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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】基板保持回転機構、基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240521BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240521BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
H01L21/68 N
B08B3/02 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020140614
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036416
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】末政 秀一
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0203191(US,A1)
【文献】特表2004-533716(JP,A)
【文献】特開2019-186475(JP,A)
【文献】特開2007-157921(JP,A)
【文献】特開2010-092928(JP,A)
【文献】特開2005-174961(JP,A)
【文献】特開2018-015890(JP,A)
【文献】特表2007-529106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/683
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁部を保持し、当該基板を回転させる基板保持ローラを備え、
前記基板保持ローラは、
前記基板の周縁部の下面に対向するローラ下部と、
前記基板の周縁部の上面に対向するローラ上部と、
前記ローラ下部と前記ローラ上部との間に設けられ、前記基板の周縁部が挿し込まれるクランプ溝と、を有しており、
前記基板保持ローラの斜め上方から、前記クランプ溝及び前記ローラ上部の上面を含む領域に流体を噴射するローラ洗浄ノズルを備え
前記ローラ洗浄ノズルは、スリット状の噴射孔を有すると共に、前記噴射孔を縦にし、前記クランプ溝及び前記ローラ上部の上面を含む領域に流体を噴射する第1モードと、前記噴射孔を横にし、前記クランプ溝を含み且つ前記ローラ上部の上面を含まない領域に流体を噴射する第2モードとに切り替え可能である、ことを特徴とする基板保持回転機構。
【請求項2】
前記ローラ洗浄ノズルを回転可能に保持するノズル保持部を備え、
前記ローラ洗浄ノズルの外面には、スリットが設けられ、
前記ノズル保持部の外面には、前記第1モードのときの前記スリットと同じ回転角度で配置された第1スリットと、前記第2モードのときの前記スリットと同じ回転角度で配置された第2スリットと、が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の基板保持回転機構。
【請求項3】
前記ローラ洗浄ノズルに接続され、前記第1モードと前記第2モードの切り替えを行うアクチュエータを備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板保持回転機構。
【請求項4】
前記ローラ洗浄ノズルとして、
純水を噴射する第1ローラ洗浄ノズルと、
薬液を噴射する第2ローラ洗浄ノズルと、を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の基板保持回転機構。
【請求項5】
前記第1ローラ洗浄ノズルは、前記第2ローラ洗浄ノズルからの前記薬液の噴射が停止した後に、前記純水を噴射する、ことを特徴とする請求項4に記載の基板保持回転機構。
【請求項6】
前記ローラ洗浄ノズルから流体が噴射されている間、前記基板保持ローラを回転させる制御装置を備える、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の基板保持回転機構。
【請求項7】
前記制御装置は、前記ローラ洗浄ノズルから流体が噴射されている間、前記基板を洗浄するときの第1速度よりも低速の第2速度で前記基板保持ローラを回転させる、ことを特徴とする請求項6に記載の基板保持回転機構。
【請求項8】
前記ローラ下部は、前記ローラ上部よりも径方向外側に延出しており、
前記ローラ洗浄ノズルは、前記クランプ溝、前記ローラ上部の上面、さらに、前記ローラ下部の上面を含む領域に流体を噴射する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の基板保持回転機構。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の基板保持回転機構を備える、ことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持回転機構、基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコンウェハ等の基板の表面を平坦に化学機械研磨処理(CMP:Chemical Mechanical Polishing)する基板研磨装置が知られている。この基板研磨装置は、基板を研磨する研磨部と、研磨された基板を洗浄・乾燥する洗浄部と、を備える。研磨された基板には、CMPに使用されたスラリの残渣や金属研磨屑等が微小パーティクル(異物)として付着しているため、洗浄部において当該微小パーティクルを除去している。
