IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7492515コンパクトな受動素子構成を有する回路基板
<>
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図1
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図2
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図3
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図4
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図5
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図6
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図7
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図8
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図9
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図10
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図11
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図12
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図13
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図14
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図15
  • 特許-コンパクトな受動素子構成を有する回路基板 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】コンパクトな受動素子構成を有する回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240522BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240522BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H01L23/12 Z
H05K1/18 K
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021531341
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2019058459
(87)【国際公開番号】W WO2020117406
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】16/213,347
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ミリンド エス. バガヴァット
(72)【発明者】
【氏名】ラフール アガルワル
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-223183(JP,A)
【文献】特開2002-026073(JP,A)
【文献】特開2004-179317(JP,A)
【文献】特開2011-103479(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140517(WO,A1)
【文献】特開昭61-201493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H01L 23/12
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造する方法であって、
第1の複数の受動素子(235)を成形材料(240)に少なくとも部分的に封入して、第1の成形受動素子グループ(233a)を生成することと、
前記第1の成形受動素子グループを回路基板(210)のメモリインタフェース領域の外側の前記回路基板の表面に実装し、前記第1の複数の受動素子を前記回路基板に電気的に接続することであって、前記メモリインタフェース領域は複数の導電トレースを含む、ことと、を含む、
製造方法。
【請求項2】
少なくとも1つの半導体チップ(205)を前記回路基板の前記表面に実装することを含む、
請求項1の製造方法。
【請求項3】
前記回路基板に実装する前に、前記第1の複数の受動素子の電極(249a,249b)を露出させることを含む、
請求項1の製造方法。
【請求項4】
第2の複数の受動素子を前記成形材料に少なくとも部分的に封入して、第2の成形受動素子グループ(233b)を生成することを含む、
