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特許7492601プラズマ処理装置のエッジリングにおける電力を操作するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置のエッジリングにおける電力を操作するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240522BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022561405
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020066807
(87)【国際公開番号】W WO2021206767
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】16/845,479
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サイ, リンイン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, ジェームズ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0013184(US,A1)
【文献】特開2010-183074(JP,A)
【文献】特開2005-203491(JP,A)
【文献】特開2000-150480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
静電チャックであって、基板を該静電チャックの基板支持面にチャックするためにその中に埋め込まれた1又は複数のチャック電極を有する静電チャックと、
前記静電チャック上に配置され、前記基板支持面を囲むエッジリングと、
前記エッジリングと、前記静電チャックの下方に配置されたベースプレート又は前記静電チャック内に配置された電極のうちの少なくとも1つとに結合された2つ以上の無線周波数(RF)電源と、
前記エッジリングを前記2つ以上のRF電源に結合させる整合ネットワークと、
前記エッジリングを前記2つ以上のRF電源に結合させるRF回路であって、互いに並列に接続され且つ前記2つ以上のRF電源と前記エッジリングの間に配置された2つ以上の回路ブロックを用いて、前記2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つを同時に調整するように構成されたRF回路と
を備える、基板支持アセンブリ。
【請求項2】
前記エッジリングにおけるRF電圧、RF電流、又はRF位相のうちの少なくとも1つを操作するために、前記RF回路に結合され且つ前記エッジリングの下方に配置されたリング電極を介して、2つ以上の可変キャパシタを調節するように構成されたコントローラ
を更に備える、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項3】
前記RF回路は近共振で動作し、前記2つ以上の回路ブロックの各々は、
接地と前記回路ブロックの中間脚部との間に接続された電気部品、
前記整合ネットワークの入力線と前記回路ブロックの前記中間脚部との間に接続された電気部品、及び
前記回路ブロックの前記中間脚部に接続された電気部品、
を含む、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項4】
記電気部品は、可変キャパシタと、インダクタ、インダクタと直列の可変キャパシタ、又はインダクタと並列の可変キャパシタのうちの少なくとも1つとを含む、請求項3に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項5】
前記2つ以上の回路ブロックのうちの1つの回路ブロックの出力部は、ブロッキングキャパシタ、及び前記ブロッキングキャパシタと前記2つ以上の回路ブロックのうちの1つの回路ブロックの出力部との間に配置されたDC電源を含む、請求項3に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項6】
前記2つ以上のRF電源は、前記静電チャックに配置された電極に結合される、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項7】
前記2つ以上のRF電源は、前記ベースプレートに結合される、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項8】
前記エッジリングの下方に配置されたリング電極に結合され、動作中に前記エッジリングにクランプ力を与えるように構成されたDC電源を更に備える、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
前記2つ以上のRF電源及び前記整合ネットワークは、前記基板と前記エッジリングの下方に配置されたリング電極とによって使用中に共有されるように構成される、請求項1から3又は6から8のいずれか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
プロセスチャンバであって、
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体上に配置されたリッドと、
前記リッドの上方に位置決めされたプラズマ装置と、
前記チャンバ本体内に位置決めされた基板支持アセンブリであって、
静電チャックであって、基板を該静電チャックの基板支持面にチャックするためにその中に埋め込まれた1又は複数のチャック電極を有する静電チャックと、
前記静電チャック上に配置され、前記基板支持面を囲むエッジリングと、
前記エッジリングと、前記静電チャックの下方に配置されたベースプレート又は前記静電チャック内に配置された電極のうちの少なくとも1つとに結合された2つ以上の無線周波数(RF)電源と、
前記エッジリングを前記2つ以上のRF電源に結合させる整合ネットワークと、
前記エッジリングを前記2つ以上のRF電源に結合させるRF回路であって、互いに並列に接続され且つ前記2つ以上のRF電源と前記エッジリングの間に配置された2つ以上の回路ブロックを用いて、前記2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つを同時に調整するように構成されたRF回路と
を含む基板支持アセンブリと
を備える、プロセスチャンバ。
【請求項11】
前記エッジリングにおけるRF電圧、RF電流、又はRF位相のうちの少なくとも1つを操作するために、前記RF回路に結合され且つ前記エッジリングの下方に配置されたリング電極を介して、2つ以上の可変キャパシタを調節するように構成されたコントローラ