【0003】
下記特許文献1には、基板の周縁部を保持し、当該基板を回転させる基板保持回転機構が開示されている。この基板保持回転機構は、基板を水平に保持する基板保持部と、この基板保持部を回転させる回転駆動機構と、を備えている。基板保持部には、基板の周縁部を保持するチャックピンが設けられている。チャックピンは、基板の周縁部の下面を支持する支持部と、基板の周縁部の端面(周面)を挟持する挟持部と、を備えている。
【0004】
このようなチャックピンに微小パーティクルが付着・残留すると、基板への再付着の虞がある。このため、上記基板回転保持機構では、支持部や挟持部と略同じ高さに洗浄ノズルを設け、当該洗浄ノズルからチャックピンに向かって水平方向に洗浄液を噴射し、チャックピンに付着した微小パーティクルを洗い流すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-282516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のチャックピンの支持部や挟持部は、基板保持部の回転中心を向いており、基板保持部の外側から水平方向に噴射した洗浄液では、支持部や挟持部に付着した微小パーティクルを効率よく除去できない虞があった。また、微小パーティクルを含む飛沫が、洗浄液がかからないチャックピンの上面に付着した場合、洗い流すことができず、基板を汚染するパーティクル源になる虞があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板を保持する部分を全面的に洗浄できる基板保持回転機構及び基板処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る基板保持回転機構は、基板の周縁部を保持し、当該基板を回転させる基板保持ローラを備え、前記基板保持ローラは、前記基板の周縁部の下面に対向するローラ下部と、前記基板の周縁部の上面に対向するローラ上部と、前記ローラ下部と前記ローラ上部との間に設けられ、前記基板の周縁部が挿し込まれるクランプ溝と、を有しており、前記基板保持ローラの斜め上方から、前記クランプ溝及び前記ローラ上部の上面を含む領域に流体を噴射するローラ洗浄ノズルを備える。
【0009】
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ洗浄ノズルは、スリット状の噴射孔を有すると共に、前記噴射孔を縦にし、前記クランプ溝及び前記ローラ上部の上面を含む領域に流体を噴射する第1モードと、前記噴射孔を横にし、前記クランプ溝を含み且つ前記ローラ上部の上面を含まない領域に流体を噴射する第2モードとに切り替え可能であってもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ洗浄ノズルを回転可能に保持するノズル保持部を備え、前記ローラ洗浄ノズルの外面には、スリットが設けられ、前記ノズル保持部の外面には、前記第1モードのときの前記スリットと同じ回転角度で配置された第1スリットと、前記第2モードのときの前記スリットと同じ回転角度で配置された第2スリットと、が設けられていてもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ洗浄ノズルに接続され、前記第1モードと前記第2モードの切り替えを行うアクチュエータを備えてもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ洗浄ノズルとして、純水を噴射する第1ローラ洗浄ノズルと、薬液を噴射する第2ローラ洗浄ノズルと、を備えてもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記第1ローラ洗浄ノズルは、前記第2ローラ洗浄ノズルからの前記薬液の噴射が停止した後に、前記純水を噴射してもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ洗浄ノズルから流体が噴射されている間、前記基板保持ローラを回転させる制御装置を備えてもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記制御装置は、前記ローラ洗浄ノズルから流体が噴射されている間、前記基板を洗浄するときの第1速度よりも低速の第2速度で前記基板保持ローラを回転させてもよい。
