(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/76 20230101AFI20240521BHJP
H04N 25/583 20230101ALI20240521BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/583
H04N25/78
(21)【出願番号】P 2022501949
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021006008
(87)【国際公開番号】W WO2021166978
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2020024778
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020219510
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 友希
(72)【発明者】
【氏名】綱井 史郎
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018188(WO,A1)
【文献】特開2013-051674(JP,A)
【文献】特開2015-154413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を電荷に変換する第1光電変換部と、前記第1光電変換部で変換された電荷を転送する第1転送部と、前記第1転送部により前記第1光電変換部で変換された電荷が転送される第1蓄積部と、前記第1蓄積部の電荷を排出する第1リセット部とを含む
第1画素ブロックと、
光を電荷に変換する光電変換部であって行方向において前記第1光電変換部と並んで配置される第2光電変換部と、前記第2光電変換部で変換された電荷を転送する第2転送部と、前記第2転送部により前記第2光電変換部で変換された電荷が転送される第2蓄積部と、前記第2蓄積部の電荷を排出する第2リセット部とを含む第2画素ブロックと
を有する第1基板と、
前記第1基板とともに積層される基板であって、
前記第1転送部を制御するための
第1転送制御信号を出力する第1制御ブロックと、
前記第2転送部を制御するための
第2転送制御信号を出力する第2制御ブロックとを含む制御回路部と、
前記第1リセット部と前記第2リセット部とを制御するためのリセット制御信号を出力する駆動部と
を有する第2基板と
を備え
、
前記第1転送制御信号は、前記第1転送部に電気的に接続される第1転送制御線に出力され、
前記第2転送制御信号は、前記第2転送部に電気的に接続される第2転送制御線に出力され、
前記リセット制御信号は、前記第1リセット部と前記第2リセット部とに電気的に接続されるリセット制御線に出力される、
撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記駆動部は、前記制御回路部の外側に配置される、
撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
前記駆動部は、
前記第1制御ブロックから前記第1転送制御線に前記第1転送制御信号が出力されるタイミングと、
前記第2制御ブロックから前記第2転送制御線に前記第2転送制御信号が出力されるタイミングと
を制御するための転送選択制御信号を出力し、
前記転送選択制御信号は、前記第1制御ブロックと前記第2制御ブロックとに電気的に接続される転送選択制御線に出力される、
撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記駆動部は、
前記第1制御ブロックから前記第1転送制御線に前記第1転送制御信号が出力されるタイミングと、
前記第2制御ブロックから前記第2転送制御線に前記第2転送制御信号が出力されるタイミングと
が異なるタイミングになるように前記転送選択制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の撮像素子において、
前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する複数の接続部を備え、
前記複数の接続部は、
前記転送選択制御線と前記駆動部とを電気的に接続する第1接続部と、
前記転送選択制御線と前記第1制御ブロックとを電気的に接続する第2接続部と、
前記転送選択制御線と前記第2制御ブロックとを電気的に接続する第3接続部と
を有する、
撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記複数の接続部は、前記リセット制御線と前記駆動部とを電気的に接続する第4接続部を有する、
撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、
前記第1蓄積部に電気的に接続される第1増幅部と、
前記第1増幅部に電気的に接続される第1選択部と
を有し、
前記第2画素ブロックは、
前記第2蓄積部に電気的に接続される第2増幅部と、
前記第2増幅部に電気的に接続される第2選択部と
を有し、
前記駆動部は、前記第1選択部と前記第2選択部とを制御するための選択制御信号を出力し、
前記選択制御信号は、前記第1選択部と前記第2選択部とに電気的に接続される選択制御線に出力される、
撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記複数の接続部は、前記選択制御線と前記駆動部とを電気的に接続する第5接続部を有する、
撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、前記第1光電変換部の電荷を排出するための第1排出部を有し、
前記第2画素ブロックは、前記第2光電変換部の電荷を排出するための第2排出部を有し、
前記第1制御ブロックは、前記第1排出部を制御するための第1排出制御信号を出力し、
前記第2制御ブロックは、前記第2排出部を制御するための第2排出制御信号を出力し、
前記第1排出制御信号は、前記第1排出部に電気的に接続される第1排出制御線に出力され、
前記第2排出制御信号は、前記第2排出部に電気的に接続される第2排出制御線に出力される、
撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、前記第1画素ブロックと対向する位置に配置され、
前記第2制御ブロックは、前記第2画素ブロックと対向する位置に配置される、
撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2基板は、
前記第1光電変換部から前記第1蓄積部に転送された電荷により生成される第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部と、
前記第2光電変換部から前記第2蓄積部に転送された電荷により生成される第2信号をデジタル信号に変換する第2変換部と
を有する、
撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第1変換部と前記第2変換部とは、前記制御回路部の外側に配置される、
撮像素子。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像素子において、
前記第1変換部と前記第2変換部とは、前記駆動部とは異なる位置に配置される、
撮像素子。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の撮像素子において、
前記制御回路部は、列方向において前記第1変換部と前記第2変換部との間に配置される、
撮像素子。
【請求項15】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、前記第1光電変換部から前記第1蓄積部に転送された電荷により生成される第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部を有し、
前記第2制御ブロックは、前記第2光電変換部から前記第2蓄積部に転送された電荷により生成される第2信号をデジタル信号に変換する第2変換部を有する、
撮像素子。
【請求項16】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1基板は、光を電荷に変換する光電変換部であって列方向において前記第1光電変換部と並んで配置される第3光電変換部と、前記第3光電変換部で変換された電荷を転送する第3転送部と、前記第3転送部により前記第3光電変換部で変換された電荷が転送される第3蓄積部とを含む第3画素ブロックを有し、
前記第2基板は、前記第3転送部を制御するための第3転送制御信号を出力する第3制御ブロックを有する、
撮像素子。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、前記第1画素ブロックと対向する位置に配置され、
前記第2制御ブロックは、前記第2画素ブロックと対向する位置に配置され、
前記第3制御ブロックは、前記第2画素ブロックと対向する位置に配置される、
撮像素子。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の撮像素子において、
前記第2基板は、
前記第1光電変換部から前記第1蓄積部に転送された電荷により生成される第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部と、
前記第2光電変換部から前記第2蓄積部に転送された電荷により生成される第2信号をデジタル信号に変換する第2変換部と
を有し、
前記第1変換部は、前記第3光電変換部から前記第3蓄積部に転送された電荷により生成される第3信号をデジタル信号に変換する、
撮像素子。
【請求項19】
請求項18に記載の撮像素子において、
前記第1変換部と前記第2変換部とは、前記制御回路部の外側に配置される、
撮像素子。
【請求項20】
請求項19に記載の撮像素子において、
前記第1変換部と前記第2変換部とは、前記駆動部とは異なる位置に配置される、
撮像素子。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の撮像素子において、
前記制御回路部は、前記列方向において前記第1変換部と前記第2変換部との間に配置される、
撮像素子。
【請求項22】
請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1信号と前記第3信号とは、前記第1変換部に電気的に接続される第1信号線に読み出され、
前記第2信号は、前記第2変換部に電気的に接続される第2信号線に読み出される、
撮像素子。
【請求項23】
請求項16または請求項17に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、前記第1光電変換部から前記第1蓄積部に転送された電荷により生成される第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部を有し、
前記第2制御ブロックは、前記第2光電変換部から前記第2蓄積部に転送された電荷により生成される第2信号をデジタル信号に変換する第2変換部を有し、
前記第3制御ブロックは、前記第3光電変換部から前記第3蓄積部に転送された電荷により生成される第3信号をデジタル信号に変換する第3変換部を有する、
撮像素子。
【請求項24】
請求項23に記載の撮像素子において、
前記第1信号は、前記第1変換部に電気的に接続される第1信号線に読み出され、
前記第2信号は、前記第2変換部に電気的に接続される第2信号線に読み出され、
前記第3信号は、前記第3変換部に電気的に接続される第3信号線に読み出される、
撮像素子。
【請求項25】
