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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20240521BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240521BHJP
   H04N 25/53 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/70
H04N25/53
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022501950
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021006011
(87)【国際公開番号】W WO2021166979
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2020024780
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020024781
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 奏太
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
(72)【発明者】
【氏名】平田 友希
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018188(WO,A1)
【文献】特開2013-051674(JP,A)
【文献】国際公開第2017/209221(WO,A1)
【文献】特開2015-154413(JP,A)
【文献】特開2017-192056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を電荷に変換する第1光電変換部を含む第1画素ブロックと、
光を電荷に変換する第2光電変換部を含む第2画素ブロックと
を有する第1半導体基板と、
前記第1半導体基板とともに積層される半導体基板であって、
第1電源により駆動される第1回路部と、第2電源により駆動される第2回路部とを含み、前記第1光電変換部で変換された電荷の蓄積時間を制御する第1制御ブロックと、
前記第1制御ブロックの隣に配置される制御ブロックであって、前記第1電源により駆動される第3回路部と、前記第2電源により駆動される第4回路部とを含み、前記第2光電変換部で変換された電荷の蓄積時間を制御する第2制御ブロックと
を有する第2半導体基板と
を備え、
前記第1回路部と前記第3回路部とは、前記第2半導体基板に設けられる1つのウェル領域に形成される、
撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第2半導体基板は、
第1導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域に複数設けられるウェル領域であって、第2導電型の第2ウェル領域と
を有し、
前記第1回路部と前記第3回路部とは、前記第1ウェル領域に複数設けられた前記第2ウェル領域のうちの1つの前記第2ウェル領域に形成される、
撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第2回路部は、前記第1ウェル領域に複数設けられた前記第2ウェル領域のうち、前記第1回路部と前記第3回路部とが形成される前記第2ウェル領域とは異なる前記第2ウェル領域に形成され、
前記第4回路部は、前記第1ウェル領域に複数設けられた前記第2ウェル領域のうち、前記第1回路部と前記第3回路部とが形成される前記第2ウェル領域とは異なる前記第2ウェル領域に形成される、
撮像素子。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、アナログ信号をデジタル信号に変換する第1変換部を有し、
前記第2制御ブロックは、アナログ信号をデジタル信号に変換する第2変換部を有し、
前記第1変換部は、前記第1ウェル領域に複数設けられた前記第2ウェル領域のうち、前記第1回路部と前記第3回路部とが形成される前記第2ウェル領域とは異なる前記第2ウェル領域に形成され、
前記第2変換部は、前記第1ウェル領域に複数設けられた前記第2ウェル領域のうち、前記第1回路部と前記第3回路部とが形成される前記第2ウェル領域とは異なる前記第2ウェル領域に形成される、
撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路部と前記第3回路部とは、アナログ信号を処理するためのトランジスタを有し、
前記第2回路部と前記第4回路部とは、デジタル信号を処理するためのトランジスタを有する、
撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路部は、前記第1制御ブロックの外周を構成するように配置され、
前記第3回路部は、前記第2制御ブロックの外周を構成するように配置される、
撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1回路部は、前記第1制御ブロックの外周を構成する複数の辺のうち、2以上の辺に沿って配置され、
前記第2回路部は、前記第2制御ブロックの外周を構成する複数の辺のうち、2以上の辺に沿って配置される、
撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1回路部は、前記第1制御ブロックにおいてL字型になるように配置され、
前記第3回路部は、前記第2制御ブロックにおいてL字型になるように配置される、
撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路部、前記第2回路部、前記第3回路部および前記第4回路部は、前記第1回路部から前記第3回路部までの距離が前記第2回路部から前記第4回路部までの距離よりも短くなるようにそれぞれ配置される、
撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路部と前記第3回路部とは、前記第2回路部と前記第4回路部との間に配置される、
撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第3回路部および前記第4回路部は、前記第2制御ブロックにおいて、前記第1制御ブロックにおける前記第1回路部および前記第2回路部の配置位置に対して反転した位置に配置される、
撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第2制御ブロックは、列方向において前記第1制御ブロックの隣に配置され、
前記第3回路部および前記第4回路部は、前記第2制御ブロックにおいて、前記第1制御ブロックにおける前記第1回路部および前記第2回路部の配置位置に対して上下反転した位置に配置される、
撮像素子。
【請求項13】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第2制御ブロックは、行方向において前記第1制御ブロックの隣に配置され、
前記第3回路部および前記第4回路部は、前記第2制御ブロックにおいて、前記第1制御ブロックにおける前記第1回路部および前記第2回路部の配置位置に対して左右反転した位置に配置される、
撮像素子。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1回路部は、前記第1光電変換部で変換された電荷の蓄積時間を制御するための制御信号を出力する第1バッファ回路を有し、
前記第3回路部は、前記第2光電変換部で変換された電荷の蓄積時間を制御するための制御信号を出力する第2バッファ回路を有する、
撮像素子。
【請求項15】
請求項14に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、前記第1光電変換部で変換された電荷を転送する第1転送部を有し、
前記第2画素ブロックは、前記第2光電変換部で変換された電荷を転送する第2転送部を有し、
前記第1バッファ回路は、前記第1転送部を制御するための第1転送制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2転送部を制御するための第2転送制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像素子において、
前記第1バッファ回路は、前記第1転送部に電気的に接続される第1転送制御線に前記第1転送制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2転送部に電気的に接続される第2転送制御線に前記第2転送制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、前記第1光電変換部で変換された電荷を排出する第1排出部を有し、
前記第2画素ブロックは、前記第2光電変換部で変換された電荷を排出する第2排出部を有し、
