(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20240521BHJP
C07D 209/80 20060101ALI20240521BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20240521BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20240521BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240521BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240521BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240521BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20240521BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240521BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20240521BHJP
【FI】
H10K50/12
C07D209/80
C07D401/14
C07D487/04 137
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K50/18
H10K71/16
H10K85/30
H10K85/60
H10K101:20
(21)【出願番号】P 2021550580
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020034993
(87)【国際公開番号】W WO2021065492
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019180499
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【氏名又は名称】久本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳也
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】多田 匡志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和成
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158363(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194604(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158191(WO,A1)
【文献】特開2006-232813(JP,A)
【文献】特開2004-273190(JP,A)
【文献】国際公開第2003/078541(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102503937(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0028640(KR,A)
【文献】国際公開第2011/081061(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/013936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C07D 209/80
C07D 401/14
C07D 487/04
C09K 11/06
H10K 50/18
H10K 71/16
H10K 85/30
H10K 85/60
H10K 101/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する陽極と陰極の間に1つ以上の発光層を含む有機電界発光素子であって、少なくとも一つの発光層が、第1ホストと、第2ホスト及び発光性ドーパント材料を含有する蒸着層からなる発光層であり、
第1ホストは下記一般式(1)で表される化合物から選ばれ、
第2ホストは下記一般式(2)又は一般式(4)で表される化合物から選ばれることを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】
ここで、L
1~L
3は単結合、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基を示し、R
1~R
7は独立に、水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は、置換若しくは未置換の炭素数3~12の芳香族複素環基である。a、b、cは、繰り返し数を表し、各々独立して0~3の整数であるが、a+b≧1である。p、q、r、s、t、u、vは置換数を表し、各々独立して1~3の整数を表す。
【化2】
ここで、R
8とR
9は独立に水素、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基が2個連結した基を表す。L
4、L
5は独立にフェニレン基を示す。
【化3】
ここで、L
7はm価の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、炭素数3~16の芳香族複素環基、又はこれらの芳香族環が2~10連結してなる連結芳香族基であるが、カルバゾール環を含む基であることはない。R
13はそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数3~11のシクロアルキル基である。mは置換数であり、1~3の整数を示す。nは繰り返し数であり、それぞれ独立して1~4の整数であるが、少なくとも1つのnは2~4の整数である。
【請求項2】
一般式(2)で表される化合物が、下記式(6)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化4】
ここで、R
8、R
9、L
4、L
5は、一般式(2)と同意である。
【請求項3】
一般式(4)中に、式(c1)又は式(c2)で表される結合構造を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化5】
ここで、R
13は一般式(4)と同意である。
但し、1つのカルバゾール環に結合するR
13
の少なくとも1つは水素である。
【化6】
ここで、R
13は
式(c1)と同意である。
【請求項4】
一般式(1)で表される化合物が、式(9)~(11)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化7】
ここで、L
1~L
3、R
1~R
7、及びc、p~vは、一般式(1)と同意である。
【請求項5】
第1ホストと第2ホストの合計に対し、第1ホストの割合が20wt%を超え、55wt%未満であることを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
