(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20240522BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240522BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240522BHJP
H01L 33/40 20100101ALI20240522BHJP
H01L 33/44 20100101ALI20240522BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240522BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/54
H01L33/60
H01L33/40
H01L33/44
H01L33/00 K
(21)【出願番号】P 2023071669
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2020065166の分割
【原出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 有一
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真也
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012707(JP,A)
【文献】特開2010-141176(JP,A)
【文献】特開昭63-306687(JP,A)
【文献】特開2011-181925(JP,A)
【文献】特開2017-120874(JP,A)
【文献】特開2001-184921(JP,A)
【文献】特開2011-014878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0280178(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1928307(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を形成する工程と、前記発光素子を部分的に被覆する被覆部材を形成する工程と、を有する発光装置の製造方法であって、
前記発光素子を形成する工程は、
基板の第1面上に互いに離隔して配置され、積層されたp型半導体層及びn型半導体層を各々が含む複数の発光素子部を形成する工程と、
各々の前記発光素子部において、前記p型半導体層上に配置され、前記p型半導体層と電気的に接続されたp電極、及び前記n型半導体層上に配置され、前記n型半導体層と電気的に接続されたn電極を
、それぞれ導電性及び光反射性を有する金属材料から形成する工程と、
隣接する前記発光素子部の前記n電極と前記p電極とを電気的に接続する配線層を形成する工程と、
電流経路の最上流側の前記発光素子部の前記p電極上に、
導電性及びはんだ濡れ性を有する前記p電極とは異なる金属材料から第1電極を形成し、電流経路の最下流側の前記発光素子部の前記n電極上に、
導電性及びはんだ濡れ性を有する前記n電極とは異なる金属材料から第2電極を形成する工程と、
各々の前記発光素子部の前記p電極及び前記n電極に給電して各々の前記発光素子部の電気特性を検査する工程と、
を備え、
前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程では、前記第1面の法線方向から視て、前記第1電極の面積は、前記最上流側の前記発光素子部の前記配線層と接続された前記n電極の面積よりも大きく形成され、前記第2電極の面積は、前記最下流側の前記発光素子部の前記配線層と接続された前記p電極の面積よりも大きく形成され、
前記被覆部材を形成する工程では、前記p電極、前記n電極、及び前記配線層を埋設し、前記第1電極及び前記第2電極を露出する
前記被覆部材を形成し、
前記電気特性を検査する工程は、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程の前及び/又は後で行われ
、
さらに前記第1電極と電気的に接続された第1金属膜、及び前記第2電極と電気的に接続された第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程を有し、
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程では、
前記第1面の法線方向から視て、
前記第1金属膜の面積は、前記第1電極の面積よりも大きく形成され、
前記第2金属膜の面積は、前記第2電極の面積よりも大きく形成される発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記被覆部材を形成する工程では、各々の前記発光素子部の前記p電極及び前記n電極が形成される側の面を前記被覆部材で被覆する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記被覆部材は、光反射材を含有する樹脂を含む請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程では、
前記第1面の法線方向から視て、
前記第1金属膜は、前記第1電極の少なくとも一部を覆って前記最上流側の前記発光素子部の前記被覆部材に埋設された前記n電極上に延伸するように形成され、
