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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/778 20230101AFI20240521BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
H04N25/778
H04N25/76
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022078705
(22)【出願日】2022-05-12
(62)【分割の表示】P 2018565628の分割
【原出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2022097684
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2017016285
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマイクロレンズを透過した光を光電変換する第1の光電変換部と、
前記第1のマイクロレンズと異なる第2のマイクロレンズを透過した光を光電変換する第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部に光電変換された電荷が転送される第1のフローティングディフュージョンと、
前記第2の光電変換部に光電変換された電荷が転送される第2のフローティングディフュージョンと、
前記第1のフローティングディフュージョンと接続される第1の増幅部と、
前記第2のフローティングディフュージョンと接続される第2の増幅部と、
前記第1の増幅部と接続される第1の信号線と、
前記第2の増幅部と接続される第2の信号線と、
前記第1の増幅部と前記第1の信号線との間と、前記第2の増幅部と前記第2の信号線との間とを接続可能に制御される第1の接続スイッチと、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1の信号線を介して前記第1の増幅部に接続される第1の電流源と、
前記第2の信号線を介して前記第2の増幅部に接続される第2の電流源と、を備え、
前記第1の接続スイッチを介して前記第1の電流源と前記第2の増幅部とが接続可能な撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第2の電流源が電流の生成を停止するとき、前記第1の接続スイッチは前記第1の電流源と前記第2の増幅部とを接続状態にする、撮像素子。
【請求項4】
請求項2または3に記載の撮像素子において、
前記第1の電流源が前記第1の増幅部に電流を供給し、前記第2の電流源が前記第2の増幅部に電流を供給するとき、前記第1の接続スイッチは切断状態にされる、撮像素子。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の接続スイッチが接続状態にされるとき、前記第1の電流源が前記第1の増幅部及び前記第2の増幅部に電流を供給することにより、前記第2の増幅部が飽和領域で動作する撮像素子。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の電流源が前記第1の増幅部及び前記第2の増幅部に電流を供給するとき、前記第1の接続スイッチは接続状態にされる、撮像素子。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の光電変換部で光電変換された電荷が前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第2の光電変換部で光電変換された電荷が前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第1の増幅部から前記第1の信号線に出力され、前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第2の増幅部から前記第1の信号線に出力されるとき、前記第1の接続スイッチが接続状態にされ、前記第1の接続スイッチを介して前記第1の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される撮像素子。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の光電変換部で光電変換された電荷が前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第2の光電変換部で光電変換された電荷が前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第1の増幅部から前記第1の信号線に出力され、前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第2の増幅部から前記第2の信号線に出力されるとき、前記第1の接続スイッチが切断状態にされ、前記第1の電流源から前記第1の増幅部に電流が供給され、前記第2の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される撮像素子。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1のフローティングディフュージョンと前記第2のフローティングディフュージョンとを接続可能に制御される第2の接続スイッチを有する撮像素子。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像素子において、
前記第1の光電変換部で光電変換された電荷及び前記第2の光電変換部で光電変換された電荷が前記第1のフローティングディフュージョン及び前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷及び前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第1の増幅部及び前記第2の増幅部から前記第1の信号線に出力されるとき、前記第1の接続スイッチ及び前記第2の接続スイッチが接続状態にされ、前記第1の接続スイッチを介して前記第1の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される、撮像素子。
【請求項11】
請求項9または10に記載の撮像素子において、
前記第1の光電変換部で光電変換された電荷が前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第2の光電変換部で光電変換された電荷が前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積され、前記第1のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第1の増幅部から前記第1の信号線に出力され、前記第2のフローティングディフュージョンに蓄積された電荷に基づく信号が前記第2の増幅部から前記第2の信号線に出力されるとき、前記第1の接続スイッチ及び前記第2の接続スイッチが切断状態にされ、前記第1の電流源から前記第1の増幅部に電流が供給され、前記第2の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される撮像素子。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の増幅部と前記第1の信号線とに接続される第1の選択部と、
前記第2の増幅部と前記第2の信号線とに接続される第2の選択部とを備え、
前記第1の増幅部は前記第1の選択部を介して前記第1の信号線に接続され、
前記第2の増幅部は前記第2の選択部を介して前記第2の信号線に接続される撮像素子。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像素子において、
前記第1の接続スイッチは、前記第1の増幅部と前記第1の選択部の間の領域と、前記第2の増幅部と前記第2の選択部の間の領域とを接続可能である撮像素子。
【請求項14】
請求項12または13に記載の撮像素子において、
前記第1の選択部が前記第1の増幅部と前記第1の信号線とを接続状態にし、前記第2の選択部が前記第2の増幅部と前記第2の信号線とを切断状態にするとき、前記第1の接続スイッチは接続状態にされ、前記第1の接続スイッチを介して前記第1の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される撮像素子。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の選択部が前記第1の増幅部と前記第1の信号線とを接続状態にし、前記第2の選択部が前記第2の増幅部と前記第2の信号線とを接続状態にするとき、前記第1の接続スイッチは切断状態にされ、前記第1の電流源から前記第1の増幅部に電流が供給され、前記第2の電流源から前記第2の増幅部に電流が供給される撮像素子。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1の光電変換部と接続される第1の転送部と、
前記第2の光電変換部と接続される第2の転送部とを備え、
