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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】計測装置、およびインライン型蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240521BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240521BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240521BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240521BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C23C14/24 J
C23C14/56 G
H01L21/68 A
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021103502
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002322
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸江 由也
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/56
H01L 21/677
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン型の蒸着装置に用いられる計測装置であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送方向に対する前記搬送対象物の幅方向の位置を規制するガイド手段と、を備え、
前記計測装置は、
前記搬送手段によって搬送され、真空環境下の前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記ガイド手段の前記幅方向の位置を検出する検出手段
を備える、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記計測装置の幅方向の側方に位置する物体との間の距離に応じて出力値が変化するレーザ測距計を備え、前記出力値に基づいて前記ガイド手段の前記幅方向の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記レーザ測距計は、所定の時間間隔で、または、連続的に前記側方に位置する物体との間の距離を検出し、
前記検出手段は、物体との間の距離が極小値となった場合に前記ガイド手段の位置を検出することを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記レーザ測距計は、所定の時間間隔で、または、連続的に、前記側方に位置する物体との間の距離を検出し、
前記検出手段は、前記出力値のうち極小値を示すものを選択的に記憶し、または、外部へ送信することを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項5】
前記レーザ測距計の前記出力値を校正する校正手段を有することを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記搬送方向における前記蒸着装置に対する前記計測装置の位置をさらに検出することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項7】
前記検出手段で検出した前記ガイド手段の位置に関する情報を外部装置に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で請求項1から7の何れか1項に記載の計測装置を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送方向に対する前記計測装置の幅方向の位置を規制するガイド手段と、
を備えるインライン型蒸着装置。
【請求項9】
前記ガイド手段の前記幅方向の前記位置に関する情報を受信する受信手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項10】
前記ガイド手段の前記幅方向の位置を調整可能な調整手段をさらに有することを特徴とする請求項9に記載のインライン型蒸着装置。
【請求項11】