前記第2金属膜は、前記第2電極の少なくとも一部を覆って前記最下流側の前記発光素子部の前記被覆部材に埋設された前記p電極上に延伸するように形成される請求項
1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程では、
前記第1面の法線方向から視て、
前記第1金属膜は、前記第1電極の全部を覆うように形成され、
前記第2金属膜は、前記第2電極の全部を覆うように形成される請求項
4に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子部を直列に接続した発光装置が知られている。このような発光装置の一例として、複数の発光素子部の少なくとも一部を直列に接続した直列接続体を有する構成が挙げられる。この発光装置では、直列接続体を構成する発光素子部同士はワイヤで接続され、直列接続体を構成する発光素子部の1つ1つについて検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チップサイズが小さくなった場合、全ての発光素子部に検査に用いる測定用端子を設けると、測定用端子の大きさや測定用端子同士の間隔の確保に一定以上の面積が必要になる。そのため、一対の外部接続用の電極の面積や間隔を小さくせざるを得なくなり、接続信頼性の低下につながるおそれがあった。
【0005】
そこで、本開示は、複数の発光素子部が直列に接続された発光装置において、外部接続用の電極の接続信頼性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子を形成する工程と、前記発光素子を部分的に被覆する被覆部材を形成する工程と、を有する発光装置の製造方法であって、前記発光素子を形成する工程は、基板の第1面上に互いに離隔して配置され、積層されたp型半導体層及びn型半導体層を各々が含む複数の発光素子部を形成する工程と、各々の前記発光素子部において、前記p型半導体層上に配置され、前記p型半導体層と電気的に接続されたp電極、及び前記n型半導体層上に配置され、前記n型半導体層と電気的に接続されたn電極を、それぞれ導電性及び光反射性を有する金属材料から形成する工程と、隣接する前記発光素子部の前記n電極と前記p電極とを電気的に接続する配線層を形成する工程と、電流経路の最上流側の前記発光素子部の前記p電極上に、導電性及びはんだ濡れ性を有する前記p電極とは異なる金属材料から第1電極を形成し、電流経路の最下流側の前記発光素子部の前記n電極上に、導電性及びはんだ濡れ性を有する前記n電極とは異なる金属材料から第2電極を形成する工程と、各々の前記発光素子部の前記p電極及び前記n電極に給電して各々の前記発光素子部の電気特性を検査する工程と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程では、前記第1面の法線方向から視て、前記第1電極の面積は、前記最上流側の前記発光素子部の前記配線層と接続された前記n電極の面積よりも大きく形成され、前記第2電極の面積は、前記最下流側の前記発光素子部の前記配線層と接続された前記p電極の面積よりも大きく形成され、前記被覆部材を形成する工程では、前記p電極、前記n電極、及び前記配線層を埋設し、前記第1電極及び前記第2電極を露出する前記被覆部材を形成し、前記電気特性を検査する工程は、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程の前及び/又は後で行われ、さらに前記第1電極と電気的に接続された第1金属膜、及び前記第2電極と電気的に接続された第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程を有し、前記第1金属膜及び前記第2金属膜を前記被覆部材上に形成する工程では、前記第1面の法線方向から視て、前記第1金属膜の面積は、前記第1電極の面積よりも大きく形成され、前記第2金属膜の面積は、前記第2電極の面積よりも大きく形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、複数の発光素子部が直列に接続された発光装置において、外部接続用の電極の接続信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る発光装置を例示する模式平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置を例示する模式断面図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る発光装置を例示する模式断面図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について例示する図である。
【
図5】第1実施形態に係る発光素子の等価回路について例示する図である。
【
図6】第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式平面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式断面図(その1)である。
【
図8】第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式断面図(その2)である。
【
図9】第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式平面図(その1)である。
【