前記第1バッファ回路は、前記第1排出部を制御するための第1排出制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2排出部を制御するための第2排出制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項18】
請求項17に記載の撮像素子において、
前記第1バッファ回路は、前記第1排出部に電気的に接続される第1排出制御線に前記第1排出制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2排出部に電気的に接続される第2排出制御線に前記第2排出制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項19】
請求項14に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、前記第1光電変換部で変換された電荷を排出する第1排出部を有し、
前記第2画素ブロックは、前記第2光電変換部で変換された電荷を排出する第2排出部を有し、
前記第1バッファ回路は、前記第1排出部を制御するための第1排出制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2排出部を制御するための第2排出制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項20】
請求項19に記載の撮像素子において、
前記第1バッファ回路は、前記第1排出部に電気的に接続される第1排出制御線に前記第1排出制御信号を出力し、
前記第2バッファ回路は、前記第2排出部に電気的に接続される第2排出制御線に前記第2排出制御信号を出力する、
撮像素子。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、
前記第1光電変換部で変換された電荷が転送される第1蓄積部と、
前記第1蓄積部に転送された電荷を排出する第1リセット部と
を有し、
前記第2画素ブロックは、
前記第2光電変換部で変換された電荷が転送される第2蓄積部と、
前記第2蓄積部に転送された電荷を排出する第2リセット部と
を有し、
前記第2半導体基板は、前記第1リセット部と前記第2リセット部とを制御する駆動部を有する、
撮像素子。
【請求項22】
請求項21に記載の撮像素子において、
前記駆動部は、前記第1制御ブロックと前記第2制御ブロックと制御する、
撮像素子。
【請求項23】
請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1制御ブロックは、前記第1画素ブロックと対向する位置に配置され、
前記第2制御ブロックは、前記第2画素ブロックと対向する位置に配置される、
撮像素子。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素ブロックは、前記第1光電変換部を複数有し、
前記第2画素ブロックは、前記第2光電変換部を複数有する、
撮像素子。
【請求項25】
請求項24に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、第1方向に沿って複数配置され、
前記第2光電変換部は、前記第1方向に沿って複数配置される、
撮像素子。
【請求項26】
請求項25に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って複数配置され、
前記第2光電変換部は、前記第2方向に沿って複数配置される、
撮像素子。
【請求項27】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素からなる画素ブロック毎に異なる露光時間での撮影を行う撮像装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1 国際公開第2017/018188号
【0003】
従来の撮像装置では、レイアウト効率の向上が望まれている。
【一般的開示】
【0004】
本発明の第1の態様においては、1または複数の画素を含む複数の画素ブロックを有する画素チップと、複数の画素ブロックのうち少なくとも第1画素ブロックに含まれる画素からの信号をデジタル信号に変換する第1変換部と第1変換部で変換されたデジタル信号を記憶する第1記憶部とを含む第1制御ブロックと、列方向において第1制御ブロックの隣に配置され、複数の画素ブロックのうち少なくとも第2画素ブロックに含まれる画素からの信号をデジタル信号に変換する第2変換部と第2変換部で変換されたデジタル信号を記憶する第2記憶部とを含む第2制御ブロックとを有する信号処理チップと、を備え、第2制御ブロックにおける第2変換部および第2記憶部は、第1制御ブロックにおける第1変換部および第1記憶部の配置位置に対して上下反転させた位置に配置される、撮像素子を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、第1の態様の撮像素子を備える撮像装置を提供する。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。
図1B】画素部110の具体的な構成の一例を示す。
図1C】画素112の回路構成の一例を示す。
図1D】主回路部210のより具体的な構成の一例を示す。
図2A】制御ブロック220の具体的な構成の一例を示す。
図2B】実施例に係る複数の制御ブロック220の一例を示す。
図3】比較例に係る制御ブロック720の配置方法の一例を示す。
図4】撮像素子400の構成の一例を示す。
図5】比較例に係る撮像素子800の構成の一例を示す。
図6A】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
図6B】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。
図7A】画素チップ100と信号処理チップ200の接合面150の一例を示す。
図7B】接合面150の拡大図の一例を示す。
図8A】実施例に係る画素部110の構成の一例を示す。
図8B】実施例に係る主回路部210の構成の一例を示す。
図8C図8Aの画素部110に対応する主回路部210の一例を示す。
図9A】比較例に係る画素部610の構成の一例を示す。
図9B】比較例に係る主回路部710の構成の一例を示す。
図9C】比較例に係る主回路部710の構成の一例を示す。
図10A】撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。
図10B】画素群115毎の露光タイミングの一例を示す。
図11A】信号処理チップ200の構成の一例を示す。
図11B】信号処理チップ200の断面図の一例を示す。
図12A】比較例に係る信号処理チップ700の構成の一例を示す。
図12B】比較例に係る信号処理チップ700の他の例を示す。
図12C】比較例に係る信号処理チップ700の断面図の一例を示す。
図13】実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
本明細書において、X軸とY軸とは互いに直交し、Z軸はXY平面に直交する。XYZ軸は右手系を構成する。Z軸と平行な方向を撮像素子400の積層方向と称する場合がある。本明細書において、「上」及び「下」の用語は、重力方向における上下方向に限定されない。これらの用語は、Z軸方向における相対的な方向を指すに過ぎない。なお、本明細書では、X軸方向の配列を「行」とし、Y軸方向の配列を「列」として説明するが、行列方向はこれに限定されない。
【0010】
図1Aは、本実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。撮像素子400は、被写体を撮像する。撮像素子400は、撮像された被写体の画像データを生成する。撮像素子400は、画素チップ100および信号処理チップ200を備える。図1Aに示すように、画素チップ100は、信号処理チップ200に積層されている。
【0011】
画素チップ100は、画素部110を有する。画素部110は、入射された光に基づく画素信号を出力する。
【0012】
信号処理チップ200は、主回路部210および周辺回路部230を有する。
【0013】
主回路部210は、画素チップ100から出力された画素信号が入力される。主回路部210は、入力された画素信号を処理する。本例の主回路部210は、信号処理チップ200において、画素部110と対向する位置に配置されている。主回路部210は、画素部110の駆動を制御するための制御信号を画素部110に出力してもよい。
【0014】
周辺回路部230は、主回路部210の駆動を制御する。周辺回路部230は、信号処理チップ200において、主回路部210の周辺に配置されている。また、周辺回路部230は、画素チップ100と電気的に接続され、画素部110の駆動を制御してもよい。本例の周辺回路部230は、信号処理チップ200の2辺に沿って配置されているが、周辺回路部230の配置方法は本例に限られない。
【0015】
なお、撮像素子400は、画素チップ100および信号処理チップ200に加えて、信号処理チップ200に積層されたメモリチップを有してもよい。例えば、メモリチップは、信号処理チップ200が出力した信号に応じた画像処理を行う。また、撮像素子400の構造は、裏面照射型であっても、表面照射型であってもよい。
