(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/58 20120101AFI20240521BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20240521BHJP
G03F 1/29 20120101ALI20240521BHJP
【FI】
G03F1/58
G03F1/84
G03F1/29
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186957
(22)【出願日】2022-11-22
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179867
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュフン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ゴンゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スクヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミンギョ
(72)【発明者】
【氏名】シン、インキュン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197704(JP,A)
【文献】特開昭57-073741(JP,A)
【文献】米国特許第06120942(US,A)
【文献】特開2020-160395(JP,A)
【文献】特開2015-049455(JP,A)
【文献】特開2022-171587(JP,A)
【文献】特開2003-322956(JP,A)
【文献】登録実用新案第3093632(JP,U)
【文献】小椋智,ナノインデンテーションによるナノ・マイクロスケール構造体の機械的特性評価,溶接学会誌,日本,一般社団法人 溶接学会,2012年,第81巻第8号,671-676,DOI: 10.2207/jjws.81.671
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光膜を含み、
前記遮光膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記第2遮光層は、
クロムと、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
波長193nmの光に対する前記遮光膜の表面の反射率は20%以上40%以下であり、
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下であ
り、
前記硬度値は、ナノインデンテーション法により測定された値であり、
前記硬度測定時の測定用チップは、ポアソン比が0.07であり、シリコン素材のバーコビッチチップ(Berkovich tip)が適用され、
前記硬度値は、Oliver and Pharrモデルが適用されて算出された値である、ブランクマスク。
【請求項2】
波長350nmの光に対する前記遮光膜の表面の反射率は25%以上45%以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
波長350nm以上400nm以下の光全体に対する前記遮光膜の表面の反射率は、25%以上50%以下の範囲内に含まれ、
波長480nm以上550nm以下の光全体に対する前記遮光膜の表面の反射率は、30%以上50%以下の範囲内に含まれる、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項4】
前記第2遮光層の硬度値は、前記第1遮光層の硬度値の0.15倍以上0.55倍以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項5】
前記第2遮光層のヤング率の値は1.0kPa以上である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
前記第2遮光層のヤング率の値は、前記第1遮光層のヤング率の値の0.15倍以上0.55倍以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項7】
前記第2遮光層の
クロム含量から前記第1遮光層の
クロム含量を引いた値の絶対値は30原子%以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項8】
前記第1遮光層と前記第2遮光層の厚さの比は1:0.02~0.25である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項9】
光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記第2遮光層は、
クロムと、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜の上面の反射率は20%以上40%以下であり、
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下であ
り、
前記硬度値は、ナノインデンテーション法により測定された値であり、
前記硬度測定時の測定用チップは、ポアソン比が0.07であり、シリコン素材のバーコビッチチップ(Berkovich tip)が適用され、
前記硬度値は、Oliver and Pharrモデルが適用されて算出された値である、フォトマスク。
【請求項10】
光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含み、
前記フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記第2遮光層は、
クロムと、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜の上面の反射率は20%以上40%以下であり、
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下であ
り、
前記硬度値は、ナノインデンテーション法により測定された値であり、
前記硬度測定時の測定用チップは、ポアソン比が0.07であり、シリコン素材のバーコビッチチップ(Berkovich tip)が適用され、
前記硬度値は、Oliver and Pharrモデルが適用されて算出された値である、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの高集積化により、半導体デバイスの回路パターンの微細化が求められている。これにより、ウエハの表面上にフォトマスクを用いて回路パターンを現像する技術であるリソグラフィー技術の重要性が益々高まっている。
【0003】
微細化された回路パターンを現像するためには、露光工程で用いられる露光光源の短波長化が要求される。最近用いられている露光光源としてはArFエキシマレーザー(波長193nm)などがある。
【0004】
一方、フォトマスクにはバイナリマスク(Binary mask)と位相反転マスク(Phase shift mask)などがある。
【0005】
バイナリマスクは、光透過性基板上に遮光層パターンが形成された構成を有する。バイナリマスクは、パターンが形成された面において、遮光層を含まない透過部は露光光を透過させ、遮光層を含む遮光部は露光光を遮断することによって、ウエハ表面のレジスト膜上にパターンを露光させる。但し、バイナリマスクは、パターンが微細化されるほど、露光工程で透過部の縁部で発生する光の回折により微細パターンの現像に問題が発生することがある。
【0006】
位相反転マスクとしては、レベンソン型(Levenson type)、アウトリガー型(Outrigger type)、及びハーフトーン型(Half-tone type)がある。その中でハーフトーン型位相反転マスクは、光透過性基板上に半透過膜で形成されたパターンが形成された構成を有する。ハーフトーン型位相反転マスクは、パターンが形成された面において、半透過層を含まない透過部は露光光を透過させ、半透過層を含む半透過部は減衰された露光光を透過させる。前記減衰された露光光は、透過部を通過した露光光と比較して位相差を有するようになる。これにより、透過部の縁部で発生する回折光は、半透過部を透過した露光光によって相殺され、位相反転マスクは、ウエハの表面にさらに精巧な微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本登録特許第6830985号
【文献】日本公開特許第2019-066892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、遮光膜の表面に高感度の欠陥検査を行う場合に、さらに正確な測定値を得ることができ、遮光膜などに由来したパーティクルの量が効果的に減少したブランクマスクなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光膜を含む。
【0010】
