、下限位置から上限位置まで上昇する上昇時間、各部において、ドアを閉じてから受け入れ可能になるまでの時間、等である。
【0049】
[必要時間算出処理]
ここで、必要時間算出部964による、印刷ジョブ再開までに必要な時間の算出処理について説明する。ここでは、中断の要因を、スタッカ280が満杯になったことによる用紙の取り出しとする。印刷ジョブが中断した場合、印刷ジョブを再開するまでには、後処理装置200内での準備に係る時間(復帰準備時間Ts)と、画像形成部300における印刷準備時間と、大容量給紙部400と画像形成部300とにおける用紙搬送時間と、が必要である。以下、印刷準備時間と用紙搬送時間とを併せて、印刷搬送時間Tpと呼ぶ。
【0050】
まず、スタッカ280が満杯になった場合の、スタッカ280の各部の動作を説明する。画像形成装置100では、スタッカ280が満杯になると、印刷ジョブを一時的に中断し、スタッカ280から用紙を取り出し、その後、再開する。
【0051】
スタッカ280は、図4(a)に示すように、昇降可能なトレイ281と、トレイ281を搭載する台車282と、ドア283と、トレイ281を昇降させるスイッチ284と、トレイ位置センサ286と、台車センサ287と、ドアセンサ288と、ジャム検知センサ289と、を備える。
【0052】
トレイ281は、積載用紙が無い状態では上限位置(最も高い位置)で待機する。供給された用紙は、トレイ281において、常に上に積み上げられる。すなわち、トレイ281は、待機位置に配置された状態で、用紙を受け取ると、用紙が積載されていくにつれ、少しずつ下降する。そして、トレイ281の下限位置(最も低い位置)まで下降すると、満杯として、スタッカ280は、受け入れを停止する。これに伴い、印刷ジョブも中断される。
【0053】
トレイ281は、キャスタを有する台車282と組み合わせて、図4(b)に示すように、カート285のような状態となる。トレイ281に積載された用紙を取り出す場合は、ユーザは、スタッカ280のドア283を開けて、トレイ281に積載された状態の用紙を、そのまま台車282上に載せて、運び出す。
【0054】
トレイ281に積載された用紙が取り除かれたら、続きの印刷ジョブを行う為に、ユーザは、台車282とトレイ281(カート)をスタッカ280に戻し、ドア283を閉じる。
【0055】
なお、トレイ281が満杯でない状態で積載された用紙を取り出すことも可能である。この場合は、ユーザは、スイッチ284を押すことにより、トレイ281を最も下まで下降させる。そして、上記同様に用紙を運び出す。なお、トレイ281が満杯でない状態でトレイ281に積載された用紙を取り出す場合、トレイ281を下降させず、その位置にとどめ、積載された用紙を取り出してもよい。
【0056】
上記各動作は、各センサがスタッカ280の各部の状態を検出し、センサ信号として監視部963に送信し、コントローラ910からの指示により実現される。監視部963では、センサ信号を受信し、構成情報テーブル971に格納するとともに、各種の判断を行う。
【0057】
トレイ位置センサ286は、トレイ281の位置を検出し、センサ信号として、監視部963に出力する。監視部963は、トレイ位置センサ286からの信号を受信する毎に、最新の値を構成情報テーブル971に保持する。これにより、トレイ281が動作を停止した際、構成情報テーブル971を参照することにより、その位置情報を得ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、例えば、監視部963は、トレイ位置センサ286からのセンサ信号により、トレイ281が下限位置に到達したことを検出すると、印刷制御部961に印刷を停止するよう指示する印刷停止信号を出力するとともに、搬送制御部962に、用紙の搬送を停止する搬送停止信号を出力する。さらに、このとき、監視部963は、トレイ位置センサ286からトレイ281が上限位置に達したことを意味する信号を受信するまで、スタッカ280の状態は、受け入れ不可であると判断し、構成情報テーブル971にその旨、登録する。
【0059】
台車センサ287は、台車282が所定位置に配置されたことを検出し、センサ信号を出力する。
【0060】
ドアセンサ288は、スタッカ280のドア283が閉められると、ドア283が閉められたことを意味するセンサ信号(ドア閉信号)を出力する。監視部963は、ドア閉信号を受信すると、トレイ281を用紙の受け入れ可能な上限位置まで上昇させる。例えば、例えば、トレイ281を駆動させるモータに上昇指示を出力する。
【0061】