前記第1の光電変換部は前記第1の転送部を介して前記第1のフローティングディフュージョンと接続され、前記第2の光電変換部は前記第2の転送部を介して前記第2のフローティングディフュージョンと接続される撮像素子。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1のフローティングディフュージョンに接続される第1のリセット部と、
前記第2のフローティングディフュージョンに接続される第2のリセット部とを備え、
前記第1のフローティングディフュージョンは前記第1のリセット部を介して前記第1の増幅部に接続され、
前記第2のフローティングディフュージョンは前記第2のリセット部を介して前記第2の増幅部に接続される撮像素子。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの受光素子の電荷を加算(混合)し、加算電荷に対応する電位を読み出す撮像装置が知られている(特許文献1)。しかし、従来の撮像装置は、加算電荷を電位に変換する際の変換ゲインが変動するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2016-139859号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、第1のマイクロレンズを透過した光を光電変換する第1の光電変換部と、前記第1のマイクロレンズと異なる第2のマイクロレンズを透過した光を光電変換する第2の光電変換部と、前記第1の光電変換部に光電変換された電荷が転送される第1のフローティングディフュージョンと、前記第2の光電変換部に光電変換された電荷が転送される第2のフローティングディフュージョンと、前記第1のフローティングディフュージョンと接続される第1の増幅部と、前記第2のフローティングディフュージョンと接続される第2の増幅部と、前記第1の増幅部と接続される第1の信号線と、前記第2の増幅部と接続される第2の信号線と、前記第1の増幅部と前記第1の信号線との間と、前記第2の増幅部と前記第2の信号線との間とを接続可能に制御される第1の接続スイッチと、を備える。
また、本発明の第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様に記載の撮像素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る画素の構成を示す回路図。
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を説明するための図。
図4】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
図6】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャート。
図7】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を示すタイミングチャート。
図8】第2の実施の形態に係る画素の構成を示す回路図。
図9】第3の実施の形態に係る画素の構成を示す回路図。
図10】第3の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
図11】第3の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャート。
図12】第3の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を示すタイミングチャート。
図13】変形例1に係る画素の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図1では、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例である電子カメラ1(以下、カメラ1と称する)の構成例を示す。カメラ1は、撮像光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮像光学系2は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズ及び絞りを有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮像光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
撮像素子3は、例えば、CMOSイメージセンサである。撮像素子3は、撮像光学系2の射出瞳を通過した光束を受光して、被写体像を撮像する。撮像素子3には、後に詳述するように、マイクロレンズと、複数の光電変換部(例えば2つの光電変換部)とを有する複数の画素が二次元状(行方向及びそれと交差する列方向)に配置される。光電変換部は、例えばフォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子3は、入射した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
【0008】
撮像素子3は、詳細は後述するが、画像データを生成するための信号すなわち撮像信号と、撮像光学系2の焦点について位相差式焦点検出を行うための一対の焦点検出信号すなわち第1及び第2の焦点検出信号とを、制御部4に出力する。この第1及び第2の焦点検出信号は、撮像光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束による第1及び第2の像をそれぞれ光電変換した信号である。
【0009】
メモリ5は、例えば、メモリカード等の記録媒体である。メモリ5には、画像データ等が記録される。メモリ5へのデータの書き込みや、メモリ5からのデータの読み出しは、制御部4によって行われる。表示部6は、画像データに基づく画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部7は、レリーズボタン、電源スイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた操作信号を制御部4へ出力する。
【0010】
制御部4は、CPU、ROM、RAM等により構成され、制御プログラムに基づきカメラ1の各部を制御する。制御部4は、画像データ生成部4aと、焦点検出部4bとを有する。画像データ生成部4aは、撮像素子3から出力される撮像信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理には、例えば、階調変換処理、色補間処理、輪郭強調処理等の公知の画像処理が含まれる。
【0011】
焦点検出部4bは、公知の位相差検出方式により、撮像光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。具体的には、焦点検出部4bは、撮像素子3から出力される一対の焦点検出信号に基づき、第1及び第2の像の像ズレ量を検出し、検出した像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する。焦点調節レンズがデフォーカス量に応じて駆動されることにより、焦点調節が自動で行われる。
【0012】
制御部4は、撮像素子3の各画素の複数の光電変換部からの信号を個別に読み出す処理(第1の制御モード)と、複数の光電変換部からの信号を加算して読み出す処理(第2の制御モード)とを行う。本実施の形態では、詳細は後述するが、制御部4は、第1の制御モードの場合は、第1の光電変換部で生成された電荷による信号と第2の光電変換部で生成された電荷による信号を、一対の焦点検出信号として個別に、即ち独立に読み出す。
【0013】
第2の制御モードでは、制御部4は、第1及び第2の光電変換部の各々からの信号を加算する処理を行って、撮像信号として読み出す。ここで、「加算する処理」とは、複数の信号を平均化する処理や、複数の信号に対して重み付けを行って加算する処理等を含む。制御部4は、位相差方式のAFを行う場合は第1の制御モードを行って撮像素子3から一対の焦点検出信号を読み出し、画像データの生成を行う場合は第2の制御モードを行って撮像素子3から撮像信号を読み出す。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の画素の構成を示す回路図である。画素10は、マイクロレンズMLと、第1の光電変換部11aと、第2の光電変換部11bと、第1の転送部12aと、第2の転送部12bと、第1のリセット部13aと、第2のリセット部13bと、第1のフローティングディフュージョン(FD)14aと、第2のフローティングディフュージョン(FD)14bとを有する。画素10は、さらに、第1の増幅部15aと、第2の増幅部15bと、第1の選択部16aと、第2の選択部16bと、加算スイッチ部17と、結合スイッチ部18とを有する。
【0015】
マイクロレンズMLは、図1の撮像光学系2を介して入射された光を第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bに集光する。なお、マイクロレンズMLは、マイクロレンズMLを通過した光束が第1及び第2の光電変換部11a、11bに入射することを示すために、第1及び第2の光電変換部11a、11bを囲む楕円形状の線で示されている。この楕円形状がマイクロレンズMLの実際の大きさや、実際の形状を表すものではない。
【0016】