前記遮光膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0011】
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0012】
波長193nmの光に対する前記遮光膜の表面の反射率は20%以上40%以下である。
【0013】
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【0014】
波長350nmの光に対する前記遮光膜の表面の反射率は25%以上45%以下であってもよい。
【0015】
波長350nm以上400nm以下の光全体に対する前記遮光膜の表面の反射率は、25%以上50%以下の範囲内に含まれてもよい。
【0016】
波長480nm以上550nm以下の光全体に対する前記遮光膜の表面の反射率は、30%以上50%以下の範囲内に含まれてもよい。
【0017】
前記第2遮光層の硬度値は、前記第1遮光層の硬度値の0.15倍以上0.55倍以下であってもよい。
【0018】
前記第2遮光層のヤング率の値は1.0kPa以上であってもよい。
【0019】
前記第2遮光層のヤング率の値は、前記第1遮光層のヤング率の値の0.15倍以上0.55倍以下であってもよい。
【0020】
前記第2遮光層の遷移金属含量から前記第1遮光層の遷移金属含量を引いた値の絶対値は30原子%以下であってもよい。
【0021】
前記第1遮光層と前記第2遮光層の厚さの比は1:0.02~0.25であってもよい。
【0022】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0023】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0024】
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0025】
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜の上面の反射率は20%以上40%以下である。
【0026】
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【0027】
本明細書の更に他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0028】
前記フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0029】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0030】
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0031】
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜の上面の反射率は20%以上40%以下である。
【0032】
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【発明の効果】
【0033】
具現例は、遮光膜の表面に高感度の欠陥検査を行う場合に、さらに正確な測定値を得ることができ、遮光膜などに由来するパーティクルの量が効果的に減少したブランクマスクなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図2】遮光膜をパターニングして形成される遮光パターン膜を説明する概念図である。
【
図3】本明細書が開示する他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図4】本明細書が開示する更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。
【
図5】検査光の波長による実施例1の遮光膜の表面反射率の測定値を示すグラフである。
【
図6A】比較例1の遮光膜の表面を欠陥検査機で測定したイメージである。
【
図6B】比較例2の遮光膜の表面を欠陥検査機で測定したイメージである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0036】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0037】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0038】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0039】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0040】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0041】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0042】
本明細書において、擬似欠陥とは、遮光膜の表面に位置し、ブランクマスクの解像度の低下を誘発しないので実際の欠陥には該当しないが、高感度の欠陥検査装置で検査する場合に欠陥として判定されるものを意味する。
【0043】
本明細書において、標準偏差は標本標準偏差を意味する。
【0044】
半導体の高集積化に伴い、半導体ウエハ上にさらに微細化された回路パターンを形成することが要求される。半導体ウエハ上に現像されるパターンの線幅がさらに減少するに伴い、フォトマスクの解像度の低下に関連する問題も増加する傾向にある。
【0045】
遮光膜の表面、または遮光膜をパターニングして形成された遮光パターン膜に高感度の欠陥検査を行うことができる。高感度の欠陥検査を行う場合、欠陥検査機は、遮光膜又は遮光パターン膜の表面に存在する多数の擬似欠陥を欠陥として判定し得、実際の欠陥を検出するのに困難が発生し得る。このような場合、検査結果データから実際の欠陥を分別するのに追加の検査過程が必要になるなど、ブランクマスク及びフォトマスクの生産工程の効率を低下させることがある。
【0046】
遮光膜又は遮光パターン膜の欠陥検査の正確度を向上させる方法として、遮光膜の表面の金属含量を高める方法などが適用され得る。これは、遮光膜の表面の反射率などの光学特性が欠陥検査に適切な値を有するように制御する方法の一つとなり得る。但し、表面の金属含量が高い遮光膜は、パターニング後にパーティクルの発生量が増加する問題を有することもある。前記パーティクルは、遮光パターン膜の表面にスクラッチを誘発することがあり、フォトマスクの解像度を低下させる問題を引き起こすことがある。
【0047】
具現例の発明者らは、多層構造の遮光膜を適用し、特定の波長での遮光膜の表面の反射率を制御すると同時に、遮光膜内の層別の硬度値を制御することで、高感度の欠陥検査時に欠陥の検出が容易であり、ディフェクトの発生が抑制されたブランクマスクなどを提供できることを実験的に確認した。
【0048】
以下、具現例を具体的に説明する。
【0049】
図1は、本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図1を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0050】
ブランクマスク100は、光透過性基板10、及び前記光透過性基板10上に位置する遮光膜20を含む。
【0051】
光透過性基板10の素材は、露光光に対する光透過性を有し、ブランクマスク100に適用できる素材であれば制限されない。具体的には、光透過性基板10の波長193nmの露光光に対する透過率は85%以上であってもよい。前記透過率は87%以上であってもよい。前記透過率は99.99%以下であってもよい。例示的に、光透過性基板10は合成クォーツ基板が適用されてもよい。このような場合、光透過性基板10は、前記光透過性基板10を透過する光の減衰(attenuated)を抑制することができる。
【0052】
また、光透過性基板10は、平坦度及び粗さなどの表面特性を調節して光学歪みの発生を抑制することができる。
【0053】
遮光膜20は、光透過性基板10の上面(top side)上に位置することができる。
【0054】
遮光膜20は、光透過性基板10の下面(bottom side)側に入射する露光光を少なくとも一定部分遮断する特性を有することができる。また、光透過性基板10と遮光膜20との間に位相反転膜30(
図3参照)などが位置する場合、遮光膜20は、前記位相反転膜30などをパターンの形状通りにエッチングする工程でエッチングマスクとして使用され得る。
【0055】
遮光膜20は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含むことができる。
【0056】
遮光膜20は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0057】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0058】
第1遮光層21と第2遮光層22は、互いに異なる遷移金属含量を有する。
【0059】