発光性ドーパント材料が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群れから選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体であることを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
発光性ドーパント材料が、熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料であることを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
発光層と隣接して正孔阻止層を設け、該正孔阻止層中に一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とする請求項
1~7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
請求項
1~8のいずれかに記載の有機電界発光素子を製造するに当たり、第1ホストと第2ホストを混合して予備混合物としたのち、これを含むホスト材料を蒸着させて発光層を形成させる工程を有することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【請求項10】
第1ホストと第2ホストの50%重量減少温度の差が20℃以内であることを特徴する請求項
9に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子(有機EL素子という)に関するものである。詳しくはオリゴピリジン化合物からなる有機電界発光素子用材料を使用した有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子に電圧を印加することで、陽極から正孔が、陰極からは電子がそれぞれ発光層に注入される。そして発光層において、注入された正孔と電子が再結合し、励起子が生成される。この際、電子スピンの統計則により、一重項励起子及び三重項励起子が1:3の割合で生成する。一重項励起子による発光を用いる蛍光発光型の有機EL素子は、内部量子効率は25%が限界であるといわれている。一方で三重項励起子による発光を用いる燐光発光型の有機EL素子は、一重項励起子から項間交差が効率的に行われた場合には、内部量子効率が100%まで高められることが知られている。
しかしながら、燐光発光型の有機EL素子に関しては、長寿命化が技術的な課題となっている。
【0003】
最近では、遅延蛍光を利用した高効率の有機EL素子の開発がなされている。例えば特許文献1には、遅延蛍光のメカニズムの一つであるTTF(Triplet-Triplet Fusion)機構を利用した有機EL素子が開示されている。TTF機構は2つの三重項励起子の衝突によって一重項励起子が生成する現象を利用するものであり、理論上内部量子効率を40%まで高められると考えられている。しかしながら、燐光発光型の有機EL素子と比較すると効率が低いため、更なる効率の改良が求められている。
特許文献2では、TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)機構を利用した有機EL素子が開示されている。TADF機構は一重項準位と三重項準位のエネルギー差が小さい材料において三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生じる現象を利用するものであり、理論上内部量子効率を100%まで高められると考えられている。しかしながら、燐光発光型素子と同様に寿命特性の更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2010/134350A
【文献】WO2011/070963A
【文献】WO2013/062075A
【文献】US2014/0374728A
【文献】WO2011/136755A
【文献】WO2011/070963A
【文献】JP2006-232813A
【文献】KR2014-0028640A
【文献】CN102503937A
【0005】
特許文献3、4ではビスカルバゾール化合物を混合ホストとして使用することを開示している。
【0006】
特許文献5ではインドロカルバゾール化合物を含む複数のホストを予備混合したホスト材料の使用を開示している。
特許文献6ではインドロカルバゾール化合物を熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料として使用することを開示している。
【0007】
特許文献7ではビピリジン化合物について、ホスト材料としての使用を開示している。
特許文献8ではターピリジン化合物について、ホスト材料としての使用を開示している。
特許文献9ではクアテルピリジン化合物について、ホスト材料としての使用を開示している。
しかしながら、いずれも十分なものとは言えず、更なる改良が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
有機EL素子をフラットパネルディスプレイ等の表示素子、または光源に応用するためには素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。本発明は、低駆動電圧でありながら高効率かつ高い駆動安定性を有した有機EL素子とそれに適した有機電界発光素子用材料を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のオリゴピリジン化合物を第1ホストとして用いることで優れた特性を示す有機EL素子となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、対向する陽極と陰極の間に、1つ以上の発光層を含む有機電界発光素子において、少なくとも1つの発光層が、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる第1ホストと、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物から選ばれる第2ホストを含有することを特徴とする有機EL素子である。
【化1】
【0011】
ここで、L1~L3は単結合、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基を示し、R1~R7は独立に、水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。a、b、cは、繰り返し数を表し、a+b≧1である。各々独立して0~3の整数を表す。p,q,r,s,t,u,vは置換数を表し、各々独立して1~3の整数を表す。
【0012】
【化2】
ここで、R
8とR
9は独立に水素、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基が2個連結した基を表す。L
4、L
5は独立にフェニレン基を示す。
【0013】
【化3】
ここで、環Cは式(3a)で表される複素環であり、環Cは隣接する環と任意の位置で縮合し、R
10~R