ジャム検知センサ289は、異常検知センサの1種であり、ジャムの発生を検出した場合、ジャム検出信号を出力する。例えば、トレイ281を上限位置まで上昇させる際に、取り忘れ用紙等がある場合も、ジャム検出信号を出力する。監視部963は、ジャム検出信号を受信すると、構成情報テーブル971において、送信元の後処理ユニット201を受け入れ不可とするとともに、印刷ジョブおよび用紙搬送を停止させる。
【0062】
なお、監視部963は、スイッチ284からユーザによる押下を受け付けたことを意味する信号を受信すると、トレイ281を下限位置まで下降させる指示を出力する。例えば、トレイ281を駆動させるモータに下降指示を出力し、印刷ジョブおよび用紙搬送を停止させる。なお、このとき、監視部963は、トレイ281を下限位置まで下降させなくてもよい。
【0063】
なお、スタッカ280がコントローラを備え、このコントローラにおいて、トレイ281の位置やドア283の開閉等を判別し、スタッカ280の制御を行うよう構成してもよい。
【0064】
このように、スタッカ280から用紙を取り出す際、印刷ジョブは、中断される。このとき、上述のように、ドア283が閉じられたことを検出してから、トレイ281が上限位置まで上昇する時間が必要となる。これが、後処理装置200内での準備に係る時間(復帰準備時間Ts)である。
【0065】
次に、印刷搬送時間Tpを説明する。
【0066】
印刷搬送時間Tpのうち、画像形成部300における印刷準備時間は、画像形成部300での作像準備時間Taである。
【0067】
印刷搬送時間Tpのうち、用紙搬送時間は、用紙を給紙トレイから予め定めた供給位置まで搬送する時間である。本実施形態では、予め定めた供給位置を、後処理装置200の入口とする。まず、本実施形態の画像形成装置100における用紙の搬送路について、図1を用いて説明する。
【0068】
本図において、P1は、給紙トレイ331から給紙する場合の、用紙搬送のスタート位置である。なお、給紙元は、他の給紙トレイであってもよいが、ここでは、仮に給紙トレイ331とする。また、P2は、用紙の搬送を開始した後、感光体への露光、つまり画像形成を開始してもよい用紙到達位置(画像形成開始位置)である。また、P3は、画像形成部300の用紙搬送出口である。なお、図1において、P4は、スタッカ280の入口である。
【0069】
画像形成部300では、給紙トレイ331から用紙を給紙し、用紙がP2に到達したタイミングで露光を開始し、トナー像を用紙に転写することによって、用紙への画像形成が実現される。そして、P3から用紙は、後処理装置200へ排出される。その後、後処理装置200内で、用紙は、P3からP4まで搬送される。
【0070】
このように、画像形成部300では、用紙の搬送時間として、給紙トレイ331の出口(給紙トレイ出口)P1から書込み開始可能位置P2まで用紙を搬送する第一搬送時間Tfと、書込み開始してから画像形成部300の出口P3まで用紙を搬送する第二搬送時間Twとの時間を要する。
【0071】
したがって、印刷搬送時間Tpのうち、用紙搬送時間は、第一搬送時間Tfと第二搬送時間Twとの合計である。そして、これに、作像準備時間Taを加えた、Tf+Tw+Taが、印刷搬送時間Tpである。
【0072】
本実施形態の必要時間算出部964は、復帰時間テーブル973から、復帰準備時間Tsと作像準備時間Taとを取得し、また、搬送時間テーブル972から、第一搬送時間Tfと、第二搬送時間Twと、を取得する。そして、これらを用いて、復帰準備時間Tsと、印刷搬送時間Tpとを算出する。
【0073】
なお、他の給紙トレイを用いる場合、また、大容量給紙部400の給紙トレイを用いる場合、第一搬送時間Tfは、それぞれ、搬送時間テーブル972から、各給紙トレイから書込み開始可能位置P2までの距離を取得し、算出に用いる。
【0074】
[再開時刻設定処理]
次に、再開時刻設定部965による再開時刻設定処理を説明する。本実施形態では、再開時刻設定部965は、ドアセンサ288からのドア閉信号の受信時刻と、必要時間算出部964が算出した復帰準備時間Tsと、印刷搬送時間Tpとを用いて、印刷ジョブを再開する、再開時刻を算出し、設定する。なお、再開時刻は、作像準備を開始する時刻である。
【0075】
具体的には、図5(a)に示すように、本実施形態では、復帰準備時間Tsが経過した時に予め定めた供給位置(後処理装置200の入口)まで用紙が供給されるよう、再開時刻を算出する。具体的には、復帰準備時間Tsの終了時刻と、印刷搬送時間Tpにより定まる、後処理装置200の入口に用紙が搬送される時刻とが、同じになるよう、印刷ジョブ再開時刻を算出する。ドア閉時刻をT0とすると、印刷ジョブ再開時刻は、T0+(Ts-Tp)で算出される。
【0076】