遮光膜の光学特性及び機械的物性
図2は、遮光膜をパターニングして形成された遮光パターン膜を説明する概念図である。前記
図2を参照して具現例を説明する。
【0060】
波長193nmの光に対する遮光膜20の表面の反射率は20%以上40%以下であり、第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【0061】
欠陥検査機を用いて、遮光膜20をパターニングして形成されたパターン膜(以下、遮光パターン膜という。)の表面に位置する欠陥を検出することができる。具体的には、欠陥検査機を通じて検査光を遮光パターン膜25の表面に照射すると、遮光パターン膜25の表面で反射光が形成される。欠陥検査機は、前記反射光を分析して検査位置での欠陥の有無を判定することができる。
【0062】
欠陥検査機の検査光の波長は測定対象によって異なり得る。一般に、フォトマスク用欠陥検査機の検査光の波長は190nm以上260nm以下の範囲内に属することができ、ブランクマスク用欠陥検査機の検査光の波長は350nm以上400nm以下の範囲、または480nm以上550nm以下の範囲に属することができる。
【0063】
欠陥検査の感度を高く設定する場合、検査過程で形成される反射光の強度は、欠陥検査の正確度に影響を及ぼし得る。具体的に、擬似欠陥が多数検出されて実際の欠陥に該当する検出データが埋もれたり、過度に高い強度の反射光が検査機のレンズに入射してしまい、測定された遮光パターン膜25の表面イメージの歪みを誘発したりすることがある。
【0064】
遮光パターン膜25の表面にさらに強い強度の反射光が形成され得るように、遮光膜又は遮光パターン膜25の遷移金属含量をさらに高める方法を考慮し得る。このような場合、欠陥検査の感度を高い値に設定しても擬似欠陥の検出頻度が減少し得るが、遮光膜をパターニングする過程またはパターニングを終えた後に、遮光膜又は遮光パターン膜25に由来するパーティクルの量が増加することがある。特に、このようなパーティクルの多くは、遮光パターン膜の損傷部分pに由来したものであり得る。
【0065】
具現例は、波長193nmの光に対する遮光膜20の表面の反射率を制御すると同時に、第2遮光層22の硬度値を制御することで、遮光パターン膜の表面に存在する実際の欠陥をさらに正確に検出すると同時に、遮光パターン膜、特に遮光パターン膜の上部角部の耐久性をさらに向上させることができる。
【0066】
遮光膜の表面の反射率及び第2遮光層の硬度値は、遮光膜内の各遮光層の成膜時に適用される反応性ガスの比率、反応性ガスの組成、スパッタリング電力、雰囲気ガスの圧力、熱処理及び冷却処理の条件などを制御することによって調節され得る。
【0067】
遮光膜20の反射率は、分光エリプソメータ(Spectroscopic Ellipsometer)を通じて測定する。遮光膜20の反射率は、例示的にナノビュー社のMG-Proモデルを用いて測定することができる。
【0068】
硬度は、AFM(Atomic Force Microscope)により測定可能である。具体的に、硬度は、Park Systems社(装備モデルXE-150)のAFM装備を用いて、スキャン速度0.5Hz、コンタクトモード(Contact Mode)、カンチレバー(Cantilever)モデルであるPark Systems社のPPP-CONTSCRを適用して測定する。測定対象内の16個の地点で凝着力などを測定してその平均値を取り、これから得られる硬度値を前記の硬度値とする。測定時に適用される測定用チップは、シリコン素材のBerkovich tip(チップのポアソン比:0.07)が適用され、硬度の測定結果は、Oliver and Pharrモデルを適用してAFM装備社が提供したプログラムによって得られる値を取って提示する。
【0069】
波長193nmの光に対する遮光膜20の表面の反射率は20%以上40%以下であり得る。前記反射率は22%以上であってもよい。前記反射率は25%以上であってもよい。前記反射率は27%以上であってもよい。前記反射率は35%以下であってもよい。前記反射率は33%以下であってもよい。
【0070】
第2遮光層22の硬度は0.3kPa以上0.55kPa以下であり得る。第2遮光層22の硬度は0.4kPa以上であってもよい。第2遮光層22の硬度は0.45kPa以上であってもよい。第2遮光層22の硬度は0.52kPa以下であってもよい。第2遮光層22の硬度は0.5kPa以下であってもよい。
【0071】
このような場合、前記遮光膜20をパターニングした後にパターン検査を行う場合に、擬似欠陥の検出頻度を効果的に低減することができ、パターニングされた遮光膜に由来するパーティクルの発生量を減少させることができる。
【0072】
波長350nmの光に対する遮光膜20の表面の反射率は25%以上45%以下であり得る。前記反射率は27%以上であってもよい。前記反射率は30%以上であってもよい。前記反射率は40%以下であってもよい。このような場合、遮光膜の表面の欠陥検査時に擬似欠陥の検出頻度を効果的に低減することができる。
【0073】
ブランクマスクの欠陥検査機は、350nm以上400nm以下、及び480nm以上550nm以下の範囲内で検査光の波長値が適用され得る。具現例は、前記波長の範囲を有する光全体に対する遮光膜20の反射率特性を制御することができる。これを通じて、欠陥検査時に反射光の強度が欠陥検査の正確度に影響を及ぼす程度を減少させることができる。
【0074】
波長350nm以上400nm以下の光に対する前記遮光膜20の表面反射率は25%以上50%以下であり得る。前記反射率は28%以上であってもよい。前記反射率は30%以上であってもよい。前記反射率は45%以下であってもよい。前記反射率は40%以下であってもよい。
【0075】
波長480nm以上550nm以下の光に対する前記遮光膜20の表面反射率は30%以上50%以下であり得る。前記反射率は35%以上であってもよい。前記反射率は38%以上であってもよい。前記反射率は45%以下であってもよい。前記反射率は42%以下であってもよい。
【0076】
このような場合、遮光膜の欠陥検査時に、フレア(flare)現象によって欠陥検査の正確度が低下することを抑制することができ、擬似欠陥の検出頻度を効果的に低減することができる。
【0077】
第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.15倍以上0.55倍以下であってもよい。
【0078】
具現例は、多層構造の遮光膜を適用し、遮光膜内の第2遮光層22の硬度値と第1遮光層21の硬度値との比率を制御することができる。これを通じて、遮光パターン膜25の上部角部の耐久性をさらに向上させると共に、エッチングガスによる第1遮光層21と第2遮光層22のエッチング速度比が調節されることで、さらに精巧な遮光パターン膜の形状の制御を行うことができる。
【0079】
第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.15倍以上0.55倍以下である。第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.2倍以上であってもよい。第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.3倍以上であってもよい。第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.5倍以下であってもよい。第2遮光層22の硬度値は、第1遮光層21の硬度値の0.4倍以下であってもよい。このような場合、遮光パターン膜に由来するパーティクルの量を減少させることができる。また、遮光パターン膜の側面に段差が形成されることを効果的に防止することができる。
【0080】
第1遮光層21の硬度は1kPa以上3kPa以下であり得る。第1遮光層21の硬度は1.1kPa以上であってもよい。第1遮光層21の硬度は1.3kPa以上であってもよい。第1遮光層21の硬度は2.5kPa以下であってもよい。このような場合、第1遮光層21は、安定した耐久性を有することができる。また、乾式エッチング時に第1遮光層21のエッチング速度が第2遮光層22に比べて相対的に高い値を有するように調節されることで、乾式エッチングを通じて遮光パターン膜の側面が光透過性基板の表面に対して垂直にさらに近く形成されるようにすることを助けることができる。
【0081】
具現例は、第2遮光層22及び第1遮光層21のヤング率の値、ヤング率の値の比率などを制御することができる。これを通じて、洗浄工程をはじめとして遮光膜20の表面に外力が作用する環境で遮光膜20の損傷を効果的に防止することができる。
【0082】
第2遮光層22及び第1遮光層21のヤング率の値などは、各遮光層の組成だけでなく、各遮光層の成膜時のチャンバ内の雰囲気ガスの組成、熱処理及び冷却条件などを制御して調節することができる。
【0083】
第1遮光層21及び第2遮光層22のヤング率の値を測定する方法は、上述した硬度値を測定する方法において適用した装置と同じ装置を適用して測定され得る。
【0084】