【0016】
図1Bは、画素部110の具体的な構成の一例を示す。本例では、画素部110と、画素部110に設けられた画素ブロック120の拡大図を示している。
【0017】
画素部110は、行方向および列方向に沿って並んで配置された複数の画素群115を有する。本例の画素部110は、M×N個(M,Nは、自然数)の画素群115を有する。本例では、MがNと等しい場合を図示しているが、MとNは異なっていてもよい。
【0018】
画素群115は、少なくとも1つの画素112を有する。本例の画素群115は、m×n個(m,nは、自然数)の画素112を有する。例えば、画素群115は、16×16個の画素112を有する。画素群115に対応する画素112の個数はこれに限定されない。本例では、mがnと等しい場合を図示しているが、mはnと異なっていてもよい。画素群115は、行方向において共通の制御線に接続された複数の画素112を有する。例えば、画素群115のそれぞれの画素112は、同一の露光時間に設定されるように共通の制御線に接続されている。一例において、行方向に並ぶn個の画素112が共通の制御線によって接続される。
【0019】
一方、画素群115は、それぞれ異なる露光時間に設定されてよい。即ち、画素群115のそれぞれの画素112は同一の露光時間であるが、他の画素群115では異なる露光時間に設定されてよい。例えば、画素群115の画素112が行方向に共通の制御線で接続されている場合に、他の画素群115の画素112が異なる制御線で共通に接続される。
【0020】
画素ブロック120は、1または複数の画素群115を有する。本例の画素ブロック120は、列方向に沿って並んで配置された2つの画素群115を有する。画素ブロック120は、後述する制御ブロック220に対応して配置される。即ち、1つの制御ブロック220に対して、2つの画素群115が配置されている。画素ブロック120が複数の画素群115を有する場合、それぞれの画素群115が異なる露光時間に設定されてよい。画素ブロック120が1つの画素群115を有する場合、制御ブロック220に対して1つの画素群115が配置される。画素ブロック120は、2m×n個の画素112を有する。例えば、画素ブロック120は、32×16個の画素112を有する。画素ブロック120に対応する画素112の個数はこれに限定されない。
【0021】
画素112は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。画素112は、光電変換された電荷を蓄積する。2m個の画素112は、列方向に沿って配置され、共通の信号線122に接続されている。そして、2m個の画素112は、画素ブロック120において、行方向にn列並んで配列されている。
【0022】
図1Cは、画素112の回路構成の一例を示す。画素112は、光電変換部104と、第1転送部123と、第2転送部124と、リセット部126と、画素出力部127とを備える。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。本例では、第1転送部123、第2転送部124、リセット部126、増幅部128および選択部129は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0023】
光電変換部104は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部104は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部104は、例えば、フォトダイオードである。
【0024】
第1転送部123は、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。第1転送部123は、光電変換部104の電荷を転送するトランスファーゲートの一例である。第1転送部123のゲート端子は、第1転送制御信号φTX1を入力するためのローカル制御線に接続される。ローカル制御線については後述する。
【0025】
第2転送部124は、光電変換部104に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。第2転送部124のゲート端子は、第2転送制御信号φTX2を入力するためのローカル制御線に接続される。なお、本例では、第2転送部124は、光電変換部104の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0026】
蓄積部125は、第1転送部123により光電変換部104からの電荷が転送される。蓄積部125は、フローティングディフュージョン(FD)の一例である。
【0027】
リセット部126は、蓄積部125の電荷を所定の電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。リセット部126のゲート端子は、リセット制御信号φRSTを入力するためのグローバル制御線143に接続される。グローバル制御線143については後述する。
【0028】
画素出力部127は、蓄積部125の電位に基づく信号を信号線122に出力する。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。増幅部128は、ゲート端子が蓄積部125に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部129のドレイン端子に接続される。
【0029】
選択部129は、画素112と信号線122の間の電気的な接続を制御する。選択部129により画素112と信号線122が電気的に接続されると、画素112から信号線122に画素信号が出力される。選択部129のゲート端子は、選択制御信号φSELを入力するためのグローバル制御線143に接続される。選択部129のソース端子は負荷電流源121に接続されている。
【0030】
負荷電流源121は、信号線122に電流を供給する。負荷電流源121は、画素チップ100に設けられてもよいし、信号処理チップ200に設けられてもよい。
【0031】
図1Dは、主回路部210のより具体的な構成の一例を示す。本例では、主回路部210と、主回路部210に設けられた制御ブロック220の拡大図を示している。
【0032】
主回路部210は、行方向および列方向に沿って配置された制御ブロック220を有する。本例の主回路部210は、(M/2)×N個の制御ブロック220を有する。本例では、主回路部210は、列方向に沿って並んで配置された2つの画素群115に対して1つの制御ブロック220を有している。
【0033】
制御ブロック220は、画素ブロック120に対応した位置にそれぞれ配置される。制御ブロック220は、対応する画素ブロック120の駆動を制御する。例えば、制御ブロック220は、画素ブロック120の露光時間を制御する。制御ブロック220は、画素群115毎に露光時間を制御してもよい。また、制御ブロック220は、ADコンバータ等の処理回路を有し、画素ブロック120が出力した信号を処理する。一例において、制御ブロック220は、対応する画素ブロック120から出力されたアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。本例の制御ブロック220は、露光制御部10と、画素駆動部20と、接合部30と、信号変換部40と、信号出力部50とを備える。
【0034】
露光制御部10は、複数の画素112の露光を制御する。露光制御部10は、画素112の露光時間を制御するための信号を生成する。一例において、露光制御部10は、露光の開始タイミングまたは終了タイミングの少なくとも1つを調整して、画素群115毎の露光時間を制御する。本例の露光制御部10は、行方向に延伸して設けられる。
【0035】
画素駆動部20は、画素チップ100と接合され、複数の画素112を駆動させる。画素駆動部20は、複数の画素112から、任意の画素112を選択して駆動する。本例の画素駆動部20は、列方向に延伸して設けられる。これにより、画素駆動部20は、列方向に配置された2m個の画素112と対応した位置に配置されている。露光制御部10および画素駆動部20は、画素駆動部20が列方向に延伸して、露光制御部10が行方向に延伸することにより、L字型に配置されている。
【0036】
接合部30は、画素チップ100と信号処理チップ200とを接合する。接合部30は、画素チップ100から入力された画素信号を信号変換部40に入力する。接合部30は、行方向に配置されたn個の画素112に対応して設けられ、信号変換部40に画素信号を列毎に入力する。
【0037】
信号変換部40は、画素部110が出力したアナログ信号をデジタル変換する。本例の信号変換部40は、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。信号変換部40は、列方向に配列された2m個の画素112からのアナログ信号を順次デジタル変換する。信号変換部40は、行方向にn列に並んだ画素112からのアナログ信号を並列にデジタル変換する。
【0038】