を更に備える、請求項10に記載のプロセスチャンバ。
【請求項12】
前記RF回路は近共振で動作し、前記2つ以上の回路ブロックの各々は、
接地と前記回路ブロックの中間脚部との間に接続された電気部品、
前記整合ネットワークの入力線と前記回路ブロックの前記中間脚部との間に接続された電気部品、及び
前記回路ブロックの前記中間脚部に接続された電気部品、
を含む、請求項10に記載のプロセスチャンバ。
【請求項13】
記電気部品は、可変キャパシタと、インダクタ、インダクタと直列の可変キャパシタ、又はインダクタと並列の可変キャパシタのうちの少なくとも1つとを含む、請求項12に記載のプロセスチャンバ。
【請求項14】
前記2つ以上の回路ブロックのうちの1つの回路ブロックの出力部は、ブロッキングキャパシタ、及び前記ブロッキングキャパシタと前記2つ以上の回路ブロックのうちの1つの回路ブロックの出力部との間に配置されたDC電源を含む、請求項12に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、プラズマプロセスにおいて無線周波数電力を操作するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]エッジリング(例えば、プロセスキット)は、プロセスチャンバ内でのプラズマ処理中に、半導体基板等の基板の周囲を取り囲む円形部品である。エッジリングはプロセスチャンバ内でプラズマに暴露されるため、エッジリングが腐食し、時間の経過とともに交換やメンテナンスが必要になることがある。エッジリングがひどく腐食すると、基板エッジのプラズマシースの形状が歪み、基板エッジでのプラズマ処理特性が変化する。プラズマ処理特性が変化すると、基板エッジにおいて好ましくない処理効果が生じるため、基板エッジ近傍の歩留まりが低下する。また、シースを調節することで、基板の最エッジにおける高アスペクト比特徴の傾きを調節することも可能となる。基板に対して移動可能なエッジリング等の、プラズマシースを制御する他の方法及び装置が存在する。しかしながら、本発明者らは、このような移動部品は、望ましくないことに、プロセスチャンバ内の粒子形成を増加させることになり得ると考える。代替的に、別個のRF整合ネットワークを有する独立した無線周波数(RF)ジェネレータにより、エッジリングを直接駆動することができる。しかしながら、複数のRF周波数が基板バイアスに使用される場合、そのようなジェネレータはうまく機能せず、二重周波数整合ネットワークを有する複数のジェネレータは非常に高価であり得る。
【0003】
[0003]したがって、本発明者らは、基板を処理するための改良された装置及び方法を提供するものである。
【発明の概要】
【0004】
[0004]プラズマプロセスにおいて二重無線周波数電力を操作するための方法及び装置が本明細書に開示される。幾つかの実施形態では、基板支持アセンブリは、基板を静電チャックの基板支持面にチャックするためにその中に埋め込まれた1又は複数のチャック電極を有する静電チャックと;静電チャック上に配置され、基板支持面を囲むエッジリングと;エッジリングと、静電チャックの下方に配置されたベースプレート又は静電チャック内に配置された電極のうちの少なくとも1つとに結合された2つ以上の無線周波数(RF)電源と;エッジリングを2つ以上のRF電源に結合させる整合ネットワークと;エッジリングを2つ以上のRF電源に結合させるRF回路であって、2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つを同時に調整するように構成されたRF回路とを含む。
【0005】
[0005]少なくとも幾つかの実施形態によれば、プロセスチャンバは、チャンバ本体と;チャンバ本体上に配置されたリッドと;リッドの上方に位置決めされたプラズマ装置と;チャンバ本体内に位置決めされた基板支持アセンブリとを含み、基板支持アセンブリは、基板を静電チャックの基板支持面にチャックするためにその中に埋め込まれた1又は複数のチャック電極を有する静電チャックと;静電チャック上に配置され、基板支持面を囲むエッジリングと;エッジリングと、静電チャックの下方に配置されたベースプレート又は静電チャック内に配置された電極のうちの少なくとも1つとに結合された2つ以上の無線周波数(RF)電源と;エッジリングを2つ以上のRF電源に結合させる整合ネットワークと;エッジリングを2つ以上のRF電源に結合させるRF回路であって、2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つを同時に調整するように構成されたRF回路とを含む。
【0006】
[0006]少なくとも幾つかの実施形態によれば、基板支持アセンブリ上に位置決めされた基板を処理する方法は、2つ以上の無線周波数(RF)電源と電極及びエッジリングの各々との間に結合された整合ネットワークを通して、2つ以上のRF電源から2つ以上のRF周波数におけるRF電力を、基板の下方に配置された電極及びそれに隣接して位置決めされたエッジリングの各々に供給することと、エッジリングに隣接するプラズマシースの、基板に隣接するプラズマシースとの比較の差を制御するために、2つ以上のRF電源とエッジリングとの間に配置されたエッジ同調回路を用いて、2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つを調整することとを含む。
【0007】
[0007]本開示の他の及び更なる実施形態を、以下に説明する。
【0008】
[0008]添付の図面に示す本開示の実施例示的な実施形態を参照することにより、上記に要約し、以下により詳細に説明する本開示の実施形態を理解することができる。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、プロセスチャンバの概略断面側面図である。
図2A】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、図1に示す基板支持アセンブリの部分を示す拡大概略側面図である。
図2B】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、図1に示す基板支持アセンブリの部分を示す拡大概略側面図である。
図3】A~Cは、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、基板の周囲に対するプラズマシースの概略図である。
図4A】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、RF回路を示す概略回路図である。