同様の要因で印刷ジョブが中断した場合の、従来の画像形成装置100での、印刷ジョブ再開時刻に関する説明を図5(b)に示す。このように、従来は、後処理装置200内での準備動作時間(Ts)が完全に完了してから、すなわち、後処理装置200が正常に動作できる状態に至るのを待ってから、その後に印刷ジョブを再開している。このため、再開後の印刷ジョブにおいて用紙がスタッカ280から排出されるまでにかかる時間は、図5(b)に示すようにTs+Ta+Tf+Tw+Teであった。
【0077】
一方、本実施形態では、後処理装置200の準備動作の完了を待たずに、中断されていた印刷ジョブを再開する。すなわち、図5(a)に示すように、復帰準備時間Tsが経過する時に、用紙が、ちょうど画像形成部300の出口P3に到達するように、印刷ジョブの再開のタイミングを制御する。すなわち、本実施形態では、中断の原因となった後処理装置200において、原因が除去されて再動作可能な状態に至る「時」(タイミング)に合うように、再開後の印刷ジョブによって当該後処理装置200に搬送されてくる用紙が到達するタイミングを考慮して印刷を開始する。これにより、本実施形態によれば、用紙排出するまでにかかる時間を短縮することができる。
【0078】
[印刷ジョブ再開時間設定処理]
以下、必要時間算出部964および再開時刻設定部965による本実施形態の印刷ジョブ再開時間設定処理の流れを説明する。図6は、本実施形態の印刷ジョブ再開時間設定処理の処理フローである。本処理は、印刷ジョブが、後処理ユニット201の操作に起因して中断したことを契機に開始される。例えば、監視部963が、スタッカ280のトレイ位置センサ286から、トレイ281の位置が下限位置に到達したことを示す信号を受信した場合、または、ドアセンサ288からドア283を閉じたことを示す閉信号を受信した場合、等を契機に開始される。
【0079】
必要時間算出部964は、印刷搬送時間Tpを算出する(ステップS1110)。
【0080】
ステップS1110の印刷搬送時間Tp算出処理では、まず、必要時間算出部964は、搬送時間テーブル972から、第一搬送時間Tfを取得する(ステップS1111)。
【0081】
なお、第一搬送時間Tfは、給紙トレイ出口P1から書込み開始可能位置P2までの、用紙搬送速度V1(mm/s)と、搬送経路長をL1(mm)とを用いて、以下の式(1)に従って算出してもよい。
Tf=L1×1000/V1 ・・・(1)
この場合、用紙搬送速度V1(mm/s)と、搬送経路長をL1(mm)とは、画像形成装置100の各部のスペックとして、例えば、構成情報テーブル971に、予め記憶しておく。
【0082】
また、必要時間算出部964は、搬送時間テーブル972から第二搬送時間Twを取得する(ステップS1112)。第二搬送時間Twも、書込み開始可能位置P2から画像形成部300の出口P3までの用紙搬送速度と搬送経路長とから算出してもよい。
【0083】
また、必要時間算出部964は、復帰時間テーブル973から作像準備時間Taを取得する(ステップS1113)。なお、第一搬送時間Tfと、第二搬送時間Twと、作像準備時間Taとの取得順序は問わない。
【0084】
第一搬送時間Tfと、第二搬送時間Twと、作像準備時間Taとを取得したら、必要時間算出部964は、これらを合計し、印刷搬送時間Tpを算出する(ステップS1114)。すなわち、Tp=Tf+Tw+Taを計算する。
【0085】
必要時間算出部964は、復帰準備時間Tsを算出する(ステップS1120)。ここでは、スタッカ280のトレイ上昇時間を復帰時間テーブル973から取得し、それを、復帰準備時間とする。なお、復帰準備時間Tsの算出と、印刷搬送時間Tpの算出との算出順序は問わない。
【0086】
再開時刻設定部965は、復帰準備時間Tsと、印刷搬送時間Tpと、ドア283からの閉信号受信時刻T0と、から、印刷ジョブ再開時刻を算出し、設定する(ステップS1130)。印刷制御部961および搬送制御部962は、設定された印刷ジョブ再開時刻に基づいて制御を行う。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、後処理ユニット201における操作に起因する印刷ジョブの中断後、当該操作のなされた後処理ユニット201である原因ユニットの復帰準備時間Tsが経過した時に予め定めた供給位置まで用紙を搬送する搬送制御部962と、搬送制御部962が用紙をその供給位置まで制御できるよう作像準備を行う印刷制御部961と、を備え、印刷制御部961は、画像形成部300に接続された給紙部の搬送路の長さに基づいて算出された印刷ジョブ再開時刻に作像準備を開始し、供給位置は、後処理装置200の入口とする。
【0088】