請求項1から請求項24のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素を有する撮像装置において、画素毎の露光時間を変化させることが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1 特表2015-532797号公報
【0003】
従来の撮像装置では、回路の簡素化が望まれている。
【一般的開示】
【0004】
本発明の第1の態様においては、1または複数の画素を含む複数の画素ブロックを有する第1基板と、複数の画素ブロックのうち第1画素ブロックに含まれる画素の露光時間を制御するための第1露光制御部を含む第1制御ブロックと、複数の画素ブロックのうち第2画素ブロックに含まれる画素の露光時間を制御するための第2露光制御部を含む第2制御ブロックとを含む制御回路部と、制御回路部の外側に配置され、複数の画素ブロックのうち少なくとも第1画素ブロックおよび第2画素ブロックにそれぞれ含まれる画素の信号読出を制御する周辺回路部とを有する第2基板と、を備える撮像素子を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、第1の態様の撮像素子を備える撮像装置を提供する。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。
【
図1B】画素部110の具体的な構成の一例を示す。
【
図1D】制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。
【
図1E】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
【
図2A】撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。
【
図2B】撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。
【
図3】比較例に係る撮像素子の撮像動作を示すタイミングチャートを示す。
【
図4A】撮像素子400が撮像する被写体の一例を示す。
【
図4B】撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートを示す。
【
図7】制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。
【
図9】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
【
図10】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
【
図11】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
【
図12】撮像素子400の画素ブロック120内での撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。
【
図13】画素ブロック120毎の露光タイミングの一例を示す。
【
図14】他の実施形態による撮像素子800の概要を示す図である。
【
図15】画素部610の具体的な構成の一例を示す。
【
図16】制御回路部710のより具体的な構成の一例を示す。
【
図17】画素ブロック620毎の露光タイミングの一例を示す。
【
図18】撮像素子400、800の画素114の別例を示す。
【
図19】画素114を用いた画素ブロック120内での撮像動作を示すタイミングチャートの例を示す。
【
図20】画素114を用いた画素ブロック120毎の露光タイミングの一例を示す。
【
図21】実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
本明細書において、X軸とY軸とは互いに直交し、Z軸はXY平面に直交する。XYZ軸は右手系を構成する。Z軸と平行な方向を撮像素子400の積層方向と称する場合がある。本明細書において、「上」及び「下」の用語は、重力方向における上下方向に限定されない。これらの用語は、Z軸方向における相対的な方向を指すに過ぎない。なお、本明細書では、X軸方向の配列を「行」とし、Y軸方向の配列を「列」として説明するが、行列方向はこれに限定されない。
【0010】
図1Aは、本実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。撮像素子400は、被写体を撮像する。撮像素子400は、撮像された被写体の画像データを生成する。撮像素子400は、第1基板100および第2基板200を備える。
図1Aに示すように、第1基板100は、第2基板200に積層されている。
【0011】
第1基板100は、画素部110を有する。画素部110は、入射された光に基づく画素信号を出力する。
【0012】
第2基板200は、制御回路部210および周辺回路部230を有する。
【0013】
制御回路部210は、第1基板100から出力された画素信号が入力される。制御回路部210は、入力された画素信号を処理する。本例の制御回路部210は、第2基板200において、画素部110と対向する位置に配置されている。制御回路部210は、画素部110の駆動を制御するための制御信号を画素部110に出力してもよい。
【0014】
周辺回路部230は、制御回路部210の駆動を制御する。一例において、周辺回路部230は、画素部110に含まれる画素の信号読出を制御する。周辺回路部230は、第2基板200において、制御回路部210の周辺に配置されている。また、周辺回路部230は、第1基板100と電気的に接続され、画素部110の駆動を制御してもよい。本例の周辺回路部230は、第2基板200の2辺に沿って配置されているが、周辺回路部230の配置方法は本例に限られない。
【0015】
なお、撮像素子400は、第1基板100および第2基板200に加えて、第2基板200に積層されたメモリチップを有してもよい。例えば、メモリチップは、第2基板200が出力した信号に応じた画像処理を行う。また、撮像素子400の構造は、裏面照射型であっても、表面照射型であってもよい。
【0016】
図1Bは、画素部110の具体的な構成の一例を示す。本例では、画素部110と、画素部110に設けられた画素ブロック120の拡大図を示している。
【0017】
画素部110は、行方向および列方向に沿って並んで配置された複数の画素群115を有する。本例の画素部110は、M×N個(M,Nは、自然数)の画素群115を有する。本例では、MがNと等しい場合を図示しているが、MとNは異なっていてもよい。
【0018】
画素群115は、少なくとも1つの画素112を有する。本例の画素群115は、m×n個(m,nは、自然数)の画素112を有する。例えば、画素群115は、16×16個の画素112を有する。画素群115に対応する画素112の個数はこれに限定されない。本例では、mがnと等しい場合を図示しているが、mはnと異なっていてもよい。画素群115は、行方向において共通の制御線に接続された複数の画素112を有する。例えば、画素群115のそれぞれの画素112は、同一の露光時間に設定されるように共通の制御線に接続されている。一例において、行方向に並ぶn個の画素112が共通の制御線によって接続される。
【0019】
一方、画素群115は、それぞれ異なる露光時間に設定されてよい。即ち、画素群115のそれぞれの画素112は同一の露光時間であるが、他の画素群115では異なる露光時間に設定されてよい。例えば、画素群115の画素112が行方向に共通の制御線で接続されている場合に、他の画素群115の画素112が異なる制御線で共通に接続される。
【0020】
画素ブロック120は、1または複数の画素群115を有する。本例の画素ブロック120は、列方向に沿って並んで配置された2つの画素群115を有する。画素ブロック120は、後述する制御ブロック220に対応して配置される。即ち、1つの制御ブロック220に対して、2つの画素群115が配置されている。画素ブロック120が複数の画素群115を有する場合、それぞれの画素群115が異なる露光時間に設定されてよい。画素ブロック120が1つの画素群115を有する場合、制御ブロック220に対して1つの画素群115が配置される。画素ブロック120は、2m×n個の画素112を有する。例えば、画素ブロック120は、32×16個の画素112を有する。画素ブロック120に対応する画素112の個数はこれに限定されない。
【0021】
画素112は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。画素112は、光電変換された電荷を蓄積する。2m個の画素112は、列方向に沿って配置され、共通の信号線122に接続されている。そして、2m個の画素112は、画素ブロック120において、行方向にn列並んで配列されている。
【0022】
図1Cは、画素112の回路構成の一例を示す。画素112は、光電変換部104と、転送部123と、排出部124と、リセット部126と、画素出力部127とを備える。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。本例では、転送部123、排出部124、リセット部126、増幅部128および選択部129は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0023】
光電変換部104は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部104は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部104は、例えば、フォトダイオードである。
【0024】
転送部123は、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。転送部123は、光電変換部104の電荷を転送するトランスファーゲートの一例である。転送部123のゲート端子は、第1転送制御信号φTX1を入力するためのローカル制御線に接続される。ローカル制御線については後述する。
【0025】
排出部124は、光電変換部104に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。排出部124のゲート端子は、第2転送制御信号φTX2を入力するためのローカル制御線に接続される。なお、本例では、排出部124は、光電変換部104の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0026】
蓄積部125は、転送部123により光電変換部104からの電荷が転送される。蓄積部125は、フローティングディフュージョン(FD)の一例である。
【0027】
リセット部126は、蓄積部125の電荷を所定の電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。リセット部126のゲート端子は、リセット制御信号φRSTを入力するためのグローバル制御線163に接続される。グローバル制御線163については後述する。
【0028】
画素出力部127は、蓄積部125の電位に基づく信号を信号線122に出力する。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。増幅部128は、ゲート端子が蓄積部125に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部129のドレイン端子に接続される。
【0029】
選択部129は、画素112と信号線122の間の電気的な接続を制御する。選択部129により画素112と信号線122が電気的に接続されると、画素112から信号線122に画素信号が出力される。選択部129のゲート端子は、選択制御信号φSELを入力するためのグローバル制御線163に接続される。選択部129のソース端子は負荷電流源121に接続されている。
【0030】
負荷電流源121は、信号線122に電流を供給する。負荷電流源121は、第1基板100に設けられてもよいし、第2基板200に設けられてもよい。