12は独立に水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基であり、L
6は単結合、炭素数6~10の芳香族炭化水素基、炭素数3~12の芳香族複素環基、又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基を示し、Ar
1は炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。x、y、zは、各々独立して0~3の整数を表す。
【0014】
【化4】
ここで、L
7はm価の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、炭素数3~16の芳香族複素環基、又はこれらの芳香族環が2~10連結してなる連結芳香族基であるが、カルバゾール環を含む基であることはない。R
13はそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数3~11のシクロアルキル基である。mは置換数であり、1~3の整数を示す。nは繰り返し数であり、それぞれ独立して1~4の整数であるが、少なくとも1つのnは2~4の整数である。
【0015】
【化5】
ここで、環Dは式(5a)で表される複素環であり、環Dは隣接する環と任意の位置で縮合し、R
14~R
16は独立に水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基であり、L
8は単結合、炭素数6~10の芳香族炭化水素基、又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基であり、Ar
2は炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。i、j、kは、各々独立して0~3の整数を表す
【0016】
上記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)の好ましい態様を次に示す。
一般式(2)が、下記式(6)であること。
【化6】
ここで、R
8、R
9、L
4、L
5は、一般式(2)と同意である。
【0017】
一般式(3)が、下記式(7)又は式(8)であること。
【化7】
ここで、環C、R
10、R
11、Ar
1、x、yは、一般式(3)と同意である。
【0018】
一般式(4)において、少なくとも1つの式(c1)又は式(c2)で表される結合構造を有すること。
【化8】
ここで、R
13は一般式(4)と同意である。
【0019】
一般式(1)が、下記式(9)~(11)のいずれかであること。
【化9】
ここで、L
1~L
3、R
1~R
7、及びc、p~vは、一般式(1)と同意である。
【0020】
上記有機電界発光素子の好ましい態様を次に示す。
第1ホストと第2ホストの合計に対し、第1ホストの割合が20wt%を超え、55wt%未満であること。
発光性ドーパント材料が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群れから選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体であること、又は熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料であること。
発光層と隣接して正孔阻止層を設け、該正孔阻止層中に一般式(1)で表される化合物を含有させること。
【0021】
また、本発明は上記の有機電界発光素子を製造するに当たり、第1ホストと第2ホストを混合して予備混合物としたのち、これを含むホスト材料を蒸着させて発光層を形成させる工程を有することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法である。
【0022】
上記有機電界発光素子の製造方法において、第1ホストと第2ホストの50%重量減少温度の差が20℃以内であることが適する。
【0023】
素子特性向上のためには、有機層に使用する材料の電荷に対する耐久性が高いことが必要であり、特に発光層においては周辺層への励起子及び電荷の漏れを抑えることが重要である。この電荷/励起子の漏れ抑制には、発光層中における発光領域の偏りの改善が有効で、そのためには発光層への両電荷(電子/正孔)注入量若しくは発光層中における両電荷輸送量を好ましい範囲に制御することが必要である。
ここで、本発明で用いられる式(1)で表されるオリゴピリジン化合物は、ピリジン環が複数結合し、それらに二つ以上のカルバゾール環が結合した構造を有する。有機層に使用する材料の両電荷注入輸送能は、材料の分子軌道のエネルギー準位及び分子間の相互作用の大きさにより大きく左右される。オリゴピリジン化合物は、特に電子注入輸送能が高いがカルバゾール環の導入により、その立体障害効果からオリゴピリジン部位同士の近接を抑えることができる。そして、ピリジン環基の置換基種や結合位置を変えることで発光層への電子注入輸送への寄与の大きな分子軌道の分子間相互作用を高いレベルで制御できる。
一方で、一般式(2)~(5)で表されるカルバゾール化合物は、特に正孔注入輸送能が高く、カルバゾール環の結合様式や該骨格への置換基の種類・数を変えることで正孔注入輸送性が高いレベルで制御できる。そこで、上記オリゴピリジン化合物とカルバゾール化合物を混合して用いることで、有機層への両電荷注入量を好ましい範囲に調整でき、より良好な素子特性が期待できる。特に、遅延蛍光発光EL素子や燐光発光EL素子の場合にあっては、発光層で生成する励起エネルギーを閉じ込めるのに十分高い最低励起三重項エネルギーを有していることから、発光層内からのエネルギー流出がなく、低電圧で高効率かつ長寿命を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】有機EL素子の一例を示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の有機EL素子は、基板上に、陽極、有機層及び陰極が積層された構造を有し、この有機層の少なくとも1層に、上記の有機電界発光素子用材料を含む。
この有機EL素子は、対向する陽極と陰極の間に複数の層からなる有機層を有するが、複数の層の少なくとも1層は、発光層であり、発光層は複数あってもよい。そして、発光層の少なくとも一つは、第1ホストと、第2ホスト及び発光性ドーパント材料を含有する蒸着層からなる発光層である。
【0026】
上記発光層に含まれる第1ホストは上記一般式(1)で表される化合物から選ばれ、第2ホストは上記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物から選ばれることを特徴とする有機電界発光素子。
【0027】
第1ホストは、上記一般式(1)で表されるオリゴピリジン化合物から選ばれる。
【0028】
一般式(1)において、R1~R7は独立に、水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基を示す。好ましくは、炭素数1~8の脂肪族炭化水素基、フェニル基、又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。より好ましくは、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、フェニル基、又はカルバゾール環基である。
