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特許7492619高圧処理によるタングステンの脱フッ素化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】高圧処理によるタングステンの脱フッ素化
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/56 20060101AFI20240522BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C23C16/56
H01L21/28 301R
H01L21/88 B
H01L21/88 M
H01L21/28 B
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023025699
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021165335の分割
【原出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2023075142
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】15/605,769
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, キース タットスン
(72)【発明者】
【氏名】クォン, トーマス ジョングァン
(72)【発明者】
【氏名】カン, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】イェー, エリー ワイ.
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-335657(JP,A)
【文献】特開平01-218018(JP,A)
【文献】特表2009-539231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0011932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/56
H01L 21/28
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニーリングシステムであって、
ヒータと、
チャンバを画定するチャンバ本体であって、前記チャンバが、加工対象物を、当該加工対象物の外側表面が前記チャンバ内の環境に曝露された状態で収容するように構成されている、チャンバ本体と、
前記チャンバ内に前記加工対象物を挿入するためのロボットと、
前記チャンバ内に水素ガスを供給するための第1のガス供給源と、
前記チャンバ内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させるための、前記チャンバに連結された圧力源と、
前記ロボット、前記ヒータ、前記第1のガス供給源、及び前記圧力源に接続されたコントローラと
を備え、前記コントローラが、
前記ロボットに、上にタングステン膜を有する加工対象物を前記チャンバの中に移送させ、
前記第1のガス供給源に、前記水素ガスを前記チャンバに供給させ、
前記ヒータに、前記タングステン膜を加熱させ、
前記加工対象物が前記チャンバ内に保持されている間に、前記圧力源に、前記チャンバの環境内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させる
ように構成されている、アニーリングシステム。
【請求項2】
前記ヒータが、前記加工対象物を保持するための支持体内に埋め込まれた抵抗加熱器を備える、請求項1に記載のアニーリングシステム。
【請求項3】
前記ヒータが、前記チャンバ本体の壁内の、且つ、前記チャンバ内の支持体上に配置された前記加工対象物に照射するように位置決めされた、放射加熱器を備える、請求項1に記載のアニーリングシステム。
【請求項4】
前記チャンバに不活性ガスを供給するための第2のガス供給源を備え、前記コントローラが、前記第2のガス供給源に接続されており、且つ、前記チャンバ内にガス混合物を供給するために、前記第1のガス供給源に前記水素ガスを導入させ且つ前記第2のガス供給源に前記不活性ガスを導入させるように構成されている、請求項1に記載のアニーリングシステム。
【請求項5】
前記ガス混合物が、4.5体積%以下の前記水素ガスを含む、請求項4に記載のアニーリングシステム。
【請求項6】
前記ガス混合物が、少なくとも1体積%の前記水素ガスを含む、請求項5に記載のアニーリングシステム。
【請求項7】
前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載のアニーリングシステム。
【請求項8】
前記ヒータが、前記加工対象物を摂氏約250度から摂氏約600度の温度に加熱するように構成されている、請求項1に記載のアニーリングシステム。
【請求項9】
前記タングステン膜が、製造中の三次元NANDの一部分である、請求項1に記載のアニーリングシステム。
【請求項10】
アニーリングシステムであって、
ヒータと、
チャンバを画定するチャンバ本体であって、前記チャンバが、加工対象物を、当該加工対象物の外側表面が前記チャンバ内の環境に曝露された状態で収容するように構成されている、チャンバ本体と、
前記チャンバ内に水素ガスを供給するための第1のガス供給源と、
前記チャンバ内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させるための、前記チャンバに連結された圧力源と、
前記ヒータ、前記第1のガス供給源、及び前記圧力源に接続されたコントローラと
を備え、前記コントローラが、
前記第1のガス供給源に、前記水素ガスを前記チャンバに供給させ、
