(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】精製の方法および精製された製品
(51)【国際特許分類】
G01N 30/56 20060101AFI20240521BHJP
B01J 20/287 20060101ALI20240521BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20240521BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20240521BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240521BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20240521BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240521BHJP
G01N 30/60 20060101ALI20240521BHJP
B01D 15/32 20060101ALI20240521BHJP
B01D 15/20 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N30/56 A
B01J20/287
B01J20/281 X
G01N30/02 N
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/88 J
G01N30/88 D
G01N30/88 C
G01N30/60 E
B01J20/281 G
B01D15/32
B01D15/20
(21)【出願番号】P 2023089885
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2022542132の分割
【原出願日】2022-02-24
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004189
【氏名又は名称】株式会社ニッスイ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】降旗 清代美
(72)【発明者】
【氏名】片山 政志
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078231(JP,A)
【文献】特表2010-532470(JP,A)
【文献】特表2002-514492(JP,A)
【文献】特表2020-537740(JP,A)
【文献】特開平02-128693(JP,A)
【文献】特開2000-072713(JP,A)
【文献】特開平10-253609(JP,A)
【文献】特表2009-516194(JP,A)
【文献】特表2009-512840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 - 30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラムクロマトグラフィーにより1種類以上の化合物を精製する方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間沈降させる;
を含み、固定相が逆相のシリカ固定相であり、前記化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項2】
カラムクロマトグラフィーにおいてクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間沈降させる;
を含み、固定相が逆相のシリカ固定相であり、カラムクロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項3】
カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間沈降させる;を含み、該Nにおける増大が、静置時間なしのカラムクロマトグラフィーに対するものであり、または該Nにおける増大が、該静置時間未満である低減した静置時間の間沈降したスラリーに対するものであり、固定相が逆相のシリカ固定相であり、カラムクロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項4】
カラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、スラリーを該カラム中で静置時間の間沈降させることを含み、
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、
かつ該低下が、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつ該増大が、該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものであり、該スラリーが、逆相のシリカ固定相である固定相を含み、カラムクロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、静置時間以外の全てのクロマトグラフィー条件が、該カラムクロマトグラフィーが該静置時間を含む場合、または該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含む場合に同一である方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法であって、該カラムが、静置時間の間大気圧下にある方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法であって、静置時間後に該カラムに圧力が加えられる方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法であって、それぞれの静置時間が、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である方法。
【請求項9】
スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法であって、該スラリーが、逆相のシリカ固定相である固定相を含み、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、該沈降体積における減少が、静置時間にわたり、カラムクロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項10】
カラムクロマトグラフィーにおいてスラリー中の沈降体積を減少させることを含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、該スラリーが、逆相のシリカ固定相である固定相を含み、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、該沈降体積における減少が、静置時間にわたり、クロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質
および核
酸から選択され
、前記スラリーが、固定相および水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの一以上を含み、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項11】
スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、該スラリーが、逆相のシリカ固定相である固定相を含み、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、該沈降体積における減少が、静置時間にわたり、かつ該Nにおける増大が、該カラムが該新しいスラリーでパッキングされているカラムクロマトグラフィーのNに対するものであり、クロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項12】
カラムパッキング前にスラリーにおける沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、該スラリーが、逆相のシリカ固定相である固定相を含み、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、該沈降体積における減少が、静置時間にわたり、
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1より大きい場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み;または
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1未満である場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、クロマトグラフィーによって精製される化合物が、
魚油由来の脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、
および核
酸から選択され
、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、沈降体積以外の全てのクロマトグラフィー条件が、前記カラムクロマトグラフィーが前記減少した沈降体積を含む場合、または前記カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合に同一である方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法であって、前記新しいスラリーが、約10分未満、約8分未満、約6分未満、約4分未満、約2分未満または約1分未満の時間の間組み合わせられた移動相および固定相を含む方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載の方法であって、前記沈降体積の減少が、約0分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分または約38分~約40分の長さの時間にわたる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記沈降体積が、前記長さの時間の後に実質的に一定に維持される方法。
【請求項17】
請求項9~16のいずれか1項に記載の方法であって、沈降体積を減少させることが、混合物を大気圧において沈降させることを含む方法。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか1項に記載の方法であって、前記沈降体積における減少後にカラムに圧力が加えられる方法。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載の方法であって、カラムが、軸圧縮カラムである方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法であって、前記スラリーが、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記スラリーが、メタノールを含む方法。
【請求項22】
請求項20または21に記載の方法であって、前記固定相が、50μmより大きい、45μmより大きい、40μmより大きい、35μmより大きい、30μmより大きい、2
5μmより大きい、20μmより大きい、15μmより大きい、または10μmより大きい、レーザー回折散乱法によって測定された平均粒径を含む方法。
【請求項23】
請求項20~22のいずれか1項に記載の方法であって、前記固定相が、C18の粒子を含む方法。
【請求項24】
請求項
1~23のいずれか1項に記載の方法であって、前記移動相が、メタノールを含む方法。
【請求項25】
請求項1~
24のいずれか1項に記載の方法であって、クロマトグラフィーが、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む移動相を含む方法。
【請求項26】
請求項1~
25のいずれか1項に記載の方法であって、カラムクロマトグラフィーが、移動相勾配を含む方法。
【請求項27】
請求項1~
26のいずれか1項に記載の方法であって、前記スラリーが、以下の工程:
a)前記スラリーの前記カラムへの添加の前に固定相および移動相を予め混合する;または
b)移動相を前記カラムに添加し、次いで固定相を該移動相に添加する;
により形成される方法。
【請求項28】
請求項
27に記載の方法であって、前記固定相が、前記移動相に部分に分けて添加される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般にカラムクロマトグラフィーにおける性能を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーは、広い範囲の産業および研究環境において使用される精製法である。クロマトグラフィーは、食品産業、環境試験および製薬産業において品質管理および調製の目的のために使用されている。化学物質の天然の源は、有用な化合物の豊富な源を与えるが、抽出は、結果として不純な混合物をもたらし、それは、標的化学物質を単離するためにしばしばさらなる精製法、例えばクロマトグラフィーを必要とする。化学構造における類似性のため、同じ構造クラスに属する異なる化合物の混合物は、それから特定の化合物を精製および単離するのが困難であることが判明している。クロマトグラフィーで使用されるカラムおよび固定相を調製する方法は、カラムの性能ならびに近い構造的類似性ならびに固定相および移動相との類似の相互作用を有する複数の化合物を分離するカラムの能力に対して劇的な作用を有し得る。特許文献1に記載のとおり、クロマトグラフィー用カラムのパッキング方法として、沈降充填法、高圧スラリー充填法、乾式充填法等が知られている。沈降充填法とは、カラムに充填剤と液体のスラリーを投入して静置し、沈降させる方法である。高圧スラリー充填法とは、カラムに充填剤と液体とのスラリーを投入して送液ポンプによって液体を高圧送液し、充填剤を沈降させる方法である。また、乾式充填法とは充填剤を粉状のままカラムに投入し、カラムを振動させるなどの方法で充填剤を密にパッキングした後、液体を供給して充填剤層内の脱気を行う方法である。特許文献2及び3には、クロマトグラフィー用カラムの調製において充填剤をスラリーとして投入した後、沈降および圧縮を行う方法が記載されている。非特許文献1には、分取液体クロマトグラフィーにおけるカラムのパッキングの方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-253609号公報
【文献】WO2015/053276
【文献】特表2015-508179号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】YMC15 Preparative LC Systemマニュアル
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピーク分離度、対称性、および理論段数を増大させることにより類似の保持時間を有する類似の化合物の分離を可能にするクロマトグラフィーの方法に関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、カラムクロマトグラフィーにより化合物を精製する方法ならびにスラリーを静置させ、スラリーの沈降体積を低減することによりシンメトリー係数および理論段数を最適化する方法を見出し、本願発明を完成させた。本願発明は、スラリーを一定長の時間静置させることによって、ピーク分離度、対称性、および理論段数を増大させる方法に向けられている。本明細書には以下の発明の態様が記載されている。
【0007】
[1-1] カラムクロマトグラフィーにより1種類以上の化合物を精製する方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させる;
を含む方法。
[1-2] クロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させる;
を含む方法。
[1-3] カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させる;を含み、該Nにおける増大が、沈降時間なしのカラムクロマトグラフィーに対するものであり、または該Nにおける増大が、該沈降時間未満である低減した沈降時間の間沈降したスラリーに対するものである方法。
[1-4] カラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、スラリーを該カラム中で沈降時間の間沈降させることを含み、
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつ該低下が、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつ該増大が、該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである方法。
[1-5] [1-4]に記載の方法であって、沈降時間以外の全てのクロマトグラフィー条件が、該カラムクロマトグラフィーが該沈降時間を含む場合、または該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含む場合に同一である方法。
[1-6] [1-1]~[1-5]のいずれかに記載の方法であって、該カラムが、沈降時間の間大気圧下にある方法。
[1-7] [1-1]~[1-6]のいずれかに記載の方法であって、沈降時間後に該カラムに圧力が加えられる方法。
[1-8] [1-1]~[1-7]のいずれかに記載の方法であって、それぞれの沈降時間が、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である方法。
[1-9] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものである方法。
[1-10] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものである方法。
[1-11] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、かつ該Nにおける増大が、該カラムが該新しいスラリーでパッキングされているカラムクロマトグラフィーのNに対するものである方法。
[1-12] カラムパッキング前にスラリーにおける沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1より大きい場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み;または
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1未満である場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含む方法。
[1-13] [1-12]に記載の方法であって、沈降体積以外の全てのクロマトグラフィー条件が、前記カラムクロマトグラフィーが前記減少した沈降体積を含む場合と、前記カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合とにおいて同一である方法。
[1-14] [1-12]または[1-13]に記載の方法であって、前記新しいスラリーが、約10分未満、約8分未満、約6分未満、約4分未満、約2分未満または約1分未満の時間の間組み合わせられた移動相および固定相を含む方法。
[1-15] [1-9]~[1-14]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積の減少が、約0分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分または約38分~約40分の長さの時間にわたる方法。
[1-16] [1-15]に記載の方法であって、前記沈降体積が、前記長さの時間の後に実質的に一定に維持される方法。