図10】第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式断面図(その1)である。
【
図11】第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式断面図(その2)である。
【
図12】第1実施形態の変形例2に係る発光素子の等価回路について例示する図(その1)である。
【
図13】第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式平面図(その2)である。
【
図14】第1実施形態の変形例2に係る発光素子の等価回路について例示する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。又、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
更に、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。又、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。又、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や変形例にも適用可能である。又、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
(発光装置1)
図1は、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式平面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図1のA-A線に沿う断面を示している。
図3は、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図1のB-B線に沿う断面を示している。
【0012】
図1~
図3に示すように、発光装置1は、発光素子10と、被覆部材20とを有している。発光素子10は、基板11と、発光素子部12と、発光素子部13と、p電極121と、n電極122と、p電極131と、n電極132と、第1電極123と、第2電極133とを備えている。発光素子部12及び13は、半導体積層体14、絶縁層16を備えている。
【0013】
基板11は、第1面11a(
図2及び
図3では上面)と、第1面11aとは反対側の面である第2面11b(
図2及び
図3では下面)とを有している。基板11の第1面11a及び第2面11bは、第1面11aの法線方向から視て、例えば略正方形状であるが、これには限定されない。基板11の第1面11a及び第2面11bが略正方形状である場合、一辺の長さは、例えば、500μm程度とすることができる。
【0014】
基板11は、半導体積層体14等を支持する部材である。又、基板11は、半導体積層体14をエピタキシャル成長させるための成長基板であってもよい。基板11としては、例えば、半導体積層体14に窒化物系半導体を用いる場合、サファイア(Al2O3)基板を用いることができる。発光素子10では、基板11の第2面11bから主に光が取り出される。このように、発光装置1は、基板11の第2面11b側から光を取り出すCSP(Chip Size Package)構造を有している。
【0015】
なお、基板11の第1面11aの法線方向をZ方向、Z方向に垂直な平面内で発光素子部12と発光素子部13が配列されている方向をX方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。又、以下の説明において、平面視とは対象物を基板11の第1面11aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基板11の第1面11aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0016】
発光素子部12及び13は、基板11上に、半導体積層体14の一部をなすp型半導体層及びn型半導体層を積層して面内で分離し、配線層17を介して互いに直列に接続されている。半導体積層体14において、例えば、基板11の第1面11a側から順にn型半導体層とp型半導体層とが積層されている。p型半導体層とn型半導体層との間には、例えば、発光層が設けられる。
【0017】
発光素子10が青色又は緑色の光を出射する場合、半導体積層体14において、n型半導体層、p型半導体層、及び発光層としては、例えば、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaPを用いることができる。又、発光素子10が赤色の光を出射する場合、GaAlAsやAlInGaP等の半導体を用いることができる。半導体積層体14の材料及びその混晶比を変更することによって、発光波長を変化させることができる。
【0018】
絶縁層16は、例えば、半導体積層体14のp型半導体層及びn型半導体層よりも上側(第1面11aから離れる側)に設けられている。絶縁層16としては、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Al、Hfからなる群より選択された少なくとも一種を含有する酸化物又は窒化物を用いることができる。
【0019】
なお、
図2及び
図3において絶縁層16は簡略化して描かれているが、絶縁層16は所定のパターンに形成されており、半導体積層体14のp型半導体層及びn型半導体層と発光素子部12及び13との必要な部分とを電気的に絶縁している。