図4B】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、RF回路を示す概略回路図である。
図5】A~Bは、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、RF回路の概略図である。
図6】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、基板支持アセンブリ上に位置決めされた基板を処理する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015]理解を容易にするために、可能な限り、共通の特徴である同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。図面は縮尺どおりに描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0011】
[0016]本開示は、概して、基板支持アセンブリの無線周波数(RF)振幅を制御する装置及び方法に関するものである。可動エッジリングを使用する従来の方法及び装置と比較して、本明細書に記載の方法及び装置は、粒子の懸念を低減し、シース全体を上下に動かすのとは対照的に、複数のRFジェネレータの各周波数(例えば、2つ以上の周波数)の独立した制御を提供する。更に、単一の周波数においてエッジリングのための別個のRFジェネレータを使用する従来の方法及び装置と比較して、2つ以上のRF周波数に対して機能する同調回路は、エッジリングのための2つ以上の別個のRFジェネレータ及び整合回路のコストを節約することができる。
【0012】
[0017]本開示は、2つ以上のRF周波数において独立して同時に調整することができる幾つかの同調回路を含む。各RF周波数は、イオンエネルギー分布及びイオン角度分布等の幾つかのプラズマパラメータに固有の効果を有するため、RF周波数の独立した制御を有することで、基板エッジに対してより高い調整能力が得られる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、電極は、基板の周囲の下方に位置決めされ得る、及び/又は基板支持アセンブリの周囲に位置決めされたエッジリングの下方に位置決めされ得る。
【0013】
[0018]動作中、プラズマシースが、例えば、エッジリング腐食のためにエッジリングに隣接して低下すると、可変キャパシタのキャパシタンスが、基板のエッジ近傍のRF振幅に影響を与えるように調節され得る。電極及び可変キャパシタを介してRF振幅を調節することにより、基板の周囲近傍のプラズマシースが調節される。基板の周囲でシースを曲げることにより、ウエハのエッジから約0から5mm~10mm(プロセス条件による)の領域でイオンを集束させる(例えば、エッチング速度を上げる)、又はイオンを非集束させる(例えば、エッチング速度を下げる)ことができる。
【0014】
[0019]従って、本開示の利点は、チャンバ部品を交換する代わりに基板エッジでプラズマシースを調節する能力を含み、したがって、ダウンタイム、粒子を軽減し、消耗品の支出を抑えながらデバイスの歩留まりを改善する。更に、本明細書に記載の実施例は、基板中心におけるプラズマパラメータに影響を与えることなく、基板エッジにおいてプラズマシースを調節することを可能にし、したがって、最エッジのプロセスプロファイル制御及び特徴傾斜の補正のための調整ノブを提供する。
【0015】
[0020]図1は、本開示の一実施例に係る、プロセスチャンバ100の概略断面図である。プロセスチャンバ100は、チャンバ本体101と、その上に配置され、共に内部領域を画定するリッド102とを含む。チャンバ本体101は、通常、電気接地103に結合される。基板支持アセンブリ104は、処理(使用)中にその上に基板105を支持するために、内部領域内に配置される。エッジリング106が、基板支持アセンブリ104上の基板105の周囲の周りに位置決めされる。エッジリング106は、静電チャックの基板支持面上に配置され、静電チャックの基板支持面上を取り囲む。
【0016】
[0021]プロセスチャンバ100は、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバ、及び/又は容量結合プラズマ(CCP)チャンバのうちの1つであり得る。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、上部にCCP装置107を含むチャンバである。少なくとも幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100の上部は、接地され得る。
【0017】
[0022]CCP装置107は、プロセスチャンバ100内に反応種のプラズマを生成し、システムコントローラ108は、上述のように、プロセスチャンバ100のシステム及びサブシステムを制御するように適合される。
【0018】
[0023]基板支持アセンブリ104は、第1の電極109等の1又は複数の電極と、第1の電極109を囲むリング電極111等の第2の電極とを含む。第1の電極109及びリング電極111は各々、整合ネットワーク112及び可変キャパシタ及びインダクタを含む共振エッジ同調回路155(例えば、以下に単にエッジ同調回路155と称される)を通して異なる周波数を提供する複数のRF電源110に結合される。整合ネットワーク112により、RF電源110の出力が効果的にプラズマに結合され、プラズマに結合されるエネルギーが最大化するようになる。整合ネットワーク112は、通常、プラズマの複素インピーダンスに50オームで整合する。処理中にプラズマの特性が変化するときの動的マッチングを促進するために、整合ネットワーク112は、プロセス全体を通して整合が維持されることを確実にするために連続的に調節され得る。
【0019】