[1-17] [1-9]~[1-16]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積における減少が、沈降時間にわたる方法。
[1-18] [1-9]~[1-17]のいずれかに記載の方法であって、沈降体積を減少させることが、混合物を大気圧において沈降させることを含む方法。
[1-19] [1-9]~[1-18]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積における減少後にカラムに圧力が加えられる方法。
[1-20] [1-1]~[1-18]のいずれかに記載の方法であって、カラムが、軸圧縮カラムである方法。
[1-21] [1-1]~[1-20]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上を含む方法。
[1-22] [1-21]に記載の方法であって、前記スラリーが、メタノールを含む方法。
[1-23] [1-21]または[1-22]に記載の方法であって、前記固定相が、50μmより大きい、45μmより大きい、40μmより大きい、35μmより大きい、30μmより大きい、25μmより大きい、20μmより大きい、15μmより大きい、または10μmより大きい、レーザー回折散乱法によって測定された平均粒径を含む方法。
[1-24] [1-21]または[1-23]に記載の方法であって、前記固定相が、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニル-ヘキシル固定相、極性包埋アルキルおよびフルオロフェニルプロピルの少なくとも1つから選択される粒子を含む方法。
[1-25] [1-21]~[1-24]のいずれかに記載の方法であって、前記固定相が、C18の粒子を含む方法。
[1-26] [1-1]~[1-25]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、またはジクロロメタンの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む方法。
[1-27] [1-26]に記載の方法であって、前記移動相が、メタノールを含む方法。
[1-28] [1-1]~[1-27]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む移動相を含む方法。
[1-29] [1-1]~[1-28]のいずれかに記載の方法であって、カラムクロマトグラフィーが、移動相勾配を含む方法。
[1-30] [1-1]~[1-29]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸および小分子から選択される1以上の分析種の精製を含む方法。
[1-31] [1-1]~[1-30]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、1種類以上の脂肪酸またはそのエステル化誘導体の精製を含む方法。
[1-32] [1-31]に記載の方法であって、該脂肪酸が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸およびテトラコンチル酸の1以上から選択される方法。
[1-33] [1-31]または[1-32]に記載の方法であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである方法。
[1-34] [1-1]~[1-33]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルの精製を含む方法。
[1-35] [1-1]~[1-34]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、以下の工程:
a)前記スラリーの前記カラムへの添加の前に固定相および移動相を予め混合する;または
b)移動相を前記カラムに添加し、次いで固定相を該移動相に添加する;
により形成される方法。
[1-36] [1-34]に記載の方法であって、前記固定相が、前記移動相に部分に分けて添加される方法。
[1-37] [1-1]~[1-36]のいずれかに記載の方法により精製された化合物または当該化合物を含む組成物。
[1-38] [1-37]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸または小分子である化合物または組成物。
[1-39] [1-37]または[1-38]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[1-40] [1-39]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[1-41] [1-39]または[1-40]に記載の化合物または組成物であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである化合物または組成物。
[1-42] [1-37]~[1-41]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、該化合物が、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルである化合物または組成物。
[1-43] [1-37]~[1-42]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、約90%より大きい、約95%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、約99.5%より大きい、約99.8%より大きい、または約99.9%より大きい純度を含む化合物または組成物。
[1-44] [1-36]~[1-43]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、50%より大きい、55%より大きい、60%より大きい、65%より大きい、70%より大きい、75%より大きい、または80%より大きい歩留まりを含む化合物または組成物。
[1-45] [1-36]~[1-43]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、55%より大きい、60%より大きい、65%より大きい、70%より大きい、75%より大きい、80%より大きい、85%より大きい、90%より大きい、95%より大きい、98%より大きい、99%より大きい、または99.7%より大きい回収率を含む化合物または組成物。
[1-46] [1-42]に記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルおよびドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
[1-47] [1-42]に記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルまたはドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
【0008】
[2-1] カラムクロマトグラフィーにより1種類以上の化合物を精製する方法であって、以下の工程:
液体中に固定相を含むスラリーを調製すること;
スラリーをカラム中で静置時間の間静置させて固定相を沈降させること;
沈降した固定相にパッキング圧を加えて固定相の充填層を形成すること;および
固定相の充填層を含むカラムを用いてカラムクロマトグラフィーを行うこと、を含む方法。
[2-2] クロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、以下の工程:
液体中に固定相を含むスラリーを調製すること;
スラリーをカラム中で静置時間の間静置させて固定相を沈降させること;および
沈降した固定相にパッキング圧を加えて固定相の充填層を形成すること、を含む方法。
[2-3] カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、以下の工程:
液体中に固定相を含むスラリーを調製すること;
スラリーをカラム中で静置時間の間静置させて固定相を沈降させること;および
沈降した固定相にパッキング圧を加えて固定相の充填層を形成すること、を含み、該Nにおける増大が、スラリーを静置させない、または、スラリーを該静置時間未満である低減した静置時間の間静置したカラムクロマトグラフィーに対するものである方法。
[2-4] カラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、以下の工程:
液体中に固定相を含むスラリーを調製すること;および
スラリーをカラム中で静置時間の間静置させて固定相を沈降させること;
沈降した固定相にパッキング圧を加えて固定相の充填層を形成すること、を含み、該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつ該低下が、スラリーを静置させない、または、スラリーを該静置時間未満である低減した静置時間の間静置させたカラムクロマトグラフィーにおける、1より大きいシンメトリー係数に対するものであり;または
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつ該増大が、スラリーを静置させない、または、スラリーを該静置時間未満である低減した静置時間の間静置させたカラムクロマトグラフィーにおける、1未満であるシンメトリー係数に対するものである方法。
[2-5] [2-4]に記載の方法であって、静置時間以外の全てのクロマトグラフィー条件が、スラリーを静置させない、または、スラリーを該静置時間未満である低減した静置時間の間静置させたカラムクロマトグラフィーと同一である方法。
[2-6] [2-1]~[2-5]のいずれかに記載の方法であって、該カラムが、静置時間の間大気圧下にある方法。
[2-7] [2-1]~[2-6]のいずれかに記載の方法であって、当該静置時間が、約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である方法。
[2-8] [2-1]~[2-7]のいずれかに記載の方法であって、スラリーを静置させた結果、固定相の充填層の体積がスラリーを静置させないカラムクロマトグラフィーにおける固定相の充填層の体積より減少する方法。
[2-9] [2-8]に記載の方法であって、スラリーの調製時に、約10分未満、約8分未満、約6分未満、約4分未満、約2分未満または約1分未満の時間の間撹拌された液体および固定相を含む方法。
[2-10] [2-1]~[2-9]のいずれかに記載の方法であって、カラムが、軸圧縮カラムである方法。
[2-11] [2-1]~[2-10]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上の液体を含む方法。
[2-12] [2-11]に記載の方法であって、前記スラリーが、液体としてメタノールを含む方法。
[2-13] [2-11]または[2-12]に記載の方法であって、前記固定相が、50μmより大きい、45μmより大きい、40μmより大きい、35μmより大きい、30μmより大きい、25μmより大きい、20μmより大きい、15μmより大きい、または10μmより大きい、レーザー回折散乱法によって測定された粒径の中央値を有する粒子を含む方法。
[2-14] [2-11]または[2-13]に記載の方法であって、前記固定相が、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニル-ヘキシル固定相、極性包埋アルキルおよびフルオロフェニルプロピルの少なくとも1つから選択される粒子を含む方法。
[2-15] [2-11]~[2-14]のいずれかに記載の方法であって、前記固定相が、C18の粒子を含む方法。
[2-16] [2-1]~[2-15]のいずれかに記載の方法であって、スラリー濃度が約20%~約70%、好ましくは約30%~約70%、より好ましくは約30%~約60%である方法。
[2-17] [2-1]~[2-16]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、ジクロロメタンまたは超臨界二酸化炭素の1以上を含む移動相を用いる溶出を含む方法。
[2-18] [2-17]に記載の方法であって、前記移動相が、メタノールを含む方法。
[2-19] [2-1]~[2-18]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む移動相を含む方法。
[2-20] [2-1]~[2-19]のいずれかに記載の方法であって、カラムクロマトグラフィーが、移動相勾配を含む方法。
[2-21] [2-1]~[2-20]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸および小分子から選択される1以上の分析種の精製を含む方法。
[2-22] [2-1]~[2-21]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、1種類以上の脂肪酸またはそのエステル化誘導体の精製を含む方法。
[2-23] [2-22]に記載の方法であって、該脂肪酸が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸およびテトラコンチル酸の1以上から選択される方法。
[2-24] [2-21]または[2-22]に記載の方法であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである方法。
[2-25] [2-1]~[2-24]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルの精製を含む方法。
[2-26] [2-1]~[2-25]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、以下の工程:
a)前記スラリーの前記カラムへの添加の前に固定相および液体を予め混合する;または
b)液体を前記カラムに添加し、次いで固定相を該液体に添加する;
により調製される方法。
[2-27] [2-26]に記載の方法であって、前記固定相が、前記液体に部分に分けて添加される方法。
[2-28] [2-1]~[2-27]のいずれかに記載の方法により精製された化合物または当該化合物を含む組成物。
[2-29] [2-28]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸または小分子である化合物または組成物。
[2-30] [2-28]または[2-29]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[2-31] [2-30]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[2-32] [2-30]または[2-31]に記載の化合物または組成物であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである化合物または組成物。
[2-33] [2-28]~[2-32]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、該化合物が、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルである化合物または組成物。
[2-34] [2-28]~[2-33]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の純度を含む化合物または組成物。
[2-35] [2-33]に記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルおよびドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
[2-36] [2-33]記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルまたはドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
【0009】
[3-1] カラムクロマトグラフィーにより1種類以上の化合物を精製する方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間静置させる;
を含む方法。
[3-2] クロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間静置させる;
を含む方法。
[3-3] カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、以下の工程:
固定相をカラムに添加し、および
該固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間静置させる;を含み、該Nにおける増大が、静置時間なしのカラムクロマトグラフィーに対するものであり、または該Nにおける増大が、該静置時間未満である低減した静置時間の間静置したスラリーに対するものである方法。
[3-4] カラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、スラリーを該カラム中で静置時間の間静置させることを含み、
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつ該低下が、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または
該向上が、該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつ該増大が、該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつ該シンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである方法。
[3-5] [3-4]に記載の方法であって、静置時間以外の全てのクロマトグラフィー条件が、該カラムクロマトグラフィーが該静置時間を含む場合、または該カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含む場合に同一である方法。
[3-6] [3-1]~[3-5]のいずれかに記載の方法であって、該カラムが、静置時間の間大気圧下にある方法。
[3-7] [3-1]~[3-6]のいずれかに記載の方法であって、静置時間後に該カラムに圧力が加えられる方法。
[3-8] [3-1]~[3-7]のいずれかに記載の方法であって、それぞれの静置時間が、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である方法。
[3-9] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものである方法。
[3-10] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものである方法。
[3-11] スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、かつ該Nにおける増大が、該カラムが該新しいスラリーでパッキングされているカラムクロマトグラフィーのNに対するものである方法。
[3-12] カラムパッキング前にスラリーにおける沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法であって、該沈降体積における減少が、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1より大きい場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み;または
該向上が、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合の該ピークに関する該シンメトリー係数が1未満である場合において該ピークの該シンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含む方法。