このように、本実施形態によれば、後処理ユニット201の操作に起因して印刷ジョブが中断した場合、原因となる後処理ユニット201(原因ユニット)の印刷再開の準備(復帰準備)が完了するタイミングに合わせ、用紙が画像形成部300の出口、すなわち、後処理装置200の入口に到達するよう印刷ジョブを再開する。また、その印刷ジョブを再開する時刻の算出において、使用する給紙トレイからの搬送時間を考慮する。
【0089】
このため、本実施形態によれば、画像形成装置100が複数の給紙トレイを持つ構成において、どの給紙トレイから給紙される場合であっても、用紙が丁度画像形成部300の出口P3へ到達できるようなタイミングで印刷ジョブを再開するよう制御する。これにより、後処理ユニット201の操作に起因して印刷ジョブが中断した場合、印刷済みの用紙を後処理装置200に排出するまでにかかる時間を短縮することができる。これにより、印刷ジョブのダウンタイムを短縮することができ、それに伴い、全印刷ジョブに係る時間を短縮することができ、印刷の効率を向上させることができる。
【0090】
<変形例1>
なお、上記実施形態では、後処理ユニット201の復帰準備が完了するタイミングで画像形成部300の出口、すなわち、後処理装置200に、用紙が到達するよう、印刷ジョブの再開時間を設定しているが、これに限定されない。
【0091】
後処理装置200として接続される各後処理ユニット201のうち、受け入れ可能な後処理ユニット201の最下流の後処理ユニット201の出口まで用紙が到達するよう印刷ジョブの再開時間を設定してもよい。
【0092】
例えば、上記実施形態の順で後処理ユニット201が接続され、スタッカ280以外は、受け入れ可能な場合を例に説明する。すなわち、最下流の受け入れ可能な後処理ユニット201は、リング製本ユニット270である。リング製本ユニット270の出口、スタッカ280の入口をP4とする。
【0093】
必要時間算出部964は、さらに、画像形成部300の出口P3からスタッカ280の入口P4(図1参照)まで用紙を搬送する第三搬送時間Teを算出する。なお、第三搬送時間Teは、画像形成部300に接続される後処理ユニット201の種類、数により異なる。後処理ユニット201の種類および数の情報は、構成情報テーブル971から取得する。本実施形態では、画像形成部300の直後からスタッカ280までの間に接続される後処理ユニット201として、紙冷却ユニット240、インサータ250、折りユニット260、およびリング製本ユニット270を取得する。
【0094】
必要時間算出部964は、さらに、取得した各後処理ユニット201のそれぞれについて、搬送時間テーブル972から、搬送時間を取得し、それらを合計することにより、第三搬送時間Teを算出する。なお、第三搬送時間Teも、後処理装置200内での用紙搬送速度と、各後処理ユニット201の搬送経路長とを用いて、第一搬送時間Tfと同様に式(1)を用いて算出してもよい。
【0095】
本変形例の、再開時間算出処理の流れを、図7(a)に示す。本変形例の再開時間算出処理は、基本的に上記実施形態と同様である。ただし、印刷搬送時間Tpを算出するステップS1110内の処理のみが異なる。
【0096】
ステップS1110内で、必要時間算出部964は、さらに、第三搬送時間Teを算出する(ステップS1115)。第三搬送時間Teの算出は、ステップS1114の印刷搬送時間Tpの算出より前であれば、いつでもよい。
【0097】
そして、必要時間算出部964は、印刷搬送時間Tpを算出する(ステップS1114)。本変形例では、印刷搬送時間Tpとして、上記実施形態に、さらに、第三搬送時間Teを加える。すなわち、Tp=Tf+Tw+Ta+Teを算出する。
【0098】
以降の処理は、上記実施形態と同様である。
【0099】
この場合の、印刷ジョブ開始時間は、図7(b)に示すように、さらに第三搬送時間Te分、遡った時刻となる。
【0100】
本変形例によれば、後処理ユニット201の操作に起因して印刷ジョブが中断した場合、復帰準備が完了するタイミングに合わせ、その後処理ユニット201の入口に用紙が到達するように印刷ジョブを再開する。その際、接続される後処理ユニット201の構成に応じて、開始時刻を算出する。
【0101】
このため、本変形例によれば、画像形成装置100に複数の後処理ユニット201が接続される構成において、後処理ユニット201の接続構成に関わらず、印刷済みの用紙を画像形成装置100から排出するまでにかかる時間を短縮することができる。これにより、印刷ジョブのダウンタイム、および、全印刷ジョブに係る時間を短縮することができ、印刷の効率を向上させることができる。
【0102】
なお、上記変形例の説明では、印刷ジョブを中断させる要因の後処理ユニット201と、受け入れ不可の最上流の後処理ユニット201と、が同じ後処理ユニット201(具体的には、スタッカ280)である場合を例にあげて説明したが、これに限定されない。