図2及び
図3において半導体積層体側の基板11、半導体積層体14、及び絶縁層16は平坦に描かれているが、凹凸があってもよい。
【0020】
p電極121は、絶縁層16の開口部に形成され、発光素子部12を構成する半導体積層体14のp型半導体層と電気的に接続されている。n電極122は、絶縁層16の開口部に形成され、発光素子部12を構成する半導体積層体14のn型半導体層と電気的に接続されている。例えば、発光素子部12は発光ダイオードであり、p電極121はアノード電極、n電極122はカソード電極である。
【0021】
p電極131は、絶縁層16の開口部に形成され、発光素子部13を構成する半導体積層体14のp型半導体層と電気的に接続されている。n電極132は、絶縁層16の開口部に形成され、発光素子部13を構成する半導体積層体14のn型半導体層と電気的に接続されている。例えば、発光素子部13は発光ダイオードであり、p電極131はアノード電極、n電極132はカソード電極である。
【0022】
p電極121、n電極122、p電極131、及びn電極132としては、例えば、導電性及び光反射性が良好なAg、Al、又はこれらの合金等の金属材料を用いることができる。p電極121、n電極122、p電極131、及びn電極132は、例えば、発光装置1の製造工程で被覆部材20を形成する前に実行される電気特性の検査において、測定装置側と電気的に接続される測定用端子として使用できる。
【0023】
p電極121上には第1電極123が形成され、n電極132上には第2電極133が形成されている。第1電極123及び第2電極133の少なくとも上面は被覆部材20から露出しており、例えば、外部接続用の電極として使用できる。第1電極123及び第2電極133は、例えば、外部接続用の電極として使用すると共に、発光装置1の製造工程で被覆部材20を形成する前に実行される電気特性の検査において、測定装置側と電気的に接続される測定用端子として使用してもよい。第1電極123及び第2電極133しては、例えば、導電性及びはんだ濡れ性が良好なCuやCu合金、Au、Ag、Ni、Zn等の金属材料を用いることができる。
【0024】
発光素子部12に接続されたn電極122は、配線層17を介して、発光素子部13に接続されたp電極131と電気的に接続されている。すなわち、発光素子部12と発光素子部13とは、配線層17を介して互いに直列に接続されている(後述の
図5参照)。配線層17としては、例えば、導電性及び光反射性が良好なAg、Al、又はこれらの合金等の金属材料を用いることができる。
【0025】
この配線層17は、n電極122、p電極131と一体とすることができる。なお、発光素子部12を構成する半導体積層体14と、発光素子部13を構成する半導体積層体14とは、n電極122と半導体積層体14との間に設けられた配線層を介して接続されていてもよく、またp電極131と半導体積層体14との間に設けられた配線層を介して接続されていてもよい。また少なくとも発光素子部12と発光素子部13とを電気的に接続される配線層であればよい。
【0026】
発光素子部12及び13は、例えば、Y方向を長手方向とする細長状に形成できる。この場合、p電極121とn電極122は、例えば、Y方向と平行に配置できる。同様に、p電極131とn電極132は、例えば、Y方向と平行に配置できる。p電極121とp電極131との間隔、n電極122とn電極132との間隔は、例えば、200μm程度とすることができる。
【0027】
又、p電極121とn電極132は、例えば、X方向に対して斜め(例えば、X方向に対して反時計回りに45度の方向に両者が位置するように)に配置できる。又、n電極122とp電極131は、例えば、X方向に対して斜め(例えば、X方向に対して時計回りに45度の方向に両者が位置するように)に配置できる。
【0028】
被覆部材20は、発光素子10の一部を被覆している。具体的には、被覆部材20は、発光素子部12のp電極121及びn電極122が形成される側の面、並びに発光素子部13のp電極131及びn電極132が形成される側の面を少なくとも被覆している。又、被覆部材20は、基板11の側面を被覆し、第2面11bを露出してもよい。
【0029】
又、被覆部材20は、発光素子部12のp電極121及びn電極122並びに発光素子部13のp電極131及びn電極132を埋設している。又、被覆部材20は、第1電極123の側面及び第2電極133の側面を被覆し、第1電極123の上面及び第2電極133の上面を露出している。第1電極123の側面の一部及び第2電極133の側面の一部が、被覆部材20から露出してもよい。
【0030】
被覆部材20は、光反射性に優れた材質で、好ましくは、光を反射する添加物である白色粉末等を透明樹脂に添加している白色樹脂である。被覆部材20は、発光素子10から出射される光に対して60%以上の反射率を有し、好ましくは90%以上の反射率を有する白色樹脂が適している。被覆部材20は、光反射材として白色粉末等の白色の顔料を含有させた樹脂であることが好ましい。特に、酸化チタン等の無機白色粉末を含有させたシリコーン樹脂が好ましい。被覆部材20が光反射材を含有する樹脂を含むことで、光抜け抑制によって光吸収ロスを低減できる。
【0031】
被覆部材20の平面形状は、例えば略正方形状であるが、これには限定されない。被覆部材20の平面形状が略正方形状である場合、一辺の長さは、例えば、1000μm程度とすることができる。