[3-13] [3-12]に記載の方法であって、沈降体積以外の全てのクロマトグラフィー条件が、前記カラムクロマトグラフィーが前記減少した沈降体積を含む場合と、前記カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合とにおいて同一である方法。
[3-14] [3-12]または[3-13]に記載の方法であって、前記新しいスラリーが、約10分未満、約8分未満、約6分未満、約4分未満、約2分未満または約1分未満の時間の間組み合わせられた移動相および固定相を含む方法。
[3-15] [3-9]~[3-14]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積の減少が、約0分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分または約38分~約40分の長さの時間にわたる方法。
[3-16] [3-15]に記載の方法であって、前記沈降体積が、前記長さの時間の後に実質的に一定に維持される方法。
[3-17] [3-9]~[3-16]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積における減少が、静置時間にわたる方法。
[3-18] [3-9]~[3-17]のいずれかに記載の方法であって、沈降体積を減少させることが、混合物を大気圧において静置させることを含む方法。
[3-19] [3-9]~[3-18]のいずれかに記載の方法であって、前記沈降体積における減少後にカラムに圧力が加えられる方法。
[3-20] [3-1]~[3-18]のいずれかに記載の方法であって、カラムが、軸圧縮カラムである方法。
[3-21] [3-1]~[3-20]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上を含む方法。
[3-22] [3-21]に記載の方法であって、前記スラリーが、メタノールを含む方法。
[3-23] [3-21]または[3-22]に記載の方法であって、前記固定相が、50μmより大きい、45μmより大きい、40μmより大きい、35μmより大きい、30μmより大きい、25μmより大きい、20μmより大きい、15μmより大きい、または10μmより大きい、レーザー回折散乱法によって測定された平均粒径を含む方法。
[3-24] [3-21]または[3-23]に記載の方法であって、前記固定相が、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニル-ヘキシル固定相、極性包埋アルキルおよびフルオロフェニルプロピルの少なくとも1つから選択される粒子を含む方法。
[3-25] [3-21]~[3-24]のいずれかに記載の方法であって、前記固定相が、C18の粒子を含む方法。
[3-26] [3-1]~[3-25]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、またはジクロロメタンの1以上を含む移動相を用いる溶出を含む方法。
[3-27] [3-26]に記載の方法であって、前記移動相が、メタノールを含む方法。
[3-28] [3-1]~[3-27]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む移動相を含む方法。
[3-29] [3-1]~[3-28]のいずれかに記載の方法であって、カラムクロマトグラフィーが、移動相勾配を含む方法。
[3-30] [3-1]~[3-29]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸および小分子から選択される1以上の分析種の精製を含む方法。
[3-31] [3-1]~[3-30]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、1種類以上の脂肪酸またはそのエステル化誘導体の精製を含む方法。
[3-32] [3-31]に記載の方法であって、該脂肪酸が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸およびテトラコンチル酸の1以上から選択される方法。
[3-33] [3-31]または[3-32]に記載の方法であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである方法。
[3-34] [3-1]~[3-33]のいずれかに記載の方法であって、クロマトグラフィーが、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルの精製を含む方法。
[3-35] [3-1]~[3-34]のいずれかに記載の方法であって、前記スラリーが、以下の工程:
a)前記スラリーの前記カラムへの添加の前に固定相および移動相を予め混合する;または
b)移動相を前記カラムに添加し、次いで固定相を該移動相に添加する;
により形成される方法。
[3-36] [3-34]に記載の方法であって、前記固定相が、前記移動相に部分に分けて添加される方法。
[3-37] [3-1]~[3-36]のいずれかに記載の方法により精製された化合物または当該化合物を含む組成物。
[3-38] [3-37]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸または小分子である化合物または組成物。
[3-39] [3-37]または[3-38]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[3-40] [3-39]に記載の化合物または組成物であって、該化合物が、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体である化合物または組成物。
[3-41] [3-39]または[3-40]に記載の化合物または組成物であって、そのエステル化誘導体が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである化合物または組成物。
[3-42] [3-37]~[3-41]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、該化合物が、エイコサペンタエン酸エチルエステルおよび/またはドコサヘキサエン酸エチルエステルである化合物または組成物。
[3-43] [3-37]~[3-42]のいずれかに記載の化合物または組成物であって、約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の純度を含む化合物または組成物。
[3-44] [3-42]に記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルおよびドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
[3-45] [3-42]に記載の化合物または組成物であって、精製により得られる画分がエイコサペンタエン酸エチルエステルまたはドコサヘキサエン酸エチルエステルを約80%以上、約85%以上、約86%以上、約90%以上、約95%以上、約96.5%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上の含有量で含む化合物または組成物。
【0010】
本開示の一部の態様は、以下の工程を含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法に向けられている:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間(settling time)の間沈降させる。
【0011】
本開示の一部の態様は、以下の工程を含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法に向けられている:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させる。
【0012】
本開示の一部の態様は、以下の工程:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させる;を含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法に向けられており、ここで、Nにおける増大は、沈降時間なしのカラムクロマトグラフィーに対するものであるか、またはここで、Nにおける増大は、沈降時間未満である低減した沈降時間の間沈降したスラリーに対するものである。
【0013】
本開示の一部の態様は、スラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法に向けられており、ここで、向上は、ピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつここで、低下は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつシンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または向上は、ピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつここで、増大は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつシンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである。ある態様において、沈降時間以外の全てのクロマトグラフィー条件は、カラムクロマトグラフィーが該沈降時間を含む場合と、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含む場合とにおいて、同一である。
【0014】
これらの方法のある態様において、カラムは、沈降時間の間大気圧下にある。これらの方法のある態様において、沈降時間後にカラムに圧力が加えられる。これらの方法のある態様において、それぞれの沈降時間は、独立して約0.5分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分または約38分~約40分である。ある態様において、沈降時間は、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である。
【0015】
本開示の一部の態様は、スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法に向けられており、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものである。
【0016】
本開示の一部の態様は、スラリー中の沈降体積を減少させることを含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法に向けられており、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものである。
【0017】
本開示の一部の態様は、スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法に向けられており、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、かつここで、Nにおける増大は、カラムが新しいスラリーで充填されているカラムクロマトグラフィーのNに対するものである。
【0018】
本開示の一部の態様は、カラムパッキング前にスラリーにおける沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法に向けられており、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、ここで、向上は、カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合のピークに関するシンメトリー係数が1より大きい場合においてピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み;または向上は、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合のピークに関するシンメトリー係数が1未満である場合においてピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含む。
【0019】
これらの方法のある態様において、沈降体積以外の全てのクロマトグラフィー条件は、カラムクロマトグラフィーが減少した沈降体積を含む場合と、カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合とにおいて、同一である。これらの方法のある態様において、新しいスラリーは、約0.5分、1分、2分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分より長い、および/または200分、185分、175分、165分、155分、145分、135分、125分、115分、105分、95分、85分、75分、65分、55分、45分、35分、25分未満の時間の間組み合わせられた移動相(または溶媒)および固定相を含む。移動相(または溶媒)および固定相を組み合わせることは、撹拌を含むことができる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少は、約0分~約2分、約2分~約4分、約4分~約8分、約8分~約16分、約16分~約24分、約24分~約32分、約32分~約50分、約50分~約70分、約70分~約90分、約90分~約110分、約110分~約130分、約130分~約150分の長さの時間にわたる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積は、その長さの時間の後に実質的に一定に維持される。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少は、沈降時間にわたる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積を減少させることは、混合物を大気圧において沈降させることを含む。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少後にカラムに圧力が加えられる。これらの方法の一部の態様において、カラムは、軸圧縮カラムである。これらの方法の一部の態様において、スラリーは、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上を含む。これらの方法の一部の態様において、スラリーは、メタノールを含む。これらの方法の一部の態様において、固定相は、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニル-ヘキシル固定相、極性包埋アルキル(polar embedded alkyl)および/またはフルオロフェニルプロピルの粒子を含む。これらの方法の一部の態様において、固定相は、C18の粒子である。
【0020】
上記のいずれか1つの態様の方法において、クロマトグラフィーが水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、ジクロロメタンまたは超臨界二酸化炭素の1以上を含む移動相を用いる溶出を含む。これらの方法の一部の態様において、移動相は、メタノールを含む。これらの方法の一部の態様において、クロマトグラフィーは、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む移動相を含む。これらの方法の一部の態様において、カラムクロマトグラフィーは、移動相勾配を含む。これらの方法の一部の態様において、クロマトグラフィーは、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸および小分子から選択される1以上の分析種の精製を含む。これらの方法の一部の態様において、クロマトグラフィーは、1種類以上の脂肪酸またはそのエステル化誘導体の精製を含む。これらの方法の一部の態様において、脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸(ozubondo acid)、イワシ酸(sardine acid)、テトラコサノールペンタエン酸(tetracosanolpentaenoic acid)、セルボン酸、ニシン酸(herring acid)、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸(carboceric acid)、モンタン酸、ノナコシル酸(nonacosylic acid)、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸(lacceroic acid)、シリル酸(psyllic acid)、ゲディック酸(geddic acid)、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸(heptatriacontylic acid)、オクタトリアコンチル酸(octatriacontylic acid)、ノナトリアコンチル酸(nonatriacontylic acid)およびテトラコンチル酸(tetracontylic acid)の1以上から選択される。これらの方法の一部の態様において、そのエステル化誘導体は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである。これらの方法の一部の態様において、クロマトグラフィーは、エイコサペンタエン酸エチルエステルの精製を含む。これらの方法の一部の態様において、スラリーは、a)スラリーのカラムへの添加の前に固定相および移動相(または溶媒)を予め混合すること;またはb)移動相(または溶媒)をカラムに添加し、次いで固定相を移動相に添加することにより形成される。これらの方法の一部の態様において、固定相は、移動相(または溶媒)に部分に分けて添加される。
【0021】
他の態様は、本開示の方法によって精製された化合物またはその化合物を含む組成物を含む。一部の態様において、化合物は、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸または小分子である。一部の態様において、化合物は、脂肪酸またはそのエステル化誘導体である。一部の態様において、化合物は、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、プリシン酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体である。一部の態様において、そのエステル化誘導体は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである。一部の態様において、化合物または組成物は、エイコサペンタエン酸エチルエステルである。一部の態様において、化合物または組成物は、約50%より大きい、約60%より大きい、約70%より大きい、約80%より大きい、約85%より大きい、約86%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、約96.5%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、約99.5%より大きい、約99.8%より大きい、もしくは約99.9%より大きい、かつ/または約99.95%未満、約99.99%未満の純度を有する。一部の態様において、歩留まりは、50%より大きく、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きく、かつ/または75%未満、80%未満、85%未満、90%未満もしくは95%未満である。一部の態様において、回収率は、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きく、85%より大きく、90%より大きく、95%より大きく、98%より大きく、99%より大きく、もしくは99.7%より大きく、かつ/または95%未満、97%未満、98%未満、99%未満、99.5%未満、99.7%未満もしくは99.9%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本開示の態様の沈降およびパッキングプロセスの工程ごとの概略図を示す。固定相の充填層とは、スラリー支持体である。