信号出力部50は、信号変換部40からデジタル信号を受信する。一例において、信号出力部50は、デジタル信号を一時的に記憶する。信号出力部50は、デジタル信号を記憶するためのラッチ回路を有してよい。信号出力部50は、列方向において、信号変換部40と露光制御部10との間に設けられ、デジタル信号を出力する。本例の信号出力部50は、主回路部210の外部にデジタル信号を出力する。信号出力部50は、行方向に延伸し、信号変換部40および露光制御部10と隣接して設けられる。
【0039】
本例の撮像素子400は、画素ブロック120毎に設けられた制御ブロック220によって、画素信号を並列に読み出す機能を有する。撮像素子400は、入射光の強度に応じて、画素群115毎に露光時間を設定が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0040】
図2Aは、制御ブロック220の具体的な構成の一例を示す。本例の信号変換部40は、n個のコンパレータ42と記憶部44とを備える。本例の制御ブロック220は、露光制御部10を構成するローカル制御部12およびレベルシフト部14を備える。
【0041】
コンパレータ42は、列方向に延伸して設けられる。n個のコンパレータ42は、行方向に配置されている。コンパレータ42は、2m個の画素112に1つ設けられている。コンパレータ42は、2m個の画素112の画素信号を順次読出してデジタル信号に変換する。
【0042】
記憶部44は、コンパレータ42からのデジタル信号を一時的に記憶する。本例の記憶部44は、信号変換部40において、コンパレータ42よりもY軸方向の負側に設けられる。例えば、記憶部44は、ラッチ回路を有する。記憶部44は、SRAM等で構成されたメモリを有してよい。
【0043】
ローカル制御部12は、第1転送部123および第2転送部124の動作を制御するための制御信号を出力する。ローカル制御部12は、第1転送制御信号φTX1または第2転送制御信号φTX2のいずれかをローカル制御する。本明細書において、ローカル制御とは、画素ブロック120毎に駆動を制御することを指す。例えば、ローカル制御部12は、第2転送制御信号φTX2によってローカル制御する。ローカル制御部12は、行方向に延伸して設けられている。ローカル制御部12は、レベルシフト部14と信号出力部50との間に設けられる。
【0044】
レベルシフト部14は、ローカル制御部12が出力した制御信号の電圧レベルを変換して出力する。レベルシフト部14は、行方向に延伸して設けられる。レベルシフト部14は、ローカル制御部12よりも制御ブロック220の外周側に設けられている。レベルシフト部14のX軸方向正側の端部と、Y軸方向負側の端部とが制御ブロック220の最も外側に位置している。レベルシフト部14のX軸方向負側の端部は、画素駆動部20と接している。
【0045】
レベルシフト部14および画素駆動部20は、レベルシフト後の信号を扱う。一方、ローカル制御部12、レベルシフト部14および画素駆動部20は、画素チップ100から出力された画素信号を扱う。
【0046】
ここで、制御ブロック220の各構成は、半導体基板に設けられたウェル領域に形成される。ウェル領域は、取り扱う信号に応じて分離して設けられる。ウェル領域は、使用される電源が、デジタル用電源かアナログ用電源かによって分離される。また、信号変換部40は、同じアナログ電源を使用する場合であっても、ノイズの観点から他のアナログ電源を用いる領域と分離される場合がある。ウェル領域の分離には、製造プロセスルールに応じた間隔のウェル分離領域が必要となる。
【0047】
本例の制御ブロック220は、レベルシフト部14および画素駆動部20を形成するためのウェル領域を、他のウェル領域と分離している。例えば、レベルシフト部14および画素駆動部20は、L字型に設けられることにより、レベルシフト部14および画素駆動部20のウェル領域を共有することができる。ウェル領域の共有により、ウェル分離領域を省略することができるので、レイアウト効率が向上する。
【0048】
L字型の露光制御部10および画素駆動部20は、制御ブロック220の外周を構成する。これにより、行方向および列方向に隣接する他の制御ブロック220ともウェル領域を共有することができる。
【0049】
図2Bは、実施例に係る複数の制御ブロック220の一例を示す。本例の複数の制御ブロック220は、隣接するもの同士で反転配置されている。同図は、主回路部210に設けられた複数の制御ブロック220のうち、12個の制御ブロック220を例示している。
【0050】
反転配置とは、制御ブロック220の各構成(例えば、露光制御部10、画素駆動部20、接合部30、信号変換部40および信号出力部50)の形成される領域が、ブロック同士の境界線を中心にミラー反転配置されていることを示す。つまり、制御ブロック220の各構成の回路までもが反転配置されなくてもよい。また、制御ブロック220の各画素の読出し順も反転して読み出すものに限定されない。
【0051】
例えば、行方向に隣接する制御ブロック220同士が反転配置されている場合、制御ブロック220の各構成が行方向に反転して配置されるので、ブロックの境界では同一の構成が隣接して配置されることになる。同様に、列方向に隣接する制御ブロック220同士が反転配置されている場合、制御ブロック220の各構成が列方向に反転して配置されるので、ブロックの境界では同一の構成が隣接して配置されることになる。これにより、制御ブロック220のレイアウト効率を向上することができる。
【0052】
制御ブロック220は、それぞれ隣接する制御ブロック220と反転配置されている。本例では、全ての制御ブロック220が行方向および列方向で反転配置されているが、行方向または列方向の一方で反転配置されてもよい。例えば、制御ブロック220のコンパレータ42は、行方向に隣接する制御ブロック220のコンパレータ42と反転配置されている。また、制御ブロック220のコンパレータ42は、列方向に隣接する制御ブロック220のコンパレータ42とも反転配置されている。同様に、制御ブロック220の記憶部44は、行方向および列方向に隣接する制御ブロック220の記憶部44とそれぞれ反転配置されている。
【0053】
制御ブロック220aおよび制御ブロック220bは、行方向に隣接して設けられる。制御ブロック220aは、制御ブロック220bと反転配置されている。制御ブロック220aのレベルシフト部14は、制御ブロック220bのレベルシフト部14と同一のウェル領域内に設けられる。同様に、ローカル制御部12、記憶部44および信号出力部50は、制御ブロック220aと制御ブロック220bとで同一のウェル領域内に設けられる。
【0054】
制御ブロック220bおよび制御ブロック220cは、行方向に隣接して設けられる。制御ブロック220bは、制御ブロック220cと反転配置されている。制御ブロック220bの画素駆動部20は、制御ブロック220cの画素駆動部20と同一のウェル領域内に設けられる。画素駆動部20のウェル領域は、レベルシフト部14のウェル領域とも共有されてよい。
【0055】
制御ブロック220aおよび制御ブロック220dは、列方向に隣接して設けられる。制御ブロック220aは、制御ブロック220dと反転配置されている。制御ブロック220aの画素駆動部20は、制御ブロック220dの画素駆動部20と同一のウェル領域内に設けられる。また、制御ブロック220aの信号変換部40は、制御ブロック220dの信号変換部40と同一のウェル領域内に設けられる。
【0056】
制御ブロック220dおよび制御ブロック220eは、列方向に隣接して設けられる。制御ブロック220dは、制御ブロック220eと反転配置されている。制御ブロック220dの画素駆動部20およびレベルシフト部14は、制御ブロック220eの画素駆動部20およびレベルシフト部14と同一のウェル領域内に設けられる。
【0057】
本例の撮像素子400は、制御ブロック220を反転配置することにより、制御ブロック220毎に並列で信号処理する場合であっても、レイアウトを効率化することができる。撮像素子400は、複数の制御ブロック220をXY平面で反転配置することにより、隣接する制御ブロック220同士でウェル領域を共有することができる。これにより、ウェル領域の切り替えの回数が減り、面積効率が向上する。
【0058】
図3は、比較例に係る制御ブロック720の配置方法の一例を示す。本例の制御ブロック720は、隣接する制御ブロック720と反転配置されていない。本例の制御ブロック720は、XY平面で平行移動して配置されている。
【0059】
制御ブロック720aおよび制御ブロック720bは、行方向に隣接して設けられる。制御ブロック720aは、制御ブロック720bと反転配置されていない。そのため、制御ブロック720aの信号変換部40、信号出力部50およびローカル制御部12は、制御ブロック720bの画素駆動部20と異なるウェル領域に設ける必要がある。よって、制御ブロック720aと制御ブロック720bとの間にウェル分離領域が設けられる。
【0060】
制御ブロック720aおよび制御ブロック720cは、Y軸方向に隣接して設けられる。制御ブロック720aは、制御ブロック720cと反転配置されていない。そのため、制御ブロック720aのレベルシフト部14は、制御ブロック720cの信号変換部40と異なるウェル領域に設ける必要がある。
