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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】照明装置、車両及び光の照射方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/31 20180101AFI20240523BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240523BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240523BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240523BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/20
F21W103:60
F21Y115:30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020094183
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190292
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】北原 和
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006366(JP,A)
【文献】特開2016-088283(JP,A)
【文献】特開2018-106928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/31
F21S 43/20
F21W 103/60
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第1反射面と、前記第1反射面の周囲に配置され、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第2反射面と、を有するリフレクターと、
前記光源を通る軸を回転軸として前記リフレクターを回転可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御して前記リフレクターを回転させつつ、前記リフレクターの回転角度に応じて前記光源を前記リフレクターの回転周期よりも短い時間に亘って点灯させる制御部と、
を備え、
前記第1反射面から出射する光の照射方向、及び、前記第2反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記回転軸と直交する平面上において、前記第1反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第1距離は、前記第2反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第2距離と異なる照明装置。
【請求項2】
前記リフレクターは、前記回転軸を中心とする円周方向における位置が前記第1反射面の位置と異なり、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第3反射面を更に有し、
前記第3反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記回転軸と直交する平面上において、前記第3反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第3距離は、前記第1反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第1距離と等しい請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記リフレクターは、
前記回転軸を中心とする円周方向における位置が前記第1反射面の位置と異なり、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第3反射面と、
前記第3反射面の周囲に配置され、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第4反射面と、
を更に有し、
前記第3反射面から出射する光の照射方向及び前記第4反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記平面上において、前記第3反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第3距離は、前記第1距離と等しく、前記第4反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第4距離は、前記第2距離と等しい請求項に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1反射面及び前記第3反射面は、前記円周方向に等間隔で配列されている請求項またはに記載の照明装置。
【請求項5】
前記リフレクターは、前記回転軸を中心とする円周方向における位置が前記第1反射面の位置と異なり、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第3反射面を更に有し、
前記第3反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記回転軸と直交する平面上において、前記第3反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第3距離は、前記第1反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第1距離と異なる請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記リフレクターは、
前記回転軸を中心とする円周方向における位置が前記第1反射面の位置と異なり、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第3反射面と、
前記第3反射面の周囲に配置され、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第4反射面と、
前記円周方向における位置が前記第1反射面及び前記第3反射面の位置と異なり、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第5反射面と、
を更に有し、
前記第3反射面から出射する光の照射方向、前記第4反射面から出射する光の照射方向、及び前記第5反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記平面上において、前記第1距離と、前記第2距離と、前記第3反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第3距離と、前記第4反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第4距離と、前記第5反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第5距離と、は相互に異なる請求項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記平面上において、前記第3反射面から出射する光の中心及び前記第4反射面から出射する光の中心は、前記回転軸を中心とし、かつ、前記第1距離を半径とする円と、前記回転軸を中心とし、かつ、前記第2距離を半径とする円との間に位置し、前記第5反射面から出射する光の中心は、前記回転軸を中心とし、かつ、前記第3距離を半径とする円と、前記回転軸を中心とし、かつ、前記第4距離を半径とする円との間に位置する請求項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1反射面、前記第3反射面、及び前記第5反射面は、前記円周方向に等間隔で配列されている請求項またはに記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源と前記リフレクターとの間に設けられた反射部材を更に有し、
前記反射部材は、
平坦面であり、前記回転軸が延びる方向と、前記回転軸が延びる方向に直交する第1方向と、に平行であり、前記光源から出射した光が入射する第1ミラー面と、
前記第1ミラー面に接しており、平坦面であり、前記回転軸が延びる方向と、前記回転軸が延びる方向に直交するとともに前記第1方向と交差する第2方向と、に平行であり、前記光源から出射した光が入射する第2ミラー面と、
を有する請求項1~のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項10】
前記光源は、
発光素子と、
前記発光素子上に設けられ、側面が前記第1ミラー面及び前記第2ミラー面に接した波長変換部材と、
を有する請求項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1反射面は、曲線を、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜した方向に延びる軸を中心軸として回転させることにより得られる面の一部である請求項1~10のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項12】