第2遮光層22のヤング率の値は1.0kPa以上であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は1.2kPa以上であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は2.3kPa以上であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は4.2kPa以下であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は3.7kPa以下であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は3.5kPa以下であってもよい。このような場合、乾式エッチングによる第2遮光層22のエッチング速度が過度に遅くなることを防止しながらも、洗浄工程などによって第2遮光層22が損傷することを効果的に防止することができる。
【0085】
第1遮光層21のヤング率の値は7kPa以上13kPa以下であり得る。第1遮光層21のヤング率の値は8kPa以上であってもよい。第1遮光層21のヤング率の値は12kPa以下であってもよい。第1遮光層21のヤング率の値は11.8kPa以下であってもよい。このような場合、遮光膜20の乾式エッチング時に、第1遮光層21の側面が光透過性基板10の表面に対して垂直に近く形成され得、第1遮光層21の耐久性を安定的に制御することができる。
【0086】
第2遮光層22のヤング率の値は、第1遮光層21のヤング率の値の0.15倍以上0.55倍以下であり得る。第2遮光層22のヤング率の値は、第1遮光層21のヤング率の値の0.20倍以上であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は、第1遮光層21のヤング率の値の0.23倍以上であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は、第1遮光層21のヤング率の値の0.45倍以下であってもよい。第2遮光層22のヤング率の値は、第1遮光層21のヤング率の値の0.42倍以下であってもよい。このような場合、洗浄工程をはじめとする外力が作用する環境で遮光膜20の表面部で発生するパーティクルの数を低減することができる。
【0087】
AFMを用いた測定により、分離力、凝着力なども得られる。互いに異なる16個の位置で測定した分離力及び/又は凝着力は、測定値全体においてその偏差が小さいという特徴を有し、これは、測定位置全体において前記遮光膜20の物性が均一であるという特徴を有することを意味する。
【0088】
前記第2遮光層22の互いに異なる16個の位置(各位置は、互いに少なくとも1cm以上離れた位置を適用することが好ましい)で測定した凝着力(Adhesion energy)は、その標準偏差が前記凝着力の平均値の8%以下であってもよく、6%以下であってもよく、または5%以下であってもよい。前記標準偏差は、前記凝着力の平均値の0.001%以上であってもよい。このような特徴を有するブランクマスク100又はフォトマスクは、全体的に微細なパターンが形成されても、均一なパーティクル形成の低減効果を有することができる。
【0089】
前記第2遮光層22の凝着力は0.25fJ以上であってもよい。前記第2遮光層22の凝着力は0.30fJ以上であってもよい。前記第2遮光層22の凝着力は0.4fJ以下であってもよい。
【0090】
前記第2遮光層22の凝着力は、前記第1遮光層21の凝着力よりも0.10fJ以上大きい値であってもよい。前記第2遮光層22の凝着力は、前記第1遮光層21の凝着力よりも0.15fJ以下で大きい値であってもよい。
【0091】
前記第2遮光層22の互いに異なる16個の位置で測定した分離力(Pull off force)は、その標準偏差が前記分離力の平均の5%以下であってもよく、3%以下であってもよく、または2%以下であってもよい。前記標準偏差は、前記分離力の平均の0.001%以上であってもよい。このような特徴を有するブランクマスク100又はフォトマスクは、全体的に均一なスクラッチ形成の低減効果を有することができる。
【0092】
前記第2遮光層22の分離力は4.0nN以上であってもよい。前記第2遮光層22の分離力は4.1nN以上であってもよい。前記第2遮光層22の分離力は4.8nN以下であってもよい。
【0093】
前記第2遮光層22の分離力は、前記第1遮光層21の分離力よりも0.6nN以上大きい値であってもよい。前記第2遮光層22の分離力は、前記第1遮光層21の分離力よりも1.2nN以下で大きい値であってもよい。
【0094】
遮光膜20の透過率及び光学密度は、分光エリプソメータを通じて測定する。遮光膜20の反射率は、例示的にナノビュー社のMG-Proモデルを用いて測定することができる。
【0095】
遮光膜20の波長193nmの光に対する透過率が1%以上であってもよい。前記透過率は1.33%以上であってもよい。前記透過率は1.38%以上であってもよい。前記透過率は1.4%以上であってもよい。前記透過率は1.6以下であってもよい。
【0096】
前記遮光膜20の波長193nmの光に対する光学密度が2.0以下であってもよい。前記光学密度が1.87以下であってもよい。前記光学密度が1.8以上であってもよい。前記光学密度が1.83以上であってもよい。
【0097】
このような場合、遮光膜20は、位相反転膜と共に露光光を効果的に遮断することができる。
【0098】
遮光膜の層構造
遮光膜20は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含むことができる。第2遮光層22は、第1遮光層21上に接して形成されてもよい。第2遮光層22と第1遮光層21との間に他の薄膜が配置されてもよい。
【0099】
第1遮光層21と第2遮光層22は1:0.02~0.25の厚さ比を有してもよい。第1遮光層21と第2遮光層22は1:0.04~0.18の厚さ比を有してもよい。このような第1遮光層21と第2遮光層22をいずれも含む遮光膜20は、目的とする透過率、光学密度などの条件を満たしながらも、パーティクル発生の抑制及びスクラッチ低減特性を有することができる。
【0100】
遮光膜20は30~80nmの厚さであってもよい。遮光膜20は40~70nmの厚さであってもよい。このような場合、パーティクル形成の低減効果がさらに優れ得る。
【0101】
前記厚さ又は厚さの比率は、断面の顕微鏡写真から確認される層の区分などで確認することができ、厚さを確認できる方法であれば、制限なしに適用可能である。
【0102】
第1遮光層21の膜厚は250~650Åであってもよい。第1遮光層21の膜厚は350~600Åであってもよい。第1遮光層21の膜厚は400~550Åであってもよい。このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が露光光を効果的に遮断することを助けることができる。
【0103】
第2遮光層22の膜厚は30~200Åであってもよい。第2遮光層22の膜厚は30~100Åであってもよい。第2遮光層22の膜厚は40~80Åであってもよい。このような場合、遮光膜20が、具現例で予め設定した範囲の表面反射率の値を有することを助けることができ、遮光膜20のパターニング時に形成される遮光パターン膜の側面の表面プロファイルをさらに精巧に制御することを助けることができる。
【0104】
遮光膜の組成
具現例は、遮光膜20に含まれた各層の元素別の含量を制御することができる。これを通じて、遮光膜20に遮光特性を付与すると共に、遮光膜20又は遮光パターン膜の欠陥検査時に検査の正確度を向上させることを助けることができる。また、遮光膜20内の各層の機械的物性に影響を及ぼすことで、遮光膜20のパターニング過程又はパターニングが完了した遮光パターン膜に由来するパーティクルの量を減少させることを助けることができる。
【0105】
但し、遮光膜20内の各層の機械的物性は、各層の組成だけでなく、各層の密度、各層に含まれた元素の結晶化の程度、元素の配置などにも影響を受け得る。具現例は、遮光膜20内の各層の組成を制御しながら、各層のスパッタリング過程で適用するスパッタリング電力、雰囲気ガスに含まれた不活性ガスの含量、反応性ガスの組成などを制御して、遮光膜20内の各層の機械的物性を調節することができる。具体的な内容は後述する。
【0106】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を35at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を40at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を45at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を50at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を75at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を70at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を65at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を60at%以下含んでもよい。