[0024]エッジ同調回路155は、以下により詳細に説明するように、ソース電圧よりも高い電圧又は/及び低い電圧を調節することを可能にする近共振で動作するRF回路である。RF電源110は、基板支持アセンブリ104の上面160上に配置された基板105にバイアスをかけるために用いられる。RF電源110は、例示的に、400kHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、40MHz、又は60MHz等の1又は複数の周波数で提供され得る、最大約10000W(ただし、約10000Wに限定されない)のRFエネルギーの供給源であってよい。RF電源110は、2つ以上の対応する周波数のRFエネルギーを提供するように構成された2つ以上の独立したRF電源を含み得る。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、RF電源110は、対応する周波数、例えば400kHz及び2MHzのRFエネルギーを提供するように各々構成されたRF電源110a及びRF電源110bを含んでいてよく、オプションのRF電源110cが設けられていてよく、RF電源110cは、400kHz、2MHz、及び/又は40MHzの周波数のRFエネルギーを提供するように構成されていてよい。RF電源110は、連続電力又はパルス電力のいずれか又は両方を生成することができ得る。第1の電極109は、処理中に基板105を上面160にチャックすることを容易にするために、チャック電源114に結合される。
【0020】
[0025]CCP装置107は、リッド102の上方に配置され、RF電力をプロセスチャンバ100内に容量結合して、プロセスチャンバ100内にプラズマ116を生成するように構成される。CCP装置107は、形成されるプラズマ116のプロファイル又は密度を制御するために所望により調節可能である。CCP装置107は、RF供給構造124を介した整合ネットワーク122(整合ネットワーク112と同様)を通してRF電源121に結合される。RF電源121は、例示的に、50kHzから150MHzの範囲の調整可能な周波数において最大約60000W(ただし、約60000Wに限定されない)生成することができうるが、他の周波数及び電力を特定の用途で所望に応じて用いることができる。
【0021】
[0026]幾つかの実施例では、供給されるRF電力の相対量を制御するために、分圧キャパシタ等の電力分配器(図示せず)が、RF供給構造124とRF電源121との間に配設され得る。例えば、プロセスチャンバ100がICP装置を含む実施形態では、電力分配器が使用され得る。このような実施形態では、電力分配器は、整合ネットワーク122内に組み込まれ得る。
【0022】
[0027]プロセスチャンバ100の内部を加熱しやすくするために、ヒータ素子128がリッド102上に配置され得る。ヒータ素子128は、リッド102と、CCP装置107等のプラズマ装置との間に配置され得る。幾つかの実施例では、ヒータ素子128は、抵抗加熱素子を含んでいてよく、ヒータ素子128の温度を所望の範囲内に制御するのに十分なエネルギーを供給するように構成された、AC電源等の電源130に結合され得る。
【0023】
[0028]動作中、半導体ウエハ又はプラズマ処理に適した他の基板等の基板105は、基板支持アセンブリ104上に載置される。基板リフトピン146は、基板支持アセンブリ104に移動可能に配置され、基板105の基板支持アセンブリ104上への移送を支援する。基板105の位置決め後、プロセスガスがガスパネル132から入口ポート134を通してチャンバ本体101の内部領域内に供給される。プロセスガスは、RF電源121からCCP装置107に電力を印加することによって、プロセスチャンバ100内で点火されてプラズマ116となる。幾つかの実施例では、RF電源110からの電力は、整合ネットワーク112を通して、基板支持アセンブリ104内の第1の電極109及び/又はエッジリング106にも供給され得る。代替的又は追加的に、RF電源110、例えばRF電源110a~110cのうちの2つ以上からの電力は、整合ネットワーク112を通して、基板支持アセンブリ104内のベースプレート及び/又は他の電極にも供給され得る。少なくとも幾つかの実施形態では、DC電源131は、基板支持アセンブリ104に(例えば、リング電極111に)接続され、動作中に、例えば、エッジリング106の熱制御を改善するために、エッジリング106を基板支持体に(例えば、後述のように基板支持体上に配置されたセラミックリング250に)クランプするクランプ力を与えるように構成され得る。
【0024】
[0029]プロセスチャンバ100の内部内の圧力は、バルブ136及び真空ポンプ138を使用して制御され得る。チャンバ本体101の温度は、チャンバ本体101を貫通する流体含有導管(図示せず)を使用して制御され得る。
【0025】
[0030]プロセスチャンバ100は、処理中のプロセスチャンバ100の動作を制御するシステムコントローラ108を含む。システムコントローラ108は、中央処理装置(CPU)140、メモリ142(例えば、非一過性コンピュータ可読媒体)、及びCPU140のための支援回路144を含み、プロセスチャンバ100の部品の制御を容易にする。システムコントローラ108は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。メモリ142は、本明細書に記載の方法でプロセスチャンバ100の動作を制御するために実行又は起動され得るソフトウェア(ソースコード又はオブジェクトコード)を記憶する。
【0026】
[0031]処理中、エッジリング106の上面150が腐食することがある。腐食は、プラズマ特性を変化させ、これにより、基板105のエッジ又はその近傍のプラズマ116が変化し得る。一実施形態では、メモリ142のソフトウェアは、エッジリング106における電圧の目標振幅を得て、基板105のエッジ上のプロセスプロファイル及び/又は特徴傾斜を調整するために、本明細書に提供される様々なRF回路を操作するための命令を含む。
【0027】
[0032]図2A及び図2Bは、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、図1に示す基板支持アセンブリ104の部分を示す拡大概略側面図である。基板支持アセンブリ104は、絶縁層205を囲む接地プレート200と、設備プレート210と、垂直スタックに組み立てられた静電チャック215とを含む。石英パイプリング220は、設備プレート210及び静電チャック215の周囲を囲み、静電チャック215を接地プレート200から絶縁する。静電チャック215は、基板105を静電チャック215の支持面にチャックするためにその中に埋め込まれた1又は複数のチャック電極(例えば、第1の電極109)を含む。石英パイプリング220の上面には、プロセスチャンバ100(図1に示す)内のプラズマの封じ込めを容易にするためのプラズマシールド225が配置される。石英リング230は、プラズマシールド225の上面に配置される。
【0028】