前記調整手段は、前記受信手段で受信した前記ガイド手段の前記位置に関する情報に基づいて前記ガイド手段の位置を調整することを特徴とする請求項10に記載のインライン型蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、およびインライン型蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイの製造では、TFT(薄膜トランジスタ)を形成した基板上に有機材料が成膜される。有機材料の成膜方法としては、真空蒸着が主流となっており、TFTが形成された面を下向きにして基板の下方から蒸着材料を上向きに成膜する方法が使用される。TFTを形成した基板には、複数のパネル領域が配置されることがあり、マザーガラスと呼ばれうる。近年、マザーガラスのサイズが大きくなっているため、従来のガラス基板を静止させた状態での成膜方法から基板を移動させながら成膜するインライン成膜方式が検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-141706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、インライン成膜方式においては搬送中のマザーガラスの蛇行を抑制する目的で搬送路の側方にサイドローラが設けられる。しかしながら、大気環境下でサイドローラの位置を調整しても、真空環境下で真空チャンバの歪みが生じることでサイドローラの位置が変化してしまう場合があり、真空環境下でマザーガラスの蛇行を適切に抑制できない場合が生じるという課題がある。
【0005】
上記の課題を鑑み、本発明は、真空環境下で搬送中のマザーガラスの蛇行を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る計測装置は、
インライン型の蒸着装置に用いられる計測装置であって、
前記蒸着装置は、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送方向に対する前記搬送対象物の幅方向の位置を規制するガイド手段と、を備え、
前記計測装置は、
前記搬送手段によって搬送され、真空環境下の前記チャンバ内で前記搬送手段によって搬送されている間に、前記ガイド手段の前記幅方向の位置を検出する検出手段
を備える。

【発明の効果】
【0007】
これによって、真空環境下で搬送中のマザーガラスの蛇行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る生産ラインの一例を示す概略図
図2】本実施形態に係る搬送装置によって搬送される基板の一例を示す図
図3】計測キャリアの構成図
図4】計測キャリアの構成ブロック図
図5】計測キャリアの断面図
図6】計測キャリアの測定原理を示す図
図7】サイドローラ間の距離の計算方法を示す図
図8】調整システムが実行する処理の一例を示すフローチャート
図9】計測キャリアの校正方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1を参照して、本実施形態に係る生産ラインの一例を説明する。
【0011】
図1に示す生産ラインにおいて基板投入部11よりガラス基板7(以下、基板7と略する場合がある)を投入する。ガラス基板7は投入時に下面が成膜面となるようにして基板投入部11に投入される。基板投入部11に投入されたガラス基板7は基板投入部11に接続された不図示の真空ポンプにより所定の圧力以下となるまで減圧される。本実施形態では、基板投入部11は5.0×10-4Pa以下になるまで減圧処理を行う。そのため、基板投入部11のチャンバの内容量は少ない方が排気にかかる時間が少なくて済むため、本実施形態では基板投入部11においてガラス基板の回転は行われないものとする。このため、ガラス基板7は基板投入部11に成膜面を下面にして投入される。
【0012】
本実施形態におけるガラス基板7は第六世代と呼ばれる基板サイズであり、具体的には1850mm×1500mm×0.5tの無アルカリガラスである。ガラス基板7はマスク8の上に積載されており、マスク8のサイズは2050mm×1700mm×50mmである。ガラス基板7には有機ELディスプレイであればTFT回路が形成されている。有機EL照明であれば電極が形成されている。
【0013】
基板投入部11にて所定の圧力以下となるまで不図示の真空ポンプにて排気が行われたら、基板搬送部12内に設置されている真空搬送用ロボット24にてガラス基板7を搬送する。具体的には、基板投入部11と基板搬送部12の間にあるゲートバルブと呼ばれる開閉可能な板状の弁を開け、真空搬送用ロボット24が基板投入部11にあるガラス基板7を受け取ることで搬送を行う。この時、基板搬送部12内の圧力は基板投入部11より低い1.0×10-4Pa以下である。ガラス基板7を受け取った真空搬送用ロボット24は基板搬送部12内にガラス基板7を引き込む。基板搬送部12にガラス基板7を引き込んで所定の位置に達してから、基板投入部11と基板搬送部12の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。基板搬送部12には必要に応じてガラス基板7をストックするバッファ部やガラス基板7の成膜面を活性化する前処理部を設けてもよいが、本実施形態では省略する。