第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bは、フォトダイオードPD(PDa、PDb)であり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する機能を有する。第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bは、一つのマイクロレンズMLに対応して配置され、撮像光学系2の射出瞳の互いに異なる領域を通過した光束を受光する。すなわち、第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bは、撮像光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束による第1及び第2の像をそれぞれ光電変換する。
【0017】
第1の転送部12aは、信号TX1により制御されるトランジスタM1aから構成され、第1の光電変換部11aで光電変換された電荷を第1のFD14aに転送する。すなわち、第1の転送部12aは、第1の光電変換部11a及び第1のFD14aの間に電荷転送路を形成する。トランジスタM1aは、第1の転送トランジスタである。第1のFD14aの容量Caは、第1のFD14aに転送された電荷を蓄積(保持)して、電荷を容量Caの容量値で除算した電圧に変換する。容量を示す符号Caは、第1のFD14aに付加される容量を模式的に示している。容量Caには、第1のFD14aに接続される第1の増幅部15aのゲート容量等の各トランジスタの容量(寄生容量)や配線容量などが含まれる。なお、ゲート容量は、トランジスタのゲートとバックゲートとの間の寄生容量である。
【0018】
第1の増幅部15aは、容量Caに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。第1の増幅部15aは、ドレイン(端子)、ゲート(端子)及びソース(端子)がそれぞれ、電源VDD、第1のFD14a及び第1の選択部16aに接続されるトランジスタM3aにより構成される。第1の増幅部15aのソースは、第1の選択部16aを介して第1の垂直信号線VLaに接続される。第1の増幅部15aは、図3に示す第1の電流源25aを負荷電流源としてソースフォロワ回路の一部として機能する。トランジスタM3aは、第1の増幅トランジスタである。
【0019】
第1のリセット部13aは、信号RS1により制御されるトランジスタM2aから構成され、容量Caの電荷をリセットし、第1のFD14aの電圧をリセットする。トランジスタM2aは、第1のリセットトランジスタである。第1の選択部16aは、信号SEL1により制御されるトランジスタM4aから構成され、第1の増幅部15aからの信号を第1の垂直信号線VLaに出力する。トランジスタM4aは、第1の選択トランジスタである。本実施の形態による第1の出力部は、第1の増幅部15aと第1の選択部16aとで構成され、第1の光電変換部11aにより生成された電荷に基づく信号を生成し出力する。
【0020】
第2の転送部12bは、信号TX2により制御されるトランジスタM1bから構成され、第2の光電変換部11bで光電変換された電荷を第2のFD14bに転送する。すなわち、第2の転送部12bは、第2の光電変換部11b及び第2のFD14bの間に電荷転送路を形成する。トランジスタM1bは、第2の転送トランジスタである。第2のFD14bの容量Cbは、第2のFD14bに転送された電荷を蓄積して、電荷を容量Cbの容量値で除算した電圧に変換する。容量を示す符号Cbは、第2のFD14bに付加される容量を模式的に示している。容量Cbには、第2のFD14bに接続される第2の増幅部15bのゲート容量等の各トランジスタの容量や配線容量などが含まれる。
【0021】
第2の増幅部15bは、容量Cbに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。第2の増幅部15bは、ドレイン、ゲート及びソースがそれぞれ、電源VDD、第2のFD14b及び第2の選択部16bに接続されるトランジスタM3bにより構成される。第2の増幅部15bのソースは、第2の選択部16bを介して第2の垂直信号線VLbに接続される。第2の増幅部15bは、図3に示す第2の電流源25bを負荷電流源としてソースフォロワ回路の一部として機能する。トランジスタM3bは、第2の増幅トランジスタである。
【0022】
第2のリセット部13bは、信号RS2により制御されるトランジスタM2bから構成され、容量Cbの電荷をリセットし、第2のFD14bの電圧をリセットする。トランジスタM2bは、第2のリセットトランジスタである。第2の選択部16bは、信号SEL2により制御されるトランジスタM4bから構成され、第2の増幅部15bからの信号を第2の垂直信号線VLbに出力する。トランジスタM4bは、第2の選択トランジスタである。本実施の形態による第2の出力部は、第2の増幅部15bと第2の選択部16bとで構成され、第2の光電変換部11bにより生成された電荷に基づく信号を生成し出力する。
【0023】
加算スイッチ部17は、信号ADD_FDにより制御されるトランジスタM7から構成され、第1のFD14aと第2のFD14bとを接続(結合)する。結合スイッチ部18は、信号ADD_SFにより制御されるトランジスタM8から構成され、第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとを接続する。より詳しくは、結合スイッチ部18は、第1の増幅部15aのトランジスタM3aのソースと第2の増幅部15bのトランジスタM3bのソースとを接続する。また、結合スイッチ部18が、第1の増幅部15aと第1の選択部16aの間と、第2の増幅部15bと第2の選択部16bの間とを接続するともいえる。
【0024】
第1の制御モードでは、制御部4は、撮像素子3を制御して、加算スイッチ部17のトランジスタM7をオフ(状態)とし、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオフとする。第1の光電変換部11aで光電変換された電荷は、第1の転送部12aによって第1のFD14aに転送される。そして、第1のFD14aに転送された電荷に応じた信号(第1の画素信号)が、第1の増幅部15a及び第1の選択部16aによって第1の垂直信号線VLaに読み出される。また、第2の光電変換部11bで光電変換された電荷は、第2の転送部12bによって第2のFD14bに転送される。第2のFD14bに転送された電荷に応じた信号(第2の画素信号)が、第2の増幅部15b及び第2の選択部16bによって第2の垂直信号線VLbに読み出される。
【0025】
このように、第1の制御モードでは、第1の光電変換部11aからの電荷に応じて生成された第1の画素信号が第1の垂直信号線VLaに出力され、第2の光電変換部11bからの電荷に応じて生成された第2の画素信号が第2の垂直信号線VLbに出力される。第1の画素信号及び第2の画素信号は、後述するカラム回路等による信号処理が施された後に、一対の焦点検出信号として制御部4に出力される。
【0026】
次に、第2の制御モードの基本動作を説明する。第2の制御モードにおいては、制御部4は、加算スイッチ部17のトランジスタM7をオンとし、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオンとする。また、制御部4は、例えば、第1の選択部16aのトランジスタM4aをオンとし、第2の選択部16bのトランジスタM4bをオフとする。第1及び第2の光電変換部11a、11bでそれぞれ光電変換された電荷は、第1及び第2の転送部12a、12bによってそれぞれ転送され、加算スイッチ部17によって加算されて、第1及び第2のFD14a、14bに蓄積される。第1及び第2の増幅部15a、15bと結合スイッチ部18と第1の選択部16aとによって、加算された電荷に応じて加算画素信号が生成されて、第1の垂直信号線VLaに読み出される。
【0027】
なお、第2の制御モードにおいて、第1の選択部16aのトランジスタM4aをオフとし、第2の選択部16bのトランジスタM4bをオンとした場合には、加算画素信号は、第2の垂直信号線VLbに読み出される。
【0028】
本実施の形態にあっては、第2の制御モードは、2次元配置された画素10の1行毎に信号を読み出す1行読み出し方式と、2行同時に信号を読み出す2行同時読み出し方式とを有する。以下に、第2の制御モードの「1行読み出し方式」を図3を参照して説明し、第2の制御モードの「2行同時読み出し方式」を図4を参照して説明する。
【0029】
図3は、2次元状に配置された複数の画素10のうちの一つの画素列を示したものである。撮像素子3には、列方向、すなわち縦方向に並んだ複数の画素10の列に対して、第1の垂直信号線VLa及び第2の垂直信号線VLbが設けられる。また、第1の垂直信号線VLaに対して第1の電流源25a及び第1のカラム回路部40aが設けられ、第2の垂直信号線VLbに対して第2の電流源25b及び第2のカラム回路部40bが設けられる。なお、図3に示す例では、説明を簡略化するために、画素10は行方向1画素×列方向3画素のみ図示しているが、撮像素子3は、例えば数百万画素~数億画素、又はそれ以上の画素を有する。
【0030】
第1の電流源25aは、第1の垂直信号線VLaを介して各画素10に接続され、第2の電流源25bは、第2の垂直信号線VLbを介して各画素10に接続される。第1の電流源25a及び第2の電流源25bは、各画素10から信号を読み出すための電流を生成する。第1の電流源25aは、生成した電流を第1の垂直信号線VLaと各画素10の第1の選択部16a及び第1の増幅部15aとに供給する。同様に、第2の電流源25bは、生成した電流を第2の垂直信号線VLbと各画素10の第2の選択部16b及び第2の増幅部15bとに供給する。