【0103】
例えば、受け入れ不可の最上流の後処理ユニット201は、要因の後処理ユニット201よりも上流の後処理ユニット201であってもよい。この場合、第三搬送時間Teは、受け入れ不可の最上流の後処理ユニット201の入口まで用紙を搬送する時間として算出する。
【0104】
なお、いずれの後処理ユニット201が受け入れ不可であるか否かは、構成情報テーブル971を参照して判別される。
【0105】
<変形例2>
なお、上記実施形態では、図8(a)に示すように、スタッカ280が満杯になった場合に用紙を取り出すために、印刷ジョブが中断する。しかしながら、図8(b)に示すように、スタッカ280が満杯でない状態でトレイ281を途中で停止させて用紙を取り出すこともある。この場合、例えば、ユーザは、スイッチ284を押下する、または、ドア283を開く等の操作により、スタッカ280の動作を中断させる。以下、本変形例では、スイッチ284の押下により、動作を中断させるものとする。
【0106】
トレイ281が下限位置にある場合は、復帰準備時間Tsは、トレイ281が下限位置から上限位置まで上昇する時間であるため、固定値であり、予め復帰時間テーブル973として保持されているデータを用いることができる。しかしながら、トレイ281が途中位置で停止している場合は、復帰準備時間Ts’は、当該位置から上限位置まで上昇する時間である。したがって、必要時間算出部964は、復帰準備時間Ts’として、この、停止位置から上限位置までの上昇時間を算出する。
【0107】
なお、本実施形態では、構成情報テーブル971には、トレイ281の高さに応じて、上限位置まで上昇するのに要する時間(上昇時間)を記憶しておく。
【0108】
必要時間算出部964は、スイッチ284の押下信号が押下されたことを、監視部963から通知されると、構成情報テーブル971から、その時点のトレイ281の高さを取得する。また、構成情報テーブル971から、取得したトレイ281の高さに対応付けられた上昇時間を取得し、それを、復帰準備時間Ts’とする。なお、取得したトレイ281の高さに該当する高さに対応する上昇時間が構成情報テーブル971に登録されていない場合、近傍の高さに対応付けられた上昇時間から内挿等により復帰準備時間Ts’を算出する。
【0109】
なお、構成情報テーブル971に、トレイ281の高さ毎の上昇速度情報(速度カーブ)を記憶し、必要時間算出部964は、それを用いて、上昇時間(復帰準備時間Ts’)を算出してもよい。
【0110】
本変形例の印刷ジョブ再開時間設定処理の処理フローを、図8(c)に示す。本図に示すように、基本的に上記実施形態と同様である。すなわち、必要時間算出部964は、まず、印刷搬送時間Tpを算出する(ステップS1110)。印刷搬送時間Tpは、上記実施形態のように、後処理装置200の入口まで搬送される時間であってもよいし、変形例1のように、受け入れ不可の後処理ユニット201の入口まで搬送される時間であってもよい。
【0111】
その後、必要時間算出部964は、本変形例では、復帰準備時間Ts’として、上述の手法で、上昇時間を算出する(ステップS1121)。
【0112】
そして、必要時間算出部964は、印刷搬送時間Tpと復帰準備時間Ts’とを用いて、印刷ジョブ再開時刻を算出し、設定する(ステップS1130)。
【0113】
なお、印刷ジョブの停止は、画像形成部300が備える操作パネルの停止ボタンの押下により指示されてもよい。また、印刷ジョブの再開は、操作パネルの印刷開始ボタンの押下により指示されてもよい。
【0114】
本変形例によれば、スタッカ280のトレイ281が停止した位置(高さ)に関わらず、上記実施形態および変形例と同様の効果を得ることができる。
【0115】
なお、上記変形例では、スタッカ280のトレイ281を途中で停止させた場合を例にあげて説明したが、本変形例においても、印刷ジョブを中断させる要因となる操作がなされる後処理ユニット201は、スタッカ280に限定されない。要因となる操作がなされた後処理ユニット201から通知されたセンサ信号に基づいて、復帰準備時間を算出できれば、いずれの後処理ユニット201であってもよい。
【0116】
<<第二実施形態>>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。本実施形態では、さらに、復帰準備時間中の、異常発生についても対応する。例えば、トレイ281内に取り忘れた用紙等があった場合等である。本実施形態では、このような場合に、印刷ジョブ停止処理を行い、新たな異常の発生を回避する。
【0117】