[0033]設備プレート210は、アルミニウム等の導電性材料、又は他の適切な導電性材料でできていてよく、接地プレート200の下部と静電チャック215との間に位置決めされる。設備プレート210は、投入場所(例えば、その底部、図示せず)から流出場所(例えば、その上部、図示せず)へ流体及び/又はガスを送るように構成される。静電チャック215は、基板支持アセンブリ104の温度制御を容易にするために、第1の材料236に形成され、それを通して流体が供給される1又は複数のチャネル235を含む。第1の材料236は、アルミニウム等の金属材料である。静電チャック215は、第2の材料240に埋め込まれた第1の電極109を含む。第2の材料240は、アルミナ又は窒化アルミニウム等のセラミック材料等の誘電体材料である。基板105の温度制御を容易にするために、ヒータ245が静電チャック215に隣接して、又は静電チャック215内に配置される。ヒータ245は、例えば、その中に埋め込まれた複数の抵抗加熱素子を有する抵抗ヒータであってよい。
【0029】
[0034]セラミックリング250は、静電チャック215上(例えば、第1の材料236上、又はヒータ245上)に配置され、第2の材料240の半径方向外側のエッジを取り囲む。セラミックリング250は、例えば、アルミナ又は窒化アルミニウムでできていてよく、約1ミリメートルから約20ミリメートルの範囲内の厚さを有し得る。セラミックリング250と第2の材料240との間に1又は複数のOリングを設けて、そうでなければその間に露出してしまう任意の結合材料を保護することができる。
【0030】
[0035]リング電極111は、セラミックリング250の部品であってよい、又は別個の部品であってよい。例えば、例示の実施形態では、リング電極111は、セラミックリング250に埋め込まれている。リング電極111は、セラミックリング250の上面から約0.3ミリメートルから約1ミリメートル、例えば約0.75ミリメートルのところに位置決めされ得る。リング電極111は、約3ミリメートルから約20ミリメートル、例えば約15ミリメートルの幅を有し得る。
【0031】
[0036]リング電極111は、基板105の周囲の半径方向外側に、エッジリング106の下方に位置決めされる。一実施例では、リング電極111は、200ミリメートルより大きい内径、又は300ミリメートルより大きい内径、又は450ミリメートルより大きい内径を有し得る。リング電極111は、1又は複数のキャパシタ及び/又はインダクタを含み得るエッジ同調回路155を通して、接地及び/又は整合ネットワーク112に電気的に結合される。リング電極111は、複数の伝送線265(2本を示す)を通してエッジ同調回路155に結合され得る。例えば、リング電極111は、基板支持アセンブリ104に対して等間隔(例えば、120度)で配置された3つの伝送線265を通してエッジ同調回路155に結合され得る。
【0032】
[0037]エッジリング106は、セラミックリング250上(上方)に位置決めされ、セラミックリング250及び第2の材料240に接触する。一実施例では、エッジリング106は、炭化ケイ素、炭化ケイ素でコーティングされたグラファイト、又は低抵抗率ドープシリコンから形成され得る。エッジリング106は、基板105の周囲を囲み、基板105の半径方向外側のエッジにおける材料の望ましくないエッチング又は堆積を低減する。
【0033】
[0038]図2Bを参照すると、処理中に、プラズマシース260が基板105の表面上に形成され得る(図2Bに点線で示す)。上述したように、処理条件により、エッジリング106の上部が腐食し、「ロールオーバ効果」とも称され得る丸み等の、基板105のエッジの望ましくない処理が引き起こされる可能性がある。望ましくない処理は、デバイスの歩留まりを低下させ、中心からエッジまでの均一性に影響を与える。これらの望ましくない効果を低減するために、従来のアプローチでは、エッジリング106を頻繁に交換していた。しかし、エッジリング106の頻繁な交換は、新しいエッジリングのコストと、エッジリングの交換に必要な大幅なダウンタイムの両方の点で、高価である。
【0034】
[0039]従来のアプローチとは対照的に、本明細書に記載の実施例では、リング電極111は、エッジリング106近傍でRF振幅(及び/又は位相)、ひいてはプラズマシース260を調節するために、エッジ同調回路155及び整合ネットワーク112を通して接地及び/又はRF電源(例えば、RF電源110a~110cのうちの2つ以上)に結合される。更に、RF電源110a~110c及び整合ネットワーク112のうちの2つ以上は、使用中に基板105及びエッジリング106の下方に配置されたリング電極111によって共有されるように構成される。
【0035】
[0040]幾つかの実施形態では、基板エッジ近傍の膜エッチング、堆積プロファイル、又は特徴傾斜角のうちの1つ又は組み合わせを調整するために、エッジリング106の上方のプラズマシース260が基板105の上方のプラズマシース260よりも厚い又は薄いことが望ましい。基板105におけるRF振幅及び/又はRF位相に対してエッジリング106におけるRF振幅及び/又はRF位相を制御することにより、このようなプロセスエッジプロファイルの調整が可能となる。
【0036】
[0041]従来のアプローチとは対照的に、セラミックリング250の厚さが比較的薄いため、静電チャック215に最初に供給されるRF電力は、エッジリング106との高いRF結合を有する。言い換えれば、エッジリング106上のRF振幅は、基板105上のRF振幅より高くなり得る。
【0037】
[0042]セラミックリング250の上面とエッジリング106の下面との間に間隙255が設けられ得る。間隙255は、リング電極111とプラズマシース260との間の結合を減少させて、エッジ同調回路155へのRF電流を減少させるために用いられ得る。間隙255の厚さは、所望の量のデカップリングを提供するように選択され得る。
【0038】
[0043]上述した実施例に加えて、本開示の他の実施例も企図される。一実施例では、伝送線265の長さは、少なくとも1つの周波数において、整合インピーダンスを容易にするために、λ(波長)を2で割った長さ(例えば、λ/2)を有し得る。別の実施例では、リング電極111の幅は、所望に応じて、エッジリング106との電気的結合を増加又は減少させるように選択され得る。別の実施例では、間隙255は省略され得る。別の実施例では、導電性熱ガスケット、例えば、シリコーン系熱ガスケットが、間隙255を占めていてよい。
【0039】
[0044]別の実施例では、エッジ同調回路155は、接地の代わりに、又は接地に加えて、整合ネットワーク112に結合され、次にRF電源110a~110cに結合され得る。上記実施例では、エッジ同調回路155により、上述したような寄生効果ではなく、容量結合の調節が容易になる。
【0040】
[0045]エッジ同調回路155は、図4A及び図4Bに関して以下により詳細に説明するように、1又は複数の可変キャパシタだけでなく、リング電極111に結合された1又は複数のインダクタを含み得る。同調回路の共振周波数は、動作周波数にほぼ近くてよく、これにより、基板のRF振幅よりもはるかに大きく、はるかに小さいRF振幅の大きな変動が可能になる。