請求項1の製造方法。
【請求項5】
前記第2の成形受動素子グループから前記第1の成形受動素子グループを個片化することを含む、
請求項4の製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも部分的に封入することは、前記第1の複数の受動素子(235)をキャリア基板(511)に取り外し可能に実装することと、前記第1の複数の受動素子を成形することと、前記キャリア基板を除去することと、を含む、
請求項1の製造方法。
【請求項7】
前記取り外し可能に実装することは、前記第1の複数の受動素子を、前記キャリア基板に配置されたキャリアテープ(513)に実装することを含む、
請求項6の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも部分的に封入することは、圧縮成形することを含む、
請求項1の製造方法。
【請求項9】
表面と、複数の導電トレースを含むメモリインタフェース領域と、を有する回路基板(210)と、
前記回路基板の前記表面に実装され、前記メモリインタフェース領域の外側の前記回路基板に電気的に接続された少なくとも1つの成形受動素子グループ(233a)と、を備え、
前記少なくとも1つの成形受動素子グループは、それぞれ上面及び成形材料(240)を有する第1の複数の受動素子(235)を備え、前記成形材料は、互いに接合され、前記第1の複数の受動素子の前記上面を覆う、
装置。
【請求項10】
前記回路基板に実装された少なくとも1つの半導体チップ(205)を備える、
請求項9の装置。
【請求項11】
前記第1の複数の受動素子は、前記成形材料によって封入されていない表面を有する電極を備える、
請求項9の装置。
【請求項12】
前記回路基板に実装された複数の半導体チップを備える、
請求項9の装置。
【請求項13】
前記回路基板は、半導体チップパッケージ基板を備える、
請求項9の装置。
【請求項14】
前記複数の導電トレースは、半導体チップと1つ以上のメモリデバイスとの間の信号経路を提供する、
請求項1の製造方法。
【請求項15】
前記1つ以上のメモリデバイスは、外部メモリデバイスである、
請求項14の製造方法。
【請求項16】
前記複数の導電トレースは、前記半導体チップを越えて延在する、
請求項14の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
全ての集積回路は、動作するのに電力を必要とし、パッケージ化された集積回路も例外ではない。電力は、通常、電源及び何らかの形の電力供給ネットワークを介して集積回路に供給される。現在利用可能な電源は、安定した電圧を供給するように設計されているが、集積回路に供給される実際の電力は、かなりの量のノイズを含むことがある。電源に結合された他のデバイスによって生じる電圧変動、電磁干渉等のノイズ発生源が多く存在する。
【0002】
従来のパッケージ化された集積回路は、典型的には、キャリア基板上に実装された半導体チップを含む。キャリア基板は、マザーボード又はカード等のプリント回路基板に実装されるように構成されている。典型的な従来のキャリア基板は、複数のビアによって垂直に結合された複数の層の導体平面又はトレースから構成された相互接続システムを含む。キャリア基板のダイ側の入力/出力パッドは、ダイに接続し、キャリア基板の下側の入力/出力パッドは、プリント回路基板に接続する。下側の入力/出力をプリント回路基板に電気的に接続するために、ボールグリッドアレイ、ランドグリッドアレイ又はピングリッドアレイが使用される。
【0003】
電源ノイズに関連する問題に対処するために、従来の半導体チップパッケージは、デカップリングキャパシタを使用する。これらのデカップリングキャパシタの多くは、キャリア基板に実装される。1つの従来の変形例では、デカップリングキャパシタは、ダイの周辺でキャリア基板のダイ側に実装される。別の従来の変形例では、デカップリングキャパシタは、キャリア基板の下側に実装される。
【0004】
本発明の上記の利点及び他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的な従来の半導体チップパッケージの部分分解図である。
図2】例示的な半導体チップパッケージ基板の平面図である。
図3図2の一部の拡大図である。
図4図2の一部の拡大図である。
図5】例示的な成形受動素子グループを有する例示的な半導体パッケージ構成の平面図である。
図6図5の一部の拡大図である。
図7図6の断面7-7で得られる断面図である。
図8】成形品の一部が切断されたに図6の一部を示す図である。
図9】例示的な成形受動素子グループを有する代替的な例示的な半導体パッケージ構成の平面図である。
図10】例示的な成形受動素子グループを有する代替的な例示的な半導体パッケージ構成の平面図である。
図11】キャリア基板上の受動素子グループの例示的な構成を示す断面図である。
図12図11と同様の断面図であるが、受動素子を少なくとも部分的に封入するための例示的な成形を示す図である。
図13図12と同様の断面図であるが、キャリア基板の除去を表す示す図である。