【0031】
第1のカラム回路部40a及び第2のカラム回路部40bは、それぞれアナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成される。第1のカラム回路部40aは、各画素10から第1の垂直信号線VLaを介して入力される信号をデジタル信号に変換する。第2のカラム回路部40bは、各画素10から第2の垂直信号線VLbを介して入力される信号をデジタル信号に変換する。第1のカラム回路部40a及び第2のカラム回路部40bは、変換後のデジタル信号を後述する水平転送部に出力する。
【0032】
第2の制御モードの1行読み出し方式では、撮像素子3は、第1の光電変換部11aの電荷と第2の光電変換部11bの電荷とを加算した電荷に応じた信号(加算画素信号)を、例えば第1の垂直信号線VLaに読み出す。図3に示す例では、1行目の画素10、即ち最下行の画素10から加算画素信号を読み出す例を示しており、1行目の画素10において、加算スイッチ部17のトランジスタM7がオンとなり、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオンとなっている。また、第1の選択部16aのトランジスタM4aがオン、第2の選択部16bのトランジスタM4bがオフになっている。他方、2行目及び3行目等のその他の行の画素10においては、第1及び第2の選択部16a、16bのトランジスタM4a、M4bがオフになっている。なお、図3において、ONはトランジスタがオン(接続状態、導通状態、短絡状態)であることを示し、OFFはトランジスタがオフ(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)であることを示している。
【0033】
1行目の画素10において、加算スイッチ部17のトランジスタM7がオンとなることで、第1のFD14aと第2のFD14bとが互いに電気的に接続される。また、第1の転送部12aと第2の転送部12bとが互いに電気的に接続される。これにより、第1の光電変換部11aから転送された電荷と第2の光電変換部11bから転送された電荷とが加算される。第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bの各々により生成された電荷が、混合(合成)されるともいえる。容量Caと容量Cbとが電気的に接続された状態となり、第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bから転送された電荷が容量Caと容量Cbとに分配され、第1のFD14aの電圧と第2のFD14bの電圧とが平均化され、第1及び第2の増幅部15a、15bに入力される。即ち、第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bの各々には、容量Caの蓄積電荷と容量Cbの蓄積電荷とを加算した電荷を、容量Caと容量Cbとの合成容量値で除算した電圧が入力される。
【0034】
第1の選択部16aのトランジスタM4aがオンとなり、第2の選択部16bのトランジスタM4bがオフとなり、結合スイッチ部18のトランジスタM8がオンとなることで、第1及び第2の増幅部15a、15bは共に、第1の電流源25aから電流が供給されて飽和領域での動作となる。第1及び第2の増幅部15a、15bのトランジスタM3a、M3bが飽和領域での動作となるので、第1及び第2の増幅部15a、15bのゲート容量は共に略一定の容量値となる。
【0035】
このように第1及び第2の増幅部15a、15bのゲート容量が略一定値であるので、第1のFD14aの容量及び第2のFD14bの容量も、所定値のままである。従って、第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bは、容量Caの蓄積電荷と容量Cbの蓄積電荷とを加算した電荷を、容量Caと容量Cbとの合成容量値で除算した電圧に基づき、増幅した信号をそれぞれ出力する。第1の増幅部15aの信号と第2の増幅部15bの信号とは、第1の選択部16aを介して、加算画素信号として、第1の垂直信号線VLaに送られる。
【0036】
以上のように、第1の垂直信号線VLaに1行目の画素10から加算画素信号が読み出されると、その後に、撮像素子3では、2行目、3行目と画素10が行単位で順次選択されて、画素10から第1の垂直信号線VLaに加算画素信号の読み出しが行われる。第1の垂直信号線VLaに出力された画素10の加算画素信号は、第1のカラム回路部40aによりデジタル信号に変換された後に、撮像信号として制御部4に出力される。
【0037】
図3に示す例では、各行の画素10の加算画素信号は、第1の垂直信号線VLaに読み出される。このため、撮像素子3は、加算画素信号が読み出されない第2の垂直信号線VLbに接続される第2の電流源25bによる電流の生成を停止させることができ、撮像素子3の消費電力を低減させることができる。なお、第1の選択部16aのトランジスタM4aをオフ、第2の選択部16bのトランジスタM4bをオンとした場合は、第2の垂直信号線VLbに画素10から加算画素信号を読み出すことができる。
【0038】
本実施の形態にあっては、第1及び第2のFD14a、14bが電荷を電圧に変換する際の変換ゲイン、即ち容量Caと容量Cbとの合成容量値の逆数が、常に略一定である。このため、加算画素信号は、第1及び第2のFD14a、14bの蓄積電荷に依存し、直線性(リニアリティ)が高い信号となる。以下に、第1及び第2のFD14a、14bの変換ゲインが常に略一定であることを、比較例と対比して説明する。
【0039】
本実施の形態では、上述のようにトランジスタM4aとトランジスタM8とがオンとなり、トランジスタM4bがオフとなることで、トランジスタM3a、M3bは共に、第1の電流源25aから電流が供給されて飽和領域での動作となる。このため、第1及び第2の増幅部15a、15bのトランジスタM3a、M3bのゲート容量は共に、略一定の容量値となり、実質的に変動しない。従って、第1のFD14aの容量Ca及び第2のFD14bの容量Cbも、トランジスタM3a、M3bのゲート容量の変動の影響を受けることなく、所定値のまま、即ち、略一定値である。よって、第1及び第2のFD14a、14bの変換ゲインが常に略一定となる。画素の微細化が進むと、第1及び第2のFD14a、14bの合成容量に対するゲート容量の比が大きくなることが考えられ、この場合にゲート容量が変動して第1及び第2のFD14a、14bの電荷電圧変換の直線性が悪化することを防ぐすることができる。
【0040】
これに対して、比較例は、図3の画素10において、結合スイッチ部18を削除したものである。第1の選択部16aのトランジスタM4aをオンし、第2の選択部16bのトランジスタM4bをオフにすると、第1の増幅部15aに電流が供給されるが、第2の増幅部15bには電流が供給されず、第2の増幅部15bは弱反転領域での動作となる。この弱反転領域での動作により、第2の増幅部15bのトランジスタM3bのゲート容量は、ゲートに入力される信号に応じて変動する状態となる。第2の増幅部15bのゲート容量の変動によって、第1及び第2のFD14a、14bの容量も変動を受け、電荷電圧の変換ゲインが変動してしまう。
【0041】
図4は、第2の制御モードの2行同時読み出し方式を説明するための図である。第2の制御モードの2行同時読み出し方式は、二つの行の画素について、一方の行の画素からは加算画素信号を第1の垂直信号線VLaに読み出し、これと同時に他方の行の画素からは加算画素信号を第2の垂直信号線VLbに読み出すものである。以下に詳細に説明する。
【0042】
図4において、最下行の1行目の画素10では、加算スイッチ部17のトランジスタM7がオン、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオン、第1の選択部16aのトランジスタM4aもオン、第2の選択部16bのトランジスタM4bがオフとなっている。また、1行目の画素に隣接する2行目の画素10では、加算スイッチ部17のトランジスタM7がオン、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオン、第1の選択部16aのトランジスタM4aがオフ、第2の選択部16bのトランジスタM4bがオンとなっている。
【0043】
1行目及び2行目の画素10の各々において、加算スイッチ部17のトランジスタM7がオン状態であるため、第1の光電変換部11aから転送された電荷と第2の光電変換部11bから転送された電荷とが加算される。また、1行目の画素10の各々において、第1の選択部16aのオン及び結合スイッチ部18のオンによって、第1の電流源25aは、電流を第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとにそれぞれ供給する。他方、2行目の画素10の各々において、第2の選択部16bのオン及び結合スイッチ部18のオンによって、第2の電流源25bは、電流を第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとにそれぞれ供給する。こうして、1行目及び2行目とも、各画素10の第1及び第2の増幅部15a、15bのトランジスタM3a、M3bは、飽和領域での動作となり、トランジスタM3a、M3bのゲート容量は共に、略一定値となる。
【0044】