上記基板保持回転機構においては、前記ローラ下部は、前記ローラ上部よりも径方向外側に延出しており、前記ローラ洗浄ノズルは、前記クランプ溝、前記ローラ上部の上面、さらに、前記ローラ下部の上面を含む領域に流体を噴射してもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る基板処理装置は、先に記載の基板保持回転機構を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の態様によれば、基板を保持する部分を全面的に洗浄できる基板保持回転機構及び基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る基板洗浄装置の構成を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係る基板保持回転機構を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るローラ洗浄ノズルに接続される配管系を示す系統図である。
図5】第1実施形態に係る基板保持回転機構の要部を示す拡大斜視図である。
図6】第2実施形態に係る基板保持回転機構の要部を示す拡大斜視図である。
図7】第2実施形態に係るローラ洗浄ノズルの回転角度調整(モード切替)を容易にするための構成を示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係るローラ洗浄ノズルの回転角度調整作業の様子を示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係るローラ洗浄ノズルの回転角度調整作業で用いる治具を示す斜視図である。
図10】第3実施形態に係る基板保持回転機構の要部を示す平面図である。
図11】第3実施形態に係る第1ローラ洗浄ノズル、第2ローラ洗浄ノズルに接続される配管系を示す系統図である。
図12】第3実施形態に係る基板保持回転機構の変形例を示す平面図である。
図13】第4実施形態に係る基板保持回転機構の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置1の全体構成を示す平面図である。
図1に示す基板処理装置1は、シリコンウェハ等の基板Wの表面を平坦に研磨する化学機械研磨(CMP)装置である。この基板処理装置1は、矩形箱状のハウジング2を備える。ハウジング2は、平面視で略長方形に形成されている。
【0015】
ハウジング2は、その中央に長手方向に延在する基板搬送路3を備える。基板搬送路3の長手方向の一端部には、ロード/アンロード部10が配設されている。基板搬送路3の幅方向(平面視で長手方向と直交する方向)の一方側には、研磨部20が配設され、他方側には、洗浄部30が配設されている。基板搬送路3には、基板Wを搬送する基板搬送部40が設けられている。また、基板処理装置1は、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30、及び基板搬送部40の動作を統括的に制御する制御部50(制御装置)を備える。
【0016】
ロード/アンロード部10は、基板Wを収容するフロントロード部11を備える。フロントロード部11は、ハウジング2の長手方向の一方側の側面に複数設けられている。複数のフロントロード部11は、ハウジング2の幅方向に配列されている。フロントロード部11は、例えば、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載する。SMIF、FOUPは、内部に基板Wのカセットを収納し、隔壁で覆った密閉容器であり、外部空間とは独立した環境を保つことができる。
【0017】
また、ロード/アンロード部10は、フロントロード部11から基板Wを出し入れする2台の搬送ロボット12と、各搬送ロボット12をフロントロード部11の並びに沿って走行させる走行機構13と、を備える。各搬送ロボット12は、上下に2つのハンドを備えており、基板Wの処理前、処理後で使い分けている。例えば、フロントロード部11に基板Wを戻すときは上側のハンドを使用し、フロントロード部11から処理前の基板Wを取り出すときは下側のハンドを使用する。
【0018】
研磨部20は、基板Wの研磨(平坦化)を行う複数の基板研磨装置21(21A,21B,21C,21D)を備える。複数の基板研磨装置21は、基板搬送路3の長手方向に配列されている。基板研磨装置21は、研磨面を有する研磨パッド22を回転させる研磨テーブル23と、基板Wを保持しかつ基板Wを研磨テーブル23上の研磨パッド22に押圧しながら研磨するためのトップリング24と、研磨パッド22に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル25と、研磨パッド22の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ26と、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ27と、を備える。
【0019】