【0041】
[0046]図3A図3Cは、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、基板105の周囲に対するプラズマシース260の概略図である。図3Aは、エッジリング106が腐食する前のエッジリング106及び基板105に対するプラズマシース260を示す図である。図3Aに示すように、エッジリング106が腐食する前は、エッジリング106及び基板105の上面は概ね同一平面上にある。エッジリング106が腐食する前は、プラズマシース260は、エッジリング106及び基板105の上面と実質的に平行であり、エッジリング106及び基板105の上面から等間隔に配置されている。図3Aに示すプラズマシース260のプロファイルの結果、基板105の、特にその半径方向外側のエッジ近傍が均一に処理される。
【0042】
[0047]所定数の基板を処理した後に、プロセスチャンバ内の条件により、エッジリング106に望ましくない腐食が生じる。一実施例では、エッジリング106の上面が腐食したために、エッジリング106の厚さが減少することがある。腐食したエッジリング106は、もはや基板105と同一平面の上面を共有しない。エッジリング106とプラズマ中の荷電粒子との間の相互作用により、プラズマシース260のプロファイルは、腐食したエッジリング106の存在下で変化し、エッジリング106の表面と基板105との間の等距離間隔を維持することができない。プラズマシース260のプロファイルは、基板105の半径方向外側のエッジの「丸み」又は他の望ましくない処理をもたらす可能性がある。基板エッジにおける丸みは、基板105の使用可能な面を減少させ、したがって、基板あたりのデバイス歩留まりを低下させる。望ましくない丸みは、一般に、「ロールオーバ効果」と称され得る。従来のシステムでは、丸みを修正するために、腐食したエッジリング106を交換することになり、したがって、直接費だけでなく、処理のダウンタイムによる損失生産コストも上がり得る。対照的に、本開示の実施例は、リング電極111を用いて、RF振幅、ひいてはプラズマシース260の位置を、腐食したエッジリング106の上方で調節する。例えば、図3B及び図3Cは、それぞれ低い及び高いエッジリング106電圧を示す図であり、これにより、本開示において提供される様々なRF回路によって腐食したエッジリング106を補償した後で、プラズマシース260を調節して、プラズマシース260の元の(例えば、平面状の)プロファイルを再確立することができる。
【0043】
[0048]再確立されたプラズマシース260は、基板105に「ロールオーバ効果」を引き起こさないため、基板105の損傷を防止し、基板105の使用可能な面を最大化する。更に、腐食したエッジリング106が、腐食した状態で使用を継続することができるため、プリベンティブメンテナンス間の時間が延長され、したがって、処理のダウンタイムが縮小する。更に、腐食したエッジリングは、交換頻度が少なくて済み、したがって、消耗部品にかかる経費が削減される。
【0044】
[0049]図4A及び図4Bは、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、RF回路を例示する概略回路図である。説明を容易にするために、図4Aは、基板支持アセンブリ104の部分図に重ね合わせたRF回路400Aを示している。RF回路400Aは、システムの部品間の機能的関係を表している。
【0045】
[0050]RF回路400Aでは、ベースプレート405とエッジリング106との間にキャパシタンス素子C1が存在する。2つ以上のRF電源110が、エッジリング106と、静電チャック215の下方に配置され得るベースプレート405、又は静電チャック215に配置された電極(例えば、第1の電極109)のうちの少なくとも1つとに結合され得る。エッジリング106とプラズマシース260におけるプラズマ116との間には、キャパシタンス素子C2が存在する。キャパシタンス素子C3は、エッジリング106とリング電極111との間のキャパシタンスである。キャパシタンス素子C4は、リング電極111とベースプレート405との間に存在する。キャパシタンス素子C7は、基板105とプラズマシース260内のプラズマ116との間に存在する。キャパシタンス素子C8は、RF電力がベースプレート405を通して送出された(ベースプレート405に供給された)ときの、基板105とベースプレート405との間に存在するキャパシタンスである。少なくとも幾つかの実施形態では、キャパシタンス素子C8は、RF電力が第1の電極109を通して送出されたときの、第1の電極109と基板105との間のキャパシタンス素子であり得る(例えば、図4BのRF回路400Bを参照)。ベースプレート405と接地電位との間には、キャパシタンス素子C9が存在する。キャパシタンス素子C2、C3、C4、及びC9は、エッジキャパシタンス回路408Aに対応する。キャパシタンス素子C7及びC8は、中央のキャパシタンス回路408Bに対応する。
【0046】
[0051]幾つかの実施形態では、ベースプレート405は、設備プレート210(図2A及び図2Bに示す)に対応する。幾つかの実施形態では、ヒータ245は省略され得、ボンド層410が、ベースプレート405(又は設備プレート210)と第2の材料240との間に配置され得る。
【0047】
[0052]図5A図5Bは、エッジ同調回路155の概略図であり、図6は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、基板支持アセンブリ104上に位置決めされた基板105を処理する方法を示す図である。図5Aのエッジ同調回路155の形態は、RF電源110a、110b、110c等を基板105側と共有する際に、複数のRF周波数(例えば、2つ以上のRF電源110a、110b、110c等によって提供される)においてエッジリング106のRF振幅及び位相を同時に調節するように構成され得る。更に、エッジリング106においてRF振幅及び位相を調節しながら、基板105の中心におけるRF電圧を一定値に維持することができる。
【0048】
[0053]図5Aを参照すると、少なくとも幾つかの実施形態では、エッジ同調回路155は、0、1、2、...と番号が付けられ、接地と整合ネットワーク112との間に並列に接続された複数の回路ブロックを含み得る。例示の目的のために、図示したエッジ同調回路155は、3つの回路ブロック500、500、及び500(以下、単に回路ブロック500と称する)を含む。回路ブロック500の中間脚部は、エッジ同調回路155の出力部(例えば、リング電極111)に接続されたその間のインダクタ501を通して接続される。