前記ヒータに、前記チャンバ内に位置決めされた加工対象物上に配置されたタングステン膜を加熱させ、
前記加工対象物が前記チャンバ内に保持されている間に、前記圧力源に、前記チャンバの環境内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させる
ように構成されている、アニーリングシステム。
【請求項11】
前記ヒータが、前記加工対象物を保持するための支持体内に埋め込まれた抵抗加熱器を備える、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項12】
前記ヒータが、前記チャンバ本体の壁内の、且つ、前記チャンバ内の支持体上に配置された前記加工対象物に照射するように位置決めされた、放射加熱器を備える、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項13】
前記チャンバに不活性ガスを供給するための第2のガス供給源を備え、前記コントローラが、前記第2のガス供給源に接続されており、且つ、前記チャンバ内にガス混合物を供給するために、前記第1のガス供給源に前記水素ガスを導入させ且つ前記第2のガス供給源に前記不活性ガスを導入させるように構成されている、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項14】
前記ガス混合物が、4.5体積%以下の前記水素ガスを含む、請求項13に記載のアニーリングシステム。
【請求項15】
前記ガス混合物が、少なくとも1体積%の前記水素ガスを含む、請求項14に記載のアニーリングシステム。
【請求項16】
前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載のアニーリングシステム。
【請求項17】
前記ヒータが、前記加工対象物を摂氏約250度から摂氏約600度の温度に加熱するように構成されている、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項18】
前記タングステン膜が、製造中の三次元NANDの一部分である、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項19】
前記チャンバ内に前記加工対象物を挿入するためのロボットをさらに備える、請求項10に記載のアニーリングシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記ロボットに接続されており、且つ、前記ロボットに、前記タングステン膜を含む前記加工対象物を前記チャンバの中に移送させるように構成されており、前記ヒータが、前記加工対象物を摂氏約250度以上に加熱するように構成されている、請求項19に記載のアニーリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、半導体ウエハなどの加工対象物上のタングステン膜の高圧処理に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 超小型電子回路及び他のマイクロスケールデバイスは、一般的に、シリコンや他の半導体材料のウエハなどの基板又はウエハ上の複数層の連続的な堆積及びパターニングによって製造される。ある用途では、金属膜(例えば、タングステン)が、基板上に堆積して、超小型電子素子又は他のマイクロスケール素子を形成し、又は電気相互接続を設ける。
【0003】
[0003] 一部の層では、所望の材料特性を実現するために、通常、基板が、通常摂氏約200~500度、より典型的には摂氏約300~400度に急速に加熱される、アニーリングプロセスを受ける。基板は、比較的短い時間(例えば、60~300秒)だけ、これらの温度に保持されてよい。次いで、基板が、急速に冷却され、通常、プロセス全体が、数分しかかからない。アニーリングを使用して、基板上の層の材料特性を変更することができる。アニーリングは、ドーパントの活性化、基板上の膜間のドーパントの駆動、膜と膜若しくは膜と基板の界面の変更、堆積膜の緻密化、又はイオン注入による損傷の修復にも使用することができる。
【0004】
[0004] 超小型電子デバイス及び相互接続用の特徴サイズが、より小さくなると、許容可能な欠陥率がかなり減少する。ある欠陥は、層のうちの1以上内に埋め込まれた汚染物から生じる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一態様では、加工対象物上のタングステン膜を処理することが、チャンバ内で加工対象物を支持すること、チャンバの中に水素ガスを導入すること、チャンバ内で少なくとも5気圧の圧力を確立すること、及び、チャンバ内の圧力が少なくとも5気圧である間に、加工対象物上のタングステン膜を水素ガスに曝露することを含む。
【0006】
[0006] この態様の他の実施形態は、対応するシステム、装置、及びコンピュータ記憶デバイスで符号化された(方法の動作を実行するように構成された)コンピュータプログラムを含む。
【0007】
[0007] これらの及び他の実施形態は、それぞれ、任意選択的に以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。
【0008】
[0008] タングステン膜の温度は、摂氏250~600度に上昇させてよい。タングステン膜の温度は、チャンバ内の加工対象物用の支持体を高温に維持することによって上昇させることができる。タングステン膜の温度は、少なくとも5気圧のチャンバ内の圧力を確立する前に上昇させてよい。
【0009】
[0009] チャンバ内で圧力を確立することは、チャンバ内にガス混合物を供給するために、水素ガス及び不活性ガスを導入することを含んでよい。チャンバ内のガス混合物内の水素ガスは、ガス混合物の体積百分率で1~4%であってよい。チャンバ内のガス混合物内の不活性ガスは、窒素及び/又はアルゴンを含んでよい。タングステン膜は、水素ガスが1~10バールの分圧を有している間に、水素ガスに曝露されてよい。