前記回転軸を含む断面において、前記第1反射面は、長軸及び短軸が前記回転軸が延びる方向に対して傾斜した方向に延びる楕円の一部である請求項1~11のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記アクチュエータを制御して前記リフレクターを複数周回転させつつ、前記リフレクターが一周する毎に前記光源を前記リフレクターの回転周期よりも短い時間に亘って点灯させ、前記光源を点灯させるタイミングにおける前記リフレクターの回転角度を順次変化させる請求項1~12のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項14】
前記光源と前記リフレクターとの間には、コリメート光学系が設けられている請求項1~13のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の照明装置が搭載された車両。
【請求項16】
光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第1反射面と、前記第1反射面の周囲に配置され、前記光源から出射した光が入射し、凹状に湾曲した第2反射面と、を有するリフレクターを、前記光源を通る軸を回転軸として回転させつつ、前記リフレクターの回転角度に応じて前記光源を前記リフレクターの回転周期よりも短い時間に亘って点灯させるステップを備え、
前記ステップにおいて、
前記第1反射面から出射する光の照射方向、及び、前記第2反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜しており、
前記回転軸と直交する平面上において、前記第1反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第1距離は、前記第2反射面から出射する光の中心と前記回転軸との第2距離と異なる光の照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、照明装置、車両及び光の照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載され、路面上に光を照射することによりパターンを描画する照明装置の開発が進んでいる。このような照明装置を少ない部品点数で実現したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-525952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本実施形態は、少ない部品点数で描画面にパターンを描画できる照明装置及び車両、並びに、光の照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る照明装置は、光源と、前記光源から離れる方向に凹であり、前記光源から出射した光が入射する第1反射面を有するリフレクターと、前記光源を通る軸を回転軸として前記リフレクターを回転可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御して前記リフレクターを回転させつつ、前記リフレクターの回転角度に応じて前記光源を前記リフレクターの回転周期よりも短い時間に亘って点灯させる制御部と、を備え、前記第1反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜している。
【0006】
実施形態に係る車両は、前記照明装置が搭載されている。
【0007】
実施形態に係る光の照射方法は、光源から離れる方向に凹であり、前記光源から出射した光が入射する第1反射面を有するリフレクターを、前記光源を通る軸を回転軸として回転させつつ、前記リフレクターの回転角度に応じて前記光源を前記リフレクターの回転周期よりも短い時間に亘って点灯させるステップを備え、前記ステップにおいて、前記第1反射面から出射する光の照射方向は、前記回転軸が延びる方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、少ない部品点数で描画面にパターンを描画できる照明装置及び車両、並びに、光の照射方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る照明装置を示す部分断面図である。
図2】照明装置における光源及びリフレクターを示す上面図である。
図3】横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
図4】照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図5図4の状態からリフレクターを回転させた状態において、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図6図5の状態からリフレクターを更に回転させた状態において、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図7A】照明装置が前方に配置された車両を示す上面図である。
図7B】照明装置が側方に配置された車両を示す上面図である。
図8】第2の実施形態に係る照明装置を示す部分断面図である。
図9】照明装置におけるリフレクターを示す斜視図である。
図10】光源、リフレクター、及び遮光部材を示す上面図である。
図11】横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
図12】照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図13】第3の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図14】照明装置における光源及び反射部材を示す上面図である。
図15】照明装置を示す部分断面図である。
図16】照明装置を示す部分断面図である。
図17】照明装置を示す部分断面図である。
図18】横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
図19】照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図20】第4の実施形態に係る照明装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す部分断面図である。
図2は、照明装置における光源及びリフレクターを示す上面図である。
図3は、横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
本実施形態に係る照明装置100は、光源110と、リフレクター120と、アクチュエータ130と、制御部140と、を備える。
【0011】
リフレクター120は、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する反射面121aを有する。反射面121aは、第1反射面に相当する。アクチュエータ130は、光源110を通る軸を回転軸Dとしてリフレクター120を回転可能である。制御部140は、アクチュエータ130を制御してリフレクター120を回転させつつ、リフレクター120の回転角度ψに応じて光源110をリフレクター120の回転周期Trよりも短い時間Δt1に亘って点灯させる。反射面121aから出射する光L11の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。本明細書において「反射面から出射する光」は、反射面で反射された光を意味する。
【0012】
以下、照明装置100の各部について詳述する。以下では、光源110からリフレクター120に向かう方向を「上方向」とし、その反対方向を「下方向」とする。
【0013】
光源110は、図1に示すように、発光素子111と、発光素子111上に設けられ、発光素子111から出射した光を波長変換する波長変換部材112と、を有する。
【0014】
発光素子111は、例えば、LD(Laser diode)である。発光素子111は、例えば青色光を発する。発光素子111は筐体113に内蔵されている。
【0015】
筐体113の上面には、透光部材(図示省略)が設けられており、発光素子111から出射した光の少なくとも一部を透過する。筐体113の透光部材上には、波長変換部材112が設けられている。筐体113の下面には、発光素子111に電気的に接続された端子114が設けられている。端子114は、制御部140に電気的に接続されている。
【0016】
波長変換部材112は、例えば、蛍光体を含む。波長変換部材112は、例えば発光素子111から出射した青色光を吸収して黄色光を発する。光源110は、発光素子111から出射した青色光と波長変換部材112から出射した黄色光との混色光である白色光を出射する。ただし、光源の構成は上記に限定されない。例えば、発光素子が発する光の色、波長変換部材が発する光の色、及び光源から出射する光の色は、上記に限定されない。
【0017】
図2に示すように、上面視における波長変換部材112の形状は、本実施形態では円形である。ただし、上面視における波長変換部材112の形状は、上記に限定されず四角形等の多角形であってもよい。光源110は、図1に示すように、上面視における波長変換部材112の中心Cが回転軸D上に位置するように、配置されている。ただし、波長変換部材の中心は回転軸上に位置していなくてもよい。