【
図2】
図2は、理論段数(N)を計算するために使用される変数を伴うクロマトグラフィーピークを示す。σは、標準偏差である。Wは、ピーク幅である。Aは、ピーク面積である。W
0.5hは、ピークの半値全幅(FWHM)である。Hは、ピークの高さである。
【
図3】
図3は、シンメトリー係数(As
0.05またはS)を計算するために使用される変数を伴うクロマトグラフィーピークを示す。W
0.05hは、ピークベースラインからピークの高さの1/20上の位置でのピーク幅である。ピーク頂点から引かれた垂直線がピークベースラインからピークの高さの1/20上の位置で引かれた水平線(W
0.05h)と交差する際、ピークの前縁(leading edge)から垂直線までの水平線に沿った距離が、fまたはA
0.05hである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
脂肪酸は、長い脂肪族鎖を有するカルボン酸であり、それは、飽和または不飽和のどちらかである。脂肪酸は、通常は天然源由来のトリグリセリドまたはリン脂質の加水分解により産業的に製造される。一部のものは、合成により製造される。製造の方法にかかわらず、精製法が、食品、化粧品または産業的使用のための純粋な製品を得るために必要とされる。
【0024】
本開示は、固定相および移動相(または溶媒)のスラリーをカラムへの添加後に一定長の時間沈降させ、カラムのパッキング前にスラリーの低減した沈降体積を促進することにより、カラムクロマトグラフィーによるエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-E)および/またはドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHA-E)の精製を向上させることができる、という発見に向けられている。これは、結果として、スラリーをカラムに導入してすぐにカラムをパッキングすることに対して向上したカラム性能をもたらす。カラム性能における向上は、増大した理論段数およびより対称なピークを含む。
【0025】
従って、一側面において、スラリーをある期間の間カラム中で沈降させることを含む、クロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法が提供される。別の側面において、スラリーをある期間の間カラム中で沈降させることを含む、クロマトグラフィーカラムをパッキングする方法が提供される。
【0026】
カラムは、外径、内径および長さを有する円筒形である。ある態様において、カラムは、分取クロマトグラフィーカラムである。分取クロマトグラフィーカラムは、約10mm~約2mの内径および約100mm~約5m、約2cm~約2mまたは約5cm~約80cmの長さを含むことができる。ある態様において、カラムは、分析用クロマトグラフィーカラムである。分析用カラムは、約1mm~約10cmの内径および約10mm~約500mmの長さを含むことができる。寸法は、内径が長さの約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、約200%、約220%、約240%、約260%、約280%、約300%、約320%、約340%、約360%、約380%、約400%、約450%または約500%であるように選択されることができる。外径は、内径よりも約0.1%、約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5%、約7.5%、約10%、約15%、約20%、約25%もしくは約30%大きくすることができる。
【0027】
スラリーは、固定相および移動相(または溶媒)で構成されていることができる。固定相は、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニルヘキシル固定相、極性包理アルキル、フルオロフェニルプロピルまたはクロマトグラフィーの技術分野で知られているあらゆる固定相から選択されることができる。ある態様において、キラル固定相が、使用される。固定相の選択は、当業者には明らかであり、クロマトグラフィーによって精製されるべき分析種に依存し得る。非極性分析種、例えば脂肪酸または脂肪酸エステル(例えばEPA-Eおよび/またはDHA-E)は、逆相固定相、例えばC18(ODS)の使用を必要とし得る。完全にエンドキャップされたもの、部分的にエンドキャップされたものおよび塩基不活性化されたものを含め、様々な異なる種類のオクタデシルシリカ(ODS)が、使用されることができる。より極性の高い分析種は、非結合シリカ、アミノ相またはシアノ相のような順相の固定相を必要とし得る。
【0028】
スラリー濃度(スラリー濃度(%)=固定相(g)/溶媒(ml)×100)は、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%または約60%~約70%であることができる。一態様において、スラリー濃度は、約20%~約70%、好ましくは約30%~約70%、より好ましくは約30%~約60%である。
【0029】
ある態様において、固定相は、約1μm~約20μm、約20μm~約40μm、約40μm~約60μm、約60μm~約80μm、約80μm~約1000μm、約1000μm~約2000μm、約2000μm~約3000μm、約3000μm~約4000μm、約4000μm~約5000μmの粒径の中央値を有する粒子を含む。ある態様において、固定相は、50μmより大きい、45μmより大きい、40μmより大きい、35μmより大きい、30μmより大きい、25μmより大きい、20μmより大きい、15μmより大きい、もしくは10μmより大きい、かつ/または500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、100μm未満、80μm未満、60μm未満の粒径の中央値を有する粒子を含む。粒径の中央値は、当業者により理解されるように、レーザー回折散乱法によって測定されることができる。
【0030】
移動相は、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、ジクロロメタン、超臨界二酸化炭素または当該技術で既知のあらゆる他の溶媒の1以上を含むことができる。移動相の選択は、精製されるべき分析種および使用される固定相の考慮を必要とし得る。非極性分析種に対する逆相固定相において、対象の化合物を溶出するには十分であるが溶出が溶媒先端に近づくほど速すぎないような極性移動相が、選択されるべきである。
【0031】
移動相は、さらに、緩衝剤およびpH調整剤を含む添加剤を含むことができる。添加剤の選択は、使用される移動相、使用される固定相および精製されるべき分析種に基づいて決定され得る。一部の態様において、移動相は、ギ酸、ギ酸アンモニウム、トリメチルアミン、アンモニアおよび水酸化アンモニウムの1以上から選択される添加剤を含む。一部の態様において、移動相は添加剤を含まなくても良い。
【0032】
ある態様において、溶媒勾配が、溶出の間に移動相として使用されることができる。勾配溶出の主な目的は、溶出された分析種が検出時に十分に分離したピークを生成するように、カラムに強く保持されている分析種をより速く溶出する一方で弱く保持されている分析種をよりゆっくりと溶出させることである。例えば、逆相クロマトグラフィーでは、溶出液中の非極性溶媒を低い含有量で開始することは、弱く保持された分析種が分離されることを可能にする。強く保持された分析種は、カラムのトップの吸着剤表面上に残るか、または非常にゆっくりと移動するであろう。溶出液中の非極性構成要素(例えばアセトニトリル)の量を増やすことは、非極性溶媒による吸着部位に対する競合の着実な増大のため、強く保持された構成要素がより速く移動することを可能にする。
【0033】
従って、非極性分析種に対して用いられる逆相クロマトグラフィーでは、クロマトグラフィーにおける溶出の開始時の溶媒は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%または約0%から選択される高い百分率の極性溶媒A、例えば水を含み得る。溶媒Bは、溶媒Aよりも非極性の溶媒、例えばメタノール(溶媒Aが水である場合)であることができる。溶媒Bは、移動相の残りの百分率を構成するであろう。カラムが運転され、溶媒が固定相およびカラムを通して溶出される際に、勾配は、結果として時間の経過に伴う溶媒Bの濃度における漸増をもたらすであろう。一部の態様において、単一組成の溶媒が移動相として使用されることもできる。一部の態様において、単一組成の溶媒は、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、ジクロロメタン、超臨界二酸化炭素または当該技術で既知のあらゆる他の溶媒の1つまたはそれ以上が単独または混合して使用されることができる。
【0034】
順相固定相および/または極性分析種を使用する態様において、移動相は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%または約50%の百分率の溶媒Aを含み、ここで、溶媒Aは、非極性溶媒、例えばヘキサン類である。溶媒Bは、移動相の残りの百分率を構成すると考えられ、極性溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタンまたはtert-ブチルジメチルエーテルを含むことができる。溶媒Bの百分率は、勾配による溶出の間に時間の経過に伴い増大するであろう。
【0035】
ある態様において、経時的なBの増加率は、一定であることができる。ある態様において、勾配は存在せず、移動相は、溶出の間定組成である。ある態様において、クロマトグラフィー法内の異なる時間範囲における溶媒Bの百分率の異なる増加率が、利用されることができる。ある態様において、移動相は、クロマトグラフィー法の特定の時間範囲の間、定組成であることができ、他の時間範囲では、勾配を含む。
【0036】
移動相において使用される複数の溶媒は、移動相供給部に別々に貯蔵され、カラムを通した溶出の前にポンプを使用して混合されることができる。移動相供給部は、移動相源および溶媒送達システムを含む。そのような溶媒送達システムは、ポンプデバイス、例えば商業的に入手可能なHPLCポンプであり、それは、溶媒または移動相をカラムに提供する。そのようなポンプは、一般にパルスフリーな流れ、0.1~100L/分の範囲の流速、流速の正確な制御、高圧(6000psi以下)の生成ならびに耐腐食性かつ耐溶剤性の構成要素を提供する。往復ポンプは、小さいチャンバーからなり、その中に溶媒がモーター駆動ピストンの前後運動によってポンプ注入される。交互に開閉する2つの逆止弁が、シリンダを出入りする溶媒の方向および流れを制御する。シングルピストンポンプは、特別に設計されたカムを使用して非常に迅速な補充時間を可能にし、より連続的な流れを生み出す。往復ポンプによるパルス化された流れの欠点は、パルスダンパーを用いることによってしばしば克服される。互いに位相を異にして動くピストンで作動するデュアルピストンポンプの使用は、パルスフリーの流体送達のための合理的な解決策を与える。カラムにおける線速度は流体がカラム断面を通過する速度を表す。線速度(線速度(m/時間)=流量(m3/時間)/カラム断面積(m2))は、約0.2~1.0m/時間、約1.0~3.0m/時間、約3.0~6.0m/時間、約6.0~10.0m/時間または約10.0~20.0m/時間であることができる。一態様において、線速度は約4.0~9.0m/時間である。
【0037】
移動相勾配は、(各溶媒のためのポンプを必要とする)高圧混合または(1つのポンプのみを必要とする)低圧混合によって生成され得る。高圧混合システムでは、各溶媒を提供するために個々の高圧ポンプが使用される。各ポンプの出口は、混合コネクター(通常は、2つの入口ラインおよび1つの出口ラインがあるため、“T”と呼ばれる)または混合チャンバーのどちらかに接続される。従って、2つの溶媒はカラムに向かう途中でブレンドされ、すなわち、混合は、ポンプの高圧側で成し遂げられる。3つの溶媒から作り出される移動相勾配の生成は、3つの別々のポンプを利用することによって成し遂げられ得る。低圧システムでは、混合は、ポンプの前に、その低圧側で成し遂げられ、全体の流速は、単一のポンプによって制御される。通常はソレノイド操作される比例弁が、個々の溶媒を送達するために使用される。制御装置は、各構成要素の百分率に従って信号を単純に分割し、各弁が適切な期間の間開かれる。通常、弁は、個々の溶媒を混合チャンバー中に送達し、次いでそれは、ブレンドされた溶媒をポンプに供給する。一部のシステムでは、弁は、移動相構成要素を混合コネクターを通して直接高圧ポンプに供給する。プログラム可能な流量制御は、両方の方法による勾配生成に関して望ましい。
【0038】
沈降時間の間の沈降は、好ましくは大気圧(約0.101325MPa)で起こる。一部の態様において、沈降時間の間の圧力は、約0.1MPa~約0.2MPa、約0.2MPa~約0.4MPa、約0.4MPa~約0.6MPa、約0.6MPa~約0.8MPaまたは約0.8MPa~約1MPaである。一部の態様において、沈降時間の間の圧力は、約0.1MPa未満である。一部の態様において、沈降時間の間の圧力は、大気圧である。一部の態様において、沈降時間の間の圧力は、0.01MPaより大きく、0.05MPaより大きく、もしくは0.1MPaより大きく、かつ/または1MPa未満、0.8MPa未満、0.6MPa未満、0.4MPa未満もしくは0.2MPa未満である。
【0039】
一部の態様において、検出器は、カラムから溶出する移動相を分析種(単数または複数)の存在に関してモニターするために使用される。当該技術で既知の検出法(例えば質量分析(MS)、UV/Vis吸光度、蛍光、屈折率または伝導率)が、使用され得る。
【0040】
MSは、イオンをそれらの質量電荷比または“m/z”に基づいて濾過、検出および測定する方法に関する。一般に、1以上の対象の分子がイオン化され、そのイオンが、続いて質量分析機器中に導入され、そこで、磁場および電場の組み合わせにより、イオンは、空間中の経路をたどり、それは、質量(“m”)および電荷(“z”)に依存する。例えば、“Mass Spectrometry From Surfaces”と題された米国特許第6,204,500号;“Methods and Apparatus for Tandem Mass Spectrometry”と題された米国特許第6,107,623号;“DNA Diagnostics Based On Mass Spectrometry”と題された米国特許第6,268,144号;“Surface-Enhanced Photolabile Attachment And Release For Desorption And Detection Of Analytes”と題された米国特許第6,124,137号;Wright et al., Prostate Cancer and Prostatic Diseases 2:264-76 (1999);およびMerchant and Weinberger, Electrophoresis 21:1164-67 (2000)を参照、そのそれぞれが、全ての表、図および特許請求の範囲を含め、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0041】
例えば、“四重極”または“四重極イオントラップ”機器では、振動するラジオ周波数場中のイオンは、電極間に印加されるDC電位、RF信号の振幅およびm/zに比例する力を経験する。電圧および振幅は、特定のm/zを有するイオンのみが四重極の長さを移動する一方で他の全てのイオンが偏向されるように選択されることができる。従って、四重極機器は、機器中に注入されるイオンに関する“質量フィルター”および”質量検出器”の両方の役目を果たすことができる。
【0042】
さらに、しばしば“タンデム質量分析”または“MS/MS”を利用することによってMS技法の分離度を向上させることができる。この技法では、対象の分子から生成された第1イオンまたは親イオンは、MS機器中でフィルタリングされることができ、これらの親イオンは、続いてフラグメント化されて1つ以上の第2イオンまたは娘イオンをもたらし、それは、次いで第2MS手順で分析される。親イオンを注意深く選択することによって、特定の分析種によって生成されたイオンのみがフラグメンテーションチャンバーに送られ、そこで不活性ガスの原子と衝突してこれらの娘イオンを生成する。親イオンおよび娘イオンの両方が所与のイオン化/フラグメンテーション条件の集合の下で再現可能な様式で生成されるため、MS/MS技法は、極めて強力な検出ツールを提供することができる。例えば、濾過/フラグメンテーションの組み合わせは、干渉物質を排除するために使用されることができ、生物学的試料のような複雑な試料において特に有用であり得る。
【0043】
加えて、最近の技術における進歩、例えば飛行時間型分析装置(“MALDI-TOF”)と組み合わせられたマトリックス支援レーザー脱離イオン化は、フェムトモルレベルの分析種を非常に短いイオンパルスで分析することを可能にした。飛行時間型分析装置をタンデム型MSと組み合わせた質量分析計も、当業者に周知である。加えて、“MS/MSn”として知られている方法で複数の質量分析工程が組み合わせられることができる。様々な他の組み合わせ、例えばMS/MS/TOF、MALDI/MS/MS/TOFまたはSELDI/MS/MS/TOF質量分析が、利用されることができる。
【0044】
イオンは、電子イオン化、化学イオン化、高速原子衝撃、電界脱離およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(“MALDI”)、表面増強レーザー脱離イオン化(“SELDI”)、光子イオン化、エレクトロスプレーイオン化および誘導結合プラズマを含むがそれらに限定されない様々な方法を使用して生成され得る。
【0045】
用語“電子イオン化”は、本明細書で使用される際、気相または蒸気相中の対象の分析種が電子の流れと相互作用する方法を指す。電子の分析種との衝突は、分析種イオンを生成し、それは、次いで質量分析技法を施されることができる。
【0046】
用語“化学イオン化”は、本明細書で使用される際、試薬ガス(例えばアンモニア)が電子衝撃を受け、分析種イオンが試薬ガスイオンおよび分析種分子の相互作用によって形成される方法を指す。
【0047】
用語“高速原子衝撃”は、本明細書で使用される際、高エネルギー原子(しばしばXeまたはAr)のビームが不揮発性試験試料に衝突し、試料中に含有される分子を脱離およびイオン化する方法を指す。試料は、粘性液体マトリックス、例えばグリセロール、チオグリセロール、m-ニトロベンジルアルコール、18-クラウン-6クラウンエーテル、2-ニトロフェニルオクチルエーテル、スルホラン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン中で溶解させられる。化合物または試料のための適切なマトリックスの選択は、経験的プロセスである。
【0048】
用語“電界脱離”は、本明細書で使用される際、不揮発性試験試料がイオン化表面上に置かれ、強い電界を使用して分析種イオンを生成する方法を指す。
【0049】
用語“マトリックス支援レーザー脱離イオン化”または“MALDI”は、本明細書で使用される際、不揮発性試料をレーザー照射で曝露することによって、試料中の分析種を光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む様々なイオン化経路によって脱離およびイオン化する方法を指す。MALDIのために、試料は、分析種分子の脱離を促進するエネルギー吸収マトリックスと混合される。
【0050】
用語“表面増強レーザー脱離イオン化”または“SELDI”は、本明細書で使用される際、不揮発性試料をレーザー照射で曝露することによって、試料中の分析種を光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む様々なイオン化経路によって脱離およびイオン化する、別の方法を指す。SELDIに関して、試料は、典型的には対象の1種類以上の分析種を優先的に保持する表面に結合している。MALDIにおけるように、このプロセスは、イオン化を促進するためにエネルギー吸収材料を利用することもできる。