【0010】
[0010] タングステン膜は、製造された三次元NAND(3D NAND)構造の一部分であってよい。
【0011】
[0011] 別の一態様では、加工対象物上にタングステンを形成する方法が、タングステン及びフッ素を含有した前駆体ガスを使用して、化学気相堆積によって加工対象物上にタングステン膜を堆積させること、及び、チャンバ内の圧力が少なくとも5気圧である間に、加工対象物上のタングステン膜を水素ガスに曝露することを含む。
【0012】
[0012] タングステン膜は、製造中の三次元NAND(3D NAND)の一部分であってよい。前駆体ガスは、六フッ化タングステンを含んでよい。タングステン膜は、摂氏250~600度の温度まで上昇させられる。チャンバ圧力は、チャンバ内にガス混合物を供給するように水素ガス及び不活性ガス(例えば、アルゴン及び/又は窒素)を導入することによって確立されてよい。
【0013】
[0013] 別の一態様では、アニーリングシステムが、チャンバを画定するチャンバ本体、加工対象物の外面がチャンバ内の環境に曝露された状態で加工対象物を保持するための支持体、加工対象物をチャンバの中に挿入するためのロボット、チャンバに水素ガスを供給するための第1のガス供給源、チャンバ内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させるためのチャンバに連結された圧力源、並びにロボット、第1のガス供給源、及び圧力源に接続されたコントローラを含む。コントローラは、ロボットに上にタングステン膜を有する加工対象物をチャンバの中に移送させ、ガス供給源に水素ガスをチャンバに供給させ、加工対象物がチャンバ内で支持体上に保持されている間に、圧力源にチャンバ内の圧力を少なくとも5気圧に上昇させるように構成されている。
【0014】
[0014] アニーリングシステムは、支持体上の加工対象物の温度を摂氏250~600度に上昇させるためのヒータを含んでよい。ヒータは、支持体内に埋め込まれた抵抗加熱器を含んでよく、且つ/又は、ヒータは、支持体上の加工対象物に照射するように位置決めされた、チャンバ本体の壁内の放射加熱器であってよい。圧力源は、ポンプを含んでよい。
【0015】
[0015] アニーリングシステムは、チャンバに不活性ガス(例えば、アルゴン及び/又は窒素)を供給するための第2のガス供給源を含んでよく、コントローラは、第2のガス供給源に接続されてよく、チャンバ内にガス混合物を供給するために、第1のガス供給源に水素ガスを導入させ、第2のガス供給源に不活性ガスを導入させるように構成されてよい。
【0016】
[0016] 本明細書で説明される主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1以上を実現するように実施されてよい。タングステン膜の堆積後のアニーリングは、タングステン膜内のフッ素の存在を低減させることによって、膜品質を改善することができる。フッ素を低減させることは、欠陥の可能性を低減させ、歩留まりを増加させることができる。脱フッ素化用に高圧ガスを使用することにより、層の中へのガスの拡散が改善され、加工対象物の後処理用の熱収支が比較的低く維持され、且つ全体の層構造の品質が維持されるので、アニールプロセス中に使用される温度を低くすることができる。更に、堆積のためのより低い温度が、タングステン膜を堆積させるために使用され、それによって、より高い温度の堆積からもたらされる層の混合を低減させることができる。
【0017】
[0017] 本発明の1以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の記述で説明する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、これらの記述及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018] 高圧基板処理システムのブロック図である。
図2】[0019] 高圧基板処理システム内での高圧処理によるタングステンの脱フッ素化用の例示的なプロセスフローのフロー図である。
図3】[0020] 例示的な高圧基板処理システムを描く。
図4】[0021] 高圧基板処理システムの別の一実施例を描く。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0022] 様々な図面における類似の参照符号は、類似した要素を指し示している。
【0020】
序論
[0023] 一般的に、加工対象物上に堆積した層、例えば、半導体ウエハ、例えば、3D NAND構造の製造用に使用される半導体ウエハ上に堆積したタングステン膜の欠陥密度を低減させることが望まれている。欠陥密度は、タングステン膜の堆積プロセスで使用される前駆体ガス(例えば、六フッ化タングステン)からの残留物を含む、様々なやり方で生じ得る。堆積したタングステン膜内の残留フッ素を低減させることによって、意図しないで酸化物のエッチングが隣接層の欠陥を引き起こし、タングステン膜に隣接して堆積したゲート酸化物のk値が低下するなどの、有害な効果を減らすことができる。
【0021】
[0024] 高圧アニールを使用してタングステン膜を脱フッ素化するための高圧処理用のシステム及び方法が以下で説明される。加工対象物上に堆積したタングステン膜は、数分から一時間だけ、高温(例えば、摂氏300~500度)に保持されている間に、高圧(例えば、少なくとも5気圧)のフォーミングガス(例えば、不活性ガスと混合した4%の水素ガス)に曝露される。
【0022】
システム