本明細書において、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基及びこれらの芳香族環が単結合で連結して生じる連結芳香族基は、特に無置換と断りがない場合は、置換基を有し得ると解される。脂肪族炭化水素基も同様である。
【0029】
上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1~4のアルキル基である。
【0030】
上記芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾトリアジン、フタラジン、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、又はカルバゾールから1個のHをとって生じる芳香族基が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾトリアジン、フタラジン、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソチアゾール、又はベンゾチアジアゾールから生じる芳香族基が挙げられる。より好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、又はオキサジアゾールから生じる芳香族基が挙げられる。
【0031】
L1~L3は独立に、単結合、置換若しくは未置換の炭素数6~10の芳香族炭化水素基、又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基を示す。芳香族炭化水素基の好ましい例は、ベンゼン、ナフタレンから生じる2価の基が挙げられる。連結芳香族基の好ましい例は、ビフェニル、ターフェニルから生じる2価の基が挙げられる。
【0032】
a、b、cは、繰り返し数を表し、各々独立して0~3の整数を表し、好ましくは0又は1の整数である。但し、a+b≧1である。
p~vは置換数を表し、各々独立して1~3の整数を表し、好ましくは1又は2の整数である。
【0033】
一般式(1)で表される化合物の好ましい態様として、上記一般式(9)~(11)のいずれかで表される化合物がある。一般式(9)~(11)において、一般式(1)と共通する記号は同じ意味を有する。
【0034】
一般式(1)で表される化合物の具体的な例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0035】
【0036】
【0037】
第2ホストは、上記一般式(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物から選ばれる。
【0038】
第2ホストとなる一般式(2)、及びその好ましい態様である式(6)について、説明する。一般式(2)と式(6)において、共通する記号は同じ意味を有する。
R8とR9は独立に、水素、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、または該芳香族炭化水素基の芳香族環が2個連結した連結芳香族基を表す。好ましくは、水素、炭素数6~12の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6~10の芳香族炭化水素基である。R8が水素であること、又はR8が水素であって、R9が上記芳香族炭化水素基、又は連結芳香族基であることは好ましい態様である。
【0039】
R8とR9が芳香族炭化水素基、連結芳香族基である場合の具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素、又はこれら芳香族炭化水素の芳香族環が2個連結した化合物からHを1個とって生じる芳香族基又は連結芳香族基が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンから生じる芳香族基又はこれらの芳香族基が2個連結した連結芳香族基が挙げられ、より好ましくはベンゼン、ナフタレン、フェナントレン又はビフェニルから生じる芳香族基である。R8とR9がフェニル基であることが更に好ましい。
R8とR9は水素であってもよいが、その場合は、一方は上記芳香族基又は連結芳香族基であることがよい。R8が水素であって、R9がフェニル基であることが更に好ましい。また、上記芳香族基又は連結芳香族基は置換基を有してもよく、好ましい置換基は炭素数1~12アルキル基又は炭素数1~12アルコキシ基である。
【0040】
L4、L5は、フェニレン基であるが、フェニレン基はo-フェニレン基、m-フェニレン基及びp-フェニレン基のいずれでもよい。好ましくは、p-フェニレン基又はm-フェニレン基である。そして、L4とL5が相違することが好ましい。この場合、R8とR9が水素である場合は、フェニル基として扱い、フェニレン基とは相違するとする。
【0041】
一般式(2)、(6)で表される化合物の具体的な例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0042】
【0043】
【0044】
次に、上記一般式(3)について説明する。
一般式(3)において、環Cは式(3a)で表される複素環であり、環Cは隣接する環と任意の位置で縮合する。
R10~R12は独立に水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。好ましくは、炭素数1~8の脂肪族炭化水素基、フェニル基、又は炭素数3~9の芳香族複素環基である。より好ましくは、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、フェニル基、又は炭素数3~6の芳香族複素環基である。
【0045】
上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1~4のアルキル基である。
【0046】
上記芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾトリアジン、フタラジン、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、又はカルバゾールから1個のHをとって生じる芳香族基が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾトリアジン、フタラジン、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソチアゾール、又はベンゾチアジアゾールから生じる芳香族基が挙げられる。より好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラジン、フラン、イソキサゾール、オキサゾール、又はオキサジアゾールから生じる芳香族基が挙げられる。
【0047】
L6は独立に単結合、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基である。芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の好ましい例は、これらの基が2価の基であることを除きR10がこれらの基である場合と同様である。