【0107】
第2遮光層22の酸素又は窒素に該当する元素の含量は15at%以上であってもよい。前記含量は25at%以上であってもよい。前記含量は70at%以下であってもよい。前記含量は65at%以下であってもよい。前記含量は60at%以下であってもよい。
【0108】
第2遮光層22は酸素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を15at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を20at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を40at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を35at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を30at%以下含んでもよい。
【0109】
第2遮光層22は窒素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を30at%以下含んでもよい。第2遮光層22は窒素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層22は窒素を22at%以下含んでもよい。
【0110】
第2遮光層22は炭素を1at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を3at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層22は炭素を20at%以下含んでもよい。第2遮光層22は炭素を15at%以下含んでもよい。
【0111】
このような場合、遮光膜20が欠陥検査を行うのに容易な表面反射率特性を有することを助けることができる。また、遮光膜20の表面部の耐久性をさらに向上させることを助けることができる。
【0112】
第1遮光層21は、遷移金属と、酸素及び窒素を含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を45at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を40at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を35at%以下含んでもよい。
【0113】
第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は22at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は30at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は35at%以上であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は75at%以下であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は65at%以下であってもよい。
【0114】
第1遮光層21は酸素を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を55at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を50at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を45at%以下含んでもよい。
【0115】
第1遮光層21は窒素を2at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を20at%以下含んでもよい。第1遮光層21は窒素を15at%以下含んでもよい。
【0116】
第1遮光層21は炭素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を10at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を30at%以下含んでもよい。第1遮光層21は炭素を25at%以下含んでもよい。
【0117】
このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が優れた消光特性を有するように助けることができる。また、乾式エッチング時に、第1遮光層21が第2遮光層22に比べて相対的に高いエッチング速度を示すように助けることができる。
【0118】
第2遮光層22に含まれた各元素別の含量の値と、第1遮光層21に含まれた各元素別の含量の値との差値を制御することができる。具体的に、第1遮光層21と第2遮光層22は、互いに接して配置され得る。この場合、第1遮光層21と第2遮光層22との組成、特に遷移金属含量の差を制御して、第1遮光層21と第2遮光層22との表面エネルギーなどの物性の差を調節することができる。これを通じて、第1遮光層21と第2遮光層22との界面に位置する第1遮光層21の表面の原子と、第2遮光層22の表面の原子との間に結合が容易に形成されるようにすることができ、第1遮光層21と第2遮光層22の付着力の不足によるディフェクトの発生を効果的に抑制することができる。
【0119】
第2遮光層22の遷移金属含量から第1遮光層21の遷移金属含量を引いた値の絶対値は30原子%以下であってもよい。前記絶対値は25原子%以下であってもよい。前記絶対値は20原子%以下であってもよい。前記絶対値は7原子%以上であってもよい。前記絶対値は10原子%以上であってもよい。前記絶対値は12原子%以上であってもよい。このような場合、第1遮光層21と第2遮光層22との間に形成される付着力を向上させることができる。
【0120】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。前記遷移金属はCrであってもよい。
【0121】
その他の薄膜
図3は、本明細書の更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図3を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0122】
本明細書の他の実施例に係るブランクマスク100は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に配置される位相反転膜30と、前記位相反転膜30上に配置される遮光膜20とを含む。
【0123】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含む。
【0124】
遮光膜20についての説明は、上述した内容と重複するので省略する。
【0125】
位相反転膜30は、光透過性基板10と遮光膜20との間に位置することができる。位相反転膜30は、前記位相反転膜30を透過する露光光の光強度を減衰し、位相差を調節して、パターンの縁部に発生する回折光を実質的に抑制する薄膜である。
【0126】
位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が170~190°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が175~185°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が3~10%であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が4~8%であってもよい。このような場合、前記位相反転膜30が含まれたフォトマスクの解像度が向上することができる。
【0127】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含んでもよい。位相反転膜30は、遷移金属、珪素、酸素及び窒素を含んでもよい。前記遷移金属はモリブデンであってもよい。
【0128】
光透過性基板10と遮光膜20の物性及び組成などについての説明は、それぞれ上述した内容と重複するので省略する。
【0129】
遮光膜20上にハードマスク(図示せず)が位置することができる。ハードマスクは、遮光膜20のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。ハードマスクは、珪素、窒素及び酸素を含むことができる。
【0130】
フォトマスク
図4は、本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。前記
図4を参照して具現例のフォトマスクを説明する。
【0131】
本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスク200は、光透過性基板10、及び前記光透過性基板10上に配置される遮光パターン膜25を含む。
【0132】