図14図13と同様の断面図であるが、成形受動素子グループの例示的なシンギュレーションを示す図である。
図15】成形受動素子グループの回路基板への例示的な実装を示す断面図である。
図16】代替的な例示的な成形受動素子グループの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
従来、半導体チップパッケージ基板の表面には、デカップリングキャパシタが1つずつ実装されている。各キャパシタは、パッケージ基板の下にある半田構造と垂直に位置合わせされた電極と共に配置される。半田構造を一時的に液化するために、リフローが実行される。冷却によって半田構造が固化し、キャパシタとパッケージ基板との間に電気的及び機械的接続が形成される。実装プロセスは、ピックアンドプレース(pick and place)動作を含む。ピックアンドプレース動作における不完全性、及び/又は、半田構造のサイズ、高さ、位置の変動により、リフロー中にキャパシタが揺動、回転又は移動する可能性がある。動きが非常に大きい場合、キャパシタが別のキャパシタにショートすることがある。この危険を回避するために、従来のキャパシタ実装技術は、ピックアンドプレースされたキャパシタの最小間隔に関する設計ルールに従う。これは、パッケージ基板設計及びサイズに著しい制約を課す。多くのパッケージ基板は、メモリインタフェース領域を利用しており、この領域では、多くの近接して配置された導体トレースがチップ実装領域からファンアウト(fan out)する。従来の配置されたキャパシタのパッキング制約に起因して、このようなメモリインタフェース領域は、典型的には、重なり合うキャパシタを有し、これは、導体トレースをルーティングするタスクを困難にする。
【0007】
開示される構成は、成形受動素子グループ(molded passive component groups)を利用する。成形受動素子グループを、はるかに狭い最小間隔で一緒に成形することができる。結果として、同一のサイズのパッケージ基板に対してより多くの受動素子を実装することができ、及び/若しくは、メモリインタフェース領域の外側により多くの受動素子を実装することができ、又は、従来よりも多くのチップを実装することができるような方法でより多くの受動素子を実装することができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、成形材料に第1の複数のキャパシタを少なくとも部分的に封入して、第1の成形受動素子グループを生成することを含む製造方法が提供される。第1の成形受動素子グループは、回路基板の表面に実装される。第1の複数のキャパシタは、回路基板に電気的に接続される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、成形材料に複数のキャパシタのグループを少なくとも部分的に封入し、成形受動素子グループを個片化することによって、複数の成形受動素子グループを製造することを含む製造方法が提供される。成形受動素子グループは、半導体チップパッケージ基板の表面に実装される。キャパシタは、半導体チップパッケージ基板に電気的に接続される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、表面を有する回路基板と、回路基板の表面に実装され、回路基板に電気的に接続された少なくとも1つの成形受動素子グループと、を含む装置が提供される。少なくとも1つの成形受動素子グループは、上面及び成形材料をそれぞれ有する第1の複数のキャパシタを含み、成形材料は、互いに接合され、第1の複数のキャパシタの上面を覆う。
【0011】
以下に説明する図面では、同一の要素が複数の図面に現れる場合には、符号が全体的に繰り返される。ここで、図面、特に図1を参照すると、例示的な従来の半導体チップパッケージ100の部分分解図が示されており、例示的な従来の半導体チップパッケージ100は、パッケージ基板110上に実装された半導体チップ105を含む。蓋115は、ヒートスプレッダとして機能するようにパッケージ基板110に実装され、熱インタフェース材料120を介して半導体チップ105と熱接触している。この例示的な従来の構成では、パッケージ基板110は、ピングリッドアレイソケット(図示省略)に挿入するように設計された複数の導体ピン125を含むピングリッドアレイパッケージである。パッケージ基板120の上面130には複数の表面素子135が配置されており、複数の表面素子135は、典型的には、この従来の構成ではキャパシタである。図2を参照することによって、従来の半導体チップパッケージ100のさらなる詳細を理解することができ、図2は、パッケージ基板110平面図であるが、図1に示す蓋115を有していない。熱インタフェース材料の一部を切断して、その下にある半導体チップ105を露出させる。従来のキャパシタ135は、ピックアンドプレース動作における個々のアイテムとして、パッケージ基板110の上面130に実装される。この例示的な構成では、半導体チップ105の周辺に6つのキャパシタグループ140a,140b,140c,140d,140e,140fが配置されている。