【0061】
このように、本例の制御ブロック720は、反転配置されていないので、XY平面での隣接箇所においてウェル分離領域を設ける必要がある。制御ブロック720同士の間にウェル分離領域が設けられると、図2Bのように反転配置した場合よりも、レイアウトサイズが大きくなる。
【0062】
図4は、撮像素子400の構成の一例を示す。本例では、ブロックパラレルADCとして機能する撮像素子400の配線方法の一例を示す。
【0063】
画素チップ100は、画素部110の両端に設けられた接続領域132を備える。信号処理チップ200は、周辺回路部230に設けられた接続領域232およびグローバル駆動部234を備える。
【0064】
グローバル駆動部234は、画素112の駆動用の制御信号を接続領域232に出力する。例えば、グローバル駆動部234は、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELを制御信号として出力する。
【0065】
接続領域232は、グローバル駆動部234からの制御信号を接続領域132に出力する。一例において、接続領域232は、導電性ビア等によって接続領域132と電気的に接続される。
【0066】
接続領域132は、画素部110に制御信号を出力して、画素部110の駆動を制御する。本例の接続領域132は、行方向に延伸したグローバル制御線143によって、制御信号を画素部110に出力する。即ち、本例の撮像素子400は、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、画素部110をグローバル制御している。
【0067】
本例の撮像素子400は、信号処理チップ200から画素チップ100に制御信号を出力して、その後、画素部110から主回路部210に画素信号を戻している。但し、撮像素子400は、グローバル駆動部234を画素チップ100に配置してもよい。
【0068】
図5は、比較例に係る撮像素子800の構成の一例を示す。画素チップ600は、画素部610の周辺に設けられた接続領域632を備える。信号処理チップ700は、主回路部710の周辺に設けられた接続領域732およびグローバル駆動部734を備える。
【0069】
接続領域632a~接続領域632dは、それぞれ接続領域732a~接続領域732dと接続されている。接続領域632aおよび接続領域632dは、制御信号を画素部610に入力する。
【0070】
画素部610は、画素信号を接続領域632bおよび接続領域632cに出力する。接続領域632bおよび接続領域632cは、入力された画素信号を信号処理チップ200の接続領域732bおよび接続領域732cにそれぞれ出力している。接続領域632bおよび接続領域632cは、画素部610の周辺に設けられ、列方向に延伸した配線によって、画素部610と接続されている。
【0071】
図6Aは、撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。本例のグローバル駆動部234は、主回路部210の両端を挟んで配置された周辺回路部230に設けられている。
【0072】
ローカル制御線141は、画素ブロック120aに接続される。本例のローカル制御線141は、画素ブロック120aに設けられた第1転送部123および第2転送部124のゲート端子に接続される。ローカル制御線141は、制御ブロック220aから出力された第1転送制御信号φTX1および第2転送制御信号φTX2を画素ブロック120aに供給する。ローカル制御線141は、画素ブロック120の第1画素に接続される第1制御線の一例である。なお、ローカル制御線141は、画素ブロック120aの画素群115に対応して設けられてもよい。例えば、画素群115において、行方向に並ぶn個の画素112に対して共通のローカル制御線141が接続される。
【0073】
ローカル制御線142は、画素ブロック120bに接続される。本例のローカル制御線142は、画素ブロック120bに設けられた第1転送部123および第2転送部124のゲート端子に接続される。ローカル制御線142は、制御ブロック220bから出力された第1転送制御信号φTX1および第2転送制御信号φTX2を画素ブロック120bに供給する。ローカル制御線142は、画素ブロック120の第2画素に接続される第2制御線の一例である。なお、ローカル制御線142は、画素ブロック120bの画素群115に対応して設けられてもよい。例えば、画素群115において、行方向に並ぶn個の画素112に対して共通のローカル制御線142が接続される。
【0074】
グローバル駆動部234は、リセット制御信号φRST、選択制御信号φSELおよび転送選択制御信号φTXSELを出力する。グローバル駆動部234は、それぞれの画素ブロック120に信号を出力するグローバル制御線143に接続されている。グローバル駆動部234は、グローバル制御線143を介して複数の画素ブロック120に、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELを供給する。グローバル駆動部234は、グローバル制御線143を介して複数の制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0075】
転送選択制御信号φTXSELは、画素群115毎の露光時間を制御するために、グローバル駆動部234から制御ブロック220に供給される。転送選択制御信号φTXSELが供給された制御ブロック220は、転送選択制御信号φTXSELを対応する画素ブロック120に出力する。画素ブロック120は、転送選択制御信号φTXSELを、第1転送制御信号φTX1または第2転送制御信号φTX2として画素112に入力するか否かを決定する。これにより、画素112への第1転送制御信号φTX1または第2転送制御信号φTX2の入力がスキップされる。
【0076】
例えば、制御ブロック220は、第1転送制御信号φTX1が露光の終了時刻を決定する場合、第1転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を延長する。また、制御ブロック220は、第1転送制御信号φTX1が露光の開始時刻を決定する場合、第1転送制御信号φTX1をスキップさせることによって露光時間を短縮できる。このように、転送選択制御信号φTXSELによって、画素群115の露光時間を調整することができる。第2転送制御信号φTX2が露光の開始時刻または終了時刻を決定する場合も同様である。
【0077】
グローバル制御線143は、複数の画素ブロック120に共通して設けられる。本例のグローバル制御線143は、行方向に画素チップ100を横断するように配線されている。グローバル制御線143は、列方向に画素チップ100を横断するように配線されてもよい。グローバル制御線143は、ローカル制御線141に接続された画素と、ローカル制御線142に接続された画素と共通に設けられる第3制御線の一例である。
【0078】
例えば、グローバル制御線143は、画素ブロック120のリセット部126および選択部129のゲート端子に接続され、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELを供給する。また、グローバル制御線143は、複数の制御ブロック220のそれぞれに接続され、露光制御部10に転送選択制御信号φTXSELを供給する。
【0079】
なお、本例のグローバル駆動部234は、信号処理チップ200から画素チップ100に転送選択制御信号φTXSELを出力しているが、画素チップ100に供給せずに制御ブロック220に転送選択制御信号φTXSELを出力してもよい。この場合、グローバル制御線143は、信号処理チップ200に設けられる。
【0080】
複数のバンプ152は、画素チップ100および信号処理チップ200が互いに接合する接合面に設けられる。画素チップ100のバンプ152は、信号処理チップ200のバンプ152と位置合わせされている。対向する複数のバンプ152は、画素チップ100および信号処理チップ200の加圧処理等により接合されて、電気的に接続される。
【0081】
本例の撮像素子400は、ローカル制御線によって、第1転送部123および第2転送部124の少なくとも1つのタイミングを変化させることにより、画素群115毎に露光時間を制御する。撮像素子400は、ローカル制御線とグローバル制御線を組み合わせることにより、より少ない制御線で露光時間の制御を実現することができる。
【0082】
図6Bは、撮像素子400の配線方法の一例を説明するための図である。本例では、画素112から制御ブロック220に画素信号を入力する配線を示している。
【0083】
グランド配線GNDは、予め定められた基準電位VGNDに設定される。本例のグランド配線GNDは、行方向に画素チップ100を横断するように配線されている。グランド配線GNDは、バンプ152を介して制御ブロック220の接合部30に接続されている。
【0084】
接合部30は、電圧VPOUTの出力配線および電圧VDDの電源配線に接続される。接合部30は、基準電位VGNDに設定されたグランド配線GNDに接続される。接合部30は、画素信号を対応して設けられたコンパレータ42に出力する。例えば、コンパレータ42は、行方向にn個設けられる。