【0032】
外部接続用の電極として使用できる第1電極123の面積は、測定用端子として使用されて最終的には被覆部材20に埋設されるn電極122の面積よりも大きい。又、外部接続用の電極として使用できる第2電極133の面積は、測定用端子として使用されて最終的には被覆部材20に埋設されるp電極131の面積よりも大きい。
【0033】
n電極122及びp電極131の平面形状は、例えば、四角形(例えば、正方形)である。n電極122の面積とp電極131の面積は、略同一である。
【0034】
p電極121及び第1電極123の平面形状は、例えば、長方形を斜め45度方向に切断した四角形であり、斜辺がn電極122の側を向くように配置されている。同様に、n電極132及び第2電極133の平面形状は、例えば、長方形を斜め45度方向に切断した四角形であり、斜辺がp電極131の側を向くように配置されている。第1電極123の面積と第2電極133の面積は、略同一である。
【0035】
第1電極123及び第2電極133の形状及び配置を
図1のようにすることで、n電極122、p電極131、及び配線層17と接することなく、第1電極123及び第2電極133の上面の面積を一層大きくできる。
【0036】
なお、発光装置1は、基板11の第2面11b側から主に光が取り出されるが、基板11の第2面11bには、さらには発光素子部において発光した波長の光の一部を吸収して異なる波長の光を発する波長変換部材を含んだ波長変換層を有していてもよい。
【0037】
(発光装置1の製造方法)
第1実施形態に係る発光装置1の製造方法について、
図4を参照しながら説明する。なお、
図4は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について例示する図であり、
図3に相当する断面を示している。
図4(a)~
図4(c)は発光素子10を形成する工程であり、
図4(d)は発光素子10を部分的に被覆する被覆部材20を形成する工程である。
【0038】
まず、
図4(a)に示すように、基板11上に、面内で分離されたp型半導体層及びn型半導体層を含む半導体積層体14を形成し、複数の発光素子部12及び13を形成する。更に絶縁層16を形成する。
【0039】
すなわち、例えば、基板11としてサファイア基板を用い、基板11の第1面11a上に、p型半導体層、n型半導体層、発光層を含む窒化物系半導体の半導体積層体14を結晶成長させ、面内で分離する。そして、半導体積層体14上の所定領域に、例えば、スパッタリング法やドライエッチング等を組み合わせて、所定のパターンの絶縁層16を形成する。
【0040】
次に、
図4(b)に示すように、発光素子部12及び13において、p型半導体層と電気的に接続されたp電極、及びn型半導体層と電気的に接続されたn電極を形成する。
【0041】
すなわち、絶縁層16の開口部にスパッタリング法等により、発光素子部12のp型半導体層と電気的に接続されたp電極121、及びn型半導体層と電気的に接続されたn電極122を所定形状に形成する。又、絶縁層16の開口部にスパッタリング法等により、発光素子部13のp型半導体層と電気的に接続されたp電極131、及びn型半導体層と電気的に接続されたn電極132を所定形状に形成する。このように、各p電極及びn電極は、絶縁層16に設けられた開口部を介して半導体積層体14のp型半導体層及びn型半導体層と電気的に接続される。
【0042】
更にスパッタリング法等により、絶縁層16上に、n電極122とp電極131とを電気的に接続する配線層17を所定パターンに形成する。これにより、発光素子部12と発光素子部13とが配線層17を介して互いに直列に接続される。但し、配線層17は形成せずに、n電極122と発光素子部12との間に、p電極131と発光素子部13との間に設けられた配線層で電気的に接続されていてもよい。
【0043】
この時点で、
図5(a)のような等価回路の発光素子が得られる。p電極121、n電極122、p電極131、及びn電極132を測定用端子として用い、各々の電極に給電して、発光素子部12と発光素子部13の電気特性を独立に検査できる(p電極121とn電極122との間で、p電極131、及びn電極132との間でそれぞれ検査する)。ここでいう、電気特性の検査とは、例えば、リーク電流の測定等である。必要に応じて、発光テスト等を行ってもよい。
【0044】
次に、
図4(c)に示すように、スパッタリング法等により、電流経路の最上流側の発光素子部12のp電極121上に第1電極123を形成し、電流経路の最下流側の発光素子部13のn電極132上に第2電極133を形成する。以上の工程で、発光素子10が得られる。
【0045】
この時点で、
図5(b)のような等価回路の発光素子が得られる。第1電極123、n電極122、p電極131、及び第2電極133を測定用端子として用い、各々の電極に給電して、発光素子部12と発光素子部13の電気特性を独立に検査できる(p電極121とn電極122との間で、p電極131、及びn電極132との間でそれぞれ検査する)。なお、電気特性を検査する工程は、第1電極123及び第2電極133を形成する工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよいし、両方で行ってもよい。
【0046】
次に、