基板研磨装置21は、研磨液供給ノズル25から研磨液を研磨パッド22上に供給しながら、トップリング24により基板Wを研磨パッド22に押し付け、さらにトップリング24と研磨テーブル23とを相対移動させることにより、基板Wを研磨してその表面を平坦にする。ドレッサ26は、研磨パッド22に接触する先端の回転部にダイヤモンド粒子やセラミック粒子などの硬質な粒子が固定され、当該回転部を回転しつつ揺動することにより、研磨パッド22の研磨面全体を均一にドレッシングし、平坦な研磨面を形成する。
アトマイザ27は、研磨パッド22の研磨面に残留する研磨屑や砥粒などを高圧の流体により洗い流すことで、研磨面の浄化と、機械的接触であるドレッサ26による研磨面の目立て作業、すなわち研磨面の再生を達成する。
【0020】
洗浄部30は、基板Wの洗浄を行う複数の基板洗浄装置31(31A,31B)と、洗浄した基板Wを乾燥させる基板乾燥装置32と、を備える。複数の基板洗浄装置31及び基板乾燥装置32は、基板搬送路3の長手方向に配列されている。基板洗浄装置31Aと基板洗浄装置31Bとの間には、第1搬送室33が設けられている。第1搬送室33には、基板搬送部40、基板洗浄装置31A、及び基板洗浄装置31Bの間で基板Wを搬送する搬送ロボット35が設けられている。また、基板洗浄装置31Bと基板乾燥装置32との間には、第2搬送室34が設けられている。第2搬送室34には、基板洗浄装置31Bと基板乾燥装置32との間で基板Wを搬送する搬送ロボット36が設けられている。
【0021】
基板洗浄装置31は、例えば、ロールスポンジ型の洗浄モジュールを備え、基板Wをスクラブ洗浄する。なお、基板洗浄装置31A及び基板洗浄装置31Bは、同一のタイプであっても、異なるタイプの洗浄モジュールであってもよく、例えば、ペンシルスポンジ型の洗浄モジュールや2流体ジェット型の洗浄モジュールであってもよい。基板乾燥装置32は、例えば、ロタゴニ乾燥(IPA(Iso-Propyl Alcohol)乾燥)を行う乾燥モジュールを備える。乾燥後は、基板乾燥装置32とロード/アンロード部10との間の隔壁に設けられたシャッタ1aが開かれ、搬送ロボット12によって基板乾燥装置32から基板Wが取り出される。
【0022】
基板搬送部40は、リフター41と、第1リニアトランスポータ42と、第2リニアトランスポータ43と、スイングトランスポータ44と、を備える。基板搬送路3には、ロード/アンロード部10側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7が設定されている。
【0023】
リフター41は、第1搬送位置TP1で基板Wを上下に搬送する機構である。リフター41は、第1搬送位置TP1において、ロード/アンロード部10の搬送ロボット12から基板Wを受け取る。また、リフター41は、搬送ロボット12から受け取った基板Wを第1リニアトランスポータ42に受け渡す。第1搬送位置TP1とロード/アンロード部10との間の隔壁には、シャッタ1bが設けられており、基板Wの搬送時にはシャッタ1bが開かれて搬送ロボット12からリフター41に基板Wが受け渡される。
【0024】
第1リニアトランスポータ42は、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4の間で基板Wを搬送する機構である。第1リニアトランスポータ42は、複数の搬送ハンド45(45A,45B,45C,45D)と、各搬送ハンド45を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構46と、を備える。
搬送ハンド45Aは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1から第4搬送位置TP4の間を移動する。この搬送ハンド45Aは、リフター41から基板Wを受け取り、それを第2リニアトランスポータ43に受け渡すためのパスハンドである。
【0025】
搬送ハンド45Bは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1と第2搬送位置TP2との間を移動する。この搬送ハンド45Bは、第1搬送位置TP1でリフター41から基板Wを受け取り、第2搬送位置TP2で基板研磨装置21Aに基板Wを受け渡す。搬送ハンド45Bには、昇降駆動部が設けられており、基板Wを基板研磨装置21Aのトップリング24に受け渡すときは上昇し、トップリング24に基板Wを受け渡した後は下降する。なお、搬送ハンド45C及び搬送ハンド45Dにも、同様の昇降駆動部が設けられている。
【0026】
搬送ハンド45Cは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1と第3搬送位置TP3との間を移動する。この搬送ハンド45Cは、第1搬送位置TP1でリフター41から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で基板研磨装置21Bに基板Wを受け渡す。また、搬送ハンド45Cは、第2搬送位置TP2で基板研磨装置21Aのトップリング24から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で基板研磨装置21Bに基板Wを受け渡すアクセスハンドとしても機能する。
【0027】