【0014】
次に基板搬送部12に引き込まれたガラス基板7を基板マスク合体部13へ引き渡す。まず基板マスク合体部13にマスクリターン部21もしくはマスク投入部20からマスク8を投入する。続いて、基板搬送部12と基板マスク合体部13との間に設けられた開閉可能な板状の弁を開け、真空搬送用ロボット24は、ガラス基板7を基板マスク合体部13の不図示の基板受けへと受け渡す。ガラス基板7の受け渡しが完了したら、真空搬送用ロボット24は基板搬送部12内の所定位置に戻り、基板搬送部12と基板マスク合体部13の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。続いて、基板マスク合体部13は基板受けに配置されたガラス基板7をマスク8上に移動する。
【0015】
ガラス基板7をマスク8上に配置する際に、基板マスク合体部13はガラス基板7とマスク8を位置合わせする不図示のアライメント機構により位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理では、ガラス基板7とマスク8を基板マスク合体部13内でそれぞれをセンタリングしてから合体させる方法や、ガラス基板7とマスク8に位置合わせ用のマークを設けて画像処理によるアライメント動作を行う方法を採用することができる。
【0016】
続いて、マスク8上に置かれたガラス基板7の上に、マスク8とガラス基板7とを密着させるための部材を置く。具体的には、マグネットを利用したものやガラス基板の形状を整える機構を有した部材である。マスク8とガラス基板7とを合体させたものを以下ではマスク済み基板100と称する。マスク8は開口を有し、これによってマスク済み基板100の下方から後述する蒸着部から有機材料(以下、蒸着材料とも称する)を放出することで、後述する成膜部15においてガラス基板7上の所定の位置に有機材料を蒸着することができる。
【0017】
マスク済み基板100を積載した状態で基板マスク合体部13、追付き部14、成膜部15、引離し部16、基板マスク分離部17を搬送ローラによる搬送を行う。
【0018】
基板マスク合体部13は、マスク済み基板100を追付き部14へ移動する。基板マスク合体部13からマスク8の下面に接触する搬送ローラが所定の間隔で配置されており、マスク済み基板100の搬送動作を行う。追付き部14においては、先行するマスク済み基板100の間隔を狭める動作を行う。具体的には先行するマスクが成膜速度で搬送されている状態において、成膜速度以上の速度で間隔を狭め、間隔が近くなったら成膜速度とすることで、間隔を狭めることができる。搬送方向で前後のマスク済み基板100の間隔を狭めることができれば、成膜材料の無駄を減らすことができる。しかしながら、マスク済み基板100同士が接触してしまうとパーティクルの発生や、基板7とマスク8との位置ずれや歪みの原因となってしまう。このため、追付き部14は最小限の間隔が確保されていることが好ましい。基板マスク合体部13から搬送ローラ4によってマスク済み基板100を搬送する。
【0019】
追付き部14でマスク済み基板100の間隔を狭めた状態を維持して成膜部15へとマスク済み基板100を搬送していく。搬送中はマスク済み基板100の姿勢を検出して、後述するマスク済み基板100の姿勢制御を行いながら成膜処理を実行する。成膜部15においては不図示の成膜源が設置されていて、蒸着であれば蒸着源、スパッタであればターゲット、化学蒸着法(CVD)であれば電極と成膜ガスの流路が設けられる。本実施形態においては蒸着における例を挙げるがスパッタやCVDにおいても同様に、後述する搬送及び蛇行の制御を行うことができる。
【0020】
成膜部15では一般的に複数層の膜を成膜する。成膜源は固定で、マスク済み基板100を搬送することで、所望の膜をガラス基板に蒸着することができる。単色発光の有機ELデバイスであれば、発光エリアの開口があるマスクを使用する。複数色発光の有機ELデバイスであれば、各色に成膜したいエリアの開口があるマスクを使用することになる。インライン成膜方式では照明用途も含めて単色発光デバイスが主流である。単色発光の有機ELデバイスにおいても、一般的にホール輸送層、発光層、電子輸送層などの複数層の成膜を行う。マスク済み基板100の搬送速度に合わせて各層の成膜レートを調整して所望の膜を所望の膜厚で成膜をすることで有機ELデバイスの成膜を行う。
【0021】