【0085】
図7Aは、画素チップ100と信号処理チップ200の接合面150の一例を示す。本例では、4つの制御ブロック220a~制御ブロック220dが隣接する領域を示している。
【0086】
バンプ152aは、第1転送制御信号φTX1、第2転送制御信号φTX2および転送選択制御信号φTXSELを供給する。バンプ152aは、画素駆動部20に対応した位置に設けられる。バンプ152aは、各画素112に対応した升目の4つの角に設けられている。4つのバンプ152aが設けられた升目の中心には、ダミーバンプ154が設けられてよい。本例のバンプ152aは、列方向にm個(例えば、32個)並んで設けられる。バンプ152aのうち、転送選択制御信号φTXSELを供給するためのバンプは制御ブロック220aと制御ブロック220bで共有されてよい。
【0087】
バンプ152bは、画素112からの画素信号を出力する。バンプ152bは、接合部30に対応した位置に設けられる。バンプ152bは、バンプ152aとダミーバンプ154と隣接した領域に設けられる。本例のバンプ152bは、各画素112に対応した升目の中心に設けられている。バンプ152bは、1つの制御ブロック220につき、行方向にn個(例えば、16個)並んで設けられる。
【0088】
バンプ152cは、制御ブロック220をグランド電圧GNDに接続するためのバンプである。バンプ152cは、接合部30に対応した位置に設けられる。本例のバンプ152cは、各画素112に対応した升目の2つの角に設けられている。例えば、バンプ152cは、行方向に14個並んで設けられる。
【0089】
ダミーバンプ154は、バンプ152が設けられていない領域に配置される。ダミーバンプ154は、回路と電気的に絶縁されていてよい。本例のダミーバンプ154は、画素112毎に規則的に設けられているが、これに限られない。ダミーバンプ154は、放熱を促進するために設けられてよい。本例のダミーバンプ154は、各画素112に対応した升目の4つの角と升目の中心の両方に設けられている。
【0090】
図7Bは、接合面150の拡大図の一例を示す。バンプ152bは、配線156によって、制御ブロック220に接続されている。
【0091】
配線156は、バンプ152bと信号変換部40とを接続する。配線156は、行方向にn個並んだバンプ152bに対応して、n本設けられている。行方向にn個並んだバンプ152bは、行方向にn個並んだコンパレータ42に接続される。
【0092】
ここで、バンプ152bが16個の画素112に対して均等に配置される一方で、信号変換部40は、画素駆動部20が配置されていることから、行方向の幅が短くなっている。そのため、バンプ152bと対応する信号変換部40の接続先の直線距離がそれぞれの配線156で異なっている。本例の配線156は、配線156の両端の直線距離が異なる場合であっても、互いに長さが等しくなるように調整されている。これにより、画素112から出力した画素信号の画素間の遅延を解消して、列毎に画素信号を均一に出力することができる。なお、本例では、配線156の長さを変えることにより画素間の遅延を解消したが、配線156の幅を変えることにより画素間の遅延を解消してもよい。
【0093】
図8Aは、実施例に係る画素部110の構成の一例を示す。本例の画素ブロック120は、複数の画素112および接合部30を有する。画素ブロック120は、m×n個の画素112を有する。本例では、9つの画素ブロック120-1~画素ブロック120-9を例示して説明する。なお、本例では、画素ブロック120が画素群115と1対1に対応して設けられる場合について説明する。
【0094】
画素ブロック120は、反転配置されている。例えば、画素ブロック120-1は、画素ブロック120-4と反転配置されている。そのため、画素ブロック120-1の接合部30が画素ブロック120-4の接合部と隣接して配置されている。これにより、レイアウト効率を向上することができる。
【0095】
図8Bは、実施例に係る主回路部210の構成の一例を示す。本例の制御ブロック220は、接合部30と、信号変換部40と、信号出力部50とを備える。信号変換部40は、コンパレータ42および記憶部44を有する。本例では、9つの制御ブロック220を例示して説明する。入力されたアナログ信号を直線の矢印で示し、出力するデジタル信号を破線の矢印で示す。
【0096】
コンパレータ42は、画素チップ100から入力された画像信号をデジタル信号に変換する。コンパレータ42は、接合部30と隣接して設けられる。
【0097】
記憶部44は、コンパレータ42からのデジタル信号を記憶する。記憶部44は、コンパレータ42と隣接して設けられる。
【0098】
信号出力部50は、コンパレータ42が出力したデジタル信号を、予め定められた出力方向(例えば、行方向)に出力する。本例の信号出力部50は、記憶部44に記憶されたデジタル信号が入力されている。信号出力部50は、行方向に主回路部210を横断するように配線された出力配線と接続されている。本例の主回路部210は、列方向に隣接する制御ブロック220の信号出力部50をまとめて配置できる。これにより、デジタル信号線をまとめて配置できるのでレイアウト効率が向上する。
【0099】
接合部30は、画素チップ100と信号処理チップ200とを接合する。列方向において、接合部30が反転配置されている。本例では、列方向に隣接する制御ブロック220の接合部30およびコンパレータ42をまとめて配置できる。本例の接合部30は、予め定められた延伸方向(例えば、行方向)に延伸して設けられ、画素チップ100と信号処理チップ200とを接続する。
【0100】
本例の接合部30および記憶部44は、延伸方向と異なる方向(例えば、列方向)に隣接した制御ブロック220において、反転配置されている。接合部30は、また、本例のコンパレータ42および記憶部44は、出力方向と異なる方向(例えば、列方向)に隣接した制御ブロック220において、反転配置されている。
【0101】
ここで、接合部30およびコンパレータ42は、ADC入力部としてアナログ信号線を有する。一方、記憶部44および信号出力部50は、AD変換された後の信号を扱うデジタル信号線を有する。したがって、主回路部210は、隣接する複数の制御ブロック220間で、アナログ信号線とデジタル信号線の間隔を確保して、デジタルノイズの混入を抑制できる。
【0102】
図8Cは、図8Aの画素部110に対応する主回路部210の一例を示す。撮像素子400は、複数の制御配線240を備える。なお、本例では、複数の制御配線240が行方向に延伸する場合について説明するが、制御ブロック220の反転配置の方向を変更することにより、列方向に延伸した複数の制御配線240についても適用することができる。
【0103】
制御配線240は、予め定められた配線方向(例えば、行方向)に延伸して設けられる。複数の制御ブロック220のうち配線方向に並んで配置された複数の制御ブロック220の制御配線240は、配線方向と異なる方向(例えば、列方向)に隣接した制御ブロック220の制御配線240と共有して設けられる。隣接する制御ブロック220間で制御配線240を共有することにより、制御配線240の本数を減らすことができる。
【0104】
図9Aは、比較例に係る画素部610の構成の一例を示す。画素部610では、画素ブロック620が反転配置されていない。即ち、画素ブロック620のそれぞれは、XY平面で平行移動して配置されている。
【0105】
図9Bは、比較例に係る主回路部710の構成の一例を示す。主回路部710では、制御ブロック720が反転配置されていない。そのため、アナログ信号が入力される接合部30と、デジタル信号を出力する信号出力部50が列方向に隣接して設けられる。これにより、主回路部710では、アナログ信号線とデジタル信号線で干渉する場合がある。
【0106】
図9Cは、比較例に係る主回路部710の構成の一例を示す。主回路部710では、制御ブロック720が反転配置されていない。そのため、制御ブロック720の各々に制御配線740を設ける必要がある。よって、制御配線740の本数を削減することができない。
【0107】
図10Aは、撮像素子400の撮像動作を示すタイミングチャートの一例を示す。本例では、リセット制御信号φRST、第1転送制御信号φTX1および選択制御信号φSELの制御方法の一例を示す。
【0108】
第1転送制御信号φTX1および制御信号Resetは、露光を開始するタイミングを制御する。露光の開始タイミングは、第1転送制御信号φTX1および制御信号Resetの立ち下がりのタイミング(時刻T1)である。制御信号Resetのオンは、リセット制御信号φRSTと第2転送制御信号φTX2の両方がオンすることに対応する。リセット制御信号φRSTと第2転送制御信号φTX2の両方をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷が排出される。第2転送制御信号φTX2は、ローカル制御された信号である。
【0109】