【0031】
図1Dは、制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。本例では、制御回路部210と、制御回路部210に設けられた制御ブロック220の拡大図を示している。
【0032】
制御回路部210は、行方向および列方向に沿って配置された制御ブロック220を有する。本例の制御回路部210は、(M/2)×N個の制御ブロック220を有する。本例では、制御回路部210は、列方向に沿って並んで配置された2つの画素群115に対して1つの制御ブロック220を有している。
【0033】
制御ブロック220は、画素ブロック120に対応した位置にそれぞれ配置される。制御ブロック220は、対応する画素ブロック120の駆動を制御する。例えば、制御ブロック220は、画素ブロック120の露光時間を制御する。制御ブロック220は、画素群115毎に露光時間を制御してもよい。また、制御ブロック220は、ADコンバータ等の処理回路を有し、画素ブロック120が出力した信号を処理する。一例において、制御ブロック220は、対応する画素ブロック120から出力されたアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。本例の制御ブロック220は、露光制御部10と、画素駆動部20と、接合部30と、信号処理部40と、信号出力部50とを備える。
【0034】
露光制御部10は、複数の画素112の露光を制御する。露光制御部10は、画素112の露光時間を制御するための信号を生成する。一例において、露光制御部10は、露光の開始タイミングまたは終了タイミングの少なくとも1つを調整して、画素群115毎の露光時間を制御する。本例の露光制御部10は、行方向に延伸して設けられる。
【0035】
画素駆動部20は、第1基板100と接合され、複数の画素112を駆動させる。画素駆動部20は、複数の画素112から、任意の画素112を選択して駆動する。本例の画素駆動部20は、列方向に延伸して設けられる。これにより、画素駆動部20は、列方向に配置された2m個の画素112と対応した位置に配置されている。露光制御部10および画素駆動部20は、画素駆動部20が列方向に延伸して、露光制御部10が行方向に延伸することにより、L字型に配置されている。
【0036】
接合部30は、第1基板100と第2基板200とを接合する。接合部30は、第1基板100から入力された画素信号を信号処理部40に入力する。接合部30は、行方向に配置されたn個の画素112に対応して設けられ、信号処理部40に画素信号を列毎に入力する。
【0037】
信号処理部40は、画素部110が出力したアナログ信号をデジタル変換する。本例の信号処理部40は、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。信号処理部40は、列方向に配列された2m個の画素112からのアナログ信号を順次デジタル変換する。信号処理部40は、行方向にn列に並んだ画素112からのアナログ信号を並列にデジタル変換する。
【0038】
信号出力部50は、信号処理部40からデジタル信号を受信する。一例において、信号出力部50は、デジタル信号を一時的に記憶する。信号出力部50は、デジタル信号を記憶するためのラッチ回路を有してよい。信号出力部50は、列方向において、信号処理部40と露光制御部10との間に設けられ、デジタル信号を出力する。本例の信号出力部50は、制御回路部210の外部にデジタル信号を出力する。信号出力部50は、行方向に延伸し、信号処理部40および露光制御部10と隣接して設けられる。
【0039】
本例の撮像素子400は、画素ブロック120毎に設けられた制御ブロック220によって、画素信号を並列に読み出す機能を有する。撮像素子400は、入射光の強度に応じて、画素群115毎に露光時間を設定が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0040】
図1Eは、撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。本例のグローバル駆動部234は、制御回路部210の両端を挟んで配置された周辺回路部230に設けられている。
【0041】
ローカル制御線161は、画素ブロック120aに接続される。本例のローカル制御線161は、画素ブロック120aに設けられた転送部123および排出部124のゲート端子に接続される。ローカル制御線161は、制御ブロック220aから出力された第1転送制御信号φTX1および第2転送制御信号φTX2を画素ブロック120aに供給する。ローカル制御線161は、画素ブロック120の第1画素に接続される第1制御線の一例である。なお、ローカル制御線161は、画素ブロック120aの画素群115に対応して設けられてもよい。例えば、画素群115において、行方向に並ぶn個の画素112に対して共通のローカル制御線161が接続される。
【0042】
ローカル制御線162は、画素ブロック120bに接続される。本例のローカル制御線162は、画素ブロック120bに設けられた転送部123および排出部124のゲート端子に接続される。ローカル制御線162は、制御ブロック220bから出力された第1転送制御信号φTX1および第2転送制御信号φTX2を画素ブロック120bに供給する。ローカル制御線162は、画素ブロック120の第2画素に接続される第2制御線の一例である。なお、ローカル制御線162は、画素ブロック120bの画素群115に対応して設けられてもよい。例えば、画素群115において、行方向に並ぶn個の画素112に対して共通のローカル制御線162が接続される。
【0043】
グローバル駆動部234は、リセット制御信号φRST、選択制御信号φSELおよび転送選択制御信号φTXSELを出力する。グローバル駆動部234は、それぞれの画素ブロック120に信号を出力するグローバル制御線163に接続されている。グローバル駆動部234は、グローバル制御線163を介して複数の画素ブロック120に、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELを供給する。グローバル駆動部234は、グローバル制御線163を介して複数の制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0044】
転送選択制御信号φTXSELは、画素群115毎の露光時間を制御するために、グローバル駆動部234から制御ブロック220に供給される。転送選択制御信号φTXSELが供給された制御ブロック220は、転送選択制御信号φTXSELを対応する画素ブロック120に出力する。画素ブロック120は、転送選択制御信号φTXSELを、第1転送制御信号φTX1または第2転送制御信号φTX2として画素112に入力するか否かを決定する。これにより、画素112への第1転送制御信号φTX1または第2転送制御信号φTX2の入力がスキップされる。
【0045】
例えば、制御ブロック220は、第1転送制御信号φTX1が露光の終了時刻を決定する場合、第1転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を延長する。また、制御ブロック220は、第1転送制御信号φTX1が露光の開始時刻を決定する場合、第1転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を短縮できる。このように、転送選択制御信号φTXSELによって、画素群115の露光時間を調整することができる。第2転送制御信号φTX2が露光の開始時刻または終了時刻を決定する場合も同様である。
【0046】
グローバル制御線163は、複数の画素ブロック120に共通して設けられる。本例のグローバル制御線163は、行方向に第1基板100を横断するように配線されている。グローバル制御線163は、列方向に第1基板100を横断するように配線されてもよい。グローバル制御線163は、ローカル制御線161に接続された画素と、ローカル制御線162に接続された画素と共通に設けられる第3制御線の一例である。
【0047】
例えば、グローバル制御線163は、画素ブロック120のリセット部126および選択部129のゲート端子に接続され、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELを供給する。また、グローバル制御線163は、複数の制御ブロック220のそれぞれに接続され、露光制御部10に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0048】
なお、本例のグローバル駆動部234は、第2基板200から第1基板100に転送選択制御信号φTXSELを出力しているが、第1基板100に供給せずに制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを出力してもよい。この場合、グローバル制御線163は、第2基板200に設けられる。
【0049】
複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200が互いに接合する接合面に設けられる。第1基板100のバンプ152は、第2基板200のバンプ152と位置合わせされている。対向する複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200の加圧処理等により接合されて、電気的に接続される。
【0050】
本例の撮像素子400は、ローカル制御線によって、転送部123および排出部124の少なくとも1つのタイミングを変化させることにより、画素群115毎に露光時間を制御する。撮像素子400は、ローカル制御線とグローバル制御線を組み合わせることにより、より少ない制御線で露光時間の制御を実現することができる。
【0051】
図2Aは、撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。本例では、第1転送制御信号φTX1、第2転送制御信号φTX2、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、撮像素子400の駆動を制御する。
【0052】
第2転送制御信号φTX2は、露光を開始するタイミングを制御する。露光の開始タイミングは、第2転送制御信号φTX2の立ち下りのタイミング(例えば、時刻T1)に対応する。即ち、露光の開始時刻T1の前に、第2転送制御信号φTX2は、排出部124をオンして、光電変換部104に蓄積された電荷を排出して、第2転送制御信号φTX2の立ち下りで露光が開始する。本例の第2転送制御信号φTX2は、ローカル制御されているので、画素群115毎に露光時間を調整することができる。
【0053】
第1転送制御信号φTX1は、露光を終了するタイミングを制御する。時刻T3において、第1転送制御信号φTX1は、転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。露光の終了タイミングは、第1転送制御信号φTX1の立ち下がりのタイミング(例えば、時刻T4)に対応する。本例の第1転送制御信号φTX1は、グローバル制御された信号であるので、各画素群115で露光を終了するタイミングが同じである。
【0054】
リセット制御信号φRSTは、蓄積部125に蓄積された電荷の排出のタイミングを制御する。時刻T2において、リセット制御信号φRSTは、リセット部126をオンすることにより、蓄積部125の電荷を排出する。本例では、露光の終了のタイミングの前に蓄積部125の電荷を排出しておくことにより、光電変換部104からの電荷の転送時に、蓄積部125に残った電荷の影響を抑制できる。
【0055】
選択制御信号φSELは、任意の画素112を選択するための信号である。選択制御信号φSELは、選択部129のオンオフを制御する。時刻T2において、選択制御信号φSELがハイに設定される。時刻T3において、選択制御信号φSELがハイに設定された画素112は、第1転送制御信号φTX1のオンに応じて信号線122に画素信号を出力する。一方、選択制御信号φSELがハイに設定されていない画素112では、画素信号が出力されない。