[0025] 図1は、高圧基板処理システム100のブロック図である。高圧基板処理システム100は、高圧チャンバ102を含む。高圧チャンバ102は、少なくとも5気圧(例えば、少なくとも10気圧)の圧力を包含するように構成され、真空下で10-3Torrまでの真空レベルを保持することができる。ある実施態様では、高圧基板処理システム100が、加工対象物が処理チャンバ間で(例えば、別の処理チャンバから高圧チャンバ102の中に)移送されるときのために、低圧環境104(例えば、真空チャンバ)を含む。高圧チャンバ102と低圧チャンバ104の範囲内の相対的な圧力は、互いから独立して制御されてよい。
【0023】
[0026] ロボットアームを含む(図1では描かれてない)ロボットが、使用されて、例えばマルチチャンバ基板処理ツールのチャンバ間で、加工対象物を高圧チャンバ102の中に及び外に移送することができる。
【0024】
[0027] 高圧チャンバ102は、支持体、例えば高圧チャンバ102内で加工対象物を支持するためのペデスタル106を含む。ペデスタル106は、様々な支持機構を使用して1以上の加工対象物を支持する。例えば、ペデスタル106は、係止ピン及びスプリングを用いて加工対象物を支持してよく、且つ/又は、加工対象物が、ペデスタル106の上端上に直接的に載置されてよい。
【0025】
[0028] ある実施態様では、高圧チャンバ102が、1以上の加熱要素108を含む。例えば、加熱要素108aは、抵抗加熱器であり、加工対象物を加熱するためにペデスタル106の中に統合されている。ある実施態様では、高圧チャンバ102が、加熱要素108bを含む。その場合、加熱要素108bは、高圧チャンバ102を加熱し、高圧チャンバ102内の選択された温度を維持することができる。加熱要素108bは、高圧チャンバ本体の壁内に埋め込まれ、且つ、ペデスタル106上の加工対象物に照射するように位置決めされた、放射加熱器であってよい。加熱要素108からの熱は、加工対象物がペデスタル106上で支持され、(もし使用されるならば)ガスが高圧チャンバ102の中に導入されたときに、加工対象物をアニールするのに十分なものであってよい。加熱要素108は、抵抗加熱要素であってよく、加工対象物を伝導的及び/又は放射的に加熱してよい。更に、加熱要素108は、離散した加熱コイル又は放射加熱器(例えば、赤外線ランプ)を含んでよい。
【0026】
[0029] ガス供給システム110は、高圧チャンバ102を加圧及び減圧するように動作可能である。ガス供給システム110は、高圧(例えば、少なくとも5気圧の圧力)を確立するために、高圧チャンバ102にガス混合物を供給する。ある実施態様では、ガス供給システム110が、高圧チャンバ102からガスを排気し、それによって、高圧チャンバ102を減圧するための排気システム112を含む。ガス供給システムは、チャンバ102内の圧力を高圧に上昇させるための圧力源を含む。圧力源は、所望の圧力が到達されるまでガスをチャンバ102の中にポンピングするように構成されたポンプ(例えば、回転ポンプ、スクロールポンプ、又はねじポンプ)、及び/又は、ガスシリンダがチャンバ102に流体的に連結された後で、均一化された圧力が所望の圧力に到達するのに十分な圧力にある圧縮されたガスシリンダを含んでよい。
【0027】
[0030] ポンピングシステム114は、高圧チャンバ102及び/又は真空チャンバ104内の圧力を低減させるための1以上のポンプを含む。ポンプは、回転ポンプ、スクロールポンプ、及び/又はねじポンプを含んでよい。例えば、ポンピングシステム114は、真空チャンバ104内の圧力を真空又は真空に近い圧力(例えば、1ミリTorr未満)に下げるために使用されてよい。別の一実施例では、ポンピングシステム114が、処理動作の前に高圧チャンバ102内の汚染物の存在を低減させるために、高圧チャンバ102内のポンプ及びパージサイクル中に使用されてよい。
【0028】
[0031] ある実施態様では、バルブアセンブリ116が、高圧チャンバ102と真空チャンバ104との間の相対的な圧力を孤立させる。したがって、高圧チャンバ102内の高圧環境は、真空チャンバ104内の低圧環境から分離及び密封されてよい。バルブアセンブリ116は、加工対象物が、高圧チャンバ102と真空チャンバ104との間で直接的に移送されることを可能にするように動作可能である。
【0029】
[0032] ある実施態様では、高圧基板処理システム100が、真空チャンバ104に連結され且つ外側環境に連結されたフォアライン118を含む。遮断弁120が、フォアライン118に沿って配置され、真空チャンバ104内の圧力を外側環境の圧力から孤立させる。遮断弁120は、真空チャンバ104内の圧力を調整し、真空チャンバ104内のガスを解放するように動作可能である。遮断弁120は、ポンピングシステム114と併せて動作可能であり、真空チャンバ104内の圧力を調節する。
【0030】
[0033] 高圧基板処理システム100の1以上の動作は、1以上のコントローラ122によって制御されてよい。コントローラ122(例えば、汎用プログラマブルコンピュータ)は、高圧基板処理システム100の様々な構成要素のうちの一部又は全部を制御するように接続され且つ動作可能である。例えば、コントローラ122によって制御される動作は、高圧チャンバ102内の加熱要素108の温度調節、高圧チャンバ102内の圧力調節、真空チャンバ104内の真空調節、ガス供給システム110による流量及びガス供給、並びにポンピングシステム114内の1以上のポンプの動作を含んでよい。例えば、コントローラ122は、高圧基板処理システム100の構成要素に、図2を参照しながら以下で説明されるプロセスを実行させる、制御信号を生成するようにプログラム可能であってよい。
【0031】
タングステン膜の高圧処理
[0034] 図2は、高圧基板処理システム100内での高圧処理による加工対象物上のタングステン膜の脱フッ素化用の例示的なプロセスフロー200のフロー図である。一実施例では、加工対象物が、基板上にタングステン膜が堆積した半導体基板(例えば、シリコン)を含む。ある実施態様では、タングステン膜が、基板上に製造された3D NAND構造の部分を形成する。加工対象物は、他の材料(例えば、SiN、TiN)の層を含んでもよい。タングステン膜は、分離した処理ステップ内で、化学気相堆積(CVD)を使用して、加工対象物上に堆積してよい。ある実施態様では、タングステン膜が、原子層堆積(ALD)を使用して堆積する。