搬送ハンド45Dは、リニアガイド機構46によって、第2搬送位置TP2と第4搬送位置TP4との間を移動する。搬送ハンド45Dは、第2搬送位置TP2または第3搬送位置TP3で、基板研磨装置21Aまたは基板研磨装置21Bのトップリング24から基板Wを受け取り、第4搬送位置TP4でスイングトランスポータ44に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。
【0028】
スイングトランスポータ44は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有しており、第1リニアトランスポータ42から第2リニアトランスポータ43へ基板Wを受け渡す。また、スイングトランスポータ44は、研磨部20で研磨された基板Wを、洗浄部30に受け渡す。スイングトランスポータ44の側方には、基板Wの仮置き台47が設けられている。スイングトランスポータ44は、第4搬送位置TP4または第5搬送位置TP5で受け取った基板Wを上下反転して仮置き台47に載置する。仮置き台47に載置された基板Wは、洗浄部30の搬送ロボット35によって第1搬送室33に搬送される。
【0029】
第2リニアトランスポータ43は、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7の間で基板Wを搬送する機構である。第2リニアトランスポータ43は、複数の搬送ハンド48(48A,48B,48C)と、各搬送ハンド45を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構49と、を備える。搬送ハンド48Aは、リニアガイド機構49によって、第5搬送位置TP5から第6搬送位置TP6の間を移動する。搬送ハンド45Aは、スイングトランスポータ44から基板Wを受け取り、それを基板研磨装置21Cに受け渡すアクセスハンドとして機能する。
【0030】
搬送ハンド48Bは、第6搬送位置TP6と第7搬送位置TP7との間を移動する。搬送ハンド48Bは、基板研磨装置21Cから基板Wを受け取り、それを基板研磨装置21Dに受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。搬送ハンド48Cは、第7搬送位置TP7と第5搬送位置TP5との間を移動する。搬送ハンド48Cは、第6搬送位置TP6または第7搬送位置TP7で、基板研磨装置21Cまたは基板研磨装置21Dのトップリング24から基板Wを受け取り、第5搬送位置TP5でスイングトランスポータ44に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。なお、説明は省略するが、搬送ハンド48の基板Wの受け渡し時の動作は、上述した第1リニアトランスポータ42の動作と同様である。
【0031】
図2は、第1実施形態に係る基板洗浄装置31の構成を示す側面図である。図3は、第1実施形態に係る基板保持回転機構70を示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係るローラ洗浄ノズル80に接続される配管系110を示す系統図である。図5は、第1実施形態に係る基板保持回転機構70の要部を示す拡大斜視図である。
図2に示すように基板洗浄装置31は、基板Wをスクラブ洗浄するロール洗浄部材60と、基板Wを保持し回転させる基板保持回転機構70と、を備えている。
【0032】
ロール洗浄部材60の表面は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)製スポンジあるいはウレタン製スポンジなどから形成されている。ロール洗浄部材60は、基板Wの上面W1(研磨面)と接触する上部ロール洗浄部材60Aと、基板Wの下面W2に接触する下部ロール洗浄部材60Bと、を備えている。
【0033】
上部ロール洗浄部材60A及び下部ロール洗浄部材60Bは、モータ等の電気駆動部と接続されて回転する。また、上部ロール洗浄部材60Aは、図示しないエアシリンダ等のエア駆動部(アクチュエータ)によって上下に移動可能な構成となっている。なお、下部ロール洗浄部材60Bは、一定の高さで保持されていても構わない。
【0034】
基板保持回転機構70は、基板Wの周縁部W3を保持し、当該基板Wを回転させる基板保持ローラ71を複数(本実施形態では4つ)備えている。基板保持ローラ71は、基板Wの周縁部W3の下面W2に対向するローラ下部71aと、基板Wの周縁部W3の上面W1に対向するローラ上部71bと、ローラ下部71aとローラ上部71bとの間に設けられ、基板Wの周縁部W3が挿し込まれるクランプ溝71cと、を有している。
【0035】
基板保持ローラ71は、図3に示すように、4本の支柱部72のそれぞれの上端に設けられている。基板保持ローラ71は、支柱部72に設けられた図示しないモータ等の電気駆動部によって水平回転可能な構成となっている。また、基板保持ローラ71は、支柱部72に設けられた図示しないエアシリンダ等のエア駆動部によって上下に移動可能な構成となっている。
【0036】