【0056】
本例の撮像素子400は、第2転送制御信号φTX2をローカル制御することにより、画素群115毎に露光の開始タイミングを変更して、画素群115毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1をローカル制御することにより、露光の終了タイミングを画素群115毎に制御してもよい。そして、撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1と第2転送制御信号φTX2の両方をローカル制御することにより、露光の開始タイミングと終了タイミングの両方を画素群115毎に制御してもよい。
【0057】
図2Bは、撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。本例では、第1転送制御信号φTX1、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、撮像素子400の駆動を制御する。本例の撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1によって、露光の開始のタイミングを制御する点で
図2Aの場合と相違する。本例では、
図2Aと相違する点について特に説明する。
【0058】
第1転送制御信号φTX1は、露光の開始および終了のタイミングを制御する。フレーム(n)において、時刻T5で露光が開始して、時刻T7で露光が終了している。
【0059】
露光の開始時刻T5において、第1転送制御信号φTX1が立ち下がることにより、露光が開始する。即ち、露光の開始時刻T5の前に、第1転送制御信号φTX1は、リセット制御信号φRSTがオンされた状態で転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を排出して、第1転送制御信号φTX1の立ち下りで露光が開始する。本例の第1転送制御信号φTX1は、ローカル制御された信号であるので、各画素群115で露光を開始するタイミングを変化させることができる。但し、各画素群115で露光を開始するタイミングを合わせてもよい。
【0060】
また、露光の終了時刻T7において、第1転送制御信号φTX1が立ち下がることにより、露光が終了する。即ち、露光の終了時刻T7の前に、第1転送制御信号φTX1は、リセット制御信号φRSTがオフされた状態で転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送して、第1転送制御信号φTX1の立ち下りで露光が終了する。本例の第1転送制御信号φTX1は、ローカル制御された信号であるので、各画素群115で露光を終了するタイミングを変化させることができる。但し、各画素群115で露光を終了するタイミングを合わせてもよい。
【0061】
選択制御信号φSELは、任意の画素112を選択するための信号である。時刻T6において、選択制御信号φSELがハイに設定された画素112は、信号線122に画素信号を出力する。
【0062】
リセット制御信号φRSTは、蓄積部125に蓄積された電荷の排出のタイミングを制御する。リセット制御信号φRSTは、グローバル制御された信号であってよい。リセット制御信号φRSTが読み出しのタイミング以外で常時オンしているので、蓄積部125に電荷が蓄積されない。一方、読み出しのタイミングでリセット制御信号φRSTをオフして、第1転送制御信号φTX1をオンすることにより、光電変換部104から蓄積部125に電荷を転送させる。本例のリセット制御信号φRSTでは、読み出し時の切り替えのタイミングが同じなので、選択制御信号φSELのパルスと共通化することができる。
【0063】
本例の撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1をローカル制御することにより、画素群115毎に露光の開始または終了のタイミングを変更して、画素群115毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子400は、リセット制御信号φRSTと選択制御信号φSELのパルスを共通化しているので、制御回路をさらに簡略化することができる。
【0064】
図3は、比較例に係る撮像素子の撮像動作を示すタイミングチャートを示す。本例では、第1転送制御信号φTX1、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、撮像素子の駆動を制御する。
【0065】
比較例では、第1転送制御信号φTX1およびリセット制御信号φRSTによって露光の開始を制御している。露光の開始タイミングは、第1転送制御信号φTX1およびリセット制御信号φRSTの立ち下がりのタイミング(時刻t1)である。露光の終了タイミングは、第1転送制御信号φTX1の立ち下がりのタイミング(時刻t2)である。比較例では、露光の開始タイミングおよび終了タイミングがグローバル制御されており、画素群115毎に露光時間を制御していない。
【0066】
図4Aは、撮像素子400が撮像する被写体の一例を示す。本例の撮像素子400は、トンネルの外に西日が差している状況において、画素群115毎に露光時間を制御する。
【0067】
領域1~領域5は、明るさに応じて分けられた5つの領域である。領域1~領域5は、明るい順に番号が振られている。領域1は、西日が直接見えている最も明るい領域である。領域2は、トンネルの出口に対応する領域であり、領域1よりも暗い。領域3は、トンネル内で西日が反射している領域であり、領域2よりも暗い。領域4は、トンネル内で出口からの西日に差し込まれた領域であり、領域3よりも暗い。領域5は、トンネル内で出口からの西日に差し込まれていない最も暗い領域である。
【0068】
撮像素子400は、各領域の明るさに応じて、画素群115毎に露光時間を制御する。撮像素子400は、明るい領域の画素群115ほど露光時間が短くなるように制御する。領域1の露光時間を最も短く設定して、領域5の露光時間を最も長く設定する。例えば、領域1~領域5の露光時間は、1/19200s、1/1920s、1/960s、1/240sおよび1/120sである。
【0069】
図4Bは、撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートを示す。本例の撮像素子400は、領域1~領域5の画素群115毎に露光時間を制御している。本例では、時刻T11から時刻T19までの区間が、動画フレームレートに対応している。
【0070】
領域1において、制御ブロック220は、画素群115における露光時間が予め定められた露光時間ET1となるように駆動を制御する。本例の制御ブロック220は、露光の開始を第2転送制御信号φTX2で制御して、露光の終了を第1転送制御信号φTX1で制御している。領域1では、時刻T12~時刻T19のそれぞれで露光が終了している。
【0071】
領域2において、制御ブロック220は、画素群115における露光時間がET1よりも長い露光時間ET2となるように駆動を制御する。制御ブロック220は、領域2の露光開始時刻を領域1よりも早め、露光の終了時刻を領域1と一致させている。よって、領域2では、時刻T12~時刻T19のそれぞれで露光が終了している。領域2の露光時間ET2は、センサレートの周期よりも短い。
【0072】
領域3において、制御ブロック220は、画素群115における露光時間がET2よりも長い露光時間ET3となるように駆動を制御する。制御ブロック220は、領域3の露光開始時刻を領域2よりも早め、露光の終了時刻を領域2と一致させている。よって、領域3では、時刻T12~時刻T19のそれぞれで露光が終了している。領域3の露光時間ET3は、センサレートの周期と同一になるように設定されている。
【0073】
領域4において、制御ブロック220は、画素群115における露光時間がET3よりも長い露光時間ET4となるように駆動を制御する。制御ブロック220は、領域4を領域3と同じ露光開始時刻とする一方で、露光の終了時刻を転送選択制御信号φTXSELによりスキップする。本例の制御ブロック220は、転送選択制御信号φTXSELにより3回スキップすることにより、領域3の4倍の露光時間を実現している。領域4では、時刻T12~時刻T14のそれぞれの時刻で転送選択制御信号φTXSELが供給されている。
【0074】
領域5において、制御ブロック220は、画素群115における露光時間がET4よりも長い露光時間ET5となるように駆動を制御する。制御ブロック220は、領域5を領域4と同じ露光開始時刻とする一方で、露光の終了時刻を転送選択制御信号φTXSELによりスキップする回数を増やしている。本例の制御ブロック220は、転送選択制御信号φTXSELにより7回スキップすることにより、領域4の2倍の露光時間を実現している。領域5の露光時間ET5は、動画フレームレートの周期と同一になるように設定されている。領域5では、時刻T12~時刻T18のそれぞれの時刻で転送選択制御信号φTXSELが供給されている。
【0075】
本例の撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1と第2転送制御信号φTX2の間隔を近づけることで短秒露光を実現する。また、撮像素子400は、転送選択制御信号φTXSELにより第1転送制御信号φTX1の制御をスキップすることで長秒露光を実現している。これにより、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0076】
図5は、撮像素子400の概要を示す図である。撮像素子400は、被写体を撮像する。撮像素子400は、撮像された被写体の画像データを生成する。撮像素子400は、第1基板100および第2基板200を備える。
図5に示すように、第1基板100は、第2基板200に積層されている。
【0077】
第1基板100は、画素部110および接続領域150を有する。画素部110は、光が入射される。画素部110は、入射された光に基づく画素信号を出力する。第1基板100を画素チップと称することがある。接続領域150は画素部110の周辺に配される。
図5の例では画素部110の手前と奥に、第1基板100の向かい合う2辺に沿って接続領域150が一対配される。
【0078】
第2基板200は、制御回路部210、周辺回路部230および信号処理部250を有する。第2基板200を処理回路チップと称することがある。
【0079】
制御回路部210は、画素部110の駆動を制御するための制御信号を画素部110に出力する。本例の制御回路部210は、第2基板200において、画素部110と対向する位置に配置されている。
【0080】
周辺回路部230は、制御回路部210の駆動を制御する。周辺回路部230は、第2基板200において、制御回路部210の周辺に配置されている。また、周辺回路部230は、第1基板100と電気的に接続され、画素部110の駆動を制御してもよい。本例の周辺回路部230は、第2基板200の向かい合う2辺に沿って配置されているが、周辺回路部230の配置方法は本例に限られない。
【0081】
信号処理部250には、第1基板100から出力された画素信号が入力される。信号処理部250は画素信号に対する信号処理を行う。例えば、信号処理部250は、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理を行う。具体的には、信号処理部250は、入力された画素信号をデジタル信号に変換する処理を行う。信号処理部250は他の信号処理を行ってもよい。他の信号処理の例としてアナログまたはデジタルのCDS(相関二重サンプリング)などのノイズ除去処理が挙げられる。信号処理部250は制御回路部210の周辺すなわち外側に配される。
図5の例では、制御回路部210の手前と奥に、第2基板200の向かい合う2辺に沿って信号処理部250が一対配される。