遮光パターン膜25は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含む。
【0133】
遮光パターン膜25は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0134】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0135】
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜25の上面の反射率は20%以上40%以下である。
【0136】
前記第2遮光層22の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【0137】
遮光パターン膜25は、前述したブランクマスク100の遮光膜20をパターニングして形成することができる。
【0138】
遮光パターン膜25の物性、組成及び構造などについての説明は、ブランクマスク100の遮光膜20についての説明と重複するので省略する。
【0139】
遮光膜の製造方法
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に基板及びスパッタリングターゲットを設置する準備ステップ;を含むことができる。
【0140】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に雰囲気ガスを注入し、スパッタリングターゲットに電力を加えて、基板上に遮光膜を成膜する成膜ステップ;を含むことができる。
【0141】
成膜ステップは、光透過性基板上に第1遮光層を成膜する第1遮光層の成膜過程と、前記第1遮光層上に第2遮光層を成膜する第2遮光層の成膜過程とを含むことができる。
【0142】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、150℃以上300℃以下の雰囲気で5分以上30分以下の時間熱処理する熱処理ステップ;を含むことができる。
【0143】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、前記熱処理ステップを経た遮光膜を冷却させる冷却ステップ;を含むことができる。
【0144】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、冷却ステップを経たブランクマスクを10℃以上60℃以下の雰囲気で安定化させる安定化ステップ;を含むことができる。
【0145】
準備ステップにおいて、遮光膜の組成を考慮して、遮光膜を成膜する際のターゲットを選択することができる。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを適用してもよい。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを含めて2以上のターゲットを適用してもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を90at%以上含んでもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を95at%以上含んでもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を99at%含んでもよい。
【0146】
遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。遷移金属はCrを含むことができる。
【0147】
スパッタリングチャンバ内に配置される基板は、光透過性基板、または光透過性基板上に位相反転膜が蒸着されたものが適用されてもよい。
【0148】
準備ステップにおいて、スパッタリングチャンバ内にマグネットを配置することができる。マグネットは、スパッタリングターゲットにおけるスパッタリングが発生する一面に対向する面に配置され得る。
【0149】
遮光膜の成膜ステップにおいて、遮光膜に含まれた各層別の成膜時に、成膜工程の条件を異なって適用することができる。特に、遮光膜の反射率、光学密度などの光学特性及び機械的物性などを考慮して、雰囲気ガスの組成、スパッタリングターゲットに加える電力、成膜時間など各種工程条件を各層別に異なって適用することができる。
【0150】
雰囲気ガスは、不活性ガス、反応性ガス及びスパッタリングガスを含むことができる。不活性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含まないガスである。反応性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含むガスである。スパッタリングガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスである。
【0151】
不活性ガスはヘリウムを含むことができる。
【0152】
反応性ガスは、窒素元素を含むガスを含むことができる。前記窒素元素を含むガスは、例示的にN2、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。反応性ガスは、酸素元素を含むガスを含むことができる。前記酸素元素を含むガスは、例示的にO2、CO2などであってもよい。反応性ガスは、窒素元素を含むガス、及び酸素元素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素元素と酸素元素の両方を含むガスを含むことができる。前記窒素元素と酸素元素の両方を含むガスは、例示的にNO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。
【0153】
スパッタリングガスは、アルゴン(Ar)ガスであってもよい。
【0154】
スパッタリングターゲットに電力を加える電源は、DC電源を使用してもよく、またはRF電源を使用してもよい。
【0155】
第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW以上2.5kW以下として適用してもよい。第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.6kW以上2kW以下として適用してもよい。このような場合、第1遮光層の機械的物性が調節されることで、乾式エッチング時に第1遮光層が安定したエッチング速度を有し得るように助けることができる。
【0156】
第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングチャンバ内に注入される雰囲気ガスは、スパッタリングガスと共に不活性ガスを含むことができる。スパッタリング時に、雰囲気ガス中の不活性ガスの含量を制御することによって、成膜される薄膜の密度、硬度などの機械的物性が、具現例で予め設定した範囲内に制御されることを助けることができる。
【0157】
雰囲気ガスにおいて、不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の1倍以上であってもよい。不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の1.2倍以上であってもよい。不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の1.5倍以上であってもよい。不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の3倍以下であってもよい。不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の2.5倍以下であってもよい。不活性ガスの含量(体積%)は、スパッタリングガスの含量(体積%)の2.2倍以下であってもよい。
【0158】
雰囲気ガス全体を基準として不活性ガスの含量は20体積%以上であってもよい。前記含量は25体積%以上であってもよい。前記含量は30体積%以上であってもよい。前記含量は50体積%以下であってもよい。前記含量は45体積%以下であってもよい。前記含量は40体積%以下であってもよい。
【0159】
このような場合、第1遮光層の硬度値などが、具現例で予め設定した範囲内に調節されることを助けることができる。
【0160】
反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は1.5以上4以下であってもよい。反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は2以上3以下であってもよい。反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は2.2以上2.7以下であってもよい。
【0161】
このような場合、第1遮光層から発生するパーティクルの量を減少させることを助けることができ、乾式エッチング時に、第2遮光層と比較して第1遮光層のエッチング速度を向上させることができる。
【0162】