【0018】
リフレクター120は、光源110の上方に配置されており、光源110から離隔している。リフレクター120は、金属や樹脂等の材料からなり、反射面には反射コートが設けられていてもよい。反射コートは、例えばアルミニウム等の金属材料や、誘電体膜からなる。リフレクター120の形状は、光源110から離れる方向に凹状に湾曲している。図2に示すように、リフレクター120の上面視における形状は、略円形である。
【0019】
リフレクター120の表面は、図1に示すように、下面に相当し、光源110から出射した光が入射する反射面121aと、反射面121aの反対側に位置する上面121bと、を含む。
【0020】
反射面121aは、本実施形態では、光源110から離れる方向に凹の曲線E11を、軸F11を中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。軸F11は、回転軸Dに対して傾斜した方向に延びている。
【0021】
曲線E11は、長軸(本実施形態では、曲線E11の中心軸である軸F11に相当)及び短軸F12が、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する方向に延びた楕円である。この場合、反射面121aの形状は回転楕円体の一部となる。ただし、曲線の形状は上記に限定されない。例えば曲線は放物線であってもよい。この場合、反射面の形状は回転放物面の一部となる。
【0022】
以下、リフレクター120から出射した光が照射されることにより、パターンが描画される面を「描画面P」という。以下では、描画面Pが、回転軸Dが延びる方向と直交する平坦面である例を説明する。ただし、描画面は、平坦面でなくてもよい。例えば、照明装置100が、車両に搭載される場合、凹凸又は湾曲部等が存在する路面が描画面Pに相当する。
【0023】
反射面121aは、出射した光L11が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、光源110上に一の焦点e11を有し、描画面Pにおいて光源110から離隔した他の焦点e12を有する楕円を想定し、この楕円に沿って反射面121aを設ける。これにより、反射面121aから出射した光L11は、焦点e12に集光される。すなわち、反射面121aから出射した光L11の描画面Pにおける中心r12は、焦点e12上に位置する。焦点e11は、回転軸D上に位置し、焦点e12は、回転軸Dから離隔している。
【0024】
以下では、図1に示すように、回転軸Dと、反射面121aから出射した光L11の描画面Pにおける中心r12と、を含む断面において、反射面121aの中心r11から、描画面Pに照射された光L11の中心r12に向かう方向を「照射方向」という。反射面121aから出射する光L11の照射方向は、回転軸Dに対して傾斜する。
【0025】
上面121bの形状は、リフレクター120の厚みの分だけ反射面を上方向にシフトさせたような形状である。上面121bには、本実施形態では図2に示すように、リフレクター120の回転角度ψの検出に用いられるマーカ121cが設けられている。マーカ121cは、例えば、上面視において回転軸D及び焦点e12を通る直線上に位置する。
【0026】
アクチュエータ130は、図1に示すように、リフレクター120に取り付けられたシャフト131と、シャフト131を回転させるモータ132と、を有する。シャフト131は、回転軸Dが反射面121aの中心r11から偏心するように、リフレクター120に取り付けられている。
【0027】
以下では、図2に示すように、リフレクター120の回転方向Gが上方から見て反時計回りの方向である例を説明する。ただし、リフレクターの回転方向は上方から見て時計回りであってもよい。また、上面視において回転軸Dと直交する一の基準線H0と、リフレクター120において回転軸Dから離隔した基準位置と回転軸Dとを結ぶ直線H1と、の回転方向における角度ψを単に「回転角度ψ」という。基準位置は、例えばマーカ121cの位置である。したがって、描画面Pは、例えば、回転角度ψが0度より大きく90度より小さい第1象限P1と、回転角度ψが90度より大きく180度よりも小さい第2象限P2と、回転角度ψが180度より大きく270度よりも小さい第3象限P3と、回転角度ψが270度より大きく360度より小さい第4象限P4と、に区画される。
【0028】
本実施形態においては、照明装置100は検出器150を更に備える。検出器150は、リフレクター120の回転角度ψの推定に用いられる。検出器150は、リフレクター120の上方に設けられ、マーカ121cが所定の位置に位置したタイミングを検出する。以下では、検出器150が、マーカ121cが基準線H0上に位置したタイミング、すなわち、回転角度ψが0度となるタイミングを検出する例を説明する。
【0029】
制御部140は、ECU(Electronic Control Unit)等のプロセッサ、及びメモリ等を含む。制御部140は、光源110、アクチュエータ130、及び検出器150に電気的に接続されており、これらを制御する。
【0030】
次に、照明装置100の動作について説明する。
図4は、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図5は、図4の状態からリフレクターを回転させた状態において、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
図6は、図5の状態からリフレクターを更に回転させた状態において、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
【0031】
先ず、制御部140は、図3に示すように、アクチュエータ130を制御して、リフレクター120を回転周期Trで回転させる。
【0032】
次に、制御部140は、リフレクター120を回転させつつ、マーカ121cが基準線H0上に位置したことを検出器150が検出したタイミングから所定時間Δt2経過後、光源110が点灯周期Tdで点灯するように、パルス状の電流を光源110に入力する。
【0033】
所定時間Δt2は、例えば、リフレクター120の回転角度ψが0度から90度となるまでの時間である。また、制御部140は、点灯周期Td毎に、リフレクター120の回転周期Trよりも短い時間Δt1に亘って光源110を点灯させる(すなわち、Δt1<Trである)。
【0034】
また、点灯周期Tdは、本実施形態では、回転周期Trよりも長い(すなわち、Td>Trである)。具体的には、点灯周期Tdは、回転周期Trに時間Δt1を加算した値である(すなわち、Td=Tr+Δt1である)。
【0035】
前述したように、反射面121aから出射した光L11の中心r11は、描画面P上において回転軸Dから離隔した位置に位置する。そのため、光源110が点灯している状態でアクチュエータ130がリフレクター120を回転させた場合、反射面121aから出射した光L11の中心r12は、図4図6に示すように、描画面P上において回転軸Dを中心とする円周k1上を移動する。
【0036】
そのため、図4に示すように、1周目では、リフレクター120の回転角度ψが90度以上、かつ、(90+Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間は光源110は点灯しており、それ以外の範囲内にある間は消灯している。これにより、1周目では、描画面P内の第2象限P2のうち領域J1に光が照射される。
【0037】
次に、図5に示すように、2周目では、リフレクター120の回転角度ψが(90+Δψ)度以上、かつ、(90+2×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間は光源110は点灯しており、それ以外の範囲内にある間は消灯している。これにより、2周目では、描画面P内の第2象限P2のうち、領域J1と回転方向Gに隣り合う領域J2に光が照射される。この際、領域J1に照射されていた光は、人間には残像として視認される。
【0038】
次に、図6に示すように、n周目では、リフレクター120の回転角度ψが(90+(n-1)×Δψ)度以上、かつ、(90+n×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間は光源110は点灯しており、それ以外の範囲内にある間は消灯している。これにより、n周目では、描画面P内の第2象限P2のうち、n-1周目で光が照射された領域Jn-1と回転方向Gに隣り合う領域Jnに光が照射される。この際、1周目からn-1周目までの間に光が照射された領域J1~Jn-1は、人間には残像として視認される。そのため、第2象限P2上に、人間には、中心角が90度の円弧状のパターンK1がシーケンシャルに描画されるように見える。
【0039】
制御部140は、リフレクター120をn周させて一つの円弧状のパターンK1を描画した後、再び、1周目~n周目と同様の制御を実行し、再び一つの円弧状のパターンK1を描画する。ただし、制御部は、パターンを1回描画した後、再びパターンの描画を行わなくてもよい。
【0040】
ただし、照明装置が描画するパターンは上記に限定されない。例えば、照明装置が描画する円弧状のパターンの中心角は、180度であってもよい。また、各領域Ji(ここで、i=1~nである)に光を照射している間に、リフレクターは複数周回転してもよい。
【0041】
次に、照明装置100の適用例について説明する。
図7Aは、照明装置が前方に配置された車両を示す上面図である。