図2に示すように基板Wをセットする際には、先ず、上部ロール洗浄部材60A及び複数の基板保持ローラ71を上昇させる。次に、上昇した複数の基板保持ローラ71に基板Wを水平姿勢で保持させ、その後、基板Wの下面W2が下部ロール洗浄部材60Bに接触するまで下降させる。最後に、上部ロール洗浄部材60Aを下降させ、基板Wの上面W1に接触させる。
【0037】
このように基板Wをセットしたら、基板Wを基板保持ローラ71によって自転させつつ、一対のロール洗浄部材60を回転させることで、基板Wの上面W1及び下面W2に付着した異物(微小パーティクル)を除去する。なお、湿式洗浄の場合は、図示しないノズルから薬液及び/または純水を基板Wの上面W1に向けて供給し、基板Wを一対のロール洗浄部材60でスクラブ洗浄する。薬液としては、SC1(アンモニア/過酸化水素混合水溶液)等を用いることができる。
【0038】
基板保持回転機構70は、上述した基板Wの洗浄の後、基板保持ローラ71に付着した微小パーティクルを洗い流すローラ洗浄ノズル80を備えている。なお、基板保持ローラ71の洗浄は、例えば、基板Wの1ロットの洗浄が終了した後、次のロットの基板Wを洗浄する前に行う。なお、基板保持ローラ71の洗浄は、基板Wを1枚洗浄する度に行っても良いし、基板洗浄装置31のダミーディスペンス(基板Wを洗浄する配管系に溜まった薬液及び/または純水を定期的に排出する)時などに行っても構わない。
【0039】
ローラ洗浄ノズル80は、図5に示すように、基板保持ローラ71の斜め上方から、基板保持ローラ71に向かって流体を噴射する。ローラ洗浄ノズル80は、ノズル保持部90に保持されている。また、ノズル保持部90は、支柱部72に取り付けられたホルダー100に保持されている。ホルダー100は、支柱部72から水平方向に延びる水平部101と、水平部101から立ち上がった立設部102と、を有している。
【0040】
水平部101は、支柱部72の上端部付近に設けられたフランジ73に、ボルト103を介してねじ止めされている。立設部102は、水平部101から立ち上がり、その上端部にノズル保持部90を保持している。ノズル保持部90には、ローラ洗浄ノズル80に純水(DIW)を供給する配管系110が接続されている。
【0041】
配管系110は、図4に示すように、4つの基板保持ローラ71に対応して4本に分岐している。具体的に、配管系110は、純水の供給/停止及び適正な噴霧条件に流量をコントロールするバルブ装置111と、バルブ装置111が設けられた主配管112と、主配管112から2本に分岐した第1分岐管113と、第1分岐管113のそれぞれから更に2本に分岐した第2分岐管114と、を備えている。
【0042】
第2分岐管114は、図5に示すように、ノズル保持部90に接続されている。第2分岐管114から供給される純水は、ノズル保持部90の内部を通り、ローラ洗浄ノズル80の噴射孔81から基板保持ローラ71に向かって噴射される。なお、本実施形態の配管系110は、上述した基板Wを洗浄する配管系とは別系統で設けられている。但し、基板Wを洗浄する配管系から分岐させて、基板保持ローラ71を洗浄する配管系110を形成しても構わない。また、ダミーディスペンス用の配管系から分岐させて、基板保持ローラ71を洗浄する配管系110を形成しても構わない。これらの場合は、基板Wの洗浄時ではないときに、基板保持ローラ71の洗浄を行う。
【0043】
ローラ洗浄ノズル80は、図5に示すように、スリット状の噴射孔81を有している。噴射孔81は、縦に延びており、扇状に流体(純水)を噴射する構成となっている。ローラ洗浄ノズル80は、基板保持ローラ71において、クランプ溝71c及びローラ上部71bの上面71b1を含む領域に流体を噴射する構成となっている。ローラ上部71bの上面71b1は、フラット面になっている。
【0044】
ローラ洗浄ノズル80から噴射された流体は、基板保持ローラ71のクランプ溝71cに付着した微小パーティクルを洗い流すと共に、ローラ上部71bの上面71b1に付着した微小パーティクルも洗い流す。また、ローラ上部71bの上面71b1やクランプ溝71cから流れ落ちた流体は、ローラ下部71aに付着した微小パーティクルも洗い流すため、基板保持ローラ71の基板Wを保持する部分を全面的に洗浄できる。なお、ローラ下部71aは、ローラ上部71bよりも径方向外側に延出しており、その上面71a1は、径方向外側に向かって下方に向かうテーパ面となっている。
【0045】
ローラ洗浄ノズル80は、図5に示すように、クランプ溝71c及びローラ上部71bの上面71b1だけでなく、ローラ下部71aの上面71a1を含む領域に流体を噴射している。これにより、ローラ下部71aの上面71a1に付着した微小パーティクルも流体の水圧で洗い流すことができる。
【0046】
また、制御部50(図1参照)は、上述のようにローラ洗浄ノズル80から流体が噴射されている間、基板保持ローラ71を回転させる。これにより、基板保持ローラ71の全周全面に流体を吹き付けることができる。このとき制御部50は、基板Wを洗浄する際の第1速度よりも低速(例えば1/2~1/4程度)の第2速度で基板保持ローラ71を回転させる。これにより、基板保持ローラ71の単位面積当たりに流体がかかる時間が長くなるため、微小パーティクルの落ちがよくなる。なお、制御部50は、基板処理装置1の全体の動作を制御するものであるが、基板保持回転機構70のために専用の制御部を設けても構わない。