Ar1は炭素数6~10の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の好ましい例は、これらの基が2価の基であることを除き、R10がこれらの基である場合と同様である。
f、g、hは、各々独立して0~3の整数を表す。
【0048】
一般式(3)で表される化合物が、上記式(7)又は式(8)で表される化合物であることが好ましい。
式(7)又は式(8)において、環B、R10~R13、Ar1、x、yは一般式(3)と同意である。
【0049】
一般式(3)で表されるインドロカルバゾール化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない
【0050】
【0051】
次に、上記一般式(4)について説明する。
一般式(4)において、L7は炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は炭素数3~30の芳香族複素環基、又はこれらの芳香族環が連結した連結芳香族基である。連結芳香族基は、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の芳香族環が単結合で2~10個連結した構造の基である。
L7はm価の基であり、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又は連結芳香族基は、置換基を有してもよい。
ここで、L7はカルバゾール環を含む基であることはない。
【0052】
芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の具体例としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、オクタレン、インダセン、アセナフチレン、フェナレン、フェナンスレン、アントラセン、トリンデン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントリレン、ヘリセン、ヘキサフェン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、キサンテン、オキサトレン、ジベンゾフラン、ペリキサンテノキサンテン、チオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン、チオナフテン、イソチアナフテン、チオフテン、チオファントレン、ジベンゾチオフェン、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、セレナゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、フラザン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、イミダゾール、ナフチリジン、フタラジン、ベンゾジアゼピン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、フェノテルラジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アンチリジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール又はこれら芳香環が複数連結された芳香族化合物等からm個のHを取って生じる基が挙げられる。
【0053】
なお、連結芳香族基である場合、連結される数は2~10が好ましく、より好ましくは2~7であり、連結される芳香環は同一であっても異なっていても良い。その場合、式(3)中、m個のカルバゾリル基と結合する結合位置は限定されず、連結された芳香環の末端部の環であっても中央部の環であってもよい。ここで、芳香環は芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を総称する意味である。
【0054】
上記連結芳香族基の具体例としては、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、ビナフタレン、フェニルトリフェニレン、フェニルジベンゾフラン、フェニルジベンゾチオフェン、ビスジベンゾフラン、ビスジベンゾチオフェン等から水素を除いて生じる基が挙げられる。
【0055】
好ましいL7の具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニル、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェニルジベンゾフラン、又はフェニルジベンゾチオフェンから生じる基が挙げられる。より好ましくは、ベンゼン、ビフェニル、又はターフェニルから生じる基が挙げられる。
【0056】
mは1~3の整数を表す。好ましくはmは1又は2であり、より好ましくは1である。
nは繰り返し数であり、それぞれ独立して1~4の整数を表す。好ましくはnは1~3である。しかし、少なくとも1つのnは2~4の整数である。
【0057】
一般式(4)において、式中に少なくとも1つの式(c1)又は式(c2)で表される結合構造を有することが好ましい。カルバゾリル基間の全ての結合構造が式(c1)、又は式(c2)で表される結合構造であることが、より好ましい。
nの総和(カルバゾリル基の総数)は2~12の整数であるが、好ましくは2~9であり、より好ましくは2~6である。
【0058】
一般式(4)、式(c1)、式(c2)において、R13はそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数3~11のシクロアルキル基を表す。好ましくは水素、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~8のシクロアルキル基であり、より好ましくは水素、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数5~7のシクロアルキル基である。
【0059】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。上記アルキル基は直鎖であっても、分岐していても構わない。
【0060】
シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基が挙げられ、好ましくはシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0061】
一般式(4)で表されるカルバゾール化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0062】
【0063】
【0064】
次に、上記一般式(5)について説明する。
一般式(5)において、環Dは式(5a)で表される複素環であり、環Dは隣接する環と任意の位置で縮合する。
R14~R16は独立に水素、重水素、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は炭素数3~12の芳香族複素環基である。これらの脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は、一般式(3)のR10~R12がこれらの基である場合と同じであり、好ましい範囲も同様である。