図7Bは、照明装置が側方に配置された車両を示す上面図である。
照明装置100は、例えば、図7A及び図7Bに示すように、車両Mに搭載される。この場合、路面が描画面Pに相当する。
【0042】
照明装置100は、図7Aに示すように、例えば、車両Mの前方の左右に一つずつ配置され、ウィンカーと連動して、右又は左へ曲がることを示すように動作する。具体的には、左に曲がる場合は、左側に配置された照明装置100を駆動させ、上方向から見て反時計周りに円弧状のパターンK1を描画面Pである路面上に描画する。同様に、右に曲がる場合は、右側に配置された照明装置100を駆動させ、上方向から見て時計周りに円弧状のパターンを路面上に描画する。
【0043】
照明装置100は、図7Bに示すように、例えば、車両Mの側方の左右に一つずつ配置され、ドアの開閉と連動するように動作する。具体的には、例えば、左側のドアを開く場合又は閉じる場合は、左側に配置された照明装置100を駆動させ、路面上に円弧状のパターンK1を描画する。同様に、右側のドアを開く場合又は閉じる場合は、右側に配置された照明装置100を駆動させ、円弧状のパターンを描画する。
【0044】
ただし、照明装置は、車両の後方に配置されてもよい。また、照明装置の適用対象は、車両に限定されない。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
照明装置100は、光源110と、リフレクター120と、アクチュエータ130と、制御部140と、を備える。リフレクター120は、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する反射面121aを有する。アクチュエータ130は、光源110を通る軸を回転軸Dとしてリフレクター120を回転可能である。制御部140は、アクチュエータ130を制御してリフレクター120を回転させつつ、リフレクター120の回転角度ψに応じて光源110をリフレクター120の回転周期Trよりも短い時間Δt1に亘って点灯させる。反射面121aから出射する光L11の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。そのため、反射面121aから出射する光L11の照射方向を、時間的に変化させることができる。これにより、少ない部品点数でパターンK1を描画面上に描画できる照明装置100を実現できる。
【0046】
また、反射面121aは、光源110から離れる方向に凹の曲線E11を、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜した方向に延びる軸F11を中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。そのため、反射面121aから出射する光の照射方向を、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜させることができる。
【0047】
また、回転軸Dを含む断面において、反射面121aは、長軸(軸F11)及び短軸F12が回転軸Dが延びる方向に対して傾斜した方向に延びる楕円の一部である。そのため、反射面121aから出射する光L11の照射方向を、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜させることができる。また、楕円の焦点を光源110及び描画面P上の位置に設定すれば、反射面121aにより、光源110から出射した光を描画面P上に集光できる。
【0048】
また、制御部140は、アクチュエータ130を制御してリフレクター120を複数周回転させつつ、リフレクター120が一周する毎に光源110をリフレクター120の回転周期Trよりも短い時間Δt1に亘って点灯させ、光源110を点灯させるタイミングにおけるリフレクター120の回転角度ψを順次変化させる。このため、円弧状のパターンK1のうち、あるタイミングでは描画面Pの一部の領域Ji(ここで、i=1~nである)のみを照明し、照明する領域Jiを時間的に変化させることにより、円弧状のパターンK1をシーケンシャルに描画できる。
【0049】
また、本実施形態に係る光の照射方法は、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する反射面121aを有するリフレクター120を、光源110を通る軸を回転軸Dとして回転させつつ、リフレクター120の回転角度ψに応じて光源110をリフレクター120の回転周期Trよりも短い時間Δt1に亘って点灯させるステップを備える。そして、当該ステップにおいて、反射面121aから出射する光L11の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。そのため、反射面121aから出射する光L11の照射方向を、時間的に変化させることができる。これにより、少ない部品点数でパターンK1を描画面上に描画できる光の照射方法を実現できる。
【0050】
本実施形態では、検出器によりマーカを検出する例を説明したが、検出器及びマーカを設けず、ロータリーエンコーダによりリフレクターの回転角度を測定してもよい。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る照明装置を示す部分断面図である。
図9は、照明装置におけるリフレクターを示す斜視図である。
図10は、光源、リフレクター、及び遮光部材を示す上面図である。
本実施形態に係る照明装置200は、リフレクター220の構成及び遮光部材260を更に備える点において、第1の実施形態に係る照明装置100と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。後述する他の実施形態についても同様である。
【0052】
リフレクター220は、図8及び図9に示すように、第1反射部221と、第2反射部222と、第3反射部223と、第4反射部224と、を有する。
【0053】
第1反射部221の形状は、光源110から離れる方向に凹状に湾曲している。第1反射部221の上面視における形状は、図10に示すように、概ね円形である。第1反射部221の表面は、図8及び図9に示すように、光源110から出射した光が入射する第1反射面221aと、第1反射面221aの反対側に位置する上面221bと、を含む。上面221bには、図10に示すように、マーカ221cが設けられている。
【0054】
第1反射面221aは、図8に示すように、長軸F21a及び短軸F21bが回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する方向に延びた第1楕円E21を、長軸F21aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0055】
第1反射面221aは、出射した光L21が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、光源110上に一の焦点e20を有し、描画面P上に他の焦点e21を有する第1楕円E21を想定し、第1楕円E21に沿って第1反射面221aを設ける。これにより、第1反射面221aから出射した光L21は、焦点e21に集光される。そのため、第1反射面221aから出射した光L21の描画面Pにおける中心r21は、焦点e21上に位置する。焦点e20の位置は、回転軸D上に位置し、焦点e21は、回転軸Dから離隔している。第1反射面221aから出射する光L21の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0056】
第2反射部222は、図8及び図9に示すように、第1反射部221の周囲に配置されている。第2反射部222は、光源110から離れる方向に凹状に湾曲している。第2反射部222の表面は、光源110から出射した光が入射する第2反射面222aを含む。
【0057】
第2反射面222aは、長軸F22a及び短軸F22bが回転軸Dに対して傾斜する方向に延びた第2楕円E22を、長軸F22aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0058】
第2反射面222aは、出射した光L22が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E21の焦点e20上に一の焦点を有し、描画面P上に他の焦点e22を有する第2楕円E22を想定し、第2楕円E22に沿って第2反射面222aを設ける。これにより、第2反射面222aから出射した光L22は、焦点e22に集光される。そのため、第2反射面222aから出射した光L22の描画面Pにおける中心r22は、焦点e22上に位置する。焦点e22は、回転軸Dから離隔している。第2反射面222aから出射する光L22の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0059】
また、第2反射面222aの長軸F22aは、第1反射面221aの長軸F21aに対して傾斜している。そのため、焦点e22の位置は、第1楕円E21の焦点e21の位置と異なる。これにより、描画面P上において、第1反射面221aから出射する光L21の中心r21と回転軸Dとの第1距離D1は、第2反射面222aから出射する光L22の中心r22と回転軸Dとの第2距離D2と異なる(すなわち、D1≠D2である)。図8の例では、第2距離D2は、第1距離D1よりも短い(すなわち、D2<D1である)。ただし、第2距離は第1距離よりも長くてもよい。
【0060】