【0082】
なお、撮像素子400は、第1基板100および第2基板200に加えて、第2基板200に積層された第3基板を有してもよい。第3基板には画像データを記憶するメモリが配されてもよい。さらに、第3基板は、第2基板200が出力した信号に応じた画像処理を行ってもよい。また、撮像素子400の構造は、裏面照射型であっても、表面照射型であってもよい。
【0083】
図6は、画素部110の具体的な構成の一例を示す。本例では、画素部110と、画素部110に設けられた画素ブロック120の拡大図を示している。
【0084】
画素部110は、行方向および列方向に沿って並んで配置された複数の画素ブロック120を有する。本例の画素部110は、M×N個(M,Nは、自然数)の画素ブロック120を有する。本例では、MがNと等しい場合を図示しているが、MとNは異なっていてもよい。
【0085】
画素ブロック120は、少なくとも1つの画素112を有する。本例の画素ブロック120は、m×n個(m,nは、自然数)の画素112を有する。例えば、画素ブロック120は、16×16個の画素112を有する。画素ブロック120に対応する画素112の個数はこれに限定されない。本例では、mがnと等しい場合を図示しているが、mはnと異なっていてもよい。画素ブロック120は、行方向において共通の制御線に接続された複数の画素112を有する。例えば、画素ブロック120のそれぞれの画素112は、同一の露光時間に設定されるように共通の制御線に接続されている。一例において、行方向に並ぶn個の画素112が共通の制御線によって接続される。
【0086】
一方、複数の画素ブロック120同士では、それぞれ異なる露光時間に設定されてよい。即ち、画素ブロック120のそれぞれの画素112は同一の露光時間であるが、他の画素ブロック120では異なる露光時間に設定されてよい。例えば、画素ブロック120の画素112が行方向に共通の制御線で接続されている場合に、他の画素ブロック120の画素112が異なる制御線で共通に接続される。
【0087】
画素ブロック120は、後述する制御ブロック220に対応して配置される。本実施形態では、1つの制御ブロック220に対して、1つの画素ブロック120が配置されている。
【0088】
画素112は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。画素112は、光電変換された電荷を蓄積する。m個の画素112は、列方向に沿って並んで配置され、共通の信号線122に接続されている。そして、m個の画素112は、画素ブロック120において、行方向にn列並んで配列されている。
【0089】
換言すれば、画素ブロック120は、共通の制御線で接続された複数の画素112のあつまりである。また、画素ブロック120は、同一の露光時間が設定される複数の画素112の回路の最小単位であるともいえる。
【0090】
図7は、制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。本例では、制御回路部210と、制御回路部210に設けられた制御ブロック220の拡大図を示している。
【0091】
制御回路部210は、行方向および列方向に沿って並んで配置された制御ブロック220を有する。本例の制御回路部210は、M×N個の制御ブロック220を有する。
【0092】
制御ブロック220は、画素ブロック120に対応した位置にそれぞれ配置される。例えば、制御ブロック220と画素ブロック120は第1基板100と第2基板200の積層方向から見て重なった位置に配される。この場合に、制御ブロック220と画素ブロック120の面積は隣接するブロック間のマージンを含めて略同一であってよい。
【0093】
制御ブロック220は、対応する画素ブロック120の駆動を制御する。例えば、制御ブロック220は、対応する画素ブロック120の露光時間を制御する。本例の制御ブロック220は、露光制御部10と、画素駆動部20とを備える。
【0094】
露光制御部10は、複数の画素112の露光を制御する。露光制御部10は、画素112の露光時間を制御するための信号を生成する。一例において、露光制御部10は、露光の開始タイミングまたは終了タイミングの少なくとも1つを調整して、画素ブロック120毎の露光時間を制御する。
【0095】
画素駆動部20は、複数の画素112と電気的に接続され、当該複数の画素112を駆動させる。画素駆動部20は、複数の画素112から、任意の画素112を選択して駆動する。画素駆動部20は、列方向に配置されたm個の画素112と対応した位置に配置されている。撮像素子400は、入射光の強度に応じて、画素ブロック120毎に露光時間を設定が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0096】
1つの画素ブロック120に対して1つの制御ブロック220を設けることに代えて、N個(Nは2以上の自然数)の画素ブロック120に対して1つの制御ブロックを設けてもよい。1つの画素ブロックに対応したN個の画素ブロック120を画素ブロック群と称することがある。例えば、列方向に沿って並んで配置された2つの画素ブロック120を1つの画素ブロック群として、1つの制御ブロック220を設けてもよい。この場合、制御ブロック220は、画素ブロック120毎に露光時間を制御してもよい。
【0097】
付言すれば、制御ブロック220は、少なくとも1つの画素ブロック120に電気的に接続され、当該少なくとも1つの画素ブロック120の画素112の露光を制御する回路の最小単位であるともいえる。
【0098】
図8は、画素112の回路構成の一例を示す。画素112は、光電変換部104と、転送部123と、排出部124と、リセット部126と、画素出力部127とを備える。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。本例では、転送部123、排出部124、リセット部126、増幅部128および選択部129は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0099】
光電変換部104は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部104は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部104は、例えば、フォトダイオードである。
【0100】
転送部123は、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。転送部123は、光電変換部104の電荷を転送するトランスファーゲートの一例である。換言すれば、転送部123をゲートとし、光電変換部104をソースとし、蓄積部125をドレインとして、これらがいわゆる転送トランジスタを構成している。転送部123のゲート端子は、制御信号φTX1を入力するための画素ブロック120ごとのローカルな転送制御線に接続される。
【0101】
排出部124は、光電変換部104に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。排出部124のゲート端子は、排出制御信号φTX2を入力するための画素ブロック120ごとのローカルな排出制御線に接続される。なお、本例では、排出部124は、光電変換部104の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0102】
蓄積部125は、転送部123により光電変換部104からの電荷が転送される。蓄積部125は、フローティングディフュージョン(FD)の一例である。
【0103】
リセット部126は、蓄積部125の電荷を所定の電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。リセット部126のゲート端子は、リセット制御信号φRSTを入力するための複数の画素ブロック120にわたるグローバルなリセット制御線に接続される。
【0104】
画素出力部127は、蓄積部125の電位に基づく信号を信号線122に出力する。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。増幅部128は、ゲート端子が蓄積部125に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部129のドレイン端子に接続される。
【0105】
選択部129は、画素112と信号線122の間の電気的な接続を制御する。選択部129により画素112と信号線122が電気的に接続されると、画素112から信号線122に画素信号が出力される。選択部129のゲート端子は、選択制御信号φSELを入力するための複数の画素ブロック120にわたるグローバルな選択制御線に接続される。選択部129のソース端子は負荷電流源121に接続されている。
【0106】
負荷電流源121は、信号線122に電流を供給する。負荷電流源121は、第1基板100に設けられてもよいし、第2基板200に設けられてもよい。
【0107】
以降、光電変換部104に蓄積された電荷、蓄積部125に転送された電荷および蓄積部125の電位に基づく信号のいずれか、または、これらを総称して、画素信号と称する場合がある。
【0108】
付言すれば、画素112は少なくとも1つの光電変換部104と、当該少なくとも1つの光電変換部104からの画像信号を信号線122に読み出す読出部としての画素出力部127等と、を備えている。画素112は、画像を構成する画素信号を信号線122に出力する回路の最小単位であるともいえる。
【0109】
図9、
図10および
図11は、撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。なお、
図10および
図11においては図面の簡略化のため接続領域を省略した。
【0110】
図9に示すように、第1基板100は、画素部610の周辺に設けられて画素部610と電気的に接続する接続領域132、150を備える。第2基板200は、制御回路部210の周辺に設けられて制御回路部210と電気的に接続する接続領域232、255を備える。
【0111】
一対の接続領域132は、それぞれ対向する位置にある一対の接続領域232と接続されている。互いに接続された接続領域132、232は、グローバル駆動部234からの制御信号をグローバルな制御線を用いて画素部610に入力する。
【0112】
一対の接続領域150は、それぞれ対向する位置にある一対の接続領域254、255と接続されている。互いに接続された接続領域150、254、255は、画素部110からの画素信号を共通の信号線を用いて対応するADC部252、253に入力する。
【0113】
図10に示すように、グローバル駆動部234は、リセット制御信号φRST、選択制御信号φSELおよび転送選択制御信号φTXSELを出力する。グローバル駆動部234は、それぞれの画素ブロック120に信号を出力するリセット制御線143、選択制御線145に接続されている。グローバル駆動部234は、リセット制御線143を介して複数の画素ブロック120に、リセット制御信号φRSTを供給し、選択制御線145を介して選択制御信号φSELを供給する。グローバル駆動部234は、転送選択制御線147を介して複数の制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0114】
転送選択制御信号φTXSELは、画素ブロック120毎の露光時間を制御するために、グローバル駆動部234から制御ブロック220に供給される。転送選択制御信号φTXSELが供給された制御ブロック220は、転送選択制御信号φTXSELを対応する画素ブロック120に出力する。画素ブロック120は、転送選択制御信号φTXSELを、転送制御信号φTX1または排出制御信号φTX2として画素112に入力するか否かを決定する。これにより、画素112への転送制御信号φTX1または排出制御信号φTX2の入力がスキップされる。
【0115】