以下、本実施形態においても、第一実施形態同様、後処理ユニット201のうち、スタッカ280の操作に起因して印刷ジョブが中断した場合を例にあげて説明する。
【0118】
本実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成は、第一実施形態と同様である。また、本実施形態の画像形成装置100のコントローラ910は、基本的に第一実施形態と同様であるが、図9に示すように、さらに、異常検出部966をさらに備える。
【0119】
異常検出部966は、復帰準備時間TsまたはTs’(以下、Tsで代表する。)が算出されると、Tsが経過するまで、後処理ユニット201の監視を行い、異常が検出された場合、印刷ジョブ停止処理を行う。
【0120】
本実施形態では、異常の検出は、監視部963による構成情報テーブル971の更新を監視することにより行う。すなわち、監視部963が、例えば、ジャム検知信号を受信すると、構成情報テーブル971の、当該信号の送信元の装置の状態を、異常を示す情報に変更する。異常検出部966は、構成情報テーブル971の状態が異常を示す情報に変更されると、異常発生と判別する。なお、異常検出部966が、直接センサ信号を受信するよう構成してもよい。
【0121】
また、印刷ジョブ停止処理では、異常検出部966は、印刷制御部961に向けて、印刷ジョブを停止させる印刷停止信号を出力するとともに、搬送制御部962に搬送停止信号を出力する。
【0122】
印刷制御部961は、印刷停止信号を受信すると、印刷ジョブを中断させる。また、搬送制御部962は、搬送停止信号を受信すると、用紙の搬送を停止させる。
【0123】
なお、異常は、ジャムの検出に限定されない。また、異常の発生は、スタッカ280に限定されない。他の装置内であってもよい。
【0124】
[異常検出処理]
異常検出部966による異常検出処理の流れを説明する。図10は、異常検出処理の処理フローである。本処理は、復帰準備時間Tsが算出されたことを契機に開始される。
【0125】
まず、異常検出部966は、復帰準備時間Tsを、監視期間Tmに設定する(ステップS2101)。
【0126】
その後、所定の時間間隔毎に、異常検出部966は、監視期間Tmを経過したか否かを判別する(ステップS2102)。そして、経過している場合は、そのまま処理を終了する。
【0127】
一方、経過していない場合は、異常検出部966は、異常が発生したか否かを判別する(ステップS2103)。ここでは、コントローラ910がいずれかの後処理ユニット201から異常信号を受信した場合、異常が発生したと判断する。なお、異常信号を受信していない場合は、ステップS2102へ戻る。
【0128】
異常検出部966は、異常が発生したと判断した場合、印刷ジョブ停止処理を行い(ステップS2104)、処理を終了する。
【0129】
なお、このようにして印刷ジョブを中断させ、ユーザが回復処理を行った後、また、上記第一実施形態の手法で、コントローラ910は、印刷ジョブ再開時刻を設定してもよい。
【0130】
例えば、異常が、スタッカ280内のジャムである場合、ユーザは、スタッカ280内の残紙を取り除き、当該後処理ユニット201の前ドアを閉じる。コントローラ910は、スタッカ280からドア閉信号を受信すると、第一実施形態の印刷ジョブ再開時間設定処理を行う。
【0131】
さらに、この、再度の印刷ジョブ再開時間設定処理中の復帰準備動作中も、同様に監視を行う。例えば、ユーザが後処理ユニット201内の残紙を取り除き、当該後処理ユニット201のドアを閉じたところで、当該後処理ユニット201の復帰準備動作が行われる。この動作の中で搬送モータ等を駆動することで、これまで検知できなかった残紙が新たに検知される可能性がある。その場合、再度、印刷ジョブを中断させる。
【0132】
このように、本実施形態によれば、後処理装置200の準備動作完了までの間に、異常を検知した場合、用紙搬送を止めることができる。このため、用紙を受け入れることができない状態の後処理ユニット201に用紙が搬送されることがなく、当該後処理ユニット201での新たな搬送ジャムの発生等、異常の発生を防ぐことができる。
【0133】
<変形例3>
なお、上記実施形態では、異常発生時の印刷ジョブ停止処理において、用紙は、その時点で搬送を停止させるが、これに限定されない。
【0134】
例えば、用紙が、画像形成部300内にある場合、画像形成部300の出口まで搬送してから用紙の搬送を停止するよう構成してもよい。
【0135】
また、用紙が画像形成部300内にある場合、出口に限らず、画像形成部300内の、所定位置まで搬送後、停止させるようにしてもよい。所定位置は、例えば、用紙が再利用可能な状態となる位置である。
【0136】