【0051】
用語“エレクトロスプレーイオン化”またはESIは、本明細書で使用される際、溶液が毛細管の短い長さに沿って通され、その末端に高い正または負の電位が印加される方法を指す。チューブの端部に到達する溶液は、気化(噴霧)されて溶媒蒸気中の溶液の非常に小さい液滴のジェットまたはスプレーになる。この液滴のミストは、蒸発チャンバーを通って流れ、それは、凝縮を防止するためおよび溶媒を蒸発させるためにわずかに加熱される。液滴が小さくなるにつれて、同種電荷間の自然反発がイオンならびに中性分子を放出させる時まで表面電荷密度が増大する。
【0052】
用語“大気圧化学イオン化”または“APCI”は、本明細書で使用される際、ESIに類似する方法を指す;しかし、APCIは、大気圧でプラズマ内で起こるイオン-分子反応によってイオンを生成する。プラズマは、スプレーキャピラリーおよび対電極の間の放電によって維持される。次いで、イオンは、典型的には差動ポンプ式スキマーステージ(differentially pumped skimmer stages)のセットの使用により質量分析計中に抽出される。乾燥および予熱N2ガスの向流が、溶媒の除去を向上させるために用いられることができる。APCIにおける気相イオン化は、より極性の低い種を分析するためにESIよりも有効であり得る。
【0053】
用語“誘導結合プラズマ”は、本明細書で使用される際、試料がほとんどの元素を原子に分離しイオン化させるために十分に高い温度で部分的にイオン化されたガスと相互作用させられる方法を指す。
【0054】
用語“イオン化”は、本明細書で使用される際、1以上の電子単位に等しい正味電荷を有する分析種イオンを生成するプロセスを指す。負イオンは、1以上の電子単位の正味の負電荷を有するイオンであり、一方で正イオンは、1以上の電子単位の正味の正電荷を有するイオンである。
【0055】
用語“負イオンモードで動作する”は、負イオンが検出される質量分析法を指す。同様に、“正イオンモードで動作する”は、正イオンが検出される質量分析法を指す。
[0051] 用語“脱離”は、本明細書で使用される際、表面からの分析種の分離(removal)および/または気相中への分析種の進入を指す。
【0056】
親イオンがさらなるフラグメンテーションのために単離される態様、例えばMS/MSにおいて、衝突誘起解離または“CID”が、しばしばさらなる検出のためにイオンフラグメントを生成するために使用される。CIDでは、親イオンは、不活性ガスとの衝突によってエネルギーを獲得し、その後“単分子分解”と呼ばれるプロセスによってフラグメント化される。イオン内の特定の結合が増大した振動エネルギーによって壊され得るように、十分なエネルギーが親イオン中に蓄積されなければならない。
【0057】
他の態様において、分析カラムからの溶出直後の分析種の検出のために様々な標準的なHPLC検出器のいずれかを使用することができる。この場合、カラムからの化合物の溶出は、クロマトグラムにおけるピークとして検出される。ピークの保持時間は、化合物を同定するために使用され、ピークの高さ(または面積)は、試料中の化合物の量に比例する。“保持時間”は、分析種がクロマトグラフィーシステムを通過するために必要とされる時間であり、試料の注入(または試料の負荷)の時点から検出の時点まで測定される。理想的には、対象の各分析種は、特徴的な保持時間を有するであろう。しかし、分析種の保持は、しばしば溶出液、固定相、温度およびクロマトグラフィーシステムの設定の変動のために実験および実験室間でかなり異なる。従って、試験分析種の保持時間は、同一条件下で1以上の標準化合物の保持時間と比較される。適切な検出器は、良好な感度、良好な安定性、再現性、数桁にわたる大きさの、定量目的のために使用される場合の線形応答、短い応答時間および操作の容易さを示す。そのような検出器は、UV/Vis吸光度検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、屈折率検出器および伝導率検出器を含むが、それらに限定されない。
【0058】
格子光学系を有する走査型分光光度計からなるUV/Vis吸光度検出器が、使用されることができる。重水素源(紫外範囲、190~360nm)のタングステン源(可視範囲、360~800nm)との独立した、または組み合わせられた使用は、吸光種がカラムから出てきた時にその検出をする簡単な手段を提供する。
【0059】
フォトダイオードアレイ(PDA)ベースの機器は、選択されたスペクトル範囲にわたるデータの非常に迅速な収集を可能にする紫外/可視吸光度検出器である。各クロマトグラフィーピークに関する吸光度スペクトルデータが、収集および保存されることができる。保存されたデータは、ライブラリーからの純粋な標準のスペクトルと比較され得る。PDA検出器は、分離されない構成要素のそれぞれに関する特徴的なスペクトルが異なる可能性が高いため、分離するのが困難である構成要素(重複しているピーク)の同定において有用である。
【0060】
蛍光検出器は、蛍光または燐光のような化学発光特性を示す分析種の検出において有用である。それらは、UV吸光度検出器よりも少なくとも1桁感度が高い。蛍光は、典型的には励起ビームに対して90度の角度の、格子で分離された放射輻射(emission radiation)の検出により観察される。蛍光種の数は、特別な試薬を用いる溶出された化合物のポストカラム誘導体化(PCD)反応(または試料自体のプレカラム誘導体化反応)によって増強されることができる。
【0061】
屈折率(RI)検出器は、ほとんど全ての溶質に応答する。カラム流出液に対する参照移動相の屈折率における差は、結果としてクロマトグラム上のピークとしての分離された構成要素の検出をもたらす。移動相に対するその極めて高い感度のため、この検出器は、LCポンプ内での十分なパルス減衰なしでは使用できず、それは、変化する移動相組成のため、勾配適用にも適していない。検出限界は、通常は吸光度検出器で観察される検出限界よりも低い。
【0062】
伝導率検出器は、全ての荷電種の高感度検出を提供する。この検出器は、陰イオン、陽イオン、金属、有機酸および界面活性剤のppbレベルに至るまでの簡単かつ信頼できる検出のためにLCシステムと共に用いられることができる。カラムおよび伝導率検出器の間の化学的抑制剤の添加は、溶出液の伝導率を低下させる役目を果たし、勾配溶出の使用および最小限のベースラインドリフトでのppbレベルの決定を可能にする。低レベルの陰イオンの典型的な決定のために、溶出液は、その弱くイオン化された低伝導率の酸に(例えばNa2CO3から炭酸に)変換され、バックグラウンドノイズを低減する。同時に、分析種の陰イオンは、それらの対応する高伝導率の酸に(例えばNaClからHClに)変換され、相対的な分析種の信号を増大させる。
【0063】
別の側面において、スラリー中の沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法が提供され、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、かつここで、Nにおける増大は、カラムが新しいスラリーでパッキングされているカラムクロマトグラフィーのNに対するものである。
【0064】
別の側面において、スラリーを沈降時間の間カラム中で沈降させることを含む、カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法が提供され、ここで、増大は、沈降時間なし、または、スラリーが、該沈降時間未満である低減した沈降時間の間沈降した、カラムクロマトグラフィーに対するものである。
【0065】
ある態様において、増大したNは、約1,000~約1,500、約1,500~約2,000、約2,000~約2,500、約2,500~約3,000、約3,000~約4,000、約4,000~約5,000、約5,000~約6,000、約6,000~約8,000、約8,000~約11,000または約11,000~約15,000である。ある態様において、増大したNは、約500より大きく、約1,000より大きく、約1,500より大きく、もしくは約2,000より大きく、かつ/または約20,000未満、約15,000未満もしくは約10,000未満である。Nにおける増大は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%もしくは約100%の増大またはより大きい増大で有り得る。
【0066】
別の側面において、スラリーをカラム中で沈降時間の間沈降させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数(S)を向上させる方法が提供され、ここで、向上は、ピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつここで、低下は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつシンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または向上は、ピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつここで、増大は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該沈降時間未満である低減した沈降時間を含み、かつシンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである。
【0067】
別の側面において、カラムパッキング前にスラリーにおける沈降体積を減少させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数(S)を向上させる方法が提供され、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものであり、ここで、向上は、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合のピークに関するシンメトリー係数が1より大きい場合においてピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み;または向上は、新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いてカラムクロマトグラフィーが実施される場合のピークに関するシンメトリー係数が1未満である場合においてピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含む。
【0068】
ある態様において、Sにおける増大または減少は、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、または約80%の増大または減少であり得る。ある態様において、Sにおける増大または減少は、約1%より大きい、約2%より大きい、約3%より大きい、5%より大きい、もしくは10%より大きい、かつ/または約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満もしくは約40%未満の増大または減少であることができる。
【0069】
別の側面において、スラリー中の沈降体積を減少させることを含む、クロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法が提供され、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものである。
【0070】
別の側面において、スラリー中の沈降体積を減少させることを含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法が提供され、ここで、沈降体積における減少は、新しいスラリーの沈降体積に対するものである。
【0071】
ある態様において、沈降体積比(沈降体積比(%)=沈降体積(ml)/ODS体積(ml)×100)は、沈降時間の完了時に実質的に一定である。沈降体積比は、カラムへのスラリーの添加の際に、沈降時間の完了時に一定値に達するまで減少し得る。ある態様において、沈降体積比は、約150%~約140%、約140%~約130%、約120%~約110%または約110%~約100%まで減少する。ある態様において、沈降体積比は、約160%未満、約150%未満、約140%未満もしくは約130%未満かつ/または約100%より大きい、もしくは約105%より大きい値まで減少する。
【0072】
ある態様において、沈降時間は、結果として性能の向上、例えば増大したN、1に近づくS、増大した歩留まりもしくは回収率、および/または減少した沈降体積をもたらし、約15~約25分、約18~約22分であり、または約20分である。ある態様において、各沈降時間は、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である。ある態様において、各沈降時間は、独立して約0.5分、1分、2分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、200分、300分、400分、500分、600分、1200分、1440分、2880分より長く、かつ/または200分、185分、175分、165分、155分、145分、135分、125分、115分、105分、95分、85分、75分、65分、55分、45分、35分、25分、15分、5分、3分未満である。より長い沈降時間は、より良いシンメトリー係数および/または理論段数を提供し得る一方で、より短い沈降時間は、カラムの準備の増大した容易さを提供することができ、それは、結果として生産性の増大をもたらし得る。所望の目的のために適切な沈降時間を選択することができる。
【0073】
スラリーは、溶媒または移動相の固定相との混合によって調製される。スラリーは、カラムの外部で調製され、次いでカラム中にポンプ注入されることができ、またはスラリーは、溶媒をカラムに添加した後乾燥固定相をカラム中の溶媒に添加することによりカラム内で調製されることができる。添加は、全量を一回で行うことも部分に分けて複数回で行うこともできる。あるいは、乾燥固定相が、乾燥カラムに添加され、続いて溶媒がカラムに添加されることによってスラリーを形成することができる。新しいスラリーは、約10分未満、約8分未満、約6分未満、約4分未満、約2分未満または約1分未満の間組み合わせられた溶媒または移動相および固定相を含む。
【0074】
新しいスラリーは、沈降時間の完了時(または沈降の進行の間)のスラリーの沈降体積比よりも高い沈降体積比を有するであろう。ある態様において、新しいスラリーの沈降体積比は、約200%~約180%、約180%~約160%、約160%~約140%、約140%~約130%、約130%~約120%または約120%~約110%まで減少し得る。ある態様において、新しいスラリーの沈降体積比は、約100%より大きく、約110%より大きく、約120%より大きく、もしくは約130%より大きく、かつ/または約200%未満、約180%未満、もしくは約160%未満減少し得る。
【0075】
方法は、さらにカラムをパッキングすることを含むことができる。パッキングは、好ましくは沈降時間の完了時に、および/または沈降体積が減少し、実質的に一定に維持される際に実施される。パッキングは、沈降したスラリーにパッキング圧を加え、カラム内でスラリーを圧縮することを含むことができる。一態様において、パッキング圧は大気圧を含む値である。パッキング圧は、約0.1MPa~約0.5MPa、約0.5MPa~約1MPa、約1MPa~約1.5MPa、約1.5MPa~約2MPa、約2MPa~約2.5MPa、約3MPa~約3.5MPa、約3.5MPa~約4MPa、約4MPa~約4.5MPa、約4.5MPa~約5MPa、約5MPa~約5.5MPa、約5.5MPa~約6MPa、約6MPa~約6.5MPa、約6.5MPa~約7MPa、約7MPa~約7.5MPa、約7.5MPa~約8MPa、約8MPa~約8.5MPa、約8.5MPa~約9MPaであるかまたは約9MPaより大きいことができる。ある態様において、パッキング圧は、約3.0MPa~約6.0MPaである。ある態様において、パッキング圧は、約0.1MPaより大きく、約0.5MPaより大きく、約1MPaより大きく、約2MPaより大きく、もしくは約3MPaより大きく、かつ/または約10MPa未満、約9MPa未満、約8MPa未満、約7MPa未満もしくは約6MPa未満である。スラリーは、パッキングの間に圧縮され、カラムは排気されることができる。
【0076】
ある態様において、方法は、さらにカラムに分析種を負荷することを含む。カラムは、パッキング後および負荷前に溶媒の移動相で洗浄されることができる。方法は、負荷後にさらに溶出および分画を含み得る。本明細書で記載される分析種の検出は、分画前、分画後または分画の間に実施されることができる。精製されるべき分析種を含む試料混合物は、使用されるカラムのサイズまたは固定相の質量に基づく量で負荷され得る。ある態様において、試料混合物は、約1mg~約10mg、約10mg~約100mg、約100mg~約5g、約5g~約10g、約10g~約50g、約50g~約100g、約100g~約1kg、約1kg~約10kgであり得る。ある態様において、試料混合物は、約0.5mg、約1mg、約10mg、約100mg、約500mgもしくは約1gより大きく、かつ/または約20kg、約10kgもしくは約5kg未満であることができる。ある態様において、負荷率は0.001%から1.0%、0.001%から5.0%、0.01%から5.0%、0.001%から0.01%、0.01%から0.1%、0.1%から1.0%、1.0%から5.0%であることができる。
【0077】
分析種、試料混合物構成要素および/または移動相を含有する溶出された移動相の画分は、溶出全体を通して様々な時点で収集され得る。例えば、新しい画分は、約5秒ごと、約10秒ごと、約15秒ごと、約20秒ごと、約25秒ごと、約30秒ごと、約35秒ごと、約40秒ごとまたはそれらの組合せで収集され得る。ある態様において、最終画分は、一定長の期間、例えば約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約20分、約20分~約40分の間収集されることができる。ある態様において、最終画分は、約0.1分より長い、約0.3分より長い、約0.5分より長い、もしくは1分より長い、かつ/または40分より短い、30分より短い、20分より短い、もしくは10分より短い一定長の期間から収集されることができる。
【0078】
本開示の方法によって精製されるべき分析種は、脂肪酸、タンパク質、核酸および小分子、例えば医薬化合物または合成もしくは半合成の中間体を含む。標的分析種は、他の望ましくない構成要素、例えば合成副産物、生物学的物質もしくはマトリックス、または標的分析種と近い構造的関係を有する物質、例えば位置異性体、立体異性体、同族体もしくは鏡像異性体を含有する混合物から精製されることができる。
【0079】
標的分析種(単数または複数)は、脂肪酸またはその誘導体、例えばエステル化脂肪酸を含むことができる。エステルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルエステルであることができる。ある態様において、脂肪酸またはその誘導体は、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体の1以上から選択される。
【0080】
一態様において、分析種は、エイコサペンタエン酸(EPA)またはエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-E)である。EPAまたは(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸は、以下の構造を有する:
【化1】
【0081】
EPA-E (5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸エチルエステルは、以下の構造を有する:
【化2】
【0082】