第1の垂直信号線VLaには、1行目の画素10から加算された電荷に基づく加算画素信号が読み出され、これと同時に第2の垂直信号線VLbには、2行目の画素10から加算された電荷に基づく加算画素信号が読み出される。1行目及び2行目の画素の同時読み出しが終了すると、3行目及び4行目の画素からの同時読み出しが行われ、更にそれ以降の互いに隣接する奇数行目及び偶数行目の画素からの同時読み出しが順次行われる。
【0045】
このように、図4に示す2行同時読み出し方式では、2行分の画素の加算画素信号の読み出しを同時に行うことができる。このため、撮像素子3に配置された各画素10から高速に信号を読み出すことができる。また、2行同時読み出し方式でも、第1及び第2の増幅部15a、15bのトランジスタM3a、M3bは、第1の電流源25a又は第2の電流源25bからの電流が供給されて、飽和領域での動作となる。このため、トランジスタM3a、M3bのゲート容量は共に略一定値となり、加算画素信号は、第1及び第2のFD14a、14bの蓄積電荷に依存し、直線性が高い信号となる。
【0046】
図5図7を参照して、第1の実施の形態に係る撮像素子3のより詳細な回路構成及び動作について説明する。図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の画素10を2次元状に示すと共に、より詳細な回路構成を示す回路図である。図6は、第2の制御モードの1行読み出し方式の場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。図7は、第2の制御モードの2行同時読み出し方式の場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0047】
図5に示すように、撮像素子3は、行列状に配置される複数の画素10と、第1の電流源25a(第1の電流源25a1~第1の電流源25a3)と、第2の電流源25b(第2の電流源25b1~第2の電流源25b3)とを有する。また、撮像素子3は、第1の電流制御部30a(第1の電流制御部30a1~第1の電流制御部30a3)と、第2の電流制御部30b(第2の電流制御部30b1~第2の電流制御部30b3)とを有する。撮像素子3は、さらに、第1のカラム回路部40a(第1のカラム回路部40a1~第1のカラム回路部40a3)と、第2のカラム回路部40b(第2のカラム回路部40b1~第2のカラム回路部40b3)と、垂直転送部50と、水平転送部60とを有する。
【0048】
画素10の各列に対応して、第1の垂直信号線VLa(第1の垂直信号線VLa1~第1の垂直信号線VLa3)、及び第2の垂直信号線VLb(第2の垂直信号線VLb1~第2の垂直信号線VLb3)が設けられる。第1の垂直信号線VLaに対して、第1の電流源25a、第1の電流制御部30a、及び第1のカラム回路部40aが設けられる。また、第2の垂直信号線VLbに対して、第2の電流源25b、第2の電流制御部30b、及び第2のカラム回路部30bが設けられる。なお、図5に示す例では、説明を簡略化するために、画素10は行方向3画素×列方向3画素のみ図示している。図5に示す複数の画素10のうちの左下の画素10を第1行第1列の画素10(0,0)とし、図5では画素10(0,0)から画素10(2,2)までを図示している。第1の電流源25a及び第2の電流源25bは、例えば、それぞれ2つトランジスタのカスコード接続によって構成され、バイアス電圧(電圧Bias1、電圧Bias2)に基づいて電流を生成する。
【0049】
垂直転送部50は、信号TX、信号RS、信号SEL1、信号SEL2、信号ADD_FD、信号ADD_SF、及び電源電圧VDDを各画素10に供給して、各画素10を制御する。第1の電流制御部30aは、スイッチ部31a、32a、及びインバータ部33aを有し、第2の電流制御部30bは、スイッチ部31b、32b、及びインバータ部33bを有する。垂直転送部50は、信号CS1_EN、信号CS2_EN、及び電圧Vclipを、第1の電流制御部30a及び第2の電流制御部30bに供給する。なお、図5に示す例では、画素10の第1の転送部12a及び第2の転送部12bは、同一の信号TXにより制御され、第1のリセット部13a及び第2のリセット部13bは、同一の信号RSにより制御される。
【0050】
水平転送部60は、第1のカラム回路部40a及び第2のカラム回路部40bによって変換されたデジタル信号を、不図示の信号処理部に順次転送する。信号処理部は、水平転送部60から入力された信号に対して相関二重サンプリングや信号量を補正する処理等の信号処理を行い、カメラ1の制御部4に出力する。
【0051】
図6に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、第2の制御モードの1行読み出し方式の場合に図5の撮像素子3の各部に入力される制御信号を示している。また、図6において、制御信号がハイレベル(例えば電源電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオン状態となり、制御信号がローレベル(例えば接地電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオフ状態となる。
【0052】
垂直転送部50は、信号ADD_FD及び信号ADD_SFをハイレベルにして、第2の制御モードに設定する。信号ADD_FDがハイレベルになることで、各画素10の第1のFD14aと第2のFD14bとが互いに電気的に接続される。また、信号ADD_SFがハイレベルになることで、各画素10の第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとが電気的に接続される。
【0053】
信号CS1_ENはハイレベルにされ、信号CS2_ENはローレベルにされる。信号CS1_ENがハイレベルになることで、第1の電流制御部30aのスイッチ部31aがオンとなり、スイッチ部32aはインバータ部33aによりローレベルが入力されることでオフとなる。これにより、第1の垂直信号線VLaには、スイッチ部31aを介して第1の電流源25aから電流が供給される。
【0054】
信号CS2_ENがローレベルになることで、第2の電流制御部30bのスイッチ部31bがオフとなり、スイッチ部32bはオンとなる。これにより、第2の垂直信号線VLbには、第2の電流源25bからの電流の供給が停止され、スイッチ部32bを介して電圧Vclipが供給される。第2の垂直信号線VLbは、所定の電圧に固定された状態となり、フローティング状態となることが回避される。なお、第2の増幅部15bには第1の選択部16a及び結合スイッチ部18を介して第1の電流源25aから電流が供給されるため、第2の増幅部15bが弱反転領域での動作となることが回避される。
【0055】
図6に示す時刻t1では、信号RS<0>がハイレベルになることで、1行目の画素である画素10(0,0)~画素10(0,2)において、それぞれの第1及び第2のリセット部13a、13bのトランジスタM2a、M2bがオンになり、第1及び第2のFD14a、14bの電位がそれぞれリセット電位になる。この場合、上述したように、画素10の第1のFD14aと第2のFD14bが接続されているため、第1及び第2のFD14a、14bの電位が平均化される。
【0056】
さらに、時刻t1において、信号SEL1<0>がハイレベルになることで、リセット電位に基づく信号が、第1及び第2の増幅部15a、15b、及び第1の選択部16aにより第1の垂直信号線VLaに出力される。すなわち、第1及び第2のFD14a、14bの電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が、第1の垂直信号線VLaに読み出される。第1の垂直信号線VLaに出力された1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれ第1のカラム回路部40a1~40a3に入力されてデジタル信号に変換される。
【0057】
時刻t2では、信号TX<0>がハイレベルになることで、第1及び第2の転送部12a、12bのトランジスタM1a、M1bがオンになり、第1及び第2の光電変換部11a、11bで光電変換された電荷が、第1及び第2のFD14a、14bに転送される。この場合、第1のFD14aと第2のFD14bが接続されているため、2つの光電変換部から転送された電荷は、容量Ca及び容量Cbに分配される。
【0058】
また、時刻t2では、信号SEL1<0>がハイレベルであるため、加算画素信号が、第1及び第2の増幅部15a、15b、及び第1の選択部16aによって第1の垂直信号線VLaに出力される。第1の垂直信号線VLaに出力された1行目の各画素10からの加算画素信号は、それぞれ第1のカラム回路部40a1~40a3に入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたノイズ信号と加算画素信号とは、水平転送部60を介して信号処理部に入力される。信号処理部は、画素10のノイズ信号と加算画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリングを行う。
【0059】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻t3までの期間の場合と同様にして、2行目の画素からノイズ信号の読み出しと、加算画素信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、3行目の画素からノイズ信号の読み出しと、加算画素信号の読み出しとが行われる。このように、図6に示す1行読み出し方式では、画素10を行単位で順次選択し、画素10の2つの光電変換部による信号を加算し、加算画素信号を第1の垂直信号線VLaに読み出すことができる。また、第2の電流源25bからの電流の供給を停止することで、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