L8は独立に単結合、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又はそれらが2~10連結してなる連結芳香族基である。これらの芳香族炭化水素基は、一般式(3)のL6がこれらの基である場合と同じであり、好ましい範囲も同様である。
Ar2は炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の例は、一般式(4)のL7がこれらの基である場合と同じであり、好ましい範囲も同様である。
i、j、kは、各々独立して0~3の整数を表す。
【0065】
一般式(5)で表されるインドロカルバゾール化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない
【0066】
【0067】
前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる第1ホストと前記一般式(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物から選ばれる第2ホストを発光層のホスト材料として使用することで優れた有機EL素子を提供することができる。
【0068】
第1ホストと第2ホストは、個々に異なる蒸着源から蒸着して使用することもできるが、蒸着前に予備混合して予備混合物とし、その予備混合物を1つの蒸着源から同時に蒸着して発光層を形成することが好ましい。この場合、予備混合物には、発光層を形成するために必要な発光性ドーパント材料又は必要により使用される他のホストを混合させてもよいが、所望の蒸気圧となる温度に大きな差がある場合は、別の蒸着源から蒸着させることがよい。
【0069】
また、第1ホストと第2ホストの混合比(重量比)は、第1ホストと第2ホストの合計に対し、第1ホストの割合が20~60%がよく、好ましくは20%よりも多く、55%よりも少ないことであり、より好ましくは40~50%である。
【0070】
次に、本発明の有機EL素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機EL素子の構造はこれに限定されない。
【0071】
図1は本発明に用いられる一般的な有機EL素子の構造例を示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表す。本発明の有機EL素子は発光層と隣接して励起子阻止層を有してもよく、また発光層と正孔注入層との間に電子阻止層を有してもよい。励起子阻止層は発光層の陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。本発明の有機EL素子では、陽極、発光層、そして陰極を必須の層として有するが、必須の層以外に正孔注入輸送層、電子注入輸送層を有することがよく、更に発光層と電子注入輸送層の間に正孔阻止層を有することがよい。なお、正孔注入輸送層は、正孔注入層と正孔輸送層のいずれか、または両者を意味し、電子注入輸送層は、電子注入層と電子輸送層のいずれか又は両者を意味する。
【0072】
図1とは逆の構造、すなわち基板1上に陰極7、電子輸送層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、この場合も必要により層を追加、省略することが可能である。
【0073】
―基板―
本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については特に制限はなく、従来から有機EL素子に用いられているものであれば良く、例えばガラス、透明プラスチック、石英等からなるものを用いることができる。
【0074】
―陽極―
有機EL素子における陽極材料としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物からなる材料が好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3-ZnO)等の非晶質で、透明導電膜を作成可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成しても良く、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは有機導電性化合物のような塗布可能な物質を用いる場合には印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
【0075】
―陰極―
一方、陰極材料としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物からなる材料が用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム―カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの陰極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度は向上し、好都合である。
【0076】
また、陰極に上記金属を1~20nmの膜厚で形成した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に形成することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0077】
―発光層―
発光層は陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり発光層には有機発光性ドーパント材料とホストを含む。
【0078】
ホストには、上記第1ホストと第2ホストを使用する。
第1ホストしての一般式(1)で表される化合物は、1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。同様に、第2ホストしての一般式(2)~(5)で表されるカルバゾール化合物又はインドロカルバゾール化合物は1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
必要により、公知のホスト材料を1種又は複数種類併用しても良いが、その使用量はホスト材料の合計に対し、50wt%以下、好ましくは25wt%以下とすることがよい。
他の材料をホストとして使用してもよい。
【0079】
第1ホストと第2ホストは、それぞれ異なる蒸着源から蒸着するか、蒸着前に予備混合して予備混合物とすることで1つの蒸着源から第1ホストと第2ホストを同時に蒸着することもできる。
【0080】
第1ホストと第2ホストを予備混合して使用する場合は、良好な特性を有する有機EL素子を再現性良く作製するために、50%重量減少温度(T50)の差が小さいことが望ましい。50%重量減少温度は、窒素気流減圧(50Pa)下でのTG-DTA測定において、室温から毎分10℃の速度で550℃まで昇温したとき、重量が50%減少した際の温度をいう。この温度付近では、蒸発又は昇華による気化が最も盛んに起こると考えられる。
【0081】