第1反射部221及び第3反射部223は、図10に示すように、回転軸Dを中心とする円周方向に等間隔に配列されている。ただし、第3反射部は、回転軸を中心とする円周方向における位置が第1反射部の位置と異なるように配置されていればよい。
【0061】
第3反射部223は、図8に示すように、回転軸Dを通る平面を基準として、第1反射部221と対称である。そのため、第3反射部223における第3反射面223aから出射した光L23の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する。そして、描画面P上において、第3反射面223aから出射する光L23の中心r23と回転軸Dとの第3距離D3は、第1距離D1と等しい(すなわち、D3=D1である)。ただし、第3反射部は第1反射部と対称ではなくてもよく、第3距離が第1距離と等しければよい。
【0062】
第4反射部224は、回転軸Dを通る平面を基準として、第2反射部222と対称である。そのため、第4反射部224における第4反射面224aから出射した光L24の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する。そして、描画面P上において、第4反射面224aから出射する光L24の中心r24と回転軸Dとの第4距離D4は、第2距離D2と等しい(すなわち、D4=D2である)。ただし、第4反射部は第2反射部と対称ではなくてもよく、第4距離が第2距離と等しければよい。
【0063】
遮光部材260は、上面視で描画面Pのうち光を照射させたくない象限上に配置される。本実施形態では、遮光部材260は、図10に示すように、上面視で主に第4象限P4上に配置されている。遮光部材260の形状は、板状である。遮光部材260の表面は例えば黒色であり、光吸収性を有する。
【0064】
遮光部材260は、図8に示すように、各反射面221a、222a、223a、224aから描画面Pの第4象限P4に向かう光を遮光する。具体的には、光源110から出射した光は、各反射面221a、222a、223a、224aに入射する。そして、第1反射面221a及び第2反射面222aが上面視で主に第2象限P2上に位置し、第3反射面223a及び第4反射面224aが上面視で主に第4象限P4上に位置している場合、第1反射面221a及び第2反射面222aから出射した光は、第2象限P2に照射され、第3反射面223a及び第4反射面224aから出射した光は、遮光部材260に遮光される。同様に、第3反射面223a及び第4反射面224aが上面視で主に第2象限P2上に位置し、第1反射面221a及び第2反射面222aが上面視で主に第4象限P4上に位置している場合、第3反射面223a及び第4反射面224aから出射した光は、第2象限P2に照射され、第1反射面221a及び第2反射面222aから出射した光は、遮光部材260に遮光される。
【0065】
次に、本実施形態に係る照明装置200の動作について説明する。
図11は、横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
図12は、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
【0066】
先ず、制御部140は、アクチュエータ130を制御して、リフレクター220を回転周期Tr2で回転させる。
【0067】
次に、制御部140は、リフレクター220を回転させつつ、マーカ221cが基準線H0上に位置したことを検出器150が検出したタイミングから所定時間Δt22経過後、光源110が点灯周期Td2で点灯するように、パルス状の電流を光源110に入力する。
【0068】
所定時間Δt22は、例えば、リフレクター220の回転角度ψが0度から90度となるまでの時間である。また、制御部140は、点灯周期Td2毎に、リフレクター120の回転周期Tr2よりも短い時間Δt21に亘って光源110を点灯させる(すなわち、Δt21<Tr2である)。
【0069】
また、点灯周期Td2は、回転周期Tr2よりも短い(すなわち、Td2<Tr2である)。具体的には、点灯周期Td2は、回転周期Tr2の半分の値に時間Δt21を加算した値である(すなわち、Td2=Tr2/2+Δt21である)。
【0070】
光源110が点灯している状態でアクチュエータ130がリフレクター220を回転させた場合、第1反射面221a及び第3反射面223aから出射した光L21、L23は、図12に示すように、描画面P上において回転軸Dを中心とする第1の円周k21上を移動し、第2反射面222a及び第4反射面224aから出射した光L22、L24は、描画面P上において回転軸Dを中心とし、第1の円周k21よりも半径が小さい第2の円周k22上を移動する。
【0071】
そのため、1周目では、光源110は2回点灯し、それ以外は消灯する。1周目の1回目では、リフレクター120の回転角度ψが90度以上、かつ、(90+Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源110が点灯する。この際、光源110から出射した光は、各反射面221a、222a、223a、224aに入射する。第1反射面221aから出射した光L21は、第2象限P2のうち、領域J1,1に照射される。第2反射面222aから出射した光L22は、第2象限P2のうち、領域J1,1の内側に位置する領域J1,2に照射される。第3反射面223a及び第4反射面224aから出射した光L23、L24は、遮光部材260により遮光される。
【0072】
1周目の2回目では、リフレクター220の回転角度ψが(270度+Δψ)度以上、かつ、(270+2×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源110が点灯する。この際、光源110から出射した光は、各反射面221a、222a、223a、224aに入射する。第3反射面223aから出射した光L23は、第2象限P2のうち、領域J1,1と回転方向Gに隣接する領域J1,3に照射される。第4反射面224aから出射した光L24は、第2象限P2のうち、領域J1,2と回転方向Gに隣接する領域J1,4に照射される。第1反射面221a及び第2反射面222aから出射した光L21、L22は、遮光部材260により遮光される。
【0073】
n周目も、同様に、光源110は2回点灯し、それ以外では消灯する。n周目の1回目では、リフレクター220の回転角度ψが(90+2×n×Δψ)度以上、かつ、(90+2×(n+1)×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源110が点灯する。この際、光源110から出射した光は、各反射面221a、222a、223a、224aに入射する。第1反射面221aから出射した光L21は、第2象限P2のうち、n-1周目の2回目の光源110の点灯時に第3反射面223aから出射した光L23が照射された領域Jn-1,3と回転方向Gに隣り合う領域Jn,1に照射される。第2反射面222aから出射した光L22は、第2象限P2のうち、n-1周目の2回目の光源110の点灯時に第4反射面224aから出射した光L24が照射された領域Jn-1,4と回転方向Gに隣り合う領域Jn,2に照射される。第3反射面223a及び第4反射面224aから出射した光L23、L24は、遮光部材260により遮光される。
【0074】
n周目の2回目では、リフレクター220の回転角度ψが(270度+2×(n+1)×Δψ)度以上、かつ、(270+2×(n+2)×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源110が点灯する。この際、光源110から出射した光は、各反射面221a、222a、223a、224aに入射する。第3反射面223aから出射した光L23は、第2象限P2のうち、領域Jn,1と回転方向Gに隣接する領域Jn,3に照射される。第4反射面224aから出射した光L24は、第2象限P2のうち、領域Jn,2と回転方向Gに隣接する領域Jn,4に照射される。第1反射面221a及び第2反射面222aから出射した光L21、L22は、遮光部材260により遮光される。
【0075】
この際、1周目からn-1周目に描画面P上に照射された光は、人間には残像として視認される。そのため、第2象限P2上に、2重の円弧状のパターンK2がシーケンシャルに描画される。
【0076】
このように、リフレクター220が1周する毎に、光源110を2回点灯させ、第1反射面221a及び第3反射面223aにより、描画面P上の第1の円周k21上の2つの領域に光を照射させることができる。また、同様に、リフレクター220が1周する度に、光源110を2回点灯させ、第2反射面222a及び第4反射面224aにより、描画面P上の第2の円周k22上の2つの領域に光を照射させることができる。このため、残像効果を得ることができるリフレクター220の最低回転速度を、第1の実施形態において残像効果を得ることができるリフレクター120の最低回転速度よりも遅くできる。
【0077】
制御部140は、リフレクター220をn周させて2重の円弧状のパターンK2を描画した後、再び、1周目~n周目と同様の制御を実行し、再び2重の円弧状のパターンK2を描画する。
【0078】
次に、本実施形態の効果について説明する。