例えば、制御ブロック220は、転送制御信号φTX1が露光の終了時刻を決定する場合、転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を延長する。また、制御ブロック220は、転送制御信号φTX1が露光の開始時刻を決定する場合、転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を短縮できる。このように、転送選択制御信号φTXSELによって、画素ブロック120の露光時間を調整することができる。排出制御信号φTX2が露光の開始時刻または終了時刻を決定する場合も同様である。
【0116】
リセット制御線143、選択制御線145および転送選択制御線147は、グローバルに配線されている、すなわち、複数の画素ブロック120に共通して設けられる。本例のリセット制御線143、選択制御線145および転送選択制御線147は、行方向に画素部110を横断するように配線されている。リセット制御線143、選択制御線145および転送選択制御線147は、列方向に画素部110を横断するように配線されてもよい。
【0117】
例えば、リセット制御線143は、画素ブロック120のリセット部126のゲート端子に接続され、リセット制御信号φRSTを供給する。選択制御線145は、画素ブロック120の選択部129のゲート端子に接続され、選択制御信号φSELを供給する。また、転送選択制御線147は、複数の制御ブロック220のそれぞれに接続され、露光制御部10に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0118】
なお、本例のグローバル駆動部234は、第2基板200から第1基板100に転送選択制御信号φTXSELを出力しているが、第1基板100に供給せずに制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを出力してもよい。この場合、転送選択制御線147は、第2基板200に設けられる。
【0119】
一方、転送制御線141aおよび排出制御線142aは、画素ブロック120aに接続される。本例の転送制御線141aは、画素ブロック120aに設けられた転送部123排出のゲート端子に接続される。転送制御線141aは、制御ブロック220aから出力された転送制御信号φTX1排出を画素ブロック120aに供給する。本例の排出制御線142aは、画素ブロック120aに設けられた排出部124のゲート端子に接続される。排出制御線142aは、制御ブロック220aから出力された排出制御信号φTX2を画素ブロック120aに供給する。
【0120】
転送制御線141bおよび排出制御線142bは、画素ブロック120bに接続される。本例の転送制御線141bは、画素ブロック120bに設けられた転送部123排出のゲート端子に接続される。転送制御線141bは、制御ブロック220bから出力された転送制御信号φTX1排出を画素ブロック120bに供給する。本例の排出制御線142bは、画素ブロック120bに設けられた排出部124のゲート端子に接続される。排出制御線142bは、制御ブロック220bから出力された排出制御信号φTX2を画素ブロック120bに供給する。
【0121】
複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200が互いに接合する接合面に設けられる。第1基板100のバンプ152は、第2基板200のバンプ152と位置合わせされている。対向する複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200の加圧処理等により接合されて、電気的に接続される。この場合にグローバルな制御線のバンプ152は、対応する画素ブロック120の下にあってもよいし、接続領域132、232にあってもよい。一方、ローカルな制御線のバンプ152は、対応する画素ブロック120の下(制御ブロック220上でもある)に設けられる。
【0122】
本例の撮像素子400は、ローカルな制御線によって、転送部123および排出部124の少なくとも1つのタイミングを変化させることにより、画素ブロック120毎に露光時間を制御する。撮像素子400は、ローカルな制御線とグローバルな制御線を組み合わせることにより、より少ない制御線で露光時間の制御を実現することができる。
【0123】
図11に示すように、画素ブロック120cの内部で列ごとに当該列方向に延伸した共通の信号線122が配される。さらにこの信号線122は列方向に並んだ複数の画素ブロック120c、120dに対しても共通である。したがって、本例において1つの信号線122には、1列にならんだm×M個の画素112が接続され、これらの画素112からの画素信号が出力される。
【0124】
信号線122のそれぞれには、バンプ152を介して第2基板200の側にADC(アナログデジタルコンバータ)256が接続される。複数の信号線122に対応する複数のADC256がADC部252を構成する。
【0125】
図11の例では、奇数列の画素ブロック120c、120dに対応するADC256がADC部252に設けられ、偶数列の画素ブロック120e、120fに対応するADC256がADC部253に設けられている。しかしながら、画素ブロック120c等とこれに対応するADC部252等の配置関係はこれに限られない。
【0126】
上記構成により、それぞれのADC256は、接続された1列のm×M個の画素112から順に出力される画素信号をデジタル信号に変換して出力する。この場合にADC部252、253の全体としては、行方向にn×N列に並んだ画素112からの画素信号を並列にデジタル信号に変換する。この観点から、このデジタル変換はいわゆるカラムADCの一種であるということもできる。なお、ADCの一例としてシングルスロープADCが挙げられるが、他のデジタル変換の方式が用いられてもよい。また、各画素112と信号線122の接続位置は、
図11に示す形態に限られず、他の例として各画素ブロック120c等の内にあってもよい。
【0127】
図12は、撮像素子400の画素ブロック120内での撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。本例では、転送制御信号φTX1、排出制御信号φTX2、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、画素ブロック120の駆動を制御する。
【0128】
排出制御信号φTX2は、露光を開始するタイミングを制御する。露光の開始タイミングは、排出制御信号φTX2の立ち下りのタイミング(例えば、時刻T1)に対応する。即ち、露光の開始時刻T1の前に、排出制御信号φTX2は、排出部124をオンして、光電変換部104に蓄積された電荷を排出して、排出制御信号φTX2の立ち下りで露光が開始する。本例の排出制御信号φTX2は、ローカルに制御されているので、画素ブロック120毎に露光時間を調整することができる。
【0129】
転送制御信号φTX1は、露光を終了するタイミングを制御する。時刻T3において、転送制御信号φTX1は、転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。露光の終了タイミングは、転送制御信号φTX1の立ち下がりのタイミング(例えば、時刻T4)に対応する。
【0130】
リセット制御信号φRSTは、蓄積部125に蓄積された電荷の排出のタイミングを制御する。時刻T2において、リセット制御信号φRSTは、リセット部126をオンすることにより、蓄積部125の電荷を排出する。本例では、露光の終了のタイミングの前に蓄積部125の電荷を排出しておくことにより、光電変換部104からの電荷の転送時に、蓄積部125に残った電荷の影響を抑制できる。
【0131】
選択制御信号φSELは、任意の画素112を選択するための信号である。選択制御信号φSELは、選択部129のオンオフを制御する。時刻T2において、選択制御信号φSELがハイに設定される。時刻T3において、選択制御信号φSELがハイに設定された画素112は、転送制御信号φTX1のオンに応じて信号線122に画素信号を出力する。一方、選択制御信号φSELがハイに設定されていない画素112では、画素信号が出力されない。
【0132】
本例の撮像素子400は、排出制御信号φTX2をローカルに制御することにより、画素ブロック120毎に露光の開始タイミングを変更して、画素ブロック120毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子400は、転送制御信号φTX1をローカルに制御することにより、露光の終了タイミングを画素ブロック120毎に制御してもよい。そして、撮像素子400は、転送制御信号φTX1と排出制御信号φTX2の両方をローカルに制御することにより、露光の開始タイミングと終了タイミングの両方を画素ブロック120毎に制御してもよい。
【0133】
各画素112の画素信号は光電変換部104に蓄積された電荷量に対応する。したがって、画素112の露光のタイミングを制御することは、光電変換部104の電荷蓄積のタイミングを制御することであるともいえる。より具体的には、画素112の露光のタイミングを制御することは、電荷の排出から転送までの電荷蓄積時間のタイミングと長さを制御することであると言える。
【0134】
図13は、画素ブロック120毎の露光タイミングの一例を示す。本例では、1列に並んだ3つの画素ブロック120について、画素ブロック120毎に露光時間を制御している。ここで、撮像素子400は、画素ブロック120毎に画素リセットの時刻をずらすことで、露光量を変更している。
【0135】
一方、画素信号の読み出しのタイミングは、上の画素ブロック120から順になっている。すなわち、「画素ブロック1」の画素112から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック2」の画素112から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック3」の画素112から画素信号を読み出す。
【0136】
さらに、画素ブロック120内でも、
図12で説明した通り上の行の画素112から画素信号が順次読み出される。したがって、画素部110全体でみた場合に、共通の信号線122に接続されている同列のm×M個の画素112の上の行から順に、画素信号が読み出される。言い換えれば、グローバル駆動部234が1行目からm×M行目まで、1列に並んだ複数の画素ブロック120を跨いで、1行ずつ選択制御信号φSELをハイに設定する。
【0137】
この場合に、
図11で説明した通り、1行に並んだ複数の画素ブロック120について、同じ行に並んだn×N個に対して共通の選択制御線145が接続されている。よって、選択制御信号φSELがハイに設定された行に接続されているn×N個の画素112から並列に画素信号が読み出される。これにより1フレーム分の画素信号を出力することができる。
【0138】
それらの画素信号は、
図11で説明した通り、ADC部252,252によりにデジタル変換される。デジタル変換された画素信号は後段の画像処理に出力されて、1フレーム分の画像を形成する。
【0139】
上記の通り、画素信号の読み出しは複数の画素ブロック120の間で、同じ列の上の行から順になされる、という観点から、本実施形態の読み出し方法は画素部110全体として、いわゆるローリングシャッタ方式であるともいえる。ただし、付言すればその場合でも画素ブロック120毎に異なる露光時間に設定することができる。
【0140】
以上、本実施形態によれば、1列に並んだ複数の画素ブロック120のうち、上の画素ブロック120の画素112から画素信号を読み出した後に、その下の画素ブロック120の画素112から画素信号を読み出す。したがって、移動する被写体を撮像した場合の読み出し順序による画像の歪みが滑らかとなり、看者が画像に対して持つ違和感を低減することができる。より詳しくは、移動する被写体を、1列に並んでいる複数の画素ブロック120から並行で読み出す場合には、画像の縦方向(すなわち画素の列方向に対応する)に、画素ブロック120間に対応する鋸刃状の複数の段差が表れて看者への違和感が生じる。これに対し、本実施形態によれば、当該複数の段差は画像に現れない。