成膜部15にて成膜処理が終了して、マスク済み基板100が引離し部16へ搬送されると、次の基板マスク分離部17にて停止して処理を行う必要があるため、搬送方向で前後のマスク済み基板100の間隔をあける。引離し時は、引離し部16に設けられた不図示の位置確認センサを使用し、マスク済み基板100が所定の位置を過ぎると、マスク済み基板100が乗っている引離し部16の搬送ローラのみの回転速度を上げる。これによって搬送方向で上流のマスク済み基板100との距離を広げることができる。
【0022】
続いて、引離し部16はマスク済み基板100を基板マスク分離部17へと搬送する。基板マスク分離部17に滞留中の基板7またはマスク8がなければ、引き離し速度のままマスク済み基板100を基板マスク分離部17へ搬送してもよい。
【0023】
基板マスク分離部17は、搬送されたマスク済み基板100のマスク8とガラス基板7とを密着させるための部材を取り外し、基板マスク分離部17内部の機構によりガラス基板7を持ち上げる。持ち上げたガラス基板7は基板搬送部18に設置されている真空搬送用ロボット25にて基板搬送部18へと搬送される。マスク8はマスクリターン部21にて基板マスク合体部13へ送るかマスク排出部23へと搬送される。
【0024】
基板搬送部18へガラス基板7を搬送する際は、基板マスク分離部17と基板搬送部18の間に設けられた開閉可能な板状の弁を開ける。真空搬送用ロボット25が基板マスク分離部17の向きになるように旋回動作を行い、基板マスク分離部17に置かれたガラス基板7の下面にアームを伸ばしてからすくい上げるようにしてガラス基板7を受け取る。ガラス基板7を受け取った真空搬送用ロボット25は基板搬送部18内にガラス基板7を引き込む。基板搬送部18にガラス基板7を引き込んで所定の位置に達してから、基板マスク分離部17と基板搬送部18の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。基板搬送部18には必要に応じて成膜後のガラス基板7をストックするバッファ部や有機膜が劣化することを防止する封止部を設けてもよいが、本実施形態では省略する。
【0025】
基板搬送部18から基板排出部19へとガラス基板7を搬送する際は、基板搬送部18と基板排出部19の間に設けられた開閉可能な板状の弁を開ける。真空搬送用ロボット25が基板排出部19の向きになるように旋回動作を行い、基板排出部19内に設けられたガラス基板積載部にガラス基板7を搬送する。真空搬送用ロボット25が基板搬送部18内の所定の位置に達してから、基板搬送部18と基板排出部19の間に設けられた開閉可能な板状の弁を閉じる。
【0026】
基板排出部19では、後工程が真空環境であれば大気圧に戻す動作は行わない。後工程によっては、窒素雰囲気にするための窒素ベントや大気ベントを行ってもよい。
【0027】
以上、本実施形態を実施するための形態を記載した。なお、上述の形態では、ガラス基板7、または、ガラス基板7とマスク8とが重ねあわされたものを、搬送体(搬送対象物)として搬送している。これら以外にも、ガラス基板7を保持する基板キャリアを搬送体として用いてもよいし、後述するように計測キャリアを搬送体として用いてもよい。本実施形態では、チャンバによって形成される搬送空間は、真空に維持された状態で搬送対象物を搬送するものとして説明を行う。
【0028】
<基板の搬送方法>
続いて、成膜システムにおける基板の搬送方法について説明する。図2を参照して搬送ローラ4の一例について説明する。搬送ローラ4は磁気シール3と接続されており、チャンバ外のカップリング2を介してサーボモータ1に接続されている。本実施形態では、1つのサーボモータ1に接続される搬送ローラ4は1つであるものとして説明を行うが、1つのサーボモータ1に複数の搬送ローラ4が接続されてもよい。サーボモータ1をコントロールする制御装置90によってサーボモータ1は同期制御される。図2では、1つの制御装置90がすべてのサーボモータ1を制御するものとして図示されているが、同期制御が実現できれば、複数の制御装置90がサーボモータ1を分担して制御してもよい。
【0029】
制御装置90は、プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、インタフェース(I/F)94、および無線通信部95を備える。プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、I/F94、および無線通信部95はバス96を介して通信可能に接続される。
【0030】
プロセッサ91は、ストレージ93に格納されたプログラムをメモリ92に展開し、後述するマスク済み基板100のI/F94を介してサーボモータ1を制御する。また一例では、制御装置90は、調整ユニット6を制御して、サイドローラ5の搬送方向に対して交差する方向(Y方向)における位置を調整する。
【0031】