第1転送制御信号φTX1は、第1転送部123をオンすることにより、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。第1転送制御信号φTX1は、露光を終了するタイミングを制御する。露光の終了タイミングは、第1転送制御信号φTX1の立ち下がりのタイミング(時刻T3)である。本例の第1転送制御信号φTX1は、グローバル制御された信号であるので、各画素群115で露光を終了するタイミングが同じである。また、第1転送制御信号φTX1は、制御信号Resetと同時に第1転送部123をオンすることにより、光電変換部104に残された電荷を排出している。
【0110】
選択制御信号φSELは、任意の画素112を選択するための信号である。選択制御信号φSELは、選択部129のオンオフを制御する。時刻T2において、選択制御信号φSELがハイに設定される。選択制御信号φSELがハイに設定された画素112は、第1転送制御信号φTX1のオンに応じて信号線122に画素信号を出力する。一方、選択制御信号φSELがハイに設定されていない画素112では、画素信号が出力されない。
【0111】
本例の撮像素子400は、第2転送制御信号φTX2をローカル制御することにより、画素群115毎に露光の開始タイミングを変更して、画素群115毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1をローカル制御することにより、露光の終了タイミングを画素群115毎に制御してもよい。そして、撮像素子400は、第1転送制御信号φTX1と第2転送制御信号φTX2の両方をローカル制御することにより、露光の開始タイミングと終了タイミングの両方を画素群115毎に制御してもよい。
【0112】
図10Bは、画素群115毎の露光タイミングの一例を示す。本例では、4つの画素群115について、画素群115毎に露光時間を制御している。
【0113】
撮像素子400は、画素群115毎に画素リセットの時刻をずらすことで、露光量を変更している。そのため、それぞれの画素群115において、露光の終了時刻(即ち、読み出し時刻)が同じであるが、露光の開始時刻(即ち、画素リセット時刻)を変化させている。これにより、撮像素子400は、それぞれの画素群115を異なる露光時間に設定することができる。
【0114】
垂直同期信号(XVS)および水平同期信号(XHS)は、撮像素子400による画像データの読み出しを制御する。垂直同期信号は、制御ブロック220の列方向の画素数に対応したタイミングで切り替わる。水平同期信号は、制御ブロック220の行方向の画素数に対応したタイミングで切り替わる。読み出されたデータは、後続のフレームで画像データとして出力されてよい。
【0115】
図11Aは、信号処理チップ200の構成の一例を示す。制御ブロック220は、ロジック回路60およびアナログ回路65を備える。ロジック回路60は、ラッチ61およびセレクタ62を有する。アナログ回路65は、レベルシフタ66およびバッファ67を有する。本例のグローバル駆動部234は、選択信号生成部236およびリセットパルス生成部238を有する。
【0116】
選択信号生成部236は、画素112を選択するための選択信号をラッチ61に入力する。リセットパルス生成部238は、転送選択制御信号φTXSELをセレクタ62に入力する。選択信号生成部236およびリセットパルス生成部238は、デジタル信号を出力している。
【0117】
ロジック回路60は、デジタル信号を処理するためのトランジスタで構成される。ロジック回路60は、選択信号生成部236およびリセットパルス生成部238から入力されたデジタル信号に応じて動作する。
【0118】
アナログ回路65は、アナログ信号を処理するためのトランジスタで構成される。レベルシフタ66は、ロジック回路60から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。バッファ67は、接合部30を通じて画素部110にアナログ信号を出力する。本例のアナログ回路65は、行方向および列方向に隣接する4つの制御ブロック220において、まとめて配置されている。これにより、レイアウト効率を向上することができる。
【0119】
接合部30は、行方向および列方向に隣接する4つの制御ブロック220において、まとめて配置されている。即ち、接合部30周辺の禁止領域をまとめて配置できるので、レイアウトしやすくなり、回路面積を小さくすることができる。
【0120】
したがって、本例の信号処理チップ200は、レベルシフタ66を制御ブロック220毎に配置しているので、ラッチ61およびセレクタ62をデジタル用のトランジスタで構成することができる。これにより、ロジック回路60をアナログ用のトランジスタで構成するよりも、回路面積を縮小することができる。さらに、信号処理チップ200は、画素部110の直近にレベルシフタ66を配置することができるので、出力負荷が小さくなり、レベルシフタ66の回路規模を小さくすることができる。
【0121】
図11Bは、信号処理チップ200の断面図の一例を示す。本例の断面図は、ロジック回路60およびアナログ回路65を通過するXZ断面図の一例である。
【0122】
半導体基板260は、第1ウェル領域261および第2ウェル領域262を有する。本例の導電型は、半導体基板260がP型であり、第1ウェル領域261がN型であり、第2ウェル領域262がP型であるが、これらに限定されない。第1ウェル領域261および第2ウェル領域262には、信号処理チップ200を構成するトランジスタ等の回路が形成される。
【0123】
ウェル分離領域263は、隣接する第1ウェル領域261を分離するために設けられる。ウェル分離領域263は、製造プロセスルールに応じて、予め定められた大きさ以上の間隔で第1ウェル領域261を分離する。本例の信号処理チップ200は、隣接する制御ブロック220で第1ウェル領域261を共有することにより、第1ウェル領域261を分離するために必要なウェル分離領域263の数を減らすことができる。
【0124】
例えば、信号処理チップ200は、行方向または列方向で隣接する制御ブロック220のレベルシフタ66を共通のウェル領域に設けることにより、ウェル分離領域263を共有できる。これにより、信号処理チップ200の回路面積を小さくすることができる。
【0125】
図12Aは、比較例に係る信号処理チップ700の構成の一例を示す。グローバル駆動部734は、選択信号生成部736およびリセットパルス生成部738を備える。本例の信号処理チップ700は、制御ブロック720の周辺にレベルシフタ66を配置している。レベルシフタ66は、アナログ信号を制御ブロック720に入力している。よって、制御ブロック720は、ロジック回路60をアナログ用のトランジスタで構成する必要がある。よって、制御ブロック720の回路面積が大きくなる。
【0126】
図12Bは、比較例に係る信号処理チップ700の他の例を示す。本例の信号処理チップ700は、レベルシフタ66を制御ブロック720の内部に設けているが、制御ブロック720を反転配置していない。そのため、隣接する制御ブロック720でロジック回路60またはアナログ回路65をまとめて配置することができない。
【0127】
図12Cは、比較例に係る信号処理チップ700の断面図の一例を示す。本例では、図11Bと実質的に同じ個数のロジック回路60およびアナログ回路65を設ける場合の比較例を示している。しかしながら、本例の信号処理チップ700は、隣接する制御ブロック720でロジック回路60またはアナログ回路65をまとめて配置していないので、必要なウェル分離領域263の個数が多くなる。例えば、図11Bの場合では2つのウェル分離領域263を設ける必要がある場合に、図12Cでは5つのウェル分離領域263が必要となっている。ウェル分離領域263を設ける回数が増えるほど回路面積が大きくなってしまう。
【0128】
図13は、実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮像素子400と、システム制御部501と、駆動部502と、測光部503と、ワークメモリ504と、記録部505と、表示部506と、駆動部514と、撮影レンズ520とを備える。
【0129】
撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子400へと導く。撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであってもよい。なお、図13では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
【0130】
駆動部514は、撮影レンズ520を駆動する。一例において、駆動部514は、撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更する。また、駆動部514は、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子400に入射する被写体光束の光量を制御してよい。
【0131】
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子400のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路を有する。また、操作部508は、レリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
【0132】