【0049】
[0054]回路ブロック500は、2つ以上の電気部品を含み、例えば、回路ブロック500は、電気部品X~Xと、例えば、Xに存在するインダクタを補足するために、中間脚部に追加のインダクタ(例えば、インダクタ501)とを含む。回路ブロック500の各インダクタ501は、回路ブロック500の個々の電気部品におけるインダクタのインダクタンスに応じて、同じインダクタンス又は異なるインダクタンスを有し得る。同様に、回路ブロック500及び500は、それぞれ、電気部品X~X及びX~Xを含む。電気部品X~Xの各々は、図5Bに示すように、4つの可能な構成を有し得る。例えば、電気部品X~Xの各々は、可変キャパシタ502(図5Bの(a)参照)、インダクタ504(図5Bの(b)参照)、直列の可変キャパシタ502及びインダクタ504(図5Bの(c)参照)、及び/又は並列の可変キャパシタ502及びインダクタ504(図5Bの(d)参照)のうちの1又は複数を含み得る。少なくとも幾つかの実施形態では、インダクタ504は、可変インダクタであってよい。少なくとも幾つかの実施形態では、エッジ同調回路155の回路ブロック500の電気部品X~Xは、1又は複数のインダクタ504と1又は複数の可変キャパシタ502(及び/又はLC直列回路及び/又はLC並列回路の1又は複数)の1又は複数の対を含み得る。少なくとも幾つかの実施形態では、図5Bの(a)の可変キャパシタ502は、(c)及び(d)の可変キャパシタ502と同じであってよい、又は異なっていてよい。同様に、図5Bの(b)のインダクタ504は、(c)及び(d)のインダクタ504と同じであってよい、又は異なっていてよい。
【0050】
[0055]回路ブロック500内の電気部品X、X、X等は、一般的な命名法Xi+3nで表すことができ、n=0、1、2、...であり、回路ブロック番号を表し、i=1、2、3であり、回路ブロック内の部品の相対位置を表し、3は回路ブロック内の電気部品の数を表す。部品X1+3n′は接地と中間脚部との間に接続され、部品X2+3n′は同調回路の入力線(例えば、整合ネットワーク112の出力部)と中間脚部との間に接続され、部品X3+3n′は中間脚部に接続される。例えば、回路ブロック500内でn=1、3つのX成分には4(=1+31)、5(=2+31)、6(=3+31)、例えばX、X、Xの番号が振られる。
【0051】
[0056]すべての回路ブロック500は、2つの対(X1+3n、X2+3n)及び(X1+3n、X3+3n)を有する。例えば、回路ブロック500は、図5Aに示すように、対(X、X)及び(X、X)を含む。部品の対(X1+3n、X2+3n)又は(X1+3n、X3+3n)の各々は、少なくとも1つの可変キャパシタ502(例えば、図5B(a)、(c)、及び/又は(d)に示す)、及び少なくとも1つのインダクタ504(例えば、図5B(b)、(c)、及び/又は(d)に示す)を含む。例えば、回路ブロック500、n=0内で、2つの対(X、X)及び(X、X)は各々、可変キャパシタ502(例えば、図5B(a)、(c)、及び/又は(d)に示す)及びインダクタ504(例えば、図5B(b)、(c)、及び/又は(d)に示す)を含む。同様に、回路ブロック500、n=1内で、2つの対(X、X)及び(X、X)は各々、可変キャパシタ502(例えば、図5B(a)、(c)、及び/又は(d)に示す)及びインダクタ504(例えば、図5B(b)、(c)、及び/又は(d)に示す)を含む。同様に、回路ブロック500、n=2内で、2つの対(X、X)及び(X、X)は各々、可変キャパシタ502(例えば、図5B(a)、(c)、及び/又は(d)に示す)、及びインダクタ504(例えば、図5B(b)、(c)、及び/又は(d)に示す)を含む。少なくとも幾つかの実施形態では、回路ブロック500のX1+3nが直列インダクタを含まない場合(例えば、図5B(a)、及び/又は(d)に示すように)、出力部に近い回路ブロックの中間脚部に別個のインダクタを配置することが可能である。例えば、図5Aでは、各回路ブロック500は、中間脚部にインダクタ501を含む。少なくとも幾つかの実施形態では、中間脚部の第4のインダクタは、エッジ同調回路155の出力部に最も近い回路ブロックに含まれない。
【0052】
[0057]上述したように、エッジ同調回路155は、近共振で動作し、これにより、RF電源110よりも高い電圧又は/及び低い電圧を調節することが可能である。したがって、回路ブロック500の各回路ブロックは、回路ブロック、例えば回路ブロック500内の少なくとも2つの可変キャパシタ502を用いて、2つのRF周波数を独立して同時に調整することができる。3つ以上のRF周波数を同時に調整する必要がある場合、上述し、図5Aに示すように、回路ブロック500のうちの2つ以上の回路ブロックを並列に接続することができる。奇数のRF周波数を同時に調整する必要がある場合、電気部品Xi+3nのうちの1つのある可変キャパシタを固定キャパシタ(図示せず)に置き換えることができる、又は電気部品Xi+3nのうちの1つを使用しなくてよい、例えばX又はXを使用することができる。
【0053】
[0058]出力部において非ゼロDC電圧が要求される場合等の、少なくとも幾つかの実施形態では、ブロッキングキャパシタ506(例えば、可変キャパシタ502と比較して比較的大きいキャパシタンスを有する)が、回路ブロックの中間脚部に配置され得、DC電源508が、ブロッキングキャパシタ506と出力部(例えば、リング電極111)との間に配置され得る。少なくとも1つのキャパシタ(例えば、可変キャパシタ又は固定キャパシタ)が中間脚部に既に設けられている場合、DC電源508は、出力部(例えば、リング電極111)と出力部に最も近いキャパシタとの間に配置され得る。例えば、図5Aの回路ブロック500では、ブロッキングキャパシタ506は、電気部品Xと出力部に最も近いインダクタ501との間に配置され得、DC電源508は、ブロッキングキャパシタ506の出力部側に接続され得る。
【0054】