ここで、制御装置90は、複数のサーボモータ1を同期制御してマスク済み基板100の搬送を行うが、搬送ローラ4の外径のわずかな差や、機械的な組付け精度等によってマスク済み基板100が搬送方向に対して傾き、蛇行する可能性がある。このように、マスク済み基板100の蛇行を防ぐために、搬送ローラ4によって形成される搬送経路の側方には、マスク済み基板100の側方に当接して蛇行を規制するサイドローラ5が取り付けられている。サイドローラ5は、当接することで搬送対象物の蛇行を規制するガイドユニットの一例である。本実施形態ではサイドローラ5はモータなどの駆動回路は有しないものとして説明を行うが、駆動回路を備え、搬送方向に向かって左側のサイドローラ(図2の上側のサイドローラ5)は反時計まわりに回転し、搬送方向に向かって右側のサイドローラ(図2の下側のサイドローラ5)は時計まわりに回転してもよい。
【0032】
本実施形態においては、サイドローラ5とマスク済み基板100のクリアランスは搬送方向に向かって左右で各5mmである。このため、マスク済み基板100は、蛇行が±5mm未満であればサイドローラ5に接触することなく搬送されることができる。一方、±5mm以上の蛇行であれば、マスク済み基板100がサイドローラ5に当接することで蛇行を±5mm未満に修正することができる。
【0033】
しかしながら、成膜部15を真空環境に設定した結果、チャンバの歪みが生じ、Y方向において対向する1対のサイドローラ5間の距離が大きくなったり小さくなる場合がある。このような場合、±5mm未満の、搬送に問題ない程度の蛇行であるにも関わらずサイドローラ5に当接する場合がある。マスク済み基板100が蛇行し、サイドローラ5に当接すると、基板7とマスク8とのアライメントがずれたり、基板7またはマスク8からパーティクルが発生し、基板7に当接することで成膜不良が生じる場合がある。また、±5mm以上の、規制すべき蛇行であっても正しく規制されず、マスク済み基板100を正しい蒸着位置に搬送できなくなる場合がある。このように、真空環境下でサイドローラ5の位置が変化すると、搬送体の蛇行を適切に抑制することができなくなる場合がある。
【0034】
このため、本実施形態に係る制御装置90は、マスク済み基板100の搬送前に、サイドローラ5のY方向の位置を計測する計測装置を搬送することで、位置がずれているサイドローラ5を特定する。これによって、搬送体の蛇行を適切に抑制することができる位置にサイドローラ5を配置することができる。
【0035】
<計測装置の構成>
続いて、インライン式の成膜装置に備えられた搬送装置によって搬送され、搬送中にサイドローラの幅方向の位置を計測する計測装置(計測キャリアとも称する)を用いる計測方法、および計測方法を使用したサイドローラの位置の自動調整方法について説明する。
【0036】
図3(A)は、計測キャリア10の構成を示す上方図である。計測キャリア10は、搬送路に配された左右の搬送ローラ4にそれぞれ接触する左右の搬送板301L、301Rを連結部材302で搬送方向前後において連結したフレーム構造になっている。
【0037】
左右の搬送板301L、301R(総称して搬送板301と呼ぶ)は、搬送ローラ4に当接して搬送される被搬送部である。搬送板301には、それぞれ搬送方向に向かって外側に位置する物体の搬送方向に向かって左右(Y方向)の距離を測定する左右の測距ユニット303L、303R(総称して測距ユニット303と呼ぶ)が配置される。また、測距ユニット303は、フレキ管304を介してPCユニット(制御ボックス)305に接続される。PCユニット305は、バッテリ、無線通信部が収容され、測距ユニット303に電源を供給するとともに、計測キャリア10とその側方に位置する物体との距離を特定可能な値を測距ユニットから取得し、無線通信部を介して外部装置に出力する。
【0038】
図3(B)に計測キャリア10のXY面における断面図を示す。測距ユニット303は、筐体3031と、筐体3031内に配置されたレーザ測距計3032を備える。筐体3031は、真空環境においても筐体3031内を大気圧の状態に維持するように密閉される。レーザ測距計3032は増幅回路を含む。レーザ測距計3032は、計測キャリア10の搬送方向に向かって左右の側方に位置する物体との距離を測定する光学式センサの一例である。レーザ測距計は、発光部と受光部とを備え、発光部から出力されたレーザ光が計測キャリア10の側方に位置する物体によって反射した反射光を受光部で検出することで、レーザ測距計3032と物体との間の距離を測定することができる。
【0039】
筐体3031には、レーザ測距計3032から出力されたレーザ光が透過可能な透過窓3033が設けられる。これによって、点線3034に示すように、レーザ光を筐体3031の外側に照射することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、レーザ測距計3032から出力されたレーザ光が搬送板301によって遮蔽されないように、搬送板301には切り欠き3011が設けられる。