パッケージ基板110は、図2には示されていないが、パッケージ基板110全体に亘ってファンアウトする多数の導体トレースを含む。これらの不可視の導体トレースの多くは、パッケージ基板110のメモリインタフェース領域145a,145b(破線の間の領域)内に配置されている。半導体チップ105と外部メモリデバイス(図示省略)との間の多数の信号経路を扱うために、典型的には、より多くの数及びより高密度の導体トレースがメモリインタフェース領域145a,145b内に存在する。従来のキャパシタ135の実装に関連するサイズ及びプロセスの制限のために、例えば、キャパシタグループ140b,140c,140e,140f内のいくつかのキャパシタ135は、メモリインタフェース領域145a,145bに配置される。これにより、下にある導体トレースをルーティング及び配置する機能が制限される。
【0012】
図3を参照することによって、従来のパッケージ基板110及びその上のキャパシタ135の構成のさらなる詳細を理解することができる。図3は、キャパシタグループ140fが配置されたパッケージ基板110の一部を示す図である。上述したように、キャパシタ135は、パッケージ基板110の上面130上に個別に配置される。典型的な従来のキャパシタ135は、ある程度の長さa及び幅bを有する。1つの従来の構成では、aは1.6ミリメートルであり、bは0.8ミリメートルである。キャパシタ135を配置するための従来のプロセスにおける制約のために、設計ルールは、x軸に沿った個々のキャパシタ135間の最小間隔xと、y軸に沿ったキャパシタ間の同じ最小間隔xと、を必要とすることがある。1つの従来の構成は、0.8ミリメートルの最小間隔xを規定する。rが、キャパシタグループ140f内のキャパシタ135の行の数に等しく、cが、キャパシタグループ140f内のキャパシタ135の列の数に等しく、nが、キャパシタグループ140f内のキャパシタ135の数に等しいとする。キャパシタグループ140fの場合、r=6、c=2、n=12である。配置の制約のために、キャパシタグループ140fは、破線ボックス150で表され、式(1)によって与えられる総表面積Aを消費する。
【数1】

値a=1.6ミリメートル、b=0.8ミリメートル、x=0.8ミリメートル、r=6、c=2、n=12を式(1)に代入すると、35.2平方ミリメートルの破線ボックス150の領域Aが得られる。
【0013】
図4は、2つのキャパシタ135の平面図である。各キャパシタ135は、従来のパッケージ基板110の4つの半田パッド155上に実装されており、半田パッド155は、各キャパシタ135の角部に近接して配置されている。ピックアンドプレース動作の間、各キャパシタ135は、半田パッド155上に実装され、半田パッド155を一時的に液化してキャパシタ135との冶金的接合を確立するためにリフロー処理が行われる。このリフローフェーズ中にキャパシタ135が回転して位置合わせが外れる可能性と、下にある半田パッド155に対するキャパシタ135の垂直方向の配置の精度が不完全であることとに起因して、従来の設計ルールは、キャパシタの位置がずれて互いにショートしたり、他の問題を生じさせる傾向を補償するために、上述した最小間隔x=0.8ミリメートルを必要とする。
【0014】
半導体チップデバイス200の例示的な新たな構成が図5に示されており、図5は、回路基板210に実装された半導体チップ205を示す平面図であり、半導体チップ205は、半導体チップパッケージ基板、回路カード、システムボード、又は、その他であってもよい。回路基板210は、有機ビルドアップ設計、多層プリプレグ設計、セラミック設計、又は、他の設計であってもよい。前の図に示されたタイプの熱インタフェース材料220は、半導体チップ205上に配置されてもよく、実際に、下にある半導体チップ205を露出させるように部分的に切断して示されている。半導体チップ205から熱を取り除くために、図1に示すタイプ又は他のタイプの蓋(図示省略)が使用されてもよい。図1図2図3及び図4に示すキャパシタ135の従来の構成に関連する技術的問題を軽減するために、回路基板210の上面230には、複数の成形受動素子グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hが配置されている。成形受動素子グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hの各々は、成形材料240の内部で成形された複数の受動素子235(破線ボックスで示す)から構成される。この例示的な構成及び開示される代替的な構成の受動素子235は、キャパシタ、インダクタ又はレジスタであってもよい。以下により詳細に説明するように、受動素子235は、所定の受動素子グループ233a,233b等における受動素子235間の非常に狭い間隔を設けるプロセスにおいて、成形材料240の内部に成形される。実際に、従来の構成は、0.8ミリメートルの最小間隔xを必要とするのに対し、開示された新たな構成は、受動素子235間の最小間隔を0.1ミリメートル程度にまで小さく、場合によっては更に小さく減少させる。これにより、グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hの各々における受動素子235のパッキング密度を大幅に高めることができ、よって、回路基板210の所定のサイズに対して従来よりも多くの受動素子235を設けることができ、また、受動素子グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hを回路基板210のメモリインタフェース領域245a,245bの外側に配置することを可能にし、回路基板210内の下にある導体トレース246(破線で示される)の数及び配置をより柔軟にすることができる。