溶出および移動相の蒸発後、分析種は、約70%より大きい、約80%より大きい、約85%より大きい、約86%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、約96.5%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、約99.5%より大きい、約99.8%より大きい、または約99.9%より大きい純度を有し得る。ある態様において、分析種は、100%未満または99.9999%未満の純度を有し得る。ある態様において、歩留まりは、50%より大きく、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、もしくは80%より大きく、かつ/または100%未満、95%未満、90%未満もしくは85%未満である。ある態様において、回収率は、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きく、85%より大きく、90%より大きく、95%より大きく、かつ/または100%未満、99.9%未満、99.8%未満もしくは96%未満である。
【0083】
分析種の保持時間は、約0.5分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分もしくは約38分~約40分、または約0.5分より大きく、約1分より大きく、約1.5分より大きく、約2分より大きく、もしくは約5分より大きく、かつ/または50分未満、40分未満、30分未満もしくは20分未満であることができる。
【0084】
内部標準は、内部標準に対する分析種の相対的保持時間を決定するために、または分析種の定量化を助けるために、参照マーカーとして試料に添加され得る。内部標準は、標的分析種と非常に類似しているが同一ではない化合物、例えば標的分析種の重水素化誘導体であるように、当業者によって適切に選択され得る。定量化目的のために使用される場合、内部標準は、次いで分析種の信号の内部標準の信号に対する比を標準の分析種濃度の関数としてプロットすることによって較正のために使用されることができ、ここで、標準は、定量化される未知の分析種試料に対する参照として使用するために当業者によって調製される既知の濃度の試料である。
【0085】
別の側面において、本明細書で記載される方法によって精製された化合物または組成物が提供される。ある態様において、化合物または組成物は、脂肪酸またはそのエステル化誘導体、タンパク質、核酸または小分子であるか、またはそれらを含む。ある態様において、化合物または組成物は、脂肪酸またはそのエステル化誘導体であるか、またはそれらを含む。
【0086】
ある態様において、化合物または組成物は、ドコサヘキサエン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、ニシン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、カルボセリン酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘントリアコンチル酸、ラッセル酸、シリル酸、ゲディック酸、セロプラスチック酸、ヘキサトリアコンチル酸、ヘプタトリアコンチル酸、オクタトリアコンチル酸、ノナトリアコンチル酸、テトラコンチル酸またはそのエステル化誘導体であるか、またはそれらを含む。
【0087】
ある態様において、そのエステル化誘導体は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルエステルである。ある態様において、化合物は、エイコサペンタエン酸エチルエステルである。
【0088】
ある態様において、化合物または組成物は、約70%より大きい、約80%より大きい、約85%より大きい、約86%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、約96.5%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、約99.5%より大きい、約99.8%より大きい、または約99.9%より大きい純度を有し得る。ある態様において、化合物または組成物は、約100%未満または約99.9999%未満の純度を有し得る。ある態様において、化合物または組成物は、50%より大きい、55%より大きい、60%より大きい、65%より大きい、70%より大きい、75%より大きい、または80%より大きい歩留まりで得られることができる。ある態様において、化合物または組成物は、100%未満、95%未満、90%未満または80%未満の歩留まりを有し得る。ある態様において、化合物または組成物は、55%より大きい、60%より大きい、65%より大きい、70%より大きい、75%より大きい、80%より大きい、85%より大きい、90%より大きい、95%より大きい、98%より大きい、99%より大きい、または99.7%より大きい回収率を有し得る。ある態様において、化合物または組成物は、100%未満、99.9999%未満の回収率を有し得る。
【0089】
ある態様において、組成物が、脂肪酸またはそのエステル化誘導体を含む場合、主成分以外に1以上の成分を含んでいてもよい。主成分以外の成分は、組成物中約30%以下、約20%以下、約15%以下、約14%以下、約10%以下、約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.2%以下、または約0.1%以下の量で含有されることができる。主成分が脂肪酸エステルの場合、主成分以外の成分としては他の脂肪酸エステルが例示される。主成分がエイコサペンタエン酸エステルの場合、他の成分としてはドコサヘキサエン酸エステル、および本明細書で組成物の成分として例示した脂肪酸のエステルが挙げられる。主成分がドコサヘキサエン酸エステルの場合、他の成分としてはエイコサペンタエン酸エステル、および本明細書で組成物の成分として例示した脂肪酸のエステルが挙げられる。
【0090】
ある態様において、組成物は一定以上の合計含有量で2つの成分を含んでいてもよい。合計含有量は、例えば、約70%より大きい、約80%より大きい、約85%より大きい、約86%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、約96.5%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、約99.5%より大きい、約99.8%より大きい、または約99.9%より大きい。
【0091】
ある態様において、組成物は一定以上の合計含有量で2つの成分として脂肪酸またはそのエステル化誘導体を含む場合、一定以上の合計含有量で含まれる2つの成分以外に1以上の成分を含んでいてもよい。一定以上の合計含有量で含まれる2つの成分以外の成分は、組成物中約30%以下、約20%以下、約15%以下、約14%以下、約10%以下、約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.2%以下、または約0.1%以下の量で含有されることができる。一定以上の合計含有量で含まれる2つの成分が2つの脂肪酸エステルの場合、2つの成分以外の成分としては他の脂肪酸エステルが例示される。2つの成分がエイコサペンタエン酸エステルとドコサヘキサエン酸エステルの場合、他の成分としてはそれら以外の本明細書で組成物の成分として例示した脂肪酸のエステルが挙げられる。
【0092】
本開示の一部の態様は、以下の工程を含むカラムクロマトグラフィーによって1種類以上の化合物を精製する方法に向けられている:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間(standing time)の間静置させる。
【0093】
本開示の一部の態様は、以下の工程を含むクロマトグラフィーカラムをパッキングする方法に向けられている:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間静置させる。
【0094】
本開示の一部の態様は、以下の工程:固定相をカラムに添加し、および固定相を含むスラリーをカラム中で静置時間の間静置させる;を含むカラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法に向けられており、ここで、Nにおける増大は、静置時間なしのカラムクロマトグラフィーに対するものであるか、またはここで、Nにおける増大は、静置時間未満である低減した静置時間の間静置したスラリーに対するものである。
【0095】
本開示の一部の態様は、スラリーをカラム中で静置時間の間静置させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数を向上させる方法に向けられており、ここで、向上は、ピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつここで、低下は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつシンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または向上は、ピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつここで、増大は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつシンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである。ある態様において、静置時間以外の全てのクロマトグラフィー条件は、カラムクロマトグラフィーが該静置時間を含む場合と、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含む場合とにおいて、同一である。
【0096】
これらの方法のある態様において、カラムは、静置時間の間大気圧下にある。これらの方法のある態様において、静置時間後にカラムに圧力が加えられる。これらの方法のある態様において、それぞれの静置時間は、独立して約0.5分~約2分、約2分~約4分、約4分~約6分、約6分~約8分、約8分~約10分、約10分~約12分、約12分~約14分、約14分~約16分、約16分~約18分、約18分~約20分、約20分~約22分、約22分~約24分、約24分~約26分、約26分~約28分、約28分~約30分、約30分~約32分、約32分~約34分、約34分~約36分、約36分~約38分または約38分~約40分である。ある態様において、静置時間は、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である。
【0097】
これらの方法のある態様において、沈降体積以外の全てのクロマトグラフィー条件は、カラムクロマトグラフィーが減少した沈降体積を含む場合と、カラムクロマトグラフィーが新しいスラリーでパッキングされたカラムを用いて実施される場合とにおいて、同一である。これらの方法のある態様において、新しいスラリーは、約0.5分、1分、2分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分より長い、および/または200分、185分、175分、165分、155分、145分、135分、125分、115分、105分、95分、85分、75分、65分、55分、45分、35分、25分未満の時間の間組み合わせられた移動相(または溶媒)および固定相を含む。移動相(または溶媒)および固定相を組み合わせることは、撹拌を含むことができる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少は、約0分~約2分、約2分~約4分、約4分~約8分、約8分~約16分、約16分~約24分、約24分~約32分、約32分~約50分、約50分~約70分、約70分~約90分、約90分~約110分、約110分~約130分、約130分~約150分の長さの時間にわたる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積は、その長さの時間の後に実質的に一定に維持される。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少は、静置時間にわたる。これらの方法の一部の態様において、沈降体積を減少させることは、混合物を大気圧において静置させることを含む。これらの方法の一部の態様において、沈降体積における減少後にカラムに圧力が加えられる。これらの方法の一部の態様において、カラムは、軸圧縮カラムである。これらの方法の一部の態様において、スラリーは、固定相および水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類またはジクロロメタンの1以上を含む。これらの方法の一部の態様において、スラリーは、メタノールを含む。これらの方法の一部の態様において、固定相は、C30、C22、C18、C8、C5、C4、ビフェニル、フルオロフェニル、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)固定相、アクリルアミド、シリカ、フェニル-ヘキシル固定相、極性包埋アルキル(polar embedded alkyl)および/またはフルオロフェニルプロピルの粒子を含む。これらの方法の一部の態様において、固定相は、C18の粒子である。
【0098】
静置時間の間の静置は、好ましくは大気圧(約0.101325MPa)で起こる。一部の態様において、静置時間の間の圧力は、約0.1MPa~約0.2MPa、約0.2MPa~約0.4MPa、約0.4MPa~約0.6MPa、約0.6MPa~約0.8MPaまたは約0.8MPa~約1MPaである。一部の態様において、静置時間の間の圧力は、約0.1MPa未満である。一部の態様において、静置時間の間の圧力は、大気圧である。一部の態様において、静置時間の間の圧力は、0.01MPaより大きく、0.05MPaより大きく、もしくは0.1MPaより大きく、かつ/または1MPa未満、0.8MPa未満、0.6MPa未満、0.4MPa未満もしくは0.2MPa未満である。
【0099】
別の側面において、スラリーを静置時間の間カラム中で静置させることを含む、カラムクロマトグラフィーにおける理論段数(N)を増大させる方法が提供され、ここで、増大は、静置時間なし、または、スラリーが、該静置時間未満である低減した静置時間の間静置した、カラムクロマトグラフィーに対するものである。
【0100】
別の側面において、スラリーをカラム中で静置時間の間静置させることを含むカラムクロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーピークのシンメトリー係数(S)を向上させる方法が提供され、ここで、向上は、ピークのシンメトリー係数を1以上の数量まで低下させることを含み、かつここで、低下は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつシンメトリー係数が1より大きい場合のシンメトリー係数に対するものであり;または向上は、ピークのシンメトリー係数を1以下の数量まで増大させることを含み、かつここで、増大は、カラムクロマトグラフィーが存在しないかもしくは該静置時間未満である低減した静置時間を含み、かつシンメトリー係数が1未満である場合のシンメトリー係数に対するものである。
【0101】
ある態様において、沈降体積比(沈降体積比(%)=沈降体積(ml)/ODS体積(ml)×100)は、静置時間の完了時に実質的に一定である。沈降体積比は、カラムへのスラリーの添加の際に、静置時間の完了時に一定値に達するまで減少し得る。ある態様において、沈降体積比は、約150%~約140%、約140%~約130%、約120%~約110%または約110%~約100%まで減少する。ある態様において、沈降体積比は、約160%未満、約150%未満、約140%未満もしくは約130%未満かつ/または約100%より大きい、もしくは約105%より大きい値まで減少する。
【0102】
ある態様において、静置時間は、結果として性能の向上、例えば増大したN、1に近づくS、増大した歩留まりもしくは保持、および/または減少した沈降体積をもたらし、約15~約25分、約18~約22分であり、または約20分である。ある態様において、各静置時間は、独立して約0.5分~約5分、約5分~約10分、約10分~約15分、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約60分、約60分~約65分、約65分~約70分、約70分~約75分、約75分~約80分、約80分~約85分、約85分~約90分、約90分~約95分、または約95分~約100分、約100分~約105分、約105分~約110分、約110分~約115分、約115分~約120分である。ある態様において、各静置時間は、独立して約0.5分、1分、2分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、200分、300分、400分、500分、600分、1200分、1440分、2880分より長く、かつ/または200分、185分、175分、165分、155分、145分、135分、125分、115分、105分、95分、85分、75分、65分、55分、45分、35分、25分、15分、5分、3分未満である。より長い静置時間は、より良いシンメトリー係数および/または理論段数を提供し得る一方で、より短い静置時間は、カラムの準備の増大した容易さを提供することができ、それは、結果として生産性の増大をもたらし得る。所望の目的のために適切な静置時間を選択することができる。
【0103】
新しいスラリーは、静置時間の完了時(または静置の進行の間)のスラリーの沈降体積比よりも高い沈降体積比を有するであろう。ある態様において、新しいスラリーの沈降体積比は、約200%~約180%、約180%~約160%、約160%~約140%、約140%~約130%、約130%~約120%または約120%~約110%まで減少し得る。ある態様において、新しいスラリーの沈降体積比は、約100%より大きく、約110%より大きく、約120%より大きく、もしくは約130%より大きく、かつ/または約200%未満、約180%未満、もしくは約160%未満減少し得る。
【0104】
方法は、さらにカラムをパッキングすることを含むことができる。パッキングは、好ましくは静置時間の完了時に、および/または沈降体積が減少し、実質的に一定に維持される際に実施される。パッキングは、静置したスラリーにパッキング圧を加え、カラム内でスラリーを圧縮することを含むことができる。一態様において、パッキング圧は大気圧を含む値である。パッキング圧は、約0.1MPa~約0.5MPa、約0.5MPa~約1MPa、約1MPa~約1.5MPa、約1.5MPa~約2MPa、約2MPa~約2.5MPa、約3MPa~約3.5MPa、約3.5MPa~約4MPa、約4MPa~約4.5MPa、約4.5MPa~約5MPa、約5MPa~約5.5MPa、約5.5MPa~約6MPa、約6MPa~約6.5MPa、約6.5MPa~約7MPa、約7MPa~約7.5MPa、約7.5MPa~約8MPa、約8MPa~約8.5MPa、約8.5MPa~約9MPaであるかまたは約9MPaより大きいことができる。ある態様において、パッキング圧は、約3.0MPa~約6.0MPaである。ある態様において、パッキング圧は、約0.1MPaより大きく、約0.5MPaより大きく、約1MPaより大きく、約2MPaより大きく、もしくは約3MPaより大きく、かつ/または約10MPa未満、約9MPa未満、約8MPa未満、約7MPa未満もしくは約6MPa未満である。スラリーは、パッキングの間に圧縮され、カラムは排気されることができる。
【0105】
定義
“液体クロマトグラフィー”(LC)または“カラムクロマトグラフィー”は、本明細書で使用される際、流体が微細に分割された物質および/または毛管路を有する材料で構成された固定材料(単数または複数)を含有するカラムを通って流れる際の流体溶液の1種類以上の構成要素の選択的な保持または遅延のプロセスを意味する。保持は、固定相およびバルク流体相(例えば移動相)の間の混合物の構成要素の相対的な分配の結果もたらされ、その後者は、固定材料を通って移動する。LCは、2種類以上の物質の混合物の分析および分離に使用される。LCは、例えば、高乱流液体クロマトグラフィー(high turbulence liquid chromatography)(HTLC)、分取クロマトグラフィー、分析用クロマトグラフィー(例えばHPLC)、疑似移動床クロマトグラフィー、実移動床クロマトフラフィーおよび超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を含む。