撮像素子400は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施した画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
【0133】
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。
【0134】
演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子400で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子400に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子400に搭載されてもよい。
【0135】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0136】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。本明細書に記載の発明は、以下の項目に記載の形態によっても実施され得る。
[項目1]
複数の画素を有する画素部と、
前記画素部が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換するコンパレータと、
前記デジタル信号を記憶する記憶部と
を備え、
前記複数の画素のうち第1画素ブロックに対応する前記コンパレータは、前記第1画素ブロックと隣接する第2画素ブロックに対応する前記コンパレータに対して反転配置される
撮像素子。
[項目2]
前記第1画素ブロックに対応する前記記憶部は、前記第2画素ブロックに対応する前記記憶部に対して反転配置される
項目1に記載の撮像素子。
[項目3]
前記画素部を有する画素チップと、
前記画素チップと積層され、前記画素部からの画素信号を処理する信号処理チップと
を備え、
前記信号処理チップは、前記複数の画素の画素ブロックにそれぞれ対応して設けられた複数の制御ブロックを有する
項目1または2に記載の撮像素子。
[項目4]
前記複数の制御ブロックのうち第1制御ブロックの前記コンパレータは、予め定められた第1方向において、前記第1制御ブロックと隣接する第2制御ブロックの前記コンパレータと反転配置されている
項目3に記載の撮像素子。
[項目5]
前記第1制御ブロックの前記コンパレータは、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1画素ブロックと隣接する第3制御ブロックの前記コンパレータと反転配置されている
項目4に記載の撮像素子。
[項目6]
前記複数の制御ブロックは、電圧レベルを変換するレベルシフト部を有し、
前記複数の制御ブロックのうち隣接する制御ブロックの前記レベルシフト部は、同一のウェル領域内に設けられる
項目3から5のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目7]
前記複数の制御ブロックは、予め定められた延伸方向に延伸し、前記画素チップと接続するための接合部を有し、
前記記憶部および前記接合部は、前記延伸方向と異なる方向に隣接した前記複数の制御ブロックにおいて、反転配置されている
項目3から6のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目8]
前記複数の制御ブロックは、前記コンパレータが出力した前記デジタル信号を、予め定められた出力方向に出力するための信号出力部を有し、
前記コンパレータおよび前記信号出力部は、前記出力方向と異なる方向に隣接した前記複数の制御ブロックにおいて、反転配置されている
項目3から7のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目9]
予め定められた配線方向に延伸して設けられた制御配線を備え、
前記制御配線は、前記配線方向と異なる方向に隣接した前記複数の制御ブロックにおいて、共有して設けられる
項目3から8のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目10]
項目1から9のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
[項目11]
複数の画素を有する画素部と、
前記画素部が出力したアナログ信号をデジタル変換する信号変換部と、
前記複数の画素の露光を制御する露光制御部と、
前記複数の画素を駆動する画素駆動部と
を備え、
前記画素駆動部が予め定められた第1方向に延伸し、前記露光制御部が前記第1方向と異なる第2方向に延伸することにより、前記画素駆動部および前記露光制御部がL字型に配置される
撮像素子。
[項目12]
前記画素部を有する画素チップと、
前記画素チップと積層され、前記信号変換部を有する信号処理チップと
を備え、
前記信号処理チップは、前記複数の画素の画素ブロックにそれぞれ対応して設けられた制御ブロックを有する
項目11に記載の撮像素子。
[項目13]
前記L字型の前記画素駆動部および前記露光制御部は、前記制御ブロックの外周を構成する
項目12に記載の撮像素子。
[項目14]
前記露光制御部は、
前記第2方向に延伸して設けられたローカル制御部と、
前記第2方向に延伸し、前記ローカル制御部よりも前記制御ブロックの外周側に設けられたレベルシフト部と
を有する
項目12または13に記載の撮像素子。
[項目15]
隣接する前記制御ブロックの前記レベルシフト部は、同一のウェル領域内に設けられる
項目14に記載の撮像素子。
[項目16]
前記信号変換部と前記露光制御部との間に設けられ、前記デジタル変換された信号を出力する信号出力部を備える
項目12から15のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目17]
前記信号処理チップは、
第1制御ブロックと、
前記第1制御ブロックと隣接して設けられた第2制御ブロックと
を備え、
前記信号変換部は、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するコンパレータを有し、
前記第1制御ブロックの前記コンパレータは、前記第2制御ブロックの前記コンパレータに対して反転配置される
項目12から16のいずれか一項に記載の撮像素子。
[項目18]
前記第1制御ブロックの前記コンパレータは、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1制御ブロックと隣接する第3制御ブロックの前記コンパレータと反転配置されている
項目17に記載の撮像素子。
[項目19]
前記信号変換部は、前記コンパレータが出力したデジタル信号を記憶する記憶部を備え、
前記第1制御ブロックの前記記憶部は、前記第2制御ブロックの前記記憶部に対して反転配置される
項目17または18に記載の撮像素子。
[項目20]
項目11から19のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【符号の説明】
【0137】
10・・・露光制御部、12・・・ローカル制御部、14・・・レベルシフト部、20・・・画素駆動部、30・・・接合部、40・・・信号変換部、42・・・コンパレータ、44・・・記憶部、50・・・信号出力部、60・・・ロジック回路、61・・・ラッチ、62・・・セレクタ、65・・・アナログ回路、66・・・レベルシフタ、67・・・バッファ、100・・・画素チップ、104・・・光電変換部、110・・・画素部、112・・・画素、115・・・画素群、120・・・画素ブロック、121・・・負荷電流源、122・・・信号線、123・・・第1転送部、124・・・第2転送部、125・・・蓄積部、126・・・リセット部、127・・・画素出力部、128・・・増幅部、129・・・選択部、132・・・接続領域、141・・・ローカル制御線、142・・・ローカル制御線、143・・・グローバル制御線、150・・・接合面、152・・・バンプ、154・・・ダミーバンプ、156・・・配線、200・・・信号処理チップ、210・・・主回路部、220・・・制御ブロック、230・・・周辺回路部、232・・・接続領域、234・・・グローバル駆動部、236・・・選択信号生成部、238・・・リセットパルス生成部、240・・・制御配線、260・・・半導体基板、261・・・第1ウェル領域、262・・・第2ウェル領域、263・・・ウェル分離領域、400・・・撮像素子、500・・・撮像装置、501・・・システム制御部、502・・・駆動部、503・・・測光部、504・・・ワークメモリ、505・・・記録部、506・・・表示部、508・・・操作部、511・・・画像処理部、512・・・演算部、514・・・駆動部、520・・・撮影レンズ、600・・・画素チップ、610・・・画素部、620・・・画素ブロック、632・・・接続領域、700・・・信号処理チップ、710・・・主回路部、720・・・制御ブロック、732・・・接続領域、734・・・グローバル駆動部、736・・・選択信号生成部、738・・・リセットパルス生成部、740・・・制御配線、800・・・撮像素子
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13