【0015】
図6及び図7を参照することによって、受動素子グループ233aのさらなる詳細を理解することができる。図6は、受動素子グループ233a及び回路基板210の上面230を図5よりも拡大した平面図である。図7は、断面7-7において得られた図6の断面図である。受動素子グループ233aの以下の説明は、他の受動素子グループ233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hを例示するものである。先ず、図6を参照すると、上述したように、受動素子グループ233aは、成形材料240内に少なくとも部分的に埋め込まれ又は封入された複数の受動素子235から構成されており、一対の受動素子235が露出するように部分的に切断して示されている。受動素子235の各々は、中央絶縁被覆247と、電極249a,249bと、を含む。ここで、受動素子グループ233aは、12個の受動素子235を含む。しかしながら、当業者であれば、実質的に任意の数、例えば2つ以上を成形材料240内に集約させ得ることを認識するであろう。
【0016】
図7を参照すると、図7は、上述したように、断面7-7において得られた図6の断面図である。断面7-7の位置により、一対の受動素子235及び成形材料240の一部が断面において示されることに留意されたい。左側の受動素子235は、上述した絶縁被覆247及び電極249a,249bを含み、電極249a,249bは、下にある半田パッド257a,257bとオーミック接触している。右側の受動素子235も同様に、中央絶縁領域247及び電極249a,249bを有し、電極249a,249bは、下にある半田パッド257a,257bに接続されている。受動素子235は、マルチプレート、シングルプレート等の実質的に任意のキャパシタ設計、又は、実質的にレジスタ設計若しくはインダクタ設計の受動素子であってもよい。半田パッド257a,257bは、下にある回路基板210上に形成された半田マスク252の開口を介して下方に突出する。半田パッド257a,257bは、それぞれの下にある金属膜化パッド258a,258bに接続されている。受動素子235の各々の下にある半田パッド257a,257bの数は、2つより多くてもよく、実際には、図4に示す半田パッド155と同様であってもよいことを理解されたい。オプションとして、2又は4以外の何らか等の他の数が使用されてもよい。上述したように、成形材料240は、受動素子235を少なくとも部分的に封入し、受動素子235と共に、上述した成形受動素子グループ233aを生成する。半田熱インタフェース材料等のように、受動素子235を損傷させ、そうでなければ受動素子235を電気的にショートさせる材料から受動素子235を保護するために、成形材料240は、受動素子235の上面260を覆うことが望ましい。しかしながら、成形材料240は、受動素子235の各々の電極249a,249bを露出するように成形又は処理され、その結果、半田パッド257a,257bと冶金学的結合を形成することができる。成形受動素子グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hの何れか又は全て(或いは、任意の開示された代替物)を、回路基板210の表面230若しくは回路基板210の反対側の表面259、又は、任意の開示された代替物に実装することができることも理解されたい。ここで、回路基板210は、複数のランド261を有するランドグリッドアレイ設計である。代替的な構成は、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、他のI/O、又は、I/Oを用いない構成が可能である。
【0017】
図8に関連して、成形受動素子グループ233aの形状に関するさらなる詳細を説明する。図8は、従来のキャパシタグループ140fの図3と同様の平面図であるが、ここで説明する重要な相違点のいくつかを明確に示している。受動素子235は、前の図に示され、上述したキャパシタ135と同じ長さa1及び幅b、又は、他の長さ及び幅を有してもよい。しかしながら、以下でより詳細に説明する異なる処理技術のために、受動素子235は、最小間隔xで成形材料240内に成形されてもよく、この最小間隔xは、上述したように、上述した従来の最小間隔xの一部(fraction)であってもよい。図3に示す従来のキャパシタグルーピング140fの従来の領域150は、図8において、新たな成形受動素子グループ233aの周囲に重なっていることに留意されたい。最小間隔x(x<x)であるため、受動素子グループ233aは、従来の設計の領域150のほんの一部を占めるに過ぎない。領域Aは、式(2)によって与えられる。