【0060】
図7に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、第2の制御モードの2行同時読み出し方式の場合に図5の撮像素子3の各部に入力される制御信号を示している。垂直転送部50は、図6に示す1行読み出し方式の場合と同様に、信号ADD_FD及び信号ADD_SFをハイレベルとする。また、信号CS1_ENがハイレベルにされて、第1の垂直信号線VLaには、第1の電流源25aから電流が供給される。さらに、図7の2行同時読み出し方式では、信号CS2_ENがハイレベルにされる。信号CS2_ENがハイレベルになることで、第2の電流制御部30bのスイッチ部31bがオンとなる。これにより、第2の垂直信号線VLbには、スイッチ部31bを介して第2の電流源25bから電流が供給される。
【0061】
時刻t1では、信号RS<0>、RS<1>がハイレベルになることで、1行目の画素及び2行目の画素(画素10(0,0)~画素10(1,2))の各々の第1及び第2のリセット部13a、13bのトランジスタM2a、M2bがオンとなる。これにより、第1及び第2のFD14a、14bの電位がそれぞれリセット電位になる。そして、第1のFD14aと第2のFD14bが接続されているため、第1及び第2のFD14a、14bの電位は平均化される。
【0062】
また、時刻t1において、信号SEL1<0>がハイレベルになることで、1行目の画素10の平均化されたノイズ信号が、第1の垂直信号線VLaに出力される。1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれ第1のカラム回路部40a1~40a3に入力されてデジタル信号に変換される。さらに、時刻t1において、信号SEL2<1>がハイレベルになることで、2行目の画素10の平均化されたノイズ信号が、第2の垂直信号線VLbに出力される。2行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれ第2のカラム回路部40b1~40b3に入力されてデジタル信号に変換される。
【0063】
時刻t2では、信号TX<0>がハイレベルになることで、1行目の画素10の第1及び第2の転送部12a、12bのトランジスタM1a、M1bがオンになり、第1及び第2の光電変換部11a、11bの電荷が第1及び第2のFD14a、14bに転送される。また、時刻t2では、信号TX<1>がハイレベルになることで、2行目の画素10の第1及び第2の光電変換部11a、11bの電荷が第1及び第2のFD14a、14bに転送される。この場合、1行目及び2行目の画素10の各々では、第1のFD14aと第2のFD14bが接続されているため、2つの光電変換部から転送された電荷は、容量Ca及び容量Cbに分配される。
【0064】
また、時刻t2では、信号SEL1<0>、信号SEL2<1>がハイレベルであるため、1行目の画素10の加算画素信号が第1の垂直信号線VLaに出力され、2行目の画素10の加算画素信号が第2の垂直信号線VLbに出力される。第1の垂直信号線VLaに出力された1行目の各画素10からの加算画素信号は、それぞれ第1のカラム回路部40a1~40a3に入力されてデジタル信号に変換される。第2の垂直信号線VLbに出力された2行目の各画素10からの加算画素信号は、それぞれ第2のカラム回路部40b1~40b3に入力されてデジタル信号に変換される。
【0065】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻t3までの期間の場合と同様にして、3行目の画素からの信号の読み出しと、4行目の画素からの信号の読み出しとが同時に行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻t3までの期間の場合と同様にして、5行目の画素からの信号の読み出しと、6行目の画素からの信号の読み出しとが同時に行われる。このように、図7に示す2行同時読み出し方式は、2行分の画素の信号の読み出しを同時に行うことができる。このため、撮像素子3に配置された各画素10から高速に信号を読み出すことができる。
【0066】
次に、第1の制御モードと、第2の制御モードの1行読み出し方式と、第2の制御モードの2行同時読み出し方式との使い分けについて、説明する。制御部4は、カメラ1が焦点調節動作を行う場合には、撮像素子3を第1の制御モードで制御する。また、制御部4は、カメラ1が、表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合には、撮像素子3を第2の制御モードの1行読み出し方式又は2行同時読み出し方式で制御する。従って、カメラ1が表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示しながら、焦点調節動作を行う場合には、制御部4は、撮像素子3を時分割的に、第2の制御モードの1行読み出し方式又は2行同時読み出し方式で制御すると共に第1の制御モードで制御する。操作部7のレリーズ操作部材が操作された場合には、制御部4は、撮像素子3を第2の制御モードの1行読み出し方式又は2行同時読み出し方式で制御する。
【0067】
更に、カメラ1がフレームレートの高い撮影、例えば高速連写撮影や動画撮影を行う場合には、制御部4は、加算画素信号の高速読み出しの為に撮像素子3を第2の制御モードの2行同時読み出し方式で制御する。また、カメラ1に設けられた被写体移動速度検出部が被写体が比較的高速で移動していることを検出した場合にも、制御部4は、加算画素信号を高速に読み出して画像のブレを少なくするために、撮像素子3を第2の制御モードの2行同時読み出し方式で制御する。他方、カメラ1の駆動電池の残量が少なくなったことを、電池残量検出部が検出した場合には、制御部4は電池の消費を少なくするために、撮像素子3を第2の制御モードの1行読み出し方式で制御する。
【0068】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、入射光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部11a及び第2の光電変換部11bと、第1の光電変換部11aで生成された電荷を蓄積する第1蓄積部(第1のFD14a)と、第2の光電変換部11bで生成された電荷を蓄積する第2蓄積部(第2のFD14b)と、第1の光電変換部11aにより生成された電荷に基づく信号を生成し出力する第1の出力部(第1の増幅部15a及び第1の選択部16a)と、第2の光電変換部11bにより生成された電荷に基づく信号を生成し出力する第2の出力部(第2の増幅部15b及び第2の選択部16b)と、第1の出力部と第2の出力部との間に配置された第1の接続部(結合スイッチ部18)と、第1の光電変換部11aと第2の光電変換部11bとを電気的に接続切断する第2のスイッチを備えた第2の接続部(加算スイッチ部17)とを有する画素10と、第1の出力部と接続され、第1の出力部からの信号が出力される第1の信号線(第1の垂直信号線VLa)と、を備える。本実施の形態では、第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとを結合スイッチ部18を介して接続することによって、第2の増幅部15bのゲート容量の変動を抑制する。このため、電荷電圧の変換ゲインの変動を抑制することができる。この結果、直線性が高い加算画素信号を得ることができる。
【0069】
(2)撮像素子3は、制御部(垂直転送部50)を更に有する。制御部は、第1の選択スイッチ(第1の選択部16a)及び第1の接続部(結合スイッチ部18)を接続状態とし、第2の選択スイッチ(第2の選択部16b)を切断状態として、第1の出力部と第2の出力部の信号を第1の選択スイッチ(第1の選択部16a)を介して第1の信号線(第1の垂直信号線VLa)に出力させる。本実施の形態では、結合スイッチ部18のトランジスタM8をオンとすることで、第1の電流源25aから第2の増幅部15bに電流を供給される。このため、第2の増幅部15bのトランジスタM3bを飽和領域で動作させて、第2の増幅部15bのゲート容量を略一定とすることができる。この結果、電荷電圧の変換ゲインの変動を抑制することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図8を参照して、第2の実施の形態に係る撮像素子を説明する。図8は、第2の実施の形態に係る撮像素子3の画素10の構成を示す回路図である。第1の実施の形態では、図2等に示したように、画素10には加算スイッチ部17が配置されている。第2の実施の形態では、図8に示すように、画素10は加算スイッチ部17を有しない構成となる。その他の構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0071】
第1の制御モードでは、結合スイッチ部18のトランジスタM8がオフとなり、第1の実施の形態の場合と同様の動作となる。すなわち、第1の光電変換部11aで光電変換された電荷は第1のFD14aに転送され、第2の光電変換部11bで光電変換された電荷は第2のFD14bに転送される。そして、第1の光電変換部11aからの電荷に基づいて生成された第1の画素信号が第1の垂直信号線VLaに出力され、第2の光電変換部11bからの電荷に基づいて生成された第2の画素信号が第2の垂直信号線VLbに出力される。