【0032】
[0035] 例えばロボットによって、加工対象物が、チャンバの中に挿入され、次いで、チャンバ内(例えば、高圧チャンバ102内のペデスタル106上)で支持される(202)。ある実施態様では、高圧チャンバ102及び/又はペデスタル106が、1以上の加熱要素108を使用して、特定の温度(例えば、摂氏300~500度)に維持される。高圧チャンバ102及び/又はペデスタル106の温度は、加工対象物を高圧チャンバ102の中に導入する前に確立されてよい。更に、加工対象物(例えば、基板上のタングステン膜)の温度は、加工対象物が高圧チャンバ102内のペデスタル106によって支持されている間に、1以上の加熱要素108の使用を通じて特定の温度(例えば、摂氏250~600度)に確立されてよい。ある実施態様では、加工対象物(例えば、基板上のタングステン膜)の温度が、高圧チャンバ102内の圧力が少なくとも5気圧に確立される前に上昇させられる。
【0033】
[0036] 水素ガスが、高圧チャンバ102の中に導入される(204)。水素ガスは、H2又は重水素ガス(D2)の形態にあってよい。水素ガスは、1以上の不活性ガス(例えば、窒素及び/又はアルゴン)を含む、フォーミングガスの一部分であってよい。ある実施態様では、フォーミングガス中の水素ガスの百分率が1%であり、体積百分率が最大で4.5%である。不活性ガスが、ガス供給システム110によって高圧チャンバ102の中に供給される前に、水素ガスに混合されてよい。或いは、不活性ガスと水素ガスが、ガス供給システム110の個別のノズルによって高圧チャンバ102の中に供給され、高圧チャンバ102内で混合されてよい。
【0034】
[0037] ガス供給システム110は、高圧チャンバ102内で5から50気圧の全圧(不活性ガス及び水素ガス)を確立することができる(206)。ある実施態様では、高圧チャンバ102内の全圧が、少なくとも10気圧である。高圧チャンバ102内の圧力は、静圧として確立されてよい。ある実施態様では、高圧チャンバ内の圧力が、ガス供給システム110の入口/出口を通る、高圧チャンバ102の中へのフォーミングガスの流れによって確立される。ある実施態様では、タングステン膜が、水素ガスが1~10バールの分圧を有している間に、水素ガスに曝露される。
【0035】
[0038] 所望の圧力が高圧チャンバ102内で確立された後で、加工対象物上のタングステン膜は、高圧チャンバ102が高圧で維持されている間に、水素ガスに曝露される(208)。曝露時間は、数分から数時間(例えば、少なくとも5分且つ1時間以下)を含む。ある実施態様では、アニーリング温度(例えば、アニールプロセス中の加工対象物の温度)、高圧チャンバ102内の水素の分圧、及び脱フッ素化プロセス用の曝露時間が、前述の(及び他の)変数を調整することによって、最適な動作パラメータを見つけることができるように、相互に関連付けられてよい。
【0036】
[0039] 任意の特定の理論に限定されることなく、分子状水素ガスは、加熱されたタングステン膜の表面上で分解して原子状水素となり、次いで、タングステン膜の粒界に沿って拡散する。タングステン膜の中への反応物(例えば、分解した水素)の拡散は、脱フッ素化プロセスが生じる速度の制限要因になり得る。分解した水素がタングステン膜の中に拡散すると、分解した水素は、タングステン膜の表面上のフッ素又はタングステン膜内に埋め込まれたフッ素と結合する。結合した水素とフッ素は、フッ化水素を生成し、次いで、フッ化水素は、タングステン膜から外へ拡散する。更に、原子状水素は、タングステン膜内のフッ素とタングステンとの間の結合を弱め、破壊するように働いてよい。
【0037】
[0040] ある実施態様では、加工対象物の加熱プロセス前又は中に、ガス供給システム110によって、水素ガスが高圧チャンバ102の中に導入される。例えば、加熱要素108が、ペデスタル106上の加工対象物を特定の所望の温度に至らせている間に、高圧の水素ガスが、高圧チャンバ102の中に導入されてよい。
【0038】
[0041] ある実施態様では、加工対象物が、真空チャンバ104内にある間に、特定の温度に加熱されてよく、次いで、引き続いてロボット(図示せず)によって高圧チャンバ102に移送されて、水素ガスが導入されてよい。
【0039】
[0042] ある実施態様では、タングステン膜が、加工対象物上に堆積し、次いで、加工対象物が、本明細書で説明される高圧処理を受けてよい。例えば、タングステンとフッ素を含有する前駆体ガス(例えば、六フッ化タングステン)を使用して、タングステン膜が、化学気相堆積(CVD)によって加工対象物上に堆積してよい。ある実施態様では、六フッ化タングステンが、タングステン膜を堆積させるための前駆体ガスとして使用されてよい。堆積したタングステン膜内に捕らわれる残留フッ素の量は、部分的に、堆積の温度に依存し得る(例えば、より低い堆積温度は、残留フッ素のより高い濃度をもたらす)。次いで、タングステン膜は、高圧チャンバ102内の圧力が少なくとも5気圧である間に、高圧チャンバ102内の水素ガスに曝露されてよい。
【0040】
高圧基板処理システムの実施形態
[0043] 図3及び図4は、高圧基板処理システムの2つの実施形態を描いている。図3は、第1のチャンバ302(例えば、高圧チャンバ102)、ペデスタル304、第2のチャンバ306(例えば、真空チャンバ104)、及びコントローラ(例えば、コントローラ122)を含む、例示的な高圧基板処理システム300を描いている。高圧基板処理システム300は、図1に関連して説明された、ポンピングシステム114に類似したポンピングシステム(図示せず)、及びガス供給システム110に類似したガス供給システム307を更に含む。例えば、ガス供給システム307は、入力ライン307a及び排気ライン307bを含む。前駆体ガスは、入力ライン307aを通して第1のチャンバ302の中に導入され、前駆体ガスは、排気ライン307bを通して第1のチャンバ302から排出される。