リフレクター220は、第1反射面221aの周囲に配置され、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する第2反射面222aを更に有する。第2反射面222aから出射する光の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。回転軸Dと直交する平面(描画面P)上において、第1反射面221aから出射する光L21の中心r21と回転軸Dとの第1距離D1は、第2反射面222aから出射する光L22の中心r22と回転軸Dとの第2距離D2と異なる(すなわち、D2≠D1である)。そのため、2重の円弧状のパターンK2を描画できる。
【0079】
また、リフレクター220は、回転軸Dを中心とする円周方向における位置が第1反射面221aの位置と異なり、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する第3反射面223aを更に有する。第3反射面223aから出射する光L23の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。回転軸Dと直交する平面(描画面P)上において、第3反射面223aから出射する光L23の中心r23と回転軸Dとの第3距離D3は、第1反射面221aから出射する光L21の中心r21と回転軸Dとの第1距離D1と等しい(すなわち、D3=D1である)。このため、残像効果を得ることができるリフレクター220の最低回転速度を、第1の実施形態において残像効果を得ることができるリフレクター120の最低回転速度よりも遅くできる。
【0080】
また、リフレクター220は、第3反射面223aと、第4反射面224aと、を更に有する。第3反射面223aは、回転軸Dを中心とする円周方向における位置が第1反射面221aの位置と異なり、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する。第4反射面224aは、第3反射面223aの周囲に配置され、光源110から離れる方向に凹であり、光源110から出射した光が入射する。第3反射面223aから出射する光L23の照射方向及び第4反射面224aから出射する光L24の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。平面(描画面P)上において、第3反射面223aから出射する光L23の中心r23と回転軸Dとの第3距離D3は、第1距離D1と等しく(すなわち、D3=D1である)、第4反射面224aから出射する光L24の中心r24と回転軸Dとの第4距離D4は、第2距離D2と等しい(すなわち、D4=D2である)。そのため、リフレクター220の回転速度を遅くしつつ、2重の円弧状のパターンK2を描画できる。
【0081】
また、第1反射面221a及び第3反射面223aは、円周方向に等間隔で配列されている。そのため、リフレクター220を回転時にバランスの取れた構造とすることができる。
【0082】
本実施形態では、リフレクター220が、描画面の同一円周上に光を照射する2つの反射面221a、223aを有する例を説明したが、リフレクターは、平面の同一円周上に光を照射する3つ以上の反射面を有していてもよい。
【0083】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
本実施形態に係る照明装置300は、光源310及びリフレクター320の構成、並びに、反射部材370を更に備える点において第1の実施形態に係る照明装置100と相違する。
【0084】
光源310は、筐体313と、筐体313に内蔵された発光素子311と、筐体313上面の上に設けられた波長変換部材312と、筐体313の下面に設けられた端子314と、を有する。
【0085】
図14は、照明装置における光源及び反射部材を示す上面図である。
上面視における波長変換部材312の形状は、本実施形態では中心角が90度の扇形である。ただし波長変換部材の上面視における形状は、上記に限定されず、三角形又は四角形等の多角形であってもよい。上面視において波長変換部材312は、第2象限P2に配置されている。
【0086】
波長変換部材312の側面は、第1領域312aと、第2領域312bと、第3領域312cと、を有する。第1領域312aは、平坦面であり、回転軸Dが延びる方向、及び、回転軸Dが延びる方向と直交する第1方向Yに平行である。すなわち、第1領域312aは、回転軸Dが延びる方向及び第1方向Yを含む平坦面である。第1方向Yは、例えば、基準線H0と直交している。第2領域312bは、平坦面であり、回転軸Dが延びる方向、及び、第1方向Yと交差する第2方向Xに平行である。すなわち、第2領域312bは、回転軸Dが延びる方向及び第2方向Xを含む平坦面である。第2方向Xは、例えば、基準線H0に平行である。第3領域312cは、第1領域312aと第2領域312bとの間に位置し、回転軸Dから離れる方向に凸状に湾曲している。
【0087】
図13に示すように、光源310とリフレクター320との間には、反射部材370が設けられている。反射部材370は、光源310から出射した光を反射する。反射部材370は、金属からなってもよい。また、反射部材370は、樹脂又はガラス等の材料からなり、第1ミラー面373及び第2ミラー面374に反射コートが設けられていてもよい。反射コートは、例えばアルミニウム等の金属又は誘電体膜からなる。反射部材370の形状は、本実施形態では、上面視における中心角が270度の扇形となるように半球の一部を切り欠いたような形状である。上面視において反射部材370は、図14に示すように、第1象限P1、第3象限P3、及び第4象限P4に配置されている。
【0088】
反射部材370の表面は、図13に示すように、筐体313の上面と対向する下面371と、下面371の反対側に位置する上面372と、下面371と上面372との間に位置する第1ミラー面373及び第2ミラー面374と、を含む。
【0089】
下面371は、筐体313の上面に固定されている。上面372は、筐体313の上面から離れる方向に凹状に湾曲している。下面371及び上面372の上面視における形状は、図14に示すように、中心角が270度の扇形である。
【0090】
第1ミラー面373は、平坦面であり、回転軸Dが延びる方向と、第1方向Yと、に平行である。すなわち、第1ミラー面373は、回転軸Dが延びる方向及び第1方向Yを含む平坦面である。第1ミラー面373には、光源310から出射した光が入射する。第1ミラー面373は、波長変換部材312の側面の第1領域312aに接している。
【0091】
第2ミラー面374は、第1ミラー面373に接している。第2ミラー面374は、平坦面であり、回転軸Dが延びる方向と、第2方向Xと、に平行である。すなわち、第2ミラー面374は、回転軸Dが延びる方向及び第2方向Xを含む平坦面である。第2ミラー面374は、波長変換部材312の側面の第2領域312bに接している。第2ミラー面374には、光源310から出射した光が入射する。
【0092】
第1ミラー面373及び第2ミラー面374により、光源310から出射した光は、上面視において、第2象限P2に主に配光され、第1象限P1、第3象限P3、及び第4象限P4への配光は抑制される。このように、反射部材370により、光源310の配光を制御できる。
【0093】
リフレクター320は、図13に示すように、第1反射部321と、第2反射部322と、第3反射部323と、第4反射部324と、第5反射部325と、第6反射部326と、を有する。各反射部321、322、323、324、325、326は、光源310から離れる方向に凹状に湾曲している。第1反射部321、第3反射部323、及び第5反射部325は、回転軸Dを中心とする円周方向に等間隔で配列されている。
【0094】
図15は、照明装置を示す部分断面図である。
図15では、リフレクター320の第3反射部323、第4反射部324、第5反射部325、及び第6反射部326を省略している。
第1反射部321の表面は、図15に示すように、光源310から出射した光が入射する第1反射面321aと、第1反射面321aの反対側に位置する上面321bと、を含む。上面321bには、図13に示すようにマーカ321cが設けられている。
【0095】
第1反射面321aは、長軸F31a及び短軸F31bが回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する方向に延びた第1楕円E31を、長軸F31aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0096】
第1反射面321aは、出射した光L31が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、光源310上に一の焦点e30を有し、描画面P上に他の焦点e31を有する第1楕円E31を想定し、第1楕円E31に沿って第1反射面321aを設ける。これにより、第1反射面321aから出射した光L31は、焦点e31に集光される。そのため、第1反射面321aから出射した光L31の描画面Pにおける中心r31は、焦点e31上に位置する。焦点e30は、回転軸D上に位置し、焦点e31は、回転軸Dから離隔している。第1反射面321aから出射する光L31の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0097】
第2反射部322は、第1反射部321の周囲に配置されている。第2反射部322の表面は、光源310から出射した光が入射する第2反射面322aを含む。第2反射面322aは、長軸F32a及び短軸F32bが回転軸Dに対して傾斜する方向に延びた第2楕円E32を、長軸F32aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0098】