第1遮光層の成膜時間は200秒以上300秒以下であってもよい。第1遮光層の成膜時間は210秒以上240秒以下であってもよい。このような場合、第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有するように助けることができる。
【0163】
第1遮光層の成膜を行った後、5秒以上10秒以下の時間の間、スパッタリングチャンバに電力及び雰囲気ガスを供給することを中断し、第2遮光層の成膜過程で電力及び雰囲気ガスを再び供給することができる。
【0164】
第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1kW以上2kW以下として適用してもよい。第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.2kW以上1.7kW以下として適用してもよい。このような場合、第2遮光層の硬度、ヤング率の値などが、具現例で予め設定した範囲内に制御されることを助けることができる。
【0165】
第2遮光層の成膜過程において、雰囲気ガス中のスパッタリングガスの含量(体積%)に対する反応性ガスの含量(体積%)の比率は、0.3以上0.8以下であってもよい。前記含量(体積%)の比率は0.4以上0.6以下であってもよい。
【0166】
第2遮光層の成膜過程において、反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は0.3以下であってもよい。反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は0.1以下であってもよい。反応性ガスに含まれた窒素含量(原子%)に対する酸素含量(原子%)の比率は0.001以上であってもよい。
【0167】
このような場合、前記遮光膜をパターニングして形成された遮光パターン膜の上部の耐久性を向上させることを助けることができ、前記遮光膜又は前記遮光膜をパターニングして形成された遮光パターン膜の欠陥検査時の検査の正確度を向上させることができる。
【0168】
第2遮光層の成膜時間は10秒以上30秒以下であってもよい。第2遮光層の成膜時間は15秒以上25秒以下であってもよい。このような場合、乾式エッチング時に、さらに精巧な遮光膜のパターニングが可能なように助けることができる。
【0169】
第1遮光層の成膜過程で適用された反応性ガスの含量(体積%)に対する第2遮光層の成膜過程で適用された反応性ガスの含量(体積%)の比率は0.7以上1.1以下であってもよい。前記比率は0.8以上1.05以下であってもよい。前記比率は0.85以上0.95以下であってもよい。このような場合、第1遮光層と第2遮光層の硬度及びヤング率の比などの制御がさらに容易であり得る。
【0170】
熱処理ステップにおいて、成膜ステップを終えた遮光膜を熱処理することができる。具体的には、前記遮光膜の成膜を終えた基板を熱処理チャンバ内に配置した後、熱処理を行うことができる。
【0171】
遮光膜を熱処理して前記遮光膜に形成された応力を除去し、遮光膜の緻密度をさらに向上させることができる。遮光膜に熱処理が適用される場合、遮光膜に含まれた遷移金属は回復(recovery)及び再結晶(recrystallization)を経るようになり、遮光膜に形成された応力は効果的に除去され得る。但し、熱処理ステップにおいて、熱処理温度及び時間などの工程条件が制御されない場合、遮光膜に結晶粒の成長(grain growth)が発生し、大きさが制御されていない遷移金属で構成された結晶粒により、遮光膜内の遷移金属原子の配置は、熱処理前に比べてかなり変形することがある。これは、遮光膜の密度、硬度などの機械的物性に影響を及ぼし得、遮光膜の表面の粗さ特性にも影響を及ぼして遮光膜の反射率特性の変動を誘発することがある。
【0172】
具現例は、熱処理ステップでの熱処理時間及び温度を制御し、以下で詳述する冷却ステップでの冷却速度、冷却時間、冷却時の雰囲気ガスなどを制御することで、遮光膜に形成された内部応力を効果的に除去すると共に、遮光膜内の各層が、具現例で予め設定した機械的物性を有するようにし、遮光膜の表面の反射率の値が欠陥検査に適した値を有するようにすることを助けることができる。
【0173】
熱処理ステップは150~330℃で行われてもよい。熱処理ステップは180~280℃で行われてもよい。
【0174】
熱処理ステップは5~30分間行われてもよい。熱処理ステップは10~20分間行われてもよい。前記時間は、昇温時間を除いた時間である。
【0175】
このような場合、遮光膜に形成された内部応力を効果的に除去することができ、熱処理による遷移金属粒子の過度の成長を抑制することを助けることができる。
【0176】
冷却ステップにおいて、熱処理を終えた遮光膜を冷却させることができる。熱処理ステップを終えたブランクマスクの基板側に、具現例で予め設定した冷却温度に調節された冷却プレートを配置し、ブランクマスクを冷却させることができる。冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの間隔を調節し、雰囲気ガスを導入するなどの工程条件を適用して、ブランクマスクの冷却速度を制御することができる。
【0177】
ブランクマスクは、熱処理ステップを終えた後、2分内に冷却ステップを適用することができる。このような場合、遮光膜内の残熱による遷移金属粒子の成長を効果的に防止することができる。
【0178】
冷却プレートに、調節された長さを有するピンを各角部に設置し、前記ピン上に基板が冷却プレートに向かうようにブランクマスクを配置して、ブランクマスクの冷却速度を制御することができる。
【0179】
冷却プレートによる冷却方法に加え、冷却ステップが行われる空間に非活性ガスを注入してブランクマスクを冷却させることができる。このような場合、冷却プレートによる冷却効率が多少劣るブランクマスクの遮光膜側の残熱をさらに効果的に除去することができる。
【0180】
非活性気体は、例示的にヘリウムであってもよい。
【0181】
冷却ステップにおいて、冷却プレートに適用された冷却温度は10~30℃であってもよい。前記冷却温度は15~25℃であってもよい。
【0182】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの離隔距離は0.01~30mmであってもよい。前記離隔距離は0.05~5mmであってもよい。前記離隔距離は0.1~2mmであってもよい。
【0183】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクの冷却速度は30~80℃/minであってもよい。前記冷却速度は35~75℃/minであってもよい。前記冷却速度は40~70℃/minであってもよい。
【0184】
このような場合、熱処理後に遮光膜に残っている熱による遷移金属の結晶粒の成長を抑制することで、遮光膜内の各層が、具現例で予め設定した範囲の硬度値などを有するようにし、遮光膜の表面が欠陥検査に適した反射率特性を有することを助けることができる。
【0185】
安定化ステップにおいて、冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させることができる。これを通じて、急激な温度変化によるブランクマスクの損傷を防止することができる。
【0186】
冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させる方法は様々であり得る。一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、常温の大気中に所定時間放置してもよい。他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、15℃以上30℃以下の雰囲気で30分以上200分以下の時間安定化させてもよい。このとき、ブランクマスクを20rpm以上50rpm以下の速度で回転させることができる。更に他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクに、ブランクマスクと反応しない気体を5L/min以上10L/min以下の流量で1分以上5分以下の時間噴射させることができる。このとき、ブランクマスクと反応しない気体は、20℃以上40℃以下の温度を有することができる。
【0187】
半導体素子の製造方法
本明細書の他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0188】
フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0189】
遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0190】
遮光パターン膜25は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0191】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0192】
波長193nmの光に対する前記遮光パターン膜の上面の反射率は、20%以上30%以下である。
【0193】
前記第2遮光層の硬度値は0.3kPa以上0.55kPa以下である。
【0194】