【0041】
図3(C)に透過窓3033のY方向から見た図を示す。透過窓3033は、レーザ測距計3032の発光部から照射されたレーザ光を透過する透過部3035と、物体で反射したレーザ光をレーザ測距計3032の受光部に透過する透過部3036とを備える。
【0042】
図4は計測キャリア10の構成図である。PCユニット305内には、入出力インタフェース3053を介して取り込んだ、各測距ユニット303L、303Rから取得した計測値から、測距ユニット303からサイドローラ5までの距離を特定する計測処理PC3051が配されている。また計測処理PC3051によって計算された測定結果は、内蔵の無線通信ユニット3051aへと送信され、サイドローラ5の搬送方向に対して交差する方向の位置を調整する調整ユニット6を制御する制御装置90へと無線送信される。これによって、真空環境においても、搬送方向に対して交差する方向におけるサイドローラ5の位置を調整することができる。
【0043】
計測キャリア10は、真空中を移動するため、外部よりの電源供給が出来ず、電源をバッテリ3052とし、バッテリ3052はフレキ管304に収容される電源バスを介して各測距ユニット303にも電源が供給される。
【0044】
各測距ユニット303のそれぞれとPCユニット305の入出力インタフェース3053は、フレキ管304に収容されるデータ線で接続されている。なお、PCユニット305の筐体は、金属製であり、非磁性体である。寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。例えば、バッテリ3052はPCユニット305に収容されず、計測処理PC3051とは別個の筐体に収容されてもよい。
【0045】
また、図4において、フレキ管304は電源バスまたはデータ線を保護するために配置されるが、寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。例えば、フレキ管304は電源バスとデータ線とを別個に収容してもよい。
【0046】
図5に、成膜装置の搬送装置によって搬送されている計測キャリア10の断面図を示す。搬送板301は搬送ローラ4に載置されて搬送される。ここで、計測キャリア10のレーザ測距計3032から出力されたレーザ光は、サイドローラ5に当たり、反射する。反射光は、透過窓3033を通りレーザ測距計3032に入射する。このように、出力したレーザ光と入射した反射光との時間差や位相差、および強度差の少なくともいずれかに基づいて、レーザ測距計3032からサイドローラ5までの距離を検出することができる。なお、図4では、レーザ測距計3032はXY平面と平行にレーザ光501を出力するように示しているが、点線502に示す方向に向かってレーザ光を出力するようにレーザ測距計3032を傾斜させることが可能である。この場合でも、切り欠き3011を通過することで、レーザ測距計3032から出力されたレーザ光は計測キャリア10の搬送方向に向かって側方に照射することができる。一例では、レーザ測距計3032の傾斜角は5度に設定することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、搬送ローラ4は計測キャリア10を載置して搬送するものとして説明を行うが、クランプローラのように計測キャリア10を挟持して搬送してもよい。クランプローラによって計測キャリア10が挟持されている場合でも、 搬送板301に設けられた切り欠き3011を通ってレーザ光を計測キャリア10の側方に照射することができる。
【0048】
続いて、図6を参照して、レーザ測距計3032による測定原理について説明する。計測キャリア10が搬送方向に搬送されている間、レーザ測距計3032は所定の時間間隔、または連続的に計測キャリア10の側方に位置する物体との距離を検出する。レーザ測距計3032で検出した計測キャリア10の側方に位置する物体との距離を検出した時間と対応付けてプロットすることで、波形601、602のような波形を得ることができる。波形601は、レーザ測距計3032Lの出力波形であり、波形602は、レーザ測距計3032Rの出力波形である。なお、図6ではレーザ測距計3032の出力波形は、出力値が大きいほど距離が近いものとして説明を行うが、距離と出力値との対応が取れていれば他の形態にも適用可能である。
【0049】