【0141】
また、本実施形態では、制御ブロック220内にADC部を設けず、制御回路部210の外側に信号処理部250を配置した。従って、制御ブロック220の面積を小さくすることができ、制御ブロック220に対応した位置に配される画素ブロック120のサイズを小さく、すなわち、少ない画素数の単位で制御ブロック220による露光制御をすることができる。これにより、画像内を精細に露光時間制御することができ、画像上で画素ブロック120の境界を目立たせなくすることができる。さらには、画素112の直下でデジタル変換しないので発熱による画素112へのノイズの影響を抑えることができる。
【0142】
なお、信号処理部250は複数の離れた領域に設けなくてもよく、画素部110の全体に対して1つの領域に設けてもよい。
【0143】
図14は、他の実施形態による撮像素子800の概要を示す図である。撮像素子800において、撮像素子400と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0144】
撮像素子800は、第1基板600および第2基板700を備える。
図14に示すように、第1基板600は、第2基板700に積層されている。
【0145】
第1基板600が画素部610を有し、第2基板700が制御回路部210および周辺回路部230を有することは撮像素子400と同様である。一方、第1基板600の画素部610の周辺には、第1基板100の接続領域150は設けられていない。また、第2基板700の制御回路部710の周辺には、第2基板200の信号処理部250は設けられていない。
【0146】
制御回路部710は、第1基板100から出力された画素信号が入力される。制御回路部710は、入力された画素信号を処理する。本例の制御回路部710は、第2基板200において、画素部610と対向する位置に配置されている。制御回路部710はさらに、画素部610の駆動を制御するための制御信号を画素部610に出力する。
【0147】
図15は、画素部610の具体的な構成の一例を示す。画素部610がM×N個の画素ブロック620を有し、画素ブロック620がm×n個の画素112を有する点、および、画素112の構成は画素部110と同様である。
【0148】
画素ブロック620内で1列に並んだ画素112が共通の信号線122に接続されている点は、画素ブロック120と同様である。一方、複数の画素ブロック620間で信号線122は共通しておらず、互いに独立している。
【0149】
図16は、制御回路部710のより具体的な構成の一例を示す。制御回路部710がM×N個の制御ブロック720を有し、それぞれ画素ブロック620に対応する位置に配される点は制御回路部210と同様である。
【0150】
制御ブロック720は、制御ブロック220と同様の露光制御部10および画素駆動部20を有する。制御ブロック720はさらに、接合部730と、信号処理部740と、信号出力部750とを備える。
【0151】
接合部730は、第1基板600と第2基板700とを接合する。接合部730は、第1基板600から入力された画素信号を信号処理部740に入力する。接合部730は、行方向に配置されたn個の画素112に対応して設けられ、信号処理部740に画素信号を列毎に入力する。
【0152】
信号処理部740は、画素部610が出力したアナログ信号をデジタル変換する。本例の信号処理部740は、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。信号処理部740は、列方向に配列されたm個の画素112からのアナログ信号を順次デジタル変換する。信号処理部740は、対応する画素ブロック120の列数に対応した数のADCを有し、それらを用いて行方向にn列に並んだ画素112からのアナログ信号を並列にデジタル変換する。
【0153】
信号出力部750は、信号処理部740からデジタル信号を受信する。一例において、信号出力部750は、デジタル信号を一時的に記憶する。信号出力部750は、デジタル信号を記憶するためのラッチ回路を有してよい。信号出力部750は、列方向において、信号処理部740と露光制御部10との間に設けられ、デジタル信号を出力する。本例の信号出力部750は、制御回路部710の外部にデジタル信号を出力する。
【0154】
本例の制御ブロック720は内部に信号処理部740および信号出力部750を有する。すなわち、画素信号をデジタル変換する回路は制御回路部710内に配されており、外側には配されていない。
【0155】
本例の撮像素子800は、入射光の強度に応じて、画素ブロック620毎に露光時間を設定が可能であるので、ダイナミックレンジを拡大することができる点は撮像素子400と同様である。撮像素子800はさらに、画素ブロック620毎に設けられた制御ブロック720によって、画素信号を画素ブロック620毎に並列して読み出すこともできる。しかしながら、本実施形態では後述するように読み出しタイミングを制御する。
【0156】
図17は、画素ブロック620毎の露光タイミングの一例を示す。本例では、1列に並んだ3つの画素ブロック620について、画素ブロック620毎に露光時間を制御している。ここで、撮像素子800は撮像素子400と同様に、画素ブロック620毎に画素リセットの時刻をずらすことで、露光量を変更している。
【0157】
一方、画素信号の読み出しのタイミングは、上の画素ブロック620から順になっている。すなわち、「画素ブロック1」の画素112から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック2」の画素112から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック3」の画素112から画素信号を読み出す。
【0158】
さらに、画素ブロック620内でも、撮像素子400と同様に、上の行の画素112から画素信号が順次読み出される。したがって、画素部110全体でみた場合に、共通の信号線122に接続されている同列のm×M個の画素112の上の行から順に、画素信号が読み出される。
【0159】
撮像素子800において、複数の画素ブロック620の毎に対応する信号線122および信号処理部740が設けられている。より詳しくは、複数の画素ブロック620の各列毎に対応する信号線122および信号処理部740のADCが設けられている。したがって、列方向に並んだ複数の画素ブロック620間でも同時に画素信号を読み出すこともできる。しかしながら、本実施形態では、グローバル駆動部234が1行目からm×M行目まで、1列に並んだ複数の画素ブロック120を跨いで、1行ずつ選択制御信号φSELをハイに設定する。
【0160】
これにより、
図17に示すように
図13と同様に1列に並んだ複数の画素ブロック120のうち、上の画素ブロック120の画素112から画素信号を読み出した後に、その下の画素ブロック120の画素112から画素信号を読み出す。
【0161】
上記の通り、結果的に撮像素子400と同様に画素信号の読み出しは複数の画素ブロック620のうち同じ列の上の行から順になされる、という観点から、本実施形態の読み出し方法も画素部610全体として、いわゆるローリングシャッタ方式であるといえる。ただし、その場合でも画素ブロック620毎に異なる露光時間に設定することができることも撮像素子400と同様である。これにより、撮像素子800においても撮像素子400と同様に、移動する被写体を撮像した場合の読み出し順序による画像の歪みが滑らかとなり、看者が感じる画像の違和感を低減することができる。
【0162】
図18は、撮像素子400、800の画素114の別例を示す。画素114において、画素112と同じ構成には同じ参照番号を付して説明を省略する。画素114では、画素112に設けられていた排出部124は設けられていない。画素114は4トランジスタ型と呼ばれることがある。
【0163】
図19は、画素114を用いた画素ブロック120内での撮像動作を示すタイミングチャートの例を示す。本例では、転送制御信号φTX1、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、撮像素子400の駆動を制御する。本例の撮像素子400は、転送制御信号φTX1によって、露光の開始のタイミングを制御する点で
図12の場合と相違する。本例では、
図12と相違する点について特に説明する。
【0164】
転送制御信号φTX1は、露光の開始および終了のタイミングを制御する。フレーム(n)において、時刻T5で露光が開始して、時刻T7で露光が終了している。
【0165】
露光の開始時刻T5において、転送制御信号φTX1が立ち下がることにより、露光が開始する。即ち、露光の開始時刻T5の前に、転送制御信号φTX1は、リセット制御信号φRSTがオンされた状態で転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を排出して、転送制御信号φTX1の立ち下りで露光が開始する。本例の転送制御信号φTX1は、ローカルに制御された信号であるので、各画素ブロック120で露光を開始するタイミングを変化させることもできる。
【0166】
また、露光の終了時刻T7において、転送制御信号φTX1が立ち下がることにより、露光が終了する。即ち、露光の終了時刻T7の前に、転送制御信号φTX1は、リセット制御信号φRSTがオフされた状態で転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送して、転送制御信号φTX1の立ち下りで露光が終了する。本例の転送制御信号φTX1は、ローカルに制御された信号であるので、各画素ブロック120で露光を終了するタイミングを変化させることもできる。
【0167】
選択制御信号φSELは、任意の画素114を選択するための信号である。時刻T6において、選択制御信号φSELがハイに設定された画素114は、信号線122に画素信号を出力する。
【0168】
リセット制御信号φRSTは、蓄積部125に蓄積された電荷の排出のタイミングを制御する。リセット制御信号φRSTは、グローバルに制御された信号であってよい。リセット制御信号φRSTが読み出しのタイミング以外で常時オンしているので、蓄積部125に電荷が蓄積されない。一方、読み出しのタイミングでリセット制御信号φRSTをオフして、転送制御信号φTX1をオンすることにより、光電変換部104から蓄積部125に電荷を転送させる。本例のリセット制御信号φRSTでは、読み出し時の切り替えのタイミングが同じなので、選択制御信号φSELのパルスと共通化することができる。
【0169】
図20は、画素114を用いた画素ブロック120毎の露光タイミングの一例を示す。画素114では、
図19で説明した通り、画素信号の読み出しの動作期間中にリセットの動作が行われる。従って、
図20およびその説明においては読み出しのタイミングについて説明し、リセットのタイミングの説明を省略する。
【0170】
図20において画素信号の読み出しのタイミングは、
図13と同様に上の画素ブロック120から順になっている。すなわち、「画素ブロック1」の画素114から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック2」の画素114から画素信号を読み出し、その後に「画素ブロック3」の画素114から画素信号を読み出す。
【0171】
さらに、画素ブロック120内でも、上の行の画素114から画素信号が順次読み出される。したがって、画素部110全体でみた場合に、共通の信号線122に接続されている同列のm×M個の画素114の上の行から順に、画素信号が読み出される。
【0172】