【0072】
第2の制御モードでは、結合スイッチ部18のトランジスタM8がオンとなり、第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bが接続される。これにより、第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bの信号の加算平均化された加算画素信号が、例えば第1の垂直信号線VL1に出力される。第1の垂直信号線VL1に出力される加算画素信号は、第1のFD14aの電位に基づいて第1の増幅部15aにより生成される信号と、第2のFD14bの電位に基づいて第2の増幅部15bにより生成される信号の平均に対応する信号となる。
【0073】
このように、本実施形態では、第1の増幅部15aと第2の増幅部15bとを結合スイッチ部18を介して互いに接続することによって、2つの光電変換部からの信号を加算して垂直信号線に出力する。第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bの信号の加算(混合)が、第1の増幅部15a及び第2の増幅部15bのトランジスタM3a、M3bのソースにおいて行われる。このため、2つの光電変換部からの電荷を加算するための加算スイッチ部17と、加算スイッチ部17に接続される配線が不要となり、各画素10に配置する素子数や配線数を少なくすることができる。この結果、画素を微細化することや、撮像素子のチップ面積を低減することが可能となる。また、画素内に多数の素子等を配置して、光電変換部の面積が小さくなってしまうことを回避することができる。
【0074】
また、本実施形態では、変換ゲインは一つのFDの容量値の逆数となるため、変換ゲインが二つのFDの合成容量値の逆数となる場合と比較して、変換ゲインを大きくすることができる。この結果、加算画素信号に混入するノイズを相対的に小さくすることができ、S/N比を向上させることができる。
【0075】
(第3の実施の形態)
図9を参照して、第3の実施の形態に係る撮像素子を説明する。図9は、第3の実施の形態に係る撮像素子3の画素の構成例を示す概念図である。第1の実施の形態では、画素10毎に複数の光電変換部が配置される例について説明した。第3の実施の形態では、図9に示すように、画素10は一つの光電変換部を有する構成となる。その他の構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0076】
画素10は、マイクロレンズMLと、光電変換部11と、転送部12と、リセット部13と、フローティングディフュージョン(FD)14と、増幅部15と、選択部16と、加算スイッチ部17と、結合スイッチ部18とを有する。マイクロレンズMLは、撮像光学系2を介して入射された光を光電変換部11に集光する。光電変換部11は、一つのマイクロレンズMLに対応して配置される。加算スイッチ部17は、例えば行方向にそれぞれ配置される複数の画素10の各々のFD14を接続し、結合スイッチ部18は、例えば行方向にそれぞれ配置される複数の画素10の各々の増幅部15を接続する。
【0077】
本実施形態では、制御部4は、例えば、静止画撮影を行う場合は第1の制御モードを行って撮像素子3の各画素10の信号を個別に読み出し、動画撮影を行う場合は第2の制御モードを行って複数の画素10の信号を加算して読み出す。第1の制御モードでは、制御部4は、撮像素子3を制御して、各画素10の加算スイッチ部17のトランジスタM7をオフとし、結合スイッチ部18のトランジスタM8もオフとする。各画素10において、光電変換部11で光電変換された電荷は、転送部12によってFD14に転送される。そして、FD14に転送された電荷に応じた画素信号が、増幅部15及び選択部16によって垂直信号線VLに読み出される。このように、第1の制御モードでは、各画素の画素信号が個別に垂直信号線VLに読み出される。
【0078】
第2の制御モードにおいては、制御部4は、加算スイッチ部17及び結合スイッチ部18をオンとして、各画素10の光電変換部11でそれぞれ光電変換された電荷が加算される。そして、増幅部15と選択部16と結合スイッチ部18とによって、加算された電荷に応じて加算画素信号が生成されて垂直信号線VLに読み出される。以下に、第2の制御モードの1行読み出し方式を図10及び図11を参照して説明し、第2の制御モードの2行同時読み出し方式を図10及び図12を参照して説明する。
【0079】
図10は、第3の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図である。図11は、第2の制御モードの1行読み出し方式の場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。図12は、第2の制御モードの2行同時読み出し方式の場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。なお、図10に示す例では、説明を簡略化するために、画素10は行方向4画素×列方向3画素のみ図示している。図10に示す複数の画素10のうちの左下の画素10を第1行第1列の画素10(0,0)とし、図10では画素10(0,0)から画素10(2,3)までを図示している。
【0080】
図10に示すように、撮像素子3は、行列状に配置される複数の画素10と、電流源25(電流源25a~電流源25d)と、電流制御部30(電流制御部30a~電流制御部30d)と、カラム回路部40(カラム回路部40a~カラム回路部40d)と、垂直転送部50と、水平転送部60とを有する。画素10の各列に対応して垂直信号線VL(垂直信号線VLa~垂直信号線VLd)が設けられる。垂直信号線VLに対して、電流源25、電流制御部30、及びカラム回路部40が設けられる。
【0081】
図11に示す1行読み出し方式では、垂直転送部50は、信号ADD_FD2及び信号ADD_SF2をハイレベルとする。なお、信号ADD_FD1及び信号ADD_SF1は、それぞれローレベルにされる。信号ADD_FD2がハイレベルになることで、画素10(0,0)のFD14と画素10(0,1)のFD14とが互いに電気的に接続され、画素10(0,2)のFD14と画素10(0,3)のFD14とが互いに電気的に接続される。また、画素10(1,0)のFD14と画素10(1,1)のFD14とが互いに電気的に接続され、画素10(1,2)のFD14と画素10(1,3)のFD14とが互いに電気的に接続される。さらに、画素10(2,0)のFD14と画素10(2,1)のFD14とが互いに電気的に接続され、画素10(2,2)のFD14と画素10(2,3)のFD14とが互いに電気的に接続される。
【0082】
信号ADD_SF2がハイレベルになることで、画素10(0,0)の増幅部15と画素10(0,1)の増幅部15とが互いに電気的に接続され、画素10(0,2)の増幅部15と画素10(0,3)の増幅部15とが互いに電気的に接続される。また、画素10(1,0)の増幅部15と画素10(1,1)の増幅部15とが互いに電気的に接続され、画素10(1,2)の増幅部15と画素10(1,3)の増幅部15とが互いに電気的に接続される。さらに、画素10(2,0)の増幅部15と画素10(2,1)の増幅部15とが互いに電気的に接続され、画素10(2,2)の増幅部15と画素10(2,3)の増幅部15とが互いに電気的に接続される。
【0083】
信号CS1_ENはハイレベルにされ、信号CS2_ENはローレベルにされる。信号CS1_ENがハイレベルになることで、電流制御部30a、30cの各々のスイッチ部31がオンとなる。これにより、垂直信号線VLa、VLcには、それぞれ電流源25a、25cから電流が供給される。また、信号CS2_ENがローレベルになることで、電流制御部30b、30dの各々のスイッチ部31がオフとなり、スイッチ部32がオンとなる。これにより、垂直信号線VLb、VLdには、それぞれ電圧Vclipが供給される。
【0084】
図11に示す時刻t1では、信号RS<0>がハイレベルになることで、1行目の画素である画素10(0,0)~画素10(0,3)の各々のリセット部13のトランジスタM2がオンになり、FD14の電位がリセット電位になる。この場合、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の互いに電気的に接続されたFD14間では、FD14の電位が平均化される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の互いに電気的に接続されたFD14間では、FD14の電位が平均化される。
【0085】
さらに、時刻t1において、信号SEL1<0>がハイレベルになることで、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(0,0)の選択部16を介して垂直信号線VLaに出力される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(0,2)の選択部16を介して垂直信号線VLcに出力される。垂直信号線VLa、VLcに出力された1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれカラム回路部40a、40cに入力されてデジタル信号に変換される。
【0086】