第2反射面322aは、出射した光L32が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E31の焦点e30上に一の焦点を有し、描画面P上に他の焦点e32を有する第2楕円E32を想定し、第2楕円E32に沿って第2反射面322aを設ける。これにより、第2反射面322aから出射した光L32は、焦点e32に集光される。そのため、第2反射面322aから出射した光L32の描画面Pにおける中心r32は、焦点e32上に位置する。焦点e32は、回転軸Dから離隔している。第2反射面322aから出射する光L32の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0099】
図16は、照明装置を示す部分断面図である。
図16では、リフレクター320の第1反射部321、第2反射部322、第5反射部325、及び第6反射部326を省略している。
第3反射部323の表面は、光源310から出射した光が入射する第3反射面323aを含む。第3反射面323aは、長軸F33a及び短軸F33bが回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する方向に延びた第3楕円E33を、長軸F33aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0100】
第3反射面323aは、出射した光L33が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E31の焦点e30上に一の焦点を有し、描画面P上に他の焦点e33を有する第3楕円E33を想定し、第3楕円E33に沿って第3反射面323aを設ける。これにより、第3反射面323aから出射した光L33は、焦点e33に集光される。そのため、第3反射面323aから出射した光L33の描画面Pにおける中心r33は、焦点e33上に位置する。焦点e33は、回転軸Dから離隔している。第3反射面323aから出射する光L33の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0101】
第4反射部324は、第3反射部323の周囲に配置されている。第4反射部324の表面は、光源310から出射した光が入射する第4反射面324aを含む。第4反射面324aは、長軸F34a及び短軸F34bが回転軸Dに対して傾斜する方向に延びた第4楕円E34を、長軸F34aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0102】
第4反射面324aは、出射した光L34が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E31の焦点e30上に一の焦点を有し、描画面P上に他の焦点e34を有する第4楕円E34を想定し、第4楕円E34に沿って第4反射面324aを設ける。これにより、第4反射面324aから出射した光L34は、焦点e34に集光される。そのため、第4反射面324aから出射した光L34の描画面Pにおける中心r34は、焦点e34上に位置する。焦点e34は、回転軸Dから離隔している。第4反射面324aから出射する光L34の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0103】
図17は、照明装置を示す部分断面図である。
図17では、リフレクター320の第1反射部321、第2反射部322、第3反射部323、及び第4反射部324を省略している。
第5反射部325の表面は、光源310から出射した光が入射する第5反射面325aを含む。第5反射面325aは、長軸F35a及び短軸F35bが回転軸Dが延びる方向に対して傾斜する方向に延びた第5楕円E35を、長軸F35aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。
【0104】
第5反射面325aは、出射した光L35が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E31の焦点e30上に一の焦点を有し、描画面P上に他の焦点e35を有する第5楕円E35を想定し、第5楕円E35に沿って第5反射面325aを設ける。これにより、第5反射面325aから出射した光L35は、焦点e35に集光される。そのため、第5反射面325aから出射した光L35の描画面Pにおける中心r35は、焦点e35上に位置する。焦点e35は、回転軸Dから離隔している。第5反射面325aから出射する光L35の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0105】
第6反射部326は、第5反射部325の周囲に配置されている。第6反射部326の表面は、光源310から出射した光が入射する第6反射面326aを含む。第6反射面326aは、第6楕円E36を、長軸F36aを中心軸として回転させることにより得られる面の一部である。第6楕円E36の長軸F36aは、第5楕円E35の長軸F35aに平行であり、第6楕円E36の短軸F36bは、第5楕円E35の短軸F35bに平行である。
【0106】
第6反射面326aは、出射した光L36が描画面P上に集光するように設定される。具体的には、例えば、第1楕円E31の焦点e30上に一の焦点を有し、第5楕円E35の焦点e35上に他の焦点を有する第6楕円E36を想定し、第6楕円E36に沿って第6反射面326aを設ける。これにより、第6反射面326aから出射した光L36は、焦点e35に集光される。そのため、第6反射面326aから出射した光L36の描画面Pにおける中心は、焦点e35上に位置する。第6反射面326aから出射する光L36の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。
【0107】
焦点e31、e32、e33、e34、e35の位置は、相互に異なる。具体的には、
第2反射面322aから出射する光L32の中心r32(焦点e32)と回転軸Dとの第2距離D2は、第1反射面321aから出射する光L31の中心r31(焦点e31)と回転軸Dとの第1距離D1よりも短い。第3反射面323aから出射する光L33の中心r33(焦点e33)と回転軸Dとの第3距離D3は、第1距離D1よりも短く、第2距離D2よりも長い。第4反射面324aから出射する光L34の中心r34(焦点e34)と回転軸Dとの第4距離D4は、第3距離D3よりも短く、第2距離D2よりも長い。第5反射面325a及び第6反射面326aから出射する光L35、L36の中心r35(焦点e35)と回転軸Dとの第5距離D5は、第3距離D3よりも短く、第4距離D4よりも長い。すなわち、D2<D4<D5<D3<D1である。ただし、D1<D3<D5<D4<D2であってもよい。
【0108】
次に、本実施形態に係る照明装置300の動作について説明する。
図18は、横軸に時間をとり、縦軸に入力電流値をとって、光源への入力信号を示すグラフである。
図19は、照明装置から出射した光を模式的に示す上面図である。
先ず、制御部140は、アクチュエータ130を制御して、リフレクター320を回転周期Tr3で回転させる。
【0109】
次に、制御部140は、リフレクター320を回転させつつ、マーカ321cが基準線H0上に位置したことを検出器150が検出したタイミングから所定時間Δt32経過後、光源110が点灯周期Td3で点灯するように、パルス状の電流を光源310に入力する。
【0110】
所定時間Δt32は、例えば、リフレクター320の回転角度ψが0度から90度となるまでの時間である。また、制御部140は、点灯周期Td3毎に、リフレクター320の回転周期Tr3よりも短い時間Δt31に亘って光源310を点灯させる(すなわち、Δt31<Tr3である)。
【0111】
また、点灯周期Td3は、回転周期Tr3よりも長い(すなわち、Td3>Tr3である)。具体的には、点灯周期Td3は、リフレクター320が120度回転するのにかかる時間に時間Δt31を加算した値である。
【0112】
光源310が点灯している状態でアクチュエータ130がリフレクター320を回転させた場合、第1反射面221aから出射した光L31は、描画面P上において回転軸Dを中心とする第1の円周k31上を移動する。同様に、第2反射面322aから出射する光L32は、描画面P上において回転軸Dを中心とし、第1の円周k31よりも半径が小さい第2の円周k32上を移動する。同様に、第3反射面323aから出射する光L33は、描画面P上において回転軸Dを中心とし、第1の円周k31よりも半径が小さく、第2の円周k32よりも半径が大きい第3の円周k33上を移動する。同様に、第4反射面324aから出射する光L34は、描画面P上において回転軸Dを中心とし、第3の円周k33よりも半径が小さく、第2の円周k32よりも半径が大きい第4の円周k34上を移動する。同様に、第5反射面325a及び第6反射面326aから出射する光L35、L36は、描画面P上において回転軸Dを中心とし、第3の円周k33よりも半径が小さく、第4の円周k34よりも半径が大きい第5の円周k35上を移動する。
【0113】