出力波形601、602に示すように、レーザ測距計3032がサイドローラ5の側方を通過することで、レーザ測距計3032の出力値は極大値を取る。このため、レーザ測距計3032の出力値の極大値6011~6013および6021~6023、すなわち、レーザ測距計3032から計測キャリア10の側方に位置する物体との距離の極小値を取得することで、サイドローラ5の位置を取得することができる。このため、計測キャリア10は、この極小値となった出力値を選択的に記憶することで、サイドローラ5の位置を記憶することができる。なお、計測キャリア10は、極小値を示す出力値を無線通信ユニット3051aを介して外部装置へ送信してもよい。この場合には、搬送方向における位置に関する情報を合わせて送信してもよく、例えば検出した極小値の個数とともに極小値を示す出力値を送信してもよい。
【0050】
(処理例1)
ここで、サイドローラ5の位置を調整する処理例について説明する。
【0051】
本処理例では、計測キャリア10の左右のレーザ測距計3032からサイドローラ5までの距離(L、L)を取得する。ここで、計測キャリア10の搬送方向に交差する幅方向(Y方向)の長さをLとすると、左右のサイドローラ対の間隔を距離L=L+L+Lと表すことができる。したがって、マスク済み基板の幅をLrefとして、L=Lref+10mm(左右のマージン)とすることで、搬送するマスク済み基板に対して複数のサイドローラ対の間隔を合わせることができる。なお、調整に当たっては、一方のサイドローラ5までの距離を5mmに調整し、続いて、他方のサイドローラ5までの距離を5mmになるように調整することで、搬送路を挟んで向かい合うサイドローラ対の距離を一定にすることができる。搬送路を挟んで向かい合う複数のサイドローラ対の距離を合わせることができ、搬送体の蛇行を適切に抑制することができる。
【0052】
(処理例2)
続いて、計測キャリア10の蛇行を検出してサイドローラ5の位置を調整する処理例について図6を参照して説明する。
【0053】
図6(A)のように、計測キャリア10が蛇行している場合について考える。このような場合、左側の測距ユニット303Lの方が右側の測距ユニット303Rより早くサイドローラ5を検出する。したがって、左右の測距ユニット303のピーク値を検出した時間差に基づいて、計測キャリア10の蛇行を検出することができる。
【0054】
図6(B)に、左右の測距ユニット303の出力値の比較図を示す。図6(A)に示すように、計測キャリア10が搬送方向に対して傾斜し、測距ユニット303Lが測距ユニット303Rに先行している場合、測距ユニット303Lがピーク値を検出する時間は測距ユニット303Rがピーク値を検出する時間よりΔt早い。このため、計測キャリア10の搬送速度vが分かっている場合は、左側のサイドローラ5がv×Δtだけ先行しているように見える。このため、左右のレーザ測距計3032からサイドローラ5までの距離(L、L)および計測キャリア10の幅方向(Y方向)の長さをLとして、左右のサイドローラ対の間隔Lは以下の式によって求めることができる。
【0055】
L=sqrt((L+LL+LR)^2+(v×Δt)^2)
なお、sqrt()は平方根を求める関数である。
【0056】
これによって、計測キャリア10が蛇行している場合にも、搬送路の左右のサイドローラ5の間隔を正確に測定することができる。なお、上記説明では、制御装置90が搬送速度を特定している場合について説明を行った。しかしながら、搬送速度の代わりに搬送ローラ4の口径および回転速度に基づいて搬送速度を推定してもよい。あるいは、搬送方向と平行な方向における複数のサイドローラ5の距離が分かっている場合は、複数のサイドローラ5を検出した時間差(図7(B)の7011と7012の時間差)とΔtとの比率に基づいてv×Δtを推定してもよい。
【0057】
(サイドローラ位置の自動調整)
計測キャリア10の計測結果に基づいて、サイドローラ5の搬送方向に対して交差する方向における位置を自動調整する調整システムによって実行される処理について説明する。図2に示すように、搬送路の側方のサイドローラ5には、それぞれ調整ユニット6が取付けられる。また、調整ユニット6を制御し、計測キャリア10から送信された各サイドローラの位置の計測値を受信する無線通信部95を備えた制御装置90が配置されている。
【0058】
これによって、計測キャリア10から送信されてきたサイドローラ5の搬送方向に対して交差する方向における位置に関する情報を無線通信部95で受信することができる。また、I/F94を介して位置の調整が必要なサイドローラ5ごとに位置の調整量を計算し、調整ユニット6を制御することでサイドローラ5の位置を自動で調整可能となる。
【0059】
また計測キャリア10は、例えば測距ユニット303からの出力のピークの数をカウントすることによって、通過したサイドローラ5の数に関する情報(カウント)を特定することができる。このため、通過したサイドローラ5の数を制御装置90に送信することで、制御装置90はいずれのサイドローラ5の位置を調整するかを特定することができる。なお、制御装置90が調整すべきサイドローラ5が特定可能な情報を取得できれば、計測キャリア10は他の情報を制御装置90に送信してもよく、例えば通過した搬送ローラ4の数を制御装置90に送信してもよい。