【0041】
[0044] ペデスタル304は、その上で材料の膜(例えば、タングステン膜)が高圧処理を通じて脱フッ素化されるところの、加工対象物(すなわち、基板)314を支持する。ペデスタル304は、第1のチャンバ302の範囲内に位置決めされ又は位置決め可能である。ある実施態様では、基板314が、ペデスタルの平坦な上端面上に直接的に載置される。ある実施態様では、基板314が、ペデスタルから突出したピン330の上に載置される。
【0042】
[0045] 高圧基板処理システム300は、内壁320、ベース322、及び外壁324を含む。第1のチャンバ302は、例えば、内壁320とベース322の間で、内壁320の範囲内の空間によって提供される。第2のチャンバ306は、例えば、内壁320と外壁324の間で、内壁320の外側の空間によって提供される。
【0043】
[0046] 高圧基板処理システム300は、図1のバルブアセンブリ116の機能を提供する、第1のチャンバ302と第2のチャンバ306の間のバルブアセンブリ316を更に含む。すなわち、バルブアセンブリ316は、第1のチャンバ302を第2のチャンバ306から孤立させるように動作可能である。例えば、バルブアセンブリ316は、内壁320、ベース322、及びベース322を内壁320に対して移動させるためのアクチュエータ323を含む。アクチュエータ323は、ベース322を、垂直に、例えば第1のチャンバ302を画定する壁320から離れるように又は壁320に向けて移動させるように駆動するべく制御されてよい。ベローズ328が使用されて、ベース322が垂直に移動することを可能にする一方で、第2のチャンバ306を外部の雰囲気から密封することができる。ベローズ328は、ベース322の底部から、外壁324によって形成された第2のチャンバ306の床まで延在してよい。
【0044】
[0047] バルブアセンブリ316が閉じた位置にあるときに、ベース322は壁320に接触する。それによって、ベース322と壁320の間に密封が形成され、したがって、外側チャンバ306は、内側チャンバ302から分離される。アクチュエータ323は、密封を形成するのに十分な力で内壁320に向けてベース322を駆動するように動作する。密封は、第1の高圧チャンバ302からの空気が、低圧の第2のチャンバ306の中に排出されることを抑制する。
【0045】
[0048] バルブアセンブリ316が開位置にあるときに、ベース322は、壁320から間隔を空けられており、それによって、空気が第1及び第2のチャンバ302、306の間で移動することを可能にし、基板314がアクセスされ別のチャンバへ移送されることも可能にする。
【0046】
[0049] ペデスタル304は、ベース322上で支持されているので、ペデスタル304も、したがって、内壁320に対して移動可能である。ペデスタル304は、基板314が、移送ロボットによってより容易にアクセスされることを可能にするように移動することができる。例えば、移送ロボットのアーム(描かれていない)は、外壁324内の開口326を通って延在することができる。バルブアセンブリ316が開位置にあるときに、ロボットアームは、基板314にアクセスするために、内壁320とベース322との間隙を通過することができる。
【0047】
[0050] ある実施態様では、高圧基板処理システム300が、基板314に熱を印加するように構成された1以上の加熱要素318を含む。加熱要素318からの熱は、基板314がペデスタル304上で支持され、(もし使用されるならば)前駆体ガスが第1のチャンバ302の中に導入されたときに、基板314をアニールするのに十分な量であってよい。加熱要素318は、抵抗加熱要素であってよい。1以上の加熱要素318は、第1のチャンバ302を画定する内壁320内に位置決めされ(例えば、埋め込まれ)てよい。これは、内壁320を加熱し、放射熱が基板314に到達することをもたらす。基板314は、内壁の天井の近傍内でペデスタル304によって保持されてよく、内壁320から基板314への熱の伝達を改善する。
【0048】
[0051] しかし、1以上の加熱要素318は、高圧基板処理システム300内の他の場所、例えば、天井よりもむしろ側壁内に配置されてよい。加熱要素318の一実施例は、離散した加熱コイルを含む。内壁320内に埋め込まれたヒータの代わりに又はそれに加えて、放射加熱器(例えば、赤外線ランプ)が、第1のチャンバ302の外側に位置付けられてよく、内壁320内の窓を通して赤外線放射を向けることができる。電線が、電圧源などの電源(図示せず)を加熱要素に接続し、1以上の加熱要素318をコントローラに接続してよい。
【0049】
[0052] コントローラは、基板314上の材料の層の高圧処理を実行するための動作を制御するために、ポンピングシステム、ガス供給システム307、及びバルブアセンブリ316と動作可能に接続されている。ある実施態様では、コントローラが、他のシステムとも動作可能に接続されてよい。例えば、コントローラは、移送ロボット(図示せず)のうちの1以上、1以上の加熱要素318、及び/又はアクチュエータ323とも動作可能に接続されてよい。ある場合では、図1で示されているコントローラ122が、高圧基板処理システム300のコントローラを含む。
【0050】
[0053] 基板314上の材料の層の高圧処理を実行するためのプロセスでは、第2のチャンバ306を通して基板314を移送する準備のために、コントローラが、第2のチャンバ306を低圧状態、例えば第2のチャンバ306が1気圧未満の圧力を有する状態に減圧するようにポンピングシステムを動作させることができる。低圧状態は、真空に近い状態、例えば、1ミリTorr未満の圧力であってよい。基板314は、移送ロボット(図示せず)によって第2のチャンバ306を通して移動されると共に、第2のチャンバ306は、基板314の汚染及び酸化が抑制され得るように、低圧になっている。