図4(d)に示すように、p電極121、n電極122、p電極131、及びn電極132を埋設し、第1電極123及び第2電極133を露出する被覆部材20を形成する。具体的には、例えば、p電極121、n電極122、p電極131、n電極132、第1電極123、及び第2電極133を埋設するように金型を用いた圧縮成形により被覆部材20を形成し、その後、第1電極123及び第2電極133の上面が露出するまで機械研磨やサンドブラストにより被覆部材20を研磨してもよい。或いは、基板の第2面11b、第1電極123及び第2電極133に被覆部材が形成されないようにして、キャスト成形により被覆部材20を形成してもよい。
【0047】
なお、被覆部材20を形成する工程では、各々の発光素子部のp電極及びn電極が形成される側の面を被覆部材20で被覆することが好ましい。又、被覆部材20は、光反射材を含有する樹脂を含むことが好ましい。以上の工程により、発光素子10の所定部が被覆部材20で被覆された発光装置1が得られる。
【0048】
このように、本実施形態に係る発光装置では、互いに直列に接続された複数の発光素子部の各々に測定用端子として使用可能なp電極及びn電極を設けることで、発光装置の製造工程において発光素子部ごとに電気特性の検査を行うことができる。これにより、一部の発光素子部に不具合がある発光装置が後工程に流出し、不点灯や暗点灯等の問題が生じることを抑制できる。
【0049】
ところで、隣接する発光素子部のp電極とn電極とは直列に接続されるが、この接続をp電極及びn電極を発光装置から露出させ、発光装置の外側に設けられた配線により行うことも考えられる。しかし、この場合、p電極及びn電極の面積をある程度大きくし、p電極とn電極とのギャップも大きくする必要があるため、発光装置の大型化につながる。
【0050】
これに対し、本実施形態に係る発光装置では、隣接する発光素子部のp電極とn電極との直列接続を発光装置の内層で行うため、p電極及びn電極の面積やギャップを小さくすることが可能となり、発光装置を小型化できる。
【0051】
又、本実施形態に係る発光装置では、複数の発光素子部を直列に接続しているため、順方向電圧の高い発光装置を実現できる。その結果、発光装置に接続される電源側から供給される電流を低減できる。すなわち、小型の電源を使用できる。
【0052】
又、発光装置が得られた状態ではp電極及びn電極は被覆部材に埋設されて絶縁されるため、p電極とn電極のギャップを小さくしても互いが短絡するおそれがなく、p電極やn電極と第1電極や第2電極とが短絡するおそれもない。
【0053】
又、各々の発光素子部のp電極及びn電極が形成される側の面が被覆部材に被覆されるため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0054】
又、本実施形態に係る発光装置では、第1電極や第2電極の形状を工夫することで、被覆部材から露出する第1電極や第2電極の面積を大きくできるため、第1電極や第2電極と接続対象物との接合部(はんだ等)の接合強度や接続信頼性を向上できる。又、第1電極や第2電極の面積を大きくすることで、第1電極や第2電極の電気抵抗を低減でき、更に第1電極や第2電極からの放熱性を向上できる。
【0055】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、被覆部材上に金属膜を形成する例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0056】
図6は、第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式平面図である。
図7は、第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図6のC-C線に沿う断面を示している。
図8は、第1実施形態の変形例1に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図6のD-D線に沿う断面を示している。
【0057】
図6~
図8に示すように、発光装置1Aは、被覆部材20上に第1金属膜124及び第2金属膜134が形成された点が、発光装置1(
図1~
図3参照)と相違する。
【0058】
第1金属膜124は、第1電極123と電気的に接続されている。又、第2金属膜134は、第2電極133と電気的に接続されている。第1金属膜124及び第2金属膜134は、例えば、銅をスパッタリングすることで形成できる。第1金属膜124及び第2金属膜134は、例えば、銅以外に、金、銀、ニッケル、亜鉛等を形成してもよく、銅をめっきすることで形成してもよい。平面視で、第1金属膜124の面積は、第1電極123の面積よりも大きく、第2金属膜134の面積は、第2電極133の面積よりも大きい。
【0059】
第1電極123と電気的に接続された第1金属膜124、及び第2電極133と電気的に接続された第2金属膜134を被覆部材20上に形成する工程は、
図4(d)の工程の後に設けることができる。
【0060】
このように、第1金属膜124及び第2金属膜134を被覆部材20上に設けて外部接続用の電極として用いることで、第1電極123及び第2電極133を外部接続用の電極として用いる場合よりも接続に使用できる面積が大きく取れる。そのため、第1電極123及び第2電極133を外部接続用の端子として用いる場合よりも、第1金属膜124や第2金属膜134と接続対象物との接合部の接合強度や接続信頼性を更に向上できる。又、第1電極123及び第2電極133を外部接続用の端子として用いる場合よりも、第1金属膜124及び第2金属膜134の電気抵抗を低減でき、更に第1金属膜124及び第2金属膜134からの放熱性を向上できる。