時刻t2では、信号TX<0>がハイレベルになることで、画素10(0,0)、画素10(0,1)、画素10(0,2)、及び画素10(0,3)において、転送部12のトランジスタM1がオンになり、光電変換部11で光電変換された電荷が、FD14に転送される。この場合、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の各々の光電変換部11から転送された電荷は、画素10(0,0)のFD14の容量Cと画素10(0,1)のFD14の容量Cとに分配される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の各々の光電変換部11から転送された電荷は、画素10(0,2)のFD14の容量Cと画素10(0,3)のFD14の容量Cとに分配される。
【0087】
また、時刻t2では、信号SEL1<0>がハイレベルであるため、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の2つの画素の信号を平均化した加算画素信号が、画素10(0,0)の選択部16を介して垂直信号線VLaに出力される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の2つの画素の信号を平均化した加算画素信号が、画素10(0,2)の選択部16を介して垂直信号線VLcに出力される。垂直信号線VLa、VLcに出力された1行目の各画素10からの加算画素信号は、それぞれカラム回路部40a、40cに入力されてデジタル信号に変換される。
【0088】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻t3までの期間の場合と同様にして、2行目の画素からノイズ信号の読み出しと、加算画素信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、3行目の画素からノイズ信号の読み出しと、加算画素信号の読み出しとが行われる。このように、1行読み出し方式では、画素10を行単位で順次選択し、2つの画素10の光電変換部による信号を加算し、加算画素信号を第1の垂直信号線VLaに読み出すことができる。また、第2の電流源25bからの電流の供給を停止することで、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
【0089】
図12に示す2行同時読み出し方式では、垂直転送部50は、上述した図11の1行読み出し方式の場合と同様に、信号ADD_FD2及び信号ADD_SF2をハイレベルとする。なお、信号ADD_FD1及び信号ADD_SF1は、それぞれローベルにされる。また、信号CS1_ENがハイレベルにされ、信号CS2_ENもハイレベルにされる。信号CS1_ENがハイレベルになることで、垂直信号線VLa、VLcには、それぞれ電流源25a、25cから電流が供給される。また、信号CS2_ENがハイレベルになることで、垂直信号線VLb、VLdには、それぞれ電流源25b、25dから電流が供給される。
【0090】
図12に示す時刻t1では、信号RS<0>、RS<1>がハイレベルになることで、1行目の画素と2行目の画素(画素10(0、0)~画素10(1、3))の各々のリセット部13のトランジスタM2がオンとなる。この場合、互いに電気的に接続されたFD14間では、FD14の電位が平均化される。
【0091】
また、時刻t1において、信号SEL1<0>がハイレベルになることで、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(0,0)の選択部16を介して垂直信号線VLaに出力される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(0,2)の選択部16を介して垂直信号線VLcに出力される。さらに、時刻t1において、信号SEL2<1>がハイレベルになることで、画素10(1,0)及び画素10(1,1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(1,1)の選択部16を介して垂直信号線VLbに出力される。また、画素10(1,2)及び画素10(1,3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(1,3)の選択部16を介して垂直信号線VLdに出力される。垂直信号線VLa~VLdに出力された1行目及び2行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれカラム回路部40a~40dに入力されてデジタル信号に変換される。
【0092】
時刻t2では、信号TX<0>がハイレベルになることで、画素10(0,0)~画素10(0,3)において、転送部12のトランジスタM1がオンになり、光電変換部11で光電変換された電荷がFD14に転送される。また、時刻t2では、信号TX<1>がハイレベルになることで、画素10(1,0)~画素10(1,3)において、転送部12のトランジスタM1がオンになり、光電変換部11で光電変換された電荷がFD14に転送される。
【0093】
また、時刻t2では、信号SEL1<0>がハイレベルであるため、画素10(0,0)及び画素10(0,1)の2つの画素の加算画素信号が、画素10(0,0)の選択部16を介して垂直信号線VLaに出力される。また、画素10(0,2)及び画素10(0,3)の2つの画素の加算画素信号が、画素10(0,2)の選択部16を介して垂直信号線VLcに出力される。さらに、時刻t2では、信号SEL2<1>がハイレベルであるため、画素10(1,0)及び画素10(1,1)の2つの画素の加算画素信号が、画素10(1,1)の選択部16を介して垂直信号線VLbに出力される。また、画素10(1,2)及び画素10(1,3)の2つの画素の加算画素信号が、画素10(1,3)の選択部16を介して垂直信号線VLdに出力される。垂直信号線VLa~VLdに出力された1行目及び2行目の各画素10からの加算画素信号は、それぞれカラム回路部40a~40dに入力されてデジタル信号に変換される。
【0094】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻t3までの期間の場合と同様にして、3行目の画素からの信号の読み出しと、4行目の画素からの信号の読み出しとが同時に行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、5行目の画素からの信号の読み出しと、6行目の画素からの信号の読み出しとが同時に行われる。このように、2行同時読み出し方式は、2行分の画素の信号の読み出しを同時に行うことができる。このため、撮像素子3に配置された各画素10から高速に信号を読み出すことができる。
【0095】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0096】
(変形例1)
上述した第3の実施の形態では、画素10に加算スイッチ部17が設けられる例について説明した。しかし、図13に示すように、画素の構成を、加算スイッチ部17を有しない構成としてもよい。この場合、第1の制御モードでは、結合スイッチ部18のトランジスタM8がオフとなり、第3の実施の形態の場合と同様の動作となる。また、第2の制御モードにおいては、結合スイッチ部18のトランジスタM8がオンとなり、各画素10の各々の増幅部15が互いに電気的に接続される。これにより、各画素10の増幅部15の信号の加算平均化された加算画素信号が垂直信号線VLに出力される。このように、変形例1では、複数の画素10の各々の増幅部15を結合スイッチ部18を介して互いに接続することによって、複数の光電変換部からの信号を加算して垂直信号線に出力することができる。なお、結合スイッチ部18は、画素10毎に配置されなくてもよい。結合スイッチ部18を、複数の画素毎に配置して、複数の画素で共有する構成としてもよい。また、加算スイッチ部17を、複数の画素毎に配置して、複数の画素で共有する構成としてもよい。
【0097】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、1画素に2つの光電変換部を配置する例について説明したが、画素の構成はこれに限らない。画素の構成を、1画素あたり3つ以上の光電変換部を有する構成にしてもよい。この場合には、例えば、第1の制御モードでは複数の光電変換部からの信号を個別に読み出し、第2の制御モードでは複数の光電変換部のうち2つ以上の光電変換部からの信号を加算して読み出すようにしてもよい。
【0098】
(変形例3)
上述した実施の形態および変形例では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜を用いるようにしてもよい。
【0099】
(変形例4)
上述の実施の形態および変形例で説明した撮像素子3は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0100】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0101】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2017年第16285号(2017年1月31日出願)
【符号の説明】
【0102】
3 撮像素子、4 制御部、10 画素、11a 第1の光電変換部、11b 第2の光電変換部、17 加算スイッチ部、18 結合スイッチ部、50 垂直転送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13