第1ホストと第2ホストは、上記50%重量減少温度の差が20℃以内であることが好ましく、15℃以内であることがより好ましい。予備混合方法としては、粉砕混合等の公知の方法が採用できるが、可及的に均一に混合することが望ましい。
【0082】
発光性ドーパント材料として燐光発光ドーパントを使用する場合、燐光発光ドーパントとしては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも1つの金属を含む有機金属錯体を含有するものがよい。具体的には、J.Am.Chem.Soc.2001,123,4304や特表2013-53051号公報に記載されているイリジウム錯体が好適に用いられるが、これらに限定されない。
【0083】
燐光発光ドーパント材料は、発光層中に1種類のみが含有されても良いし、2種類以上を含有しても良い。燐光発光ドーパント材料の含有量はホスト材料に対して0.1~30wt%であることが好ましく、1~20wt%であることがより好ましい。
【0084】
燐光発光ドーパント材料は、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる
【0085】
【0086】
発光性ドーパント材料として蛍光発光ドーパントを使用する場合、蛍光発光ドーパントとしては、特に限定されないが例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピロリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリジン化合物、8-キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体等が挙げられる。好ましくは縮合芳香族誘導体、スチリル誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、オキサジン誘導体、ピロメテン金属錯体、遷移金属錯体、又はランタノイド錯体が挙げられ、より好ましくはナフタレン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾ[c]フェナントレン、ベンゾ[a]アントラセン、ペンタセン、ペリレン、フルオランテン、アセナフトフルオランテン、ジベンゾ[a,j]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ナフタレン、ヘキサセン、ナフト[2,1-f]イソキノリン、α‐ナフタフェナントリジン、フェナントロオキサゾール、キノリノ[6,5-f]キノリン、ベンゾチオファントレン等が挙げられる。これらは置換基としてアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、又はジアリールアミノ基を有しても良い。
【0087】
蛍光発光ドーパント材料は、発光層中に1種類のみが含有されても良いし、2種類以上を含有しても良い。蛍光発光ドーパント材料の含有量は、ホスト材料に対して0.1~20%であることが好ましく、1~10%であることがより好ましい。
【0088】
発光性ドーパント材料として熱活性化遅延蛍光発光ドーパントを使用する場合、熱活性化遅延蛍光発光ドーパントとしては、特に限定されないがスズ錯体や銅錯体等の金属錯体や、WO2011/070963号公報に記載のインドロカルバゾール誘導体、Nature 2012,492,234に記載のシアノベンゼン誘導体、カルバゾール誘導体、Nature Photonics 2014,8,326に記載のフェナジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、スルホン誘導体、フェノキサジン誘導体、アクリジン誘導体等が挙げられる。
【0089】
熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料は、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0090】
【0091】
熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料は、発光層中に1種類のみが含有されてもよいし、2種類以上を含有してもよい。また、熱活性化遅延蛍光発光ドーパントは燐光発光ドーパントや蛍光発光ドーパントと混合して用いてもよい。熱活性化遅延蛍光発光ドーパント材料の含有量は、ホスト材料に対して0.1~50%であることが好ましく、1~30%であることがより好ましい。
【0092】
-注入層-
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
【0093】
-正孔阻止層-
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0094】
正孔阻止層には、公知の正孔阻止層材料を用いることができるが、一般式(1)で表される化合物を含有させることが好ましい。
【0095】
-電子阻止層-
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
【0096】
電子阻止層の材料としては、公知の電子阻止層材料を用いることができ、また後述する正孔輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。電子阻止層の膜厚は好ましくは3~100nmであり、より好ましくは5~30nmである。
【0097】
-励起子阻止層-
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は2つ以上の発光層が隣接する素子において、隣接する2つの発光層の間に挿入することができる。
【0098】
励起子阻止層の材料としては、公知の励起子阻止層材料を用いることができる。例えば、1,3-ジカルバゾリルベンゼン(mCP)や、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)-4-フェニルフェノラトアルミニウム(III)(BAlq)が挙げられる。
【0099】
-正孔輸送層-
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0100】
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。正孔輸送層には従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。かかる正孔輸送材料としては例えば、ポルフィリン誘導体、アリールアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン誘導体、アリールアミン誘導体及びスチリルアミン誘導体を用いることが好ましく、アリールアミン化合物を用いることがより好ましい。
【0101】
-電子輸送層-
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0102】