【数2】

式(2)は、xをxに置き換えることで式(1)を修正することによって得られる。比較のために、受動素子グループ233aについて、r=6、c=2、n=12、a=1.6ミリメートル、b=0.8ミリメートル、x=0.1ミリメートルであると想定する。これらの値を式(2)に代入すると、受動素子グループ233aの領域Aは17.49平方ミリメートルとなり、従来のAの35.2平方ミリメートルよりも著しい減少である。
【0018】
成形材料240の外部境界領域270によって占有された領域は、成形受動素子グループ233aによって占有された総領域に含まれてもよい。境界領域270の領域Aborderは、式(3)によって与えられる。
【数3】

dは、成形受動グループを個片化するために使用される切断ブレードのダイシングカーフ幅である。dの典型的な値は、0.040~0.050ミリメートルである。境界270の幅t(及び、t=2(x-d)によって与えられる)は、0.11ミリメートルのオーダーで非常に小さくてもよく(dについて0.045ミリメートルの中間値の場合)、又は、所望であれば更に小さくすることができると予想される。幅tは、以下に説明するシンギュレーション(個片化)に使用される精度及び技術に依存することを理解されたい。値d=0.045ミリメートル、a=1.6ミリメートル、b=0.8ミリメートル、x=0.1ミリメートル、c=2、r=6を式(3)に代入すると、4.789平方ミリメートルの領域Aborderが得られる。よって、受動素子グループ233aが占める総領域は、A+Aborderすなわち22.28平方ミリメートルである。ここで、受動素子グループ233a,233b,233c,233d,233e,233f,233g,233hは、8以外の数であってもよく、異なる数の受動素子235を有してもよいことを理解されたい。或るグループが2つの受動素子を有してもよく、別のグループが6つの受動素子を有してもよい等である。式(2)及び式(3)は、受動素子235の対称配置に対して有効であり、すなわち、各列における同一の数の受動素子、及び、素子235と対称境界領域270との間の等しい間隔に対して有効である。もちろん、非対称配置について領域A及びAborderを容易に計算することができる。
【0019】
成形受動素子グループを、その付随するフットプリントが小さい状態で利用することによって、様々な利点を実現することができる。図9は、例えば、回路基板310上、特にその上面330に実装された複数の半導体チップ305a,305b,305cを含む、半導体チップデバイス300の代替的な例示的な構成の平面図である。回路基板310は、本明細書の他の箇所で開示された回路基板210と同様に構成されてもよい。ここで、回路基板310の上面330には、8つの成形受動素子グループ333a,333b,333c,333d,333e,333f,333g,333hが実装されている。しかしながら、受動素子グループ333aは、従来の設計、例えば、上述したキャパシタグループ140fによって許容された受動素子グループよりも比例して非常に小さいので、回路基板310の追加の表面領域は、メモリインタフェース領域345a,345bの範囲内に受動素子グループ333a,333b,333c,333d,333e,333f,333g,333hの何れも配置する必要なく、同様のサイズの1つではなく3つの半導体チップ305a,305b,305cを配置するために利用することができる。言い換えると、パッケージ基板110の従来の設計とほぼ同じ回路基板310のフットプリントにより、メモリインタフェース領域345a,345b内でのトレースのルーティングを必ずしも制約することなく、グループ333a,333b,333c,333d,333e,333f,333g,333hのより多くの受動素子を回路基板310上に配置することができ、より多くの及び/又はより大きな半導体チップを収容することができる。
【0020】
さらに別の例示的な構成では、図10の平面部に示す半導体チップパッケージ400は、回路基板410上、特に、その上面430に実装された半導体チップ405a,405b,405c,405d,405eを含む。回路基板410は、本明細書の他の箇所で開示された回路基板210,310と同様に構成されてもよい。ここで、チップ405a,405b,405c,405d,405eの両側の上面430には、複数の成形受動素子グループ433a,433b,433c,433dが実装されている。しかしながら、受動素子グループ433a,433b,433c,433dは、以下に説明する技術を使用して製造されるので、回路基板410の上面430のうちチップ405d,405eの各々が実装されるところに近接した部分は、表面素子の配置とは対照的に、チップの配置のために解放される。ここで、受動素子グループ433a,433b,433c,433dの一部は、メモリインタフェース領域345a,345b上に配置されてもよいが、この空間的配置は、回路基板410上にチップ405d,405eの形態で半導体を追加する能力によって補償される。