【0106】
本明細書で使用される“高乱流液体クロマトグラフィー”(HTLC)は、カラムクロマトグラフィーの間の物質移動の速度を高め、提供される分離特徴を向上させるための乱流の使用を指す。これは、カラムを通る試料の層流を基礎として試験試料からの対象の分析種の分離を行う、カラムパッキング物に頼る伝統的なHPLC分析とは対照的である。HTLCは、質量分析による分析の前に薬物を検出するための試料調製に適用されてきた。例えば、Zimmer et al., J. Chromatogr. A 854: 23-35 (1999)を参照;米国特許第5,968,367号;第5,919,368号;第5,795,469号;および第5,772,874号も参照。
【0107】
移動相溶媒または分析種を記載するための“非極性”および“極性”という用語は、互いに対する相対的な用語として使用されることができる。例えば、“非極性”は、最も極性の低い移動相中の溶媒を指すことができ、一方で“極性”は、“非極性”溶媒よりも極性の高い移動相中の溶媒を指すことができる。
【0108】
“分取クロマトグラフィー”は、本明細書で使用される際、分析種と著しく異なるかまたは類似してさえいる他の物質を含有する混合物からの特定の分析種の粗い分離を指す(例えば、小分子分析種が、タンパク質および他の大分子量種を含有する混合物から分離されることができる)。そのような方法は、カラムによる複雑な混合物中の特定の溶質または分析種の選択的保持を含むが、他の構成要素は保持されない。次いで、分析種は、カラムから選択的に除去され、さらなる使用または分析のために収集され得る。分取クロマトグラフィーは、必ずしも大きな試料、または大きなカラムを用いない(非常に大きなカラムがしばしば分取クロマトグラフィーにおいて使用されるが)。分取クロマトグラフィーにおいて、カラム直径は、数ミリメートル~1メートル以上の範囲であることができ、移動相体積は、数ミリリットル~数百リットルの範囲であり得る。分取クロマトグラフィーにおいて、カラムから溶出された分析種は、インラインリザーバー(例えば試料ループまたはチューブ)中またはリザーバー中に画分として収集され得る。あるいは、分析種は、分取カラムからの溶出後、インライン分析用カラムに、または直接さらなる分析のための検出器に導かれ得る。
【0109】
“分析用クロマトグラフィー”は、本明細書で使用される際、密接に関連する分子(例えば類似の分子量の分子)の微細な分離を指す。分析用クロマトグラフィーにおいて、分析種は、カラムにおいて分離され、カラムから溶出され、モニタリングまたは検出される。用語“分析用カラム”は、本明細書で使用される際、試料中の他の物質からの分析種の分離をもたらすために十分な理論段数(chromatographic plates)を有するクロマトグラフィーカラムを指し、ここで、そのような分離は、分析種の存在または量の検出および決定を可能にするのに十分である。
【0110】
“分析種”は、本明細書で使用される際、精製されるべき、または他の構成要素の混合物から単離されるべき1種類以上の標的物質を指す。
【0111】
“ピーク”は、本明細書で使用される際、クロマトグラム中のピークを指す。クロマトグラムは、検出器によって検出された信号を経時的に示す図である。分析種が検出器によって検出された際に、信号は増大し、クロマトグラムは
図2および
図3において示されるような“ピーク”を示す。クロマトグラム中の各ピークは、試料中の化学物質の存在を示す。各ピークは、保持時間で標識され、クロマトグラム中の時間は、左から右に増加する。
【0112】
“分離”は、本明細書で使用される際、相対運動における相(例えば移動相および固定相)間のそれらの分配差に基づく分析種を含む混合物の構成要素の空間的分離によって特徴付けられるプロセスを指す。分離は、試料のカラム上への負荷および負荷後のカラムの溶出の結果もたらされる。
【0113】
“分画”は、ある量の混合物が相転移の間にいくつものより小さい量に分けられる分離プロセスであり、ここで、組成は、勾配に従って変動する。異なる画分が、異なる時点で、個々の構成要素(混合物または試料内の分析種)の特定の特性、例えば固定相および/または移動相に関するその親和性における差に基づいて収集される。
【0114】
“負荷”は、本明細書で使用される際、分析種を含有する試料を全試料がカラム内に収容されるまでカラムに適用することを指す。試料は、典型的にはパッキングされたカラムの固定相のトップに負荷される。ここで、“トップ”は、移動相がカラムを通って溶出する際に最初に移動相を受け取る固定相の末端である。負荷は、注入器、ポンプまたは固定相のトップへの試料の直接適用によって成し遂げられ得る。試料は、最小量の移動相もしくは負荷のための他の溶媒と混合されることができ、直接ニートで負荷されることができ、または固定相と共に乾燥負荷されることもできる。乾燥負荷は、試料をスラリーと混合し、スラリーから全ての液体を蒸発させ、次いで試料および固定相の乾燥混合物をカラムのパッキングされた固定相のトップに負荷することに相当する。
【0115】
“溶出”は、本明細書で使用される際、カラム上に吸着されていない物質または分析種から分離されるべき物質を除去するために、負荷後にカラムを通して溶媒(例えば移動相)を流すプロセスを指す。複数回の溶出が、異なる移動相を用いて可能である。
【0116】
“理論段数”(N)は、カラム効率を示す指標である。それは、段理論に従って定義された段の数を記載し、計算に基づいてカラム効率を決定するために使用されることができ、ここで、理論段数が大きいほどピークが鋭い。理論段数は、カラム取扱説明書および検査報告書に数値として含まれている。ガウス分布(正規分布)を仮定すると、理論段数は、下記の式(1)により表され、ここで、変数は、
図2の記載において定義されている通りである:
【化3】
【0117】
“シンメトリー係数”または“テーリング係数”(S)は、ピーク対称性の程度を示す係数である。それは、
図3の記載において定義されている変数に基づいて下記の式(2)で表される。S>1である場合、ピークテーリングが存在する。S=1である場合、ピーク対称性(ガウス分布)が存在する。S<1である場合、リーディングピーク(逆テーリング)が存在する。
図4で図説されているような“ピークテーリング”は、クロマトグラフピークの後縁の伸長を指す。
【化4】
【0118】
“沈降した固定相”は、スラリーに含まれる固定相を沈降させることによって形成された沈降層を指す。沈降層は、典型的にはスラリーがカラムに添加された後またはカラム中で形成された後にカラムの底の表面で形成される。
“沈降体積”は、スラリーに含まれる固定相を沈降させることによって形成された沈降層によって占められる体積を指す。
“固定相の充填層”は、スラリーに含まれる固定相を沈降させて形成された沈降層をパッキング圧によって圧縮して得られた層を指す。
“固定相の充填層の体積”は、沈降層をパッキング圧によって圧縮して得られた固定相の充填層によって占められる体積を指す。
“固定相の充填層を含むカラム”は、カラムクロマトグラフィーにおいて、固定相を含むスラリーが導入され、スラリーに含まれる固定相が沈降して沈降層を形成し、沈降層がパッキング圧で押圧されて固定相の充填層を形成したカラムを指す。
【0119】
“沈降速度”は、静置時に時間の経過に伴いスラリー中で固定相の沈降物が形成される速度を指す。
【0120】
“スラリー”は、固定相および液体の混合物を指す。液体は好ましくは移動相(または溶媒)であり、固定相は好ましくは粒子である。ある態様において、スラリーは、固定相がその中で懸濁されている移動相(または溶媒)を含む粘性液体である。溶媒は、スラリーを形成するために適したあらゆる溶媒であることができ、移動相に関して本明細書で開示されている溶媒(例えば水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン類、ジクロロメタンまたは当該技術で既知のあらゆる他の適切な溶媒の1以上)を含むことは、理解されるであろう。ある態様において、スラリー中の溶媒は移動相として使用される溶媒とは異なる溶媒であることも、理解されるであろう。
【0121】
“スラリー濃度”は、スラリーに関する移動相の単位体積当たりの固定相の質量または体積を指す。
【0122】
“パッキングされた”カラムまたはカラムを“パッキングすること”は、固定相をカラムに添加してスラリーを調製するか、または液体中に固定相を含むスラリーをカラムに添加すること、およびカラム中のスラリーに圧力が加えられることを含むプロセスを指す。一態様において、パッキンすることを含むクロマトグラフィーは、可動栓式カラムを用いて行われる。圧力を加えることによって、クロマトグラフィーの前に固定相を圧縮することができる。ある態様において、カラム中のスラリーに圧力が加えられるプロセスは、沈降時間の後に実施され、好ましくは沈降時間は、大気圧におけるものであり、当該プロセスは、大気圧より高気圧で行われる。ある態様において、カラム中のスラリーに圧力が加えられるプロセスは、静置時間の後に実施され、好ましくは静置時間は、大気圧におけるものであり、当該プロセスは、大気圧より高気圧で行われる。
【0123】
“静置時間”は、固定相と移動相とを予め混合して形成されたスラリーを空カラムに導入するスラリー充填において、スラリーを全量導入し終えた直後からスラリーを静置させる時間を意味する。この場合、静置時間は、スラリーを全量導入し終えた直後から開始する。また、移動相を空カラムに導入した後に固定相を導入する乾燥充填において、“静置時間”は、固定相を全量導入し終えた直後から、固定相の導入によって生じたスラリーを静置させる時間を意味する。この場合、静置時間は、固定相を全量導入し終えた直後から開始する。さらに、“インターバル静置時間”は、スラリーまたは固定相を部分に分けて導入する場合に、一部分を導入し終えた直後から、スラリーを静置させる時間を意味する。ここで、インターバル静置時間は、スラリーまたは固定相の一部分を導入し終えた直後から開始する。静置時間において、スラリー中の固定相が沈降する。また、静置時間は、静置状態から圧力が増加した時点で終了する。ある態様においては移動相がカラムから排出された時点で終了する。本明細書において、静置時間はカラム導入後の固定相を沈降させるための時間であり、沈降時間と一致する。
【0124】
“ビフェニル”、“C30”、“C22”、“C18”、“C8”、“C5”、“C4”は、本明細書で使用される際、カラムパッキング材料(固定相)上に存在する官能基を指す。例えば、ビフェニルカラムは、カラムを通って流れる材料を非置換ビフェニル基に曝露し、一方でC18カラムは、カラムを通って流れる材料(例えば移動相および分析種)を非置換の直鎖または分枝鎖18-炭素アルキル基に曝露する。
【0125】
スラリーの記載に関する“新しい”は、最近調製されたスラリー、例えば移動相(または溶媒)および固定相が混合し終わってから1分後、5分後、10分後、15分後、20分後、40分後、60分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後、480分後、960分後、1440分後のスラリーを指す。
【0126】
“軸圧縮カラム”は、油圧ジャッキに取り付けられた可動ピストンを含む。ピストンは、カラムをパッキングするために使用され、
図1の工程3において例示されているように、動的(および調節可能)な圧縮の下で固定相を維持する。
【0127】
“沈降する”または“沈降すること”は、スラリーを撹拌させずに静止させるプロセスを指す。ある態様において、沈降は、大気圧で実施される。ある態様において、沈降は、パッキングの間に加えられる圧力未満の圧力で実施される。
【0128】
“クロマトグラフィー条件”は、クロマトグラフィーが運転されるパラメーターを指す。例は、パッキング圧、移動相および固定相の組成、スラリー濃度、カラムが運転される圧力、移動相勾配、移動相流速、使用されるカラムタイプ、使用される検出計装およびパラメーター、利用される試料調製プロトコル、沈降時間および沈降が実施される圧力、静置時間および静置が実施される圧力を含む。
【0129】
“勾配”は、カラムクロマトグラフィーが実施される間の時間の経過に伴う移動相組成における変化を指す。溶媒がカラムを通って溶出されている間に移動相の組成が変化し得る。溶出の間に経時的に増加する百分率で異なる移動相を添加することができる。
“純度”は、組成物の主成分の含有量を示す比率であり、例えば、内部標準を用いてGCの測定結果より算出することができる。
“目的物”は、溶出および分画によって得られた単一の画分または複数の画分の組み合わせから得られた目的の組成物を指す。
【0130】
特定の範囲が、本明細書において、用語“約”により先行されている数値により与えられている。用語“約”は、それが先行する正確な数ならびにその用語が先行する数に近いかまたはおおよそその数である数に関する文言上の支持を提供するために本明細書で使用される。ある数が具体的に記載された数に近いかまたはおおよそその数であるかどうかの決定において、記載された数に近いかまたはそれに接近する記載されていない数は、それが与えられている文脈において具体的に記載された数の実質的な均等量を提供する数であることができる。ある態様において、約は、それが言及する数の±5%、±2.5%、または±1%を指し得る。
【0131】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書において記載された方法および材料と類似した、または均等なあらゆる方法および材料も、本発明の実施または試験において使用されることができ、代表的な例示的方法および材料が、ここで記載される。
【0132】
値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限~下限の間にあるそれぞれの値(文脈が明確にそうではないことを指示しない限り、下限の単位の10分の1まで)およびその記載された範囲中のあらゆる他の記載された値または間にある値は、本発明の範囲内に包含されることは、理解されている。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれることができ、それも本発明の範囲内に包含され、記載された範囲中のあらゆる具体的に除外された限界の対象となる。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のどちらかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0133】
本発明は、記載された特定の態様に(そのようなものは当然変動し得るため)限定されない。本発明の範囲は添付された特許請求の範囲のみによって限定されると考えられるため、本明細書で用いられる用語法は特定の態様を記載する目的のためだけものであり、限定することは意図されていないことも、理解されるべきである。
【0134】
本開示を読めば当業者には明らかであろうように、本明細書で記載および図説された個々の態様のそれぞれは、本発明の範囲および精神から逸脱することなくその他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれと容易に組み合わせられることができる別々の構成要素および特徴を有する。あらゆる引用された方法は、引用された事象の順序で、または論理的に可能であるあらゆる他の順序で実施されることができる。
【0135】
本明細書において引用された全ての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特許が参照により援用されることが具体的かつ個々に示されたかのように参照により本明細書に援用され、刊行物がそれに関連して引用されている方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に援用される。あらゆる刊行物の引用は、出願日に先行するその開示のためであり、先行発明によって、本発明が、引用された刊行物に先行する日付に対する権利を持たないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供された刊行の日付は、実際の刊行日と異なる可能性があり、それは、個別に確認される必要がある可能性がある。
【0136】
以下の実施例は、本開示の様々な態様を例示する目的で与えられており、いかなる様式においても本開示を限定することは意図されていない。当業者は、本開示が言及された目的を実施し、言及された最終目標および利点を得る、ならびに本明細書に本来備わる目的を実施し、最終目標および利点を得るために十分に適合していることをすぐに理解するであろう。本実施例は、本明細書で記載された方法と合わせて、現在のところ態様を代表するものであり、例示的であり、本開示の範囲に対する限定としては意図されていない。特許請求の範囲によって定義される本開示の精神内に包含されるその中の変更および他の使用は、当業者に思い浮かぶであろう。
【実施例】
【0137】
実施例1:カラムパッキング
カラムに関して用いられた固相は、ODS-SQ(逆相C18)、具体的にはKE-ODS-50-SQ(YMC CO.,LTD.、平均粒径50μm、比表面積350)であった。
【0138】
軸圧縮カラムに関して、YMC CO.,LTD.により製造された可動栓式分取カラム(型番DAU-50-700S)が、使用された。内径は、50mmであった。スラリーのパラメーターは、295gのODSと共に使用されたメタノール溶媒(関東化学株式会社、高速液体クロマトグラフィー用メタノール)の量に依存した。パッキング溶媒量およびパッキングの高さ(300mm)は、取扱説明書に記載されている通りに選択された。スラリーに関する濃度は、以下のように調整された:スラリー濃度(%)=ODS(g)/メタノール(ml)×100。スラリー濃度が42%、49%または59%であった場合、それぞれ700ml、600mlまたは500mlのメタノールが295gのODS重量と混合された。
【0139】
最初に、パッキング法としてのスラリー充填が、研究された。295gの粉末状ODSを1リットルのビーカーに入れ、メタノールを添加し、混合物をガラス棒で5分間撹拌し、スラリーを調製した。懸濁状態のスラリーを空カラムのトップから添加した。このプロセスの態様は、例えば
図1の工程1で図説されている。乾燥充填の場合、予めカラムにメタノールを添加し、次いでカラムのトップからODSを部分に分けて添加した。それぞれの場合に、ODSをカラムに導入した後、4MPaのパッキング圧を加えてパッキングを実施した。後続の実施例の性能試験を、2ベッドボリュームのメタノールをカラムを通して溶出した後に実施した。
【0140】
実施例2:理論段数およびシンメトリー係数
実施例1のODS-SQパッキングカラムを、後続の実施例に関する各パッキング技術に関して理論段数およびシンメトリー係数を計算するために性能試験した。使用したHPLC機器は、K-Prep Lab300S(YMC Co.,LTD)であった。使用した可動栓式分取カラムは、DAU-50-700S(YMC Co.,LTD)であった。流速は、65ml/分であった。線速度は2m/時間であった。溶媒は、HPLCグレードのメタノール(関東化学株式会社)であった。精製された分析種は、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-E)であり、それをメタノール中に0.4%(w/v)で溶解させ、1mlのメタノール溶液をカラムに負荷するために使用した。
【0141】
EPA-Eを、以下のように予め調製した:粗精製のイワシ油に対して短行程蒸留(SPD)を施した。SPD油に対してアルカリ触媒の存在下でエチルアルコールとのエタノリシス反応を施して魚油エチルエステルであるEPA-Eを形成した。次いで、魚油エチルエステルを、精留および逆相分配型(ODS)の上記のHPLCカラムを使用して精製した。その後、蒸留して溶媒を除去すると、面積パーセントで97%のEPA-Eが得られた。
【0142】
GC分析に関して用いられる条件は以下の通りであった。
GC:6890N(Agilent Technologies)
カラム:DB-WAX(Agilent Technologies)
30m×0.25mm ID、0.25μm 膜厚
キャリアガス:EPAが13分になるように調整
注入口:250℃、1μL、Split(1:50)
カラム温度:210℃恒温
検出器:FID、260℃
メークアップガス:窒素40mL/min.