そのため、図19に示すように、1周目では、リフレクター320の回転角度ψが90度以上、かつ、(90+Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源310が点灯し、それ以外の角度範囲では消灯する。この際、上面視において第2象限P2上には第1反射部321及び第2反射部322が主に位置している。そのため、光源310から出射した光は、第1反射部321及び第2反射部322に主に入射し、その他の反射部323、324、325、326への光の入射は抑制される。第1反射面321aから出射した光は、第2象限P2のうち、領域J1に照射される。第2反射面322aから出射した光は、第2象限P2のうち、領域J1の内側に位置する領域J2に照射される。
【0114】
2周目では、リフレクター320の回転角度ψが(210+Δψ)度以上、かつ、(210+2×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源310が点灯し、それ以外の角度範囲では消灯する。この際、上面視において第2象限P2上には第3反射部323及び第4反射部324が主に位置している。そのため、光源310から出射した光は、第3反射部323及び第4反射部324に主に入射し、その他の反射部321、322、325、326への光の入射は抑制される。第3反射面323aから出射した光は、第2象限P2のうち、領域J3に照射される。第4反射面324aから出射した光は、第2象限P2のうち、領域J3の内側に位置する領域J4に照射される。
【0115】
3周目では、リフレクター320の回転角度ψが(330+2×Δψ)度以上、かつ、(230+3×Δψ)度より小さい角度の範囲内にある間、光源310が点灯し、それ以外の角度範囲では消灯する。この際、上面視において第2象限P2上には第5反射部325及び第6反射部326が主に位置している。そのため、光源310から出射した光は、第5反射部325及び第6反射部326に主に入射し、その他の反射部321、322、323、324への光の入射は抑制される。第5反射面325a及び第6反射面326aから出射した光は、第2象限P2のうち、領域J5に照射される。
【0116】
この際、1周目及び2周目に描画面P上に照射された光は、人間には残像として視認される。そのため、第2象限P2上に、領域J1、J2、J3、J4.J5からなる矢印状のパターンK3がシーケンシャルに描画される。領域J1、J2、J3、J4.J5は、Vの字状に並んで、Vの字状の矢印を形成する。
【0117】
制御部140は、リフレクター220を3周させて矢印状のパターンK3を描画した後、再び、1周目~3周目と同様の制御を実行し、再び矢印状のパターンK3を描画する。矢印状のパターンK3は、例えばウィンカーと連動させて用いることができる。
【0118】
次に、本実施形態の効果について説明する。
リフレクター320は、回転軸Dを中心とする円周方向における位置が第1反射面321aの位置と異なり、光源310から離れる方向に凹であり、光源310から出射した光が入射する第3反射面323aを更に有する。第3反射面323aから出射する光L33の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。回転軸Dと直交する平面(描画面P)上において、第3反射面323aから出射する光の中心r33と回転軸Dとの第3距離D3は、第1反射面321aから出射する光の中心r31と回転軸Dとの第1距離D1と異なる(すなわち、D3≠D1である)。そのため、照明装置200は、直径が異なる2種類の円弧を描画できる。
【0119】
また、リフレクター320は、第4反射面324aと、第5反射面325aと、を更に有する。第4反射面324aは、第3反射面323aの周囲に配置され、光源310から離れる方向に凹であり、光源310から出射した光が入射する。第5反射面325aは、円周方向における位置が第1反射面321a及び第3反射面323aの位置と異なり、光源310から離れる方向に凹であり、光源310から出射した光が入射する。第4反射面324aから出射する光L34の照射方向、及び第5反射面325aから出射する光L35の照射方向は、回転軸Dが延びる方向に対して傾斜している。描画面P上において、第1距離D1と、第2距離D2と、第3反射面323aから出射する光L33の中心r33と回転軸Dとの第3距離D3と、第4反射面324aから出射する光L34の中心r34と回転軸Dとの第4距離D4と、第5反射面325aから出射する光L35の中心r35と回転軸Dとの第5距離D5と、は相互に異なる。そのため、照明装置200は、直径が異なる5種類の円弧を描画できる。
【0120】
また、描画面P上において、第3反射面323aから出射する光L33の中心r33及び第4反射面324aから出射する光L34の中心r34は、回転軸Dを中心とし、かつ、第1距離D1を半径とする円と、回転軸Dを中心とし、かつ、第2距離D2を半径とする円との間に位置する。描画面P上において、第5反射面325aから出射する光L35の中心r35は、回転軸Dを中心とし、かつ、第3距離D3を半径とする円と、回転軸Dを中心とし、かつ、第4距離D4を半径とする円との間に位置する。そのため、照明装置200は、第1反射面321a及び第2反射面322aに光を照射し、次に、第3反射面323a及び第4反射面324aに光を照射し、次に第5反射面325aに光が照射されるように光源310を点灯させることで、矢印状のパターンK3を描画できる。
【0121】
また、第1反射面321a、第3反射面323a、及び第5反射面325aは、円周方向に等間隔で配列されている。そのため、リフレクター220を回転時にバランスの取れた構造とすることができる。
【0122】
また、照明装置300は、光源310とリフレクター320との間に設けられた反射部材370を更に有する。反射部材370は、第1ミラー面373と、第2ミラー面374と、を有する。第1ミラー面373は、平坦面であり、回転軸Dが延びる方向と、回転軸Dが延びる方向に直交する第1方向Yと、に平行であり、光源310から出射した光が入射する。第2ミラー面374は、平坦面であり、第1ミラー面373に接しており、回転軸Dが延びる方向と、回転軸Dが延びる方向に直交するとともに第1方向Yと交差する第2方向Xと、に平行であり、光源310から出射した光が入射する。そのため、光源310から出射した光の配光を制御できる。
【0123】
また、光源310は、発光素子311と、発光素子311上に設けられ、側面が第1ミラー面373及び第2ミラー面374に接した波長変換部材312と、を有する。そのため、光源310から出射した光の配光をより精密に制御できる。
【0124】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図20は、本実施形態に係る照明装置を示す断面図である。
本実施形態に係る照明装置400は、光源110とリフレクター120との間に、コリメート光学系480が設けられている点で相違する。
【0125】
コリメート光学系480は、例えば複数のレンズを組み合わせてなる。なお、図20では、コリメート光学系480を模式的に四角形で表している。
【0126】
このような構成によれば、リフレクター120には、コリメート光が入射する。リフレクター120がコリメート光を集光するため、照明装置400の光の取り出し効率を向上させることができる。また、リフレクター120を小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、例えば、車載用の照明に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
100、200、300、400:照明装置
110、310:光源
111、311:発光素子
112、312:波長変換部材
113、313:筐体
114、314:端子
120、220、320:リフレクター
121a:反射面
121b:上面
121c、221c、321c:マーカ
130:アクチュエータ
131:シャフト
132:モータ
140:制御部
150:検出器
221、321:第1反射部
221a、321a:第1反射面
222、322:第2反射部
222a、322a:第2反射面
223、323:第3反射部
223a、323a:第3反射面
224、324:第4反射部
224a、324a:第4反射面
260:遮光部材
312a:第1領域
312b:第2領域
312c:第3領域
325:第5反射部
325a:第5反射面
326:第6反射部
326a:第6反射面
370:反射部材
371:下面
372:上面
373:第1ミラー面
374:第2ミラー面
480:コリメート光学系
C:波長変換部材の中心
D:回転軸
D1:第1距離
D2:第2距離
D3:第3距離
D4:第4距離
D5:第5距離
E21、E31:第1楕円
E22、E32:第2楕円
E33:第3楕円
E34:第4楕円
E35:第5楕円
E36:第6楕円
F11、F21a、F22a、F31a、F32a、F33a、F34a、F35a、F36a:長軸
F12、F21b、F22b、F31b、F32b、F33b、F34b、F35b、F36b:短軸
G:回転方向
H0:基準線
J1~J5、Jn-1、Jn:領域
K:パターン
L11、L21~L24、L31~L36:光
M:車両
P:描画面(回転軸と直交する平面)
P1:第1象限
P2:第2象限
P3:第3象限
P4:第4象限
Tr、Tr2、Tr3:回転周期
Td、Td2、Td3:点灯周期
X:第2方向
Y:第1方向
e11、e12、e20~e22、e30~e35:焦点
r11、r12、r21~r24、r31~r35:光の中心
Δt1、Δt21、Δt31:時間
Δt2、Δt22、Δt32:所定時間
ψ:回転角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20