【0060】
図9は、調整システムが実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、計測キャリア10が測定したサイドローラの搬送方向に交差する方向における位置に関する情報に基づいて、制御装置90がサイドローラ5の位置の調整量を決定する。
【0061】
まず、手動あるいは自動でサイドローラ5の位置を初期位置に調整する(S1)。手動でサイドローラ5の位置を調整する場合は、制御装置90が調整ユニット6を制御することでサイドローラ5の位置を初期位置に設定する。続いて搬送路上に計測キャリア10を載置し、測距ユニット303の出力がピーク(極大値)を取る最初の測定開始位置へと計測キャリア10を搬送する(S2)。続いて処理例1、2で説明したように、計測キャリア10は、左右の測距ユニット303の出力値から、測距ユニット303からサイドローラ5までの距離を測定し(S3)、測定したサイドローラ5までの距離から搬送路を挟んで向かい合うサイドローラ対の距離を計算する(S4)。
【0062】
計測キャリア10は無線通信ユニット3051aを介して、サイドローラ位置のデータに基づいて計算した搬送路を挟んで向かい合うサイドローラ対の幅を特定可能な情報を制御装置90に送信する(S5)。
【0063】
制御装置90は、計測結果すなわちサイドローラ5の位置が許容範囲内か、許容範囲外かを判定する(S6)。そのサイドローラ5の位置が許容範囲外である場合は(S6でNo)、調整対象のサイドローラ5の調整ユニット6に対して高さの調整量に対応する駆動信号を計算し、調整対象となる調整ユニット6を駆動してサイドローラ5の位置を調整する(S7)。調整対象のサイドローラ5の位置が許容範囲内である場合は(S6でYes)、処理をS8に進める。
【0064】
サイドローラ5の位置を調整した後、まだ計測あるいは調整すべきサイドローラ5が残っているか否かを判定し(S8)、すべてのサイドローラ5の計測/調整が完了していれば(YES)フローを終了する。一方、まだ計測すべきサイドローラ5が残っている場合は、計測キャリア10をサイドローラ5の1つ分の距離を移動し(S9)、次のサイドローラ5の位置の測定を行う(S3へと復帰)。このサイクルを繰り返すことにより搬送路全体のサイドローラ5の位置の調整を行うことができる。
【0065】
なお、図8の例ではサイドローラ5の測定と、調整とを並行して進めるものとして説明を行った。しかしながら、全てのサイドローラ5の測定を行い、全てのサイドローラ5の位置の測定を行った後に、サイドローラ5の位置の調整を行ってもよい。
【0066】
<測距ユニットの校正>
図9に、測距ユニット303の校正例について説明する。搬送板301は、図9に示すように、搬送方向に直交する方向でL字型の形状をしており、サイドローラ5に当接する部分がXZ面と平行な面を備えている。このため、サイドローラ5に当接する部分に校正板901を当接させた状態で、測距ユニット303による測定を行うことで、サイドローラ5と計測キャリア10との間の距離の最小値、すなわち搬送板301がサイドローラ5に当接する距離における測距ユニット303の出力を取得することができる。
【0067】
この値と比較してピーク検出を行うことで、サイドローラ5の位置を検出する際の測距ユニット303の出力を校正することができる。
【0068】
<その他の実施形態>
本実施形態に係る基板の搬送装置は、成膜源を有し、蒸着であれば蒸着源、スパッタであればターゲット、化学蒸着法(CVD)であれば電極と成膜ガスの流路が設けられたインライン型蒸着装置に設けられた搬送ローラによって形成される搬送路側方のサイドローラの調整に使用することができる。この場合、インライン型蒸着装置は、真空チャンバ内に搬送ローラ4を備え、搬送路を減圧した状態で計測キャリア10を搬送する。
【0069】
なお、本発明は大気及び真空環境下を限定したものでなく、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0070】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0071】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0072】
4:搬送ローラ、5:サイドローラ、6:調整ユニット、10:計測キャリア、301:搬送板、303:測距ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9