画像形成部300の概略構成を、図11に示す。本図に示すように、画像形成部300内では、転写ベルト335に接する位置(PA16)から、定着部336を抜けるまでの用紙には、定着していないトナーが付着したままである。このため、この状態で、用紙を取り出したとしても、再利用できない。このため、定着部336を抜けた位置PA17まで搬送することによって、定着済みの用紙となり再利用可能となる。したがって、印刷ジョブ停止処理時に定着部336より上流に用紙がある場合、PA17まで搬送させてから、用紙を停止させる。
【0137】
この場合の、印刷ジョブ停止処理において、搬送停止信号を受信した搬送制御部962による用紙搬送制御処理の流れを、図12(a)に示す。
【0138】
搬送制御部962は、搬送停止信号を受信時に、画像形成部300内に用紙があるか否かを判別する(ステップS2201)。なければ、そのまま用紙の搬送を停止し(ステップS2204)、処理を終了する。
【0139】
一方、画像形成部300内にある場合、その位置を特定する。そして、定着部336より手前(上流)にあるか否かを判別する(ステップS2202)。定着部336より下流にある場合は、そのままステップS2204へ移行し、処理を終了する。
【0140】
定着部336より上流にある場合は、定着部336まで用紙を搬送し(ステップS2203)、ステップS2204へ移行し、処理を終了する。
【0141】
このように、本変形例によれば、用紙を画像形成部300の出口まで搬送後、用紙搬送を停止する。これにより、画像形成部300内で、トナー定着前の状態で用紙が停止することを回避できる。すなわち、必ず、トナー定着後の状態で、用紙を停止させることができるため、当該用紙は、再利用可能となる。これにより、搬送停止による無駄を低減することができる。
【0142】
<変形例4>
なお、用紙の搬送先は、定着部336以降の位置PA17に限定されない。例えば、画像形成部300が備えるパージ部339(図11参照)まで搬送してもよい。パージ部339は、画像形成部300内での画像形成処理時に不要になった用紙を収容する構成である。パージ部339は画像形成部300の後端部にあり、ジャム時や白紙排出時に画像形成部300から後処理装置200に送ることなく画像形成部300内に用紙を溜めることのできる装置である。
【0143】
これにより、先の変形例同様、用紙は、トナー定着済みとなり、再利用可能となる。
【0144】
<変形例5>
また、印刷ジョブ停止処理において、搬送停止信号を受信した搬送制御部962は、用紙を、受け入れ不可の後処理ユニット201の入口まで搬送してもよい。
【0145】
例えば、スタッカ280でジャムが検知され、他の後処理ユニット201では異常が検知されていない場合、搬送制御部962は、スタッカ280の手前、すなわち、リング製本ユニット270の出口まで用紙を搬送し、そこで停止させるよう制御する。
【0146】
また、スタッカ280に起因して中断した印刷ジョブの復帰準備動作中に、他の後処理ユニット201でジャムが検知されることがある。このような場合は、ジャムが検知された後処理ユニット201が受け入れ不可の後処理ユニット201である。また、複数の後処理ユニット201が受け入れ不可の状態となることもある。
【0147】
したがって、搬送制御部962は、搬送停止信号を受信した場合、構成情報テーブル971を参照し、状態が受け入れ不可となっている後処理ユニット201の中で、最も上流の後処理ユニット201を特定する。そして、特定した後処理ユニット201の手前(例えば、当該後処理ユニット201の入口)で、用紙を停止させるよう制御する。
【0148】
この場合の、印刷ジョブ停止処理において、搬送停止信号を受信した搬送制御部962による用紙搬送制御処理の流れを、図12(b)に示す。
【0149】
まず、搬送制御部962は、受入不可の後処理ユニット201のうち、最も上流の後処理ユニット201を特定する(ステップS2301)。
【0150】
搬送制御部962は、特定された受入不可の後処理ユニット201の手前(入口)まで用紙を搬送する(ステップS2302)。
【0151】
そして、用紙搬送を停止し(ステップS2204)、処理を終了する。
【0152】
本変形例によれば、後処理装置200の準備動作完了までの間に、ジャム等の異常を検知した際、受入不可の後処理ユニット201の手前まで用紙を搬送する。これにより、当該後処理ユニット201の復帰準備が完了した際、すぐに、後処理を行うことができ、全印刷ジョブ時間を短縮することができる。
【0153】
<変形例6>
なお、異常を検知して、印刷ジョブ停止処理が行われると、画像形成部300内の動作も停止する。したがって、その後の印刷ジョブ再開時には、画像形成部300の立ち上げ処理も行う必要がある。立ち上げ処理は、例えば、印刷枚数ごとの印刷前リフレッシュ動作などがある。この立ち上げ処理は、後処理装置200とは独立した処理である。