【0061】
平面視で、第1金属膜124は、第1電極123の少なくとも一部を覆って被覆部材20に埋設されたn電極122上に延伸することが好ましい。又、第2金属膜134は、第2電極133の少なくとも一部を覆って被覆部材20に埋設されたp電極131上に延伸することが好ましい。これにより、第1金属膜124及び第2金属膜134の面積を、より大きくできる。
【0062】
平面視で、第1金属膜124は、第1電極123の全部を覆って被覆部材20に埋設されたn電極122上に延伸することが好ましい。又、第2金属膜134は、第2電極133の全部を覆って被覆部材20に埋設されたp電極131上に延伸することが好ましい。これにより、第1金属膜124及び第2金属膜134の面積を、特に大きくできる。
【0063】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、第1実施形態とはp電極及びn電極の形状及び配置が異なる例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0064】
図9は、第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式平面図である。
図10は、第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図9のE-E線に沿う断面を示している。
図11は、第1実施形態の変形例2に係る発光装置を例示する模式断面図であり、
図9のF-F線に沿う断面を示している。
【0065】
図9~
図11に示すように、発光装置1Bは、p電極121Bと、n電極122Bと、p電極131Bと、n電極132Bと、第1電極123Bと、第2電極133Bとを有する点が、発光装置1(
図1~
図3参照)と相違する。
【0066】
p電極121Bとn電極122Bは、例えば、Y方向と平行に配置できる。同様に、p電極131Bとn電極132Bは、例えば、Y方向と平行に配置できる。p電極121Bとn電極132Bとの間隔、n電極122Bとp電極131Bとの間隔は、例えば、200μm程度とすることができる。
【0067】
又、p電極121Bとn電極132Bは、例えば、X方向に対して平行に配置できる。又、n電極122Bとp電極131Bは、例えば、X方向に対して平行に配置できる。n電極122Bは、配線層17を介して、p電極131Bと電気的に接続されている。すなわち、
図12に示すように、発光素子部12と発光素子部13とは、配線層17を介して互いに直列に接続されている。
【0068】
被覆部材20は、発光素子部12のp電極121B及びn電極122B並びに発光素子部13のp電極131B及びn電極132Bを埋設している。又、被覆部材20は、第1電極123Bの側面及び第2電極133Bの側面を被覆し、第1電極123Bの上面及び第2電極133Bの上面を露出している。第1電極123Bの側面の一部及び第2電極133Bの側面の一部が、被覆部材20から露出してもよい。
【0069】
外部接続用の電極として使用できる第1電極123B及び第2電極133Bの面積は、測定用端子として使用され、最終的には被覆部材20に埋設するn電極122B及びp電極131Bの面積よりも大きい。
【0070】
n電極122B及びp電極131Bの平面形状は、例えば、正方形である。p電極121B及び第1電極123B、並びにn電極132B及び第2電極133Bの平面形状は、例えば、長方形である。
【0071】
このように、第1電極及び第2電極の形状や配置は、
図1に示す形態には限定されず、
図9に示す形態であってもよい。この場合も、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0072】
又、
図13に示すように、直列に接続される発光素子部は2つには限定されず、3つ以上の任意の個数としてよい。
図13に示す発光装置1Cは、一例として、
図9に示す発光装置1Bの発光素子部12と発光素子部13との間に、p電極181とn電極182が形成された発光素子部18がX方向に4つ配置され、全体として
図14のように、6つの発光素子部が直列に接続された構造である。第1電極123Bは電流経路の最上流側の発光素子部12のp電極121B上に形成され、第2電極133Bは、電流経路の最下流側の発光素子部13のn電極132B上に形成されている。
【0073】
このように、直列に接続される発光素子部の個数を増やすことで、順方向電圧の一層高い発光装置を実現できる。その結果、発光装置に接続される電源側から供給される電流を一層低減できる。すなわち、一層小型の電源を使用できる。
【0074】
なお、直列に接続される発光素子部の個数を増やしても、各々の発光素子部がp電極及びn電極を有しているため、各々の電極に給電して、各々の発光素子部の電気特性を独立に検査できる。
【0075】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0076】
1、1A、1B、1C 発光装置
10 発光素子
11 基板
11a 第1面
11b 第2面
12、13、18 発光素子部
14 半導体積層体
17 配線層
16 絶縁層
20 被覆部材
121、121B、131、131B、181 p電極
122、122B、132、132B、182 n電極
123、123B 第1電極
124 第1金属膜
133、133B 第2電極
134 第2金属膜