【0047】
このように、上述した本実施形態の基板保持回転機構70によれば、基板Wの周縁部W3を保持し、当該基板Wを回転させる基板保持ローラ71を備え、基板保持ローラ71は、基板Wの周縁部W3の下面W2に対向するローラ下部71aと、基板Wの周縁部W3の上面W1に対向するローラ上部71bと、ローラ下部71aとローラ上部71bとの間に設けられ、基板Wの周縁部W3が挿し込まれるクランプ溝71cと、を有しており、基板保持ローラ71の斜め上方から、クランプ溝71c及びローラ上部71bの上面71b1を含む領域に流体を噴射するローラ洗浄ノズル80を備える、という構成を採用することによって、基板保持ローラ71の基板Wを保持する部分を全面的に洗浄し、微小パーティクルの基板Wへの再付着を防止できる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0049】
図6は、第2実施形態に係る基板保持回転機構70の要部を示す拡大斜視図である。
図6に示すように、第2実施形態のノズル保持部90は、ローラ洗浄ノズル80を回転可能に保持している。ローラ洗浄ノズル80は、噴射孔81の中心を通る中心軸O回りに回転可能とされている。
【0050】
このようなローラ洗浄ノズル80は、上述した実施形態と同様に、噴射孔81を縦にし、クランプ溝71c及びローラ上部71bの上面71b1を含む領域に流体を噴射する第1モード(図5参照)と、噴射孔81を横にし、クランプ溝71cを含み且つローラ上部71bの上面71b1を含まない領域に流体を噴射する第2モード(図6参照)とに、噴射モードを切り替え可能となっている。
【0051】
第1モードによれば、上述したように基板保持ローラ71の基板Wを保持する部分を全面的に洗浄することができる。また、第2モードによれば、基板保持ローラ71において、特に微小パーティクルが残留し易いクランプ溝71cを集中して洗浄することができる。このような第1モードと第2モードの切り替えによって、基板保持ローラ71に付着した微小パーティクルを効率よく洗浄することができる。
【0052】
図7は、第2実施形態に係るローラ洗浄ノズル80の回転角度調整(モード切替)を容易にするための構成を示す斜視図である。図8は、第2実施形態に係るローラ洗浄ノズル80の回転角度調整作業の様子を示す斜視図である。図9は、第2実施形態に係るローラ洗浄ノズル80の回転角度調整作業で用いる治具200を示す斜視図である。
図7に示すように、第2実施形態のノズル保持部90の外面には、ローラ洗浄ノズル80を第1モードに切り替えるための第1スリット91と、ローラ洗浄ノズル80を第2モードに切り替えるための第2スリット92と、が形成されているとよい。
【0053】
ローラ洗浄ノズル80の外面には、目印となるスリット82が設けられている。スリット82は、噴射孔81の長手方向(スリットの延在方向)の延長線上に設けられている。ノズル保持部90の第1スリット91は、ローラ洗浄ノズル80が第1モードのときスリット82と同じ回転角度で配置されるように、ノズル保持部90の上面に設けられている。また、ノズル保持部90の第2スリット92は、ローラ洗浄ノズル80が第2モードのときスリット82と同じ回転角度で配置されるように、ノズル保持部90の側面に設けられている。
【0054】
ローラ洗浄ノズル80の回転角度調整(モード切替)の際には、図8に示すように、板状の治具200を挿し込むとよい。治具200は、ローラ洗浄ノズル80のスリット82に挿入可能な第1挿入部201と、ノズル保持部90の第1スリット91乃至第2スリット92に挿入可能な第2挿入部202と、を備えている。図9に示すように、第1挿入部201は、第2挿入部202よりも薄く、且つ、第2挿入部202(治具200の端面)よりも突出している。
【0055】
例えば、ローラ洗浄ノズル80を第2モードに切り替える場合、図8に示すように、治具200の第1挿入部201をローラ洗浄ノズル80のスリット82に挿入すると共に、治具200の第2挿入部202をノズル保持部90の第2スリット92に挿入する。これにより、ローラ洗浄ノズル80の噴射モードを第2モードに切り替えることができる。治具200の挿入によって、ローラ洗浄ノズル80のスリット82とノズル保持部90の第2スリット92を直線上に簡易的に合わせることができ、これにより噴射孔81が斜めになることがなく、第2モードによる所望の洗浄性能が得られる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0057】
図10は、第3実施形態に係る基板保持回転機構70の要部を示す平面図である。図4は、第3実施形態に係る第1ローラ洗浄ノズル80A、第2ローラ洗浄ノズル80Bに接続される配管系110,120を示す系統図である。
図10に示すように、第3実施形態では、ローラ洗浄ノズル80として、純水を噴射する第1ローラ洗浄ノズル80Aと、薬液を噴射する第2ローラ洗浄ノズル80Bと、を備えている。なお、第2ローラ洗浄ノズル80Bから噴射する薬液としては、基板Wを洗浄する薬液と同様に、SC1(アンモニア/過酸化水素混合水溶液)等を用いることができる。