【0143】
次いで、EPA-Eに関する理論段数およびシンメトリー係数を計算した。精製の3つの試験を行い、各試験の結果を記載したように計算し、平均をとった。理論段数を、半値幅法を用いて計算した。理論段数に関して使用した式は、以下の式であった:
理論段数(N/m)=5.54×(tr/W
0.5h)
2/カラム長(m)
式中、trは、保持時間であり、W
0.5hは、
図2において図説されたようなピークの高さの50%におけるピーク幅である。
【0144】
シンメトリー係数の計算に関して使用された式は、以下の式であった:
シンメトリー係数(As
0.05)=W
0.05h/(2×A
0.05)
式中、W
0.05hは、ピーク高さの5%におけるピーク幅であり、A
0.05(本明細書において式(2)の“f”とも呼ばれる)は、ピーク高さの5%において、ピークの開始点(前縁)からピーク振幅の頂点まで(例えばピーク頂点を通るy軸(垂線)まで)の水平距離として測定されるピークの前半のピーク幅であり、この測定は、例えば
図3の記載において記載される。
【0145】
実施例3:静置時間のカラム性能に対する作用
ODS-SQをカラム中に導入した後の静置時間を調べて、理論段数およびシンメトリー係数(実施例2において記載されたように計算される)に対するその作用を決定した。カラムを42%または59%ODS重量/メタノール体積のスラリー濃度で運転した。ODSの製造業者の取扱説明書では、ODSまたはODSを含むスラリー導入後に静置時間を置くように指示していない。
【0146】
別途調製されたスラリーの導入直後から、カラムを30分間または120分間静置させ、次いでカラムに対して性能試験を実施した。結果を表1~3に示す。表1~2において示されているように、理論段数は、静置しておいた際により高く、表3において示されているように、ピーク対称性は1に近づいた。これは、ODSが沈降し、均等に充填されることが可能にされたためであると考えられる。
【0147】
実験の間、カラム密度をカラム中のODSの量、カラムの内径およびODSの高さにより計算し、30分の静置後、静置なしの後にパッキング圧加圧、および30分静置後にパッキング圧加圧で差がないことが分かった。
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
実施例4:乾燥充填のピーク性能に対する作用
ODS-SQの乾燥充填を、49%の濃度でのパッキング法として研究した。他の条件は、実施例1および2で記載されたスラリー充填と同じであった。結果を表4に示す。
【0152】
【0153】
実施例5:インターバル(interval)静置時間のカラム性能に対する作用
ODS-SQのカラム中への導入直後からのインターバル静置時間を調べて、理論段数およびシンメトリー係数(実施例2において記載されたように計算された)に対するその作用を決定した。カラムを実施例1で記載された手順に従って42%のスラリー濃度で4MPaのパッキング圧で運転した。ODSの製造業者の取扱説明書では、ODSまたはODSを含むスラリー導入後に静置時間を置くように指示していない。
【0154】
スラリーの半分を注いだ直後から、カラムを30分間静置させ、次いで残りの半分のスラリーを注いで静置時間をおかずにパッキングし、次いでカラムに対して性能試験を実施した。表5において示されているように、理論段数は、途中で静置させた場合により高く、ピーク対称性は1に近付いた。これは、ODSの少なくとも半分が沈降し、均等に充填することが可能にされたためであると考えられる。
【0155】
【0156】
実施例6:様々なODSを用いたカラム性能に対する静置時間の作用
ODS-B(Osaka Soda CO.,LTD.、Daisopak SP-120-50-ODS-B、平均粒径50μm)、ODS S-20(YMC CO.,LTD.、YMC*GEL ODS-AQ-HG 12nm S-20μm AQG12S21、平均粒径20μm)、ODS S-10(YMC CO.,LTD.、YMC*GEL ODS-AQ-HG 12nm S-10μm AQC12S11、平均粒径10μm)、ODS-A(AGC Si-Tech CO.,LTD.、M.S. GEL C18(II)-EP-DM-20-100A、平均粒径20μm)またはODS-Y(YMC CO.,LTD.、YMC-Omega、YMC*GEL S-20um OMG 99S21、平均粒径20μm)のカラム中への導入後の静置時間を調べて、理論段数およびシンメトリー係数(実施例2において記載されたように計算された)に対するその作用を決定した。カラムを各ODSに関して49%または59% ODS重量/メタノール体積のスラリー濃度で運転した。ODSの製造業者の取扱説明書では、それは、ODSまたはODSを含むスラリー導入後に静置時間を置くように指示していない。その他の条件は、実施例1および2において記載されたスラリー充填と同じであった。結果を表6~8に示す。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
実施例7:歩留まりおよび回収率
歩留まりおよび回収率を、HPLC分画によって決定した。HPLC分画に関する条件は、以下の通りであった。使用したHPLC機器は、K-Prep Lab300S(YMC Co.,LTD)であった。使用した動的軸圧縮カラムは、DAU-50-700S(YMC Co.,LTD)であった。流速は、65ml/分であった。溶媒は、HPLCグレードのメタノール(関東化学株式会社)であった。検出は、230nmにおけるUVであった。2.36gのEPA-E(80%)を0.8%の負荷率で負荷した。負荷率(%)=80%EPA-E(g)/ODS(g)×100。試験は、ODS(KEODS-50-SQ)固定相で実施された。
【0161】
EPA-Eを以下のように調製した。粗精製のイワシ油に対して短行程蒸留(SPD)を施した。SPD油に対してアルカリ触媒の存在下でエチルアルコールとのエタノリシス反応を施して魚油エチルエステルであるEPA-Eを形成した。魚油エチルエステルを精留により80% EPA-Eに精製した。
【0162】
静置時間がないクロマトグラフィーおよび静置時間のあるクロマトグラフィーの両方において、画分(Fr.)0を注入直後からEPA-Eピークの上昇まで分画し、次いでFr.1~38を10秒毎に分画し、次いでFr.39を35分間分画した。分取された画分から真空エバポレーターを用いてメタノールを留去し、内部標準物質としてC23:0メチルエステル1mg/mlヘキサン溶液を添加した後、ガスクロマトグラフィー(GC)を行った。各画分における化合物の溶出の量をGCピーク面積および内部標準の間の面積比から算出し、EPA-Eの含有量が96.5%となるように画分を選択して、選択された画分(静置時間がないクロマトグラフィーにおいてはFr.5~17、静置時間のあるクロマトグラフィーにおいてはFr.4~17)を合わせることによって得られた目的物についてその歩留まりおよび目的物中のEPA-Eの回収率を以下のように決定した:
歩留まり=目的物の重量(g)/負荷量(g)、
EPA-E回収率=(目的物の重量(g)×EPA-E含有量(96.5%))/(負荷量(g)×EPA-E含有量(80%))。
【0163】
GC分析に関して用いた条件は、以下の通りであった。機器は、DB-WAX 30m×0.25mm×0.25μmカラムを有する6890NネットワークGCシステム(Agilent)であった。カラム温度は、210℃であった。注入温度は、250℃であり、スプリット率(split rate)は、1:50であり、注入量は、1μlであった。250℃のFID検出器を使用した。31cm/分のライン速度を有するヘリウムのキャリヤーガスを使用した。歩留まりおよびEPAの回収率の結果を表9に示す。
【0164】
【0165】
EPA-EおよびDHA-Eを含有する魚油試料を以下のように調製した。粗精製のイワシ油およびマグロ油に対して短行程蒸留(SPD)を施した。SPD油に対してアルカリ触媒の存在下でエチルアルコールとのエタノリシス反応を施してエチルエステル(EPA-E 12.99%、DHA-E 10.44%)を形成した。エチルエステルを精留により36.40%のEPA-Eおよび30.60%のDHA-Eに精製した。5.0gを1.69%の負荷率で負荷した。
【0166】
静置時間がないクロマトグラフィーおよび静置時間のあるクロマトグラフィーの両方において、画分(Fr.)0を注入直後からEPA-Eピークの上昇まで分画し、次いでFr.1~46を13秒毎に分画し、次いでFr.47を45分間分画した。分取された画分から真空エバポレーターを用いてメタノールを留去し、C23:0メチルエステル1mg/mlヘキサン溶液を内部標準物質として添加した後、ガスクロマトグラフィー(GC)を行った。各画分における化合物の溶出の量をGCピーク面積および内部標準の間の面積比から算出し、EPA-EおよびDHA-Eの合計含有量が86%となるように画分を選択して、選択された画分(静置時間がないクロマトグラフィーにおいてはFr.8~21、静置時間のあるクロマトグラフィーにおいてはFr.7~25)を合わせることによって得られた目的物についてその歩留まりならびに目的物中のEPA-EおよびDHA-Eの回収率を以下のように決定した:
歩留まり=目的物の重量(g)/負荷量(g)、
EPA-EおよびDHA-E回収率=(目的物の重量(g)×EPA-EおよびDHA-Eの合計含有量(86%))/(負荷量(g)×EPA-EおよびDHA-Eの合計含有量(67%))。
【0167】
GC分析に関して用いられた条件は、以下の通りであった。機器は、DB-WAX 30m×0.25mm×0.25μmカラムを有する6890NネットワークGCシステム(Agilent)であった。カラム温度は、210℃であった。注入温度は、250℃であり、スプリット率は、1:50であり、注入量は、1μlであった。250℃のFID検出器を使用した。31cm/分のライン速度を有するヘリウムのキャリヤーガスを使用した。歩留まりおよびEPA-EおよびDHA-Eの回収率の結果を表10に示す。
【0168】
【0169】
実施例8:各ODSの粒径の中央値の測定
粒径の中央値は、体積基準で50%の粒径を示し、Horiba Ltd.のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-920により、分散媒体として0.2w/v%ヘキサメタリン酸ナトリウムを有するフローセルを使用して決定される。まず、150~200mlの緩衝液を試料槽において循環させ、次いでレーザー光透過率が70%~95%の範囲内になるまで各ODSを添加した。ODSの量は、70mg~120mgであった。添加後、ODS粒子を超音波により1分間散乱させ、次いで体積分布を分析し、粒径の中央値を算出した。結果を表11に示す。
【0170】