【0154】
この時間を短縮するため、例えば、印刷ジョブ停止処理により、印刷ジョブを停止させた場合、直後に、立ち上げ処理も開始するよう構成してもよい。これにより、異常信号を出力した後処理ユニット201で復帰準備処理をしている間に、画像形成部300の準備を進めることができる。
【0155】
この場合の処理の流れを、図13に示す。上記変形例同様、異常が発生した場合、ステップS2104の印刷ジョブ停止処理まで行う。すなわち、印刷制御部961は、印刷停止信号を受信し、印刷ジョブを中断させる。そして、印刷制御部961は、直後に、立ち上げ処理を開始し(ステップS2401)、処理を終了する。
【0156】
なお、印刷ジョブ停止処理が行われた場合、定着部336の、温め処理も停止する。このため、定着部336の温度が低下し、印刷再開のためには、温め直しが必要となる。例えば、この定着部336の温め処理(加熱処理)も、立ち上げ処理同様、印刷ジョブを停止させた直後に開始させてもよい。この場合も、定着部336の加熱処理の時間分、再開時の待ち時間を短縮できる。
【0157】
<変形例7>
なお、上記各実施形態、変形例においては、印刷ジョブの中断要因が、スタッカ280からの用紙の取り出しである場合を例にあげて説明したが、中断要因は、これに限定されない。例えば、フィニッシャ290において、ステープルの針の補充等であってもよい。また、いずれかの後処理ユニット201でのジャム解除であってもよい。
【0158】
明細書中の対応テーブル(表)は、機械学習の学習効果によって生成されたものでもよい。例えば、搬送時間テーブル972や復帰時間テーブル973など、必要時間算出部964が参照するデータテーブルが格納している情報を、これらデータを取得可能なセンサからの情報に基づいて機械学習をし、画像形成装置100を稼働させながら、これらデータの精度を向上させることで、これらの対応テーブルを使用しなくてもよい。ここで、機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり,コンピュータが,データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを,事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し,新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、さらに、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。
【0159】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0160】
100:画像形成装置、
200:後処理装置、201:後処理ユニット、240:紙冷却ユニット、250:インサータ、260:折りユニット、270:リング製本ユニット、280:スタッカ、281:トレイ、282:台車、283:ドア、284:スイッチ、285:カート、286:トレイ位置センサ、287:台車センサ、288:ドアセンサ、289:ジャム検知センサ、290:フィニッシャ、
300:画像形成部、331:給紙トレイ、335:転写ベルト、336:定着部、339:パージ部、
400:大容量給紙部、410:大容量給紙ユニット、411:連結ユニット、420:大容量給紙ユニット、
901:CPU、902a:ROM、902b:RAM、906:ASIC、908:HDDコントローラ、910:コントローラ、920:近距離通信回路、920a:近距離通信I/F、921:AGPバス、922:PCIバス、930:エンジン制御部、931:スキャナ部、932:プリンタ部、940:操作パネル、940a:パネル表示部、940b:操作パネル部、950:ネットワークI/F、961:印刷制御部、962:搬送制御部、963:監視部、964:必要時間算出部、965:再開時刻設定部、966:異常検出部、971:構成情報テーブル、972:搬送時間テーブル、973:復帰時間テーブル、
T0:閉信号受信時刻、Ta:作像準備時間、Te:第三搬送時間、Tf:第一搬送時間、Tm:監視期間、Tp:印刷搬送時間、Ts:復帰準備時間、Ts’:復帰準備時間、Tw:第二搬送時間、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】
【文献】特開2005-321482号公報
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