[0059]図6は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、基板支持アセンブリ上に位置決めされた基板を(例えば、図5の回路ブロック500を含むエッジ同調回路155を使用して)処理するための方法600を示す図である。電力がリング電極111に印加される(例えば、異なるRF周波数の2つ以上のRF電源110からRF電力が供給される)と、上述のように、結合の結果としてRF電圧及び電流がエッジリング106において発生する。エッジリング106におけるRF電圧及び位相と、エッジ同調回路155(例えば、回路ブロック500のうちの1又は複数を含む)の出力部における電圧及び位相との間の関係は、伝送線理論及び回路理論の物理法則に従うものであり、特定のハードウェア構成において、RF電源110の各RF周波数に対する校正及び決定が可能である。同様に、基板105におけるRF電圧及び位相と、整合ネットワーク112の出力部における電圧及び位相との間の関係も、特定のハードウェア構成において、RF電源110の各RF周波数に対する校正及び決定が可能である。したがって、少なくとも幾つかの実施形態では、エッジ同調回路155は、RF電源110a、110b、110c等の各RF周波数における基板105とエッジ同調回路155の出力部との間のRF振幅及び位相の関係を求めるように校正することが可能である。同様に、エッジリング106と整合ネットワーク112の出力部との間のRF振幅及びRF位相の関係も校正可能である。
【0055】
[0060]602において、2つ以上のRF電源(例えば、RF電源110a、110b、110c)から、2つ以上のRF電源と電極及びエッジリングの各々との間に結合された整合ネットワーク(例えば、整合ネットワーク112)を通して、基板の下方に配置された電極及びそれに隣接して位置決めされたエッジリング(例えば、エッジリング106)の各々に、2つ以上の周波数のRF電力が供給される。より具体的には、基板105のプラズマ処理中、RF電源110a、110b、110cのうちの2つ以上等からのRF電力は、整合ネットワーク112及びベースプレート405又は第1の電極109(例えば、チャック電極)を通して結合することによって基板105に供給/給電される。同時に、RF電源110a、110b、110c等からのRF電力も、整合ネットワーク112、エッジ同調回路155、及びリング電極111を通して結合することにより、エッジリング106に供給/給電される。
【0056】
[0061]次に604において、例えば、エッジリングに隣接するプラズマシースの、基板に隣接するプラズマシースとの比較の差を制御するために、2つ以上のRF電源のそれぞれの信号のRF振幅又はRF位相のうちの少なくとも1つが、2つ以上のRF電源とエッジリングとの間に配置されたエッジ同調回路を用いて調整され得る。
【0057】
[0062]より具体的には、エッジ同調回路155及び整合ネットワーク112の出力部におけるRF電圧、RF電流、及び/又はRF位相は、2つ以上のRF電源110の各RF周波数において測定され得る。その後、2つ以上のRF電源110a、110b、110c等のそれぞれの信号のRF振幅及び/又はRF位相は、同時に調整され得る。
【0058】
[0063]例えば、測定されたエッジ同調回路155及び整合ネットワーク112の出力部におけるRF電圧、RF電流、及び/又はRF位相に基づいて、基板105及びエッジリング106におけるRF振幅及びRF位相が算出され得る。例えば、上述の校正モデルを用いて、例えばシステムコントローラ108を用いて、RF電源の各RF周波数において、基板105及びエッジリング106におけるRF電圧、RF電流、及び/又はRF位相が測定/算出され得る。
【0059】
[0064]エッジリング106の腐食、又は基板105のエッジ近傍のプラズマシース不均一性又は特徴傾斜を補償するために、様々なプラズマ処理条件において、異なるRF周波数における基板105とエッジリング106との間の様々なRF電圧比を算出する(目標とする)ことが可能である。同様に、基板105とエッジリング106との間の様々な位相差もまた、算出する(目標とする)ことが可能である。各RF周波数において目標とする電圧比及び位相差を同時に達成するために、エッジ同調回路155の回路ブロック500内の所望の可変キャパシタ502(複数可)の値を、例えば図4A及び図4Bの回路モデル及び上述の事前校正結果に基づいて算出することが可能である。このような計算は、システムコントローラ108を用いて実行することができる。
【0060】
[0065]算出したキャパシタンス値を使用して、可変キャパシタ502が調節され得る。可変キャパシタ502が調整されている間、システムコントローラ108は、エッジ同調回路155及び整合ネットワーク112の出力部におけるRF電圧、RF電流、及び/又はRF位相を監視し、複数のRF周波数において目標電圧比及び位相差を達成するためにモデル予測キャパシタ値を再調節する。
【0061】
[0066]エッジ同調回路155の回路ブロック500内の1又は複数の可変キャパシタ502が調節されている間、2つ以上のRF電源110の出力電力は、適用された各RF周波数において基板105を一定のRF電圧に保つように調節され得る。そうすることで、例えば、エッジ同調回路155を調整することによって基板エッジでのプロセス性能が調整される間、基板105の中心でのプロセス性能は影響を受けないため、基板中心でのプラズマパラメータへの影響を最小限に抑えて、又はそれに全く影響を与えずに、最エッジプロファイル制御及び特徴傾斜補正のための調整ノブが有利に得られる。更に、本明細書に記載の実施例は、基板中心におけるプラズマパラメータに影響を与えることなく、基板エッジに隣接するプラズマシースを調節することを可能にし、したがって、最エッジプロセスプロファイル制御及び特徴傾斜補正のための調整ノブが得られ、ダウンタイム、粒子を軽減し、消耗品の支出を削減しながら、デバイスの歩留まりを改善する。
【0062】
[0067]基板105においてRF電圧を一定に保ちながら、基板105とエッジリング106との間の目標電圧比及び位相差を達成及び維持するために、602から604までの閉制御フィードバックループ606が、プラズマ処理時間全体を通してシステムコントローラ108によって実施される。
【0063】
[0068]RF回路400A及びRF回路400Bを有する基板支持アセンブリ104の試験は、基板のエッジにおけるプラズマ制御が強化されていることを示す。更に、特徴傾斜制御が強化される。例えば、300mmの基板を用いた試験は、エッジリング106の下方のリング電極111に印加された低電圧及び高電圧が、半径146mmで約7度を超える範囲、及びそれ以上の範囲を生じさせることが示された。更に、石英カバーリング(図示せず)を有する基板支持アセンブリ104の試験は、石英カバーリングを有しない基板支持アセンブリ104の試験と同様の結果をもたらした。このように、石英カバーリングを採用することで、プラズマシース制御を得るだけでなく、粒子の発生も抑えられる。
【0064】
[0069]前述の内容は本開示の実施形態を対象としているが、その基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6