【0058】
第1ローラ洗浄ノズル80A及び第2ローラ洗浄ノズル80Bは、それぞれ基板保持ローラ71の斜め上方から、クランプ溝71c及びローラ上部71bの上面71b1を含む領域に流体を噴射する構成となっている。第1ローラ洗浄ノズル80Aには、上述した純水を供給する配管系110が接続されている。また、第2ローラ洗浄ノズル80Bには、薬液を供給する配管系120が接続されている。
【0059】
図11に示すように、薬液を供給する配管系120も、純水を供給する配管系110と同様に、4つの基板保持ローラ71に対応して、4本に分岐している。具体的に、配管系120は、薬液の供給/停止及び適正な噴霧条件に流量をコントロールするバルブ装置121と、バルブ装置121が設けられた主配管122と、主配管122から2本に分岐した第1分岐管123と、第1分岐管123のそれぞれから更に2本に分岐した第2分岐管124と、を備えている。
【0060】
第2分岐管124は、図10に示すように、第2ローラ洗浄ノズル80Bのノズル保持部90に接続されている。第2分岐管124から供給される薬液は、第2ローラ洗浄ノズル80Bのノズル保持部90の内部を通り、第2ローラ洗浄ノズル80Bの噴射孔81から基板保持ローラ71に向かって噴射される。なお、本実施形態の配管系120は、上述した基板Wを洗浄する薬液の配管系とは別系統で設けられている。但し、基板Wを洗浄する薬液の配管系から分岐させて、基板保持ローラ71を洗浄する配管系120を形成しても構わない。また、ダミーディスペンス用の配管系から分岐させて、基板保持ローラ71を洗浄する配管系120を形成しても構わない。これらの場合は、基板Wの洗浄時ではないときに、基板保持ローラ71の洗浄を行う。
【0061】
上記構成によれば、基板保持ローラ71に噴射する流体を純水と薬液に切り替えて洗浄することが可能となる。例えば、第2ローラ洗浄ノズル80Bからの薬液の噴射が停止した後に、第1ローラ洗浄ノズル80Aから純水を噴射するとよい。これにより、薬液で洗浄された基板保持ローラ71を純水でリンスすることが可能となる。このように、薬液、純水の順に流体を切り替えることで、基板保持ローラ71に付着した微小パーティクルを薬液で除去すると共に、基板保持ローラ71に付着した薬液を純水で洗い流すことができる。なお、薬液と純水を同時に噴射してもよいが、薬液が純水で薄まるため、個別に噴射するとよい。
【0062】
図12は、第3実施形態に係る基板保持回転機構70の変形例を示す平面図である。
第3実施形態では、図12に示すように、第1ローラ洗浄ノズル80Aは第1モードに設定し、第2ローラ洗浄ノズル80Bは第2モードに設定してもよい。この構成によれば、基板保持ローラ71において特に微小パーティクルが残留し易いクランプ溝71cを薬液で集中的に洗い流すと共に、基板保持ローラ71を純水で全面的に洗い流すことができる。なお、この場合も、上述したように薬液による洗浄後に純水で基板保持ローラ71をリンスするとよい。
【0063】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0064】
図13は、第4実施形態に係る基板保持回転機構70の構成を示す側面図である。
図13に示すように、第4実施形態では、ローラ洗浄ノズル80に接続され、上述した第1モードと第2モードの切り替えを行うアクチュエータ130を備えている。アクチュエータ130は、例えば、モータ等の電気駆動部と、ウォームギヤ等の減速機を備え、ローラ洗浄ノズル80の回転角度を自動で調整する。
【0065】
上記構成によれば、上述した図12に示すように、ローラ洗浄ノズル80を2つ設けることなく、1つのローラ洗浄ノズル80で、第1モードによる洗浄と第2モードによる洗浄を切り替えることができる。また、ノズル保持部90に、純水の配管系110に加え、薬液の配管系120を接続すれば、同じローラ洗浄ノズル80から薬液と純水を切り替えることも可能となる。例えば、第2モードで薬液を噴射し、クランプ溝71cを洗浄した後、第1モードに切り替えて、純水で基板保持ローラ71の全面をリンスすることも可能となる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0067】
例えば、上記実施形態では、本発明の基板保持回転機構を適用する基板処理装置として、CMP装置を例示したが、CMP装置以外の装置(例えば、裏面研磨装置、ベベル研磨装置、エッチング装置、あるいはめっき装置)に適用しても構わない。
【符号の説明】
【0068】
1 基板処理装置
50 制御部(制御装置)
70 基板保持回転機構
71 基板保持ローラ
71a ローラ下部
71a1 上面
71b ローラ上部
71b1 上面
71c クランプ溝
80 ローラ洗浄ノズル
80A 第1ローラ洗浄ノズル
80B 第2ローラ洗浄ノズル
81 噴射孔
82 スリット
90 ノズル保持部
91 第1スリット
92 第2スリット
130 アクチュエータ
W 基板
W1 上面
W2 下面
W3 周縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13