【0051】
[0054] 基板314は、処理のために第1のチャンバ302の中に移送される。基板314を第1のチャンバ302の中に移送するために、コントローラは、バルブアセンブリ316を動作させ、例えばバルブアセンブリ316を開けて、そこを通して基板314が第1のチャンバ302の中に移送され得るところの開口部を提供することができる。コントローラは、移送ロボットを動作させて、基板314を第1のチャンバ302の中に運び、基板314をペデスタル304上に置くことができる。
【0052】
[0055] 基板314が、第1のチャンバ302の中に移送された後で、コントローラは、開口部を閉じるようにバルブアセンブリ316を動作させる。例えば、コントローラは、バルブアセンブリ316を閉じ、それによって、第1及び第2のチャンバ302、306を互いから孤立させることができる。バルブアセンブリ316が閉じられた状態で、第1のチャンバ302と第2のチャンバ306内の圧力が異なる値に設定されてよい。コントローラは、ガス供給システム307を動作させて、水素ガスを第1のチャンバ302の中に導入し、第1のチャンバ302を加圧することができる。水素ガスを導入することによって、第1のチャンバ302内の圧力を、例えば5気圧以上に上昇させることができる。
【0053】
[0056] 第1のチャンバ302内の水素ガス並びに適正な温度及び圧力状態は、材料の高圧処理が、例えば、図2を参照しながら説明されたように生じることをもたらし得る。高圧処理中に、コントローラは、基板314に熱を加えて、基板314上の材料の層のアニーリングを促進するように、1以上の加熱要素318を動作させることができる。
【0054】
[0057] 高圧処理が完了したときに、基板314は、移送ロボットを使用して第1のチャンバ302から取り除かれてよい。必要ならば、基板314は、次のプロセスチャンバ又は外部環境に移送されてよい。代替的に、基板314は、ロードロックチャンバ(図示せず)の中に移送される。第1のチャンバ302から外へ基板314を移送するための準備として、コントローラは、ガス供給システム307の排気システムを動作させて、バルブアセンブリ316が開けられる前に、第1のチャンバ302を減圧することができる。特に、基板314が、第1のチャンバ202から移送される前に、第1のチャンバ202内の圧力を低減させるために、前駆体ガスが第1のチャンバ302から排出される。第1のチャンバ302内の圧力は、真空に近い圧力まで低減されてよい。それによって、第1のチャンバ302と第2のチャンバ306との間の圧力差が最小化され得る。
【0055】
[0058] 第1のチャンバ302から外へ基板314を移送することを可能にするために、コントローラは、バルブアセンブリ316を開けることができる。バルブアセンブリ316が開けられると、そこを通して基板314が第2のチャンバ306の中に移送され得るところの開口部が提供される。特に、バルブアセンブリ316を開けることによって、基板314が、直接的に第2のチャンバ306の中に、例えば第2のチャンバ306の低圧環境の中に移送されることが可能になる。
【0056】
[0059] 図4は、第1のチャンバ402(例えば、高圧チャンバ102)、ペデスタル404、第2のチャンバ406(例えば、真空チャンバ104)、及び図1で示されているコントローラ122に類似したコントローラを含む、高圧基板処理システム400の別の実施例を描いている。高圧基板処理システム400は、図3に関連して説明された高圧基板処理システム300に類似している。ただし、別段の指定がなければ、様々なオプション及び実施態様をこの実施形態に適用することも可能である。
【0057】
[0060] 例えば、高圧基板処理システム400のガス供給システム及びポンピングシステムが、高圧基板処理システム400を使用して処理される基板414に対して低圧及び高圧を維持するような類似のやり方で動作される。第2のチャンバ406は、内壁420と外壁424の間の空間によって画定されてよい。更に、基板414は、第1のチャンバ402内の処理のためにペデスタル404上に支持されることも可能である。再び、基板は、ペデスタル404上に直接的に載置されてよく、又はペデスタルを通って延在するリフトピン430上に載置されてよい。
【0058】
[0061] 高圧基板処理システム400は、幾つかの点に関して、図3の高圧基板処理システム300と異なる。先ず、第1のチャンバ402を画定する内壁420が、第1のチャンバ402を画定するベース422に対して可動ではない。したがって、ペデスタル404は、内壁420及びベース422に対して固定されている。ある実施例では、ペデスタル404が、第1のチャンバ402を画定するベース422に固定されている。
【0059】
[0062] 図3の実施形態の1以上の加熱要素318の場合のように、第1のチャンバ402の内壁420内に配置されているよりもむしろ、図4で描かれている実施形態の1以上の加熱要素418は、ペデスタル404内に配置されている。したがって、基板414は、ペデスタル404との接触を通じて加熱される。
【0060】
[0063] 高圧基板処理システム400は、図3のバルブアセンブリ316に類似して、第1のチャンバ402を第2のチャンバ406から孤立させる、第1のチャンバ402と第2のチャンバ406の間のバルブアセンブリ416を更に含む。しかし、バルブアセンブリ316とは対照的に、バルブアセンブリ416は、第1のチャンバ402を画定する壁420及びベース422によって形成されているのではなく、むしろ第1のチャンバ402の内壁420及びベース422に対して可動なアーム424によって形成されている。アーム424は、第1のチャンバ402の内壁420及びベース422に対して可動であってよい。