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。電子輸送層には、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントロリン等の多環芳香族誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(III)誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、ビピリジン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体等が挙げられる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、種々の形態で実施することが可能である。
【0104】
実施例1
膜厚110nmのITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度4.0×10-5Paで積層した。まず、ITO上に正孔注入層としてHAT-CNを25nmの厚さに形成し、次に正孔輸送層としてNPDを30nmの厚さに形成した。次に電子阻止層としてHT-1を10nmの厚さに形成した。次に、第1ホストとして化合物1-1を、第2ホストとして化合物2-4を、発光ドーパントとしてIr(ppy)3をそれぞれ異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さに発光層を形成した。この時、Ir(ppy)3の濃度が10wt%、第1ホストと第2ホストの重量比が30:70となる蒸着条件で共蒸着した。次に電子輸送層としてET-1を20nmの厚さに形成した。更に電子輸送層上に電子注入層としてLiFを1nmの厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、陰極としてAlを70nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。
【0105】
実施例1~88
実施例1において、第1ホスト及び第2ホストを、表1、2に示す化合物を使用した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0106】
実施例89~96
第1ホスト及び第2ホストを事前に混合して予備混合物とした後、これを一つの蒸着源から共蒸着した。
実施例1において、第1ホスト(0.30g)と第2ホスト(0.70g)を量りとり、乳鉢ですり潰しながら混合することにより得た予備混合物を使用した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。
【0107】
作製した有機EL素子の評価結果を表1~4に示す。
表中で輝度、駆動電圧、発光効率は駆動電流20mA/cm2時の値であり、初期特性である。LT70は、初期輝度が70%まで減衰するまでにかかる時間であり、寿命特性を表す。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
比較例1
実施例1において、ホストとして化合物1-1を単独で用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。発光層の厚み、発光ドーパント濃度は実施例1と同様である。
【0113】
比較例2~15
ホストとして表5に示す化合物を単独で用いた以外は比較例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0114】
比較例16~24
実施例1において、第1ホストとして化合物Aを使用し、第2ホストとして化合物2-5、化合物2-6、化合物3-24、化合物3-33、化合物3-45、化合物4-3、化合物4-22、化合物5-3又は化合物5-19を使用した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0115】
比較例25~33
比較例16~24において、第1ホストとして化合物Bを使用した以外は比較例16~24と同様にして有機EL素子を作製した。
【0116】
比較例34~42
比較例16~24において、第1ホストとして化合物Cを使用した以外は比較例16~24と同様にして有機EL素子を作製した。
【0117】
作製した有機EL素子の評価結果を表5~6に示す。
【0118】
【0119】
【0120】
表1~4から実施例1~96は、電力効率及び寿命特性が向上し、良好な特性を示すことが分かる。
【0121】
実施例97
膜厚110nmのITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度4.0×10-5Paで積層した。まず、ITO上に正孔注入層としてHAT-CNを25nmの厚さに形成し、次に正孔輸送層としてNPDを45nmの厚さに形成した。次に、電子阻止層としてHT-1を10nmの厚さに形成した。次に、第1ホストとして化合物1-1を、第2ホストとして化合物2-4を、発光ドーパントとしてIr(piq)2acacをそれぞれ異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さに発光層を形成した。この時Ir(piq)2acacの濃度が6.0wt%となる蒸着条件で共蒸着した。次に電子輸送層としてET-1を37.5nmの厚さに形成した。そして電子輸送層上に電子注入層としてLiFを1nmの厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、陰極としてAlを70nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。
【0122】
実施例98~182
実施例97において、第1ホスト及び第2ホストを、表7~9に示す化合物を使用した以外は実施例97と同様にして有機EL素子を作製した。
【0123】
作製した有機EL素子の評価結果を表7~9に示す。ここで、LT95は、初期輝度が95%まで減衰するまでにかかる時間であり、寿命特性を表す。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
比較例43
実施例97において、ホストとして化合物1-1を単独で用いた以外は実施例97と同様にして有機EL素子を作製した。発光層の厚み、発光ドーパント濃度は実施例97と同様である。
【0128】
比較例44~57
ホストとして表10に示す化合物を単独で用いた以外は比較例43と同様にして有機EL素子を作製した。
【0129】
比較例58~66
実施例97において、第1ホストとして化合物Aを、第2ホストとして化合物2-5、化合物2-6、化合物3-24、化合物3-33、化合物3-45、化合物4-3、化合物4-22、化合物5-3又は化合物5-19を使用した以外は実施例97と同様にして有機EL素子を作製した。
【0130】
比較例67~75
比較例58~66において、第1ホストとして化合物Bを使用した以外は比較例58~66と同様にして有機EL素子を作製した。
【0131】
比較例76~84
比較例58~66において、第1ホストとして化合物Cを使用した以外は比較例58~66と同様にして有機EL素子を作製した。
【0132】
作製した有機EL素子の評価結果を表10~11に示す。
【0133】
【0134】
【0135】
表7~9から実施例97~182は、電力効率及び寿命特性が向上し、良好な特性を示すことが分かる。
【0136】
【産業上の利用の可能性】
【0137】
本発明の有機EL素子は、低電圧で駆動可能で、高効率、長寿命を達成できる。