上記の通り、結果的に画素112を用いた場合と同様に画素信号の読み出しは複数の画素ブロック120のうち同じ列の上の行から順になされる、という観点から、本実施形態の読み出し方法も画素部110全体として、いわゆるローリングシャッタ方式であるといえる。
【0173】
図20においてはさらに、特定のフレームにおいて特定の画素ブロック120の読み出しをしない(スキップする、飛ばす、間引くなどともいえる)。これにより、画素ブロック120ごとに露光時間を変えることができる。
【0174】
例えば
図20の例において、「フレームk」において「画素ブロック1」および「画素ブロック3」の読み出しがされるが、「画素ブロック2」の読み出しがされない。次の「フレームk+1」においては「画素ブロック1」、「画素ブロック2」および「画素ブロック3」のいずれも読み出しがされる。したがって、「フレームk+1」において、「画素ブロック2」の露光時間は「画素ブロック1」および「画素ブロック3」の露光時間よりも長くなる。ここで、読み出しの時間的なフレームレートが一定であれば、特定の画素ブロック120について、読み出しをn回飛ばせば(n+1)倍の露光時間にすることができる。
【0175】
なお、特定のフレームにおいて特定の画素ブロック120の読み出しをしないという形態は、画素112を用いた撮像素子400、800にも適用することができる。この場合に、排出制御信号φTX2による露光の開始タイミングを読み出しのタイミングの直後にすれば、
図20と同一の動作が可能である。一方、排出制御信号φTX2による露光の開始タイミングを読み出しのタイミングとは独立して制御することで、
図13の読み出しと
図20の読み出しを組み合わせた読み出し動作をすることができる。すなわち、
図13のように画素ブロック120ごとに露光開始のタイミングを制御しつつ、
図20のように画素ブロック120ごとに特定のフレームについて読み出しを行うかどうかを選択する。これにより、画素ブロック120ごとに露光時間をよりダイナミックかつ細かく設定できるとともに、移動する被写体を撮像した場合において看者が感じる画像の違和感を低減することができる。
【0176】
上記いずれの実施形態においても、蓄積部125、画素出力部127を他の画素と共有してもよい。また、画素112は複数の光電変換部104、転送部123で構成してもよい。
【0177】
図21は、実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮像素子400と、システム制御部501と、駆動部502と、測光部503と、ワークメモリ504と、記録部505と、表示部506と、駆動部514と、撮影レンズ520とを備える。撮像素子400を備える例で説明するが、これに代えて撮像素子800を備えてもよい。
【0178】
撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子400へと導く。撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであってもよい。なお、
図21では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
【0179】
駆動部514は、撮影レンズ520を駆動する。一例において、駆動部514は、撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更する。また、駆動部514は、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子400に入射する被写体光束の光量を制御してよい。
【0180】
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子400のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路を有する。また、操作部508は、レリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
【0181】
撮像素子400は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施した画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
【0182】
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。
【0183】
演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子400で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子400に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子400に搭載されてもよい。
【0184】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0185】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。本明細書に記載の発明は、以下の項目に記載の形態によっても実施され得る。
[項目1]
複数の画素と、
前記複数の画素のうち第1画素に接続され、前記第1画素を制御するための制御信号が出力される第1制御線と、
前記複数の画素のうち第2画素に接続され、前記第2画素を制御するための制御信号が出力される第2制御線と、
前記第1画素と前記第2画素に接続され、前記第1画素と前記第2画素とを制御するための制御信号が出力される第3制御線と、
を備える撮像素子。
[項目2]
前記複数の画素の各々は、
光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部の電荷を転送する転送部と、
前記転送部により転送された電荷を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部の電荷を排出するリセット部と、
前記蓄積部の電荷を画素信号に変換して出力する画素出力部と
を有する、
項目1に記載の撮像素子。
[項目3]
前記第1制御線は、前記第1画素の前記転送部に接続され、
前記第2制御線は、前記第2画素の前記転送部に接続され、
前記第3制御線は、前記第1画素および前記第2画素の前記リセット部に接続される
項目2に記載の撮像素子。
[項目4]
前記画素出力部は、前記画素信号を出力するか否かを選択する選択部を含み、
前記第3制御線は、前記第1画素および前記第2画素の前記選択部に接続される、
項目2または3に記載の撮像素子。
[項目5]
前記複数の画素のうち1または複数の画素を含む複数の画素ブロックを備え、
前記第1制御線は、前記複数の画素ブロックのうち第1画素ブロックに接続され、
前記第2制御線は、前記複数の画素ブロックのうち第2画素ブロックに接続される
項目2から4のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目6]
前記複数の画素を有する画素チップと、
前記画素チップと積層され、前記複数の画素からの画素信号を処理する信号処理チップと
を備え、
前記信号処理チップは、前記複数の画素ブロックにそれぞれ対応して設けられ、前記1または複数の画素毎に露光を制御する複数の制御ブロックを有する
項目5に記載の撮像素子。
[項目7]
前記信号処理チップは、
前記複数の制御ブロックを有する主回路部と、
前記信号処理チップにおいて、前記主回路部の周辺に設けられた周辺回路部と
を備え、
前記周辺回路部は、前記第3制御線に接続されたグローバル駆動部を有する
項目6に記載の撮像素子。
[項目8]
前記グローバル駆動部は、前記第3制御線を介して前記複数の制御ブロックに、前記転送部を選択するための選択制御信号を供給する
項目7に記載の撮像素子。
[項目9]
前記転送部は、
前記光電変換部の電荷を前記蓄積部へ転送する第1転送部と、
前記光電変換部の電荷を転送して排出する第2転送部と
を含み、
前記複数の制御ブロックは、前記第1転送部および前記第2転送部の少なくとも1つのタイミングを変化させることにより、前記1または複数の画素毎に露光時間を制御する
項目6から8のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目10]
項目1から9のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
[項目11]
第1画素ブロックに含まれる第1画素の露光を制御する第1制御ブロックと、
第2画素ブロックに含まれる第2画素の露光を制御する第2制御ブロックと、
前記第1画素から出力された第1信号と前記第2画素から出力された第2信号とをデジタル信号に変換する変換部と
を備え、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックとが列方向に並んでおり、
前記変換部は、前記第1信号を読み出した後に前記第2信号を読み出す撮像素子。
[項目12]
前記第1画素ブロックは、行および列方向に並んだ複数の前記第1画素を有し、
複数の前記変換部のそれぞれが前記第1画素ブロックにおける列方向に並んだ前記第1画素に接続されている項目11に記載の撮像素子。
[項目13]
前記第2画素ブロックは、行および列方向に並んだ複数の前記第2画素を有し、
他の複数の前記変換部のそれぞれは、前記第2画素ブロックにおける列方向に並んだ前記第2画素に接続されている項目12に記載の撮像素子。
[項目14]
前記第2画素ブロックは、行および列方向に並んだ複数の前記第2画素を有し、
前記複数の変換部のそれぞれは、前記第1画素ブロックにおける列方向に並んだ前記第1画素および前記第2画素ブロックにおける列方向に並んだ前記第2画素に接続されている項目12に記載の撮像素子。
[項目15]
前記第1画素ブロックおよび前記第2画素ブロックが設けられた第1基板と、
前記第1制御ブロック、前記第2制御ブロックおよび前記変換部が設けられた第2基板と
が積層されており、
前記第1制御ブロックは前記第1画素ブロックに対応した領域に配され、前記第2制御ブロックは前記第2画素ブロックに対応した領域に配され、
前記変換部は、前記第1画素ブロックおよび前記第2画素ブロックに対応した領域の外側に対応した領域に配される項目11から14のいずれか1項に記載の撮像素子。
[項目16]
項目11から15のいずれか1項に記載の撮像素子を有する撮像装置。
【符号の説明】
【0186】
10・・・露光制御部、20・・・画素駆動部、30・・・接合部、40・・・信号処理部、50・・・信号出力部、100、600・・・第1基板、104・・・光電変換部、110、610・・・画素部、112、114・・・画素、115・・・画素群、120、620・・・画素ブロック、121・・・負荷電流源、122・・・信号線、123・・・転送部、124・・・排出部、125・・・蓄積部、126・・・リセット部、127・・・画素出力部、128・・・増幅部、129・・・選択部、132・・・接続領域、141・・・転送制御線、142・・・排出制御線、143・・・リセット制御線、145・・・選択制御線、147・・・転送選択制御線、150・・・接続領域、152・・・バンプ、161・・・ローカル制御線、162・・・ローカル制御線、163・・・グローバル制御線、200、700・・・第2基板、210、710・・・制御回路部、220、720・・・制御ブロック、230・・・周辺回路部、232・・・接続領域、234・・・グローバル駆動部、250、740・・・信号処理部、252、253・・・ADC部、254、255・・・接続領域、256・・・ADC、400、800・・・撮像素子、500・・・撮像装置、501・・・システム制御部、502・・・駆動部、503・・・測光部、504・・・ワークメモリ、505・・・記録部、506・・・表示部、508・・・操作部、511・・・画像処理部、512・・・演算部、514・・・駆動部、520・・・撮影レンズ、730・・・接合部、750・・・信号出力部