【0061】
[0064] 特に、バルブアセンブリ416は、第1のチャンバ402と第2のチャンバ406の間にスリットバルブ423を含む。スリットバルブ423は、スリット423a及びアーム425を含む。スリット423aは、第1のチャンバ402の内壁420のうちの1つを貫通して延在する。アーム425の近位端425aは、第1のチャンバ402の外側に位置決めされ、一方、アーム425の遠位端425b、第1のチャンバ402内に位置決めされている。アーム425の近位端425aは、第2のチャンバ406内に位置決めされてよく、第2のチャンバ406内に位置決めされたアクチュエータによって駆動されてよい。代替的に、アーム425の近位端425aは、第2のチャンバ406の外側に位置決めされ、したがって、これもまた第2のチャンバ406の外側に位置決めされたアクチュエータ428によって駆動される。
【0062】
[0065] アーム425は、スリット423aを貫通して延在し、壁420に対して可動である。それによって、アーム425は、それが壁420との密封を形成する位置に移動されてよい。アクチュエータ428は、アーム425の近位端425aに連結され、壁420に対してアーム425の遠位端425bを駆動する。アーム425は、スリット423aをカバー又はカバー解除するために垂直にも可動である。特に、アーム425の近位端425aは、内壁420の隣接した内面と実質的に平行に延在するフランジであってよく、又はそのようなフランジを含んでよい。アーム425は、アーム425の遠位端425bが、内壁420と係合又は係合解除することができるように、側方にも可動であり且つ駆動される。
【0063】
[0066] アーム425は、外壁424内の開口426を通って延在することもできる。
【0064】
[0067] バルブアセンブリ316のように、バルブアセンブリ416は、開位置と閉位置の間で可動である。バルブアセンブリ416が閉位置にあるときに、アーム425の遠位端425bは、スリット426をカバーし、内壁420のうちの1つと接触し、それによって、第1のチャンバ402を第2のチャンバ406から孤立させるように密封を形成する。特に、アーム425の遠位端425b(例えば、フランジ)は、第1のチャンバ402を画定する壁420の内面に接触する。
【0065】
[0068] バルブアセンブリ416が開位置にあるときに、アーム425の遠位端425bは、内壁420(例えば、内壁420の内面)から側方に間隔を空けられる。更に、アーム425の遠位端425bは、スリット426がカバー解除されるように、垂直に位置決めされる。したがって、スリット426は、第1のチャンバ402と第2のチャンバ406の間の流体連通を可能にし、且つ、例えば上述されたようにロボットによって、基板414が第1のチャンバ402の中に及び外に移動されることも可能にする、開口部を提供する。
【0066】
[0069] コントローラは、基板414を第1のチャンバ402の中に及び外に移送するために、そして、基板414上の材料の層に対して高圧処理を実行するために、高圧基板処理システム300のコントローラに関して説明されたプロセスに類似したやり方で、高圧基板処理システム400を動作させることができる。このプロセスでは、バルブアセンブリ416を開閉するために、コントローラは、アーム425を駆動するようにアクチュエータ428を動作させることができる。
【0067】
[0070] 図4で示されている構成の利点は、第1のチャンバ402内の圧力が、内壁420の内面に対してアーム425の遠位端425bを押す助けになるということである。結局、図3で示されている構成とは対照的に、アクチュエータがより非力であってよい。
【0068】
[0071] 本明細書で説明されるシステムのコントローラ及び他の計算デバイスの部分は、デジタル電子回路内、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア内に実装され得る。例えばコントローラは、例えば持続性マシン可読ストレージ媒体といった、コンピュータプログラム製品内に記憶されたコンピュータプログラムを実行する、プロセッサを含むことができる。こうしたコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られている)は、コンパイル又は翻訳された言語を含むプログラミング言語の任意の形で書くことができ、また独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは計算環境で使用するのに適している他のユニットとして配置することを含め、任意の形で配置することができる。
【0069】
[0072] 本明細書は特定の実行形態の詳細を多数包含しているが、これらは本発明の如何なる範囲、又は特許請求の範囲においても限定するものとして解釈すべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈すべきである。別々の実施形態に関連して本明細書に記載された特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて実行することも可能である。反対に、単一の実施形態に関連して記載される様々な特徴を、複数の実施形態に別々に、またはいずれかの適切な組み合わせの一部において実行することもできる。更に、特徴は特定の組み合わせにおいて作用するものとして上記され、またそのように特許請求さえされ得るが、ある場合には特許請求された組み合わせの中の1以上の特徴をその組み合わせから除外することもでき、特許請求された組み合わせが、組み合わせの一部または組み合わせの一部の変形を対象とする場合もある。
【0070】
[0073] したがって、その他の実施形態も下記の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4