準備ステップにおいて、光源は、短波長の露光光を発生させることができる装置である。露光光は、波長200nm以下の光であってもよい。露光光は、波長193nmのArF光であってもよい。
【0195】
フォトマスクと半導体ウエハとの間にレンズがさらに配置されてもよい。レンズは、フォトマスク上の回路パターンの形状を縮小して半導体ウエハ上に転写する機能を有する。レンズは、ArF半導体ウエハ露光工程に一般に適用できるものであれば限定されない。例示的に、前記レンズは、フッ化カルシウム(CaF2)で構成されたレンズを適用できる。
【0196】
露光ステップにおいて、フォトマスクを介して、半導体ウエハ上に露光光を選択的に透過させることができる。このような場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分で化学的変性が発生することができる。
【0197】
現像ステップにおいて、露光ステップを終えた半導体ウエハを現像溶液で処理して半導体ウエハ上にパターンを現像することができる。塗布されたレジスト膜がポジティブレジスト(positive resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分が現像溶液によって溶解され得る。塗布されたレジスト膜がネガティブレジスト(negative resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射していない部分が現像溶液によって溶解され得る。現像溶液の処理によって、レジスト膜はレジストパターンとして形成される。前記レジストパターンをマスクとして半導体ウエハ上にパターンを形成することができる。
【0198】
フォトマスクについての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0199】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。
【0200】
製造例:遮光膜の製造
実施例1:横6インチ、縦6インチ、厚さ0.25インチの合成クォーツ光透過性基板上に波長193nmの光に対して約180°の位相差を有する基板を用意し、以下の遮光膜の製造に適用した。
【0201】
前記基板をDCスパッタリング装備のチャンバ内に配置し、クロムターゲットがT/S距離が255mm、基板とターゲットとの間の角度が25°を形成するようにした。第1遮光層の成膜時に適用した電力は1.85kWであり、第2遮光層の成膜時に適用された電力は1.5kWであった。
【0202】
基板を回転させながら、下記の雰囲気ガスを適用して表1のようにスパッタリングを行い、それぞれ第1遮光層と第2遮光層を順次形成して遮光膜を形成した。熱処理は、同一に200℃で15分間適用し、熱処理を終えた遮光膜は、20℃の雰囲気で5分間乾燥空気を適用して冷却処理した。
【0203】
実施例及び比較例別の工程条件について、下記表1に記載した。
【0204】
評価例:組成の評価
実施例及び比較例別の遮光膜内の各層の遷移金属元素、具体的にクロムの含量をXPS分析を用いて測定した。具体的には、実施例及び比較例別のブランクマスクを横15mm、縦15mmのサイズに加工し、試験片を準備した。前記試験片をサーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデルの測定装備内に配置した後、前記試験片の中央部に位置した横4mm、縦2mmの領域をエッチングして、各層のクロム含量を測定した。実施例及び比較例別の測定結果は、下記表2に記載した。
【0205】
評価例:光学特性の評価
分光エリプソメータを用いて、実施例及び比較例別の遮光膜の波長193nmの光に対する透過率及び光学密度を測定した。
【0206】
また、分光エリプソメータを用いて、実施例1の検査光の波長による遮光膜の表面反射率を測定した。具体的には、検査光の波長を190nmから1nmの単位で増加させながら、各波長による実施例1の遮光膜の表面反射率を測定した。その後、前記測定された反射率の値を回帰分析してグラフで示した。
【0207】
光学特性の評価に用いられた分光エリプソメータは、ナノビュー社のMG-Proを用いた。
【0208】
実施例及び比較例別の透過率及び光学密度の測定値は、下記表3に記載した。
【0209】
実施例1の検査光の波長による遮光膜の表面反射率を測定したグラフは、
図5に開示した。
【0210】
評価例:機械的物性の評価
硬度、ヤング率、分離力、凝着力などの測定は、原子顕微鏡(Atomic force microscope、AFM)で測定した。Park Systems社(装備モデルXE-150)のAFM装備を用いて、スキャン速度0.5Hz、コンタクトモード(Contact Mode)、カンチレバー(Cantilever)モデルであるPark Systems社のPPP-CONTSCRを適用して測定し、測定対象内の16個の地点で凝着力などを測定してその平均値を取り、これから得られる硬度又はヤング率の値を、前記の硬度又はヤング率の値として下記表3に示した。
【0211】
実施例2の16個の地点での実測データは表4に提示した。測定時に適用される測定用チップは、シリコン素材のBerkovich tip(チップのポアソン比:0.07)が適用され、硬度及びヤング率の測定結果は、Oliver and Pharrモデルを適用してAFM装備社が提供したプログラムによって得られる値を取った。
【0212】
評価例:エッチング特性の評価
実施例及び比較例別の試験片に含まれた遮光膜の透過電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)イメージを測定して、遮光膜の厚さを測定した。試験片を横15mm、縦15mmのサイズに加工した。前記加工された試験片の表面をThermoFisher社のHelios 5 HX DualBeam Systemを用いて集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)処理した後、JEOL LTD社のJEM-2100F HRモデルの装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定した。前記TEMイメージから遮光膜の厚さを算出した。
【0213】
その後、塩素系ガスに対する遮光膜のエッチング時間を測定した。前記塩素系ガスとして、塩素気体を90~95体積%、酸素気体を5~10体積%含むガスを適用した。前記遮光膜の厚さ及び遮光膜のエッチング時間から、塩素系ガスに対する遮光膜のエッチング速度を算出した。
【0214】
実施例及び比較例別のエッチング速度の測定値は、下記表3に記載した。
【0215】
評価例:欠陥の評価
欠陥検査装備を用いて、比較例1及び2の遮光膜の表面の欠陥形成の有無を測定した。具体的には、LASERTEC社のM6641Sモデルの検査装備にHFフィルターを適用した後、比較例1及び2の遮光膜の表面のイメージを測定した。
【0216】
比較例1及び2の遮光膜の表面のイメージは、それぞれ
図6A及び
図6Bに開示した。
【0217】
【表1】
*第1遮光層の形成時に適用される反応性ガスを基準とする、第2遮光層の形成時に適用される反応性ガスの比率(体積比)
【0218】
【0219】
【表3】
*硬度比は、第1遮光層の硬度を基準とする第2遮光層の硬度の比率
**ヤング率比は、第1遮光層のヤング率を基準とする第2遮光層のヤング率の比率
【0220】
【0221】
図5において、実施例1の遮光膜の表面反射率は、190nm以上260nm以下の波長で25%以上35%以下の反射率を示し、350nm以上400nm以下の波長で30%以上45%以下の反射率を示し、480nm以上550nm以下の波長で35%以上45%以下の反射率を示した。
【0222】
表3において、実施例1~3の硬度比は0.15以上0.55以下を示したのに対し、比較例1は0.6超、比較例2は0.11未満を示した。
【0223】
実施例1~3のヤング率比は0.15以上0.55以下を示したのに対し、比較例1は0.6超、比較例2は0.11未満を示した。
【0224】
エッチング速度において、実施例1~3、比較例1及び2は1.6Å/s以上の速度を示したのに対し、比較例3のエッチング速度は1.1Å/sを示した。
【0225】
凝着力及び分離力の評価において、実施例2の第1遮光層と第2遮光層の分離力の平均値に対する標準偏差の比率は、それぞれ3%以下と示され、凝着力の平均値に対する標準偏差の比率は、それぞれ6%以下と示された。
【0226】
図6A及び
図6Bにおいて、比較例1の表面は、パーティクル、及びパーティクルによるスクラッチが多数発生したことが確認できた。比較例2の表面は、比較例1に比べて相対的にパーティクルの大きさ及び個数が減少したが、依然としてかなりの数のパーティクルが発生したことが確認できた。
【0227】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0228】
100 ブランクマスク
10 光透過性基板
20 遮光膜
21 第1遮光層
22 第2遮光層
30 位相反転膜
200 フォトマスク
25 遮光パターン膜
p 遮光パターン膜の損傷部分