【0021】
ここで、図11図12図13図14図15を参照し、最初に図11を参照することによって、開示された構成の何れかの成形受動素子グループを製造する例示的な方法を理解することができる。最初に、受動素子235の1つのグループ507及び受動素子235の1つ以上の他のグループ509は、キャリア基板511上に取り外し可能に実装される。これは、キャリア基板511上に配置された図示されたキャリアテープ513を使用して、又は、光若しくは熱活性化接着剤等の他の着脱可能技術によって行われてもよい。この処理は、ウェーハ規模に基づいて実行することができるので、数十又はより多くの受動素子グループ507,509等が存在することができる。キャリア基板511は、ガラス、シリコン若しくは他の材料から構成されたキャリアウェハ又は他の加工物であってもよい。グループ507の受動素子235は、例えば、図5に示す最終的な成形受動素子グループ233aの受動素子235であってもよく、受動素子グループ509の受動素子235は、例えば、図5に示す最終的な成形受動素子グループ233hの受動素子235であってもよい。グループ507の受動素子235は、最小間隔xでキャリアテープ513上に配置され、グループ509の受動素子235も同様に最小間隔xでキャリアテープ513上に実装される。この狭い間隔は、ウェハレベルプロセスによって許容される。次に、図12に示すように、グループ507,509の受動素子235は、成形材料522を生成する成形プロセスに供される。成形材料522は、キャリアテープ513の覆われていない部分を覆い、グループ507,509の各々の受動素子235間の隙間517と、グループ507,509の各々のページ内外に間隔を空けた受動素子間の隙間を埋める。また、成形522は、受動素子235の各々の上面260を覆うように実行される。成形材料522は、後続のシンギュレーションプロセスを経て、図5に示す個々の成形材料240及び受動素子グループ233a,233h等に分解される。成形材料522は、Sumitomo EME-G750若しくはG760等の周知の成形化合物から構成されてもよく、約165℃で約60~120分間圧縮成形されてもよい。キャリアウェハ511は、これらのプロセスのための支持構造として残存する。
【0022】
次に、図13に示すように、キャリア基板511及びキャリアテープ513を、成形受動素子グループ233a,233hの再構成された組み合わせ532を残すように除去し、成形受動素子グループ233a,233hの再構成された組み合わせ532は、成形522によって少なくとも部分的に覆われた受動素子グループ507,509の受動素子235から構成されている。何れかの成形522が受動素子235の電極249a,249bの下側を覆っている場合、この段階において適切な研削又は他の材料除去プロセスを実行して、基板実装中に半田が電極に対して容易にウェットであることを確実にするべきである。このとき、成形522を切断する適切なダイシングソー542又は他の技術によって、図14に示す成形受動素子グループ233hから成形受動素子グループ233aを個片化することが望ましい。ダイシングソー542は、図8に示され、上述された成形境界270の厚みtを少なくとも部分的に決定するいくつかのカーフ(kerf)dを有する。シンギュレーション(個片化)に続いて、成形受動素子グループ、例えば、図15に示す受動素子235及び成形240を含む受動素子グループ233aを、成形受動素子グループ233a等の受動素子235と、他の受動素子グループ233b,233c,233d,233e,233f,233g,233h(図5を参照)とのために必要な冶金的接続を確立するために、回路基板210の下にある半田パッド257a,257bに実装してもよい。次に、半田相互接続パッド257a,257bを一時的に液化し、続けて、回路基板210との冶金的接続を生成するように冷却するために、適切なリフローが実行されてもよい。
【0023】
上述したように、成形受動素子グループは、対称又は非対称であってもよい。図16は、図8と同様の平面図であるが、成形材料540内に受動素子535を含む成形受動素子グループ533aの代替的な例示的な構成を示す。様々な非対称性が示される。例えば、左側の列が6つの受動素子535を含み、右側の列が2つの受動素子535のみを含む。左上の受動素子は、いくつかの寸法a及びbを有し、次の下側の受動素子535は、より小さいフットプリントを有する。左側の一番下の受動素子535は、他の受動素子535に対して回転されている。これらは、いくつかの可能な変形例を表している。
【0024】
本発明は、様々な変形及び代替形態を受け入れることができ、特定の実施形態が図面において例として示されており、本明細書で詳細に説明している。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるのを意図していないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更、均等物及び代替物を包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16